説明

データ管理装置およびデータ管理方法

【課題】手間およびコストを低減させることができるデータ管理装置およびデータ管理方法を提供する。
【解決手段】照合データ格納部26aの照合データが所定の容量を超えると、転送部24は、照合データを下位に接続されたコントローラに転送する。特定の識別番号が付与された照合データの内容の確認が要求されると、照合部23は、その識別番号が最大最小値データ26dに含まれるか否かを照合する。含まれる場合、照合データ格納部26aからその識別番号の照合データを抽出して内容を確認する。一方、含まれない場合、下位のコントローラに対してその識別番号の照合データの内容の確認を要求する。これにより、データ量が膨大であっても、各コントローラ2の記憶容量を増やすことなくコントローラ2を追加接続するだけで対応することができるので、結果として、手間およびコストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の通用口や部屋に入室するユーザのデータのデータ管理装置およびデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テナントビル、研究施設、生産施設などの各種建造物では、空調、防犯、防災、証明などの設備情報を中央管理装置で収集して管理している(例えば、特許文献1参照。)。なかでもセキュリティに関しては、建造物の出入口、執務スペース、サーバ室などに入室する個人を識別するためのカードリーダを設けることにより管理を行っている。カードリーダは、個人情報が記録されたICカードの情報を読み取るリーダ装置と、入室が許可されているか否かを照合するコントローラとから構成され、ICカードと照合データとを照合して一致した場合に入室を許可するようにしている。
【0003】
入室が許可されているか否かを判定するための照合データは、中央管理装置が一括して記憶している。このため、各コントローラは、管理する部屋に入室許可された人を示す照合データを中央管理装置からダウンロードし、記憶するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−84278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に、出入りする人数は、建造物内の場所や部屋によって異なるため、コントローラも配設される場所や部屋によって記憶する照合データの量が異なってしまう。例えば、通用口などは出入りする人数が膨大であるのに対して、各部屋は比較的少数である。このため、出入りする人数が膨大な箇所には記憶容量の大きなコントローラ、人数が少数の箇所には記憶容量の小さなコントローラという具合に、必要に応じて記憶容量が異なるコントローラを用意したり、出入りする人数が膨大な箇所の記憶容量の大きなコントローラを人数が少数の箇所にも適用したりしなければならず、結果として、管理の煩雑さや高コスト化を招いていた。
【0006】
そこで、本発明は、手間およびコストを低減させることができるデータ管理装置およびデータ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解決するために、本発明に係るデータ管理装置は、従属接続可能なデータ管理装置であって、情報を記憶する記憶手段と、一連の識別番号が付与された管理データを取得して記憶手段に記憶させるデータ取得手段と、記憶手段に記憶させた管理データの識別番号の範囲を記憶手段に記憶させる範囲登録手段と、記憶手段に記憶された管理データが所定の容量を超えると、データ取得手段により取得された管理データを従属接続された下位の他のデータ管理装置に転送する転送手段と、特定の識別番号が付与された管理データの内容の確認が要求されると、特定の識別番号が記憶手段に記憶された範囲に含まれるか否かを照合する照合手段と、この照合手段により、特定の識別番号が範囲に含まれると判定された場合、記憶手段から特定の識別番号が付与された管理データを抽出して内容を確認する確認手段と、照合手段により、特定の識別番号が範囲に含まれないと判定された場合、他のデータ管理装置に対して、特定の識別番号が付与されたデータの内容の確認を要求する要求手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記データ管理装置において、確認手段は、上位の他のデータ管理装置から要求された特定の識別番号が付与されたデータの内容を確認すると、この結果を上位の他のデータ管理装置の確認手段に送出するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係るデータ管理方法は、従属接続可能なデータ管理装置のデータ管理方法であって、データ取得手段に、一連の識別番号が付与された管理データを取得させて記憶手段に記憶させるデータ取得ステップと、範囲登録手段に、記憶手段に記憶させた管理データの識別番号の範囲を記憶手段に記憶させる範囲登録ステップと、転送手段に、記憶手段に記憶された管理データが所定の容量を超えると、データ取得手段により取得された管理データを従属接続された下位の他のデータ管理装置に転送させる転送ステップと、照合手段に、特定の識別番号が付与された管理データの内容の確認が要求されると、特定の識別番号が記憶手段に記憶された範囲に含まれるか否かを照合させる照合ステップと、確認手段に、照合ステップにより特定の識別番号が範囲に含まれると判定された場合、記憶手段から特定の識別番号が付与された管理データを抽出して内容を確認させる確認ステップと、要求手段に、照合ステップにより特定の識別番号が範囲に含まれないと判定された場合、他のデータ管理装置に対して、特定の識別番号が付与されたデータの内容の確認を要求させる要求ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記憶手段に記憶された管理データが所定の容量を超えると、取得した管理データを下位の他のデータ管理装置に転送し、特定の識別番号が付与されたデータの内容の確認が要求されると、特定の識別番号が記憶手段に記憶された範囲に含まれるか否かを照合し、特定の識別番号が範囲データに含まれると判定された場合には記憶手段から特定の識別番号が付与されたデータを抽出して内容を確認し、特定の識別番号が範囲データに含まれないと判定された場合には下位他のデータ管理装置に対して特定の識別番号が付与されたデータの内容の確認を要求することにより、データ量が膨大であっても、各データ管理装置の記憶容量を増やすことなくデータ管理装置を追加接続するだけで対応することができるので、結果として、手間およびコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[施設管理システムの構成]
図1に示すように、本実施の形態に係る施設管理システムは、管理を行う建造物に関する各種データを収集して管理する中央管理装置1と、その建造物の通用口や各部屋の入口などに設置されるコントローラ2a〜2nとを備え、これらがインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話回線、無線通信回線等の公知のネットワークからなるネットワーク3により接続されている。
【0013】
本実施の形態において、コントローラ2aには、下位にコントローラ2a−1が従属して接続されている。また、このコントローラ2a−1には、下位にコントローラ2a−2が従属して接続されている。このように、コントローラ2a,2a−1および2a−2は、チェーン状に一列に従属接続されている。
【0014】
<中央管理装置の構成>
中央管理装置1は、図2に示すように、送受信部11と、データ管理部12と、記憶部13とを備えている。
【0015】
送受信部11は、ネットワーク3を介してコントローラ2a〜2nとの間で各種データの送受信を行う機能部である。
【0016】
データ管理部12は、コントローラ2a〜2nからの要求に応じて、記憶部13に格納されたデータを送受信部11により送信させる機能部である。
【0017】
記憶部13は、中央管理装置1の動作に必要な各種データを記憶する機能部である。このような記憶部13には、通用口や各部屋など建造物の各領域に入室が許可されているか否かを示す照合データを格納した照合データ格納部13aを少なくとも備えている。この照合データは、管理データに対応し、コントローラ2a〜2nにより読み込まれるICカードが発行された個人や団体毎に作成され、入室が許可されているか否かを領域ごとに示す情報である。このような照合データには、一連の識別番号が付与されている。この識別番号は、ICカードの識別番号に対応する。通常、中央管理装置1の記憶容量は、コントローラ2よりも大きく設定されている。本実施の形態では、中央管理装置1の記憶部13の照合データ格納部13aは数十万人の照合データが記憶でき、各コントローラ2は数万人(以下においては3万人)の照合データを記憶できる場合を例に説明する。
【0018】
このような中央管理装置1は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、インターネット、LAN、WAN等の通信回線を介して各種情報の送受信を行うI/F装置と、CRT、LCDまたはFED等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述した送受信部11、データ管理部12および記憶部13が実現される。なお、上記プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供されるようにしてもよい。
【0019】
<コントローラの構成>
コントローラ2a〜2nは、データ管理装置として機能するものであり、図3に示すように、送受信部21と、照合部23と、転送部24と、照合依頼部25と、記憶部26とを備えている。このようなコントローラ2a〜2nには、それぞれが管理する部屋や通用口の扉近傍に設けられたカードリーダ4と、その扉の解錠および施錠を行う電気錠5が接続されている。なお、コントローラ2a〜2nはそれぞれ同等の構成を有する。便宜上、コントローラ2a〜2nを、コントローラ2と適宜呼ぶこととする。
【0020】
送受信部21は、ネットワーク3を介して中央管理装置1や他のコントローラ2と各種情報の送受信を行う機能部である。
【0021】
ダウンロード部22は、データ取得手段および範囲登録手段として機能し、送受信部21により中央管理装置1から照合データをダウンロードし、記憶部26に格納する機能部である。
【0022】
照合部23は、照合手段および確認手段として機能し、カードリーダ4により読み取られたICカードに記憶された個人情報と、記憶部26に記憶された後述する照合データ25aとを照合し、その個人情報に対応づけられた個人または団体が、そのカードリーダ4が設置された領域への入室が許可されているか否かを判定する機能部である。入室が許可されている場合、照合部23は、そのカードリーダ4が設置されている領域の扉の施錠および解錠を行う電気錠5を解錠する。一方、入室が許可されていない場合、照合部23は、その扉の電気錠5の解錠を行わない。なお、コントローラ2aの下位に接続されているコントローラ2a−1,2a−2については、カードリーダ4および電気錠5が接続されていないようにしてもよい。
【0023】
転送部24は、中央管理装置1または他のコントローラ2から受信した照合データを、受信先とは異なる他のコントローラ2に転送させる機能部である。
【0024】
照合依頼部25は、要求手段として機能し、自身に接続されているカードリーダ4により読み出された個人情報に対応する照合データが自身の記憶部26の照合データ25aに格納されていない場合、その個人情報と照合データとの照合を、他のコントローラ2に依頼する機能部である。
【0025】
記憶部26は、コントローラ2の各種動作を実現するために必要な各種情報を記憶する機能部である。このような記憶部26は、照合データ格納部26aと、自装置データ26bと、他のコントローラ2のアドレスを示すアドレスデータ26cと、最大最小値データ26dとを少なくとも記憶している。
【0026】
照合データ格納部26aは、中央管理装置1または他のコントローラ2から受信した照合データを格納する。この照合データ格納部26aには、付与された識別番号の順番で所定の数量の照合データが格納されている。
【0027】
自装置データ26bは、自装置のIPアドレスや照合データ格納部26cに格納可能な照合データの数量を示す情報である。例えば、図4(a)〜図4(c)に示すように、コントローラ2a,2a−1,2a−2のIPアドレスは、順に「192.168.1.101」,「192.168.1.102」,「192.168.1.103」であり、照合データの格納可能件数は、それぞれ30000件である。
【0028】
アドレスデータ26cは、下位および上位に接続されたコントローラ2のIPアドレスを示す情報である。例えば、図4(a)に示すようにコントローラ2aの場合、下位に接続された装置のIPアドレスは「0.0.0.0」、下位に接続された装置のIPアドレスは「192.168.1.102」である。これは、コントローラ2aは、上位に中央管理装置1、下位にコントローラ2a−1がそれぞれ接続されていることを表している。また、図4(b)に示すようにコントローラ2a−1の場合、上位に接続された装置のIPアドレスは「192.168.1.101」、下位に接続された装置のIPアドレスは「192.168.1.103」である。これは、コントローラ2aは、上位にコントローラ2a、下位にコントローラ2a−2がそれぞれ接続されていることを表している。また、図4(c)に示すようにコントローラ2a−2の場合、上位に接続された装置のIPアドレスは「192.168.1.102」、下位に接続された装置のIPアドレスは「0.0.0.0」である。これは、コントローラ2a−2は、上位にコントローラ2a−1が接続され、下位に何も接続されていないことを表している。
【0029】
最大最小値データ26dは、自身の記憶部26の照合データ格納部26aに格納された照合データにおいて、識別番号の最小値と最大値とを示す情報、すなわち照合データ格納部26aに格納された照合データの範囲を示す情報である。例えば、図4(a)に示すようにコントローラ2aの場合、識別番号の最小値を示す「最小NO.」のレコードの値は「1」、識別番号の最大値を示す「最大NO.」のレコードの値は「30000」である。これは、コントローラ2aの照合データ格納部26aに格納された照合データにおいて、照合データにおける識別番号の最小値が「1」、最大値が「30000」であり、識別番号が「1」〜「30000」の範囲の照合データが照合データ格納部26aに格納されていることを表している。同様に、図4(b)に示すコントローラ2a−1の場合は、照合データにおける識別番号の最小値が「30001」、最大値が「60000」であり、識別番号が「30001」〜「60000」の範囲の照合データが照合データ格納部26aに格納されていることを表している。また、図4(c)に示すコントローラ2a−2の場合は、照合データにおける識別番号の最小値が「60001」、最大値が「75100」であり、識別番号が「60001」〜「75000」の範囲の照合データが照合データ格納部26aに格納されていることを表している。
【0030】
このようなコントローラ2は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、インターネット、LAN、WAN等の通信回線を介して各種情報の送受信を行うI/F装置と、CRT、LCDまたはFED等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述した送受信部21、照合部23、転送部24、照合依頼部25および記憶部26が実現される。なお、上記プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供されるようにしてもよい。
【0031】
[施設管理システムの動作]
次に、本実施の形態に係る施設管理システムの動作について説明する。本実施の形態に係る施設管理システムにおいて、コントローラ2は、中央管理装置1から照合データをダウンロードし、このダウンロードした照合データに基づいて、入室を許可するか否かを判定するものである。このような照合データのダウンロード動作および照合動作について、以下にそれぞれ説明する。
【0032】
<照合データのダウンロード動作>
まず、図5を参照して、コントローラ2aによる照合データのダウンロード動作について、説明する。
【0033】
コントローラ2aに対応づけられた領域への入室の管理を開始したり、コントローラ2aに記憶された照合データの更新を行ったりする場合、コントローラ2aは、ダウンロード部22により、中央管理装置1から照合データをダウンロードする(ステップS1)。中央管理装置1は、コントローラ2aから照合データのダウンロードが要求されると、データ管理部12により記憶部13の照合データ格納部13aに格納された照合データを抽出し、これを送受信部11によりネットワーク3を介してコントローラ2aに送信する。照合データを受信すると、コントローラ2aは、ダウンロード部22により、記憶部26の照合データ格納部26aにその照合データを格納する。このとき、照合データは、識別番号の順に照合データ格納部26aに格納される。
【0034】
また、ダウンロード部22は、最初に格納した照合データの識別番号を、記憶部26の最大最小値データ26dに記録する。例えば、コントローラ2aの場合、図4(a)の最大最小値データ26cに示すように、最初に格納した照合データの識別番号は、「最小NO.」のレコードに記録された「1」である。
【0035】
必要件数ダウンロードを完了した場合(ステップS2:YES)、ダウンロード部22は、中央管理装置1から照合データのダウンロードを終了する。
【0036】
一方、必要件数のダウンロードが終了しない場合(ステップS2:NO)、転送部24は、ダウンロード部22にダウンロードした照合データが照合データ格納部26aの許容量を超えたか否か確認する(ステップS3)。
【0037】
許容量を超えない場合(ステップS3:NO)、転送部24は、ステップS1の処理に戻り、ダウンロード部22によるダウロードした照合データの照合データ格納部26aへの格納動作を続行させる。
【0038】
許容量を超えた場合(ステップS3:YES)、転送部24は、ダウンロードした照合データを、コントローラ2aの下位に接続されたコントローラ2a−1に転送させる(ステップS4)。図4(a)に示す自装置データ26bからも分かるように、コントローラ2aに格納することができる照合データには限界があり、本実施の形態では、格納できるのは30000件である。このため、ダウンロードした照合データが30000件を超えると、転送部24は、その照合データを下位のコントローラに転送する。図4(a)に示すアドレスデータ26cおよび図4(b)に示す自装置データ26bから分かるように、コントローラ2aの下位に接続されたコントローラは、IPアドレスが「192.168.1.102」であるコントローラ2a−1である。したがって、転送部24は、送受信部21により、ダウンロードした照合データをコントローラ2a−1に転送させる。
【0039】
また、許容量を超えると、ダウンロード部22は、記憶部26の最大最小値データ26cに最後に格納した照合データの識別番号を記録する。例えば、コントローラ2aの場合、図4(a)の最大最小値データ26cに示すように、最後に格納した照合データの識別番号は、「最大NO.」のレコードに記録された「30000」である。
【0040】
コントローラ2a−1では、転送された照合データを、照合データ格納部26aに格納する。このとき、コントローラ2aの場合と同等、コントローラ2a−1は、最初に格納した照合データの識別番号を、最大最小値データ26cに記録する。本実施の形態では、図4(a),図4(b)に示すように、コントローラ2aに最後に格納された照合データの識別番号が「30000」であるので、コントローラ2a−1に最初に格納した照合データの識別番号は「30001」である。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、中央管理装置1からダウンロードした照合データのデータ量が、コントローラ2aの照合データ格納部26aの許容量を超えると、コントローラ2aの下位に接続されたコントローラ2a−1に転送され、このコントローラ2a−1の照合データ格納部26aに格納される。したがって、照合データのデータ量がコントローラ2の容量を超える場合であっても、コントローラ2を追加してこのコントローラ2に照合データを格納することにより、コントローラ2の記憶容量を増やさなくても対応することができる。
【0042】
なお、上述した照合データの転送動作は、中央管理装置1から必要件数の照合データをダウンロードするまで行われる。このとき、コントローラ2aの下位に接続されたコントローラ2a−1においても照合データ格納部26aの許容量を超えると、コントローラ2a−1は、下位に接続されたコントローラ2a−2にコントローラ2aから転送されてきた照合データを転送する。
【0043】
<照合動作>
次に、図6を参照して、コントローラ2aによる照合動作について、説明する。
【0044】
コントローラ2aに接続されているカードリーダ4によりICカードを読み取られ、このICカードの識別番号を受信すると(ステップS11)、照合部23は、そのICカードの識別番号が、記憶部26の最大最小値データ26cに格納された最小値と最大値の間にあるか否か判定する(ステップS12)。図4(a)に示すように、コントローラ2aの最大最小値データ26cは、最小値が「1」、最大値が「30000」である。したがって、ICカードの識別番号の値が1〜30000の範囲に含まれるか否かを、照合部23は判定する。
【0045】
ICカードの識別番号が最大最小値データ26cの範囲内の場合(ステップS12:YES)、照合部23は、照合部データ格納部26aからそのICカードの識別番号に対応する照合データを抽出し、この照合データを確認することにより、入出が許可されているか否かを確認する(ステップS13)。
【0046】
一方、ICカードの識別番号が最大最小値データ26cの範囲に含まれていない場合(ステップS12:NO)、照合部23は、照合依頼部25により、下位に接続されたコントローラ2a−1に、そのICカードの照合動作を依頼する(ステップS16)。この依頼は、ICカードの識別番号をコントローラ2a−1に送信することにより行われる。コントローラ2a−1は、上述したコントローラ2aの場合と同様、照合部23により、その識別番号が最大最小値データ26cの範囲内に含まれているか否かを判定し、含まれている場合には照合部データ格納部26aからそのICカードの識別番号に対応する照合データを抽出し、入室が許可されているか否かを確認する。コントローラ2a−1においても、ICカードの識別番号が最大最小値データ26cの範囲内に含まれていない場合、コントローラ2a−1は、照合依頼部25により、下位に接続されたコントローラ2a−2に、そのICカードの識別番号とこの識別番号に対応する照合データとの照合を依頼する。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、自装置にICカードの識別番号に対応する照合データを格納していない場合、下位のコントローラに照合動作を依頼することにより、照合データのデータ量が膨大な場合、各コントローラの記憶容量を増やすことなくコントローラを追加接続するだけで対応することができる。
【0048】
自装置または下位のコントローラの照合部23により、ICカードの識別番号とこの識別番号に対応する照合データとを照合した結果、そのICカードを所持しているユーザの入室が許可されている場合(ステップS14:YES)、コントローラ2aは、照合部23より接続された電気錠5を解錠する(ステップS15)。このとき、コントローラ2aが配置された領域に対して、侵入の有無を検出するセンサや撮像を行うカメラ等を駆動させたることにより警備が行われている状態の場合、この警備状態を解除するようにしてもよい。
【0049】
一方、ICカードを所持しているユーザの入室が許可されていない場合(ステップS14:NO)、コントローラ2aは、照合部23より接続された電気錠5を解錠しない(ステップS17)。このとき、コントローラ2aが配置された領域が上述した警備状態にある場合、この警備状態を解除せずに維持し続けるようにしてもよい。
【0050】
電気錠5の解錠または施錠の維持が行われると、コントローラ2aは、ステップS11の処理に戻り、カードリーダ4によるICカードの読み込みを待機する状態に移行する。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、照合データ格納部26aに記憶された照合データが所定の容量を超えると、ダウンロードした照合データを下位に接続されたコントローラ2a−1に転送し、特定の識別番号が付与された照合データの内容の確認が要求されると、特定の識別番号が記憶部26に記憶された最大最小値データ26dに含まれるか否かを照合し、特定の識別番号が最大最小値データ26dに含まれると判定された場合には照合データ格納部26aから特定の識別番号が付与された照合データを抽出して内容を確認し、特定の識別番号が最大最小値データ26dに含まれないと判定された場合には下位に接続されたコントローラ2a−1に対して特定の識別番号が付与された照合データの内容の確認を要求することにより、データ量が膨大であっても、各コントローラ2の記憶容量を増やすことなくコントローラ2を追加接続するだけで対応することができるので、結果として、手間およびコストを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、多数の情報を記憶する各種システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の施設管理システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】中央管理装置の構成を模式的に示す図である。
【図3】コントローラの構成を模式的に示す図である。
【図4】(a)はコントローラ2a、(b)はコントローラ2a−1、(c)は2a−2における記憶部26に格納された自装置データ、アドレスデータ、最大最小値データのデータ構成を模式的に示す図である。
【図5】照合データのダウンロード動作を示すフローチャートである。
【図6】照合動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1…中央管理装置、2,2a,2a−1,2a−2,2b,2n…コントローラ、3点ネットワーク、4…カードリーダ、5…電気錠、11…送受信部、12…データ管理部、13…記憶部、13a…照合データ格納部、21…送受信部、22…ダウンロード部、23…照合部、24…転送部、25…照合依頼部、26…記憶部、26a…照合データ格納部、26b…自装置データ、26c…アドレスデータ、26d…最大最小値データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従属接続可能なデータ管理装置であって、
情報を記憶する記憶手段と、
一連の識別番号が付与された管理データを取得して前記記憶手段に記憶させるデータ取得手段と、
前記記憶手段に記憶させた前記管理データの前記識別番号の範囲を前記記憶手段に記憶させる範囲登録手段と、
前記記憶手段に記憶された前記管理データが所定の容量を超えると、前記データ取得手段により取得された管理データを従属接続された下位の他のデータ管理装置に転送する転送手段と、
特定の識別番号が付与された前記管理データの内容の確認が要求されると、前記特定の識別番号が前記記憶手段に記憶された前記範囲に含まれるか否かを照合する照合手段と、
この照合手段により、前記特定の識別番号が前記範囲に含まれると判定された場合、前記記憶手段から前記特定の識別番号が付与された前記管理データを抽出して内容を確認する確認手段と、
前記照合手段により、前記特定の識別番号が前記範囲に含まれないと判定された場合、前記他のデータ管理装置に対して、前記特定の識別番号が付与された前記データの内容の確認を要求する要求手段と
を備えたことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
前記確認手段は、上位の他のデータ管理装置から要求された前記特定の識別番号が付与された前記データの内容を確認すると、この結果を上位の前記他のデータ管理装置の前記確認手段に送出する
ことを特徴とする請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項3】
従属接続可能なデータ管理装置のデータ管理方法であって、
データ取得手段に、一連の識別番号が付与された管理データを取得させて記憶手段に記憶させるデータ取得ステップと、
範囲登録手段に、前記記憶手段に記憶させた前記管理データの前記識別番号の範囲を前記記憶手段に記憶させる範囲登録ステップと、
転送手段に、前記記憶手段に記憶された前記管理データが所定の容量を超えると、前記データ取得手段により取得された管理データを従属接続された下位の他のデータ管理装置に転送させる転送ステップと、
照合手段に、特定の識別番号が付与された前記管理データの内容の確認が要求されると、前記特定の識別番号が前記記憶手段に記憶された前記範囲に含まれるか否かを照合させる照合ステップと、
確認手段に、前記照合ステップにより前記特定の識別番号が前記範囲に含まれると判定された場合、前記記憶手段から前記特定の識別番号が付与された前記管理データを抽出して内容を確認させる確認ステップと、
要求手段に、前記照合ステップにより前記特定の識別番号が前記範囲に含まれないと判定された場合、前記他のデータ管理装置に対して、前記特定の識別番号が付与された前記データの内容の確認を要求させる要求ステップと
を有することを特徴とするデータ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−243123(P2009−243123A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90165(P2008−90165)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】