説明

データ管理装置及びデータ管理方法

【課題】可搬型光ディスクのデータ管理を、他の記録媒体を用意せず、当初のデータを残し、ユーザが自ら管理困難な変更の反映についても容易に行う装置を提供する。
【解決手段】光ディスクは、第1データが記録された書き換え不可能な第1領域と、第2データが記録された書き換え可能な第2領域をもつ。第2データは第2データが書き換えられたか否かを示す書換データを含む。この装置は、光ディスク駆動装置、メモリ(例えばフラッシュメモリ15)、揮発性メモリ(例えばRAM16)及び制御部を備える。制御部は、光ディスクから第1データと第2データの重複を排除したデータを揮発性メモリに読み出しコピーデータとしてメモリに記録する処理、そのコピーデータをユーザ操作により変更する処理、第2領域にコピーデータ全て又は変更箇所のみを第2データ又はその一部として書き換え、書換データも書き換える処理と、の実行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の光ディスク内のデータを管理するためのデータ管理装置及びデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータ(PC)に対するユーザのニーズとして、自宅で利用しているOS(Operating System)やアプリケーションソフトウェアを外出先などのPCで利用したい、もしくは利用している環境を変更せずに一時的に違う環境と入れ替えたいなどのニーズが存在する。
【0003】
こういった要望に応え、OSやアプリケーションソフトウェア(以下、単にアプリケーションという)を可搬型の記録媒体に保存して持ち運ぶことができるものが多数存在している。例えば、CD(Compact Disc)1枚で起動するOS(Live CD)やUSB(Universal Serial Bus)メモリから起動可能なアプリケーションが無償・有償問わず提供されている。
【0004】
特許文献1には、製品出荷段階で添付されていた復元用の第1記憶媒体から復元動作を開始させて、ソフトウェアを最新の状態にアップデートするソフトウェア更新方法が開示されている。この方法では、第1記憶媒体よりディスクドライブがソフトウェア復元用のソフトウェアを読み取り、メモリに記憶し、第1記憶媒体でソフトウェアの復元を行うか、アップデート用のデータを有する第2記憶媒体でアップデートを行うかの選択を促し、第2記憶媒体でアップデートを行うことが選択された場合、ディスクドライブが第2記憶媒体より読み取ったアップデート用のデータとメモリに記憶されたソフトウェア復元用のソフトウェアにてCPUがアップデート処理を実行する。
【特許文献1】特開2005−202883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなアプリケーションは母体となるPCから特定の記録媒体にインストール等を行って始めて利用可能となる場合が多い。さらに、これらのアプリケーションは、機能の追加やアップデートなどが不可能なものが多く、アップデート可能なアプリケーションであっても、アップデートの度に母体となるPCから、最初から再インストールする必要がある。例えば、通常のOSであれば、HDD(Hard Disk Drive)へのインストールが必要であるし、Live CDであれば、PCを用いてCD−R/RWのブータブルディスクを作成する作業が必要である。
【0006】
さらに、USBなど書き換え可能な記録媒体に記録したアプリケーションの場合、アップデート可能な場合もあるが、ユーザが誤ってデータを削除したために復旧できないというトラブルが発生する問題もある。
【0007】
また、書き換え不可能な領域と書き換え可能な領域とをもつハイブリッドディスクを用いて、OSやアプリケーションなどを収録して利用する場合、書き換え不可能な領域に初期データを収録しておくことで復旧は可能になり、さらに、書き換え可能な領域にユーザが変更したファイルやアップデートデータそのものなどをユーザ操作で記録することは可能である。
【0008】
しかしながら、このようなハイブリッドディスクを利用した方法を採用する場合、ユーザが意図して作成したファイルを保存する操作やアップデートデータ自体を保存する操作は手間さえ掛ければユーザ自身で可能であるが、システムのアップデートやアプリケーションの追加・削除やユーザが任意に行ったユーザ設定などとなると、書き換え可能な領域にユーザが手動で書き換えることは不可能に近い。
【0009】
また、特許文献1に記載の技術は、コンピュータにインストールを行って初めて利用可能になる技術であるだけでなく、第1記憶媒体と第2記憶媒体との少なくとも2つの記録媒体が必要となり、またアップデートの度に記憶媒体が必要となる。さらに、この技術は、最新の情報にアップデートすることを前提としており、例えば特定のアプリケーションを削除し、軽量化するなどの変更に対応できるものではない。
【0010】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、可搬型光ディスク内のデータの管理を、ユーザの手間をとらせることなく、且つ他の記録媒体を別途用意する必要もなく、且つ当初のデータを残したまま、且つユーザが自ら管理することが困難な変更の反映についても容易に行うことが可能なデータ管理装置及びデータ管理方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、可搬型の光ディスクに記録されたデータを管理するためのデータ管理装置であって、前記光ディスクは、書き換え不可能な第1領域と書き換え可能な第2領域とが区分けされており、前記第1領域には第1データが、前記第2領域には第2データが、それぞれ記録されており、該第2データは、該第2データが書き換えられたか否かを示す書換データを含み、当該データ管理装置は、前記光ディスク上のデータの読み書きを行う光ディスク駆動装置と、メモリと、揮発性メモリと、コピー処理、変更処理、及び書換処理の実行を制御する制御部とを備え、前記コピー処理は、前記光ディスクに記録された前記第1データと前記第2データとから重複を排除したデータを前記揮発性メモリに読み出して、コピーデータとして前記メモリに記録する処理であり、前記変更処理は、前記コピーデータをユーザ操作に基づき変更する処理であり、前記書換処理は、前記光ディスクにおける前記第2領域に、前記コピーデータ全てを前記第2データとして、又は前記コピーデータの変更箇所のみを前記第2データの一部として書き換え、該書き換えに応じて前記書換データも書き換える処理であることを特徴としたものである。
【0012】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記書換処理により書き換えられる前の前記第2データは、前記第1データと同じデータであることを特徴としたものである。
【0013】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記書換処理により書き換えられる前、前記第2領域は、前記第2データが存在しないことを少なくとも示す管理データのみ記録されていることを特徴としたものである。
【0014】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記光ディスクは多層構造をもっており、前記第1領域は1又は多層の全領域、前記第2領域は残りの層の全領域であり、前記書換処理は、前記光ディスクにおける前記第2領域に、前記コピーデータ全てを前記第2データとしてではなく、前記コピーデータの変更箇所のみを前記第2データの一部として書き換え、該書き換えに応じて前記書換データも書き換える処理とし、前記書換処理は、前記光ディスク駆動装置における光ピックアップの物理的なデータ読み出し位置が、前記変更箇所に対応する前記第1領域における読み出し位置と同じになるように、前記変更箇所を書き換えにより記録する前記第2領域の位置を決定して、前記変更箇所の書き換えを行うことを特徴としたものである。
【0015】
第5の技術手段は、第1〜第3のいずれかの技術手段において、前記光ディスクは多層構造をもっており、前記第1領域は1又は多層の全領域であり、前記第2領域は残りの層の全領域であることを特徴としたものである。
【0016】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれかの技術手段において、前記第1データは、該第1データが記録されている前記光ディスクを特定するディスク特定情報を含み、前記制御部は、前記コピー処理の実行前又は実行開始時に、前記ディスク特定情報を前記光ディスクから読み出して、前記メモリ内の前記コピーデータに含まれるディスク特定情報と比較し、もしくは予め前記コピー処理時に前記メモリに前記コピーデータと関連付けて前記ディスク特定情報を記録しておき該記録しておいたディスク特定情報と比較して、一致しない場合には、新たな光ディスクであると判定して前記メモリ内の前記コピーデータもしくは前記コピーデータ及び前記ディスク特定情報を削除するよう制御することを特徴としたものである。
【0017】
第7の技術手段は、第1〜第6のいずれかの技術手段において、前記制御部は、前記コピー処理を、前記光ディスクがマウントされたとき又は所定のユーザ操作を受け付けたときに実行するよう制御することを特徴としたものである。
【0018】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれかの技術手段において、前記第1データは、当該データ管理装置で実行可能なオペレーティングシステムプログラムを含むことを特徴としたものである。
【0019】
第9の技術手段は、メモリと、揮発性メモリと、可搬型の光ディスク上のデータの読み書きを行う光ディスク駆動装置とを備えたコンピュータで、前記光ディスクに記録されたデータを管理するためのデータ管理方法であって、前記光ディスクは、書き換え不可能な第1領域と書き換え可能な第2領域とが区分けされており、前記第1領域には第1データが、前記第2領域には第2データが、それぞれ記録されており、該第2データは、該第2データが書き換えられたか否かを示す書換データを含み、当該データ管理方法は、前記コンピュータの制御部が、前記光ディスクに記録された前記第1データと前記第2データとから重複を排除したデータを前記光ディスク駆動装置を制御して前記揮発性メモリに読み出して、コピーデータとして前記メモリに記録するコピーステップと、前記制御部が、前記コピーデータをユーザ操作に基づき変更する変更ステップと、前記制御部が、前記光ディスク駆動装置を制御して、前記光ディスクにおける前記第2領域に、前記コピーデータ全てを前記第2データとして、又は前記コピーデータの変更箇所のみを前記第2データの一部として書き換え、該書き換えに応じて前記書換データも書き換える書換ステップと、を含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、可搬型光ディスク内のデータの管理を、ユーザの手間をとらせることなく、且つ他の記録媒体を別途用意する必要もなく、且つ当初のデータを残したまま、且つユーザが自ら管理することが困難な変更の反映についても容易に行うことが可能になり、さらにこのデータを変更する動作も高速になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ管理装置の一構成例を示す図で、図中、10は光ディスク駆動制御装置、20はホスト機器である。図1で例示するデータ管理装置は、光ディスク駆動制御装置10とホスト機器20とを有し、可搬型の光ディスク(以下、単に光ディスクと呼ぶ)に記録されたデータを管理する。
【0022】
光ディスク駆動制御装置10は、光ピックアップ11、高周波集積回路(RF IC)12、モータドライバ13、スピンドルモータ14、RAM(Random Access Memory)16、CPU(Central Processing Unit)17、DSP(Digital Signal Processor)18、及びATA(AT Attachment)インターフェース(I/F)19を備える。光ディスク駆動制御装置10は、光ディスクからデータを読み出すこと、並びに光ディスクにデータを書き出すことが可能に構成されている。
【0023】
さらに、本発明で適用する光ディスク駆動制御装置10は、不揮発性メモリ(以下、フラッシュメモリ15で例示)を備える。フラッシュメモリ15は、光ディスクに記録されたデータのコピー(コピーデータ)を記録するためのメモリであり、装置10内に据え置かれる。このように、光ディスク駆動制御装置10は、光ディスクからデータを読み出して、フラッシュメモリ15に記録する処理(以下、コピー処理と呼ぶ)が可能なように構成されている。
【0024】
CPU17は、光ディスク駆動制御装置10の全体を制御する。図1の構成例では、CPU17は、フラッシュメモリ15やRAM16に対するデータの読み書きの制御と、DSP18の制御とを行い、DSP18が他の構成要素の制御を行う。
【0025】
ATA I/F19は、光ディスク駆動制御装置10とホスト機器20とを接続するためのインターフェースで、例えば、ホスト機器20から光ディスク上に記録されたデータの伝送要求を受け、データをホスト機器20に返すことができる。また、ATA I/F19では、ホスト機器20からデータを光ディスクに書き込む書込要求を受け、そのデータを光ディスクに書き込むことができる。ホスト機器20からの光ディスクに対するこれらの要求は、CPU17がATA I/F19及びDSP18を介して受ける。
【0026】
ホスト機器20としては、例えばPCが挙げられ、その場合、光ディスク駆動制御装置10はホスト機器20であるPCに外部接続されていることになる。勿論、ホスト機器20は、PC内部のメイン基板等であってもよく、その場合、PCには、ホスト機器20であるメイン基板に接続された状態で光ディスク駆動制御装置10が搭載され、本発明のデータ管理装置を構成していることになる。ホスト機器20の他の例としては、例えば録画機器や再生機器、或いはそのメイン基板などが挙げられる。なお、ホスト機器20として録画機器や再生機器を採用した場合、光ディスク駆動制御装置10は機器の外部に接続されることになるが、機器内にも装置10と同等の或いは本発明の特徴を有さない別の光ディスク駆動制御装置を搭載することもできる。
【0027】
スピンドルモータ14は、図示しないディスク搭載台に搭載された光ディスクを持ち上げて回転させるためのモータであり、モータドライバ13は、その回転を制御する駆動回路である。モータドライバ13に対する回転の開始・停止や回転数の制御は、DSP18から行うことができる。例えば、ATA I/F19を経由したホスト機器20からの上述のような要求があったときに、或いは上述したコピー処理の要求、或いはフラッシュメモリ15から光ディスクにデータを書き込む処理(以下、書換処理と呼ぶ)の要求があったときに、CPU17が、DSP18を経由してモータドライバ13に回転開始を指示し、要求された対象のデータが処理済みとなったときにモータドライバ13に回転停止を指示すればよい。
【0028】
光ピックアップ11は、レーザダイオード等の光源、レンズ、ビームスプリッタ、フォトダイオード等の検出部などから構成され、スピンドルモータ14によって回転している光ディスクに特定波長の光を照射する。
【0029】
データ読み出し時には、光ピックアップ11は、その反射光を検出してRF IC12に出力する。光ピックアップ11のデータ読み出し(並びに、複数種類の光ディスクに対応する場合には上記特定波長の切替)などは、要求された対象のデータに応じて、CPU17からDSP18を経由して制御される。この制御は、さらにRF IC12を経由して行ってもよい。RF IC12は、光ピックアップ11により取得した反射光から、光ディスクに凹凸などによって記録されているデータの信号を検出し、そのデータ信号をDSP18に出力する。
【0030】
DSP18は、光ピックアップ11から読み出されたデータ信号に対し、ノイズ処理やデータ読み出し位置に応じた補正等の各種信号処理を施して、RAM16に一時的に記録させる。このように、RAM16は、光ディスクから光ピックアップ11を介して読み出されたデータを一時的に記録(格納)するための揮発性メモリの一例である。RAM16の存在により、光ディスク、光ディスク駆動制御装置10、ホスト機器20との間の転送においてDMA(Direct Memory Access)転送を行うことが可能になる。
【0031】
ホスト機器20からの伝送要求であった場合には、RAM16に読み出されたデータは、CPU17からの制御により、DSP18、ATA I/F19を介してホスト機器20に適時伝送される。またフラッシュメモリ15へのコピー処理の要求であった場合には、RAM16に読み出されたデータは、CPU17からの制御によりフラッシュメモリ15に適時記録される。
【0032】
一方、データ書き込み時には、DSP18は、CPU17の制御に基づき、フラッシュメモリ15又はホスト機器20などからの書き込み対象データを得て、データ書き込み位置に応じた補正等の各種信号処理を施して、書き込み用のデータ信号を生成し、RAM16に一時的に記録させる。このように、RAM16は、光ディスクへ書き込むデータを一時的に記録(格納)するための揮発性メモリの一例でもある。
【0033】
RF IC12は、DSP18からの制御に基づき、RAM16のデータ信号に従って指定された書き込み位置に光ピックアップ11を移動させる。光ピックアップ11は、RF IC12からの制御に従って、その移動に伴って光ディスクに特定波長の光を照射して、光ディスクに凹凸を付けることで、データの書き込みを行う。
【0034】
上述した各構成要素11〜14(及びそれを制御するDSP18)は、光ディスク上でデータの読み書きを行う光ディスク駆動装置(光ドライブ)の構成例である。
【0035】
このように、光ディスク駆動制御装置10は、光ディスクに記録されたデータの読み出しや光ディスクへのデータ書き込みが可能になっており、また、フラッシュメモリ15に記録されたデータの読み出しやフラッシュメモリ15へのデータ書き込みも可能になっている。それらの制御を行う制御部はCPU17及びDSP18で例示したものである。
【0036】
次に、本発明で適用可能な光ディスクについて説明する。この光ディスクは、本発明に係るデータ管理装置によって区別可能な状態で、書き換え不可能な第1領域と書き換え可能な第2領域とが区分けされているディスクである。第1領域には第1データが記録され、第1データには第1データを読み出すための第1管理データが含まれる。第1領域は、RE/RW領域のように実際には書き換え可能な領域であってもよいが、その場合には書き換えを不可能にするような何らかの制限情報を第1管理データに記録しておくなどすればよい。また、第2領域には第2データが記録され、第2データには第2データを読み出すための第2管理データが含まれる。第2管理データは、第2データが書き換えられたか否かを示す書換データを含むものとする。
【0037】
具体的なメディアとしては、例えばBD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CDなどが挙げられる。また、本発明で適用可能な光ディスクとしては、その構造が多層であっても1層であっても少なくとも書き換え可能領域と書き換え不可能領域をもっていればよい。光ディスクが多層構造をもっている場合、第1領域は1又は多層の全領域であり、第2領域は残りの層の全領域とすればよい。なお、光ディスクとしては光磁気ディスクも適用できる。
【0038】
図2は、図1のデータ管理装置におけるデータ管理方法の一例を説明するための模式図で、図中、15はフラッシュメモリ、30は光ディスク、31は上記第1領域の一例としてのROM層、32は上記第2領域の一例としてのRE/RW層である。
【0039】
図2を併せて参照しながら、上述したコピー処理の詳細を説明する。本発明で適用するコピー処理は、光ディスクに記録された第1データと第2データとから重複を排除したデータを読み出して、コピーデータとしてフラッシュメモリ15に記録する処理である。このコピー処理の実行は、CPU17等の制御部によって制御される。CPU17は、例えばCPU17の内部ROMにコピー処理の制御を行うためのコピー処理プログラムを実行可能に格納しておき、コピー処理を開始する要求(以下、コピー要求と呼ぶ)を受けたときにCPU17の内部RAMにそのコピー処理プログラムを読み出して実行することで、コピー処理の実行制御が可能になる。上述したように光ディスクのデータの読み出しにはRAM16を経由させ、RAM16からフラッシュメモリ15へデータを移動させるとよい。
【0040】
このコピー要求は、CPU17が、光ディスクがマウントされたことを検出して発してもよいが、ユーザが任意のタイミングで予め定められた操作により指示し、その指示を検出した時点で発してもよい。CPU17は、光ディスクに記録されたデータのフラッシュメモリ15へのコピーが全て完了するまでコピー処理の実行を要求する。このコピーの対象には、基本的に第1管理データや第2管理データも含まれる。このようなコピー要求を行うことで、光ディスク駆動制御装置10は、光ディスクに記録されたデータのフラッシュメモリ15へのコピーが完了するまでコピー処理が実行されるため、完了した時点では、完全で且つリムーバブルな仮想ハードディスクとしてユーザに見せかけることができる。
【0041】
図3は、図1のデータ管理装置において光ディスクからデータをフラッシュメモリへ読み出してコピーする処理例を説明するためのフロー図である。図2及び図3を参照して、データをフラッシュメモリ15に読み出す処理例を説明する。
【0042】
まず、CPU17が、マウントされた光ディスク30を認識し(ステップS1)、コピー処理の開始を決定してコピー要求をコピー処理プログラムに渡し、コピー処理プログラムを実行させ、以降の処理を行う。CPU17は、まずそのRE/RW層32の管理データ(第2管理データ)をRAM16に読み出す(ステップS2)。次に、CPU17が、この第2管理データ内の書換データに基づき、セクタ単位で読み出し先を判定する(ステップS3)。CPU17は、現セクタで書き換えが有った場合にはRE/RW層32からそのデータをフラッシュメモリ15へ読み出す(つまり記録する)よう制御し(ステップS4)、現セクタで書き換えが無かった場合にはROM層31からそのデータをフラッシュメモリ15へ読み出すよう制御する(ステップS5)。
【0043】
CPU17は全てのセクタについて読み出しが終了したか否かを判定し(ステップS6)、終了と判定された場合には読み出し処理を終了し、未終了と判定された場合にはステップS3に戻って読み出しを継続する。このように、フラッシュメモリ15へのデータの読み出しは、読み出しデータ毎に順次読込先を変更することで実行することができる。また、セクタ毎に順番に読み出す例を挙げたが、利用するシステムの都合に合わせてファイル単位、ブロック単位などでも構わない。
【0044】
図4は、図1のデータ管理装置において光ディスクからデータをフラッシュメモリへ読み出してコピーする他の処理例を説明するためのフロー図である。図2及び図4を参照して、データをフラッシュメモリ15に読み出す処理の他の例を説明する。
【0045】
まず、CPU17が、マウントされた光ディスク30を認識し(ステップS11)、コピー処理の開始を決定してコピー要求をコピー処理プログラムに渡し、コピー処理プログラムを実行させ、以降の処理を行う。CPU17は、まずそのRE/RW層32の管理データ(第2管理データ)をRAM16に読み出す(ステップS12)。次に、CPU17が、この第2管理データ内の書換データに基づき、RE/RW層32に変更が有ったか否か判定する(ステップS13)。
【0046】
CPU17は、変更有りであった場合にはRE/RW層32から変更箇所のデータのみをフラッシュメモリ15へ読み出す(つまり記録する)よう制御し(ステップS14)、残りのデータをROM層31からフラッシュメモリ15へ読み出すよう制御する(ステップS15)。一方、ステップS13の判定で変更無しであった場合には、CPU17はROM層31からデータをフラッシュメモリ15へ読み出すよう制御する(ステップS16)。このように、フラッシュメモリ15へのデータの読み出しは、先にRE/RW層32の変更データだけを読み出し、その後、残りのデータをROM層31から読み出すことでも実行できる。
【0047】
図3、図4のいずれの読み出し方法においても、図2に示す通り、初回利用時には、ROM層31からデータが読み出されることになる。
【0048】
また、図3のステップS1及び図4のステップS11においては、読み出される光ディスクが常に同じであることを前提に説明している。しかし、実際には、データ管理装置には様々な光ディスクがマウントされることが想定できる。従って、光ディスクがアンマウントされたときにコピーデータそのものを削除し、マウントされたときには常に新たな光ディスクとして取り扱ってもよい。
【0049】
また、代替案として、次のような処理を組み込み、ステップS1,S11で、第1管理データを読み出して光ディスクの判定も行ってもよい。まず、第1管理データに、第1管理データが記録されている光ディスクを特定するディスク特定情報を含ませておく。そして、コピー処理は、コピーデータを記録する際に、光ディスクからディスク特定情報を読み出して、コピーデータと関連付けてフラッシュメモリ15に記録しておく。もしくはディスク特定情報はコピーデータそのものから判定することもできるため、このような関連付けは実行しなくてもよい。
【0050】
さらに、CPU17は、コピー処理の実行前又は実行開始時に、ディスク特定情報を光ディスクから読み出して、フラッシュメモリ15にコピーデータと関連付けて記録されたディスク特定情報もしくはフラッシュメモリ15内のコピーデータの中のディスク特定情報と比較する。一致しない場合には、CPU17は、新たな光ディスクであると判定してフラッシュメモリ15内のコピーデータを(ディスク特定情報も別途関連付けて記録している場合にはディスク特定情報も併せて)削除するよう制御すればよい。新たなコピーデータ(及びディスク特定情報)は上述したようにコピーデータ記録時に共に記録される。勿論、このような削除は、フラッシュメモリ15の記録可能残量が多くあった場合には実行しなくてもよいし、セキュリティ上必要なホスト機器だけ削除するような設定にしておいてもよい。
【0051】
本発明に係るデータ管理装置では、次の変更処理を実行することも可能に構成されている。この変更処理は、フラッシュメモリ15に記録されているコピーデータをユーザ操作に基づき変更する処理である。
【0052】
この変更処理は、ホスト機器20内部の制御部(CPU等)により制御される。この制御は、CPU17を介して行ってもよい。コピーデータにOSが含まれる場合の変更処理は、ホスト機器20はそのOSで起動しているため、そのOS(及びコピーデータに含まれる実行中のアプリケーション)が、変更処理の制御を行うための変更処理プログラムを含むことになる。この変更処理プログラムは、フラッシュメモリ15内のコピーデータを変更する要求(以下、変更要求と呼ぶ)を受けたときに、ホスト機器20のCPUによってそのCPU内RAMに読み出されて実行される。これにより変更処理の実行制御が可能になる。変更要求は、ホスト機器20のCPUがユーザ操作を検出して、そのユーザ操作が変更を伴うものである場合に発せられる。
【0053】
例えばPCからインターネット経由で或るアプリケーションのアップデートデータを取得してインストールする操作を行ったとき、このコピーデータに対して変更要求が発せられる。どのようなデータの変更であれ、PC等のホスト機器20では常にコピーデータに対してアクセスしているため、ユーザの変更操作は直接コピーデータに反映される。そして、後述するように、書換処理ではこの変更をそのまま反映することができる。
【0054】
一方、コピーデータにOSが含まれない場合の変更処理は、ホスト機器20のCPUの内部ROMに変更処理の制御を行うための変更処理プログラムを実行可能に格納しておき、そのCPUから上述のような変更要求を受けたときにCPU内部RAMにその変更処理プログラムを読み出して実行することで、変更処理の実行制御が可能になる。
【0055】
図5及び図6を参照してこの変更処理の例を説明する。図5は、図1のデータ管理装置におけるフラッシュメモリ上のコピーデータとその変更箇所の一例を示す図、図6は、図5のコピーデータの変更によって更新されるアドレス管理表の例を示す図である。
【0056】
変更処理により、フラッシュメモリ15が、書き換え前のデータ領域15aから書き換え後のデータ領域15bに変更されたとする。図5において、変更箇所はアドレス0x3〜0x4で示される領域とアドレス0x9〜0xBで示される領域である。このような変更処理によるフラッシュメモリ15の書き換えを管理するために、フラッシュメモリ15に図6のアドレス管理データ15cで示すような管理情報(この例ではアドレス番号と変更有無を示すステータスとを関連付けた情報)を格納しておく。そして、図5のような書き換えが発生した場合、データが変更されたアドレスに対応した部分のアドレス管理データ15cを変更し、アドレス管理データ15dに書き換える。なお、ここではデータの単位をセクタ単位で説明しているが、利用するシステムの都合に合わせてファイル単位、ブロック単位などでも構わない。また、このようなアドレス管理データの変更は定期的に行っておくことで突然の電源遮断にもある程度対応することができる。
【0057】
なお、フラッシュメモリ15上にアドレス管理データを記録した例を示したが、代わりに第2管理データを直接、後述の書換処理にて書き換えるようにしてもよい。この場合、フラッシュメモリ15と光ディスクとのアドレス変換を行っておけばよい。但し、書き込み速度等を考慮すると、他のコピーデータも含めて一括で光ディスクの第2データ又はその一部に書き戻すのが望ましい。
【0058】
本発明に係るデータ管理装置では、上述した書換処理を、このようにして変更処理した後のフラッシュメモリ15内のコピーデータに対して実行する。本発明で適用する書換処理は、光ディスクにおける第2領域に、コピーデータ全てを第2データとして書き換え、その書き換えに応じて書換データも書き換える処理である。もしくは、光ディスクにおける第2領域に、コピーデータの変更箇所のみを第2データの一部として書き換え、その書き換えに応じて書換データも書き換える処理である。このような書換処理は、CPU17等の制御部によってその実行が制御される。CPU17は、例えばCPU17の内部ROMに書換処理の制御を行うための書換処理プログラムを実行可能に格納しておき、CPU17からフラッシュメモリ15内のコピーデータを光ディスクに記録する要求(以下、書換要求と呼ぶ)を受けたときにCPU17の内部RAMにその書換処理プログラムを読み出して実行することで、書換処理の実行制御が可能になる。
【0059】
この書換要求は、CPU17が、例えばユーザがホスト機器20(又は光ディスク駆動制御装置10)の電源をオフする操作を行ったときに実際にオフする前に発し、電源オフを書換処理が終了するまで待ってもよいし、上記変更処理が終了してから所定時間後に(つまり所定時間変更処理がなされなかったときに)発してもよい。
【0060】
上述のように、本発明に係るデータ管理装置では、光ディスク内のデータの管理を、ユーザの手間をとらせることなく、且つ他の記録媒体を別途用意する必要もなく、且つ当初のデータを残したまま万が一システムに障害が出た場合でも容易に初期状態に戻せ、且つユーザが自ら管理することが困難な変更の反映についても容易に行うことが可能になる。また、データ読み出しは内部のフラッシュメモリ15からの読み出しの方が格段に早いため、このデータ管理装置では、このデータを変更する動作自体も高速になる。また、本発明で扱える変更は、システム(OS)のアップデートやアプリケーションの追加をはじめ、特定のアプリケーションを削除し軽量化する変更や、ユーザが任意に行ったユーザ設定のデータもその対象とすることができる。このように、書き換え不可能な領域に記録されたデータとユーザが書き換えたデータとを効率的に管理することができる。また、ホスト機器20において起動方法を選択することにより、光ディスク1枚で初期状態と変更状態のどちらのデータも利用することができる。
【0061】
図7を参照して上述した書換処理の例を説明する。図7は、図5のコピーデータの変更を光ディスクに書き戻した状態の一例を示す図で、図中、31aは図2の光ディスク30のROM層31のデータ領域、32aは図2の光ディスク30のRE/RW層32のデータ領域である。
【0062】
図7の例では、書換処理により書き換えられる前の第2データは、第1データと同じデータであることを前提とする。つまり、ROM層31に記録されているデータと全く同じデータをRE/RW層32に最初から格納しておく。但し、ROM層31とRE/RW層32との違いにより又はその性質を示すデータが含まれる場合も「全く同じ」に相当するものとする。
【0063】
そして、光ディスク駆動制御装置10(ハイブリッドドライブ)のフラッシュメモリ15上で書き換えられたデータのみを図6のアドレス管理データ15dから抽出し、RE/RW層32に書き戻す(図2も参照)。データ領域31aのIに相当する領域の変更がデータ領域32aのIに相当する領域で書き換えられており、同様にデータ領域31aのIIに相当する領域の変更がデータ領域32aのIIに相当する領域で書き換えられている。ここで、Iの領域のデータ、IIの領域のデータは、それぞれ、図5で説明したフラッシュメモリ15上のアドレス0x3〜0x4、0x9〜0xBで示される変更箇所のデータに対応している。また、図2の例とは異なり、図7の例においても、変更箇所を含めた全てのコピーデータをRE/RW層32に書き戻してもよい。
【0064】
ここで説明した書換前の第2データは第1データと同じデータとする方法は、万が一、RE/RW層32のデータが破損等により利用できなくなった場合でも復活させることができる。つまり、ROM層31のデータを利用して最初の状態に復元することができる。より具体的には、復元は、再度コピー処理から行ってRE/RW層32に丸ごと第1データを記録することで行い、これにより次回から変更点だけを記録する方法(つまり上述の第2データと第1データとを同じにする方法)に戻すことができる。
【0065】
以上、書換処理により書き換えられる前の第2データが第1データと同じデータである例を挙げたが、書換処理により書き換えられる前、第2領域は、第2データが存在しないことを少なくとも示す第2管理データのみ記録されていてもよい。つまり、書換処理前には第2データが存在しないようにしておいてもよい。このような例を、図8を参照して説明する。
【0066】
図8は、図5のコピーデータの変更を光ディスクに書き戻した状態の他の例を示す図で、図中、31bは図2の光ディスク30のROM層31のデータ領域、32bは図2の光ディスク30のRE/RW層32のデータ領域である。
【0067】
図8の例では、書換処理により書き換えられる前、第2領域は第2データが存在しないことを少なくとも示す管理データのみ記録されていることを前提とする。つまり、初期状態ではRE/RW層32には実データが何も記録されていないことを前提とする。
【0068】
そして、光ディスク駆動制御装置10(ハイブリッドドライブ)のフラッシュメモリ15上で書き換えられたデータ(変更点)のみを図6のアドレス管理データ15dから抽出し、RE/RW層32の空き領域に書き戻す(図2も参照)。データ領域31bのIに相当する領域の変更がデータ領域32bのIに相当する領域で書き換えられており、同様にデータ領域31bのIIに相当する領域の変更がデータ領域32bのIIに相当する領域で書き換えられている。ここで、Iの領域のデータ、IIの領域のデータは、それぞれ、図5で説明したフラッシュメモリ15上のアドレス0x3〜0x4、0x9〜0xBで示される変更箇所のデータに対応している。なお、この例では、変更箇所を含めた全てのコピーデータをRE/RW層32に書き戻すことは適用しない。
【0069】
図7の例では、変更の無いデータもRE/RW層32に保存されるため、ROM層31と同じデータ量をRE/RW層32で消費してしまう問題がある。これに対し、図8で説明した書換前の第2データの実データを空とする方法は、変更有りの部分しかRE/RW層32に保存しないのでより効率的に光ディスクを利用できる。その他の効果は、図1〜図7を参照して説明した通りである。
【0070】
但し、図7の例と異なり、変更されたデータと変更されていないデータが異なる層に存在するため、これを識別するために、ROM層31とRE/RW層32に管理用データ(それぞれ第1管理データと第2管理データ)を用いるとよい。起動時にこの管理データを読み込み、変更があるデータと変更の無いデータで読み出し元を分ける(図3及び図4を参照)。基本的にホスト機器20はフラッシュメモリ15からデータを読み出すため、ホスト機器20に依存することなくデータを呼び出すことが可能となる。
【0071】
また、図8の例と同様に、光ディスクが多層構造をもっており、第1領域は1又は多層の全領域、第2領域は残りの層の全領域であることを前提とする。そして、書換処理は、第2領域に、コピーデータ全てを第2データとして書き換えるのではなく、コピーデータの変更箇所のみを第2データの一部として書き換えることを前提とする。勿論、この書き換えに応じて書換データも書き換えるものとする。
【0072】
このような前提において、書換処理は、光ピックアップ11の物理的なデータ読み出し位置が、変更箇所に対応する第1領域における読み出し位置と同じ(又はほぼ同じ)になるように、「変更箇所を書き換えにより記録する」第2領域の位置を決定して、変更箇所の書き換えを行うことが好ましい。つまり、書き込んだ結果、図7のデータ領域31a,32aで示す位置関係となり、且つ余計な領域にはデータは入っていない。なお、このような位置の制御は光ディスクの読み出し順序に合わせて決定するとよい。
【0073】
実際、光ディスクからのデータ読み出し処理において、最も時間が掛かるのは光ピックアップ11の移動及びその制御である。しかし、このような各層での位置合わせを伴う書換処理では、変更箇所の書き込み位置を光ピックアップが頻繁に移動しないような位置に指定しているため、光ピックアップが頻繁に移動することを防止し、書き戻し後のスムーズなデータ読み出しを実現することができる。特に、層間でのジャンプに要する時間がかからない光ドライブを用いることでより有益となる。また、光ピックアップの移動が頻繁でなくなるため、省電力化にも貢献できる。なお、図7の例では読み出し位置がほぼ同じになるようにできるため、このような処理はわざわざ行わなくてよい。
【0074】
また、このとき、第2管理データが記録されている末端位置と第1管理データが記録されている末端位置とを合わせるように、第1管理データの記録領域を元々広めに確保しておき(末端付近は空、つまりオフセット空間となる)、その続きに第1データを書き込んでおくとよい。これにより、実データである第1データと第2データの記録開始位置を一致させることができ、余計なアドレス変換を行うことなく、上述した各層での位置合わせを伴う書換処理を実行させ易くなる。
【0075】
次に、光ディスクに記録されたデータについて説明する。書換処理の説明で触れたように、光ディスクに記録された第1データとして、ホスト機器20で実行させるためのOSプログラムを含むようにすることで、光ディスクからのホスト機器20の起動が可能になる。但し、本発明では、フラッシュメモリ15にデータが記録されているため、フラッシュメモリ15内のOSに従ってホスト機器20が起動される。ホスト機器20がPC又はそのメイン基板の場合で、且つ光ディスクとしてBDを用いる場合には、UDFフォーマットでOSのプログラムを記録しておけばよい。OSプログラムを記録した光ディスク(つまりブータブル光ディスク)は、セキュリティ上、シンクライアントPCなどでOSを用途に応じて切り替えたい場合などに、非常に有用となる。同時に、光ディスクに特殊なキーを埋め込んでおき、OS以外のデータを光ディスクからコピーできないようにしておくこともできる。
【0076】
また、光ディスクにOSを記録する場合には特に、次に例示するように多層構造にすることが好ましい。まず、L0層(1層目)は、BD−REとし、OS上で稼働するアプリケーションソフトやそのデータなど、ユーザデータの保存エリアを設けておき、さらにその保存エリア内を管理するための管理データ(例えば保存エリア内のデータのアドレス等)を格納するエリアも設けておく。L1層(2層目)も、BD−REとし、OSを含むOS起動パーティションのデータを保存しておく。L2層(3層目)は、BD−ROMとし、OSのオリジナルイメージやディスク認識に必要な管理情報などを保存しておく。そして、本発明の光ディスク駆動制御装置のような、フラッシュメモリ15付きであるハイブリッドドライブ以外では、例えば、L2層(3層目)を見えない構造にしておくなどしてもよい。これにより、オリジナルが本発明の装置以外でコピーされることを防ぐことができる。また、この例では、光ディスクの2層目にはオリジナルデータ(出荷時のデータ)が記録され、1層目にはユーザがアプリケーションの追加などを行った状態のデータが保存されている。ユーザが利用時に2層目からオリジナルの各種データを読み出すか、ユーザが任意に手を加えた状態(1層目+2層目)で読み出すかは、利用開始時にユーザが選択可能にしておけばよい。
【0077】
勿論、光ディスクに記録されたデータとしては、映像・音声ファイルや音声ファイル、文書ファイルなどであっても、本発明の効果がより得られる。例えば編集前の撮影ファイルが記録された光ディスクの場合、フラッシュメモリ15上で編集し、それを再度、光ディスクに戻すこともできる。
【0078】
次に、上述した光ディスクが多層構造をもつ場合のデータ読み出し順序について、図9〜図11を参照して補足説明する。図9は、多層のBDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図、図10は、多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図、図11は、多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【0079】
図9で例示する光ディスクは、2層構造のBDであり、各層同じ記録形態(ROM/REのいずれか)とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目41では内周部(この例ではアドレス0x0)から順に外周方向に向かって外周部(同0x10000)まで読み出し、2層目42では折り返して外周部(同0x10001)から内周方向に向かって内周部(同0x20000)まで読み出すように移動する。このように層の切り替わりで折り返す方式を「オポジット」と呼び、一方で、内周に戻る方式を「パラレル」と呼ぶ。DVDの場合にはオポジット方式とパラレル方式の双方採用されている。但し、記録型のDVDはオポジット方式が採用されている。
【0080】
また、光ディスクのアドレスは、その読み出し方式に依存するため、図9のようにオポジット方式の場合には2層目42からは外周からスタートすることとなり(アドレスの例は上述したとおり)、一方、パラレル方式の場合には2層目は内周に戻ってアドレスがカウントアップされることとなる。そして、光ディスクへのアクセスは、アドレス(アドレス番号)と読み出しサイズが用いられる。
【0081】
図10で例示する光ディスクは、OSを搭載する際に好ましい例として挙げたものであり、3層構造のBDで、1層43及び2層44がRE層、3層45がROM層とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目43では内周部から順に外周方向に向かって外周部まで読み出し、2層目44では折り返して外周部から内周方向に向かって内周部まで読み出し、3層目45ではまた折り返して1層目と同じ方向に読み出すように移動する。
【0082】
図10のような光ディスクは、図8を参照して説明したオフセット空間をもたせる技術又は図7の全コピーデータを書き戻す処理で同様のオフセット空間をもたせる技術をより有益にする。つまり、RE層(1層目)43の内周側に第2管理データがあり、ROM層(3層目)45の内周側にも第1管理データがある。第1管理データにオフセット空間を与えることで、事前のアドレス変換が全く必要なく、同じピックアップの位置で層間ジャンプが可能となる。これに対し、図9の例ではオポジット方式を採用しているため、事前にアドレスの変換が必要となる。
【0083】
図11で例示する光ディスクは、2層構造のBDであり、1層46がRE層、2層47がROM層とする。この場合、光ピックアップ11は、1層目46では内周部から順に外周方向に向かって外周部まで読み出し、2層目47では内周部に戻り内周部から外周方向に向かって外周部まで読み出すように移動する。また、図11のような光ディスクも、同様の理由から、図8を参照して説明したオフセット空間をもたせる技術又は図7の全コピーデータを書き戻す処理をより有益にする。
【0084】
このように、図10及び図11の光ディスクは、異なるタイプの層に変わった時は内周から再スタートする方式、且つ同タイプの層はオポジット方式として規定した例である。また、図10及び図11のような光ディスクのアドレスも、図9で説明したのと同様に、光ディスクの読み出し方式に依存して決定でき、決定したアドレスによって管理される。なお、アドレスは、層の切り替え関係なく、読み出し順に0から順に加算すればよい。仮にROM層とRE層でアドレスをそれぞれ0から割り振った場合、そのディスクに対し、標準的なATAPIコマンドでアクセスすることができなくなるため、コマンドの変更が必要となる。
【0085】
図9〜図11で説明したような読み出し順序に限らず、本発明で用いる光ディスクへのアクセス専用のコマンド、例えばハイブリッド型BDを用いる場合、ハイブリッド型BDへのアクセス専用のコマンドを新たに設けてもよい。このコマンドを決めることで、アドレスも設定することができ、そのアドレスに基づくデータ読み出しが可能になる。
【0086】
以上、図1〜図11を参照し、本発明についてフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを備えることを前提として説明したが、この不揮発性メモリの代わりに、同程度の容量の揮発性メモリを適用することもできる。光ディスク駆動制御装置10の電源がオフされるまでリフレッシュしておけば、電源がオフされる度にコピーデータが消えてしまうが、電源オフまでの間に限って同様の効果が得られる。例えばシンクライアントPCにおいてセキュリティ上このような使用方法をする場合には有益である。
【0087】
このような揮発性メモリを搭載した形態において、より好ましい構成例を図12を参照して説明する。図12は、本発明の一実施形態に係るデータ管理装置の他の構成例を示す図で、図中、10aは光ディスク駆動制御装置、20はホスト機器である。
【0088】
図1では、光ディスク駆動制御装置10にフラッシュメモリ15等の不揮発性メモリを搭載した例を示したが、図12の光ディスク駆動制御装置10aは、不揮発性メモリの代わりに揮発性メモリ(RAM15aで例示)を備えるものとする。そして、光ディスク駆動制御装置10aは、RAM15aに電源を供給するためのバッテリ15bを搭載している。これにより、外部からの電源供給が途絶えた場合にもバッテリ15bから電源を供給することができるため、コピーデータをバッテリ15bの電源が続く限り保持することができる。
【0089】
図13は、本発明の一実施形態に係るデータ管理装置の他の構成例を示す図で、図中、60は光ディスク駆動制御装置、50は光ドライブ、20はホスト機器である。図1では、光ディスク駆動制御装置10に光ドライブを備えた例を挙げたが、図13の光ディスク駆動制御装置60は、光ドライブ50を外部接続可能に構成している。
【0090】
この光ドライブ50は、図1の構成例で言うところの光ピックアップ11、RF IC12、モータドライバ13、及びスピンドルモータ14で構成すればよい。そして、RF IC12及びモータドライバ13への制御及びデータのやり取りを行うために、光ディスク駆動制御装置60は、ATAPI I/F61を備えている。ATAPI I/F61は、光ドライブ50に接続するためのインターフェースの一例である。
【0091】
光ディスク駆動制御装置60は、図1の構成例と同様に、フラッシュメモリ15、RAM16、CPU17、DSP18、及びATA I/F19を備えており、図1の構成例(及び図2〜図8)で説明した処理と同様の処理が実行可能となっている。つまり、光ディスク駆動制御装置60でも、図1の構成例と同様に、可搬型光ディスク内のデータの管理を、ユーザの手間をとらせず且つ他の記録媒体を別途用意する必要もなく且つ当初のデータを残したまま且つユーザが自ら管理することが困難な変更の反映についても容易に行うことが可能になり、さらにこのデータを変更する動作も高速になる。さらに、図13の構成例は、ATAPI I/F61を介して接続可能な光ドライブ50としては、従来の光ドライブを適用することができ汎用性があるため、非常に有益となる。また、図13の構成例において、フラッシュメモリ15の代わりに揮発性メモリを搭載した構成や、さらに図12のようなバッテリ15bまで搭載した構成にしてもよい。
【0092】
また、図1、図12、図13のいずれの構成例においても、ディスクから意図的に直接データを読み出すことについて触れていないが、上述した様々な形態の光ディスク駆動制御装置は、ディスクから直接データを読み出すような制御も実行可能に構成してもよい。その場合、ATA I/F19だけでなく、例えばホスト機器20と接続するためのATAPI I/Fを設けておき、ホスト機器20でデータを直接ディスクから読み出す場合には、ホスト機器20がATAPI I/Fを介して伝送要求を出せばよい。
【0093】
図1〜図13を参照して例示した本発明に係るデータ管理装置は、全てハードウェアで構成してもよいが、その一部をソフトウェア(ファームウェアを含む)によって構成することが好ましい。このような構成を実現する一例として、PC等のコンピュータを利用する場合には、上述した光ディスク駆動制御装置に加えて、CPU、メモリ、バス、インターフェース、周辺装置などから構成されるハードウェアと、これらのハードウェア上にて実行可能なソフトウェア(上述したコピー処理、変更処理、書換処理を実行させるためのデータ管理プログラムも含む)を挙げることができる。CPUはこのソフトウェアを実行することで他のハードウェアを制御する。具体的には、ROMに格納されたソフトウェアをメモリ上に展開し、展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェースを介して入力されるデータの加工、蓄積、出力などにより各部の機能が実現される。上述したコピー処理、変更処理、書換処理は、上記ソフトウエアとしてその処理手順をCPUに実行させるための上記データ管理プログラムを組み込み、実行させることによって、実現できる。また、上記ソフトウェアは、記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク経由や放送波に載せて配信してもよい。
【0094】
以上、本発明に係るデータ管理装置の様々な形態について説明したが、本発明としては、メモリと、揮発性メモリと、可搬型の光ディスク上のデータの読み書きを行う光ディスク駆動装置とを備えたコンピュータで、光ディスクに記録されたデータを管理するためのデータ管理方法としての形態も採用できる。この方法は、データ管理装置内の各構成要素によって実現でき、また上記データ管理プログラムでも実現できる。本発明のデータ管理方法について簡単に説明する。
【0095】
このデータ管理方法は、コンピュータの制御部が、光ディスクに記録された第1データと第2データとから重複を排除したデータを光ディスク駆動装置を制御して揮発性メモリに読み出して、コピーデータとしてメモリに記録するコピーステップと、制御部が、コピーデータをユーザ操作に基づき変更する変更ステップと、制御部が、光ディスク駆動装置を制御して、第2領域に、コピーデータ全てを第2データとして、又はコピーデータの変更箇所のみを第2データの一部として書き換え、その書き換えに応じて書換データも書き換える書換ステップと、を含む。他の応用については、データ管理装置として図1〜図13を参照して説明した通りである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ管理装置の一構成例を示す図である。
【図2】図1のデータ管理装置におけるデータ管理方法の一例を説明するための模式図である。
【図3】図1のデータ管理装置において光ディスクからデータをフラッシュメモリへ読み出してコピーする処理例を説明するためのフロー図である。
【図4】図1のデータ管理装置において光ディスクからデータをフラッシュメモリへ読み出してコピーする他の処理例を説明するためのフロー図である。
【図5】図1のデータ管理装置におけるフラッシュメモリ上のコピーデータとその変更箇所の一例を示す図である。
【図6】図5のコピーデータの変更によって更新されるアドレス管理表の例を示す図である。
【図7】図5のコピーデータの変更を光ディスクに書き戻した状態の一例を示す図である。
【図8】図5のコピーデータの変更を光ディスクに書き戻した状態の他の例を示す図である。
【図9】多層のBDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図10】多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図11】多層のハイブリッド型BDにおけるデータ読み出し順序を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るデータ管理装置の他の構成例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るデータ管理装置の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
10,10a,60…光ディスク駆動制御装置、11…光ピックアップ、12…RF IC、13…モータドライバ、14…スピンドルモータ、15…フラッシュメモリ、15a,16…RAM、15b…バッテリ、17…CPU、18…DSP、20…ホスト機器、30…光ディスク、31…ROM層、32…RE/RW層、50…光ドライブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の光ディスクに記録されたデータを管理するためのデータ管理装置であって、
前記光ディスクは、書き換え不可能な第1領域と書き換え可能な第2領域とが区分けされており、
前記第1領域には第1データが、前記第2領域には第2データが、それぞれ記録されており、該第2データは、該第2データが書き換えられたか否かを示す書換データを含み、
当該データ管理装置は、前記光ディスク上のデータの読み書きを行う光ディスク駆動装置と、メモリと、揮発性メモリと、コピー処理、変更処理、及び書換処理の実行を制御する制御部とを備え、
前記コピー処理は、前記光ディスクに記録された前記第1データと前記第2データとから重複を排除したデータを前記揮発性メモリに読み出して、コピーデータとして前記メモリに記録する処理であり、
前記変更処理は、前記コピーデータをユーザ操作に基づき変更する処理であり、
前記書換処理は、前記光ディスクにおける前記第2領域に、前記コピーデータ全てを前記第2データとして、又は前記コピーデータの変更箇所のみを前記第2データの一部として書き換え、該書き換えに応じて前記書換データも書き換える処理であることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
前記書換処理により書き換えられる前の前記第2データは、前記第1データと同じデータであることを特徴とする請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項3】
前記書換処理により書き換えられる前、前記第2領域は、前記第2データが存在しないことを少なくとも示す管理データのみ記録されていることを特徴とする請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項4】
前記光ディスクは多層構造をもっており、前記第1領域は1又は多層の全領域、前記第2領域は残りの層の全領域であり、
前記書換処理は、前記光ディスクにおける前記第2領域に、前記コピーデータ全てを前記第2データとしてではなく、前記コピーデータの変更箇所のみを前記第2データの一部として書き換え、該書き換えに応じて前記書換データも書き換える処理とし、
前記書換処理は、前記光ディスク駆動装置における光ピックアップの物理的なデータ読み出し位置が、前記変更箇所に対応する前記第1領域における読み出し位置と同じになるように、前記変更箇所を書き換えにより記録する前記第2領域の位置を決定して、前記変更箇所の書き換えを行うことを特徴とする請求項3に記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記光ディスクは多層構造をもっており、前記第1領域は1又は多層の全領域であり、前記第2領域は残りの層の全領域であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ管理装置。
【請求項6】
前記第1データは、該第1データが記録されている前記光ディスクを特定するディスク特定情報を含み、
前記制御部は、前記コピー処理の実行前又は実行開始時に、前記ディスク特定情報を前記光ディスクから読み出して、前記メモリ内の前記コピーデータに含まれるディスク特定情報と比較し、もしくは予め前記コピー処理時に前記メモリに前記コピーデータと関連付けて前記ディスク特定情報を記録しておき該記録しておいたディスク特定情報と比較して、一致しない場合には、新たな光ディスクであると判定して前記メモリ内の前記コピーデータもしくは前記コピーデータ及び前記ディスク特定情報を削除するよう制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータ管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記コピー処理を、前記光ディスクがマウントされたとき又は所定のユーザ操作を受け付けたときに実行するよう制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ管理装置。
【請求項8】
前記第1データは、当該データ管理装置で実行可能なオペレーティングシステムプログラムを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ディスク駆動制御装置。
【請求項9】
メモリと、揮発性メモリと、可搬型の光ディスク上のデータの読み書きを行う光ディスク駆動装置とを備えたコンピュータで、前記光ディスクに記録されたデータを管理するためのデータ管理方法であって、
前記光ディスクは、書き換え不可能な第1領域と書き換え可能な第2領域とが区分けされており、
前記第1領域には第1データが、前記第2領域には第2データがそれぞれ記録されており、該第2データは、該第2データが書き換えられたか否かを示す書換データを含み、
当該データ管理方法は、
前記コンピュータの制御部が、前記光ディスクに記録された前記第1データと前記第2データとから重複を排除したデータを前記光ディスク駆動装置を制御して前記揮発性メモリに読み出して、コピーデータとして前記メモリに記録するコピーステップと、
前記制御部が、前記コピーデータをユーザ操作に基づき変更する変更ステップと、
前記制御部が、前記光ディスク駆動装置を制御して、前記光ディスクにおける前記第2領域に、前記コピーデータ全てを前記第2データとして、又は前記コピーデータの変更箇所のみを前記第2データの一部として書き換え、該書き換えに応じて前記書換データも書き換える書換ステップと、を含むことを特徴とするデータ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−79496(P2010−79496A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245638(P2008−245638)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】