データ記憶システムおよびそのキャリブレーション方法
本発明は「ギャップ飛越し」サーボモードに関する。このモードは、プリアンブルフィールドおよびポストアンブルフィールド内にある、サーボトラックのギャップの後で、再びトラッキングできるよう、光テープ媒体をピックアップヘッドに対して位置決めするために設けられる。このギャップは周期的に現れる。なぜなら、サーボトラックをテープ媒体上にエンボス加工するのに使用するドラムに、継ぎ目があるからである。光テープの技術、テープの製造、およびテープの使用法の他の側面も開示され、これには:光テープの構成、規定、マーキング、および構造;硬化プロセス、コーティング方法、エンボス加工、ドラム、テスト、およびトラッキング位置合わせスタンパストリップを含む、製造方法、システム、および装置;開示されている光テープに適したピックアップヘッド;ならびに、マルチメディアに応用するための光記憶媒体装置を含む光テープの用途が、含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
光ピックアップユニットは、光学式媒体の何らかの欠陥に対して焦点を保ち続けられない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
本明細書において、光テープの技術、テープの製造、およびテープの使用法の複数の側面が開示される。テープ技術の方法およびシステムとして開示されるのは、構成、規定、マーキング、および構造を含む、光テープ媒体;硬化プロセス、コーティング方法、エンボス加工、ドラム、テスト、およびトラッキング位置合わせスタンパストリップ(stamper strip)を含む、光テープ製造方法、システム、ならびに装置の方法およびシステム;開示されている光テープに適したピックアップヘッドを含む、光テープの方法およびシステム;ならびに、マルチメディアに応用するための光記憶媒体装置を含む光テープの用途である。
【0003】
データ記憶システムは、欠陥とこの欠陥の両側にある複数のトラックとを有する光学式媒体を含み得る。上記複数のトラックは、(i)上記欠陥の隣の欠陥位置情報を示す変調されたウォブル(wobble)のフィールドと、(ii)データを示す変調されたウォブルのフィールドとを示す。データ記憶システムはさらに、変調されたウォブルのフィールドを読取るように構成された光ピックアップユニットと、少なくとも1つのコントローラとを含み得る。このコントローラは、上記ピックアップユニットとともに動作できるように配置され、ピックアップユニットが上記欠陥の一方側にある欠陥位置情報を検出したことに応じて、ピックアップユニットが上記欠陥の反対側にあるデータを示す変調されたウォブルのフィールドの隣に位置するように、媒体の第1の方向への移動を命令するように構成される。
【0004】
本明細書において言及されるすべての文献全体を、本明細書に引用により援用する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】光サーボマークおよびデータトラックを含む光学式媒体の平面図である。
【図2】光学式媒体加工システムの斜視図である。
【図3】第1の表面入射(空気入射)WORM媒体層の実施の形態を示す。
【図4】第1の表面入射(空気入射)書換型媒体層の実施の形態を示す。
【図5】第2の表面入射(ベースフィルム入射)WORM媒体層の実施の形態を示す。
【図6】第2の表面入射(ベースフィルム入射)書換型媒体層の実施の形態を示す。
【図7A】本発明の可能な実施の形態の光学式媒体積層体を示す断面図である。
【図7B】本発明の可能な実施の形態の光学式媒体積層体を示す断面図である。
【図8A】明るいリングで囲まれた暗いスポットを示す光学式媒体の像を含む図である。
【図8B】明るいリングで囲まれた暗いスポットを示す光学式媒体の像を含む図である。
【図9】明書込および暗書込媒体の像である。
【図10】明書込および暗書込の信号比較の図である。
【図11】本発明の可能な実施の形態のブロック図である。
【図12】本発明の光学式媒体のセクションの可能な実施の形態の概略図である。
【図13】可能な一連の動作モードおよび読取/サーボ検知素子の可能な相対的移動を示す時間経過図である。
【図14】アドレスおよび同期情報を表わす正弦波信号の実施の形態を示す。
【図15】サーボシステム復調器および復号器の実施の形態のブロック図を示す。
【図16】図15に示されるサーボシステム復調器のさまざまな信号出力の実施の形態を示す。
【図17】異なる光マークおよび読出信号の実施の形態を示す。
【図18】同一の光学式媒体トラック上のデータフィールド白色マークに埋込まれたサーボ暗マークの実施の形態を示す。
【図19】光テープ媒体上の暗マークおよび白色マークを用いるサーボフィールドおよびデータフィールドから得られた読出信号の実施の形態を示す。
【図20】本発明の可能な実施の形態の層の種類および積層体を表わす図である。
【図21】図20の適合させた実施の形態がテストされている間のある信号の活動を示すオシロスコープの表示である。
【図22】入射光の波長が532nmのときの3層WORM媒体における反射感度を示すグラフである。
【図23】図22の拡大版を示す図であり、図22のグラフを作成するのに使用されたものの約10倍の厚みを有する層を備えた媒体の反射率を示す。
【図24】入射光の波長が680nmのときのDVD媒体における反射感度を示すグラフである。
【図25】媒体の反射感度を示すグラフである。
【図26】LOTS媒体の反射感度を示すグラフである。
【図27】DVD媒体の反射感度対入射光波長を示すグラフである。
【図28】媒体の交差する反射感度曲線を示すグラフである。
【図29】書込後直接読出(DRAW)光テープピックアップの実施の形態を示す。
【図30】書込後直接読出(DRAW)光テープピックアップの実施の形態を示す。
【図31】光テープシステムにおいて第2のビームに対して使用されるホログラフィック光学素子の実施の形態を示す。
【図32】光テープシステムにおいてDRAWビームに対して使用されるホログラフィック光学素子の実施の形態を示す。
【図33】光テープシステムにおける第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの向きの実施の形態を示す。
【図34】DRAW光テープピックアップヘッドの実施の形態を示し、第1および第2の電気光学集積回路を1つのチップに一体化している。
【図35】小型DRAW光テープピックアップヘッドの実施の形態を示す。
【図36】小型DRAW光テープピックアップヘッドの実施の形態を示す。
【図37A】光テープに適合させた光トラッキングシステムの実施の形態を示す。
【図37B】ユニットが移動して光テープをトラッキングする本発明の実施の形態を示す。
【図38】光口径食効果の実施の形態を示す。
【図39】一体化された光テープピックアップヘッド設計の実施の形態を示す。
【図40】追加された書込後直接読出機能が組込まれた、一体化された光テープピックアップヘッドの実施の形態を示す。
【図41】テープ末端位置における光ヘッド駆動機構の再方向付けの実施の形態を示す。
【図42】焦点およびトラック制御が独立して行なわれる複数のヘッドチャネルを示す光テープピックアップヘッド駆動機構の実施の形態を示す。
【図43】テープ末端位置におけるヘッド駆動機構の再方向付けの実施の形態を示す。
【図44】過去に書込まれたデータを読取り次の情報を書込むために情報を書込装置に与えるトランスデューサアセンブリの実施の形態を示す。
【図45】信号変調器および信号復調器のハイレベルの実施の形態を示す。
【図46】信号復調器の実施の形態を示す。
【図47】個々の光ヘッドの横方向のテープの動き(LTM)および残りの動き(RM)の実施の形態を示す。
【図48】サーボトラック信号復号の実施の形態を示す。
【図49】サーボ信号の同期ビットおよびアドレスビットの実施の形態を示す。
【図50】サーボシステム復調器/復号器の実施の形態を示す。
【図51】シム(shim)製造プロセスの可能な実施の形態のフローチャートである。
【図52】エンボス加工ドラムの平坦な組立体の可能な実施の形態の側面および上面の図である。
【図53】ローラシャフトの可能な実施の形態の等角図である。
【図54】図53のローラシャフトに設けられた本発明のローラガイドアセンブリの可能な実施の形態の側面図である。
【図55】本発明のテープサポート装置の可能な実施の形態の側面図である。
【図56】図55の可能な実施の形態の上面図である。
【図57】本発明のガイドローラの可能な実施の形態の、上から見た断面図である。
【図58】媒体上にサーボトラックをエンボス加工で形成するための典型的な成形された機械的ドラムの輪郭、および、機械的ドラム上の本発明の調整ゾーンの実施の形態の斜視図を示す。
【図59】調整ゾーンとウォブルサイクルとの関係を示す平面図である。
【図60】本発明のテープ媒体位置および平坦化サポート装置の可能な実施の形態の斜視図である。
【図61】テープ媒体および媒体ヘッドとともに使用中の図60の実施の形態を示す端面図である。
【図62】本発明のもう1つの可能な実施の形態の斜視図である。
【図63】質量を減じる開口部を有するリールの片側の実施の形態を示す。
【図64】リールアセンブリの実施の形態を示す。
【図65】サブミクロンエンボス加工のためのスタンパシム(stamper shim)構成の実施の形態を示す。
【図66】差動ねじを用いるスタンパシムおよび精密位置合わせ機構の断面の実施の形態を示す。
【図67】圧電トランスデューサ、ピックアップヘッド、および処理電子機器を取入れた閉ループシステムを用いる自動化された位置合わせの実施の形態を示す。
【図68】本発明の光テープ媒体テスタの可能な実施の形態の斜視図である。
【図69】光テープ媒体をテストするための適合させた光テープドライブおよび光学式媒体テスタの可能な実施の形態の正面図である。
【図70】シムアセンブリの前のエンボス加工ドラムを示す本発明の可能な実施の形態の側面図である。
【図71】シムが組立てられた状態の図1の可能な実施の形態の端面の断面図である。
【図72】使用中の、本発明の位置合わせされた継ぎ目を有するドラムの、可能な実施の形態の端面図である。
【図73】多層光学式媒体テープの改善された性能のためのプロセスを示す。
【図74】本発明の光テープの可能な実施の形態の断面図を示す。
【図75】先行技術のコーティング経路を簡略化したものの側面図を示す。
【図76】図75の実施の形態の上面図を示す。
【図77】基材の移動方向から見た、不均一なソース分布の、コーティング均一性に対する効果を説明する概略図を示す。
【図78】蒸着ゾーンにおける基材の面に垂直な方向から見た、不均一なソース分布の、基材に対する効果を説明する概略図を示す。
【図79】真空蒸着ゾーンを通るテープ経路を示す、本開示のある実施の形態の概略図を示す。
【図80】図79に示される方法に従いコーティングゾーンを複数回通過する効果を概略的に表わしたものを示す。
【図81】個々のアイドラ(idler)ロールを使用してテープを案内する図79の別の実施の形態を示す。
【図82】オーバーコーティングされた余分な材料を除去することができるプロセスのある実施の形態の概略図を示す。
【図83】一経路で両面コーティングするプロセスのある実施の形態の概略図を示す。
【図84】光記憶媒体のさまざまな実施の形態を示す。
【図85】パーソナルコンピュータと一体化された図1の光記録媒体の実施の形態および本実施の形態の一部の詳細を示す。
【図86】スタンドアロン型の実施の形態における図84の光記録媒体を示す。
【図87】カメラの実施の形態における図1の光記録媒体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
光テープの技術、製造、および用途は、商業的に実現可能な解決策を提供するのに必要な、コスト、性能、密度、およびその他の目標を達成するために、密接に相互関連していると言える。信頼性が高く高品質の光テープを製造しながら製造コストを抑えるといった目標には、製造技術の方法およびシステムに相当な技術革新が必要であろう。高密度記憶および高性能を支援する光テープを製造するには、テープ技術ならびに製造方法およびシステムにおける相当な技術革新が必要であろう。したがって、本明細書に開示される光テープの製造の方法およびシステムを用いて本明細書に開示される光テープを作ることができるとともに、本明細書に開示される光テープの使用の方法およびシステムを用いて本明細書に開示される光テープを利用することができるであろう。
【0007】
本明細書において、光テープ技術、テープの製造、およびテープの使用法の複数の側面が開示される。テープ技術の方法およびシステムとして開示されるのは、構成、規定、マーキング、および構造を含む、光テープ媒体;硬化プロセス、コーティング方法、エンボス加工、ドラム、テスト、およびトラッキング位置合わせスタンパストリップを含む、光テープ製造方法、システム、ならびに装置の方法およびシステム;開示されている光テープに適したピックアップヘッドを含む、光テープの方法およびシステム;ならびに、マルチメディアに応用するための光記憶媒体装置を含む光テープの用途である。
【0008】
本明細書に記載される、光テープ媒体上のデータマークと区別することができる、光サーボマークを得るための方法を用いて作られた光テープ媒体上の光サーボマークは、光データ記憶テープドライブにおいて使用することができる。
【0009】
図1を参照して、光サーボマーク110は、繰返される実質的に正弦波(または鋸波)のパターンでもよく、その高さ120は光トラックのバンド130と等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。サーボマーク110はデータマーク140と光学的に区別可能であってもよい。サーボマーク110を光学的に区別可能にするための方法は、サーボマーク110をデータマーク140よりも大幅に広くすることを含む。
【0010】
光サーボマーク110は、光学式媒体にマーキングする1つ以上の光学ヘッド(図示せず)を用いて光学式媒体上に含めることができる。光学式媒体にマーキングするためのプロセスは、相変化、焼成または溝切りのうち1つ以上を含み得る。このプロセスは、光サーボトラック書込装置または光記憶媒体ドライブのうちいずれかを含んでいてもよい。光サーボマーク110を作る方法は、信号発生器を用いて1つ以上の光ヘッドを制御することを含み、この信号発生器は、光学式媒体が一定の線速度で1つ以上の光ヘッド下を移動する際に正弦波パターンの光サーボマーク110を生成する周波数に設定される。この信号発生器の周波数は、光学式媒体を使用するテープドライブシステムのサーボトラッキングシステムのサンプリング要件に合うように選択してもよい。
【0011】
上記1つ以上の光ヘッドは各々、光学式媒体上のトラックのバンド130専用でもよく、各光ヘッドは、バンド130内でのトラッキングおよび焦点合わせのための自身のアクチュエータを有する。各ヘッドの移動範囲は隣接する光ヘッドのバンドと重なっていてもよい。
【0012】
光学式媒体のマーキングが完了すると、光ヘッドが、データトラック140に沿って読取を行ない、マーキングされた媒体が光ヘッドを通過する際に、サーボマーク110を、読取パルスのパターン150として検出することができる。パルス読取パターン150の周波数160は、サーボマーク110のパターンと、テープが光ヘッドの横を移動する際のテープの速度とによって定められる。
【0013】
パルス読取パターン150はまた、あるヘッド専用のバンドのエッジに対するこのヘッドの位置に比例し得るデューティサイクル170を有する。パルス読取パターン150の周波数160は、トラックのバンド全体におけるすべてのヘッド位置に対して実質的に同じであってもよい。式(Td1/Tf)%によって計算されるデューティサイクル170は、読取パルスパターン111および113によって示されるようにトラック毎に異なっていてもよい。
【0014】
パルス読取パターン150を用いて光ヘッドを所望のトラック上に実質的に静止する状態で位置決めしてもよい。予め定められた周波数の位相ロックループを用いて光ヘッドの位置決めの際のパルス読取パターン150を限定してもよい。
【0015】
本明細書に記載の、トラッキングサーボパターンを光テープ媒体上に作るための方法を、本明細書に記載の適合された光テープ加工装置を用いて実施してもよい。
【0016】
図2を参照して、使用する光学式媒体ベースフィルム210を、ベースフィルムオーブン−押出成形機&伸長機220を用いて準備し、光学式媒体ベースフィルム210は予め定められた厚みおよび引張強度で送り出される。次に、この光学式媒体ベースフィルム210を、ベースフィルム210の片側に接触する複数の微細形状およびピッチ開口250からなるダイ230を通して加工してもよい。ダイ230は、交互に高い溝と低い溝240を構成し、この溝は、幅が狭く、ベースフィルム210の実質的に全長および実質的に全幅にわたって延びていてもよい。
【0017】
加えて、ダイ230はベースフィルム210の移動軸に実質的に垂直である横方向の移動、およびベースフィルム210の面に実質的に垂直である上下の移動を行なうことができる。このようにベースフィルム210がダイ230を通って移動することにより、ベースフィルム210に細い溝240のパターンが生まれる。溝240の可能な1つの用途はサーボトラッキングに使用することである。
【0018】
ダイ230が上下に移動することにより溝の深さを正確に制御できる。ダイ230の横方向の移動を細かく制御することにより、予め定められたパターンの溝が生成される。1つのこのような可能なパターンは、適切なサーボトラッキングには有益であることが知られている正弦波パターンであろう。ダイ230は、予め定められた溝のピッチ260および予め定められた溝の深さ270を定めることができる。ダイ230は、複数の溝間隔および溝幅を生み出すように構成できるが、ある可能な溝間隔は約0.74μmであろう。
【0019】
本明細書に記載の光テープ媒体は、ライトワンスリードメニー(write-once read many:WORM)動作または書換型動作を支援するように構成してもよい。支援される動作は、その一部が層の材料の種類および光テープ媒体における層の順序によって決まるであろう。
【0020】
図3を参照して、第1の表面入射(空気入射)WORM光テープ媒体の実施の形態は、トップコート302と、オーバコート304と、相変化層308と、反射層310と、エンボス加工層312と、ベースフィルムまたは基材314と、バックコート318とを含む。
【0021】
スパッタリングプロセスによって形成される傷付きにくい有機膜であるトップコート302は、この媒体の他の層に対して保護層を提供する。トップコート302は、この媒体内の層からのレーザ光320の望ましくない反射を防止するための反射防止特性(たとえば低い屈折率)を有し得る。
【0022】
図3の可能な実施の形態において、オーバコート304は、ZnS(商品名ZS80)といった材料で作られた吸収がほぼゼロである光学的に透明な保護層であってもよい。これに代えて、オーバコート304はまた、下にある層が物理的な損傷を受けないように保護し得るSiO2またはその他の材料を含み得る。オーバコート304は、スパッタリングプロセスによって形成してもよく、レーザ光320がより効率的に通過できるようにする反射防止材料を含んでいてもよい。
【0023】
この可能な実施の形態において、相変化コーティング308は、Ge−Sb−Te(ゲルマニウム−アンチモン−テルリウム)といった相変化合金でもよいが、明書込(write-bright)相変化材料として知られている他の相変化材料が含まれていてもよい。明書込材料は、レーザ320から十分な熱を受けると非晶質相から結晶質相に変化する。変化すると、この材料は、その組成の働きにより、非晶質相に戻らない。結果として得られる結晶質のスポットは、周りにある非晶質材料よりも反射性が高く、周囲の領域に対して高いコントラストを生み出し、これがWORM光テープ媒体にデータを記憶させるための手段となり得る。相変化膜308はこの可能な実施の形態においてスパッタリングプロセスを用いて形成してもよい。
【0024】
アルミニウムまたはアンチモンといった金属材料で作られた反射層310は、相変化層308を通過したレーザ320からの光を反射する。反射層310は、電子ビームを用いて作られてもよく、熱による蒸発によるものでもよく、スパッタリングされたものでもよく、イオンビーム蒸着されたものでもよく、または、同様のプロセスによって作られたものであってもよい。反射層310はさらに、上からの光を減衰させ、また、下からの光を反射することにより、上からのどのような光も減衰させ下からのどのような光も遮断してレーザ光320と混ざらないようにする。この光はレーザ光と混ざると雑音を上記反射されたレーザ光320に導入する可能性がある。反射層310はまた、核生成を容易にして適切な熱的プロファイルを形成することにより相変化層308の結晶化を支援し得る。
【0025】
エンボス加工層312は、サーボトラッキングに使用される物理的なランドおよび溝構造を含む。エンボス加工層312は、ドラムエンボス加工およびUV硬化装置によってモノマー流体から形成してもよい。この装置では、モノマー流体にエンボス加工によりランドおよび溝構造が形成され同時に硬化が行なわれる。これは硬化中に液体モノマーから固体ポリマーに転化され恒久的に基材314に装着されるであろう。
【0026】
エンボス加工層312の下には基材またはベースフィルム314があってもよく、これは機械的支持を提供する。ベースフィルム314は、データ記憶製品のための適切な機械的、熱的、および吸湿特性を有する、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または同様の材料といった、高性能熱可塑性ポリエステルフィルムから形成してもよい。
【0027】
バックコート318はベースフィルム314の裏側に積層してもよい。バックコート318は、静電荷の蓄積を最小にする一部導電性の層であってもよく、テープサブシステムの動作中に発生する閉じ込められた空気を放出するための導管として作用する粗い表面を有する。加えて、バックコート318は、その光学的特性により、反射層310を通過した入射レーザ光320を吸収し散乱させる。バックコート318は、スラリーコーティングにより形成されたカーボンブラック膜、アルミニウムスパッタリング層、およびニッケルクロムスパッタリング層を含む組から選択される材料の1つであってもよい。
【0028】
ある実施の形態において、図3の可能な実施の形態を、光ヘッドへの多重波長読出のために使用してもよい。
【0029】
図4を参照して、第1の表面入射(空気入射)書換型光テープ媒体の実施の形態が示されている。図4の実施の形態において、誘電材料402を相変化層308と反射層310との間に挿入してもよい。誘電体層402は、書込および消去プロセスを容易にするために相変化層308における熱を少量に制限する。誘電体層402は、ZnS、SiO2、または同様の材料からなるものであってもよく、スパッタリングプロセスによって形成されてもよい。その厚みは光学的に透明となるような厚みである必要があるであろう。
【0030】
図4の可能な実施の形態の媒体において、相変化層308は、暗書込(write-dark)技術に使用できる結晶質材料で構成されていてもよい。暗書込技術は、高強度のレーザを用いて結晶質材料の領域を暗書込マークとなる非反射領域に転化させ、中間強度のレーザを用いてデータマークを結晶質状態に戻すことにより消去する。
【0031】
図5を参照して、第2の表面入射(ベースフィルム入射)媒体の実施の形態として、層の順序が図3の層の順序と異なるものが示されている。この実施の形態において、レーザ光320は、トップコート302、ベースフィルム314、エンボス加工層312、およびオーバコート304を通過して進み、相変化層308によって反射され、光ヘッド検出器に戻り得る。この媒体におけるこれら層の順序は、トップコート302、基材またはベースフィルム314、エンボス加工層312、オーバコート304、相変化層308、反射層310、およびバックコート318であってもよい。
【0032】
図5の実施の形態は、トップコート302上の如何なる汚染物質も、レーザ320の焦点面に届かないようにするという利点を提供する。加えて、ベースフィルム314は、レーザビーム320がベースフィルム314を通過するときの歪みを防止するために、光学的に透明な低複屈折性材料であってもよい。ベースフィルム314に適した材料は、ポリカーボネート、Spaltan PETなどであろう。
【0033】
図6を参照して、第2の表面入射(ベースフィルム入射)書換型媒体の実施の形態が示されている。この実施の形態は、相変化層308と反射層310との間に誘電体層602を含む。誘電体層602は、書込および消去プロセスを容易にするために相変化層308における熱を少量に制限する。誘電体層602は、ZnS、SiO2、または同様の材料からなるものであってもよく、スパッタリングプロセスによって形成されてもよい。その厚みは光学的に透明となるような厚みである必要があるであろう。
【0034】
光テープ媒体は、本明細書に記載のように、非晶質相と結晶質相との間で変化することによって、光学的コントラストが高いものとなるようにすることができる。
【0035】
図7Aを参照して、本発明の可能な実施の形態は相変化媒体積層体710を含み、この積層体は、まずプラスチックまたはガラス基材730上の薄い金属層720を含み、次に相変化層740、その次に誘電体層750を含む、従来の形状を有する。相変化媒体積層体710は、空気入射レーザビーム760を用いる構成に適するであろう。図7Bを参照して、代替としての可能な実施の形態は、図7Aの積層体に代わる積層体を含み、基材入射レーザ770の構成に適するであろう。
【0036】
図7Aおよび図7Bの可能な実施の形態において、金属層720がアンチモン(Sb)のとき、相変化層740はTe−Ge−Sb(テルリウム−ゲルマニウム−アンチモン)三元合金であってもよく、誘電体層750はZnS/SiO2でもよく、媒体積層体710は独自の書込特性を示す。
【0037】
図8Aを参照して、レーザ書込パワーが比較的小さい比較的長い書込パルス(約50ns以上)が、媒体積層体10−110に照射されると、書込まれていない周囲820よりも反射率が高い書込まれたスポット810が形成される。特に、レーザ書込パワーが比較的小さい比較的長い書込パルスにより、この材料は、溶融温度よりも低いであろう結晶化温度に達し、結晶化が生じた結果、明書込スポット810となる。
【0038】
図8Bを参照して、レーザ書込パワーが比較的大きい比較的短い書込パルス(約20ns以下)により、明るいリングで囲まれた暗い中心部からなる書込スポット830を含む暗書込および明書込双方が生じる。明るいリングは相変化材料が部分的に結晶化したことによるものであろう。
【0039】
図9を参照して、レーザ書込パワーが比較的大きいとき、相変化層740は書込パルスのピーク近くで溶融点に達し、溶融した材料の表面張力により材料がレーザパルスから離れて結晶化された明るいリング910となりクレータ920を形成する。このクレータは、材料がレーザパルスが取除かれると直ちに冷却されるので永久的なものである。明るいリング910に対するクレータ920のコントラストは、図8Aの従来の明るいスポット810とその書込まれていない周囲よりもはるかに優れているであろう。
【0040】
図10を参照して、明書込1010および暗書込1020によって生まれた信号の測定値の比較は、振幅がより大きい波形によって表わされる暗書込1020が優れたコントラストを有していることを示している。
【0041】
光テープシステムは、予めフォーマットされたトラックレイアウトを採用する光テープ媒体とともに使用するための本明細書に記載されたサーボトラッキングシステムを含み得る。
【0042】
図11を参照して、フォーマットされた光学式媒体1110は、セグメントに分割されたトラックレイアウトを有していてもよい。テープ駆動機構サブシステム1130は、媒体1110を、データ/サーボ光検知素子1120に対して、実質的に一定の速度で移動させる。サーボシステムシーケンサ1140は信号を検知素子1120から受け、この信号は、光学式媒体1110から検出された情報を表わす。シーケンサ1140は、検出された情報を用いて、初期化、キャリブレーション、トラッキング、ギャップ飛越し、およびトラック飛越しを含む組から、サーボシステム1150の動作モードを選択する。
【0043】
初期化モードにおいて、サーボシステム1150は初期化ステップを実行する。キャリブレーションモードにおいて、サーボシステム1150は、ギャップ飛越し、トラック飛越し、およびトラッキングモードの最適な設定を決定してもよい。初期化およびキャリブレーションモードは、サーボシステム1150の電源投入中に行なわれてもよい。
【0044】
図12を参照して、媒体1110上のセグメント1210は、長さ1230のトラック1220を含む。セグメント1210は、長さ1240のギャップ(欠陥)によって区切られていてもよい。セグメント1210内において、トラック1220は各々、たとえばプリアンブル1212、データ1214、またはポストアンブル1216を示す変調されたウォブルのフィールドを示し、プリアンブル1212は、ある実施の形態において複数の同期1250サブフィールドおよびアドレス1260サブフィールドを含む。ポストアンブル1216フィールドは、データ1214の終端の後ろのパディング(padding)領域を提供してもよく、プリアンブル1212と同種類の情報を含んでいてもよい。これらフィールドは、変調されたウォブルのフィールドを読取るように構成された光検知素子1120を、媒体1110が通過する際、サーボシステム1150に対して順に現われる。プリアンブル1212およびポストアンブル1216は、ギャップを挟む状態で設けられているので、いずれかを光検知素子1120が検出することにより、サーボシステム1150に対し、光検知素子1120がギャップに近付きつつある(ポストアンブル1216の場合)ことまたはギャップから離れつつある(プリアンブル1212の場合)ことを、信号で知らせることができる。このようにしてプリアンブル1212およびポストアンブル1216は、ギャップ位置情報を伝える。
【0045】
初期化および/またはキャリブレーションモード中、サーボシステム1150は、以下のステップを実行することにより、ギャップ飛越しの実行後に光検知素子1120を媒体1110に沿った進行方向においてどの位置に置けばよいか知ることができる。この例において、最初に、データ1214が光検知素子1120の隣に位置すると仮定すると、サーボシステム1150は、光検知素子1120がポストアンブル1216を検出するまで媒体1110が(右から左に)移動するよう命令する。サーボシステム1150は、ポストアンブル1216を検出すると、予め定められた期間(その間検知素子1120は媒体1110上に焦点を合わせようとしない)、媒体1110が(右から左に)さらに移動するよう命令して、近付きつつあるギャップおよびプリアンブル1212が最終的に光検知素子1120を通過しこのギャップの反対側のデータ1214が光検知素子1120の隣に位置決めされるようにする。この命令された移動に対して予め規定された時間(「第1の時間」)を、媒体1110に対応付けられた仕様に基づいてサーボシステム1150に予めロードしてもよい。テスト等のその他の技術も使用してこのような位置決めに必要な時間を知るようにしてもよい。次に、サーボシステム1150は、光検知素子1120に、再び焦点を合わせるよう命令してもよい。光検知素子1120の焦点が再びデータ1214に合わされると、サーボシステム1150は、媒体1110が反対方向(左から右)に移動するよう命令して、先に通過したギャップが光検知素子1120に近付き始めるようにしてもよい。サーボシステム1150は、光検知素子1120がプリアンブル1212を検出するまでまたはその焦点が外れるまで、媒体1110のこの移動を命令し続けてもよく、この移動に関連付けられた時間(「第2の時間」)をトラッキングしてもよい。サーボシステム1150は、プリアンブル1212を検出すると、光検知素子1120に対する媒体1110の直線位置を記録してもよく、および/または「第2の時間」を記録してもよい。これに代えて、光検知素子1120の焦点が外れ焦点を再び合わせることができない場合、サーボシステム1150が、媒体1110を、欠陥があると識別してもよい。
【0046】
媒体1110のギャップは周期的に繰返される(本明細書に記載のように、媒体1110はギャップを有するエンボス加工ドラムによってエンボス加工されているため、たとえば、ドラムを10回転させると、媒体1110上には繰返されるギャップが10組形成されるであろう)ので、上記のステップを周期的な組のギャップ各々に対して実施してもよい。サーボシステム1110は、その組のうちいずれのギャップに遭遇しているかを、プリアンブル1212内の情報および/またはポストアンブル1216内の情報に基づき、周期的な組の中の各ギャップが特定のプリアンブル1212および/またはポストアンブル1216と関連付けられていると仮定して、求めることができる。
【0047】
この時点で、サーボシステム1150は、ギャップ飛越し動作が完了した時点で光検知素子1120をどこに位置決めするか決定するための情報を有する。たとえば、サーボシステム1150が、媒体1110が(いずれかの方向に)ほぼ一定の速度で移動するよう命令すると仮定すると、「第1の時間」と「第2の時間」との差を考慮してギャップ飛越し動作中(その間光検知素子1120は媒体1110上に焦点を合わせようとしない)媒体1110を移動させる時間の長さを求めてもよい。その代わりに/また、ギャップ飛越し動作中に媒体1110が移動する直線距離を、(i)「第1の時間」と「第1の時間」中の媒体1110の移動速度との積と、(ii)「第2の時間」と「第2の時間」中の媒体1110の移動速度との積との差を考慮して求めてもよい。他のやり方も可能である。
【0048】
図11および図13を参照して、シーケンサ1140は、ポストアンブル1216が検知素子1120によって検出されると、選択をトラッキングモードからギャップ飛越しモードに変更する。ギャップ飛越しモードでは、上記キャリブレーションモードの実施中に決定された設定を用いてギャップ1310上のギャップ飛越しの移動が行なわれてもよい。このギャップ飛越しの移動により検知素子1120を推定されたトラック位置上に位置決めしトラッキングモードが開始されてもよい。
【0049】
トラック1220はギャップ1310を挟んで直線状に並んでいない場合があるため、初期化および/またはキャリブレーションモード中、サーボシステム1150は、以下のステップを実行することにより、ギャップの前にある所与のトラックに対して最も近くに並んでいる、ギャップの後ろのトラックを知るようにしてもよい。特定の物理アドレスを有する特定のトラック(媒体1110のエッジの隣にあるトラックでもよい)に焦点を合わせている間であって繰返されるギャップの組の中の最初のギャップが通過する前に、サーボシステム1150は、第1の方向(右から左)に媒体1110が移動するよう命令し上記特定のトラックの特定の物理アドレスを記録してもよい。サーボシステム1150は、プリアンブル1214を検出すると、光検知素子1120に対して、媒体1110(したがってギャップ1310)が検知素子1120を通過する際(その間当然ながら検知素子1120は媒体1110に焦点を合わせようとしていない)、その位置を概ね維持するよう命令してもよい。ギャップ1310が光検知素子1120を通過すると、サーボシステム1150は、検知素子1120に対し、再び焦点を合わせるよう、かつ、焦点を合わせる、ギャップの後ろのトラックの、物理トラックアドレスを求め/記録するよう命令してもよい。サーボシステム1150は、上記技術または他の任意の適切な技術を用いて、ギャップ1310が検知素子1120を通過する間光検知素子1120が媒体1110に焦点を合わせようとしない期間を求めてもよい。トラック1220はギャップ1310を挟んで直線状に並んでいないことがあるので、記録されたギャップの前およびギャップの後ろのトラックのアドレスは同一でない場合がある。そこで、サーボシステム1150は記録された物理アドレスに単一の論理アドレスを割当ててもよい。
【0050】
サーボシステム1150は、上記プロセスを、繰返されるギャップの組のうちの特有の各ギャップ対して繰返してもよい。すなわち、繰返される組1つの中に特有のギャップが4つあるのであれば、サーボシステム1150は、上記プロセスを4回実行することにより、最も近接して並んでいることが判明したとえばそれぞれ物理トラックアドレスn、n+1、n−2およびn+3を有するセグメント分割された4つのトラックからなる組に、単一の論理アドレスたとえばn*(nおよびn*は整数値を有する)が割当てられるようにする。この情報を、光検知素子1120を介して媒体1110に記憶させてもよく(その他の場所に記憶させてもよい)、および/またはサーボシステム1150に関連付けられたメモリに保存してもよい。
【0051】
媒体1110のトラックの残りについて、物理トラックアドレスから論理トラックアドレスへのマッピングを求めるために、サーボシステム1150は、(上記の例を用いると)最も近接して並んでいることが判明したセグメント分割された4つのトラックの物理トラックアドレス、および、対応する割当てられた論理アドレスを、インクリメントおよび/またはデクリメントしてもよい。具体的には(上記の例をここでも用いると)、サーボシステム1150は、たとえば物理トラックアドレスn、n+1、n−2およびn+3をそれぞれn+1、n+2、n−1およびn+4にインクリメントし、対応する論理アドレスn*をn*+1にインクリメントしてもよい。表1は、物理アドレスから論理アドレスへのマッピングを完成させるこのようなインクリメントおよび/またはデクリメントの例を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
通常のトラッキングモード中にたとえば光検知素子1120の焦点が論理トラックアドレスn*に合わせられているとすると、サーボシステム1150は、媒体1110(したがってギャップ)が検知素子1120を通過する際に、物理トラックアドレスn、n+1、n−2およびn+3に、この相対的順序で出会うと予想するはずである。この例を続けると、検知素子1120がnというギャップ前の物理トラックアドレスを検知しギャップ飛越し動作後n+1というギャップ後ろの物理トラックアドレスを検知したとすると、サーボシステムは、トラック飛越し動作を実行する必要はない。しかしながら、検知素子1120がnというギャップ前の物理トラックアドレスを検知しギャップ飛越し動作後n−3というギャップ後ろの物理トラックアドレスを検出した場合、サーボシステムは、トラック飛越し動作を実行することにより、物理トラックn+1を発見する必要があるであろう。たとえば、サーボシステム1150内の復調器/復号器は、同期1250およびアドレス1260情報を処理することにより、検知素子1120が位置決めされるであろうトラックのアドレスの同期を確立し復号してもよい。復号されたアドレスに基づいて、サーボシステム1150は、所望のトラックに移動するために飛越すトラックの数を求め、トラック飛越し動作を開始してもよい。
【0054】
検知素子1120は、キャリブレーションおよび/または初期化モードで決定した設定を用いて、所望のトラック位置に移動しトラッキングモードを開始する。トラッキングモードはここでも再びトラックアドレスを復号し、この情報に基づいて別のトラック飛越しを開始するかまたはトラッキングモードを続ける。所望のトラックが確認できれば、トラッキングモードはフィードバックシステムを利用して媒体に埋込まれたトラッキング信号(図示せず)を追従するだけでよい。
【0055】
本明細書に記載される、予め定められたパターンで符号化された光テープ媒体は、符号化されたパターンを解釈するようにされた光テープシステムにとって有用であろう。
【0056】
図14を参照して、正弦波サーボ信号1402および弁別器フィルタ出力信号1404の実施の形態が示される。正弦波サーボ信号1402の周波数が、変調の搬送周波数およびサーボ復調器1502に対するタイミングを決定してもよい。正弦波サーボ信号1402において、各2サイクルがセル1418を表わしてもよい。セル1418は各々、索引付けおよびアドレスビットに関する情報を搬送し得る。セル1418内の1サイクルの正弦波位相反転は、索引ビット1410を示し得る。索引ビット1410は、アドレスフィールド1412または位相ロックループ(PLL)サブフィールドの開始を示してもよい。複数のアドレスサブフィールド1418がサーボ信号1402の全アドレスを構成していてもよい。正弦波サーボ信号1402の任意のセル1418において、2つの正弦波サイクルが欠けているということはゼロビットを示し、2つの正弦波サイクルがあるということは1ビットのアドレスを示し、したがって、アドレスフィールド1412は正弦波サーボ信号1402によって表わすことができる。
【0057】
弁別器フィルタ出力信号1404は、正弦波サーボ信号1402の索引付けビット1410を表わしていてもよい。ある実施の形態において、索引付けビット1410の信号振幅は、予め定められた索引しきい値よりも大きいことによって索引付けビット1410を示してもよく、索引付けビット1410はアドレスフィールド1412の開始を示してもよい。
【0058】
トラックのアドレスフィールド1412は、何度も繰返されることによってデータ信号のロバストネスおよび改善された信号対雑音比を提供してもよく、アドレスフィールド1412は、光テープの2^mのトラックに対しM個のセルを有していてもよい。アドレスフィールド1412は、長さが同じであるPLLフィールド1414と交互にされてもよくPLLフィールド1414およびシーケンサの適切な動作を保証してもよい。
【0059】
図15を参照して、サーボ復調器および復号器1502の実施の形態のブロック図が示されている。サーボ復調器および復号器1502は、弁別器フィルタ1504と、しきい値検出器1508と、PLL1510と、同期装置1512と、同期された整流器1514と、同期された再設定可能な積分器1518と、第2のしきい値検出器1520とを含み得る。
【0060】
弁別器フィルタ1504は、媒体から検出されたパターン信号から索引パルスを検出してもよい。索引パルス(IdxPls)信号1604を位相ロックループ(PLL)1510に使用してもよい。PLL1510からのVCO信号を同期装置1512によって同期させSigIn1522の同期された整流1514および再設定可能な積分1518に使用してもよい。しきい値検出器1520は、同期された再設定可能な積分器1518からの出力を受けてアドレス1412を検出できるようにしてもよい。
【0061】
図16を参照して、サーボ復調器および復号器1502によって生成された信号の実施の形態が示されている。SigIn1602は、正弦波サーボ信号1402を表わし、索引付けビット1410、アドレスフィールド1412、およびPLLフィールド1414を含み得る。IdxPlx信号1604は、アドレスフィールド1412の最初の索引付けビット1410を示し得る。SigRec1608は、索引付けビット1410、アドレスフィールド1412、およびPLLフィールド1414に対する整流された信号を含み得るSigIn1602信号の整流された信号であってもよい。IntOut1610およびAddPls1612信号は、サーボ復調器および復号器1502からのアドレスフィールド1412出力を表わし得る。
【0062】
本明細書に記載されるように光テープ相変化媒体上に永久的かつ区別可能なサーボマークを書込むことは、符号化されたパターンを解釈するようにされた光テープシステムにとって有用なものとなるであろう。
【0063】
本明細書に開示される方法およびシステムは、本質的に永久的でありデータと容易に区別できる光学式媒体上のサーボマークを書込む独自の方法を含み得る。
【0064】
図17を参照して、異なる相変化光テープ媒体マーク1710の実施の形態が、光ヘッドが受ける読出信号1712に加えて示されている。これら異なる媒体マーク1710は、マーキングなし1702、白色マーキング1704、および暗いマーキング1708を含み得る。ある実施の形態において、読出信号1712の極性は、マークなしに対して中性、白色マーク1704に対して正、暗いマーク1708に対して負であってもよい。「明書込」相変化媒体において、データマークは、特定量の電力をレーザダイオードに与えることによって光学式媒体の状態を非晶質(低反射率)から結晶質(高反射率)に変化させることによって書込んでもよい。レーザダイオードに与えられる電力がこの特定のバンドを超える場合、永久的な暗マーク1708(反射能なし)が媒体上に形成され、これは、その極性と大きさによっても、装置の読取/書込チャネルによって作られたデータ書込マーク1704と区別できる。暗マーク1708は上書きされずしたがって媒体上のサーボパターン形成には理想的であろう。
【0065】
図18を参照して、サーボマーク1812埋込の実施の形態がデータフィールド1810とともに示されている。サンプリングサーボ方法において、トラックアドレスおよびサーボ位置決め情報を、媒体プロセスのプリフォーマット中に、暗マーク1708を用いて、相変化媒体1802に埋込んでもよい。ある実施の形態では、暗マーク1708を用いた光相変化テープ媒体1802上のサーボマーク1812(サーボフィールド)の形成は、白色マーク1704のデータフィールド1810と区別し得る。暗マーク1708サーボフィールド1812は、白色マーク1704データフィールド1810に埋込まれることによってデータフィールド1810に対する同期およびアドレス情報を与えてもよい。
【0066】
図19を参照して、光テープ媒体1802上の暗マーク1804および白色マーク1808に対する受信された読出信号1908の実施の形態が示されている。図18について述べたように、サーボフィールド1812の暗マーク1802は、光テープ媒体1802上の白色マーク1808のデータフィールド1810に埋込むことができる。図171に示されるように、暗マーク1804は、光ヘッドに対し負の読出信号1902を与え得る。白色マーク1808は、光ヘッドに対し正の読出信号1904を与え得る。ある実施の形態において、その結果、読出信号1908は、暗マーク1804サーボフィールド1812および白色マーク1808データフィールド1810双方について区別できる極性信号を与え得る。この読出信号1908の極性が区別できることにより、同一の光テープ1802のトラック上に書込まれ得るサーボフィールド1812およびデータフィールド1810双方を読取ることができる。
【0067】
図20を参照して、第1の表面入射(空気入射)WORM光テープ媒体の実施の形態は、トップコート2002と、オーバコート2004と、相変化層2008と、金属層2030と、反射層2010と、エンボス加工層2012と、ベースフィルムまたは基材2014と、バックコート2018とを含む。
【0068】
トップコート2002は、スパッタリングプロセスによって形成される傷付きにくい有機膜でもよく、この媒体の他の層に対して保護層を提供する。トップコート2002は、この媒体内の層からのレーザ光2020の望ましくない反射を防止するための反射防止特性(たとえば低い屈折率)を有し得る。
【0069】
図20の可能な実施の形態において、オーバコート2004は、ZnS(商品名ZS80)といった材料で作られた吸収がほぼゼロである光学的に透明な保護層であってもよい。これに代えて、オーバコート2004はまた、下にある層が物理的な損傷を受けないように保護し得るSiO2またはその他の材料を含み得る。オーバコート2004は、スパッタリングプロセスによって形成してもよく、レーザ光2020がより効率的に通過できるようにする反射防止材料を含んでいてもよい。
【0070】
この可能な実施の形態において、相変化コーティング2008は、Te−Ge−Sb(テルリウム−ゲルマニウム−アンチモン)といった相変化合金でもよいが、明書込相変化材料として知られている他の相変化材料が含まれていてもよい。相変化コーティング2008は、Te−Ge−Sbで構成されている場合、およそ19ナノメートルの厚みであってもよい。明書込材料は、レーザ2020から十分な熱を受けると非晶質相から結晶質相に変化する。変化すると、この材料は、その組成の働きにより、非晶質相に戻らない。結果として得られる結晶質のスポットは、周りにある非晶質材料よりも反射性が高く、周囲の領域に対して高いコントラストを生み出し、これがWORM光テープ媒体にデータを記憶させるための手段となり得る。相変化膜2008はこの可能な実施の形態においてスパッタリングプロセスを用いて形成してもよい。
【0071】
金属層2030は非常に薄いアルミニウム層であってもよい。この実施の形態において、金属層2030は厚みが約1から2ナノメートルのアルミニウムで概ね構成されていてもよい。
【0072】
レーザのエネルギが相変化材料に衝突すると、そのエネルギが三次元ガウス形状を有する材料に伝達される。レーザ衝突領域の中心の温度は直ちに相変化材料の溶融点まで上昇するが、その周辺領域は溶融温度よりも低い結晶化温度までしか上昇しない。このエネルギ伝達プロセスにより、明るいリングによって囲まれた中央部に穴がある「ドーナツ」状のマークが形成される。このようなマークは、高いコントラストおよび高い信号対雑音比という利点をもたらす。加えて、このプロセスは非常に高速であるため、このような媒体を非常に速いデータレートの記録に使用することが可能になるであろう。しかしながら、金属層2030がなければ、読出パワーが約0.3mWより大きいレーザにより、媒体の相変化層における意図されていない明るいトラックとなるであろう読取エッチングが生じ得る。
【0073】
金属層2030は、媒体が、高コントラストおよび高速WORM媒体という望ましい特徴すべてを提供するだけでなく読取エッチングに対して非常に耐性が高いものとなるよう、媒体を向上させる。読取パワーが最低0.8で最大1mWまでのレーザは、この実施の形態に読取エッチングの問題を生じさせることはない。この実施の形態において、読取エッチングに対して強くなるだけでなく、書込マークの搬送波対雑音比も、金属層2030のない光学式媒体に対し、約5〜10dB改善されるであろう。
【0074】
金属層2030は、レーザ書込中に反射層2010内の金属が相変化層2008に混入しないようにするバリアとして作用することによって上記利点に貢献するであろう。これに代えて、金属層2030内の原子アルミニウムが積層中に相変化層2008に混入することがある。このような混入は、相変化層2008の結晶化プロセスを遅らせるが溶融温度を実質的に変えることはない。
【0075】
アルミニウムまたはアンチモンといった金属材料で作られた反射層2010は、相変化層2008および薄い金属層2030を通過したレーザ2020からの光を反射する。反射層2010は、アンチモンで構成されている場合、その厚みは約20から30ナノメートルである。反射層2010は、電子ビームを用いて作られてもよく、熱による蒸発によるものでもよく、スパッタリングされたものでもよく、イオンビーム蒸着されたものでもよく、または、同様のプロセスによって作られたものであってもよい。反射層2010はさらに、下からの光を反射し、下からの光を減衰させ、遮断して、この光が通過してレーザ光2020と混ざらないようにする。この光は反射されたレーザ光2020に雑音を導入する可能性がある。反射層2010はまた、核生成を容易にして適切な熱的プロファイルを形成することにより相変化層2008の結晶化を支援し得る。
【0076】
エンボス加工層2012は、サーボトラッキングに使用される物理的なランドおよび溝構造を含む。エンボス加工層2012は、ドラムエンボス加工およびUV硬化装置によってモノマー流体から形成してもよい。この装置では、モノマー流体にエンボス加工によりランドおよび溝構造が形成され同時に硬化が行なわれる。これは硬化中に液体モノマーから固体ポリマーに転化され恒久的に基材2014に装着されるであろう。
【0077】
エンボス加工層2012の下には基材またはベースフィルム2014があってもよく、これは機械的支持を提供する。ベースフィルム2014は、データ記憶製品のための適切な機械的、熱的、および吸湿特性を有する、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または同様の材料といった、高性能熱可塑性ポリエステルフィルムから形成してもよい。
【0078】
バックコート2018はベースフィルム2014の裏側に積層してもよい。バックコート2018は、静電荷の蓄積を最小にする一部導電性の層であってもよく、テープサブシステムの動作中に発生する閉じ込められた空気を放出するための導管として作用する粗い表面を有する。加えて、バックコート2018は、その光学的特性により、反射層2010を通過した入射レーザ光2020を吸収し散乱させる。バックコート2018は、スラリーコーティングにより形成されたカーボンブラック膜、アルミニウムスパッタリング層、およびニッケルクロムスパッタリング層を含む組から選択される材料の1つであってもよい。バックコート2018は、アルミニウム、ニッケルクロムまたはその他の金属材料からなる場合、磁気テープ媒体に与えることによって同様の静電放電および閉じ込められた空気の放出を行なってもよい。
【0079】
図2は、図20に示された媒体に対し3T動作を実行している間に捕捉されたテスト信号の波形を示しており、この媒体はオーバコート104を除去することにより得られたものである。オーバコート2004は光反射防止干渉層であってもよいため、この3T書込動作中に媒体の残りの層に大きな影響を与えることはない。
【0080】
信号2110は、媒体上のレーザマークを読取った結果を表わす読取信号の時間領域電圧測定値を示す。信号2120は、読取信号が関連データをいつ有しているか判断するために使用される制御信号を示す。図21からわかるように、信号2120がロー225の期間中、読取信号は関連データを有する。信号2110および2120を捕捉し、オシロスコープ上に、1分割当たり5msの時間目盛を用いて表示してもよい。オシロスコープの機能を用い、読取信号の代表的な部分2130を、選択し、1分割当たり1.46usの時間目盛を用いて、信号2140として表示できる。当業者にとって、図21の波形は、図20に示される光学式媒体の実施の形態の搬送波対雑音特性を示す。
【0081】
感度プロットは、「マクロ」特性に対する「ミクロ」変化の効果を示す派生的なツールであろう。図22、図23、図24および図25は、薄膜積層体における各層の厚みの変化に対する反射の感度を示す。図22および図23では、最後の層のみを対象としている。図24では、第1および第3の層を対象としている。図25では、第2および第4の層を対象としてもよい。
【0082】
なお、図22、図23、および図24に示される両設計において、非晶質曲線および結晶質曲線は平行であり非晶質曲線は常に結晶質曲線よりも低い。図23は、図22の拡大版であり、層の厚みが10倍であってもこれら曲線は平行なままであることを示している。図24の拡大版も同じ現象を示すので省略する。
【0083】
図25は、交差する非晶質曲線および結晶質曲線の実施の形態を示す。これは、相変化システムを(たとえば光テープ媒体の一部として)、非晶質状態において高反射率、結晶質状態において低反射率となるように、または、結晶質状態において高反射率、非晶質状態において低反射率となるように、設計できることを意味している。これは、明書込または暗書込システムでもよい。
【0084】
たとえば、従来のDVDディスクはWORMディスクプレーヤでは適切に機能しないであろう。なぜなら、WORMディスクプレーヤはディスクがWORMレーザビームで照射されると反射率の増大を探そうとするが、DVDディスクはレーザビームで照射されると反射率が低下するためである。
【0085】
しかしながら、LOTSドライブはWORMドライブでもよく、LOTSドライブにおいて消去可能なテープを使用できる唯一の方法は、消去可能なテープを、レーザビームで照射されるとその反射率が高くなるようにすることであろう。図26に示される設計は、LOTS波長に対応する波長532nmのレーザビームで照射されると反射率が上昇することを示している。
【0086】
相変化層で構成される4層光テープの実施の形態では、非晶質から結晶質への反射率変化は、層の厚みが変化すると正から負へと変化するであろう。
【0087】
非晶質反射率曲線と結晶質反射率曲線が交差する媒体(たとえば光テープ媒体)は、非晶質状態で高反射率で結晶質状態で低反射率か、または、結晶質状態で高反射率で非晶質状態で低反射率となることができる。これは、明書込または暗書込システムいずれかであろう。
【0088】
相変化層で構成される4層光テープの実施の形態では、非晶質から結晶質への反射率変化は、層の厚みが変化すると正から負へと変化するであろう。
【0089】
光学式媒体のための初期化装置は、相変化媒体を結晶質状態に初期化するのに十分なエネルギを光学式媒体に与える高出力レーザを含んでいてもよい。この高出力レーザの焦点は、出力がより低いレーザによって、媒体の相変化層に自動的に合わせることができる。しかしながら、出力がより低いレーザは、反射率曲線が互いに平行である(たとえば図27に示されるもの)媒体が初期化されたときに飽和することがある。
【0090】
4層光テープの実施の形態において、その相変化反射率曲線は、互いに平行でなくともよく、出力がより低いレーザによって自動的に焦点が合わせられる高出力レーザを用いて初期化されてもよく、これらレーザの波長は反射率曲線が交差する反射率(たとえば図28に示されるもの)とほぼ同じであってもよい。したがって、初期化装置の焦点波長は媒体の反射率が交差する波長にほぼ等しく飽和しないであろう。このような装置は波長がより短い相変化材料にとって有利であろう。
【0091】
新たな考案(REWORM)は、高反射率非晶質状態における層形成、低反射率結晶質状態への初期化、および高反射率非晶質状態への書込を含むであろう。
【0092】
この考案の利点は、より速い消去時間を含み得る。その理由は、結晶質状態から非晶質状態への書込が、非晶質状態から結晶質状態に変化する最小時間の制約を含む相変化媒体の本質的な結晶成長メカニズムに依存しないからである。
【0093】
本明細書において、相変化媒体を低反射率状態に戻すことによりテープを消去できる装置を開示することができる。このような装置は、高反射率状態でテープに書込まれた情報を、その高反射率情報を低反射率状態に変化させることによって消去するであろう。
【0094】
このような装置は、情報をテープに書込みテープから読取るのに使用される別の装置から独立したスタンドアロン型の装置として役立ち得る。
【0095】
特に、このような装置は、明書込テープを使用する応用例において役立つであろう。
光テープ媒体とともに使用される場合に、情報をこのテープに書込み、以前テープに書込まれた情報をマスキングし、この以前書込まれた情報を光テープ読取装置によって読取ることができないようにする装置を、本明細書において開示することができる。
【0096】
これの利点は、テープ上の機密情報を、以前にテープに書込まれたこの機密情報を読取ることができないようマスキングすることによって、その読取を防止する点にあるであろう。この利点は、光テープシステムによって消去しなければならない光テープ上の機密情報を有する第1のユーザにとって有利となるであろう。なぜなら、この光テープシステムの第2のユーザがこの機密情報を消去実行前に読取ることを防止するからである。
【0097】
消去可能な相変化テープ媒体は、連続スパッタリングコーティングマシンで製造することができる。この装置では、すべての層を同時に媒体上に形成してもよい。これは、第1の層の形成後すぐに第2の層を第1の層の上に形成し、同時に、第1の層を媒体上のさらなる部分上に形成することによって、行なうことができるであろう。ある実施の形態において、これは、スパッタリング(層形成)ソースを回転熱抽出ドラム(冷却ドラム)の周りに配置し、媒体が順次各スパッタリングソースを通過するようにすることによって、行なうことができるであろう。薄膜は、上記のように、第1の層を、媒体が各スパッタリングソースを通過する際に、冷却ドラムと接触していてもよいポリマー型材料の膜の上に形成して、形成してもよい。
【0098】
この技術を1つ以上の層が積層されたテルリウム系の消去可能な相変化構成に応用することにより、層と層との間の材料界面が傾斜したものを作ることができるであろう。
【0099】
層と層との間に傾斜した材料界面があるこの媒体の利点は、張力緩和または熱伝導率推移を含み得る。これは、最終的に得られる相変化構造の性能改善をもたらすであろう。このような改善された性能は、信号ジッタの減少または消去周期性の向上として表われるであろう。
【0100】
実施の形態において、多層媒体における各界面の傾斜が異なっていることが望ましいであろう。
【0101】
本明細書におけるいくつかの側面は、光テープからのデータの読取および/または光テープへのデータの書込を行なうようにされた、改善された光ピックアップヘッドシステムに関するであろう。光ヘッドは、データの光テープからの読取および/または光テープへの書込を行なうことができるであろう。光テープは、相変化層に、フォーマットされたデジタルデータを含み得る。この光テープは、書込まれる、書換えられる、消去される、および/または読取られるようにされていてもよい。光ヘッドは、この光ヘッド、読取ヘッド、書込ヘッド、読取/書込ヘッド、書込後直接読出ヘッドのための駆動機構、光ヘッド位置決めのための相関結合ユニット、光テープ上のデータを復号するための復調機構などを含み得る。光ヘッドは、光源、レンズ、アクチュエータ、ビームスプリッタ、ビーム偏光子、電気光学集積回路、および/またはその他のシステムを含み得る。
【0102】
光ヘッドは、読取、書込、読み書き、書込後直接読出を行なうことが可能であってもよく、または、特定のアプリケーションのニーズを満たすように構成されていてもよいことが、理解されるはずである。光ヘッドおよびその関連機構のいくつかの異なる側面が本明細書に記載されており、これら異なる側面は、組合わせて1つの光ヘッドにしてもよく、または個々に使用してもよい。
【0103】
ある実施の形態において、本明細書に記載の光ピックアップヘッド(OPH)を、光テープ媒体を用いる書込後直接読出(DRAW)モードで使用してもよい。
【0104】
ある実施の形態において、低出力書込後直接読出(DRAW)レーザダイオードを、ピックアップヘッド(PUH)の高出力レーザダイオードとともに使用してもよい。これら2つのレーザダイオードは、実質的に同じ波長を有していてもよい。ある実施の形態において、ホログラフィック光素子(HOE)をDRAWレーザビーム経路に挿入してもよく、+1(1次)および−1ビームをDRAW機能に使用してもよい。この+1という1次ビームを媒体の動きの第1の方向に使用し、−1という1次ビームを第2の方向に使用してもよい。
【0105】
PUHにおいてDRAW機能を実現する2つの方法があるであろう。第1の方法の実施の形態は、書込専用の高出力レーザダイオードLD1 2902と、読取、サーボ読取、およびDRAWのための、実質的に同一の波長を有していてもよい低出力の第2のレーザLD2 2914とを有し得る。これら2つのレーザからのビームを組合わせることにより、DRAWに加え必要な機能をすべてPUHで実現してもよい。第2の方法の実施の形態は、書込、読取、およびサーボ機能に使用されるLD1 2902を有していてもよく、低出力LD2 2914はDRAWのためのものであってもよい。
【0106】
図29を参照して、書込専用の高出力レーザダイオードLD1 2902と、波長が実質的に同一であってもよい、読取、サーボループ、およびDRAWのための低出力の第2のレーザLD2 2914とを備える、DRAWに基づく方法の実施の形態が示されている。光路は2つあってもよく、そのうち一方は高出力レーザダイオードLD1 2902のものであり、他方は低出力レーザダイオードLD2 2914のものである。LD1 2902と関連付けられた経路は、書込エネルギを媒体に送るためのものであってもよい。COL1 2904として示されているコリメータは、非点収差(astigmatic)レンズでもよく、これは、対物レンズによって焦点を光テープ媒体に合わせる、コリメートされ非点収差のないビームを与える。
【0107】
LD2 2914と関連付けられた経路は、より複雑であり、読取、サーボループ、およびDRAW機能を提供できる。この経路と関連付けられたホログラフィック光学素子(HOE2)2920は、図31に示される格子およびホログラムを含み得る。格子202は、出力されるコリメートされたビームを3つのビームに分割する、すなわち、0次ビームと、+1次ビームと、−1次ビームとに分割する。0次ビームを使用して焦点合わせおよびトラッキングという両サーボ機能を提供してもよく、通常の読取機能を提供してもよい。+1次ビームおよび−1次ビームをDRAWに使用してもよい。HOE2 2920は、位相ホログラム204を含んでいてもよく、これは、戻ってきた+/−1次ビームを直交方向に導いてセグメント分割された検出器上に6つのスポットを形成してもよい。セグメント分割された検出器アレイからの信号は、焦点およびトラッキング信号ならびにDRAW信号を同時に生成するのに利用してもよい。セグメント分割された検出器アレイおよび信号増幅器を一体化して1つの電気光学集積回路EOIC2にしてもよい。LD2 2914は、低出力レーザダイオードでもよいので、EOICと一体化してもよい。
【0108】
LD1 2902およびLD2 2914からのコリメートされた2つのビームを、対物レンズにおいて組合わせて、LD1 2902およびLD2 2914の焦点を維持してもよい。
【0109】
0次ビーム、+1次ビーム、および−1次ビームの焦点間の距離は、対物レンズの焦点距離fobj、およびHOE2 2920の格子202のピッチΛにより、以下の式を用いて、制御してもよい。
【0110】
【数1】
【0111】
式中λはLDの波長である。
たとえば、Λが0.1mm、LDの波長が650nm、fobjが2.5mmである場合、α+1は37度に等しくdは13ミクロンに等しい。
【0112】
図30を参照して、光学式媒体(たとえば光テープ)に関する第2の方法に基づくDRAW光ピックアップの実施の形態が示されている。この光ピックアップに、2つの光路があってもよく、一方は主または1次ビームのためのものであり、もう一方はDRAWに使用される第2のビームのためのものである。この1次ビームは主として書込、焦点合わせ、トラッキング、および名目上の読取のために使用してもよい。
【0113】
光源LD1 2902は、レンズCOL1 2904によってコリメートされた後ホログラフィック光学素子(HOE1)3008によってコリメートされてもよい。このHOE1の構造は図31に示されるものと同一であってもよい。この場合の格子は、3ビームトラッキング方式を利用するためにのみ必要であってもよい。焦点信号およびトラック信号を生成する1つの戻りビームを使用するのであれば、この格子は不要であろう。ホログラムは、戻りビームをLD1 2902という光源の側面に回折するために使用してもよい。
【0114】
レーザ光源LD2 2914は、レンズCOL2 2918によってコリメートされた後HOE2 2920によってコリメートされてもよい。この第2のビームの目的は書込後直接読出でもよく、このため、HOE2 2920はこれと同じ目的のためのものであってもよい。HOE2 2920の格子は、0次(ゼロ次)抑制格子であってもよく、この場合図32に示されるようにエネルギのほとんどが+/−1次ビームに回折される。トラッキング方向に関する限りにおいて、+1次ビームが一次ビームスポットの焦点より前、−1次ビームが一次ビームスポットの後ろにあってもよい。一方を媒体が第1の方向に動いているときのDRAWに使用してもよく、他方を媒体が第2の方向に動いているときに使用してもよい。
【0115】
0次抑制を制御するためには、ホログラフィック素子HOE1 3008内の溝の深さが正確であることが重要であろう。たとえば、ホログラフィック素子HOE1 3008が屈折率1.55のガラス板の場合、溝の深さは、0次ビームを完全に抑制するには、波長655nmの光源を使用する場合550nmである必要があるであろう。0次ビームを完全に抑制することは望ましいことがあるが、必要でない場合もある。すなわち、溝の深さはこれより小さくてもよい。たとえば、深さが380nmの場合、エネルギは、3次のビーム−0、+1、および−1に均等に分布するであろう。これは適切に機能する。0次エネルギがより大きいことは望ましくないであろう。なぜならこれはより多くの相対強度雑音(RIN)ノイズを引起す可能性があるためである。
【0116】
図32に示されるように、ホログラフィック素子HOE2 2920は、位相ホログラムを含んでいてもよい。この位相ホログラムの目的は、戻ってきた±1次ビームをデータ検出のために正しい位置に回折することであってもよい。
【0117】
図29および図31双方を参照して、一次ビームおよび二次ビームを偏光ビームスプリッタPBS2910を用いて合成してもよい。偏光ビームスプリッタPBS2910を用いて、反射したビームをこれらの元の方向に戻してもよい。
【0118】
図33を参照して、もう1つの特徴は、2つのレーザダイオードの向きであろう。2つのビームの偏光方向は基本的に直交する。たとえば、光源LD1 2902を、テープの動きおよび媒体の面の方向に主として平行な方向に偏光してもよく、光源LD2 2914を、テープの動きに対して垂直であるが媒体の面に平行である方向に偏光してもよい。これにより、2つのビームを偏光ビームスプリッタPBS2910で組合わせることが可能になるであろう。レーザダイオードからの単一の空間モード光はP−N接合面3402に対してほぼ平行に偏光されるので、光源LD1 2902および光源LD2 2914のP−N接合面3402は互いに垂直であってもよい。
【0119】
これらレーザダイオードを一体化して電気光学集積回路検出器アレイにしないのであれば、2つのビームのための光路の構成として他に数多くのものがあるであろう。しかしながら、このような構成は一体化されたLD−EOICアレイほど小型でない。DRAWピックアップヘッドのもう1つの形態が図34に示されている。レーザダイオードおよび2つの電気光学集積回路を一体化して1つのシリコンチップにしてもよい。
【0120】
図33に示されるように2つのレーザダイオードを互いに90度の角度をなすように1つのシリコンチップ上に搭載すると製造上の問題がいくつか生じる可能性があるので、図35および図36にその他2つの形態が示されている。この場合、2つのレーザダイオードの向きは同一である。図35に示される実施の形態は、図29について先に述べた第1の実施の形態と同一の機能を提供し得る。図36に示される実施の形態は、図30に基づく第2の方法に関して述べた実施の形態と同一の機能を提供し得る。しかしながらこれら形態において、もう1つの複屈折板3602を第2のビームに対して追加してその偏光を90度回転させてもよい。
【0121】
実施の形態では、光源LD1 2902を使用して書込を行なう一方で光源LD2 2914を用いてDRAW読取を行なうことができるので、光源LD2 2914は出力要件がそれほど厳しくなくより低コストであり、より低出力のレーザを光源LD2 2914に使用することができる。
【0122】
ある実施の形態では、光ピックアップヘッド(OPH)を、本明細書に記載の光学式媒体(たとえば光テープ)の大きなトラッキング範囲が可能となるように適合させてもよい。
【0123】
図37を参照して、従来のPUH3702の実施の形態(図37A)および一体化された電気光学アセンブリ3704の実施の形態(図37B)が示される。光アクチュエータ3708を用いて対物レンズのみを動かすと、ビームの、この光学アセンブリの残りの部分に対する動きが、望ましくないものとなる可能性がある。これは、ビームの焦点が適切な位置範囲から外れるためサーボトラッキングエラーに繋がり得る。光学アセンブリ3704を用いて、光学レンズアセンブリ全体をアクチュエータ3710によって動かして光テープをトラッキングしてもよい。これは、電気光学集積回路3712上の戻りビームの適切な位置を維持し得る。このように、ここでのトラッキング範囲は、以下で説明する光学的口径食およびビーム移動の問題の影響を受けず、アクチュエータの範囲に基づく。
【0124】
図38を参照して、この図は、対物レンズのみを動かして光テープのトラックをトラッキングした際に生じる光学的口径食を示している。従来のピックアップヘッド(PUH)は光学的口径食およびビーム移動により生じる問題のため、トラック範囲に制限がある。トラック中心が、対物レンズから出る前のガウスビームプロファイルの中心に近い場合、完全なプッシュプルパターンを直交検出器(quad detector)上で得ることができる。
【0125】
検討中のトラックが、媒体のずれが原因で、第1の位置3804から第2の位置3808に下向きに移動すると、サーボループによりレンズも下向きに移動することがある。このため、焦点はトラック中心を追従しようとするが、これが原因で対物レンズに衝突するガウスビームプロファイルは開口の中心から外れるかもしれない。このわずかな不均衡により、検出器3802におけるプッシュプルパターンも不均衡になり結果として小さなエラー信号が生じる可能性がある。有限共役対物レンズ3810を使用してもよく、この場合、対物レンズに衝突するビームは拡がった波面を有する。レンズが移動してトラックのずれを追従すると、戻りビームには、検出器3812上でのビーム移動の問題が生じるであろう。
【0126】
従来のPUHの実施の形態では、検出器における不均衡なプッシュプルパターンおよびビーム移動が、電気光学集積回路EOICにおいて望ましくないビーム位置を生じさせるかもしれない。望ましくないビーム位置は、PUHがカバーし得るトラック数を数十のトラックに限定するであろう。
【0127】
図39を参照して、本発明のある実施の形態が、すべてが単一アセンブリ3918の一部である、電気光学集積回路(EOIC)3902、レーザダイオード(LD)3904、非点収差レンズ3908、ホログラフィック光学素子(HOE)3910、アクチュエータ3912、および対物レンズ3914とともに、示されている。対物レンズ3914をアセンブリ3918とともに動かすことにより、光学的口径食および光学的ずれの問題は解消するであろう。ピックアップヘッド(PUH)アセンブリ3918を正確に位置決めするには十分なサーボ帯域幅が必要であり、したがってアセンブリ3918は低重量である必要がある。この低重量は一体化設計によって得られるであろう。
【0128】
一体化設計では、レーザダイオードLD3904を直接電気光学集積回路EOIC3902上に設けてもよい。電気光学集積回路EOIC3902は、セグメント分割された検出器、電流増幅器、および電圧増幅器を備えたシリコンチップを含み得る。簡単な格子をホログラフィック素子HOE3910に使用してもよく、ホログラフィック素子HOE3910はビームを0次と±1次に分割してもよい。0次は効率が50%、±1次は各々効率がほぼ25%であってもよい。0次ビームは、読取/書込および焦点合わせ/トラッキング機能に使用できる。0次ビームがホログラフィック素子HOE3910に戻ると、2つの1次ビームは、電気光学集積回路EOIC3902の左右の6セグメント検出器に回折されるであろう。回折されたビーム各々を、焦点合わせ/トラッキングおよび読取/書込機能に使用してもよい。2つのセグメント内の信号は等価でもよく合計することによってSNR(信号対雑音比)を3dB改善することもできる。
【0129】
もう1つの実施の形態では、簡単な格子を軸上ホログラムと置き換えてもよい。これは、正および負双方のレンズ効果をもたらし得る。たとえば、一方の6素子セグメントは最良焦点(best focus)の前部分から光を受け他方の6素子セグメントは媒体上の最良焦点の後部分から光を受けてもよい。これにより、差分スポット焦点合わせ方法を使用できる。ホログラムのもう1つの重要な利点は、出力されるビーム内の2つの1次ビームの焦点が外れていることであり、これにより、検出器に戻る光の量が少なくなるであろう。2つの1次スポットは望ましくなくしたがって少ない戻り光は無視してもよい。
【0130】
ある実施の形態において、光テープ媒体のトラッキング中にアセンブリ全体を移動させると、光学電気アセンブリは平衡の取れたプッシュプルパターンを維持することができ、電気光学集積回路EOIC3902上の検出器でのビーム移動は生じない。一貫して平衡の取れたプッシュプルパターンとともに焦点が改善されることにより、光テープ上のより多くの数のトラックをカバーすることができ、一体化された光学電気アセンブリは何千ものトラックをカバーできるであろう。
【0131】
図40を参照して、一体化設計アセンブリ3918内に組込まれた書込後直接読出(DRAW)機能の実施の形態が示されている。DRAWは、図29から図34でさらに説明されている。DRAWは、±1次ビームを提供し得るさらなる低出力レーザダイオードであってもよい。この±1次ビームにより、光ピックアップヘッド(PUH)は、書込後即読取を実行して書込エラーを最小にすることができる。DRAWを一体化設計アセンブリ3918内に組込むことにより、一次ビームがアセンブリ3918全体のトラッキングから得られると、同一の改善されたトラッキングをDRAWに提供し得る。
【0132】
ある実施の形態において、本明細書に記載の駆動機構は、光テープ機器内で光テープと連動するものとして使用される複数の光ヘッドを駆動するのに適したものでもよい。
【0133】
テープドライブは、着脱可能なカートリッジリールと巻取リールとの間に個別のガイド機構がないテープガイドシステムを有し得る。着脱可能なカートリッジをテープドライブに挿入すると、媒体は、媒体のカートリッジ内のリーダ材料に装着し得る巻取リーダを用いて巻取リールに引張上げられるであろう。
【0134】
図41を参照して、テープ位置末端における光ヘッド駆動機構の再方向付けの実施の形態が示されている。ヘッド駆動機構4102は、カートリッジリール4104と巻取リール4108との間に位置決めしてもよい。ヘッド駆動機構4102を、ヘッド駆動機構4102から媒体までの距離を制御できるよう横方向の位置決めを行なうことができる機構上に配置してもよい。ヘッド駆動機構4102は、最適な読取/書込動作のために、媒体から一定の距離の場所に位置する必要があるであろう。媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、ヘッド駆動機構4102は、媒体までの距離の変化に合わせて調整されてもよい。ヘッド駆動機構4102はまた、媒体が上記リール間で移動する際、ヘッド駆動機構4102に対する媒体の角度の変化に合わせて調整されてもよい。ある実施の形態では、媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、ヘッド駆動機構4102に対する角度および距離は、各リール上の媒体の量に基づいて変化するであろう。この角度および距離は、テープドライブの動作中、連続的に変化するであろう。ヘッド駆動機構4102の正確な位置は、サーボ制御される機構の補償システム内のアルゴリズムによって決定してもよい。
【0135】
複数のヘッドを単一のヘッド駆動機構において使用して光学ドライブのデータ転送速度を高めてもよい。個々のヘッドは自身のサーボ制御位置決めシステムを用いてヘッドが正確に位置決めされるようにしてもよく、ヘッド駆動機構4102を用いてヘッドのアレイをテープ近くで大まかに位置決めしてもよい。こうすれば、多数の光ヘッドを使用する際の複雑さを大幅に減じることができる。
【0136】
図42を参照して、ヘッド駆動機構4102は複数の光ヘッド4202を含んでいてもよく、ヘッドは各々自身のサーボ制御されるアクチュエータおよび位置決めシステムを有する。これら光ヘッド4202を、各光ヘッド4202が光テープのゾーン4204内のデータの読取および書込を担当するように配置してもよい。ある実施の形態において、光テープのゾーン4204は多数の光テープトラックであってもよい。テープゾーン4204またはトラックすべてをカバーするのに十分な光ヘッド4102がヘッド駆動機構1102にある。各光ヘッド4202は、他の光ヘッド4202に影響を及ぼすことなく、光ヘッド4202のゾーン4204内の記録トラックのいずれかに位置決めされることができるであろう。各光ヘッド4202の移動範囲は、その全体が、サーボ制御されるアクチュエータの移動範囲内であろう。加えて、各光ヘッド4202に対する焦点制御は、光テープの回転中に、光テープの最初から最後まで移動する際に、各光ヘッド4020が焦点を維持できるようにするのに十分な移動範囲を有し得る。焦点の維持は、光テープの移動のいずれの方向であってもよい。
【0137】
再び図41のテープドライブを参照して、光テープの位置を固定するガイド部材4112はなくてもよい。したがって、ヘッド駆動機構4102は、横方向に移動し回転して光テープに対する適切な向きを保つ。ある実施の形態において、ヘッド駆動機構4102は自身の閉ループサーボシステムを有していてもよく、情報は個々の光ヘッド4202から得られる。このシステムの利点は、ヘッド駆動機構4102が光ヘッド4202からのセンサ情報を使用し得る点にあり、ヘッド駆動機構4102のための追加のセンサは不要であろう。
【0138】
システムおよび方法は、媒体の両側にヘッド駆動機構4102および4110を設けることができるようにしてもよく、少なくとも2つのヘッド駆動機構4102および4110を同一のヘッド駆動システムに接続してもよい。
【0139】
図42は、多数の個別のヘッド4202を含むヘッド駆動機構の実施の形態を示す。ある実施の形態において、ヘッド駆動機構4102内の個々の光ヘッド4202の数は、ヘッド駆動機構4102の大きさ、ならびに、カバーする必要があるトラックの数および光テープの幅に基づくであろう。たとえば、光学式媒体上に1000のトラックがあり個々の光ヘッド4202が各々ゾーン4204内の200のトラックをカバーできるのであれば、ヘッド駆動機構4102に個々の光ヘッド4202は5つだけあればよい。ある実施の形態において、光ヘッド4202の数は、トラックの数および個々の光ヘッド4202がカバーし得るトラックの数に直接関連していなくてもよい。個々の光ヘッド4202間でいくつかのトラックが重複している場合は一定数のトラックに必要な光ヘッドの数4202は増すであろう。各光ヘッド4202は、焦点合わせおよびデータトラック捕捉双方の制御機能について独立していてもよい。各光ヘッド4202を専用ゾーン4204内の複数のデータトラックのいずれかに対して位置合わせしてもよい。
【0140】
ある実施の形態において、光テープドライブは、本明細書に記載のように光テープ媒体を用いた高密度記憶に適したものにしてもよい。
【0141】
典型的なテープドライブには、媒体を、カートリッジリールからヘッド駆動機構を通過させて巻取リールまで案内する回転ローラがある場合がある。この機械加工されたローラの目的の1つは、カートリッジおよび巻取リールによって生じる横方向のテープの動きを減じることであろう。しかしながら、リールよりも高い周波数ではローラ自体が横方向のテープの動きを生じさせる可能性がある。実施の形態では、ヘッドアセンブリのためのサーボ制御された位置決めシステムは、このようなシステムがリールの低周波数の動きを補償する機能を有していてもよく、これを改善し、ローラのより高い周波数に対する機能よりも優れたものにしてもよい。
【0142】
図43を参照して、ヘッド駆動機構4102をテープの末端4302に対して再び方向付ける実施の形態が示されている。ある側面では、テープガイドシステムにおいて、着脱可能なカートリッジリール4104と巻取リール4108との間の個別のガイド機構はない。着脱可能なカートリッジ4104をテープドライブに挿入すると、媒体は、媒体のカートリッジ内のリーダ材料に装着される巻取リーダを用いて巻取リール4108に引張上げられるであろう。
【0143】
ヘッド駆動機構4102は、カートリッジリール4104と巻取リール4108との間に位置決めしてもよい。ヘッド駆動機構4102を、ヘッドアセンブリから媒体までの距離を正確に制御できるよう横方向の位置決めを行なうことができる機構上に配置してもよい。非接触記録の場合、ヘッドは媒体から一定の距離の場所に位置する必要があるであろう。媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、テープの角度は絶え間なく、各リール上のテープ量の変化に応じて変化するであろう。媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、ヘッド駆動機構4102は媒体までの距離の変化に合わせて調整されてもよい。ヘッド駆動機構4102は、ヘッド駆動アセンブリ4102に対する媒体の角度の変化に合わせて調整されてもよい。ヘッド駆動機構4102の正確な位置は、サーボ制御される機構の補償システム内のアルゴリズムによって決定してもよい。
【0144】
このテープ経路における横方向のテープの動き(lateral tape motion LTM)は、供給リール4104および巻取リール4108からしか生じないであろう。ある実施の形態において、これら2つの構成要素に対する製造誤差を、テープの幅よりも千分の数インチ大きくなるように制御してもよい。したがって、テープはガイドローラを使用せずに十分にガイドすることができる。LTMの周波数は、実質的にリールの回転周波数であってもよく、その周波数は10〜400Hzであってもよい。この周波数は、ガイドローラが導入し得る周波数よりもはるかに低く、ガイドローラ4112のLTMの周波数は何百ヘルツにもなる。より低い周波数では、サーボ制御されるヘッド駆動機構4102の位置決めシステムは、約1Hzの帯域幅を用い非常に効率的である。ヘッド駆動機構4102のサーボ制御部は、リールからリールへのテープの移動によって生じるより低い周波数のLTMに対し、より良く調整されることができるであろう。高効率位置決めヘッド駆動機構4102は、テープトラッキングが改善され、したがってより高密度のテープトラックの読取および書込を行なうことができる。
【0145】
ある実施の形態では、回転するガイド部材4112がない形態に依拠していてもよいが、ヘッド駆動機構4102における媒体の位置の一貫性を保つために1つ以上の固定された非回転ガイド4112を備えることも可能であろう。
【0146】
ある実施の形態では、媒体の両側にあるヘッド駆動機構4102、4110を使用できるようにしてもよい。その理由は、ガイドローラ4112を原因とする余分な摩耗が片側で生じないであろうためである。第2のヘッド駆動機構4110を使用し媒体の反対側にデータを記録することにより、高密度記録も増す。
【0147】
レーザヘッドトラッキングシステムは、動いている光テープ媒体上のデータの位置を、この媒体上に先に書込まれたデータに対し媒体上の正しい位置にデータを書込むために、トラッキングし得る。
【0148】
図44を参照して、本発明のある実施の形態が示されている。トランスデューサアセンブリ4402が設けられていてもよく、これは、レーザ光源4404と、ビームスプリッタ4408と、検出器4410と、移動可能なレンズ4412とを含み得る。移動可能なレンズ4412は、トランスデューサアセンブリ4402の残りの部分とは独立して移動してもよく、または、トランスデューサアセンブリ4402とともに、一体化されたものとして移動してもよい。レーザ光源4404が提供し得る光は、移動可能なレンズ4412によってその焦点を媒体上に合わせることができる。この光が反射し移動可能なレンズ4412を通して反射してビームスプリッタ4408に戻ると、ビームスプリッタはこの反射光を検出器4410に導き得る。検出器4410は、媒体から反射した光を解釈できるプロセッサと関連付けてもよい。
【0149】
媒体上の情報の位置は、トランスデューサ4402を用いて求めてもよく、トランスデューサは、以前に媒体に書込まれたであろう情報の位置を測定し得る。ある実施の形態では、書込装置4414が情報を書込む、次の正確な位置を、計算し得るプロセッサを設けてもよい。書込装置4414は、レーザ光源と、ビームスプリッタと、検出器と、移動可能なレンズとを含み得る。書込装置4414は、書込装置4414をデータを書込む位置に位置決めし得るアクチュエータ4424を有していてもよい。アクチュエータ4424は、移動可能なレンズを、または、書込装置4414のアセンブリ全体を移動させてもよい。書込装置4414は新たな情報を媒体上に書込むことができる。
【0150】
ある実施の形態において、書込装置4414は、トランスデューサ4402からの位置決め情報を、エラー訂正フィードバック機構4418を通して受けてもよい。ある実施の形態では、トランスデューサ4402は、媒体上に先に書込まれたデータ4420を読取ることができるとともに、位置決め情報をエラー訂正機構4418に与えることができる。情報の提供はリアルタイムであってもよい。先に書込まれたデータ4420は、トランスデューサの検出器4410が受けることができる。検出器4410は、この先に書込まれたデータ4420の位置を、エラー訂正フィードバック機構4418に与えてもよい。訂正フィードバック機構4418は、先に書込まれたデータ4420の位置決め情報を、移動可能なレンズアクチュエータからも受けることができる。ある実施の形態において、エラー訂正フィードバック機構4418は、トランスデューサの検出器4410および移動可能なレンズアクチュエータ双方から受けた、先に書込まれたデータ4420の位置決め情報を、組合わせるための論理を含み得る。ある実施の形態では、エラー訂正フィードバック機構4418が、情報を書込む次の位置4422を計算してもよく、次の位置4422は書込装置4414に与えられてもよい。
【0151】
ある実施の形態において、書込装置4414は、位置決め情報をエラー訂正フィードバック機構4418から受けてもよい。ある実施の形態では、書込装置4414は、位置決め情報を直接書込アクチュエータ4424から受けてもよい。ある実施の形態において、書込装置4414は、位置決め情報をプロセッサから受けてもよく、このプロセッサはデータを媒体に書込む、次の位置4422を、計算し得る。ある実施の形態では、データを書込む次の位置4422は、トランスデューサ4402が読取った、先に書込まれたデータ4420と関連している可能性がある。
【0152】
ある実施の形態において、次に書込まれるデータ4422は、先に書込まれたデータ4420に対し、設定された位置にあってもよく、この設定位置は、読取/書込論理の一部でもよい。この場合は位置決め情報を、書込まれるデータ4422に書込む必要はない。
【0153】
ある実施の形態において、次に書込まれるデータ4422は、先に書込まれたデータ4420に対し、設定された位置になくてもよく、データとデータの間隔を媒体に書込まれるデータの一部として書込んでもよい。
【0154】
ある実施の形態において、次に書込まれるデータ4422は、システム変数に基づく設定位置にあってもよい。このシステム変数は必要なデータ密度に基づいていてもよい。ある実施の形態では、位置情報を、書込まれるデータ4422に書込まなくてもよい。ある実施の形態では、システム変数を、トランスデューサ4402、書込装置4414、エラー訂正フィールドバック機構4418などに保存してもよい。
【0155】
ある実施の形態において、高速かつ正確な信号処理のために、受信信号の多重復調を光テープ機構に含めてもよい。
【0156】
多重復調器が受信する、変調された信号は、振幅、位相、周波数など、複数の情報を表わし得る。この情報は、電子的に受信された、送信された通信信号、温度、電気機械装置の位置および速度などであってもよい。
【0157】
これら変調された信号はまた、種類が異なる製品を識別し得るとともに、これら製品の特性、たとえば製品の種類、製品のシリアルナンバー、製品の特徴的な要素、電子的または光学的に送信可能な属性などを、識別し得る。
【0158】
多重復調器は、受信した信号の種類および瞬時値を、その形状および搬送周波数に基づいて求めてもよい。この情報はホスト装置に与えてもよい。このホスト装置は、復調器から与えられた上記種類および瞬時値の情報に基づいて、装置の動作に関する1組の規則および決定を適用してもよい。
【0159】
このシステムのリアルタイム復調機能によって、通信システム、電気機械制御システムなどにおけるリアルタイムデータおよび信号処理といったアプリケーションについて、高速かつ正確な信号処理が可能になるであろう。
【0160】
図45を参照して、復調器4500のハイレベルの実施の形態が示されている。復調器4500は、信号を受けて調整する信号変調器入力装置4502と、複合信号S(t)を復調して個々の出力にすることができる信号復調器装置4504とを含み得る。信号の調整は、信号の増幅、信号のフィルタ処理、アナログデジタル変換などを含み得る。変調された信号S(t)は、復調器4500が受信することができ、式1によって示されるように、異なる搬送周波数を有する多種の変調信号のうちの1つを表わす1つの変調信号であってもよい。変調信号S(t)は式2に示されるようにこれら変調信号の和であってもよい。
【0161】
【数2】
【0162】
復調器4500は、受信した信号S(t)内に複数のSk(t)信号が存在すると判断することができ、また、S(t)内に示される任意のSk(t)信号の瞬時値を復調することもできる。
【0163】
図46を参照して、復調器のより詳細な実施の形態が示されている。ある実施の形態において、信号S(t)を、まず装置の入力インターフェイス(Din)4502によって調整してもよく、次に信号復調器104内の1組の相補フィルタによって処理してもよい:[FP1&FQ1]、[FP2&FQ2]、…[FPk&FQk]。
【0164】
この相補フィルタは、S(t)信号内の異なる信号Sk(t)の存在および種類を求めてもよく、かつ、信号の種類を1組の出力信号TYP1、TYP2、…TYPkによって報告してもよく、これらの瞬時値(リアルタイム)の大きさをS1(t)、S2(t)、…Sk(T)によって報告してもよい。
【0165】
復調プロセスはアナログでもデジタルであってもよい。アナログ設計のDin4502機能は、処理のために入力信号S(t)のレベルおよび振幅を調整することであってもよい。デジタル設計のDin4502はアナログデジタル変換器(ADC)であってもよく、S(t)n(S(t)n=TsサンプルレートでサンプリングされたS(t))のレベルおよび振幅を、システムマイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)によって後に調整してもよい。相補フィルタの動作は、[FP1&FQ1]、[FP2&FQ2]、…[FPk&FQk]であってもよい。
【0166】
受信信号S(t)は下記の1組の式によって説明できる。
P1=S(t)*L(t)1
Q1=S(t)*M(t)1
P2=S(t)*L(t)2
Q2=S(t)*M(t)2
:
:
Pk=S(t)*L(t)k
Qk=S(t)*M(t)k
式中、L(t)kは、周波数wkが信号の搬送周波数と対応付けられる矩形関数であってもよい{Sk(t)*sin(wk*T)}。M(t)kは、周波数wkがL(t)k信号の位相から90度ずれている矩形関数であってもよい。
【0167】
さらなる処理によって下記のものを得ることができる。
FP1=AVE(P1)
FQ1=AVE(Q1)
FP2=AVE(P2)
FQ2=AVE(Q2)
:
:
FPk=AVE(Pk)
FQk=AVE(Qk)
式中、AVE(Pk)およびAVE(Qk)は、PkおよびQk信号のリアルタイムの累積和平均であってもよい。
【0168】
フーリエ変換の定理から、下記のものを導出することができる。
S1(t)∝FP1+FQ1
S2(t)∝FP2+FQ2
:
:
Sk(t)∝FPk+FQk
式中の∝は比例を示す。
【0169】
このように、任意の信号Sk(t)の振幅、またはこの信号がS(t)内に存在するか否かを、この方法によって求めることができる。
【0170】
ある実施の形態において、本明細書に記載の光テープ機構を、インラインECCでインタリーブされたマルチチャネルECCを用いてエラー訂正用に構成してもよい。
【0171】
ユーザデータをフォーマットしてKバイトブロックの論理データにしてもよい。Kバイトブロックの論理データに対し、ECCシンボルブロックを生成して、Kバイトブロックの論理データとこのECCシンボルブロックとを含み得る1つのECCエンティティを生成してもよい。このECCエンティティをECC符号化方式(C+D、D)と呼んでもよく、C+DはECCエンティティを構成するブロックの総数、Dは生成し得るECCブロックの数でもよい。Dはまた、テープ読取中にECCエンティティにおいて訂正し得るブロックの数であってもよい。
【0172】
データをフォーマットしてECCエンティティにすると、エンティティを構成し得るデータのブロックは、Kバイトブロックのデータのうち何バイトかのエラーデータを訂正し得るチャネル毎のECCを用いて符号化することができる。フォーマットされたデータブロックをインタリーブすることにより、テープ上にこれから記録するECCブロックを生成してもよい。このECCブロックは、テープ上に多ブロックで記録されるECCフレームを形成するチャネルECCエンティティからの多重インタリーブされたブロックであってもよい。
【0173】
ある実施の形態において、読取プロセス中、インラインECCは、インタリーブされたKバイトブロックのデータ当たり、最大10バイトのエラーデータを訂正し得る。データ読取の際、エラーがある可能性があるブロックは、約10バイトまで訂正することができる。ECCがデータを訂正できなければ、エラーのあるブロックを、テープ上の他のトラックに記録されたデータを使用し得るクロスチャネルECCによって訂正してもよい。
【0174】
ある実施の形態における、駆動機構の複数の光ヘッドのためのサーボトラッキングシステムについて説明する。これは上記複数の光ヘッドに対しフィードフォーワードトラッキング信号を与えることができる。
【0175】
図47を参照して、フォーマットされた光テープ媒体4710は、複数のトラックゾーン4702(N個のトラックゾーン)を有していてもよい。複数のトラックゾーン4702各々の中に複数のトラック4704(K個のトラック)があってもよい。
【0176】
複数のトラックゾーン4702は各々、その専用の光読取/書込ヘッド4708を有していてもよい。このようにして、光テープが静止ヘッド4708を通過する際に、並列データストリーミング方式でデータを光学式媒体4710から読取り光学式媒体4710に書込むことができる。
【0177】
複数トラックゾーン4702各々についてのトラック位置ずれ(TMh)は、2つの主な要素によって支配されるであろう。トラック位置ずれは、光ヘッド4708に対する個々のトラックの動きであると言える。横方向のテープの動き(LTM)4712は、すべてのヘッド4708に共通である可能性があり、各ヘッド4708の残りの動き4714(RMh)は各ヘッドに特有のものである可能性がある。LTM4712は、ヘッド駆動機構に対する光テープ媒体4710の動きである可能性がある。したがって次のように表わされる。
【0178】
TM1=LTM+RM1
TM2=LTM+RM2
TM3=LTM+RM3
:
:
TMN=LTM+RMN 式1
読取/書込ヘッド4708と同一でもよい複数のトラックゾーン4702各々のためのサーボ検知ヘッドは、その複数トラックゾーン4702専用の特定のヘッド4708に対する各トラックの相対的な動きしか検出できないかもしれない。サーボ検知ヘッドは、特定の複数のトラックゾーン4702のTMhの合計値しか求めることができないかもしれない。TMhは、相対的な移動信号であってもよく、これを複数のトラックゾーン4702各々の装置サーボシステムにおけるフィードバック信号として使用してもよく、この装置サーボシステムはサーボ性能について予め定められた帯域幅機能を有していてもよい。
【0179】
ヘッド駆動機構は、複数のヘッド4708を使用し得るものであり、複数のトラックゾーン4702について、すべてのTMhの合計(SUM)を装置サーボプロセッサによって計算することにより、サーボシステムが、各ヘッドについてTMhの合計へのTMhおよびRMhの貢献度を求めるのを、次のようにして支援してもよい。
【0180】
LTM4712はすべてのヘッドに対して同一であるであろうため、式1から、すべての光ヘッド位置ずれの合計は次のようになる。
【0181】
SUM=TM1+TM2+TM3+…+TMN=N*LTM+(RM1+RM2+RM3+…RMN)
したがって、LTMは次のようにして求められる。
【0182】
LTM=SUM/N+(RM1+RM2+RM3+…RMn)/N 式2
式2の項(RM1+RM2+RM3+…RMn)/Nにおいて、組合わされたRMhは、組合わされたTMhの貢献度とは相関関係のない要素であり、その値はNが増加すると大幅に減少し得る。したがって、LTM4712の値を以下の式で近似してもよい。
【0183】
LTM=SUM/N(近似) 式3
LTM4712は、すべてのヘッド4708に対して絶対的で共通する値であってもよく、LTM4712は、個々のヘッドセンサの動きから独立し得る。式3の近似されたLTMを各ヘッド4708および複数のトラックゾーン4702のサーボシステムのためのフィードフォワード信号として用いて、各ヘッド4708に対するサーボエラー抑制性能を改善してもよい。LTM4712のフィードフォワード信号を、改善された光ヘッドトラッキングのために、個々の光ヘッド0708のRM信号と組合わせてもよい。
【0184】
ある実施の形態における、サーボ情報の読取、復調、および復号のための方法およびシステムについて説明する。
【0185】
サーボトラック情報は、光テープ媒体上の予めフォーマットされた情報でもよい。この予めフォーマットされた情報は、データおよび符号化同期パターンおよびトラックアドレスを含み得る。サーボマーキングを光テープ媒体上に置くことによって、サーボ復調器によって媒体から取出され得る正弦波パターンを生成してもよい。
【0186】
図48を参照して、トラックアドレスおよびデータ同期情報を含む信号を生成するのに使用し得る正弦波パターンの位相反転の実施の形態が示される。
【0187】
ある実施の形態において、正弦波の周波数は、変調の搬送周波数を決定し得るものであり、かつ同期復調器/復号器に対しタイミングを与え得るものである。パターンの各8サイクルはセルを表わし得る。ある実施の形態において、Nサイクルパターンを正弦波信号に使用してもよい。各セルは同期およびアドレスビットに関する信号を搬送し得る。セル内の正弦波の位相の4サイクルの反転は、同期パターンビットでもよい「1−1」ビット4802を示し得る。この同期パターンは、アドレスサブフィールドの開始を示し得るものであり、同期を取るのに使用し得る。アドレスサブフィールドにおいて、セル内の最初の2つの正弦波サイクルの位相の反転は「1−0」4804を示し得る。これは、アドレスのビット「1」として復号し得る。セル内の第2の2つのサイクルの位相の反転「0−1」4808は、アドレスのビット「0」として復号してもよい。
【0188】
復号器は、検出された正弦波信号を遅延させこれを検出された信号から減算するために、アナログまたはデジタル遅延4810を使用してもよい。図48において、遅延4810は4サイクル遅延として示されているが、遅延4810は任意の数のサイクルでよい。これは、位相変調されたパターンにおける位相の反転を検出する大まかな方法である。なぜなら、これは、位相シフトされた正弦波そのものの形状を利用するからでありパターンのタイミング特性を利用するのではないからである。
【0189】
加えて、同期整流器4812、再設定可能な積分器4814、およびレベル検出器4818を用いて、図48、図49、および図50に示されるように同期およびアドレスパターンを復号してもよい。
【0190】
図49を参照して、8ビットアドレスフィールド4902および同期ビット4904の実施の形態が示される。8ビットアドレスフィールド4902は、図48について説明したように位相反転正弦波信号の組合せであってもよい。「1−0」4804は「1」ビット4908を表わし、「0−1」4808信号は「0」ビット4910を表わし得る。同期ビット4904は、アドレスサブフィールドの開始を示し得るものであり、同期に使用し得る。
【0191】
図50を参照して、サーボ復調器/復号器5000のブロック図の実施の形態が示されている。復調器/復号器5000は、正弦波サーボ信号を同期およびアドレスビット情報に復調および復号し得る。復調器/復号器5000は、遅延フィルタ5002、第1のしきい値検出器5004、PLL5008、同期装置5010、同期された整流器5012、同期された再設定可能な積分器5014、および第2のしきい値検出器を含み得る。
【0192】
光テープエンボス加工のためにニッケル電気鋳造シム(shim)を作るための工具の製造方法が本明細書に開示される。この工具はPDMSシム原型とも呼ばれている。
【0193】
図51を参照して、複数の無地の石英板5110のうち1つを、硬質相開口フォトマスク製造エッチングプロセス5114を用いてエンボス加工パターン5112でエンボス加工してもよく、その結果未加工のマスタ(master)5116が得られる。未加工のマスタ5116を1つ以上の疎水性コーティング5118で加工してもよく、これにより、5120の化学結合アルキルシロキサンまたはポリジメチルシロキサンの「シリコン処理された」表面マスタ5122(United Chemical Technologiesのガラスクラッド18またはガラスクラッド6C)が作られる。
【0194】
無地の石英板5110は、酸素プラズマ洗浄5124してもよく、これにより、洗浄された石英板5126となる。原料PDMS5128(ダウコーニングシルガード184またはその均等物)を脱ガス5130してもよく、これにより、脱ガスされたPDMS5132を生成する。脱ガスされたPDMS5132を、シリコン処理された表面マスタ5122に与え、洗浄された石英板5126を、脱ガスされたPDMS5132の露出した表面に対して真空バギング(vacuum bagging)または空気圧プレス結合5134することにより、未硬化の板積層体5135が得られる。
【0195】
次に未硬化の板積層体5135をホットプレート5136上で硬化させてもよい。次に硬化した板積層体5138を分離する5140ことにより、エンボス加工されたPDMSフィルム5142、硬化したシリコン処理された表面マスタ5144、および硬化した石英板5146が得られる。
【0196】
エンボス加工されたPDMSフィルム5142は、収縮がゼロに近い石英の未加工のマスタ5116の複製であってもよく、ニッケルのシム(図示せず)の電気鋳造5148にさらに使用してもよい。エンボス加工されたPDMSフィルム5142の、フォトポリマーまたはフォトレジスト複製品に対する利点には、ニッケル電気鋳造された原型を外しやすいことおよび信頼性の高いパターン複製が含まれる。
【0197】
電気鋳造されたニッケルエンボス加工ドラムを、2つ以上の別個のニッケル電気鋳造品を用いて製造する方法が、本明細書に開示される。
【0198】
図52を参照して、複数のニッケル電気鋳造品5210は、従来のPVDマスタリング技術(レーザビームレコーダ)、フォトポリマー原型、PDMS原型、およびエッチングされた石英マスタから作られたフォトレジスト原型を含む組から選択されるプロセスを用いて製造してもよい。
【0199】
ニッケル電気鋳造品5210を、そのエッジが電気鋳造されたフォーマットに沿って並ぶように精密カットしてもよい。精密カットは、樹脂結合ダイヤモンド研削砥石を用いる研削機によって行なってもよい。
【0200】
ステンレス鋼またはアルミニウムの有孔シムストック5230は、その厚みの可能な範囲が0.003インチから0.010インチであり、ニッケル電気鋳造品の幅およびニッケル電気鋳造品の長さの倍数とほぼ等しくなるように切断してもよく、結果として、長さが実質的にエンボス加工ドラム(図示せず)の円周に等しいステンレス鋼またはアルミニウムのシム5230が得られる。
【0201】
シムストック5230を、測定顕微鏡上の磁気チャック上に配置するとともに台の移動軸と平行になるよう位置合わせしてもよい。
【0202】
第1のニッケル電気鋳造品5210Aを、先端5215がシムストック130からずれるように配置するとともに磁気チャックによって適所で保持してもよく、磁力を調整してニッケル電気鋳造品5210を移動させるようにしてもよい。ニッケル電気鋳造品5210を上記台の移動軸と平行になるように調整してもよい。十分な力を磁気チャックに加えることによりニッケル電気鋳造品5210がシムストック5230と密接するようにするとともに、シアノアクリレートを使用してニッケル電気鋳造品5210の端部を接着してもよい。
【0203】
第2のニッケル電気鋳造品5210Bを、第1のニッケル電気鋳造品5210Aの隣に配置して第1のニッケル電気鋳造品5210Aと位置合わせし、適所で接着してもよい。これに続くニッケル電気鋳造品5210を、先に配置した電気鋳造品5210の隣に、それと位置合わせされるように配置し、接着してもよい。この配置、位置合わせ、接着という手順を、所望の数のニッケル電気鋳造品5210になるまで繰返してもよい。
【0204】
結合されたニッケル電気鋳造品5210を有するシムストック5230を、シムストック5230の長軸に垂直な電気鋳造品の各継ぎ目5250で、レーザ溶接してもよい。先端5215の継ぎ目の位置合わせおよび結合を、適切な曲率半径を有する凸型磁気チャック上で行なってもよい。先端5215の継ぎ目はまた、この凸型磁気チャック上でレーザ溶接してもよい。
【0205】
この組立体を磁気チャックから取外し、シムストック5230の内径の継ぎ目をレーザ溶接するとともに、結果として得られたドラムの内径のすべての孔にシアノアクリレートを与えてもよい。
【0206】
本明細書において、光テープシステム内で光テープ媒体を搬送するためのローラガイド装置について説明する。
【0207】
図53を参照して、ローラシャフト5300は、中心棒5330のねじ切りされた端部5320の近傍に大きなフランジ5310を有する。フランジ5310は、隆起している環状部5340の少なくとも底面5315が中心棒5330の長軸に実質的に垂直となるように精密に機械加工してもよい。面5315が確実に垂直となるようにするための方法は、機械旋削を含む。端部5320をベースプレートの予め定められた直径の穴に挿入したときに、環状部5340の面5315がベースプレートの面と接触するようにすることにより、ローラシャフト5300が確実にベースプレートに対して垂直になるようにしてもよい。ローラシャフト5300を、ねじ切りされた端部5320に挿入し得るねじ(図示せず)によってベースプレートに固定してもよい。
【0208】
フランジの内面5350は、適切な力を受けると可撓性を示すものであってもよい。内面5350が可撓性を有することにより、ベースプレートに対するローラシャフト5310の高さを正確に調整できる。ローラシャフト100をベースプレートに固定するねじをさらに締めると、中心棒5330はベースプレートの穴の中にさらに引き寄せられる。環状部5340の面5315がベースプレートの面上にある状態で、内面5350が撓むと、中心棒5330の高さを調整する一方でベースプレートに対して正確に垂直な状態を維持することができる。フランジの内面5350は内蔵されたばねとして作用し、典型的には1ミクロンよりも良い非常に正確な高さ制御を可能にする。移動範囲および調整の精度に貢献する要素は、ローラシャフト5300の材料、中心棒5330の直径、フランジの内面5350の厚み、およびねじ切りされた端部5320におけるねじのピッチを含む。
【0209】
図54を参照して、ローラアセンブリ5400を適用することにより、テープの損傷を少なくし制御を向上させてもよい。ローラアセンブリ5400は、ローラ本体5410と、ストップ5420と、軸受5430と、ローラシャフト5300とを含む。この可能な実施の形態において、ローラ本体5410は円筒形で中空であってもよい。ローラ本体5410の壁をできる限り薄くすることにより、回転慣性を最小にして、横方向のテープの動き(LTM)を少なくしテープの摩耗を減じテープの乱れを少なくしてもよい。
【0210】
ストップ5420は、直径がローラ本体5410よりもわずかに大きい実質的に円形のディスクであってもよく、ローラ本体5410の各端部に組付けてもよい。ストップ5420を研磨することにより適切な平坦性が得られるようにしてもよい。ストップ5420は、テープを垂直方向に案内し、横方向のテープの動きの効果を減じるために、かつ、テープドライブの能力を向上させることにより高密度のデータ記録が得られるようにするために、使用されてもよい。ストップ5420とローラ本体5410との間の移行領域5440は、正確に90度の角部であってもよい。ストップ5420間の距離は、テープの幅よりもわずかに広く(約5ミクロン)なるように設計してもよい。
【0211】
テープの性質上、テープの片方のエッジがストップ5420のうち一方に当たる。このため、ローラ本体5410とストップ5420の境界部である移行領域5440が、テープに影響を及ぼすであろう。移行領域5440にフィレット(fillet)を設けないことにより、テープを平坦な状態で保ちテープの変形をなくすことができる。これにより、テープのエッジの寿命が延び、テープドライブがLTMを制御する機能を保つ。
【0212】
ローラ本体5410の反対側でストップ5420に組付けられたころ軸受5430は、滑らかな軸受表面を提供することにより、ローラ本体5410およびストップ5420の組立体が、ローラシャフト5300を中心として滑らかに回転するようにする。
【0213】
本明細書において、螺旋状搬送装置、および、光テープシステムにおける光テープ媒体に対してこの螺旋状搬送装置を使用する方法について説明する。
【0214】
図55を参照して、本発明の可能な実施の形態は、下側のリール5510および上側のリール5520を有するテープ搬送装置を含み、テープ5530を下側のリール5510と上側のリール5520との間で搬送できる。この可能な実施の形態はさらに複数のローラ5540を含み、これらローラは、テープ5530が下側のリール5510と上側のリール5520との間で搬送されている間テープ5530を支持するために、実質的に螺旋状の経路5550に沿って配置され、これにより、効果的にテープ5530を実質的に螺旋状の経路において螺旋状に進める。
【0215】
ローラ5540は、ローラ5540の回転軸5560が螺旋経路5550に対して垂直となるように、フレーム(図示せず)上に置いてもよい。下側のリール5510および上側のリール5520の回転軸も螺旋経路5550に対して実質的に垂直であってもよい。結果として得られる下側のリール5510から上側のリール5520までのテープ経路の距離は、ローラ5540の数および間隔に依存するであろう。
【0216】
本発明の別の実施の形態において、螺旋経路5550のループの数は図55に示されるものよりも多くても少なくてもよい。
【0217】
本発明の別の実施の形態において、インターフェイスヘッド5560を螺旋経路5550に沿って配置して、テープ5530からの情報の読取およびテープ5530への情報の書込といった動作を行なってもよい。テープ5530は、光学式媒体および磁気媒体を含む組からの媒体を含み得るものであるが、別の種類のものであってもよい。ヘッド5560の数および種類は図55に示されるものよりも多くても少なくてもよい。
【0218】
図56を参照して、図55の可能な実施の形態を上から見た図が示されており、下側のリール5510および上側のリール5520はこれらの回転軸に沿って実質的に位置合わせされている。しかしながら、他の実施の形態では下側のリール5510および上側のリール5520の向きを互い違いにすることも可能であろう。
【0219】
本発明の別の実施の形態において、下側のリール5510および上側のリール5520を、テープ製造手段、テープフォーマット手段などを含むテープ5530を搬送するための他の手段と置き換えてもよい。
【0220】
本明細書に記載の調整可能なローラガイドを用いて、光テープシステムにおける光テープ媒体の高さを正確に調整してもよい。
【0221】
図57を参照して、磁石5720がローラ5710の上面および/または底面に装着された回転ローラ5710は、シャフト5730を中心として回転する。ローラ5710は、シャフト5730に沿って軸方向に自由に移動してもよい。磁石5740または電磁コイル5750を、シャフト5730も装着されているフレーム5770に装着してもよい。シャフト5730の反対側の端部に、電磁コイル5750または磁石5740を装着してもよい。
【0222】
コイル5750に送られた横方向位置エラー信号に応じて、コイル5750の磁界を変化させる電流を印加することにより、磁石5720(および結果的には装着されたローラ5710)をシャフト5730に沿って移動させてもよい。このローラ5710の移動の目的は、ローラ5710によって案内されているテープを調整することにより、テープの横方向の位置の望ましくないずれを補償することであってもよい。ローラ5710がテープ位置のずれを補償すると、位置エラー信号は減少するであろう。
【0223】
本発明のある実施の形態を、ローラ5710の位置の調整にも使用して、幅が異なるテープに対応してもよい。第2の静止ローラを備えた実施の形態において、ローラ5710をシャフト5730に沿って移動させることにより、テープを、ローラ5710上の上または下フランジ5760と、第2のローラ上の下または上フランジとの間で「捕える」ことができる。この実施の形態は、幅の狭いテープに使用するのに非常に適しているであろう。これに代えて、幅が広いテープに対し、ローラ5710を、上フランジまたは下フランジ5760が静止ローラの上フランジまたは下フランジの位置と一致するように位置決めしてもよい。
【0224】
複数のローラ5710を備えた別の実施の形態において、各ローラを、テープの幅に基づいて位置決めすることにより、高密度のトラッキングを可能にしてもよい。
【0225】
本明細書に記載の、継ぎ目のないドラム上にウォブル(wobble)サイクルを書込むことは、光テープ媒体のエンボス加工にとって有用であろう。その結果、調整を使用するようにされた光テープシステムにとって有利な調整ゾーンが得られるであろう。
【0226】
図58Aを参照して、中央の直径5850が外側のエッジの直径5860よりも小さい典型的なウォブルサイクルエンボス加工ドラム5800は、テープ媒体の幅にわたってさまざまな数のエンボス加工されたウォブルサイクルを与える。
【0227】
図58を参照して、本発明の実施の形態のウォブルサイクルエンボス加工ドラム5800は、ドラムエンボス加工領域5810と、索引マーク5830と、ウォブルサイクル5840とを含む。エンボス加工ドラム5800の最大直径およびエンボス加工ドラム5800の最小直径を含む組から選択される情報を用いて、ウォブルサイクル5840書込方法を調整することにより、調整ゾーン5820がエンボス加工ドラム5800の長さにわたって確実に存在するようにしてもよい。
【0228】
図59を参照して、各ウォブルサイクル5910〜5940を書込むことができる外周に沿うエンボス加工ドラム5800の直径に基づいて、ウォブルサイクル5910〜5940は、ドラム5800の周りの索引マーク5830から延び、調整ゾーン5820の中まで延びていてもよいが、調整ゾーン5820を越えて延在することはない。図59の可能な実施の形態において、ウォブルサイクル5910は調整ゾーン5820の先端5950まで延びており、ウォブルサイクル5920、5930、および5940はすべて調整ゾーン5820の中まで延びている。
【0229】
本明細書に記載の装置は、光テープシステム内の光ピックアップヘッドの下に光テープ媒体を位置決めするための、位置的および平坦化サポートを提供してもよい。
【0230】
図60は、テープ媒体の位置的および平坦化サポートの可能な実施の形態を示す。サポート6010は、入口面6020と焦点チャネル6030と出口面6040とを含み得る。入口面および出口面は、実質的に細長い、面取りされた円筒の形状であってもよい。入口面および出口面の円筒形状は各々、半径面を有していてもよく、この半径面は1mmから100mmの範囲であってもよい。入口面6020は、テープ媒体の平面的な摂動を除去するためにテープ媒体が摺動する面を形成してもよい。テープ媒体は入口面6020の長軸に対して実質的に垂直な方向に移動する。
【0231】
焦点チャネル6030は、入口面6020を出口面6040から分離する狭いチャネルであってもよく、可能な分離幅として、約0.1mmと約3mmとの間の幅を形成する。テープ媒体は、入口面6020から出口面6040へと移動する際に焦点チャネル6030の上を通り、出口面6040はテープ媒体の平面的な摂動を除去し得る。
【0232】
図61を参照して、これは図60の発明の可能な実施の形態の端面図であり、焦点チャネル6030は、テープ媒体が入口面6020上を通過する際にテープ媒体の平坦性を損ない得る、テープ媒体の小さな欠陥および/または入口面6020における小さな欠陥が、テープ媒体が焦点チャネル6030上に配置されたテープ読取/書込ヘッド6110の下を通過する際にテープ媒体の平坦性に有害な影響を与えないようにする。
【0233】
図61を参照して、入口面6020および出口面6040は、曲面における不連続部分を形成しており、この不連続性は焦点チャネル6030が形成している。これらの面のこのような曲面形状により、移動するテープ媒体6120は確実に、平坦化をもたらすこれら面との接触状態を実質的に保つであろう。焦点チャネル6030の可能な幅は約0.1mmと約3mmとの間であり、これにより、テープ媒体6120は確実に、実質的に平坦で、テープ媒体の読取/書込ヘッド6110の下を移動する際に平坦な形状で移動するであろう。
【0234】
図62は、テープ媒体の位置的および平坦化サポート装置の別の実施の形態を示しており、焦点チャネル6030の長手方向の長さは、入口面6020または出口面6040いずれかの長手方向の長さよりもわずかに小さくてもよい。
【0235】
本明細書に記載のリールを、光テープシステム内の光テープ媒体とともに使用することにより、コストを削減し光テープの移動速度を増してもよい。
【0236】
図63を参照して、質量を減じる複数の開口部6304を有するリールの片側6302の実施の形態が示されている。この発明の実施の形態は、高速かつ低コストのリールアセンブリをもたらし得る、2つの部品で構成されたリールを含み得る。リールの2分の1部分6302のフランジの機械加工、鋳造、射出成形などにより、質量を減じることによって、リールの慣性を減じてもよい。リールの2分の1部分6302は、プラスチック、金属またはその他の材料で構成されていてもよい。この低慣性フランジにより、リールの加速度を増すことができるとともに、テープ速度をより高度に制御することができるであろう。加えて、低慣性フランジにより、より小型のモータを使用することもできる。なぜならリールを駆動するのに必要な電流が少ないからである。より小型のモータを使用することは、ドライブ内の電力消費に対して好影響を与えるであろう。リールアセンブリを回転させるのに必要な電力を削減することにより、テープ領域における熱も少なくなるであろう。
【0237】
質量を減じる開口部6304は、低慣性という特性を与えることに加え、媒体を巻くプロセスの間、媒体を有するリールに出入りする空気のための逃し穴を作ることもできる。媒体を有するリールに出入りする空気は、リール上に媒体を積み重ねることを促進することにもなり、これは、横方向のテープの動きに対し好影響を与えるであろう。質量を減じる開口6304は、リール上に積み重ねられる媒体をモニタする技術も提供し得る。媒体は、リール上に積み重ねられる際、リール上に不揃いに積み重ねられる傾向がある場合がある。不揃いに積み重ねられた場合、テープの経路を通してテープの位置がずれることがあり、これが、ヘッド搬送機構の閉ループサーボシステムのトラッキング精度を低下させる可能性がある。
【0238】
質量を減じる開口6304によって与えられる、モニタリング技術を用いることにより、媒体が均一的に積み重ねられているか否か識別することができるであろう。視覚的方法を用いて、媒体が正しく積み重ねられたか否か確認してもよい。媒体の積み重ねを、光センサといったテープドライブセンサによって検知し、いつ不揃いな積み重ねが生じるかを予測してもよい。この情報は、テープの位置の変化を補償する閉ループサーボシステムに与えてもよい。
【0239】
ある実施の形態において、このリール設計が、ドライブエリア内に正および負の圧力条件を与える機能も有していてもよい。正の圧力を用いてドライブ装置内の電子機器を冷却してもよく、または、テープが巻かれている際にテープの層と層との間に空気の膜を形成してもよい。負の圧力を用いてリールが解かれている際に媒体から空気を抜いてもよい。
【0240】
図64を参照して、リールアセンブリ6402の実施の形態が示されている。ある実施の形態において、リールの2分の1部分6302を2つ、ねじ、ボルト、固定具、機械的接続、摩擦嵌め、接着剤などで、接合してもよい。
【0241】
ある実施の形態において、2つの2分の1部分6302の、質量を減じる開口部6304を、第1の2分の1部分から第2の2分の1部分に対して位置合わせしてもよい。
【0242】
ある実施の形態では、2つの2分の1部分6302の、質量を減じる開口部6304を、第1の2分の1部分から第2の2分の1部分に対して位置合わせしなくてもよい。
【0243】
本明細書に記載の、スタンパストリップ、および、スタンパストリップの継ぎ目を挟んで正確な位置合わせをもたらすプロセスを用いて、トラッキングの位置合わせが正確に行なわれた光テープ媒体を形成してもよい。
【0244】
図65を参照して、情報を光テープ上にエンボス加工するためのドラムアセンブリ6500の実施の形態が示されている。微細な表面浮彫りパターンの形態のエンボス加工情報を含む1つ以上のスタンパシム6504を、ドラムベース6502の周りに巻いてもよい。ある実施の形態において、スタンパシム6504を、磁力、機械的接続、接着剤接続などによって適所で保持してもよい。
【0245】
ある実施の形態において、ドラムベース6502は磁性体であってもよく、外面を研磨して光学的に滑らかにしてもよい。ドラムベース6502は、磁性材料からなるものであってもよく、非磁性体であって磁性材料の外層を有していてもよい。この外層はドラムベース6502に塗布された磁気コーティングであってもよい。スタンパシム6504の材料は、スタンパシム6504をドラムベース6502の表面に磁気的に装着することができるニッケルまたはニクロムといった常磁性材料であってもよい。別の実施の形態では、非磁性スタンパシム6504を、ニッケルまたはニクロムといった常磁性材料に接着することにより接着されたスタンパシム6504を磁気ドラムベース6502に装着できるようにしてもよい。
【0246】
ある実施の形態では、ドラムベース6502が、ニッケルまたはニクロムといった常磁性材料からなるものであってもよく、または、常磁性材料の外層を有していてもよい。この外層はドラムベース6502に塗布された常磁性コーティングであってもよい。スタンパシム6504は磁性材料であってもよい。別の実施の形態では、スタンパシム6504は、接着された磁性材料を有する非磁性材料からなることより、磁性材料が接着されたスタンパシム6504が常磁性ドラムベース6502に装着されるようにしてもよい。
【0247】
ある実施の形態において、スタンパシム6504をさらに、位置合わせ後に、ドラムベース6502の接着剤用の穴6508を通して接着剤を使用することによって、ドラムベース6502の適所で保持してもよい。
【0248】
フォーマットを光テープに与えるために使用し得るエンボス加工の特徴は、スタンパシム6504の外面または外径上にあってもよい。少なくとも1つのスタンパシム6504を用いて、ドラムベース6502の外径の周りに1組のトラック全体を設けてもよい。この少なくとも1つのスタンパシム6504をドラムベース6502の周りに与えると、スタンパシム6504の端部同士が接する少なくとも1つの継ぎ目が形成されるであろう。対応するトラックを、1つの継ぎ目および/または複数の継ぎ目各々を挟んで正確に位置合わせすることは重要であろう。複数のスタンパシム6504を、実用および製造上の理由で、ドラムベース6502の外周の周りに用いてもよい。実施の形態において、複数のスタンパシム6504をドラムベース6502の周りに巻くときは、複数の継ぎ目各々を挟んでトラックを正確に位置合わせすることが必要であろう。
【0249】
ある実施の形態において、スタンパストリップ6504およびドラムベース6502を、磁力で装着してもよく、スタンパシム6504の端部をドラムベース6502上で横方向に調整することによりスタンパシムの端部を位置合わせすることは比較的容易であろう。
【0250】
図66を参照して、差動ねじ6602を用いるスタンパシム6504の位置合わせ方法の実施の形態が示されている。ある実施の形態において、この位置合わせ方法は、大まかな調整の後、スタンパシム6504を微調整することを含んでいてもよい。
【0251】
大まかに位置合わせするステップにおいて、双眼顕微鏡といった顕微鏡を用いて、スタンパシム6504の継ぎ目6604領域に焦点を合わせてもよい。顕微鏡を通して観察している間に、スタンパシム6504のトラックを、約+/−10ミクロン以内まで位置合わせしてもよい。外側のトラックに沿いトラックとトラックの間にある基準マークを、この大まかな位置合わせに使用してもよい。
【0252】
すべてのスタンパシム6504の継ぎ目6604に対して大まかな位置合わせが完了した後、エンボス加工の特徴の最終的な位置合わせのために精密な位置合わせのステップを実施してもよい。
【0253】
このステップでは、ドラムをスピンドルの上に置き比較的遅い回転速度で回転させてもよい。このステップは、Shibusokuマシンといった光学式媒体テスタを用いて行なうことができる。このテスタ上の光ピックアップヘッドの焦点を、スタンパシム6504の表面形状上に合わせればよい。光ピックアップヘッドは、その焦点をあるトラック上に合わせてロックしそのトラックを読取りそのトラックのアドレスを復号してもよい。光ピックアップヘッドは、このプロセスを、継ぎ目の両側のトラックに対して行なってもよい。電子回路を、スタンパの継ぎ目6604の存在に合わせて設計してもよい。スタンパシム6504の継ぎ目6604の両側のトラックについてトラックアドレスを求めた後、トラックの位置合わせを行なってもよい。複数のシムを有するドラムに対しては、スタンパシム6504の各対の継ぎ目6604の位置合わせを、トラックの位置合わせが完了するまで、上記プロセスを用いて、スタンパシム6504の各対の継ぎ目ついて横方向に調整してもよい。
【0254】
ひき続き図66を参照して、差動ゲージを用いたスタンパシム6504の微調整の第1の実施の形態が示されている。少なくとも1つの差動ゲージ6602を、ドラムベース6502の縁の上に置いてもよい。差動ゲージ6602は、ミクロンレベルの調整機能を有していてもよい。第1の差動ゲージ6602を用いてスタンパシム6504を1つの方向に押してもよい。第2の差動ゲージ6602を反対側に置き、スタンパシム6504を反対方向に押してもよい。このようにして、スタンパシム6504を、両方向においてミクロンの精度で調整して、スタンパシム6504のトラックの位置合わせを行なってもよい。各スタンパシム6504の継ぎ目に少なくとも1つの差動ゲージ6602があってもよい。当然、各継ぎ目に対するこのプロセスおよび微調整を、ドラムアセンブリ6500の1対のスタンパシム6504のために繰返してもよい。少なくとも1つの差動ゲージ6602を、上記のピックアップヘッドからの電子的フィードバックによって駆動してもよい。
【0255】
図67を参照して、圧電トランスデューサ6702を用いて微調整することによりスタンパシム6504の継ぎ目6604を位置合わせする、第2の実施の形態が示されている。少なくとも1つの圧電トランスデューサ6702を、各継ぎ目6604において、ドラムベース6502とスタンパシム6502との間に配置してもよい。少なくとも1つの圧電トランスデューサ6702を用いて、このプロセスを、電子フィードバックループを与えることによって自動化してもよく、この場合、位置合わせ情報は、媒体のテスタによって得られ、圧電トランスデューサ6702を駆動してスタンパシム6504を位置合わせするのに用いてもよい。
【0256】
自動化された閉ループシステムを、ピックアップヘッド6704を用いてスタンパシム6504のトラックを読取りトラック情報をプロセッサ6708に与えることにより、創り出してもよい。プロセッサ6708は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラなどであってもよい。プロセッサ6708は、スタンパシム6504のトラック位置情報を記憶するためのメモリを含み得る。プロセッサ6708はまた、スタンパシム6502の位置合わせのためのフィードバックを圧電トランスデューサ6702に与えることができるものでもよい。閉ループシステムはまた、圧電トランスデューサ6702のために適切な信号レベルを与える増幅器6710を含んでいてもよい。
【0257】
ピックアップヘッド6704は、スタンパシム6504のすべてのトラックを横断して移動することによってトラックの位置合わせを決定することができるものであってもよい。ドラムアセンブリ6500が中心軸を中心としてゆっくりと回転する間に、ピックアップヘッド6704は、プロセッサ6708を通して調整信号を読取りこの調整信号を圧電トランスデューサ6702のうち少なくとも1つに送ることにより、スタンパシム6504のトラックを位置合わせすることができる。ドラムアセンブリ6500を1回以上回転させることによってスタンパシム6504のトラックを位置合わせしてもよい。
【0258】
ある実施の形態において、第1の1対のスタンパシム6504を継ぎ目を挟んで位置合わせした後、閉ループシステムのピックアップヘッドが第2の1対のスタンパシム6504に移動することによって位置合わせを行なってもよい。ある実施の形態において、ピックアップヘッド6704は、ドラムアセンブリ6500のすべてのシムの位置合わせを行なってもよい。
【0259】
ある実施の形態において、閉ループシステムは、すべてのスタンパシム6504のトラックの平均値を用いてすべてのトラックの位置合わせを行なってもよい。
【0260】
ある実施の形態において、閉ループシステムは、ドラムの全周の周りのすべてのシム6504について所与のいくつかのトラックの完全な位置合わせを必要としてもよい。
【0261】
本明細書に記載のテスト装置は、光テープ媒体のさまざまな側面のテストに役立つであろう。
【0262】
図68を参照して、円筒形のドラム6810を、回転シャフト6820上に設けてもよい。シャフト6820は、遠隔制御されてさまざまな所望の速度で回転できるモータ(図示せず)に接続してもよい。このモータを硬質のベース6830に組付けてもよい。連続ループの形態の、フォーマット情報の予め定められた特徴を有する媒体6840の長さを、ドラム6810の外側に固定してもよい。光ヘッド6850を、ヘッド6850の焦点範囲内において、媒体6840の上方の至近距離の場所に位置決めしてもよい。ヘッド6850の媒体6840の表面に対する位置合わせは、機械的調整手段6860によって行なってもよい。
【0263】
通電されると、ドラム6810は所望の速度で回転し、ヘッド6850は媒体6840上の特徴を読取り、これら特徴から読取った情報を、分析のためにコンピュータ(図示せず)に転送する。実施できる1つのこのような分析は、媒体の品質の測定であってもよい。
【0264】
適合させた光テープドライブを、光学式媒体テスタと組合わせると、本明細書に記載のテストシステムが得られ、これは光テープシステムにおいて見出されるものと実質的に同様の構成の光テープ媒体のテストに役立つであろう。
【0265】
図69を参照して、テープドライブ6910を、媒体6920を光学式媒体テスタ6930に対して水平に与えるように適合させてもよい。この可能な実施の形態において、光学式媒体テスタ6930の光ヘッド6940を、媒体6920の底面に当たるように垂直方向に向けてもよい。
【0266】
光ヘッド6940は、焦点合わせ、トラッキングサーボ、およびデータ解釈を含む組から選択される機能を含む。これらの機能うち1つ以上を実施している間に光ヘッド6940から収集された情報を分析することにより、横方向のテープの動き、張力変動、テープ面の欠陥、ならびに、リール6950、ローラ6960、およびテープサーボシステム(図示せず)の不均一性といったテープドライブに存在する特徴を含む組から選択される要素を評価してもよい。
【0267】
本明細書に記載の、位置合わせされ、継ぎ目が形成された、エンボス加工ドラムおよびその製造プロセスを用いて、光テープ媒体をエンボス加工してもよい。
【0268】
図70を参照して、パイレックス(登録商標)またはその他の適切なガラスから作られた改良された中空の真空チャックドラム7010は、その外径の周りで複数のシム7015を保持し、壁の厚みは約0.5インチである。このチャックドラム7010の可能な実施の形態において、貫通孔7020をドラム7010の壁を通して形成し、ここから接着剤を供給することにより、精密カットされエッチングされたポリカーボネートのシム7015をドラム7010の外面に接着してもよい。この可能な実施の形態において、シム7015の厚みは約100ミクロンであってもよいが、ポリカーボネートの他の適切な厚みを使用してもよい。シム7015はまず、ダイヤモンドフライカッティング、水噴射切削、およびダイヤモンド砥石研削を含む組から選択される切削方法を用いて、より大きなシートから、ドラム7010上に載せるのに合った予め定められた大きさに、切出してもよい。このより大きなシートは、エッチングされた石英の原版から最初に作られたものであってもよい、石英で裏打ちされたフォトポリマーから、エッチングしたものであってもよい。
【0269】
他の実施の形態では、チャックドラム7010の外面に沿った分配チャネル7030を含めることにより、貫通孔7020からの接着剤を分配してもよい。これに代えて、貫通孔7020は設けずに、接着剤を与えるためにドラム7010の両端まで延びる分配チャネル7030を含めてもよい。
【0270】
貫通孔7020および/または分配チャネル7030を通して与えられる接着剤は、ほぼUV硬化性である接着剤でもよいが、他の種類の接着剤を使用してもよい。
【0271】
さらに図70を参照して、ドラム7010は、真空チャネル7040および真空ポート7050を含む。これらが協働することにより、ドラム真空装置(図示せず)を真空端キャップ7060を通して接続し、吸引機能を真空ポート7050を通して働かせて、シム7015を、調整および接着剤硬化中、一時的に適所で保持する。
【0272】
図71を参照して、端部キャップ7070に対して概ね位置合わせされ真空ポート7050によって適所で保持された1つ以上のシム7015を、光学手段を用いて位置合わせに関する検査を行なってもよい。真空ポート7050を通した真空を調節することにより、ドラム7010の外面に沿ってシム7015をマイクロメートルレベルで動かすことにより、最終的な位置合わせを行なってもよい。接着剤(図示せず)を、貫通孔7020および/または分配チャネル7030を通して導入し、検査し、硬化させてもよい。接着剤の検査は、シム7015を通してまたはドラムが(パイレックスのように)透明であればドラム7010を通して行なってもよい。
【0273】
図72を参照して、完成したドラムアセンブリ7210をウェブ(web)エンボス加工装置(図示せず)上に置いてもよい。UVランプ7220がドラム7210に挿入され、適切なシールド7230が設けられている。このため、UVエンボス加工モノマー(7240)を、テープベース7250を通して紫外線を通す必要なく、露光することができる。
【0274】
本発明の別の実施の形態では、改良された中空の真空チャックドラム7010を金属から作ることができる。この場合は、UVランプ7220を完成したドラムアセンブリ7210の外側に設けて、UV光がテープベース7250を通過するようにする必要がある。
【0275】
本発明の別の実施の形態において、真空の調節および制御は、各シムに対して個々に制御可能であってもよく、0、1または任意の複数のシムを同時に、接着剤の硬化前に調整できる。
【0276】
本明細書に開示されるプロセスは、基材層上のモノマー層を含む多層光学式媒体(たとえば光テープ)の性能を改善する。モノマー硬化に関して開示されるプロセスは、モノマーを紫外線に晒すことを含む。このプロセスは、モノマーの基材に対する接着性を高め、かつ硬化したモノマー内の結合力を増し、かつ硬化したモノマーの露出した表面の粘着性を低下させることによって、性能を改善し得る。
【0277】
図73を参照して、このプロセスは、層状剥離ステップ後に、モノマーを広帯域スペクトルの紫外線に晒すことを含む。第1の硬化ステップ7310は、発光ダイオードからの紫外線を使用してもよい。第1の硬化ステップ7310は、媒体がまだエンボス加工ドラム上にある間に行なってもよく、エンボス加工中媒体の薄い基材に入る熱を最小にするという点で有益である。発光ダイオードからの紫外線を用いることにより、エンボス加工ドラムが加熱されないようにすることもでき、このためドラムを冷却する必要はない。
【0278】
実施の形態においてより広帯域の紫外線エネルギ源を使用することにより、第1の硬化ステップ7310におけるモノマー硬化に対してより広い基礎を与えるが、媒体およびエンボス加工ドラムの温度を上昇させる可能性がある。
【0279】
図73を参照して、媒体を層状剥離ステップ7320で層状剥離してもよい。
図73を参照して、層状剥離後の硬化ステップ7330は、広帯域スペクトルの紫外線、発光ダイオードからの紫外線、またはその組合せの使用を含む。この組合せにより、広帯域スペクトルの紫外線単独の場合の過熱によって媒体が変形するリスクを低下させることができる。
【0280】
(I) Mod2エンボス加工装置
基材トラッキング
マシンの位置合わせは、2ミルのPENおよび6ミクロンのPEN双方の適切なウェブトラッキングを容易にするのに有益であることが立証されている。
【0281】
コーティングされたアイドラロール面は、摩擦を減じ得るとともに、ウェブトラッキングの改善を容易にして折れ目を少なくし得る。たとえば:
金属およびプラスチック上のPTFE、Ni含浸テフロン(登録商標)は、我々のシステムにおいて摩擦を有効に減じることが判明しており;かつ
エンボス加工用工具のTFEコーティング(Ni電気鋳造品およびHg′x)は剥離の改善を容易にし得る。
【0282】
6ミクロンの基材に対しMod2を作動させつつドライブシステムの一連動作の順序を決定することにより、ウェブの破壊の回避を容易にし得る。たとえば:
ウェブを駆動する前にウェブ張力を設定して作動させ;
マシンの部分毎の設定値は以下のものを含む:
メインドライブを26rpmに設定(その結果、事実上ウェブは移動しないがモータは作動し得る);
モータ3の巻取り張力を1 lbに設定;
モータ4の巻出し張力を0.6 lbに設定;
張力設定後、巻取り張力を、0.5〜0.75ずつ、2.5 lbまで高めてもよく;
巻出し張力を、0.65〜1 lbに高めてもよく;
これら張力が目標値に達した後、メインドライブの回転速度を1〜2rpmずつ上昇させることができる。
【0283】
2ミルの基材に対しMod2を作動させつつドライブシステムの一連動作の順序を決定することにより、モータの過負荷を回避しやすくし得る。たとえば:
ウェブを駆動する前にウェブ張力を設定して作動させ;
マシンの部分毎の設定値は以下のものを含む:
メインドライブを26rpmに設定(その結果、事実上ウェブは移動しないがモータは作動し得る);
モータ3の巻取り張力を1 lbに設定;
モータ4の巻出し張力を1 lbに設定;
張力設定後、巻取り張力を、0.5〜0.75ずつ、3.5〜4 lbまで高めてもよく;
巻出し張力を、2〜3 lbに高めてもよく;
これら張力が目標値に達した後、メインドライブの回転速度を1〜2rpmずつ上昇させることができる。
【0284】
十分に大きい巻取り張力は、たとえばニップロールの作動によって生じる張力の一時的な乱れから、マシンが迅速に回復し易くし得る。
【0285】
上記一連動作の順序の決定および動作応答を、制御システム論理に組込むことにより、マシン動作中にオペレータが誤りを犯す可能性を低くしてもよい。
【0286】
エッジガイド
巻出しエッジガイド制御システムを改良することにより、応答時間の抑制を容易にし得るとともに、巻出し位置決めシステムの大きさの急速かつ過剰な変化のために生じ得る折り目の発生の低下を容易にし得る。
【0287】
巻取りエッジガイド制御システムを改良することにより、応答時間の抑制を容易にし得るとともに、巻出し位置決めシステムの大きさの急速かつ過剰な変化のために生じ得る折り目の発生の低下を容易にし得る。
【0288】
巻取りエッジガイドは、モータの移動機構(横方向の動き)上に設けてもよく、これにより、エッジガイドを、Mod2の裏面ではなく巻きロールのエッジに対して確実に制御することを容易にし得る。これは、後続の真空コーティングプロセスにとって重要となると思われる、巻きロールのエッジの均一性を改善し得る。
【0289】
コロナ処理
Mod2上でテストされるモノマーにとって、0.75kwという電力レベルは、モノマーの硬化が十分であると仮定すると、十分な接着性をもたらすと思われる。このプロセスウインドウは、基材をコロナ処理し、stop-actionサンプルを切出し、手動でサンプルにモノマーを積層しオリエル(Oriel)ランプシステム内で3分間硬化させることによって、定められた(これは十分な硬化レベルであることが知られている)。
【0290】
電力レベルが>0.75kwの場合、基材の測定された表面エネルギは約54ダインである。
【0291】
モノマーコーティング
手動シリンジを用いるモノマーコーティングは、エンボス加工プロセスの予備テストに適しているであろう。ウェブ速度が約6fpmの場合、周波数が約1液滴/秒の、ウェブ上の液滴の正弦波パターンによって、モノマーを、エンボス加工プロセスに対して十分に供給することにより、全体的にウェブに交差するエンボス加工CDパターン(CDドラムを用いた場合)が得られるであろう。モノマーの供給量が大幅に少ない場合は、ウェブに交差する範囲が小さくなるであろう。モノマーの供給量がより多い場合は、モノマーがドラムのエッジから押し出されるであろう。
【0292】
一例として、アニロックス(Anilox)−ゴム−ウェブを用いるコーティング塗布技術は、十分に制御された均一的なコーティングを生出すことが判明している。
【0293】
基材の帯電防止保護
帯電防止装置を使用することにより、性能が低い領域を回避し易くなるであろう。たとえば、帯電防止装置を用いた改善は以下のものを含み得る:
6ミクロンのPENに対するウェブトラッキングを改善し得る;
シリンジを用いたときに液滴をモノマーのウェブ表面コーティング上により適切に形成し得る。
【0294】
これは、4つの場所で核種Po−210帯電防止バーを使用することによって行なってもよい。使用できる場所には、
巻出しの後、
コロナ処理ユニットの後、
エンボス加工の後、
巻取りの前が、含まれる。
【0295】
静電帯電防止バーも、評価された結果、核バーとして(感電事故防止に加えて)有効に機能することが判明している。
【0296】
エンボス加工プロセスおよび機器
少なくとも15psiのニップ圧力は、CDドラムを用いた高品質の積層に対して十分な力を与え得る。
【0297】
1つのニップロール(送込みのみ)を用いることにより、エンボス加工ドラム上に、より高張力の動作点が与えられると思われる。これは以下の結果であると考えられる。
【0298】
巻取り張力レベル設定からからあまり離れていない。
ニップロール♯2における慣性、その影響がこのロールの作動時に悪化する可能性がある。
【0299】
2つのニップロール(送込みおよび送出し)を使用することにより、全体的に許容できる動作となる。そのいくつかの例は以下のものを含む:
規則的な継ぎ目を有するドラムを使用することにより、平坦性のモニタリングを容易にし流れ易くし得る;
2つのニップロールを、圧力を十分に一致させて作動させることにより、トラッキングが容易になる;
ウェブをドラムから放出するポイントがより適切に制御される。すなわち、送り出し側のニップロールを作動させることにより、ウェブがドラムから放出されるポイントが、閉じられたニップロールからウェブに対して圧力が加えられるために、より適切に「固定される」であろう。
【0300】
以下の入力側のニップローラの特徴は、薄いウェブにとって有益であろう。すなわち、デュロメータ(硬度が高い方がよい)、表面仕上げ(パターンは薄膜の裏側を通してプリントできる)、および直径(直径が大きいほど送込まれるウェブに対する張力差は小さい)である。
【0301】
積層プロセス制御
ニップ圧力を側方向の積層について正確に制御することにより積層を容易にし得る。
【0302】
硬化プロセスおよび機器
以下の異なるいくつかの硬化システムの動作範囲の中に、同程度の硬化が見受けられた。これらはたとえば:
広帯域スペクトルシステムであるオリエル(Oriel)「ソーラーシミュレータ」;
広帯域スペクトルシステムである「ベルトUVシステム」;
キセノンフラッシュランプシステム;および
インフィニラックス(Infinilux)&UVPS UV LED。これは395nmを中心とする狭い波長光分布を出力する。
【0303】
上記システムすべてについて、光強度の設定と露光時間の、ある組合せにより、良好な硬化が見受けられた。特定のモノマー配合を使用すればさらに良好な硬化を容易に為すことができるであろう。
【0304】
ランプシステムには、ランプシステムの少なくとも焦点または安定した露光点に基づき得る、基材に対して明確に定められた硬化「位置」があるであろう。
【0305】
LEDシステムについては、UV強度を、LEDの「3つ組のストリップ」において、ストリップの表面から2分の1インチおよび1インチの距離のところで測定した。ストリップから1インチの距離の場所ではエネルギプロファイルは比較的一様であり、2分の1インチの距離の場所では測定された強度に大きなムラがありLED光源間に大きな低下があることが、判明した。
【0306】
オリエルシステムに対して、ACT2−158−1といった可能なモノマーを用いると、露光時間が5秒以下であっても十分な硬化が観察された。
【0307】
上記露光プロセスの動作点は重要であろう。なぜなら、直径4インチのCDドラムを用い、UV LEDをこの装置上に配置した、Mod2の露光時間は、およそ3秒であるためである(6fpmで約2インチの露光ウインドウ)。
【0308】
基材の巻取り
基材の巻取りは、ウェブの表面粗さ(一般的に基材の製造業者は低いレベルの粗さを導入するであろう)の影響を受けるであろう。これは、いくらかの空気を取り込めるようにし、巻上げ時の表面摩擦および皺を減じ得るものである。
【0309】
マシンを適切に設定することにより(Mod2またはミルレーン(Mill Lane)いずれか;位置合わせおよび動作パラメータ)、基材の適切なロールを容易に完成することができるであろう(すなわちロールは「硬質」であり、適切な形状で、皺は最小である。これらは少なくとも供給される基材には十分である)。
【0310】
ウェブの巻取りの品質は、処理条件によって変化し得る。なお、以下の条件はすべて、巻取りを支援する特別な機器を利用していない(すなわち塗布ロール(lay-on roll)または曲げられたスプレッダロール):
コーティングのない2ミルのPENは、良質のロールをもたらした。
【0311】
コーティングのない6ミクロンのPENは、良質のロールをもたらした。
継ぎ目がない一様のドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングした2ミルのPENは、良質のロールをもたらした。
【0312】
継ぎ目があるパターニングされたドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングした2ミルのPENでは、継ぎ目の領域に空気が著しく取り込まれた。これはおそらく、ある領域では粘着性のレベルが過剰に高いためであり、この領域では、継ぎ目が原因でモノマーコーティングの厚みがより大きく、硬化が不十分である。現われたのは、後に折り目を生じさせる、「巻上げロール上の気泡のあるTD領域」であった。
【0313】
継ぎ目のない一様のドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングされた6ミクロンのPENは、巻取ロール上の基材上の裏面に接触するポリマーコーティングされた面と一致する巻上げロールの著しい折り目をもたらした。
【0314】
継ぎ目があるパターニングされたドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングされた6ミクロンのPENは、巻取ロール上の基材上の裏面に接触するポリマーコーティングされた面と一致する巻上げロールの著しい折り目をもたらした。2ミルのPENに見られた気泡の問題は、折り目の問題よりも重要でないと思われ、または、積層ニップを通る薄い基材のビーム強度が低いために単に存在しない。
【0315】
巻取りの際の非常に均一的なx−ウェブ張力により、薄膜を使用する際に高品質の結果を得ることが容易になるであろう。
【0316】
(II) 真空コーティング装置
パイロットロールコーティング装置
薄いウェブの取扱いの最適化のための裏面のみのアイドラおよび曲げられた(ストレッチャ)ロールを特徴とする新たなウェブ搬送/ガイドアセンブリが設計され設置された。
【0317】
改善されたソフトウェアマシン制御
4つのタンデムスパッタリングターゲット(2DC&2RFマグネトロン)について蒸着機能を改良することにより、SiO2/ZnS蒸着速度を2倍にした。
【0318】
反射率を測定するように構成された光ファイバ高さセンサの使用に基づくインライン反射率測定機能を設計し実現した。各線形アレイの1つのバンクを各蒸着ゾーンの間に配置できる。
【0319】
各蒸着ゾーン間の距離を修正することにより層と層の間での混合を制御するハードウェアを開発した。
【0320】
パイロットバッチコーティング装置(Sharon)
テープの別々の長さのコーティングを可能にする螺旋巻き装置を設置した。
【0321】
ターゲットの上で基材ホルダを正確に回転させる「自動インデクサー(indexer)」を追加した。
【0322】
モノマー材料:
予め定められた仕様および特性に合わせてモノマー配合がいくつかの特注配合供給業者によって開発された。特定された重要なパラメータは以下のものを含む:
(PEN膜を通して硬化するための)スペクトル感度;
粘度(エンボス加工プロセス中に十分に流れ出すためには目標値は低くてよい)。一般的に粘度が低ければ化学的抵抗は低くなる;
温度調節は粘度(したがってエンボス加工層の厚み)を制御する方法として認識された;
硬化速度(目標値はプロセススループットを高めるために速い方がよい);
プラスチックに対する密着性(いくつかのマイコンプログラムのため);
プラスチックに対する低い密着性(その他のマイコンプログラムのため);および
すべてのマイコンプログラムのための「ニッケル工具一式」からの放出(将来のNi工具一式を想定)。
【0323】
表面処理(およびポリマー工具の場合の容積測定処理)は、工具と複製ポリマーとの間の密着性を低下させることが判明した。
【0324】
予備テストをシリコーン剥離剤を用いて実施することにより、硬化したモノマーの工具面からの分離を改善した。加えて、この剥離剤は、巻取り中、硬化したモノマーの表面とウェブの裏側との間にある程度の滑りをもたらすことを意図していてもよい(巻取りのセクション参照)。
【0325】
スペクトルの青色領域に対して感光性を有するようにされたモノマー配合は、非常に反応性が高くてもよく、室内照明に晒されないようにすることも可能であろう。これは、一般的に、シリンジをテープ(たとえばカプトン(登録商標)テープ)で巻くことによって周囲の青色光を遮断することによるシリンジ投与方法を用いることによって為してもよい。これにより、全体的に閉じた流体取扱いシステムを使用する際の複雑さは回避される。
【0326】
ポリマーの密着性:
ポリマーの密着性を、以下のものを含むいくつかの影響によって改良してもよい:
硬化したモノマーの、さまざまな表面に対する固有の密着性;
基材加工(なおコロナおよびフレーム加工はいずれも密着性を改善することがわかっている);および
密着性を促進する層による基材の2次コーティング(密着性促進2次コーティングは多くの場合改善を示したがいくつかのテストでは何の影響もなかった)。
【0327】
真空蒸着層:
WORM層の製法は、AlおよびSbを第1の層として用いた。
【0328】
合金層にはGe2Sb2Te5公称合金を使用した。
オーバコートにはZnS/SiO2層を使用した。
【0329】
各層の厚みは最適性能によって異なる。
真空蒸着層を裏側の帯電防止コーティングとして使用しこれをAlを用いて評価した;予備テストの結果、テープの搬送は良好であった。
【0330】
個別工具設置:
OTの予備フォーマットのための継ぎ目のないドラムの開発の代わりに、短期で得られるものとして、あるプロセスを使用した。これは、所望の予備フォーマットパターンを有する複数のNi電気鋳造品(「シム」)の精密な予備切削、および、個々のセグメントをレーザ溶接してドラムにすることを含む。
【0331】
オリジナルのフォーマット設計を(標準CADプロセスを用いて)作製し、オリジナルの浮彫りの図案(「master」)をリソグラフィ技術を用いてガラス基材をパターニングすることによって作った。
【0332】
CADパターンには、パターン工具の精密な切削において後に使用するために、基準切削マークを含めた。
【0333】
ポリマー−オン−ガラスサブマスタを、マスタから直接作った。
反転画像サブマスタ(「mother」)もサブマスタから作製した。
【0334】
Ni電気鋳造品を、ポリマーサブマスタから作製した。
サブマスタもマスタから作製してもよい。
【0335】
以下の方法のうち1つ以上は、NiVの40〜70nmのスパッタリングといった真空蒸着プロセス後、完全な分離を提供し得る。この方法は以下のものを含む:
硬度を高めるためのポリマーサブマスタのさらなる加工;
ポリマー表面に対する密着性を低下させるためのポリマーサブマスタのさらなる加工;
より薄いNiV層の使用;
最初に蒸着させたものの温度を低下させるためのランプスパッタリングパワー;および
NiVの不動態化(Ni→Ni複製中に行なわれるものと同様でもよい)。
【0336】
ポリマーサブマスタおよびNiマスタ双方を、UVプロセスにより予備フォーマットパターンのテスト複製を作る際に別個の平坦なシムとして使用した。これは以下のものを含む:
積層点(「ニップ」)で注入されるUV硬化流体(先に説明したもの)を用いて50〜75psiの圧力ローラを用いて平坦に積層すること;および
UVまたは光照射(4秒から6分)による硬化;2〜200mw/cm2。
【0337】
ドラムツールの作製:
Niシムに埋込まれた基準マークからの予め定められた距離に基づき、カーバイドの切削工具を用いて平坦なNiシムを精密にミル切削(「トリミング」)することにより、実質的に同一の4つのシムを、この技術によって形成することができた。また、プラスチックの保護膜を、Niシムのパターニングされた面に積層し、一時的に剥がすことにより、トリミング前に基準マークが見えるようにした。
【0338】
レーザ溶接を用いて4つのシムを接合してドラムにした。
4つのシムをすべて1つの(底の)エッジと位置合わせし、裏側から3箇所、Niを通して約75%、溶接した。溶接したストリップを裏返し、仕上げ溶接を表(パターニングされた)側から行なった。
【0339】
ドラムを形成する(閉じる)ための最後の溶接を表側から行なった。
上記方法によって加工された最初のドラムの、光学測定値として、0.00015インチ(3.7ミクロン)という、最も高い溶接精度(溶接された継ぎ目を挟んだ1つのトラックのずれが最小)が示された。
【0340】
1組の特注溶接固定具および追加のテストにより、オフセットをさらに減じることが容易になり溶接プロセスの平滑性を改善し得ることが確認された。
【0341】
Mod2における設備および動作:
CDパターンを有する代替のNiドラムを、予備プロセスおよびマシンテスト(上記参照)のためにMod2に設置した。このドラムを、マシンの中に、ゴムのスリーブの上で滑らせることによって固定した。次にこれをマシンのドライブシャフトの上で滑らせ、ねじ切りされたドライブシャフトの端部上でナットを使用することにより、端部の釣鐘状の部分の圧力を用いて固定した。
【0342】
製品は、1/4、1/2、3/4、1、4インチのテープ幅に応用してもよく、適当なのは1/2インチであろう。
【0343】
図74を参照して、上面読取形態(レーザが「トップコート」側に入射)は、次の通りである。
【0344】
7410 トップコート:
有機硬化層
PML(真空ポリマー蒸着−アクリル)平坦化
UV硬化
電子ビーム硬化
溶剤/水性コーティング
目的は構造体の保護でもよい。
【0345】
光学特性
7420 WORM層♯3(「トップコート1」としても知られる):
積層体の一部としての任意の層
製造中に保護する。
【0346】
何らかの光学的調整を提供する。
適当なものとして(ZnS/SiO2、80/20);代わりになるものとしてSiO2、YF2、その他透明な酸化物および化合物
熱特性
光学特性(T、R、A)
可撓性
密着性(高い)
表面粗さ
7430&7440 WORM層:
Te合金(GST=Ge2Sb2Te5、公称)でもよい。
【0347】
金属(Sb、Alでもよい)
厚みは製品の性能に依存
7450 予備フォーマット層:
UV硬化ポリマーでもよい。
【0348】
アクリル樹脂でもよい(エポキシまたはポリウレタンでもよい)。
粘度(<200)でもよい。
【0349】
スペクトル増感(400nm)でもよい。
基材に対する密着度(高い)でもよい。
【0350】
工具に対する密着度(低い)でもよい。
可撓性(高い)でもよい。
【0351】
層の厚み(0.5〜1u)
予備フォーマット層形成プロセス(オプション:1つまたは複数のステップのシーケンス)
7460 基材:
材料
PENでもよい。
【0352】
PET
PC
CTA(セルローストリアセテート)
厚み
1u−25u(約4〜8uでもよい)。6uでもよい。
【0353】
他の特性
表面粗さ
2次コーティング
充填剤
熱安定化
機械的に平衡した応力
表面処理および/または化学処理
7470 バックコート:
表面粗さ
光学特性
帯電防止部であってもよい。
【0354】
耐スティクション
薄い金属層(Al、Ni、NiCr)であってもよい。
【0355】
カーボンブラックが代替のバックコート(現時点で標準的な業界の慣例)であってもよい。
【0356】
(選択肢としてカール防止層)
エンボス加工または配合および添加剤(粒状)または乾燥によるテクスチャ付与
意図的な網状組織
他の考慮事項:
暗書込および明書込(最終tbd)でもよい。
【0357】
化学的性質を正しい書込波長に合わせて調整する。
ドライブ性能を改善するために表面にテクスチャを与える。
【0358】
第2の形態として反対側から読取ってもよい。
バックコート
トップコート(?)
WORM層
予備フォーマット層
基材
トップコート
クリア、保護
テクスチャ制御
透明(R/W波長に対し)
帯電防止
WORMからR/W
消去可能機能を有していてもよい。
【0359】
相変化であってもよい。
構造体内に予めフォーマットされた層があってもよい。
【0360】
再スタートゾーン、ゼロイング(zeroing)ゾーンなどを有する、継ぎ目のあるドラム、および継ぎ目のあるドラムの形成方法
以下の説明は、本開示の可能ないくつかの実施の形態に関するものであり、本明細書に記載の実施の形態および方法の変形は、当業者が想像し得るものであることが理解されるであろう。このような変形および改善は本開示の範囲に含まれることが意図され、したがってこの開示および方法は以下の実施の形態に限定されない。
【0361】
図75〜図78は、現在の技術を示し、不均一なコーティングが不均一なソースの分布からどのようにして生じるかを説明している。これに続く図面は、螺旋経路を利用するとともに、ソースを複数回通過させることを利用する、本開示の方法が、如何にしてコーティングの均一性を改善するという効果を有するかを説明している。
【0362】
図75および図76双方においてそれぞれ側面図および垂線方向の透視図で示されている、典型的な構成では、本明細書では慣例によってウェブとも記載している、コーティングを施す基材1を、供給スプール2から送り出し、張力および位置調整などの制御のためにさらなるロール3の上を通過させてもよい。その後基材はコーティングゾーン5に入る。コーティングゾーンは、第1の層7を積層するための材料のソース6と、このソースからの余分な材料のオーバーコーティングを最小にするためのコーティングバリア8とを含む。これに続けて設けられたコーティングゾーン(図示せず)で、材料をさらに積層してもよい。コーティングされた基材は、最後のコーティングゾーンでの積層後にさらなる張力および位置調整ロール4の上を通過した後、巻取スプール12に巻取られてもよい。この周知の技術では、基材は、コーティングゾーンを基本的に直線方向に通り抜け、ウェブは、フリースパン(free span)すなわち裏側が補強されていないか、バッキングプレート13またはロールと接触しているか、いずれかであろう。バッキングプレートは一般的に、ウェブが平坦になるようにするためおよび/または積層プロセスからの余分な熱を除去するために使用し得るものである。後者の場合、バッキングプレートまたはロールを任意で冷却してもよい。
【0363】
本開示の図面では、明瞭にするために、モータ、速度制御素子、張力制御装置、ウェブガイドなどは、示されていないが、このような制御システムは当該技術では周知である(D.R. Roisum, The Mechanics of Rollers, TAPPI Press, Atlanta, 1996)。
【0364】
次に図77を参照して、当該技術に共通する慣例の概略図であり、マシン方向から見た、真空蒸着プロセス中の基材の断面が示されている。この図は、材料19の不均一な蒸着が、ソースからのフラックスの分布17が不均一であるために生じる一例を示している。坩堝15を充填している材料16を(たとえば抵抗加熱坩堝(図示せず)を用いて)蒸発させてもよい。典型的には単位時間当たり蒸発させる材料の質量または厚みで説明されるフラックスは、図面では分布17として示されており、最大蒸発速度は最も長い矢印(この例では中央にある)によって表わされている。材料19は一般的に、フラックス分布に比例して基材18上で凝集し、このため、厚みがほぼフラックス17に比例する材料層19として広がるであろう。
【0365】
図78は、図77と同様、フラックスの分布が不均一であるために生じ得る不均一なコーティングの、垂線方向の図を示す。ここで、巻出しスプール24は、基材25を、ガイド/張力/アイドラローラ(ここでは27で示される)の上を通してコーティングゾーン26に送り出す。材料30は坩堝28から蒸発させてもよく、蒸着シールド29は、本来あるべき場所から外れてなされるコーティングを最小にする。コーティングされた基材31は、さらなるガイド/張力/アイドラローラ(ここでは32で示される)の上を通過し巻取スプール34上に巻き取られる。水平方向の点線35は、この基材が最終的にテープ製品にされる場合の仮定の切断位置を示す。コーティングの厚み36のばらつきは、先に示したように(図77)、坩堝からのフラックスが不均一である結果であろう。
【0366】
図79は、本開示のある実施の形態の概略図を示し、この実施の形態において、テープ状の基材41(典型的にはポリエチレンテレフタレートPET、またはポリエチレンナフタレートPEN、またはポリイミドフィルムなど)は、巻出しスプール40から、ウェブガイド、張力制御ローラ、およびさらなるアイドラロール(明瞭にするために図示せず)に与えられ、ロール42の上を通ってロール43に進んだ後、蒸着ソース材料のコーティングゾーン45に入り、その後ロール42に進み、ロール43に戻り、これを繰返す。この間、基材は、実質的に螺旋状の経路を辿り、コーティングゾーン45を何度も通った後、コーティングゾーンから出てスプール47上に巻き取られる。このようにソース45のさまざまな部分を複数回通過することの効果は、フラックスが不均一であること(たとえば図78に示される)を原因とするコーティングの厚みの不均一性を平均化することであろう。ただし、この図面においてロール42および43の周りに巻かれているテープ同士の間の距離が大きいのは説明のためにすぎず、実際のコーティングの構成では近接しているであろう。なお、ラインスピードの増加はテープ幅の減少に比例するであろう。これは、従来の(全幅の)コーティング構成と比較して、同等の蒸着の厚みおよびテープのスループットを保つであろう。この開示の方法は、フラックスレートがより高いことによるソースのばらつきに対する耐性を高めるので、速度をさらに増すことも可能であろう。
【0367】
蒸着プロセスからの熱負荷を減じるために、図79のローラ42/43を、冷却剤を循環させるなどして冷却することもできる。テープの線速度を高め1回の通過当たりの蒸着レートを低下させることと、コーティングのための通過と通過の間に(任意で冷却される)ロール42/43に巻く角度を180度にすることを組合わせることにより、蒸着プロセスからのテープに対する熱負荷を減じる作用が得られるであろう。
【0368】
この開示において複数回通過させて平均化する技術の有益な効果は、図80の図を検討すればわかる。再び図77を参照してみると、この図面の基材18は、図80において57で示される、幅が狭い基材と置き換えられている。この例のテープ基材57は、図79に示されるテープ経路を辿り、コーティングゾーン50を連続して8回通過し、材料のフラックスは坩堝51から発せられる(このソースも図77と同じくフラックス分布52は不均一である)。上記基材57の連続する通過を、位置1〜8で示すことができる(注:明確にするためにテープ経路全体における上側の通過は示していない)。54から55にかけてのコーティング層の堆積は、平均化効果を説明するために強調されている。この複数回の通過による平均化の効果を、切断後に複数回の通過による平均化が生じなかった図77の同じモデルのソース分布からのコーティング材料と、比較してもよい。
【0369】
この説明から、均一性の改善はほとんどのソース構成で可能であることが理解されるであろう。なぜなら、平均化の効果は、基材の幅がソースの幅よりも小さいことに基づき得るものであるからであり、複数回の通過によって、材料ソース分布の多くの部分からソースを抽出するからである。
【0370】
図81に示される別の実施の形態では、テープをより正確にガイドするために、図79の単体のローラ42および43を、複数の個別ガイドローラ60および61と置き替えている。これは、ローラ42および43にガイドトラック溝を切ることによっても可能であろう。ここでもまた、実際の動作では、均一性および歩留まりを最大にするために、巻かれているテープ同士の間隔は小さいであろう。
【0371】
図82に示されているようにソースからの余分な(「はぐれた」)材料を収集する手段を設け得ることも、この開示の特徴であろう。電子ビームおよび熱蒸発器を含むほとんどの真空コーティングソースにとって、ソースからの余分な材料が基材以外の領域で積層される可能性があることは、望ましくない特徴であろう。これは、定期的な洗浄を必要とするだけでなく、このような望ましくない積層がローラまたはガイド上で生じることによりこれらの表面が変化しこれら装置の性能が変わるときには、コーティング作業の妨げになり得る。また、余分な材料は、他のコーティングを、材料が実質的に堆積している表面から剥離する、または、加熱された面から再び蒸発することによって、汚染する可能性がある。図79または6の方法の側面図でもよい図82に示される実施の形態では、テープ基材73は、供給スプール70から巻き出され、上記と同じ螺旋経路で、コーティングゾーン75を通過し、巻取リールスプール71に巻取られてもよい。この実施の形態は、余分な材料を集めるための収集装置72を示しており、この余分な材料は、収集されなければ、テープが連続して巻かれている部分の間の空間を通り、コーティング装置の他の部品およびテープの裏側を汚染する可能性がある。この収集装置は、基材72のための標準的なウェブ取扱いローラを有する一対の巻出し/巻取ローラ(78/79)で構成されるか、または、ローラ78/79間に延びるフィルムのエンドレスベルトで構成される。PETその他といったプラスチックフィルムでもよい基材72は、テープコーティング作業中余分な材料を蓄積し、材料の堆積が必要とするのであれば簡単に廃棄できる。
【0372】
図83に示されるさらに別の実施の形態は、1回の通過で基材の両面をコーティングできる方法を示している。ここで、ウェブ経路は、蒸着ゾーン84の上を通っておりここで図79に示されるように基材の片側がコーティングされる。次に、送る側のローラ80と受ける側のローラ82との間でテープ83をマシン方向に沿いテープ軸を中心として180度捩じってもよい。このウェブ経路は続いて次の蒸着ゾーン81の中に至り、ここで裏側をコーティングしてもよい。このように両側をコーティングすることは、両側が活性である(記録可能または情報を有する)面、または、摩擦および/または静電制御のために真空バックコートを必要とする材料にとって、有益であろう。従来のコーティング方法では、両側をコーティングする際、コーティングのためにさらに通過させるかまたは裏側コーティングステーションを追加する必要があり、これらはいずれも製造時間およびコストを増す。
【0373】
図84からわかるように、光記憶媒体は、選択肢としての光学式媒体の形態8400によって示されるように、さまざまな形態を取ることができ、これらの形態はそれぞれ、サイズ、転送速度、記憶容量、およびコストの、異なる属性を提供する。選択肢としての光学式媒体の形態8400は、ドラム形状の光記憶媒体8410および8420、フレキシブルディスク光記憶媒体8430、小型オープンリール(reel-to-reel)光記憶テープ8440、および光記憶カード8450を含み得る。
【0374】
ドラム形状の光記憶媒体8410、8420は、約6.5MB/sから約13.5MB/sの転送速度、および、約5.6GBから約102GBの記憶容量を提供し得る。
【0375】
小型オープンリールテープ8440の形状の光記憶媒体(ミニ光テープとしても知られる)は、約3.2MB/sから約6.7MB/sの転送速度、および、約255GBから約1130GBの記憶容量を提供し得る。
【0376】
光記憶媒体は、特定の用途について、物理的な大きさ、および/または記憶容量、および/または転送速度がその用途の必要条件を満たすように、選択肢としての光学式媒体形態8400を含む組から選択してもよい。
【0377】
光フレキシブルディスク8430、小型オープンリール8440、および光カード8450は、持運びを容易にし媒体を保護する筐体の中に組込んでもよく、媒体をユーザが頻繁に取扱う用途に適しているであろう。
【0378】
図85において、光記憶媒体システム8500の可能な実施の形態は、パーソナルコンピュータ(PC)8540の典型的なDVDドライブサイズの空間に嵌まる光学ドライブ8520にロードされる、選択肢としての光学式媒体の形態8400を含む。選択肢としての光学式媒体の形態8400は、選択肢としての光学式媒体の形態8400への記録およびこれからの読取のための1つ以上のピックアップヘッドを備える赤色、青色またはUVレーザを用いる相変化光学式媒体で構成されていてもよい。消去可能な光学式媒体のための、WORMおよび光磁気用のダイといった他の種類の光学式媒体も適切であろう。
【0379】
この実施の形態において、光学ドライブ8520は、ハードドライブ8540の予め定められた大きさの部分を用いるPC8540のハードドライブ8530と通信し、選択肢としての光学式媒体の形態8400上の情報に対するランダムアクセスを改善する。選択肢としての光学式媒体の形態8400が、光学ドライブ8520を通して、ディスクドライブ8530よりも高速の転送速度を提供することが可能であろう。これはさまざまなやり方で実現でき、1つのやり方は、選択肢としての光学式媒体の形態8400の記録または読取に使用される光学ドライブ8520のピックアップヘッドの数を増すことである。ピックアップヘッドを増やすことによって、直ちに、選択肢としての光学式媒体の形態8400への/からのデータ転送速度を高めることができるであろう。
【0380】
システム8500をオーディオまたはビデオ娯楽用途に用いる場合は、ハードドライブ8540の部分に適用される、選択肢としての光学式媒体の形態8400に記憶されている情報の部分にユーザが素早くアクセスできるようにするための、固有のアルゴリズムおよびフォーマットがある場合がある。一例として、このアルゴリズムにより、ユーザは、選択肢としての光学式媒体の形態8400上の異なる物理的場所に位置する映画のシーンのサムネイルを見ることができ、次に、選択された映画にアクセスできる。こういったアルゴリズムおよびフォーマットは、選択肢としての光学式媒体の形態8400上のサムネイルと関連付けられた映画のインデックスまたは位置情報を含み得るものであり、これにより選択された映画に高速でアクセスできる。ディスクドライブ8530に記憶された情報は、どのような情報が選択肢としての光学式媒体の形態8400にしかないか、および、何がハードドライブ8530に転送されたかを決める、トラッキングデータを含み得る。システム8500の他の用途は、画像のアーカイブおよびバックアップ、家庭で撮影された映画、ビジネス情報、またはアーカイブライブラリサービスを含む。
【0381】
光記憶システムのもう1つの可能な実施の形態が、図86に示されている。スタンドアロン型のデジタル家庭用娯楽システム8600の機能は、図85の可能な実施の形態と同様であってもよい。システム8600は、システム8600のすべての要素、マルチメディアコンポーネント(図示せず)、内蔵ハードドライブ8530、USBインターフェイス8640、または他の通信ポート8650と通信する、専用プロセッサ(図示せず)を有していてもよい。システム8600はさらに、図85の実施の形態の、選択肢としての光学式媒体の形態8400および光学ドライブ8520を含む。システム8600はさらに、DVD8620といった他の記憶装置を含み得る。システム8600の記憶素子各々は、通信チャネル8610もしくは8630を通して、または専用プロセッサを通して通信できる。光学ドライブ8520を通して、選択肢としての光学式媒体の形態8400が、ディスクドライブ8530よりも高速の転送速度を提供することも可能であろう。
【0382】
システム8600は、有線または無線LANを介してPCに接続してもよい。このシステムにより、標準のTVフォーマットおよびHDTVフォーマットを使用して複数のプログラムを選択肢としての光学式媒体の形態8400に記録することもできる。図2の実施の形態と同様の手段を用いて、システム8600は、ハードドライブ8530の一部を利用することにより、映画のサムネイルを含む、選択肢としての光学式媒体の形態8400に記憶された情報の部分へのアクセス速度を改善する。ディスクドライブ8530に記憶された情報は、どのような情報が選択肢としての光学式媒体の形態8400にしかないか、および、何がハードドライブ8530に転送されたかを決める、トラッキングデータを含み得る。システム8600の他の用途は、画像のアーカイブおよびバックアップ、家庭で撮影された映画、ビジネス情報、またはアーカイブライブラリサービスを含む。
【0383】
システム8600Aを、拡張可能記憶デジタルビデオレコーダ(DVR)として使用してもよい。DVRはビデオ情報をハードドライブに記録するので、記憶容量はハードドライブの容量に基づくであろう。ユーザが記録されたプログラムを失うことや、新たな番組の記録の停止といった、望ましくない結果は、ハードドライブ容量の限界に達したときに生じる。
【0384】
DVRとして使用されているシステム8600の実施の形態に、選択肢としての光学式媒体の形態8400および光学ドライブ8520を含めることによって、映像記憶が増して、選択肢としての光学式媒体の形態8400を含むハードドライブの限界を超えることがある。選択肢としての光学式媒体の形態8400が着脱式であるシステム8600の実施の形態では、システム8600の記憶容量は無限であろう。小型オープンリール8440の光記憶媒体は、その容積記録密度が高いので、選択肢としての光学式媒体の形態8400の、可能な実施の形態であろう。
【0385】
図87は、選択肢としての光学式媒体の形態8400をシステムにおいて用いるもう1つの可能な実施の形態を示す。カメラ8700は、選択肢としての光学式媒体の形態8400の小型オープンリール8440の実施の形態を取入れてもよい。光記憶媒体は着脱可能であってもよい。小型オープンリール8440の光記憶媒体は容積記録密度が高いので、ビデオ情報は、圧縮されていないフォーマットで保存してもよい。
【0386】
この実施の形態における、選択肢としての光学式媒体の形態8400上に記録された各情報のフォーマットは、DVDフォーマットおよびHDVDフォーマットを含む組から選択してもよい。
【0387】
カメラ8700で使用される光記憶媒体を、本明細書に開示される他のシステムの実施の形態のいずれかを用いた記録または読取のために、代わりに使用してもよい。DVD媒体の電気的、物理的およびインターフェイス要件を満たす、選択肢としての光学式媒体の形態8400の実施の形態は、標準的なPCまたは家庭用娯楽機器でも使用できる。
【0388】
図面の中のフローチャートおよびブロック図に示されている要素は、これら要素間の論理的な境界を暗に示している。しかしながら、ソフトウェアまたはハードウェア工学技術の実務によると、示されている要素およびその機能は、モノリシックソフトウェア構造の部分として、スタンドアロン型ソフトウェアモジュールとして、または、外部ルーチン、符号、サービスなどを用いるモジュールとして、または、これらの任意の組合せとして、実現し得るものであり、このような実現の例はすべて、本開示の範囲に含まれる。したがって、上記図面および説明は、開示されたシステムの機能的な側面を示しているが、特に明記されない限りまたは状況によって必要とされない限り、上記説明から推測される、これら機能的な側面を実現するためのソフトウェアの特定の構成はないであろう。
【0389】
同様に、上記特定され記載されたさまざまなステップは変更し得ること、および、ステップの順序は本明細書に開示された技術の特定の用途に合わせ得ることが、理解されるであろう。このような変形および改良はすべてこの開示の範囲に含まれることが意図されている。したがって、特定用途によって必要とされない限り、または、明記されない限り、または状況から明らかでない限り、さまざまなステップの順序に関する描写および/または説明は、これらステップの特定の実行順序を要すると理解されるべきではない。
【0390】
上記方法またはプロセスおよびそのステップを、ハードウェア、ソフトウェア、または特定の用途に適したこれらの任意の組合せによって実現してもよい。このハードウェアは、汎用コンピュータおよび/または専用計算装置を含み得る。このプロセスは、内部および/または外部メモリに加えて、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋込型マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサまたはその他プログラマブル装置において実現してもよい。このプロセスはまた、その代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理または任意の他の装置、または電子信号を処理するように構成し得る装置の任意の組合せにおいて実施してもよい。さらに、プロセスのうち1つ以上は、上記装置、プロセッサの異種の組合わせ、プロセッサアーキテクチャ、または異なるハードウェアおよびソフトウェアの組合せのうち1つにおいて実行されるように記憶、コンパイル、または解釈され得る、Cといった構造化プログラミング言語、C++といったオブジェクト指向プログラミング言語、または任意の他の高水準もしくは低水準プログラミング言語(アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、およびデータベースプログラミング言語および技術を含む)を用いて作られた、コンピュータで実行可能な符号として、実現し得ることが、理解されるであろう。
【0391】
このように、ある側面において、上記各方法およびその組合せは、1つ以上の計算装置上で実行されているときにそのステップを実行するコンピュータで実行可能な符号において実施されてもよい。別の側面では、上記方法を、そのステップを実行するシステム内で実施してもよく、さまざまなやり方で複数の装置に分散させてもよく、または、すべての機能を専用のスタンドアロン型装置または他のハードウェアに統合してもよい。別の側面において、上記プロセスに関連付けられたステップを実施するための手段は、上記ハードウェアおよび/またはソフトウェアのいずれかを含んでいてもよい。このような置換および組合せはすべて本開示の範囲に含まれることが意図されている。
【0392】
本発明の実施の形態について、可能な実施の形態いくつかと関連付けて説明してきたが、その他の実施の形態は当業者によって理解されるものであり本明細書の範囲に含まれている。
【技術分野】
【0001】
背景
光ピックアップユニットは、光学式媒体の何らかの欠陥に対して焦点を保ち続けられない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
本明細書において、光テープの技術、テープの製造、およびテープの使用法の複数の側面が開示される。テープ技術の方法およびシステムとして開示されるのは、構成、規定、マーキング、および構造を含む、光テープ媒体;硬化プロセス、コーティング方法、エンボス加工、ドラム、テスト、およびトラッキング位置合わせスタンパストリップ(stamper strip)を含む、光テープ製造方法、システム、ならびに装置の方法およびシステム;開示されている光テープに適したピックアップヘッドを含む、光テープの方法およびシステム;ならびに、マルチメディアに応用するための光記憶媒体装置を含む光テープの用途である。
【0003】
データ記憶システムは、欠陥とこの欠陥の両側にある複数のトラックとを有する光学式媒体を含み得る。上記複数のトラックは、(i)上記欠陥の隣の欠陥位置情報を示す変調されたウォブル(wobble)のフィールドと、(ii)データを示す変調されたウォブルのフィールドとを示す。データ記憶システムはさらに、変調されたウォブルのフィールドを読取るように構成された光ピックアップユニットと、少なくとも1つのコントローラとを含み得る。このコントローラは、上記ピックアップユニットとともに動作できるように配置され、ピックアップユニットが上記欠陥の一方側にある欠陥位置情報を検出したことに応じて、ピックアップユニットが上記欠陥の反対側にあるデータを示す変調されたウォブルのフィールドの隣に位置するように、媒体の第1の方向への移動を命令するように構成される。
【0004】
本明細書において言及されるすべての文献全体を、本明細書に引用により援用する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】光サーボマークおよびデータトラックを含む光学式媒体の平面図である。
【図2】光学式媒体加工システムの斜視図である。
【図3】第1の表面入射(空気入射)WORM媒体層の実施の形態を示す。
【図4】第1の表面入射(空気入射)書換型媒体層の実施の形態を示す。
【図5】第2の表面入射(ベースフィルム入射)WORM媒体層の実施の形態を示す。
【図6】第2の表面入射(ベースフィルム入射)書換型媒体層の実施の形態を示す。
【図7A】本発明の可能な実施の形態の光学式媒体積層体を示す断面図である。
【図7B】本発明の可能な実施の形態の光学式媒体積層体を示す断面図である。
【図8A】明るいリングで囲まれた暗いスポットを示す光学式媒体の像を含む図である。
【図8B】明るいリングで囲まれた暗いスポットを示す光学式媒体の像を含む図である。
【図9】明書込および暗書込媒体の像である。
【図10】明書込および暗書込の信号比較の図である。
【図11】本発明の可能な実施の形態のブロック図である。
【図12】本発明の光学式媒体のセクションの可能な実施の形態の概略図である。
【図13】可能な一連の動作モードおよび読取/サーボ検知素子の可能な相対的移動を示す時間経過図である。
【図14】アドレスおよび同期情報を表わす正弦波信号の実施の形態を示す。
【図15】サーボシステム復調器および復号器の実施の形態のブロック図を示す。
【図16】図15に示されるサーボシステム復調器のさまざまな信号出力の実施の形態を示す。
【図17】異なる光マークおよび読出信号の実施の形態を示す。
【図18】同一の光学式媒体トラック上のデータフィールド白色マークに埋込まれたサーボ暗マークの実施の形態を示す。
【図19】光テープ媒体上の暗マークおよび白色マークを用いるサーボフィールドおよびデータフィールドから得られた読出信号の実施の形態を示す。
【図20】本発明の可能な実施の形態の層の種類および積層体を表わす図である。
【図21】図20の適合させた実施の形態がテストされている間のある信号の活動を示すオシロスコープの表示である。
【図22】入射光の波長が532nmのときの3層WORM媒体における反射感度を示すグラフである。
【図23】図22の拡大版を示す図であり、図22のグラフを作成するのに使用されたものの約10倍の厚みを有する層を備えた媒体の反射率を示す。
【図24】入射光の波長が680nmのときのDVD媒体における反射感度を示すグラフである。
【図25】媒体の反射感度を示すグラフである。
【図26】LOTS媒体の反射感度を示すグラフである。
【図27】DVD媒体の反射感度対入射光波長を示すグラフである。
【図28】媒体の交差する反射感度曲線を示すグラフである。
【図29】書込後直接読出(DRAW)光テープピックアップの実施の形態を示す。
【図30】書込後直接読出(DRAW)光テープピックアップの実施の形態を示す。
【図31】光テープシステムにおいて第2のビームに対して使用されるホログラフィック光学素子の実施の形態を示す。
【図32】光テープシステムにおいてDRAWビームに対して使用されるホログラフィック光学素子の実施の形態を示す。
【図33】光テープシステムにおける第1のレーザダイオードおよび第2のレーザダイオードの向きの実施の形態を示す。
【図34】DRAW光テープピックアップヘッドの実施の形態を示し、第1および第2の電気光学集積回路を1つのチップに一体化している。
【図35】小型DRAW光テープピックアップヘッドの実施の形態を示す。
【図36】小型DRAW光テープピックアップヘッドの実施の形態を示す。
【図37A】光テープに適合させた光トラッキングシステムの実施の形態を示す。
【図37B】ユニットが移動して光テープをトラッキングする本発明の実施の形態を示す。
【図38】光口径食効果の実施の形態を示す。
【図39】一体化された光テープピックアップヘッド設計の実施の形態を示す。
【図40】追加された書込後直接読出機能が組込まれた、一体化された光テープピックアップヘッドの実施の形態を示す。
【図41】テープ末端位置における光ヘッド駆動機構の再方向付けの実施の形態を示す。
【図42】焦点およびトラック制御が独立して行なわれる複数のヘッドチャネルを示す光テープピックアップヘッド駆動機構の実施の形態を示す。
【図43】テープ末端位置におけるヘッド駆動機構の再方向付けの実施の形態を示す。
【図44】過去に書込まれたデータを読取り次の情報を書込むために情報を書込装置に与えるトランスデューサアセンブリの実施の形態を示す。
【図45】信号変調器および信号復調器のハイレベルの実施の形態を示す。
【図46】信号復調器の実施の形態を示す。
【図47】個々の光ヘッドの横方向のテープの動き(LTM)および残りの動き(RM)の実施の形態を示す。
【図48】サーボトラック信号復号の実施の形態を示す。
【図49】サーボ信号の同期ビットおよびアドレスビットの実施の形態を示す。
【図50】サーボシステム復調器/復号器の実施の形態を示す。
【図51】シム(shim)製造プロセスの可能な実施の形態のフローチャートである。
【図52】エンボス加工ドラムの平坦な組立体の可能な実施の形態の側面および上面の図である。
【図53】ローラシャフトの可能な実施の形態の等角図である。
【図54】図53のローラシャフトに設けられた本発明のローラガイドアセンブリの可能な実施の形態の側面図である。
【図55】本発明のテープサポート装置の可能な実施の形態の側面図である。
【図56】図55の可能な実施の形態の上面図である。
【図57】本発明のガイドローラの可能な実施の形態の、上から見た断面図である。
【図58】媒体上にサーボトラックをエンボス加工で形成するための典型的な成形された機械的ドラムの輪郭、および、機械的ドラム上の本発明の調整ゾーンの実施の形態の斜視図を示す。
【図59】調整ゾーンとウォブルサイクルとの関係を示す平面図である。
【図60】本発明のテープ媒体位置および平坦化サポート装置の可能な実施の形態の斜視図である。
【図61】テープ媒体および媒体ヘッドとともに使用中の図60の実施の形態を示す端面図である。
【図62】本発明のもう1つの可能な実施の形態の斜視図である。
【図63】質量を減じる開口部を有するリールの片側の実施の形態を示す。
【図64】リールアセンブリの実施の形態を示す。
【図65】サブミクロンエンボス加工のためのスタンパシム(stamper shim)構成の実施の形態を示す。
【図66】差動ねじを用いるスタンパシムおよび精密位置合わせ機構の断面の実施の形態を示す。
【図67】圧電トランスデューサ、ピックアップヘッド、および処理電子機器を取入れた閉ループシステムを用いる自動化された位置合わせの実施の形態を示す。
【図68】本発明の光テープ媒体テスタの可能な実施の形態の斜視図である。
【図69】光テープ媒体をテストするための適合させた光テープドライブおよび光学式媒体テスタの可能な実施の形態の正面図である。
【図70】シムアセンブリの前のエンボス加工ドラムを示す本発明の可能な実施の形態の側面図である。
【図71】シムが組立てられた状態の図1の可能な実施の形態の端面の断面図である。
【図72】使用中の、本発明の位置合わせされた継ぎ目を有するドラムの、可能な実施の形態の端面図である。
【図73】多層光学式媒体テープの改善された性能のためのプロセスを示す。
【図74】本発明の光テープの可能な実施の形態の断面図を示す。
【図75】先行技術のコーティング経路を簡略化したものの側面図を示す。
【図76】図75の実施の形態の上面図を示す。
【図77】基材の移動方向から見た、不均一なソース分布の、コーティング均一性に対する効果を説明する概略図を示す。
【図78】蒸着ゾーンにおける基材の面に垂直な方向から見た、不均一なソース分布の、基材に対する効果を説明する概略図を示す。
【図79】真空蒸着ゾーンを通るテープ経路を示す、本開示のある実施の形態の概略図を示す。
【図80】図79に示される方法に従いコーティングゾーンを複数回通過する効果を概略的に表わしたものを示す。
【図81】個々のアイドラ(idler)ロールを使用してテープを案内する図79の別の実施の形態を示す。
【図82】オーバーコーティングされた余分な材料を除去することができるプロセスのある実施の形態の概略図を示す。
【図83】一経路で両面コーティングするプロセスのある実施の形態の概略図を示す。
【図84】光記憶媒体のさまざまな実施の形態を示す。
【図85】パーソナルコンピュータと一体化された図1の光記録媒体の実施の形態および本実施の形態の一部の詳細を示す。
【図86】スタンドアロン型の実施の形態における図84の光記録媒体を示す。
【図87】カメラの実施の形態における図1の光記録媒体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
光テープの技術、製造、および用途は、商業的に実現可能な解決策を提供するのに必要な、コスト、性能、密度、およびその他の目標を達成するために、密接に相互関連していると言える。信頼性が高く高品質の光テープを製造しながら製造コストを抑えるといった目標には、製造技術の方法およびシステムに相当な技術革新が必要であろう。高密度記憶および高性能を支援する光テープを製造するには、テープ技術ならびに製造方法およびシステムにおける相当な技術革新が必要であろう。したがって、本明細書に開示される光テープの製造の方法およびシステムを用いて本明細書に開示される光テープを作ることができるとともに、本明細書に開示される光テープの使用の方法およびシステムを用いて本明細書に開示される光テープを利用することができるであろう。
【0007】
本明細書において、光テープ技術、テープの製造、およびテープの使用法の複数の側面が開示される。テープ技術の方法およびシステムとして開示されるのは、構成、規定、マーキング、および構造を含む、光テープ媒体;硬化プロセス、コーティング方法、エンボス加工、ドラム、テスト、およびトラッキング位置合わせスタンパストリップを含む、光テープ製造方法、システム、ならびに装置の方法およびシステム;開示されている光テープに適したピックアップヘッドを含む、光テープの方法およびシステム;ならびに、マルチメディアに応用するための光記憶媒体装置を含む光テープの用途である。
【0008】
本明細書に記載される、光テープ媒体上のデータマークと区別することができる、光サーボマークを得るための方法を用いて作られた光テープ媒体上の光サーボマークは、光データ記憶テープドライブにおいて使用することができる。
【0009】
図1を参照して、光サーボマーク110は、繰返される実質的に正弦波(または鋸波)のパターンでもよく、その高さ120は光トラックのバンド130と等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。サーボマーク110はデータマーク140と光学的に区別可能であってもよい。サーボマーク110を光学的に区別可能にするための方法は、サーボマーク110をデータマーク140よりも大幅に広くすることを含む。
【0010】
光サーボマーク110は、光学式媒体にマーキングする1つ以上の光学ヘッド(図示せず)を用いて光学式媒体上に含めることができる。光学式媒体にマーキングするためのプロセスは、相変化、焼成または溝切りのうち1つ以上を含み得る。このプロセスは、光サーボトラック書込装置または光記憶媒体ドライブのうちいずれかを含んでいてもよい。光サーボマーク110を作る方法は、信号発生器を用いて1つ以上の光ヘッドを制御することを含み、この信号発生器は、光学式媒体が一定の線速度で1つ以上の光ヘッド下を移動する際に正弦波パターンの光サーボマーク110を生成する周波数に設定される。この信号発生器の周波数は、光学式媒体を使用するテープドライブシステムのサーボトラッキングシステムのサンプリング要件に合うように選択してもよい。
【0011】
上記1つ以上の光ヘッドは各々、光学式媒体上のトラックのバンド130専用でもよく、各光ヘッドは、バンド130内でのトラッキングおよび焦点合わせのための自身のアクチュエータを有する。各ヘッドの移動範囲は隣接する光ヘッドのバンドと重なっていてもよい。
【0012】
光学式媒体のマーキングが完了すると、光ヘッドが、データトラック140に沿って読取を行ない、マーキングされた媒体が光ヘッドを通過する際に、サーボマーク110を、読取パルスのパターン150として検出することができる。パルス読取パターン150の周波数160は、サーボマーク110のパターンと、テープが光ヘッドの横を移動する際のテープの速度とによって定められる。
【0013】
パルス読取パターン150はまた、あるヘッド専用のバンドのエッジに対するこのヘッドの位置に比例し得るデューティサイクル170を有する。パルス読取パターン150の周波数160は、トラックのバンド全体におけるすべてのヘッド位置に対して実質的に同じであってもよい。式(Td1/Tf)%によって計算されるデューティサイクル170は、読取パルスパターン111および113によって示されるようにトラック毎に異なっていてもよい。
【0014】
パルス読取パターン150を用いて光ヘッドを所望のトラック上に実質的に静止する状態で位置決めしてもよい。予め定められた周波数の位相ロックループを用いて光ヘッドの位置決めの際のパルス読取パターン150を限定してもよい。
【0015】
本明細書に記載の、トラッキングサーボパターンを光テープ媒体上に作るための方法を、本明細書に記載の適合された光テープ加工装置を用いて実施してもよい。
【0016】
図2を参照して、使用する光学式媒体ベースフィルム210を、ベースフィルムオーブン−押出成形機&伸長機220を用いて準備し、光学式媒体ベースフィルム210は予め定められた厚みおよび引張強度で送り出される。次に、この光学式媒体ベースフィルム210を、ベースフィルム210の片側に接触する複数の微細形状およびピッチ開口250からなるダイ230を通して加工してもよい。ダイ230は、交互に高い溝と低い溝240を構成し、この溝は、幅が狭く、ベースフィルム210の実質的に全長および実質的に全幅にわたって延びていてもよい。
【0017】
加えて、ダイ230はベースフィルム210の移動軸に実質的に垂直である横方向の移動、およびベースフィルム210の面に実質的に垂直である上下の移動を行なうことができる。このようにベースフィルム210がダイ230を通って移動することにより、ベースフィルム210に細い溝240のパターンが生まれる。溝240の可能な1つの用途はサーボトラッキングに使用することである。
【0018】
ダイ230が上下に移動することにより溝の深さを正確に制御できる。ダイ230の横方向の移動を細かく制御することにより、予め定められたパターンの溝が生成される。1つのこのような可能なパターンは、適切なサーボトラッキングには有益であることが知られている正弦波パターンであろう。ダイ230は、予め定められた溝のピッチ260および予め定められた溝の深さ270を定めることができる。ダイ230は、複数の溝間隔および溝幅を生み出すように構成できるが、ある可能な溝間隔は約0.74μmであろう。
【0019】
本明細書に記載の光テープ媒体は、ライトワンスリードメニー(write-once read many:WORM)動作または書換型動作を支援するように構成してもよい。支援される動作は、その一部が層の材料の種類および光テープ媒体における層の順序によって決まるであろう。
【0020】
図3を参照して、第1の表面入射(空気入射)WORM光テープ媒体の実施の形態は、トップコート302と、オーバコート304と、相変化層308と、反射層310と、エンボス加工層312と、ベースフィルムまたは基材314と、バックコート318とを含む。
【0021】
スパッタリングプロセスによって形成される傷付きにくい有機膜であるトップコート302は、この媒体の他の層に対して保護層を提供する。トップコート302は、この媒体内の層からのレーザ光320の望ましくない反射を防止するための反射防止特性(たとえば低い屈折率)を有し得る。
【0022】
図3の可能な実施の形態において、オーバコート304は、ZnS(商品名ZS80)といった材料で作られた吸収がほぼゼロである光学的に透明な保護層であってもよい。これに代えて、オーバコート304はまた、下にある層が物理的な損傷を受けないように保護し得るSiO2またはその他の材料を含み得る。オーバコート304は、スパッタリングプロセスによって形成してもよく、レーザ光320がより効率的に通過できるようにする反射防止材料を含んでいてもよい。
【0023】
この可能な実施の形態において、相変化コーティング308は、Ge−Sb−Te(ゲルマニウム−アンチモン−テルリウム)といった相変化合金でもよいが、明書込(write-bright)相変化材料として知られている他の相変化材料が含まれていてもよい。明書込材料は、レーザ320から十分な熱を受けると非晶質相から結晶質相に変化する。変化すると、この材料は、その組成の働きにより、非晶質相に戻らない。結果として得られる結晶質のスポットは、周りにある非晶質材料よりも反射性が高く、周囲の領域に対して高いコントラストを生み出し、これがWORM光テープ媒体にデータを記憶させるための手段となり得る。相変化膜308はこの可能な実施の形態においてスパッタリングプロセスを用いて形成してもよい。
【0024】
アルミニウムまたはアンチモンといった金属材料で作られた反射層310は、相変化層308を通過したレーザ320からの光を反射する。反射層310は、電子ビームを用いて作られてもよく、熱による蒸発によるものでもよく、スパッタリングされたものでもよく、イオンビーム蒸着されたものでもよく、または、同様のプロセスによって作られたものであってもよい。反射層310はさらに、上からの光を減衰させ、また、下からの光を反射することにより、上からのどのような光も減衰させ下からのどのような光も遮断してレーザ光320と混ざらないようにする。この光はレーザ光と混ざると雑音を上記反射されたレーザ光320に導入する可能性がある。反射層310はまた、核生成を容易にして適切な熱的プロファイルを形成することにより相変化層308の結晶化を支援し得る。
【0025】
エンボス加工層312は、サーボトラッキングに使用される物理的なランドおよび溝構造を含む。エンボス加工層312は、ドラムエンボス加工およびUV硬化装置によってモノマー流体から形成してもよい。この装置では、モノマー流体にエンボス加工によりランドおよび溝構造が形成され同時に硬化が行なわれる。これは硬化中に液体モノマーから固体ポリマーに転化され恒久的に基材314に装着されるであろう。
【0026】
エンボス加工層312の下には基材またはベースフィルム314があってもよく、これは機械的支持を提供する。ベースフィルム314は、データ記憶製品のための適切な機械的、熱的、および吸湿特性を有する、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または同様の材料といった、高性能熱可塑性ポリエステルフィルムから形成してもよい。
【0027】
バックコート318はベースフィルム314の裏側に積層してもよい。バックコート318は、静電荷の蓄積を最小にする一部導電性の層であってもよく、テープサブシステムの動作中に発生する閉じ込められた空気を放出するための導管として作用する粗い表面を有する。加えて、バックコート318は、その光学的特性により、反射層310を通過した入射レーザ光320を吸収し散乱させる。バックコート318は、スラリーコーティングにより形成されたカーボンブラック膜、アルミニウムスパッタリング層、およびニッケルクロムスパッタリング層を含む組から選択される材料の1つであってもよい。
【0028】
ある実施の形態において、図3の可能な実施の形態を、光ヘッドへの多重波長読出のために使用してもよい。
【0029】
図4を参照して、第1の表面入射(空気入射)書換型光テープ媒体の実施の形態が示されている。図4の実施の形態において、誘電材料402を相変化層308と反射層310との間に挿入してもよい。誘電体層402は、書込および消去プロセスを容易にするために相変化層308における熱を少量に制限する。誘電体層402は、ZnS、SiO2、または同様の材料からなるものであってもよく、スパッタリングプロセスによって形成されてもよい。その厚みは光学的に透明となるような厚みである必要があるであろう。
【0030】
図4の可能な実施の形態の媒体において、相変化層308は、暗書込(write-dark)技術に使用できる結晶質材料で構成されていてもよい。暗書込技術は、高強度のレーザを用いて結晶質材料の領域を暗書込マークとなる非反射領域に転化させ、中間強度のレーザを用いてデータマークを結晶質状態に戻すことにより消去する。
【0031】
図5を参照して、第2の表面入射(ベースフィルム入射)媒体の実施の形態として、層の順序が図3の層の順序と異なるものが示されている。この実施の形態において、レーザ光320は、トップコート302、ベースフィルム314、エンボス加工層312、およびオーバコート304を通過して進み、相変化層308によって反射され、光ヘッド検出器に戻り得る。この媒体におけるこれら層の順序は、トップコート302、基材またはベースフィルム314、エンボス加工層312、オーバコート304、相変化層308、反射層310、およびバックコート318であってもよい。
【0032】
図5の実施の形態は、トップコート302上の如何なる汚染物質も、レーザ320の焦点面に届かないようにするという利点を提供する。加えて、ベースフィルム314は、レーザビーム320がベースフィルム314を通過するときの歪みを防止するために、光学的に透明な低複屈折性材料であってもよい。ベースフィルム314に適した材料は、ポリカーボネート、Spaltan PETなどであろう。
【0033】
図6を参照して、第2の表面入射(ベースフィルム入射)書換型媒体の実施の形態が示されている。この実施の形態は、相変化層308と反射層310との間に誘電体層602を含む。誘電体層602は、書込および消去プロセスを容易にするために相変化層308における熱を少量に制限する。誘電体層602は、ZnS、SiO2、または同様の材料からなるものであってもよく、スパッタリングプロセスによって形成されてもよい。その厚みは光学的に透明となるような厚みである必要があるであろう。
【0034】
光テープ媒体は、本明細書に記載のように、非晶質相と結晶質相との間で変化することによって、光学的コントラストが高いものとなるようにすることができる。
【0035】
図7Aを参照して、本発明の可能な実施の形態は相変化媒体積層体710を含み、この積層体は、まずプラスチックまたはガラス基材730上の薄い金属層720を含み、次に相変化層740、その次に誘電体層750を含む、従来の形状を有する。相変化媒体積層体710は、空気入射レーザビーム760を用いる構成に適するであろう。図7Bを参照して、代替としての可能な実施の形態は、図7Aの積層体に代わる積層体を含み、基材入射レーザ770の構成に適するであろう。
【0036】
図7Aおよび図7Bの可能な実施の形態において、金属層720がアンチモン(Sb)のとき、相変化層740はTe−Ge−Sb(テルリウム−ゲルマニウム−アンチモン)三元合金であってもよく、誘電体層750はZnS/SiO2でもよく、媒体積層体710は独自の書込特性を示す。
【0037】
図8Aを参照して、レーザ書込パワーが比較的小さい比較的長い書込パルス(約50ns以上)が、媒体積層体10−110に照射されると、書込まれていない周囲820よりも反射率が高い書込まれたスポット810が形成される。特に、レーザ書込パワーが比較的小さい比較的長い書込パルスにより、この材料は、溶融温度よりも低いであろう結晶化温度に達し、結晶化が生じた結果、明書込スポット810となる。
【0038】
図8Bを参照して、レーザ書込パワーが比較的大きい比較的短い書込パルス(約20ns以下)により、明るいリングで囲まれた暗い中心部からなる書込スポット830を含む暗書込および明書込双方が生じる。明るいリングは相変化材料が部分的に結晶化したことによるものであろう。
【0039】
図9を参照して、レーザ書込パワーが比較的大きいとき、相変化層740は書込パルスのピーク近くで溶融点に達し、溶融した材料の表面張力により材料がレーザパルスから離れて結晶化された明るいリング910となりクレータ920を形成する。このクレータは、材料がレーザパルスが取除かれると直ちに冷却されるので永久的なものである。明るいリング910に対するクレータ920のコントラストは、図8Aの従来の明るいスポット810とその書込まれていない周囲よりもはるかに優れているであろう。
【0040】
図10を参照して、明書込1010および暗書込1020によって生まれた信号の測定値の比較は、振幅がより大きい波形によって表わされる暗書込1020が優れたコントラストを有していることを示している。
【0041】
光テープシステムは、予めフォーマットされたトラックレイアウトを採用する光テープ媒体とともに使用するための本明細書に記載されたサーボトラッキングシステムを含み得る。
【0042】
図11を参照して、フォーマットされた光学式媒体1110は、セグメントに分割されたトラックレイアウトを有していてもよい。テープ駆動機構サブシステム1130は、媒体1110を、データ/サーボ光検知素子1120に対して、実質的に一定の速度で移動させる。サーボシステムシーケンサ1140は信号を検知素子1120から受け、この信号は、光学式媒体1110から検出された情報を表わす。シーケンサ1140は、検出された情報を用いて、初期化、キャリブレーション、トラッキング、ギャップ飛越し、およびトラック飛越しを含む組から、サーボシステム1150の動作モードを選択する。
【0043】
初期化モードにおいて、サーボシステム1150は初期化ステップを実行する。キャリブレーションモードにおいて、サーボシステム1150は、ギャップ飛越し、トラック飛越し、およびトラッキングモードの最適な設定を決定してもよい。初期化およびキャリブレーションモードは、サーボシステム1150の電源投入中に行なわれてもよい。
【0044】
図12を参照して、媒体1110上のセグメント1210は、長さ1230のトラック1220を含む。セグメント1210は、長さ1240のギャップ(欠陥)によって区切られていてもよい。セグメント1210内において、トラック1220は各々、たとえばプリアンブル1212、データ1214、またはポストアンブル1216を示す変調されたウォブルのフィールドを示し、プリアンブル1212は、ある実施の形態において複数の同期1250サブフィールドおよびアドレス1260サブフィールドを含む。ポストアンブル1216フィールドは、データ1214の終端の後ろのパディング(padding)領域を提供してもよく、プリアンブル1212と同種類の情報を含んでいてもよい。これらフィールドは、変調されたウォブルのフィールドを読取るように構成された光検知素子1120を、媒体1110が通過する際、サーボシステム1150に対して順に現われる。プリアンブル1212およびポストアンブル1216は、ギャップを挟む状態で設けられているので、いずれかを光検知素子1120が検出することにより、サーボシステム1150に対し、光検知素子1120がギャップに近付きつつある(ポストアンブル1216の場合)ことまたはギャップから離れつつある(プリアンブル1212の場合)ことを、信号で知らせることができる。このようにしてプリアンブル1212およびポストアンブル1216は、ギャップ位置情報を伝える。
【0045】
初期化および/またはキャリブレーションモード中、サーボシステム1150は、以下のステップを実行することにより、ギャップ飛越しの実行後に光検知素子1120を媒体1110に沿った進行方向においてどの位置に置けばよいか知ることができる。この例において、最初に、データ1214が光検知素子1120の隣に位置すると仮定すると、サーボシステム1150は、光検知素子1120がポストアンブル1216を検出するまで媒体1110が(右から左に)移動するよう命令する。サーボシステム1150は、ポストアンブル1216を検出すると、予め定められた期間(その間検知素子1120は媒体1110上に焦点を合わせようとしない)、媒体1110が(右から左に)さらに移動するよう命令して、近付きつつあるギャップおよびプリアンブル1212が最終的に光検知素子1120を通過しこのギャップの反対側のデータ1214が光検知素子1120の隣に位置決めされるようにする。この命令された移動に対して予め規定された時間(「第1の時間」)を、媒体1110に対応付けられた仕様に基づいてサーボシステム1150に予めロードしてもよい。テスト等のその他の技術も使用してこのような位置決めに必要な時間を知るようにしてもよい。次に、サーボシステム1150は、光検知素子1120に、再び焦点を合わせるよう命令してもよい。光検知素子1120の焦点が再びデータ1214に合わされると、サーボシステム1150は、媒体1110が反対方向(左から右)に移動するよう命令して、先に通過したギャップが光検知素子1120に近付き始めるようにしてもよい。サーボシステム1150は、光検知素子1120がプリアンブル1212を検出するまでまたはその焦点が外れるまで、媒体1110のこの移動を命令し続けてもよく、この移動に関連付けられた時間(「第2の時間」)をトラッキングしてもよい。サーボシステム1150は、プリアンブル1212を検出すると、光検知素子1120に対する媒体1110の直線位置を記録してもよく、および/または「第2の時間」を記録してもよい。これに代えて、光検知素子1120の焦点が外れ焦点を再び合わせることができない場合、サーボシステム1150が、媒体1110を、欠陥があると識別してもよい。
【0046】
媒体1110のギャップは周期的に繰返される(本明細書に記載のように、媒体1110はギャップを有するエンボス加工ドラムによってエンボス加工されているため、たとえば、ドラムを10回転させると、媒体1110上には繰返されるギャップが10組形成されるであろう)ので、上記のステップを周期的な組のギャップ各々に対して実施してもよい。サーボシステム1110は、その組のうちいずれのギャップに遭遇しているかを、プリアンブル1212内の情報および/またはポストアンブル1216内の情報に基づき、周期的な組の中の各ギャップが特定のプリアンブル1212および/またはポストアンブル1216と関連付けられていると仮定して、求めることができる。
【0047】
この時点で、サーボシステム1150は、ギャップ飛越し動作が完了した時点で光検知素子1120をどこに位置決めするか決定するための情報を有する。たとえば、サーボシステム1150が、媒体1110が(いずれかの方向に)ほぼ一定の速度で移動するよう命令すると仮定すると、「第1の時間」と「第2の時間」との差を考慮してギャップ飛越し動作中(その間光検知素子1120は媒体1110上に焦点を合わせようとしない)媒体1110を移動させる時間の長さを求めてもよい。その代わりに/また、ギャップ飛越し動作中に媒体1110が移動する直線距離を、(i)「第1の時間」と「第1の時間」中の媒体1110の移動速度との積と、(ii)「第2の時間」と「第2の時間」中の媒体1110の移動速度との積との差を考慮して求めてもよい。他のやり方も可能である。
【0048】
図11および図13を参照して、シーケンサ1140は、ポストアンブル1216が検知素子1120によって検出されると、選択をトラッキングモードからギャップ飛越しモードに変更する。ギャップ飛越しモードでは、上記キャリブレーションモードの実施中に決定された設定を用いてギャップ1310上のギャップ飛越しの移動が行なわれてもよい。このギャップ飛越しの移動により検知素子1120を推定されたトラック位置上に位置決めしトラッキングモードが開始されてもよい。
【0049】
トラック1220はギャップ1310を挟んで直線状に並んでいない場合があるため、初期化および/またはキャリブレーションモード中、サーボシステム1150は、以下のステップを実行することにより、ギャップの前にある所与のトラックに対して最も近くに並んでいる、ギャップの後ろのトラックを知るようにしてもよい。特定の物理アドレスを有する特定のトラック(媒体1110のエッジの隣にあるトラックでもよい)に焦点を合わせている間であって繰返されるギャップの組の中の最初のギャップが通過する前に、サーボシステム1150は、第1の方向(右から左)に媒体1110が移動するよう命令し上記特定のトラックの特定の物理アドレスを記録してもよい。サーボシステム1150は、プリアンブル1214を検出すると、光検知素子1120に対して、媒体1110(したがってギャップ1310)が検知素子1120を通過する際(その間当然ながら検知素子1120は媒体1110に焦点を合わせようとしていない)、その位置を概ね維持するよう命令してもよい。ギャップ1310が光検知素子1120を通過すると、サーボシステム1150は、検知素子1120に対し、再び焦点を合わせるよう、かつ、焦点を合わせる、ギャップの後ろのトラックの、物理トラックアドレスを求め/記録するよう命令してもよい。サーボシステム1150は、上記技術または他の任意の適切な技術を用いて、ギャップ1310が検知素子1120を通過する間光検知素子1120が媒体1110に焦点を合わせようとしない期間を求めてもよい。トラック1220はギャップ1310を挟んで直線状に並んでいないことがあるので、記録されたギャップの前およびギャップの後ろのトラックのアドレスは同一でない場合がある。そこで、サーボシステム1150は記録された物理アドレスに単一の論理アドレスを割当ててもよい。
【0050】
サーボシステム1150は、上記プロセスを、繰返されるギャップの組のうちの特有の各ギャップ対して繰返してもよい。すなわち、繰返される組1つの中に特有のギャップが4つあるのであれば、サーボシステム1150は、上記プロセスを4回実行することにより、最も近接して並んでいることが判明したとえばそれぞれ物理トラックアドレスn、n+1、n−2およびn+3を有するセグメント分割された4つのトラックからなる組に、単一の論理アドレスたとえばn*(nおよびn*は整数値を有する)が割当てられるようにする。この情報を、光検知素子1120を介して媒体1110に記憶させてもよく(その他の場所に記憶させてもよい)、および/またはサーボシステム1150に関連付けられたメモリに保存してもよい。
【0051】
媒体1110のトラックの残りについて、物理トラックアドレスから論理トラックアドレスへのマッピングを求めるために、サーボシステム1150は、(上記の例を用いると)最も近接して並んでいることが判明したセグメント分割された4つのトラックの物理トラックアドレス、および、対応する割当てられた論理アドレスを、インクリメントおよび/またはデクリメントしてもよい。具体的には(上記の例をここでも用いると)、サーボシステム1150は、たとえば物理トラックアドレスn、n+1、n−2およびn+3をそれぞれn+1、n+2、n−1およびn+4にインクリメントし、対応する論理アドレスn*をn*+1にインクリメントしてもよい。表1は、物理アドレスから論理アドレスへのマッピングを完成させるこのようなインクリメントおよび/またはデクリメントの例を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
通常のトラッキングモード中にたとえば光検知素子1120の焦点が論理トラックアドレスn*に合わせられているとすると、サーボシステム1150は、媒体1110(したがってギャップ)が検知素子1120を通過する際に、物理トラックアドレスn、n+1、n−2およびn+3に、この相対的順序で出会うと予想するはずである。この例を続けると、検知素子1120がnというギャップ前の物理トラックアドレスを検知しギャップ飛越し動作後n+1というギャップ後ろの物理トラックアドレスを検知したとすると、サーボシステムは、トラック飛越し動作を実行する必要はない。しかしながら、検知素子1120がnというギャップ前の物理トラックアドレスを検知しギャップ飛越し動作後n−3というギャップ後ろの物理トラックアドレスを検出した場合、サーボシステムは、トラック飛越し動作を実行することにより、物理トラックn+1を発見する必要があるであろう。たとえば、サーボシステム1150内の復調器/復号器は、同期1250およびアドレス1260情報を処理することにより、検知素子1120が位置決めされるであろうトラックのアドレスの同期を確立し復号してもよい。復号されたアドレスに基づいて、サーボシステム1150は、所望のトラックに移動するために飛越すトラックの数を求め、トラック飛越し動作を開始してもよい。
【0054】
検知素子1120は、キャリブレーションおよび/または初期化モードで決定した設定を用いて、所望のトラック位置に移動しトラッキングモードを開始する。トラッキングモードはここでも再びトラックアドレスを復号し、この情報に基づいて別のトラック飛越しを開始するかまたはトラッキングモードを続ける。所望のトラックが確認できれば、トラッキングモードはフィードバックシステムを利用して媒体に埋込まれたトラッキング信号(図示せず)を追従するだけでよい。
【0055】
本明細書に記載される、予め定められたパターンで符号化された光テープ媒体は、符号化されたパターンを解釈するようにされた光テープシステムにとって有用であろう。
【0056】
図14を参照して、正弦波サーボ信号1402および弁別器フィルタ出力信号1404の実施の形態が示される。正弦波サーボ信号1402の周波数が、変調の搬送周波数およびサーボ復調器1502に対するタイミングを決定してもよい。正弦波サーボ信号1402において、各2サイクルがセル1418を表わしてもよい。セル1418は各々、索引付けおよびアドレスビットに関する情報を搬送し得る。セル1418内の1サイクルの正弦波位相反転は、索引ビット1410を示し得る。索引ビット1410は、アドレスフィールド1412または位相ロックループ(PLL)サブフィールドの開始を示してもよい。複数のアドレスサブフィールド1418がサーボ信号1402の全アドレスを構成していてもよい。正弦波サーボ信号1402の任意のセル1418において、2つの正弦波サイクルが欠けているということはゼロビットを示し、2つの正弦波サイクルがあるということは1ビットのアドレスを示し、したがって、アドレスフィールド1412は正弦波サーボ信号1402によって表わすことができる。
【0057】
弁別器フィルタ出力信号1404は、正弦波サーボ信号1402の索引付けビット1410を表わしていてもよい。ある実施の形態において、索引付けビット1410の信号振幅は、予め定められた索引しきい値よりも大きいことによって索引付けビット1410を示してもよく、索引付けビット1410はアドレスフィールド1412の開始を示してもよい。
【0058】
トラックのアドレスフィールド1412は、何度も繰返されることによってデータ信号のロバストネスおよび改善された信号対雑音比を提供してもよく、アドレスフィールド1412は、光テープの2^mのトラックに対しM個のセルを有していてもよい。アドレスフィールド1412は、長さが同じであるPLLフィールド1414と交互にされてもよくPLLフィールド1414およびシーケンサの適切な動作を保証してもよい。
【0059】
図15を参照して、サーボ復調器および復号器1502の実施の形態のブロック図が示されている。サーボ復調器および復号器1502は、弁別器フィルタ1504と、しきい値検出器1508と、PLL1510と、同期装置1512と、同期された整流器1514と、同期された再設定可能な積分器1518と、第2のしきい値検出器1520とを含み得る。
【0060】
弁別器フィルタ1504は、媒体から検出されたパターン信号から索引パルスを検出してもよい。索引パルス(IdxPls)信号1604を位相ロックループ(PLL)1510に使用してもよい。PLL1510からのVCO信号を同期装置1512によって同期させSigIn1522の同期された整流1514および再設定可能な積分1518に使用してもよい。しきい値検出器1520は、同期された再設定可能な積分器1518からの出力を受けてアドレス1412を検出できるようにしてもよい。
【0061】
図16を参照して、サーボ復調器および復号器1502によって生成された信号の実施の形態が示されている。SigIn1602は、正弦波サーボ信号1402を表わし、索引付けビット1410、アドレスフィールド1412、およびPLLフィールド1414を含み得る。IdxPlx信号1604は、アドレスフィールド1412の最初の索引付けビット1410を示し得る。SigRec1608は、索引付けビット1410、アドレスフィールド1412、およびPLLフィールド1414に対する整流された信号を含み得るSigIn1602信号の整流された信号であってもよい。IntOut1610およびAddPls1612信号は、サーボ復調器および復号器1502からのアドレスフィールド1412出力を表わし得る。
【0062】
本明細書に記載されるように光テープ相変化媒体上に永久的かつ区別可能なサーボマークを書込むことは、符号化されたパターンを解釈するようにされた光テープシステムにとって有用なものとなるであろう。
【0063】
本明細書に開示される方法およびシステムは、本質的に永久的でありデータと容易に区別できる光学式媒体上のサーボマークを書込む独自の方法を含み得る。
【0064】
図17を参照して、異なる相変化光テープ媒体マーク1710の実施の形態が、光ヘッドが受ける読出信号1712に加えて示されている。これら異なる媒体マーク1710は、マーキングなし1702、白色マーキング1704、および暗いマーキング1708を含み得る。ある実施の形態において、読出信号1712の極性は、マークなしに対して中性、白色マーク1704に対して正、暗いマーク1708に対して負であってもよい。「明書込」相変化媒体において、データマークは、特定量の電力をレーザダイオードに与えることによって光学式媒体の状態を非晶質(低反射率)から結晶質(高反射率)に変化させることによって書込んでもよい。レーザダイオードに与えられる電力がこの特定のバンドを超える場合、永久的な暗マーク1708(反射能なし)が媒体上に形成され、これは、その極性と大きさによっても、装置の読取/書込チャネルによって作られたデータ書込マーク1704と区別できる。暗マーク1708は上書きされずしたがって媒体上のサーボパターン形成には理想的であろう。
【0065】
図18を参照して、サーボマーク1812埋込の実施の形態がデータフィールド1810とともに示されている。サンプリングサーボ方法において、トラックアドレスおよびサーボ位置決め情報を、媒体プロセスのプリフォーマット中に、暗マーク1708を用いて、相変化媒体1802に埋込んでもよい。ある実施の形態では、暗マーク1708を用いた光相変化テープ媒体1802上のサーボマーク1812(サーボフィールド)の形成は、白色マーク1704のデータフィールド1810と区別し得る。暗マーク1708サーボフィールド1812は、白色マーク1704データフィールド1810に埋込まれることによってデータフィールド1810に対する同期およびアドレス情報を与えてもよい。
【0066】
図19を参照して、光テープ媒体1802上の暗マーク1804および白色マーク1808に対する受信された読出信号1908の実施の形態が示されている。図18について述べたように、サーボフィールド1812の暗マーク1802は、光テープ媒体1802上の白色マーク1808のデータフィールド1810に埋込むことができる。図171に示されるように、暗マーク1804は、光ヘッドに対し負の読出信号1902を与え得る。白色マーク1808は、光ヘッドに対し正の読出信号1904を与え得る。ある実施の形態において、その結果、読出信号1908は、暗マーク1804サーボフィールド1812および白色マーク1808データフィールド1810双方について区別できる極性信号を与え得る。この読出信号1908の極性が区別できることにより、同一の光テープ1802のトラック上に書込まれ得るサーボフィールド1812およびデータフィールド1810双方を読取ることができる。
【0067】
図20を参照して、第1の表面入射(空気入射)WORM光テープ媒体の実施の形態は、トップコート2002と、オーバコート2004と、相変化層2008と、金属層2030と、反射層2010と、エンボス加工層2012と、ベースフィルムまたは基材2014と、バックコート2018とを含む。
【0068】
トップコート2002は、スパッタリングプロセスによって形成される傷付きにくい有機膜でもよく、この媒体の他の層に対して保護層を提供する。トップコート2002は、この媒体内の層からのレーザ光2020の望ましくない反射を防止するための反射防止特性(たとえば低い屈折率)を有し得る。
【0069】
図20の可能な実施の形態において、オーバコート2004は、ZnS(商品名ZS80)といった材料で作られた吸収がほぼゼロである光学的に透明な保護層であってもよい。これに代えて、オーバコート2004はまた、下にある層が物理的な損傷を受けないように保護し得るSiO2またはその他の材料を含み得る。オーバコート2004は、スパッタリングプロセスによって形成してもよく、レーザ光2020がより効率的に通過できるようにする反射防止材料を含んでいてもよい。
【0070】
この可能な実施の形態において、相変化コーティング2008は、Te−Ge−Sb(テルリウム−ゲルマニウム−アンチモン)といった相変化合金でもよいが、明書込相変化材料として知られている他の相変化材料が含まれていてもよい。相変化コーティング2008は、Te−Ge−Sbで構成されている場合、およそ19ナノメートルの厚みであってもよい。明書込材料は、レーザ2020から十分な熱を受けると非晶質相から結晶質相に変化する。変化すると、この材料は、その組成の働きにより、非晶質相に戻らない。結果として得られる結晶質のスポットは、周りにある非晶質材料よりも反射性が高く、周囲の領域に対して高いコントラストを生み出し、これがWORM光テープ媒体にデータを記憶させるための手段となり得る。相変化膜2008はこの可能な実施の形態においてスパッタリングプロセスを用いて形成してもよい。
【0071】
金属層2030は非常に薄いアルミニウム層であってもよい。この実施の形態において、金属層2030は厚みが約1から2ナノメートルのアルミニウムで概ね構成されていてもよい。
【0072】
レーザのエネルギが相変化材料に衝突すると、そのエネルギが三次元ガウス形状を有する材料に伝達される。レーザ衝突領域の中心の温度は直ちに相変化材料の溶融点まで上昇するが、その周辺領域は溶融温度よりも低い結晶化温度までしか上昇しない。このエネルギ伝達プロセスにより、明るいリングによって囲まれた中央部に穴がある「ドーナツ」状のマークが形成される。このようなマークは、高いコントラストおよび高い信号対雑音比という利点をもたらす。加えて、このプロセスは非常に高速であるため、このような媒体を非常に速いデータレートの記録に使用することが可能になるであろう。しかしながら、金属層2030がなければ、読出パワーが約0.3mWより大きいレーザにより、媒体の相変化層における意図されていない明るいトラックとなるであろう読取エッチングが生じ得る。
【0073】
金属層2030は、媒体が、高コントラストおよび高速WORM媒体という望ましい特徴すべてを提供するだけでなく読取エッチングに対して非常に耐性が高いものとなるよう、媒体を向上させる。読取パワーが最低0.8で最大1mWまでのレーザは、この実施の形態に読取エッチングの問題を生じさせることはない。この実施の形態において、読取エッチングに対して強くなるだけでなく、書込マークの搬送波対雑音比も、金属層2030のない光学式媒体に対し、約5〜10dB改善されるであろう。
【0074】
金属層2030は、レーザ書込中に反射層2010内の金属が相変化層2008に混入しないようにするバリアとして作用することによって上記利点に貢献するであろう。これに代えて、金属層2030内の原子アルミニウムが積層中に相変化層2008に混入することがある。このような混入は、相変化層2008の結晶化プロセスを遅らせるが溶融温度を実質的に変えることはない。
【0075】
アルミニウムまたはアンチモンといった金属材料で作られた反射層2010は、相変化層2008および薄い金属層2030を通過したレーザ2020からの光を反射する。反射層2010は、アンチモンで構成されている場合、その厚みは約20から30ナノメートルである。反射層2010は、電子ビームを用いて作られてもよく、熱による蒸発によるものでもよく、スパッタリングされたものでもよく、イオンビーム蒸着されたものでもよく、または、同様のプロセスによって作られたものであってもよい。反射層2010はさらに、下からの光を反射し、下からの光を減衰させ、遮断して、この光が通過してレーザ光2020と混ざらないようにする。この光は反射されたレーザ光2020に雑音を導入する可能性がある。反射層2010はまた、核生成を容易にして適切な熱的プロファイルを形成することにより相変化層2008の結晶化を支援し得る。
【0076】
エンボス加工層2012は、サーボトラッキングに使用される物理的なランドおよび溝構造を含む。エンボス加工層2012は、ドラムエンボス加工およびUV硬化装置によってモノマー流体から形成してもよい。この装置では、モノマー流体にエンボス加工によりランドおよび溝構造が形成され同時に硬化が行なわれる。これは硬化中に液体モノマーから固体ポリマーに転化され恒久的に基材2014に装着されるであろう。
【0077】
エンボス加工層2012の下には基材またはベースフィルム2014があってもよく、これは機械的支持を提供する。ベースフィルム2014は、データ記憶製品のための適切な機械的、熱的、および吸湿特性を有する、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)または同様の材料といった、高性能熱可塑性ポリエステルフィルムから形成してもよい。
【0078】
バックコート2018はベースフィルム2014の裏側に積層してもよい。バックコート2018は、静電荷の蓄積を最小にする一部導電性の層であってもよく、テープサブシステムの動作中に発生する閉じ込められた空気を放出するための導管として作用する粗い表面を有する。加えて、バックコート2018は、その光学的特性により、反射層2010を通過した入射レーザ光2020を吸収し散乱させる。バックコート2018は、スラリーコーティングにより形成されたカーボンブラック膜、アルミニウムスパッタリング層、およびニッケルクロムスパッタリング層を含む組から選択される材料の1つであってもよい。バックコート2018は、アルミニウム、ニッケルクロムまたはその他の金属材料からなる場合、磁気テープ媒体に与えることによって同様の静電放電および閉じ込められた空気の放出を行なってもよい。
【0079】
図2は、図20に示された媒体に対し3T動作を実行している間に捕捉されたテスト信号の波形を示しており、この媒体はオーバコート104を除去することにより得られたものである。オーバコート2004は光反射防止干渉層であってもよいため、この3T書込動作中に媒体の残りの層に大きな影響を与えることはない。
【0080】
信号2110は、媒体上のレーザマークを読取った結果を表わす読取信号の時間領域電圧測定値を示す。信号2120は、読取信号が関連データをいつ有しているか判断するために使用される制御信号を示す。図21からわかるように、信号2120がロー225の期間中、読取信号は関連データを有する。信号2110および2120を捕捉し、オシロスコープ上に、1分割当たり5msの時間目盛を用いて表示してもよい。オシロスコープの機能を用い、読取信号の代表的な部分2130を、選択し、1分割当たり1.46usの時間目盛を用いて、信号2140として表示できる。当業者にとって、図21の波形は、図20に示される光学式媒体の実施の形態の搬送波対雑音特性を示す。
【0081】
感度プロットは、「マクロ」特性に対する「ミクロ」変化の効果を示す派生的なツールであろう。図22、図23、図24および図25は、薄膜積層体における各層の厚みの変化に対する反射の感度を示す。図22および図23では、最後の層のみを対象としている。図24では、第1および第3の層を対象としている。図25では、第2および第4の層を対象としてもよい。
【0082】
なお、図22、図23、および図24に示される両設計において、非晶質曲線および結晶質曲線は平行であり非晶質曲線は常に結晶質曲線よりも低い。図23は、図22の拡大版であり、層の厚みが10倍であってもこれら曲線は平行なままであることを示している。図24の拡大版も同じ現象を示すので省略する。
【0083】
図25は、交差する非晶質曲線および結晶質曲線の実施の形態を示す。これは、相変化システムを(たとえば光テープ媒体の一部として)、非晶質状態において高反射率、結晶質状態において低反射率となるように、または、結晶質状態において高反射率、非晶質状態において低反射率となるように、設計できることを意味している。これは、明書込または暗書込システムでもよい。
【0084】
たとえば、従来のDVDディスクはWORMディスクプレーヤでは適切に機能しないであろう。なぜなら、WORMディスクプレーヤはディスクがWORMレーザビームで照射されると反射率の増大を探そうとするが、DVDディスクはレーザビームで照射されると反射率が低下するためである。
【0085】
しかしながら、LOTSドライブはWORMドライブでもよく、LOTSドライブにおいて消去可能なテープを使用できる唯一の方法は、消去可能なテープを、レーザビームで照射されるとその反射率が高くなるようにすることであろう。図26に示される設計は、LOTS波長に対応する波長532nmのレーザビームで照射されると反射率が上昇することを示している。
【0086】
相変化層で構成される4層光テープの実施の形態では、非晶質から結晶質への反射率変化は、層の厚みが変化すると正から負へと変化するであろう。
【0087】
非晶質反射率曲線と結晶質反射率曲線が交差する媒体(たとえば光テープ媒体)は、非晶質状態で高反射率で結晶質状態で低反射率か、または、結晶質状態で高反射率で非晶質状態で低反射率となることができる。これは、明書込または暗書込システムいずれかであろう。
【0088】
相変化層で構成される4層光テープの実施の形態では、非晶質から結晶質への反射率変化は、層の厚みが変化すると正から負へと変化するであろう。
【0089】
光学式媒体のための初期化装置は、相変化媒体を結晶質状態に初期化するのに十分なエネルギを光学式媒体に与える高出力レーザを含んでいてもよい。この高出力レーザの焦点は、出力がより低いレーザによって、媒体の相変化層に自動的に合わせることができる。しかしながら、出力がより低いレーザは、反射率曲線が互いに平行である(たとえば図27に示されるもの)媒体が初期化されたときに飽和することがある。
【0090】
4層光テープの実施の形態において、その相変化反射率曲線は、互いに平行でなくともよく、出力がより低いレーザによって自動的に焦点が合わせられる高出力レーザを用いて初期化されてもよく、これらレーザの波長は反射率曲線が交差する反射率(たとえば図28に示されるもの)とほぼ同じであってもよい。したがって、初期化装置の焦点波長は媒体の反射率が交差する波長にほぼ等しく飽和しないであろう。このような装置は波長がより短い相変化材料にとって有利であろう。
【0091】
新たな考案(REWORM)は、高反射率非晶質状態における層形成、低反射率結晶質状態への初期化、および高反射率非晶質状態への書込を含むであろう。
【0092】
この考案の利点は、より速い消去時間を含み得る。その理由は、結晶質状態から非晶質状態への書込が、非晶質状態から結晶質状態に変化する最小時間の制約を含む相変化媒体の本質的な結晶成長メカニズムに依存しないからである。
【0093】
本明細書において、相変化媒体を低反射率状態に戻すことによりテープを消去できる装置を開示することができる。このような装置は、高反射率状態でテープに書込まれた情報を、その高反射率情報を低反射率状態に変化させることによって消去するであろう。
【0094】
このような装置は、情報をテープに書込みテープから読取るのに使用される別の装置から独立したスタンドアロン型の装置として役立ち得る。
【0095】
特に、このような装置は、明書込テープを使用する応用例において役立つであろう。
光テープ媒体とともに使用される場合に、情報をこのテープに書込み、以前テープに書込まれた情報をマスキングし、この以前書込まれた情報を光テープ読取装置によって読取ることができないようにする装置を、本明細書において開示することができる。
【0096】
これの利点は、テープ上の機密情報を、以前にテープに書込まれたこの機密情報を読取ることができないようマスキングすることによって、その読取を防止する点にあるであろう。この利点は、光テープシステムによって消去しなければならない光テープ上の機密情報を有する第1のユーザにとって有利となるであろう。なぜなら、この光テープシステムの第2のユーザがこの機密情報を消去実行前に読取ることを防止するからである。
【0097】
消去可能な相変化テープ媒体は、連続スパッタリングコーティングマシンで製造することができる。この装置では、すべての層を同時に媒体上に形成してもよい。これは、第1の層の形成後すぐに第2の層を第1の層の上に形成し、同時に、第1の層を媒体上のさらなる部分上に形成することによって、行なうことができるであろう。ある実施の形態において、これは、スパッタリング(層形成)ソースを回転熱抽出ドラム(冷却ドラム)の周りに配置し、媒体が順次各スパッタリングソースを通過するようにすることによって、行なうことができるであろう。薄膜は、上記のように、第1の層を、媒体が各スパッタリングソースを通過する際に、冷却ドラムと接触していてもよいポリマー型材料の膜の上に形成して、形成してもよい。
【0098】
この技術を1つ以上の層が積層されたテルリウム系の消去可能な相変化構成に応用することにより、層と層との間の材料界面が傾斜したものを作ることができるであろう。
【0099】
層と層との間に傾斜した材料界面があるこの媒体の利点は、張力緩和または熱伝導率推移を含み得る。これは、最終的に得られる相変化構造の性能改善をもたらすであろう。このような改善された性能は、信号ジッタの減少または消去周期性の向上として表われるであろう。
【0100】
実施の形態において、多層媒体における各界面の傾斜が異なっていることが望ましいであろう。
【0101】
本明細書におけるいくつかの側面は、光テープからのデータの読取および/または光テープへのデータの書込を行なうようにされた、改善された光ピックアップヘッドシステムに関するであろう。光ヘッドは、データの光テープからの読取および/または光テープへの書込を行なうことができるであろう。光テープは、相変化層に、フォーマットされたデジタルデータを含み得る。この光テープは、書込まれる、書換えられる、消去される、および/または読取られるようにされていてもよい。光ヘッドは、この光ヘッド、読取ヘッド、書込ヘッド、読取/書込ヘッド、書込後直接読出ヘッドのための駆動機構、光ヘッド位置決めのための相関結合ユニット、光テープ上のデータを復号するための復調機構などを含み得る。光ヘッドは、光源、レンズ、アクチュエータ、ビームスプリッタ、ビーム偏光子、電気光学集積回路、および/またはその他のシステムを含み得る。
【0102】
光ヘッドは、読取、書込、読み書き、書込後直接読出を行なうことが可能であってもよく、または、特定のアプリケーションのニーズを満たすように構成されていてもよいことが、理解されるはずである。光ヘッドおよびその関連機構のいくつかの異なる側面が本明細書に記載されており、これら異なる側面は、組合わせて1つの光ヘッドにしてもよく、または個々に使用してもよい。
【0103】
ある実施の形態において、本明細書に記載の光ピックアップヘッド(OPH)を、光テープ媒体を用いる書込後直接読出(DRAW)モードで使用してもよい。
【0104】
ある実施の形態において、低出力書込後直接読出(DRAW)レーザダイオードを、ピックアップヘッド(PUH)の高出力レーザダイオードとともに使用してもよい。これら2つのレーザダイオードは、実質的に同じ波長を有していてもよい。ある実施の形態において、ホログラフィック光素子(HOE)をDRAWレーザビーム経路に挿入してもよく、+1(1次)および−1ビームをDRAW機能に使用してもよい。この+1という1次ビームを媒体の動きの第1の方向に使用し、−1という1次ビームを第2の方向に使用してもよい。
【0105】
PUHにおいてDRAW機能を実現する2つの方法があるであろう。第1の方法の実施の形態は、書込専用の高出力レーザダイオードLD1 2902と、読取、サーボ読取、およびDRAWのための、実質的に同一の波長を有していてもよい低出力の第2のレーザLD2 2914とを有し得る。これら2つのレーザからのビームを組合わせることにより、DRAWに加え必要な機能をすべてPUHで実現してもよい。第2の方法の実施の形態は、書込、読取、およびサーボ機能に使用されるLD1 2902を有していてもよく、低出力LD2 2914はDRAWのためのものであってもよい。
【0106】
図29を参照して、書込専用の高出力レーザダイオードLD1 2902と、波長が実質的に同一であってもよい、読取、サーボループ、およびDRAWのための低出力の第2のレーザLD2 2914とを備える、DRAWに基づく方法の実施の形態が示されている。光路は2つあってもよく、そのうち一方は高出力レーザダイオードLD1 2902のものであり、他方は低出力レーザダイオードLD2 2914のものである。LD1 2902と関連付けられた経路は、書込エネルギを媒体に送るためのものであってもよい。COL1 2904として示されているコリメータは、非点収差(astigmatic)レンズでもよく、これは、対物レンズによって焦点を光テープ媒体に合わせる、コリメートされ非点収差のないビームを与える。
【0107】
LD2 2914と関連付けられた経路は、より複雑であり、読取、サーボループ、およびDRAW機能を提供できる。この経路と関連付けられたホログラフィック光学素子(HOE2)2920は、図31に示される格子およびホログラムを含み得る。格子202は、出力されるコリメートされたビームを3つのビームに分割する、すなわち、0次ビームと、+1次ビームと、−1次ビームとに分割する。0次ビームを使用して焦点合わせおよびトラッキングという両サーボ機能を提供してもよく、通常の読取機能を提供してもよい。+1次ビームおよび−1次ビームをDRAWに使用してもよい。HOE2 2920は、位相ホログラム204を含んでいてもよく、これは、戻ってきた+/−1次ビームを直交方向に導いてセグメント分割された検出器上に6つのスポットを形成してもよい。セグメント分割された検出器アレイからの信号は、焦点およびトラッキング信号ならびにDRAW信号を同時に生成するのに利用してもよい。セグメント分割された検出器アレイおよび信号増幅器を一体化して1つの電気光学集積回路EOIC2にしてもよい。LD2 2914は、低出力レーザダイオードでもよいので、EOICと一体化してもよい。
【0108】
LD1 2902およびLD2 2914からのコリメートされた2つのビームを、対物レンズにおいて組合わせて、LD1 2902およびLD2 2914の焦点を維持してもよい。
【0109】
0次ビーム、+1次ビーム、および−1次ビームの焦点間の距離は、対物レンズの焦点距離fobj、およびHOE2 2920の格子202のピッチΛにより、以下の式を用いて、制御してもよい。
【0110】
【数1】
【0111】
式中λはLDの波長である。
たとえば、Λが0.1mm、LDの波長が650nm、fobjが2.5mmである場合、α+1は37度に等しくdは13ミクロンに等しい。
【0112】
図30を参照して、光学式媒体(たとえば光テープ)に関する第2の方法に基づくDRAW光ピックアップの実施の形態が示されている。この光ピックアップに、2つの光路があってもよく、一方は主または1次ビームのためのものであり、もう一方はDRAWに使用される第2のビームのためのものである。この1次ビームは主として書込、焦点合わせ、トラッキング、および名目上の読取のために使用してもよい。
【0113】
光源LD1 2902は、レンズCOL1 2904によってコリメートされた後ホログラフィック光学素子(HOE1)3008によってコリメートされてもよい。このHOE1の構造は図31に示されるものと同一であってもよい。この場合の格子は、3ビームトラッキング方式を利用するためにのみ必要であってもよい。焦点信号およびトラック信号を生成する1つの戻りビームを使用するのであれば、この格子は不要であろう。ホログラムは、戻りビームをLD1 2902という光源の側面に回折するために使用してもよい。
【0114】
レーザ光源LD2 2914は、レンズCOL2 2918によってコリメートされた後HOE2 2920によってコリメートされてもよい。この第2のビームの目的は書込後直接読出でもよく、このため、HOE2 2920はこれと同じ目的のためのものであってもよい。HOE2 2920の格子は、0次(ゼロ次)抑制格子であってもよく、この場合図32に示されるようにエネルギのほとんどが+/−1次ビームに回折される。トラッキング方向に関する限りにおいて、+1次ビームが一次ビームスポットの焦点より前、−1次ビームが一次ビームスポットの後ろにあってもよい。一方を媒体が第1の方向に動いているときのDRAWに使用してもよく、他方を媒体が第2の方向に動いているときに使用してもよい。
【0115】
0次抑制を制御するためには、ホログラフィック素子HOE1 3008内の溝の深さが正確であることが重要であろう。たとえば、ホログラフィック素子HOE1 3008が屈折率1.55のガラス板の場合、溝の深さは、0次ビームを完全に抑制するには、波長655nmの光源を使用する場合550nmである必要があるであろう。0次ビームを完全に抑制することは望ましいことがあるが、必要でない場合もある。すなわち、溝の深さはこれより小さくてもよい。たとえば、深さが380nmの場合、エネルギは、3次のビーム−0、+1、および−1に均等に分布するであろう。これは適切に機能する。0次エネルギがより大きいことは望ましくないであろう。なぜならこれはより多くの相対強度雑音(RIN)ノイズを引起す可能性があるためである。
【0116】
図32に示されるように、ホログラフィック素子HOE2 2920は、位相ホログラムを含んでいてもよい。この位相ホログラムの目的は、戻ってきた±1次ビームをデータ検出のために正しい位置に回折することであってもよい。
【0117】
図29および図31双方を参照して、一次ビームおよび二次ビームを偏光ビームスプリッタPBS2910を用いて合成してもよい。偏光ビームスプリッタPBS2910を用いて、反射したビームをこれらの元の方向に戻してもよい。
【0118】
図33を参照して、もう1つの特徴は、2つのレーザダイオードの向きであろう。2つのビームの偏光方向は基本的に直交する。たとえば、光源LD1 2902を、テープの動きおよび媒体の面の方向に主として平行な方向に偏光してもよく、光源LD2 2914を、テープの動きに対して垂直であるが媒体の面に平行である方向に偏光してもよい。これにより、2つのビームを偏光ビームスプリッタPBS2910で組合わせることが可能になるであろう。レーザダイオードからの単一の空間モード光はP−N接合面3402に対してほぼ平行に偏光されるので、光源LD1 2902および光源LD2 2914のP−N接合面3402は互いに垂直であってもよい。
【0119】
これらレーザダイオードを一体化して電気光学集積回路検出器アレイにしないのであれば、2つのビームのための光路の構成として他に数多くのものがあるであろう。しかしながら、このような構成は一体化されたLD−EOICアレイほど小型でない。DRAWピックアップヘッドのもう1つの形態が図34に示されている。レーザダイオードおよび2つの電気光学集積回路を一体化して1つのシリコンチップにしてもよい。
【0120】
図33に示されるように2つのレーザダイオードを互いに90度の角度をなすように1つのシリコンチップ上に搭載すると製造上の問題がいくつか生じる可能性があるので、図35および図36にその他2つの形態が示されている。この場合、2つのレーザダイオードの向きは同一である。図35に示される実施の形態は、図29について先に述べた第1の実施の形態と同一の機能を提供し得る。図36に示される実施の形態は、図30に基づく第2の方法に関して述べた実施の形態と同一の機能を提供し得る。しかしながらこれら形態において、もう1つの複屈折板3602を第2のビームに対して追加してその偏光を90度回転させてもよい。
【0121】
実施の形態では、光源LD1 2902を使用して書込を行なう一方で光源LD2 2914を用いてDRAW読取を行なうことができるので、光源LD2 2914は出力要件がそれほど厳しくなくより低コストであり、より低出力のレーザを光源LD2 2914に使用することができる。
【0122】
ある実施の形態では、光ピックアップヘッド(OPH)を、本明細書に記載の光学式媒体(たとえば光テープ)の大きなトラッキング範囲が可能となるように適合させてもよい。
【0123】
図37を参照して、従来のPUH3702の実施の形態(図37A)および一体化された電気光学アセンブリ3704の実施の形態(図37B)が示される。光アクチュエータ3708を用いて対物レンズのみを動かすと、ビームの、この光学アセンブリの残りの部分に対する動きが、望ましくないものとなる可能性がある。これは、ビームの焦点が適切な位置範囲から外れるためサーボトラッキングエラーに繋がり得る。光学アセンブリ3704を用いて、光学レンズアセンブリ全体をアクチュエータ3710によって動かして光テープをトラッキングしてもよい。これは、電気光学集積回路3712上の戻りビームの適切な位置を維持し得る。このように、ここでのトラッキング範囲は、以下で説明する光学的口径食およびビーム移動の問題の影響を受けず、アクチュエータの範囲に基づく。
【0124】
図38を参照して、この図は、対物レンズのみを動かして光テープのトラックをトラッキングした際に生じる光学的口径食を示している。従来のピックアップヘッド(PUH)は光学的口径食およびビーム移動により生じる問題のため、トラック範囲に制限がある。トラック中心が、対物レンズから出る前のガウスビームプロファイルの中心に近い場合、完全なプッシュプルパターンを直交検出器(quad detector)上で得ることができる。
【0125】
検討中のトラックが、媒体のずれが原因で、第1の位置3804から第2の位置3808に下向きに移動すると、サーボループによりレンズも下向きに移動することがある。このため、焦点はトラック中心を追従しようとするが、これが原因で対物レンズに衝突するガウスビームプロファイルは開口の中心から外れるかもしれない。このわずかな不均衡により、検出器3802におけるプッシュプルパターンも不均衡になり結果として小さなエラー信号が生じる可能性がある。有限共役対物レンズ3810を使用してもよく、この場合、対物レンズに衝突するビームは拡がった波面を有する。レンズが移動してトラックのずれを追従すると、戻りビームには、検出器3812上でのビーム移動の問題が生じるであろう。
【0126】
従来のPUHの実施の形態では、検出器における不均衡なプッシュプルパターンおよびビーム移動が、電気光学集積回路EOICにおいて望ましくないビーム位置を生じさせるかもしれない。望ましくないビーム位置は、PUHがカバーし得るトラック数を数十のトラックに限定するであろう。
【0127】
図39を参照して、本発明のある実施の形態が、すべてが単一アセンブリ3918の一部である、電気光学集積回路(EOIC)3902、レーザダイオード(LD)3904、非点収差レンズ3908、ホログラフィック光学素子(HOE)3910、アクチュエータ3912、および対物レンズ3914とともに、示されている。対物レンズ3914をアセンブリ3918とともに動かすことにより、光学的口径食および光学的ずれの問題は解消するであろう。ピックアップヘッド(PUH)アセンブリ3918を正確に位置決めするには十分なサーボ帯域幅が必要であり、したがってアセンブリ3918は低重量である必要がある。この低重量は一体化設計によって得られるであろう。
【0128】
一体化設計では、レーザダイオードLD3904を直接電気光学集積回路EOIC3902上に設けてもよい。電気光学集積回路EOIC3902は、セグメント分割された検出器、電流増幅器、および電圧増幅器を備えたシリコンチップを含み得る。簡単な格子をホログラフィック素子HOE3910に使用してもよく、ホログラフィック素子HOE3910はビームを0次と±1次に分割してもよい。0次は効率が50%、±1次は各々効率がほぼ25%であってもよい。0次ビームは、読取/書込および焦点合わせ/トラッキング機能に使用できる。0次ビームがホログラフィック素子HOE3910に戻ると、2つの1次ビームは、電気光学集積回路EOIC3902の左右の6セグメント検出器に回折されるであろう。回折されたビーム各々を、焦点合わせ/トラッキングおよび読取/書込機能に使用してもよい。2つのセグメント内の信号は等価でもよく合計することによってSNR(信号対雑音比)を3dB改善することもできる。
【0129】
もう1つの実施の形態では、簡単な格子を軸上ホログラムと置き換えてもよい。これは、正および負双方のレンズ効果をもたらし得る。たとえば、一方の6素子セグメントは最良焦点(best focus)の前部分から光を受け他方の6素子セグメントは媒体上の最良焦点の後部分から光を受けてもよい。これにより、差分スポット焦点合わせ方法を使用できる。ホログラムのもう1つの重要な利点は、出力されるビーム内の2つの1次ビームの焦点が外れていることであり、これにより、検出器に戻る光の量が少なくなるであろう。2つの1次スポットは望ましくなくしたがって少ない戻り光は無視してもよい。
【0130】
ある実施の形態において、光テープ媒体のトラッキング中にアセンブリ全体を移動させると、光学電気アセンブリは平衡の取れたプッシュプルパターンを維持することができ、電気光学集積回路EOIC3902上の検出器でのビーム移動は生じない。一貫して平衡の取れたプッシュプルパターンとともに焦点が改善されることにより、光テープ上のより多くの数のトラックをカバーすることができ、一体化された光学電気アセンブリは何千ものトラックをカバーできるであろう。
【0131】
図40を参照して、一体化設計アセンブリ3918内に組込まれた書込後直接読出(DRAW)機能の実施の形態が示されている。DRAWは、図29から図34でさらに説明されている。DRAWは、±1次ビームを提供し得るさらなる低出力レーザダイオードであってもよい。この±1次ビームにより、光ピックアップヘッド(PUH)は、書込後即読取を実行して書込エラーを最小にすることができる。DRAWを一体化設計アセンブリ3918内に組込むことにより、一次ビームがアセンブリ3918全体のトラッキングから得られると、同一の改善されたトラッキングをDRAWに提供し得る。
【0132】
ある実施の形態において、本明細書に記載の駆動機構は、光テープ機器内で光テープと連動するものとして使用される複数の光ヘッドを駆動するのに適したものでもよい。
【0133】
テープドライブは、着脱可能なカートリッジリールと巻取リールとの間に個別のガイド機構がないテープガイドシステムを有し得る。着脱可能なカートリッジをテープドライブに挿入すると、媒体は、媒体のカートリッジ内のリーダ材料に装着し得る巻取リーダを用いて巻取リールに引張上げられるであろう。
【0134】
図41を参照して、テープ位置末端における光ヘッド駆動機構の再方向付けの実施の形態が示されている。ヘッド駆動機構4102は、カートリッジリール4104と巻取リール4108との間に位置決めしてもよい。ヘッド駆動機構4102を、ヘッド駆動機構4102から媒体までの距離を制御できるよう横方向の位置決めを行なうことができる機構上に配置してもよい。ヘッド駆動機構4102は、最適な読取/書込動作のために、媒体から一定の距離の場所に位置する必要があるであろう。媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、ヘッド駆動機構4102は、媒体までの距離の変化に合わせて調整されてもよい。ヘッド駆動機構4102はまた、媒体が上記リール間で移動する際、ヘッド駆動機構4102に対する媒体の角度の変化に合わせて調整されてもよい。ある実施の形態では、媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、ヘッド駆動機構4102に対する角度および距離は、各リール上の媒体の量に基づいて変化するであろう。この角度および距離は、テープドライブの動作中、連続的に変化するであろう。ヘッド駆動機構4102の正確な位置は、サーボ制御される機構の補償システム内のアルゴリズムによって決定してもよい。
【0135】
複数のヘッドを単一のヘッド駆動機構において使用して光学ドライブのデータ転送速度を高めてもよい。個々のヘッドは自身のサーボ制御位置決めシステムを用いてヘッドが正確に位置決めされるようにしてもよく、ヘッド駆動機構4102を用いてヘッドのアレイをテープ近くで大まかに位置決めしてもよい。こうすれば、多数の光ヘッドを使用する際の複雑さを大幅に減じることができる。
【0136】
図42を参照して、ヘッド駆動機構4102は複数の光ヘッド4202を含んでいてもよく、ヘッドは各々自身のサーボ制御されるアクチュエータおよび位置決めシステムを有する。これら光ヘッド4202を、各光ヘッド4202が光テープのゾーン4204内のデータの読取および書込を担当するように配置してもよい。ある実施の形態において、光テープのゾーン4204は多数の光テープトラックであってもよい。テープゾーン4204またはトラックすべてをカバーするのに十分な光ヘッド4102がヘッド駆動機構1102にある。各光ヘッド4202は、他の光ヘッド4202に影響を及ぼすことなく、光ヘッド4202のゾーン4204内の記録トラックのいずれかに位置決めされることができるであろう。各光ヘッド4202の移動範囲は、その全体が、サーボ制御されるアクチュエータの移動範囲内であろう。加えて、各光ヘッド4202に対する焦点制御は、光テープの回転中に、光テープの最初から最後まで移動する際に、各光ヘッド4020が焦点を維持できるようにするのに十分な移動範囲を有し得る。焦点の維持は、光テープの移動のいずれの方向であってもよい。
【0137】
再び図41のテープドライブを参照して、光テープの位置を固定するガイド部材4112はなくてもよい。したがって、ヘッド駆動機構4102は、横方向に移動し回転して光テープに対する適切な向きを保つ。ある実施の形態において、ヘッド駆動機構4102は自身の閉ループサーボシステムを有していてもよく、情報は個々の光ヘッド4202から得られる。このシステムの利点は、ヘッド駆動機構4102が光ヘッド4202からのセンサ情報を使用し得る点にあり、ヘッド駆動機構4102のための追加のセンサは不要であろう。
【0138】
システムおよび方法は、媒体の両側にヘッド駆動機構4102および4110を設けることができるようにしてもよく、少なくとも2つのヘッド駆動機構4102および4110を同一のヘッド駆動システムに接続してもよい。
【0139】
図42は、多数の個別のヘッド4202を含むヘッド駆動機構の実施の形態を示す。ある実施の形態において、ヘッド駆動機構4102内の個々の光ヘッド4202の数は、ヘッド駆動機構4102の大きさ、ならびに、カバーする必要があるトラックの数および光テープの幅に基づくであろう。たとえば、光学式媒体上に1000のトラックがあり個々の光ヘッド4202が各々ゾーン4204内の200のトラックをカバーできるのであれば、ヘッド駆動機構4102に個々の光ヘッド4202は5つだけあればよい。ある実施の形態において、光ヘッド4202の数は、トラックの数および個々の光ヘッド4202がカバーし得るトラックの数に直接関連していなくてもよい。個々の光ヘッド4202間でいくつかのトラックが重複している場合は一定数のトラックに必要な光ヘッドの数4202は増すであろう。各光ヘッド4202は、焦点合わせおよびデータトラック捕捉双方の制御機能について独立していてもよい。各光ヘッド4202を専用ゾーン4204内の複数のデータトラックのいずれかに対して位置合わせしてもよい。
【0140】
ある実施の形態において、光テープドライブは、本明細書に記載のように光テープ媒体を用いた高密度記憶に適したものにしてもよい。
【0141】
典型的なテープドライブには、媒体を、カートリッジリールからヘッド駆動機構を通過させて巻取リールまで案内する回転ローラがある場合がある。この機械加工されたローラの目的の1つは、カートリッジおよび巻取リールによって生じる横方向のテープの動きを減じることであろう。しかしながら、リールよりも高い周波数ではローラ自体が横方向のテープの動きを生じさせる可能性がある。実施の形態では、ヘッドアセンブリのためのサーボ制御された位置決めシステムは、このようなシステムがリールの低周波数の動きを補償する機能を有していてもよく、これを改善し、ローラのより高い周波数に対する機能よりも優れたものにしてもよい。
【0142】
図43を参照して、ヘッド駆動機構4102をテープの末端4302に対して再び方向付ける実施の形態が示されている。ある側面では、テープガイドシステムにおいて、着脱可能なカートリッジリール4104と巻取リール4108との間の個別のガイド機構はない。着脱可能なカートリッジ4104をテープドライブに挿入すると、媒体は、媒体のカートリッジ内のリーダ材料に装着される巻取リーダを用いて巻取リール4108に引張上げられるであろう。
【0143】
ヘッド駆動機構4102は、カートリッジリール4104と巻取リール4108との間に位置決めしてもよい。ヘッド駆動機構4102を、ヘッドアセンブリから媒体までの距離を正確に制御できるよう横方向の位置決めを行なうことができる機構上に配置してもよい。非接触記録の場合、ヘッドは媒体から一定の距離の場所に位置する必要があるであろう。媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、テープの角度は絶え間なく、各リール上のテープ量の変化に応じて変化するであろう。媒体がカートリッジリール4104から巻取リール4108に移動する際、ヘッド駆動機構4102は媒体までの距離の変化に合わせて調整されてもよい。ヘッド駆動機構4102は、ヘッド駆動アセンブリ4102に対する媒体の角度の変化に合わせて調整されてもよい。ヘッド駆動機構4102の正確な位置は、サーボ制御される機構の補償システム内のアルゴリズムによって決定してもよい。
【0144】
このテープ経路における横方向のテープの動き(lateral tape motion LTM)は、供給リール4104および巻取リール4108からしか生じないであろう。ある実施の形態において、これら2つの構成要素に対する製造誤差を、テープの幅よりも千分の数インチ大きくなるように制御してもよい。したがって、テープはガイドローラを使用せずに十分にガイドすることができる。LTMの周波数は、実質的にリールの回転周波数であってもよく、その周波数は10〜400Hzであってもよい。この周波数は、ガイドローラが導入し得る周波数よりもはるかに低く、ガイドローラ4112のLTMの周波数は何百ヘルツにもなる。より低い周波数では、サーボ制御されるヘッド駆動機構4102の位置決めシステムは、約1Hzの帯域幅を用い非常に効率的である。ヘッド駆動機構4102のサーボ制御部は、リールからリールへのテープの移動によって生じるより低い周波数のLTMに対し、より良く調整されることができるであろう。高効率位置決めヘッド駆動機構4102は、テープトラッキングが改善され、したがってより高密度のテープトラックの読取および書込を行なうことができる。
【0145】
ある実施の形態では、回転するガイド部材4112がない形態に依拠していてもよいが、ヘッド駆動機構4102における媒体の位置の一貫性を保つために1つ以上の固定された非回転ガイド4112を備えることも可能であろう。
【0146】
ある実施の形態では、媒体の両側にあるヘッド駆動機構4102、4110を使用できるようにしてもよい。その理由は、ガイドローラ4112を原因とする余分な摩耗が片側で生じないであろうためである。第2のヘッド駆動機構4110を使用し媒体の反対側にデータを記録することにより、高密度記録も増す。
【0147】
レーザヘッドトラッキングシステムは、動いている光テープ媒体上のデータの位置を、この媒体上に先に書込まれたデータに対し媒体上の正しい位置にデータを書込むために、トラッキングし得る。
【0148】
図44を参照して、本発明のある実施の形態が示されている。トランスデューサアセンブリ4402が設けられていてもよく、これは、レーザ光源4404と、ビームスプリッタ4408と、検出器4410と、移動可能なレンズ4412とを含み得る。移動可能なレンズ4412は、トランスデューサアセンブリ4402の残りの部分とは独立して移動してもよく、または、トランスデューサアセンブリ4402とともに、一体化されたものとして移動してもよい。レーザ光源4404が提供し得る光は、移動可能なレンズ4412によってその焦点を媒体上に合わせることができる。この光が反射し移動可能なレンズ4412を通して反射してビームスプリッタ4408に戻ると、ビームスプリッタはこの反射光を検出器4410に導き得る。検出器4410は、媒体から反射した光を解釈できるプロセッサと関連付けてもよい。
【0149】
媒体上の情報の位置は、トランスデューサ4402を用いて求めてもよく、トランスデューサは、以前に媒体に書込まれたであろう情報の位置を測定し得る。ある実施の形態では、書込装置4414が情報を書込む、次の正確な位置を、計算し得るプロセッサを設けてもよい。書込装置4414は、レーザ光源と、ビームスプリッタと、検出器と、移動可能なレンズとを含み得る。書込装置4414は、書込装置4414をデータを書込む位置に位置決めし得るアクチュエータ4424を有していてもよい。アクチュエータ4424は、移動可能なレンズを、または、書込装置4414のアセンブリ全体を移動させてもよい。書込装置4414は新たな情報を媒体上に書込むことができる。
【0150】
ある実施の形態において、書込装置4414は、トランスデューサ4402からの位置決め情報を、エラー訂正フィードバック機構4418を通して受けてもよい。ある実施の形態では、トランスデューサ4402は、媒体上に先に書込まれたデータ4420を読取ることができるとともに、位置決め情報をエラー訂正機構4418に与えることができる。情報の提供はリアルタイムであってもよい。先に書込まれたデータ4420は、トランスデューサの検出器4410が受けることができる。検出器4410は、この先に書込まれたデータ4420の位置を、エラー訂正フィードバック機構4418に与えてもよい。訂正フィードバック機構4418は、先に書込まれたデータ4420の位置決め情報を、移動可能なレンズアクチュエータからも受けることができる。ある実施の形態において、エラー訂正フィードバック機構4418は、トランスデューサの検出器4410および移動可能なレンズアクチュエータ双方から受けた、先に書込まれたデータ4420の位置決め情報を、組合わせるための論理を含み得る。ある実施の形態では、エラー訂正フィードバック機構4418が、情報を書込む次の位置4422を計算してもよく、次の位置4422は書込装置4414に与えられてもよい。
【0151】
ある実施の形態において、書込装置4414は、位置決め情報をエラー訂正フィードバック機構4418から受けてもよい。ある実施の形態では、書込装置4414は、位置決め情報を直接書込アクチュエータ4424から受けてもよい。ある実施の形態において、書込装置4414は、位置決め情報をプロセッサから受けてもよく、このプロセッサはデータを媒体に書込む、次の位置4422を、計算し得る。ある実施の形態では、データを書込む次の位置4422は、トランスデューサ4402が読取った、先に書込まれたデータ4420と関連している可能性がある。
【0152】
ある実施の形態において、次に書込まれるデータ4422は、先に書込まれたデータ4420に対し、設定された位置にあってもよく、この設定位置は、読取/書込論理の一部でもよい。この場合は位置決め情報を、書込まれるデータ4422に書込む必要はない。
【0153】
ある実施の形態において、次に書込まれるデータ4422は、先に書込まれたデータ4420に対し、設定された位置になくてもよく、データとデータの間隔を媒体に書込まれるデータの一部として書込んでもよい。
【0154】
ある実施の形態において、次に書込まれるデータ4422は、システム変数に基づく設定位置にあってもよい。このシステム変数は必要なデータ密度に基づいていてもよい。ある実施の形態では、位置情報を、書込まれるデータ4422に書込まなくてもよい。ある実施の形態では、システム変数を、トランスデューサ4402、書込装置4414、エラー訂正フィールドバック機構4418などに保存してもよい。
【0155】
ある実施の形態において、高速かつ正確な信号処理のために、受信信号の多重復調を光テープ機構に含めてもよい。
【0156】
多重復調器が受信する、変調された信号は、振幅、位相、周波数など、複数の情報を表わし得る。この情報は、電子的に受信された、送信された通信信号、温度、電気機械装置の位置および速度などであってもよい。
【0157】
これら変調された信号はまた、種類が異なる製品を識別し得るとともに、これら製品の特性、たとえば製品の種類、製品のシリアルナンバー、製品の特徴的な要素、電子的または光学的に送信可能な属性などを、識別し得る。
【0158】
多重復調器は、受信した信号の種類および瞬時値を、その形状および搬送周波数に基づいて求めてもよい。この情報はホスト装置に与えてもよい。このホスト装置は、復調器から与えられた上記種類および瞬時値の情報に基づいて、装置の動作に関する1組の規則および決定を適用してもよい。
【0159】
このシステムのリアルタイム復調機能によって、通信システム、電気機械制御システムなどにおけるリアルタイムデータおよび信号処理といったアプリケーションについて、高速かつ正確な信号処理が可能になるであろう。
【0160】
図45を参照して、復調器4500のハイレベルの実施の形態が示されている。復調器4500は、信号を受けて調整する信号変調器入力装置4502と、複合信号S(t)を復調して個々の出力にすることができる信号復調器装置4504とを含み得る。信号の調整は、信号の増幅、信号のフィルタ処理、アナログデジタル変換などを含み得る。変調された信号S(t)は、復調器4500が受信することができ、式1によって示されるように、異なる搬送周波数を有する多種の変調信号のうちの1つを表わす1つの変調信号であってもよい。変調信号S(t)は式2に示されるようにこれら変調信号の和であってもよい。
【0161】
【数2】
【0162】
復調器4500は、受信した信号S(t)内に複数のSk(t)信号が存在すると判断することができ、また、S(t)内に示される任意のSk(t)信号の瞬時値を復調することもできる。
【0163】
図46を参照して、復調器のより詳細な実施の形態が示されている。ある実施の形態において、信号S(t)を、まず装置の入力インターフェイス(Din)4502によって調整してもよく、次に信号復調器104内の1組の相補フィルタによって処理してもよい:[FP1&FQ1]、[FP2&FQ2]、…[FPk&FQk]。
【0164】
この相補フィルタは、S(t)信号内の異なる信号Sk(t)の存在および種類を求めてもよく、かつ、信号の種類を1組の出力信号TYP1、TYP2、…TYPkによって報告してもよく、これらの瞬時値(リアルタイム)の大きさをS1(t)、S2(t)、…Sk(T)によって報告してもよい。
【0165】
復調プロセスはアナログでもデジタルであってもよい。アナログ設計のDin4502機能は、処理のために入力信号S(t)のレベルおよび振幅を調整することであってもよい。デジタル設計のDin4502はアナログデジタル変換器(ADC)であってもよく、S(t)n(S(t)n=TsサンプルレートでサンプリングされたS(t))のレベルおよび振幅を、システムマイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)によって後に調整してもよい。相補フィルタの動作は、[FP1&FQ1]、[FP2&FQ2]、…[FPk&FQk]であってもよい。
【0166】
受信信号S(t)は下記の1組の式によって説明できる。
P1=S(t)*L(t)1
Q1=S(t)*M(t)1
P2=S(t)*L(t)2
Q2=S(t)*M(t)2
:
:
Pk=S(t)*L(t)k
Qk=S(t)*M(t)k
式中、L(t)kは、周波数wkが信号の搬送周波数と対応付けられる矩形関数であってもよい{Sk(t)*sin(wk*T)}。M(t)kは、周波数wkがL(t)k信号の位相から90度ずれている矩形関数であってもよい。
【0167】
さらなる処理によって下記のものを得ることができる。
FP1=AVE(P1)
FQ1=AVE(Q1)
FP2=AVE(P2)
FQ2=AVE(Q2)
:
:
FPk=AVE(Pk)
FQk=AVE(Qk)
式中、AVE(Pk)およびAVE(Qk)は、PkおよびQk信号のリアルタイムの累積和平均であってもよい。
【0168】
フーリエ変換の定理から、下記のものを導出することができる。
S1(t)∝FP1+FQ1
S2(t)∝FP2+FQ2
:
:
Sk(t)∝FPk+FQk
式中の∝は比例を示す。
【0169】
このように、任意の信号Sk(t)の振幅、またはこの信号がS(t)内に存在するか否かを、この方法によって求めることができる。
【0170】
ある実施の形態において、本明細書に記載の光テープ機構を、インラインECCでインタリーブされたマルチチャネルECCを用いてエラー訂正用に構成してもよい。
【0171】
ユーザデータをフォーマットしてKバイトブロックの論理データにしてもよい。Kバイトブロックの論理データに対し、ECCシンボルブロックを生成して、Kバイトブロックの論理データとこのECCシンボルブロックとを含み得る1つのECCエンティティを生成してもよい。このECCエンティティをECC符号化方式(C+D、D)と呼んでもよく、C+DはECCエンティティを構成するブロックの総数、Dは生成し得るECCブロックの数でもよい。Dはまた、テープ読取中にECCエンティティにおいて訂正し得るブロックの数であってもよい。
【0172】
データをフォーマットしてECCエンティティにすると、エンティティを構成し得るデータのブロックは、Kバイトブロックのデータのうち何バイトかのエラーデータを訂正し得るチャネル毎のECCを用いて符号化することができる。フォーマットされたデータブロックをインタリーブすることにより、テープ上にこれから記録するECCブロックを生成してもよい。このECCブロックは、テープ上に多ブロックで記録されるECCフレームを形成するチャネルECCエンティティからの多重インタリーブされたブロックであってもよい。
【0173】
ある実施の形態において、読取プロセス中、インラインECCは、インタリーブされたKバイトブロックのデータ当たり、最大10バイトのエラーデータを訂正し得る。データ読取の際、エラーがある可能性があるブロックは、約10バイトまで訂正することができる。ECCがデータを訂正できなければ、エラーのあるブロックを、テープ上の他のトラックに記録されたデータを使用し得るクロスチャネルECCによって訂正してもよい。
【0174】
ある実施の形態における、駆動機構の複数の光ヘッドのためのサーボトラッキングシステムについて説明する。これは上記複数の光ヘッドに対しフィードフォーワードトラッキング信号を与えることができる。
【0175】
図47を参照して、フォーマットされた光テープ媒体4710は、複数のトラックゾーン4702(N個のトラックゾーン)を有していてもよい。複数のトラックゾーン4702各々の中に複数のトラック4704(K個のトラック)があってもよい。
【0176】
複数のトラックゾーン4702は各々、その専用の光読取/書込ヘッド4708を有していてもよい。このようにして、光テープが静止ヘッド4708を通過する際に、並列データストリーミング方式でデータを光学式媒体4710から読取り光学式媒体4710に書込むことができる。
【0177】
複数トラックゾーン4702各々についてのトラック位置ずれ(TMh)は、2つの主な要素によって支配されるであろう。トラック位置ずれは、光ヘッド4708に対する個々のトラックの動きであると言える。横方向のテープの動き(LTM)4712は、すべてのヘッド4708に共通である可能性があり、各ヘッド4708の残りの動き4714(RMh)は各ヘッドに特有のものである可能性がある。LTM4712は、ヘッド駆動機構に対する光テープ媒体4710の動きである可能性がある。したがって次のように表わされる。
【0178】
TM1=LTM+RM1
TM2=LTM+RM2
TM3=LTM+RM3
:
:
TMN=LTM+RMN 式1
読取/書込ヘッド4708と同一でもよい複数のトラックゾーン4702各々のためのサーボ検知ヘッドは、その複数トラックゾーン4702専用の特定のヘッド4708に対する各トラックの相対的な動きしか検出できないかもしれない。サーボ検知ヘッドは、特定の複数のトラックゾーン4702のTMhの合計値しか求めることができないかもしれない。TMhは、相対的な移動信号であってもよく、これを複数のトラックゾーン4702各々の装置サーボシステムにおけるフィードバック信号として使用してもよく、この装置サーボシステムはサーボ性能について予め定められた帯域幅機能を有していてもよい。
【0179】
ヘッド駆動機構は、複数のヘッド4708を使用し得るものであり、複数のトラックゾーン4702について、すべてのTMhの合計(SUM)を装置サーボプロセッサによって計算することにより、サーボシステムが、各ヘッドについてTMhの合計へのTMhおよびRMhの貢献度を求めるのを、次のようにして支援してもよい。
【0180】
LTM4712はすべてのヘッドに対して同一であるであろうため、式1から、すべての光ヘッド位置ずれの合計は次のようになる。
【0181】
SUM=TM1+TM2+TM3+…+TMN=N*LTM+(RM1+RM2+RM3+…RMN)
したがって、LTMは次のようにして求められる。
【0182】
LTM=SUM/N+(RM1+RM2+RM3+…RMn)/N 式2
式2の項(RM1+RM2+RM3+…RMn)/Nにおいて、組合わされたRMhは、組合わされたTMhの貢献度とは相関関係のない要素であり、その値はNが増加すると大幅に減少し得る。したがって、LTM4712の値を以下の式で近似してもよい。
【0183】
LTM=SUM/N(近似) 式3
LTM4712は、すべてのヘッド4708に対して絶対的で共通する値であってもよく、LTM4712は、個々のヘッドセンサの動きから独立し得る。式3の近似されたLTMを各ヘッド4708および複数のトラックゾーン4702のサーボシステムのためのフィードフォワード信号として用いて、各ヘッド4708に対するサーボエラー抑制性能を改善してもよい。LTM4712のフィードフォワード信号を、改善された光ヘッドトラッキングのために、個々の光ヘッド0708のRM信号と組合わせてもよい。
【0184】
ある実施の形態における、サーボ情報の読取、復調、および復号のための方法およびシステムについて説明する。
【0185】
サーボトラック情報は、光テープ媒体上の予めフォーマットされた情報でもよい。この予めフォーマットされた情報は、データおよび符号化同期パターンおよびトラックアドレスを含み得る。サーボマーキングを光テープ媒体上に置くことによって、サーボ復調器によって媒体から取出され得る正弦波パターンを生成してもよい。
【0186】
図48を参照して、トラックアドレスおよびデータ同期情報を含む信号を生成するのに使用し得る正弦波パターンの位相反転の実施の形態が示される。
【0187】
ある実施の形態において、正弦波の周波数は、変調の搬送周波数を決定し得るものであり、かつ同期復調器/復号器に対しタイミングを与え得るものである。パターンの各8サイクルはセルを表わし得る。ある実施の形態において、Nサイクルパターンを正弦波信号に使用してもよい。各セルは同期およびアドレスビットに関する信号を搬送し得る。セル内の正弦波の位相の4サイクルの反転は、同期パターンビットでもよい「1−1」ビット4802を示し得る。この同期パターンは、アドレスサブフィールドの開始を示し得るものであり、同期を取るのに使用し得る。アドレスサブフィールドにおいて、セル内の最初の2つの正弦波サイクルの位相の反転は「1−0」4804を示し得る。これは、アドレスのビット「1」として復号し得る。セル内の第2の2つのサイクルの位相の反転「0−1」4808は、アドレスのビット「0」として復号してもよい。
【0188】
復号器は、検出された正弦波信号を遅延させこれを検出された信号から減算するために、アナログまたはデジタル遅延4810を使用してもよい。図48において、遅延4810は4サイクル遅延として示されているが、遅延4810は任意の数のサイクルでよい。これは、位相変調されたパターンにおける位相の反転を検出する大まかな方法である。なぜなら、これは、位相シフトされた正弦波そのものの形状を利用するからでありパターンのタイミング特性を利用するのではないからである。
【0189】
加えて、同期整流器4812、再設定可能な積分器4814、およびレベル検出器4818を用いて、図48、図49、および図50に示されるように同期およびアドレスパターンを復号してもよい。
【0190】
図49を参照して、8ビットアドレスフィールド4902および同期ビット4904の実施の形態が示される。8ビットアドレスフィールド4902は、図48について説明したように位相反転正弦波信号の組合せであってもよい。「1−0」4804は「1」ビット4908を表わし、「0−1」4808信号は「0」ビット4910を表わし得る。同期ビット4904は、アドレスサブフィールドの開始を示し得るものであり、同期に使用し得る。
【0191】
図50を参照して、サーボ復調器/復号器5000のブロック図の実施の形態が示されている。復調器/復号器5000は、正弦波サーボ信号を同期およびアドレスビット情報に復調および復号し得る。復調器/復号器5000は、遅延フィルタ5002、第1のしきい値検出器5004、PLL5008、同期装置5010、同期された整流器5012、同期された再設定可能な積分器5014、および第2のしきい値検出器を含み得る。
【0192】
光テープエンボス加工のためにニッケル電気鋳造シム(shim)を作るための工具の製造方法が本明細書に開示される。この工具はPDMSシム原型とも呼ばれている。
【0193】
図51を参照して、複数の無地の石英板5110のうち1つを、硬質相開口フォトマスク製造エッチングプロセス5114を用いてエンボス加工パターン5112でエンボス加工してもよく、その結果未加工のマスタ(master)5116が得られる。未加工のマスタ5116を1つ以上の疎水性コーティング5118で加工してもよく、これにより、5120の化学結合アルキルシロキサンまたはポリジメチルシロキサンの「シリコン処理された」表面マスタ5122(United Chemical Technologiesのガラスクラッド18またはガラスクラッド6C)が作られる。
【0194】
無地の石英板5110は、酸素プラズマ洗浄5124してもよく、これにより、洗浄された石英板5126となる。原料PDMS5128(ダウコーニングシルガード184またはその均等物)を脱ガス5130してもよく、これにより、脱ガスされたPDMS5132を生成する。脱ガスされたPDMS5132を、シリコン処理された表面マスタ5122に与え、洗浄された石英板5126を、脱ガスされたPDMS5132の露出した表面に対して真空バギング(vacuum bagging)または空気圧プレス結合5134することにより、未硬化の板積層体5135が得られる。
【0195】
次に未硬化の板積層体5135をホットプレート5136上で硬化させてもよい。次に硬化した板積層体5138を分離する5140ことにより、エンボス加工されたPDMSフィルム5142、硬化したシリコン処理された表面マスタ5144、および硬化した石英板5146が得られる。
【0196】
エンボス加工されたPDMSフィルム5142は、収縮がゼロに近い石英の未加工のマスタ5116の複製であってもよく、ニッケルのシム(図示せず)の電気鋳造5148にさらに使用してもよい。エンボス加工されたPDMSフィルム5142の、フォトポリマーまたはフォトレジスト複製品に対する利点には、ニッケル電気鋳造された原型を外しやすいことおよび信頼性の高いパターン複製が含まれる。
【0197】
電気鋳造されたニッケルエンボス加工ドラムを、2つ以上の別個のニッケル電気鋳造品を用いて製造する方法が、本明細書に開示される。
【0198】
図52を参照して、複数のニッケル電気鋳造品5210は、従来のPVDマスタリング技術(レーザビームレコーダ)、フォトポリマー原型、PDMS原型、およびエッチングされた石英マスタから作られたフォトレジスト原型を含む組から選択されるプロセスを用いて製造してもよい。
【0199】
ニッケル電気鋳造品5210を、そのエッジが電気鋳造されたフォーマットに沿って並ぶように精密カットしてもよい。精密カットは、樹脂結合ダイヤモンド研削砥石を用いる研削機によって行なってもよい。
【0200】
ステンレス鋼またはアルミニウムの有孔シムストック5230は、その厚みの可能な範囲が0.003インチから0.010インチであり、ニッケル電気鋳造品の幅およびニッケル電気鋳造品の長さの倍数とほぼ等しくなるように切断してもよく、結果として、長さが実質的にエンボス加工ドラム(図示せず)の円周に等しいステンレス鋼またはアルミニウムのシム5230が得られる。
【0201】
シムストック5230を、測定顕微鏡上の磁気チャック上に配置するとともに台の移動軸と平行になるよう位置合わせしてもよい。
【0202】
第1のニッケル電気鋳造品5210Aを、先端5215がシムストック130からずれるように配置するとともに磁気チャックによって適所で保持してもよく、磁力を調整してニッケル電気鋳造品5210を移動させるようにしてもよい。ニッケル電気鋳造品5210を上記台の移動軸と平行になるように調整してもよい。十分な力を磁気チャックに加えることによりニッケル電気鋳造品5210がシムストック5230と密接するようにするとともに、シアノアクリレートを使用してニッケル電気鋳造品5210の端部を接着してもよい。
【0203】
第2のニッケル電気鋳造品5210Bを、第1のニッケル電気鋳造品5210Aの隣に配置して第1のニッケル電気鋳造品5210Aと位置合わせし、適所で接着してもよい。これに続くニッケル電気鋳造品5210を、先に配置した電気鋳造品5210の隣に、それと位置合わせされるように配置し、接着してもよい。この配置、位置合わせ、接着という手順を、所望の数のニッケル電気鋳造品5210になるまで繰返してもよい。
【0204】
結合されたニッケル電気鋳造品5210を有するシムストック5230を、シムストック5230の長軸に垂直な電気鋳造品の各継ぎ目5250で、レーザ溶接してもよい。先端5215の継ぎ目の位置合わせおよび結合を、適切な曲率半径を有する凸型磁気チャック上で行なってもよい。先端5215の継ぎ目はまた、この凸型磁気チャック上でレーザ溶接してもよい。
【0205】
この組立体を磁気チャックから取外し、シムストック5230の内径の継ぎ目をレーザ溶接するとともに、結果として得られたドラムの内径のすべての孔にシアノアクリレートを与えてもよい。
【0206】
本明細書において、光テープシステム内で光テープ媒体を搬送するためのローラガイド装置について説明する。
【0207】
図53を参照して、ローラシャフト5300は、中心棒5330のねじ切りされた端部5320の近傍に大きなフランジ5310を有する。フランジ5310は、隆起している環状部5340の少なくとも底面5315が中心棒5330の長軸に実質的に垂直となるように精密に機械加工してもよい。面5315が確実に垂直となるようにするための方法は、機械旋削を含む。端部5320をベースプレートの予め定められた直径の穴に挿入したときに、環状部5340の面5315がベースプレートの面と接触するようにすることにより、ローラシャフト5300が確実にベースプレートに対して垂直になるようにしてもよい。ローラシャフト5300を、ねじ切りされた端部5320に挿入し得るねじ(図示せず)によってベースプレートに固定してもよい。
【0208】
フランジの内面5350は、適切な力を受けると可撓性を示すものであってもよい。内面5350が可撓性を有することにより、ベースプレートに対するローラシャフト5310の高さを正確に調整できる。ローラシャフト100をベースプレートに固定するねじをさらに締めると、中心棒5330はベースプレートの穴の中にさらに引き寄せられる。環状部5340の面5315がベースプレートの面上にある状態で、内面5350が撓むと、中心棒5330の高さを調整する一方でベースプレートに対して正確に垂直な状態を維持することができる。フランジの内面5350は内蔵されたばねとして作用し、典型的には1ミクロンよりも良い非常に正確な高さ制御を可能にする。移動範囲および調整の精度に貢献する要素は、ローラシャフト5300の材料、中心棒5330の直径、フランジの内面5350の厚み、およびねじ切りされた端部5320におけるねじのピッチを含む。
【0209】
図54を参照して、ローラアセンブリ5400を適用することにより、テープの損傷を少なくし制御を向上させてもよい。ローラアセンブリ5400は、ローラ本体5410と、ストップ5420と、軸受5430と、ローラシャフト5300とを含む。この可能な実施の形態において、ローラ本体5410は円筒形で中空であってもよい。ローラ本体5410の壁をできる限り薄くすることにより、回転慣性を最小にして、横方向のテープの動き(LTM)を少なくしテープの摩耗を減じテープの乱れを少なくしてもよい。
【0210】
ストップ5420は、直径がローラ本体5410よりもわずかに大きい実質的に円形のディスクであってもよく、ローラ本体5410の各端部に組付けてもよい。ストップ5420を研磨することにより適切な平坦性が得られるようにしてもよい。ストップ5420は、テープを垂直方向に案内し、横方向のテープの動きの効果を減じるために、かつ、テープドライブの能力を向上させることにより高密度のデータ記録が得られるようにするために、使用されてもよい。ストップ5420とローラ本体5410との間の移行領域5440は、正確に90度の角部であってもよい。ストップ5420間の距離は、テープの幅よりもわずかに広く(約5ミクロン)なるように設計してもよい。
【0211】
テープの性質上、テープの片方のエッジがストップ5420のうち一方に当たる。このため、ローラ本体5410とストップ5420の境界部である移行領域5440が、テープに影響を及ぼすであろう。移行領域5440にフィレット(fillet)を設けないことにより、テープを平坦な状態で保ちテープの変形をなくすことができる。これにより、テープのエッジの寿命が延び、テープドライブがLTMを制御する機能を保つ。
【0212】
ローラ本体5410の反対側でストップ5420に組付けられたころ軸受5430は、滑らかな軸受表面を提供することにより、ローラ本体5410およびストップ5420の組立体が、ローラシャフト5300を中心として滑らかに回転するようにする。
【0213】
本明細書において、螺旋状搬送装置、および、光テープシステムにおける光テープ媒体に対してこの螺旋状搬送装置を使用する方法について説明する。
【0214】
図55を参照して、本発明の可能な実施の形態は、下側のリール5510および上側のリール5520を有するテープ搬送装置を含み、テープ5530を下側のリール5510と上側のリール5520との間で搬送できる。この可能な実施の形態はさらに複数のローラ5540を含み、これらローラは、テープ5530が下側のリール5510と上側のリール5520との間で搬送されている間テープ5530を支持するために、実質的に螺旋状の経路5550に沿って配置され、これにより、効果的にテープ5530を実質的に螺旋状の経路において螺旋状に進める。
【0215】
ローラ5540は、ローラ5540の回転軸5560が螺旋経路5550に対して垂直となるように、フレーム(図示せず)上に置いてもよい。下側のリール5510および上側のリール5520の回転軸も螺旋経路5550に対して実質的に垂直であってもよい。結果として得られる下側のリール5510から上側のリール5520までのテープ経路の距離は、ローラ5540の数および間隔に依存するであろう。
【0216】
本発明の別の実施の形態において、螺旋経路5550のループの数は図55に示されるものよりも多くても少なくてもよい。
【0217】
本発明の別の実施の形態において、インターフェイスヘッド5560を螺旋経路5550に沿って配置して、テープ5530からの情報の読取およびテープ5530への情報の書込といった動作を行なってもよい。テープ5530は、光学式媒体および磁気媒体を含む組からの媒体を含み得るものであるが、別の種類のものであってもよい。ヘッド5560の数および種類は図55に示されるものよりも多くても少なくてもよい。
【0218】
図56を参照して、図55の可能な実施の形態を上から見た図が示されており、下側のリール5510および上側のリール5520はこれらの回転軸に沿って実質的に位置合わせされている。しかしながら、他の実施の形態では下側のリール5510および上側のリール5520の向きを互い違いにすることも可能であろう。
【0219】
本発明の別の実施の形態において、下側のリール5510および上側のリール5520を、テープ製造手段、テープフォーマット手段などを含むテープ5530を搬送するための他の手段と置き換えてもよい。
【0220】
本明細書に記載の調整可能なローラガイドを用いて、光テープシステムにおける光テープ媒体の高さを正確に調整してもよい。
【0221】
図57を参照して、磁石5720がローラ5710の上面および/または底面に装着された回転ローラ5710は、シャフト5730を中心として回転する。ローラ5710は、シャフト5730に沿って軸方向に自由に移動してもよい。磁石5740または電磁コイル5750を、シャフト5730も装着されているフレーム5770に装着してもよい。シャフト5730の反対側の端部に、電磁コイル5750または磁石5740を装着してもよい。
【0222】
コイル5750に送られた横方向位置エラー信号に応じて、コイル5750の磁界を変化させる電流を印加することにより、磁石5720(および結果的には装着されたローラ5710)をシャフト5730に沿って移動させてもよい。このローラ5710の移動の目的は、ローラ5710によって案内されているテープを調整することにより、テープの横方向の位置の望ましくないずれを補償することであってもよい。ローラ5710がテープ位置のずれを補償すると、位置エラー信号は減少するであろう。
【0223】
本発明のある実施の形態を、ローラ5710の位置の調整にも使用して、幅が異なるテープに対応してもよい。第2の静止ローラを備えた実施の形態において、ローラ5710をシャフト5730に沿って移動させることにより、テープを、ローラ5710上の上または下フランジ5760と、第2のローラ上の下または上フランジとの間で「捕える」ことができる。この実施の形態は、幅の狭いテープに使用するのに非常に適しているであろう。これに代えて、幅が広いテープに対し、ローラ5710を、上フランジまたは下フランジ5760が静止ローラの上フランジまたは下フランジの位置と一致するように位置決めしてもよい。
【0224】
複数のローラ5710を備えた別の実施の形態において、各ローラを、テープの幅に基づいて位置決めすることにより、高密度のトラッキングを可能にしてもよい。
【0225】
本明細書に記載の、継ぎ目のないドラム上にウォブル(wobble)サイクルを書込むことは、光テープ媒体のエンボス加工にとって有用であろう。その結果、調整を使用するようにされた光テープシステムにとって有利な調整ゾーンが得られるであろう。
【0226】
図58Aを参照して、中央の直径5850が外側のエッジの直径5860よりも小さい典型的なウォブルサイクルエンボス加工ドラム5800は、テープ媒体の幅にわたってさまざまな数のエンボス加工されたウォブルサイクルを与える。
【0227】
図58を参照して、本発明の実施の形態のウォブルサイクルエンボス加工ドラム5800は、ドラムエンボス加工領域5810と、索引マーク5830と、ウォブルサイクル5840とを含む。エンボス加工ドラム5800の最大直径およびエンボス加工ドラム5800の最小直径を含む組から選択される情報を用いて、ウォブルサイクル5840書込方法を調整することにより、調整ゾーン5820がエンボス加工ドラム5800の長さにわたって確実に存在するようにしてもよい。
【0228】
図59を参照して、各ウォブルサイクル5910〜5940を書込むことができる外周に沿うエンボス加工ドラム5800の直径に基づいて、ウォブルサイクル5910〜5940は、ドラム5800の周りの索引マーク5830から延び、調整ゾーン5820の中まで延びていてもよいが、調整ゾーン5820を越えて延在することはない。図59の可能な実施の形態において、ウォブルサイクル5910は調整ゾーン5820の先端5950まで延びており、ウォブルサイクル5920、5930、および5940はすべて調整ゾーン5820の中まで延びている。
【0229】
本明細書に記載の装置は、光テープシステム内の光ピックアップヘッドの下に光テープ媒体を位置決めするための、位置的および平坦化サポートを提供してもよい。
【0230】
図60は、テープ媒体の位置的および平坦化サポートの可能な実施の形態を示す。サポート6010は、入口面6020と焦点チャネル6030と出口面6040とを含み得る。入口面および出口面は、実質的に細長い、面取りされた円筒の形状であってもよい。入口面および出口面の円筒形状は各々、半径面を有していてもよく、この半径面は1mmから100mmの範囲であってもよい。入口面6020は、テープ媒体の平面的な摂動を除去するためにテープ媒体が摺動する面を形成してもよい。テープ媒体は入口面6020の長軸に対して実質的に垂直な方向に移動する。
【0231】
焦点チャネル6030は、入口面6020を出口面6040から分離する狭いチャネルであってもよく、可能な分離幅として、約0.1mmと約3mmとの間の幅を形成する。テープ媒体は、入口面6020から出口面6040へと移動する際に焦点チャネル6030の上を通り、出口面6040はテープ媒体の平面的な摂動を除去し得る。
【0232】
図61を参照して、これは図60の発明の可能な実施の形態の端面図であり、焦点チャネル6030は、テープ媒体が入口面6020上を通過する際にテープ媒体の平坦性を損ない得る、テープ媒体の小さな欠陥および/または入口面6020における小さな欠陥が、テープ媒体が焦点チャネル6030上に配置されたテープ読取/書込ヘッド6110の下を通過する際にテープ媒体の平坦性に有害な影響を与えないようにする。
【0233】
図61を参照して、入口面6020および出口面6040は、曲面における不連続部分を形成しており、この不連続性は焦点チャネル6030が形成している。これらの面のこのような曲面形状により、移動するテープ媒体6120は確実に、平坦化をもたらすこれら面との接触状態を実質的に保つであろう。焦点チャネル6030の可能な幅は約0.1mmと約3mmとの間であり、これにより、テープ媒体6120は確実に、実質的に平坦で、テープ媒体の読取/書込ヘッド6110の下を移動する際に平坦な形状で移動するであろう。
【0234】
図62は、テープ媒体の位置的および平坦化サポート装置の別の実施の形態を示しており、焦点チャネル6030の長手方向の長さは、入口面6020または出口面6040いずれかの長手方向の長さよりもわずかに小さくてもよい。
【0235】
本明細書に記載のリールを、光テープシステム内の光テープ媒体とともに使用することにより、コストを削減し光テープの移動速度を増してもよい。
【0236】
図63を参照して、質量を減じる複数の開口部6304を有するリールの片側6302の実施の形態が示されている。この発明の実施の形態は、高速かつ低コストのリールアセンブリをもたらし得る、2つの部品で構成されたリールを含み得る。リールの2分の1部分6302のフランジの機械加工、鋳造、射出成形などにより、質量を減じることによって、リールの慣性を減じてもよい。リールの2分の1部分6302は、プラスチック、金属またはその他の材料で構成されていてもよい。この低慣性フランジにより、リールの加速度を増すことができるとともに、テープ速度をより高度に制御することができるであろう。加えて、低慣性フランジにより、より小型のモータを使用することもできる。なぜならリールを駆動するのに必要な電流が少ないからである。より小型のモータを使用することは、ドライブ内の電力消費に対して好影響を与えるであろう。リールアセンブリを回転させるのに必要な電力を削減することにより、テープ領域における熱も少なくなるであろう。
【0237】
質量を減じる開口部6304は、低慣性という特性を与えることに加え、媒体を巻くプロセスの間、媒体を有するリールに出入りする空気のための逃し穴を作ることもできる。媒体を有するリールに出入りする空気は、リール上に媒体を積み重ねることを促進することにもなり、これは、横方向のテープの動きに対し好影響を与えるであろう。質量を減じる開口6304は、リール上に積み重ねられる媒体をモニタする技術も提供し得る。媒体は、リール上に積み重ねられる際、リール上に不揃いに積み重ねられる傾向がある場合がある。不揃いに積み重ねられた場合、テープの経路を通してテープの位置がずれることがあり、これが、ヘッド搬送機構の閉ループサーボシステムのトラッキング精度を低下させる可能性がある。
【0238】
質量を減じる開口6304によって与えられる、モニタリング技術を用いることにより、媒体が均一的に積み重ねられているか否か識別することができるであろう。視覚的方法を用いて、媒体が正しく積み重ねられたか否か確認してもよい。媒体の積み重ねを、光センサといったテープドライブセンサによって検知し、いつ不揃いな積み重ねが生じるかを予測してもよい。この情報は、テープの位置の変化を補償する閉ループサーボシステムに与えてもよい。
【0239】
ある実施の形態において、このリール設計が、ドライブエリア内に正および負の圧力条件を与える機能も有していてもよい。正の圧力を用いてドライブ装置内の電子機器を冷却してもよく、または、テープが巻かれている際にテープの層と層との間に空気の膜を形成してもよい。負の圧力を用いてリールが解かれている際に媒体から空気を抜いてもよい。
【0240】
図64を参照して、リールアセンブリ6402の実施の形態が示されている。ある実施の形態において、リールの2分の1部分6302を2つ、ねじ、ボルト、固定具、機械的接続、摩擦嵌め、接着剤などで、接合してもよい。
【0241】
ある実施の形態において、2つの2分の1部分6302の、質量を減じる開口部6304を、第1の2分の1部分から第2の2分の1部分に対して位置合わせしてもよい。
【0242】
ある実施の形態では、2つの2分の1部分6302の、質量を減じる開口部6304を、第1の2分の1部分から第2の2分の1部分に対して位置合わせしなくてもよい。
【0243】
本明細書に記載の、スタンパストリップ、および、スタンパストリップの継ぎ目を挟んで正確な位置合わせをもたらすプロセスを用いて、トラッキングの位置合わせが正確に行なわれた光テープ媒体を形成してもよい。
【0244】
図65を参照して、情報を光テープ上にエンボス加工するためのドラムアセンブリ6500の実施の形態が示されている。微細な表面浮彫りパターンの形態のエンボス加工情報を含む1つ以上のスタンパシム6504を、ドラムベース6502の周りに巻いてもよい。ある実施の形態において、スタンパシム6504を、磁力、機械的接続、接着剤接続などによって適所で保持してもよい。
【0245】
ある実施の形態において、ドラムベース6502は磁性体であってもよく、外面を研磨して光学的に滑らかにしてもよい。ドラムベース6502は、磁性材料からなるものであってもよく、非磁性体であって磁性材料の外層を有していてもよい。この外層はドラムベース6502に塗布された磁気コーティングであってもよい。スタンパシム6504の材料は、スタンパシム6504をドラムベース6502の表面に磁気的に装着することができるニッケルまたはニクロムといった常磁性材料であってもよい。別の実施の形態では、非磁性スタンパシム6504を、ニッケルまたはニクロムといった常磁性材料に接着することにより接着されたスタンパシム6504を磁気ドラムベース6502に装着できるようにしてもよい。
【0246】
ある実施の形態では、ドラムベース6502が、ニッケルまたはニクロムといった常磁性材料からなるものであってもよく、または、常磁性材料の外層を有していてもよい。この外層はドラムベース6502に塗布された常磁性コーティングであってもよい。スタンパシム6504は磁性材料であってもよい。別の実施の形態では、スタンパシム6504は、接着された磁性材料を有する非磁性材料からなることより、磁性材料が接着されたスタンパシム6504が常磁性ドラムベース6502に装着されるようにしてもよい。
【0247】
ある実施の形態において、スタンパシム6504をさらに、位置合わせ後に、ドラムベース6502の接着剤用の穴6508を通して接着剤を使用することによって、ドラムベース6502の適所で保持してもよい。
【0248】
フォーマットを光テープに与えるために使用し得るエンボス加工の特徴は、スタンパシム6504の外面または外径上にあってもよい。少なくとも1つのスタンパシム6504を用いて、ドラムベース6502の外径の周りに1組のトラック全体を設けてもよい。この少なくとも1つのスタンパシム6504をドラムベース6502の周りに与えると、スタンパシム6504の端部同士が接する少なくとも1つの継ぎ目が形成されるであろう。対応するトラックを、1つの継ぎ目および/または複数の継ぎ目各々を挟んで正確に位置合わせすることは重要であろう。複数のスタンパシム6504を、実用および製造上の理由で、ドラムベース6502の外周の周りに用いてもよい。実施の形態において、複数のスタンパシム6504をドラムベース6502の周りに巻くときは、複数の継ぎ目各々を挟んでトラックを正確に位置合わせすることが必要であろう。
【0249】
ある実施の形態において、スタンパストリップ6504およびドラムベース6502を、磁力で装着してもよく、スタンパシム6504の端部をドラムベース6502上で横方向に調整することによりスタンパシムの端部を位置合わせすることは比較的容易であろう。
【0250】
図66を参照して、差動ねじ6602を用いるスタンパシム6504の位置合わせ方法の実施の形態が示されている。ある実施の形態において、この位置合わせ方法は、大まかな調整の後、スタンパシム6504を微調整することを含んでいてもよい。
【0251】
大まかに位置合わせするステップにおいて、双眼顕微鏡といった顕微鏡を用いて、スタンパシム6504の継ぎ目6604領域に焦点を合わせてもよい。顕微鏡を通して観察している間に、スタンパシム6504のトラックを、約+/−10ミクロン以内まで位置合わせしてもよい。外側のトラックに沿いトラックとトラックの間にある基準マークを、この大まかな位置合わせに使用してもよい。
【0252】
すべてのスタンパシム6504の継ぎ目6604に対して大まかな位置合わせが完了した後、エンボス加工の特徴の最終的な位置合わせのために精密な位置合わせのステップを実施してもよい。
【0253】
このステップでは、ドラムをスピンドルの上に置き比較的遅い回転速度で回転させてもよい。このステップは、Shibusokuマシンといった光学式媒体テスタを用いて行なうことができる。このテスタ上の光ピックアップヘッドの焦点を、スタンパシム6504の表面形状上に合わせればよい。光ピックアップヘッドは、その焦点をあるトラック上に合わせてロックしそのトラックを読取りそのトラックのアドレスを復号してもよい。光ピックアップヘッドは、このプロセスを、継ぎ目の両側のトラックに対して行なってもよい。電子回路を、スタンパの継ぎ目6604の存在に合わせて設計してもよい。スタンパシム6504の継ぎ目6604の両側のトラックについてトラックアドレスを求めた後、トラックの位置合わせを行なってもよい。複数のシムを有するドラムに対しては、スタンパシム6504の各対の継ぎ目6604の位置合わせを、トラックの位置合わせが完了するまで、上記プロセスを用いて、スタンパシム6504の各対の継ぎ目ついて横方向に調整してもよい。
【0254】
ひき続き図66を参照して、差動ゲージを用いたスタンパシム6504の微調整の第1の実施の形態が示されている。少なくとも1つの差動ゲージ6602を、ドラムベース6502の縁の上に置いてもよい。差動ゲージ6602は、ミクロンレベルの調整機能を有していてもよい。第1の差動ゲージ6602を用いてスタンパシム6504を1つの方向に押してもよい。第2の差動ゲージ6602を反対側に置き、スタンパシム6504を反対方向に押してもよい。このようにして、スタンパシム6504を、両方向においてミクロンの精度で調整して、スタンパシム6504のトラックの位置合わせを行なってもよい。各スタンパシム6504の継ぎ目に少なくとも1つの差動ゲージ6602があってもよい。当然、各継ぎ目に対するこのプロセスおよび微調整を、ドラムアセンブリ6500の1対のスタンパシム6504のために繰返してもよい。少なくとも1つの差動ゲージ6602を、上記のピックアップヘッドからの電子的フィードバックによって駆動してもよい。
【0255】
図67を参照して、圧電トランスデューサ6702を用いて微調整することによりスタンパシム6504の継ぎ目6604を位置合わせする、第2の実施の形態が示されている。少なくとも1つの圧電トランスデューサ6702を、各継ぎ目6604において、ドラムベース6502とスタンパシム6502との間に配置してもよい。少なくとも1つの圧電トランスデューサ6702を用いて、このプロセスを、電子フィードバックループを与えることによって自動化してもよく、この場合、位置合わせ情報は、媒体のテスタによって得られ、圧電トランスデューサ6702を駆動してスタンパシム6504を位置合わせするのに用いてもよい。
【0256】
自動化された閉ループシステムを、ピックアップヘッド6704を用いてスタンパシム6504のトラックを読取りトラック情報をプロセッサ6708に与えることにより、創り出してもよい。プロセッサ6708は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラなどであってもよい。プロセッサ6708は、スタンパシム6504のトラック位置情報を記憶するためのメモリを含み得る。プロセッサ6708はまた、スタンパシム6502の位置合わせのためのフィードバックを圧電トランスデューサ6702に与えることができるものでもよい。閉ループシステムはまた、圧電トランスデューサ6702のために適切な信号レベルを与える増幅器6710を含んでいてもよい。
【0257】
ピックアップヘッド6704は、スタンパシム6504のすべてのトラックを横断して移動することによってトラックの位置合わせを決定することができるものであってもよい。ドラムアセンブリ6500が中心軸を中心としてゆっくりと回転する間に、ピックアップヘッド6704は、プロセッサ6708を通して調整信号を読取りこの調整信号を圧電トランスデューサ6702のうち少なくとも1つに送ることにより、スタンパシム6504のトラックを位置合わせすることができる。ドラムアセンブリ6500を1回以上回転させることによってスタンパシム6504のトラックを位置合わせしてもよい。
【0258】
ある実施の形態において、第1の1対のスタンパシム6504を継ぎ目を挟んで位置合わせした後、閉ループシステムのピックアップヘッドが第2の1対のスタンパシム6504に移動することによって位置合わせを行なってもよい。ある実施の形態において、ピックアップヘッド6704は、ドラムアセンブリ6500のすべてのシムの位置合わせを行なってもよい。
【0259】
ある実施の形態において、閉ループシステムは、すべてのスタンパシム6504のトラックの平均値を用いてすべてのトラックの位置合わせを行なってもよい。
【0260】
ある実施の形態において、閉ループシステムは、ドラムの全周の周りのすべてのシム6504について所与のいくつかのトラックの完全な位置合わせを必要としてもよい。
【0261】
本明細書に記載のテスト装置は、光テープ媒体のさまざまな側面のテストに役立つであろう。
【0262】
図68を参照して、円筒形のドラム6810を、回転シャフト6820上に設けてもよい。シャフト6820は、遠隔制御されてさまざまな所望の速度で回転できるモータ(図示せず)に接続してもよい。このモータを硬質のベース6830に組付けてもよい。連続ループの形態の、フォーマット情報の予め定められた特徴を有する媒体6840の長さを、ドラム6810の外側に固定してもよい。光ヘッド6850を、ヘッド6850の焦点範囲内において、媒体6840の上方の至近距離の場所に位置決めしてもよい。ヘッド6850の媒体6840の表面に対する位置合わせは、機械的調整手段6860によって行なってもよい。
【0263】
通電されると、ドラム6810は所望の速度で回転し、ヘッド6850は媒体6840上の特徴を読取り、これら特徴から読取った情報を、分析のためにコンピュータ(図示せず)に転送する。実施できる1つのこのような分析は、媒体の品質の測定であってもよい。
【0264】
適合させた光テープドライブを、光学式媒体テスタと組合わせると、本明細書に記載のテストシステムが得られ、これは光テープシステムにおいて見出されるものと実質的に同様の構成の光テープ媒体のテストに役立つであろう。
【0265】
図69を参照して、テープドライブ6910を、媒体6920を光学式媒体テスタ6930に対して水平に与えるように適合させてもよい。この可能な実施の形態において、光学式媒体テスタ6930の光ヘッド6940を、媒体6920の底面に当たるように垂直方向に向けてもよい。
【0266】
光ヘッド6940は、焦点合わせ、トラッキングサーボ、およびデータ解釈を含む組から選択される機能を含む。これらの機能うち1つ以上を実施している間に光ヘッド6940から収集された情報を分析することにより、横方向のテープの動き、張力変動、テープ面の欠陥、ならびに、リール6950、ローラ6960、およびテープサーボシステム(図示せず)の不均一性といったテープドライブに存在する特徴を含む組から選択される要素を評価してもよい。
【0267】
本明細書に記載の、位置合わせされ、継ぎ目が形成された、エンボス加工ドラムおよびその製造プロセスを用いて、光テープ媒体をエンボス加工してもよい。
【0268】
図70を参照して、パイレックス(登録商標)またはその他の適切なガラスから作られた改良された中空の真空チャックドラム7010は、その外径の周りで複数のシム7015を保持し、壁の厚みは約0.5インチである。このチャックドラム7010の可能な実施の形態において、貫通孔7020をドラム7010の壁を通して形成し、ここから接着剤を供給することにより、精密カットされエッチングされたポリカーボネートのシム7015をドラム7010の外面に接着してもよい。この可能な実施の形態において、シム7015の厚みは約100ミクロンであってもよいが、ポリカーボネートの他の適切な厚みを使用してもよい。シム7015はまず、ダイヤモンドフライカッティング、水噴射切削、およびダイヤモンド砥石研削を含む組から選択される切削方法を用いて、より大きなシートから、ドラム7010上に載せるのに合った予め定められた大きさに、切出してもよい。このより大きなシートは、エッチングされた石英の原版から最初に作られたものであってもよい、石英で裏打ちされたフォトポリマーから、エッチングしたものであってもよい。
【0269】
他の実施の形態では、チャックドラム7010の外面に沿った分配チャネル7030を含めることにより、貫通孔7020からの接着剤を分配してもよい。これに代えて、貫通孔7020は設けずに、接着剤を与えるためにドラム7010の両端まで延びる分配チャネル7030を含めてもよい。
【0270】
貫通孔7020および/または分配チャネル7030を通して与えられる接着剤は、ほぼUV硬化性である接着剤でもよいが、他の種類の接着剤を使用してもよい。
【0271】
さらに図70を参照して、ドラム7010は、真空チャネル7040および真空ポート7050を含む。これらが協働することにより、ドラム真空装置(図示せず)を真空端キャップ7060を通して接続し、吸引機能を真空ポート7050を通して働かせて、シム7015を、調整および接着剤硬化中、一時的に適所で保持する。
【0272】
図71を参照して、端部キャップ7070に対して概ね位置合わせされ真空ポート7050によって適所で保持された1つ以上のシム7015を、光学手段を用いて位置合わせに関する検査を行なってもよい。真空ポート7050を通した真空を調節することにより、ドラム7010の外面に沿ってシム7015をマイクロメートルレベルで動かすことにより、最終的な位置合わせを行なってもよい。接着剤(図示せず)を、貫通孔7020および/または分配チャネル7030を通して導入し、検査し、硬化させてもよい。接着剤の検査は、シム7015を通してまたはドラムが(パイレックスのように)透明であればドラム7010を通して行なってもよい。
【0273】
図72を参照して、完成したドラムアセンブリ7210をウェブ(web)エンボス加工装置(図示せず)上に置いてもよい。UVランプ7220がドラム7210に挿入され、適切なシールド7230が設けられている。このため、UVエンボス加工モノマー(7240)を、テープベース7250を通して紫外線を通す必要なく、露光することができる。
【0274】
本発明の別の実施の形態では、改良された中空の真空チャックドラム7010を金属から作ることができる。この場合は、UVランプ7220を完成したドラムアセンブリ7210の外側に設けて、UV光がテープベース7250を通過するようにする必要がある。
【0275】
本発明の別の実施の形態において、真空の調節および制御は、各シムに対して個々に制御可能であってもよく、0、1または任意の複数のシムを同時に、接着剤の硬化前に調整できる。
【0276】
本明細書に開示されるプロセスは、基材層上のモノマー層を含む多層光学式媒体(たとえば光テープ)の性能を改善する。モノマー硬化に関して開示されるプロセスは、モノマーを紫外線に晒すことを含む。このプロセスは、モノマーの基材に対する接着性を高め、かつ硬化したモノマー内の結合力を増し、かつ硬化したモノマーの露出した表面の粘着性を低下させることによって、性能を改善し得る。
【0277】
図73を参照して、このプロセスは、層状剥離ステップ後に、モノマーを広帯域スペクトルの紫外線に晒すことを含む。第1の硬化ステップ7310は、発光ダイオードからの紫外線を使用してもよい。第1の硬化ステップ7310は、媒体がまだエンボス加工ドラム上にある間に行なってもよく、エンボス加工中媒体の薄い基材に入る熱を最小にするという点で有益である。発光ダイオードからの紫外線を用いることにより、エンボス加工ドラムが加熱されないようにすることもでき、このためドラムを冷却する必要はない。
【0278】
実施の形態においてより広帯域の紫外線エネルギ源を使用することにより、第1の硬化ステップ7310におけるモノマー硬化に対してより広い基礎を与えるが、媒体およびエンボス加工ドラムの温度を上昇させる可能性がある。
【0279】
図73を参照して、媒体を層状剥離ステップ7320で層状剥離してもよい。
図73を参照して、層状剥離後の硬化ステップ7330は、広帯域スペクトルの紫外線、発光ダイオードからの紫外線、またはその組合せの使用を含む。この組合せにより、広帯域スペクトルの紫外線単独の場合の過熱によって媒体が変形するリスクを低下させることができる。
【0280】
(I) Mod2エンボス加工装置
基材トラッキング
マシンの位置合わせは、2ミルのPENおよび6ミクロンのPEN双方の適切なウェブトラッキングを容易にするのに有益であることが立証されている。
【0281】
コーティングされたアイドラロール面は、摩擦を減じ得るとともに、ウェブトラッキングの改善を容易にして折れ目を少なくし得る。たとえば:
金属およびプラスチック上のPTFE、Ni含浸テフロン(登録商標)は、我々のシステムにおいて摩擦を有効に減じることが判明しており;かつ
エンボス加工用工具のTFEコーティング(Ni電気鋳造品およびHg′x)は剥離の改善を容易にし得る。
【0282】
6ミクロンの基材に対しMod2を作動させつつドライブシステムの一連動作の順序を決定することにより、ウェブの破壊の回避を容易にし得る。たとえば:
ウェブを駆動する前にウェブ張力を設定して作動させ;
マシンの部分毎の設定値は以下のものを含む:
メインドライブを26rpmに設定(その結果、事実上ウェブは移動しないがモータは作動し得る);
モータ3の巻取り張力を1 lbに設定;
モータ4の巻出し張力を0.6 lbに設定;
張力設定後、巻取り張力を、0.5〜0.75ずつ、2.5 lbまで高めてもよく;
巻出し張力を、0.65〜1 lbに高めてもよく;
これら張力が目標値に達した後、メインドライブの回転速度を1〜2rpmずつ上昇させることができる。
【0283】
2ミルの基材に対しMod2を作動させつつドライブシステムの一連動作の順序を決定することにより、モータの過負荷を回避しやすくし得る。たとえば:
ウェブを駆動する前にウェブ張力を設定して作動させ;
マシンの部分毎の設定値は以下のものを含む:
メインドライブを26rpmに設定(その結果、事実上ウェブは移動しないがモータは作動し得る);
モータ3の巻取り張力を1 lbに設定;
モータ4の巻出し張力を1 lbに設定;
張力設定後、巻取り張力を、0.5〜0.75ずつ、3.5〜4 lbまで高めてもよく;
巻出し張力を、2〜3 lbに高めてもよく;
これら張力が目標値に達した後、メインドライブの回転速度を1〜2rpmずつ上昇させることができる。
【0284】
十分に大きい巻取り張力は、たとえばニップロールの作動によって生じる張力の一時的な乱れから、マシンが迅速に回復し易くし得る。
【0285】
上記一連動作の順序の決定および動作応答を、制御システム論理に組込むことにより、マシン動作中にオペレータが誤りを犯す可能性を低くしてもよい。
【0286】
エッジガイド
巻出しエッジガイド制御システムを改良することにより、応答時間の抑制を容易にし得るとともに、巻出し位置決めシステムの大きさの急速かつ過剰な変化のために生じ得る折り目の発生の低下を容易にし得る。
【0287】
巻取りエッジガイド制御システムを改良することにより、応答時間の抑制を容易にし得るとともに、巻出し位置決めシステムの大きさの急速かつ過剰な変化のために生じ得る折り目の発生の低下を容易にし得る。
【0288】
巻取りエッジガイドは、モータの移動機構(横方向の動き)上に設けてもよく、これにより、エッジガイドを、Mod2の裏面ではなく巻きロールのエッジに対して確実に制御することを容易にし得る。これは、後続の真空コーティングプロセスにとって重要となると思われる、巻きロールのエッジの均一性を改善し得る。
【0289】
コロナ処理
Mod2上でテストされるモノマーにとって、0.75kwという電力レベルは、モノマーの硬化が十分であると仮定すると、十分な接着性をもたらすと思われる。このプロセスウインドウは、基材をコロナ処理し、stop-actionサンプルを切出し、手動でサンプルにモノマーを積層しオリエル(Oriel)ランプシステム内で3分間硬化させることによって、定められた(これは十分な硬化レベルであることが知られている)。
【0290】
電力レベルが>0.75kwの場合、基材の測定された表面エネルギは約54ダインである。
【0291】
モノマーコーティング
手動シリンジを用いるモノマーコーティングは、エンボス加工プロセスの予備テストに適しているであろう。ウェブ速度が約6fpmの場合、周波数が約1液滴/秒の、ウェブ上の液滴の正弦波パターンによって、モノマーを、エンボス加工プロセスに対して十分に供給することにより、全体的にウェブに交差するエンボス加工CDパターン(CDドラムを用いた場合)が得られるであろう。モノマーの供給量が大幅に少ない場合は、ウェブに交差する範囲が小さくなるであろう。モノマーの供給量がより多い場合は、モノマーがドラムのエッジから押し出されるであろう。
【0292】
一例として、アニロックス(Anilox)−ゴム−ウェブを用いるコーティング塗布技術は、十分に制御された均一的なコーティングを生出すことが判明している。
【0293】
基材の帯電防止保護
帯電防止装置を使用することにより、性能が低い領域を回避し易くなるであろう。たとえば、帯電防止装置を用いた改善は以下のものを含み得る:
6ミクロンのPENに対するウェブトラッキングを改善し得る;
シリンジを用いたときに液滴をモノマーのウェブ表面コーティング上により適切に形成し得る。
【0294】
これは、4つの場所で核種Po−210帯電防止バーを使用することによって行なってもよい。使用できる場所には、
巻出しの後、
コロナ処理ユニットの後、
エンボス加工の後、
巻取りの前が、含まれる。
【0295】
静電帯電防止バーも、評価された結果、核バーとして(感電事故防止に加えて)有効に機能することが判明している。
【0296】
エンボス加工プロセスおよび機器
少なくとも15psiのニップ圧力は、CDドラムを用いた高品質の積層に対して十分な力を与え得る。
【0297】
1つのニップロール(送込みのみ)を用いることにより、エンボス加工ドラム上に、より高張力の動作点が与えられると思われる。これは以下の結果であると考えられる。
【0298】
巻取り張力レベル設定からからあまり離れていない。
ニップロール♯2における慣性、その影響がこのロールの作動時に悪化する可能性がある。
【0299】
2つのニップロール(送込みおよび送出し)を使用することにより、全体的に許容できる動作となる。そのいくつかの例は以下のものを含む:
規則的な継ぎ目を有するドラムを使用することにより、平坦性のモニタリングを容易にし流れ易くし得る;
2つのニップロールを、圧力を十分に一致させて作動させることにより、トラッキングが容易になる;
ウェブをドラムから放出するポイントがより適切に制御される。すなわち、送り出し側のニップロールを作動させることにより、ウェブがドラムから放出されるポイントが、閉じられたニップロールからウェブに対して圧力が加えられるために、より適切に「固定される」であろう。
【0300】
以下の入力側のニップローラの特徴は、薄いウェブにとって有益であろう。すなわち、デュロメータ(硬度が高い方がよい)、表面仕上げ(パターンは薄膜の裏側を通してプリントできる)、および直径(直径が大きいほど送込まれるウェブに対する張力差は小さい)である。
【0301】
積層プロセス制御
ニップ圧力を側方向の積層について正確に制御することにより積層を容易にし得る。
【0302】
硬化プロセスおよび機器
以下の異なるいくつかの硬化システムの動作範囲の中に、同程度の硬化が見受けられた。これらはたとえば:
広帯域スペクトルシステムであるオリエル(Oriel)「ソーラーシミュレータ」;
広帯域スペクトルシステムである「ベルトUVシステム」;
キセノンフラッシュランプシステム;および
インフィニラックス(Infinilux)&UVPS UV LED。これは395nmを中心とする狭い波長光分布を出力する。
【0303】
上記システムすべてについて、光強度の設定と露光時間の、ある組合せにより、良好な硬化が見受けられた。特定のモノマー配合を使用すればさらに良好な硬化を容易に為すことができるであろう。
【0304】
ランプシステムには、ランプシステムの少なくとも焦点または安定した露光点に基づき得る、基材に対して明確に定められた硬化「位置」があるであろう。
【0305】
LEDシステムについては、UV強度を、LEDの「3つ組のストリップ」において、ストリップの表面から2分の1インチおよび1インチの距離のところで測定した。ストリップから1インチの距離の場所ではエネルギプロファイルは比較的一様であり、2分の1インチの距離の場所では測定された強度に大きなムラがありLED光源間に大きな低下があることが、判明した。
【0306】
オリエルシステムに対して、ACT2−158−1といった可能なモノマーを用いると、露光時間が5秒以下であっても十分な硬化が観察された。
【0307】
上記露光プロセスの動作点は重要であろう。なぜなら、直径4インチのCDドラムを用い、UV LEDをこの装置上に配置した、Mod2の露光時間は、およそ3秒であるためである(6fpmで約2インチの露光ウインドウ)。
【0308】
基材の巻取り
基材の巻取りは、ウェブの表面粗さ(一般的に基材の製造業者は低いレベルの粗さを導入するであろう)の影響を受けるであろう。これは、いくらかの空気を取り込めるようにし、巻上げ時の表面摩擦および皺を減じ得るものである。
【0309】
マシンを適切に設定することにより(Mod2またはミルレーン(Mill Lane)いずれか;位置合わせおよび動作パラメータ)、基材の適切なロールを容易に完成することができるであろう(すなわちロールは「硬質」であり、適切な形状で、皺は最小である。これらは少なくとも供給される基材には十分である)。
【0310】
ウェブの巻取りの品質は、処理条件によって変化し得る。なお、以下の条件はすべて、巻取りを支援する特別な機器を利用していない(すなわち塗布ロール(lay-on roll)または曲げられたスプレッダロール):
コーティングのない2ミルのPENは、良質のロールをもたらした。
【0311】
コーティングのない6ミクロンのPENは、良質のロールをもたらした。
継ぎ目がない一様のドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングした2ミルのPENは、良質のロールをもたらした。
【0312】
継ぎ目があるパターニングされたドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングした2ミルのPENでは、継ぎ目の領域に空気が著しく取り込まれた。これはおそらく、ある領域では粘着性のレベルが過剰に高いためであり、この領域では、継ぎ目が原因でモノマーコーティングの厚みがより大きく、硬化が不十分である。現われたのは、後に折り目を生じさせる、「巻上げロール上の気泡のあるTD領域」であった。
【0313】
継ぎ目のない一様のドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングされた6ミクロンのPENは、巻取ロール上の基材上の裏面に接触するポリマーコーティングされた面と一致する巻上げロールの著しい折り目をもたらした。
【0314】
継ぎ目があるパターニングされたドラムを用いてポリマー(硬化したモノマー)でコーティングされた6ミクロンのPENは、巻取ロール上の基材上の裏面に接触するポリマーコーティングされた面と一致する巻上げロールの著しい折り目をもたらした。2ミルのPENに見られた気泡の問題は、折り目の問題よりも重要でないと思われ、または、積層ニップを通る薄い基材のビーム強度が低いために単に存在しない。
【0315】
巻取りの際の非常に均一的なx−ウェブ張力により、薄膜を使用する際に高品質の結果を得ることが容易になるであろう。
【0316】
(II) 真空コーティング装置
パイロットロールコーティング装置
薄いウェブの取扱いの最適化のための裏面のみのアイドラおよび曲げられた(ストレッチャ)ロールを特徴とする新たなウェブ搬送/ガイドアセンブリが設計され設置された。
【0317】
改善されたソフトウェアマシン制御
4つのタンデムスパッタリングターゲット(2DC&2RFマグネトロン)について蒸着機能を改良することにより、SiO2/ZnS蒸着速度を2倍にした。
【0318】
反射率を測定するように構成された光ファイバ高さセンサの使用に基づくインライン反射率測定機能を設計し実現した。各線形アレイの1つのバンクを各蒸着ゾーンの間に配置できる。
【0319】
各蒸着ゾーン間の距離を修正することにより層と層の間での混合を制御するハードウェアを開発した。
【0320】
パイロットバッチコーティング装置(Sharon)
テープの別々の長さのコーティングを可能にする螺旋巻き装置を設置した。
【0321】
ターゲットの上で基材ホルダを正確に回転させる「自動インデクサー(indexer)」を追加した。
【0322】
モノマー材料:
予め定められた仕様および特性に合わせてモノマー配合がいくつかの特注配合供給業者によって開発された。特定された重要なパラメータは以下のものを含む:
(PEN膜を通して硬化するための)スペクトル感度;
粘度(エンボス加工プロセス中に十分に流れ出すためには目標値は低くてよい)。一般的に粘度が低ければ化学的抵抗は低くなる;
温度調節は粘度(したがってエンボス加工層の厚み)を制御する方法として認識された;
硬化速度(目標値はプロセススループットを高めるために速い方がよい);
プラスチックに対する密着性(いくつかのマイコンプログラムのため);
プラスチックに対する低い密着性(その他のマイコンプログラムのため);および
すべてのマイコンプログラムのための「ニッケル工具一式」からの放出(将来のNi工具一式を想定)。
【0323】
表面処理(およびポリマー工具の場合の容積測定処理)は、工具と複製ポリマーとの間の密着性を低下させることが判明した。
【0324】
予備テストをシリコーン剥離剤を用いて実施することにより、硬化したモノマーの工具面からの分離を改善した。加えて、この剥離剤は、巻取り中、硬化したモノマーの表面とウェブの裏側との間にある程度の滑りをもたらすことを意図していてもよい(巻取りのセクション参照)。
【0325】
スペクトルの青色領域に対して感光性を有するようにされたモノマー配合は、非常に反応性が高くてもよく、室内照明に晒されないようにすることも可能であろう。これは、一般的に、シリンジをテープ(たとえばカプトン(登録商標)テープ)で巻くことによって周囲の青色光を遮断することによるシリンジ投与方法を用いることによって為してもよい。これにより、全体的に閉じた流体取扱いシステムを使用する際の複雑さは回避される。
【0326】
ポリマーの密着性:
ポリマーの密着性を、以下のものを含むいくつかの影響によって改良してもよい:
硬化したモノマーの、さまざまな表面に対する固有の密着性;
基材加工(なおコロナおよびフレーム加工はいずれも密着性を改善することがわかっている);および
密着性を促進する層による基材の2次コーティング(密着性促進2次コーティングは多くの場合改善を示したがいくつかのテストでは何の影響もなかった)。
【0327】
真空蒸着層:
WORM層の製法は、AlおよびSbを第1の層として用いた。
【0328】
合金層にはGe2Sb2Te5公称合金を使用した。
オーバコートにはZnS/SiO2層を使用した。
【0329】
各層の厚みは最適性能によって異なる。
真空蒸着層を裏側の帯電防止コーティングとして使用しこれをAlを用いて評価した;予備テストの結果、テープの搬送は良好であった。
【0330】
個別工具設置:
OTの予備フォーマットのための継ぎ目のないドラムの開発の代わりに、短期で得られるものとして、あるプロセスを使用した。これは、所望の予備フォーマットパターンを有する複数のNi電気鋳造品(「シム」)の精密な予備切削、および、個々のセグメントをレーザ溶接してドラムにすることを含む。
【0331】
オリジナルのフォーマット設計を(標準CADプロセスを用いて)作製し、オリジナルの浮彫りの図案(「master」)をリソグラフィ技術を用いてガラス基材をパターニングすることによって作った。
【0332】
CADパターンには、パターン工具の精密な切削において後に使用するために、基準切削マークを含めた。
【0333】
ポリマー−オン−ガラスサブマスタを、マスタから直接作った。
反転画像サブマスタ(「mother」)もサブマスタから作製した。
【0334】
Ni電気鋳造品を、ポリマーサブマスタから作製した。
サブマスタもマスタから作製してもよい。
【0335】
以下の方法のうち1つ以上は、NiVの40〜70nmのスパッタリングといった真空蒸着プロセス後、完全な分離を提供し得る。この方法は以下のものを含む:
硬度を高めるためのポリマーサブマスタのさらなる加工;
ポリマー表面に対する密着性を低下させるためのポリマーサブマスタのさらなる加工;
より薄いNiV層の使用;
最初に蒸着させたものの温度を低下させるためのランプスパッタリングパワー;および
NiVの不動態化(Ni→Ni複製中に行なわれるものと同様でもよい)。
【0336】
ポリマーサブマスタおよびNiマスタ双方を、UVプロセスにより予備フォーマットパターンのテスト複製を作る際に別個の平坦なシムとして使用した。これは以下のものを含む:
積層点(「ニップ」)で注入されるUV硬化流体(先に説明したもの)を用いて50〜75psiの圧力ローラを用いて平坦に積層すること;および
UVまたは光照射(4秒から6分)による硬化;2〜200mw/cm2。
【0337】
ドラムツールの作製:
Niシムに埋込まれた基準マークからの予め定められた距離に基づき、カーバイドの切削工具を用いて平坦なNiシムを精密にミル切削(「トリミング」)することにより、実質的に同一の4つのシムを、この技術によって形成することができた。また、プラスチックの保護膜を、Niシムのパターニングされた面に積層し、一時的に剥がすことにより、トリミング前に基準マークが見えるようにした。
【0338】
レーザ溶接を用いて4つのシムを接合してドラムにした。
4つのシムをすべて1つの(底の)エッジと位置合わせし、裏側から3箇所、Niを通して約75%、溶接した。溶接したストリップを裏返し、仕上げ溶接を表(パターニングされた)側から行なった。
【0339】
ドラムを形成する(閉じる)ための最後の溶接を表側から行なった。
上記方法によって加工された最初のドラムの、光学測定値として、0.00015インチ(3.7ミクロン)という、最も高い溶接精度(溶接された継ぎ目を挟んだ1つのトラックのずれが最小)が示された。
【0340】
1組の特注溶接固定具および追加のテストにより、オフセットをさらに減じることが容易になり溶接プロセスの平滑性を改善し得ることが確認された。
【0341】
Mod2における設備および動作:
CDパターンを有する代替のNiドラムを、予備プロセスおよびマシンテスト(上記参照)のためにMod2に設置した。このドラムを、マシンの中に、ゴムのスリーブの上で滑らせることによって固定した。次にこれをマシンのドライブシャフトの上で滑らせ、ねじ切りされたドライブシャフトの端部上でナットを使用することにより、端部の釣鐘状の部分の圧力を用いて固定した。
【0342】
製品は、1/4、1/2、3/4、1、4インチのテープ幅に応用してもよく、適当なのは1/2インチであろう。
【0343】
図74を参照して、上面読取形態(レーザが「トップコート」側に入射)は、次の通りである。
【0344】
7410 トップコート:
有機硬化層
PML(真空ポリマー蒸着−アクリル)平坦化
UV硬化
電子ビーム硬化
溶剤/水性コーティング
目的は構造体の保護でもよい。
【0345】
光学特性
7420 WORM層♯3(「トップコート1」としても知られる):
積層体の一部としての任意の層
製造中に保護する。
【0346】
何らかの光学的調整を提供する。
適当なものとして(ZnS/SiO2、80/20);代わりになるものとしてSiO2、YF2、その他透明な酸化物および化合物
熱特性
光学特性(T、R、A)
可撓性
密着性(高い)
表面粗さ
7430&7440 WORM層:
Te合金(GST=Ge2Sb2Te5、公称)でもよい。
【0347】
金属(Sb、Alでもよい)
厚みは製品の性能に依存
7450 予備フォーマット層:
UV硬化ポリマーでもよい。
【0348】
アクリル樹脂でもよい(エポキシまたはポリウレタンでもよい)。
粘度(<200)でもよい。
【0349】
スペクトル増感(400nm)でもよい。
基材に対する密着度(高い)でもよい。
【0350】
工具に対する密着度(低い)でもよい。
可撓性(高い)でもよい。
【0351】
層の厚み(0.5〜1u)
予備フォーマット層形成プロセス(オプション:1つまたは複数のステップのシーケンス)
7460 基材:
材料
PENでもよい。
【0352】
PET
PC
CTA(セルローストリアセテート)
厚み
1u−25u(約4〜8uでもよい)。6uでもよい。
【0353】
他の特性
表面粗さ
2次コーティング
充填剤
熱安定化
機械的に平衡した応力
表面処理および/または化学処理
7470 バックコート:
表面粗さ
光学特性
帯電防止部であってもよい。
【0354】
耐スティクション
薄い金属層(Al、Ni、NiCr)であってもよい。
【0355】
カーボンブラックが代替のバックコート(現時点で標準的な業界の慣例)であってもよい。
【0356】
(選択肢としてカール防止層)
エンボス加工または配合および添加剤(粒状)または乾燥によるテクスチャ付与
意図的な網状組織
他の考慮事項:
暗書込および明書込(最終tbd)でもよい。
【0357】
化学的性質を正しい書込波長に合わせて調整する。
ドライブ性能を改善するために表面にテクスチャを与える。
【0358】
第2の形態として反対側から読取ってもよい。
バックコート
トップコート(?)
WORM層
予備フォーマット層
基材
トップコート
クリア、保護
テクスチャ制御
透明(R/W波長に対し)
帯電防止
WORMからR/W
消去可能機能を有していてもよい。
【0359】
相変化であってもよい。
構造体内に予めフォーマットされた層があってもよい。
【0360】
再スタートゾーン、ゼロイング(zeroing)ゾーンなどを有する、継ぎ目のあるドラム、および継ぎ目のあるドラムの形成方法
以下の説明は、本開示の可能ないくつかの実施の形態に関するものであり、本明細書に記載の実施の形態および方法の変形は、当業者が想像し得るものであることが理解されるであろう。このような変形および改善は本開示の範囲に含まれることが意図され、したがってこの開示および方法は以下の実施の形態に限定されない。
【0361】
図75〜図78は、現在の技術を示し、不均一なコーティングが不均一なソースの分布からどのようにして生じるかを説明している。これに続く図面は、螺旋経路を利用するとともに、ソースを複数回通過させることを利用する、本開示の方法が、如何にしてコーティングの均一性を改善するという効果を有するかを説明している。
【0362】
図75および図76双方においてそれぞれ側面図および垂線方向の透視図で示されている、典型的な構成では、本明細書では慣例によってウェブとも記載している、コーティングを施す基材1を、供給スプール2から送り出し、張力および位置調整などの制御のためにさらなるロール3の上を通過させてもよい。その後基材はコーティングゾーン5に入る。コーティングゾーンは、第1の層7を積層するための材料のソース6と、このソースからの余分な材料のオーバーコーティングを最小にするためのコーティングバリア8とを含む。これに続けて設けられたコーティングゾーン(図示せず)で、材料をさらに積層してもよい。コーティングされた基材は、最後のコーティングゾーンでの積層後にさらなる張力および位置調整ロール4の上を通過した後、巻取スプール12に巻取られてもよい。この周知の技術では、基材は、コーティングゾーンを基本的に直線方向に通り抜け、ウェブは、フリースパン(free span)すなわち裏側が補強されていないか、バッキングプレート13またはロールと接触しているか、いずれかであろう。バッキングプレートは一般的に、ウェブが平坦になるようにするためおよび/または積層プロセスからの余分な熱を除去するために使用し得るものである。後者の場合、バッキングプレートまたはロールを任意で冷却してもよい。
【0363】
本開示の図面では、明瞭にするために、モータ、速度制御素子、張力制御装置、ウェブガイドなどは、示されていないが、このような制御システムは当該技術では周知である(D.R. Roisum, The Mechanics of Rollers, TAPPI Press, Atlanta, 1996)。
【0364】
次に図77を参照して、当該技術に共通する慣例の概略図であり、マシン方向から見た、真空蒸着プロセス中の基材の断面が示されている。この図は、材料19の不均一な蒸着が、ソースからのフラックスの分布17が不均一であるために生じる一例を示している。坩堝15を充填している材料16を(たとえば抵抗加熱坩堝(図示せず)を用いて)蒸発させてもよい。典型的には単位時間当たり蒸発させる材料の質量または厚みで説明されるフラックスは、図面では分布17として示されており、最大蒸発速度は最も長い矢印(この例では中央にある)によって表わされている。材料19は一般的に、フラックス分布に比例して基材18上で凝集し、このため、厚みがほぼフラックス17に比例する材料層19として広がるであろう。
【0365】
図78は、図77と同様、フラックスの分布が不均一であるために生じ得る不均一なコーティングの、垂線方向の図を示す。ここで、巻出しスプール24は、基材25を、ガイド/張力/アイドラローラ(ここでは27で示される)の上を通してコーティングゾーン26に送り出す。材料30は坩堝28から蒸発させてもよく、蒸着シールド29は、本来あるべき場所から外れてなされるコーティングを最小にする。コーティングされた基材31は、さらなるガイド/張力/アイドラローラ(ここでは32で示される)の上を通過し巻取スプール34上に巻き取られる。水平方向の点線35は、この基材が最終的にテープ製品にされる場合の仮定の切断位置を示す。コーティングの厚み36のばらつきは、先に示したように(図77)、坩堝からのフラックスが不均一である結果であろう。
【0366】
図79は、本開示のある実施の形態の概略図を示し、この実施の形態において、テープ状の基材41(典型的にはポリエチレンテレフタレートPET、またはポリエチレンナフタレートPEN、またはポリイミドフィルムなど)は、巻出しスプール40から、ウェブガイド、張力制御ローラ、およびさらなるアイドラロール(明瞭にするために図示せず)に与えられ、ロール42の上を通ってロール43に進んだ後、蒸着ソース材料のコーティングゾーン45に入り、その後ロール42に進み、ロール43に戻り、これを繰返す。この間、基材は、実質的に螺旋状の経路を辿り、コーティングゾーン45を何度も通った後、コーティングゾーンから出てスプール47上に巻き取られる。このようにソース45のさまざまな部分を複数回通過することの効果は、フラックスが不均一であること(たとえば図78に示される)を原因とするコーティングの厚みの不均一性を平均化することであろう。ただし、この図面においてロール42および43の周りに巻かれているテープ同士の間の距離が大きいのは説明のためにすぎず、実際のコーティングの構成では近接しているであろう。なお、ラインスピードの増加はテープ幅の減少に比例するであろう。これは、従来の(全幅の)コーティング構成と比較して、同等の蒸着の厚みおよびテープのスループットを保つであろう。この開示の方法は、フラックスレートがより高いことによるソースのばらつきに対する耐性を高めるので、速度をさらに増すことも可能であろう。
【0367】
蒸着プロセスからの熱負荷を減じるために、図79のローラ42/43を、冷却剤を循環させるなどして冷却することもできる。テープの線速度を高め1回の通過当たりの蒸着レートを低下させることと、コーティングのための通過と通過の間に(任意で冷却される)ロール42/43に巻く角度を180度にすることを組合わせることにより、蒸着プロセスからのテープに対する熱負荷を減じる作用が得られるであろう。
【0368】
この開示において複数回通過させて平均化する技術の有益な効果は、図80の図を検討すればわかる。再び図77を参照してみると、この図面の基材18は、図80において57で示される、幅が狭い基材と置き換えられている。この例のテープ基材57は、図79に示されるテープ経路を辿り、コーティングゾーン50を連続して8回通過し、材料のフラックスは坩堝51から発せられる(このソースも図77と同じくフラックス分布52は不均一である)。上記基材57の連続する通過を、位置1〜8で示すことができる(注:明確にするためにテープ経路全体における上側の通過は示していない)。54から55にかけてのコーティング層の堆積は、平均化効果を説明するために強調されている。この複数回の通過による平均化の効果を、切断後に複数回の通過による平均化が生じなかった図77の同じモデルのソース分布からのコーティング材料と、比較してもよい。
【0369】
この説明から、均一性の改善はほとんどのソース構成で可能であることが理解されるであろう。なぜなら、平均化の効果は、基材の幅がソースの幅よりも小さいことに基づき得るものであるからであり、複数回の通過によって、材料ソース分布の多くの部分からソースを抽出するからである。
【0370】
図81に示される別の実施の形態では、テープをより正確にガイドするために、図79の単体のローラ42および43を、複数の個別ガイドローラ60および61と置き替えている。これは、ローラ42および43にガイドトラック溝を切ることによっても可能であろう。ここでもまた、実際の動作では、均一性および歩留まりを最大にするために、巻かれているテープ同士の間隔は小さいであろう。
【0371】
図82に示されているようにソースからの余分な(「はぐれた」)材料を収集する手段を設け得ることも、この開示の特徴であろう。電子ビームおよび熱蒸発器を含むほとんどの真空コーティングソースにとって、ソースからの余分な材料が基材以外の領域で積層される可能性があることは、望ましくない特徴であろう。これは、定期的な洗浄を必要とするだけでなく、このような望ましくない積層がローラまたはガイド上で生じることによりこれらの表面が変化しこれら装置の性能が変わるときには、コーティング作業の妨げになり得る。また、余分な材料は、他のコーティングを、材料が実質的に堆積している表面から剥離する、または、加熱された面から再び蒸発することによって、汚染する可能性がある。図79または6の方法の側面図でもよい図82に示される実施の形態では、テープ基材73は、供給スプール70から巻き出され、上記と同じ螺旋経路で、コーティングゾーン75を通過し、巻取リールスプール71に巻取られてもよい。この実施の形態は、余分な材料を集めるための収集装置72を示しており、この余分な材料は、収集されなければ、テープが連続して巻かれている部分の間の空間を通り、コーティング装置の他の部品およびテープの裏側を汚染する可能性がある。この収集装置は、基材72のための標準的なウェブ取扱いローラを有する一対の巻出し/巻取ローラ(78/79)で構成されるか、または、ローラ78/79間に延びるフィルムのエンドレスベルトで構成される。PETその他といったプラスチックフィルムでもよい基材72は、テープコーティング作業中余分な材料を蓄積し、材料の堆積が必要とするのであれば簡単に廃棄できる。
【0372】
図83に示されるさらに別の実施の形態は、1回の通過で基材の両面をコーティングできる方法を示している。ここで、ウェブ経路は、蒸着ゾーン84の上を通っておりここで図79に示されるように基材の片側がコーティングされる。次に、送る側のローラ80と受ける側のローラ82との間でテープ83をマシン方向に沿いテープ軸を中心として180度捩じってもよい。このウェブ経路は続いて次の蒸着ゾーン81の中に至り、ここで裏側をコーティングしてもよい。このように両側をコーティングすることは、両側が活性である(記録可能または情報を有する)面、または、摩擦および/または静電制御のために真空バックコートを必要とする材料にとって、有益であろう。従来のコーティング方法では、両側をコーティングする際、コーティングのためにさらに通過させるかまたは裏側コーティングステーションを追加する必要があり、これらはいずれも製造時間およびコストを増す。
【0373】
図84からわかるように、光記憶媒体は、選択肢としての光学式媒体の形態8400によって示されるように、さまざまな形態を取ることができ、これらの形態はそれぞれ、サイズ、転送速度、記憶容量、およびコストの、異なる属性を提供する。選択肢としての光学式媒体の形態8400は、ドラム形状の光記憶媒体8410および8420、フレキシブルディスク光記憶媒体8430、小型オープンリール(reel-to-reel)光記憶テープ8440、および光記憶カード8450を含み得る。
【0374】
ドラム形状の光記憶媒体8410、8420は、約6.5MB/sから約13.5MB/sの転送速度、および、約5.6GBから約102GBの記憶容量を提供し得る。
【0375】
小型オープンリールテープ8440の形状の光記憶媒体(ミニ光テープとしても知られる)は、約3.2MB/sから約6.7MB/sの転送速度、および、約255GBから約1130GBの記憶容量を提供し得る。
【0376】
光記憶媒体は、特定の用途について、物理的な大きさ、および/または記憶容量、および/または転送速度がその用途の必要条件を満たすように、選択肢としての光学式媒体形態8400を含む組から選択してもよい。
【0377】
光フレキシブルディスク8430、小型オープンリール8440、および光カード8450は、持運びを容易にし媒体を保護する筐体の中に組込んでもよく、媒体をユーザが頻繁に取扱う用途に適しているであろう。
【0378】
図85において、光記憶媒体システム8500の可能な実施の形態は、パーソナルコンピュータ(PC)8540の典型的なDVDドライブサイズの空間に嵌まる光学ドライブ8520にロードされる、選択肢としての光学式媒体の形態8400を含む。選択肢としての光学式媒体の形態8400は、選択肢としての光学式媒体の形態8400への記録およびこれからの読取のための1つ以上のピックアップヘッドを備える赤色、青色またはUVレーザを用いる相変化光学式媒体で構成されていてもよい。消去可能な光学式媒体のための、WORMおよび光磁気用のダイといった他の種類の光学式媒体も適切であろう。
【0379】
この実施の形態において、光学ドライブ8520は、ハードドライブ8540の予め定められた大きさの部分を用いるPC8540のハードドライブ8530と通信し、選択肢としての光学式媒体の形態8400上の情報に対するランダムアクセスを改善する。選択肢としての光学式媒体の形態8400が、光学ドライブ8520を通して、ディスクドライブ8530よりも高速の転送速度を提供することが可能であろう。これはさまざまなやり方で実現でき、1つのやり方は、選択肢としての光学式媒体の形態8400の記録または読取に使用される光学ドライブ8520のピックアップヘッドの数を増すことである。ピックアップヘッドを増やすことによって、直ちに、選択肢としての光学式媒体の形態8400への/からのデータ転送速度を高めることができるであろう。
【0380】
システム8500をオーディオまたはビデオ娯楽用途に用いる場合は、ハードドライブ8540の部分に適用される、選択肢としての光学式媒体の形態8400に記憶されている情報の部分にユーザが素早くアクセスできるようにするための、固有のアルゴリズムおよびフォーマットがある場合がある。一例として、このアルゴリズムにより、ユーザは、選択肢としての光学式媒体の形態8400上の異なる物理的場所に位置する映画のシーンのサムネイルを見ることができ、次に、選択された映画にアクセスできる。こういったアルゴリズムおよびフォーマットは、選択肢としての光学式媒体の形態8400上のサムネイルと関連付けられた映画のインデックスまたは位置情報を含み得るものであり、これにより選択された映画に高速でアクセスできる。ディスクドライブ8530に記憶された情報は、どのような情報が選択肢としての光学式媒体の形態8400にしかないか、および、何がハードドライブ8530に転送されたかを決める、トラッキングデータを含み得る。システム8500の他の用途は、画像のアーカイブおよびバックアップ、家庭で撮影された映画、ビジネス情報、またはアーカイブライブラリサービスを含む。
【0381】
光記憶システムのもう1つの可能な実施の形態が、図86に示されている。スタンドアロン型のデジタル家庭用娯楽システム8600の機能は、図85の可能な実施の形態と同様であってもよい。システム8600は、システム8600のすべての要素、マルチメディアコンポーネント(図示せず)、内蔵ハードドライブ8530、USBインターフェイス8640、または他の通信ポート8650と通信する、専用プロセッサ(図示せず)を有していてもよい。システム8600はさらに、図85の実施の形態の、選択肢としての光学式媒体の形態8400および光学ドライブ8520を含む。システム8600はさらに、DVD8620といった他の記憶装置を含み得る。システム8600の記憶素子各々は、通信チャネル8610もしくは8630を通して、または専用プロセッサを通して通信できる。光学ドライブ8520を通して、選択肢としての光学式媒体の形態8400が、ディスクドライブ8530よりも高速の転送速度を提供することも可能であろう。
【0382】
システム8600は、有線または無線LANを介してPCに接続してもよい。このシステムにより、標準のTVフォーマットおよびHDTVフォーマットを使用して複数のプログラムを選択肢としての光学式媒体の形態8400に記録することもできる。図2の実施の形態と同様の手段を用いて、システム8600は、ハードドライブ8530の一部を利用することにより、映画のサムネイルを含む、選択肢としての光学式媒体の形態8400に記憶された情報の部分へのアクセス速度を改善する。ディスクドライブ8530に記憶された情報は、どのような情報が選択肢としての光学式媒体の形態8400にしかないか、および、何がハードドライブ8530に転送されたかを決める、トラッキングデータを含み得る。システム8600の他の用途は、画像のアーカイブおよびバックアップ、家庭で撮影された映画、ビジネス情報、またはアーカイブライブラリサービスを含む。
【0383】
システム8600Aを、拡張可能記憶デジタルビデオレコーダ(DVR)として使用してもよい。DVRはビデオ情報をハードドライブに記録するので、記憶容量はハードドライブの容量に基づくであろう。ユーザが記録されたプログラムを失うことや、新たな番組の記録の停止といった、望ましくない結果は、ハードドライブ容量の限界に達したときに生じる。
【0384】
DVRとして使用されているシステム8600の実施の形態に、選択肢としての光学式媒体の形態8400および光学ドライブ8520を含めることによって、映像記憶が増して、選択肢としての光学式媒体の形態8400を含むハードドライブの限界を超えることがある。選択肢としての光学式媒体の形態8400が着脱式であるシステム8600の実施の形態では、システム8600の記憶容量は無限であろう。小型オープンリール8440の光記憶媒体は、その容積記録密度が高いので、選択肢としての光学式媒体の形態8400の、可能な実施の形態であろう。
【0385】
図87は、選択肢としての光学式媒体の形態8400をシステムにおいて用いるもう1つの可能な実施の形態を示す。カメラ8700は、選択肢としての光学式媒体の形態8400の小型オープンリール8440の実施の形態を取入れてもよい。光記憶媒体は着脱可能であってもよい。小型オープンリール8440の光記憶媒体は容積記録密度が高いので、ビデオ情報は、圧縮されていないフォーマットで保存してもよい。
【0386】
この実施の形態における、選択肢としての光学式媒体の形態8400上に記録された各情報のフォーマットは、DVDフォーマットおよびHDVDフォーマットを含む組から選択してもよい。
【0387】
カメラ8700で使用される光記憶媒体を、本明細書に開示される他のシステムの実施の形態のいずれかを用いた記録または読取のために、代わりに使用してもよい。DVD媒体の電気的、物理的およびインターフェイス要件を満たす、選択肢としての光学式媒体の形態8400の実施の形態は、標準的なPCまたは家庭用娯楽機器でも使用できる。
【0388】
図面の中のフローチャートおよびブロック図に示されている要素は、これら要素間の論理的な境界を暗に示している。しかしながら、ソフトウェアまたはハードウェア工学技術の実務によると、示されている要素およびその機能は、モノリシックソフトウェア構造の部分として、スタンドアロン型ソフトウェアモジュールとして、または、外部ルーチン、符号、サービスなどを用いるモジュールとして、または、これらの任意の組合せとして、実現し得るものであり、このような実現の例はすべて、本開示の範囲に含まれる。したがって、上記図面および説明は、開示されたシステムの機能的な側面を示しているが、特に明記されない限りまたは状況によって必要とされない限り、上記説明から推測される、これら機能的な側面を実現するためのソフトウェアの特定の構成はないであろう。
【0389】
同様に、上記特定され記載されたさまざまなステップは変更し得ること、および、ステップの順序は本明細書に開示された技術の特定の用途に合わせ得ることが、理解されるであろう。このような変形および改良はすべてこの開示の範囲に含まれることが意図されている。したがって、特定用途によって必要とされない限り、または、明記されない限り、または状況から明らかでない限り、さまざまなステップの順序に関する描写および/または説明は、これらステップの特定の実行順序を要すると理解されるべきではない。
【0390】
上記方法またはプロセスおよびそのステップを、ハードウェア、ソフトウェア、または特定の用途に適したこれらの任意の組合せによって実現してもよい。このハードウェアは、汎用コンピュータおよび/または専用計算装置を含み得る。このプロセスは、内部および/または外部メモリに加えて、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋込型マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサまたはその他プログラマブル装置において実現してもよい。このプロセスはまた、その代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理または任意の他の装置、または電子信号を処理するように構成し得る装置の任意の組合せにおいて実施してもよい。さらに、プロセスのうち1つ以上は、上記装置、プロセッサの異種の組合わせ、プロセッサアーキテクチャ、または異なるハードウェアおよびソフトウェアの組合せのうち1つにおいて実行されるように記憶、コンパイル、または解釈され得る、Cといった構造化プログラミング言語、C++といったオブジェクト指向プログラミング言語、または任意の他の高水準もしくは低水準プログラミング言語(アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、およびデータベースプログラミング言語および技術を含む)を用いて作られた、コンピュータで実行可能な符号として、実現し得ることが、理解されるであろう。
【0391】
このように、ある側面において、上記各方法およびその組合せは、1つ以上の計算装置上で実行されているときにそのステップを実行するコンピュータで実行可能な符号において実施されてもよい。別の側面では、上記方法を、そのステップを実行するシステム内で実施してもよく、さまざまなやり方で複数の装置に分散させてもよく、または、すべての機能を専用のスタンドアロン型装置または他のハードウェアに統合してもよい。別の側面において、上記プロセスに関連付けられたステップを実施するための手段は、上記ハードウェアおよび/またはソフトウェアのいずれかを含んでいてもよい。このような置換および組合せはすべて本開示の範囲に含まれることが意図されている。
【0392】
本発明の実施の形態について、可能な実施の形態いくつかと関連付けて説明してきたが、その他の実施の形態は当業者によって理解されるものであり本明細書の範囲に含まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶システムであって、
欠陥と前記欠陥の両側にある複数のトラックとを有する光学式媒体を備え、前記複数のトラックは、(i)前記欠陥の隣の欠陥位置情報を示す変調されたウォブルのフィールドと、(ii)データを示す変調されたウォブルのフィールドを示し、前記データ記憶システムはさらに、
前記変調されたウォブルのフィールドを読取るように構成された光ピックアップユニットと、
少なくとも1つのコントローラとを備え、前記コントローラは、前記ピックアップユニットとともに動作できるように配置され、かつ、前記ピックアップユニットが前記欠陥の一方側にある欠陥位置情報を検出したことに応じて、前記ピックアップユニットが前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドの隣に位置するように、前記媒体の第1の方向への移動を命令するように構成される、データ記憶システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記ピックアップユニットに対して、前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドに再度焦点を合わせるよう命令するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
再度焦点が合わされた後、前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記欠陥が前記ピックアップユニットに近付くよう、前記媒体の、前記第1の方向と逆の第2の方向への移動を命令するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出するまで、または、前記ピックアップユニットの焦点が外れるまで、前記媒体の前記第2の方向への移動を命令する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出した場合に前記ピックアップユニットの位置を記録するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記第2の方向への移動が命令されている時間を記録するように構成される、請求項3から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記ピックアップユニットの焦点が外れかつ前記ピックアップユニットが再度焦点を合わせることができない場合に前記媒体を欠陥があると識別するように構成される、請求項2から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、予め定められた期間、前記媒体の前記第1の方向への移動を命令するように構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
データ記憶システムのキャリブレーションの方法であって、前記データ記憶システムは、(i)光ピックアップユニットと、(ii)欠陥と前記欠陥の両側にある複数のトラックとを有する光学式媒体とを含み、前記複数のトラックは、前記欠陥の隣の欠陥位置情報を示す変調されたウォブルのフィールドを示し、かつデータを示す変調されたウォブルのフィールドを示し、前記方法は、
前記変調されたウォブルのフィールドを読取るステップと、
前記欠陥の一方側にある欠陥位置情報を検出するステップと、
前記欠陥の一方側にある前記欠陥位置情報を検出したことに応じて、前記ピックアップユニットが、前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドの隣になるように、前記媒体を位置決めするステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記ピックアップユニットに対して、前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドに再度焦点を合わせるよう命令するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記欠陥が前記ピックアップユニットに近付くよう、前記媒体の移動を命令するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出するまで、または、前記ピックアップユニットの焦点が外れるまで、前記媒体の移動が命令される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出した場合に前記ピックアップユニットの位置を記録するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ピックアップユニットの焦点が外れかつ前記ピックアップユニットが再度焦点を合わせることができない場合に前記媒体を欠陥があると識別するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項1】
データ記憶システムであって、
欠陥と前記欠陥の両側にある複数のトラックとを有する光学式媒体を備え、前記複数のトラックは、(i)前記欠陥の隣の欠陥位置情報を示す変調されたウォブルのフィールドと、(ii)データを示す変調されたウォブルのフィールドを示し、前記データ記憶システムはさらに、
前記変調されたウォブルのフィールドを読取るように構成された光ピックアップユニットと、
少なくとも1つのコントローラとを備え、前記コントローラは、前記ピックアップユニットとともに動作できるように配置され、かつ、前記ピックアップユニットが前記欠陥の一方側にある欠陥位置情報を検出したことに応じて、前記ピックアップユニットが前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドの隣に位置するように、前記媒体の第1の方向への移動を命令するように構成される、データ記憶システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記ピックアップユニットに対して、前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドに再度焦点を合わせるよう命令するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
再度焦点が合わされた後、前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記欠陥が前記ピックアップユニットに近付くよう、前記媒体の、前記第1の方向と逆の第2の方向への移動を命令するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出するまで、または、前記ピックアップユニットの焦点が外れるまで、前記媒体の前記第2の方向への移動を命令する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出した場合に前記ピックアップユニットの位置を記録するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記第2の方向への移動が命令されている時間を記録するように構成される、請求項3から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、前記ピックアップユニットの焦点が外れかつ前記ピックアップユニットが再度焦点を合わせることができない場合に前記媒体を欠陥があると識別するように構成される、請求項2から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラはさらに、予め定められた期間、前記媒体の前記第1の方向への移動を命令するように構成される、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
データ記憶システムのキャリブレーションの方法であって、前記データ記憶システムは、(i)光ピックアップユニットと、(ii)欠陥と前記欠陥の両側にある複数のトラックとを有する光学式媒体とを含み、前記複数のトラックは、前記欠陥の隣の欠陥位置情報を示す変調されたウォブルのフィールドを示し、かつデータを示す変調されたウォブルのフィールドを示し、前記方法は、
前記変調されたウォブルのフィールドを読取るステップと、
前記欠陥の一方側にある欠陥位置情報を検出するステップと、
前記欠陥の一方側にある前記欠陥位置情報を検出したことに応じて、前記ピックアップユニットが、前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドの隣になるように、前記媒体を位置決めするステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記ピックアップユニットに対して、前記欠陥の反対側にあるデータを示す前記変調されたウォブルのフィールドに再度焦点を合わせるよう命令するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記欠陥が前記ピックアップユニットに近付くよう、前記媒体の移動を命令するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出するまで、または、前記ピックアップユニットの焦点が外れるまで、前記媒体の移動が命令される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ピックアップユニットが欠陥位置情報を検出した場合に前記ピックアップユニットの位置を記録するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ピックアップユニットの焦点が外れかつ前記ピックアップユニットが再度焦点を合わせることができない場合に前記媒体を欠陥があると識別するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【図16】
【図21】
【図53】
【図54】
【図58A−58B】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図87】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図37B】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図55】
【図56】
【図57】
【図65】
【図66】
【図67】
【図73】
【図74】
【図84】
【図85】
【図86】
【図21】
【図53】
【図54】
【図58A−58B】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図87】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図37B】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図55】
【図56】
【図57】
【図65】
【図66】
【図67】
【図73】
【図74】
【図84】
【図85】
【図86】
【公表番号】特表2013−514600(P2013−514600A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544604(P2012−544604)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059188
【国際公開番号】WO2011/084307
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(597004720)オラクル・アメリカ・インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059188
【国際公開番号】WO2011/084307
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(597004720)オラクル・アメリカ・インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
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