説明

データ転送システム及び転送方法

【課題】ネットワークの帯域幅が確保できない場合であっても、画質を劣化させることなく映像データの転送を行えるようにすること。
【解決手段】ネットワークを介して複数のカメラ1a〜1cから映像受信装置8へ映像データを転送するシステムにおいて、帯域使用率算出部13は、複数のカメラから転送されるデータ量からネットワークの帯域使用率を算出する。算出された帯域使用率が許容レベルを超える場合、カメラの少なくとも1つは、データ転送のタイミングをずらしてデータを転送する。あるいはカメラの少なくとも1つは、転送するデータの順序を入れ替えてデータを転送する。帯域使用率算出部13は、データ受信装置8またはカメラの1つが備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してデータ転送を行うデータ転送システム及び転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやネットワークカメラの普及に伴い、ネットワークを介した映像及び音声データの送信が広く行われている。ネットワークカメラ製品のインタフェース規格は、ONVIF(Open Network Video Interface Forum)により標準化が行なわれている。ONVIFでは、カメラ情報の設定・取得、ストリーミング、セキュリティなどに必要なインタフェースが定義され、ネットワークを介したカメラ制御が可能となっている。ネットワークを介したデータ転送では、ネットワークの状況により使用できる帯域が制限されることがあり、データ転送の遅延などの問題が発生する。そこで、転送するデータを圧縮し、データ量を削減する方法が取られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載される画像データの転送方法は、動画像データをMPEG形式の圧縮データに圧縮符号化して順次バッファに蓄積し、蓄積された圧縮データをネットワークを介して受信装置に送信するものであって、バッファに蓄積される圧縮データの蓄積量が所定量を越えた際にバッファに蓄積される圧縮データをGOP(Group of Picture)単位あるいはピクチャ単位で削除することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−219337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、データ送信に必要な帯域幅が確保できない際のデータ間引き処理について述べられている。しかしながらこの方法によれば、MPEG方式の圧縮データに対しGOP単位での削除を行った場合、受信側では画像のフレーム数が減り、コマ落ちした画像になってしまう。また、ピクチャ単位で削除した場合には、データの復号時に画質の劣化が生じる恐れがある。
【0006】
そこで本発明の目的は、ネットワークの帯域幅が確保できない場合であっても、画質を劣化させることなく映像データの転送を行えるデータ転送システム及び転送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ネットワークを介して複数のデータ転送装置からデータ受信装置へデータを転送するデータ転送システムにおいて、データ受信装置またはデータ転送装置の1つは、複数のデータ転送装置から転送されるデータ量からネットワークの帯域使用率を算出する帯域使用率算出部を備え、帯域使用率算出部により算出された帯域使用率が許容レベルを超える場合、データ転送装置の少なくとも1つは、データ転送のタイミングをずらしてデータを転送する。あるいは帯域使用率が許容レベルを超える場合、データ転送装置の少なくとも1つは、転送するデータの順序を入れ替えてデータを転送する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネットワークの帯域幅が確保できない場合であっても、画質を劣化させることなく映像データの転送を行えるデータ転送システム及び転送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例に係るデータ転送システムを示す構成図。
【図2】比較のためにカメラ制御なしでデータ転送を行う場合を示す図。
【図3】実施例1におけるデータ転送制御を示す図。
【図4】実施例1におけるデータ転送の処理の流れを示すフローチャート。
【図5】実施例2におけるデータ転送制御を示す図。
【図6】実施例2におけるデータ転送の処理の流れを示すフローチャート。
【図7】本発明の第3の実施例に係るデータ転送システムを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施例に係るデータ転送システムを示す構成図である。ここではデータ転送システムの一例として、複数の映像転送カメラ(データ転送装置)からの映像データがネットワークを介して映像受信装置(データ受信装置)へ転送される場合を示す。
【0012】
複数の映像転送カメラ1a,1b,1c(以下、簡単にカメラと呼ぶ)は、撮像部2と、エンコーダ(データ圧縮部)3と、データ制御部4と、メモリ5と、ネットワークI/F6とを備える。また映像受信装置8は、ネットワークI/F9と、デコーダ(データ復号部)10と、出力部11と、カメラ制御部12と、帯域使用率算出部13とを備える。各カメラ1a〜1cからの映像データはハブ(HUB)7に入力し、HUB7からは1本の伝送路で映像受信装置8へ転送される。
【0013】
各部の動作を説明する。各カメラ1a〜1cにおいて、撮像部2で撮像した映像データは、エンコーダ3で圧縮データに変換する。本実施例では、MPEG形式の圧縮データに変換し、圧縮したデータはメモリ5に格納しておく。メモリ5に格納したデータは、ネットワークI/F6を介してネットワーク上へ転送される。その際データ制御部4は、ネットワークI/F6を介して映像受信装置8からのカメラ制御信号を受信し、ネットワーク上へ転送するデータの制御を行う。
【0014】
映像受信装置8では、HUB7から転送された映像データをネットワークI/F9を介して受信し、デコーダ10にて復号化する。復号化された映像データは出力部11から図示しない外部機器(例えばモニタ)へ出力される。帯域使用率算出部13は、各カメラ1a〜1cから当該映像受信装置8へ転送される総データ量を監視し、伝送路の帯域使用率を算出する。具体的には、各カメラから次のタイミングで転送されるデータの総ビットレートを予測し、伝送路の許容ビットレートに対する比を算出する。算出された帯域使用率に応じてカメラ制御部12は、ネットワークI/F9を介し各カメラに対して、次のタイミングで転送すべきデータを指示するためのカメラ制御信号を送信する。このカメラ制御信号により、伝送路の許容範囲内で映像データの転送を行うことができる。
【0015】
次に、本実施例におけるデータ転送制御を具体的に説明する。
図2は、比較のためにカメラ制御なしでデータ転送を行う場合を示す図である。ここでは簡単のために、2台のカメラ1a,1bからのデータ転送を示す。横軸は時刻であり、各カメラから転送するデータの転送タイミングと、転送データ量を模式的に示している。ここに転送するデータは、MPEG符号化により、Iピクチャ(フレーム内符号化画像)、Pピクチャ(フレーム間順方向予測符号化画像)及びBピクチャ(双方向予測符号化画像)の3種類のピクチャから成っている。各ピクチャのデータ量(bps)を比較すると、一般にIピクチャが最も大きく、次いでPピクチャ、Bピクチャという順になっている。そして帯域使用率とは、転送データ量(bps)の転送許容量に対する割合で定義される。
【0016】
この例は、カメラ1a及び1bから、I→B→B→Pピクチャという順で、互いに同じタイミングで各ピクチャを転送する場合である。各カメラからのデータはHUB7にて多重化され、1本の伝送路にて映像受信装置8へ転送される。従って、HUB7と映像受信装置8の間における帯域使用率は、カメラ1a及び1bからIピクチャを転送しているタイミングが最も高くなり、逆に、カメラ1a及び1bからBピクチャを転送しているときが最も低くなる。このように帯域使用率は、各カメラからの転送タイミングにより時刻によって変化する。複数台のカメラから同時にIピクチャが転送されるタイミングでは、転送データ量の総量が転送許容量を超える(帯域使用率が100%を超える)場合があり、各映像データを正常に転送することができず、映像受信側での再生動作が破綻したり表示映像の画質劣化が生じる恐れがある。
【0017】
図3は、本実施例におけるデータ転送制御を示す図である。本実施例では、帯域使用率に基づき各カメラにカメラ制御信号を送り、各カメラからのデータ転送タイミングをずらすよう制御する。図2と同様に2台のカメラ1a,1bから、I→B→B→Pピクチャという順で各ピクチャを転送する場合である。ただし、カメラ制御信号により両者のカメラ1a,1bからの転送タイミングをずらすことで、転送するデータ量の総量が転送許容量を超えないように制御している。この例では、カメラ1aがデータ量の大きいIピクチャを転送しているタイミングでは、カメラ1bからのIピクチャの転送を遅らせる。そして、カメラ1aからデータ量の小さいBピクチャを転送する次のタイミングで、カメラ1bからのIピクチャの転送を開始する。これによれば、複数台のカメラから同時にIピクチャが転送されることがないので帯域使用率は常に100%以下となり、各映像データを正常に転送することができる。
【0018】
図4は、本実施例におけるデータ転送の処理の流れを示すフローチャートである。
各カメラ1a〜1cは、転送すべき映像データをメモリ5に一旦格納する(SP11)。映像受信装置8の帯域使用率算出部13は、各カメラから次に転送されるデータのデータ量を予測し、ネットワークの帯域使用率を算出する(SP12)。具体的には、各カメラから次のタイミングで転送されるピクチャの種類(I,P,B)を予測し、その組合せからデータ量の総量を算出する。カメラ制御部12は、算出された帯域使用率が許容レベル(100%)を超えているかどうか判定する(SP13)。
【0019】
SP13の判定で帯域使用率が許容レベルを超えている場合は、カメラ制御部12は、データ量の大きいIピクチャを転送しようとするカメラに対して、データ転送のタイミングを遅らせるようカメラ制御信号を送信する(SP14)。この場合、各カメラに対してデータ転送の優先順序を設定するなどして、転送タイミングを遅らせるカメラを予め定めておく。あるいは、転送タイミングを遅らせるカメラを複数のカメラ間で巡回させて決定しても良い。このカメラ制御信号を受けたカメラは、データ制御部4の制御によりデータの転送を次のタイミングまで待機する。
【0020】
また、SP13の判定で帯域使用率が許容レベルを超えていなければ、各カメラに対して、次のデータの転送を行うようカメラ制御信号を送信する(SP15)。これにより、転送タイミングを遅らせたカメラは、次のタイミングで待機していたデータの転送を行うことができる。そして未転送のデータがあるかどうか判定し(SP16)、残りのデータがあればSP12に戻りSP12〜SP16を繰り返す。
【0021】
上記SP11においてメモリ5に格納するデータ量はいかなる量であっても良い。例えば、GOP単位でデータをメモリに格納しても良い。この場合、1GOPの転送が完了した時点で次の1GOPをメモリに格納し、再びSP12から処理を実行する。これを繰り返すことで、順次映像を転送することが可能になる。また、メモリ5に格納可能なデータ量であれば、任意のデータ量を一度にメモリ5に格納してデータ転送を行っても良い。なお、メモリへのデータ格納は随時行うのが好ましい。これは、メモリ5に格納したデータの転送完了を待ってから次の転送データをメモリ5に格納する場合には、データ転送において転送中断期間が発生するからである。
【0022】
本実施例の制御方法は、映像データの転送開始時、及び転送継続中のいずれにおいても可能であることは言うまでもない。また、上記の説明では転送するデータの種類をI,P,Bピクチャに区分して説明したが、これに限らず、データ量(bps)の大小により適宜複数の種類に区分することで、同様に制御することができる。また上記例では、帯域使用率が許容レベルを超える場合、データ量が最大であるIピクチャの転送を遅らせるようにしたが、許容レベルに対する帯域使用率の超過量が少なければ、IピクチャではなくPピクチャやBピクチャの転送を遅らせても良い。その際のピクチャ選択は、映像受信装置8内のカメラ制御部12が、帯域使用率に応じて適宜決定すれば良い。これにより、ネットワークの伝送能力をより効率的に(100%に近い帯域使用率で)使用することができる。
【0023】
このように本実施例によれば、複数のカメラからの映像転送において、各カメラのデータ転送タイミングをずらすように制御することで、ネットワークの許容帯域内で映像データの欠落や劣化を伴うことなくデータ転送を行うことができる。これにより映像受信側では、画質劣化のない映像を再生表示することができる。
【実施例2】
【0024】
実施例1では、各カメラの映像転送タイミングをずらすことで、ネットワークの許容帯域内で映像データを転送する方法について述べた。これに対し実施例2では、各カメラの転送データにおいて、ピクチャ単位で転送順序を入れ替えることによりネットワークの許容帯域内で映像データを転送する方法を述べる。本実施例に係るデータ転送システムは、前記実施例1(図1)と同じ構成であり説明を省略する。
【0025】
図5は、本実施例におけるデータ転送制御を示す図である。本実施例では、帯域使用率に基づき各カメラにカメラ制御信号を送り、各カメラからのデータ転送順序を制御するようにした。実施例1と同様に、2台のカメラ1a,1bからMPEG映像としてIピクチャ、Bピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャを転送する場合のデータ転送順序を示している。カメラ1aは、I→B→B→Pピクチャという順で各ピクチャを転送している。一方カメラ1bは、B→I→B→Pピクチャという順で各ピクチャを転送している。本来、カメラ1bはカメラ1aと同様に、I→B→B→Pピクチャという順で各ピクチャを転送するところを、1枚目(I)と2枚目(B)の転送ピクチャを入れ替えて転送した例である。このように転送ピクチャを入れ替えることで、カメラ1a,1bから転送される1枚目の転送ピクチャにおいてデータ量の大きいIピクチャが重なることを回避する。そして、1枚目の転送ピクチャではデータ量の大きいIピクチャとデータ量の小さいBピクチャとの組合せとし、これらを同じタイミングで転送する。これにより、各転送タイミングにおいて転送する総データ量が許容量を超えることをなくすことができる。
【0026】
本実施例の転送制御ではピクチャ単位で順序を入れ替えて転送を行うので、そのままだと受信側で正常に復号化できない。これは、Bピクチャは前後のピクチャを参照し、Pピクチャは前のピクチャを参照することで映像を生成するからであり、参照するピクチャが他のピクチャに入れ替わると、Bピクチャ、Pピクチャでは正しい映像を生成することができない。そこで、元々のピクチャ順が分かるように、各ピクチャのヘッダに入れ替え前のピクチャ順を示す番号を記述して転送を行う。映像受信側では、この番号を参照することにより本来のピクチャ順を知ることができ、正しいピクチャを参照して映像を生成することができる。なお、ピクチャ順についてはGOP単位で管理しても良い。その場合には、GOPのシーケンスヘッダにピクチャ順を記述しておけば良い。
【0027】
図6は、本実施例におけるデータ転送の処理の流れを示すフローチャートである。
各カメラ1a〜1cは、転送データをメモリ5に格納する(SP21)。映像受信装置8の帯域使用率算出部13は、各カメラから転送される次のデータのデータ量を予測し、ネットワークの帯域使用率を算出する(SP22)。カメラ制御部12は、算出された帯域使用率が許容レベル(100%)を超えているかどうか判定する(SP23)。
【0028】
SP23の判定で帯域使用率が許容レベルを超えている場合は、カメラ制御部12は、データ量の大きいIピクチャを転送しようとするカメラに対して、データ量の小さいBピクチャのデータと入れ替えて転送させるようカメラ制御信号を送信する(SP24)。この場合も、各カメラに対してデータ転送の優先順序を設定するなどして、データの入れ替えを行うカメラを予め定めておく。あるいは、データの入れ替えを行うカメラを複数のカメラ間で巡回させて決定しても良い。このカメラ制御信号を受けたカメラは、データ制御部4の制御によりデータの転送順序を入れ替えてデータ量の小さいデータ(Bピクチャ)の転送を行う。このときBピクチャと入れ替わったIピクチャは、Bピクチャの本来の転送タイミングで転送するように順序付けられる。
【0029】
また、SP23の判定で帯域使用率が許容レベルを超えていなければ、各カメラに対して、そのままデータの転送を行うようカメラ制御信号を送信する(SP25)。これにより、データの入れ替えを行ったカメラは、入れ替わったデータの転送を行うことができる。そして未転送のデータがあるかどうか判定し(SP26)、残りのデータがあればSP22に戻りSP22〜SP26を繰り返す。
【0030】
本実施例においても、転送するデータの種類はI,P,Bピクチャの区分に限らず、データ量(bps)の大小により適宜複数の種類に区分することで、同様に制御することができる。また、上記例では帯域使用率が許容レベルを超える場合には、データ量が最大であるIピクチャを最小であるBピクチャと入れ替えるようにしたが、許容レベルに対する超過量が少なければ、BピクチャではなくPピクチャと入れ替えても良い。その際のピクチャ選択は、映像受信装置8内のカメラ制御部12が、帯域使用率に応じて適宜決定すれば良い。これにより、ネットワークの伝送能力をより効率的に(100%に近い帯域使用率で)使用することができる。
【0031】
このように本実施例によれば、複数のカメラのデータ転送において、ピクチャ単位で転送順序を入れ替えることで、ネットワークの許容帯域内で映像データの欠落や劣化を伴うことなくデータ転送を行うことができる。これにより、映像受信側では、画質劣化のない映像を再生表示することができる。特に本実施例では、各カメラからの転送データが中断することがないので、より効率的にデータを転送することができる。
【実施例3】
【0032】
図7は、本発明の第3の実施例に係るデータ転送システムを示す構成図である。本実施例では、カメラ側で帯域使用率を監視して、各カメラからのデータ転送を制御する構成としている。
【0033】
実施例1(図1)の構成と比較し、複数の映像転送カメラ1a,1b,1cのうちカメラ1aは帯域使用率算出部14を備えており、映像受信装置8では帯域使用率算出部を備えていない構成である。帯域使用率算出部14を備えるカメラ1aを「親カメラ」、備えていない他のカメラ1b,1cを「子カメラ」と呼ぶことにする。各カメラ1a,1b,1c間ではネットワークを介して互いに通信を行い、各カメラから転送されるデータの情報を共有している。特に親カメラ1aでは、帯域使用率算出部14により、子カメラ1b,1cから次のタイミングで転送されるデータを含めて全カメラからの総データ量を監視し、帯域使用率を算出する。そして、算出された帯域使用率に応じてネットワークI/F6を介し子カメラ1b,1cに対して、次のタイミングに転送すべきデータを指示するためのカメラ制御信号を送信する。場合によっては、親カメラ1a自身に対する指示も行う。各カメラ1a,1b,1cではカメラ制御信号を受信すると、データ制御部4によりネットワーク上へ転送するデータの制御を行う。
【0034】
本実施例で行うデータ転送制御は、実施例1で述べたような各カメラからの転送タイミングの制御と、実施例2で述べたような各カメラからのデータの転送順序の制御のいずれも可能である。本実施例によっても、ネットワークの許容帯域内で映像データの欠落や劣化を伴うことなくデータ転送を行うことができる。これにより、映像受信側では、画質劣化のない映像を再生表示することができる。
【0035】
以上説明した各実施例のデータ転送システムは、例えば監視システムに適用することが可能である。その場合、映像転送カメラ1a,1b,1cには監視カメラを、映像受信装置8には監視レコーダを用いて、これらをネットワークに接続して監視カメラの制御を行う。転送データの制御を行う場合、監視レコーダと監視カメラは同じメーカから提供されるのが望ましい。これは、監視レコーダと監視カメラの通信においてインタフェースの規格を合わせる必要があるためである。これに対し、監視レコーダ及び監視カメラがONVIFに対応した機器であれば、インタフェースの規格が同じであるため、異なるメーカ同士の組み合わせであっても本実施例を適用することが可能になる。
【0036】
本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b,1c…映像転送カメラ(データ転送装置)、
2…撮像部、
3…エンコーダ、
4…データ制御部、
5…メモリ、
6…ネットワークI/F、
7…ハブ(HUB)、
8…映像受信装置(データ受信装置)、
9…ネットワークI/F、
10…デコーダ、
11…出力部、
12…カメラ制御部、
13,14…帯域使用率算出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数のデータ転送装置からデータ受信装置へデータを転送するデータ転送システムにおいて、
前記データ受信装置または前記データ転送装置の1つは、前記複数のデータ転送装置から転送されるデータ量から前記ネットワークの帯域使用率を算出する帯域使用率算出部を備え、
該帯域使用率算出部により算出された帯域使用率が許容レベルを超える場合、前記データ転送装置の少なくとも1つは、データ転送のタイミングをずらしてデータを転送することを特徴とするデータ転送システム。
【請求項2】
ネットワークを介して複数のデータ転送装置からデータ受信装置へデータを転送するデータ転送システムにおいて、
前記データ受信装置または前記データ転送装置の1つは、前記複数のデータ転送装置から転送されるデータ量から前記ネットワークの帯域使用率を算出する帯域使用率算出部を備え、
該帯域使用率算出部により算出された帯域使用率が許容レベルを超える場合、前記データ転送装置の少なくとも1つは、転送するデータの順序を入れ替えてデータを転送することを特徴とするデータ転送システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載したデータ転送システムにおいて、
前記データ転送装置は、映像データをMPEG圧縮してピクチャ単位で転送するものであって、
前記帯域使用率算出部は、前記複数のデータ転送装置から次のタイミングで転送されるピクチャの種類を予測し、各ピクチャのデータ量から前記帯域使用率を算出することを特徴とするデータ転送システム。
【請求項4】
請求項3に記載したデータ転送システムにおいて、
前記帯域使用率が許容レベルを超える場合には、前記データ転送装置の少なくとも1つは、データ量の大きいIピクチャの転送タイミングを遅らせる、またはデータ量の大きいIピクチャをデータ量の小さいBピクチャと入れ替えて転送することを特徴とするデータ転送システム。
【請求項5】
ネットワークを介して複数のデータ転送装置からデータ受信装置へデータを転送するデータ転送方法において、
前記複数のデータ転送装置から転送されるデータ量から前記ネットワークの帯域使用率を算出するステップと、
該算出した帯域使用率が許容レベルを超える場合、前記データ転送装置の少なくとも1つはデータ転送のタイミングをずらしてデータを転送するステップと、
を備えることを特徴とするデータ転送方法。
【請求項6】
ネットワークを介して複数のデータ転送装置からデータ受信装置へデータを転送するデータ転送方法において、
前記複数のデータ転送装置から転送されるデータ量から前記ネットワークの帯域使用率を算出するステップと、
該算出した帯域使用率が許容レベルを超える場合、前記データ転送装置の少なくとも1つは転送するデータの順序を入れ替えてデータを転送するステップと、
を備えることを特徴とするデータ転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−147107(P2012−147107A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2158(P2011−2158)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】