説明

データ送受信装置及び使用量告知方法

【課題】大量のデータを短時間で転送可能としながら、小型化を図り得るデータ送受信装置を提供する。
【解決手段】非接触でデータの送受信を行うRF部3と、書き込み動作及び読み出し動作を並行して非同期で処理可能とするメモリ10と、検出手段から検出データを取り込んで時系列データを生成し、該時系列データをメモリ10に書き込むメーター部2と、RF部3は、データ要求信号の受信に基づいて、メモリ10に書き込まれた時系列データを読み出して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFID(Radio Frequency Identification)システムを使用したデータ送受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭に対するガス、水道、電力の課金システムは、各家庭にあらかじめ設置されたガスメーター、水道メーター、電力メーター等の積算データを検針員が読み取り、その積算データに基づいて例えば毎月の使用量が算出される。そして、算出された使用量に基づいて課金される。
【0003】
このような課金システムでは、検針員が各メーターからRFIDシステムを使用した検針用携帯端末に積算データを読み出し、読み出された積算データに基づいて使用量が算出される。
【0004】
特許文献1,2には、上記のような各メーターから積算データを読み出すためにRFIDシステムを使用したデータ送受信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−184585
【特許文献2】特開2001−84474
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載されたデータ送受信装置では、RFIDシステムを使用して、メーターからのデータの読み込みと、記憶手段に対するデータの読み出し動作及び書き込み動作を独立して行うために、二つのコイルと二つのICタグ(RF部)を設ける必要がある。また、二つのコイルを介して通信するために異なる周波数の2種類の搬送波を必要とする。
【0007】
従って、データ送受信装置の部品点数が増大して装置の大型化を招き、製造コストも上昇するという問題点がある。
一方、データ送受信装置に記憶部を備え、メーターから読み出したデータを記憶部に格納し、その記憶部から検針用携帯端末にデータを読み出すように構成されている。また、検針用携帯端末から記憶部にメーターの管理情報を書き込み可能である。
【0008】
しかし、記憶部へのデータの書き込み処理と記憶部からのデータの読み出し処理を並行して行うことはできないため、メーターから検針用携帯端末に大量のデータを読み出すには多大な時間を要する。従って、現状では検針時の積算データと前回検針時の積算データ程度の少量のデータを読み出すことしかできていない。
【0009】
この発明の目的は、大量のデータを短時間で転送可能としながら、小型化を図り得るデータ送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1では、非接触でデータの送受信を行うRF部と、書き込み動作及び読み出し動作を並行して非同期で処理可能とするメモリと、検出手段から検出データを取り込んで時系列データを生成し、該時系列データを前記メモリに書き込むメーター部と、前記RF部は、データ要求信号の受信に基づいて、前記メモリに書き込まれた時系列データを読み出して送信することとを備えた。
【0011】
請求項2では、前記メーター部は、前記検出データの積算値と、前記検出データの瞬時値の時系列データとを算出して、前記メモリに格納する。
請求項3では、前記RF部と非接触でデータの送受信を行う携帯端末を備え、前記携帯端末には前記時系列データを格納する制御部を備えた。
【0012】
請求項4では、前記メーター部は、流量センサーの検出信号と、カウンターの出力信号とに基づいて前記時系列データを生成するCPUを備えた。
請求項5では、前記メーター部は、課金信号と、カウンターの出力信号とに基づいて前記時系列データを生成するCPUを備えた。
【0013】
請求項6では、水道水使用量又はガス使用量の時系列データを生成して、書き込み動作及び読み出し動作を並行して非同期で処理可能とするメモリに格納し、前記時系列データを前記メモリから検針用携帯端末に読み出して格納し、前記検針用携帯端末に格納した時系列データをサーバーに格納してWEBを介して閲覧可能とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大量のデータを短時間で転送可能としながら、小型化を図り得るデータ送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一の実施形態のデータ送受信装置を示すブロック図である。
【図2】積算データの時系列データを示す説明図である。
【図3】流量瞬時値の時系列データを示す説明図である。
【図4】流量のサンプリング処理を示す説明図である。
【図5】WEB空間を経て時系列データを確認するシステム示す概要図である。
【図6】第二の実施形態のデータ送受信装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1に示すデータ送受信装置1は、水道水の使用量を検出して検針者の検針用携帯端末に出力する機能を備えたものであり、水道水の使用量を検出するメーター部2にRF部3が接続されている。メーター部2及びRF部3には電源部4から所定の直流電圧が電源として供給され、RF部3には入出力コイル5が接続されている。
【0017】
メーター部2に配設される流量センサー(検出手段)6は、水道水の流量を常時検出し、その検出データをデジタル値に変換して第一のCPU7に出力する。
前記第一のCPU7には表示部8が接続され、使用した水道水の積算値あるいは使用量の瞬時値等を表示可能となっている。表示部8の表示内容は、第一のCPU7の設定により任意に変更可能である。
【0018】
前記第一のCPU7にはカウンター9が接続されている。そして、第一のCPU7は流量センサー6から出力される検出値に基づいて使用量の積算値を算出し、図2に示すように、その積算値を前記カウンター9から出力されるカウント信号に基づいて一定時間毎の時系列データD1として算出する機能を備える。また、図3に示すように、第一のCPU7は使用量の瞬時値を時系列データD2として算出する機能を備えている。
【0019】
前記時系列データD2は、図4に示すように、水道水の流量値Fを一定のサンプリング周波数でサンプリングし、そのサンプリングデータSDxをデジタル値に変換したものである。
【0020】
前記第一のCPU7は、前記RF部3のデュアルアクセス非同期不揮発性メモリ10(以下メモリとする)に接続され、そのメモリ10にはRF部3に搭載された第二のCPU11が接続されている。
【0021】
前記メモリ10は、第一及び第二のCPU7,11からそれぞれ独立して書き込み及び読み出し処理が可能である。そして、第一のCPU7から前記時系列データD1,D2が順次書き込まれる。
【0022】
前記第二のCPU11には前記入出力コイル5が接続されている。そして、第二のCPU11はメモリ10に格納されているデータを一定周波数の搬送波に載せて入出力コイル5から出力可能となっている。また、入出力コイル5で受信したデータをメモリ10に格納可能となっている。
【0023】
前記データ送受信装置1との間で信号の送受信を行う検針用携帯端末12は、制御部(RF部)13に入出力コイル14と操作部15が接続されている。そして、制御部13は操作部15の操作に基づく信号を入出力コイル14から前記一定周波数の搬送波に載せて出力可能となっている。また、前記データ送受信装置1の入出力コイル5から出力された種々のデータを入出力コイル14で受信し、その受信データを前記制御部13内のメモリに格納可能となっている。
【0024】
次に、上記のように構成されたデータ送受信装置1及び検針用携帯端末12の作用を説明する。
流量センサー6は、常時水道水の流量を検出し、その流量値Fを第一のCPU7に出力する。第一のCPU7では、流量センサー6から出力される流量値Fに基づいて使用水量の積算値を一定時間毎に算出し、その積算値を時系列データD1としてメモリ10に格納する。
【0025】
また、第一のCPU7は水道水の流量値Fを一定のサンプリング周波数でサンプリングし、そのサンプリングデータSDxをデジタル値に変換することにより使用水量の一定時間毎の瞬時値を示す時系列データD2として算出し、その時系列データD2をメモリ10に格納する。
【0026】
検針員による検針時には、検針用携帯端末12をデータ送受信装置1に近づけて操作部15を操作すると、操作信号が搬送波に載せられて入出力コイル14から出力される。そして、データ送受信装置1では入出力コイル5を介して受信した操作信号が第一のCPU7に入力され、第一のCPU7は受信した操作信号に基づいて動作する。
【0027】
検針用携帯端末12からデータ送受信装置1にデータを読み出すための操作信号が出力されると、データ送受信装置1の第二のCPU11は、メモリ10から前記時系列データD1,D2を読み出して、入出力コイル5から出力する。
【0028】
すると、検針用携帯端末12の制御部13は、入出力コイル14を介して受信したデータを内蔵するメモリに格納する。
また、検針用携帯端末12からデータ送受信装置1を管理するための種々の管理データが出力されると、データ送受信装置1の第二のCPU11はその管理データをメモリ10に格納する。管理データは、前記サンプリング周波数や時刻の設定等を含む。
【0029】
検針用携帯端末12とデータ送受信装置1との通信終了後に、検針員は検針用携帯端末12に取り込んだデータを水道局のサーバー16にアップロード可能である。すると、図5に示すように、水道の利用者は、例えばパソコン17にあらかじめ設定されたIDコードを入力することにより、WEB18を介してサーバー16にアクセスして、自分の水道使用量の時系列データD1,D2を閲覧することが可能となる。
【0030】
上記のようなデータ送受信装置1では、次に示す効果を得ることができる。
(1)データ送受信装置1と検針用携帯端末12は、1つずつの入出力コイル5,14及び一つずつのRF部3及び制御部13を介して無接触で通信することができる。また、1種類の周波数の搬送波を使用して通信することができる。従って、部品点数を削減して小型化を図り得るとともに、コストを低減することができる。
(2)データ送受信装置1のRF部3にデュアルアクセス非同期不揮発性メモリ10を使用したので、第一のCPU7からの書き込み及び読み出し動作と、第二のCPU11からの書き込み動作及び読み出し動作を並行して行うことができる。従って、メモリ10に大量の時系列データD1,D2を容易に格納することができる。
(3)データ送受信装置1のRF部3にデュアルアクセス非同期不揮発性メモリ10を使用したので、検針用携帯端末12へのデータ読み出し動作を高速に行うことができる。従って、メモリ10に格納されている大量の時系列データD1,D2を検針用携帯端末12に高速に転送することができる。
(4)水道の利用者が時系列データD1,D2をネット上で閲覧可能とすることにより、利用者は水道水の使用量を時系列で確認することができる。従って、利用者側で水道水使用量の時間毎の変化を管理して、節水に役立てることができる。
(5)データ送受信装置1のメーター部2が故障しても、故障以前にメモリ10に格納された時系列データD1,D2を検針用携帯端末12に支障なく読み出すことができる。また、時系列データD1,D2が途絶えた時間を確認することにより、メーター部2が動作不能となった時間を特定することができる。
(第二の実施形態)
図6は、第二の実施形態を示す。この実施形態は、前記第一の実施形態のデータ送受信装置をゲームセンターの種々のゲーム機器に使用する場合の一例を示す。第一の実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
データ送受信装置21のメーター部22は、第一のCPU7と、表示部8と、カウンター9とを備える。また、第一のCPU7にはゲーム機の接点信号Txあるいは電圧信号Vxが入力される。
【0032】
前記接点信号Txは、例えばコインの投入に基づいてゲームを開始するコインゲーム機で、コインの投入を検出する検出装置の接点から出力される課金信号である。また、電圧信号Vxは種々のゲーム機において課金処理時に発生する電圧信号や、景品の払い出し時に発生する電圧信号等である。
【0033】
前記接点信号Txあるいは電圧信号Vxは、第一のCPU7により時系列データとしてデュアルアクセス非同期不揮発性メモリ10に格納される。この時系列データは、例えばコインゲーム機では投入されたコインの積算値や、所定の時間毎の投入枚数等である。その他の構成は第一の実施形態と同様である。
【0034】
そして、メモリ10に格納された時系列データは、第一の実施形態と同様に、携帯端末12に読み出し可能である。
上記のようなデータ送受信装置21では、第一の実施形態で得られた効果(1)〜(3)及び(5)に加えて、次に示す効果を得ることができる。
(1)データ送受信装置21と携帯端末12とが無接触で通信可能であるので、データ送受信装置21を例えばカプセル自動販売機等の外部に後付で設置し、防水のために密封した場合にも、携帯端末12と容易に通信可能である。従って、後付で設置することも容易である。
【0035】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・携帯端末は、PDA等の種々の汎用端末を使用してもよい。
・第一の実施形態のデータ送受信装置をガスメーター、電力メーターに応用することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1…データ送受信装置、2…メーター部、3…RF部、7…CPU、9…カウンター、10…メモリ、12…携帯端末、13…制御部、16…サーバー、18…WEB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触でデータの送受信を行うRF部と、
書き込み動作及び読み出し動作を並行して非同期で処理可能とするメモリと、
検出手段から検出データを取り込んで時系列データを生成し、該時系列データを前記メモリに書き込むメーター部と、
前記RF部は、データ要求信号の受信に基づいて、前記メモリに書き込まれた時系列データを読み出して送信することと
を備えたことを特徴とするデータ送受信装置。
【請求項2】
前記メーター部は、前記検出データの積算値と、前記検出データの瞬時値の時系列データとを算出して、前記メモリに格納することを特徴とする請求項1記載のデータ送受信装置。
【請求項3】
前記RF部と非接触でデータの送受信を行う携帯端末を備え、前記携帯端末には前記時系列データを格納する制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のデータ送受信装置。
【請求項4】
前記メーター部は、
流量センサーの検出信号と、カウンターの出力信号とに基づいて前記時系列データを生成するCPUを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送受信装置。
【請求項5】
前記メーター部は、
課金信号と、カウンターの出力信号とに基づいて前記時系列データを生成するCPUを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送受信装置。
【請求項6】
水道水使用量又はガス使用量の時系列データを生成して、書き込み動作及び読み出し動作を並行して非同期で処理可能とするメモリに格納し、前記時系列データを前記メモリから検針用携帯端末に読み出して格納し、前記検針用携帯端末に格納した時系列データをサーバーに格納してWEBを介して閲覧可能としたことを特徴とする使用量告知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−127679(P2012−127679A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276906(P2010−276906)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(508207790)有限会社 和晃 (9)
【Fターム(参考)】