データ通信装置
【課題】撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、より高速なデータ通信を可能とする。
【解決手段】 撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、入射光を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部、及び、基準周波数に基づいて、前記光電変換素子により変換された電荷を前記複数の電荷蓄積部に振り分ける手段を備えた撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像から、基準周波数の光を照射するデータ送信光源を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する位相算出手段と、前記位相算出手段によって算出された位相に基づいて、送信情報を復号する復号手段と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】 撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、入射光を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部、及び、基準周波数に基づいて、前記光電変換素子により変換された電荷を前記複数の電荷蓄積部に振り分ける手段を備えた撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像から、基準周波数の光を照射するデータ送信光源を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する位相算出手段と、前記位相算出手段によって算出された位相に基づいて、送信情報を復号する復号手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信装置に係り、特に撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD等の撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のデータ通信装置は、点滅光を発するようにオンオフ制御される光源を撮影する撮像素子等を備えており、図14に示すように、該撮像素子が撮影した時系列的に連続する画像30´1、30´2、……、30´nから、光源のオンオフ制御に伴って変化する輝度値によって表される二値情報を抽出することで、データ通信を行うようになっている。
【特許文献1】特開2004−32682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のデータ通信装置においては、一つの画像を取得する時間(1フレーム)ごとに、オン又はオフ状態の光源を撮影し、時系列的に連続するフレームとの差分に基づいて二値情報を抽出するようになっている。このため、光源を、例えば60フレーム/秒で撮影すると、最大でも60ビット/秒のデータしか送受することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、より高速なデータ通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、入射光を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部、及び、基準周波数に基づいて、前記光電変換素子により変換された電荷を前記複数の電荷蓄積部に振り分ける手段を備えた撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像から、基準周波数の光を照射するデータ送信光源を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する位相算出手段と、前記位相算出手段によって算出された位相に基づいて、送信情報を復号する復号手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、撮像素子によって、基準周波数の光(例えば、予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光。すなわち、送信情報が埋め込まれた光)を照射するデータ送信光源を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源を抽出し、該抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出し、該算出された位相に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項1に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(例えば、変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷の差分を演算し、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素を判定する判定手段をさらに備え、前記抽出手段は、前記撮像素子が撮像した画像から、前記判定手段によって判定された画素をデータ通信光源として抽出することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、光電変換素子ごとに該光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷の差分を演算し、撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素(すなわち、データ送信光源に対応する画素)を判定することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記位相算出手段は、前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記判定手段は、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素のうちの、前記算出手段によって算出された位相が閾値以下でかつ互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源と判定することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数の画素をそれぞれ一つのデータ送信光源と誤って抽出することを防止することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成する画像生成手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成することが可能となる。この画像を用いることにより、背景光の影響を受けることなく、データ送信光源からの送信情報の復号を行うことが可能となる。また、複数のデータ送信光源と同時にデータ通信を行うことが可能となる。また、データ送信光源の数、位置、大きさ、距離、回転、動き、位相等を把握することが可能となる。さらに、これら処理のための負荷が減り、高速化、回路規模を縮小することも可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記データ送信光源は、予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、撮像素子によって、データ送信光源(予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射するデータ送信光源)を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源を抽出し、該抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出し、該算出された位相に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項6に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記データ送信光源は、第1データ送信光源及び第2データ送信光源を含み、前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、前記第2データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、及び、これらの位相間の位相差を算出し、前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、撮像素子によって、データ送信光源(第1データ送信光源及び第2データ送信光源)を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源(第1データ送信光源及び第2データ送信光源)を抽出し、該抽出されたデータ送信光源(第1データ送信光源及び第2データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相及びこれらの位相の位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項7に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記データ送信光源は、予め定められた位置関係で配置された第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源を含み、前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、前記第2データ送信光源及び第3データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第3データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記位相間の位相差が閾値以下の二つのデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相と、該二つのデータ送信光源に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相間の位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、撮像素子によって、データ送信光源(第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源)を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源(第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源)を抽出し、位相差が閾値以下の二つのデータ送信光源(例えば第2データ送信光源及び第3データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相と、前記二つのデータ送信光源に対して所定の位置関係にあるデータ送信光源(例えば第1データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項8に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。しかも、請求項8に記載の発明によれば、前記二つのデータ送信光源に対して所定の位置関係にあるデータ送信光源(例えば第1データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、誤ったデータ送信光源との位相差を算出すること(すなわち、復号誤り)を防止又は低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、より高速なデータ通信が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態であるデータ通信装置について図面を参照しながら説明する。
〔データ通信装置の構成〕
まず、本実施形態のデータ通信装置の構成について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態のデータ通信装置のブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のデータ通信装置1は、光飛行時間型距離画像センサ10(以下、距離画像センサ10という)を備えている。距離画像センサ10は、光源11、撮像素子15、制御部16、距離画像生成部17等を備えている。
【0026】
光源11は、対象空間に基準周波数fsの光(例えば、正弦波もしくは矩形波等で高速に変調させた赤外光もしくは可視光)を照射する光源であり、LED等の高速変調が可能なデバイスが用いられる。
【0027】
撮像素子15は、光源11から照射され対象空間内の対象物で反射した反射光を含む入射光14を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子(画素又はピクセルともいう)、この光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部(本実施形態では四つの電荷蓄積部C1、C2、C3、C4を例示。以下、C1、C2、C3、C4は、数式において用いた場合、該電荷蓄積部C1、C2、C3、C4に蓄積された電荷量を表す)、及び、光源11の変調に同期して、光電変換素子により変換された電荷を複数の電荷蓄積部に振り分ける手段等を備えている(いずれも図示せず)。
【0028】
制御部16は、光源11と撮像素子15を同期制御する。撮像素子15は、基準周波数fsに基づいて電荷振り分けを行う。具体的には、撮像素子15は、図2に示すように、制御部16から供給されるゲート制御信号DG1、DG2、DG3、DG4に従って、基準周波数fsに同期した時間T1、T2、T3、T4ごとに、ゲートを開閉し、光電変換素子により変換された電荷を、電荷蓄積部C1、C2、C3、C4それぞれに振り分ける。撮像素子15は、時間T1〜T4のサイクルを数千〜数十万回繰り返すことで、一枚の画像を取得する。この一枚の画像を取得する時間のことを、1フレームという。なお、電荷蓄積部は、四つに限定されない。二つ以上の電荷蓄積部であれば、同様に適用することが可能である。
【0029】
距離画像生成部17は、上記のように振り分けられた電荷(電荷蓄積部C1、C2、C3、C4に蓄積された電荷)に基づいて所定演算を行い、画素値が距離値である距離画像を生成する。
〔距離画像を生成する原理〕
次に、距離画像を生成する原理について説明する。
【0030】
図3は、距離画像を生成する原理を説明するための図である。図3中、正弦波21は光源11から照射された基準周波数fsの光を表しており、正弦波22は撮像素子15への入射光を表している。正弦波21と正弦波22との位相差φは、光源11から照射された基準周波数fsの光の対象物までの飛行時間によって生じる遅延を表している。
【0031】
図3では、光源11からの照射光の一周期を四つの期間に分けて四つの電荷蓄積部C1、C2、C3、C4に電荷を振り分けている。それぞれの期間をT1、T2、T3、T4とし、それぞれの期間に蓄積する電荷量をC1、C2、C3、C4とすると、位相差φは、次の式で表される。
【0032】
【数1】
光の速度は既知であるから、この位相差φを求めることで対象物までの距離が求まり、画素値が距離値である距離画像を生成することが可能となる。
【0033】
なお、一般的な画像データとして用いる電荷量平均Aは、次の式で表される。
【0034】
【数2】
また、対象物で反射した変調光成分の振幅量Bは、次の式で表される。
【0035】
【数3】
一般的に発光源の変調周波数は数十MHzであり、よって変調の1周期は数十ns程度である。そのため、距離画像を得るためには数百〜数十万周期の電荷蓄積時間を要する。
〔データ通信装置1の動作例1〕
次に、上記構成のデータ通信装置1の動作例1について図面を参照しながら説明する。
【0036】
図4は、データ通信装置1の動作例1を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、主に、制御部16又はこれとは別に設けられた制御部(図示せず)が行う。
【0037】
まず、データ通信装置1は、撮像素子15で周囲環境を撮像する処理を行う(ステップS1)。具体的には、次の処理を行う。
【0038】
光源11は、制御部16の制御に従って、対象空間に基準周波数fsの光を照射する。撮像素子15は、光源11から照射され対象空間内の対象物で反射した反射光を含む入射光を受光し、複数の光電変換素子により電荷に変換し、制御部16からのゲート制御信号DG1、DG2、DG3、DG4に従って、その変換された電荷を、複数の電荷蓄積部C1、C2、C3、C4それぞれに振り分ける。
【0039】
以上の処理を光蓄積時間が終了(経過)するまで継続する。この処理により、例えば、図5に示すように、データ送信光源41、42、43を含む画像を取得する。
【0040】
図5に示すように、データ送信光源41、42は、路上に設置された信号機に設けられており、データ送信光源43は、対向車両に設けられている。図6は、予め定められた時間Tcごとに位相を変化させた基準周波数fsの光を表す図である。図7は、図6中円形で囲んだ部分の拡大図である。図6、図7に示すように、データ送信光源41、42、43は、光源11と同様の光源であり、予め定められた時間Tcごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数fsの光を照射している。
【0041】
このように、基準周波数fsの光の位相を予め定められた時間Tcごとに送信情報に応じて変化させることで、例えば、位相変位変調(Phase Shift Keying)のように、位相を複数に分割し、該分割した位相ごとに情報を割り当てること(情報の埋め込み)、位相の変化量(例えば、位相がφn→φn+1に変化した場合、φn−φn+1)に情報を割り当てること(情報の埋め込み)が可能となる。
【0042】
なお、位相を何分割できるか、位相の変化量にどれだけの情報を埋め込めるかは、位相を求める精度に左右される。データ送信側、受信側が同じクロックを用いて動作していれば高い精度で位相を求められるため、位相を多数に分割可能である。しかし、現実的には、データ送信側と受信側は異なるクロックを用いて動作しているため、基準周波数で変調していても時間が経つにつれて少しずつ位相ズレが生じ、位相を分割できる数が減少することとなる。しかし、変化した位相ごとに複数ビットの情報を割り当てることが可能であるため、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0043】
図8は、図5に示したデータ送信光源41、42、43からの照射光51、52、53それぞれの強度を示したグラフである。データ送信光源41、42、43それぞれの強度、距離が異なるため、受光強度が異なっている。また、同期を行っていないため、照射光51、52、53それぞれの位相も異なっている。
【0044】
次に、データ通信装置1は、撮像素子15が撮像した画像(例えば図5に示す画像)から、基準周波数fsの光を照射するデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出する処理を行う(ステップS2〜S6)。具体的には、次の処理を行う。
【0045】
まず、複数の電荷蓄積部C1、C2、C3、C4から電荷を読み込み(ステップS2)、全ての画像変換素子で該電荷の差分C1−C3、C2−C4を演算し(ステップS3)、撮像素子15が撮像した画像中の差分C1−C3、C2−C4が閾値を超える画素を判定する(ステップS4:No、ステップS5)。そして、撮像素子15が撮像した画像(例えば図5に示す画像)から、差分C1−C3、C2−C4が閾値を超えると判定された画素をデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)として抽出する。一方、差分C1−C3、C2−C4が閾値以下と判定された画素については、背景や変調していない光源からの入射光であると判定する(ステップS4:Yes、ステップS6)。
【0046】
背景や変調していない光源からの入射光は一様な光強度であるため、該背景や変調していない光源からの入射光を受光した光電変換素子については、差分C1−C3、C2−C4の値は閾値以下の値(限りなく0に近い値)となる。一方、データ送信光源(例えばデータ送信光源41、42、43)からの照射光を受光した光電変換素子については、差分C1−C3、C2−C4の値は閾値を超える値となる。従って、全ての画像変換素子で差分C1−C3、C2−C4の値と閾値とを比較演算することで(ステップS4)、撮像素子15が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素(すなわちデータ送信光源)を判定することが可能となる。
【0047】
以上のステップS2〜S6の処理を全ての光電変換素子それぞれに対して実行する。この処理により、撮像素子15が撮像した画像(例えば図5に示す画像)から、データ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出することが可能となる。
【0048】
次に、上記式1を用いて、上記ステップS2〜S6の処理によって抽出されたデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)から照射された基準周波数の光の位相を算出する(ステップS7)。
【0049】
図9は、上記ステップS7で算出されたデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41)からの照射光の位相の時間的変化(φn−1´→φn→φn→φn´→φn+1→φn+1→φn+1´→φn+2・・・)を表す図である。
【0050】
図9に示すように、撮像素子15は、予め定められた時間Tc(図9中、Tc(n−1)、Tc(n)、Tc(n+1)、Tc(n+2))よりも短い時間で画像を撮像し(ステップS1)、画像を撮像するごとに該画像からデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出し(ステップS2〜S6)、該データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する(ステップS7)。この時間をフレームレートTfという。フレームレートTfは、予め定められた時間Tcの1/2以下が望ましい。
【0051】
図9に示すように、フレームレートTfが、位相が変化した時点P1、P2、P3を含む場合、上記ステップS7で算出されるデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41)からの照射光の位相は実際の位相とは異なった位相(図9中、φn−1´、φn´、φn+1´で示す位相)となる。又は位相を算出できない状態となる。このため、データ通信装置1においては、このフレームレートTfの情報(図9中、φn−1´、φn´、φn+1´で示す位相)を削除する。
【0052】
次に、ステップS7で算出された位相間の差が閾値以下でかつ互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41)と判定し結合させ(ステップS8)、該一つのデータ送信光源と判定したデータ送信光源を抽出し、該一群の画素として抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成する(ステップS9)。図10は、ステップS9で生成された画像(一つのデータ送信光源と判定され抽出されたデータ送信光源41、42、43を含む)の例を示している。
【0053】
このように、互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源と判定し結合させることにより、個々の光電変換素子それぞれを一つのデータ送信光源と誤ってみなすことを防止することが可能となる。なお、画素結合の方法としては、例えば、一群の画素の画素値として同一の画素値(例えばステップS7で算出された位相を表す値)を用いることが考えられる。
【0054】
このステップS9で生成された画像を用いることにより、背景光の影響を受けることなく、データ送信光源からの送信情報の復号を行うことが可能となる。また、複数のデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)と同時にデータ通信を行うことが可能となる。また、データ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)の数、位置、大きさ、距離、回転、動き、位相等を把握することが可能となる。さらに、これら処理のための負荷が減り、高速化、回路規模を縮小することも可能となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子15によって、基準周波数fsの光(予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数fsの光。すなわち、送信情報が埋め込まれた光)を照射するデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を含む画像を撮像し(ステップS1)、該撮像した画像から該データ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出し(ステップS2〜S6)、該抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数fsの光の位相を算出し(ステップS7)、該算出された位相に基づいて、データ送信光源からの送信情報を復号する構成となっている。
【0056】
このため、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子15で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置1において、一度に複数ビットの情報(例えば、変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信を行うことが可能となる。
〔データ通信装置1の動作例2〕
次に、上記構成のデータ通信装置1の動作例2について図面を参照しながら説明する。
【0057】
図11は、データ通信装置1の動作例2を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、主に、制御部16又はこれとは別に設けられた制御部(図示せず)が行う。
【0058】
本動作例2においては、データ送信光源(例えば図5に示したデータ送信光源41)は、図12に示すように、複数のデータ送信光源1001、1002、1003を備えている。複数のデータ送信光源1001、1002、1003は、予め定められた位置関係(図12では、三つのデータ送信光源を等間隔で直線上に配置した例を例示)で配置されている。図12中、中央のデータ送信光源1001は、図13に示すように、基準周波数fsの光1101を照射しており、両側のデータ送信光源1002、1003は、該基準周波数fsの光1101に対して送信情報に応じて位相(同位相)を変化させた基準周波数fsの光1002、1003を照射している。
【0059】
このように、基準周波数fsの光1002、1003の位相を基準周波数fsの光1001に対して送信情報に応じて変化させることで、例えば、位相変位変調(Phase Shift Keying)のように、位相を複数に分割し、該分割した位相ごとに情報を割り当てること(情報の埋め込み)が可能となる。
【0060】
まず、データ通信装置1は、図4に示したステップS1〜S9の処理を行うことによって、三つのデータ送信光源1001、1002、1003を含む画像を撮像し(ステップS1)、該撮像した画像から該データ送信光源1001、1002、1003を抽出し、該抽出されたデータ送信光源1001、1002、1003を含む画像を生成し(ステップS2〜S9)、該画像に基づいて、データ送信光源1001、1002、1003からの照射光の位相を算出する(ステップS10)。
【0061】
次に、データ通信装置1は、ステップS10で算出された位相間の差が閾値以下のデータ送信光源が二つ以上存在するか否かを判定する(ステップS11)。
【0062】
ステップS10で算出された位相間の差が閾値以下のデータ送信光源が二つ以上存在する場合(ステップS11:Yes)、さらに、該二つのデータ送信光源(図12に示した例では、データ送信光源1002、1003)に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源の有無(図12に示した例では、データ送信光源1002、1003の中点に、データ送信光源1001が存在するか否か)を判定する(ステップS12)。
【0063】
二つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源1002、1003)に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源(例えばデータ送信光源1001)が存在する場合(ステップS12:Yes)、これらの三つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源1001、1002、1003)を一つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源41)と判定し(ステップS13)、例えば、中点のデータ送信光源1001からの照射光の位相と両端のデータ送信光源1002又は1003からの照射光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、データ送信光源(例えば図5に示したデータ送信光源41)からの送信情報を復号する(ステップS14)。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子15によって、データ送信光源(例えばデータ送信光源1001、データ送信光源1002及びデータ送信光源1003)を含む画像を撮像し(ステップS1)、該撮像した画像から該データ送信光源(例えばデータ送信光源1001、データ送信光源1002及びデータ送信光源1003)を抽出し(ステップS2〜S6)、位相間の差が閾値以下の二つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源1002及びデータ送信光源1003)から照射された基準周波数の光の位相と、前記二つのデータ送信光源に対して所定の位置関係にあるデータ送信光源(例えばデータ送信光源1001)から照射された基準周波数fsの光の位相との位相差を算出し(ステップS7〜S13)、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている(ステップS14)。なお、ステップS10で算出された位相間の差が閾値以下のデータ送信光源が二つ以上存在しない場合(ステップS11:No)、データ送信光源(例えばデータ送信光源41)は存在しないと判定する(ステップS15)。
【0065】
このため、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。しかも、本実施形態のデータ通信装置1によれば、二つのデータ送信光源1002、1003に対して予め定められた位置関係にあるデータ送信光源1001から照射された基準周波数fsの光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、誤ったデータ送信光源との位相差を算出すること(すなわち、復号誤り)を防止又は低減することが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態では、三つのデータ送信光源1001、1002、1003を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、二つのデータ通信光源1001、1002を用いてもよい。
【0067】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態のデータ通信装置のブロック図である。
【図2】撮像素子15における電荷振り分けを説明するための図である。
【図3】距離画像を生成する原理を説明するための図である。
【図4】データ通信装置1の動作例1を説明するためのフローチャートである。
【図5】撮像素子15が撮像したデータ送信光源を含む画像例である。
【図6】予め定められた時間Tcごとに位相を変化させた基準周波数fsの光を表す図である。
【図7】図6中円形で囲んだ部分の拡大図である。
【図8】図5に示したデータ送信光源41、42、43からの照射光51、52、53それぞれの強度を示したグラフである。
【図9】データ送信光源からの照射光の位相の時間的変化(φn−1´→φn→φn→φn´→φn+1→φn+1→φn+1´→φn+2・・・)を表す図である。
【図10】一つのデータ送信光源と判定され抽出されたデータ送信光源41、42、43を含む画像例である。
【図11】データ通信装置1の動作例2を説明するためのフローチャートである。
【図12】データ通信装置1の動作例2において用いられるデータ送信光源の例を説明するための斜視図である。
【図13】図12に示したデータ送信光源1001、1002、1003からの照射光それぞれの強度を示したグラフである。
【図14】従来の、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1…距離画像生成装置、10…光飛行時間型距離画像センサ(距離画像センサ)、11…光源、14…入射光、15…撮像素子、16…制御部、17…距離画像生成部、41、42、43…データ送信光源、1001、1002、1003…データ送信光源、φ…位相
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信装置に係り、特に撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD等の撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のデータ通信装置は、点滅光を発するようにオンオフ制御される光源を撮影する撮像素子等を備えており、図14に示すように、該撮像素子が撮影した時系列的に連続する画像30´1、30´2、……、30´nから、光源のオンオフ制御に伴って変化する輝度値によって表される二値情報を抽出することで、データ通信を行うようになっている。
【特許文献1】特開2004−32682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のデータ通信装置においては、一つの画像を取得する時間(1フレーム)ごとに、オン又はオフ状態の光源を撮影し、時系列的に連続するフレームとの差分に基づいて二値情報を抽出するようになっている。このため、光源を、例えば60フレーム/秒で撮影すると、最大でも60ビット/秒のデータしか送受することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、より高速なデータ通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、入射光を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部、及び、基準周波数に基づいて、前記光電変換素子により変換された電荷を前記複数の電荷蓄積部に振り分ける手段を備えた撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像から、基準周波数の光を照射するデータ送信光源を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する位相算出手段と、前記位相算出手段によって算出された位相に基づいて、送信情報を復号する復号手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、撮像素子によって、基準周波数の光(例えば、予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光。すなわち、送信情報が埋め込まれた光)を照射するデータ送信光源を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源を抽出し、該抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出し、該算出された位相に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項1に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(例えば、変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷の差分を演算し、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素を判定する判定手段をさらに備え、前記抽出手段は、前記撮像素子が撮像した画像から、前記判定手段によって判定された画素をデータ通信光源として抽出することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、光電変換素子ごとに該光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷の差分を演算し、撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素(すなわち、データ送信光源に対応する画素)を判定することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記位相算出手段は、前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記判定手段は、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素のうちの、前記算出手段によって算出された位相が閾値以下でかつ互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源と判定することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数の画素をそれぞれ一つのデータ送信光源と誤って抽出することを防止することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成する画像生成手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成することが可能となる。この画像を用いることにより、背景光の影響を受けることなく、データ送信光源からの送信情報の復号を行うことが可能となる。また、複数のデータ送信光源と同時にデータ通信を行うことが可能となる。また、データ送信光源の数、位置、大きさ、距離、回転、動き、位相等を把握することが可能となる。さらに、これら処理のための負荷が減り、高速化、回路規模を縮小することも可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記データ送信光源は、予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、撮像素子によって、データ送信光源(予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射するデータ送信光源)を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源を抽出し、該抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出し、該算出された位相に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項6に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記データ送信光源は、第1データ送信光源及び第2データ送信光源を含み、前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、前記第2データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、及び、これらの位相間の位相差を算出し、前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、撮像素子によって、データ送信光源(第1データ送信光源及び第2データ送信光源)を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源(第1データ送信光源及び第2データ送信光源)を抽出し、該抽出されたデータ送信光源(第1データ送信光源及び第2データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相及びこれらの位相の位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項7に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記データ送信光源は、予め定められた位置関係で配置された第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源を含み、前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、前記第2データ送信光源及び第3データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第3データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記位相間の位相差が閾値以下の二つのデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相と、該二つのデータ送信光源に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相間の位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、撮像素子によって、データ送信光源(第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源)を含む画像を撮像し、該撮像した画像から該データ送信光源(第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源)を抽出し、位相差が閾値以下の二つのデータ送信光源(例えば第2データ送信光源及び第3データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相と、前記二つのデータ送信光源に対して所定の位置関係にあるデータ送信光源(例えば第1データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、請求項8に記載の発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。しかも、請求項8に記載の発明によれば、前記二つのデータ送信光源に対して所定の位置関係にあるデータ送信光源(例えば第1データ送信光源)から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、誤ったデータ送信光源との位相差を算出すること(すなわち、復号誤り)を防止又は低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、より高速なデータ通信が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態であるデータ通信装置について図面を参照しながら説明する。
〔データ通信装置の構成〕
まず、本実施形態のデータ通信装置の構成について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態のデータ通信装置のブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のデータ通信装置1は、光飛行時間型距離画像センサ10(以下、距離画像センサ10という)を備えている。距離画像センサ10は、光源11、撮像素子15、制御部16、距離画像生成部17等を備えている。
【0026】
光源11は、対象空間に基準周波数fsの光(例えば、正弦波もしくは矩形波等で高速に変調させた赤外光もしくは可視光)を照射する光源であり、LED等の高速変調が可能なデバイスが用いられる。
【0027】
撮像素子15は、光源11から照射され対象空間内の対象物で反射した反射光を含む入射光14を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子(画素又はピクセルともいう)、この光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部(本実施形態では四つの電荷蓄積部C1、C2、C3、C4を例示。以下、C1、C2、C3、C4は、数式において用いた場合、該電荷蓄積部C1、C2、C3、C4に蓄積された電荷量を表す)、及び、光源11の変調に同期して、光電変換素子により変換された電荷を複数の電荷蓄積部に振り分ける手段等を備えている(いずれも図示せず)。
【0028】
制御部16は、光源11と撮像素子15を同期制御する。撮像素子15は、基準周波数fsに基づいて電荷振り分けを行う。具体的には、撮像素子15は、図2に示すように、制御部16から供給されるゲート制御信号DG1、DG2、DG3、DG4に従って、基準周波数fsに同期した時間T1、T2、T3、T4ごとに、ゲートを開閉し、光電変換素子により変換された電荷を、電荷蓄積部C1、C2、C3、C4それぞれに振り分ける。撮像素子15は、時間T1〜T4のサイクルを数千〜数十万回繰り返すことで、一枚の画像を取得する。この一枚の画像を取得する時間のことを、1フレームという。なお、電荷蓄積部は、四つに限定されない。二つ以上の電荷蓄積部であれば、同様に適用することが可能である。
【0029】
距離画像生成部17は、上記のように振り分けられた電荷(電荷蓄積部C1、C2、C3、C4に蓄積された電荷)に基づいて所定演算を行い、画素値が距離値である距離画像を生成する。
〔距離画像を生成する原理〕
次に、距離画像を生成する原理について説明する。
【0030】
図3は、距離画像を生成する原理を説明するための図である。図3中、正弦波21は光源11から照射された基準周波数fsの光を表しており、正弦波22は撮像素子15への入射光を表している。正弦波21と正弦波22との位相差φは、光源11から照射された基準周波数fsの光の対象物までの飛行時間によって生じる遅延を表している。
【0031】
図3では、光源11からの照射光の一周期を四つの期間に分けて四つの電荷蓄積部C1、C2、C3、C4に電荷を振り分けている。それぞれの期間をT1、T2、T3、T4とし、それぞれの期間に蓄積する電荷量をC1、C2、C3、C4とすると、位相差φは、次の式で表される。
【0032】
【数1】
光の速度は既知であるから、この位相差φを求めることで対象物までの距離が求まり、画素値が距離値である距離画像を生成することが可能となる。
【0033】
なお、一般的な画像データとして用いる電荷量平均Aは、次の式で表される。
【0034】
【数2】
また、対象物で反射した変調光成分の振幅量Bは、次の式で表される。
【0035】
【数3】
一般的に発光源の変調周波数は数十MHzであり、よって変調の1周期は数十ns程度である。そのため、距離画像を得るためには数百〜数十万周期の電荷蓄積時間を要する。
〔データ通信装置1の動作例1〕
次に、上記構成のデータ通信装置1の動作例1について図面を参照しながら説明する。
【0036】
図4は、データ通信装置1の動作例1を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、主に、制御部16又はこれとは別に設けられた制御部(図示せず)が行う。
【0037】
まず、データ通信装置1は、撮像素子15で周囲環境を撮像する処理を行う(ステップS1)。具体的には、次の処理を行う。
【0038】
光源11は、制御部16の制御に従って、対象空間に基準周波数fsの光を照射する。撮像素子15は、光源11から照射され対象空間内の対象物で反射した反射光を含む入射光を受光し、複数の光電変換素子により電荷に変換し、制御部16からのゲート制御信号DG1、DG2、DG3、DG4に従って、その変換された電荷を、複数の電荷蓄積部C1、C2、C3、C4それぞれに振り分ける。
【0039】
以上の処理を光蓄積時間が終了(経過)するまで継続する。この処理により、例えば、図5に示すように、データ送信光源41、42、43を含む画像を取得する。
【0040】
図5に示すように、データ送信光源41、42は、路上に設置された信号機に設けられており、データ送信光源43は、対向車両に設けられている。図6は、予め定められた時間Tcごとに位相を変化させた基準周波数fsの光を表す図である。図7は、図6中円形で囲んだ部分の拡大図である。図6、図7に示すように、データ送信光源41、42、43は、光源11と同様の光源であり、予め定められた時間Tcごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数fsの光を照射している。
【0041】
このように、基準周波数fsの光の位相を予め定められた時間Tcごとに送信情報に応じて変化させることで、例えば、位相変位変調(Phase Shift Keying)のように、位相を複数に分割し、該分割した位相ごとに情報を割り当てること(情報の埋め込み)、位相の変化量(例えば、位相がφn→φn+1に変化した場合、φn−φn+1)に情報を割り当てること(情報の埋め込み)が可能となる。
【0042】
なお、位相を何分割できるか、位相の変化量にどれだけの情報を埋め込めるかは、位相を求める精度に左右される。データ送信側、受信側が同じクロックを用いて動作していれば高い精度で位相を求められるため、位相を多数に分割可能である。しかし、現実的には、データ送信側と受信側は異なるクロックを用いて動作しているため、基準周波数で変調していても時間が経つにつれて少しずつ位相ズレが生じ、位相を分割できる数が減少することとなる。しかし、変化した位相ごとに複数ビットの情報を割り当てることが可能であるため、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。
【0043】
図8は、図5に示したデータ送信光源41、42、43からの照射光51、52、53それぞれの強度を示したグラフである。データ送信光源41、42、43それぞれの強度、距離が異なるため、受光強度が異なっている。また、同期を行っていないため、照射光51、52、53それぞれの位相も異なっている。
【0044】
次に、データ通信装置1は、撮像素子15が撮像した画像(例えば図5に示す画像)から、基準周波数fsの光を照射するデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出する処理を行う(ステップS2〜S6)。具体的には、次の処理を行う。
【0045】
まず、複数の電荷蓄積部C1、C2、C3、C4から電荷を読み込み(ステップS2)、全ての画像変換素子で該電荷の差分C1−C3、C2−C4を演算し(ステップS3)、撮像素子15が撮像した画像中の差分C1−C3、C2−C4が閾値を超える画素を判定する(ステップS4:No、ステップS5)。そして、撮像素子15が撮像した画像(例えば図5に示す画像)から、差分C1−C3、C2−C4が閾値を超えると判定された画素をデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)として抽出する。一方、差分C1−C3、C2−C4が閾値以下と判定された画素については、背景や変調していない光源からの入射光であると判定する(ステップS4:Yes、ステップS6)。
【0046】
背景や変調していない光源からの入射光は一様な光強度であるため、該背景や変調していない光源からの入射光を受光した光電変換素子については、差分C1−C3、C2−C4の値は閾値以下の値(限りなく0に近い値)となる。一方、データ送信光源(例えばデータ送信光源41、42、43)からの照射光を受光した光電変換素子については、差分C1−C3、C2−C4の値は閾値を超える値となる。従って、全ての画像変換素子で差分C1−C3、C2−C4の値と閾値とを比較演算することで(ステップS4)、撮像素子15が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素(すなわちデータ送信光源)を判定することが可能となる。
【0047】
以上のステップS2〜S6の処理を全ての光電変換素子それぞれに対して実行する。この処理により、撮像素子15が撮像した画像(例えば図5に示す画像)から、データ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出することが可能となる。
【0048】
次に、上記式1を用いて、上記ステップS2〜S6の処理によって抽出されたデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)から照射された基準周波数の光の位相を算出する(ステップS7)。
【0049】
図9は、上記ステップS7で算出されたデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41)からの照射光の位相の時間的変化(φn−1´→φn→φn→φn´→φn+1→φn+1→φn+1´→φn+2・・・)を表す図である。
【0050】
図9に示すように、撮像素子15は、予め定められた時間Tc(図9中、Tc(n−1)、Tc(n)、Tc(n+1)、Tc(n+2))よりも短い時間で画像を撮像し(ステップS1)、画像を撮像するごとに該画像からデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出し(ステップS2〜S6)、該データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する(ステップS7)。この時間をフレームレートTfという。フレームレートTfは、予め定められた時間Tcの1/2以下が望ましい。
【0051】
図9に示すように、フレームレートTfが、位相が変化した時点P1、P2、P3を含む場合、上記ステップS7で算出されるデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41)からの照射光の位相は実際の位相とは異なった位相(図9中、φn−1´、φn´、φn+1´で示す位相)となる。又は位相を算出できない状態となる。このため、データ通信装置1においては、このフレームレートTfの情報(図9中、φn−1´、φn´、φn+1´で示す位相)を削除する。
【0052】
次に、ステップS7で算出された位相間の差が閾値以下でかつ互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41)と判定し結合させ(ステップS8)、該一つのデータ送信光源と判定したデータ送信光源を抽出し、該一群の画素として抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成する(ステップS9)。図10は、ステップS9で生成された画像(一つのデータ送信光源と判定され抽出されたデータ送信光源41、42、43を含む)の例を示している。
【0053】
このように、互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源と判定し結合させることにより、個々の光電変換素子それぞれを一つのデータ送信光源と誤ってみなすことを防止することが可能となる。なお、画素結合の方法としては、例えば、一群の画素の画素値として同一の画素値(例えばステップS7で算出された位相を表す値)を用いることが考えられる。
【0054】
このステップS9で生成された画像を用いることにより、背景光の影響を受けることなく、データ送信光源からの送信情報の復号を行うことが可能となる。また、複数のデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)と同時にデータ通信を行うことが可能となる。また、データ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)の数、位置、大きさ、距離、回転、動き、位相等を把握することが可能となる。さらに、これら処理のための負荷が減り、高速化、回路規模を縮小することも可能となる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子15によって、基準周波数fsの光(予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数fsの光。すなわち、送信情報が埋め込まれた光)を照射するデータ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を含む画像を撮像し(ステップS1)、該撮像した画像から該データ送信光源(例えば図5に示すデータ送信光源41、42、43)を抽出し(ステップS2〜S6)、該抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数fsの光の位相を算出し(ステップS7)、該算出された位相に基づいて、データ送信光源からの送信情報を復号する構成となっている。
【0056】
このため、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子15で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置1において、一度に複数ビットの情報(例えば、変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信を行うことが可能となる。
〔データ通信装置1の動作例2〕
次に、上記構成のデータ通信装置1の動作例2について図面を参照しながら説明する。
【0057】
図11は、データ通信装置1の動作例2を説明するためのフローチャートである。以下の処理は、主に、制御部16又はこれとは別に設けられた制御部(図示せず)が行う。
【0058】
本動作例2においては、データ送信光源(例えば図5に示したデータ送信光源41)は、図12に示すように、複数のデータ送信光源1001、1002、1003を備えている。複数のデータ送信光源1001、1002、1003は、予め定められた位置関係(図12では、三つのデータ送信光源を等間隔で直線上に配置した例を例示)で配置されている。図12中、中央のデータ送信光源1001は、図13に示すように、基準周波数fsの光1101を照射しており、両側のデータ送信光源1002、1003は、該基準周波数fsの光1101に対して送信情報に応じて位相(同位相)を変化させた基準周波数fsの光1002、1003を照射している。
【0059】
このように、基準周波数fsの光1002、1003の位相を基準周波数fsの光1001に対して送信情報に応じて変化させることで、例えば、位相変位変調(Phase Shift Keying)のように、位相を複数に分割し、該分割した位相ごとに情報を割り当てること(情報の埋め込み)が可能となる。
【0060】
まず、データ通信装置1は、図4に示したステップS1〜S9の処理を行うことによって、三つのデータ送信光源1001、1002、1003を含む画像を撮像し(ステップS1)、該撮像した画像から該データ送信光源1001、1002、1003を抽出し、該抽出されたデータ送信光源1001、1002、1003を含む画像を生成し(ステップS2〜S9)、該画像に基づいて、データ送信光源1001、1002、1003からの照射光の位相を算出する(ステップS10)。
【0061】
次に、データ通信装置1は、ステップS10で算出された位相間の差が閾値以下のデータ送信光源が二つ以上存在するか否かを判定する(ステップS11)。
【0062】
ステップS10で算出された位相間の差が閾値以下のデータ送信光源が二つ以上存在する場合(ステップS11:Yes)、さらに、該二つのデータ送信光源(図12に示した例では、データ送信光源1002、1003)に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源の有無(図12に示した例では、データ送信光源1002、1003の中点に、データ送信光源1001が存在するか否か)を判定する(ステップS12)。
【0063】
二つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源1002、1003)に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源(例えばデータ送信光源1001)が存在する場合(ステップS12:Yes)、これらの三つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源1001、1002、1003)を一つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源41)と判定し(ステップS13)、例えば、中点のデータ送信光源1001からの照射光の位相と両端のデータ送信光源1002又は1003からの照射光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、データ送信光源(例えば図5に示したデータ送信光源41)からの送信情報を復号する(ステップS14)。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子15によって、データ送信光源(例えばデータ送信光源1001、データ送信光源1002及びデータ送信光源1003)を含む画像を撮像し(ステップS1)、該撮像した画像から該データ送信光源(例えばデータ送信光源1001、データ送信光源1002及びデータ送信光源1003)を抽出し(ステップS2〜S6)、位相間の差が閾値以下の二つのデータ送信光源(例えばデータ送信光源1002及びデータ送信光源1003)から照射された基準周波数の光の位相と、前記二つのデータ送信光源に対して所定の位置関係にあるデータ送信光源(例えばデータ送信光源1001)から照射された基準周波数fsの光の位相との位相差を算出し(ステップS7〜S13)、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている(ステップS14)。なお、ステップS10で算出された位相間の差が閾値以下のデータ送信光源が二つ以上存在しない場合(ステップS11:No)、データ送信光源(例えばデータ送信光源41)は存在しないと判定する(ステップS15)。
【0065】
このため、本実施形態のデータ通信装置1によれば、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、一度に複数ビットの情報(変化した位相ごとに割り当てられた複数ビットの情報)を送受することが可能となり、従来と比べてより高速なデータ通信が可能となる。しかも、本実施形態のデータ通信装置1によれば、二つのデータ送信光源1002、1003に対して予め定められた位置関係にあるデータ送信光源1001から照射された基準周波数fsの光の位相との位相差を算出し、該算出された位相差に基づいて、送信情報を復号する構成となっている。このため、誤ったデータ送信光源との位相差を算出すること(すなわち、復号誤り)を防止又は低減することが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態では、三つのデータ送信光源1001、1002、1003を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、二つのデータ通信光源1001、1002を用いてもよい。
【0067】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態のデータ通信装置のブロック図である。
【図2】撮像素子15における電荷振り分けを説明するための図である。
【図3】距離画像を生成する原理を説明するための図である。
【図4】データ通信装置1の動作例1を説明するためのフローチャートである。
【図5】撮像素子15が撮像したデータ送信光源を含む画像例である。
【図6】予め定められた時間Tcごとに位相を変化させた基準周波数fsの光を表す図である。
【図7】図6中円形で囲んだ部分の拡大図である。
【図8】図5に示したデータ送信光源41、42、43からの照射光51、52、53それぞれの強度を示したグラフである。
【図9】データ送信光源からの照射光の位相の時間的変化(φn−1´→φn→φn→φn´→φn+1→φn+1→φn+1´→φn+2・・・)を表す図である。
【図10】一つのデータ送信光源と判定され抽出されたデータ送信光源41、42、43を含む画像例である。
【図11】データ通信装置1の動作例2を説明するためのフローチャートである。
【図12】データ通信装置1の動作例2において用いられるデータ送信光源の例を説明するための斜視図である。
【図13】図12に示したデータ送信光源1001、1002、1003からの照射光それぞれの強度を示したグラフである。
【図14】従来の、撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1…距離画像生成装置、10…光飛行時間型距離画像センサ(距離画像センサ)、11…光源、14…入射光、15…撮像素子、16…制御部、17…距離画像生成部、41、42、43…データ送信光源、1001、1002、1003…データ送信光源、φ…位相
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、
入射光を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部、及び、基準周波数に基づいて、前記光電変換素子により変換された電荷を前記複数の電荷蓄積部に振り分ける手段を備えた撮像素子と、
前記撮像素子が撮像した画像から、基準周波数の光を照射するデータ送信光源を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する位相算出手段と、
前記位相算出手段によって算出された位相に基づいて、送信情報を復号する復号手段と、
を備えることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷の差分を演算し、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素を判定する判定手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記撮像素子が撮像した画像から、前記判定手段によって判定された画素をデータ通信光源として抽出することを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。
【請求項3】
前記位相算出手段は、前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素のうちの、前記算出手段によって算出された位相が閾値以下でかつ互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源と判定することを特徴とする請求項2又は3に記載のデータ通信装置。
【請求項5】
前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成する画像生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記データ送信光源は、予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデータ通信装置。
【請求項7】
前記データ送信光源は、第1データ送信光源及び第2データ送信光源を含み、
前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、
前記第2データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、
前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、及び、これらの位相間の位相差を算出し、
前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデータ通信装置。
【請求項8】
前記データ送信光源は、予め定められた位置関係で配置された第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源を含み、
前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、
前記第2データ送信光源及び第3データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、
前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第3データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記位相間の位相差が閾値以下の二つのデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相と、該二つのデータ送信光源に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、
前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相間の位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項1】
撮像素子で撮像した画像を用いてデータ通信するデータ通信装置において、
入射光を受光して電荷に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子ごとに設けられた複数の電荷蓄積部、及び、基準周波数に基づいて、前記光電変換素子により変換された電荷を前記複数の電荷蓄積部に振り分ける手段を備えた撮像素子と、
前記撮像素子が撮像した画像から、基準周波数の光を照射するデータ送信光源を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出する位相算出手段と、
前記位相算出手段によって算出された位相に基づいて、送信情報を復号する復号手段と、
を備えることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷の差分を演算し、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素を判定する判定手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記撮像素子が撮像した画像から、前記判定手段によって判定された画素をデータ通信光源として抽出することを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。
【請求項3】
前記位相算出手段は、前記複数の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記撮像素子が撮像した画像中の前記差分が閾値を超える画素のうちの、前記算出手段によって算出された位相が閾値以下でかつ互いに隣接する一群の画素を一つのデータ送信光源と判定することを特徴とする請求項2又は3に記載のデータ通信装置。
【請求項5】
前記抽出手段によって抽出されたデータ送信光源を含む画像を生成する画像生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記データ送信光源は、予め定められた時間ごとに送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデータ通信装置。
【請求項7】
前記データ送信光源は、第1データ送信光源及び第2データ送信光源を含み、
前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、
前記第2データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、
前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、及び、これらの位相間の位相差を算出し、
前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデータ通信装置。
【請求項8】
前記データ送信光源は、予め定められた位置関係で配置された第1データ送信光源、第2データ送信光源及び第3データ送信光源を含み、
前記第1データ送信光源は、基準周波数の光を照射し、
前記第2データ送信光源及び第3データ送信光源は、前記第1データ送信光源から照射される基準周波数の光に対して送信情報に応じて位相を変化させた基準周波数の光を照射し、
前記位相算出手段は、前記第1データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第2データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記第3データ送信光源から照射された基準周波数の光の位相、前記位相間の位相差が閾値以下の二つのデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相と、該二つのデータ送信光源に対して予め定められた位置関係のデータ送信光源から照射された基準周波数の光の位相との位相差を算出し、
前記復号手段は、前記位相算出手段によって算出された位相間の位相差に基づいて、前記送信情報を復号することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のデータ送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−284128(P2009−284128A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132843(P2008−132843)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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