説明

トイレ用固形洗浄剤

【課題】
陰イオン界面活性剤を主剤として使用したトイレ用固形洗浄剤において、実質的に溶解性の水温依存性が少なく、低温でも高温でもほぼ一定の溶解性を有し、使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性を有し、さらに、高濃度の陰イオン界面活性剤を配合しても溶解性を制御することができると共に洗浄効果の高いトイレ用固形洗浄剤を提供する。
【解決手段】 下記一般式
R1COO−R2−SO
(ここでR1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン性界面活性剤および炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウムを、8:2〜3:7の重量比率で含有するトイレ用固形洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレ用の固形洗浄剤に関するものであり、さらにはロータンク型水洗トイレの蓋に設置して、洗浄水に溶解してトイレボウルの洗浄効果を高める洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレ用の固形洗浄剤には、水洗タンク内の洗浄水中に沈下、浸漬し徐々に溶解させるいわゆるインタンクタイプのものと、タンクの蓋の上に設置して、流入する水により徐々に溶解させるいわゆるオンタンクタイプの2種類がある。いずれのタイプも、徐々に溶解する界面活性剤や香料などの有効成分により、適当な期間、持続的にトイレボウル内の洗浄、防汚効果、芳香付与効果を発揮するように設計されている。
【0003】
従来、このような目的の製剤設計については多くの提案がなされている。基本的な性能が、有効成分が徐々に水に溶解し洗浄効果や防汚効果を発揮させることにあるから、界面活性剤、賦形剤、徐溶化剤および香料などの機能物質の選択、組み合わせが多く見られる。例えば、結合保持剤としてプロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合物を溶解速度調節剤として尿素や無機アルカリ金属塩を併用した水洗トイレット用自動芳香洗浄剤(特許文献1)、ポリオキシエチレン化合物と有機イソシアネート化合物とを反応して得られる水溶性固状ウレタン化合物を使用した水洗トイレット用自動芳香洗浄組成物(特許文献2)、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールの重合体又はそれらの共重合体の末端水酸基を特定の置換基で保護した化合物を担体主成分とする水洗トイレット用固形洗浄剤(特許文献3)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを含有する貯水式水洗トイレ洗浄剤組成物(特許文献4)、ポリオキシエチレンジステアレートと酸化ワックスを含有させた貯水式水洗トイレ洗浄芳香剤組成物(特許文献5)、水溶性多価ヒドロキシ化合物と多価カルボン酸とのエステルを使用した水洗トイレ用固形洗浄剤(特許文献6)などの非イオン界面活性剤を応用したものが開示されている。また、水溶性の高分子の応用で有効成分の持続性を高める方法として、ポリアルキレングリコール、高級アルコールおよび高級アルコールのエチレンオキシド付加物、ベンズアルデヒドとソルビトールの縮合物またはポリエチレンオキシドを使用した水洗トイレ用芳香洗浄剤組成物(特許文献7)、親水性の単量体と水に難溶または不溶性の単量体と必要により他の単量体との共重合体を使用した水洗トイレット用自動芳香洗浄剤用徐溶化剤(特許文献8)などが開示されている。これらの非イオン界面活性剤や水溶性高分子による製剤化の目的は、もっぱら保形性の向上や香料などの有効成分の持続性の向上にあり、洗浄力が弱いなどの欠点を有している。
【0004】
このような欠点を改善するため、洗浄力に優れる陰イオン界面活性剤を使用して、持続的に高い洗浄性、防汚性の賦与を実現する試みも数多くなされている。例えば、脂肪酸アルカリ金属塩、非イオン界面活性剤、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を使用したトイレ用オンタンク固形洗浄剤(特許文献9)、N−アシルタウリン塩又はN−アシルアミノ酸塩と非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤(特許文献10)、アルキル硫酸エステル塩、非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤(特許文献11)、α−スルホ脂肪酸エステル塩、非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤(特許文献12)、α−オレフィンスルホン酸塩、非イオン界面活性剤を使用した水洗トイレオンタンク用固形洗浄剤の使用(特許文献13)が開示されている。さらには、界面活性剤として陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤とを含有し、高分子量ポリエチレンオキサイドを配合して洗浄剤の一部崩壊を抑制したトイレ用固形洗浄剤(特許文献14)などが開示されている。しかし、これらはいずれも陰イオン界面活性剤のみでは溶解性が水温に大きく影響され、高温では保形性が悪く溶解性が高すぎ、低温では溶解性が低下し、洗浄に有効な洗浄剤の溶解が得られないう欠点がある。これらの問題を解決するために、高融点の非イオン界面活性剤や水溶性の高分子などとの組合せが提案されているが、なお不十分である。
【0005】
【特許文献1】特開昭51−039705号公報
【特許文献2】特開昭55−131098号公報
【特許文献3】特開昭58−025398号公報
【特許文献4】特開昭59−024797号公報
【特許文献5】特開昭60−127400号公報
【特許文献6】特開2001−234190号公報
【特許文献7】特開昭53−058507号公報
【特許文献8】特開昭63−317597号公報
【特許文献9】特開平11−092796号公報
【特許文献10】特開2000−273483号公報
【特許文献11】特開2000−273484号公報
【特許文献12】特開2000−273486号公報
【特許文献13】特開2000−273487号公報
【特許文献14】特開2005−023176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、陰イオン界面活性剤を主剤として使用した水洗トイレ用固形洗浄剤において、実質的に溶解性の水温依存性が少なく、低温でも高温でもほぼ一定の溶解性を有し、使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性を有し、さらに、高濃度の陰イオン界面活性剤を配合しても溶解性を制御することができると共に洗浄効果の高いトイレ用固形洗浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の陰イオン性界面活性剤と脂肪酸ナトリウムを配合したトイレ用固形洗浄剤が、フラッシング時の水温に依存せず、低温でも高温でも実質的に一定の溶解性を示し、使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性を有すると共に優れた洗浄効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式
R1COO−R2−SO
(ここで式中R1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン界面活性剤および炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウムを、8:2〜3:7の重量比率で含有するトイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0009】
また、陰イオン界面活性剤と脂肪酸ナトリウムの合計の含有量が45〜95重量%である前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、陰イオン界面活性剤がヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムである前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【0011】
本発明は、さらに脂肪酸ナトリウムがオレイン酸ナトリウムである前記トイレ用固形洗浄剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、主たる界面活性剤としてヤシ油脂肪酸アルキルエステルスルホン酸アルカリ金属塩と脂肪酸ナトリウムを特定比率で用いることにより、溶解性がフラッシング時の水温に影響され難く、使用期間を通して均一な溶解性と優れた持続性、さらに高い洗浄力が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、下記式
R1COO−R2−SO
(ここで式中R1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン界面活性剤と炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウムを、8:2〜3:7の重量比率で含有することを特徴とする。
【0014】
上記した一般式で表される陰イオン界面活性剤のアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩が好適である。前記一般式で表される陰イオン界面活性剤を具体的に挙げれば、例えば、ヤシ油脂肪酸とイセチオン酸の縮合物のナトリウム塩であるヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムなどが好適である。また、脂肪酸ナトリウムとしては、オレイン酸ナトリウムが好適である。
【0015】
本発明の前記一般式で表される陰イオン界面活性剤と脂肪酸ナトリウムの重量比率は、好ましくは8:2〜3:7、より好ましくは7:3〜5:5であり、この範囲よりも、陰イオン界面活性剤の配合量が多くなると、水温が低い場合の溶解性が悪くなり、トイレ用固形洗浄剤が使用途中でひび割れしたり、フラッシュした水に溶解した界面活性剤濃度が低いため充分な洗浄力を発揮できない。
また、脂肪酸ナトリウムの割合が多くなると、水温が高い場合の溶解性が高くなり持続性に欠けてしまう。
【0016】
また、陰イオン界面活性剤と脂肪酸ナトリウムの合計の配合量は、トイレ用固形洗浄剤の総重量に対して、好ましくは45重量%〜95重量%、より好ましくは60重量%〜80重量%であり、この範囲よりも陰イオン界面活性剤と脂肪酸ナトリウムの合計の配合量が少ない場合は、得られる固形洗浄剤は洗浄効果が充分発揮できなかったり、無機塩類などの賦形剤の配合割合が多くなり、固形化しにくくなる傾向がでてくる。
【0017】
従来の陰イオン界面活性剤を配合したトイレ用固形洗浄剤においては、陰イオン界面活性剤の溶解性が本質的に温度に依存すること、すなわち、温度の上昇とともに急激に溶解度が上昇する温度(クラフト点)が有り、この温度を境に溶解性が大きく変化するという問題を持っている。このことは、例えば、夏と冬とでフラッシュする水の温度が異なるとそれに伴い、溶解性が大きく変わることを意味する。このような課題を解決するためには、高融点の非イオン界面活性剤や水溶性の高分子との組み合わせが必要であった。本発明の陰イオン界面活性剤と脂肪酸ナトリウムの特定の比率での組み合わせによれば、特別の高融点の非イオン界面活性剤や水溶性の高分子は必要でなく、実質的に水温によらずほぼ一定の溶解性を有するトイレ用固形洗浄剤が得られる。
【0018】
本発明の効果を妨げない範囲において、他の陰イオン界面活性剤や非イオン界面活性剤と組み合わせて使用することもできる。陰イオン界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、高級アルコールスルホ脂肪酸エステル、アシル化アミノ酸類のアルカリ金属塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、高級アルコールの酸化エチレン付加物、脂肪酸の酸化エチレン付加物、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびその酸化エチレン付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびその酸化エチレン付加物、硬化ヒマシ油の酸化エチレン付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドおよびその酸化エチレン付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
また、トイレ用固形洗浄剤の硬さやまとまり、押し出し時の流動性などの固形物性、製造適正などを調整する成分として、脂肪酸や高級アルコールなどが用いられる。脂肪酸や高級アルコールのアルキル鎖長は炭素数12〜18が好適に用いられる。
【0021】
本発明のトイレ用固形洗浄剤に用いられる成分として、陰イオン界面活性剤や非イオン界面活性剤、脂肪酸、高級アルコール以外に、一般にトイレ用固形洗浄剤に用いられる一般的な成分を使用することができる。例えば、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロースの金属塩、デキストリン、デンプンなどの水溶性高分子、キレート剤、グリコール系の溶剤、増量剤として用いられる硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩類、色素、殺菌剤、香料、消臭剤などが適宜用いられる。特に香料は、具体的には、次のようなものが例示できるが、特に限定されるものではなく、天然及び合成の広い範囲の香料を利用することができる。具体的には、炭化水素類としては、例えば、オシメン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、ミルセン、ジヒドロミルセン、リモネン、テルピノーレン、α−フェランドレン、p−サイメン、β−カリオフィレン、β−ファルネセン、ビサボレン、セドレン、バレンセン、ツヨプセン、ロンギホレンなどを挙げることができる。
【0022】
アルコール類としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、ムゴール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、エチルリナロール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、l−メントール、カルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、シス−3−ヘキセノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、サンダロール(Givaudan社商品名)、バクダノール(IFF社商品名)、フェニルエチルアルコール、ヒドロトロパアルコール、アニスアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコールなどを挙げることができる。
【0023】
アルデヒド類としては、例えば、シトラール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、α−メチレンシトロネラール、ミルテナール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、3,7−ジメチルオクタナール、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、n−デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、テトラデカナール、シス−3−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、シクロシトラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジエチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−イソプロピルヒドラトロパルアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジエチルアセタール、アミルシンナミックアルデヒドジエチルアセタール、ヘリオトロピンジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルエチルアセタール、アセトアルデヒド2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどを挙げることができる。
【0024】
ケトン類としては、例えば、カンファー、メントン、ピペリテノン、ゲラニルアセトン、アセチルセドレン、ヌートカトン、ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、メチレンテトラメチルヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、ホモフロナール(Givaudan社商品名)、マルトール、エチルマルトール、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタールなどを挙げることができる。
【0025】
エステル類としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸3−ペンテニルテトラヒドロピラニル、酢酸ミラルディル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ吉草酸フェニルエチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸リナリル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸オイゲニル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸シトロネリル、フェニル酢酸メンチル、サリチル酸アミル、ヘキサン酸リナリル、ヘキサン酸シトロネリル、オクタン酸リナリル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、ゲラン酸エチル、シクロゲラン酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチルなどを挙げることができる。
【0026】
フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテルなどを挙げることができる。
【0027】
エーテル類としては、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン(IFF社商品名)、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロ
ペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイ
ド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス(Firmenich社商品名)、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テアスピラン、ローズオキサイドなどを挙げることができる。
【0028】
ラクトン類としては、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスミンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリンなどを挙げることができる。
【0029】
酸類としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、フタール酸、アビエチン酸、バニリン酸、ピロガロールなどを挙げることができる。
【0030】
合成ムスクとしては、例えば、ムスコン、シクロペンタデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、ムスクアンブレット、6−アセチルヘキサメチルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ガラクソリド(IFF社商品名)などを挙げることができる。
【0031】
又、天然香料としては、例えば、アビエス、アンブレット・シード、アンジェリカ、アニス、アルモアゼ、ベージル、ベイ、ベルガモット、バーチ、ボア・ド・ローズ、カラムス、カンファー、カナンガ、キャラウェイ、カルダモン、カシア、シダーウッド、カモミル、シトロネラ、コスタス、クミン、ディル、エレミ、ユーカリ、ガルバナム、ゼラニウム、ジンジャー、グレープフルーツ、グアイアック、ガーデニア、ヒノキ、ホウショウ、ヒアシンス、ジャスミン、ジュニパ・ベリー、ラブダナム、ラバンジン、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、リナロエ、ミモザ、ミント、オークモス、オレンジフラワー、イリス、パチョリ、パルマローザ、ペパーミント、ローズ、クラリー・ゼージ、サンダル、チュベローズ、ベチバー、スミレ、イラン・イランなどの精油などを挙げることができる。
【0032】
その他、香料化学総覧,1,2,3[奥田治著 廣川書店出版]、Perfume and flavor Chemicals,1,2[Steffen Arctander著]、合成香料[印藤元一著 化学工業日報社出版]などに記載の香料化合物を挙げることができる。
【0033】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、押し出し成形、プレス成形、打錠などで容易に製造できる。例えば、粉末状態の配合成分をVブレンダーなどの粉末混合機でブレンドし、次いで液体成分を加えて、ニーダーやロールなどで充分混練したのち、エクストルーダーなどで押し出したり金型を用いてプレスして成形することができる。
【0034】
以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
実施例1〜4および比較例1〜3
実施例および比較例で用いた構成成分として表1に示した配合処方を用いて固形洗浄剤を調製し、トイレ用固形洗浄剤の溶解性を試験した。但し、表1中の配合量は重量%を意味するものである。
[トイレ用固形洗浄剤の調製]
本発明の陰イオン界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム(クラリアントジャパン株式会社製;ホスタポンSCI85G)、他の一般的な陰イオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(花王株式会社製;エマール10パウダー)を用いた。また、高分子量ポリエチレンオキサイドとして、ペオ(PEO;住友精化株式会社製)を使用して調製した。その他の成分については一般的な工業品として容易に入手できるものを使用した。具体的には表1に示した各成分を良く混合し、ロールで混練し、その約5gを内径約30mmの打錠用臼に入れ、杵を挿入し、約100Kgfでプレス成形して、円盤状のトイレ用固形洗浄剤を作製した。
【0036】
[溶解性の温度依存性の評価]
1リッターのビーカーに水を1リッターとり、ビーカーの上部に直径10cm、60メッシュのステンレス製の篩を金網部分が水没するようにセットする。この篩にプレス成形したトイレ用固形洗浄剤をのせ、水全体をマグネチックスターラーで穏やかに攪拌し、該洗浄剤が完全に溶解するまでの時間を測定する。水の温度を10℃と30℃の2つの条件で測定を行い溶解製の温度依存性を下記の基準で評価した。
○:10℃の溶解時間÷30℃の溶解時間が2未満である。
×:10℃の溶解時間÷30℃の溶解時間が2以上である。
【0037】
[実用試験]
実施例2,3および比較例1,3については、各配合成分をローラーで混練、押し出し成型し、直径20mm、重量約25gの円柱状にカットし試料を作成した。これらの試料はオンタンク洗浄剤用の容器(株式会社小林製薬製「ブルーレットおくだけ」貝殻容器)にいれ、家庭用トイレのロータンクの手洗い部に置き実用的な試験に供した。この家庭用トイレのロータンクには、レバーの操作回数を計測できるカウンターを設置し、手洗い部に供給される水量は、1回あたり4.5リッターに設定した。水の温度は特にコントロールせず、定期的に水温を測り、記録した。水温は実験期間中で20℃〜25℃の範囲であった。トイレ用固形洗浄剤が溶けきるまでのフラッシュ回数を下記の基準で評価した。
【0038】
×: 500回以上
○: 200〜500回
××: 200回以下
【0039】
【表1】

【0040】
SCI: ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム
AS : ラウリル硫酸ナトリウム
PEO: ポリエチレンオキシド(平均分子量:450万)
EDTA−2Na:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム
香料 : レモン(長谷川香料製)
染料 : 青色1号
[評価結果]
表−1に評価結果を示す。ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムとオレイン酸ナトリウムの配合比率がトイレ用固形洗浄剤の溶解性の温度依存性に対して大きく影響を与え、実施例1〜4に示すように、ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムとオレイン酸ナトリウムの配合比率が8:2〜3:7の範囲にあるものは温度依存性が低い結果を示した。比較例1および2に示すように、この範囲よりもヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムの割合が多い場合には、低温での溶解性が低下し、結果として温度依存性が高いものになる。一方、比較例3に示したようにオレイン酸ナトリウムの割合がこの範囲よりも大きくなると、低温および高温両方とも溶解性が上がり、温度依存性は低くなるが、実用的な試験で持続性が著しく低くなってしまう。
【0041】
以上の結果から、トイレ用固形洗浄剤において、主活性剤としてヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムおよびオレイン酸ナトリウムを特定比率で用いることにより、温度の変化に対して溶解性が実質的に変化が少ない、均一な溶解性と持続性に優れた特性を付与することができることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式
R1COO−R2−SO
(ここで式中R1は炭素数7〜21のアルキル基、R2は炭素数2〜3のアルキル基、Mはアルカリ金属を示す)
で表される陰イオン界面活性剤および炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウムを、8:2〜3:7の重量比率で含有することを特徴とするトイレ用固形洗浄剤。
【請求項2】
陰イオン界面活性剤と脂肪酸ナトリウムの合計の含有量が45〜95重量%である請求項1に記載のトイレ用固形洗浄剤。
【請求項3】
陰イオン界面活性剤がヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウムである請求項1又は2に記載のトイレ用固形洗浄剤。
【請求項4】
脂肪酸ナトリウムがオレイン酸ナトリウムである請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレ用固形洗浄剤。

【公開番号】特開2009−19136(P2009−19136A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183544(P2007−183544)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】