説明

トナー担持体、現像装置及び画像形成装置

【課題】中間転写ベルトを用いた画像形成装置において、中間転写ベルトの搬送安定性を向上されるとともに、ベルト内で特性のバラツキが小さくして、長期にわたり高画質な画像を出力できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルトが、少なくともポリイミド樹脂から形成され、周長が2000mm以上、裏面(内側の面)の表面粗さRaが0.2〜0.4μm、吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下であり、前記ポリイミド樹脂が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とがブレンドされ、該S成分とA成分の重量比(S/A)が10/90〜40/60であることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ベルトを用い、大型かつ高速駆動の画像形成装置に関し、特にフルカラー画像形成に好適な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写ベルト上に色重ねし、その後一括して紙等の転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
【0003】
このようなフルカラー電子写真装置としては、1つの感光体に対して4色の現像器を用い、中間転写ベルトに一次転写した後、紙等の転写媒体に転写するものがあるが、プリント速度が遅いという欠点があるため、高速プリントのために、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙等の転写媒体に直接転写する4連タンデム方式が用いられている。
【0004】
しかし、この方式では紙等の転写媒体の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そのため、色ずれを起こさないように、近年の4連タンデム方式においては、中間転写方式を採用することが主流になってきている。
【0005】
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。特に、位置精度に対しては、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えることが求められる。また、中間転写ベルトは、装置の広い領域に渡ってレイアウトされ、転写のために高電圧が印加されることから難燃性であることが求められている。このような要求に対応するため、中間転写ベルト材料として主に、主に高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂が用いられている。
【0006】
このようなポリイミド樹脂を用いたものとして、特許文献1(特開2008−225182号公報)には、駆動ローラとの接触面積を低減させるように、ベルト内面の表面粗さ(Ra)を0.15〜0.6μm、最大表面粗さ(Rmax)を3〜15μmとして、ベルト内面の摺動性を変えずに摩耗粉の発生を抑制するようにしたポリイミドベルトが開示されている。
【0007】
特許文献2(特開2005−74914号公報)には、ポリアミドイミド前駆体溶液が塗布される金型の周壁の温度を均一にするように、熱媒体を循環させる空洞からなるヒートパイプを周壁に配置した円筒状の金型と、金型の中に電磁加熱する電磁誘導コイルを備え、前記樹脂を温度ムラなく加熱硬化させるようにした管状物の製造装置が開示されている。
【0008】
特許文献3(特開2001−142313号公報)には、可とう性と剛性のバランスが悪く、中間転写ベルトとしての耐久性が十分でないことから、可とう性と剛性のバランスを改善するように、テトラカルボキシル残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるp-フェニレン骨格とがイミド結合してなるA成分と、テトラカルボキシル残基である全芳香族骨格とジフェニルエーテル骨格とがイミド結合してなるB成分とを繰り替えてしてなる共重合体、及び/又は前記A成分を繰り返し単位とする重合体と前記B成分を繰り返し単位とする重合体とを混合してなるブレンド体であり、かつA成分のモル%をR、導電性フィラーのポリイミド樹脂に対する重量部数をWとするとRが(65−W)以下としたポリイミド樹脂で中間転写体を形成することが開示されている。
【0009】
特許文献4(特開2004−77576号公報)には、張力をかけた時にうねりが生じにくく、湿度に影響されない安定した画像形成を行なうように、周方向の1%伸張時の引張荷重が25N以上であって、平面度が0.5mm以下で、吸湿膨張係数が30ppm/%RH以下としたポリイミド樹脂製のシームレスベルトが開示されている。
(位置の変更)
【0010】
しかしながら、近年、カラー電子写真画像形成装置でも大型かつ印刷枚数の高速化が進み、極めて高速で、かつ耐久性と安定性の高いカラー画像形成装置が要求されるようになりつつあるが、このようなカラー画像形成装置では、大型の装置を高速で駆動させるため、中間転写ベルトにおいても、ベルト周長を長くし、高速駆動を行う必要があり、このような中間転写ベルトを使用した画像形成装置では、従来の画像形成装置では問題とならなかった新たな問題が生まれる。
【0011】
その1つは、高速回転することで中間転写ベルトとベルトを駆動させるローラでスリップして色ずれが発生しやすくなること、ベルトの偏倚が発生した場合にベルトが損傷しやすいこと、及び環境変動に対してベルトの寸法変化量が大きくなり、ベルトの搬送が安定しないこと等の搬送安定性の問題である。
【0012】
また、別な問題としては、ベルトサイズを大型化すると、ポリイミドベルト作製時に、樹脂溶液を塗布した金型を加熱して乾燥・硬化を行う際に、金型が非常に大きいため、温度ムラを抑制できず、1本のベルトの中で特性値のバラツキが大きくなるという問題である。
【0013】
このような問題は、従来のベルトサイズやベルト線速で使用する場合は問題とはならなかったが、大型のベルトを高速に駆動することで発生した新たな問題であるが、前述した特許文献1〜4記載の発明は、大型化していない従来サイズのベルトについて検討したもので、大型化、高速化された画像形成装置の中間転写ベルトには対処できない。
【0014】
すなわち、特許文献1では、その実施例において、内径30mmの円筒状金型で前駆体ベルトを製造しているように、従来サイズのものであり、大型化したベルトでは、上記の問題があることから、十分なベルト搬送性は得られない場合があり、樹脂については詳細な検討がされていないので、ベルトの特性値のバラツキや吸湿時に大きな寸法変化が発生する恐れがある。
【0015】
特許文献2では、大型化したベルトの作製では、やはり温度ムラが発生し、ベルトの特性にバラツキが生じてしまい、十分な効果は得られず、しかも、特定の樹脂により、ベルトの特性のバラツキを抑制するものではない。
【0016】
特許文献3では、その実施例において、内径300mmの金型内面にポリアミド酸を塗布し遠心成形しているように、従来サイズのベルトであり、その成形方法からは、ベルト裏面を粗面化するものではなく、さらに、テトラカルボキシル残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるp-フェニレン骨格とがイミド結合してなるA成分を用いた中間転写ベルトは、切り裂き強度の低下が見られ、長期使用においてベルト端部から割れが生じ易く、テトラカルボキシル残基である全芳香族骨格とジフェニルエーテル骨格とがイミド結合してなるB成分を用いた中間転写ベルトは、引っ張り弾性率が十分でなく、カラー画像の場合に色ズレが発生することから、A成分とB成分を用いて、可とう性と剛性のバランスを図るもので、大型化した場合に必要な、湿度変化に対する寸法変化や高速化にともなう搬送安定性は考慮さておらず、大型ベルトを作製し、使用する場合は上記問題が発生する恐れがある。
【0017】
特許文献4では、最終的なシームレスベルトの直径は100〜700mm程度が可能であるとしているように、従来のベルトサイズであり、湿度変化に対する寸法変化は抑えられるものの、中間転写ベルトを大型化し高速化にともなう搬送安定性は考慮されていないため、ベルトのスリップよる搬送安定性に問題があり、走行中のベルトの偏倚によりベルト端部が損傷する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、大型かつ高速駆動を行う中間転写ベルトを用いた画像形成装置において、中間転写ベルトの搬送安定性を向上されるとともに、ベルト内で特性のバラツキが小さくして、長期にわたり高画質な画像を出力できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
大型で高速な中間転写方式の画像形成装置とするために、中間転写ベルトの周長を2000mm以上とし、且つベルト線速を350mm/sec以上という高速駆動させる必要があるが、このような長尺の中間転写ベルトを高速駆動させると、中間転写ベルトとベルトを駆動させるローラとの間でスリップが発生し易く、環境変動に対してベルトの寸法変化量が大きく、搬送安定性が悪くなり、色ずれも発生し易いこと、走行中にベルトの偏寄が発生し、ベルトが損傷し易いこと、さらに、ベルトサイズの長尺化に伴い、1本のベルトの中で特性値のバラツキが大きくなるという問題がある。
【0020】
そこで、本発明者らは中間転写ベルトについて鋭意検討した結果、中間転写ベルトの裏面(中間転写ベルトの駆動ローラと接触する面)の表面粗さを適度に制御すると、中間転写ベルトを高速に駆動しても、中間転写ベルトのスリップやベルトの偏倚による損傷が防止でき、さらに中間転写ベルトを特定のポリイミド樹脂で形成すると、吸湿線膨張係数が小さくなり、環境変動に対してベルトの寸法変化を抑制できるとともに、1本のベルトの中で特性値のバラツキ量も小さくできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
すなわち、上記課題は本発明の(1)〜(7)によって解決される。
(1)「静電潜像担持体上に形成されたトナー像を350mm/sec以上で駆動する中間転写ベルトを介して記録媒体へ転写する画像形成装置であって、前記中間転写ベルトが、少なくともポリイミド樹脂から形成され、周長が2000mm以上、裏面(内側の面)の表面粗さRaが0.2〜0.4μm、吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下であり、前記ポリイミド樹脂が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とがブレンドされ、該S成分とA成分の重量比(S/A)が10/90〜40/60であることを特徴とする画像形成装置」、
(2)「前記中間転写ベルトが、10V印加時及び100V印加時の体積抵抗の常用対数値をそれぞれ、ρv10、ρv100としたとき、その差ρv10−ρv100が2.0以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成装置」
(3)「前記トナー像を形成するトナーの円形度が、0.95〜0.98であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の画像形成装置」、
(4)「前記トナー像を形成するトナーの体積平均粒径が、4μm〜8μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(5)「前記トナー像を形成するトナーの体積平均粒径が、4μm〜5.2μmであることを特徴とする前記第(4)項に記載の画像形成装置」、
(6)「前記中間転写ベルトの表面に潤滑剤を塗布する固形潤滑剤塗布装置を備えることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(7)「前記潤滑剤がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする前記第(6)項に記載の画像形成装置」
【発明の効果】
【0022】
本発明は、中間転写ベルトの裏面(内側の面)の表面粗さRaを0.2μm〜0.4μmにすることにより、大型の中間転写ベルトを高速駆動しても、べルトのスリップがなく、安定したベルト駆動が可能となり、走行中のベルトの偏倚よるベルトの損傷が発生し難なる。さらに、ベルトの吸湿線膨張係数を22ppm/%RH以下にすることで、湿度変化に対するベルトの寸法変化が少なく、環境変動に対しても安定したベルト駆動が可能となる。
【0023】
さらに、ベルトに使用するポリイミド樹脂を、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラアルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とをブレンドし、かつS成分とA成分の重量比(S/A)を10/90〜40/60とすることで、大型の型で温度ムラが生じた場合でもベルト特性のバラツキが小さく、かつ吸湿線膨張係数を22ppm/%RH以下に抑えることができる。
【0024】
また、中間転写ベルトを、10V印加時及び100V印加時の体積抵抗の常用対数値をそれぞれ、ρv10、ρv100としたとき、その差ρv10−ρv100を2.0以下にすることで、経時での抵抗変化が少なく安定した画質が得られる。
【0025】
用いるトナーの円形度を0.95以上0.98以下とすることで、転写性が向上し、高画質化ができ、さらにトナーの体積平均粒径を4μm〜8μmとすることで、ドット再現性が向上し、高精細な画像が得られ、トナーの体積平均粒径を4μm〜5.2μmとすることにより、極めて高精細な画像が得られる。
【0026】
また、中間転写ベルト上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置を設置することで、円形度が高いトナーや小径トナーなどを使用した場合でも良好なクリーニング性を維持でき、潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛を使用することで、安定したクリーニング性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明で用いる吸湿線膨張係数の測定装置を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、中間転写ベルトの周長を2000mm以上とし、且つベルト線速が350mm/sec以上で駆動する、高速かつ高耐久な画像形成装置である。
【0029】
そして、高速駆動しても、中間転写ベルトのスリップや走行中のベルトの偏倚を抑制し、搬送安定性を向上させるように、本発明で使用する中間転写ベルトは、ベルトの裏面(中間転写ベルトの駆動ローラと接触する面)の表面粗さRaを0.2μm〜0.4μmとしたものである。
【0030】
このように、ベルト裏面の粗さを上記範囲に設定することで、高速駆動しても、中間転写ベルトのスリップが抑制され、走行中のベルトの偏倚も抑制できることから、偏倚によるベルトの損傷が発生しにくい。ベルトの裏面の粗さが0.4μmより大きい場合には、ベルトと駆動ローラの接触面積が減少するため、高速駆動すると駆動ローラとベルトの間でスリップが発生し易い。一方、Raが0.2μmより小さい場合は、駆動ローラとベルトの摩擦力が大きいため、走行中にベルトの偏倚が発生した場合に、ベルト端部が他の部材と擦れる時に加わる力が大きくなり、ベルト端部は大きな損傷を受け易く、搬送安定性も悪くなる。
【0031】
本発明における表面粗さRaは、「JIS B0601:2001」に準じて、東京精密社製の表面粗さ計(SURFCOM 1400D )で測定した。測定条件は測定速度0.6mm/sec、カットオフ値0.8mm、測定長さ2.5mmとし、ベルト周方向に対して3箇所、ベルト幅方向に対して3箇所(中央部及び両端部)の9箇所(周方向3箇所×幅方向3箇所)でベルト裏面の計測を行い、その平均値を用いた。
【0032】
また、本発明に使用する中間転写ベルトは、吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下である。同じ材質を使った吸湿線膨張係数が同じベルトでも、ベルト周長が長い方が、寸法変化量自体は大きくなり、湿度変化に対して搬送不具合が発生し易いが、吸湿線膨張係数を22ppm/%RH以下に抑えることで、大型のベルトを使用した場合でも湿度変化に対して寸法変化が小さく、安定したベルト駆動ができる。
【0033】
本発明における吸湿線膨張係数は、図1に示す伸び測定装置で測定した。この伸び測定装置1は、サンプルシートの両端を支持する一対のアーム2、3と、下部のアーム3の下方に設けられ、サンプルにかかる線圧を調整する錘(アルミニウム製)4と、錘4の下方に配置された反射型のレーザマイクロゲージ5とから構成されている。そして、吸湿線膨張係数の測定は、シームレスベルトの中央部から所定形状(巾10mm、長さ70mm)に切断したサンプルのポリイミドシートを、アーム2、3の内端間の距離が50mmとなるように装着し、アルミニウム製の錘4の重量を調整して、サンプルにかかる線圧が150g/cmになるようする。
【0034】
次いで、サンプルを装着し、線圧を調整した伸び測定装置を恒温恒湿槽に入れ、35℃/85%(RH:相対湿度)及び35℃/35%(RH:相対湿度)の両環境での伸び量を測定し、その差分(ΔL)を求め、次式を用いて吸湿線膨張係数を算出した。
吸湿線膨張係数(ppm/%RH)=(ΔL/50mm)/50%
なお、伸び量は、錘4の下部に設けた反射型のレーザマイクロゲージ5により、錘4の下部とレーザマイクロゲージ5との距離を測定することにより求める。
【0035】
本発明の中間転写ベルトに使用するポリイミド樹脂は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)をブレンドしたポリイミド樹脂を使用し、かつS成分とA成分の重量比(S/A比)が10/90〜40/60である。
【0036】
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂は、MITによる耐折性が良好で、引き裂き強度も高く、十分な機械特性は得られるが、吸湿時の寸法変化が大きいため、中間転写ベルトを長尺とした場合、環境変動により、ベルトに大きく伸びるため、搬送安定性に問題がある。
【0037】
吸湿時の寸法変化の抑制は、上記3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)をブレンドすることで達成できるが、特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)の比率を10重量%以上とした場合、大型ベルトにした場合でも吸湿時の寸法変化が小さくなり、環境変動した場合でもベルト搬送安定性を確保でき、かつ十分な機械特性/電気特性を得ることができる。
【0038】
一方、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)の比率を40重量%より多くした場合には、大型ベルトを作製した場合に、1つのベルト内での特性値のバラツキが大きくなる。
【0039】
したがって、大型ベルトを作製した場合でも、吸湿によるベルトの寸法変化が小さく、かつ1つのベルト内でも特性の大きなバラツキが生じず、十分な機械特性/電気特性を得るには、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)をブレンドし、かつS成分とA成分の重量比(S/A比)を10/90〜40/60とする必要がある。
【0040】
本発明に使用する中間転写ベルトは、ポリイミド樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有させることが好ましい。このような電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
【0041】
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられ、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施してもよい。
【0042】
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
【0043】
また、イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
【0044】
本発明では、中間転写ベルトに含有される電気抵抗調整材は、表面抵抗率の常用対数値で8〜13(LogΩ/□)、体積抵抗率の常用対数値で6〜12(LogΩ・cm)となる量が好ましいが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
【0045】
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。
【0046】
さらに好ましくは、10V印加時及び100V印加時の体積抵抗の常用対数値をρv10、ρv100とすると、その差ρv10−ρv100が2.0以下とすることが好ましい。このように抵抗の電圧依存性を少なくすることで、経時で安定した画像が得られる。
【0047】
次に、本発明に使用するポリイミド樹脂について説明する。
芳香族系のポリイミドは、芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られるが、本発明に使用するポリイミドは、芳香族多価カルボン酸無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンとしてp−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを使用する。
【0048】
以下の説明では、特に断りがない限りは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を芳香族多価カルボン酸無水物と記述し、p−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルは芳香族ジアミンと記述する。
【0049】
芳香族系のポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの反応により、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、)を合成し、このポリアミック酸の段階で様々な方法で成形加工が行われ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとされる。芳香族系のポリイミドを得る反応を例にその概略を下記式(1)に示す。
【0050】
【化1】

【0051】
ここで、Arは、
【0052】
【化2】

Arは、
【0053】
【化3】

である。
【0054】
芳香族系のポリイミドを得る場合には、上記芳香族多価カルボン酸無水物成分と芳香族ジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得、その後ポリアミック酸を脱水反応させて環化し、イミド化する。下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
【0055】
ここで、ポリアミック酸を得る際の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合溶媒として用いるのが望ましい。
溶媒は、前記ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0056】
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、先ず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種又は複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、又はスラリー状に分散させる。この溶液に前記した少なくとも1種の芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、通常−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
【0057】
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、先ず、芳香族テトラカルボン酸二無水物 又はその誘導体を有機溶媒に溶解又は分散させておき、この溶液中に前記芳香族ジアミン(略、「ジアミン」)を添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
【0058】
上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物又はその誘導体と、芳香族ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
【0059】
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液:「ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液」)は、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもでき、このように上市されている代表的なものとしては、U−ワニス(宇部興産社製)が挙げられる。
【0060】
合成又は入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じて充填剤(例えば、電気抵抗調整材、あるいは分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加剤)を混合・分散して塗工液が調製される。塗工液を後述のように支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行われる。
【0061】
ポリアミック酸は、前述のように加熱する方法(1)、又は化学的方法(2)によってイミド化することができる。
加熱する方法(1)は、ポリアミック酸を、例えば、200〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。
【0062】
一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(例えば、カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱する方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。
なお、ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが好ましい。
【0063】
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行われているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと、6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)は最も一般的な方法である。
【0064】
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)では、イミド化率を、例えば、下記式(a)のように定義する。
すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表される。
イミド化率(%)=[(A)/(B)]×100 ・・・ (a)
【0065】
この定義におけるイミド基のモル数は、FT-IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
【0066】
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm−1との吸光度比。
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比。
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比。
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,670cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比。
また、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
【0067】
本発明に使用する樹脂は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合しタポリイミド樹脂成分と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分をブレンドして使用するので、例えば、それぞれの樹脂のポリイミド前駆体溶液を混合攪拌したポリイミド前駆体溶液を使用することで作製可能である。
【0068】
次に、前記ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて中間転写ベルトを製造する方法について説明する。
【0069】
中間転写ベルトの成型方法として、遠心成形のように塗工液を金型(円筒状の型)の内面に塗布する方法も広く一般的に知られているが、ベルトの裏面側は金型と接しないエアー面であるため、ベルトの裏面は滑らかな表面になり、本発明の粗さのベルトを作製するのは難しい。
【0070】
そこで、本発明においては、ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液をノズルやディスペンサーによって金型(円筒状の型)の外面に塗布する方法が好ましい。この方法では金型外面に接する面が、ベルトの裏面になるので、金型外面に粗面加工を施せば、その粗面がベルトの裏面に反映されるため、金型外面にサンドブラストなどにより、ベルト裏面の表面粗さRaが0.2〜0.4μmとなるような粗面加工を施す。
【0071】
次いで、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又イミド化を行う。イミド化が完了後、徐冷して成形膜が形成された円筒状の型を取り出し、円筒状の型から離型(脱型)することにより、目的のシームレスベルト(中間転写ベルト)が得られる。
なお、円筒状の金型から離型を容易にするように、金型に離型剤または離型層を形成してもよい。
【0072】
本発明で使用するトナーは、好ましくは円形度が0.95以上である。このような球形に近いトナーを使用することで、転写率が向上し、高画質化が図れるが、円形度が0.98よりも大きいと、像担持体やベルト上の残留トナーの除去を行うクリーニング工程で、クリーニング不良が発生しやすくなる。そのため使用するトナーの円形度は0.95以上0.98以下とすることが好ましい。
【0073】
また、トナーは小径化することでドットの再現性が向上するので、トナーの体積平均粒径は、4μm以上8μm以下が好ましく、さらに4μm以上5.2μm以下とすること高精細な画像が得られる。ただし、トナーが小さすぎると、クリーニング工程でクリーニング不良が発生しやすくなるので、4μm以上の大きさが必要である、
なお、トナーの体積平均粒径及び円形度は、Sysmex製FPIA-2100を用いて測定した。
【0074】
本発明のトナーは、例えば、少なくともバインダー用の樹脂材料及び/又はそのプレポリマー、着色剤、離型剤を有機溶媒中に含むトナー材料の有機溶媒液を水系媒体中に微細液滴状に分散させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去すること、あるいは該分散している間若しくはその後に該液滴中のプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより製造することができる。
【0075】
好適には、少なくとも有機溶媒中に、活性水素を有する化合物及びこれと反応可能な部位を有する重合体、又は、分子内に活性水素及びこれと反応可能な部位を有すると同時に有する自己重合性材料、着色剤、離型剤を、好ましくはこれらを含有した組成物の形で、溶解又は分散させ、該活性水素と反応可能な部位を反応させた後、もしくは反応させながら、該有機溶媒及び水系媒体を除去し、洗浄、乾燥することにより製造することができる。
【0076】
トナーの円形度は、前記反応時に攪拌強さを調整したり、乾燥後に強強攪拌することで調整することもできる。また、樹脂材料又は/及びそのプレポリマーとしては、各種の材料を用いることができるが、特にポリエステル樹脂又は/及びポリエステルプレポリマーを好ましく用いることができる。
なお、これらは単なる一例であって、球形状トナーは、このような製法以外の方法で製造しても無論、かまわない。
【0077】
次に、本発明に使用する画像形成装置について説明する。本発明は、中間転写を使用し、高速かつ高耐久な画像形成装置である。そのため、本発明に使用する中間転写ベルトは、ベルト周長が2000mm以上であり、ベルト線速が350mm/sec以上で駆動する。
【0078】
本発明で使用する画像形成装置は、カラー画像印刷時でも高速印刷ができるように、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置が望ましく、図2は、このような画像形成装置の一例として、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK)、(21Y)、(21M)、(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタを示したものである。
【0079】
図2において、プリンタ本体(10)は、電子写真方式によるカラー画像形成を行うための画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部13の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行い、像坦持体(感光体)上に潜像を形成する。
【0080】
画像形成部(13)の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)は、通常OPC感光体が用いられ、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、各像坦持体(感光体)上の潜像を現像してトナー像とするための黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)は、トナーとキャリアとからなる2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。
【0081】
ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0082】
一方、転写紙Pは、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に担持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
【0083】
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。このベルトクリーニング部材(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(27)が配設されている。この潤滑剤塗布装置(27)は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。特に小径トナーや円形度の高いトナーはクリーニング性が悪いので、潤滑剤を塗布することが望ましい。固形潤滑剤としては、従来公知の潤滑剤を使用できるが、特にステアリン酸亜鉛で良好なクリーニング性が得られる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
【実施例1】
【0085】
下記により塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルトを製造した。
[ベルトの作製]
<塗工液の調製>
先ず、S成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンを反応させたポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスS;宇部興産社製)と、A成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを反応させたポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)とを、U−ワニスSとU−ワニスAのポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)が10/90になるように計り取る。
【0086】
次いで、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように、N−メチル−2−ピロリドン中に調合、分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を収容したビーズミル中で、U−ワニスSとU−ワニスAとをよく攪拌混合して塗工液を調製した。
【0087】
<中間転写ベルトの製造>
次に、外径700mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した円筒状の金型Aを用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)してシームレスベルトを得た。次いで、このシームレスベルト端部を切断して、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.2μmの中間転写ベルトAを得た。
【0088】
[ベルトの特性値評価]
次に得られたベルトの特性値評価を行なった。測定項目及び測定方法を以下に示す。
【0089】
<ベルト裏面の表面粗さ>
ベルトの裏面(金型外面と接していた方の面)の表面粗さをJIS B0601:2001に準じ、東京精密社製(SURFCOM 1400D )で測定を行った。測定条件は測定速度0.6mm/sec、カットオフ値0.8mm、測定長さ2.5mmで行った。ベルト周方向に対して3箇所、ベルト幅方向に3箇所(中央部及び両端部)の合計9箇所(周方向3箇所×幅方向3箇所)で、ベルト裏面の計測を行い、その平均値を用いた。
【0090】
<体積抵抗の電圧依存性>
ハイレスター(三菱化学製)にて、URSプローブを使用して測定した。体積抵抗については、ベルトの裏面で測定を行い、10V/10秒印加時の測定、及び100V/10秒印加時の測定を行い、それぞれの体積抵抗値の常用対数をρv10、ρv100としたとき、その差分値(ρv10−ρv100)で、体積抵抗の電圧依存性を評価した。
【0091】
<表面抵抗のバラツキ>
ハイレスター(三菱化学製)にて、URSプローブを使用し、ベルト裏面の500V/10秒印加時の表面抵抗値を測定した。ベルト周方向に対して3箇所、ベルト幅方向に3箇所(中央部及び両端部)の合計9箇所(周方向3箇所×幅方向3箇所)で計測を行い、その平均値を用いた。
9箇所の表面抵抗値の常用対数値について、その平均値、及びMAX値とMIN値の比(MAX/MIN)を算出した。MAX値とMIN値の比(MAX/MIN)を表面抵抗のバラツキの評価値とした。
【0092】
<吸湿線膨張係数>
吸湿線膨張係数は、図1に示す装置において、シームレスベルトの中央部から所定形状(巾10mm、長さ70mm)に切断したサンプルのポリイミドシートを、アーム2、3の内端間の距離が50mmとなるように装着し、サンプルにかかる線圧が150g/cmになるようアルミニウム製の錘4の重量を調整した後、伸び測定装置を恒温恒湿槽に入れ、35℃/85%(RH:相対湿度)及び35℃/35%(RH:相対湿度)の両環境での伸び量を測定し、その差分(ΔL)を求め、次式を用いて吸湿線膨張係数を算出した。
吸湿線膨張係数(ppm/%RH)=(ΔL/50mm)/50%
なお、伸び量は、錘4の下部に設けた反射型のレーザマイクロゲージ5により、錘4の下部とレーザマイクロゲージ5との距離を測定することにより求めた。
これらの試験結果をまとめて表1に示す。
なお、表1中、体積抵抗ρvは、100V/10秒印加時の測定値である。
【0093】
[実機評価試験]
次に、作製したベルトの実機に装着した実機評価を行なった。
<評価画像形成装置>
上記の方法で作製したベルトの内周長2200mm、幅376mm、厚み60.2μmのベルトAを、図2に示すようなタンデム型の画像形成装置に装着し、中間転写ベルトを線速425mm/secで駆動させて、実機試験を行なった。
<評価トナー>
トナーは体積平均粒径が5.2μm、円形度0.95の重合法で作製したトナーAを使用した。
【0094】
<ランニング試験評価>
試験環境は2環境で行い、HH環境(32℃、80%)、LL環境(10℃、15%)、の順に環境を変えて試験を行なった。それぞれの環境で、印字率5%文字画像を100P/Jで100K枚出力する印刷試験を行った(合計200K枚)。異常画像の発生や機械に異常がないか確認を行い、各環境のランニング終了時には、全べた画像、ハーフトーン画像、細線画像の出力も行なった。べた画像の均一性、ハーフトーンの均一性、細線の再現性などについて、ランク見本によるランク付け画質の評価を行った。
ランク見本は、最高ランクが5であり、ランク2.5以上が実使用で許容できるレベルである。
【実施例2】
【0095】
<ベルトの作製>
U-ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で20/80に変更した以外は、実施例1と同様に作製して、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.3μmのベルトBを得た。ベルトBの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトBに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。その 試験結果は表2まとめて示す。
【実施例3】
【0096】
<ベルトの作製>
U-ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で40/60に変更した以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み61.4μmのベルトCを得た。ベルトCの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトCに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。
試験結果は表2にまとめて示す。
【実施例4】
【0097】
<ベルトの作製>
U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)を30/70に変更を行い、金型を金型B(金型Aと同じサイズで表面をサンドブラスト処理しているが、金型Aよりも表面粗さが大きい金型)に変更した以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.8μmのベルトDを得た。ベルトDの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトDに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。その試験結果は表2にまとめて示す。
【実施例5】
【0098】
<ベルトの作製>
実施例2のベルトBと同様に作製を行って、ベルトEを得た。
<実機評価>
ベルトEを搭載して、重合法で作製したトナーB(体積平均粒径:6.8μm、円形度:0.95)を使用した以外は実施例1と同様に評価を行なった。その試験結果を表2まとめて示す。
【実施例6】
【0099】
<ベルトの作製>
実施例2のベルトBと同様に作製を行って、ベルトFを得た。
<実機評価>
ベルトFを搭載して、重合法で作製したトナーC(体積平均粒径:8.1μm、円形度:0.95)を使用した以外は実施例1と同様に評価を行なった。その試験結果を表2にまとめて示す。
【実施例7】
【0100】
<ベルトの作製>
実施例2のベルトBと同様に作製を行って、ベルトGを得た。
<実機評価>
ベルトGを搭載して、粉砕法で作製したトナーD(体積平均粒径:8.4μm、円形度:0.93)を使用した以外は実施例1と同様に評価を行なった。その試験結果を表2にまとめて示す。
【0101】
[比較例1]
<ベルトの作製>
U-ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で20/80に変更を行い、金型を金型C(金型Aと同じサイズで表面をサンドブラスト処理しているが、金型Aよりも表面が滑らかな金型)に変更を行った以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み59.8μmのベルトHを得た。ベルト特性を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトHに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。LL環境の試験において、ベルトの偏倚によりベルト端部側に激しい損傷が発生した。画像端部に画像の乱れが発生しため、その後の試験を中止している。その試験結果を表2に示す。
【0102】
[比較例2]
<ベルトの作製>
U-ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で40/60に変更を行い、かつ使用する金型を実施例4で使用した金型Bに変更した以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.4μmのベルトIを得た。ベルトIの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトIに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。
HH環境の試験において、ベルトスリップによる色ずれが多発したため、試験を中止した。その試験結果を表2に示す。
【0103】
[比較例3]
<ベルトの作製>
U-ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で5/95に変更を行った以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.8μmのベルトJを得た。ベルトJの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトJに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。
HH環境の試験において、ベルトスリップによる色ずれが多発したため、試験を中止した。その試験結果を表2に示す。
【0104】
[比較例4]
<ベルトの作製>
U-ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で50/50に変更を行った以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.9μmのベルトKを得た。ベルトKの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトKに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。その試験結果を表2にまとめて示す。
【0105】
[比較例5]
<ベルトの作製>
使用したワニスが、U−ワニスSを混合せず、U-ワニスAのみとした以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.1μmのベルトLを得た。ベルトLの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトLに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。HH環境の試験において、ベルトスリップによる色ずれが多発したため、試験を中止した。その試験結果を表2に示す。
【0106】
[比較例6]
<ベルトの作製>
使用したワニスが、U−ワニスAを混合せず、U-ワニスSのみとして、かつ塗工方法を円筒内面を鏡面加工を施した処理した金型Dを使用し、ディスペンサーで金型Dの内面に塗布液を一様に塗布/乾燥/硬化を行なう遠心成型法で作製した以外は、実施例1と同様に作製を行い、周長2200mm、幅長376mm、厚み60.1μmのベルトMを得た。ベルトMの各種特性値を表1にまとめて示す。
<実機評価>
装着したベルトをベルトMに変更した以外は、実施例1と同様に評価を行なった。
LL環境の試験において、ベルトの偏倚によりベルト端部側に激しい損傷が発生した。画像端部に画像の乱れが発生しため、その後の試験を中止している。その試験結果を表2に示す。
【0107】
【表1】

ここで、吸湿線膨張係数は、ppm/%RH、表面抵抗ρsは、LogΩ/□、体積抵抗率ρvは、LogΩ・cmである。
【0108】
【表2】

【0109】
表1、2に示すように、実施例1〜7では、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)との重量比(S/A)が10/90〜40/60、裏面の表面粗さRaが0.2〜0.4μm、吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下の規定を満たし、表面抵抗のバラツキも小さいため、画質の評価も、ランク2.5以上であり実使用で許容できるレベルである。
【0110】
また、実施例5〜7では、用いるトナーの粒径が大きいため、画質のランクも2.5〜3.5であるが、トナーの粒径を小さくした実施例1〜4では、画質のランクが3.5以上を示し、特に、電圧依存性も小さい実施例1、2では、画質のランクは4を示している。
【0111】
一方、比較例1、6では、ベルト裏面の表面粗さRaが小さいため、駆動ローラとベルトの摩擦力が大きく、走行中にベルトの偏倚が発生し、ベルト端部の損傷がひどくなり、比較例2では、ベルトの裏面の粗さが大きく、ベルトと駆動ローラの接触面積が減少するため、駆動ローラとベルトの間でスリップが発生し、比較例3、5では、樹脂中のS成分が少ないかないため、吸湿線膨張係数が大きく、中間ベルトの走行中に大きな伸びにより、ベルトがスリップし、色ずれが発生している。また、比較例4では、樹脂中のS成分が高いため、表面抵抗のバラツキが大きく、電圧依存性も大きいため、べたやハーフトーンでは、画像のランクも2となり、実用上許容できる範囲とならない。
【0112】
このように、本発明は、中間転写ベルトの裏面(内側の面)の表面粗さRaを0.2μm〜0.4μm、ベルトの吸湿線膨張係数を22ppm/%RH以下、ベルトに使用するポリイミド樹脂を、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラアルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とをブレンドし、かつS成分とA成分の重量比(S/A)を10/90〜40/60とすることで、中間転写ベルトを2000mm以上の周長とし、線速を350mm/sec以上の高速駆動させた画像形成装置であっても、中間転写ベルトのスリップや伸びを発生せず、色ずれもない優れた画像が形成できるものである。
【符号の説明】
【0113】
1 伸び張測定装置
2、3 アーム
4 錘
5 レーザマイクロゲージ
11 画像形成装置
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 像坦持体
22 中間転写ベルト
23 バイアスローラ
25 クリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスロール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【特許文献1】特開2008−225182
【特許文献2】特開2005−74914
【特許文献3】特開2001−142313
【特許文献4】特開2004−77576

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体上に形成されたトナー像を350mm/sec以上で駆動する中間転写ベルトを介して記録媒体へ転写する画像形成装置であって、
前記中間転写ベルトが、少なくともポリイミド樹脂から形成され、周長が2000mm以上、裏面(内側の面)の表面粗さRaが0.2〜0.4μm、吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下であり、前記ポリイミド樹脂が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とがブレンドされ、該S成分とA成分の重量比(S/A)が10/90〜40/60であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写ベルトが、10V印加時及び100V印加時の体積抵抗の常用対数値をそれぞれ、ρv10、ρv100としたとき、その差ρv10−ρv100が2.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー像を形成するトナーの円形度が、0.95〜0.98であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー像を形成するトナーの体積平均粒径が、4μm〜8μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー像を形成するトナーの体積平均粒径が、4μm〜5.2μmであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間転写ベルトの表面に潤滑剤を塗布する固形潤滑剤塗布装置を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記潤滑剤がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−88650(P2012−88650A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237365(P2010−237365)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】