説明

トナー製造方法

本発明は、ポリマーを含有する有機溶液中に分散された孔安定化親水コロイドを含む第1水性相の第1エマルジョンを用意する工程を含んで成るトナー粒子の製造方法である。該第1エマルジョンは、第2水性相中に分散されて、該第2水性相中に該第1エマルジョンの液滴を形成するために、該安定剤の存在下で、剪断される第2エマルジョンを形成する。該有機溶を該液滴から蒸発させてトナー粒子を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔率が高められた新規なトナー粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベンショナルな静電写真トナー粉末は、加熱されたロール上又は押出機内で溶融ブレンドされる、バインダーポリマー並びに顔料及び電荷制御剤等のその他の成分から形成される。結果として生じた固化ブレンドが、次いで粉末を形成するために粉砕又は微粉砕される。このコンベンショナルな方法には、或る欠点が内在する。例えば、バインダーポリマーは、粉砕を容易にするために砕けやすくなければならない。改良された粉砕は、高分子バインダーの低分子量のとことろで、達成することができる。しかしながら、低分子量のバインダーはいくつかの欠点を有している。これらのバインダーは、トナー/現像剤フレークを形成する傾向があり、これらは、電子写真現像剤組成物のためにトナー粉末と混和されるキャリヤ粒子のスカム形成を促進し、これらの溶融弾性が低いことにより、電子写真複写機の高温フューザーローラへのトナーのオフセットが増大し、またバインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)を制御するのが難しい。加えて、ポリマーの粉砕は粒子サイズ分布を広くしてしまう。結果として、有用なトナーの収率は低くなり、製造コストが高くなる。また、トナー微粒子が複写機の現像ステーション内に蓄積し、現像装置の寿命に不都合な影響を与える。
【0003】
トナーの化学的調製法、例えば「蒸発による限定凝集(ELC:Evaporative Limited Coalescence)」法によって、予め形成されたポリマーからトナーポリマー粉末を調製することは、コンベンショナルな粉砕によるトナー粒子製造方法を凌ぐ数多くの他の利点を提供する。この化学的調製法において、水と不混和性の溶媒中にポリマーの溶液を形成し、こうして形成された溶液を、固形コロイド安定剤を含有する水性媒体中に形成するように、好適な剪断と混合条件下で分散し、溶媒を除去することにより、サイズ分布の狭いポリマー粒子が得られる。結果としてのポリマー粒子は次いで単離され、洗浄され、そして乾燥させられる。
【0004】
この技法の実施に際して、トナー粒子は、水と不混和性の溶媒中に可溶性の任意のタイプのポリマーから調製される。従って、結果として生じる粒子のサイズ及びサイズ分布は、使用する特定のポリマーの相対量、溶媒、水不溶性固形粒状懸濁液安定剤、典型的にはシリカ又はラテックスの量及びサイズ、並びに溶媒−ポリマー液滴がロータ−ステータ型コロイド・ミル、高圧ホモジナイザー、攪拌などを用いた機械的流動及び剪断によって低減されるサイズ、によって予め決められそして制御されることができる。
【0005】
このタイプの限定凝集技法は、このような技法が典型的には、実質的に均一なサイズ分布を有するトナー粒子を形成することになるため、静電トナー粒子の製造に関する数多くの特許明細書に記載されている。トナー製造において採用される代表的な限定凝集法は、米国特許第4,833,060号明細書、及び同第4,965,131号明細書(Nair他)に記載されている。
【0006】
この技法は以下の工程、すなわち:ポリマー材料、溶媒、並びに任意選択の着色剤及び電荷制御剤を混合することにより有機相を形成し;この有機相を、粒状安定剤を含む水性相中に分散し、そしてこの混合物を均一化し;溶媒を蒸発させ、結果として生じた生成物を洗浄して乾燥させる、工程を含んでなる。
【0007】
電子写真法(EP)において支持体に適用されるトナーの量を低減する要求がある。電子写真法における多孔質トナー粒子は、画像領域内のトナー質量を潜在的に低減することができる。単純化して述べるならば、多孔率50%のトナー粒子は、同じ画像形成結果を達成するために半分の質量しか必要としないことになる。従って、多孔率が高いトナー粒子ほど、1頁当たりのコストが低くなり、プリントのスタック高さも低減される。多孔質トナーの適用は、プリントのコストを軽減し、プリント品質を改善するための実際的なアプローチを提供する。
【0008】
米国特許第3,923,704号、同第4,339,237号、同第4,461,849号、同第4,489,174号、及び欧州特許第0083188号の各明細書には、ポリマービーズを形成するために第1エマルジョンを第2水性相中に混合することにより多重エマルジョンを調製することが論じられている。これらの製法は、多孔率に対してほとんど制御しない状態で、大きいサイズ分布を有するポリマー粒子を製造する。これはトナー粒子には適していない。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0026064号明細書には、多孔質トナー粒子が記載されている。しかし、その粒子全体を通して均一な孔分布を伴う粒子サイズ分布の制御は、問題である。本発明はこれらの問題点を解決し、多孔質粒子を製造するためのあまり複雑でない方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、多孔率が高められたトナー粒子を提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、狭いサイズ分布を有するトナー粒子を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、粒子を再現可能なように、そして狭いサイズ分布を有するように製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリマーを含有する有機溶液中に分散された孔安定化親水コロイドを含む第1水性相の第1エマルジョンを用意する工程を含んで成るトナー粒子の製造方法である。該第1エマルジョンは、第2水性相中に分散されて、該第2水性相中に該第1エマルジョンの液滴を形成するために、該安定剤の存在下で、剪断される第2エマルジョンを形成する。該有機溶を該液滴から蒸発させてトナー粒子を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の方法によって生成されたトナー粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像の断面像である。
【図2】図2は、本発明による例1のトナー粒子の走査電子顕微鏡(SEM)画像の断面像である。
【0015】
他の利点及びこれらの可能性とともに本発明をよりよく理解するために、前記図面と関連して下記説明及び添付の特許請求の範囲を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
電子写真法においてトナー粒子として多孔質粒子を使用すると、画像領域内のトナー質量を低減することになる。例えば、多孔率50%のトナー粒子は、同じ画像形成結果を達成するために半分の質量しか必要としない。従って、多孔率が高いトナー粒子ほど、1頁当たりのコストが低くなり、プリントのスタック高さも低減される。本発明の多孔質トナー技術は、画質を改善し、カールを低減し、画像の浮き上がりを低減し、溶融エネルギーを削減し、典型的なEP印刷ではなくむしろオフセット印刷に近いように感じる/見えるように、薄い画像を提供する。加えて、本発明の着色多孔質粒子は、カラープリントとモノクロプリントとの間のコストのギャップを狭める。これらの可能性は、EP法をより広範囲の適用分野に拡張し、またEP技術のより多くのビジネス・チャンスを推進するものと期待される。
【0017】
多孔質ポリマービーズが種々の用途において、例えばクロマトグラフィ・カラム、イオン交換及び吸収樹脂、薬物送達ビヒクル、組織工学のための骨格、化粧品用製剤、及び製紙及び塗料産業において使用されている。ポリマー粒子内部に孔を生成する方法は、ポリマー技術分野において知られている。しかし、トナーバインダー材料に対する具体的な要件、例えば好適なガラス転移温度、架橋密度、及びレオロジー、並びに高められた多孔率から生じる粒子脆弱性に対する感受性に起因して、多孔質トナーの調製は簡単ではない。本発明において、懸濁法、具体的にはELC法と併せて多重エマルジョン法を用いて、多孔質粒子を調製する。
【0018】
本発明の多孔質粒子は、「ミクロ」、「メソ」及び「マクロ」孔を含む。これらの孔はそれぞれ、国際純粋応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)に従って、それぞれ2nm未満、2〜50nm、及び50nm超の孔に対して推奨される分類である。多孔質粒子という用語は、本明細書中では、開いた孔又は閉じた孔を含む全てのサイズの孔を含むように使用される。
【0019】
本発明の多孔質粒子を製造する方法は、基本的には3工程プロセスを伴う。第1工程は、有機溶媒中に溶解されたバインダーポリマーの連続相中に微細に分散された孔安定化親水コロイドの第1水溶液を含む、安定な油中水エマルジョンの形成を要する。この第1水相は、本発明の粒子内に孔を形成し、そして孔安定化化合物は、粒子内の孔サイズ及び孔の数を制御する一方、最終的な粒子が砕けやすくないか又は容易に破砕されることがないように孔を安定化する。
【0020】
本発明の実施において、好適な孔安定化親水コロイドは、天然及び合成の、水溶性又は水膨潤性ポリマー、例えばセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムとも呼ばれるカルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチン、例えばアルカリ処理ゼラチン(例えば牛骨又は牛皮ゼラチン)、又は酸処理ゼラチン(例えば豚皮ゼラチン)、ゼラチン誘導体、例えばアセチル化ゼラチン、及びフタル酸ゼラチンなど、タンパク質及びタンパク質誘導体のような物質、合成高分子バインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリビニルアセタール、アルキル及びスルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、加水分解ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリビニルピリジン、メタクリルアミドコポリマー、水溶性ミクロゲル、高分子電解質、及びこれらの混合物を含む。
【0021】
最初の第1工程の油中水エマルジョンを熟成又は凝集なしに保持できるように安定化するために、所望の場合には、水相中の親水コロイドは、油中の水の溶解度に応じて油相中のバインダーの浸透圧よりも高い浸透圧を有することが好ましい。これは、油相内への水の拡散を劇的に低減し、ひいては、水滴間の水の移動によって引き起こされる熟成を低減する。親水コロイドの濃度を高めるか又は親水コロイド上の電荷を高めることにより、水相中の高い浸透圧を達成することができる(親水コロイド上の解離電荷の対イオンが、親水コロイドの浸透圧を高くする)。pHを変化させることにより親水コロイドの浸透圧が制御されるのを可能にする弱塩基又は弱酸部分を、孔安定化親水コロイド中に有することが有利である場合がある。われわれは、これらの親水コロイドを「弱解離親水コロイド」と呼ぶ。これらの弱解離親水コロイドの場合、解離を促すようにpHを緩衝することにより、又は解離を促すように水相のpHを変化させるために塩基(又は酸)を単純に添加することにより、浸透圧を高くすることができる。このような弱解離親水コロイドの好ましい例は、pH感受性解離を有するCMCである(カルボン酸塩は弱酸部分である)。CMCの場合、浸透圧は、例えばpH6〜8のリン酸緩衝剤を使用してpHを緩衝することにより、又は解離を促すように水相のpHを上昇させるために塩基を単純に添加することにより、増大させることができる(CMCの場合、pHが4〜8から増大するのに伴って浸透圧が急上昇する)。
【0022】
他の合成高分子電解質親水コロイド、例えばポリスチレンスルホネート(PSS)又はポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)(PAMS)又はポリホスフェートも、考えられ得る親水コロイドである。これらの親水コロイドは、強解離部分を有している。これらの強解離高分子電解質親水コロイドに対応する電荷が強解離することにより、上述のように有利であり得る浸透圧のpH制御を行うことはできないものの、これらの系は、種々のレベルの酸不純物に対して鋭敏ではなくなる。このことは、種々のレベルの酸不純物、例えばポリエステルを有するバインダーポリマーと一緒に使用すると、これらの強解離高分子電解質親水コロイドにとって潜在的に有利である。
【0023】
孔安定化親水コロイドの本質的な特性は、水中の可溶性、多重乳化プロセスに不都合な影響を及ぼさないこと、及びこれらを静電写真トナーとして使用するときに、結果として生じる粒子の溶融レオロジーに不都合な影響を及ぼさないことである。孔安定化化合物は任意選択的に、トナーの静電帯電に影響を及ぼす表面への化合物の移動を最小限に抑えるように、孔内で架橋することができる。第1工程において使用される親水コロイドの量は、所望される孔の量及び孔のサイズ、並びに選択される親水コロイドの分子量及び電荷に依存することになる。特に好ましい親水コロイドはCMCであり、バインダーポリマーの0.5〜20重量パーセントの量、好ましくはバインダーポリマーの1〜10重量パーセントの量である。
【0024】
第1水性相はさらに、所望の場合には、溶液を緩衝するため、そして前記のように第1水性相の浸透圧を任意選択的に制御するための塩を含有していてよい。CMCの場合、浸透圧は、pH7リン酸緩衝剤を使用して緩衝することにより高くすることができる。CMCは、追加のポロゲン又は孔形成剤、例えば炭酸アンモニウムを含有していてもよい。
【0025】
上記のように、本発明は、水と不混和性の溶媒中に溶解することができる任意のタイプのバインダーポリマー又はバインダー樹脂から高分子粒子を調製することに適用することができる。このバインダー自体は実質的に水不溶性である。有用なバインダーポリマーは、ビニルモノマー、例えばスチレンモノマー、及び縮合モノマー、例えばエステル及びこれらの混合物から誘導されるポリマーを含む。バインダーポリマーとして、周知のバインダー樹脂を使用することができる。具体的には、これらのバインダー樹脂は、ホモポリマー及びコポリマー、例えばポリエステル、スチレン、例えばスチレン及びクロロスチレン;モノオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレン;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、及び酪酸ビニル;α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びドデシルメタクリレート;ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、及びビニルブチルエーテル;及びビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン及びビニルイソプロペニルケトンを含む。特に望ましいバインダーポリマー/樹脂は、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/アルキルアクリレートコポリマー、スチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂を含む。これらはさらに、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン、パラフィン及びワックスを含む。また、特に有用なのは、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸と、1つ又は2つ以上の脂肪族ジオールとのポリエステル、例えばイソフタル酸又はテレフタル酸又はフマル酸とジオール、例えばエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、及びエチレン又はプロピレンオキシドのビスフェノール付加物とのポリエステルである。好ましくは、ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラムとして表す)は、2〜100である。ポリエステルは飽和型又は不飽和型であってよい。これらの樹脂のうち、スチレン/アクリル及びポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0026】
本発明の実施では、25℃の20重量パーセント酢酸エチル溶液として測定して、1〜100センチポアズの粘度を有する樹脂を利用することが特に有利である。
【0027】
バインダー樹脂を溶解し、そしてまた水と不混和性である任意の好適な溶媒、例えばクロロメタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、塩化ビニル、トリクロロメタン、四塩化炭素、塩化エチレン、トリクロロエタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、及び2−ニトロプロパンなどを本発明の実施において使用することができる。本発明の実施において特に有用な溶媒は、両方とも多くのポリマーにとって良好な溶媒であると同時に、水中に難溶性であるという理由から、酢酸エチル及び酢酸プロピルである。さらに、これら両溶媒はその揮発性により、下記のような不連続相液滴から蒸発によって容易に除去されるようになっている。
【0028】
任意選択的に、バインダーポリマーを溶解し、そしてまた水と不混和性である溶媒は、上記のリストから選ばれた2種又は3種以上の水不混和性溶媒の混合物となることができる。任意選択的に、該溶媒は、上記溶媒のうちの1種又は2種以上と、バインダーポリマーに対する水不混和性の非溶媒、例えばヘプタン、シクロヘキサン、及びジエチルエーテルなどとの混合物を含んでもよく、この混合物は、乾燥及び単離前にバインダーポリマーを沈殿させるには不十分な比率で添加される。
【0029】
静電写真トナー中に一般に存在する種々の添加剤、例えば着色剤、電荷制御剤、及び剥離剤、例えばワックス及び潤滑剤を、溶媒中に溶解する前、溶解中又は溶解工程自体の後、バインダーポリマーに添加することができる。
【0030】
本発明の実施において使用するのに適した着色剤、顔料又は染料は、例えば米国再発行特許第31,072号明細書、及び米国特許第4,160,644号;同第4,416,965号;同第4,414,152号;及び同第2,229,513号の各明細書に開示されている。着色剤としては、周知の着色剤を使用することができる。着色剤は例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、DuPontオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、及びC.I.ピグメントブルー15:3を含む。着色剤は一般に、総トナー粉末重量を基準として1〜90重量パーセントの範囲、好ましくは2〜20重量パーセントの範囲、そして最も好ましくは4〜15重量パーセントの範囲で、本発明の実施において採用することができる。着色剤含有率は4重量%以上であると、十分な着色力を得ることができ、そして15%重量%以下であると、良好な透明性を得ることができる。着色剤の混合物を使用することもできる。任意の形態、例えば乾燥粉末、その水性分散体又は油分散体の形態の着色剤を本発明において使用することができる。媒体ミル又はボールミルのような任意の方法によって粉砕された着色剤を使用することもできる。着色剤は、油相又は第1水性相中に組み入れることができる。
【0031】
本明細書中に好ましく使用される剥離剤はワックスである。具体的には、本明細書中に使用することができる剥離剤は、低分子量ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブテン;加熱により軟化させることができるシリコーン樹脂;脂肪酸アミド、例えばオレアミド、エルカミド、リシノールアミド、及びステアラミド;植物性ワックス、例えばカルナバ・ワックス、ライス・ワックス、カンデリラ・ワックス、日本ろう及びホホバ油;動物性ワックス、例えば蜜ろう;鉱物及び石油ワックス、例えばモンタン・ワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィン・ワックス、微結晶ワックス、及びフィッシャー・トロプシュ・ワックス;及びこれらの改質生成物である。多孔率が高いワックス・エステルを含有するワックス、例えばカルナバ・ワックス又はカンデリラ・ワックスが剥離剤として使用されると、トナー粒子表面に曝露されるワックスの量は多い傾向がある。対照的に、多孔率が低いワックス、例えばポリエチレン・ワックス又はパラフィン・ワックスが使用されると、トナー粒子表面に曝露されるワックスの量は少ない傾向がある。
【0032】
トナー粒子表面に曝露される傾向のあるワックスの量とは無関係に、30〜150℃の融点を有するワックスが好ましく、そして40〜140℃の融点を有するワックスがより好ましい。
【0033】
ワックスは、例えば、トナーを基準として0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜8質量%である。
【0034】
「電荷制御」という用語は、結果として生じるトナーの摩擦電気的な帯電特性を改質するためのトナー添加物の性質を意味する。正帯電トナーのための極めて多様な電荷制御剤が利用可能である。負帯電トナーのための多数の、しかし正帯電トナーのためのものよりは数少ない電荷制御剤が、例えば米国特許第3,893,935号;同第4,079,014号;同第4,323,634号;同第4,394,430号の各明細書、及び英国特許第1,501,065号及び同第1,420,839号の各明細書に開示されている。電荷制御剤は一般に少量で、例えば、トナーの重量を基準として0.1〜5重量パーセントの量で採用される。有用な更なる電荷制御剤が米国特許第4,624,907号;同第4,814,250号;同第4,840,864号;同第4,834,920号;同第4,683,188号及び同第4,780,553号の各明細書に記載されている。電荷制御剤の混合物を使用することもできる。
【0035】
本発明の多孔質粒子を形成する際の第2工程は、米国特許第4,883,060号;同第4,965,131号;同第2,934,530号;同第3,615,972号;同第2,932,629号;及び同第4,314,932号の各明細書に記載された改変ELC法において、安定剤ポリマー、例えばポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコール、又はより好ましくはコロイダルシリカ、例えばLUDOX(登録商標)又はNALCO(登録商標)又はラテックス粒子を含有する第2水性相中に上述の油中水エマルジョンを分散することにより、水中油中水エマルジョンを形成することを伴う。
【0036】
具体的には、本発明の方法の第2工程において、油中水エマルジョンを、コロイダルシリカ安定剤を含有する第2水性相と混合することにより、液滴サイズを低減するがしかし第1油中水エマルジョンの粒子サイズを上回るようにするためのオリフィス装置を通して、剪断又は伸長混合又は同様の流動プロセスを施された液滴の水性懸濁液を形成し、そして限定凝集法を通して狭いサイズ分布液滴を達成する。第2水性相のpHは一般に、コロイド安定剤としてシリカを使用すると、4〜7である。
【0037】
第2水性相中の第1油中水エマルジョンの懸濁液滴は結果として、より大きいバインダーポリマー/樹脂液滴内部のより微細な液滴として、第1水性相を含有する油中に溶解されたバインダーポリマー/樹脂の液滴となる。これにより、乾燥すると、図1に示すように、バインダーポリマー/樹脂の結果として形成される粒子内に多孔質領域が生成される。液滴を安定化するために使用される実際のシリカ量は、典型的な限定凝集法と同様に所望される最終多孔質粒子のサイズに依存し、この最終多孔質粒子のサイズは、多重エマルジョンを形成するために用いられる種々の相の体積及び重量の比に依存する。
【0038】
本発明の第1工程を実施するために、任意のタイプの混合・剪断装置、例えばバッチ・ミキサー、プラネタリ・ミキサー、1軸又は多軸スクリュ押出機、動的又は静的ミキサー、コロイド・ミル、高圧ホモジナイザー、超音波処理機、又はこれらの組み合わせを使用することができる。本発明のこの工程には、いかなる高剪断タイプの攪拌装置も適用できるが、好ましい均一化装置は、Microfluidics Manufacturing製のMICROFLUIDIZER、例えばModel No.110Tである。この装置において、第1水相(不連続相)の液滴は高剪断攪拌ゾーン内で油相(連続相)中に分散されサイズが低減され、そしてゾーンを出ると、分散油の粒子サイズは連続相中に均一なサイズを有する分散液滴にまで低減される。プロセスの温度は、液滴の乳化のための最適粘度を達成するように、そして溶媒の蒸発を制御するように修正することができる。水中油中水エマルジョンが形成される第2工程の場合、第1エマルジョンの崩壊を防止するために、剪断又は伸長混合又は流動プロセスが制御され、そして、毛管オリフィス装置又はその他の好適なフロー構造を通してエマルジョンを均一化することにより、液滴サイズが低減される。
【0039】
第2エマルジョンに液滴を創出するのに用いられる剪断の場を、標準的な剪断構造、例えば、オリフィス板又は毛管を用いて創り出すことができる。しかし、フローの場を、フローに追加の外延的な構成要素を付与する、別の構造、例えば、充填層もしくはビーズ、又はスタックもしくはスクリーンを用いて創り出すこともできる。膜ベースの乳化機を用いて、複数のエマルジョンを創り出すことは文献では良く知られており、ここでは、この技法により、液滴サイズを、ボイド体積又はメッシュサイズを調節することによって、広範囲のサイズに設計することができ、広範囲の流速に適用することができる。
【0040】
本発明の方法において、許容し得る粒子サイズ及びサイズ分布を生成するのに適した背圧範囲は、100〜5000psi、好ましくは500〜3000psiである。好ましい流量は1分当たり1000〜6000mLである。
【0041】
粒子の最終サイズ、粒子の最終サイズ、及び粒子の表面形態は、内側水相と、バインダーポリマー/樹脂油相と、外側水相との浸透圧間の浸透圧不一致によって影響を及ぼされることがある。各界面において、存在する浸透圧勾配が大きければ大きいほど、油相中の水の溶解度及び拡散係数に応じて水が低浸透圧相から高い浸透圧相へ拡散する拡散速度が高くなる。外側水相又は内側水相が油相よりも低い浸透圧を有する場合には、水は油相内に拡散し、この油相を飽和させる。酢酸エチルの好ましい油相溶媒の場合、油相中にほぼ8重量%の水を溶解させることができる。外側水相の浸透圧がバインダー相よりも高い場合には、水は粒子の孔から移動し、多孔率及び粒子サイズを低減することになる。多孔率を最大化するためには、外側相の浸透圧が最も低く、これに対して内側水相の浸透圧が最も高くなるように順序付けることが好ましい。このように、水は、外側水相から油相内へ、次いで内側水相内へ浸透圧勾配に従って拡散し、孔のサイズを膨張させ、そして多孔率及び粒子サイズを高める。
【0042】
小さな孔を有し、また工程1のエマルジョン中に形成された最初の小さな液滴サイズを維持することが望ましい場合、内側及び外側の両水相の浸透圧は好ましくは一致させるべきであり、又は小さい浸透圧勾配を有するべきである。内側及び外側の水相の浸透圧が油相よりも高いことも好ましい。弱解離親水コロイド、例えばCMCを使用すると、酸又は緩衝剤、好ましくはpH4クエン酸緩衝剤を用いて外側水相のpHを変化させることができる。水素及び水酸化物イオンは、迅速に内側水相中に拡散し、そして外側相とpHを平衡させる。CMCを含有する内側水相のpHが降下すると、CMCの浸透圧が低下する。平衡されるpHを正しく設計することにより、親水コロイド浸透圧、ひいては最終多孔率、孔のサイズ及び粒子サイズを制御することができる。
【0043】
開いた孔(表面クレーター)があるか又は閉じた孔(表面シェル)があるかに関して表面形態を制御する方法は、2つの水相の浸透圧を制御することにより行われる。内側水相の浸透圧が外側水相に対して十分に低い場合、表面近くの孔が表面まで破裂して、このプロセスの第3工程の乾燥中に「開いた孔」の表面形態を形成する。
【0044】
本発明の多孔質粒子の調製における第3工程は、水溶液中に均一の多孔質ポリマー粒子の懸濁体を生成するように、バインダーポリマーを溶解するために使用された溶媒、及び第1水相のほとんど、の両方を除去することを伴う。乾燥中の速度、温度、及び圧力はここでも最終粒子サイズ及び表面形態に影響を及ぼす。明らかに、この過程の重要性の詳細は、乾燥過程の温度に対する有機相の水溶性及び沸点に依存する。溶媒除去装置、例えば回転蒸発器又はフラッシュ蒸発器が本発明の方法の実施に際して使用されてよい。濾過又は遠心分離によって溶媒を除去した後、ポリマー粒子を単離し、続いて、40℃の炉内で粒子を乾燥させ、この乾燥によって、第1水相から孔内に残っているいかなる水をも除去する。任意選択的に、シリカ安定剤を除去するために、粒子をアルカリで処理する。
【0045】
任意選択的に、上記多孔質粒子の調製における第3工程に先だって、溶媒の除去、単離、及び乾燥の前に、追加の水を添加してもよい。
【0046】
本発明の多孔質トナーの平均粒子直径は、例えば2〜50マイクロメートル、好ましくは3〜20マイクロメートルである。
【0047】
粒子の多孔率は、10%を上回り、好ましくは20〜90%であり、最も好ましくは30〜70%である。
【0048】
或いは、本発明の方法において、水不混和性重合性モノマーと、重合開始剤と、任意選択的に着色剤及び電荷制御剤との混合物中に孔安定化親水コロイドを乳化させることにより、油エマルジョン中の第1水相を形成してもよい。その結果生じたエマルジョンを次いで、この方法の第2工程において記載した安定剤を含有する水中に分散させることにより、好ましくは、限定凝集法を通して水中油中水を形成することができる。乳化混合物中のモノマーを第3工程において、好ましくは熱又は輻射線を加えることにより重合する。その結果生じた懸濁重合粒子を前記のように単離して乾燥させることにより、多孔質粒子を産出することができる。加えて、水不混和性重合性モノマーの混合物は、前記バインダーポリマーを含有することもできる。
【0049】
トナー粒子の形状は、静電トナー転写及びクリーニング特性と関係する。このように、例えば、トナー粒子の転写及びクリーニング効率は、粒子の真球度が低減されるにつれて改善することが判っている。トナー粒子の形状を制御するための数多くの手順が、当業者に知られている。本発明の実施において、必要ならば、第2水相中又は油相中に添加剤が採用されてよい。添加剤は、水中油中水エマルジョン形成の後又は前に添加されてよい。いずれの場合にも、溶媒が除去され、その結果粒子の真球度が低減されるのにつれて、界面張力は改変される。米国特許第5,283,151号明細書には、粒子の真球度を低減するためにカルナバ・ワックスを使用することが記載されている。“Toner Particles of Controlled Surface Morphology and Method of Preparation”と題される2006年12月15日付けで出願された米国特許出願第11/611,208号明細書には、真球度を制御するのに有用な或る特定の金属カルバミン酸塩を使用することが記載されており、また“Chemically Prepared Toner Particles with Controlled Shape”と題される2006年12月15日付けで出願された米国特許出願第11/621,226号明細書には、真球度を制御するために特定の塩を使用することが記載されている。また“Toner Partiles of Controlled Morphology”と題される2006年6月22日付けで出願された米国特許出願第11/472,779号明細書には、真球度を制御するためにテトラフェニルホウ酸第四アンモニウム塩を使用することが記載されている。
【0050】
本発明のトナー粒子は、表面処理剤の形態で流動助剤を含有してもよい。表面処理剤は典型的には、典型的な粒子サイズが5nm〜1000nmの無機酸化物又は高分子粉末の形態を成している。スペーシング剤としても知られる表面処理剤に関しては、トナー粒子上のスペーシング剤の量は、荷電された画像と関連する静電力によって又は機械力によってトナー粒子が二成分系内でキャリヤ粒子から剥ぎ取られるのを可能にするのに十分な量である。好ましい量のスペーシング剤は、トナーの重量を基準として、0.05〜10重量パーセント、そして最も好ましくは0.1〜5重量パーセントである。
【0051】
スペーシング剤は、コンベンショナル表面処理技術、例えばスペーシング剤の存在におけるトナー粒子のタンブルのようなコンベンショナル粉末混合技術によってトナー粒子の表面上に適用することができる。好ましくは、スペーシング剤は、トナー粒子の表面上に分配される。スペーシング剤は、トナー粒子の表面上に付着され、そして静電力又は物理的手段又はその両方によって付着することができる。混合を用いる場合、好ましくは均一な混合が、スペーシング剤が凝塊形成しないようにするか又は凝塊形成を少なくとも最小限にとどめるのに十分な、高エネルギーHenschel型ミキサーのようなミキサーによって達成される。さらに、トナー粒子の表面上に分配するためにスペーシング剤をトナー粒子と混合するときには、混合物を篩にかけることにより、凝塊形成されたスペーシング剤又は凝塊形成されたトナー粒子を除去することができる。凝塊形成された粒子を分離するための他の手段は、本発明の目的で使用することもできる。
【0052】
好ましいスペーシング剤は、シリカ、例えばR-972のような、Degussaから商業的に入手可能なシリカ、又はH2000のような、Wackerから商業的に入手可能なシリカである。他の好適なスペーシング剤の一例としては、他の無機酸化物粒子、又はポリマー粒子などが挙げられる。具体的な一例として、チアニア、アルミナ、ジルコニア、及びその他の金属酸化物;及び好ましくは直径1μm未満のポリマー粒子(より好ましくは0.1μm)、例えばアクリルポリマー、シリコーン系ポリマー、スチレンポリマー、フルオロポリマー、これらのコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【実施例】
【0053】
下記例によって本発明をさらに詳しく説明する。これらの例は、本発明の考えられ得る全ての変更形を網羅したものではない。
【0054】
下記例において使用されるKao Binder E(ポリエステル樹脂)は、日本国Kao Corporationの一部であるKao Specialties Americas LLCから入手した。カルボキシメチルセルロース分子量約90Kは、Acros Organicsから、ナトリウム塩として入手した。LUDOX TM(登録商標)(コロイダルシリカ)は、50重量パーセント分散体としてDuPontから入手した。
【0055】
粒子サイズ及び分布を、Coulter Particle Analyzerによって特徴付けした。Coulter測定からの体積中央値を使用することにより、これらの例に記載された粒子の粒子サイズを表した。
【0056】
本発明の粒子の多孔率の範囲を、一連の顕微鏡技術を用いて可視化した。破砕された試料を撮像し、そして内部孔構造を見るために、コンベンショナルな走査電子顕微鏡(SEM)撮像法を用いた。SEM画像は、粒子の多孔率の目安を与えるが、しかし通常は定量化のために使用されない。本発明の粒子の多孔率レベルを、複数の方法の組み合わせを用いて測定した。粒子の外径又は全径は、数多くの前述の粒子測定技術で容易に測定されるが、しかし粒子多孔率範囲の測定は問題をはらむおそれがある。典型的な重力法を用いた粒子多孔率の検出は、粒子内の孔のサイズ及び分布に起因して、また、粒子表面まで突破する孔があるか否かに起因して、問題をはらむおそれがある。本発明の粒子における多孔率範囲を正確に測定するために、コンベンショナルな直径サイズ測定法と飛行時間方法との組み合わせを用いた。コンベンショナルなサイズ測定法は、総体積置換法、例えばCoulter粒子サイズ測定器、又は画像に基づく方法、例えばSysmex FPIA3000システムを含む。本発明における粒子の多孔率範囲を測定するために用いられる飛行時間法は、Aerosizer粒子測定システムを含む。Aerosizerは、制御された環境内の飛行時間によって粒子サイズを測定する。この飛行時間は、材料の密度に決定的に依存する。Aerosizerで測定された材料は、多孔率に起因してより低い密度、又は例えば充填剤の存在に起因してより高い密度を有する場合、計算された直径分布は人工的にそれぞれ低い値又は高い値にシフトされることになる。この場合、代わりの方法(例えばCoulter又はSysmex)を介した真の粒子サイズ分布の独立した測定値を使用することにより、Aerosizerデータを、調節可能なパラメータとして粒子密度とフィットさせることができる。本発明の粒子の粒子多孔率範囲を測定する方法は、以下の通りである。Coulter又はSysmex粒子測定システムを使用して、外径粒子サイズ分布を先ず測定する。体積直径分布モードは、Aerosizer体積分布と一致させるための値として選ばれる。同じ粒子分布がAerosizerで測定され、粒子の見掛け密度が、2つの分布のモード(D50%)が一致するまで調節される。計算値と固形粒子密度との比が、粒子の多孔率範囲と見なされる。多孔率値は一般に、±10%の不確定性を有している。
【0057】
本発明の多孔質ポリマー粒子を、下記一般的な手順を用いて製造した。
【0058】
例1
CMCを使用した多孔質粒子の調製
CMC分子量90K(6.25グラム)を125グラムの蒸留水中に溶解した。これを、汎用粉砕ヘッドを備えたSilverson L4Rホモジナイザーを使用して6800 RPMで2分間にわたって85グラムのKao Eポリマー樹脂を含有する340グラムの酢酸エチル中に分散した。8900 psiの圧力でMicrofluidicsのMicrofluidizer Model #110Tを使用して、結果として生じた油中水エマルジョンをさらに均一化した。その結果生じる極めて微細な油中水エマルジョンの366gアリコートを、pH4緩衝剤及び4.2グラムのLUDOX TM(登録商標)を含む900グラムの第2水性相中に、再びSilversonホモジナイザーを使用して2分間にわたって2800RPMで分散し、続いてGaulinコロイド・ミル内で、約3800mL/分の流速で、均一化することにより、水中油中水二重エマルジョンを形成した。酢酸エチルを、低圧下で35℃のBuchi Rotovapor RE120を使用して蒸発させた。その結果生じるビーズ懸濁液を、ガラス濾過器を使用して濾過し、水で数回にわたって洗浄し、そして16時間にわたって35℃で真空炉内に緩衝させることにより、孔内に含有される水を含むビーズを乾燥させた。体積中央粒子サイズは10.9マイクロメートルであり、そして多孔率は42パーセントであった。この例の粒子のSEM断面図である図2は、高い多孔率レベル及びCMCによって安定化された不連続孔を示す。粒子は、高エネルギーHenschel型ミキサーを使用して、スペーシング剤、例えばR972ヒュームド・シリカで粒子の表面を処理した後、体積中央粒子サイズが10.8マイクロメートルで不変のままであるという事実によって実証されるように、いかなる脆性破壊傾向も示さなかった。
【0059】
例2対照例
例2において、粒子を例1に記載されているように製造したが、しかしここでは第1水相内にはCMCを伴わなかった。粒子は、いかなる実質的な孔も有さなかった。
【0060】
特定の好ましい態様を具体的に参照しながら、本発明を説明してきたが、本発明の思想及び範囲内で変更及び改変を加え得ることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーを含有する有機溶液中に分散された孔安定化親水コロイドを含む第1水性相の第1エマルジョンを用意する工程、
第2水性相中に該第1エマルジョンを分散させる工程、
該第2水性相中に該第1エマルジョンの液滴を形成するために、該安定剤の存在下で、該第2乳剤を剪断する工程、そして
該液滴から該有機溶液を蒸発させてトナー粒子を形成する工程
を含んで成るトナー粒子の製造方法。
【請求項2】
該トナー粒子を乾燥する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該トナー粒子を単離する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該ポリマーが、ビニルモノマー、縮合モノマー、縮合エステル及びこれらの混合物から形成されたものを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該ポリマーが、ポリエステル、スチレン、ビニルエーテル及びビニルケトンから成る群より選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該分散工程及び該剪断工程が同時に行われる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該有機溶液が、着色剤、ワックス及び電荷制御剤をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該親水コロイドが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、タンパク質、タンパク質誘導体、合成高分子バインダー、水溶性ミクロゲル、ポリスチレンスルホネート、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)及びポリホスフェートから成る群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該第1水性相が、緩衝剤塩類をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該安定剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、コロイダルシリカ又はラテックスポリマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該有機溶液が、酢酸エチル、酢酸プロピル、クロロメタン、ジクロロメタン、塩化ビニル、トリクロロメタン、四塩化炭素、塩化エチレン、トリクロロエタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、及び2−ニトロプロパンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
蒸発工程の前に、該有機溶液、水を該第2エマルジョンに加える請求項1に記載の方法。
【請求項13】
水不混和性重合性モノマー及び重合開始剤を含有する有機溶液中に分散された孔安定化親水コロイドを含む第1水性相の第1エマルジョンを用意する工程、
第2水性相中に該第1エマルジョンを分散させる工程、
該第2水性相中に該第1エマルジョンの液滴を形成するために、該安定剤の存在下で、該第2乳剤を剪断する工程、
該モノマーを重合させて、ポリマー粒子の液滴を形成する工程、そして
該液滴から該有機溶液を蒸発させてポリマー粒子を形成する工程
を含んで成るポリマー粒子の製造方法。
【請求項14】
該第1エマルジョンが、着色剤をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該第1エマルジョンが、電荷制御剤をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
該トナー粒子を単離する工程をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
該トナー粒子を乾燥する工程をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該親水コロイドが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、タンパク質、タンパク質誘導体、合成高分子バインダー、水溶性ミクロゲル、ポリスチレンスルホネート、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート)及びポリホスフェートから成る群から選ばれる請求項13に記載の方法。
【請求項19】
水不混和性重合性モノマー及び重合開始剤の混合物中に分散された孔安定化親水コロイドを含む第1水性相の第1エマルジョンを用意する工程、
第2水性相中に該第1エマルジョンを分散させる工程、
該第2水性相中に該第1エマルジョンの液滴を形成するために、該安定剤の存在下で、該第2乳剤を剪断する工程、そして
該モノマーを重合させて、ポリマー粒子の液滴を形成する工程
を含んで成るポリマー粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−517073(P2010−517073A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546396(P2009−546396)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/000262
【国際公開番号】WO2008/088697
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】