説明

トランスコーダを内蔵するデジタルストリーム再生装置

【課題】トランスコーダの使用者に対してはトランスコーダの使用をトランスコード終了まで保証し、トランスコーダの提供者に対しては電源オフの遅延をできるだけ短時間に留めること。
【解決手段】前記トランスコーダのトランスコード処理条件の変更を指示する指示手段と、前記トランスコード処理条件を制御し、前記トランスコード処理条件を変更する指示を受けた場合、前記指示に基づいて前記トランスコード処理条件を変更するトランスコード制御手段と、前記トランスコード制御手段のトランスコード処理条件に基づいてトランスコードするトランスコード手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルストリームのコーデックをトランスコードするトランスコーダを内蔵するデジタルストリーム再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家電製品をローカルネットワークで接続し連携動作をさせる家電連携技術が目覚しい進歩を遂げている。これまでの家電連携技術は人間が行う家電の操作をコマンドとしてネットワークを経由して家電間で相互に通信することにより、複数の機器があたかもシステムのように連携動作するといった程度のものであった。しかし、技術の進歩により、その連携する機能の単位はさらに細分化され、家電の持つハードウェア資源や演算能力資源といった、人間が直接見て取ることのできる家電の表面的な機能とは異なり、家電の内部の機能を家電間で相互に融通しあってあたかも一台の高性能な家電を使用しているかの如く動作させる家電連携技術が可能となっている。
【0003】
特に家電連携技術の進んでいるオーディオビジュアル家電(以降AV家電と称す)を例に上げて「資源」について説明する。ハードウェア資源の例としては、テレビチューナ、メモリ、HDD、記録型DVDドライブ等であり、演算能力資源の例としては、CPUの空き時間、MP(メディアプロセッサ)の空き時間、暗復号エンジンの空き時間等である。以降、ハードウェア資源と演算能力資源をまとめて機能資源と称す。これらの連携動作は、分散コンピューティングやグリットコンピューティングの家電応用と考えてよい。例えば、特許文献1では家電の機能資源を融通して動作する分散処理型映像処理装置が開示されている。
【0004】
上記の分散処理型映像処理装置は、機能資源を提供する側の家電としての特徴的な利用環境を一切考慮せずに常時電源が供給されていて、一旦機能資源を提供し始めるとその一連の処理が完了するまで機能資源の提供を条件変更することなしに継続しつづけるものである。
【0005】
また、クライアントがサーバ装置の資源を利用している時に実際に電源をオフされた場合に対しては、特許文献2にクライアントが居なくなるまで電源オフを遅延させるサーバ装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−290404号公報
【特許文献2】特開平11−345048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のサーバ装置の技術を単にそのまま前記分散処理型映像処理装置に適応しただけでは、クライアントによるトランスコーダの使用が終了するまで電源オフが遅延されるので、その遅延時間の間電力を消費してしまうという課題を有していた。
【0007】
また、前記分散処理型映像処理装置がモバイル機器であった場合は、電源オフせずともネットワークから取り外して持ち歩くオフライン状態への移行が想定される。その場合、オフラインにしたくてもクライアントによるトランスコーダの使用が終了するまで待たなければならないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、トランスコード中の装置が電源オフされた場合であってもトランスコーダの使用者に対してはトランスコーダの使用をトランスコード終了まで保証し、トランスコーダの提供者に対してはトランスコードの処理条件を変更し、トランスコードの処理を高速化し、無断な資源の使用をしないデジタルストリーム再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のデジタルストリーム再生装置は、第1のコード形式のデジタルストリームを第2のコード形式のデジタルストリームに変換するトランスコーダを内蔵するデジタルストリーム再生装置であって、前記トランスコーダのトランスコード処理条件の変更を指示する指示手段と、前記トランスコード処理条件を制御し、前記トランスコード処理条件を変更する指示を受けた場合、前記指示に基づいて前記トランスコード処理条件を変更するトランスコード制御手段と、前記トランスコード制御手段のトランスコード処理条件に基づいてトランスコードするトランスコード手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のデジタルストリーム再生装置によれば、トランスコーダの使用者に対してはトランスコーダの使用をトランスコード終了まで保証し、トランスコーダの提供者に対してはトランスコードの処理条件を変更し、トランスコードの処理を高速化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、まず、使用の形態を表現した図1を説明する。具体的には機能資源がトランスコーダの場合である。これは比較的安価であったり比較的旧式であったりして再生可能なデジタルストリームの種類が限定されたデジタルストリーム再生装置によって、未対応のデジタルストリームを家電連携により他の比較的高機能なデジタルストリーム再生装置に内蔵されたトランスコーダを借りてデジタルストリームを再生する場合である。
【0013】
この利用形態において家電連携は何も一個人が所有する家電間のみで行われる訳ではなく、友人や他人で所有する家電であっても、お互いの家電のトランスコーダを融通しあうことが可能である。その場合ネットワークはローカルネットワークではなくインターネットであるかも知れないが、ネットワークが何であるかは本願の主眼ではない。例えば、友人の家電のトランスコーダを使用する場合は、友人の家電の処理に負担をかけないよう一定の処理レートでトランスコードをする。しかし、友人の家電の使用状況は友人に依存するため、トランスコード中に電源をオフされる可能性がある。以下、各構成について説明する。
【0014】
デジタルストリーム再生装置101(以下、再生装置101と呼ぶ)は、再生できるデジタルストリームのコード形式が限定されているデジタルストリーム再生装置である。ここでは、再生装置101のディスクドライブには再生装置101では再生することの出来ないコード形式のデジタルストリームが記録されたディスクメディアが挿入されているとする。例えば、再生装置101は、MPEG2形式のデジタルストリームの再生には対応しているが、MPEG4のデジタルストリームの再生には対応しておらず、再生装置101のディスクドライブにMPEG4のデジタルストリームが記録されている場合を想定している。
【0015】
再生装置101のユーザ105はディスクメディアのデジタルストリームの再生を再生装置101に指示する。再生装置101は自装置で再生できないことを検出すると、ユーザ105の指示を実行するためにネットワーク103越しにトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置104のトランスコーダを使用して、自装置で再生できるコード形式に変換させ、変換後のデジタルストリームを再生する。
【0016】
テレビ受像機102aと102bは、再生されるオーディオビデオ(以降AVと称す)を表示するテレビ受像機である。例えば液晶テレビやプラズマテレビなどがある。
【0017】
ネットワーク103はデジタルストリームやコマンドを伝送する。
【0018】
トランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置104(以下、再生装置104と呼ぶ)は、高機能であるため再生できるデジタルストリームのコード形式が豊富なデジタルストリーム再生装置である。よって、比較的新しいコード形式のデジタルストリームを再生することが可能である。
【0019】
ここでは、ディスクドライブに比較的新しいコード形式のデジタルストリームが記録されたディクスメディアが挿入されているとする。また、再生装置104のユーザ106はディスクメディアのデジタルストリームを視聴中であるとする。
【0020】
図2は本発明における再生装置104のハードウェア構成図である。図2に示す再生装置104のハードウェアは、CPU201、高機能MP202、NIC203、ROM204、RAM205、スイッチ入力回路206、電源制御回路207、ディスクドライブ208、AV出力回路209、CPUバス210、スイッチ211から構成され、スイッチ211はさらに電源スイッチ214、再生スイッチ215、停止スイッチ216から構成されている。
【0021】
ここで、CPUはCentral Processing Unit、MPはMedia Processer、NICはNetwork Interface Controller、ROMはRead Only Memory、RAMはRandom Access Memoryの略称である。
【0022】
CPU201はトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の制御ソフトウェアを実行する。
【0023】
高機能MP202はデジタルストリームをデコードしたりエンコードしたりコード形式をトランスコードしたりする。
【0024】
NIC203はデジタルストリームやコマンド等の通信データをネットワーク回線と送受信する。
【0025】
ROM204は制御ソフトウェアを格納し、RAM205は制御ソフトウェアが使用するワークメモリとして使用される。
【0026】
スイッチ入力回路206は電源スイッチ214、再生スイッチ215、停止スイッチ216の状態を検知する。
【0027】
電源制御回路207はトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の電源212を停止スイッチ216の状態に基づいてオフする。
【0028】
ディスクドライブ208はデジタルストリームが記録されたディスクメディア213をドライブする。ここで、ディスクメディア213には自装置でデコードできるコード形式のデジタルストリームが記録されているとする。
【0029】
AV出力回路209は、高機能MP202によりデジタルストリームをデコードした結果であるAVを出力する。
【0030】
CPUバス210はROM204やRAM205から命令コードをCPU201に伝達し、CPUバス210に接続された全ての構成要素とCPU201の間で双方向にデータを伝達する。
【0031】
スイッチ211は電源スイッチ214、再生スイッチ215、停止スイッチ216の状態をスイッチ入力回路206へ伝達する。
【0032】
図3は本発明におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置へトランスコードを依頼する再生装置101のハードウェア構成図である。図3に示す再生装置101のハードウェアは、低機能MP302を除いて図2の再生装置104と共通である。したがって、低機能MP302についてのみ説明する。
【0033】
なお、再生装置101は、自装置で再生できないデジタルストリームがあればよいので、この構成に限られない。
【0034】
低機能MP302はデジタルストリームをデコードする。しかしながら、低機能で設計されているためデコードできるデジタルストリームが限定されている。したがって、高機能MP202に比べてデコードできるデジタルストリームのコード形式が限られている。
【0035】
なお、ディスクメディア313には、装置101ではデコードできないコード形式のデジタルストリームが記録されているとする。
【0036】
図4は本発明における再生装置104の機能を示すブロック図である。図4に示す再生装置104は、再生制御部401、読出部402、デコード部403、AV出力部404、スイッチ監視部405、電源制御部406、トランスコード制御部407、受信制御部408、トランスコード部409、デジタルストリーム送信部410、パラメータ保持部411、通信イベント変換テーブル413から構成される。
【0037】
再生制御部401は、ディスクドライブ208に挿入したディスクメディア213のデジタルストリームの再生を制御する。具体的には、再生制御部401は、スイッチ監視部405からの再生操作イベントなどの指示を受け、スイッチ監視部405に停止操作が有るかを問い合わせする。また、読出部402に読出し指示、デコード部403にデコード指示、AV出力部404に出力指示を出し、それぞれから完了通知を受ける。
【0038】
読出部402は、ディスクドライブ208に挿入したディスクメディア213からデジタルストリームを読み出し、読み出したデジタルストリームをデコード部403に出力する。
【0039】
デコード部403は、読出部402から受け取ったデジタルストリームを高機能MP202を使用して非圧縮のデジタルオーディオデータとデジタルビデオデータにデコードし、デジタルオーディオデータとデジタルビデオデータとをAV出力部404に出力する。
【0040】
AV出力部404は、デジタルオーディオデータとデジタルビデオデータとをテレビ受像機102bに出力する。
【0041】
スイッチ監視部405はスイッチ入力回路206のセンス状態の変化を監視し、電源スイッチ214が押された場合は電源オフイベントを電源制御部406に向けて発行し、再生スイッチ215が押された場合は再生操作イベントを再生制御部401に向けて発行する。また、停止スイッチ216が押された場合は停止操作が有った事を保持し、再生制御部401からの停止操作有無の問い合わせに応答する。
【0042】
電源制御部406はスイッチ監視部405からの電源オフイベントを受け付け、トランスコードの条件を変更するため変更イベントをトランスコード制御部407に通知し、トランスコードの終了を待って電源212をオフする。また、受信制御部408からトランスコード開始イベントを受け付けた場合、変更イベントをトランスコード制御部407に通知し、トランスコード終了イベントを受け付けた後、トランスコード制御部407からトランスコードの完了が通知されると電源をオフする。
【0043】
トランスコード制御部407は、電源制御部406からトランスコード開始イベント、を受け付けるとパラメータ保持部411が保持するパラメータを取得する。次に、受信制御部408からデータブロックイベントを受け付けると、トランスコードを開始するためトランスコード部409に指示を出し、トランスコード後のデータを送信するためデジタルストリーム送信部410に指示を出す。また、トランスコード部409からトランスコード終了通知を受け、デジタルストリーム送信部410からデジタルストリーム送信終了通知を受けると電源制御部406にトランスコード完了を通知する。
【0044】
さらに、トランスコード制御部407は、電源制御部406から変更イベントを受け付けるとパラメータ保持部411が保持するパラメータを変更し、変更後のパラメータでトランスコードをするようトランスコード部409に指示を出す。
【0045】
受信制御部408は、NIC203がデータパケットを受信するのを待ち、データパケットが受信された場合は通信イベント変換テーブル413に基づきデータパケットの種別に応じて所定の宛先に所定のイベントを発行する。また、受信したデータブロックをトランスコード部409に出力する。ここで、データパケットは各種コマンドやデジタルストリームを分割したデータブロックを含む。
【0046】
トランスコード部409は、受信制御部408が受信したデータパケットのうちデータブロックを、高機能MP202を使用してトランスコードし、トランスコードした後のデータブロックをデジタルストリーム送信部410へ出力する。
【0047】
デジタルストリーム送信部410は、トランスコードした後のデータブロックをNIC203へ渡す。
【0048】
パラメータ保持部411は、デコードやトランスコードの設定条件であるパラメータを保持する。パラメータは予め設定されていてもよいし、ユーザが設定してもよい。さらには、トランスコードするデータに基づいてその都度設定されてもよい。
【0049】
通信イベント変換テーブル413は、受信制御部408が受信したデータパケットに対応した所定のイベントを検索するためのテーブルである。通信イベント変換テーブル413の詳細については図10を用いて後述する。
【0050】
図5は本発明における再生装置104へトランスコードを依頼する再生装置101の機能を示すブロック図である。図5に示した再生装置101のソフトウェアは、再生制御部501、トランスコード依頼制御部502、デコード部503、AV出力部504、コマンド送信部505、受信バッファ506、デジタルストリーム受信部508、デジタルストリーム送信部510から構成される。また、装置101は本発明において、自装置で再生できないデジタルストリームを再生装置104へ送信できればよいので、必ずしも図5の構成でなくてもよい。
【0051】
再生制御部501は、トランスコードされて受信バッファに保持されているデジタルストリームが、デコード部503でデコードされ、AV出力部504でデコード後のAVが出力される一連の動作を制御する。
【0052】
トランスコード依頼制御部502はディスクドライブ208に挿入したディスクメディア213からデジタルストリームを読み出し、自装置でデコードできないコード形式のデジタルストリームデータである場合は、再生装置104に読み出したデジタルストリームのトランスコードをコマンド送信部505に依頼する。読み出したデータブロックをデジタルストリーム送信部510が送信し、トランスコードされた後のデータブロックをデジタルストリーム受信部508が受信する一連の動作を制御する。
【0053】
コマンド送信部505は、トランスコード依頼制御部502から再生装置104へのトランスコードの開始、終了の通知を受け取ると、トランスコード開始コマンド、トランスコード終了コマンドをNIC303へ渡す。
【0054】
デジタルストリーム送信部510は、トランスコード依頼制御部502から指示を受けるとトランスコード前のデジタルストリームをNIC303へ渡す。
【0055】
デジタルストリーム受信部508はトランスコードされた後のデジタルストリームをNIC203から受け取り、受信バッファ506に出力する。
【0056】
受信バッファ506は、デジタルストリーム受信部508が受信したトランスコード後のデジタルストリームを一時的に保持し、保持しているデジタルストリームをデコード部503に出力する。
【0057】
デコード部503は、受信バッファ506が保持するデジタルストリームを、低機能MP302を使用して非圧縮のデジタルオーディオデータとデジタルビデオデータにデコードする。また、デジタルオーディオデータとデジタルビデオデータとをAV出力部504に出力する。
【0058】
AV出力部504はデジタルオーディオデータとデジタルビデオデータをテレビ受像機102aに出力する。
【0059】
スイッチ監視部507はスイッチ入力回路306のセンス状態の変化を監視し、再生スイッチ315が押された場合は再生操作イベントを再生制御部501とトランスコード依頼制御部502に向けて発行する。また、停止スイッチ316が押された場合は停止操作が有った事を保持し、再生制御部501とトランスコード依頼制御部502からの停止操作有無の問い合わせに応答する。
【0060】
続いて、本発明における再生装置104の処理の流れについて図6、図7、図8、図9のフローチャートを用いて説明する。ここで再生装置104の処理はマルチタスク実行できることを前提に説明する。
【0061】
図6は再生装置104の再生制御部401、読出部402、デコード部403、AV出力部404の処理の流れを示したフローチャートである。
【0062】
再生制御部401はイベントを受取るまでイベントを待ち、イベントを受取った場合S102へ進む(S101)。
【0063】
次に、再生制御部401は、受取ったイベントがユーザの再生操作を示すイベントであれば、S103へ進み、再生制御部401は受取ったイベントがユーザの再生操作を示すイベントでなければ、S101へ戻る(S102)。
【0064】
再生制御部401は、受け取ったイベントがユーザの再生操作を示すイベントである場合、デジタルストリームの再生位置をカウントするrd_blkに0を代入し、高機能MP202がデジタルストリームの先頭からデコードできるように初期化する。また、これから再生するデータブロックのENDを設定し、S104へ進む(S103)。
【0065】
ここで、END設定とは、これから再生するデジタルストリームのファイルサイズや総データブロック数を設定することである。また、END設定は後述するS104において、最初に読み出すデータブロックにファイルサイズや総データブロック数を格納するようにしておき、そのデータブロックを読み出した時にEND設定をするようにしてもよい。なお、ファイルサイズを取得した場合には、ファイルサイズからデータブロックサイズを除算して得られた値をENDとする。
【0066】
読出部402は、ディスクドライブ208に挿入されたディスクメディア213からデジタルストリームのrd_blk番目のデータブロックを読み出した後、デコード部403へデータブロックを出力し、S105へ進む(S104)。
【0067】
デコード部403は、読出部402から受け取ったデータブロックを高機能MP202へ転送し、高機能MP202を用いてデータブロックをデコードし、S106へ進む(S105)。
【0068】
AV出力部404は、デコードで得たAVデータを高機能MP202からAV出力回路へ転送し、S107へ進む(S106)。
【0069】
再生制御部401は、AVデータのAV出力回路への転送が終了すると、rd_blkに1を加算し、S108へ進み(S107)、ユーザによるデジタルストリーム再生の停止操作が有ったか、またはrd_blkがデジタルストリームの最終ブロック(END)に達したかを判定する(S108)。いずれかの条件が満たされた場合S101へ戻り(S108Yes)、そうでない場合S104へ戻る(S108No)。
【0070】
図7は再生装置104のトランスコード制御部407、トランスコード部409、デジタルストリーム送出部410の処理の流れを示したフローチャートである。
【0071】
トランスコード制御部407はイベントを受取るまでイベントを待ち、イベントを受取った場合S202へ進む(S201)。
【0072】
トランスコード制御部407は受取ったイベントがトランスコード開始イベントの場合S203に進み、データブロックイベントの場合S204に進み、電源オフイベントの場合S206へ進む(S202)。
【0073】
トランスコード制御部407は、トランスコード開始イベントを受け取った場合、高機能MP202がデジタルストリームの先頭からトランスコードできるように高機能MP202を初期化し、S201へ戻る(S203)。
【0074】
トランスコード部409は、トランスコード制御部407がデータブロックイベントを受け取った場合、受信制御部408が受信したデータブロックを受信制御部408から高機能MP202へ転送し、高機能MP202を用いてトランスコードし、S205へ進む(S204)。
【0075】
次に、トランスコード部409はトランスコードで得たトランスコード後のデータブロックを高機能MP202からデジタルストリーム送信部410に転送し、デジタルストリーム送信部410はNIC203を用いてデータブロックを送信し、S201へ戻る(S205)。
【0076】
トランスコード制御部407は、変更イベントを受け取った場合、パラメータ保持部411が保持するトランスコードのパラメータ(処理レート)を高機能MP202の余力の上限まで一時的に上げる(S206)。次に変更後の処理レートでトランスコードするようトランスコード部409に指示を出し、S201へ戻る(S207)。ここで、トランスコードの処理レートを高機能MP202の余力の上限まで上げるとした理由は、ユーザが電源オフの指示を出したということは他の処理が行われていないことを意味するので、再生装置104の処理能力を最大限使用できるからである。としたが、あくまでも一例であり、余力の上限以内であれば任意の処理レートに上げてよい。
【0077】
また、トランスコードの処理レートを一時的に上げるとしたが、一時的ではなく変更してしまってもよい。
【0078】
図8は再生装置104の電源制御部406の処理の流れを示したフローチャートである。
【0079】
電源制御部406は、電源起動時にp_offとtransに0を代入し(S301)、イベントを受取るまでイベントを待ち、イベントを受取った場合、受け取ったイベントの種類を判別する(S303)。
【0080】
ここで、p_offが1の時は電源オフイベントを受け取っていることを表し、p_offが0の時は電源オフイベントを受け取っていないことを表す。また、transが1の時はトランスコードをしている状態を表し、transが0の時はトランスコードがされていない状態を表す。
【0081】
次に、電源制御部406は受取ったイベントがトランスコード開始イベントの場合、transに1を代入し(S304)、トランスコード開始イベントをトランスコード制御部407へ転送した後、S302へ戻る(S305)。
【0082】
また、電源制御部406は受け取ったイベントが電源オフイベントの場合、transの値が1か判定し、1であれば変更イベントを発行し(S307)、p_offに1を代入した後、S302へ戻る(S308)。transの値が1でなければ電源制御回路207へ電源オフを指示し自己の電源をオフする(S309)。
【0083】
さらに、電源制御部406は受け取ったイベントがトランスコード終了の場合、p_offの値が1か判定し(S310)、1であればS309へ進み、1でなければtransを0に設定した後、S302に戻る(S311)。
【0084】
図9は再生装置104の受信制御部408の処理の流れを示したフローチャートである。
【0085】
受信制御部408はNIC203がデータパケットを受信するのを待ち、NIC203がデータパケットを受信した場合S402へ進む(S401)。
【0086】
次に、受信制御部408はNIC203からデータパケットを読み出し、図10に示す通信イベント変換テーブル413に基づきデータパケットに対応するイベントを宛先に向けて発行する(S402)。
【0087】
次に、発行したイベントがデータブロックイベントか否かを判断し、データブロックイベントである場合S404へ、データブロックイベントでない場合S401へ戻る(S403)。
【0088】
また、受信制御部408は、データブロックイベントを発行した場合、データブロックをトランスコード部409に出力し、S401へ戻る(S404)。
【0089】
データブロックをトランスコード部409に送信しS401へ戻る(S403)。変換の一例を上げると、データパケットがトランスコード開始コマンドであった場合、イベントとしてトランスコード開始イベントを電源制御部に向けて発行する。他のデータパケットの場合も同様に通信イベント変換テーブル413に基づいてイベントを発行する。
【0090】
図10は受信制御部408がS402にてデータパケットに対応するイベントを引くための通信イベント変換テーブル413の内容を示した表である。1列目のデータパケット種別が検索キーとなり一致する行の2列目のイベントが3列目の宛先に向けて発行される。
【0091】
続いて、再生装置101の処理の流れについて図11、図12のフローチャートを用いて説明する。ここで再生装置101の処理はマルチタスク実行できることを前提に説明する。
【0092】
図11は再生装置101のトランスコード依頼制御部502、コマンド送信部505、デジタルストリーム送信部510、デジタルストリーム受信部508の処理の流れを示したフローチャートである。
【0093】
トランスコード依頼制御部502はイベントを受取るまでイベントを待ち、イベントを受取った場合S502へ進み(S501)、受け取ったイベントがユーザの再生操作を示すものか判定し、そうであればS503へ進み、そうでなければS501へ戻る(S502)。
【0094】
次に、トランスコード依頼制御部502はデジタルストリームの再生位置をカウントするrd_blkに0を代入し、データブロックのEND設定をした後(S503)、再生操作イベントを再生制御部501へ転送し、S505へ進む(S504)。なお、データブロックのEND設定に関しては前述した通りである。
【0095】
コマンド送信部505はトランスコード開始コマンドを再生装置104に送信し、S506へ進む(S505)。
【0096】
トランスコード依頼制御部502はディスクドライブ308に挿入されたディスクメディア313からデジタルストリームのrd_blk番目のデータブロックを読み出し、S507へ進む(S506)。
【0097】
デジタルストリーム送信部510は、読み出したデータブロックを、NIC303を用いて再生装置104に送信し、S508へ進む(S507)。
【0098】
デジタルストリーム受信部508はNIC303がデータブロックを受信するのを待ち、NIC303がデータブロックを受信した場合(S508)、受信したデータブロックを受信バッファ506へ保存し、S510へ進む(S509)。
【0099】
トランスコード依頼制御部502は、受信したデータブロックが受信バッファ506に保存されるとrd_blkに1を加算し、S511へ進む(S510)。なお、1を加算するタイミングは、デジタルストリーム受信部508がデータブロックを受信したタイミングでもよいし、デジタルストリーム受信部508がデータブロックを受信バッファに送信するタイミングでもよい。
【0100】
トランスコード依頼制御部502はユーザによるデジタルストリーム再生の停止操作が有ったか、またはrd_blkがデジタルストリームの最終ブロック(END)に達したか判定し、いずれかの条件が満たされた場合S512へ進み、満たされていない場合S506へ戻る(S511)。
【0101】
トランスコード依頼制御部502は、S511のいずれかの条件が満たされた場合トランスコード終了コマンドを再生装置104に送信し、S501へ戻る(S512)。
【0102】
図12は再生装置101の再生制御部501、デコード部503、AV出力部504の処理の流れを示したフローチャートである。
【0103】
再生制御部501はイベントを受取るまでイベントを待ち、イベントを受取った場合S602へ進む(S601)。
【0104】
再生制御部501は受取ったイベントがユーザの再生操作を示すものか判定し、そうであればS603へ進み、そうでなければS601へ戻る(S602)。
【0105】
再生制御部501はデジタルストリームの再生位置をカウントするrd_blkに0を代入し、低機能MP302がデジタルストリームの先頭からデコードできるように初期化し、データブロックのEND設定をした後、S604へ進む(S603)。なお、データブロックのEND設定に関しては前述した通りである。
【0106】
再生制御部501は受信バッファ506からデジタルストリームのrd_blk番目のデータブロックを読み出し、S605へ進む(S604)。
【0107】
デコード部503は低機能MP302を用いて読み出したデータブロックをデコードし、S606へ進む(S605)。
【0108】
AV出力部504はデコードで得たAVデータを低機能MP302からAV出力回路309へ転送し、S607へ進む(S606)。
【0109】
再生制御部501はrd_blkに1を加算し、S608へ進む(S607)。
【0110】
再生制御部501はユーザによるデジタルストリーム再生の停止操作が有ったか、またはrd_blkがデジタルストリームの最終ブロック(END)に達したか判定し、いずれかの条件が満たされた場合S601へ戻り、そうでなければS604へ戻る(S608)。
【0111】
続いて、本発明における再生装置104の高性能MP202の使用率推移について図13のグラフを用いて説明する。
【0112】
図13において、縦軸は高性能MP202の使用率、横軸は時間、601の斜線部は再生装置104のユーザ(以降、ユーザと称す)が再生しているデジタルストリームをデコードするために要している使用率の推移、602の縦線部はネットワーク経由で依頼されたデジタルストリームのデコードに要している使用率の推移である。次に時間の経過に沿って使用率の変化を説明する。
【0113】
時刻0ではユーザがデジタルストリームを再生している状態であり使用率がa%である。
【0114】
時刻t1においてネットワーク経由でトランスコードの依頼を受け付けトランスコードが開始されることにより使用率がa+b%に増加する。
【0115】
時刻t2において再生していたデジタルストリームが終端(END)に到達するか、またはユーザにより停止スイッチ216が押されることにより再生が終了し使用率がb%に減少する。
【0116】
時刻t3においてユーザが電源をオフするために電源スイッチ214を押すとトランスコードを加速するために使用率が100%に増加する。
【0117】
時刻t4においてトランスコードが終了することにより使用率が0になり、この時点において再生装置104の電源がオフできることになる。
【0118】
このように、実施の形態1にかかる構成によれば、再生装置104に対して電源オフが指示された場合、再生装置101に対しては再生装置104のトランスコード機能の使用をトランスコード終了まで保証し、再生装置104に対しては電源オフの遅延をできるだけ短時間に留めることができる。
【0119】
すなわち、再生装置104が電源オン時には定常モードでトランスコードし、電源オフの指示後に高速モードでトランスコードすることによって、電源オン時には再生装置104の資源を無駄使いすることはなく、電源オフの指示が出た時には、トランスコードの処理が終了することを保証しながら、できるだけ早く電源をオフすることができる。これにより、デジタルコンテンツ再生中に、再生箇所の巻き戻しやジャンプなどの指示を受け取ることにより、実際には再生されないデジタルコンテンツのトランスコード処理を実施することによる資源の消費を低減することができる。
【0120】
(実施の形態2)
図14は、本発明に係る実施の形態2におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の機能を示すブロック図である。実施の形態1と異なる部分に実施の形態1と異なる符号を付し、実施の形態1と異なる点に関してのみ説明する。
【0121】
再生制御部141は、読出部402、デコード部403、AV出力部404に対して、デジタルストリームが再生されるまでの一連の動作を制御する。また、再生制御部141は、トランスコード制御部142からトランスコードの開始、完了通知を受ける。さらに、再生制御部141は、トランスコードの開始通知を受け、トランスコードの完了通知を受けていない状態で、AV出力部404からAVデータの出力が完了したことを通知されるとトランスコード制御部142にトランスコード条件の変更を指示する。
【0122】
トランスコード制御部142は、受信制御部408、トランスコード部409、デジタルストリーム送信部410に対して、デジタルストリームのトランスコードの一連の動作を制御する。また、トランスコード制御部142は、受信制御部408からトランスコードの開始イベントを受けるとパラメータ保持部411から処理レートを受け取って、受け取った処理レートでトランスコードするようトランスコード部409に指示を出す。さらに、トランスコード制御部142は、再生制御部141から処理条件の変更を指示されると、トランスコードの処理条件を変更して、変更した処理条件でトランスコードするようトランスコード部409に指示を出す。
【0123】
通信イベント変更テーブル143は、受信制御部408が受信したデータパケットに対応した所定のイベントを検索するためのテーブルである。実施の形態2における通信イベント変更テーブル143については、図10の3列目が全てトランスコード制御部になる。
【0124】
このように、実施の形態2にかかる構成によれば、再生装置104が電源オフされる事態に備えて、再生装置104の使用状況に応じて早期にトランスコード処理を終了することができる。
【0125】
すなわち、再生装置104は、デコード処理とトランスコード処理を同時に実施している時には、定常モードでトランスコードし、デコード処理が完了してトランスコード処理のみになったタイミングで、高速モードでトランスコードすることによって、電源オフの指示が出た時に、トランスコードの処理が終了することを保証しながら、できるだけ早く電源をオフすることを可能とする。
【0126】
(実施の形態3)
図14は、本発明に係る実施の形態2におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の機能を示すブロック図である。実施の形態1と異なる部分に実施の形態1と異なる符号を付し、実施の形態1と異なる点に関してのみ説明する。
【0127】
オフライン制御部151は、図8のS309において電源制御回路207へ電源オフを指示し自己の電源をオフするところが、AV出力回路209を使用してオフライン可能であることをテレビ受像機102bに表示するに変わる。通常、AV出力回路209はオンスクリーンディスプレイを内蔵しているのでそこにユーザへのメッセージを表示すればよい。
【0128】
このように、実施の形態3にかかる構成によれば、再生装置104に対してオフラインが指示された場合、再生装置101に対しては再生装置104のトランスコード機能の使用をトランスコード終了まで保証し、再生装置104に対してはオフラインまでの遅延をできるだけ短時間に留めることができる。
【0129】
すなわち、再生装置104がオンラインでの動作時には定常モードでトランスコードし、オフラインの指示後に高速モードでトランスコードすることによって、オンラインでの動作時には再生装置104の資源を無駄使いすることはなく、オフラインの指示が出た時には、トランスコードの処理が終了することを保証しながら、できるだけ早くオフラインに移行することができる。これにより、オンラインでのデジタルコンテンツ再生中に、再生箇所の巻き戻しやジャンプなどの指示を受け取ることにより、実際には再生されないデジタルコンテンツのトランスコード処理を実施することによる資源の消費を低減することができる。
【0130】
以上、本発明に係るデジタルストリーム再生装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られる訳ではない。
【0131】
例えば、トランスコーダを内蔵する装置をデジタルストリーム再生装置としたが、デジタルストリーム録画装置、テレビ受像機、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、携帯端末等であっても良い。
【0132】
また、デジタルストリームの記憶媒体がディスクメディアとしたが、半導体メモリカード、ハードディスクドライブ、磁気テープ、ネットワークサーバ等であっても良い。
【0133】
また、トランスコード処理をMPが実行するとしたが、DSP(Digital Signal Processer)とマイクロコードの組み合わせでMPを構成しても良いし、MPを構成から外しCPUがトランスコード処理を実行しても良いし、MPに代えてハードウェアアクセラレータを構成に含めCPUとハードウェアアクセラレータが処理を分担して実行しても良い。換言すればトランスコード処理はあらゆる粒度で分割され様々なプロセッサやハードウェアアクセラレータで実行しても良い。
【0134】
また、CPUが1個としたが、CPUが2個以上のマルチプロセッサやマルチコアプロセッサの構成としても良い。
【0135】
また、受信バッファは特に階層を設けずに説明したが、階層構造の記憶装置であっても良い、例えば半導体メモリとハードディスクドライブから構成される階層記憶装置等が上げられる。
【0136】
また、電源スイッチから電源オフを指示するとしたが、赤外線リモコン、無線リモコン、ネットワークからのコマンドパケット、ディスクメディア等の記録メディアに記憶されたスクリプトコマンド、予約タイマー、音声認識手段、人感センサー、就眠感知センサー、ホームコントローラ等から指示しても良い。
【0137】
また、電源はバッテリであっても良く、その場合バッテリの残量に基づいて電源オフを指示しても良い。
【0138】
また、電源をオフするにあたってトランスコード処理の加速を行う場合と、トランスコード処理を強制的に中断して電源をオフする場合と、電源オフの指示を取り消す場合等をユーザが選択できるようにユーザインターフェースを提供してもよいし、
電源をオフするにあたってトランスコード依頼元の装置に電源をオフする旨のメッセージを送信し、トランスコード依頼元の装置のユーザにトランスコードを中断しても良いかどうか確認するユーザインターフェースを提供しても良いし、
電源をオフするにあたってトランスコード依頼元の装置に予め保存してある対処方針を読み出してトランスコードを中断するか継続するか等を決定しても良い。そうすることにより、よりユーザの意向に沿った動作が可能となる。
【0139】
また、トランスコードするデジタルストリームはトランスコードを加速できる場合と加速でない場合とがある。例えば、デジタル放送を受信しながらリアルタイムでトランスコードする場合は放送という性格上デジタルストリームの受信レートを加速できない。したがって、電源をオフするにあたってこのようなトランスコード対象のデジタルストリームの出所や属性に基づきトランスコードを加速するか否か決定しても良い。そうすることにより、適切にトランスコード処理を行うことができる。
【0140】
また、トランスコード依頼元の装置のユーザの携帯電話の電話番号やメールアドレスを予め管理しておき、電源をオフするにあたって電話を自動的に掛けて音声メッセージを再生したり、メールを送信して電源をオフする旨通知しても良い。ここで、トランスコード依頼元の装置と携帯電話が融合していても良いし、トランスコーダ内蔵装置と携帯電話が融合していても良い、このような融合装置である場合、電源をオフするにあたって、電話やテレビ電話あるいはチャットアプリケーションを自動的に開始することにより、ユーザ間のコミュニケーションが図れ、よりユーザの意向を汲み取ることができる。
【0141】
また、電源をオフするためにトランスコード処理を加速して処理している最中に、電源が再度オンされたらトランスコード処理を通常の処理速度に戻しても良いし、トランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置に予約タイマーが有る場合、電源をオフするためにトランスコード処理を加速して処理している最中に、予約された処理によってMPの使用が開始されるかもしれない、その場合MPの使用が開始されたらトランスコード処理を通常の処理速度に戻しても良い。そうすることにより、ユーザがトランスコード処理の加速の影響を受けずにトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置を使用することができる。
【0142】
また、電源をオフするにあたってトランスコードの処理レートを高機能MPの余力の上限まで上げることによりトランスコード処理の加速を行うとしたが、トランスコードの処理品質を落とすことにより相対的にトランスコードの処理時間を短縮しても良い。
【0143】
また、本実施の形態2の再生制御部141と本実施の形態1の電源制御部406とを備えたトランスコード内蔵デジタルストリーム再生装置としてもよい。すなわち、電源オフ時に備えて処理を高速化することもでき、また、電源オフを指示されてからも処理を高速化することができ、より確実にトランスコードを終了することができる。
【0144】
尚、CPU、MP、NIC、スイッチ入力回路、電源制御回路、AV出力回路等の各機能ブロックは典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。
【0145】
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0146】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field ProgrammableGate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0147】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明にかかるデジタルストリーム再生装置は、DVDレコーダ、ハードディスクレコーダ、デジタルテレビ受像機、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、携帯端末などにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施の形態1における使用の形態を表現した説明図
【図2】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置のハードウェア構成図
【図3】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置へトランスコードを依頼するデジタルストリーム再生装置のハードウェア構成図
【図4】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の機能を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置へトランスコードを依頼するデジタルストリーム再生装置の機能を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の再生制御フローを示す図
【図7】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置のトランスコード制御フローを示す図
【図8】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の電源制御フローを示す図
【図9】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の受信制御フローを示す図
【図10】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の通信イベント変換テーブルを示す図
【図11】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置へトランスコードを依頼するデジタルストリーム再生装置のトランスコード依頼制御フローを示す図
【図12】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置へトランスコードを依頼するデジタルストリーム再生装置の再生制御フローを示す図
【図13】本発明の実施の形態1におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の高機能MPの使用率推移を示すグラフ図
【図14】本発明の実施の形態2におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の機能を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態3におけるトランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置の機能を示すブロック図
【符号の説明】
【0150】
101 デジタルストリーム再生装置
102a,102b テレビ受像機
103 ネットワーク
104 トランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置
105 デジタルストリーム再生装置のユーザ
106 トランスコーダ内蔵デジタルストリーム再生装置のユーザ
201,301 CPU
202 高機能MP
302 低機能MP
203,303 NIC
204,304 ROM
205,305 RAM
206,306 スイッチ入力回路
207,307 電源制御回路
208,308 ディスクドライブ
209,309 AV出力回路
210,310 CPUバス
211,311 スイッチ
212,312 電源
213,313 ディスクメディア
214,314 電源スイッチ
215,315 再生スイッチ
216,316 停止スイッチ
401 再生制御部
402 読出部
403 デコード部
404 AV出力部
405 スイッチ監視部
406 電源制御部
407 トランスコード制御部
408 受信制御部
409 トランスコード部
410 デジタルストリーム送信部
411 パラメータ保持部
413 通信イベント変換テーブル
501 再生制御部
502 トランスコード依頼制御部
503 デコード部
504 AV出力部
506 受信バッファ
507 スイッチ監視部
508 デジタルストリーム受信部
510 デジタルストリーム送信部
601 高機能MPにおけるデコード処理の使用率
602 高機能MPにおけるトランスコード処理の使用率
141 再生制御部
142 トランスコード制御部
143 通信イベント変換テーブル
151 オフライン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコード形式のデジタルストリームを第2のコード形式のデジタルストリームに変換するトランスコーダを内蔵するデジタルストリーム再生装置であって、
前記トランスコーダのトランスコード処理条件の変更を指示する指示手段と、
前記トランスコード処理条件を制御し、前記トランスコード処理条件を変更する指示を受けた場合、前記指示に基づいて前記トランスコード処理条件を変更するトランスコード制御手段と、
前記トランスコード制御手段のトランスコード処理条件に基づいてトランスコードするトランスコード手段と
を備えるデジタルストリーム再生装置。
【請求項2】
前記指示手段は、
電源オフの指示を受取って、前記トランスコード制御手段にトランスコード処理条件の変更を指示し、トランスコード処理の終了を待って電源をオフする電源制御手段である
ことを特徴とする請求項1記載のデジタルストリーム再生装置。
【請求項3】
前記トランスコード制御手段は、トランスコード処理条件の変更指示を受けた場合、前記デジタルストリーム再生装置の処理能力の上限でトランスコードするようトランスコード処理条件を変更する
ことを特徴とする請求項2記載のデジタルストリーム再生装置。
【請求項4】
前記デジタルストリーム再生装置は更に、
ネットワークを介して前記第1のコード形式のデジタルストリームを受信する受信制御手段と、
ネットワークを介して前記第2のコード形式のデジタルストリームを送信する送信手段とを備える
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のデジタルストリーム再生装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、電源オンの指示を受け取った場合電源オンの指示を出し、
前記トランスコード制御手段は、トランスコード処理条件を変更後、トランスコード中に前記電源制御手段から電源オンの指示を受けた場合、元のトランスコード処理条件に変更する
ことを特徴とする請求項2記載のデジタルストリーム再生装置。
【請求項6】
前記指示手段は、
デジタルストリームの再生が終了した時に、前記トランスコード制御手段にトランスコード処理条件の変更を指示する再生制御手段である
ことを特徴とする請求項1記載のデジタルストリーム再生装置。
【請求項7】
前記指示手段は、
オフラインの指示を受取って、前記トランスコード制御手段にトランスコード処理条件の変更を指示し、トランスコード処理の終了を待ってオフライン可能であることを表示するオフライン制御手段である
ことを特徴とする請求項1記載のデジタルストリーム再生装置。
【請求項8】
第1のコード形式のデジタルストリームを第2のコード形式のデジタルストリームに変換するトランスコーダLSIであって、
前記トランスコーダのトランスコード処理条件の変更を指示する指示手段と、
前記トランスコード処理条件を制御し、前記トランスコード処理条件を変更する指示を受けた場合、前記指示に基づいて前記トランスコード処理条件を変更するトランスコード制御手段と
前記トランスコード制御手段のトランスコード処理条件に基づいてトランスコードするトランスコード手段と
を備えるトランスコーダLSI。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−42236(P2008−42236A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209657(P2006−209657)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】