説明

トランスジューサアセンブリ用の相互接続構造

【課題】相互接続の複雑さ及び製作コストを低減させたトランスジューサアセンブリを提供する。
【解決手段】相互接続アセンブリを提示する。本アセンブリは、間隔をとった関係で配置した、その各々が複数の導電性トレース(62)をその上に配置させて備える複数の相互接続層(60)を含んだ相互接続構造(70)を含む。さらに本アセンブリは、相互接続構造(70)の近傍に配置させた再分布層(76)を含んでおり、この再分布層(76)はトランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する相互接続構造(70)の結合を容易にするように構成させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的にはトランスジューサに関し、より具体的にはトランスジューサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
音響トランスジューサなどのトランスジューサは、医用イメージングでの用途が知られており、この際に音響探触子が患者に当てるように保持され該探触子によって超音波を送信及び受信しており、これにより患者内部の組織の撮像を容易にすることができる。例えば、患者の心臓を撮像するためにトランスジューサを利用することができる。
【0003】
トランスジューサアセンブリは一般に、間隔をとった関係で配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を有する2次元トランスジューサアレイなどのトランスジューサアレイを含む。さらに、それぞれのトランスジューサ素子の直ぐ下側に接続用素子が配置される。接続用素子同士の間隔はそれぞれのトランスジューサ素子同士の間隔によって決定される。
【0004】
トランスジューサアセンブリはさらに、ケーブルアセンブリや読み出し用電子回路などの外部デバイスに対する接続用素子の電気的結合を容易にするように構成した複数の相互接続層を有する相互接続構造を含むことがある。典型的には、この相互接続構造は複数の相互接続層を積み重ねることによって形成されており、この複数の相互接続層の各々はその上にパターン形成した複数の導電性トレースを含んでいる。導電性トレースは、トランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子のそれぞれに関連付けされた接続用素子の、付属の電子回路に対する結合を容易にするように構成されている。さらに、第1の方向における複数のトレース同士の間隔は接続用素子同士の間隔と一致するように構成されている。同様に、複数の相互接続層同士の間隔は第2の方向におけるトランスジューサ素子同士の間隔と一致するように構成されている。このため、相互接続層の所望の数は第2の方向における接続用素子の数に依存し、このためかなり多くの相互接続層が使用されることになる。典型的なトランスジューサは、約40〜約100の範囲の数の相互接続層の使用を必要とすることがある。相互接続層数のこうした増加によって相互接続の複雑さが増大し費用対効果が悪くなることになる。
【0005】
これまで企画された解決法は、読み出し用電子回路やケーブルアセンブリなどの外部デバイスに対する複数のトランスジューサ素子の結合を容易にするように一体化した多層式可撓性相互接続回路を有している。しかし、これらの多層式可撓性回路は、複数の可撓層の上でトランスジューサ素子の面と平行に導体を引き回している。しかしながら、これらの相互接続回路は高価であり、かつカテーテル内部の空間を効率よく利用することができない。さらに、こうした方法で製作したトランスジューサの音響性能は、トランスジューサ素子の直ぐ下側に音響的に不都合な相互接続回路が存在することによって悪化する。
【特許文献1】米国特許第6541896号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、相互接続の複雑さを低減させたトランスジューサアセンブリ対する要求が存在する。具体的にはトランスジューサアセンブリ内の相互接続層の数を有利に減少させたトランスジューサアセンブリの設計に対する大きな要求が存在する。さらに、相互接続の複雑さを低減させたトランスジューサアセンブリを製作する簡単で費用対効果のよい方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に述べると本技法の態様では、相互接続アセンブリを提示する。本アセンブリは、間隔をとった関係で配置した複数の相互接続層を含んだ相互接続構造であって、該複数の相互接続層の各々は複数の導電性トレースをその上に配置させて備える相互接続構造を含む。さらに本アセンブリは、相互接続構造の近傍に配置させた再分布層であって、トランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する相互接続構造の結合を容易にするように構成された再分布層を含む。
【0008】
本技法の別の態様では、トランスジューサアセンブリを提示する。本アセンブリは、間隔をとった関係で配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を含んだトランスジューサアレイを含む。さらに本アセンブリは、間隔をとった関係で配置した複数の相互接続層を含んだ相互接続構造であって、該複数の相互接続層の各々は複数の導電性トレースをその上に配置させて備えており、かつ複数の相互接続層のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレースの数は相互接続構造内の相互接続層の数に反比例している相互接続構造を含む。
【0009】
本技法のさらに別の態様によるトランスジューサアセンブリが含まれる。本アセンブリは、「N×M」格子状(ここで、N及びMは整数)に配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を備えたトランスジューサアレイを含む。さらに本アセンブリは、このトランスジューサアレイの近傍に配置させると共に間隔をとった関係で配置させた「K」個の相互接続層を備える相互接続構造を含んでおり、この「K」個の相互接続層の各々は「L」個の導電性トレースをその上に配置させて備えており、「K」は「M」より小かつ「L」は「N」より大であり、かつ「K」及び「L」は整数である。さらに本アセンブリは、相互接続構造の近傍に配置させた再分布層であって、トランスジューサアレイ内の1つまたは複数の素子に対する相互接続構造の結合を容易にするように構成された再分布層を含む。
【0010】
本技法のまた別の態様では、トランスジューサアセンブリを形成するための方法を提示する。本方法は、間隔をとった関係で配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を有するトランスジューサアレイを提供する工程を含む。さらに本方法は、複数の相互接続層を間隔をとった関係で配置させることによって相互接続構造を形成する工程であって、該複数の相互接続層の各々は複数の導電性トレースをその上に配置させて備えており、かつ複数の相互接続層のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレースの数は相互接続構造内の相互接続層の数に反比例している形成工程を含む。本方法はさらに、相互接続構造に対するトランスジューサアレイの結合を容易にするために相互接続構造とトランスジューサアレイの間に再分布層を配置させる工程を含む。さらに本方法は、再分布層を介して相互接続構造をトランスジューサアレイに結合させる工程を含む。
【0011】
本技法のさらに別の態様によるシステムを提示する。本システムは、少なくとも1つのトランスジューサアセンブリを含んだ関心領域を撮像するように構成させた探触子を含む画像データを収集するように構成させた収集サブシステムを含んでおり、該少なくとも1つのトランスジューサアセンブリは、「N×M」格子状(ここで、N及びMは整数)に配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を備えたトランスジューサアレイと、このトランスジューサアレイの近傍に配置させると共に間隔をとった関係で配置させた「K」個の相互接続層を備える相互接続構造(「K」個の相互接続層の各々は「L」個の導電性トレースをその上に配置させて備えており、「K」は「M」より小かつ「L」は「N」より大であり、かつ「K」及び「L」は整数である)と、相互接続構造の近傍に配置させた再分布層であってトランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する相互接続構造の結合を容易にするように構成された再分布層と、を含んでいる。さらに本システムは、収集サブシステムと動作連係させ該収集サブシステムを介して収集した画像データを処理するように構成させた処理サブシステムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【0013】
これ以降で詳細に記載するように、相互接続の複雑さを低減させたトランスジューサアセンブリ、並びにこうしたトランスジューサアセンブリを製作する方法を提示する。トランスジューサアセンブリの相互接続構造内にある相互接続層の数を有利に減少させたトランスジューサアセンブリを開発することが望ましい。さらに、相互接続の複雑さを低減させたトランスジューサアセンブリを製作する簡単で費用対効果がよい方法を開発することが望ましい。本明細書で検討する技法によってこれらの問題点の幾つかまたはすべてに対処することができる。
【0014】
図1は、超音波システム10の一実施形態のブロック図である。図面は例示を目的として描かれたものであり縮尺通りでないことに留意されたい。さらに、図示した実施形態は超音波撮像システムのコンテキストで記載しているが、磁気共鳴撮像(MRI)システム、X線撮像システム、核医学撮像システム、陽電子放出断層(PET)システム、あるいはこれらを組み合わせたものなど別のタイプの撮像システムを本技法と連係させることも企図される。
【0015】
超音波システム10は収集サブシステム12及び処理サブシステム14を含む。収集サブシステム12は、トランスジューサアセンブリ18、送信/受信切り替え回路20、送信器22、受信器24及びビーム形成器26を含む。ある種の実施形態では、トランスジューサアセンブリ18は、例えば2次元トランスジューサアレイなどのトランスジューサアレイを形成するために間隔をとった関係で配列させ複数のトランスジューサ素子(図示せず)を含むことがある。さらにトランスジューサアセンブリ18は、ケーブルアセンブリや付属の電子回路(ただし、これらに限らない)などの外部デバイス(図示せず)に対するトランスジューサアレイの結合を容易にするように構成させた相互接続構造(図示せず)を含むことがある。図示した実施形態では、その相互接続構造はトランスジューサアレイをT/R切り替え回路20に結合するように構成させることがある。
【0016】
処理サブシステム14は、制御プロセッサ28、復調器30、撮像モードプロセッサ32、走査変換器34及び表示プロセッサ36を含む。表示プロセッサ36はさらに、画像を表示させるために表示モニタ38に結合されている。ユーザインタフェース40は制御プロセッサ28及び表示モニタ38と対話する。制御プロセッサ28はさらに、ウェッブサーバ44及びリモート接続インタフェース46を含むリモート接続サブシステム42と結合させることがある。処理サブシステム14はさらに、超音波画像データを受け取るように構成させたデータリポジトリ48と結合させることがある。データリポジトリ48は撮像ワークステーション50と対話する。
【0017】
上述の構成要素はディジタル信号プロセッサを有する回路基板などの専用のハードウェア素子とすることがあり、あるいは商用で市販のパーソナルコンピュータ(PC)など汎用のコンピュータやプロセッサ上で動作するソフトウェアとすることがある。様々な構成要素は本発明の様々な実施形態に従って組み合わせることや分離させることができる。したがって当業者であれば、本超音波システム10が一例として提供されたものであり、本技法はいかなる意味においてもこの特定のシステム構成による限定を受けるものではないことを理解されよう。
【0018】
収集サブシステム12において、トランスジューサアレイ18は患者または対象物16と接触状態にある。このトランスジューサアレイは、送信/受信(T/R)切り替え回路20に結合させている。さらに、T/R切り替え回路20は、送信器22の出力及び受信器24の入力と動作連係する。受信器24の出力はビーム形成器26に対する入力である。さらに、ビーム形成器26はさらに送信器22の入力及び復調器30の入力に結合させている。ビーム形成器26はさらに、図1に示すように制御プロセッサ28と動作可能に結合させている。
【0019】
処理サブシステム14において、復調器30の出力は撮像モードプロセッサ32の入力と動作連係する。さらに、制御プロセッサ28は、撮像モードプロセッサ32、走査変換器34及び表示プロセッサ36とインタフェース接続している。撮像モードプロセッサ32の出力は走査変換器34の入力と結合させている。さらに、走査変換器34の出力は表示プロセッサ36の入力と動作可能に結合させている。表示プロセッサ36の出力はモニタ38と結合させている。
【0020】
超音波システム10は対象物16内に超音波エネルギーを送信し、対象物16から後方散乱された超音波信号を受信し処理して画像の作成及び表示を行う。超音波エネルギーの送信ビームを作成させるために、制御プロセッサ28はビーム形成器26に対して、トランスジューサアレイ18の表面位置のある点から所望のステアリング角度で所望形状のビームを生成させる送信パラメータを発生させるコマンドデータを送っている。この送信パラメータはビーム形成器26から送信器22に送られる。送信器22はこの送信パラメータを用い、T/R切り替え回路20を介してトランスジューサアレイ18に送ろうとする送信信号を適正にエンコードする。この送信信号は互いに対してあるレベル及び位相に設定されて、トランスジューサアレイ18の個々のトランスジューサ素子に提供される。この送信信号は、位相及びレベルの関係が同じ超音波を放出させるようにトランスジューサ素子を励起させる。その結果、例えば超音波ジェルを用いてトランスジューサアレイ18を対象物16と音響結合させたときに、走査線に沿った対象物16内に超音波エネルギーの送信ビームが形成される。この処理のことを電子走査と呼んでいる。
【0021】
一実施形態では、そのトランスジューサアレイ18を双方向トランスジューサとすることがある。対象物16内に超音波を送信すると、この超音波は対象物16内部の組織や血液試料によって後方散乱される。トランスジューサアレイ18は、その音波を戻した組織までの距離並びにその音波が戻された位置のトランスジューサアレイ18の表面に対する角度に応じて、この後方散乱波を様々な時点で受信する。このトランスジューサ素子は後方散乱波からの超音波エネルギーを電気信号に変換する。
【0022】
次いでこの電気信号は、T/R切り替え回路20を経由して受信器24に至る。受信器24は、この受信信号を増幅しかつディジタル化すると共に、利得補償などの別の機能を提供する。各トランスジューサ素子が様々な時点で受信した後方散乱音波に対応するディジタル化された受信信号は、後方散乱音波の振幅及び位相情報を保持している。
【0023】
このディジタル化信号はビーム形成器26に送られる。制御プロセッサ28はコマンドデータをビーム形成器26に送っている。ビーム形成器26は、トランスジューサアレイ18の表面上のある点に典型的に対応するステアリング角度並びに走査線に沿って送信された直前の超音波ビームのステアリング角度でこの点から発せられる受信ビームを形成させるためにこのコマンドデータを使用する。ビーム形成器26は、制御プロセッサ28からのコマンドデータの命令に従って時間遅延及び集束を実行し、対象内部16の走査線に沿ったサンプルボリュームに対応する受信ビーム信号を生成することによって、適当な受信信号に対する操作を行っている。様々なトランスジューサ素子からの受信信号の位相、振幅及びタイミング情報を使用して受信ビーム信号が生成される。
【0024】
この受信ビーム信号は処理サブシステム14に送られる。復調器30はこの受信ビーム信号に対して復調を実行し、走査線に沿ったサンプルボリュームに対応するI及びQの復調データ値の対が生成される。復調は受信ビーム信号の位相及び振幅を基準周波数と比較することによって実施される。I及びQの復調データ値は、受信信号の位相及び振幅情報を保持している。
【0025】
復調されたデータは撮像モードプロセッサ32に転送される。撮像モードプロセッサ32はパラメータ評価技法を用いて復調データから走査シーケンス形式で撮像パラメータ値を作成する。この撮像パラメータは、例えばBモード、カラー速度モード、スペクトルドプラモード、組織速度撮像モードなど可能な様々な撮像モードに対応するパラメータを含むことがある。撮像パラメータ値は走査変換器34に送られる。走査変換器34は、走査シーケンス形式から表示形式に変換することによってパラメータデータを処理する。この変換には、パラメータデータに対して補間演算を実行し表示画素データを表示形式で作成することを含む。
【0026】
走査変換された画素データは表示プロセッサ36に送られ、走査変換画素データに対する最終的な任意の空間または時間フィルタ処理の実行、走査変換画素データに対するグレイスケールまたは色相の付与、並びにモニタ38上に表示するためのディジタル画素データのアナログデータへの変換が行われる。ユーザインタフェース40はモニタ38上に表示されたデータに基づいてユーザが超音波システム10とインタフェースを取れるようにするために制御プロセッサ28と結合させている。
【0027】
ある種の実施形態では、そのトランスジューサアセンブリ18を探触子内に配置させることがあることに留意されたい。この探触子は、例えば撮像カテーテルを含むことがある。
【0028】
ここで図2を見ると、図1に表したシステム10で使用するためのトランスジューサアセンブリ52の側面斜視図を表している。典型的には、例えば図2に示すような音響トランスジューサアセンブリなどのトランスジューサアセンブリ52は、1つまたは複数のトランスジューサ素子(図示せず)、1つまたは複数の整合層(図示せず)、並びにレンズ(図示せず)を含むことがある。これらのトランスジューサ素子は、その各々がトランスジューサ前面54及びトランスジューサ背面(図示せず)を含むことがあるようなトランスジューサ素子からなる1つの層上に配置させたアレイ(ただし、これに限らない)など間隔をとった関係で配列させることがある。これらのトランスジューサ素子は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)または複合(composite)PZT(ただし、これらに限らない)などの材料を利用して製作できることは当業者であれば理解されよう。トランスジューサアセンブリ52はさらに、トランスジューサ素子アレイの前面54に隣接するように配置させたその各々が整合層前面と整合層背面を含むことがある1つまたは複数の整合層を含むことがある。この整合層は、高インピーダンスのトランスジューサ素子と低インピーダンスの対象物16(図1参照)の間に存在することがあるインピーダンス差の整合を容易にする。整合層前面に隣接させてレンズを配置させて対象物16と整合層の間に界面を提供させることがある。
【0029】
さらに、トランスジューサアセンブリ52は前面及び背面を有する裏当て構造56を含むことがあり、これらは高い音響損失を有する適当な音響減衰材料を用いて製作されることがある。この裏当て構造56は、トランスジューサ素子アレイの背面と音響結合させることがあり、この際に裏当て構造56はトランスジューサ素子アレイの背面から放出されることがある音響エネルギーの減衰を容易にする。さらに裏当て構造56は複数の相互接続層を含み得る例示的な相互接続構造58を有するように図示している。ここで考案した構成では、相互接続構造58はY方向66に積み重ねた複数の相互接続層60を含むことがある。さらに、この複数の相互接続層60のそれぞれの上に複数の導電性トレース62を配置させることがある。参照番号64及び68はそれぞれX方向とZ方向を表している。相互接続構造と相互接続アセンブリという用語は交換可能に使用できることに留意されたい。
【0030】
上で検討したように、相互接続層60の数を減少させる一方でトランスジューサアセンブリ52の撮像性能を向上させることが望ましい。さらに詳細には、その内部にある相互接続層の数を有利に減少させたトランスジューサアセンブリを開発することが望ましい。したがって、本考案による構成では、トランスジューサアセンブリは、相互接続層の数を減少させた例示的な相互接続構造と、例示的な再分布層と、を含むことがある。相互接続構造及び再分布層を有する例示的なトランスジューサアセンブリについてこれ以降においてより詳細に記載することにする。
【0031】
さらにトランスジューサアセンブリ52は、トランスジューサ素子の外部環境からの隔絶を容易にするための電気的遮蔽(図示せず)を含むこともある。この電気的遮蔽は金属箔を含むことがあり、ここでこの金属箔は、銅、アルミニウム、真鍮または金(ただし、これらに限らない)などの金属を利用して製作されることがある。
【0032】
ここで図3を参照すると、図2の相互接続構造58の断面図70を表している。本技法の態様によれば、トランスジューサアセンブリ内の相互接続層の数を有利に減少させた例示的な相互接続アセンブリ70が提供される。
【0033】
上で指摘したように、複数のトランスジューサ素子はトランスジューサアレイを形成するように間隔をとった関係で配列させることがある。例えば、複数のトランスジューサ素子は、2次元トランスジューサアレイを形成するように横列を成して縦列に沿って配列させることがある。この複数のトランスジューサ素子は、所定の形状を有するトランスジューサアレイを形成するように間隔をとった関係で配列させることがあることに留意されたい。ある種の実施形態では、トランスジューサアレイの所定の形状は、正方形、長方形、円形、菱形、三角形、六角形、八角形、あるいはこれらの組み合わせた形状を含むことがある。
【0034】
さらに複数のトランスジューサ素子の各々は、それぞれのトランスジューサ素子の直ぐ下に配置させたそれぞれの接続用素子を有することが理解されよう。この接続用素子は相互接続構造に対するトランスジューサ素子の動作可能な結合を容易にするように構成させることがある。さらに、第1の方向での接続用素子同士の間隔は、トランスジューサアレイ内の1つの横列に沿って配置された複数のトランスジューサ素子同士の間隔によって決定され、一方第2の方向での接続用素子同士の間隔は、トランスジューサアレイ内の1つの縦列に沿って配置された複数のトランスジューサ素子同士の間隔によって決定されることに留意されたい。ある種の実施形態では、第1の方向をX方向64とすることがあり、また第2の方向をY方向66とすることがある。
【0035】
さらに、トランスジューサアレイ上のトランスジューサ素子は、トランスジューサアセンブリを形成するように相互接続構造に結合させることがある。上で指摘したように、相互接続構造70を形成するために複数の相互接続層が間隔をとった関係で配置されることがある。一実施形態では、相互接続構造70を形成するように、複数の相互接続層60がY方向66に積み重ねられることがある。複数の相互接続層60の各々はその上にパターン形成した複数の導電性トレース62を含むことがあり、この際にこの導電性トレース62は、トランスジューサ素子と関連付けされた接続用素子の、例えばケーブルアセンブリや読み出し用電子回路などの外部デバイスに対する結合を容易にするように構成されることがある。
【0036】
さらに相互接続構造70では、相互接続層60上の複数の導電性トレース62同士の間隔を、第1の方向において横列の形で配置させたトランスジューサ素子同士の間隔と一致するように構成させることがあることに留意されたい。同様に、相互接続構造70内の複数の相互接続層60の各々同士の間隔は、第2の方向において縦列の形で配置させたトランスジューサ素子同士の間隔と一致するように構成させることがある。このため、相互接続層60の所望の数が第2の方向に配置させるトランスジューサ素子の数に依存するために、かなり多くの数の相互接続層60が使用されることになり、これにより相互接続の複雑さが増大すると共に費用対効果が悪くなる。
【0037】
これまで企画された解決法は、例えばケーブルアセンブリなどの外部デバイスに対する複数のトランスジューサ素子の結合を容易にするために複数の可撓層の上でトランスジューサ素子の面と平行に導体を引き回すような一体化した多層式可撓性相互接続回路を有している。しかしながら、こうした相互接続回路は高価であり、かつ例えば探触子の空間を効率よく利用することができない。さらに、こうした方法で製作したトランスジューサの音響性能は、トランスジューサ素子の直ぐ下側に音響的に不都合な相互接続回路が存在することによって悪化する。
【0038】
本技法の態様では、これまで企画された解決法の欠点を有利に回避した例示的な相互接続アセンブリ70を提示する。相互接続構造70内の相互接続層60の数、またしたがって複数の相互接続層60のそれぞれの上に配置させる導電性トレース62の数が、トランスジューサアレイ内のトランスジューサ素子の数によって決定されることに留意されたい。具体的には、複数の相互接続層60の各々の上にある導電性トレース62の数は第1の方向でトランスジューサアレイの横列に沿って配置させるトランスジューサ素子の数に依存することがある。同様に、相互接続構造70内の相互接続層60の数は、第2の方向でトランスジューサアレイの縦列に沿って配置させるトランスジューサ素子の数に依存することがある。
【0039】
このため、複数の相互接続層60のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレース62の数は、相互接続構造70内の相互接続層60の数に反比例する。本技法の例示的な態様では、複数の相互接続層60のそれぞれの上に配置させる導電性トレース62の数をかなり増加させ、これにより第1の方向における導電性トレース62の密度を増大させることがあるが、一方例えばケーブルアセンブリに対する複数のトランスジューサ素子の動作可能な結合を容易にさせる相互接続層60の数はこれに応じて減少することがある。本明細書の上で記載したように相互接続構造70を実現することによって、使用する相互接続層60の数を減少させ、これにより相互接続の複雑さ及びコストを低減させて、トランスジューサアレイと相互接続構造70の間に所望の結合を有利に実現することができる。
【0040】
以下の記載によって例示的な相互接続構造70についてさらに理解が深まるであろう。一例として、2次元トランスジューサアレイは、N×Mのマトリックス格子の形に配列させた複数のトランスジューサ素子を含むことがある。Nは整数であり、トランスジューサアレイ内で第1の方向に配置させるトランスジューサ素子の数を表すことに留意されたい。同様に、Mは整数であり、トランスジューサアレイ内で第2の方向に配置させるトランスジューサ素子の数を表す。このため、N×Mのトランスジューサ素子が2次元アレイの形で存在する。一実施形態では、第1の方向をX方向64とすることがあり、また第2の方向をY方向66とすることがある。トランスジューサアレイはさらに、上で記載したように円形の形状、三角形の形状、六角形の形状、八角形の形状、あるいはこれらを組み合わせた形状を有することもあることに留意されたい。
【0041】
したがって、相互接続構造内の相互接続層の数を有利に減少させる一方でトランスジューサアレイ内でのN×Mトランスジューサ素子の動作可能な結合を容易にすることが可能な相互接続構造に対する要求が存在する。換言すると、トランスジューサアレイ上のN×Mトランスジューサ素子の例えばケーブルアセンブリに対する結合を容易にするためのN×M導電性トレースを有する相互接続構造を開発することが望ましい。図3の参照を続けると、複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレース62の数は、上で記載したように第1の方向に配置させたトランスジューサ素子の数Nによって決定される。さらに、相互接続構造70内の相互接続層60の数は、第2の方向に配置させたトランスジューサ素子の数Mに依存する。しかし、相互接続の複雑さ及びコストの低減を容易にするように相互接続構造70内の相互接続層60の数を減少させることが望ましい。
【0042】
本技法の態様では、相互接続構造70内の相互接続層60の数を減少させる一方で、複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレースの数は増加させ、この際に相互接続層60を例えばケーブルアセンブリや読み出し用電子回路などの外部デバイスに対するトランスジューサ素子の結合を容易にするように構成させている。ある種の実施形態では、その相互接続構造70は、間隔をとった関係で配列させたK個の相互接続層60を含むことがある。さらに、K個の相互接続層60の各々は、その上に配置させてL個の導電性トレース62を含むことがある。K及びLは整数であることに留意されたい。上で指摘したように、N及びMはトランスジューサアレイ内において第1の方向及び第2の方向のそれぞれに沿って配列させたトランスジューサ素子の数を表している。本技法の例示的な態様では、KをMよりかなり小さくするように構成させることがあり、またLをNよりかなり大きくするように構成させることがある。
【0043】
したがってある種の実施形態では、複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレース62の密度がF倍増加することがある。換言すると、複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレース62の数のこの増加によって複数の相互接続層60の各々の上にN×Fの導電性トレースが得られる。Fは典型的には整数であることに留意されたい。複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレース62の密度のこの増大の結果、相互接続構造70内の相互接続層60の数がこれに応じてF分の1に減少し、これによって相互接続構造70内にはM/F個の相互接続層が得られることになる。したがって、相互接続構造70内の導電性トレース62の総数は次式で表すように不変に保たれる。
【0044】
(N×F)×(M/F)=N×M (1)
このため、複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレース62同士の第1の方向における間隔「A」72はF分の1に低下する一方、導電性トレース62同士の第2の方向における間隔「B」74はF倍に増加する。しかし、複数の相互接続層60の各々の上の導電性トレース62の密度がF倍に増加しかつ相互接続構造70内の相互接続層60の数がF分の1に低下するため、相互接続構造70の接続パターンは変更されている。本明細書で使用する場合、「接続パターン」という語は相互接続構造70内における複数の導電性トレース62の配列(arrangement)を示すために使用している。換言すると、例示的な相互接続構造70の接続パターンはトランスジューサアレイの接続パターンともはや一致しない。したがって、相互接続層の数62を低下させた相互接続構造70の変更接続パターンとトランスジューサアレイの接続パターンとの動作可能な結合を容易にするような介在デバイスを利用することが望ましい。
【0045】
図4は、再分布層の例示的な一実施形態76を表している。本技法の態様では、例示的な再分布層を提示する。再分布層76は、相互接続層の数を低下させた相互接続構造70(図3参照)などの相互接続構造の変更接続パターンとトランスジューサアレイの接続パターンとの動作可能な結合を容易にするように構成されることがある。さらに再分布層76は上側と底側を有することがある。
【0046】
図4は、再分布層の底側の上面像を表している。一実施形態では、再分布層76はサブストレート層78を含むことがある。サブストレート層78はポリエステルまたはポリイミドを含むことがある。ある種の実施形態では、ポリエステルはMylarを含むことがあり、またポリイミドは例えばKaptonを含むことがある。さらに、複数の接続パッド82は、サブストレート層78の上側に配置させることがある。サブストレート層78の上側に配置させたこの複数の接続パッド82は、接続パッド82のパターンがトランスジューサアレイ上のトランスジューサ素子の接続パターンと一致するようにした所望のパターンで配列させることがある。換言すると、複数の接続パッド82同士の間隔88は、トランスジューサアレイ上の複数のトランスジューサ素子同士の間隔と一致するように構成させることがある。さらに、図4に示すように、再分布層76は、サブストレート層78の底側上に配置させた複数の結合用素子80を含むことがある。結合用素子80は複数の結合用素子80の各々が対応する接続パッド82をその上に配置させて備えるようにして配列させることがある。さらに、複数の結合用素子80の各々は、それぞれのトランスジューサ素子に対するそれぞれの接続パッド82の動作可能な結合を容易にするように構成させることがある。
【0047】
再分布層76は、サブストレート層78の底側上にパターン形成された複数の結合用素子80を含むことがある。これらの結合用素子80は結合用素子80のパターンが相互接続構造の接続パターンと一致するようにした所望のパターンで配列させることがある。換言すると、サブストレート層78の底側上に配置させる結合用素子80同士の間隔は、相互接続構造内の相互接続層上の導電性トレース同士の間隔と一致するように構成させることがある。さらに、結合用素子のそれぞれはその上に配置させたそれぞれの接続パッド(図示せず)を備えることがある。さらに、バイヤ穴を参照番号84で表している。バイヤ穴84は再分布層の上側と底側76の電気的結合を容易にするように構成させることがある。図5は、図4の再分布層76を切断線5−5に沿って切った側面断面像92を表している。
【0048】
本明細書の上で記載したような再分布層を実現させることによって、トランスジューサアレイ内のトランスジューサ素子の結合を容易にするために必要となる相互接続構造内の相互接続層の所望の数が有利に減少することがある。例えば図4に表したように、結合用素子80はその配列が、単一の相互接続層に対してそれぞれ3個のトランスジューサ素子を有するトランスジューサアレイの2つの隣接する横列の結合を容易にするようにしてサブストレート層78の底側上にパターン形成されることがある。
【0049】
ここで図6を参照すると、再分布層を有するトランスジューサアセンブリの一部の例示的な一実施形態94を表している。本考案による構成では、トランスジューサアセンブリ94が、1つの相互接続層96と、複数のトランスジューサ素子及び該トランスジューサ素子に関連付けされた接続構造と、を含むように表している。相互接続層96は、その上に配置させた密度を高めた導電性トレース98を含むことに留意されたい。トランスジューサアセンブリ94はさらに、第1の組の結合用素子104と第2の組の結合用素子106とをその底側上に配置させて有する例示的な再分布層を含むこともある。上で指摘したように、結合用素子104、106はトランスジューサアレイ上のトランスジューサ素子に対する導電性トレース98の結合を容易にするように構成させることがある。
【0050】
図示した実施形態では、相互接続層96は、第1の側及び第2の側を有する可撓性相互接続層を含むことがある。さらに相互接続層96は、第1の側上に配置させた複数の導電性トレース98を含むことがある。上で指摘したように、片面相互接続層96は比較的高い密度の導電性トレース98をその上に配置させて含んでおり、このため相互接続アセンブリ内の相互接続層の所望の数の減少が容易になるので有利である。さらに、参照番号100は、2次元トランスジューサアレイのある横列(例えば、第1の横列)に配置させた複数のトランスジューサ素子を表している。さらに参照番号102は、トランスジューサアレイの第2の横列に沿って配置させた複数のトランスジューサ素子を表しており、ここで第2の横列は例えば第1の横列と隣接させることがある。さらにある種の実施形態では、その相互接続層96は、図6に示すようなトランスジューサ素子100、102の第1の横列と第2の横列の間に配置させることがある。
【0051】
図6に表したように、第1の組の結合用素子104は、片面相互接続層96上に配置させた複数の導電性トレース98をトランスジューサアレイの第1の横列に沿って配置させた複数のトランスジューサ素子100に対して動作可能に結合するように構成させることがある。同じ方式によって、第2の組の結合用素子106は、片面相互接続層96上に配置させた複数の導電性トレース98をトランスジューサアレイの第2の横列に沿って配置させた複数のトランスジューサ素子102に対して動作可能に結合するように構成させることがある。さらに参照番号108は、再分布層の上側と底側の電気的結合を容易にするように構成されたバイヤ穴を意味している。再分布層上の結合用素子104、106は、複数のトランスジューサ素子100、102のそれぞれを相互接続層96上のそれぞれの導電性トレース98と動作可能に結合するように構成させることがある。
【0052】
このため、再分布層上に配置させる結合用素子104、106は、密度を高めた導電性トレース98を有する相互接続層96をトランスジューサアセンブリの隣接する横列に配置させた複数のトランスジューサ素子に対して動作可能に結合するように有利に構成させ、これにより相互接続アセンブリ内に使用する相互接続層の数を減少させることがある。図示した実施形態では、その例示的な再分布層は、トランスジューサアレイ上で2つの横列に配置させたトランスジューサ素子に対する単一の相互接続層96の結合を容易にするように構成させることがある。本明細書の上で記載したような再分布層を実現することによって、その各々が密度を高めた導電性トレース98をその上に配置させて有するようにして相互接続層の数96を減少させてトランスジューサアセンブリ94内の相互接続を実現することができる。換言すると、トランスジューサアセンブリ94の図示した例示的実施形態では、相互接続層96上のそれぞれの導電性トレース98に対するトランスジューサ素子100、102の結合を容易にするための相互接続層96の所望の数を2分の1に減少させることができる。さらに、信号のクロスオーバーがない再分布層上での信号ルート設定を実現することもできる。
【0053】
図7は、再分布層を有するトランスジューサアセンブリの一部に関する別の例示的な実施形態110を表している。図6を参照しながら説明したのと同様に、トランスジューサアセンブリ110の図示した実施形態は、その底側上に複数の導電性トレース114を配置させて有する相互接続層112を含むように表している。さらに、トランスジューサアセンブリ110は、複数のトランスジューサ素子と、該トランスジューサ素子と関連付けされた接続構造と、を含む。トランスジューサアセンブリ112はさらに、再分布層の上側上に配置させた第1の組の結合用素子120と再分布層の底側上に配置させた第2の組の結合用素子122とを有する例示的な再分布層を含むことがある。
【0054】
さらに図6を参照しながら説明したのと同様に、参照番号116は、2次元トランスジューサアレイの第1の横列に配置させた複数のトランスジューサ素子を表している。さらに参照番号118は、2次元トランスジューサアレイの第2の横列に配置させた複数のトランスジューサ素子を表しており、この第2の横列は例えば第1の横列と隣接して配置させることがある。一実施形態では、その相互接続層112は図7に示すようにトランスジューサ素子116、118の第1の横列と第2の横列の間に配置させることがある。
【0055】
さらに図7に表したように、再分布層の上側上に配置させる第1の組の結合用素子120は、単一の相互接続層112上に配置させた複数の導電性トレース114をトランスジューサアレイの第1の横列に配置させた複数のトランスジューサ素子116に対して動作可能に結合するように構成させることがある。同じ方式によって、再分布層の底側上に配置させる第2の組の結合用素子122は、単一の相互接続層112上に配置させる導電性トレース114をトランスジューサアレイの第2の横列に配置させた複数のトランスジューサ素子118に対して動作可能に結合するように構成させることがある。さらに参照番号124は、再分布層の上側と底側の電気的結合を容易にするように構成されたバイヤ穴を意味している。再分布層上の結合用素子120、122は、複数のトランスジューサ素子116、118の各々を相互接続層112上のそれぞれの導電性トレース114と動作可能に結合するように構成させることがある。さらに参照番号126は、再分布層の底側上に配置させた可撓性の接続パッドを意味している。可撓性の接続パッド126は、結合用素子104(図6参照)及びトランスジューサ素子100(図6参照)を相互接続層112上のそれぞれのトレース114に対して結合するように構成させることがある。図6を参照しながら指摘したように、トランスジューサアセンブリ110の図示した例示的実施形態では、相互接続層上のそれぞれの導電性トレースに対するトランスジューサ素子の結合を容易にするような相互接続層の所望の数を2分の1に有利に減少させることができる。
【0056】
ここで図8を見ると、トランスジューサアレイ上の3つの横列に配置させたトランスジューサ素子に対する単一の相互接続層130の結合を容易にするように再分布層を構成させているようなトランスジューサアセンブリの例示的な一実施形態128を表している。上で指摘したように、相互接続層130は、底側上に配置させて密度を高めた導電性トレース132を含むことがある。参照番号134は、トランスジューサアレイの第1の横列に沿って配置させた複数のトランスジューサ素子を意味しており、一方トランスジューサアレイの第2の横列に沿って配置させた複数のトランスジューサ素子は参照番号136で表している。同様に参照番号138は、トランスジューサアレイの第3の横列に沿って配置させた複数のトランスジューサ素子を意味している。例示的な一実施形態では、トランスジューサ素子の第1の横列、第2の横列及び第3の横列は互いに隣接させて配置させることがある。
【0057】
さらに再分布層は、結合用素子の第1の組140、第2の組142及び第3の組144をその上に配置させて含むように構成させることがある。本考案による構成では、結合用素子140の第1の組140、第2の組142及び第3の組144は、再分布層の底側上に配置させることがある。さらに図示した実施形態では、第1の組の結合用素子140は、相互接続層130上のそれぞれの導電性トレース132に対するトランスジューサアレイの第1の横列に配置させたトランスジューサ素子134の各々の動作可能な結合を容易にするように構成させることがある。同様に、トランスジューサアレイの第2の横列に配置させたトランスジューサ素子136の各々は、第2の組の結合用素子142を介してそれぞれの導電性トレース132と動作可能に結合させることがある。同じ方式によって、第3の組の結合用素子144は、それぞれの導電性トレース132に対する第3の横列に配置させたトランスジューサ素子138の動作可能な結合を容易にするように構成させることがある。再分布層上の結合用素子140、142、144は、複数のトランスジューサ素子134、136、138の各々を相互接続層130上のそれぞれの導電性トレース132に対して動作可能に結合するように構成させることがある。参照番号146は、再分布層の上側と底側の動作可能な結合を容易にするように構成させ得るバイヤ穴を意味している。図8を参照して示したようなトランスジューサアセンブリを実現することによって、単一の相互接続層130を利用して、トランスジューサアレイ上の隣接する3つの横列に配置させた複数のトランスジューサ素子の結合を容易にさせることができる。このため図示した例示的実施形態では、相互接続構造内の相互接続層の所望の数を3分の1に有利に減少させることができる。
【0058】
本明細書の上で記載したように再分布層を実現すると、相互接続構造の再構成が可能となるので有利である。換言すると、再分布層を使用すると、複数の相互接続層の各々の上の導電性トレース密度の増大を可能にすることによって相互接続構造内の相互接続層の数の減少が容易となり、これにより例えばケーブルアセンブリに対するトランスジューサ素子の結合を容易にするのに必要な相互接続層の数を減少させることが可能となる。
【0059】
本明細書の上で記載したように、再分布層の上側及び底側上に配置させる複数の結合用素子は、隣接する横列に配置させたトランスジューサ素子を単一の相互接続層上のそれぞれの導電性トレースに対して動作可能に結合するように構成させることがある。しかし、再分布層内の結合用素子に関するこの配列によって再分布層の厚さが不均一となることがある。再分布層の厚さがこのように不均一となると、トランスジューサアセンブリの最終的な組み上げの間に密接な付着が低下することがある。本技法の態様では、再分布層内に1つまたは複数のダミー結合用素子を導入することによって密接な付着を改善させることがある。これらのダミー結合用素子は、均一の厚さを有する再分布層の生成を容易にするので有利である。これらのダミー結合用素子はトランスジューサ素子と相互接続構造の間に電気的接続を生成しないことに留意されたい。
【0060】
図6〜8に図示した再分布層を有するトランスジューサアセンブリの実施形態はその相互接続層の数を2分の1と3分の1に減少させるようなトランスジューサアセンブリの実施形態を表しているが、本技法の態様に従って相互接続層の数の減少の割合を別の値に考案することもできることを理解されたい。
【0061】
本技法の態様では、トランスジューサアセンブリのある種の実施形態において、その再分布層を相互接続構造上に直接パターン形成させることがある。別法としてある種の別の実施形態では、その再分布層をトランスジューサアレイ上に直接パターン形成させることがある。
【0062】
図9は、再分布層を有するトランスジューサアセンブリを形成するための例示的なロジックの流れ図148である。本技法の例示的な態様では、再分布層を有するトランスジューサアセンブリを形成するための方法を提示する。本方法は、トランスジューサアレイを形成するように複数のトランスジューサ素子を間隔をとった関係で配列させる工程150で開始させる。例えば、2次元アレイを形成するように複数のトランスジューサ素子を横列を成して縦列に沿って配列させることがある。
【0063】
工程152では、ケーブルアセンブリなどの外部デバイスに対するトランスジューサアレイの複数のトランスジューサ素子の結合を容易にするように構成した例示的な相互接続構造を形成させることがある。この相互接続構造は、複数の相互接続層を間隔をとった関係で配置させることによって形成させることがある。一実施形態では、その複数の相互接続層は相互接続構造を形成するように積み重ねられることがある。上で指摘したように、複数の相互接続層のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレースの数は相互接続構造内の相互接続層の数に反比例している。換言すると、複数の相互接続層のそれぞれの上に配置させる導電性トレースの密度はかなり増大することがある。このため、例えばケーブルアセンブリに対する複数のトランスジューサ素子の動作可能な結合を容易にさせる相互接続層の数がこれに応じて減少することがある。
【0064】
上で記載したように、複数の相互接続層の各々の上の導電性トレースの密度が高くかつ相互接続構造内の相互接続層の数が減少しているため、相互接続構造の接続パターンはもはやトランスジューサアレイの接続パターンと一致しない。したがって、工程154では、相互接続層の数を減少させた相互接続構造の接続パターンとトランスジューサアレイの接続パターンとの動作可能な結合を容易にするように構成させた例示的な再分布層を相互接続構造の近傍に配置させることがある。一実施形態ではその再分布層は、上側及び底側を有するサブストレート層を含むことがある。サブストレート層は、ポリエステルまたはポリイミドを含むことがある。ある種の実施形態では、ポリエステルはMylarを含むことがあり、またポリイミドは例えばKaptonを含むことがある。さらに、再分布層の上側及び底側の上に複数の結合用素子を配置させることがある。再分布層の底側上に配置させる複数の結合用素子は、結合用素子のパターンが相互接続構造の接続パターンと一致するようにしてサブストレート層上で所望のパターンで配列させることがある。同じ方式によって、サブストレートの上側上に配置させる結合用素子のパターンは、トランスジューサアレイ上のトランスジューサ素子の接続パターンと一致するように構成させることがある。
【0065】
これに続いて、工程156において再分布層上の結合用素子を介して相互接続構造内の相互接続層の各々の上の導電性トレースに対して複数のトランスジューサ素子を動作可能に結合させ、例示的なトランスジューサアセンブリを形成させることがある。
【0066】
相互接続層の数を減少させた相互接続構造と再分布層を有するトランスジューサアセンブリの様々な実施形態、並びにこうしたトランスジューサアセンブリの様々な実施形態を製造する方法によって、トランスジューサアセンブリ内にある相互接続層の数の減少が容易になり、これによって相互接続の複雑さの低減が容易となるので有利である。相互接続層の数のこの減少によって製造コストが低下するので有利である。さらに、相互接続構造に対するトランスジューサアレイの結合を容易にするために再分布層を利用することによって相互接続層の数の減少が可能となり、これによりトランスジューサアセンブリの組み上げに関連する複雑さが劇的に低下する。さらに、本明細書の上で記載したトランスジューサアセンブリの形成技法を利用することによって、撮像システムで使用するための費用対効果のよいトランスジューサの構築が容易となる。
【0067】
本発明のある種の特徴についてのみ本明細書において図示し説明してきたが、当業者によって多くの修正や変更がなされるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲に属するこうした修正や変更のすべてを包含させるように意図したものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本技法の態様による撮像システムのブロック図である。
【図2】本技法の態様による、図1に示したシステムで使用するためのトランスジューサアセンブリの斜視図である。
【図3】図2の相互接続構造を切断線3−3に沿って切った断面図である。
【図4】本技法の態様による再分布層の例示的な一実施形態の上面図である。
【図5】図4の再分布層を切断線5−5に沿って切った断面図である。
【図6】本技法の態様による再分布層を有するトランスジューサアセンブリの例示的な一実施形態の図である。
【図7】本技法の態様による再分布層を有するトランスジューサアセンブリの別の例示的な実施形態の図である。
【図8】本技法の態様による再分布層を有するトランスジューサアセンブリのさらに別の例示的な実施形態の図である。
【図9】本技法の態様による再分布層を介してトランスジューサアレイ上のトランスジューサ素子を相互接続構造と相互接続するための工程を表した流れ図である。
【符号の説明】
【0069】
10 超音波システム
12 収集サブシステム
14 処理サブシステム
16 対象物
18 トランスジューサアセンブリ
20 T/R切り替えアレイ
22 送信器
24 受信器
26 ビーム形成器
28 制御プロセッサ
30 復調器
32 画像モードプロセッサ
34 走査変換器
36 表示プロセッサ
38 モニタ
40 ユーザインタフェース
42 リモート接続サブシステム
44 ウェッブサーバ
46 インタフェース
48 データリポジトリ
50 撮像ワークステーション
52 トランスジューサアセンブリ
54 トランスジューサアセンブリの前面
56 裏当て構造
58 相互接続構造
60 複数の相互接続層
62 導電性トレース
64 X方向
66 Y方向
68 Z方向
70 相互接続構造の断面図
72 導電性トレース同士のX方向の間隔
74 導電性トレース同士のY方向の間隔
76 再分布層の実施形態
78 サブストレート
80 サブストレートの底側上に配置させた結合用素子
82 接続パッド
84 バイヤ穴
88 接続パッド同士の間隔
92 再分布層の側面断面像
94 トランスジューサアセンブリの例示的な実施形態
96 相互接続層
98 導電性トレース
100 トランスジューサアレイの第1の横列上のトランスジューサ素子
102 トランスジューサアレイの第2の横列上のトランスジューサ素子
104 第1の組の結合用素子
106 第2の組の結合用素子
108 バイヤ穴
110 トランスジューサアセンブリの例示的な実施形態
112 相互接続層
114 導電性トレース
116 トランスジューサアレイの第1の横列上のトランスジューサ素子
118 トランスジューサアレイの第2の横列上のトランスジューサ素子
120 第1の組の結合用素子
122 第2の組の結合用素子
124 バイヤ穴
126 可撓性の接続パッド
128 トランスジューサアセンブリの例示的な実施形態
130 相互接続層
132 導電性トレース
134 トランスジューサアレイの第1の横列上のトランスジューサ素子
136 トランスジューサアレイの第2の横列上のトランスジューサ素子
138 トランスジューサアレイの第3の横列上のトランスジューサ素子
140 第1の組の結合用素子
142 第2の組の結合用素子
144 第3の組の結合用素子
146 バイヤ穴
148 相互接続アセンブリを形成する例示的な一方法を表した流れ図
150 流れ図148内に含まれる工程
152 流れ図148内に含まれる工程
154 流れ図148内に含まれる工程
156 流れ図148内に含まれる工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をとった関係で配置した複数の相互接続層(60)を備える相互接続構造(70)であって、該複数の相互接続層(60)の各々は複数の導電性トレース(62)をその上に配置させて備えている、相互接続構造(70)と、
前記相互接続構造(70)の近傍に配置させた再分布層(76)であって、トランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する相互接続構造(70)の結合を容易にするように構成されている再分布層(76)と、
を備える相互接続アセンブリ。
【請求項2】
前記複数の相互接続層(60)のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレース(62)の数は相互接続構造(70)内の相互接続層(60)の数に反比例する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記再分布層(76)は、該再分布層(76)の上側及び底側上に配置させた複数の結合用素子を備えている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記再分布層(76)の上側上に配置させる結合用素子(104)のピッチはトランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する再分布層(76)の結合を容易にするように構成されており、かつ該再分布層(76)の底側上に配置させる結合用素子(106)のピッチは前記相互接続構造(70)内の複数の相互接続層(60)上の複数の導電性トレース(62)に対する該再分布層(76)の結合を容易にするように構成されている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
間隔をとった関係で配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を備えたトランスジューサアレイと、
間隔をとった関係で配置した複数の相互接続層(60)を備える相互接続構造(70)であって、該複数の相互接続層(60)の各々は複数の導電性トレース(62)をその上に配置させて備えており、かつ複数の相互接続層(60)のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレース(62)の数は相互接続構造(70)内の相互接続層(60)の数に反比例している、相互接続構造(70)と、
を備えるトランスジューサアセンブリ。
【請求項6】
N及びMが整数であるとして「N×M」格子状に配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を備えたトランスジューサアレイと、
間隔をとった関係で配置させた「K」個の相互接続層(60)を備えた、前記トランスジューサアレイの近傍に配置させた相互接続構造(70)であって、該「K」個の相互接続層(60)の各々は「L」個の導電性トレース(62)をその上に配置させて備えており、「K」が「M」より小さくかつ「L」が「N」より大きく、かつ「K」及び「L」が整数である相互接続構造(70)と、
前記相互接続構造(70)の近傍に配置させた再分布層(76)であって、トランスジューサアレイ内の1つまたは複数の素子に対する相互接続構造(70)の結合を容易にするように構成されている再分布層(76)と、
を備えるトランスジューサアセンブリ。
【請求項7】
トランスジューサアセンブリを形成するための方法であって、
間隔をとった関係で配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を有するトランスジューサアレイを提供する工程と、
複数の相互接続層を間隔をとった関係で配置させることによって相互接続構造を形成する工程であって、該複数の相互接続層の各々は複数の導電性トレースをその上に配置させて備えており、かつ該複数の相互接続層のそれぞれの上に配置させる複数の導電性トレースの数は該相互接続構造内の相互接続層の数に反比例している形成工程と、
前記相互接続構造に対する前記トランスジューサアレイの結合を容易にするために相互接続構造とトランスジューサアレイの間に再分布層を配置させる工程と、
前記再分布層を介して前記相互接続構造を前記トランスジューサアレイに結合させる工程と、
を含む方法。
【請求項8】
再分布層を配置させる前記工程は、再分布層の上側及び底側上に複数の結合用素子をパターン形成する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の結合用素子をパターン形成する前記工程は、
前記再分布層の上側上に配置させる結合用素子のピッチが前記トランスジューサアレイ内の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する該再分布層の結合を容易にするように構成されるようにして該上側上に複数の結合用素子を配列させる工程と、
前記再分布層の底側上に配置させる結合用素子のピッチが該相互接続構造内の複数の相互接続層に対する該再分布層の結合を容易にするように構成されるようにして該底側上に複数の結合用素子を配列させる工程と、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
関心領域を撮像するように構成させた探触子を備えている、画像データを収集するように構成させた収集サブシステム(12)であって、該探触子は少なくとも1つのトランスジューサアセンブリを備えており、かつ該少なくとも1つのトランスジューサアセンブリは、
N及びMが整数であるとして「N×M」格子状に配列させた1つまたは複数のトランスジューサ素子を備えたトランスジューサアレイと、
間隔をとった関係で配置させた「K」個の相互接続層(60)を備えた、前記トランスジューサアレイの近傍に配置させた相互接続構造(70)であって、該「K」個の相互接続層(60)の各々は「L」個の導電性トレース(62)をその上に配置させて備えており、「K」が「M」より小さくかつ「L」が「N」より大きく、かつ「K」及び「L」が整数である相互接続構造(70)と、
前記相互接続構造(70)の近傍に配置させた再分布層(76)であって、トランスジューサアレイ上の1つまたは複数のトランスジューサ素子に対する相互接続構造(70)の結合を容易にするように構成されている再分布層(76)と、
を備えている、収集サブシステム(12)と、
前記収集サブシステム(12)と動作連係させた、該収集サブシステム(12)を介して収集した画像データを処理するように構成させた処理サブシステム(14)と、
を備えるシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−195164(P2007−195164A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−345671(P2006−345671)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】