説明

トリアゾロピリジンカルボキサミド誘導体、その調製およびその治療的使用

本発明は、一般式(I)で表される、酵素MGL(モノアシルグリセロールリパーゼ)の阻害物質であるトリアゾロピリジンカルボキサミドに関する。その調製方法およびその治療的使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾロピリジンカルボキサミド誘導体、その調製およびその治療的使用に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の主題は、式(I)
【0003】
【化1】

[式中、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、S(O)R”、ヒドロキシルもしくはシアノ基であり、
Aは、存在していないまたはそうでなければ、結合、酸素原子、イオウ原子、NR、C(O)NR’またはSONR’基、(C−C)アルキレン基もしくは(C)アルケニル基であり、
およびRは、互いに独立して、水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、C(O)R’、C(O)OR’、C(O)NR1020またはNO基、またはNR1020もしくはNR10C(O)−R20基から選択される1個または複数の基であり、この(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基は、互いに独立して、ハロゲン原子およびヒドロキシル、アミノまたはNR1020基から選択される1個または複数の原子または基で場合によって置換されており、
Rは、水素原子、および(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、C(O)R’、SOR”、COR”またはC(O)NR1020基から選択される基であり、
R’は、水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基および(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基から選択される基であり、
R”は、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基および(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基から選択される基であり、
10およびR20は、互いに独立して、水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基および(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基から選択される1個または複数の基であり、またはそうでなければ、R10およびR20は、5から7個の炭素原子を含み、O、NまたはS(O)から選択されるヘテロ原子を場合によって含む飽和または部分不飽和の環を形成していることができ、
mは、0、1または2を表す。]
に対応する化合物である。
【0004】
式(I)の化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を含み得る。したがって、式(I)の化合物はエナンチオマーの形態またはジアステレオ異性体の形態で存在し得る。これらのエナンチオマーおよびジアステレオ異性体、さらにまたラセミ混合物も含めたそれらの混合物は本発明の一部である。
【0005】
式(I)の化合物は塩基の形態または酸との付加塩の形態で存在し得る。そのような付加塩は本発明の一部である。
【0006】
これらの塩は薬学的に許容される酸とで調製され得るが、例えば、式(I)の化合物の精製または単離に有用である他の酸の塩も本発明の一部である。
【0007】
式(I)の化合物はまた水和物の形態または溶媒和物の形態、すなわち1個または複数の水の分子とのまたは溶媒との会合の形態または組合せの形態でも存在し得る。そのような水和物および溶媒和物も本発明の一部である。
【0008】
本発明の文脈では、
−Ct−z(ここでtおよびzは1から7の値を取り得る。)は、tからz個の炭素原子を有し得る炭素鎖もしくは環を意味するものとし、例えば、C1−3は、1から3個の炭素原子を含む炭素鎖を表し得;
−ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味するものとし;
−アルキル基は、線状もしくは分枝状の、飽和脂肪族基を意味するものとし、例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルなどの基が言及され得;
−シクロアルキル基は、飽和環式脂肪族基を意味するものとし、例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの基が言及され得;
−アルキレン基は、線状もしくは分枝状の、飽和二価脂肪族基を意味するものとし、例として、C1−3−アルキレン基は、メチレニル(−CH−)、エチレニル(−CHCH−)、1−メチルエチレニル(−CH(CH)CH−)、プロピレニル(−CHCHCH−)などのような、1から3個の炭素原子を含む線状もしくは分枝状の、二価炭素鎖であり;
−アルケニル基は、例えば、1または2個のエチレン性不飽和を含む線状もしくは分枝状の、単不飽和または多不飽和脂肪族基を意味するものとし、例として、(C)アルケニル基は、2個の炭素原子ならびにエテニル(−CH=CH−)のような1個のエチレン性不飽和を含む炭素鎖であり;
−アルコキシ基は、−O−アルキル基を意味するものとし、ここでのアルキル基は先に定義した通りであり;
−ハロアルキル基は、1個または複数の水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味するものとし、例としては、−CFおよび−CHCF基が言及され得;
−イオウ原子は、酸化状態(スルホキシド、スルホン)で存在していてもよい。
【0009】
以下に定義されているさまざまな基のうち、基R、R、RおよびR’は、それらが定義されていない場合は、先に記載した意味と同じ意味を有している。
【0010】
本発明の主題である式(I)の化合物のなかでも、第1の化合物の群には、
Xが水素またはハロゲン原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合、酸素原子、イオウ原子、NR、C(O)NR’またはSONR’基、(C−C)アルキレン基もしくは(C)アルケニル基である
化合物が含まれる。
【0011】
本発明の主題である式(I)の化合物のなかでも、第2の化合物の群には、
Xが水素またはハロゲン原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合もしくは(C−C)アルキレン基であり、
およびRが、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基またはアルコキシ基から選択される1個または複数の基である
式(I)の化合物が含まれる。
【0012】
本発明の主題である式(I)の化合物のなかでも、第3の化合物の群には、
Xが水素またはハロゲン原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合もしくはエチレン基であり、
およびRが、互いに独立して、水素またはハロゲン原子から選択される1個または複数の基である
式(I)の化合物が含まれる。
【0013】
本発明の主題である式(I)の化合物のなかでも、第4の化合物の群には、
Xが水素または塩素原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合もしくはエチレン基であり、
およびRが、互いに独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子から選択される1個または複数の基である
式(I)の化合物が含まれる。
【0014】
上記で定義した群1から4の組合せも本発明の一部である。
【0015】
本発明の主題である式(I)の化合物のなかでも、特に以下の化合物:
−(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン;
−(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)メタノン;
−{4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン;
−{4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン;
−{4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−メタノン;
−{4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−メタノン;
−[4−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]−ピリジン−1−イルメタノン;
−[4−(9H−フルオレン−9−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
が言及され得る。
【0016】
続いての本文では、用語「保護基Pg」は、先ず、ヒドロキシルやアミンのような反応性官能基を合成の間中保護すること、次に、元の反応性官能基を合成の終りに再生することを可能にさせる基を意味するものとする。保護基の例ならびに保護および脱保護の方法は、「Protective Groups in Organic Synthesis」、Greene et al.、2nd Edition(John Wiley & Sons,Inc.、New York)、1991年に説明されている。
【0017】
続いての本文では、用語「脱離基」は、電子の対を脱離してヘテロリシス結合を破ることによって分子から容易に開裂され得る基を意味するものとする。したがって、この基は例えば置換反応の間に別の基で容易に置き換えられ得る。そのような脱離基には、例えば、ハロゲンや、メタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、トリフラート、アセタートなどのような活性ヒドロキシル基がある。脱離基の例ならびにその調製についての参考文献は、「Advances in Organic Chemistry」、J.March、3rd Edition、Wiley Interscience、1985年、310−316頁に説明されている。
【0018】
本発明によれば、式(I)の化合物は、以下の方法に従って調製され得る。
【0019】
第1の方法(スキーム1)は、テトラヒドロフランのような溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基ならびに4−ジメチルアミノピリジンのような触媒の存在下に式(II)[式中、Xは、先に定義した通りである。]で表されるトリアゾロピリジン誘導体を式(III)[式中、R、RおよびAは、先に定義した通りである。]で表されるカルバモイルクロリドと反応させることから成る。
【0020】
【化2】

【0021】
第2の方法(スキーム2)は、アセトニトリルのような溶媒中およびジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下に、式(IV)[式中、Xは、先に定義した通りである。]で表されるトリアゾロピリジン誘導体を式(V)[式中、R、RおよびAは、先に定義した通りであり、Lは脱離基である。]で表される誘導体と反応させることから成る。
【0022】
【化3】

【0023】
式(II)、(III)、(IV)および(V)の化合物は、それらの調製方法が上記において記載されていない場合は、市販されているもしくは文献に記載されている、またはそうでなければ、そこに記載されているもしくは当業者に知られている方法に従って調製され得る。
【0024】
本発明の別の態様によれば、塩基または塩形態である式(IV)[式中、Xは、先に定義した通りである。]の化合物も本発明の主題である。これらの化合物は、式(I)の化合物を合成するための中間体として有用である。
【0025】
以下の実施例は、本発明のいくつかの化合物の調製を説明するものである。これらの実施例は、限定するものではなく、単に本発明を説明するものである。微量分析、IRおよびNMRスペクトルならびに/またはLC−MS分析は、得られた化合物の構造および純度を確認するものである。例示されている各化合物の番号は、後出の本発明によるいくつかの化合物の化学構造および物理特性を示す表に与えられている番号を指している。
【実施例1】
【0026】
(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
1.1. 4−ベンズヒドリルピペラジン−1−カルボニルクロリド
2.522g(10mmol)の1−ベンズヒドリルピペラジンおよび1.62ml(20mmol)のピリジンの15mlのジクロロメタン中溶液を、滴下で、1.187g(4mmol)のトリホスゲンの10mlのジクロロメタン中溶液に加え、アルゴン雰囲気下で−5℃まで冷却させる。撹拌を、−5℃にて15分間、次いで周囲温度にて3時間続ける。50mlのジクロロメタンおよび50mlの水を続けて加える。この混合物を沈降により分離させ、その有機相を、2×25mlの水、次いで25mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。この生成物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させて、ガム状物の形態である2.72gの生成物を得、そのまま次のステップで用いる。
【0027】
1.2.(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
0.62ml(3.75mmol)のジイソプロピルエチルアミンを、ステップ1.1.で得られた0.865g(2.75mmol)の4−ベンズヒドリルピペラジン−1−カルボニルクロリド、0.300g(2.50mmol)の1H−[1.2.3]トリアゾロ[4.5−b]ピリジンおよび0.015g(0.12mmol)の4−ジメチルアミノピリジンの5mlのテトラヒドロフラン中懸濁液に加える。この混合物を周囲温度にて4時間撹拌し、次いで60mlの酢酸エチルおよび15mlの水を加える。この有機相を沈降により分離させ、2×15mlの水、次いで15mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。この生成物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させる。この生成物を、溶離が酢酸エチルとシクロヘキサンの25:75、次いで30:70、35:65および40:60混合物で行われるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。この生成物を続いてイソプロパノールから再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.63g(1.58mmol)の生成物を得る。
【0028】
融点(℃):146−148(分解)
LC−MS(m/z):399(MH+)
IR(KBr,cm−1):1697
H−NMR(CDCl,δppm):8.80(dd,1H)、8.40(dd,1H)、7.55(dd,1H)、7.45−7.15(m,10H)、4.35(s,1H)、4.00(m,4H)、2.60(m,4H)。
【実施例2】
【0029】
(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)メタノン
この方法は、0.651g(2.07mmol)の4−ベンズヒドリルピペラジン−1−カルボニルクロリドおよび0.278g(1.80mmol)の6−クロロ−1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン(J.Am.Chem.Soc.1949年、1885頁)を用いて実施例1で述べたのと同じようにして行う。この生成物を2−ブタノンとジイソプロピルエーテルとの混合物から再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.46g(1.06mmol)の生成物を得る。
【0030】
融点(℃):173−175(分解)
LC−MS(m/z):455(MNa+)、471(MK+)
IR(KBr,cm−1):1706
H−NMR(CDCl,δppm):8.75(s,1H)、8.30(s,1H)、7.45(m,4H)、7.35−7.20(m,6H)、4.35(s,1H)、4.00(m,4H)、2.65(m,4H)。
【実施例3】
【0031】
{4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
この方法は、0.757g(2.16mmol)の4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−カルボニルクロリド(実施例1.1に従って得た)および0.216g(1.80mmol)の1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジンを用いて実施例1に従って行う。この生成物をイソプロパノールから再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.50g(1.15mmol)の生成物を得る。
【0032】
融点(℃):151−153(分解)
LC−MS(m/z):435(MH+)
IR(KBr,cm−1):1712
H−NMR(CDCl,δppm):8.85(d,1H)、8.40(d,1H)、7.55(dd,1H)、7.40(m,4H)、7.05(m,4H)、4.40(s,1 H)、4.00(m,4H)、2.60(m,4H)。
【実施例4】
【0033】
{4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
この方法は、0.882g(2.30mmol)の4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−カルボニルクロリド(実施例1.1に従って得た)および0.240g(2mmol)の1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジンを用いて実施例1に従って行う。この生成物を2−ブタノンとジイソプロピルエーテルとの混合物から再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.57g(1.22mmol)の生成物を得る。
【0034】
融点(℃):163−165(分解)
LC−MS(m/z):467(MH+)
IR(KBr,cm−1):1715
H−NMR(CDCl,δppm):8.70(d,1H)、8.30(d,1H)、7.45(dd,1H)、7.30−7.15(m,8H)、4.25(s,1H)、3.90(m,4H)、2.50(m,4H)。
【実施例5】
【0035】
{4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−メタノン
この方法は、0.757g(2.16mmol)の4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−カルボニルクロリドおよび0.278g(1.80mmol)の6−クロロ−1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジンを用いて実施例1に従って行う。この生成物をイソプロパノールから再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.60g(1.28mmol)の生成物を得る。
【0036】
融点(℃):167−169(分解)
LC−MS(m/z):469(MH+)
IR(KBr,cm−1):1704
H−NMR(CDCl,δppm):8.75(s,1H)、8.40(s,1H)、7.40(m,4H)、7.05(m,4H)、4.35(s,1H)、4.00(m,4H)、2.60(m,4H)。
【実施例6】
【0037】
{4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−メタノン
この方法は、0.926g(2.41mmol)の4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−カルボニルクロリドおよび0.324g(2.10mmol)の6−クロロ−1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジンを用いて実施例1に従って行う。この生成物を2−ブタノンとジイソプロピルエーテルとの混合物から再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.71g(1.41mmol)の生成物を得る。
【0038】
融点(℃):172−174(分解)
IR(KBr,cm−1):1702
H−NMR(d−DMSO,δppm):8.85(s,1H)、8.50(s,1H)、7.45(d,4H)、7.40(d,4H)、4.55(s,1H)、3.80(m,4H)、2.45(m,4H)。
【実施例7】
【0039】
[4−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]−ピリジン−1−イルメタノン
この方法は、0.790g(2.32mmol)の4−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−カルボニルクロリド(実施例1.1に従って得た)および0.278g(2.32mmol)の1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジンを用いて実施例1に従って行う。この生成物を酢酸エチルから再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.26g(0.61mmol)の生成物を得る。
【0040】
融点(℃):190−194(分解)
LC−MS(m/z):447(MNa+)、463(MK+)、871(MMNa+)
IR(KBr,cm−1):1707
H−NMR(CDCl,δppm):8.80(d,1H)、8.35(d,1H)、7.55(dd,1H)、7.25−7.05(m,8H)、4.15−3.85(m,7H)、2.95−2.80(m,2H)、2.55(m,4H)。
【実施例8】
【0041】
[4−(9H−フルオレン−9−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
8.1. t−ブチル4−([1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−カルボニル)ピペラジン−1−カルボキシラート
1.39ml(8.40mmol)のジイソプロピルエチルアミンを、0.840g(7mmol)の1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン、1.741g(7mmol)のt−ブチル4−クロロカルボニルピペラジン−1−カルボキシラート(Bioorg.Med.Chem.Lett.2000年、10号、2357頁)、および0.042g(0.35mmol)の4−ジメチルアミノピリジンの14mlのテトラヒドロフラン中懸濁液に加える。この混合物を周囲温度にて4時間撹拌し、次いで80mlの酢酸エチルおよび20mlの水を加える。この有機相を沈降により分離させ、次いで3×20mlの水および20mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。この生成物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾固まで蒸発させる。この残留物をイソプロパノールから再結晶させて、白色の結晶物の形態である1.70g(5.1mmol)の生成物を得る。
【0042】
融点(℃):155−157(分解)。
【0043】
8.2. ピペラジン−1−イル[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノンジヒドロクロリド
1.8mlの5N塩酸のイソプロパノール中溶液(9mmol)を、ステップ8.1.で調製した0.498g(1.50mmol)のt−ブチル4−([1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−カルボニル)ピペラジン−1−カルボキシラートの7.5mlのジクロロメタン中溶液に加える。撹拌を一晩周囲温度にて続ける。この固体生成体を濾別し、3mlのジクロロメタンおよび2×6mlのジイソプロピルエーテルで洗浄し、そうして次いで五酸化リンの存在下に真空下で乾燥させて、白色の粉末の形態である0.46g(1.5mmol)の生成物を得る。
【0044】
融点(℃):160(分解)
LC−MS(m/z):233(MH+)
IR(KBr,cm−1):1714
H−NMR(d−DMSO,δppm):9.60(m,2H)、8.80(d,1H)、8.40(d,1H)、7.75(dd,1H)、4.05(m,4H)、3.25(m,4H)
【0045】
8.3. [4−(9H−フルオレン−9−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
0.83ml(5mmol)のジイソプロピルエチルアミンを、0.381g(1.25mmol)の、ステップ8.2.で調製したピペラジン−1−イル[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノンジヒドロクロリド、および0.337g(1.38mmol)の9−ブロモ−9H−フルオレンの4mlのアセトニトリル中懸濁液に加える。この溶液を一晩周囲温度にて撹拌し、次いで蒸発させる。この残留物を40mlの酢酸エチルと10mlの水との混合物中に取り込む。この混合物を沈降により分離させ、その有機相を、2×10mlの水、次いで10mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。この生成物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させる。この生成物を、溶離が酢酸エチルとシクロヘキサンの40:60次いで50:50混合物で行われるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、そうして次いでイソプロパノールから再結晶させて、白色の結晶物の形態である0.40g(1.01mol)の生成物を得る。
【0046】
融点(℃):170−172(分解)
LC−MS(m/z):397(MH+)、815(MMNa+)
IR(KBr,cm−1):1723
H−NMR(CDCl,δppm):8.80(dd,1H)、8.35(dd,1H)、7.75−7.65(m,4H)、7.55(dd,1H)、7.45−7.25(m,4H)、4.95(s,1H)、3.95(m,4H)、2.85(m,4H)。
【0047】
以下の表は、本発明によるいくつかの化合物の実施例の化学構造および物理特性を示すものである。この表中:
−Mp(℃)は、化合物の摂氏度での融点であり;
−カラム「A」中の、「−」は、Aは存在していないことを意味し;
−「塩」カラム中の、「−」は、遊離塩基の形態である化合物を表し、「HCl」は、塩酸塩形態である化合物を表す。
【0048】
この表に記載されている化合物は、先に記載した方法に従って調製したものである。
【0049】
【表1】

【0050】
本発明による化合物は驚くべきことにMGL(モノアシルグリセロールリパーゼ)酵素に対して阻害効果を示す。MGL酵素は、さまざまな脂肪酸のモノグリセリドエステルの内生誘導体の加水分解(FEBS Letters 1998年、429号、152−156頁)、特に2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)および1(3)−アラキドノイルグリセロール(1(3)−AG)の加水分解(J.Biol.Chem.1987年、272(48)、27218−27223頁;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2002年、99(16)、10819−10824頁;Biochem.Pharmacol.2004年、67号、1381−1387頁;Mol.Pharmacol.2004年、66(5)、1260−1264頁)を触媒する。この2−AGおよび1−(3)−AG誘導体は特にカンナビノイド受容体と相互作用するものである(J.Biol.Chem.1999年、274(5)、2794−2801頁;J.Biol.Chem.2000年、275(1)、605−612頁;British J.Pharmacol.2001年、134号、664−672頁)。
【0051】
本発明の化合物はこの分解経路を遮断し、そのような誘導体の組織濃度、特に2−AGおよび/または1(3)−AGの組織濃度を増大させる。この点で、本発明の化合物は、MGL酵素によって代謝される、特に2−AGおよび/または1(3)−AG、ならびに/または任意の他の基質が関与している病気の予防および治療で用いられ得る(Progress Lipid Research 2006年、45号、405−446頁)。
【0052】
本発明による化合物は、MGL酵素に対するその阻害効果を測定するための薬理試験に付された。
【0053】
試験には、MGL酵素に対する本発明の化合物のインビトロ活性を測定することが含まれていた。
【0054】
MGLに対しての阻害活性は、MGLの活性の50%を阻害する濃度によって与えられる。
【0055】
阻害活性は、MGLによる2−オレオイルグリセロール([H]2−OG)の加水分解の生成物を測定することに基づいている放射酵素アッセイで測定された。グリセロールが標識化された[H]2−OGの加水分解の生成物はオレイン酸および[H]グリセロールであり、MGL酵素の提供源は、小脳および延髄が取り除かれたマウス脳のホモジネートである。マウス脳を取り出して、それらが使われる時まで−80℃で保存するまたは直ちに5000rpmのPrecellys装置(Bertin)を用いて4℃で10mM tris−HCl、150mM NaCl、1mM EDTA緩衝液(pH8)中において5秒間2回ホモジネートする。ホモジネートの濃度はこのあと7.5μg/μlに調整される。
【0056】
化合物の希釈シリーズは、100%DMSO中20mMのストック溶液から調製される。このシリーズの最初の希釈は100%DMSO中に調製され、次いで次の希釈は酵素反応緩衝液(50mM ホスファート、0.1%BSA)中に調製されて、10倍濃縮濃度範囲の調製物がもたらされる。試験化合物は選択された濃度でマウス脳ホモジネート調製物と一緒に20分間事前インキュベートされる。酵素反応におけるDMSOの最終濃度は0.1%を超えない。
【0057】
MGL活性のアッセイは、96ウェルマイクロプレート中の100μlの最終反応量中で行われる。簡潔には、試験化合物と一緒に事前インキュベートされた75μgのタンパク質が、0.1%のBSAを含有している50mMのリン酸緩衝液に希釈され、0.027μCi/ウェル(20Ci/mmolの比放射能)の[H]2−OGの量を含有している50μMの2−OGの存在下に、周囲温度にて20分間、インキュベートされる。100μlのクロロホルム/メタノール(1/1)を加えて混合することによって反応が停止され、生成した生成物は分離される。10分間撹拌した後、マイクロプレートは4000gで15分間遠心分離され、生成した[H]グリセロールを含有している水相の30μlアリコートが取り出され、次いで液体シンチレーション(Wallac 1450 Microbeta)により5分間カウントされる。
【0058】
このような条件下では、本発明の最も活性な化合物は、0.001から0.1μMのIC50(対照MGLの酵素活性の50%を阻害する濃度)を有している。
【0059】
例えば、化合物番号1および7は、それぞれ、0.004および0.025μMのIC50を示した。
【0060】
したがって、本発明による化合物はMGLに対しての阻害活性を有しているように思われる。
【0061】
したがって、本発明による化合物は、医薬、特にMGL酵素を阻害する医薬の調製に用いられ得る。
【0062】
つまり、本発明の別の態様によれば、本発明の主題は、式(I)の化合物、またはこの化合物の薬学的に許容される酸との付加塩、またはそうでなければ、式(I)の化合物の水和物もしくは溶媒和物を含む医薬である。
【0063】
そのような医薬は治療薬に用途が見られ、特に、
−疼痛、特に神経性型の急性または慢性の疼痛:片頭痛、ヘルペスウイルスや糖尿病と関連している形態も含めた神経障害性型の疼痛;
−炎症性の疾患と関連している急性または慢性の疼痛:関節炎、関節リウマチ、骨関節炎、脊椎炎、痛風、血管炎、クローン病、過敏性腸症候群;
−急性または慢性の末梢疼痛;
−眩暈感、嘔吐、悪心、特に化学療法に続いての悪心;
−摂食障害、特に各種態様の食欲不振および悪液質;
−代謝症候群およびこの肥満症も含めた発現;
−脂質異常症ならびにこのアテローム性動脈硬化症および冠状動静脈疾患も含めた発現;
−神経性ならびに精神性の病的状態;震え、運動異常症、失調症、痙攣、強迫性行動、ツレット症候群、あらゆる態様ならびに起源の鬱および不安のすべての形態、気分障害、精神病;
−急性ならびに慢性の神経変性疾患:パーキンソン病、アルツハイマー病、老人性痴呆症、ハンチントン舞踏病、脳虚血ならびに頭蓋および骨髄損傷と関連している病変、筋萎縮性側索硬化症;
−癲癇;
−睡眠時無呼吸も含めた睡眠障害;
−心血管疾患、特に高血圧、不整脈、動脈硬化症、心臓発作、心虚血;
−腎虚血;
−癌:良性の皮膚腫瘍、脳腫瘍および乳頭腫、前立腺腫瘍、脳腫瘍(神経膠芽細胞腫、髄上皮腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、胚芽由来の腫瘍、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣細胞腫、乏突起膠腫、叢腫瘍、感覚上皮細胞腫、骨端腫瘍、上衣芽細胞腫、悪性髄膜腫、肉腫症、悪性黒色腫、神経鞘腫);
−免疫系の障害、特に自己免疫疾患:乾癬、紅斑性狼瘡、結合組織の疾患つまり膠原病、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化型脊椎関節炎、ベーチェット病、溶血性自己免疫性貧血、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アミロイド症、移植拒絶反応、形質細胞系を冒す疾患;
−アレルギー性の疾患:即時型または遅延型の過敏症、アレルギー性の鼻炎や結膜炎、接触皮膚炎;
−寄生虫、ウイルスまたは細菌性の感染性疾患:AIDS、髄膜炎;
−炎症性の疾患、特に関節の疾患:関節炎、関節リウマチ、骨関節炎、脊椎炎、痛風、血管炎、クローン病、過敏性腸症候群;
−骨粗鬆症;
−眼性の病態:高眼圧症、緑内障;
−呼吸器系統の病態:気道障害、気管支痙攣、咳、喘息、慢性気管支炎、慢性気道閉塞、気腫;
−胃腸疾患:過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、潰瘍、下痢;
−尿失禁および膀胱炎;
の治療および予防に用途が見られる。
【0064】
本発明の別の態様によれば、本発明は、活性成分として、本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。そのような医薬組成物は、本発明による少なくとも1種の化合物、または前記化合物の薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の有効用量、ならびに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含有している。前記賦形剤は、所望の医薬剤形および投与の方法に応じて、当業者に知られている通常の賦形剤から選択される。
【0065】
本発明の経口、舌下、皮下、筋内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻内、経皮または直腸投与用の医薬組成物では、上記式(I)の活性成分、またはその考えられる塩、溶媒和物もしくは水和物は、上記の障害または疾患の予防または治療のためには単位投与剤形で、慣用の医薬賦形剤との混合物として、動物および人間に投与され得る。
【0066】
適している単位投与剤形には、錠剤、ソフトまたはハードゲルカプセル、粉末、顆粒および経口用溶液または懸濁液のような経口用剤形、舌下、経頬、気管内、眼内および鼻内投与用剤形、さらには吸入による投与用剤形、局所、経皮、皮下、筋内または静脈内投与用剤形、直腸投与用剤形、ならびに埋設片が含まれる。局所用途には、本発明による化合物は、クリーム、ゲル、軟膏またはローション中に用いられ得る。
【0067】
例として、錠剤の形態である本発明による化合物の単位投与剤形は、以下の各成分:
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
を含み得る。
【0068】
本発明の別の態様によれば、本発明は上記において示した病的状態の治療方法にも関し、この方法には、患者に、本発明による化合物、またはその薬学的に許容される塩または水和物もしくは溶媒和物の有効用量を投与することが含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の形態もしくは酸との付加塩の形態、さらにまた水和物の形態もしくは溶媒和物の形態である、式(I)
【化1】

[式中、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、S(O)R”、ヒドロキシルもしくはシアノ基であり、
Aは、存在していないまたはそうでなければ、結合、酸素原子、イオウ原子、NR、C(O)NR’またはSONR’基、(C−C)アルキレン基もしくは(C)アルケニル基であり、
およびRは、互いに独立して、水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)アルコキシ基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、C(O)R’、C(O)OR’、C(O)NR1020またはNO基、またはNR1020もしくはNR10C(O)−R20基から選択される1個または複数の基であり、この(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基は、互いに独立して、ハロゲン原子およびヒドロキシル、アミノまたはNR1020基から選択される1個または複数の原子または基で場合によって置換されており、
Rは、水素原子、および(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、C(O)R’、SOR”、COR”またはC(O)NR1020基から選択される基であり、
R’は、水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基および(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基から選択される基であり、
R”は、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基および(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基から選択される基であり、
10およびR20は、互いに独立して、水素原子、(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基および(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基から選択される1個または複数の基であり、またはそうでなければ、R10およびR20は、5から7個の炭素原子を含み、O、NまたはS(O)から選択されるヘテロ原子を場合によって含む飽和または部分不飽和の環を形成していることができ、
mは、0、1または2を表す。]
に対応する化合物。
【請求項2】
Xが水素またはハロゲン原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合、酸素原子、イオウ原子、NR、C(O)NR’またはSONR’基、(C−C)アルキレン基もしくは(C)アルケニル基である
ことを特徴とする、塩基の形態もしくは酸との付加塩の形態、さらにまた水和物の形態もしくは溶媒和物の形態である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Xが水素またはハロゲン原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合もしくは(C−C)アルキレン基であり、
およびRが、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基またはアルコキシ基から選択される1個または複数の基である
ことを特徴とする、塩基の形態もしくは酸との付加塩の形態、さらにまた水和物の形態もしくは溶媒和物の形態である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Xが水素またはハロゲン原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合もしくはエチレン基であり、
およびRが、互いに独立して、水素またはハロゲン原子から選択される1個または複数の基である
ことを特徴とする、塩基の形態もしくは酸との付加塩の形態、さらにまた水和物の形態もしくは溶媒和物の形態である、請求項1から3の一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Xが水素または塩素原子であり、
Aが、存在していないまたはそうでなければ、結合もしくはエチレン基であり、
およびRが、互いに独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子から選択される1個または複数の基である
ことを特徴とする、塩基の形態もしくは酸との付加塩の形態、さらにまた水和物の形態もしくは溶媒和物の形態である、請求項1から4の一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
−(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
−(4−ベンズヒドリルピペラジン−1−イル)(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)メタノン
−{4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
−{4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
−{4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−メタノン
−{4−[ビス(4−クロロフェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}(6−クロロ[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イル)−メタノン
−[4−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]−ピリジン−1−イルメタノン
−[4−(9H−フルオレン−9−イル)ピペラジン−1−イル][1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−1−イルメタノン
から選択されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
式(II)
【化2】

[式中、Xは、請求項1に記載の式(I)で定義した通りである。]の化合物を式(III)
【化3】

[式中、A、RおよびRは、請求項1に記載の式(I)で定義した通りである。]の化合物と反応させることを特徴する請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項8】
式(IV)
【化4】

[式中、Xは、請求項1に記載の式(I)で定義した通りである。]の化合物を式(V)
【化5】

[式中、A、RおよびRは、請求項1に記載の式(I)で定義した通りであり、Lは、脱離基を表す。]の化合物と反応させることを特徴する請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項9】
式(IV)
【化6】

[式中、Xは、請求項1に記載の式(I)で定義した通りである。]の化合物。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容される酸とのこの化合物の付加塩、またはそうでなければ、式(I)の化合物の水和物もしくは溶媒和物を含むことを特徴とする医薬。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、ならびに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項12】
内因性2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)および内因性1(3)−アラキドノイルグリセロール、ならびに/またはMGL酵素によって代謝される任意の他の基質が関与している病的状態の治療および予防で使用するための医薬を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
急性または慢性の疼痛、眩暈感、嘔吐、悪心、摂食障害、代謝症候群、脂質異常症、神経性および精神性の病的状態、急性または慢性の神経変性疾患、癲癇、睡眠障害、心血管疾患、腎虚血、癌、免疫系の障害、アレルギー性の疾患、寄生虫、ウイルスまたは細菌性の感染性疾患、炎症性の疾患、骨粗鬆症、眼性の病態、肺性の病態、胃腸疾患、尿失禁および膀胱炎の予防または治療で使用するための医薬を調製するための、薬学的に許容される塩基、水和物または溶媒和物の形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
慢性または急性の疼痛、眩暈感、嘔吐、悪心、摂食障害、代謝症候群、脂質異常症、神経性または精神性の病的状態、急性または慢性の神経変性疾患、癲癇、睡眠障害、心血管疾患、腎虚血、癌、免疫系の障害、アレルギー性の疾患、寄生虫、ウイルスまたは細菌性の感染性疾患、炎症性の疾患、骨粗鬆症、眼性の病態、肺性の病態、胃腸疾患、尿失禁および膀胱炎を予防または治療するための、薬学的に許容される塩基、水和物または溶媒和物の形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。

【公表番号】特表2010−524907(P2010−524907A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503550(P2010−503550)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000535
【国際公開番号】WO2008/145842
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】