説明

トリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を含有する有害生物防除剤

【課題】 新規な有害生物防除剤を提供する
【解決手段】 式(I):
【化1】


〔式中、R1は水素原子、置換可アルキル、置換可シクロアルキル、置換可アルケニル、置換可アルキニルなどであり;Xはアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなどであり;Yは水素又はフッ素原子であり;ZはCH、CX又はNであり;mは1〜4の整数である〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する新規な有害生物防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、染料の製造に利用されるトリアゾロピリミジン誘導体が記載されている。また、非特許文献1及び2には、トリアゾロピリミジン誘導体に除草活性があることについての記載がある。しかしながら、これらの文献にはトリアゾロピリミジン誘導体を殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺土壌害虫剤や、動物寄生生物防除剤として使用することの記載はない。そして、後記式(I−α)で表されるトリアゾロピリミジン誘導体について具体的な記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2,439,210号
【特許文献2】米国特許第2,443,136号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ACS Symposium Series (1992)、504(Synth.Chem.Agrochem.III)、91-102
【非特許文献2】Tetrahedron、50、12113-12124(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長年にわたり、多数の有害生物防除剤が使用されているが、効力が不十分、有害生物が抵抗性を獲得しその使用が制限される等、種々の課題を有するものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない新規な有害生物防除剤、例えば、農園芸分野で問題となる各種有害生物や、動物に寄生する有害生物を防除できる有害生物防除剤の開発が望まれている。
本発明は、使用が制限されるなどの欠点がなく、農園芸分野で問題となる各種有害生物を防除できる有害生物防除剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、より優れた有害生物防除剤を見出すべく、トリアゾロピリミジン誘導体について種々検討した。その結果、後記式(I)で表されるトリアゾロピリミジン誘導体が、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、R1は水素原子、Aで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、C=NOR、C=NNR45、COR、COOR、OR2、S(O)n3、NR45、N又はCONR45であり;Xはアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR45、S(O)n3、OR2、COR、COOR又はCONR45であり;Yは水素原子又はフッ素原子であり;ZはCH、CX又はNであり;Aはハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環基、SCHCOOR 、NHNR45 、COOR、ニトロ又は−CH(CN)2であり;R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アセチル又はアリールであり;R3はアルキル又はアセチルであり;R4は水素原子又はアルキルであり;R5は水素原子、アルキル、ハロアルキル、COR、COOR、CHCHOR2又はシアノアルキルであり;mは1〜4の整数であり;nは0〜2の整数である〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤、当該トリアゾロピリミジン誘導体又はその塩の有効量を施用して有害生物を防除する方法に関する。
さらに本発明は、式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の中で、従来、具体的に知られていなかった式(I−α):
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、RはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、C=NOR、C=NNR45、COR、COOR、OR2、S(O)n3又はCONR45であり;Xはアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR45、S(O)n3、OR2、COR、COOR又はCONR45であり;Yは水素原子又はフッ素原子であり;ZはCH、CX又はNであり;Aはハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環基、SCHCOOR 、NHNR45 、COOR、ニトロ又は−CH(CN)2であり;R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アセチル又はアリールであり;R3はアルキル又はアセチルであり;R4は水素原子又はアルキルであり;R5は水素原子、アルキル、ハロアルキル、COR、COOR、CHCHOR2又はシアノアルキルであり;mは1〜4の整数であり;nは0〜2の整数である;但し、(1)Rがメチルであり、Xが4-メトキシであり、ZがCHである場合、(2)Rがメチルであり、Xが3,4-ジメトキシであり、ZがCHである場合及び(3)Rがメチルであり、Xが4-メチルであり、ZがCHである場合を除く〕で表される新規トリアゾロピリミジン誘導体又はその塩に関する。
【発明の効果】
【0012】
式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分とする有害生物防除剤は、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
式(I)中のmが2以上の場合、各Xは同一であっても相異なってもよい。
【0014】
式(I)中のハロゲン又は置換基としてのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲンの数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲンは同一でも相異なってもよい。また、ハロゲンの置換位置はいずれの位置でもよい。
【0015】
式(I)中のアルキルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルのようなC1−6のものなどを挙げることができる。
【0016】
式(I)中のシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルのようなC3−6のものなどを挙げることができる。
【0017】
式(I)中のアルケニルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ヘキセニルのようなC2−6のものなどを挙げることができる。
【0018】
式(I)中のアルキニルとしては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、例えばエチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、2−ペンテン−4−イニル、3−ヘキシニルのようなC2−6のものなどを挙げることができる。
【0019】
式(I)中のアリールとしては、例えばフェニル、ナフチルのようなC6-10アリールなどを挙げることができる。
【0020】
式(I)中の複素環基としては、単環式複素環基の他、縮合複素環基が含まれる。単環式複素環基としては、例えばオキシラニルのような3員複素環基;フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリルなどの5員複素環基;ピラニル、ピリジル、ピペリジニル、ジオキサニル、オキサジニル、モルホリニル、チアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニルなどの6員複素環基が挙げられる。これら単環式複素環基の中では、O、S及びNからなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を1〜4含有する5若しくは6員複素環基が望ましい。縮合複素環基としては、例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロイソベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾジオキサニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、クロモニル、クロマノニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インドリジニル、キノリジニル、イミダゾピリジル、ナフチリジニル、プテリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサゾリノニル、ジヒドロベンゾオキサジノニル、ベンゾチオキサニルなどが挙げられる。これら縮合複素環基の中では、O、S及びNからなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を1〜4含有する8〜10員縮合複素環基が望ましい。
【0021】
式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などを挙げることができる。
【0022】
式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体には、光学異性体、幾何異性体のような異性体が存在する場合があるが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。本願明細書においては、特に言及しない限り、異性体は混合物として記載する。尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記式(I)とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0023】
式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体又その塩は、下記の製法〔1〕〜〔19〕並びに、通常の塩の製造方法に従って製造することができる。以下に各製法について、反応フローを示し詳述する。
製法〔1〕
【0024】
【化3】

【0025】
製法〔1〕中、R1aは水素原子、Aで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲンで置換されてもよいアリール又はアルキルで置換されてもよい複素環基であり;R及びRは各々独立にアルキルであり;A、X、Z及びmは前述の通りである。
【0026】
製法〔1〕は、上記〔1〕−1及び〔1〕−2の反応工程から成り、式(II)の化合物から式(I−1)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0027】
〔1〕−1:本反応工程では、式(II)の化合物と式(III)の化合物とを縮合させることによって式(IV)のα、β−不飽和ケトン誘導体を製造できる。
【0028】
本反応工程において、式(III)の化合物は、式(II)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドのようなリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は通常80〜200℃、望ましくは100〜150℃である。反応時間は通常6〜48時間である。
【0029】
〔1〕−2:本反応工程では、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることによって式(I−1)の化合物を製造できる。
【0030】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物1モルに対して、1〜10当量、望ましくは1〜2.5当量の割合で使用できる。
本反応は、通常、溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば酢酸、プロピオン酸のようなカルボン酸類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドのようなリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、中でもカルボン酸類が望ましい。反応温度は通常50〜150℃、望ましくは80〜120℃である。反応時間は通常0.5〜100時間である。
製法〔2〕
【0031】
【化4】

【0032】
製法〔2〕中、R1bはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲンで置換されてもよいアリール又はアルキルで置換されてもよい複素環基であり;Rはアルキルであり;A、X、Z及びmは前述の通りである。
【0033】
製法〔2〕は、上記〔2〕−1及び〔2〕−2の反応工程から成り、式(II)の化合物から式(I−2)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0034】
〔2〕−1:本反応工程では、式(II)の化合物と式(VI)の化合物とを反応させて式(VII)の化合物を製造できる。
式(VI)の化合物は、式(II)の化合物1モルに対して1当量〜大過剰量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;などを挙げることができる。塩基は、式(II)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。反応温度は通常0〜70℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は、通常0.1〜24時間である。
【0035】
〔2〕−2:本反応工程では、式(VII)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させて式(I−2)の化合物を製造できる。
本反応において、式(V)の化合物は、前記式(VII)の化合物1モルに対して1〜10当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドなどのリン酸アミド類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒を挙げることができるが、中でもカルボン酸類が望ましい。反応温度は通常50〜150℃、望ましくは80〜120℃の反応温度で行われる。反応時間は、通常0.5〜100時間である。
製法〔3〕
【0036】
【化5】

【0037】
製法〔3〕中、R9はアルキルであり;R1b、X、Z及びmは前述の通りである。
【0038】
製法〔3〕は、上記〔3〕−1及び〔3〕−2の反応工程から成り、式(VIII)の化合物から式(I−2)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0039】
〔3〕−1:本反応工程では、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物とを反応させて式(VII)の化合物を製造できる。
【0040】
式(IX)の化合物は、式(VIII)の化合物1モルに対して0.8当量〜大過剰量、望ましくは1〜10当量の割合で使用できる。本反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば前記製法〔2〕の反応工程〔2〕−1と同様のものなどを挙げることができる。塩基は、式(VIII)の化合物1モルに対して通常1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔2〕の反応工程〔2〕−1と同様のものを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。反応温度は通常0〜70℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は、通常0.1〜24時間である。
〔3〕−2 本反応工程では、式(VII)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させて式(I−2)の化合物を製造できる。
【0041】
本反応工程は、前記製法〔2〕の反応工程〔2〕−2と同様に実施することができる。
製法〔4〕
【0042】
【化6】

【0043】
製法〔4〕中、R1cはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、OR2、SR3、NR45又はNであり;R10はアルキルであり;R11はOH、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又はフッ素原子であり;pはR11がアルキル、シクロアルキル又はアルコキシである場合2であり、R11がフッ素原子である場合3であり;R11のアルキル又はアルコキシは、隣接するホウ素原子と相互に結合して環を形成してもよく;halはハロゲンであり;R2、R3、R4、R5、A、X、Z及びmは前述の通りである。halで表されるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子を挙げることができる。
【0044】
製法〔4〕は、上記〔4〕−1、〔4〕−2、〔4〕−3及び〔4〕−4の反応工程から成り、式(X)の化合物から式(I−4)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0045】
〔4〕−1:本反応工程では、公知の方法(例えばChem.Pharm.Bull、Volume 9、801(1961)など)に準じて、式(X)のマロン酸エステルと式(V)の化合物とをアルカリ性条件下で縮合させることにより式(XI)の5,7-ジヒドロキシ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジンを製造できる。
【0046】
〔4〕−2:本反応工程は、式(XI)の化合物をハロゲン化する反応工程であり、
(a)式(XI)の化合物と塩素化剤又は臭素化剤とを反応させ、式(XII)の化合物(式中、halは塩素又は臭素原子である)を製造すること;
(b)必要であれば、(a)で形成した式(XII)の化合物とフッ素化剤とを反応させ、式(XII)の化合物(式中、halはフッ素原子である)で示される化合物を製造すること;及び、
(c)必要であれば、(a)で形成した式(XII)の化合物とアンモニアとを反応させ、次いでジアゾ化剤の存在下でヨウ素化剤と反応させて、式(XII)の化合物(式中、少なくとも一方のhalはヨウ素原子である)を製造すること;からなる。以下に(a)〜(c)の各方法について詳述する。
【0047】
(a) 塩素化剤としては、例えばオキシ塩化リン、三塩化リンおよび五塩化リンなどを挙げることができる。臭素化剤としては、例えばオキシ臭化リン、三臭化リンおよび五臭化リンなどを挙げることができる。塩素化剤又は臭素化剤は、式(XI)の化合物1モルに対して通常1当量〜大過剰量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。反応温度は通常0℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは20℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は通常1〜48時間である。
【0048】
(b) フッ素化剤としては、アルカリ金属のフッ化物、特にフッ化カリウム、五フッ化アンチモンおよび三フッ化ジエチルアミノ硫黄などを挙げることができる。フッ素化剤は、式(XII)の化合物(式中、halは塩素原子又は臭素原子である)1モルに対して1〜5当量、望ましくは1.5〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばトルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;スルホランのようなスルホン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。スルホン類または酸アミド類を溶媒として用いる場合には、フッ素化剤の脱水を助けるためにトルエンを共溶媒として用いるのが有利である。反応温度は、通常15℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは40℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は、通常2〜48時間である。
【0049】
(c) 式(XII)の化合物(式中、halは塩素原子又は臭素原子である)とアンモニアとの反応は、通常、塩基の存在下で行うことができるが、中でも過剰のアンモニアを用い、塩基と兼ねることが望ましい。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は、20℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは40℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は、通常2〜48時間である。
【0050】
アンモニアとの反応終了後、次いでジアゾ化剤の存在下でヨウ素化剤と反応を行う。
ジアゾ化剤としては、例えば亜硝酸の任意のアルキルエステルを挙げることができるが、中でも亜硝酸イソペンチルが望ましい。ジアゾ化剤は、式(XII)の化合物(式中、halは塩素又は臭素原子である)1モルに対して、通常1〜5当量の割合で使用できる。ヨウ素化剤としては、例えばヨウ素、ジヨードメタンなどを挙げることができる。
ヨウ素化剤は、式(XII)の化合物(式中、halは塩素原子又は臭素原子である)1モルに対して1〜5当量、望ましくは1.5〜3当量の割合で使用できる。
本反応は、通常、溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
【0051】
(c)の反応は、ワンポット反応として実施することができ、ジアゾ化剤として亜硝酸のアルキルエステルを用いた場合、ヨウ素化剤としてジヨードメタンを共溶媒として使用することができる。反応温度は、通常60℃〜120℃、望ましくは70℃〜110℃である。反応時間は、通常1〜48時間である。
【0052】
〔4〕−3 本反応工程では、式(XII)の化合物と式(XIII)のホウ素化合物とを遷移金属触媒の存在下で鈴木カップリングさせることにより、式(I−3)の化合物を製造できる。
【0053】
鈴木カップリングは、多くの刊行物中で研究がなされており、公知の方法(例えば、Synth. Commun.、1981、11 (7)、 513-519又はSynlett.、1992、207-210などに記載されている方法)に準じて、本反応工程は実施することができる。
【0054】
式(XIII)中、B(R11)で表される置換ホウ素部分において、R11がフッ素原子であり、pが3である -BF3基は負電荷を帯びるため、通常、カリウム等のアルカリ金属とトリフルオロボレート塩を形成する。式(XIII)中のB(R11)で表される置換ホウ素としては、例えばヒドロキシホウ素、アルキルホウ素、アルコキシホウ素、トリフルオロボレートカリウム塩などを挙げることができる。式(XIII)のホウ素化合物は、式(XII)の化合物1モルに対して0.5〜1当量の割合で使用できる。
【0055】
本反応で使用する遷移金属触媒とは、遷移金属化合物または遷移金属化合物と任意の配位子との錯体を意味する。例えばパラジウム-炭素(Pd/C)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、テトラキス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)−トリフェニルホスフィン、酢酸パラジウム(II)−トリシクロヘキシルホスフィンなどを挙げることができる。。錯体の場合、予め単離したものを使用しても良いし、また任意の反応溶媒中で遷移金属化合物と配位子を混合して単離せずに使用しても良い。遷移金属触媒は、式(XII)の化合物1モルに対して0.001〜0.2当量、望ましくは0.01〜0.1当量の割合で使用できる。
【0056】
本反応は通常、塩基の存在下に行うことができる。塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ金属の炭酸水素塩;炭酸カルシウムのようなアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物;フッ化セシウム、フッ化カリウムのような無機塩類、トリエチルアミン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジンのようなアミン類;などを挙げることができる。塩基類は、式(XII)の化合物1モルに対して、通常0.9〜20当量の割合で使用できる。
【0057】
また、本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は、通常15℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは40℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は反応温度、反応量、反応圧力等により一定しないが通常1〜96時間である。
【0058】
式(XIII)のホウ素化合物は市場で入手できるか又は常法により合成することもできる。例えば、対応するハロゲン、望ましくは臭素誘導体からtert-ブチルリチウムのような塩基の存在下に、ホウ酸トリメチルを作用させることにより合成できる。
【0059】
〔4〕−4:本反応工程では、式(I−3)の化合物と求核剤とを反応させることにより式(I―4)の化合物を製造できる。
【0060】
求核剤としては、例えば、一般式HNR45(式中、R4及びR5は前述の通りである)で表されるアミン類;一般式HOR2(式中、R2は前述の通りである)で表されるアルコール類のアルカリ金属塩(金属アルコキシド);一般式HSR3(式中、R3は前述の通りである)で表されるチオール類のアルカリ金属塩(金属メルカプチド);シアン化ナトリウム、アジ化ナトリウムなどの各種アルカリ金属塩;モルホリンのような複素環アミン又はそのアルカリ金属塩;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミドのような有機金属試薬;などを挙げることができる。さらに具体的な例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド;ナトリウムメルカプタンなどを挙げることができる。
【0061】
求核剤は、式(I−3)の化合物1モルに対して1〜30当量の割合で使用できる。
【0062】
本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、へキサンのような脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオンニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は、−100℃〜反応混合物の還流温度、望ましくは−30℃〜反応混合物の還流温度である。反応時間は、通常1分〜96時間程度である。
製法〔5〕
【0063】
【化7】

【0064】
製法〔5〕中、R1dはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲンで置換されてもよいアリール又はアルキルで置換されてもよい複素環基であり;R12はアルキルであり;R11、A、X、Y、Z、hal、m及びpは前述の通りである。
【0065】
製法〔5〕は、上記〔5〕−1、〔5〕−2及び〔5〕−3の反応工程から成り、式(XIV)の化合物から式(I−5)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。
【0066】
〔5〕−1:本反応工程では、式(XIV)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることによって式(XV)の化合物を製造できる。
【0067】
式(V)の化合物は、式(XIV)の化合物1モルに対して通常0.8〜10当量、望ましくは0.8〜3当量の割合で使用することができる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば酢酸、プロピオン酸のようなカルボン酸類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドのようなリン酸アミド類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、中でもカルボン酸類が望ましい。反応温度は通常50〜150℃、望ましくは80〜120℃である。反応時間は、通常0.5〜100時間である。
【0068】
〔5〕−2:本反応工程では、式(XV)の化合物をハロゲン化することにより式(XVI)の化合物を製造できる。本反応工程は、前記製法〔4〕の反応工程〔4〕−2に準じて実施することができる。
【0069】
〔5〕−3:本反応工程では、式(XVI)の化合物と式(XIII)のホウ素化合物とを遷移金属触媒の存在下で鈴木カップリングさせることによって式(I−5)の化合物を製造できる。本反応工程は、前記製法〔4〕の反応工程〔4〕−3に準じて実施することができる。
【0070】
製法〔6〕
【0071】
【化8】

【0072】
製法〔6〕中、R3、X、Z、hal及びmは前述の通りである。
【0073】
製法〔6〕は、上記〔6〕−1及び〔6〕−2の反応工程から成り、式(II)の化合物から式(I−6)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0074】
〔6〕−1:本反応工程では、式(II)の化合物と二硫化炭素及び式(XVII)の化合物とを反応させて式(XVIII)のα、β−不飽和ケトン誘導体を製造できる。
【0075】
二硫化炭素及び式(XVII)の化合物は、各々式(II)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;などを挙げることができる。塩基は、式(II)の化合物1モルに対して1〜10当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕の反応工程〔1〕−1と同様のものを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。反応温度は通常0〜100℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は通常6〜48時間である。
【0076】
〔6〕−2:本反応工程では、式(XVIII)の化合物と式(V)の化合物を縮合させて式(I−6)の化合物を製造できる。
【0077】
式(V)の化合物は、式(XVIII)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。本反応は、通常、塩基及び溶媒の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸塩;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸塩;トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基;などを挙げることができる。塩基は、式(V)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜3当量の割合で使用できる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば、前記製法〔1〕の反応工程〔1〕−1と同様のものを挙げることができるが、中でも酸アミド類が望ましい。反応温度は通常100〜200℃である。反応時間は通常0.1〜10時間である。
製法〔7〕
【0078】
【化9】

【0079】
製法〔7〕中、R3、X、Z、m及びnは前述の通りである。
【0080】
製法〔7〕では、式(I−6)の化合物と酸化剤とを反応させることにより、式(I−7)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。
【0081】
本反応で使用する酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸などを挙げることができる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;酢酸、プロピオン酸のようなカルボン酸類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は通常15℃〜還流温度である。反応時間は通常1〜24時間である。
製法〔8〕
【0082】
【化10】

【0083】
製法〔8〕中、R1eはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、OR2、NR45又はNであり;R2、R4、R5、A、X、Z及びmは前述の通りである。
【0084】
製法〔8〕では、式(I−7)の化合物と求核剤とを反応させることにより、式(I−8)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。求核剤としては、例えば、一般式HNR45(式中、R4及びR5は前述の通りである)で表されるアミン類;一般式HOR2(式中、R2は前述の通りである)で表されるアルコール類のアルカリ金属塩(金属アルコキシド);シアン化ナトリウム、アジ化ナトリウムなどの各種アルカリ金属塩;モルホリンのような複素環アミン又はそのアルカリ金属塩;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミドのような有機金属試薬;フッ化カリウム、フッ化セシウム、テトラアンモニウムフルオリドのようなフッ素化剤;などを挙げることができる。さらに具体的な例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド;などを挙げることができる。求核剤は、式(I−7)の化合物1モルに対して1〜10当量、望ましくは1.5〜3当量の割合で使用できる。
【0085】
本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンのような脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンのような酸アミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。反応温度は通常−100〜50℃、望ましくは−70〜20℃である。反応時間は通常1分〜48時間である。
製法〔9〕
【0086】
【化11】

【0087】
製法〔9〕中、R13はアルキルであり;R、X、Z、hal及びmは前述の通りである。
【0088】
製法〔9〕は、上記〔9〕-1〜〔9〕-5の反応工程からなり、式(VIII)の化合物から式(I−9)又は式(I−3)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0089】
〔9〕-1:本反応工程では、式(VIII)の化合物と式(XIX)の化合物とを塩基の存在下で反応させることにより式(XX)の化合物を製造できる。式(XIX)の化合物は、式(VIII)の化合物1モルに対して0.8当量〜大過剰量、望ましくは1〜30当量の割合で使用できる。塩基としては、例えば前記製法〔6〕の反応工程〔6〕−1の反応と同様のものなどを挙げることができる。塩基は、式(VIII)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔2〕の反応工程〔2〕−1の反応と同様のものを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。反応温度は通常0〜70℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
【0090】
〔9〕-2:本反応工程では、式(XX)の化合物を塩基及び水の存在下で加水分解させることにより式(XXI)の化合物を製造できる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。塩基は、式(XX)の化合物1モルに対して1当量〜大過剰量、望ましくは2〜10当量の割合で使用できる。反応温度は通常0〜70℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
【0091】
〔9〕-3:本反応工程では、式(XXI)の化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより式(XXII)の化合物を製造できる。ハロゲン化剤としては、塩化チオニル、二塩化オキサリルなどを挙げることができる。ハロゲン化剤は、式(XXI)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。反応温度は通常0〜100℃、望ましくは10〜50℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
【0092】
〔9〕-4:本反応工程では、式(XXII)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより式(I−9)の4,5−ジヒドロ−5−オキソ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。式(V)の化合物は、式(XXII)の化合物1モルに対して0.8〜10当量、望ましくは1〜2.5当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔2〕の反応工程〔2〕−1と同様のものを挙げることができるが、中でも酸アミド類が望ましい。反応温度は通常0〜150℃、望ましくは20〜100℃である。反応時間は通常0.5〜100時間である。
【0093】
〔9〕-5:本反応工程では、化合物(I−9)の化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより式(I−3)の5−ハロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。ハロゲン化剤としては、塩化チオニル、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンなどを挙げることができる。ハロゲン化剤は、式(I−9)の化合物1モルに対して1〜20当量、望ましくは1〜8当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。反応温度は通常0〜150℃、望ましくは20〜100℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
製法〔10〕
【0094】
【化12】

【0095】
製法〔10〕中、X、Z、hal及びmは前述の通りである。
【0096】
製法〔10〕は、式(I−12)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体の製法例であり、例えば上記〔10〕−1〜〔10〕−3の何れかの反応よって式(I−12)の化合物を製造できる。個々の反応については、以下に詳述する。
【0097】
〔10〕−1:式(I−12)の化合物は、式(I−10)の化合物と酸化剤とを反応させることにより製造できる。酸化剤としては、例えば過ヨウ素酸ナトリウム、二酸化セレン、過マンガン酸カリウムなどを挙げることができる。酸化剤は、式(I−10)の化合物1モルに対して0.8当量〜大過剰量、望ましくは1〜30当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば水;N、N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類;などを挙げることができる。反応温度は、0〜200℃、望ましくは0〜150℃である。反応時間は1〜30時間である。
【0098】
〔10〕−2:本反応は、上記(1)のメタル化及び(2)のホルミル化の二つの反応を含む。即ち、式(I−12)の化合物は、式(I−3)の化合物をメタル化し、ホルミル化剤と反応させた後加水分解することにより製造できる。(1)及び(2)の反応は、通常、連続して行うことができる。
(1)でのメタル化とは、n−ブチルリチウム又はtert-ブチルリチウムなどのリチウム試薬とのハロゲン-リチウム交換反応によるリチウム試薬の調製又はグリニャール試薬とのハロゲン-マグネシウム交換反応によるグリニャール試薬の調製若しくは金属マグネシウムとの反応よるグリニャール試薬の調製を意味しており、その際に用いるリチウム試薬、グリニャール試薬及びマグネシウムがメタル化剤である。メタル化剤は、式(I−3)の化合物に対して1当量〜1.5当量の割合で使用できる。反応温度は通常−100〜70℃、望ましくは−30〜50℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
【0099】
(2)でのホルミル化剤としては、例えばギ酸メチル、N、N−ジメチルホルムアミド、4−ホルミルモルホリンなどを挙げることができる。ホルミル化剤は、式(I−3)の化合物1モルに対して1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。反応温度は通常−20〜50℃、望ましくは−10〜30℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。ホルミル化剤との反応終了後、反応物を酸及び水の存在下で加水分解させることにより式(I−12)の化合物を製造できる。酸としては、例えば塩酸、硫酸のような無機酸を挙げることができる。酸は、メタル化剤に対して1当量〜大過剰量、望ましくは2〜10当量の割合で使用できる。反応温度は通常−10〜30℃、望ましくは0〜20℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔2〕の反応工程〔2〕−1と同様のものを挙げることができるが、中でもエーテル類が望ましい。
【0100】
〔10〕−3:式(I−12)の化合物は、式(I−11)の化合物と還元剤とを反応させることにより製造できる。還元剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(SBMEA)などを挙げることができる。還元剤は、式(I−11)の化合物1モルに対して1〜2当量、望ましくは1〜1.5当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばテトラヒドロフランのようなエーテル類、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類;などを挙げることができる。反応温度は通常−80℃〜100℃、望ましくは−30〜50℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
製法〔11〕
【0101】
【化13】

【0102】
製法〔11〕中、R14はアルキル、シクロアルキルを表し、X、Z及びmは前述の通りである。
【0103】
製法〔11〕では、式(I−11)の化合物と求核剤とを反応させた後、加水分解することにより式(I−13)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。求核剤としては、例えばメチルマグネシウムブロミド、シクロプロピルマグネシウムクロリドなどのグリニャール試薬などを挙げることができる。求核剤は、式(I−11)の化合物1モルに対して1〜2当量、望ましくは1〜1.3当量の割合で使用できる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばテトラヒドロフランのようなエーテル類;ペンタンへキサンのような脂肪族炭化水素類;などを挙げることができる。反応温度は通常−80℃〜100℃、望ましくは−30〜50℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。求核付加反応終了後、反応物を酸及び水の存在下で加水分解させることにより式(I−13)の化合物を得ることができる。酸としては、例えば塩酸、硫酸のような無機酸を挙げることができる。酸は、求核剤に対して1当量〜大過剰量、望ましくは2〜10当量の割合で使用できる。反応温度は通常−20〜30℃、望ましくは0〜20℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
製法〔12〕
【0104】
【化14】

【0105】
製法〔12〕中、R1fはAで置換されてもよいアルキル又はアルキルで置換されてもよい複素環基であり;R14、X、Z及びmは前述の通りである。R1fとしては、例えばジメトキシメチル、ジエトキシメチル、1、3−ジオキソラン−2−イルなどを挙げることができる。
【0106】
製法〔12〕では、式(I−12)又は式(I−13)の化合物とアルコールとを反応させることにより式(I−14)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。
【0107】
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどを挙げることができる。アルコールは、式(I−12)又は式(I−13)の化合物1モルに対して1当量〜大過剰量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ酸触媒の存在で行うことができる。酸触媒としては、濃塩酸、濃硫酸などの無機酸;酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸等を挙げることができる。酸触媒は、式(I−12)又は式(I−13)の化合物1モルに対して0.001〜0.3当量、望ましくは0.01〜0.2当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類などを挙げることができる。反応温度は通常0℃〜200℃、望ましくは10〜100℃である。反応時間は通常0.1〜24時間である。
製法〔13〕
【0108】
【化15】

【0109】
製法〔13〕中、X、Z、hal及びmは前述の通りである。
【0110】
製法〔13〕は、式(I−15)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体の製法例であり、例えば上記〔13〕−1〜〔13〕−3の何れかの反応よって式(I−15)の化合物を製造できる。個々の反応については、以下に詳述する。
【0111】
〔13〕-1:本反応は、(1)のメタル化及び(2)のカルボキシル化の2つの反応を含む。(2)のカルボキシル化では、反応終了後に加水分解を行う。即ち、〔13〕−1では、式(I−3)の化合物をメタル化し、二酸化炭素と反応後加水分解することによって式(I−15)の化合物を製造できる。(1)と(2)の反応は、通常、連続的に行う。
(1)のメタル化は、前記製法〔10〕の反応工程〔10〕−2の方法に準じて行うことができる。
(2)の反応は(1)の反応系に、過剰の二酸化炭素を導入して行う。二酸化炭素との反応後に行う加水分解は、前記製法〔10〕の反応工程〔10〕−2の方法に準じて行うことができる。
【0112】
〔13〕−2:本反応では、式(I−11)の化合物を加水分解することにより式(I-15)の化合物を製造できる。本反応は常法に準じて実施できる。例えばOrg.Synth.、III、557(1955)に記載された方法に準じて実施できる。加水分解の種類としては、酸加水分解、アルカリ加水分解、酸化的加水分解のいずれの方法であってもよい。
【0113】
〔13〕−3:本反応では、式(I−12)の化合物を酸化剤で酸化することにより式(I−15)の化合物を製造できる。酸化剤としては、例えば二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、ジョーンズ試薬、ニクロム酸ピリジウムなどを挙げることができる。酸化剤は、式(I−12)の化合物1モルに対して、1〜3当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用することができる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば水、アセトン、アセトニトリル、メタノールなどを挙げることができる。反応温度は通常0〜50℃である。反応時間は通常0〜24時間である。
製法〔14〕
【0114】
【化16】

【0115】
製法〔14〕中、R15はAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、OR2、SR3、NR45又はNであり;R、R3、R、R、A、X、Z、hal及びmは前述の通りである。
【0116】
製法〔14〕は、上記〔14〕−1及び〔14〕−2の反応工程から成り、式(I−15)の化合物から式(I−17)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造することができる。各反応工程については、以下に詳述する。
【0117】
〔14〕−1:本反応工程では、式(I−15)とハロゲン化剤とを反応させることにより式(I−16)の化合物を製造できる。ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、塩化オキサリルなどを挙げることができる。ハロゲン化剤は、式(I−15)の化合物1モルに対して、通常1当量〜大過剰量、望ましくは1〜5当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔9〕の反応工程〔9〕−3と同様のものを挙げることができる。反応温度は通常0〜100℃、望ましくは0〜50℃である。反応時間は通常1〜24時間である。
〔14〕−2:本反応工程では、式(I−16)の化合物と求核剤とを反応させることにより、式(I−17)の化合物を製造できる。本反応は前記製法〔4〕の反応工程〔4〕−4に準じて実施することができる。
製法〔15〕
【0118】
【化17】

【0119】
製法〔15〕中、X、Z及びmは前述の通りである。
【0120】
製法〔15〕は、式(I−19)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体の製法例であり、例えば上記〔15〕−1又は〔15〕−2の何れかの方法によって、式(I−19)の化合物を製造できる。個々の反応については、以下に詳述する。
【0121】
〔15〕−1:本反応では、式(I−15)の化合物の転位反応によって式(I−19)の化合物を製造できる。例えば、式(I−15)の化合物とジフェニルリン酸アジドとをtert−ブタノールとトルエンとの混合溶液中トリエチルアミンの存在下で加熱還流して反応させてtert−ブチルカーバメート誘導体を得た後、該カーバメート誘導体とトリフルオロ酢酸と加熱することによって、式(I−19)の化合物を製造することができる。
【0122】
本製法として使用できる転位反応には、公知の方法が多数あり、例えば、クルチウス転位、シュミット転位、ロッセン転位、ホフマン転位などの方法を利用することができる。例えば、Quan Zhangらの J. Org. Chem., 65, 7977(2000)に記載されている方法に準じて実施することができる。
【0123】
〔15〕−2:本反応では、式(I−18)の化合物と還元剤とを反応させることにより式(I−19)の化合物を製造できる。還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウムなどを挙げることができる。還元剤は、式(I−18)1モルに対して、1〜2当量の割合で使用することができる。本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばアルコール類;エーテル類;などを挙げることができる。反応温度は通常0〜50℃である。反応時間は通常1〜24時間である。
製法〔16〕
【0124】
【化18】

【0125】
製法〔16〕中、Qはハロゲン、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、トリフラート又はメシラートなどの脱離基であり;R、R、X、Z及びmは前述の通りである。
【0126】
製法〔16〕では、式(I−20)の化合物と式(XXIII)の化合物とを反応させることにより、式(I−21)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。
【0127】
式(XXIII)の化合物は、式(I−20)の化合物1モルに対して、通常1当量〜大過剰量、望ましくは1〜20当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジンのようなアミン類;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのような無機塩基類;などを挙げることができる。塩基は式(I−20)の化合物1モルに対して、通常1〜10当量、望ましくは1〜5当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばアセトン類;エーテル類;ニトリル類;などを挙げることができる。反応温度は0〜50℃、望ましくは0〜30℃である。反応時間は通常1〜24時間である。本反応においては、触媒量のジメチルアミノピリジンを使用することによって反応速度を促進することができる場合がある。
製法〔17〕
【0128】
【化19】

【0129】
製法〔17〕中、R16はOR2又はNR45であり;R2、R4、R5、X、Z及びmは前述の通りである。
【0130】
製法〔17〕では、式(I−12)の化合物と式(XXIV)の化合物とを反応させることにより式(I−22)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。
【0131】
本反応において、式(XXIV)の化合物は、式(I−12)の化合物1モルに対して1当量〜大過剰量、望ましくは1〜20当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ酸触媒の存在で行うことができる。酸触媒としては、例えば前記製法〔12〕と同様のものなどを挙げることができる。酸触媒は、式(I−12)の化合物1モルに対して0.001〜0.3当量、望ましくは0.01〜0.2当量の割合で使用できる。本反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行なうことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えば前記製法〔12〕と同様のものを挙げることができる。反応温度は通常0〜150℃、望ましくは10〜100℃である。反応時間は、通常0.1〜24時間である。
製法〔18〕
【0132】
【化20】

【0133】
製法〔18〕中、R16、X、Z及びmは前述の通りである。
【0134】
製法〔18〕では、式(I−15)と式(XXV)の化合物とを触媒又は縮合剤の存在下で反応させることにより式(I−23)の化合物を製造できる。
【0135】
式(XXV)の化合物としては、例えばメタノール、エタノールのようなアルコール類;メチルアミン、ジメチルアミンのようなアミン類;などを挙げることができる。式(XXV)の化合物は、式(I−15)の化合物1モルに対して、通常1〜30当量の割合で使用できる。触媒の存在下で反応させる場合、触媒としては、例えば無機酸、有機酸などを挙げることができる。この反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、例えばアルコール類;芳香族炭化水素類;ハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。反応温度は通常10〜150℃、望ましくは20〜100℃である。反応時間は通常1〜24時間である。縮合剤の存在下で反応させる場合、縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1−カルボニルジイミダゾール、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどを挙げることができる。縮合剤は、式(I−15)1モルに対して、通常1〜5当量、望ましくは1〜2当量の割合で使用できる。この反応は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、例えばアルコール類;芳香族炭化水素類;ハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。反応温度は通常0〜100℃、望ましくは0〜50℃である。反応時間は通常1〜24時間である。
製法〔19〕
【0136】
【化21】

【0137】
製法〔19〕中、R17は水素原子、OR2又はNR45であり;R2、R4、R5、X、Z、hal及びmは前述の通りである。
【0138】
製法〔19〕では、式(I−3)の化合物と式(XXVI)の化合物及び一酸化炭素とを、遷移金属触媒、ホスフィン配位子及び塩基の存在下で反応させることによって、式(I−24)の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン誘導体を製造できる。
式(XXVI)の化合物としては、例えば水;水素;メタノール、エタノールのようなアルコール類;メチルアミン、ジメチルアミンのようなアミン類;などが挙げられる。式(XXVI)の化合物は、式(I−3)の化合物1モルに対して、通常1〜5当量の割合で使用できる。一酸化炭素は、式(I−3)の化合物1モルに対して、通常1〜10当量、望ましくは1〜5当量の割合で使用できる。遷移金属触媒としては、例えばパラジウム又はコバルト触媒などを挙げることができる。ホスフィン配位子は、遷移金属触媒の種類など反応系に応じて選択できる。遷移触媒と配位子の組合せとしては、例えば酢酸パラジウムとジフェニルホスフィノプロパンを挙げることができる。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムのような無機塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのようなアミン類;などを挙げることができる。
【0139】
本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒などを挙げることができる。反応温度は、通常25〜120℃、望ましくは50〜70℃である。反応時間は、通常1〜24時間程度、望ましくは3〜7時間である。必要応じて加圧下で反応を行うこともできる。
【0140】
本反応は公知文献に記載の方法に準じて実施することができる。例えば、Tetrahedron Letters、33、1959-1962(1992)に記載されている方法を挙げることができる。
【0141】
前記した各製法の中では、製法〔1〕、製法〔3〕、製法〔4〕、製法〔5〕、製法〔9〕、製法〔10〕、製法〔12〕、製法〔15〕又は製法〔16〕が、特に望ましい態様である。
【0142】
本発明の有害生物防除剤の望ましい態様について以下に記述する。本発明の有害生物防除剤は、例えば農園芸分野で問題となる各種有害生物の防除剤、即ち農園芸用有害生物防除剤や、動物に寄生する有害生物の防除剤、即ち動物寄生生物防除剤として特に有用である。本発明の有害生物防除剤は、各種有害生物の中でも、有害動物の防除に特に有用であり、有害動物防除剤は望ましい態様の1つである。
【0143】
農園芸用有害生物防除剤としては、例えば、殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺土壌害虫剤として有用であるが、具体的には、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ネダニなどのような植物寄生性ダニ類;モモアカアブラムシ、ワタアブラムシのようなアブラムシ類;コナガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、コドリンガ、ボールワーム、タバコバッドワーム、マイマイガ、コブノメイガ、チャノコカクモンハマキ、コロラドハムシ、ウリハムシ、ボールウィービル、ウンカ類、ヨコバイ類、カイガラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、バッタ類、ハナバエ類、コガネムシ類、タマナヤガ、カブラヤガ、アリ類などのような農業害虫類;ネコブセンチュウ類、シストセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ、イチゴメセンチュウ、マツノザイセンチュウなどのような植物寄生性線虫類;ナメクジ、マイマイなどのような腹足類;ダンゴムシ、ワラジムシのような等脚類などのような土壌害虫類;イエダニ、ゴキブリ類、イエバエ、アカイエカなどのような衛生害虫類;バクガ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ゴミムシダマシ類などのような貯穀害虫類;イガ、ヒメカツオブシムシ、シロアリ類などのような衣類、家屋害虫類;ケナガコナダニ、コナヒョウダニ、ミナミツメダニなどのような屋内塵性ダニ類;などの防除に有効である。本発明の農園芸用有害生物防除剤は、植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類などの防除に特に有効である。その中でも、植物寄生性ダニ類、農業害虫類の防除にさらに優れた効果を示すため、殺虫又は殺ダニ剤として最も有用である。また、本発明の農園芸用有害生物防除剤は、有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤などの薬剤に対する各種抵抗性害虫の防除にも有効である。さらに式(I)の化合物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明の農園芸用有害生物防除剤を土壌に処理することによって土壌有害昆虫類、ダニ類、線虫類、腹脚類、等脚類の防除と同時に茎葉部の害虫類をも防除することができる。
【0144】
本発明の有害生物防除剤の別の望ましい態様としては、前記した植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類、腹足類、土壌害虫類などを総合的に防除する農園芸用有害生物防除剤が挙げられる。
【0145】
本発明の農園芸用有害生物防除剤は、通常、該化合物と各種農業上の補助剤とを混合して粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤などの種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉などの固型担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコールなどの溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンなどの植物油や鉱物油;などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、など通常使用される各種補助剤も使用することができる。式(I)の化合物と各種補助剤との配合割合(重量比)は0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0146】
本発明の農園芸用有害生物防除剤の施用は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、一般に0.05〜800000ppm、望ましくは0.5〜500000ppmの有効成分濃度で行ない、その単位面積あたりの施用量は、1ヘクタール当り式(I)の化合物が0.05〜50000g、望ましくは1〜30000gである。また、本発明の有害生物防除剤の別の望ましい態様である農園芸用の有害生物防除剤の施用は、前記有害生物防除剤の施用に準じて行われる。本発明には、このような施用方法による有害生物の防除方法、特に植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類の防除方法も含まれる。
【0147】
本発明の農園芸用有害生物防除剤の種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常、一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)、浸漬毒餌等により行うことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生及び生育を阻害することも可能である。また、いわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。
【0148】
また、本発明の農園芸用有害生物防除剤は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤などと混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。他の農薬としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、殺菌剤、抗ウィルス剤、誘引剤、抗生物質、植物ホルモン、植物成長調整剤、などが挙げられる。特に、式(I)の化合物と他の農薬の有効成分化合物の1種又は2種以上とを混用或は併用した混合有害生物防除用組成物は、適用範囲、薬剤処理の時期、防除活性等を好ましい方向へ改良することが可能である。尚、式(I)の化合物と他の農薬の有効成分化合物は各々別々に製剤したものを散布時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤して使用してもよい。本発明には、このような混合有害生物防除用組成物も含まれる。
【0149】
式(I)の化合物と他の農薬の有効成分化合物との混合比(重量比)は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、一般に1:300〜300:1、望ましくは1:100〜100:1である。また、施用適量は1ヘクタール当りの総有効成分化合物量として0.1〜50000g、望ましくは1〜30000gである。本発明には、このような混合有害生物防除用組成物の施用方法による有害生物の防除方法も含まれる。
【0150】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は試験コード)としては、例えばプロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(dislufoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlovinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、ESP、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(parathion)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocab)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
【0151】
酸化フェンブタスズ(fenbutatin Oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェンスリン(bifenthrin)、ゼータシペルメトリン(zeta-cypermethrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、アレスリン(allethrin)、ガンマシハロトリン(gamma-cyhalothrin)、シータシペルメトリン(theta-cypermethrin)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメスリン(tralomethrin)、プロフルスリン(profluthrin)、ベータシペルメトリン(beta-cypermethrin)、ベータシフルトリン(beta-cyfluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、フェノトリン(phenothrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、エチプロール(ethiprole)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニチアジン(nithiazine)などのネオニコチノイド;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)などのヒドラジン系化合物;
【0152】
ピリダリル(pyridalyl)、フロニカミド(flonicamid)などのようなピリジン系化合物;
スピロジクロフェン(spirodiclofen)などのようなテトロニック酸系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrim)などのようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)などのようなピリジナミン系化合物;
ジニトロ系化合物;有機硫黄化合物;尿素系化合物;トリアジン系化合物;ヒドラゾン系化合物;また、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、シラフルオフェン(silafluofen)、トリアザメート(triazamate)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、シロマジン(cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマット(spirotetramat)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、フルベンジアミド(flubendiamide)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、フェナザキン(fenazaquin)、ピリダベン(pyridaben)、アミドフルメト(amidoflumet)、クロロベンゾエート(chlorobenzoate)、スルフルアミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、HGW 86、リアノジン(ryanodine)のような化合物;などが挙げられる。更に、Bacillus thuringienses aizawai、Bacillus thuringienses kurstaki、Bacillus thuringienses israelensis、Bacillus thuringienses japonensis、Bacillus thuringienses tenebrionis、Bacillus thuringiensesが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤などのような微生物農薬;アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin-benzoate)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、スピノサド(spinosad)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、DE-175、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)のような抗生物質及び半合成抗生物質;アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)のような天然物;ディート(deet)のような忌避剤;などが挙げられる。
【0153】
上記他の農薬中の、殺菌性有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会供試試験コード)としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(sipconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)のようなアゾール系化合物;
【0154】
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)、シアゾファミド(cyazofamid)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル−M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル−M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物;
【0155】
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐methyl)、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネートのような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
【0156】
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)、ゾキサミド(zoxamid)、チアジニル(tiadinil)のようなベンズアニリド系化合物;
カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid) 、イソチアニル(isothianil)、ビキサフェン(bixafen)、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam))のようなアニリド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)、フルトリアフォル(flutriafol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidine)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、スピロキサミン(spiroxamine)、トリデモルフ(tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
【0157】
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノフェン(metominofen)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)のようなストロビルリン系化合物;
【0158】
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
シルチオファム(silthiopham)のようなシリルアミド系化合物;
イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)、メチル[S-(R,S)]-[3-(N-イソプロポキシカルボニルバリニル)-アミノ]-3-(4-クロロ-フェニル)プロパオネート(バリフェナール (valiphenal))のようなアミノアシッドアミドカーバメート系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリジン系化合物;
フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(flusulfamide)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
フェノキサニル(fenoxanil)のようなフェノキシアミド系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;
6-ターシャリーブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチルキノリン-4-イル アセテートのような4−キノリノール誘導体化合物;
2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリルのようなシアノメチレン系化合物;
【0159】
また、その他の化合物として、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(Pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、キノキシフェン(quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、ニコビフェン(nicobifen)、メトラフェノン(metrafenone)、MTF-753、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、プロキンアジド(proquinazid)、アミスルブロム(amisulbrom)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、マンジプロパミド(mandipropamid)、フルオピコリド(fluopicolide) 、カルプロパミド(carpropamid)、メプチルジノカップ(meptyldinocap)、フルオピラム(fluopyram)、BCF051、BCM061、BCM062;などが挙げられる。
【0160】
その他、本発明化合物と混用或いは併用することが可能な農薬としては、例えば、The Pesticide Manual(第14版)に記載されているような除草剤の有効成分化合物、特に土壌処理型のものなどがある。
【0161】
動物寄生生物防除剤としては、例えば、宿主動物の体表(背、腋下、下腹部、内股部など)に寄生する外部寄生生物や、宿主動物の体内(胃、腸管、肺、心臓、肝臓、血管、皮下、リンパ組織など)に寄生する内部寄生生物の防除に有効であるが、中でも、外部寄生生物の防除に有効である。
【0162】
外部寄生生物としては、例えば、動物寄生性のダニやノミなどが挙げられる。これらの種類は非常に多く、全てを列記することが困難であるので、その一例を挙げる。
【0163】
動物寄生性のダニとしては、例えばオウシマダニ(Boophilus microplus)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)、イスカチマダニ(Haemaphysalis concinna)、ヤマトチマダニ(Haemaphysalis japonica)、ヒゲナガチマダニ(Haemaphysalis kitaokai)、イヤスチマダニ(Haemaphysalis ias)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、タネガタマダニ(Ixodes nipponensis)、シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)、タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)、オオトゲチマダニ(Haemaphysalis megaspinosa)、アミノカクマダニ(Dermacentor reticulatus)、タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanesis)のようなマダニ類;ワクモ(Dermanyssus gallinae);トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)、ミナミトリサシダニ(Ornithonyssus bursa)のようなトリサシダニ類;ナンヨウツツガムシ(Eutrombicula wichmanni)、アカツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)、フトゲツツガムシ(Leptotrombidium pallidum)、フジツツガムシ(Leptotrombidium fuji)、トサツツガムシ(Leptotrombidium tosa)、ヨーロッパアキダニ(Neotrombicula autumnalis)、アメリカツツガムシ(Eutrombicula alfreddugesi)、ミヤガワタマツツガムシ(Helenicula miyagawai)のようなツツガムシ類;イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)、ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitivorax)、ネコツメダニ(Cheyletiella blakei)のようなツメダニ類;ウサギキュウセンダニ(Psoroptes cuniculi)、ウシショクヒダニ(Chorioptes bovis)、イヌミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)のようなヒゼンダニ類;イヌニキビダニ(Demodex canis)のようなニキビダニ類などが挙げられる。中でも、式(I)の化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、マダニ類などの防除に特に有効である。
【0164】
ノミとしては、例えば、ノミ目(Siphonaptera)に属する外部寄生性無翅昆虫、より具体的には、ヒトノミ科(Pulicidae)、ナガノミ科(Ceratephyllus)などに属するノミ類が挙げられる。ヒトノミ科に属するノミ類としては、例えば、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ニワトリフトノミ(Echidnophaga gallinacea)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、メクラネズミノミ(Leptopsylla segnis)、ヨーロッパネズミノミ(Nosopsyllus fasciatus)、ヤマトネズミノミ(Monopsyllus anisus)などが挙げられる。中でも、式(I)の化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、ヒトノミ科に属するノミ類、特にイヌノミ、ネコノミなどの防除に有効である。
【0165】
その他の外部寄生生物としては、例えば、ウシジラミ、ウマジラミ、ヒツジジラミ、ウシホソジラミ、アタマジラミのようなシラミ類;イヌハジラミのようなハジラミ類;ウシアブ、ウアイヌカカ、ツメトゲブユのような吸血性双翅目害虫などが挙げられる。また、内部寄生生物としては、例えば、肺虫、ベンチュウ、結節状ウオーム、胃内寄生虫、回虫、糸状虫類のような線虫類;マンソン裂頭条虫、広節裂頭条虫、瓜実条虫、多頭条虫、単包条虫、多包条虫のような条虫類;日本住血吸虫、肝蛭のような吸虫類;コクシジウム、マラリア原虫、腸内肉胞子虫、トキソプラズマ、クリプトスポリジウムのような原生動物など;が挙げられる。
【0166】
宿主動物としては、種々の愛玩動物、家畜、家禽などが挙げられ、より具体的には、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、リス、ウサギ、フェレット、鳥(例えば、ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリアなど)、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、アヒル、ニワトリ、などが挙げられる。中でも、式(I)の化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、愛玩動物又は家畜に寄生する有害生物、特に外部寄生生物の防除に有効である。愛玩動物又は家畜の中ではイヌ、ネコ、ウシ又はウマに特に有効である。
【0167】
式(I)の化合物を動物寄生生物防除剤として使用する際、そのまま使用してもよく、また、適当な補助剤と共に粉剤、粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤、液状剤、乳剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤などの種々の形態に製剤して使用することもできる。尚、前記製剤形態以外にも、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、前記した農園芸用有害生物防除剤の製剤用補助剤として例示した陰イオン系の界面活性剤や非イオン系の界面活性剤;セチルトリメチルアンモニウムブロミドのような陽イオン系の界面活性剤;水、アセトン、アセトニトリル、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ケロシン、トリアセチン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体ポリオキシエチレングリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテルのような溶剤;ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、プロピル没食子酸塩、チオ硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマーのような被膜形成剤;前記した農園芸用有害生物防除剤の製剤用補助剤として例示した植物油や鉱物油;乳糖、蔗糖、ブドウ糖、澱粉、麦粉、コーン粉、大豆油粕、脱脂米糠、炭酸カルシウム、その他市販の飼料原料のような担体;などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選択して使用することもでき、更には、前記した農園芸分野で使用される各種補助剤などから適宜選択して使用することもできる。
【0168】
式(I)の化合物と各種補助剤との配合割合(重量比)は、通常、0.1:99.9〜90:10程度である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0169】
宿主動物への式(I)の化合物の投与は、経口又は非経口によって行われる。経口投与法としては、例えば式(I)の化合物を含有する錠剤、液状剤、カプセル剤、ウエハース、ビスケット、ミンチ肉、その他の飼料等を投与する方法などが挙げられる。非経口投与方法としては、例えば式(I)の化合物を適当な製剤に調製した上で、静注投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与等により体内に取り込ませる方法;スポットオン(spot-on)処理、ポワオン(pour-on)処理、スプレー処理等により体表面に投与する方法;宿主動物の皮下に式(I)の化合物を含有する樹脂片等を埋め込む方法などが挙げられる。
【0170】
宿主動物への式(I)の化合物の投与量は、投与方法、投与目的、疾病症状等によって異なるが、通常、宿主動物の体重1Kgに対して0.01mg〜100g、望ましくは0.1mg〜10gの割合で投与するのが適当である。
【0171】
本発明には、前記したような投与方法又は投与量による有害生物の防除方法、特に外部寄生生物又は内部寄生生物の防除方法も含まれる。
【0172】
また、本発明においては、前述のようにして動物寄生性の有害生物を防除することにより、それらに起因する宿主動物の各種疾患を予防又は治療できる場合がある。このように、本発明には、式(I)の化合物を有効成分として含有する寄生生物起因動物疾患の予防又は治療剤並びに、寄生生物起因動物疾患を予防又は治療する方法も含まれる。
【0173】
式(I)の化合物を動物寄生生物防除剤として使用する際、補助剤と共に各種ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、栄養剤、酵素製剤、解熱剤、鎮静剤、消炎剤、殺菌剤、着色剤、芳香剤、保存剤等と混用又は併用することができる。また、必要に応じて他の各種動物薬や農薬、例えば駆虫剤、抗コクシジウム剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺ノミ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗菌剤などと混用又は併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。本発明には、前記したような各種成分を混用又は併用した混合有害生物防除用組成物が含まれ、また、それを使用した有害生物の防除方法、特に外部寄生生物又は内部寄生生物の防除方法も含まれる。
【0174】
次に本発明の望ましい態様の一例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
(1)式(I)中、R1が水素原子、Aで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、C=NOR、C=NNR45、COR、COOR、OR2、S(O)n3、NR45、N又はCONR45であり;Xがアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR45、S(O)n3、OR2、COR又はCOORであり;Yが水素原子又はフッ素原子であり;ZがCH、CX又はNであり;Aがハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環基、SCHCOOR 、NHNR45 、COOR、ニトロ又は−CH(CN)2であり;R2が水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アセチル又はアリールであり;R3がアルキル又はアセチルであり;R4が水素原子又はアルキルであり;R5が水素原子、アルキル、ハロアルキル、COR、COOR、CHCHOR2又はシアノアルキルであり;mが1〜4の整数であり;nが0〜2の整数であるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【0175】
(2)式(I)中、R1がAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、OR2、S(O)n3又はNR45であり;Xがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ又はニトロであり;Aがハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、シクロアルキル、アリール又は複素環基であり;R2が水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル又はアリールであるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤。なお、R3、R4、R5、Y、Z、m及びnは上記(1)と同様である。
【0176】
(3)式(I−α)中、RがAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、OR2又はS(O)n3であり;Xがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ又はニトロであり;Aがハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、シクロアルキル、アリール又は複素環基であり;R2が水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル又はアリールであり;mが2〜4の整数であるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。なお、R3、R4、R5、Y、Z及びnは上記(1)と同様である。
【0177】
(4)式(I−α)中、RがAで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、C=NOR、C=NNR45、COR、COOR、OR2、S(O)n3又はCONR45であり;Xがアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR45、S(O)n3、OR2、COR、COOR又はCONR45であり;Yが水素原子又はフッ素原子であり;ZがCH、CX又はNであり;Aがハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環基、SCHCOOR 、NHNR45 、COOR、ニトロ又は−CH(CN)2であり;R2が水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アセチル又はアリールであり;R3がアルキル又はアセチルであり;R4が水素原子又はアルキルであり;R5が水素原子、アルキル、ハロアルキル、COR、COOR、CHCHOR2又はシアノアルキルであり;mが1〜4の整数であり;nが0〜2の整数であるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。
【実施例】
【0178】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。まず、式(I)の化合物の合成例を記載する。
合成例1
7−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.18)の合成
(1) 2−クロロ−5−トリフルオロメチル安息香酸メチル1.19g、アセトン2ml及びテトラヒドロフラン10mlの混合溶液を氷冷し、固体のナトリウムエトキシド432mgを少しずつ加えた。反応混合物を室温まで昇温し、30分間攪拌した。反応終了後、反応液に希塩酸を加えて酸性とした後、酢酸エチルで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=8/1(体積比、以下同様である。))で精製し、1−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタン−1,3-ジオン(中間体No.VII−1)1.33gを淡褐色の油状物として得た。
(2)前工程(1)で得た化合物(中間体No.VII−1)1.33gと酢酸10mlの混合溶液に3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール500mgを加え、約100℃の温度で、7時間加熱した。反応終了後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/2)で精製し、目的物1.36gを淡黄色結晶として得た。
【0179】
合成例2
5−クロロ−7−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.21)の製造
(1)5,7−ジヒドロキシ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン919mgとオキシ塩化リン3mlとを混合した懸濁液を3時間還流した。反応終了後、得られた透明な反応液から過剰のオキシ塩化リンを留去した後、10mlの氷水を注意深く添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、5,7−ジクロロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン456mgを黄色結晶として得た。
(2)1,4−ジオキサン5ml及び2規定炭酸ナトリウム水溶液1.5mlの混合溶液に、前工程(1)で得た5,7−ジクロロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン300mg、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸178mg及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム30mgを加え、約80℃の温度で、1時間加熱した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、水を5ml加えた後、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、目的物81mgを油状物質として得た。
【0180】
合成例3
5−メチルアミノ−7−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.23)の合成
5−クロロ−7−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.21)83mgとテトラヒドロフラン2mlの混合溶液にメチルアミンの40質量%水溶液0.5mlを加えた後、室温で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、目的物31mgを薄い褐色結晶として得た。
【0181】
合成例4
7−[2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−5−メチル[1,2,4]トロアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.29)の合成
(1)3−アセチル−2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン1.18gとN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール843mgをトルエン11ml中100℃にて一晩反応させた。反応終了後、反応液を減圧下濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=3/7)で精製し、1−[2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−3−(ジメチルアミノ)−2−ブテン−1−オン(中間体No.IV−1)592mgを油状物として得た。
(2)前工程(1)で得た化合物(中間体No.IV−1)592mgを酢酸2mlに溶解し、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール170mgを加え一晩加熱還流した。反応終了後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)で精製し、目的物490mgを淡褐色の油状物として得た。
【0182】
合成例5
7−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6−フルオロ−5−メチル[1,2,4]トロアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.34)の合成
(1)2−フルオロ−3−オキソブタン酸エチル4.2gを酢酸8mL中に溶解し、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール2gを加え100℃にて2時間反応させた。反応液を室温に戻し析出個体をろ過し、メタノール洗浄して6−フルオロ−7−ヒドロキシ−5−メチル[1,2,4]トロアゾロ[1,5−a]ピリミジン(中間体No.XV−4)407mgを白色結晶として得た。
(2)前工程(1)で得た化合物(中間体No.XV−4)407mgとオキシ塩化リン9mlとを混合した懸濁液を3時間還流した。反応終了後、得られた透明な反応液から過剰のオキシ塩化リンを留去した後、水中に投入し、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3)で精製し、7−クロロ−6−フルオロ−5−メチル[1,2,4]トロアゾロ[1,5−a]ピリミジン(中間体No.XVI−4)407mgを白色結晶として得た。
(3)エチレングリコールジメチルエーテル6mlと2規定炭酸ナトリウム水溶液1.7mlの混合液に、前工程(2)で得た化合物(中間体No.XVI−4)208mg、2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸250mg及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム64mgを加え、70℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、水を加え酢酸エチルで抽出した。その後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し目的物50mgを白色結晶として得た。
【0183】
合成例6
7−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−シクロプロピル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(化合物No.48)の合成
1−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−シクロプロパン−1,3-ジオン(中間体No.VII-3)145mgと酢酸3mlの混合溶液に3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール56mgを加え、約100℃の温度で、12時間加熱した。反応終了後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、目的物33mgを淡黄色結晶として得た。
【0184】
式(I)の化合物の代表例を第1表に挙げる。これら化合物には、前記式(I−α)で表される新規化合物が含まれ、前記合成例或は前記した種々の製造方法に基づいて合成することができる。第1表中、No.は化合物No.を示し、Meはメチル、Etはエチルを、i-Prはイソプロピルを、i‐Buはイソブチルを、t-Buはターシャリーブチルを各々示し、物性として示した温度は融点である。また、第1表の物性欄がoil又はamorphousとなっている化合物につき、1H-NMR(1H-核磁気共鳴)を第2表に示す。
【0185】
前記した製法[1]中の式(IV)の化合物の代表例を第3表に挙げる。これら化合物は、前記合成例或は前記した種々の製造方法に基づいて合成することができる。第3表中、No.は中間体No.を示し、Meはメチル、i‐Buはイソブチルを各々示す。また、第3表に記載の化合物につき、1H-NMRを第4表に示す。
【0186】
前記した製法[5]中の式(XV)の化合物の代表例を第5表に挙げる。これら化合物は、前記合成例或は前記した種々の製造方法に基づいて合成することができる。第5表中、No.は中間体No.を示し、Meはメチル、Etはエチルを、i-Prはイソプロピルを各々示し、物性として示した温度は融点である。また、第5表の物性欄がamorphousとなっている化合物につき、1H-NMRを第6表に示す。
【0187】
前記した製法[5]中の式(XVI)の化合物の代表例を第7表に挙げる。これら化合物は、前記合成例或は前記した種々の製造方法に基づいて合成することができる。第7表中、No.は中間体No.を示し、Meはメチル、Etはエチルを、i-Prはイソプロピルを各々示し、物性として示した温度は融点である。また、第7表の物性欄がsolid又はoilとなっている化合物につき、1H-NMRを第8表に示す。
【0188】
前記した製法[2]中の式(VII)の化合物の代表例を第9表に挙げる。これら化合物は、前記合成例或は前記した種々の製造方法に基づいて合成することができる。第9表中、No.は中間体No.を示す。また、第9表に記載の化合物につき、1H-NMRを第10表に示す。
【0189】
【表1】

【0190】
【表2】

【0191】
【表3】

【0192】
【表4】

【0193】
【表5】

【0194】
【表6】

【0195】
【表7】

【0196】
【表8】

【0197】
【表9】

【0198】
【表10】

【0199】
【表11】

【0200】
【表12】

【0201】
次に試験例を記載する。
試験例1 モモアカアブラムシに対する効果試験
ダイコン葉を水の入った試験管に挿し、その葉上にモモアカアブラムシ1齢幼虫を約20頭放飼した。翌日、ダイコン葉上に寄生している幼虫数を数えた後、寄生したダイコン葉を式(I)の化合物の濃度が200ppmとなるように調整した薬液に約10秒間浸漬処理した。薬液が風乾した後に、25℃の照明付恒温室内に放置した。処理5日後にモモアカアブラムシの生死を判定し、下記の計算式により死虫率を求めた。尚、離脱虫及び異常虫は死亡虫とみなした。前記化合物No.13、20、32、33、48、49及び53を供試したところ、全ての化合物が90%以上の死虫率を示した。
【0202】
死虫率(%)=(1−(生存虫数/処理虫数))×100
【0203】
試験例2 トビイロウンカに対する効果試験
式(I)の化合物の濃度が200ppmとなるよう調整した薬液に、イネ幼苗を約10秒間浸漬処理した。薬液が風乾した後に、湿った脱脂綿で根部を包んで試験管に入れた。この中へトビイロウンカ2〜3齢幼虫を10頭放ち、管口をガーゼでふたをして25℃の照明付恒温室内に放置した。放虫5日後にトビイロウンカの生死を判定し、下記の計算式により死虫率を求めた。前記化合物No.13、14、18、20、22、23、24、26、27、29、32、33、35、37、40、43、48、49、53、55、56及び71を供試したところ、全ての化合物が90%以上の死虫率を示した。
死虫率(%)=(死虫数/放虫数)×100
【0204】
試験例3 シルバーリーフコナジラミに対する効果試験
シルバーリーフコナジラミ1〜2齢幼虫が寄生したポット植えのキュウリ苗に、式(I)の化合物の濃度が200ppmとなるよう調整した薬液を、ハンドスプレーを用い散布処理した。薬液が風乾した後に、25℃の照明付恒温室内に放置した。処理7日後に老齢幼虫数を調査し、下記計算式により防除効率(%)を求めた。前記化合物No.1、5、7、13、18、29、32、33、48及び49を供試したところ、全ての化合物が80%以上の防除効率を示した。
【0205】
防除効率(%)=(1−(Ta×Cb)/(Tb×Ca))×100
Ta: 処理キュウリ苗における処理後の老齢幼虫
Tb:処理キュウリ苗における処理前の1〜2齢幼虫数
Ca: 無処理キュウリ苗における処理後の老齢幼虫数
Cb:無処理キュウリ苗における処理前の1〜2齢幼虫数
【0206】
試験例4 フタトゲチマダニに対するイヌを用いた薬効試験
イヌ(ビーグル、8ヶ月齢)に10mg/kg体重の式(I)の化合物を含むゼラチンカプセルを投与し、その直後にフタトゲチマダニの若ダニ約50頭をイヌの耳介に放ち、人工寄生させる。処理後、寄生数、落下数及び落下したフタトゲチマダニの生死を観察する。その結果、式(I)の化合物は、寄生させたフタトゲチマダニを落下又は致死させる。
【0207】
試験例5 ネコノミに対するイヌを用いた薬効試験
イヌ(ビーグル、8ヶ月齢)に10mg/kg体重の式(I)の化合物を含むゼラチンカプセルを投与し、その直後にネコノミ未吸血成虫約100頭を背部被毛上に放ち人工寄生させる。式(I)の化合物は、処理された成虫の産下卵に対し、孵化阻止効果を示す。
【0208】
次に製剤例を記載する。
製剤例1
(1)式(I)の化合物 20重量部
(2)クレー 70重量部
(3)ホワイトカーボン 5重量部
(4)ポリカルボン酸ナトリウム 3重量部
(5)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2重量部
以上のものを均一に混合して水和剤とする。
【0209】
製剤例2
(1)式(I)の化合物 5重量部
(2)タルク 60重量部
(3)炭酸カルシウム 34.5重量部
(4)流動パラフィン 0.5重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
【0210】
製剤例3
(1)式(I)の化合物 20重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル 10重量部
(4)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 2重量部
(5)キシレン 48重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0211】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ナトリウム 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート 5重量部
(4)ホワイトカーボン 25重量部
以上の各成分の混合物と、式(I)の化合物とを4:1の重量割合で混合し、水和剤とする。
【0212】
製剤例5
(1)式(I)の化合物 50重量部
(2)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物 2重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0213】
製剤例6
(1)式(I)の化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
(1)〜(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0214】
製剤例7
(1)式(I)の化合物 2.5重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 2.5重量部
(3)大豆油 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
【0215】
製剤例8
(1)式(I)の化合物 40重量部
(2)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム 4重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)キサンタンガム 0.1重量部
(5)エチレングリコール 5重量部
(6)水 50.7重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水性懸濁剤とする。
【0216】
製剤例9
(1)式(I)の化合物 10重量部
(2)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 80重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 10重量部
以上の成分を均一に混合し、水溶性液剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、R1は水素原子、Aで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、C=NOR、C=NNR45、COR、COOR、OR2、S(O)n3、NR45、N又はCONR45であり;Xはアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR45、S(O)n3、OR2、COR、COOR又はCONR45であり;Yは水素原子又はフッ素原子であり;ZはCH、CX又はNであり;Aはハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環基、SCHCOOR 、NHNR45 、COOR、ニトロ又は−CH(CN)2であり;R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アセチル又はアリールであり;R3はアルキル又はアセチルであり;R4は水素原子又はアルキルであり;R5は水素原子、アルキル、ハロアルキル、COR、COOR、CHCHOR2又はシアノアルキルであり;mは1〜4の整数であり;nは0〜2の整数である〕で表されるトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除剤。
【請求項2】
1がAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、OR2、S(O)n3又はNR45であり;Xがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ又はニトロであり;Aがハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、シクロアルキル、アリール又は複素環基であり;R2が水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル又はアリールである請求項1に記載の有害生物防除剤。
【請求項3】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用有害生物防除剤。
【請求項4】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫、殺ダニ、殺線虫又は殺土壌害虫剤。
【請求項5】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する殺虫又は殺ダニ剤。
【請求項6】
請求項1に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩の有効量を施用して有害生物を防除する方法。
【請求項7】
式(I−α):
【化2】

〔式中、RはAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、ハロゲンで置換されてもよいアリール、アルキルで置換されてもよい複素環基、C=NOR、C=NNR45、COR、COOR、OR2、S(O)n3又はCONR45であり;Xはアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、NR45、S(O)n3、OR2、COR、COOR又はCONR45であり;Yは水素原子又はフッ素原子であり;ZはCH、CX又はNであり;Aはハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環基、SCHCOOR 、NHNR45 、COOR、ニトロ又は−CH(CN)2であり;R2は水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アセチル又はアリールであり;R3はアルキル又はアセチルであり;R4は水素原子又はアルキルであり;R5は水素原子、アルキル、ハロアルキル、COR、COOR、CHCHOR2又はシアノアルキルであり;mは1〜4の整数であり;nは0〜2の整数である;但し、(1)Rがメチルであり、Xが4-メトキシであり、ZがCHである場合、(2)Rがメチルであり、Xが3,4-ジメトキシであり、ZがCHである場合及び(3)Rがメチルであり、Xが4-メチルであり、ZがCHである場合を除く〕で表されることを特徴とするトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。
【請求項8】
がAで置換されてもよいアルキル、Aで置換されてもよいシクロアルキル、Aで置換されてもよいアルケニル、Aで置換されてもよいアルキニル、ハロゲン、シアノ、OR2又はS(O)n3であり;Xがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ又はニトロであり;Aがハロゲン、OR2、S(O)n3、NR45、シアノ、シクロアルキル、アリール又は複素環基であり;R2が水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル又はアリールであり;mが2〜4の整数である請求項7に記載のトリアゾロピリミジン誘導体又はその塩。

【公開番号】特開2010−65024(P2010−65024A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185473(P2009−185473)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】