トレーラ
【課題】チルトフレーム及びチルトフレームの一端部から伸縮自在な伸縮ボルスタを備えたトレーラの、使い勝手をより向上させる。
【解決手段】チルトフレーム16の一端部から伸縮自在な伸縮ボルスタ24Dに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部621〜624を、チルトフレーム16の、伸縮ボルスタ24のガイド部64に設けられた検出部661〜664によって検出することで、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタ24の突出量を把握する。又、チルトフレームの傾斜角度の検出手段によってチルトフレームの傾斜角度を検出する。そして、伸縮ボルスタ24Dの突出量とチルトフレームの傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警報手段によって警告を発報する。
【解決手段】チルトフレーム16の一端部から伸縮自在な伸縮ボルスタ24Dに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部621〜624を、チルトフレーム16の、伸縮ボルスタ24のガイド部64に設けられた検出部661〜664によって検出することで、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタ24の突出量を把握する。又、チルトフレームの傾斜角度の検出手段によってチルトフレームの傾斜角度を検出する。そして、伸縮ボルスタ24Dの突出量とチルトフレームの傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警報手段によって警告を発報する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の傾斜角度に設定し、固定されるチルトフレームを備えたトレーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶やプラント等に用いられる、荷幅が道路交通法等の規制幅を超える大型鋼板を陸送する場合、従来は、規制緩和措置が適用される深夜帯に、予め届け出がされたルートに沿って搬送することが行なわれていた。しかしながら、そのような搬送方法の非効率性や手続の煩雑さを解消するため、所定の傾斜角度に固定されるチルトフレームにより荷台が構成されたトレーラが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。このトレーラによれば、幅広の荷を荷台に固定して荷台を傾斜させることで、見かけ上の荷幅を規制幅内に収め、時間やルートに規制されることなく効率的に大型鋼板を搬送することが可能となった。
【0003】
【特許文献1】特公昭55−38293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、大型鋼板等の、荷幅が道路交通法等の規制を越える荷を搬送するための、チルトフレームを備えたトレーラにおいて、その使い勝手をより向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警告を発報する警報手段を備えるトレーラ(請求項1)。
本項に記載のトレーラは、伸縮ボルスタの突出量の検出手段によって伸縮ボルスタの突出量を検出し、チルトフレームの傾斜角度の検出手段によってチルトフレームの傾斜角度を検出し、伸縮ボルスタの突出量とチルトフレームの傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警報手段によって警告を発報することで、チルトフレームの傾斜角度の設定ミスによる、見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態となることを、確実に防止するものである。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部と、前記チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられた検出部とを備えるトレーラ(請求項2)。
本項に記載のトレーラは、少なくとも一つの伸縮ボルスタに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部を、チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられた検出部によって検出することで、チルトフレームの幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を把握するものである。
【0008】
(3)上記(2)項において、前記複数の被検出部は、前記伸縮ボルスタの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置され、前記検出部は、前記伸縮ボルスタのガイド部の両側面に、前記伸縮ボルスタの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置されているトレーラ(請求項3)。
本項に記載のトレーラは、伸縮ボルスタの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部を、伸縮ボルスタのガイド部の両側面に、伸縮ボルスタの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置された検出部により検知することで、チルトフレームの幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を把握するものである。各被検知部及び各検知部がこのように分散配置されることで、各被検知部及び各検知部を物理的に可能な限り離間させ、伸縮ボルスタの突出量の誤検知を確実に防ぐものである。
【0009】
(4)上記(1)項において、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮する被検出部と、前記チルトフレームに設けられた、前記被検出部の伸縮量を検出する検出部とを備えるトレーラ(請求項4)。
本項に記載のトレーラは、チルトフレームに設けられた検出部によって、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮する被検出部の伸縮量を検出することにより、チルトフレームの幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を把握するものである。
なお、検出部は、チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられることが望ましい。又、検出部の具体例としては、コードリールにより巻き取られるコードを用いることが可能である。そして、伸縮ボルスタにコードの端部を固定し、伸縮ボルスタの伸縮量と同量(同じ長さ)のコードがコードリールから引き出され、又は巻き取られることで、伸縮ボルスタの伸縮量を、コードの伸縮量から正確に把握することができる。又、検出部の具体例としては、コードリールの回転軸に駆動される可変抵抗器を用いることが可能である。この場合には、コードリールの回転軸の回転量を、可変抵抗器の抵抗値の変化による電圧変化から検出することで、コードの伸縮量を把握することが可能となる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)項において、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段には、前記伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサが含まれ、前記警報手段は、前記格納センサによる前記伸縮ボルスタの未格納状態の検知を受けて作動するように構成されているトレーラ(請求項5)。
本項に記載のトレーラは、格納センサによる伸縮ボルスタの未格納状態の検知を受けて、警報手段が作動することで、チルトフレームの幅方向一端部から伸縮ボルスタが突出し、荷台が規制幅を超える状態にあることを、作業者が確実に把握できることとなる。
【0011】
(6)上記(1)から(5)項において、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジと平行な回転軸を有する軸受によって前記チルトフレームに軸着されたロッドと、前記チルトフレームの傾斜角度の変化に伴う前記ロッドの変位量を検出する検出手段とを備えるトレーラ(請求項6)。
本項に記載のトレーラは、検出手段によってチルトフレームの傾斜角度の変化に伴う前記ロッドの変位量を検出することで、シャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を間接的に把握するものである。
【0012】
(7)上記(1)から(5)項において、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記シャシフレーム及び前記チルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段と、各絶対角度検出手段により得られる角度検出値に基づき、前記シャシフレームに対する前記チルトフレームの相対角度を演算する演算手段とを備えるトレーラ(請求項7)。
本項に記載のトレーラは、演算手段によって、シャシフレーム及びチルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段の角度検出値からシャシフレームに対するチルトフレームの相対角度を演算することで、シャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を把握するものである。
なお、絶対角度検出手段の具体例としては、円弧状に配置された抵抗と、該抵抗に接し、抵抗に沿って回転する接触子とを備え、該接触子が錘によって常時鉛直方向位置に維持されて、シャシフレーム及びチルトフレームに固定された前記接触子との接点が変位することにより、可変抵抗器の抵抗値の変化による電圧変化から、シャシフレーム及びチルトフレームの絶対的な傾斜角度を検出するものである。又、演算手段は、パーソナルコンピュータ等の情報処理手段が用いられる。
【0013】
(8)上記(1)から(5)項において、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジにおいて、前記シャシフレームと前記チルトフレームとの相対角度を求める相対角度検出手段を備えるトレーラ(請求項8)。
本項に記載のトレーラは、シャシフレーム及びチルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段の角度検出値からシャシフレームに対するチルトフレームの相対角度を演算することで、シャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を把握するものである。
なお、相対角度検出手段の具体例としては、チルトフレームの動作によるチルトヒンジの回転を計るポテンションメータ又はロータリーエンコーダが用いられ、これらの計測信号から、パーソナルコンピュータ等の情報処理手段によってシャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を演算し把握するものである。
【0014】
(9)上記(1)から(8)項において、前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態を検知するロックピンセンサを備え、前記警報手段は、前記ロックピンセンサによる前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態の検知を受けて作動するように構成されているトレーラ(請求項9)。
本項に記載のトレーラは、ロックピンセンサによる伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態の検知を受けて、警報手段が作動することで、作業者による伸縮ボルスタの固定忘れを確実に防止するものである。
【0015】
(10)上記(1)から(9)項において、前記警報手段は、視覚的警報手段と聴覚的警報手段とを備えるトレーラ。
本項に記載のトレーラは、警報手段の発報条件、すなわち、荷の見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態にある場合や、荷台の各部の固定がされていない状態等、トレーラを動かしてはいけない状態にあることを、作業者に対し、視覚的及び聴覚的に知らせるものである。なお、視覚的警報手段としては、緑色や赤色のランプ、モニター等が用いられ、聴覚的警報手段としては、ブザーや音声による警告装置が用いられる。
(11)上記(10)項において、該聴覚的警報手段は少なくともトラクタの運転台に設けられているトレーラ。
本項に記載のトレーラは、聴覚的警報手段が少なくともトラクタの運転台に設けられていることで、トレーラを動かしてしまうことが好ましくない状態にあることを、運転操作を行う運転台の作業者(ドライバー)の聴覚に訴え、トラクタの始動を直ちに中止させるよう促すものである。
【0016】
(12)上記(10)(11)項において、前記警報手段は、前記トラクタの駐車ブレーキの開放操作を受けて鳴動するように構成されているトレーラ(請求項10)。
本項に記載のトレーラは、警報手段の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作、すなわち、トレーラを動かしてはいけない条件下で、作業者がトレーラを動かすための駐車ブレーキの開放操作をしたときにのみ、聴覚的警報手段が鳴動して、運転台の作業者に音声による警告を行うものである。従って、荷幅に適合した荷台幅への調整作業や、チルトフレームの傾斜角度の調整作業中、聴覚的警報手段が鳴動し続けることによる騒音問題を回避することができる。
【0017】
(13)上記(10)から(12)項において、前記警報手段の発報条件下におけるトレーラの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えるトレーラ(請求項11)。
本項に記載のトレーラは、ブレーキ制御手段によって、警報手段の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とすることで、トレーラを動かしてはいけない条件下ではトレーラの駐車ブレーキの開放を行わず、トレーラの走行を確実に防止するものである。
(14)上記(13)項において、前記ブレーキ制御手段は、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系に設けられた、パーキングコントロールバルブの開閉を無効とする制御バルブであるトレーラ(請求項11)。
本項に記載のトレーラは、警報手段の発報条件下において、制御バルブにより、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系に設けられた、パーキングコントロールバルブからのエア圧の開放を制限することにより、トレーラを動かしてはいけない条件下ではトレーラの駐車ブレーキの開放を行わず、トレーラの走行を確実に防止するものである。
【0018】
(15)前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、トラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えるトレーラ(請求項13)。
本項に記載のトレーラは、伸縮ボルスタの突出量の検出手段によって伸縮ボルスタの突出量を検出し、チルトフレームの傾斜角度の検出手段によってチルトフレームの傾斜角度を検出し、伸縮ボルスタの突出量とチルトフレームの傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、ブレーキ制御手段によりトラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とすることで、チルトフレームの傾斜角度の設定ミスによる、見かけ上の荷幅が規制幅を超えた状態でトレーラを走行させてしまうことを、確実に防止するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように構成したので、大型鋼板等の荷幅が道路交通法等の規制幅を超える荷を搬送するチルトフレームを備えたトレーラにおいて、その使い勝手をより向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、図1〜図3、図8に示されるように、前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジ12によりシャシフレーム14に軸支されたチルトフレーム16と、チルトフレーム16の傾斜角度を変更させる駆動手段である油圧式のチルトシリンダ18と、チルトフレーム16の傾斜角度の検出手段20と、チルトフレーム16の傾斜角度が所定の角度にあるとき、チルトフレーム16の傾斜角度を固定する固定手段22とを備えている。
図示の例では、チルトヒンジ12は、チルトフレーム16の車幅方向左端部の近傍に配置されており、チルトフレーム16が水平状態にあるときは、チルトフレーム16は、シャシフレーム14上に載置される。一方、チルトフレーム16が傾斜する際には、チルトヒンジ12を中心にチルトフレーム16が回転し、チルトフレーム16の幅方向右端部が上方へと持ち上がる。なお、図2において、チルトフレーム16は、傾斜角度θ=0°を、チルトフレーム16’は傾斜角度θ=34°位置を、チルトフレーム16”は傾斜角度θ=39.5°位置を、チルトフレーム16’”は傾斜角度θ=45.5°位置を、夫々示している。
【0021】
又、チルトフレーム16の幅方向右端部から、車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な、複数の伸縮ボルスタ24が設けられている。チルトフレーム18及び伸縮ボルスタ24は、トレーラ10の荷台を構成するものであり、荷幅が道路交通法等の規制幅を越える大型鋼板を、チルトフレーム16及び伸縮ボルスタ24によって、確実に固定することが可能となっている。なお、伸縮ボルスタ24の伸縮動作は、チルトフレーム16が水平状態にあるときに、手動により行うことが可能である。
【0022】
本発明の実施の形態では、チルトシリンダ18、検出手段20、固定手段22は、各々、トレーラ10の前方寄り及び後方寄りの2ヶ所に設けられている。
ここで、チルトシリンダ18は、図8に示されるように、シリンダスリーブ側端部18aが、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受によってシャシフレーム14に軸着され、シリンダロッド側端部18bが、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受によってチルトフレーム16に軸着されている。
【0023】
固定手段22は、図4、図5に示されるようなメカニカルロック機構を構成している。まず、固定手段22は、ロックバー26とロックバー26を長手方向に摺動自在に軸支するスリーブ28とを備えている。そして、ロックバー26の上端部は、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受30によって、チルトフレーム16に軸着され、スリーブ28は、チルトヒンジ12と平行かつロックバー26の摺動軸と回動軸が直交する軸受32、34に両側を挟まれるようにして、シャシフレーム14に軸着されている。図示の例では、ロックバー26は四角断面を有する筒状部材により構成されており、スリーブ28は、ロックバー26の外周面を摺動自在に案内する四角筒により構成されている。なお、本説明において、ロックバー26の「摺動軸」とは、スリーブ28に摺動案内されるロックバー26の摺動方向、すなわち、ロックバー26の長手方向の中心軸C26を意味している。
【0024】
又、ロックバー26には、チルトフレーム16の傾斜角度θ(図3、図9参照)が所定角度にあるとき、スリーブ28の回動軸C28に中心が一致する貫通孔26a、26b、26c、26dが形成され、スリーブ28の軸受32、34の中心にはロックバーの貫通穴26a〜26dと一致する貫通孔32a、34aが形成されている。そして、これらの貫通孔に挿通されるピン36と、ピン36の駆動手段であるエアシリンダ38とを備えている。ピン36の先端部は、図5に仮想線で示されるように、シリンダロッド38が最も縮んだ状態においても、常時一方の軸受32の貫通孔32aに係合している。又、ピン36は、エアシリンダ38により押出されることで、図5に実線で示されるように、軸受32の貫通孔32aと共にロックバー26の貫通穴26a(26b、26c、26d)及び他方の軸受34の貫通孔34aとも係合する。又、ピン36と、エアシリンダ38のシリンダロッド38aとの間には、ボールジョイント39が配置されることで、軸受32の貫通孔32aと、エアシリンダ38のシリンダロッド38aとの芯ずれを吸収している。
なお、チルトフレーム16の傾斜角度θを変更させるチルトシリンダ18及びピン36を駆動するエアシリンダ38の制御手段として、コントロールボックス40(図1)が設けられている。
【0025】
チルトフレーム16の傾斜角度θの検出手段20は、図6に示されるように、複数のセンサ42(42A、42B、42C、42D)が配置されたセンサボックス44と、センサボックス44に摺動自在に支持されたロッド48とを備えている。そして、ロッド48には、センサ42のドグ46が固定されている。センサボックス44の内部には、補強板44aによって位置決めされたガイドスリーブ44bが設けられており、ガイドスリーブ44bにロッド48が摺動案内されている。又、ロッド48の先端部には、センサボックス44の内壁面に摺接するガイドプレート48aが設けられている。なお、ガイドプレート48aは、複数のセンサ42を避けるための切欠きが設けられている。そして、センサボックス42は、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受50によってシャシフレーム14に軸着され(図3参照)、ロッド48は、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受52によってチルトフレーム16に軸着されている(図3参照)。そして、チルトフレーム16の傾斜角度の変化に伴うロッド48の変位を、ロッド48に固定されたドグ46を各センサ42によって検出することで、ロッド48の変位量を求める。上記の構造上、ロッド48の変位量とチルトフレーム16の傾斜角度の変化量とは一対一の関係にあるので、チルトフレーム16の傾斜角度を間接的に把握するものである。
【0026】
なお、複数のセンサ42(42A、42B、42C、42D)は、各々、センサボックス44内で、ロッド48の摺動方向に沿って設けられており、ロックバー26の貫通孔26a〜26dの各々と、スリーブ28の軸受32、34の貫通孔32a、34aとが一致するとき、ドグ46と一致する位置に配置されている。又、複数のセンサ42は、図7に概略的に示されるように、各々一対の突起42eを備え、この突起42e間に照射される光線(赤外線光等)がドグ46によって遮断されることで、検知信号を発信するものである。なお、センサ42の検知範囲は、ある程度の幅を有しており、ピン36と、ロックバー26の26a〜26dとに設定される寸法公差を吸収して、ピン38が各貫通孔26a〜26dに係合可能な位置にある限り、センサ42も、チルトフレーム16の傾斜角度θが所定角度にあることを検知するものである。
【0027】
なお、チルトフレーム16の傾斜角度θの検出手段20としては、図14から図16に示されるように、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の各々に角度検出器108(絶対角度検出手段)を設け、角度検出器108により得られる角度検出値に基づき、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の相対角度を、パーソナルコンピュータ等の演算手段(例えば、後述のコントロールボックス40内に設置する。)を用いて求めることも可能である。角度検出器108の具体例としては、図16に示されるように、円弧状に配置された抵抗110と接触子112とからなり、接触子112が錘114と共に抵抗110の中心位置に軸着され、抵抗110に沿って回転するようになっている。そして、抵抗110、接触子112、錘114は、制動用の油が満たされたケース116(図14)内に格納された構造を有している。図16において、符号118、120は電源端子、符号122は出力端子である。接触子112は、錘114によって常時鉛直方向に維持されることにより、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の絶対角度の変化と共に、抵抗110との接点が変位し、抵抗値の変化による電圧変化から、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の絶対的な傾斜角度を検出するものである。
そして、図15のように、トレーラ10自体が角度αの傾斜地に停車している場合には、シャシフレーム14に設けられた角度検出器108Aの検出角度はαであり、チルトフレーム16に設けられた角度検出器108Bの検出角度α+θであり、この値から角度検出器108Aの検出角度αを差し引くことで、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の相対角度θを把握することができる。
【0028】
又、チルトフレーム16の傾斜角度θの検出手段20の別例として、図8のE−E線における断面図である図17に示されるように、チルトヒンジ12に、シャシフレーム14とチルトフレーム16との相対角度を検出する相対角度検出器124を設けることとしても良い。この場合の具体例としては、チルトフレームの動作によるチルトヒンジの回転角度を計るポテンションメータ又はロータリーエンコーダが用いられ、これらの計測信号から、パーソナルコンピュータ等の情報処理手段によって、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の傾斜角度を演算し、把握するものである。図17の例におけるロータリーエンコーダ124は、取付カバー124aによってチルトフレーム16に固定され、チルトヒンジ12の回転動作が、リンク125を介して伝達されるようになっている。
【0029】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、図9、図10に示されるように、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60を備えている。ここで、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60は、トレーラ10の前後方向中央部に位置する一つの伸縮ボルスタ24Dに設けられた、複数の被検出部62と、チルトフレーム12の、伸縮ボルスタ24Dをガイドするガイド部64に設けられた、複数の検出部66とを備えるものである。
【0030】
本発明の実施の形態では、一例として、被検出部62にマグネットが用いられ、伸縮ボルスタ24Dの側面に対し、スペーサ68を介してねじ70により固定されている。又、検出部66には磁気センサが用いられており、矩形断面を有する管状のガイド部64に対し、タップシート72を介して固定されている。タップシート72は、雌ねじを切った板材であり、スペーサ68の側面に溶接されている。そして、雌ねじに検出部66の先端に形成された雄ねじをねじ込み、タップシート72に対する検出部66のねじ込み量を調整することで、検出部66の位置調整を簡単に行うことができる。
又、複数の被検出部62(621、622、623、624)は、伸縮ボルスタ24Dの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置され、検出部66(661、662、663、664)は、伸縮ボルスタ24Dのガイド部64の両側面に、伸縮ボルスタ24Dの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、分散配置されている。
【0031】
具体的には、被検出部621は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM1の位置に設けられ、検出部661は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS1の位置に設けられている。そして、LM1=LS1に設定されていることから、被検出部621と検出部661とは、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに一致する。よって、被検出部621及び検出部661は、伸縮ボルスタ24Dの未格納状態を検知するための、格納センサとして機能するものである。
又、被検出部622は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM2(>LM1)の位置に設けられ、検出部662は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS1の位置に設けられている。そして、被検出部621と検出部661とが一致するときの、伸縮ボルスタ24Dの突出量は、図2に示されるチルトフレーム16’のように、傾斜角度θ=34°位置まで傾斜させることで、見かけ上の荷台幅(荷台に積み込まれる荷の荷幅)が規制幅の範囲内に収まる突出量である。
【0032】
又、被検出部623は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM3(>LM2)の位置に設けられ、検出部663は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS2(>LS1)の位置に設けられている。そして、被検出部623と検出部663とが一致するときの、伸縮ボルスタ24Dの突出量は、図2に示されるチルトフレーム16”のように、傾斜角度θ=39.5°の位置まで傾斜させることで、見かけ上の荷台幅(荷台に積み込まれる荷の荷幅)が規制幅の範囲内に収まる突出量である。
更に、被検出部624は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM4(>LM3)の位置に設けられ、検出部664は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS1の位置に設けられている。そして、被検出部624と検出部664とが一致するときの、伸縮ボルスタ24Dの突出量は、図2に示されるチルトフレーム16’”のように、傾斜角度θ=45.5°の位置まで傾斜させることで、見かけ上の荷台幅(荷台に積み込まれる荷の荷幅)が規制幅の範囲内に収まる突出量である。
【0033】
なお、本発明の実施の形態では、被検出部621、622及び検出部661、662は、いずれも、伸縮ボルスタ24D及びガイド部54の同一側面、かつ、高さ方向にHの間隔を空けて、設けられている。又、被検出部623、624及び検出部663、664は、いずれも、伸縮ボルスタ24D及びガイド部54の同一側面(被検出部621、622及び検出部661、662とは反対側の側面)、かつ、高さ方向にHの間隔を空けて、設けられている。これらの配置は、適宜変更することが可能である。
【0034】
伸縮ボルスタ24D以外の伸縮ボルスタ24A〜24C、24E〜24H(図1)については、伸縮ボルスタ24Dの未格納状態を検知するための格納センサとして機能する、被検出部621及び検出部661のみ、伸縮ボルスタ24Dと同様の位置に設けられている。そして、他の被検出部622〜624及び検出部662〜664は省略されている。
これは、トレーラ10の運用上、伸縮ボルスタ24Dの突出量を把握することで足りることによるものである。すなわち、荷の長さが短いような場合であっても、積載時の重量バランスを考慮して、荷をトレーラ10の前後方向中央部に積み込む必要がある。よって、荷の長さにかかわらず、トレーラ10の前後方向中央部に位置する伸縮ボルスタ24Dは、必ず使用されることによるものである。なお、必要に応じ、複数の伸縮ボルスタに、全ての検出部621〜624及び被検出部661〜664を設置することも、当然に可能である。
【0035】
又、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60の別例として、図14及び図18に示されるように、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮するコード126(被検出部)と、チルトフレーム16の、伸縮ボルスタのガイド部64に設けられたコードリール128と、(歯車132、134を介して)コードリール128の回転軸128aに駆動される可変抵抗器130を用いることが可能である。そして、伸縮ボルスタ24の適切な部位(図示の例では頭部24a)にコード126の端部を固定し、伸縮ボルスタ24の伸縮量と同量(同じ長さ)のコード126がコードリール128から引き出され、又は巻き取られることで、伸縮ボルスタ24の伸縮量をコード126の伸縮量から正確に把握することができる。可変抵抗器130は、ほぼ図16の角度検出器108から錘114を外した構造となっており、可変抵抗器130の抵抗値の変化による電圧変化から、コードリール128の回転軸128aの回転量を検出し、コード126の伸縮量を把握することにより、伸縮ボルスタ24(24D)の突出量が可能となる。
なお、この場合にも、伸縮ボルスタ24D以外の伸縮ボルスタ24A〜24C、24E〜24H(図1)については、伸縮ボルスタ24Dの未格納状態を検知するための格納センサとして機能する、被検出部621及び検出部661を設けることが望ましい。
【0036】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、各伸縮ボルスタ24(24A〜24H)を所望の伸縮位置に固定する固定手段として、図11に示される伸縮ボルスタ24の固定用ロックピン74を備えている。又、伸縮ボルスタ24には、図9に示されるように、複数の挿通孔76(761、762、763、764)が設けられ、ガイド部64には挿通孔78が設けられている。そして、挿通孔761、762、763、764のいずれかと、挿通孔78とは、伸縮ボルスタ24が格納位置又は各突出量にあるときに、一致する位置に配置されている。よって、一致した挿通孔76、78に対し、手作業にて固定用ロックピン74を抜差しすることにより、伸縮ボルスタ24の位置の伸縮及び固定をすることができる。図11中、符号74aは、固定用ロックピン74の抜差しを容易にするための取っ手であり、符号80は、取っ手74aを引っ掛けることで、挿通孔に差し込まれた固定用ロックピン74の脱落を防止するためのステーである。
又、図11に示されるように、伸縮ボルスタ24の固定用ロックピン74の未装着状態を検知するロックピンセンサ82を備えている。ロックピンセンサ82には近接センサが用いられており、ブラケット64aによってガイド部64の挿通孔78の近傍に固定されている。
【0037】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、図12に示されるように、チルトフレーム16が水平状態にあることを検知する検出手段83として、被検出部84が、ブラケット86を介してチルトフレーム16に固定され、検出部88が、タップシート90を介してシャシフレーム14側(図示の例では、コントロールボックス40)に固定されている。図示の例では、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60(図9)と同様に、被検出部84はマグネットであり、検出部88は磁気センサである。
更に、トレーラ10の側面に取り付けられているコントロールボックス40(図1参照)、及び、トラクタの運転台には、視覚的警報手段としてのランプ92、94(図12参照)と、聴覚的警報手段としてのブザー96(図13参照)とが設けられている。なお、ランプ92、94及びブザー96は、必要に応じ、コントロールボックス40又はトラクタの運転台のいずれか一方、又は、それ以外の場所に設けることも可能である。
【0038】
コントロールボックス40の内部には、チルトシリンダ18のための油圧回路用電磁弁、エアシリンダ38用電磁弁及び複数のセンサ42の検知信号を受信し、必要な表示を行うと共に、作業者の操作を受けてチルトシリンダ18のための油圧回路用電磁弁、エアシリンダ38用電磁弁を制御する制御装置(リレー回路、マイクロコンピュータ等)が設けられている。又、伸縮ボルスタ24Dの突出量及びチルトフレーム16の傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警告を発報する警報手段(リレー回路、マイクロコンピュータ等)が設けられている。
【0039】
図13には、一例として、警報手段98を構成するリレー回路のシーケンス図が示されている。ここで、符号100は、チルトフレーム16の角度設定スイッチを示している。又、符号102、104は、図4、図5に示される、トレーラ10の前方寄り及び後方寄りの2ヶ所に設けられた固定手段22に連動する、メカニカルロック連動スイッチである。更に、符号106は、トラクタの運転台に設けられた駐車ブレーキの開放操作と連動する、駐車ブレーキ開放センサ連動スイッチである。又、各伸縮ボルスタ24A〜24Hに係る、伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサ(被検出部621及び検出部661)に連動するスイッチを符号621S、661Sで、固定用ロックピンの未装着状態を検知するロックピンセンサ82に連動するスイッチを符号82Sで示している。
なお、チルトフレーム16の角度変更操作や、警報手段98を起動するための電力は、トラクタから供給を受けることとしても良く、トレーラにバッテリーを搭載してここから供給を受けることとしても良い。
【0040】
更に、図19に示されるように、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系136に設けられた、パーキングコントロールバルブ138からの、エア圧の開放を制限するソレノイド制御バルブ140を設けることとしても良い。図19のエア配管系136は、コントロールライン142及びサプライライン144から供給を受けるエアが、リレーエマージェンシーバルブ146、プレッシャコントロールバルブ148を経由して、スプリング・ブレーキチャンバ150へと供給され、かつ、エアタンク152からの高圧エアを受けて、スプリング・ブレーキチャンバ150が作動することで、車輪のブレーキを作動させるものである。
そして、警報手段98の発報条件下では、トレーラの駐車ブレーキの開放操作によりパーキングコントロールバルブ138が開き、スプリング・ブレーキチャンバ150へとエアが供給され得る状態(パーキングブレーキ開放状態)となった場合でも、ソレノイド制御バルブ140を開放することで、スプリング・ブレーキチャンバ150へエアが供給され、駐車ブレーキが開放されることはない。
【0041】
上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、伸縮ボルスタ24の突出量の検出手段60である、被検出部62及び検出部64によって、伸縮ボルスタ24Dの突出量を検出する。又、チルトフレームの傾斜角度の検出手段20によってチルトフレーム16の傾斜角度を検出する。そして、伸縮ボルスタ24Dの突出量とチルトフレーム16の傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警報手段98によって警告を発報することで、チルトフレーム16の傾斜角度の設定ミス等による、見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態となる不具合を、確実に防止するものである。
【0042】
又、少なくとも一つの伸縮ボルスタ24Dに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部621〜624を、チルトフレーム16の、伸縮ボルスタ24のガイド部64に設けられた検出部661〜664によって検出することで、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタ24の突出量を把握するものである。
【0043】
しかも、図9に示されるように、伸縮ボルスタ24Dの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部621〜624を、伸縮ボルスタ24Dのガイド部64の両側面に、伸縮ボルスタ24Dの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置された検出部661〜664により検知することで、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を正確に把握するものである。各被検知部621〜624及び各検知部661〜664がこのように分散配置されることで、各被検知部621〜624及び各検知部661〜664を物理的に可能な限り離間させ、伸縮ボルスタ24Dの突出量の誤検知を確実に防ぐことができる。
【0044】
なお、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60として、チルトフレーム16に設けられた可変抵抗器130によって、少なくとも一つの伸縮ボルスタ24と共にボルスタの伸縮方向へと伸縮するコード126の伸縮量を検出することにより、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタ24の突出量を把握することも可能である。
【0045】
又、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の各々に設けられた角度検出器108A、108Bと、各角度検出器108A、108Bにより得られる角度検出値に基づき、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の相対角度を演算する演算手段とを備えることしても良く、チルトフレーム16の傾斜角度の検出手段として、チルトヒンジ12において、シャシフレーム14とチルトフレーム16との相対角度を検出する角度検出器124を備えることとし、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の傾斜角度を把握することとしても、同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
又、伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサ(被検出部621及び検出部661)による伸縮ボルスタ24の未格納状態の検知を受けて、警報手段98が作動することで、チルトフレーム16の幅方向一端部から伸縮ボルスタ24が突出し、荷台が規制幅を超える状態にあることを、作業者が確実に把握することができる。
又、ロックピンセンサ82による、伸縮ボルスタの固定用ロックピン74の未装着状態の検知を受けて、警報手段98が作動することで、作業者による伸縮ボルスタ24の固定忘れを、確実に防止することができる。
【0047】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、警報手段の発報条件、すなわち、荷の見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態にある場合や、荷台の各部(伸縮ボルスタ24等)の固定がされていない状態等、トレーラ10を動かしてはいけない状態にあることを、作業者に対し、視覚的及び聴覚的に知らせることができる。なお、視覚的警報手段としては、緑色や赤色のランプ92、94のみならず、モニター等を用いることも可能である。又、聴覚的警報手段としては、ブザー96のみならず、音声による警告装置を用いることも可能である。
【0048】
しかも、聴覚的警報手段であるブザー96(図13)が少なくともトラクタの運転台に設けられていることで、トレーラを動かしてしまうことが好ましくない状態にあることを、運転台の作業者(ドライバー)の聴覚に訴え、トラクタの始動を直ちに中止させるよう促すことができる。
加えて、警報手段98には、トラクタの運転台に設けられた駐車ブレーキの開放操作と連動する、駐車ブレーキ開放センサ連動スイッチ106(図13)が設けられていることから、警報手段98の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作、すなわち、トレーラを動かしてはいけない条件下で、作業者がトレーラを動かすための駐車ブレーキの開放操作をしたときにのみ、ブザー96(図13)が鳴動して、運転台の作業者に音声による警告を行うものである。従って、荷幅に適合した荷台幅への調整作業や、チルトフレーム16の傾斜角度の調整作業中、ブザー96が鳴動し続けることによる騒音問題を、回避することができる。
【0049】
又、警報手段であるブザー96の発報条件下におけるトレーラ10の駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段として、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系136に設けられた、パーキングコントロールバルブ138の開閉を無効とする制御バルブ140を設けることにより、トレーラ10を動かしてはいけない条件下ではトレーラの駐車ブレーキの開放を行わず、トレーラの走行を確実に防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るトレーラの特徴部分を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【図2】図1に示されるトレーラの背面図である。
【図3】図1に示されるトレーラのチルトフレームの傾斜角度の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段とを背面視した概略図である。
【図4】図3に示される固定手段の要部拡大図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】図3に示される検出手段の要部拡大断面図である。
【図7】図6に示される検出手段のセンサの構造を示す斜視図である。
【図8】図1に示されるトレーラの、前記チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段を背面視した概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る、伸縮ボルスタの突出量の検出手段を示すものであり、(a)は伸縮ボルスタの平面図、(b)は伸縮ボルスタの側面図である。
【図10】図9に示される伸縮ボルスタの、B−B線における断面図である。
【図11】図9に示される伸縮ボルスタの、固定用ロックピンとロックピンセンサとを示す図であり、(a)は伸縮ボルスタ先端部近傍の側面図、(b)は(a)のC−C線における断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る、チルトフレームが水平状態にあることを検知する検出手段を示すものであり、(a)は設置部分の側面図、(b)は(a)の矢視D図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る、警報手段を構成するリレー回路のシーケンス図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る、伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、チルトフレームの傾斜角度の検出手段の別例を示すものであり、(a)は伸縮ボルスタの平面図、(b)は伸縮ボルスタの側面図である。
【図15】図14に示されたチルトフレームの傾斜角度の検出手段の別例を、図1に示されるトレーラの背面図と共に示したものである。
【図16】図14、図15に示される、チルトフレームの傾斜角度の検出手段の構造を示す模式図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る、チルトフレームの傾斜角度の検出手段の更なる別例を示すものであり、図8のE−E断面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る、伸縮ボルスタの突出量の検出手段の構造を示す模式図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るトラクタの駐車ブレーキのエア配管系を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
10:トレーラ、12:チルトヒンジ、14:シャシフレーム、16:チルトフレーム、18:チルトシリンダ、20:チルトフレームの傾斜角度の検出手段、22:固定手段、 24、24A、24B、24C、24D、24E、24F、24G、24H:伸縮ボルスタ、26:ロックバー、 26a、26b、26c、26d:貫通孔、28:スリーブ、 30、32、34:軸受、 32a、34a:貫通孔、36:ピン、38:エアシリンダ、40:コントロールボックス、 42、42A、42B、42C、42D:センサ、44:センサボックス、46:ドグ、48:ロッド、 50、52:軸受、60:伸縮ボルスタの突出量の検出手段、 62、621、622、623、624、84:被検出部、64:ガイド部、 66、661、662、663、664、88:検出部、68:スペーサ、70:ねじ、 72、90:タップシート、74:固定用ロックピン、 76、78:挿通孔、80:ステー、82:ロックピンセンサ、83:チルトフレームが水平状態にあることを検知する検出手段、 92、94:ランプ、96:ブザー、98:警報手段、100:チルトフレームの角度設定スイッチ、 102、104:メカニカルロック連動スイッチ、106:駐車ブレーキ開放センサ連動スイッチ、108:角度検出器、124:角度検出器、126:コード、130:可変抵抗器、136:エア配管系、138:パーキングコントロールバルブ、140:ソレノイド制御バルブ、150:スプリング・ブレーキチャンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の傾斜角度に設定し、固定されるチルトフレームを備えたトレーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶やプラント等に用いられる、荷幅が道路交通法等の規制幅を超える大型鋼板を陸送する場合、従来は、規制緩和措置が適用される深夜帯に、予め届け出がされたルートに沿って搬送することが行なわれていた。しかしながら、そのような搬送方法の非効率性や手続の煩雑さを解消するため、所定の傾斜角度に固定されるチルトフレームにより荷台が構成されたトレーラが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。このトレーラによれば、幅広の荷を荷台に固定して荷台を傾斜させることで、見かけ上の荷幅を規制幅内に収め、時間やルートに規制されることなく効率的に大型鋼板を搬送することが可能となった。
【0003】
【特許文献1】特公昭55−38293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、大型鋼板等の、荷幅が道路交通法等の規制を越える荷を搬送するための、チルトフレームを備えたトレーラにおいて、その使い勝手をより向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警告を発報する警報手段を備えるトレーラ(請求項1)。
本項に記載のトレーラは、伸縮ボルスタの突出量の検出手段によって伸縮ボルスタの突出量を検出し、チルトフレームの傾斜角度の検出手段によってチルトフレームの傾斜角度を検出し、伸縮ボルスタの突出量とチルトフレームの傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警報手段によって警告を発報することで、チルトフレームの傾斜角度の設定ミスによる、見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態となることを、確実に防止するものである。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部と、前記チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられた検出部とを備えるトレーラ(請求項2)。
本項に記載のトレーラは、少なくとも一つの伸縮ボルスタに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部を、チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられた検出部によって検出することで、チルトフレームの幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を把握するものである。
【0008】
(3)上記(2)項において、前記複数の被検出部は、前記伸縮ボルスタの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置され、前記検出部は、前記伸縮ボルスタのガイド部の両側面に、前記伸縮ボルスタの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置されているトレーラ(請求項3)。
本項に記載のトレーラは、伸縮ボルスタの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部を、伸縮ボルスタのガイド部の両側面に、伸縮ボルスタの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置された検出部により検知することで、チルトフレームの幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を把握するものである。各被検知部及び各検知部がこのように分散配置されることで、各被検知部及び各検知部を物理的に可能な限り離間させ、伸縮ボルスタの突出量の誤検知を確実に防ぐものである。
【0009】
(4)上記(1)項において、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮する被検出部と、前記チルトフレームに設けられた、前記被検出部の伸縮量を検出する検出部とを備えるトレーラ(請求項4)。
本項に記載のトレーラは、チルトフレームに設けられた検出部によって、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮する被検出部の伸縮量を検出することにより、チルトフレームの幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を把握するものである。
なお、検出部は、チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられることが望ましい。又、検出部の具体例としては、コードリールにより巻き取られるコードを用いることが可能である。そして、伸縮ボルスタにコードの端部を固定し、伸縮ボルスタの伸縮量と同量(同じ長さ)のコードがコードリールから引き出され、又は巻き取られることで、伸縮ボルスタの伸縮量を、コードの伸縮量から正確に把握することができる。又、検出部の具体例としては、コードリールの回転軸に駆動される可変抵抗器を用いることが可能である。この場合には、コードリールの回転軸の回転量を、可変抵抗器の抵抗値の変化による電圧変化から検出することで、コードの伸縮量を把握することが可能となる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)項において、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段には、前記伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサが含まれ、前記警報手段は、前記格納センサによる前記伸縮ボルスタの未格納状態の検知を受けて作動するように構成されているトレーラ(請求項5)。
本項に記載のトレーラは、格納センサによる伸縮ボルスタの未格納状態の検知を受けて、警報手段が作動することで、チルトフレームの幅方向一端部から伸縮ボルスタが突出し、荷台が規制幅を超える状態にあることを、作業者が確実に把握できることとなる。
【0011】
(6)上記(1)から(5)項において、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジと平行な回転軸を有する軸受によって前記チルトフレームに軸着されたロッドと、前記チルトフレームの傾斜角度の変化に伴う前記ロッドの変位量を検出する検出手段とを備えるトレーラ(請求項6)。
本項に記載のトレーラは、検出手段によってチルトフレームの傾斜角度の変化に伴う前記ロッドの変位量を検出することで、シャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を間接的に把握するものである。
【0012】
(7)上記(1)から(5)項において、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記シャシフレーム及び前記チルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段と、各絶対角度検出手段により得られる角度検出値に基づき、前記シャシフレームに対する前記チルトフレームの相対角度を演算する演算手段とを備えるトレーラ(請求項7)。
本項に記載のトレーラは、演算手段によって、シャシフレーム及びチルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段の角度検出値からシャシフレームに対するチルトフレームの相対角度を演算することで、シャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を把握するものである。
なお、絶対角度検出手段の具体例としては、円弧状に配置された抵抗と、該抵抗に接し、抵抗に沿って回転する接触子とを備え、該接触子が錘によって常時鉛直方向位置に維持されて、シャシフレーム及びチルトフレームに固定された前記接触子との接点が変位することにより、可変抵抗器の抵抗値の変化による電圧変化から、シャシフレーム及びチルトフレームの絶対的な傾斜角度を検出するものである。又、演算手段は、パーソナルコンピュータ等の情報処理手段が用いられる。
【0013】
(8)上記(1)から(5)項において、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジにおいて、前記シャシフレームと前記チルトフレームとの相対角度を求める相対角度検出手段を備えるトレーラ(請求項8)。
本項に記載のトレーラは、シャシフレーム及びチルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段の角度検出値からシャシフレームに対するチルトフレームの相対角度を演算することで、シャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を把握するものである。
なお、相対角度検出手段の具体例としては、チルトフレームの動作によるチルトヒンジの回転を計るポテンションメータ又はロータリーエンコーダが用いられ、これらの計測信号から、パーソナルコンピュータ等の情報処理手段によってシャシフレームに対するチルトフレームの傾斜角度を演算し把握するものである。
【0014】
(9)上記(1)から(8)項において、前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態を検知するロックピンセンサを備え、前記警報手段は、前記ロックピンセンサによる前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態の検知を受けて作動するように構成されているトレーラ(請求項9)。
本項に記載のトレーラは、ロックピンセンサによる伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態の検知を受けて、警報手段が作動することで、作業者による伸縮ボルスタの固定忘れを確実に防止するものである。
【0015】
(10)上記(1)から(9)項において、前記警報手段は、視覚的警報手段と聴覚的警報手段とを備えるトレーラ。
本項に記載のトレーラは、警報手段の発報条件、すなわち、荷の見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態にある場合や、荷台の各部の固定がされていない状態等、トレーラを動かしてはいけない状態にあることを、作業者に対し、視覚的及び聴覚的に知らせるものである。なお、視覚的警報手段としては、緑色や赤色のランプ、モニター等が用いられ、聴覚的警報手段としては、ブザーや音声による警告装置が用いられる。
(11)上記(10)項において、該聴覚的警報手段は少なくともトラクタの運転台に設けられているトレーラ。
本項に記載のトレーラは、聴覚的警報手段が少なくともトラクタの運転台に設けられていることで、トレーラを動かしてしまうことが好ましくない状態にあることを、運転操作を行う運転台の作業者(ドライバー)の聴覚に訴え、トラクタの始動を直ちに中止させるよう促すものである。
【0016】
(12)上記(10)(11)項において、前記警報手段は、前記トラクタの駐車ブレーキの開放操作を受けて鳴動するように構成されているトレーラ(請求項10)。
本項に記載のトレーラは、警報手段の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作、すなわち、トレーラを動かしてはいけない条件下で、作業者がトレーラを動かすための駐車ブレーキの開放操作をしたときにのみ、聴覚的警報手段が鳴動して、運転台の作業者に音声による警告を行うものである。従って、荷幅に適合した荷台幅への調整作業や、チルトフレームの傾斜角度の調整作業中、聴覚的警報手段が鳴動し続けることによる騒音問題を回避することができる。
【0017】
(13)上記(10)から(12)項において、前記警報手段の発報条件下におけるトレーラの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えるトレーラ(請求項11)。
本項に記載のトレーラは、ブレーキ制御手段によって、警報手段の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とすることで、トレーラを動かしてはいけない条件下ではトレーラの駐車ブレーキの開放を行わず、トレーラの走行を確実に防止するものである。
(14)上記(13)項において、前記ブレーキ制御手段は、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系に設けられた、パーキングコントロールバルブの開閉を無効とする制御バルブであるトレーラ(請求項11)。
本項に記載のトレーラは、警報手段の発報条件下において、制御バルブにより、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系に設けられた、パーキングコントロールバルブからのエア圧の開放を制限することにより、トレーラを動かしてはいけない条件下ではトレーラの駐車ブレーキの開放を行わず、トレーラの走行を確実に防止するものである。
【0018】
(15)前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、トラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えるトレーラ(請求項13)。
本項に記載のトレーラは、伸縮ボルスタの突出量の検出手段によって伸縮ボルスタの突出量を検出し、チルトフレームの傾斜角度の検出手段によってチルトフレームの傾斜角度を検出し、伸縮ボルスタの突出量とチルトフレームの傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、ブレーキ制御手段によりトラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とすることで、チルトフレームの傾斜角度の設定ミスによる、見かけ上の荷幅が規制幅を超えた状態でトレーラを走行させてしまうことを、確実に防止するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように構成したので、大型鋼板等の荷幅が道路交通法等の規制幅を超える荷を搬送するチルトフレームを備えたトレーラにおいて、その使い勝手をより向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、図1〜図3、図8に示されるように、前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジ12によりシャシフレーム14に軸支されたチルトフレーム16と、チルトフレーム16の傾斜角度を変更させる駆動手段である油圧式のチルトシリンダ18と、チルトフレーム16の傾斜角度の検出手段20と、チルトフレーム16の傾斜角度が所定の角度にあるとき、チルトフレーム16の傾斜角度を固定する固定手段22とを備えている。
図示の例では、チルトヒンジ12は、チルトフレーム16の車幅方向左端部の近傍に配置されており、チルトフレーム16が水平状態にあるときは、チルトフレーム16は、シャシフレーム14上に載置される。一方、チルトフレーム16が傾斜する際には、チルトヒンジ12を中心にチルトフレーム16が回転し、チルトフレーム16の幅方向右端部が上方へと持ち上がる。なお、図2において、チルトフレーム16は、傾斜角度θ=0°を、チルトフレーム16’は傾斜角度θ=34°位置を、チルトフレーム16”は傾斜角度θ=39.5°位置を、チルトフレーム16’”は傾斜角度θ=45.5°位置を、夫々示している。
【0021】
又、チルトフレーム16の幅方向右端部から、車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な、複数の伸縮ボルスタ24が設けられている。チルトフレーム18及び伸縮ボルスタ24は、トレーラ10の荷台を構成するものであり、荷幅が道路交通法等の規制幅を越える大型鋼板を、チルトフレーム16及び伸縮ボルスタ24によって、確実に固定することが可能となっている。なお、伸縮ボルスタ24の伸縮動作は、チルトフレーム16が水平状態にあるときに、手動により行うことが可能である。
【0022】
本発明の実施の形態では、チルトシリンダ18、検出手段20、固定手段22は、各々、トレーラ10の前方寄り及び後方寄りの2ヶ所に設けられている。
ここで、チルトシリンダ18は、図8に示されるように、シリンダスリーブ側端部18aが、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受によってシャシフレーム14に軸着され、シリンダロッド側端部18bが、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受によってチルトフレーム16に軸着されている。
【0023】
固定手段22は、図4、図5に示されるようなメカニカルロック機構を構成している。まず、固定手段22は、ロックバー26とロックバー26を長手方向に摺動自在に軸支するスリーブ28とを備えている。そして、ロックバー26の上端部は、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受30によって、チルトフレーム16に軸着され、スリーブ28は、チルトヒンジ12と平行かつロックバー26の摺動軸と回動軸が直交する軸受32、34に両側を挟まれるようにして、シャシフレーム14に軸着されている。図示の例では、ロックバー26は四角断面を有する筒状部材により構成されており、スリーブ28は、ロックバー26の外周面を摺動自在に案内する四角筒により構成されている。なお、本説明において、ロックバー26の「摺動軸」とは、スリーブ28に摺動案内されるロックバー26の摺動方向、すなわち、ロックバー26の長手方向の中心軸C26を意味している。
【0024】
又、ロックバー26には、チルトフレーム16の傾斜角度θ(図3、図9参照)が所定角度にあるとき、スリーブ28の回動軸C28に中心が一致する貫通孔26a、26b、26c、26dが形成され、スリーブ28の軸受32、34の中心にはロックバーの貫通穴26a〜26dと一致する貫通孔32a、34aが形成されている。そして、これらの貫通孔に挿通されるピン36と、ピン36の駆動手段であるエアシリンダ38とを備えている。ピン36の先端部は、図5に仮想線で示されるように、シリンダロッド38が最も縮んだ状態においても、常時一方の軸受32の貫通孔32aに係合している。又、ピン36は、エアシリンダ38により押出されることで、図5に実線で示されるように、軸受32の貫通孔32aと共にロックバー26の貫通穴26a(26b、26c、26d)及び他方の軸受34の貫通孔34aとも係合する。又、ピン36と、エアシリンダ38のシリンダロッド38aとの間には、ボールジョイント39が配置されることで、軸受32の貫通孔32aと、エアシリンダ38のシリンダロッド38aとの芯ずれを吸収している。
なお、チルトフレーム16の傾斜角度θを変更させるチルトシリンダ18及びピン36を駆動するエアシリンダ38の制御手段として、コントロールボックス40(図1)が設けられている。
【0025】
チルトフレーム16の傾斜角度θの検出手段20は、図6に示されるように、複数のセンサ42(42A、42B、42C、42D)が配置されたセンサボックス44と、センサボックス44に摺動自在に支持されたロッド48とを備えている。そして、ロッド48には、センサ42のドグ46が固定されている。センサボックス44の内部には、補強板44aによって位置決めされたガイドスリーブ44bが設けられており、ガイドスリーブ44bにロッド48が摺動案内されている。又、ロッド48の先端部には、センサボックス44の内壁面に摺接するガイドプレート48aが設けられている。なお、ガイドプレート48aは、複数のセンサ42を避けるための切欠きが設けられている。そして、センサボックス42は、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受50によってシャシフレーム14に軸着され(図3参照)、ロッド48は、チルトヒンジ12と平行な回転軸を有する軸受52によってチルトフレーム16に軸着されている(図3参照)。そして、チルトフレーム16の傾斜角度の変化に伴うロッド48の変位を、ロッド48に固定されたドグ46を各センサ42によって検出することで、ロッド48の変位量を求める。上記の構造上、ロッド48の変位量とチルトフレーム16の傾斜角度の変化量とは一対一の関係にあるので、チルトフレーム16の傾斜角度を間接的に把握するものである。
【0026】
なお、複数のセンサ42(42A、42B、42C、42D)は、各々、センサボックス44内で、ロッド48の摺動方向に沿って設けられており、ロックバー26の貫通孔26a〜26dの各々と、スリーブ28の軸受32、34の貫通孔32a、34aとが一致するとき、ドグ46と一致する位置に配置されている。又、複数のセンサ42は、図7に概略的に示されるように、各々一対の突起42eを備え、この突起42e間に照射される光線(赤外線光等)がドグ46によって遮断されることで、検知信号を発信するものである。なお、センサ42の検知範囲は、ある程度の幅を有しており、ピン36と、ロックバー26の26a〜26dとに設定される寸法公差を吸収して、ピン38が各貫通孔26a〜26dに係合可能な位置にある限り、センサ42も、チルトフレーム16の傾斜角度θが所定角度にあることを検知するものである。
【0027】
なお、チルトフレーム16の傾斜角度θの検出手段20としては、図14から図16に示されるように、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の各々に角度検出器108(絶対角度検出手段)を設け、角度検出器108により得られる角度検出値に基づき、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の相対角度を、パーソナルコンピュータ等の演算手段(例えば、後述のコントロールボックス40内に設置する。)を用いて求めることも可能である。角度検出器108の具体例としては、図16に示されるように、円弧状に配置された抵抗110と接触子112とからなり、接触子112が錘114と共に抵抗110の中心位置に軸着され、抵抗110に沿って回転するようになっている。そして、抵抗110、接触子112、錘114は、制動用の油が満たされたケース116(図14)内に格納された構造を有している。図16において、符号118、120は電源端子、符号122は出力端子である。接触子112は、錘114によって常時鉛直方向に維持されることにより、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の絶対角度の変化と共に、抵抗110との接点が変位し、抵抗値の変化による電圧変化から、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の絶対的な傾斜角度を検出するものである。
そして、図15のように、トレーラ10自体が角度αの傾斜地に停車している場合には、シャシフレーム14に設けられた角度検出器108Aの検出角度はαであり、チルトフレーム16に設けられた角度検出器108Bの検出角度α+θであり、この値から角度検出器108Aの検出角度αを差し引くことで、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の相対角度θを把握することができる。
【0028】
又、チルトフレーム16の傾斜角度θの検出手段20の別例として、図8のE−E線における断面図である図17に示されるように、チルトヒンジ12に、シャシフレーム14とチルトフレーム16との相対角度を検出する相対角度検出器124を設けることとしても良い。この場合の具体例としては、チルトフレームの動作によるチルトヒンジの回転角度を計るポテンションメータ又はロータリーエンコーダが用いられ、これらの計測信号から、パーソナルコンピュータ等の情報処理手段によって、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の傾斜角度を演算し、把握するものである。図17の例におけるロータリーエンコーダ124は、取付カバー124aによってチルトフレーム16に固定され、チルトヒンジ12の回転動作が、リンク125を介して伝達されるようになっている。
【0029】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、図9、図10に示されるように、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60を備えている。ここで、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60は、トレーラ10の前後方向中央部に位置する一つの伸縮ボルスタ24Dに設けられた、複数の被検出部62と、チルトフレーム12の、伸縮ボルスタ24Dをガイドするガイド部64に設けられた、複数の検出部66とを備えるものである。
【0030】
本発明の実施の形態では、一例として、被検出部62にマグネットが用いられ、伸縮ボルスタ24Dの側面に対し、スペーサ68を介してねじ70により固定されている。又、検出部66には磁気センサが用いられており、矩形断面を有する管状のガイド部64に対し、タップシート72を介して固定されている。タップシート72は、雌ねじを切った板材であり、スペーサ68の側面に溶接されている。そして、雌ねじに検出部66の先端に形成された雄ねじをねじ込み、タップシート72に対する検出部66のねじ込み量を調整することで、検出部66の位置調整を簡単に行うことができる。
又、複数の被検出部62(621、622、623、624)は、伸縮ボルスタ24Dの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置され、検出部66(661、662、663、664)は、伸縮ボルスタ24Dのガイド部64の両側面に、伸縮ボルスタ24Dの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、分散配置されている。
【0031】
具体的には、被検出部621は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM1の位置に設けられ、検出部661は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS1の位置に設けられている。そして、LM1=LS1に設定されていることから、被検出部621と検出部661とは、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに一致する。よって、被検出部621及び検出部661は、伸縮ボルスタ24Dの未格納状態を検知するための、格納センサとして機能するものである。
又、被検出部622は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM2(>LM1)の位置に設けられ、検出部662は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS1の位置に設けられている。そして、被検出部621と検出部661とが一致するときの、伸縮ボルスタ24Dの突出量は、図2に示されるチルトフレーム16’のように、傾斜角度θ=34°位置まで傾斜させることで、見かけ上の荷台幅(荷台に積み込まれる荷の荷幅)が規制幅の範囲内に収まる突出量である。
【0032】
又、被検出部623は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM3(>LM2)の位置に設けられ、検出部663は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS2(>LS1)の位置に設けられている。そして、被検出部623と検出部663とが一致するときの、伸縮ボルスタ24Dの突出量は、図2に示されるチルトフレーム16”のように、傾斜角度θ=39.5°の位置まで傾斜させることで、見かけ上の荷台幅(荷台に積み込まれる荷の荷幅)が規制幅の範囲内に収まる突出量である。
更に、被検出部624は、伸縮ボルスタ24Dの頭部24aの基端部から、距離LM4(>LM3)の位置に設けられ、検出部664は、伸縮ボルスタ24Dが格納位置にあるときに頭部24aが当接するガイド部64の先端から、距離LS1の位置に設けられている。そして、被検出部624と検出部664とが一致するときの、伸縮ボルスタ24Dの突出量は、図2に示されるチルトフレーム16’”のように、傾斜角度θ=45.5°の位置まで傾斜させることで、見かけ上の荷台幅(荷台に積み込まれる荷の荷幅)が規制幅の範囲内に収まる突出量である。
【0033】
なお、本発明の実施の形態では、被検出部621、622及び検出部661、662は、いずれも、伸縮ボルスタ24D及びガイド部54の同一側面、かつ、高さ方向にHの間隔を空けて、設けられている。又、被検出部623、624及び検出部663、664は、いずれも、伸縮ボルスタ24D及びガイド部54の同一側面(被検出部621、622及び検出部661、662とは反対側の側面)、かつ、高さ方向にHの間隔を空けて、設けられている。これらの配置は、適宜変更することが可能である。
【0034】
伸縮ボルスタ24D以外の伸縮ボルスタ24A〜24C、24E〜24H(図1)については、伸縮ボルスタ24Dの未格納状態を検知するための格納センサとして機能する、被検出部621及び検出部661のみ、伸縮ボルスタ24Dと同様の位置に設けられている。そして、他の被検出部622〜624及び検出部662〜664は省略されている。
これは、トレーラ10の運用上、伸縮ボルスタ24Dの突出量を把握することで足りることによるものである。すなわち、荷の長さが短いような場合であっても、積載時の重量バランスを考慮して、荷をトレーラ10の前後方向中央部に積み込む必要がある。よって、荷の長さにかかわらず、トレーラ10の前後方向中央部に位置する伸縮ボルスタ24Dは、必ず使用されることによるものである。なお、必要に応じ、複数の伸縮ボルスタに、全ての検出部621〜624及び被検出部661〜664を設置することも、当然に可能である。
【0035】
又、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60の別例として、図14及び図18に示されるように、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮するコード126(被検出部)と、チルトフレーム16の、伸縮ボルスタのガイド部64に設けられたコードリール128と、(歯車132、134を介して)コードリール128の回転軸128aに駆動される可変抵抗器130を用いることが可能である。そして、伸縮ボルスタ24の適切な部位(図示の例では頭部24a)にコード126の端部を固定し、伸縮ボルスタ24の伸縮量と同量(同じ長さ)のコード126がコードリール128から引き出され、又は巻き取られることで、伸縮ボルスタ24の伸縮量をコード126の伸縮量から正確に把握することができる。可変抵抗器130は、ほぼ図16の角度検出器108から錘114を外した構造となっており、可変抵抗器130の抵抗値の変化による電圧変化から、コードリール128の回転軸128aの回転量を検出し、コード126の伸縮量を把握することにより、伸縮ボルスタ24(24D)の突出量が可能となる。
なお、この場合にも、伸縮ボルスタ24D以外の伸縮ボルスタ24A〜24C、24E〜24H(図1)については、伸縮ボルスタ24Dの未格納状態を検知するための格納センサとして機能する、被検出部621及び検出部661を設けることが望ましい。
【0036】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、各伸縮ボルスタ24(24A〜24H)を所望の伸縮位置に固定する固定手段として、図11に示される伸縮ボルスタ24の固定用ロックピン74を備えている。又、伸縮ボルスタ24には、図9に示されるように、複数の挿通孔76(761、762、763、764)が設けられ、ガイド部64には挿通孔78が設けられている。そして、挿通孔761、762、763、764のいずれかと、挿通孔78とは、伸縮ボルスタ24が格納位置又は各突出量にあるときに、一致する位置に配置されている。よって、一致した挿通孔76、78に対し、手作業にて固定用ロックピン74を抜差しすることにより、伸縮ボルスタ24の位置の伸縮及び固定をすることができる。図11中、符号74aは、固定用ロックピン74の抜差しを容易にするための取っ手であり、符号80は、取っ手74aを引っ掛けることで、挿通孔に差し込まれた固定用ロックピン74の脱落を防止するためのステーである。
又、図11に示されるように、伸縮ボルスタ24の固定用ロックピン74の未装着状態を検知するロックピンセンサ82を備えている。ロックピンセンサ82には近接センサが用いられており、ブラケット64aによってガイド部64の挿通孔78の近傍に固定されている。
【0037】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、図12に示されるように、チルトフレーム16が水平状態にあることを検知する検出手段83として、被検出部84が、ブラケット86を介してチルトフレーム16に固定され、検出部88が、タップシート90を介してシャシフレーム14側(図示の例では、コントロールボックス40)に固定されている。図示の例では、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60(図9)と同様に、被検出部84はマグネットであり、検出部88は磁気センサである。
更に、トレーラ10の側面に取り付けられているコントロールボックス40(図1参照)、及び、トラクタの運転台には、視覚的警報手段としてのランプ92、94(図12参照)と、聴覚的警報手段としてのブザー96(図13参照)とが設けられている。なお、ランプ92、94及びブザー96は、必要に応じ、コントロールボックス40又はトラクタの運転台のいずれか一方、又は、それ以外の場所に設けることも可能である。
【0038】
コントロールボックス40の内部には、チルトシリンダ18のための油圧回路用電磁弁、エアシリンダ38用電磁弁及び複数のセンサ42の検知信号を受信し、必要な表示を行うと共に、作業者の操作を受けてチルトシリンダ18のための油圧回路用電磁弁、エアシリンダ38用電磁弁を制御する制御装置(リレー回路、マイクロコンピュータ等)が設けられている。又、伸縮ボルスタ24Dの突出量及びチルトフレーム16の傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警告を発報する警報手段(リレー回路、マイクロコンピュータ等)が設けられている。
【0039】
図13には、一例として、警報手段98を構成するリレー回路のシーケンス図が示されている。ここで、符号100は、チルトフレーム16の角度設定スイッチを示している。又、符号102、104は、図4、図5に示される、トレーラ10の前方寄り及び後方寄りの2ヶ所に設けられた固定手段22に連動する、メカニカルロック連動スイッチである。更に、符号106は、トラクタの運転台に設けられた駐車ブレーキの開放操作と連動する、駐車ブレーキ開放センサ連動スイッチである。又、各伸縮ボルスタ24A〜24Hに係る、伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサ(被検出部621及び検出部661)に連動するスイッチを符号621S、661Sで、固定用ロックピンの未装着状態を検知するロックピンセンサ82に連動するスイッチを符号82Sで示している。
なお、チルトフレーム16の角度変更操作や、警報手段98を起動するための電力は、トラクタから供給を受けることとしても良く、トレーラにバッテリーを搭載してここから供給を受けることとしても良い。
【0040】
更に、図19に示されるように、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系136に設けられた、パーキングコントロールバルブ138からの、エア圧の開放を制限するソレノイド制御バルブ140を設けることとしても良い。図19のエア配管系136は、コントロールライン142及びサプライライン144から供給を受けるエアが、リレーエマージェンシーバルブ146、プレッシャコントロールバルブ148を経由して、スプリング・ブレーキチャンバ150へと供給され、かつ、エアタンク152からの高圧エアを受けて、スプリング・ブレーキチャンバ150が作動することで、車輪のブレーキを作動させるものである。
そして、警報手段98の発報条件下では、トレーラの駐車ブレーキの開放操作によりパーキングコントロールバルブ138が開き、スプリング・ブレーキチャンバ150へとエアが供給され得る状態(パーキングブレーキ開放状態)となった場合でも、ソレノイド制御バルブ140を開放することで、スプリング・ブレーキチャンバ150へエアが供給され、駐車ブレーキが開放されることはない。
【0041】
上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、伸縮ボルスタ24の突出量の検出手段60である、被検出部62及び検出部64によって、伸縮ボルスタ24Dの突出量を検出する。又、チルトフレームの傾斜角度の検出手段20によってチルトフレーム16の傾斜角度を検出する。そして、伸縮ボルスタ24Dの突出量とチルトフレーム16の傾斜角度の関係から予め把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警報手段98によって警告を発報することで、チルトフレーム16の傾斜角度の設定ミス等による、見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態となる不具合を、確実に防止するものである。
【0042】
又、少なくとも一つの伸縮ボルスタ24Dに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部621〜624を、チルトフレーム16の、伸縮ボルスタ24のガイド部64に設けられた検出部661〜664によって検出することで、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタ24の突出量を把握するものである。
【0043】
しかも、図9に示されるように、伸縮ボルスタ24Dの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部621〜624を、伸縮ボルスタ24Dのガイド部64の両側面に、伸縮ボルスタ24Dの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置された検出部661〜664により検知することで、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタの突出量を正確に把握するものである。各被検知部621〜624及び各検知部661〜664がこのように分散配置されることで、各被検知部621〜624及び各検知部661〜664を物理的に可能な限り離間させ、伸縮ボルスタ24Dの突出量の誤検知を確実に防ぐことができる。
【0044】
なお、伸縮ボルスタの突出量の検出手段60として、チルトフレーム16に設けられた可変抵抗器130によって、少なくとも一つの伸縮ボルスタ24と共にボルスタの伸縮方向へと伸縮するコード126の伸縮量を検出することにより、チルトフレーム16の幅方向一端部からの、伸縮ボルスタ24の突出量を把握することも可能である。
【0045】
又、シャシフレーム14及びチルトフレーム16の各々に設けられた角度検出器108A、108Bと、各角度検出器108A、108Bにより得られる角度検出値に基づき、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の相対角度を演算する演算手段とを備えることしても良く、チルトフレーム16の傾斜角度の検出手段として、チルトヒンジ12において、シャシフレーム14とチルトフレーム16との相対角度を検出する角度検出器124を備えることとし、シャシフレーム14に対するチルトフレーム16の傾斜角度を把握することとしても、同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
又、伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサ(被検出部621及び検出部661)による伸縮ボルスタ24の未格納状態の検知を受けて、警報手段98が作動することで、チルトフレーム16の幅方向一端部から伸縮ボルスタ24が突出し、荷台が規制幅を超える状態にあることを、作業者が確実に把握することができる。
又、ロックピンセンサ82による、伸縮ボルスタの固定用ロックピン74の未装着状態の検知を受けて、警報手段98が作動することで、作業者による伸縮ボルスタ24の固定忘れを、確実に防止することができる。
【0047】
又、本発明の実施の形態に係るトレーラ10は、警報手段の発報条件、すなわち、荷の見かけ上の荷幅が規制幅を超える状態にある場合や、荷台の各部(伸縮ボルスタ24等)の固定がされていない状態等、トレーラ10を動かしてはいけない状態にあることを、作業者に対し、視覚的及び聴覚的に知らせることができる。なお、視覚的警報手段としては、緑色や赤色のランプ92、94のみならず、モニター等を用いることも可能である。又、聴覚的警報手段としては、ブザー96のみならず、音声による警告装置を用いることも可能である。
【0048】
しかも、聴覚的警報手段であるブザー96(図13)が少なくともトラクタの運転台に設けられていることで、トレーラを動かしてしまうことが好ましくない状態にあることを、運転台の作業者(ドライバー)の聴覚に訴え、トラクタの始動を直ちに中止させるよう促すことができる。
加えて、警報手段98には、トラクタの運転台に設けられた駐車ブレーキの開放操作と連動する、駐車ブレーキ開放センサ連動スイッチ106(図13)が設けられていることから、警報手段98の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作、すなわち、トレーラを動かしてはいけない条件下で、作業者がトレーラを動かすための駐車ブレーキの開放操作をしたときにのみ、ブザー96(図13)が鳴動して、運転台の作業者に音声による警告を行うものである。従って、荷幅に適合した荷台幅への調整作業や、チルトフレーム16の傾斜角度の調整作業中、ブザー96が鳴動し続けることによる騒音問題を、回避することができる。
【0049】
又、警報手段であるブザー96の発報条件下におけるトレーラ10の駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段として、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系136に設けられた、パーキングコントロールバルブ138の開閉を無効とする制御バルブ140を設けることにより、トレーラ10を動かしてはいけない条件下ではトレーラの駐車ブレーキの開放を行わず、トレーラの走行を確実に防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るトレーラの特徴部分を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【図2】図1に示されるトレーラの背面図である。
【図3】図1に示されるトレーラのチルトフレームの傾斜角度の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段とを背面視した概略図である。
【図4】図3に示される固定手段の要部拡大図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】図3に示される検出手段の要部拡大断面図である。
【図7】図6に示される検出手段のセンサの構造を示す斜視図である。
【図8】図1に示されるトレーラの、前記チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段を背面視した概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る、伸縮ボルスタの突出量の検出手段を示すものであり、(a)は伸縮ボルスタの平面図、(b)は伸縮ボルスタの側面図である。
【図10】図9に示される伸縮ボルスタの、B−B線における断面図である。
【図11】図9に示される伸縮ボルスタの、固定用ロックピンとロックピンセンサとを示す図であり、(a)は伸縮ボルスタ先端部近傍の側面図、(b)は(a)のC−C線における断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る、チルトフレームが水平状態にあることを検知する検出手段を示すものであり、(a)は設置部分の側面図、(b)は(a)の矢視D図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る、警報手段を構成するリレー回路のシーケンス図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る、伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、チルトフレームの傾斜角度の検出手段の別例を示すものであり、(a)は伸縮ボルスタの平面図、(b)は伸縮ボルスタの側面図である。
【図15】図14に示されたチルトフレームの傾斜角度の検出手段の別例を、図1に示されるトレーラの背面図と共に示したものである。
【図16】図14、図15に示される、チルトフレームの傾斜角度の検出手段の構造を示す模式図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る、チルトフレームの傾斜角度の検出手段の更なる別例を示すものであり、図8のE−E断面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る、伸縮ボルスタの突出量の検出手段の構造を示す模式図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るトラクタの駐車ブレーキのエア配管系を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
10:トレーラ、12:チルトヒンジ、14:シャシフレーム、16:チルトフレーム、18:チルトシリンダ、20:チルトフレームの傾斜角度の検出手段、22:固定手段、 24、24A、24B、24C、24D、24E、24F、24G、24H:伸縮ボルスタ、26:ロックバー、 26a、26b、26c、26d:貫通孔、28:スリーブ、 30、32、34:軸受、 32a、34a:貫通孔、36:ピン、38:エアシリンダ、40:コントロールボックス、 42、42A、42B、42C、42D:センサ、44:センサボックス、46:ドグ、48:ロッド、 50、52:軸受、60:伸縮ボルスタの突出量の検出手段、 62、621、622、623、624、84:被検出部、64:ガイド部、 66、661、662、663、664、88:検出部、68:スペーサ、70:ねじ、 72、90:タップシート、74:固定用ロックピン、 76、78:挿通孔、80:ステー、82:ロックピンセンサ、83:チルトフレームが水平状態にあることを検知する検出手段、 92、94:ランプ、96:ブザー、98:警報手段、100:チルトフレームの角度設定スイッチ、 102、104:メカニカルロック連動スイッチ、106:駐車ブレーキ開放センサ連動スイッチ、108:角度検出器、124:角度検出器、126:コード、130:可変抵抗器、136:エア配管系、138:パーキングコントロールバルブ、140:ソレノイド制御バルブ、150:スプリング・ブレーキチャンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、
規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警告を発報する警報手段を備えることを特徴とするトレーラ。
【請求項2】
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部と、前記チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられた検出部とを備えることを特徴とする請求項1記載のトレーラ。
【請求項3】
前記複数の被検出部は、前記伸縮ボルスタの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置され、前記検出部は、前記伸縮ボルスタのガイド部の両側面に、前記伸縮ボルスタの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置されていることを特徴とする請求項2記載のトレーラ。
【請求項4】
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮する被検出部と、前記チルトフレームに設けられた、前記被検出部の伸縮量を検出する検出部とを備えることを特徴とする請求項1記載のトレーラ。
【請求項5】
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段には、前記伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサが含まれ、前記警報手段は、前記格納センサによる前記伸縮ボルスタの未格納状態の検知を受けて作動するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項6】
前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジと平行な回転軸を有する軸受によって前記チルトフレームに軸着されたロッドと、前記チルトフレームの傾斜角度の変化に伴う前記ロッドの変位量を検出する検出手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項7】
前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記シャシフレーム及び前記チルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段と、各絶対角度検出手段により得られる角度検出値に基づき、前記シャシフレームに対する前記チルトフレームの相対角度を演算する演算手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項8】
前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジにおいて、前記シャシフレームと前記チルトフレームとの相対角度を検出する相対角度検出手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項9】
前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態を検知するロックピンセンサを備え、前記警報手段は、前記ロックピンセンサによる前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態の検知を受けて作動するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項10】
前記警報手段は、視覚的警報手段と聴覚的警報手段とを備え、該聴覚的警報手段は少なくともトラクタの運転台に設けられ、かつ、前記警報手段の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作を受けて鳴動するように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項11】
前記警報手段の発報条件下におけるトレーラの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えることを特徴とする請求項10記載のトレーラ。
【請求項12】
前記ブレーキ制御手段は、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系に設けられた、パーキングコントロールバルブの開閉を無効とする制御バルブであることを特徴とする請求項11記載のトレーラ。
【請求項13】
前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、
規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、トラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えることを特徴とするトレーラ。
【請求項1】
前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、
規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、警告を発報する警報手段を備えることを特徴とするトレーラ。
【請求項2】
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタに、その伸縮方向へと所定の間隔を空けて分散配置された複数の被検出部と、前記チルトフレームの、伸縮ボルスタのガイド部に設けられた検出部とを備えることを特徴とする請求項1記載のトレーラ。
【請求項3】
前記複数の被検出部は、前記伸縮ボルスタの両側面に、その伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて分散配置され、前記検出部は、前記伸縮ボルスタのガイド部の両側面に、前記伸縮ボルスタの伸縮方向及び高さ方向に所定の間隔を空けて、複数分散配置されていることを特徴とする請求項2記載のトレーラ。
【請求項4】
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段は、少なくとも一つの伸縮ボルスタと共にボルスタの伸縮方向へと伸縮する被検出部と、前記チルトフレームに設けられた、前記被検出部の伸縮量を検出する検出部とを備えることを特徴とする請求項1記載のトレーラ。
【請求項5】
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段には、前記伸縮ボルスタの未格納状態を検知する格納センサが含まれ、前記警報手段は、前記格納センサによる前記伸縮ボルスタの未格納状態の検知を受けて作動するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項6】
前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジと平行な回転軸を有する軸受によって前記チルトフレームに軸着されたロッドと、前記チルトフレームの傾斜角度の変化に伴う前記ロッドの変位量を検出する検出手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項7】
前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記シャシフレーム及び前記チルトフレームの各々に設けられた絶対角度検出手段と、各絶対角度検出手段により得られる角度検出値に基づき、前記シャシフレームに対する前記チルトフレームの相対角度を演算する演算手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項8】
前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段は、前記チルトヒンジにおいて、前記シャシフレームと前記チルトフレームとの相対角度を検出する相対角度検出手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項9】
前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態を検知するロックピンセンサを備え、前記警報手段は、前記ロックピンセンサによる前記伸縮ボルスタの固定用ロックピンの未装着状態の検知を受けて作動するように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項10】
前記警報手段は、視覚的警報手段と聴覚的警報手段とを備え、該聴覚的警報手段は少なくともトラクタの運転台に設けられ、かつ、前記警報手段の発報条件下におけるトラクタの駐車ブレーキの開放操作を受けて鳴動するように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のトレーラ。
【請求項11】
前記警報手段の発報条件下におけるトレーラの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えることを特徴とする請求項10記載のトレーラ。
【請求項12】
前記ブレーキ制御手段は、トラクタの駐車ブレーキのエア配管系に設けられた、パーキングコントロールバルブの開閉を無効とする制御バルブであることを特徴とする請求項11記載のトレーラ。
【請求項13】
前後方向に回転軸が延びるチルトヒンジによりシャシフレームに軸支されたチルトフレームと、該チルトフレームの傾斜角度を変更させる駆動手段と、前記チルトフレームの傾斜角度が所定の角度にあるとき、前記チルトフレームの傾斜角度を固定する固定手段と、前記チルトフレームの幅方向一端部から車幅方向へと伸縮自在、かつ、格納状態又は所定の突出量にて位置固定可能な複数の伸縮ボルスタとを含む荷台を有し、
規制幅を超える幅広の荷の荷幅に応じて前記伸縮ボルスタを伸張させ、かつ、前記荷台を傾斜させることで、前記荷台に積み込まれる荷の見かけ上の荷幅を規制幅内に収めて搬送することが可能なトレーラであって、
前記伸縮ボルスタの突出量の検出手段と、前記チルトフレームの傾斜角度の検出手段とを備え、かつ、前記伸縮ボルスタの突出量及び前記チルトフレームの傾斜角度の関係から把握される、見かけ上の荷台幅が規制幅を超える状態にあるとき、トラクタの駐車ブレーキの開放操作を無効とする、ブレーキ制御手段を備えることを特徴とするトレーラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−62029(P2009−62029A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36513(P2008−36513)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【特許番号】特許第4143871号(P4143871)
【特許公報発行日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【特許番号】特許第4143871号(P4143871)
【特許公報発行日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】
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