説明

トロンビンレセプターアンタゴニストとしての条件付きヒンバシンアナログ

以下の構造式によって表される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩および溶媒和物が開示され、ここで、R10が結合する環炭素とR34が結合する環炭素との間の一重の点線は、単結合または二重結合のいずれかを表し;Xと、Yが結合する炭素との間の二重の点線は、単結合または結合の不在のいずれかを表し、Xは、二重の点線が単結合を表す場合、−O−または−NR−であり;Xは、二重の点線が結合の不在を表す場合、H、−OHまたはNHR20を表し;そして他のパラメータは、本明細書で定義されるとおりである。また、上記化合物を含む薬学的組成物および上記化合物を含む組み合わせ、ならびにトロンビンレセプターアンタゴニストおよびカンナビノイドレセプターに対する結合剤としてのそれらの使用が開示される。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
種々のヒンバシン誘導体化合物およびこれらの化合物を含む薬学的組成物が、特許文献1、特許文献2および特許文献3、ならびに米国特許出願番号第10/271,715号、同第10/671,216号および同第10/412,982号に開示されている。これらのヒンバシン誘導体は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、脳虚血、卒中、神経変性疾患および癌に関連する疾患の処置におけるトロンビンレセプターアンタゴニストとして有用である。トロンビンレセプターアンタゴニストはまた、プロテアーゼ活性化レセプター−1(PAR−1)アンタゴニストとして公知である。多くのヒンバシン誘導体化合物はまた、カンナビノイドレセプターに結合し、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中(cerebral stroke)、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性障害、ならびに気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息および気管支炎)の処置に有用である。
【0002】
トロンビンは、さまざまな細胞型において種々の活性を有することが公知であり、そしてトロンビンレセプターは、ヒト血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞および線維芽細胞のような細胞型に存在することが公知である。したがって、トロンビンレセプターアンタゴニストが血栓性障害、炎症性障害、アテローム性障害および線維増殖性障害、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病理学的役割を果たす他の障害の処置において有用であることが期待される。
【0003】
トロンビンレセプターアンタゴニストペプチドは、トロンビンレセプターにおけるアミノ酸の置換に関する構造−活性研究に基づいて同定されている。非特許文献1では、テトラペプチドおよびペンタペプチド(例えば、N−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−NH、およびN−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−Arg−NH)が、強力なトロンビンレセプターアンタゴニストであるとして開示されている。ペプチドトロンビンレセプターアンタゴニストはまた、特許文献4(1994年2月17日公開)に開示されている。
【0004】
カンナビノイドレセプターは、Gタンパク質共役レセプターのスーパーファミリーに属する。このカンナビノイドレセプターは、主にニューロン性のCBレセプターおよび主に末梢神経性のCBレセプターに分類される。これらのレセプターは、アデニル酸シクラーゼならびにCa2+およびK電流を調節することによって、その生物学的作用を発揮する。CBレセプターの効果が主に中枢神経系に関連する一方で、CBレセプターは、気管支狭窄、免疫調節および炎症に関連する末梢効果を有すると考えられている。そのようなものとして、選択的CBレセプター結合因子は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性障害、ならびに気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息および気管支炎)に関連する疾患の制御において治療的有用性を有すると期待される(非特許文献2)。
【0005】
以下の式:
【0006】
【化5】

のピペリジンアルカロイドであるヒンバシンは、ムスカリン性レセプターアンタゴニストとして同定されている。(+)−ヒンバシンの全合成は、非特許文献3に開示されている。
【特許文献1】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献2】米国特許第6,645,987号明細書
【特許文献3】米国特許第6,326,380号明細書
【特許文献4】国際公開第94/03479号パンフレット
【非特許文献1】Bernatowiczら、J.Med.Chem.,1996年,39,p.4879−4887
【非特許文献2】R.G.Pertwee,Curr.Med.Chem.1999年,6(8),p.635
【非特許文献3】Chackalamannilら、J.Am.Chem Soc.,1996年,118,p.9812−9813
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
特定の局面において、本発明は、式I:
【0008】
【化6】

によって表されるトロンビンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に受容可能な塩または溶媒和物に関し:
10が結合する環炭素とR34が結合する環炭素との間の一重の点線:
【0009】
【化7】

は、単結合または二重結合のいずれかを表し;
Xと、Yが結合する炭素との間の二重の点線:
【0010】
【化8】

は、単結合または結合の不在のいずれかを表し;
Xは、上記二重の点線が単結合を表す場合、−O−または−NR−であり;
Xは、上記二重の点線が結合の不在を表す場合、H、−OHまたは−NHR20であり;
15は、上記二重の点線が結合の不在を表す場合、H、C〜Cアルキル、−NR1819または−OR17であるか;あるいはR15は、Yが、
【0011】
【化9】

である場合、HまたはC〜Cアルキルであり;R15は、上記二重の点線が単結合を表す場合、存在せず;
Yは、上記二重の点線が単結合を表す場合、(O)、(S)、(H,H)、(H,OH)または(H,C〜Cアルコキシ)であり;Yは、上記二重の点線が結合の不在を表す場合、(O)、(NOR17)、(H,H)、(H,OH)、(H,SH)、(H,C〜Cアルコキシ)または(H,−NHR45)であり;
Zは、−CH−、−O−、−S(O)n4−、−NR30−、−NC(O)R30−、NCO30−、−NC(O)NR3031−、−NSO30−、−NSONHR30−、−C(O)−、−C(=NOR30)−、および−CR3031−からなる群より選択され;
、n、nおよびnは、独立して、0〜2であり;
Rは、H、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、(C〜C)アルキル−アミノ、(C〜C)ジアルキルアミノ、(C〜C)アルコキシ、−COR16、−COOR17、−SOR16、−SO16、−NR16COR16a、−NR16COOR16a、−NR16CONR、フルオロ−(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)−アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)−アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択される1〜3個の置換基であり;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ−(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、アミノ−(C〜C)アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択されるか;あるいはRおよびRは、一緒に=O基を形成し;
は、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−NR1819、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルもしくは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、−O−アリール、N、NO、C(=NR)NR、N=C(R)NR、NR18COR19、NR18CONR1819、NR18C(O)OR19、NR18S(O)19、NR18S(O)NR1819、NHNR1819、NR18NR1819またはNR1819であり;
Hetは、1〜13個の炭素原子と、N、OおよびSからなる群より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む5〜14個の原子の単環式複素芳香族基、二環式複素芳香族基、または三環式複素芳香族基であり、ここで、環窒素は、N−オキシドまたはC〜Cアルキル基とともに四級基を形成し得、ここで、上記Het基は、必要に応じて、1〜4個の部分(W)で置換され、上記Wは、H;C〜Cアルキル;フルオロ(C〜C)アルキル;ジフルオロ(C〜C)アルキル;トリフルオロ−(C〜C)−アルキル;C〜Cシクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、OH−(C〜C)アルキルもしくは=Oで置換されたヘテロシクロアルキル;C〜Cアルケニル;R21−アリール(C〜C)アルキル;R21−アリール−(C〜C)−アルケニル;R21−アリールオキシ;R21−アリール−NH−;ヘテロアリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール(C〜C)−アルケニル;ヘテロアリールオキシ;ヘテロアリール−NH−;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;ジヒドロキシ(C〜C)アルキル;アミノ(C〜C)アルキル;(C〜C)アルキルアミノ−(C〜C)アルキル;ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル;チオ(C〜C)アルキル;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;ハロゲン;−NR;−CN;−OH;−COOR17;−COR16;−OSOCF;−CHCHOCF;(C〜C)アルキルチオ;−C(O)NR;−OCHR−フェニル;フェノキシ−(C〜C)アルキル;−NHCOR16;−NHSO16;ビフェニル;−OC(RCOOR;−OC(RC(O)NR;(C〜C)アルコキシ;−C(=NOR17)R18;(C〜C)アルキル、アミノ、−OH、COOR17、−NHCOOR17、−CONR、アリール、アリールであってハロゲン、−CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよび−COOR17からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基によって置換されたアリール、隣接する炭素がメチレンジオキシ基と環を形成するアリール、−C(O)NR、またはヘテロアアリールで置換されたC〜Cアルコキシ;R21−アリール;隣接する炭素がメチレンジオキシ基と環を形成するアリール;R41−ヘテロアリール;ならびに隣接する炭素原子がC〜Cアルキレン基またはメチレンジオキシ基と環を形成するヘテロアリールからなる群より独立して選択され;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群より選択される独立して選択されるか、あるいはRおよびRはともに、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−でありかつそれらに結合する窒素とヘテロシクリル環を形成し;
は、H、C〜Cアルキル、フェニル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルおよびアミノ(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択され;
は、Hまたは(C〜C)アルキルであり;
、R10およびR11は、Rおよび−ORからなる群より独立して選択されるが、但し、上記一重の点線が二重結合である場合、R10は存在せず;
は、H、OH、C〜Cアルコキシ、ハロゲンまたはハロ(C〜C)アルキルであり;
16およびR16aは、C〜C低級アルキル、フェニルまたはベンジルからなる群より独立して選択され;
17、R18およびR19は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルからなる群より独立して選択され;
20は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、−C(O)Rまたは−SOであり;
21は、H、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ(C〜C)アルキル、ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、−COOR17、−COR17、−NHCOR16、−NHSO16、−NHSOCHCF、ヘテロアリール、−C(=NOR17)R18、NR2526アルキル−、ヒドロキシ−アルキル−、−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R13、−S(O)13および−SR13からなる群より独立して選択される1〜3個の部分であり;
22は、H、R24−(C〜C10)アルキル、R24−(C〜C10)アルケニル、R24−(C〜C10)アルキニル、R27−ヘテロ−シクロアルキル、R25−アリール、R25−アリール(C〜C)アルキル、R29−(C〜C)シクロアルキル、R29−(C〜C)シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)アルコキシ、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロ−アルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群より選択されるか;
あるいはR22およびR10は、それらに結合する炭素と一緒に、独立して3〜10個の原子のR42で置換された炭素環式環、または4〜10個の原子のR42で置換された炭素環式環を形成し、ここで、1〜3個の環メンバーは、−O−、−NH−および−SOn2−からなる群より独立して選択されるが、但し、R22およびR10が環を形成する場合、上記一重の点線は、結合の不在を表し;
24は、H、ハロゲン、−OH、(C〜C)アルコキシ、R35−アリール、(C〜C10)−アルキル−C(O)−、(C〜C10)アルケニル−C(O)−、(C〜C10)アルキニル−C(O)、ヘテロシクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルケニル、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)−シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
25は、H、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−COOR36、−CN、−C(O)NR3738、−NR39C(O)R40、−OR36、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、およびR41−ヘテロアリールからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であるか;あるいは隣接する環炭素上の2つのR25基は、融合メチレンジオキシ基を形成し;
26は、H、ハロゲンおよび(C〜C)アルコキシからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
27は、H、R28−(C〜C10)アルキル、R28−(C〜C10)アルケニル、およびR28−(C〜C10)アルキニルからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
28は、H、−OHまたは(C〜C)アルコキシであり;
29は、H、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
30、R31およびR32は、H、(C〜C10)−アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C10)−アルキル、R25−アリール(C〜C)−アルキル、R33−(C〜C)シクロアルキル、R34−(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、R25−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル(C〜C)アルキルおよびヘテロアリール(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択され;
33は、H、(C〜C)アルキル、OH−(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシであり;
34は、上記一重の点線が単結合である場合、(H,R)、(H,R43)、(O)または(NOR17)であり;R34は、上記一重の点線が二重結合である場合、R44であり;
35は、H、(C〜C)アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、(C〜C)アルコキシ、トリハロ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHO、−C(O)(C〜C)−アルキルアミノ、−C(O)ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)(C〜C)アルキルおよび−N((C〜C)アルキル)C(O)(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択される1〜4個の部分であり;
36は、H、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、ジハロ(C〜C)アルキルまたはトリフルオロ(C〜C)アルキルであり;
37およびR38は、H、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)シクロアルキルからなる群より独立して選択されるか;あるいはR37およびR38はともに、−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−でありかつそれらに結合する窒素と環を形成し;
39およびR40は、H、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)−シクロアルキルからなる群より独立して選択されるか;
あるいは基−NR39C(O)R40におけるR39およびR40は、それらに結合する炭素および窒素と一緒に、5〜8個の環メンバーを有する環状ラクタムを形成し;
41は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHOおよびフェニルからなる群より独立して選択される1〜4個の部分であり;
42は、水素、−OH、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシからなる群より独立して選択される1〜3個の部分であり;
43は、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30または−NHCOOR17であり;
44は、H、C〜Cアルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルであり;そして
45は、H、C〜Cアルキル、−COOR16または−SOである。
【0012】
特定の実施形態において、Hetはピリジルであり、そしてWはフェニルである。
【0013】
さらなる実施形態において、Wはフルオロまたは−CNで置換されている。
【0014】
なおさらなる実施形態において、Zは−CH−であり、nは1であり、nは0であり、そしてnは1である。
【0015】
なおさらなる実施形態において、Zは−O−であり、nは1であり、nは0であり、そしてnは1である。
【0016】
なおさらなる実施形態において、Zは−O−であり、nは2であり、nは0であり、そしてnは1である。
【0017】
なおさらなる実施形態において、Rはメチルであり、そしてR、R、R、R10、R11はすべてHである。
【0018】
なおさらなる実施形態において、RはHである。
【0019】
なおさらなる実施形態において、Rは−OHである。
【0020】
なおさらなる実施形態において、R22はメチルである。
【0021】
なおさらなる実施形態において、XおよびYは両方ともOである。
【0022】
なおさらなる実施形態において、上記一重の点線および上記二重の点線は両方とも単結合である。
【0023】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療有効量の少なくとも1種の式1の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。
【0024】
なおさらなる実施形態において、本発明は、トロンビンレセプターを阻害する方法に関し、この方法は、トロンビンレセプターを阻害する処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の少なくとも1種の式1の化合物を投与する工程を包含する。
【0025】
なおさらなる実施形態において、本発明は、カンナビノイドレセプターを阻害する方法に関し、この方法は、カンナビノイドレセプターを阻害する処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の少なくとも1種の式1の化合物を投与する工程を包含する。
【0026】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、この方法は、治療的状態の処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の少なくとも1種の式1の化合物を投与する工程を包含し、この治療的状態は、心血管疾患もしくは心血管の状態または循環疾患もしくは循環の状態、炎症性疾患もしくは炎症性状態、気道疾患もしくは気道の状態、癌、急性腎不全、糸球体腎炎、アストログリオーシス(astrogliosis)、肝臓、腎臓、肺もしくは腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病ニューロパシー、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性、乾癬、放射線線維症、内皮機能不全、創傷または脊髄損傷、あるいはこれらの症状または結果である。
【0027】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、ここで、上記心血管疾患もしくは心血管の状態または循環疾患もしくは循環の状態は、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、急性冠動脈症候群(acute coronary syndrome)、狭心症、不整脈、心疾患、心不全、心筋梗塞、血栓性卒中もしくは血栓崩壊性卒中、末梢血管疾患、深部静脈血栓、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連する心血管疾患、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管ホメオスタシスまたは勃起不全である。
【0028】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、ここで、上記炎症性疾患もしくは炎症性状態は、過敏性大腸症候群、クローン病、腎炎、あるいは放射線もしくは化学療法によって誘導される胃腸管、肺、膀胱、胃腸管または他の器官の増殖性障害もしくは炎症性障害である。
【0029】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、ここで、上記気道疾患もしくは気道の状態は、可逆性気道閉塞、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である。
【0030】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、ここで、上記癌は、腎細胞癌、または血管新生関連障害である。
【0031】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、ここで、上記神経変性疾患は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病またはウィルソン病である。
【0032】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、この方法は、炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、ニューロパシーおよび/または悪性腫瘍、血管新生関連障害、癌、肝臓、腎臓または肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管ホメオスタシス、糸球体腎炎、慢性気道疾患、膀胱炎症、神経変性疾患、神経変性状態もしくは神経変性損傷(neurodegenerative injury)および/または神経毒性疾患、神経毒性状態もしくは神経毒性損傷、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、あるいは創傷の処置に有用な少なくとも1種の治療的に有効な薬剤を投与する工程をさらに包含する。
【0033】
なおさらなる実施形態において、本発明は、治療的状態を処置する方法に関し、この方法は、少なくとも2種の治療的に有効な薬剤を投与する工程をさらに包含する。
【0034】
(詳細な説明)
本発明は、トロンビンレセプターアンタゴニストとしての、式Iによって表される化合物の発見に関する。これらの化合物およびこれらの化合物を含む任意の処方物は、種々の疾患および状態(血栓症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、心不全、再狭窄、狭心症、高血圧、脳虚血、癌、脳卒中、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、腎虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性疾患、ならびに気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息および気管支炎)が挙げられるが、これらに限定されない)の処置に有用であり得る。
【0035】
式Iにおいて、RおよびRが結合してそれらが結合する窒素とともに環を形成する場合、その形成される環は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニルおよび1−ピペラジニルであり、ここで、そのピペラジニル環はまた、必要に応じて、基Rによって4位の窒素で置換され得る。
【0036】
以下の部分:
【0037】
【化10】

における一重の点線の環結合が単結合を表す場合、R34は、(O)または(N)(O)(R17)であるか、あるいは(H)(R)または(H)(R43)である。同様に、以下の部分:
【0038】
【化11】

における一重の点線の環結合が二重結合を表す場合、R34はR44である。
【0039】
上で、および本開示の全体にわたって使用されるように、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解される:
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を包含する。
【0040】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳類の動物を意味する。
【0041】
「アルキル」とは、直線状または分枝状であり得、かつその鎖に約1〜約12個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、その鎖に約1〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、その鎖に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基またはプロピル基)が直線状のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、直線状または分枝状であり得るその鎖に、約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。用語「置換(された)アルキル」とは、そのアルキル基が同じもしくは異なり得る1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0042】
「アラルキルオキシ」とは、アラルキル−O−基を意味し、アラルキル基は、以前に記載されたとおりである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0043】
フルオロアルキル、ジフルオロアルキルおよびトリフルオロアルキルとは、末端炭素が1、2もしくは3個のフッ素原子(例えば、−CF、−CHCF、−CHCHCFまたは−CHCHF)によって置換されているアルキル鎖を意味する。ハロアルキルとは、1〜3個のハロ原子によって置換されたアルキル鎖を意味する。
【0044】
「アルケニル」とは、共役もしくは非共役の、その鎖に1つ以上の二重結合を有する炭素原子の、炭素直鎖または炭素分枝鎖を意味する。「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直線状または分枝状であり得、かつその鎖に約2〜約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、その鎖に約2〜約12個の炭素原子を有し:より好ましくは、その鎖に約2〜約4個の炭素原子を含む。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直線状のアルキニル鎖に結合されているものを意味する。「低級アルキニル」とは、直線状または分枝状であり得るその鎖に約2〜約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換(された)アルキニル」とは、同じかもしくは異なり得る1つ以上の置換基によって置換され得るアルキニル基を意味し、各置換基は、独立して、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0045】
アルキル鎖、アルケニル鎖およびアルキニニル鎖における置換は、その鎖の長さ、ならびにその置換基のサイズおよび性質に依存する。当業者は、より長い鎖が複数の置換に適応し得る一方で、より短いアルキル鎖(例えば、メチルまたはエチル)がハロゲンによる複数の置換を有し得るが、その他の場合には、H以外の1もしくは2つの置換のみを有するようであることを理解する。より短い不飽和鎖(例えば、エテニルまたはエチニル)は、一般的に、不飽和であるか、または利用可能な炭素結合の数に依存して置換が1もしくは2個の基に限定される。
【0046】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む非芳香族の単環式環系もしくは多環式環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、必要に応じて、同じかもしくは異なり得る1つ以上の「環系置換基」で置換され得、この「環系置換基」は本明細書で定義されるとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなど、ならびに部分的に飽和した種(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)が挙げられる。
【0047】
「シクロアルキレン」とは、対応する二価の環を指し、他の基との結合点としてはすべての位置異性体および立体異性体が挙げられる。「シクロアルケニル」とは、3〜7個の原子の、1つ以上の不飽和結合を有するが、芳香族の性質を有さない炭素環を指す。
【0048】
「環系置換基」とは、例えば、芳香族環系もしくは非芳香族環系で利用可能なHを置き換える、その芳香族環系もしくは非芳香族環系に結合する置換基を意味する。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ(aralkoxy)、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じかまたは異なり得、独立して、H、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群より選択される。「環系置換基」はまた、環系における2つの隣接する炭素原子で2つの利用可能なH(各炭素上の1つのH)を同時に置き換える単一部分も意味する。このような部分の例は、例えば、以下:
【0049】
【化12】

のような部分を形成するメチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などである。
【0050】
「ヘテロシクロアルキル」とは、4〜5個の炭素原子と、炭素原子を通じてその分子の残りのものと結合する−O−、−S−および−NR−からなる群より選択される1もしくは2個のヘテロ原子とからなる、5〜6個の原子の飽和環を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例は、2−ピロリジニル、テトラヒドロチオフェン−2−イル、テトラヒドロ−2−フラニル、4−ピペリジニル、2−ピペラジニル、テトラヒドロ−4−ピラニル、2−モルホリニルおよび2−チオモルホリニルである。
【0051】
「ハロゲン」とは、フッ素ラジカル、塩素ラジカル、臭素ラジカルまたはヨウ素ラジカルを指す。
【0052】
「ジヒドロキシ(C〜C)アルキル」とは、2つの異なる炭素原子で2つのヒドロキシ基によって置換されたアルキル鎖を指す。
【0053】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式環系または多環式環系を意味する。アリール基は、必要に応じて、同じかまたは異なり得る1つ以上の「環系置換基」で置換され得、この「環系置換基」は、本明細書中で定義されとりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチルまたはインダニルが挙げられる。
【0054】
「ヘテロアリール」とは、2〜9個の炭素原子と、N、OおよびSからなる群より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子とからなる5〜10個の原子の単環またはベンゾ融合(benzofused)ヘテロ芳香族基を意味するが、但し、その環は、隣接する酸素原子および/または硫黄原子を含まない。環窒素のN−オキシドもまた包含され、環窒素がC〜Cアルキル基によって置換されて第四級アミンを形成する化合物も包含される。単環のヘテロアリール基の例は、ピリジル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、ピロールイル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニルおよびトリアゾリルである。ベンゾ融合ヘテロアリール基の例は、インドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンゾチエニル(すなわち、チオナフテニル)、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリルおよびベンゾフラザニルである。すべての位置異性体(例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル)が企図される。W−置換ヘテロアリールとは、置換可能な環炭素原子が上に規定されるような置換基を有するか、または隣接する炭素原子がアルキレン基もしくはメチレンジオキシ基と環を形成するか、またはHet環中の窒素がWで規定されたようなR21−アリールもしくは必要に応じて置換されたアルキル置換基で置換され得る基を指す。
【0055】
用語「Het」は、直前に規定されたような単環およびベンゾ融合ヘテロアリール基、ならびに三環式基(例えば、ベンゾキノリニル(例えば、1,4または7,8)およびフェナントロリニル(例えば、1,7;1,10;または4,7))によって例示される。
【0056】
隣接する炭素原子がアルキレン基と環を形成するヘテロアリール基の例は、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキセノピリジンおよび2,3−シクロヘプテノピリジンである。
【0057】
上の記載(例えば、RおよびRが、置換基の群から独立して選択されるといわれている)は、このRおよびRが独立して選択されるということを意味するが、また、RまたはRという変数が分子において1回よりも多く生じる場合、これらの存在が独立して選択されるということも意味する。当業者は、置換基のサイズおよび性質が存在し得る置換基の数に影響を及ぼすことを理解する。
【0058】
用語「置換(された)」とは、既存の状況下での示された原子の通常の原子価は超えず、かつその置換の結果安定な化合物が生じるという条件で、その示された原子上の1つ以上のHが示された群から選択されたもので置き換えられることを意味する。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合に限り、許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」によって、反応混合物から有用な程度の純度への単離、および有効な治療剤への処方を切り抜けるために十分に頑強(robust)である化合物が意味される。
【0059】
用語「必要に応じて置換された」とは、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。必要に応じて置換された原子は、示されるように不飽和または飽和のいずれかであり得る。
【0060】
本発明の化合物は、少なくとも1つの不斉炭素原子を有し、それゆえ、すべての異性体(ジアステレオマーおよび回転異性体が挙げられる)は、本発明の一部であると企図される。本発明は、純粋形態および混合物(ラセミ混合物を含む)の両方における(+)−異性体および(−)−異性体を包含する。異性体は、光学的に純粋かもしくは光学的に富化された出発物質を反応させるか、または式Iの化合物の異性体を分離することのいずれかによって、従来の技術を用いて調製され得る。
【0061】
本明細書の本文、スキームおよび実施例において満たされていない原子価を有する任意の炭素ならびにヘテロ原子は、その原子価を満たすのに十分な数のH原子を有するとされることにも注意されるべきである。
【0062】
化合物中の官能基が「保護(された)」と称される場合、これは、その化合物がある反応に供される場合に、保護された部位での望ましくない副反応を妨げるためにその基が改変された形態であることを意味する。適切な保護基は、当業者によって理解され、同様に例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New Yorkのような標準的なテキストを参照することによって理解される。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定の成分が特定の量で含まれる生成物、ならびに特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0064】
本発明の化合物の溶媒和物もまた、本明細書で企図される。「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を伴う。特定の事例において、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0065】
「有効量」または「治療有効量」は、トロンビンレセプターを阻害するのに有効であり、それゆえ望ましい治療効果、改善効果、阻害効果または予防効果を提供する、本発明の化合物または組成物の一定量を示すことが意味される。
【0066】
当業者は、式Iのいくつかの化合物について、1つの異性体が他の異性体よりもより大きい薬理学的活性を示すことを理解する。
【0067】
式Iの化合物は、塩を形成し得、この塩もまた、本発明の範囲内である。本明細書での式Iの化合物への参照は、他に示されない限り、その塩への参照を含むことが理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用される場合、無機酸および/もしくは有機酸と形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/もしくは有機塩基と形成される塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これに限定されない)の両方を含む場合、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、そしてこの両性イオンは本明細書中で使用される場合の用語「塩」に包含される。薬学的に受容可能(すなわち、非毒性、薬理学的に受容可能)な塩が好ましいが、他の塩も有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を一定量の酸または塩基(例えば、1当量)と、媒体(例えば、塩が沈殿する媒体)または水性媒体中で反応させ、その後凍結乾燥させることによって形成され得る。
【0068】
例示的な酸付加塩としては、アセテート、アスコルベート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ボレート、ブチレート、シトレート、カンファレート(camphorate)、カンファースルホネート、フマレート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨーダイド、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、ナフタレンスルホネート、ニトレート、オキサレート、ホスフェート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)などが挙げられる。さらに、塩基性の薬学的化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適切であると一般に考えられている酸は、例えば、P.Stahlら、Camille G.(編)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley−VCH;S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C. ウェブサイトで)で論じられている。これらの開示は、参考として本明細書に援用される。
【0069】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、ならびにアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性の窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルスルフェート(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジブチル)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、およびヨウ化ステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような因子で四級化され得る。
【0070】
このようなすべての酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であることが意図され、すべての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために対応する化合物の遊離形態と等価であると見なされる。
【0071】
式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性型で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。このようなすべての互変異性型は、本明細書中で、本発明の一部として企図される。
【0072】
本発明の化合物のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(本発明の化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにそのプロドラッグの塩および溶媒和物の立体異性体を含む)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得る立体異性体(鏡像異性型(不斉炭素の非存在下でも存在し得る)、回転異性型、アトロプ異性体、およびジアステレオ型が挙げられる))は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)がそうであるように、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくても、例えば、ラセミ化合物として混合されていても、すべての他のもしくは他の選択された立体異性体と混合されていてもよい。本発明の化合物のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるように、S立体配置またはR立体配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異異性体、位置異性体、ラセミ混合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに等しく適用されることが意図される。
【0073】
本発明が式Iの化合物、ならびに少なくとも1種の式Iの化合物と少なくとも1種の式Iの化合物の塩または溶媒和物との組み合わせを含む実施形態を包含することが理解されるべきである。
【0074】
他に示されない限り、すべての(例えば、時間、温度、質量および容積の)定量的測度は、合理的な範囲のバリエーションを包含し、それらの名目上の規定された値に限定されないことがさらに理解されるべきである。
【0075】
式Iの代表的な化合物の合成が以下に示される。
【0076】
スキーム1において、ヘテロヒンバシンアナログ1をBBrで開裂し、その後、得られたアルコールを保護してアセテート2を得た。このアナログの分子内フリーラジカル環化によって化合物3を得、この化合物3をメタノール性KCOで処理してアルコール4を得た。このアルコールから酸素を除去し、そして7a−ヒドロキシ基を導入して5を得た。このアルコール4を、オキシムエーテル6にも変換した。
【0077】
【化13】


【0078】
ヘテロ原子が置換されたアナログの合成は、スキーム2〜4に表される。スキーム2において、キラルプロパルギルアルコール7を、tert−ブチルエステル8に変換した。エナール11は容易に調製され、標準的なHorner−Wardsworth−Emmons反応、その後の鹸化によって、ジエン酸12に変換され得る。この酸が、アルコール8と結合されて、エステル13が得られ得る。選択的アルキン還元、その後の熱環化によって、中間体15が得られ、この中間体15をアセテート16に変換した。そのtert−ブチル基を切断し、この酸をその酸クロリドに変換し、そしてBuSnHおよびパラジウム触媒で還元して、アルデヒド17aおよび17bを得た。
【0079】
【化14】


【0080】
スキーム3において、アルデヒド17aをホスホネート18と結合させて、中間体19を得た。この化合物がメタノール性KCOと還流されたときに、環状エーテル20が得られ、この環状エーテル20が7a位にヒドロキシル基が導入されて、中間体21が得られた。この中間体をボロン酸と結合させて、アナログ22a〜22dを得た。
【0081】
【化15】


【0082】
スキーム4において、アルデヒド17bを、同様にホスホネート23と結合させて、アセテート24とアルコール25との混合物を得た。このアルコール25が四臭化炭素およびトリフェニルホスフィンで処理されたときに、臭化物26と環状エーテル27との混合物が得られた。この臭化物26をフリーラジカル条件に供されて、28が得られ得る。
【0083】
【化16】

上に表されたスキームの経路は、以下の工程でより詳細に提供される。
【0084】
工程1:
【0085】
【化17】

6mlのトルエン中の2(110mg、0.207mmol)(2の調製については米国特許第6,645,987号を参照のこと)の溶液に、AlBN(7mg、0.04mmol、0.2当量)を添加し、その後、BuSnH(170μl、0.631mmol、3当量)を添加し、この混合物を還流して3時間加熱した。この溶液を冷却し、濃縮し、分取TLCによって精製して、69mgの3を得た。
【0086】
2mlのMeOH−HO混合物(8:2 v/v)中の3(50mg、0.111mmol)の溶液に、KCO(77mg、0.557mmol、5当量)を添加し、室温で1時間攪拌した。この混合物をNHCl水溶液で希釈し、CHClで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、分取TLCによって精製して、28mgの4を得た。HRMS:410.2134(MH)。
【0087】
工程2:
【0088】
【化18】

0℃で4mlのピリジン中の4(130mg、0.32mmol)の溶液を、TLCによって示されるように反応が完了するまで、5当量のTsClとともに室温で攪拌した。ピリジンを濃縮し、この残渣にNaHCO水溶液を添加した。この混合物をEtOAcで抽出し、粗生成物をクロマトグラフィーで精製して、135mgのトシレートを得た。
【0089】
4mlのCHCN中の上記トシレート(135mg、0.24mmol)の溶液を、NaI(360mg、2.4mmol、10当量)とともに一晩還流した。この混合物を30mlのEtOAcで希釈し、HOおよびブラインで洗浄した。これをMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して120mgのヨウ化物を得た。
【0090】
5mlのベンゼン中の上記ヨウ化物(120mg、0.23mmol)の溶液を、6当量のBuSnHおよび0.4当量のAlBNとともに3時間還流した。これを冷却し、濃縮し、クロマトグラフィーで精製して、80mgの脱ヨード化された生成物を得た。
【0091】
0℃で3mlのTHF中の上記化合物(80mg、0.203mmol)の溶液に、THF中のLHMDSの1M溶液(305μl、0.305mmol、1.5当量)を添加した。20分の攪拌後、このフラスコを真空にし、酸素を充填し、1.5時間攪拌し、次いで、これにNaHCO水溶液を添加した。THFを濃縮し、水相をEtOAcで抽出した。この抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、分取TLCで精製して、60mgの5を得た。MS:410.1(MH)。
【0092】
工程3:
【0093】
【化19】

2mlのCHCl中の4(32mg、0.073mmol)の溶液に、NaHCO(13mg、0.155mmol、2当量)およびDess−Martinペルヨージナン(38mg、0.09mmol、1.2当量)を添加した。この混合物を室温で1.5時間攪拌し、EtOで希釈し、この2層が透明になるまでNa水溶液とともに攪拌した。有機層を分離し、水層をEtOで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して30mgのアルデヒドを得た。
【0094】
0.75mlのピリジン中のこのアルデヒド(30mg、0.074mmol)の溶液に、塩酸ヒドロキシルアミン(20mg、0.240mmol)を添加し、室温で一晩攪拌した。この混合物をNHCl水溶液に注ぎ、EtOAcで抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、クロマトグラフィーで精製して26mgの6を得た。HRMS:437.2259(MH)。
【0095】
工程4:
【0096】
【化20】

0℃でニートなDHP(12.8ml、140.3mmol、1.1当量)中の7(10ml、127.5mmol)の溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(243mg、1.28mmol、1mol%)を添加し、氷浴を取り除いた。この混合物を室温で2時間攪拌し、THF(200ml)で希釈し、−78℃に冷却し、ヘキサン中のBuLiの2.5M溶液(56.1ml、140.3mmol、1.1当量)を添加した。これを1時間攪拌し、30mlのTHF中の(Boc)O(34.4g、1.2当量)の溶液を添加した。この混合物を−78℃で1時間、0℃で30分間攪拌し、次いで、400mlのNHCl水溶液を添加してクエンチした。THFを濃縮し、水性のスラリーをEtO(3×150ml)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して38gの油状物を得た。
【0097】
この粗生成物を500mlのEtOHに溶解させ、3.2gのPPTSを添加し、この溶液を55℃で2時間加熱した。この反応混合物を400mlのNaHCO水溶液で希釈し、EtOHをエバポレートし、水性のスラリーを4×100mlのEtOで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、クロマトグラフィーによって精製して、油状物として20gの8を得た。H NMR(400MHz、CDCl)4.61(q、J=6.8Hz、1H)、1.50(d、J=6.8Hz、3H)、1.50(s、9H)。
【0098】
工程5:
【0099】
【化21】

400mlのベンゼン中の公知のアルデヒド10(21g、128mmol)(アルデヒドの調製についてはBarnettら、Tetrahedron Lett.,2001,57(6),9741−9746を参照のこと)と市販の9(41g、129mmol、1当量)との混合物を、密閉したチューブ中で約14時間加熱(浴温度約85℃)した。この溶液を濃縮し、クロマトグラフィーによって精製して、油状物として16.4gの11を得た。
【0100】
【化22】


【0101】
工程6:
【0102】
【化23】

室温で300mlのTHF中の60%NaH(4.7g、118mmol)の懸濁液に、トリエチルホスホノアセテート(24ml、121mmol)を添加し、この混合物を室温で20分間攪拌した。これに、ニートな11(16g、78mmol)を添加し、この混合物を室温で30分間攪拌し、次いで、400mlのHOを添加してクエンチした。THFをエバポレートし、水性のスラリーを3×150mlのEtOで抽出した。合わせた有機層をHOで2回、ブラインで1回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して約24gの粗生成物を得た。
【0103】
この生成物を、各々100mlのTHFおよびMeOHに溶解させ、これに、100mlHO中のKOH(13.2g、235mmol、3当量)の溶液を添加し、この混合物を室温で3時間攪拌した。この溶液を500mlHOで希釈し、200mlのヘキサンで洗浄し、その後、この溶液を1N HClで約pH2に酸性にし、次いで、3×150mlのEtOAcで抽出した。合わせた有機層をHOで洗浄し、その後ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、油状物として18.6gの12を得た。
【0104】
【化24】


【0105】
工程7:
【0106】
【化25】

0℃で300mlのCHCl中の8(11.7g、69mmol)と12(18.6g、76mmol、1.1当量)との溶液に、DCC(15.6g、76mmol、1.1当量)を添加し、10分間の攪拌後、DMAP(0.84g、6.9mmol、0.1当量)を添加し、攪拌をさらに1.5時間続けた。この反応混合物を500mlのEtOで希釈し、セライトパッドを通して濾過して沈殿物を除去した。この濾液を2×300mlの1N HCl、300mlのNaHCO水溶液、そして300mlのブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、10%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて、油状物として22gの13を得た。
【0107】
【化26】


【0108】
工程8:
【0109】
【化27】

250mlのEtOAc中の13(22g、55.2mmol)とキノリン(1.5g、11.6mmol、0.2当量)との溶液に、Lindlar触媒(2.2g、10重量%)を添加し、この懸濁液をHバルーン下で攪拌し、この反応物をH NMRでモニタリングした。約3.5時間の攪拌後、セライトのパッドを通して濾過することによって、触媒を除去した。この有機相を1N HClで3回洗浄し、その後ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して約25gの14を得た。
【0110】
この生成物を、約400mlのトルエンに溶解させ、密閉したチューブ中で6時間加熱(浴温度約185℃)し、次いで、室温に冷却し、濃縮し、15%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて7.2gのエキソ付加体を得た。このエキソ生成物を100mlのCHClに溶解させ、DBU(540μl、3.91mmol、0.2当量)とともに45分間攪拌し、次いで、100mlのEtOで希釈し、3×50mlの1N HClで洗浄し、その後ブラインで洗浄した。これをMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して7.0gの15を得た。
【0111】
【化28】


【0112】
工程9:
【0113】
【化29】

50mlのMeOH中の15(7g)の溶液に、10%Pd−C(700mg)を添加し、この懸濁液をparrの容器中で50psiのH下で一晩振盪させた。触媒を濾過して除去し、生成物をクロマトグラフィーによって精製し、その後、TBME−ヘキサンから再結晶して、合わせた収量3.26gのアルコールを得た。
【0114】
0℃で20mlのCHCl中のこのアルコール(1.1g、3.52mmol)とDMAP(43mg、0.35mmol、0.1当量)との溶液に、AcO(500μl、5.29mmol、1.5当量)を添加し、その後、EtN(980μl、7.03mmol、2当量)を添加した。この溶液を2時間攪拌し、100mlのEtOで希釈し、NaHCO水溶液で2回、ブラインで1回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、20%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて、1.16gの16を得た。
【0115】
【化30】


【0116】
工程10:
【0117】
【化31】

10mlのCHCl中の16(1.15g、3.25mmol)の溶液に、10mlのTFAを添加した。この混合物を室温で1時間攪拌し、濃縮し、トルエンとともにエバポレートして、上記酸を得た。
【0118】
この酸を20mlのCHClに溶解させ、塩化オキサリル(570μl、6.53mmol、2当量)および2滴のDMFとともに攪拌した。1時間の攪拌後、この溶液を濃縮し、トルエンとともにエバポレートして上記酸クロリドを得た。
【0119】
室温で20mlのトルエン中のこの酸クロリドの溶液に、Pd(PPhを添加し、その後、BuSnH(1.8ml、6.69mmol、2当量)を添加した。この混合物を30分間攪拌し、次いで、濃縮し、40%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて760mgの17bを得た。
【0120】
【化32】


【0121】
工程11:
【0122】
【化33】

アルデヒド17bの調製と同様の手順を用いて、アルデヒド17aを調製した。
【0123】
【化34】


【0124】
工程12:
【0125】
【化35】

0℃で5mlのTHF中のホスホネート18(720mg、2.34mmol、2当量)の溶液に、THF中の1M LHMDSの溶液(2.3ml、2.3mmol、2当量)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。(18の調製については米国特許第6,645,987号を参照のこと)。これにTi(OPr)を添加し、その後、3mlのTHF中の17a(330mg、1.16mmol)の溶液を添加した。氷浴を取り除き、この溶液を室温で45分間攪拌し、次いで、約70mlのNa−K−酒石酸塩水溶液を添加してクエンチした。THFをエバポレートし、水相を3×30mlのEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、30%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて460mgの19を得た。
【0126】
【化36】


【0127】
工程13:
【0128】
【化37】

10mlのMeOH中の19(570mg、1.35mmol)とKCO(750mg、5.43mmol、4当量)との混合物を、還流して5時間加熱した。MeOHを濃縮し、混合物をNHCl水溶液とともに攪拌し、4×30mlのEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、35%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて440mgの20を得た。
【0129】
【化38】


【0130】
工程14:
【0131】
【化39】

−78℃で5mlのTHF中の20(310mg、0.815mmol)の溶液に、THF中の1M LHMDSの溶液(0.98ml、0.98mmol、1.2当量)を添加し、−78℃で15分間攪拌し、0℃で15分間攪拌し、再び−78℃に冷却した。これに2.5mlのTHF中の(1S)−(+)−(10−カンファースルホニル)オキサジリジン(280mg、1.22mmol、1.5当量)の溶液を添加し、この混合物を30分間攪拌し、次いで、室温にゆっくりと温めた。これに100mlのNHCl水溶液を添加してクエンチし、THFをエバポレートした。この水相を3×25mlのEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、クロマトグラフにかけて150mgの21を得た。
【0132】
【化40】


【0133】
工程15:
【0134】
【化41】

PhMe−EtOH−HO(4:2:1 v/v/v)中の21、Pd(PPh(5mol%)、KCO(4当量)および適切なボロン酸(1.5当量)の混合物を、100℃で5時間攪拌し、HOで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、エバポレートし、分取TLCで精製して、アナログ22a〜22d(上のスキーム3に示したとおり)を得た。22aについてのMS:m/e 412.1(MH)。22bについてのMS:m/e 419.1(MH)。22cについてのMS:m/e 412.1(MH)。22dについてのMS:m/e 408.1(MH)。
【0135】
工程16:
【0136】
【化42】

トルエン(20ml)−EtOH(10ml)−HO(5ml)混合物中の18(2.12g、6.88mmol)、Pd(PPh(400mg、0.346mmol、5mol%)、(2−シアノフェニル)ボロン酸2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3−環状エステル(1.8g、8.37mmol、1.2当量)およびKCO(3.0g、27.49mmol、4当量)の溶液を、密閉したチューブ中で100℃で4時間加熱した。この混合物を150mlのHOで希釈し、3×50mlのEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、クロマトグラフィーによって精製して、固体として23(1.82g)を得た。
【0137】
【化43】


【0138】
工程17:
【0139】
【化44】

0℃で15mlのTHF中のホスホネート23(1.33g、4.03mmol)の溶液に、THF中の1M LHMDSの溶液を添加し、この混合物を15分間攪拌した。これにTi(OPr)を添加し、その後、5mlのTHF中の17bの溶液を添加し、この混合物を一晩(0℃から室温)攪拌した。この反応混合物を100mlのNa−K−酒石酸水溶液で希釈し、THFをエバポレートした。このスラリーを3×30mlのEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、エバポレートし、50%EtOAc−ヘキサンから10%EtOAcでクロマトグラフにかけて、420mgの24および510mgの25を得た。24についてのMS:m/e 459.1(MH)。25についてのMS:m/e 417.1(MH)。
【0140】
工程18:
【0141】
【化45】

0℃で2.5mlのTHF中の25(105mg、0.230mmol)とCBr(155mg、0.467mmol、2当量)との溶液に、PPhを添加し、氷浴を取り除いた。一晩攪拌した後、この混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して26(52mg)および27(19mg)を得た。26についてのMS:m/e 481.3(MH)。27についてのMS:m/e 417.2(MH)。
【0142】
工程19:
【0143】
【化46】

2mlのベンゼン中の26(51mg、0.106mmol)、BuSnH(58μl、0.215mmol、2当量)およびAlBN(1.8mg、0.011mmol、0.1当量)の溶液を、還流して2時間加熱し、室温に冷却し、濃縮し、50%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフにかけて、35mgの28を得た。MS:m/e 401.2(MH)。
【0144】
上記のプロセスのための出発物質は、市販されているか、当該分野で公知であるか、または当該分野で周知の手順によって調製されるかのいずれかである。
【0145】
上記のプロセスに関係のない反応基は、反応の間、従来の保護基を用いて保護し得、この保護基は、反応後に標準的な手順によって除去され得る。以下の表Aは、いくつかの代表的な保護基を示す:
【0146】
【化47】

本発明はまた、本発明の少なくとも1種の式Iの化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。式Iの化合物は、任意の従来の経口投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤または液剤)で投与され得る。処方物および薬学的組成物は、従来の薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤、ならびに従来の技術を用いて調製され得る。このような薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤としては、無毒性の充填剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、潤滑剤、矯味矯臭剤、増粘剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。
【0147】
上に記載される疾患または状態の処置のための式Iの化合物の日用量は、1日あたり体重1kgあたり約0.001mg〜約100mg、好ましく約0.001mg/kg〜約10mg/kgである。したがって、70kgの平均的な体重に対して、投薬レベルは1日あたり約0.1mg〜約700mgの薬物であり、単回投与されるかまたは2〜4回分割投与される。しかし、正確な用量は、担当の臨床家によって決定され、投与される化合物の効力、患者の年齢、体重、状態および応答に依存する。
【0148】
以下の処方は、本発明の投薬形態のうちのいくつかを例示する。各々において、用語「活性化合物」は、式Iの化合物を示す。
【0149】
(例A−錠剤)
【0150】
【化48】

(製造方法)
項目番号1および2を適切なミキサー中で10〜15分間混合する。この混合物を項目番号3とともに粒状化する。必要に応じて、湿気のある顆粒を粗いふるい(例えば、1/4インチ、0.63cm)を通して製粉する。この湿気のある顆粒を乾燥させる。必要に応じて乾燥した顆粒をふるいにかけ、項目番号4と混合し、10〜15分間混合する。項目番号5を添加し、1〜3分間混合する。この混合物を適切なサイズに圧縮し、適切な打剤機で秤量する。
【0151】
(例B−カプセル剤)
【0152】
【化49】

(製造方法)
項目番号1、2および3を適切なブレンダー中で10〜15分間混合する。項目番号4を添加し、1〜3分間混合する。この混合物を、適切な封入機で適切なツーピースの硬質なゼラチンカプセルに充填する。
【0153】
(処置方法および同時処方物)
米国特許出願第10/705,282号は、トロンビンレセプターアンタゴニストの他のファミリーに関する多くの処置方法および同時処方物(co−formulation)を開示する。同様に、本発明に関して、さらなる実施形態は、少なくとも1種の式Iの化合物を少なくとも1種のさらなる治療的に有効な因子とともに投与することを包含する。企図されるさらなる治療的に有効な因子は、式Iの化合物と原子の構成または配置のいずれかが異なる因子である。本発明の新規化合物と組み合わせて使用され得る治療的に有効な因子としては、炎症、関節リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、ニューロパシーおよび/または悪性腫瘍、血管新生関連障害、癌、肝臓、腎臓および肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎血管ホメオスタシス、糸球体腎炎、慢性気道疾患、膀胱炎症、神経変性疾患、神経変性障害もしくは神経変性損傷および/または神経毒性疾患、神経毒性障害もしくは神経毒性損傷、放射線線維症、内皮機能不全、歯周疾患および創傷の処置において公知でありかつ使用される薬物が挙げられる。式Iの化合物と組み合わせて投与され得る治療的に有効な因子のさらなる例としては、化学療法に対する腫瘍細胞の耐性因子、ならびに平滑筋細胞、内皮細胞、線維芽細胞、腎細胞、骨肉腫細胞、筋細胞、癌細胞および/またはグリア細胞の増殖インヒビターが挙げられる。治療的に有効な因子は、心血管因子であり得る。
【0154】
本発明の新規化合物と組み合わせて使用され得る心血管因子としては、抗血栓活性、抗血小板凝集活性、抗アテローム硬化性活性、抗再狭窄活性および/または抗凝固活性を有する薬物が挙げられる。このような薬物は、血栓に関連する疾患(血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性卒中もしくは血栓崩壊性卒中、末梢血管疾患、他の心血管疾患、脳虚血、炎症性障害および癌、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病理学的な役割を果たす他の障害が挙げられる)を処置するのに有用である。適切な心血管因子は、トロンボキサンA生合成インヒビター(例えば、アスピリン);トロンボキサンアンタゴニスト(例えば、セラトロダスト、ピコタミド(picotamide)およびレマトロバン(rematroban));アデノシン二リン酸(ADP)インヒビター(例えば、クロピドグレル);シクロオキシゲナーゼインヒビター(例えば、アスピリン、メロキシカム、ロフェコキシブおよびセレコキシブ);アンギオテンシンアンタゴニスト(例えば、バルサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタンおよびエプロサルタン);エンドセリンアンタゴニスト(例えば、テゾセンタン);ホスホジエステラーゼインヒビター(例えば、ミルリノン(milrinoone)およびエノキシモン);アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター(例えば、カプトプリル、エナラプリル、エナリプリラット(enaliprilat)、スピラプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、ホシノプリル、トランドラプリル、リシノプリル、モエキシプリルおよびベナザプリル);中性エンドペプチダーゼインヒビター(例えば、カンドキサトリルおよびエカドトリル);抗凝固剤(例えば、キシメラガトラン、フォンダパリン(fondaparin)およびエノキサパリン);利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エタクリン酸、フロセミドおよびアミロライド);血小板凝集インヒビター(例えば、アブシキシマブおよびエプチフィバチド);ならびにGP IIb/IIIaアンタゴニストからなる群より選択される。
【0155】
本発明の新規化合物と組み合わせて使用するための薬物の好ましい型は、トロンボキサンA生合成インヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビターおよびADPアンタゴニストである。組み合わせで使用するのに特に好ましいのは、アスピリンおよび硫酸クロピドグレルである。
【0156】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1種の式Iの化合物を1種以上のさらなる治療的に有効な因子とともに投与することを包含する。これらの実施形態において、さらなる治療的に有効な因子は、同じ条件の処置で通常使用されるものであっても、そうでなくてもよい。例えば、式Iの化合物は、2種の心血管因子とともに投与され得る。あるいは、式Iの化合物は、1種の心血管因子および炎症の処置に有用な治療的に有効な因子とともに投与され得る。
【0157】
本発明が少なくとも1種の式Iの化合物と1種以上の他の治療的に有効な因子との組み合わせを包含する場合、2種以上の活性成分が同時または連続して共投与され得るか、あるいは薬学的に受容可能なキャリア中の少なくとも1種の式Iの化合物と他の治療的に有効な因子とを含む単一の薬学的組成物が投与され得る。その組み合わせの成分は、任意の従来の投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁剤、液剤、坐剤、鼻噴霧など)で個々にまたは一緒に投与され得る。他の治療的に有効な因子の投薬量は、公開された資料から決定され得、1用量あたり1mg〜1000mgの範囲であり得る。
【0158】
本明細書において、用語「少なくとも1種の式Iの化合物」とは、1〜3種の異なる式Iの化合物が薬学的組成物または処置方法に使用され得ることを意味する。好ましくは、1種の式Iの化合物が使用される。同様に、用語「1種以上のさらなる心血管因子」とは、1〜3種のさらなる薬物が式Iの化合物と組み合わせて投与され得ることを意味する;好ましくは、1種のさらなる化合物が式Iの化合物と組み合わせて投与される。さらなる心血管因子は、式Iの化合物に関して同時または連続的に投与され得る。
【0159】
(トロンビンレセプターアンタゴニストについてのインビトロ試験手順)
式Iの化合物の活性は、以下の手順によって決定され得る。
【0160】
([H]haTRAPの調製)
A(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NH(1.03mg)および10%Pd/C(5.07mg)を、DMF(250μl)およびジイソプロピルエチルアミン(10μl)に懸濁させた。この容器をトリチウム系に取り付け、液体窒素中で凍結させ、真空にした。次いで、トリチウムガス(342mCi)をフラスコに添加し、このフラスコを室温で2時間攪拌した。反応の完了時に、過剰なトリチウムを除去し、反応したペプチド溶液をDMF(0.5ml)で希釈し、濾過して触媒を除去した。回収した粗製ペプチドのDMF溶液を水で希釈し、凍結乾燥させて不安定なトリチウムを除去した。この固体ペプチドを水に再溶解させ、凍結乾燥プロセスを繰り返した。トリチウム化ペプチド([H]haTRAP)を0.5mlの0.1%TFA水溶液に溶解させ、以下の条件を用いてHPLCによって精製した:カラム、Vydac C18、25cm×9.4mm I.D.;移動相、(A)水中の0.1%TFA、(B)CHCN中の0.1%TFA;勾配、(A/B)30分にわたって100/0から40/60;流速、5ml/分;検出、215nmでUV。HPLCで分析すると[H]haTRAPの放射化学的純度は99%であった。18.4Ci/mmolの比活性度で14.9mCiのバッチを得た。
【0161】
(血小板膜の調製)
North Jersey Blood Center(East Orange,NJ)から入手した20ユニットの血小板濃縮物から、Natarajanら(Natarajanら、Int.J.Peptide Protein Res.45:145−151(1995))の方法の改変形を用いて、収集の48時間以内に血小板膜を調製した。すべての工程を、認可されたバイオハザード安全条件下で、4℃で行った。血小板を100×gで4℃で20分間遠心分離して、赤血球を除去した。この上清をデカントし、3000×gで15分間遠心分離して血小板をペレット化した。血小板を10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、5mM EDTAに再懸濁させ、全容積を200mlにし、4400×gで10分間遠心分離した。この工程をさらに2回繰り返した。血小板を5mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTAに再懸濁させ、最終容積を約30mlにし、Dounceホモジナイザーでホモジナイズ(20ストローク)した。膜を41,000×gでペレット化し、40〜50mlの20mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.1mM ジチオスレイトールに再懸濁させ、10mlのアリコートを液体窒素中で凍結させ、−80℃で保管した。膜調製を完了するために、アリコートを解凍し、プールし、Dounceホモジナイザーでホモジナイズ(5ストローク)した。膜をペレット化し、10mM トリエタノールアミン−HCl(pH7.4)、5mM EDTAで3回洗浄し、20〜25mlの50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、1mM EGTAおよび1%DMSOに再懸濁させた。膜のアリコートを液体窒素中で凍結させ、−80℃で保管した。膜は少なくとも3ヶ月間安定であった。20ユニットの血小板濃縮物から、代表的に、250mgの膜タンパク質が得られた。タンパク質濃度を、Lowryアッセイ(Lowryら、J.Biol.Chem.,193:265−275(1951))によって決定した。
【0162】
(ハイスループットトロンビンレセプター放射性リガンド結合アッセイ)
トロンビンレセプターアンタゴニストを、Ahnら(Ahnら、Mol.Pharmacol.,51:350−356(1997))のトロンビンレセプター放射性リガンド結合アッセイの改変形を用いてスクリーニングした。このアッセイを、96ウェルのNuncプレート(カタログ番号269620)で、最終アッセイ容積200μlで行った。血小板膜および[H]haTRAPを、結合緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、1mM EGTA、0.1% BSA)で、それぞれ0.4mg/mlおよび22.2nMに希釈した。試験化合物のストック溶液(100%DMSO中の10mM)を100%DMSO中にさらに希釈した。他に示されない限り、10μlの希釈した化合物溶液および90μlの放射性リガンド(5%DMSO中の10nMの最終濃度)を各ウェルに添加し、100μlの膜(40gタンパク質/ウェル)を添加することによって反応を開始した。結合は、5%DMSOでは有意に阻害されなかった。化合物を3つの濃度(0.1μM、1μMおよび10μM)で試験した。このプレートをカバーし、Lab−Line Titer Plate Shakerで、室温で1時間穏やかにボルテックス混合した。Packard UniFilter GF/Cフィルタープレートを、0.1%ポリエチレンイミンに少なくとも1時間浸した。インキュベートした膜をPackard FilterMate Universal Harvesterを用いて回収し、すぐに300μlの氷冷した50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、1mM EGTAで4回洗浄した。MicroScint 20シンチレーションカクテル(25μl)を各ウェルに添加し、このプレートをPackard TopCount Microplate Scintillation Counterでカウントした。特異的結合を、過剰(50μl)の非標識haTRAPの存在下で観察された非特異的結合を全結合から減算したものとして規定した。トロンビンレセプターに対する[H]haTRAP結合に関する化合物の阻害%を、以下の関係から計算した:
【0163】
【化50】


【0164】
(材料)
A(pF−F)R(ChA)(hR)Y−NHおよびA(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NHは、AnaSpec Inc.(San Jose,CA)によって注文合成された。これらのペプチドの純度は95%よりも高かった。トリチウムガス(97%)はEG&G Mound,Miamisburg Ohioから購入した。このガスはその後IN/US Systems Inc.Trisorberに充填し、保管した。MicroScint 20シンチレーションカクテルは、Packard Instrument Co.から入手した。
【0165】
上記の試験手順を用いて、式Iの代表的な化合物が、1nM〜1000nM、好ましくは1nM〜100nM、より好ましくは1nM〜20nMのトロンビンレセプターIC50値(すなわち、トロンビンレセプターの50%阻害が観察される濃度)を有することが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】

によって表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、
10が結合する環炭素とR34が結合する環炭素との間の一重の点線:
【化2】

は、単結合または二重結合のいずれかを表し;
Xと、Yが結合する炭素との間の二重の点線:
【化3】

は、単結合または結合の不在のいずれかを表し;
Xは、該二重の点線が単結合を表す場合、−O−または−NR−であり;
Xは、該二重の点線が結合の不在を表す場合、H、−OHまたは−NHR20であり;
15は、該二重の点線が結合の不在を表す場合、H、C〜Cアルキル、−NR1819または−OR17であるか;あるいはR15は、Yが、
【化4】

である場合、HまたはC〜Cアルキルであり;R15は、該二重の点線が単結合を表す場合、存在せず;
Yは、該二重の点線が単結合を表す場合、(O)、(S)、(H,H)、(H,OH)または(H,C〜Cアルコキシ)であり;Yは、該二重の点線が結合の不在を表す場合、(O)、(NOR17)、(H,H)、(H,OH)、(H,SH)、(H,C〜Cアルコキシ)または(H,−NHR45)であり;
Zは、−CH−、−O−、−S(O)n4−、−NR30−、−NC(O)R30−、NCO30−、−NC(O)NR3031−、−NSO30−、−NSONHR30−、−C(O)−、−C(=NOR30)−、および−CR3031−からなる群より選択され;
、n、nおよびnは、独立して、0〜2であり;
Rは、H、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、(C〜C)アルキル−アミノ、(C〜C)ジアルキルアミノ、(C〜C)アルコキシ、−COR16、−COOR17、−SOR16、−SO16、−NR16COR16a、−NR16COOR16a、−NR16CONR、フルオロ−(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)−アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)−アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択される1〜3個の置換基であり;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ−(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、アミノ−(C〜C)アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択されるか;あるいはRおよびRは、一緒に=O基を形成し;
は、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−NR1819、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルもしくは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、−O−アリール、N、NO、C(=NR)NR、N=C(R)NR、NR18COR19、NR18CONR1819、NR18C(O)OR19、NR18S(O)19、NR18S(O)NR1819、NHNR1819、NR18NR1819またはNR1819であり;
Hetは、1〜13個の炭素原子と、N、OおよびSからなる群より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む5〜14個の原子の単環式複素芳香族基、二環式複素芳香族基、または三環式複素芳香族基であり、ここで、環窒素は、N−オキシドまたはC〜Cアルキル基とともに四級基を形成し得、ここで、該Het基は、必要に応じて、1〜4個の部分(W)で置換され、該Wは、H;C〜Cアルキル;フルオロ(C〜C)アルキル;ジフルオロ(C〜C)アルキル;トリフルオロ−(C〜C)−アルキル;C〜Cシクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、OH−(C〜C)アルキルもしくは=Oで置換されたヘテロシクロアルキル;C〜Cアルケニル;R21−アリール(C〜C)アルキル;R21−アリール−(C〜C)−アルケニル;R21−アリールオキシ;R21−アリール−NH−;ヘテロアリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール(C〜C)−アルケニル;ヘテロアリールオキシ;ヘテロアリール−NH−;ヒドロキシ(C〜C)アルキル;ジヒドロキシ(C〜C)アルキル;アミノ(C〜C)アルキル;(C〜C)アルキルアミノ−(C〜C)アルキル;ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル;チオ(C〜C)アルキル;C〜Cアルコキシ;C〜Cアルケニルオキシ;ハロゲン;−NR;−CN;−OH;−COOR17;−COR16;−OSOCF;−CHCHOCF;(C〜C)アルキルチオ;−C(O)NR;−OCHR−フェニル;フェノキシ−(C〜C)アルキル;−NHCOR16;−NHSO16;ビフェニル;−OC(RCOOR;−OC(RC(O)NR;(C〜C)アルコキシ;−C(=NOR17)R18;(C〜C)アルキル、アミノ、−OH、COOR17、−NHCOOR17、−CONR、アリール、アリールであってハロゲン、−CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよび−COOR17からなる群より独立して選択される1〜3個の置換基によって置換されたアリール、隣接する炭素がメチレンジオキシ基と環を形成するアリール、−C(O)NR、またはヘテロアアリールで置換されたC〜Cアルコキシ;R21−アリール;隣接する炭素がメチレンジオキシ基と環を形成するアリール;R41−ヘテロアリール;ならびに隣接する炭素原子がC〜Cアルキレン基またはメチレンジオキシ基と環を形成するヘテロアリールからなる群より独立して選択され;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群より選択される独立して選択されるか、あるいはRおよびRはともに、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−でありかつそれらに結合する窒素とヘテロシクリル環を形成し;
は、H、C〜Cアルキル、フェニル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルおよびアミノ(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択され;
は、Hまたは(C〜C)アルキルであり;
、R10およびR11は、Rおよび−ORからなる群より独立して選択されるが、但し、該一重の点線が二重結合である場合、R10は存在せず;
は、H、OH、C〜Cアルコキシ、ハロゲンまたはハロ(C〜C)アルキルであり;
16およびR16aは、C〜C低級アルキル、フェニルまたはベンジルからなる群より独立して選択され;
17、R18およびR19は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルからなる群より独立して選択され;
20は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、−C(O)Rまたは−SOであり;
21は、H、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ(C〜C)アルキル、ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、−COOR17、−COR17、−NHCOR16、−NHSO16、−NHSOCHCF、ヘテロアリール、−C(=NOR17)R18、NR2526アルキル−、ヒドロキシ−アルキル−、−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R13、−S(O)13および−SR13からなる群より独立して選択される1〜3個の部分であり;
22は、H、R24−(C〜C10)アルキル、R24−(C〜C10)アルケニル、R24−(C〜C10)アルキニル、R27−ヘテロ−シクロアルキル、R25−アリール、R25−アリール(C〜C)アルキル、R29−(C〜C)シクロアルキル、R29−(C〜C)シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)アルコキシ、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロ−アルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群より選択されるか;
あるいはR22およびR10は、それらに結合する炭素と一緒に、独立して3〜10個の原子のR42で置換された炭素環式環、または4〜10個の原子のR42で置換された炭素環式環を形成し、ここで、1〜3個の環メンバーは、−O−、−NH−および−SOn2−からなる群より独立して選択されるが、但し、R22およびR10が環を形成する場合、該一重の点線は、結合の不在を表し;
24は、H、ハロゲン、−OH、(C〜C)アルコキシ、R35−アリール、(C〜C10)−アルキル−C(O)−、(C〜C10)アルケニル−C(O)−、(C〜C10)アルキニル−C(O)、ヘテロシクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルキル、R26−(C〜C)シクロアルケニル、−OC(O)R30、−C(O)OR30、−C(O)R30、−C(O)NR3031、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30、−OC(O)NR3031、R24−(C〜C10)−アルケニルオキシ、R24−(C〜C10)アルキニルオキシ、R27−ヘテロシクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)−シクロアルキルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルケニルオキシ、R29−(C〜C)シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
25は、H、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−COOR36、−CN、−C(O)NR3738、−NR39C(O)R40、−OR36、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル−(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、およびR41−ヘテロアリールからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であるか;あるいは隣接する環炭素上の2つのR25基は、融合メチレンジオキシ基を形成し;
26は、H、ハロゲンおよび(C〜C)アルコキシからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
27は、H、R28−(C〜C10)アルキル、R28−(C〜C10)アルケニル、およびR28−(C〜C10)アルキニルからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
28は、H、−OHまたは(C〜C)アルコキシであり;
29は、H、(C〜C)アルキル、−OH、(C〜C)アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1、2または3個の部分であり;
30、R31およびR32は、H、(C〜C10)−アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C10)−アルキル、R25−アリール(C〜C)−アルキル、R33−(C〜C)シクロアルキル、R34−(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、R25−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル(C〜C)アルキルおよびヘテロアリール(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択され;
33は、H、(C〜C)アルキル、OH−(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシであり;
34は、該一重の点線が単結合である場合、(H,R)、(H,R43)、(O)または(NOR17)であり;R34は、該一重の点線が二重結合である場合、R44であり;
35は、H、(C〜C)アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、(C〜C)アルコキシ、トリハロ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHO、−C(O)(C〜C)−アルキルアミノ、−C(O)ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)(C〜C)アルキルおよび−N((C〜C)アルキル)C(O)(C〜C)アルキルからなる群より独立して選択される1〜4個の部分であり;
36は、H、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、ジハロ(C〜C)アルキルまたはトリフルオロ(C〜C)アルキルであり;
37およびR38は、H、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)シクロアルキルからなる群より独立して選択されるか;あるいはR37およびR38はともに、−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−でありかつそれらに結合する窒素と環を形成し;
39およびR40は、H、(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキル、フェニルおよび(C〜C15)−シクロアルキルからなる群より独立して選択されるか;
あるいは基−NR39C(O)R40におけるR39およびR40は、それらに結合する炭素および窒素と一緒に、5〜8個の環メンバーを有する環状ラクタムを形成し;
41は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルアミノ、ジ((C〜C)アルキル)アミノ、−OCF、OH−(C〜C)アルキル、−CHOおよびフェニルからなる群より独立して選択される1〜4個の部分であり;
42は、水素、−OH、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシからなる群より独立して選択される1〜3個の部分であり;
43は、−NR3031、−NR30C(O)R31、−NR30C(O)NR3132、−NHSO30または−NHCOOR17であり;
44は、H、C〜Cアルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、C〜Cアルキル、ハロゲン、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルケニル、ヘテロアリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール(C〜C)アルケニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリール、チオ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルであり;そして
45は、H、C〜Cアルキル、−COOR16または−SOである、化合物。
【請求項2】
Hetがピリジルであり、そしてWがフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Wがフルオロで置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Wが−CNで置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Zが−CH−であり、nが1であり、nが0であり、そしてnが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Zが−O−であり、nが1であり、nが0であり、そしてnが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Zが−O−であり、nが2であり、nが0であり、そしてnが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がメチルであり、そしてR、R、R、R10、R11がすべてHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が−OHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
22がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
XおよびYが両方ともOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記一重の点線および前記二重の点線が両方とも単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
治療有効量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項15】
トロンビンレセプターを阻害する方法であって、トロンビンレセプターを阻害する処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
カンナビノイドレセプターを阻害する方法であって、カンナビノイドレセプターを阻害する処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
治療的状態を処置する方法であって、該方法は、治療的状態の処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含し、該治療的状態は、心血管疾患もしくは心血管の状態または循環疾患もしくは循環の状態、炎症性疾患もしくは炎症性状態、気道疾患もしくは気道の状態、癌、急性腎不全、糸球体腎炎、アストログリオーシス、肝臓、腎臓、肺もしくは腸管の線維性障害、アルツハイマー病、糖尿病、糖尿病ニューロパシー、関節リウマチ、神経変性疾患、神経毒性疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗鬆症、緑内障、黄斑変性、乾癬、放射線線維症、内皮機能不全、創傷または脊髄損傷、あるいはこれらの症状または結果である、方法。
【請求項18】
前記心血管疾患もしくは心血管の状態または循環疾患もしくは循環の状態が、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、急性冠動脈症候群、狭心症、不整脈、心疾患、心不全、心筋梗塞、血栓性卒中もしくは血栓崩壊性卒中、末梢血管疾患、深部静脈血栓、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連する心血管疾患、播種性血管内凝固症候群、腎虚血、脳卒中、脳虚血、脳梗塞、片頭痛、腎血管ホメオスタシスまたは勃起不全である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記炎症性疾患もしくは炎症性状態が、過敏性大腸症候群、クローン病、腎炎、あるいは放射線もしくは化学療法によって誘導される胃腸管、肺、膀胱、胃腸管または他の器官の増殖性障害もしくは炎症性障害である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記気道疾患もしくは気道の状態が、可逆性気道閉塞、喘息、慢性喘息、気管支炎または慢性気道疾患である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が、腎細胞癌、または血管新生関連障害である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病またはウィルソン病である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
炎症、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、ニューロパシーおよび/または悪性腫瘍、血管新生関連障害、癌、肝臓、腎臓または肺の障害、黒色腫、腎細胞癌、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管ホメオスタシス、糸球体腎炎、慢性気道疾患、膀胱炎症、神経変性疾患、神経変性状態もしくは神経変性損傷および/または神経毒性疾患、神経毒性状態もしくは神経毒性損傷、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病、あるいは創傷の処置に有用な少なくとも1種の治療的に有効な薬剤を投与する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも2種の治療的に有効な薬剤を投与する工程をさらに包含する、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2008−500360(P2008−500360A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515301(P2007−515301)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/018372
【国際公開番号】WO2005/118576
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】