説明

トンネル落盤監視システム、トンネル落盤監視方法及び土木構造物破損監視システム

トンネル落盤監視システムや土木構造物破損監視システムは、ネットワーク3、複数の導電性塗布パターン4、複数のセンサネット端末5、既存施設6に設置される複数の中継基地局端末7、ルート基地局端末8及び遠隔監視装置9から構成される。導電性塗布パターン4は、内壁面2に塗布され、センサネット端末5によって所定の電圧を印加される。それによって、導電性塗布パターン4内を電流が流れる。そのとき、内壁面2の一部にひび割れが発生し、塗布された導電性塗布パターン4の少なくとも一部が切断されると、抵抗値が高くなって電流値が低くなる。その電流値データは、センサネット端末5によって測定され、センサネット端末5から中継基地局端末7、ルート基地局端末8及びネットワーク3を介して遠隔監視装置9に送信される。そして、遠隔監視装置9は、その電流値データからひび割れの発生箇所を推定し、表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ひび割れの発生を監視し、そのひび割れが発生した箇所を推定するトンネル落盤監視システム、トンネル落盤監視方法及び土木構造物破損監視システムに関する。
【背景技術】
トンネルの落盤や剥落などの事故が発生したことを契機にして、トンネルに対するひび割れ監視のニーズが高まっている。ただし、トンネルのひび割れ監視の実施には次のような問題点がある。
(1)トンネルは、高速道路だけで約1000箇所あり、最も防災基準が高いクラスであるAA級でさえ30数箇所に及ぶ。まして、一般国道や県道を含めると、対象数が膨大である。
(2)ひび割れ監視を行うシステムを構築するにあたっては、振動センサなどによる測定データを収集するためにネットワークを利用する必要があり、そこで、例えば、専用回線を使用するとなれば、配管や配線などを敷設する作業に多額の費用がかかる。また、一般回線を利用するにしても、多額の通信費がかかる。
(3)ひび割れ監視を行うシステムを構築するにあたって大規模な工事を行った場合は、長期間に亘る車線規制が必要になり、費用も然ることながら一般利用者への影響も大きい。
これらの問題点に対応するために、比較的簡単にトンネルなどの構造物のひび割れを検出する技術が提案されている(例えば、特開平10−31002号公報参照)。この技術は、トンネルなどの構造物本体の露出面にひび割れを検出する導電性部材を付着し、その導電性部材の電気的変化を検出することによって、構造物本体のひび割れを検出するものである。
しかしながら、前記の技術においては、導電性部材を付着させる部分、すなわち、導電性塗布層をトンネルの天井にのみ設けている。そのため、トンネルの天井付近に生じたひび割れしか検出することができない。また、導電性塗布層には、一定間隔ごとの導電性の有無が確認できるようにするために、所定間隔をおいて導電性検出用パターンが設けられている。この導電性検出用パターンは、2個1組でその間の導電性の有無を検査できるように設置されるので、その個数及びひび割れの検査範囲の関係から考慮すると効率的であるとは言い難い。更に、各導電性検出用パターンは、直接又は中継地を介して集中監視室に接続されている。その集中監視室において、各導電性検出用パターン間の導電性の有無が検査、監視される。ここで、各導電性検出用パターンと、集中監視室又は中継地とは、電線や別の導電性塗布層などの有線によって接続されているため、トンネルの距離が長くなるほどその接続作業の負担が大きくなることが考えられる。
そこで、本発明は、前記問題に鑑み、トンネル内部に簡単に設置することができ、ひび割れの検査を広範囲に対して効率よく行うことができるようなトンネル落盤監視手段、更には、土木構造物破損監視手段を提共することを課題とする。
【発明の開示】
前記課題を解決する本発明は、前記トンネルの内壁面に密着するように設置される複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記トンネルの外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成されるトンネル落盤監視システム、そのトンネル落盤監視システムにおけるトンネル落盤監視方法、及び、それらを一般の土木構造物に適用した土木構造物破損監視システムである。複数の導通線は、例えば、トンネルの内壁面に縦横の格子状に設置される。そして、それぞれの導通線ごとに設置されたセンサネット端末は、その導通線に所定の電圧を印可し、それによって導通線に流れる電流の大きさである電流値を測定し、その測定した電流値又はその電流値に所定の計算を施すことによって得られる計算値をセンサデータとして基地局端末に無線送信する。基地局端末は、センサネット端末から受信したセンサデータを、更にネットワークを介して道路管理施設などに設置された遠隔監視装置に送信する。遠隔監視装置は、基地局端末から受信したセンサデータを蓄積する。そして、その蓄積したセンサデータと所定の閾値とを比較することによってその一部が切断されたと推定される導電線があるとき、そのセンサデータが測定された導電線が交差する部分をひび割れが発生した箇所として推定する。そして、例えば、その推定したひび割れ箇所をディスプレイ画面などに表示する。
これによれば、例えば、トンネルの管理者は、遠隔監視装置のディスプレイ画面を見ることによって、推定されるひび割れの発生及びひび割れ箇所を知ることができる。また、実際にトンネルの内壁面を点検するとき、その表示データの印刷物を携帯することによって、推定されるひび割れ箇所を重点的に点検することができる。また、土木構造物についても同様である。
なお、請求の範囲における「第1の制御手段」、「第2の制御手段」、「第3の制御手段」は、発明を実施するための最良の形態における「LSI」に相当する。また、請求の範囲における「センサデータ」、「センサデータ蓄積手段」は、発明を実施するための最良の形態における「電流値データ」、「電流値データ蓄積手段」に相当する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態に係るトンネルのイメージを示す図である。
第2図は、本発明の実施の形態に係るトンネル落盤監視システムのネットワーク構成を示す図である。
第3図は、本発明の実施の形態に係る導電性塗布パターンを示す図である。
第4図は、本発明の実施の形態に係る導電性塗布パターンを示す図である。
第5図(a)は本発明の実施の形態に係るセンサネット端末のブロック構成を示す図であり、(b)はセンサネット端末の外観イメージを示す図である。
第6図(a)は本発明の実施の形態に係るルート基地局端末のブロック構成を示す図であり、(b)はルート基地局端末の外観イメージを示す図である。
第7図は、本発明の実施の形態に係る遠隔監視装置の機能ブロック構成を示す図である。
第8図(a)は本発明の実施の形態に係るO字型接続用センサネット端末の斜視図であり、(b)はO字型接続用センサネット端末の平面図である。
第9図は、本発明の実施の形態に係るO字型接続を示す図である。
第10図(a)は本発明の実施の形態に係る8字型接続用センサネット端末の斜視図であり、(b)は8字型接続用センサネット端末の平面図である。
第11図は、本発明の実施の形態に係る8字型接続を示す図である。
第12図は、本発明の実施の形態に係るセンサネット端末の接着箇所の断面図である。
第13図は、本発明の実施の形態に係るひび割れ検出時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
≪システムの構成と概要≫
まず、トンネル落盤監視システムの構成と概要について説明する。
第1図は、本発明の実施の形態に係るトンネルのイメージ図であり、トンネル落盤監視システムの構成要素の一部がトンネル1の内側にあたる内壁面2に設置されている様子を示している。導電性塗布パターン4は、内壁面2に縦横の格子状に設置されていて、内壁面2を内側から覆うようになっている。個々の導電性塗布パターン4は、細長い形状になっていて、直接又は所定の膜材を介して間接的に内壁面2に設置されている。センサネット端末5は、その個々の導電性塗布パターン4の一端に設けられている。トンネル1の天井には、所定の間隔をおいて、照明灯や換気扇などの既存施設6が取り付けられている。その既存施設6の外部又は内部に中継基地局端末7が設置されている。なお、各構成要素の機能などの説明は後記する。
次に、第2図を参照して、本発明の実施の形態に係るトンネル落盤監視システムのネットワーク構成について説明する。第2図のトンネル1は、第1図におけるトンネル1の内側から内壁面2を見たときのイメージを示している。トンネル落盤監視システムは、ネットワーク3、複数の導電性塗布パターン4、複数のセンサネット端末5、既存施設6に設置される複数の中継基地局端末7、ルート基地局端末8及び遠隔監視装置9から構成される。ネットワーク3は、ルート基地局端末8と遠隔監視装置9とを接続する通信網であり、具体的には、インターネット、公衆回線、携帯電話網などによって実現される。導電性塗布パターン4は、内壁面2に塗布され、センサネット端末5によってその両端間に所定の電圧が印加される。それによって、導電性塗布パターン4内を電流が流れる。ところが、内壁面2の一部にひび割れが発生し、そのひび割れの箇所に塗布された導電性塗布パターン4の少なくとも一部が切断されると、抵抗値が高くなって電流値が低くなる。センサネット端末5は、所定のデータをセンサで入力し、無線通信によりそのデータを基地局端末に送信する機能を持つ。ここでは、特に、所定の時間(例えば、数時間)が経過するごとに、導電性塗布パターン4に流れる電流値のデータ(以下、「電流値データ」という)を中継基地局端末7に送信するものとする。従って、センサネット端末5は、通常は省電力モード(スリープ状態)になっており、所定の時間ごとに稼動モードに移行することによって電流値データの測定及び送信を行う。なお、導電性塗布パターン4及びセンサネット端末5の接続の詳細は後記する。中継基地局端末7は、照明灯や換気扇などの既存施設6の外部又は内部に設置される。これは、電力が常時供給される電源として既存施設6が使用している電灯線などを共用するためであり、また、設置場所として安全かつ比較的容易に設置可能なためである。これによって、中継基地局端末7の設置コストを節減することができる。この中継基地局端末7は、センサネット端末5や別の中継基地局端末7から電流値データを受信し、その受信した電流値データを更に別の中継基地局端末7やルート基地局端末8に送信する。なお、センサネット端末5が出力する電波の到達距離は数十mなので、トンネル1の長手方向に沿って数十mの距離ごとに中継基地局端末7を設置するものとする。また、第2図において、中継基地局端末7は2つのアンテナを備えるように示されているが、1つのアンテナであってもよい。
ルート基地局端末8は、トンネル1から離れた場所に設置され、トンネル1が崩壊してもその安全が確保されるものとする。例えば、耐震構造を備えたビルなどに設置される。このルート基地局端末8は、トンネル1内の既存施設6に設置された中継基地局端末7から電流値データを受信し、その受信した電流値データをネットワーク3経由で遠隔監視装置9に送信する。遠隔監視装置9は、所定の地域や道路の管理区域ごとに設けられている管理施設内に設置される。遠隔監視装置9は、トンネルの監視を行うものであり、ここでは、特に、ルート基地局端末8からネットワーク3経由で電流値データを受信し、その受信した電流値データを蓄積すると共に、その蓄積した電流値データからトンネル1のひび割れの発生及びひび割れ箇所を推定する。具体的には、PC(Personal Computer)やサーバなどによって実現される。
≪導電性塗布パターン≫
続いて、第3図及び第4図を参照して、本発明の実施の形態に係る導電性塗布パターンについて説明する。第3図に示すように、トンネル1の内壁面2(第1図参照)には、トンネル1の長手方向(以下、X方向という)及びそれに直交する方向(以下、Y方向という)に、導電性塗布パターン4とセンサネット端末5との組み合わせであるセットSが整然と設置されている。すなわち、X方向には、セットSX1、セットSX2、・・・、セットSX14が配置され、Y方向には、セットSY1、セットSY2、・・・、セットSY8が配置されている。個々の導電性塗布パターン4の大きさとしては、例えば、パターン(導通線)の幅が数cm、パターン全体の幅が数十cm、パターン全体の長さが数mという数値があげられる。導電性塗布パターン4の材質としては、カーボンや金属があげられ、不燃性で抵抗値が低いものが望ましい。
実際に、トンネル1の内壁面2に導電性塗布パターン4を塗布する手順は、以下のようになる。
(1)Y方向に配置するセットS(SY1など)の範囲に絶縁性塗料を塗布する。
(2)Y方向に配置するセットS(SY1など)の導電性塗布パターン4を塗布する。
(3)X方向に配置するセットS(SX1など)の範囲に絶縁性塗料を塗布する。
(4)X方向に配置するセットS(SX1など)の導電性塗布パターン4を塗布する。
(5)導電性塗布パターン4を覆うように絶縁性塗料を塗布する。
これによれば、塗布層としては、内壁面2側から絶縁層、Y方向導電層、絶縁層、X方向導電層及び絶縁層の5層構造になる。絶縁性塗料を塗布するのは、内壁面2や導電性塗布パターン4の間で短絡が発生するのを防止し、ひび割れの検出を確実に行うためである。なお、絶縁性塗料の材質としては、フェノール樹脂やシリコーン樹脂などがある。
第4図に示すように、例えば、X方向のセットSX5及びSX6、並びに、Y方向のセットSY3、SY4、SY5及びSY6のセンサネット端末5が測定した電流値が所定の閾値以下であるとすれば、各セットの導電性塗布パターン4の少なくとも一部が切断されたことが考えられる。このとき、X方向のセットSX5及びSX6と、Y方向のセットSY3、SY4、SY5及びSY6とが交差する部分であるRがひび割れ可能性範囲であると考えられる。例えば、Pに示すようなひび割れパターンが想定される。
≪端末の構成と概要≫
次に、第5図及び第6図を参照して、センサネット端末及びルート基地局端末(中継基地局端末を含む)の構成と概要を説明する。
第5図は、本発明の実施の形態に係るセンサネット端末のブロック構成及び外観イメージを示す図である。第5図(a)に示すように、センサネット端末5は、その中枢機能を実現するLSI(Large Scale Integrated Circuit、大規模集積回路)51、中継基地局端末7(第2図など参照)とのデータの送受信を行うアンテナ60、電流値データを測定するセンサ61、及び、電源62から構成される。電源62は、1次電池、充電可能な2次電池、発電素子(太陽光発電素子、振動発電素子、マイクロ波発電素子など)又はこれらの組み合わせである。なお、センサネット端末5自身は電源を持たず、他から電力の供給を受けるようにしてよい。LSI51は、アンテナ60に接続され、中継基地局端末7とのデータの送受信を制御する無線送受信回路52、LSI51の全体制御を行うCPU(Central Processing Unit)であるコントローラ回路53、センサ61が測定した電流値データを記録する不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である電流値データ記録回路54、センサ61が測定した電流値データをA/D(Analog/Digital)変換するA/D変換回路55、プログラムを記録するROM(Read Only Memory)であるプログラムメモリ56、プログラムを実行するときのワーク用RAM(Random Access Memory)である作業用メモリ57、一定間隔の信号(クロック信号)を発生させるタイマ回路58、及び、電源62から供給される電力を一定の電圧に調整すると共に、電力不要のときに電源を切断し、消費電力を抑制する制御を行う電源制御回路59から構成される。LSI51は、1チップに限定されるものではなく、複数チップを搭載したボード又はMCP(Multi Chip Package)であってもよい。
第5図(b)に示すように、センサネット端末5の外観は、アンテナ60、センサネット端末5本体及びセンサ61に分かれており、センサネット端末5本体上にLSI51と電源62とが設けられている。このセンサネット端末5は、トンネル1の内壁面2などに設置されるので、防水対策を施しておくことが望ましい。例えば、アンテナ60を樹脂でコーティングすることによって、冬季における凍結を防止することが考えられる。また、センサネット端末5全体に簡易なカバーを設けることによって、水分の付着を避けることが考えられる。更に、アンテナ60が水に濡れた場合に電波が減衰しても、無線通信に問題が発生しないような距離間隔に基づく配置を行うようにしてもよい。
第6図は、本発明の実施の形態に係るルート基地局端末のブロック構成及び外観イメージを示す図である。第6図(a)に示すように、ルート基地局端末8は、LSI71、中継基地局端末7とのデータの送受信を行うアンテナ80、ネットワーク3に接続するネットワーク接続機器81、及び、電源82から構成される。LSI71は、アンテナ80に接続され、中継基地局端末7とのデータの送受信を制御する無線送受信回路72、コントローラ回路73、センサネット端末5が測定、送信した電流値データを記録する不揮発メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である電流値データ記録回路74、ネットワークプロトコルに則ってネットワーク3とのデータの送受信を制御するネットワークインタフェース制御回路75、プログラムメモリ76、作業用メモリ77、タイマ回路78、及び、電源制御回路79から構成される。
第6図(b)に示すように、ルート基地局端末8の外観は、アンテナ80、ルート基地局端末8本体及びネットワーク接続機器81に分かれており、ルート基地局端末8本体上にLSI71と電源82とが設けられている。
なお、以上の説明においては、センサネット端末5と共通する部分(同一の名称)の詳細説明を割愛した。また、中継基地局端末7は、第6図のルート基地局端末8の構成からネットワークインタフェース制御回路75及びネットワーク接続機器81を除いた構成を備える。
≪遠隔監視装置の構成と概要≫
第7図を参照して、遠隔監視装置の構成と概要を説明する。第7図に示すように、遠隔監視装置9は、ネットワーク接続手段91、電流値データ蓄積手段92、ひび割れ箇所推定手段93及びひび割れ箇所表示手段94から構成される。ネットワーク接続手段91は、ネットワーク3に接続するネットワーク接続機器であり、ネットワーク3を介してルート基地局端末8から電流値データを受信する機能を持つ。電流値データ蓄積手段92は、ネットワーク接続手段91が受信した電流値データを記憶、蓄積するものであり、不揮発性のハードディスク装置やフラッシュメモリによって実現される。ひび割れ箇所推定手段93は、電流値データ蓄積手段92に蓄積された電流値データを入力、参照し、その電流値データと所定の閾値とを比較することによって、ひび割れ箇所を推定するものであり、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などによって実現される。ひび割れ箇所表示手段94は、ひび割れ箇所推定手段93が推定したひび割れ箇所を表示するものであり、ディスプレイ画面などによって実現される。
≪センサネット端末と導電性塗布パターンの接続≫
続いて、第8図乃至第12図を参照して、トンネルの内壁面におけるセンサネット端末と導電性塗布パターンとの接続について説明する。
第8図に示すように、センサネット端末5には、アンテナ60と、4つの端子、すなわち、端子T1、端子T2、端子T3及び端子T4とが付設されている。端子T1及び端子T2は、導電チェック用の端子であり、それぞれが導電性塗布パターン4の両端に接続される。センサネット端末5は、この端子T1及び端子T2の間に所定の電圧を印加することによって、導電性塗布パターン4に電流を流す。そして、導電性塗布パターン4に流れる電流値を測定する。端子T3はグランド用であり、端子T4は電源用である。すなわち、端子T3及び端子T4は、センサネット端末5に電力を供給するための端子である。これらの端子と、導電性塗布パターン4との接続について第9図に示す。第9図は、導電性塗布パターン4(41、42、43)とセンサネット端末5とがトンネル1の内壁面2(第1図など参照)に設置されたところを示している。導電チェック用の導電性塗布パターン41は、横長のU字形又はO字形になっていて、右側に位置するその両端にセンサネット端末5の端子T1と端子T2とがそれぞれ接続されている。一方、グランド用の導電性塗布パターン42は、上下方向に長く形成され、センサネット端末5の端子T3に接続できるように右側に突出した部分を持つ。また、電源用の導電性塗布パターン43も、上下方向に長く形成されるが、これは、センサネット端末5の端子T4に接続できるように左側に突出した部分を持つ。なお、グランド用の導電性塗布パターン42及び電源用の導電性塗布パターン43は、上側又は下側においてトンネル1の既存施設6(第1図など参照)が使用している電灯線などの既存の電源設備に接続される。第9図に示した例では、センサネット端末5がO字形の1つの導電性塗布パターン41を取り扱うので、このようなセンサネット端末5をO字形用という。
別の例として、第10図に示すセンサネット端末5には、アンテナ60と、6つの端子、すなわち、端子T1、端子T2、端子T3、端子T4、端子T5及び端子T6とが付設されている。端子T1及び端子T2、並びに、端子T3及び端子T4がそれぞれ2つ1組で導電チェック用の端子になっている。また、端子5はグランド用であり、端子6は電源用であり、2つ1組で電力供給用の端子になっている。第11図は、導電性塗布パターン4(41A、41B、45、46)とセンサネット端末5とがトンネル1の内壁面2(第1図など参照)に設置されたところを示している。導電チェック用Aの導電性塗布パターン41Aは、横長のU字形又はO字形になっていて、右側に位置するその両端にセンサネット端末5の端子T1と端子T2とがそれぞれ接続されている。導電チェック用Bの導電性塗布パターン41Bも、横長のU字形又はO字形になっているが、これは、左側に位置するその両端にセンサネット端末5の端子T3と端子T4とがそれぞれ接続されている。一方、グランド用の導電性塗布パターン45は、上下方向に長く形成され、センサネット端末5の端子T5がそのまま接続されている。電源用の導電性塗布パターン46も、上下に長く形成されるが、これには、センサネット端末5の端子T6がそのまま接続されている。導電性塗布パターン41Bの右側には、隣接する導電チェック用Aの導電性塗布パターンが設置されている。なお、グランド用の導電性塗布パターン45及び電源用の導電性塗布パターン46は、上側又は下側においてトンネル1の既存施設6(第1図など参照)が使用している電灯線などの既存の電源設備に接続される。第11図に示した例では、センサネット端末5がO字形の2つの導電性塗布パターン41A及び41Bを取り扱うので、このようなセンサネット端末を8字形用という。
第12図は、本発明の実施の形態に係るセンサネット端末の接着箇所の断面図である。第12図には、まず、トンネル1の内壁面2(第1図など参照)としてコンクリート21が示されている。その上に導電性塗布パターン4が塗布される。この導電性塗布パターン4の材質としては、カーボンや金属があげられる。次に、その上に導電性接着剤10が塗布される。この導電性接着剤10には、例えば、樹脂をベースにカーボンや金属を配合したペースト状の導電性樹脂が使用される。更に、その上にセンサネット端末5の端子Tが設置される。すなわち、導電性接着剤10によって、導電性塗布パターン4と端子Tとが接着される。なお、コンクリート21と導電性塗布パターン4との間に所定の膜材を設けるようにしてもよい。
≪システムの動作≫
第13図のフローチャートに沿って、本発明の実施の形態に係るトンネル落盤監視システムの動作について説明する(適宜第2図、第5図乃至第7図参照)。ここで、ステップS201乃至S203は、各端末の動作を示し、ステップS204乃至S208は、遠隔監視装置9の動作を示す。
まず、センサネット端末5は、それ自身が接続している導電性塗布パターン4に流れる電流値を測定し、その電流値データを中継基地局端末7に送信する(ステップS201)。センサネット端末5は、通常省電力モード(スリープ状態)になっているが、タイマ回路58のトリガによって所定の時間(例えば、数時間)ごとに稼動モードに移行し、電流値の測定、送信を行う。最初に、センサネット端末5自身に付設されている導電チェック用の端子を介して、それ自身が接続している導電性塗布パターン4の両端間に所定の電圧を印加する。次に、その印加した電圧によって導電性塗布パターン4に流れる電流の大きさである電流値を測定する。そして、その測定した電流値を電流値データとして最寄りの中継基地局端末7に無線送信する。そのとき、予めメモリなどに記録されているセンサネット端末5自身の識別情報又は位置情報を電流値データに含めるものとする。電流値データの送信が完了すると、再び省電力モードに戻る。
次に、中継基地局端末7は、電流値データの受信及び送信を行う(ステップS202)。電流値データの受信は、主として、その電流値データを測定、送信するセンサネット端末5から行う。ただし、他の中継基地局端末7が出力する電波の強度が十分でなく、その電波がトンネル1の外部のルート基地局端末8まで到達できない場合があり、その場合には中継のために他の中継基地局端末7から電流値データを受信する。電流値データの送信は、基本的には、ルート基地局端末8に対して行う。ただし、中継基地局端末7が出力する電波の強度が十分でなく、その電波がトンネル1の外部のルート基地局端末8まで到達できない場合があり、その場合には中継のために他の中継基地局端末7に電流値データを送信する。いずれにしても、中継基地局端末7は、センサネット端末5が送信した電流値データを受信又は中継してルート基地局端末8に無線送信する機能を持つ。
続いて、ルート基地局端末8は、中継基地局端末7から電流値データを受信し、その受信した電流値データをネットワーク3を介して遠隔監視装置9に送信する(ステップS203)。ルート基地局端末8は、トンネル1から離れた場所に設置され、トンネル1が崩壊しても安全が確保され、トンネル1を監視する機能を継続できるものとする。従って、電流値データを収集、中継する機能だけでなく、他の機能を持たせてもよい。例えば、所定の監視時間が経過しても、トンネル1の内部に設置された中継基地局端末7から電流値データを受信できないときには、トンネル1に何らかの問題が発生したものと認識し、遠隔監視装置9に警報情報を送信するようにしてもよい。
遠隔監視装置9においては、ネットワーク接続手段91がルート基地局端末8から送信された電流値データをネットワーク3を介して受信し、その受信した電流値データを電流値データ蓄積手段92が記録、蓄積する(ステップS204)。次に、ひび割れ箇所推定手段93によって、電流値データ蓄積手段92に蓄積された電流値データのチェック処理が行われる。具体的には、1つの格子を形成する導電性塗布パターン4に接続されたセンサネット端末5のグループごとに最近測定された電流値と、所定の閾値との比較によって行われる(ステップS205)。内壁面2にひび割れが発生し、導電性塗布パターン4の少なくとも一部が切断されたときには、その電気抵抗値が大きくなるので、その電流値は逆に小さくなる。従って、所定の閾値以下又は未満の電流値データがあるか否かをチェックする(ステップS206)。なお、一旦チェックされた電流値データは、消去してもよいし、別途時間的変化の傾向などを調査するためにそのまま記録しておいてもよい。
所定の閾値以下又は未満の電流値データがあれば(ステップS206のYes)、内壁面2にひび割れが発生していると推定し、内壁面2におけるひび割れ箇所の推定を行う(ステップS207)。具体的には、1つの格子を形成する導電性塗布パターン4に接続されたセンサネット端末5の電流値データから、所定の閾値以下又は未満の電流値を測定したセンサネット端末5の識別情報又は位置情報(以下、特定情報という)を抽出する。その抽出した特定情報をX方向と、Y方向とに分類する。そのX方向の特定情報の1つによって特定される導電性塗布パターン4と、そのY方向の特定情報の1つによって特定される導電性塗布パターン4とが交差する部分が、ひび割れ箇所であると推定することができる。例えば、第4図において、X方向では、セットSX5及びSX6の電流値データが閾値以下であり、Y方向では、セットSY3乃至SY6の電流値データが閾値以下であるとすれば、セットSX5及びSX6の導電性塗布パターン4と、セットSY3乃至SY6の導電性塗布パターン4とが交差する部分Rを、ひび割れが発生した可能性のある範囲として推定することができる。そして、ひび割れ箇所推定手段93が推定したひび割れ箇所を、ひび割れ箇所表示手段94に表示する(ステップS208)。例えば、第4図のようなデータがひび割れ箇所表示手段94に表示される。このとき、アラームを鳴らすことによって、トンネルの管理者などに対してひび割れ箇所表示手段94を見るように促してもよい。
これによって、トンネルの管理者は、遠隔監視装置9のひび割れ箇所表示手段94を見ることによって、ひび割れの発生及び推定されるひび割れ箇所を知ることができる。また、実際にトンネル1の内壁面2を点検、保守するとき、その表示データの印刷物を携帯することによって、推定されるひび割れ箇所を重点的に点検することができる。
なお、ステップS206において所定の閾値以下又は未満の電流値データがなければ(ステップS206のNo)、その時点ではひび割れ箇所はないものと認識し、遠隔監視装置9は処理を終了する。
以上本発明の実施の形態について説明したが、第2図に示す各端末及び装置のそれぞれで実行されるプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の実施の形態に係るトンネル落盤監視システムが実現されるものとする。ここでいうコンピュータシステムとは、OS(Operating System)などのソフトウエアや周辺機器などのハードウエアを含むものである。
≪その他の実施の形態≫
以上本発明について好適な実施の形態について一例を示したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
(1)前記実施の形態では、トンネル1の内壁面2に導電性塗料を塗布することによって形成される導電性塗布パターン4を記載したが、導電性シートを使用してもよい。
(2)前記実施の形態では、センサネット端末5が送信するデータを、電流値データとして記載したが、電気抵抗値であってもよいし、電流値や電気抵抗値と所定の閾値との比較結果(OK/NG)であってもよい。また、電流値や電気抵抗値に所定の計算を施すことによって得られる計算値であってもよい。更に、電流値や電気抵抗値が急に変化したことを通知するデータであってもよい。
(3)前記実施の形態では、センサネット端末5に電力を供給する方法として、グランド用及び電源用の導電性塗布パターンによる方法を記載したが、センサネット端末5自身に電源を持たせてもよい。例えば、円筒形ボタン電池ケースや、蓄電池を含む振動発電素子などを備えさせることが考えられる。
(4)前記実施の形態では、トンネル落盤監視システムについて記載したが、そのシステムをいわゆる土木構造物の壁面のひび割れを監視する土木構造物破損監視システムに適用してもよい。例えば、橋梁やプラント建造物に適用することが考えられる。この場合、日照条件がよい壁面などにセンサネット端末5を設置するときには、センサネット端末5の電源として蓄電池を含む太陽電池パネルを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明によると、例えば、トンネルの内壁面などに複数の導通線が縦横の格子状に設置されるので、ひび割れが発生したときに、その発生箇所を通過している縦方向の導通線及び横方向の導通線の少なくとも一部が切断され、例えば、それらの導通線の電流値データが小さくなる。従って、ひび割れ箇所の推定範囲を狭めることができ、内壁面の点検作業を効率的かつ重点的に行うことが可能になる。また、内壁面の広い範囲に導通線を設置することによって、広い範囲におけるひび割れの発生及び推定されるひび割れ箇所を知ることができる。
更に、本発明によると、センサネット端末と、中継基地局端末と、基地局端末との間は、無線通信によってデータの送受信を行う。また、中継基地局端末は、例えば、トンネルの換気扇や照明灯などの既存施設に設置され、その中継基地局端末に対する電力供給は電灯線などの既存電源によって行われる。従って、端末間の有線接続や新たなる電源の設置などの作業が不要であり、設置作業の負担を節減することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内壁面におけるひび割れの発生を監視し、そのひび割れが発生した箇所を推定するトンネル落盤監視システムであって、
前記トンネル落盤監視システムは、前記トンネルの内壁面に密着するように設置される複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記トンネルの外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成され、
前記複数の導通線は、前記導通線が所定の方向へ平行に並ぶように複数配置された第1の導通線群と、その第1の導通線群に交差するように、前記導通線が前記所定の方向と異なる方向へ平行に並ぶように複数配置された第2の導通線群とから構成され、
前記センサネット端末は、前記導通線の両端に接続される少なくとも2つ1組の端子と、前記基地局端末と無線通信を行う第1のアンテナと、前記端子を介して前記導通線の両端間に所定の電圧を印加し、その印加した電圧によって前記導通線に流れる電流の大きさを示す電流値を測定し、その測定した電流値又はその電流値に所定の計算を施すことによって得られる計算値をセンサデータとして前記基地局端末に前記第1のアンテナを介して送信する第1の制御手段とから構成され、
前記基地局端末は、前記センサネット端末と無線通信を行う第2のアンテナと、前記ネットワークと接続する第1のネットワーク接続手段と、前記第2のアンテナを介して前記センサネット端末から前記センサデータを受信し、その受信したセンサデータを前記第1のネットワーク接続手段及び前記ネットワークを介して前記遠隔監視装置に送信する第2の制御手段とから構成され、
前記遠隔監視装置は、前記ネットワークと接続する第2のネットワーク接続手段と、前記ネットワーク及び前記第2のネットワーク接続手段を介して前記基地局端末からセンサデータを受信し、その受信したセンサデータを蓄積するセンサデータ蓄積手段と、その蓄積したセンサデータを入力し、その入力したセンサデータと所定の閾値とを比較することによってその一部が切断されたと推定される少なくとも2つの前記導電線が交差する部分をひび割れが発生している箇所として推定するひび割れ箇所推定手段とから構成される
ことを特徴とするトンネル落盤監視システム。
【請求項2】
トンネルの内壁面におけるひび割れの発生を監視し、そのひび割れが発生した箇所を推定するトンネル落盤監視システムであって、
前記トンネル落盤監視システムは、U字形を成して前記トンネルの内壁面に密着するように設置される複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記トンネルの外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成され、
前記複数の導通線は、前記導通線が所定の方向へ平行に並ぶように複数配置された第1の導通線群と、その第1の導通線群に交差するように、前記導通線が前記所定の方向と異なる方向へ平行に並ぶように複数配置された第2の導通線群とから構成され、
前記センサネット端末は、前記導通線の両端に接続される少なくとも2つ1組の端子と、前記基地局端末と無線通信を行う第1のアンテナと、前記端子を介して前記導通線の両端間に所定の電圧を印加し、その印加した電圧によって前記導通線に流れる電流の大きさを示す電流値データを測定し、その測定した電流値データを前記基地局端末に前記第1のアンテナを介して送信する第1の制御手段とから構成され、
前記基地局端末は、前記センサネット端末と無線通信を行う第2のアンテナと、前記ネットワークと接続する第1のネットワーク接続手段と、前記第2のアンテナを介して前記センサネット端末から前記電流値データを受信し、その受信した電流値データを前記第1のネットワーク接続手段及び前記ネットワークを介して前記遠隔監視装置に送信する第2の制御手段とから構成され、
前記遠隔監視装置は、前記ネットワークと接続する第2のネットワーク接続手段と、前記ネットワーク及び前記第2のネットワーク接続手段を介して前記基地局端末から電流値データを受信し、その受信した電流値データを蓄積する電流値データ蓄積手段と、その蓄積した電流値データを入力、参照し、所定の閾値以下又は未満の電流値データが測定された少なくとも2つの前記導電線が交差する部分をひび割れが発生している箇所として推定するひび割れ箇所推定手段と、その推定したひび割れ箇所を表示するひび割れ箇所表示手段とから構成される
ことを特徴とするトンネル落盤監視システム。
【請求項3】
前記トンネル落盤監視システムは、更に、前記トンネルの内部に設置される中継基地局端末を備え、
前記センサネット端末の前記第1の制御手段は、前記測定した電流値データを前記中継基地局端末に送信し、
前記中継基地局端末は、前記センサネット端末及び他の中継基地局端末と無線通信を行う第3のアンテナと、前記第3のアンテナを介して、前記センサネット端末及び他の中継基地局端末から前記電流値データを受信し、その受信した電流値データを更に他の中継基地局端末又は前記基地局端末に送信する第3の制御手段とから構成される
ことを特徴とする請求の範囲第2項に記載のトンネル落盤監視システム。
【請求項4】
前記導通線は、導電性塗料の塗布又は導電性シートの貼付によって形成されることを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載のトンネル落盤監視システム。
【請求項5】
前記第1の導通線群と、前記第2の導通線群とは、相互に直交するように配置されることを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載のトンネル落盤監視システム。
【請求項6】
前記トンネル落盤監視システムは、ひび割れ箇所を推定するために測定するデータとして、前記導通線の電流値データの代わりに、前記導通線の電気抵抗値データを使用することを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載のトンネル落盤監視システム。
【請求項7】
前記トンネル落盤監視システムは、更に、前記トンネルの内壁面に密着するように設置される電力供給用導通線を備え、
前記電力供給用導通線は、グランド用導通線と、電源用導通線と、そのグランド用導通線と電源用導通線との間に所定の電圧を印加する電源装置とから構成され、
前記センサネット端末は、更に、前記グランド用導通線及び電源用導通線に接続される2つ1組の端子を備える
ことを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載のトンネル落盤監視システム。
【請求項8】
前記センサネット端末は、更に、電源として、電池及び振動発電素子の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載のトンネル落盤監視システム。
【請求項9】
トンネルの内壁面に密着するように設置され、相互に交差する複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記トンネルの内部に設置される中継基地局端末と、前記トンネルの外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成されるトンネル落盤監視システムにおけるトンネル落盤監視方法であって、
前記センサネット端末が、
前記導通線の両端間に所定の電圧を印加し、その印加した電圧によって前記導通線に流れる電流の大きさを示す電流値を測定するステップと、
その測定した電流値又はその電流値に所定の計算を施すことによって得られる計算値をセンサデータとして前記基地局端末に直接又は前記中継基地局端末を介して送信するステップと、
前記基地局端末が、
前記センサネット端末から直接又は前記中継基地局端末を介して前記センサデータを受信するステップと、
その受信したセンサデータを前記ネットワークを介して前記遠隔監視装置に送信するステップと、
前記遠隔監視装置が、
前記基地局端末から前記ネットワークを介してセンサデータを受信し、その受信したセンサデータを蓄積するステップと、
その蓄積したセンサデータを入力し、その入力したセンサデータと所定の閾値とを比較することによってその一部が切断されたと推定される少なくとも2つの前記導電線が交差する部分をひび割れが発生している箇所として推定するステップと、
を含むことを特徴とするトンネル落盤監視システムにおけるトンネル落盤監視方法。
【請求項10】
U字形を成してトンネルの内壁面に密着するように設置され、相互に交差する複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記トンネルの内部に設置される中継基地局端末と、前記トンネルの外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成されるトンネル落盤監視システムにおけるトンネル落盤監視方法であって、
前記センサネット端末が、
前記導通線の両端間に所定の電圧を印加し、その印加した電圧によって前記導通線に流れる電流の大きさを示す電流値データを測定するステップと、
その測定した電流値データを前記基地局端末に直接又は前記中継基地局端末を介して送信するステップと、
前記基地局端末が、
前記センサネット端末から直接又は前記中継基地局端末を介して前記電流値データを受信するステップと、
その受信した電流値データを前記ネットワークを介して前記遠隔監視装置に送信するステップと、
前記遠隔監視装置が、
前記基地局端末から前記ネットワークを介して電流値データを受信し、その受信した電流値データを蓄積するステップと、
その蓄積した電流値データを入力、参照し、所定の閾値以下又は未満の電流値データが測定された少なくとも2つの前記導電線が交差する部分をひび割れが発生している箇所として推定するステップと、
その推定したひび割れ箇所を表示するステップと、
を含むことを特徴とするトンネル落盤監視システムにおけるトンネル落盤監視方法。
【請求項11】
土木構造物の壁面におけるひび割れの発生を監視し、そのひび割れが発生した箇所を推定する土木構造物破損監視システムであって、
前記土木構造物破損監視システムは、前記土木構造物の壁面に密着するように設置される複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記土木構造物の外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成され、
前記複数の導通線は、前記導通線が所定の方向へ平行に並ぶように複数配置された第1の導通線群と、その第1の導通線群に交差するように、前記導通線が前記所定の方向と異なる方向へ平行に並ぶように複数配置された第2の導通線群とから構成され、
前記センサネット端末は、前記導通線の両端に接続される少なくとも2つ1組の端子と、前記基地局端末と無線通信を行う第1のアンテナと、前記端子を介して前記導通線の両端間に所定の電圧を印加し、その印加した電圧によって前記導通線に流れる電流の大きさを示す電流値を測定し、その測定した電流値又はその電流値に所定の計算を施すことによって得られる計算値をセンサデータとして前記基地局端末に前記第1のアンテナを介して送信する第1の制御手段とから構成され、
前記基地局端末は、前記センサネット端末と無線通信を行う第2のアンテナと、前記ネットワークと接続する第1のネットワーク接続手段と、前記第2のアンテナを介して前記センサネット端末から前記センサデータを受信し、その受信したセンサデータを前記第1のネットワーク接続手段及び前記ネットワークを介して前記遠隔監視装置に送信する第2の制御手段とから構成され、
前記遠隔監視装置は、前記ネットワークと接続する第2のネットワーク接続手段と、前記ネットワーク及び前記第2のネットワーク接続手段を介して前記基地局端末からセンサデータを受信し、その受信したセンサデータを蓄積するセンサデータ蓄積手段と、その蓄積したセンサデータを入力し、その入力したセンサデータと所定の閾値とを比較することによってその一部が切断されたと推定される少なくとも2つの前記導電線が交差する部分をひび割れが発生している箇所として推定するひび割れ箇所推定手段とから構成される
ことを特徴とする土木構造物破損監視システム。
【請求項12】
土木構造物の壁面におけるひび割れの発生を監視し、そのひび割れが発生した箇所を推定する土木構造物破損監視システムであって、
前記土木構造物破損監視システムは、U字形を成して前記土木構造物の壁面に密着するように設置される複数の導通線と、その導通線の両端に接続するように設置されるセンサネット端末と、前記土木構造物の外部に設置され、ネットワークを介して相互接続される基地局端末及び遠隔監視装置とから構成され、
前記複数の導通線は、前記導通線が所定の方向へ平行に並ぶように複数配置された第1の導通線群と、その第1の導通線群に交差するように、前記導通線が前記所定の方向と異なる方向へ平行に並ぶように複数配置された第2の導通線群とから構成され、
前記センサネット端末は、前記導通線の両端に接続される少なくとも2つ1組の端子と、前記基地局端末と無線通信を行う第1のアンテナと、前記端子を介して前記導通線の両端間に所定の電圧を印加し、その印加した電圧によって前記導通線に流れる電流の大きさを示す電流値データを測定し、その測定した電流値データを前記基地局端末に前記第1のアンテナを介して送信する第1の制御手段とから構成され、
前記基地局端末は、前記センサネット端末と無線通信を行う第2のアンテナと、前記ネットワークと接続する第1のネットワーク接続手段と、前記第2のアンテナを介して前記センサネット端末から前記電流値データを受信し、その受信した電流値データを前記第1のネットワーク接続手段及び前記ネットワークを介して前記遠隔監視装置に送信する第2の制御手段とから構成され、
前記遠隔監視装置は、前記ネットワークと接続する第2のネットワーク接続手段と、前記ネットワーク及び前記第2のネットワーク接続手段を介して前記基地局端末から電流値データを受信し、その受信した電流値データを蓄積する電流値データ蓄積手段と、その蓄積した電流値データを入力、参照し、所定の閾値以下又は未満の電流値データが測定された少なくとも2つの前記導電線が交差する部分をひび割れが発生している箇所として推定するひび割れ箇所推定手段と、その推定したひび割れ箇所を表示するひび割れ箇所表示手段とから構成される
ことを特徴とする土木構造物破損監視システム。
【請求項13】
前記土木構造物は、橋梁であることを特徴とする請求の範囲第11項又は第12項に記載の土木構造物破損監視システム。
【請求項14】
前記土木構造物は、プラント建造物であることを特徴とする請求の範囲第11項又は第12項に記載の土木構造物破損監視システム。

【国際公開番号】WO2005/033475
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509304(P2005−509304)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012571
【国際出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】