説明

ドア等開閉検知センサ

【課題】簡易な構成により一時的な警報解除を簡単に行うことができると共に、信頼性に優れた警戒状態等が容易に得られるドア等開閉検知センサを提供する。
【解決手段】本体ケース内に、ドア等の開閉を検知する検知部と、該検知部で検知された信号を処理する制御部と、該制御部で処理された信号に基づき警報信号をコントローラに送信する送受信部と、を備えたドア等開閉検知センサであって、制御部は、本体ケースに設けた応急スイッチが操作された際に、予め設定した所定時間、コントローラによる警報信号の発信を禁止させる応急信号を送受信部を介してコントローラに送信することを特徴とする。また、本体ケースには、応急スイッチの操作状態を示す表示灯が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵入警報システム等に使用されて、侵入者によるドアや窓(ドア等という)の開閉を検知するドア等開閉検知センサに係わり、特に、一時的に警報をキャンセル可能なドア等開閉検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア等開閉検知センサとしては、ワイヤレスマグネットセンサが使用されている。このワイヤレスマグネットセンサは、本体ケース内にマイコン等の制御部と送受信部等を備えると共に、リードスイッチ等の検知スイッチを備え、検知スイッチが例えばドア枠に取り付けたマグネットによりオン・オフしてドアの開閉が検知されるようになっている。そして、侵入警報システムが解除されていない警戒中に住人(非侵入者)が窓を開けると、この窓の開放を開閉検知センサが検知して一階の玄関等に設置されているコントローラに警報信号を送信し、コントローラから例えば警備会社等に警報が発せられるようになっている。なお、この種のドア等開閉検知センサに関する公報としては、例えば特許文献1がある。
【特許文献1】特開2001−298353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなドア等開閉検知センサにおいては、侵入警報システムの解除がコントローラの操作で行うようになっているため、例えば侵入警報システムの作動中に、住人が二階の部屋の窓を開けて掃除しようとして警報システムを一時的に解除する場合、住人が一階のコントローラの設置場所まで一々戻って解除操作する必要があり、その操作性(使い勝手)が劣ることになる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な構成により一時的な警報解除を簡単に行うことができて、操作性に優れたドア等開閉検知センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケース内に、ドア等の開閉を検知する検知部と、該検知部で検知された信号を処理する制御部と、該制御部で処理された信号に基づき警報信号をコントローラに送信する送受信部と、を備えたドア等開閉検知センサであって、前記制御部は、本体ケースに設けた応急スイッチが操作された際に、予め設定した所定時間、前記コントローラによる警報信号の発信を禁止させる応急信号を前記送受信部を介してコントローラに送信することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記本体ケースに、前記応急スイッチの操作状態と前記所定時間を表示可能な表示灯を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、本体ケースに設けた応急スイッチが操作された際に、予め設定した所定時間、コントローラによる警報信号の発信を禁止させる応急信号を送受信部を介してコントローラに送信するため、本体ケースに応急スイッチを設けてこの信号を制御部で処理するという簡易な構成により、本体ケース部分で一時的な警報解除操作を行うことができて、センサの操作性を向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、本体ケースに応急スイッチの操作状態と所定時間を表示可能な表示灯が設けられているため、住人等が表示灯の表示により応急スイッチの操作状態や応急状態中である時間を確実かつ簡単に把握できて、センサ自体の使い勝手の向上が図れると共に一層信頼性に優れた警戒状態を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明に係わるドア等開閉検知センサの一実施形態を示し、図1がその平面図、図2が底面図、図3が側面図、図4が制御系のブロック図、図5及び図6が動作の一例を示すフローチャートである。
【0010】
図1〜図3に示すように、ドア等開閉検知センサ1(以下、センサ1という)は、縦長の長方形状の本体ケース2を有している。この本体ケース2は、有底状の本体部2aと、この本体部2aの前面下部に着脱可能に配設された電池カバー部2bとで構成され、本体部2aの前面下部には、応急スイッチ3と表示灯4が本体ケース2の前面に露出する状態で配設されている。
【0011】
前記応急スイッチ3は、例えばプッシュスイッチ等で構成され、前方から住人の指により押圧操作されることにより、オン・オフするようになっている。また、前記表示灯4は、複数色(例えば赤色と緑色)のLEDで形成され、後述する警報送信時に赤色LEDが点灯し、警報の一時解除時や電池警告時に緑色LEDが点滅するようになっている。なお、前記本体ケース2内には、リチウム電池等の電池5が収納配置されると共に、後述する制御部6等が内蔵配置されている。また、前記電池カバー2bは、本体部2aにカバーネジ11(図2参照)によって固定されている。
【0012】
図4は、このセンサ1の制御系のブロック図を示している。図4に示すように、センサ1は、マイコン等からなりCPU7とタイマ8等を有する制御部6と、この制御部6に電源を供給する前記電池5と、制御部6の入力側に接続された検知部9及び前記応急スイッチ3と、制御部6の出力側に接続された前記表示灯4と、通信モジュール等からなる前記送受信部10と、記憶部14等を備えている。
【0013】
そして、図示しないドア枠に設けたマグネット12に対向配置されたリードスイッチ等からなる検知部9が、ドア等の開閉に伴って移動するマグネット12の接離によりオン・オフして、その信号が制御部6に入力されるようになっている。また、送受信部10は例えば住宅の一階の玄関に設けたコントローラ13に無線で接続され、センサ1からこのコントローラ13に警報信号や後述する応急信号が送信されて、このコントローラ13から警備会社等に所定の信号が送信されるようになっている。
【0014】
次に、このように構成されたセンサ1の動作の一例を図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、図5に示すフローチャートは、前記記憶部14に予め記憶されてプログラムにしたがって自動的に実行される。先ず、センサ1の設置は、本体ケース2に電池5をセットして、該本体ケース2を例えばドア枠の所定位置に両面テープ等により取付け、この本体ケート2の検知部9と対向する窓(もしくはドア)の所定位置にマグネット12を取付けることにより行われる。
【0015】
そして、図5に示すように、コントローラ13によって警戒状態に設定されると、センサ1のプログラムが開始(S100)され、応急スイッチ3がオンが否かが判断(S101)され、この判断S101は「YES」になるまで繰返される。この判断S101で「YES」になると、すなわち住人が掃除等のためにセンサ1が設置されている窓を開けようとして、本体ケース2の前面に設けられている応急スイッチ3を押圧操作すると、応急スイッチ3からON信号(もしくはOFF信号)が制御部6に入力される。
【0016】
この信号が制御部6で確認されると、表示灯4(例えば赤色LED)を点灯し、このとき、制御部6は、応急スイッチ3が例えば0.3秒以上押された場合にのみ応急スイッチ3がオンであると判定して、表示灯4が所定時間T赤色で点灯するようになっており、この表示灯4の点灯中に住人によって窓が開放される。
【0017】
表示灯4が点灯すると、制御部6内のタイマ8がスタート(S102)し、タイマの設定時間である前記所定時間Tが経過してタイマ8がタイムアップしたか否かが判断(S103)される。そして、判断S103で「NO」の場合、すなわちタイマが時間T(5秒)経過していない場合は、検知部9がオンが否かが判断(S104)され、この判断S104「NO」の場合はステップS103に戻り、判断S104で「YES」の場合、すなわち、タイマが作動中に住人により窓が開放されて検知部9がオンした場合は、応急状態であることを示す信号(応急信号という)がコントローラ13に送信(S105)される。
【0018】
このとき、制御部6からは応急信号と検知部9の検知信号の両信号がコントローラ13に送信され、コントローラ13は応急信号によりセンサ1が応急状態であると判定し、検知信号は無視する状態で警備会社等への警報信号の発信を禁止、すなわち警報動作をしないようになっている。なお、コントローラ13は、応急スイッチ3の操作による応急信号が入力されると、コントローラ13側の解除操作による警戒状態への復帰ができないようになっている。
【0019】
一方、前記判断S103で「YES」の場合、すなわち、応急スイッチ3をオンした後で時間T=5秒以内(表示灯4が赤色で点灯している間)に窓を開放せずタイマ8がタイムアップした場合は、一連のプログラムを終了(S106)して、センサ1が自動的に初期状態(警戒状態)に戻るようになっている。つまり、このフローチャートによれば、応急スイッチ3がオン操作されると共に窓が開放されてこれを検知部9が検知した際に、検知部9の検知信号を制御部6が応急状態(警報一時解除状態)と判断して、警報信号でない旨の信号(応急信号)をコントローラ13に送信して、コントローラから警備会社への警報動作が禁止されることになる。
【0020】
なお、以上のフローチャートは一例であって、例えば図6に示すフローチャートを採用することもできる。すなわち、判断S104で検知部9がONか否かが判断され、この判断S104で「YES」の場合に、検知部9がOFFか否かが判断(S107)され、この判断S107で「YES」の場合、すなわち、応急スイッチをONさせて窓を開放して掃除等をした後に窓が閉められた場合は、応急動作をリセット(S108)して終了(S106)する。
【0021】
また、判断S103でタイムアップした場合も、応急動作をリセット(S108)して一連のプログラムが終了する。つまり、このフローチャートの場合は、窓を開放した応急状態の際に窓を再び閉めることにより、応急動作が自動的にリセットされて、警戒状態に設定されることになり、応急操作時の無警戒状態から警戒状態への復帰が確実に行えることになる。
【0022】
このように、上記実施形態のセンサ1にあっては、本体ケース2に設けた応急スイッチ3が押圧操作されてオンとなった場合に、タイマ8が作動して予め設定した所定時間侵入警報システムが応急状態に設定されて、窓を開放してもコントローラ13から警報信号が発信されないため、本体ケース2に応急スイッチ3を設けてこの信号を制御部6で処理するという簡易な構成により、本体ケース2部分で一時的な警報解除操作である応急操作を行うことができて、例えばセンサ1が設置されている部屋を掃除する際等に、住人等がコントローラ13の位置まで戻って解除操作を一々行う必要がなくなり、センサ1の操作性を向上させることができる。
【0023】
また、応急スイッチ3の操作により在宅時の警戒状態を得ることができるため、この警戒状態と外出時の警戒状態とを区別して使用することができると共に、応急時のコントローラ13側での警戒設定ができないようになっているため、応急解除をタイマ8の時間設定のみによって行うことができ、警報の必要ない時に警報を送信しないセンサ1を得ることができる。また、応急スイッチ3をONし窓を開放した後に窓を閉じることにより、応急動作をリセットするように構成すれば、応急動作を自動的にリセットして警戒状態に設定することができて、応急操作時の無警戒状態から警戒状態への復帰が確実となり、信頼性の高い侵入警報システムを得ることが可能となる。
【0024】
さらに、応急スイッチ3や表示灯4が本体ケース2の前面に露出状態で設けられているため、住人等による操作性を向上させることができると共に、表示灯4のタイマ時間Tに対応した赤色点灯により応急スイッチ3の操作状態や応急状態中であるか否かを住人等が確実かつ簡単に把握でき、これらにより、センサ1自体の使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【0025】
ところで、上記実施形態においては、本体ケース2内にリードスイッチ等からなる検知部9を配置したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば図7に示すように、制御部6内にドア等の開閉信号が入力される検知部9aを構築し、この検知部9aに本体ケース2外に設けられてドア等の開閉状態を検知する検知手段15を接続する構成としても良い。この場合、検知手段15としては、例えば図8に示すように、マグネット16bが一体的に取付けられたクレセント錠16aと、マグネット16bによりオン・オフされるリードスイッチ16c等で構成され、クレセント錠16aの開閉操作によりリードスイッチ16cのオン・オフ信号が前記検知部9aに入力されるように構成される。このような実施形態においては、例えばクレセント錠16bのマグネット16cを有効利用できて、本体ケース2内の構成の簡略化が図れると共に、ドア等に必然的に設けられる各種錠を利用できて、設置の汎用性を高めること等が可能となる。
【0026】
なお、上記実施形態においては、検知部9としてマグネット12の接離によりオン・オフする非接触型のリードスイッチを使用したが、本発明はこれに限定されず、例えば作動子を有するマイクロスイッチ等を使用し、このスイッチの作動子を窓に設けた駆動板で押圧することによりオン・オフさせる接触型の各種スイッチを使用することもできる。また、上記実施形態における、表示灯4の構成や制御系のブロック図等も一例であって、例えば複数個の表示灯を本体ケースの所定位置に別々に配置する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、無線によりコントローラに接続されるセンサに限らず、有線によって接続可能な各種ドア等開閉検知センサにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係わるドア等開閉検知センサの平面図
【図2】同その底面図
【図3】同側面図
【図4】同制御系のブロック図
【図5】同動作の一例を示すフローチャート
【図6】同他の動作の一例を示すフローチャート
【図7】本発明に係わるドア等開閉検知センサの他の実施形態を示す概略構成図
【図8】同その検知手段の一例を示す構成図
【符号の説明】
【0029】
1・・・ドア等開閉検知センサ、2・・・本体ケース、2a・・・本体部、2b・・・電池カバー部、3・・・応急スイッチ、4・・・表示灯、5・・・電池、6・・・制御部、7・・・CPU、8・・・タイマ、9、9a・・・検知部、10・・・送受信部、12・・・マグネット、13・・・コントローラ、14・・・記憶部、15・・・検知手段、16a・・・クレセント錠、16b・・・マグネット、16c・・・リードスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に、ドア等の開閉を検知する検知部と、該検知部で検知された信号を処理する制御部と、該制御部で処理された信号に基づき警報信号をコントローラに送信する送受信部と、を備えたドア等開閉検知センサであって、
前記制御部は、本体ケースに設けた応急スイッチが操作された際に、予め設定した所定時間、前記コントローラによる警報信号の発信を禁止させる応急信号を前記送受信部を介してコントローラに送信することを特徴とするドア等開閉検知センサ。
【請求項2】
前記本体ケースに、前記応急スイッチの操作状態と前記所定時間を表示可能な表示灯を設けたことを特徴とする請求項1に記載のドア等開閉検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−128955(P2009−128955A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299947(P2007−299947)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】