説明

ドネペジルを調製するための方法および中間体

本発明は、式(III)の新規な化合物に関する:ここでのRは、C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である。本発明はまた、式(IV)の新規な化合物に関する:
ここでのMは金属である。本発明はまた、式(III)および(IV)の化合物を製造する方法、並びにこれら化合物を使用して、ドネペジルおよびその医薬的に許容可能な塩、例えばドネペジル塩酸塩を製造する方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の合成のための新規な方法に関する。本発明は更に、この方法において使用される新規な合成中間体およびその調製に関する。
【発明の背景】
【0002】
米国特許第4,895,841号は、環状アミン化合物としての(±)−2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オン塩酸塩として化学的に知られた、ドネペジル(donepezil)塩酸塩(I)を開示している。
【化6】

【0003】
ドネペジル塩酸塩(I)は、アルツハイマー型疾患の温和または中程度の痴呆の治療に有用な酵素、アセチルコリンエステラーゼの可逆的阻害剤である。
【0004】
N−ベンジル−4−ホルミルピペリジン(II)は、ドネペジルの合成における重要な中間体である。
【化7】

【0005】
中間体(II)は、塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムを、EP0206560に開示された試薬として使用することによって得ることができる。しかし、この反応は非常に高価であるだけでなく、極低温条件下で反応を生じさせることを必要とする。米国特許第4,895,841号に開示されたようなもう一つの方法は、中間体(II)の合成にピリジン−4−アルデヒドを用い、次いで該中間体は最終段階で芳香族環の還元を受けるが、これもまた非常に過酷な反応条件を含んでいる。
【0006】
ドネペジル塩酸塩を調製するための他の多くの方法が当該技術において知られており、これらはWO2005076749、EP1531151、およびWO2005003092のような特許出願中に例示されている。
【0007】
本発明は新規であり、また新規な合成中間体を使用したドネペジル塩酸塩の合成に関する。従って、本発明の目的は、新規な中間体を使用してドネペジル塩酸塩を合成するための単純で且つ工業的に実行可能な方法を提供することである。本発明は、ドネペジルの合成を、コスト効果的な方法で且つ好ましくない反応条件を回避して実行することを可能にする。
【発明の概要】
【0008】
広義には、本発明は新規な中間体を使用して、ドネペジルおよびその塩を調製するための方法に関する。
【0009】
本発明の一つの側面に従えば、式(III)の化合物を調製する方法が提供される。
【化8】

【0010】
ここで、RはC〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、前記方法は、N−ベンジル−4−ピペリドンを式(V)の化合物と反応させることを含む:
X−CHCOOR’ (V)
ここでのXは、Cl、BrまたはIであり、またR’は、C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である。
【0011】
本発明のもう一つの側面に従えば、式(IV)の化合物の調製方法が提供される:
【化9】

【0012】
ここで、Mはアルカリ金属であり、前記方法は、式(III)の化合物を上記で述べた方法を使用して式(III)の化合物を調製し、次いで、該式(III)の化合物を溶媒の存在下で塩基と反応させることを含む。
【0013】
本発明のもう一つの側面に従えば、式(II)の化合物を調整する方法が提供され:
【化10】

【0014】
該方法は、上記で述べた方法により式(IV)の化合物を調製し、次いで酸を添加して式(II)の化合物を形成することを含む。
【0015】
本発明のもう一つの側面に従えば、ドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩を調製するための方法であって、(i)請求項12〜14の何れか1項に従う方法によって式(II)の化合物を調製することと;(ii)工程(i)で調製された式(II)の化合物を5,6−ジメトキシインダノンと反応させて、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを製造することと;(iii)工程(ii)で製造された1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを触媒の存在下で水素化して、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジンを製造することと;任意に、(iv)工程(iii)で製造された1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジンをその医薬的に許容可能な塩に変換することを含んでなる方法が提供される。
【0016】
本発明のもう一つの側面に従えば、式(III)の化合物が提供される:
【化11】

【0017】
ここでのRは、C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である。
【0018】
本発明のもう一つの側面に従えば、式(IV)の化合物が提供される:
【化12】

【0019】
ここでのMはアルカリ金属である。
【発明の詳細な説明】
【0020】
一つの側面において、本発明はドネペジルおよびその塩を合成する方法を提供するものであり、これは重要な中間体であるN−ベンジル−4−ホルミルピペリジン(II)を介して合成され、該重要な中間体自身は式(III)の中間体を通って調製される:
【化13】

【0021】
ここで、R=C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル鎖である。好ましくは、R=C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル鎖である。最も好ましくは、Rはエチルである。この方法は、より安価で且つ容易に入手可能な商業的試薬の使用を含んでおり、これは該方法を工業的に経済的にすると共に、ドネペジル塩酸塩(I)のより高い収率および純度を伴う。
【0022】
もう一つの側面において、本発明は、式(III)の中間体を使用して、N−ベンジル−4−ホルミルピペリジン(II)を合成するための、新規で且つ効率的な方法を提供する。
【0023】
更にもう一つの側面において、本発明は、式(III)の化合物およびその調製のための方法を提供する。この方法は、適切な溶媒中で且つ塩基の存在下でのN−ベンジル−4−ピペリドンとX−CHCOORの反応を含んでおり、ここでのX=クロロ、ブロモ、ヨードであり、またRは直鎖もしくは分岐鎖のC〜Cアルキル、好ましくは直鎖もしくは分岐鎖のC〜Cアルキルである。前記塩基は、好ましくはアルカリ金属アルコキシド、およびアルカリ金属アミド、またはアルキルリチウムである。アルコキシドは、好ましくはC〜Cアルコキシド、より好ましくはC〜Cアルコキシド、最も好ましくはメトキシドまたはエトキシドである。アルキルリチウムのアルキル基は、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキル、最も好ましくはメチルまたはエチルである。例えば、以下の材料が塩基としての使用に適している:即ち、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムアミド、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等、またはそれらの混合物である。この反応のために用いられる溶媒は、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサンもしくはTHF、またはそれらの混合物から選択される。
【0024】
化合物(III)を形成するための反応は、それが0℃よりも高い温度で実行できるという利点を有する。即ち、極低温で行わなければならないことはない。反応温度は、適切には10℃〜30℃の範囲である。
【0025】
グリシド酸エステル(III)は更に、適切な有機溶媒中において、塩基の存在下に、グリシド酸のアルカリ金属塩(IV)、好ましくはナトリウム塩に更に変換されてよい。
【化14】

【0026】
ここで、好ましくは、M=Li、NaまたはKである。
【0027】
式(III)の化合物との反応に使用される塩基は、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物である。該アルコキシドは、好ましくは、好ましくはC〜Cアルコキシド、より好ましくはC〜Cアルコキシド、最も好ましくはメトキシドまたはエトキシドである。該アルカリ金属は、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウムである。ナトリウムメトキシドが塩基として特に好ましい。
【0028】
式(III)の化合物との反応に使用される溶媒は、好ましくはアルコール、好ましくはC〜Cアルコール、より好ましくはC〜Cアルコール、最も好ましくはエタノールである。
【0029】
化合物(IV)を形成するための反応は、それが0℃よりも高い温度で実行できるという利点を有する。即ち、極低温で行わなければならないことはない。この反応温度は、適切には10℃〜30℃の範囲である。この反応温度は、適切には10℃〜30℃の範囲である。
【0030】
次いで、グリシド酸の金属塩(IV)は、何れかの水性鉱酸の存在下において、約25〜90℃の温度で、N−ベンジル−4−ホルミルピペリジン(II)に変換されてよい;この反応はダルツェンの反応として知られている。このN−ベンジル−4−ホルミルピペリジン(II)は更に、5,6−ジメトキシインダノンと反応されてよい。得られた生成物は、好ましくは炭素上のパラジウムで還元されて、ドネペジルの遊離塩基を生じる。次いで、該ドネペジル遊離塩基は、任意に医薬的に許容可能な塩、例えばドネペジル塩酸塩(I)に変換されてよい。
【0031】
以下の実施例は、本発明の特定の側面を例示するものである。これらの実施例は、何れの側面においても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0032】
実施例1
N−1−ベンジル−4−(2’−エチルカルボキシレート)エポキシピペリジンの調製
窒素の入口およびCaCl保護管を備えた500mLフラスコに、300mLの乾燥トルエンを加えた。これに、100g(0.529モル)のN−ベンジル−4−ピペリドンおよび65.0g(0.53モル)のクロロ酢酸エチルの混合物を加えた。その内容物を−5℃に冷却し、温度を0℃未満に維持しながら、ナトリウムアミド31.0g(0.793モル)を2時間に亘って添加した。添加が終わったら、内容物を室温(約25℃)まで加温し、2時間撹拌した。反応物を、粉砕した氷を満たしたビーカーの中に徐々に注ぎ、500mLの酢酸エチルの中に抽出した。有機層を3部の400mL水で洗浄し、最後の1部には6mLの酢酸を含ませた。誘起層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで真空下で濃縮して、102.0gの粗製グリシジルエステルを得(収率70%)、これは如何なる精製も伴わずにそのまま更なる工程のために使用された。
【0033】
実施例2
N−1−ベンジル−4(2’−ナトリウムカルボキシレート)エポキシピペリジン−5−カルボン酸の調製
実施例1のグリシジルエステルを、15℃のエタノール中ナトリウムメトキシド溶液中に徐々に注ぎ、次いで室温に加温し、一晩撹拌して固体を得た。この固体を真空下で濾過し、50mLのエタノールで洗浄した後、50mLのジエチルエーテルで洗浄した。オフホワイトの固体は88.0gと秤量された(85%)。
【0034】
実施例3
N−ベンジル−4−ホルミルピペリジンの調製
実施例2のナトリウム塩を、50mLのHClを含む250mLの水中に溶解し、還流温度(訳90℃)で加熱し、2時間維持した。次いで、氷水を用いて反応物を15℃にまで冷却し、該溶液に液体アンモニアを徐々に添加してpHをアルカリ性にした。この内容物を300mLのジクロロメタン中に抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を減圧下で濃縮して、着色した油状物45gを得た(収率68%)。
【0035】
実施例4
1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンの調製
25mLのTHF中に溶解された1.0gの5,6−ジメトキシインダノンの溶液に、0.562gのナトリウムメトキシドを加えた。この反応物を60℃に加熱し、30分維持した後に10℃に冷却した。次いで、温度を10℃未満に維持しながら、25mLのTHF中に溶解された1.1gのN−ベンジル−4−ホルミルピペリジンを、30分に亘り滴下して添加した。添加が完了した後、該反応を25〜30℃に徐々に加温し、3時間撹拌した。該反応を冷水中で急冷し、100mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を100mLの水で2回洗浄し、また100mLの塩化ナトリウム溶液で洗浄して、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を真空下で濃縮して、オフホワイトの固体を得た(1.4g、収率71%)。
【0036】
実施例5
1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン塩酸塩(ドネペジル塩酸塩)の調製
1.0gの1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを50mLのエタノール中に溶解し、これに100mgの10%炭素上パラジウムを添加した。反応物を、10psiの水素圧に1時間曝した。次いでろ過により触媒を除去し、濾液を濃縮して残渣とし、これを100mLの酢酸エチル中に溶解し、15℃に冷却した。更に10mLの濃HClを添加し、得られた固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥した。該固体重量は0.9gであった(収率81%)。
【0037】
実施例6
1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン塩酸塩(ドネペジル塩酸塩)の調製
<工程a>:1−ベンジル−4−エポキシ−4−アルファ−カルボキシエチルピペリジン
3Lのトルエン中の、1kgのN−ベンジル−4−ピペリドンおよび648gのクロロ酢酸エチルの溶液を10℃に冷却し、310gのナトリウムアミドを1.5時間に亘って少しずつ添加した。添加が完了した後に反応物を25〜30℃に加温し、3時間撹拌した。該反応物を、砕氷を含むビーカーの中に注ぎ、5Lの酢酸エチル中に抽出した。この酢酸エチル層を、60mLの酢酸を含む2.5Lの水で3回洗浄した。次いで、有機層を2.5Lの塩水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を減圧下で濃縮して、1kgと秤量された黄色の油状物を得た。
【0038】
<工程b>:1−ベンジル−4−エポキシ−4−α−カルボキシエチルピペリジンのナトリウム塩
工程aの生成物1kgを500mLの95%エタノール中に溶解し、95%エタノール500mL中のナトリウムメトキシド235gの冷溶液に徐々に添加した。添加の後に、該溶液を25〜30℃に加温し、一晩撹拌した白色固体を得、これを濾過して吸引乾燥した。収量785g。
【0039】
<工程c>:N−ベンジル−4−ホルミルピペリジン
工程bの生成物785gを2.3Lの水の中に溶解し、これに418mLの濃HClを徐々に添加した。該混合物を1.5時間還流させ、次いで15℃に冷却し、pH=8.5〜9.0になるまで液体NHを加えた。内容物を2.5Lのクロロホルム中に抽出し、水および塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して明黄色油状物を得た(88.5g)。
【0040】
<工程d>: 1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジン
78.5gの5,6−ジメトキシインダノンを500mLのTHF中に溶解し、それに66gのナトリウムメトキシドを加えた。この混合物を60℃まで加熱し、30〜45分間維持した後に5℃まで冷却した。工程dの生成物88.5gを500mLのTHF中に溶解し、温度を5〜10℃に維持しながら30分に亘って滴下添加した。添加が終了したら、反応混合物を室温にまで加温し、3時間に亘って撹拌した。反応物を冷水中に注ぎ、2.5Lの酢酸エチルの中に抽出し、水で洗浄し、次いで塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して固体を得た(109g)。
【0041】
<工程e>:1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン塩酸塩
109gの工程dの生成物を95%エタノール中に溶解し、それに11gの10%炭素上パラジウムを加えた。この混合物を10psiで1時間水素化した。次いで触媒を濾過により除去し、濾液を濃縮して残渣とし、該残渣を500mLの酢酸エチルの中に溶解して10℃に冷却した。次いで、IPA中に溶解されたHClガスを加えて固体を沈殿させた。得られた固体を濾過し、乾燥して、100gの1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン塩酸塩を得た。
【0042】
実施例を参照して本発明の目的を説明してきたが、ここでの実施例および説明は本発明の理解を容易にするための例示として提供されるものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。如何なる当業者も、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更および修飾を行うことができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)の化合物を調製する方法であって:
【化1】

ここでのRは、C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である
N−ベンジル−4−ピペリドンを式(V)の化合物と反応させること含んでなる方法:
X−CHCOOR’ (V)
ここでのXは、Cl、BrまたはIであり、またR’は、C〜Cの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記反応が塩基の存在下で行われる方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記塩基がアルカリ金属アルコキシド、およびアルカリ金属アミド、またはアルキルリチウムである方法。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の方法であって、前記反応が溶媒の存在において行われる方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記溶媒がベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、THFまたはそれらの混合物である方法。
【請求項6】
式(IV)の化合物の調製方法であって:
【化2】

ここで、Mはアルカリ金属である
請求項1〜5の何れか1項に記載の方法を使用して式(III)の化合物を調製し、次いで該式(III)の化合物を溶媒の存在下で塩基と反応させることを含んでなる方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、式(III)の化合物との反応に使用される塩基は、アルカリ金属アルコキシド、またはアルカリ金属水酸化物である方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、式(III)の化合物との反応に使用される塩基がアルカリ金属メトキシドである方法。
【請求項9】
請求項6、7または8に記載の方法であって、前記アルカリ金属がリチウム、ナトリウムまたはカリウムである方法。
【請求項10】
請求項6、7、8または9に記載の方法であって、式(III)の化合物との反応に使用される前記溶媒がC〜Cアルコールである方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、式(III)の化合物との反応に使用される前記溶媒がエタノールである方法。
【請求項12】
式(II)の化合物を調製する方法であって:
【化3】

請求項1〜6の何れか1項に記載の方法により式(IV)の化合物を調製し、ついで鉱酸を添加して式(II)の化合物を形成することを含んでなる方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記鉱酸が塩酸、硫酸またはリン酸である方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法であって、前記式(IV)の化合物との反応が25℃〜90℃の温度で行われる方法。
【請求項15】
ドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩の調製方法であって、(i)請求項12〜14の何れか1項に記載の方法により式(II)の化合物を調製することと;(ii)工程(i)で調製された式(II)の化合物を5,6−ジメトキシインダノンと反応させて、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを製造することと;(iii)工程(ii)で製造した1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを触媒の存在下で水素化して、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジンを製造することと;任意に、(iv)工程(iii)で製造された1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジンをその医薬的に許容可能な塩に変換することとを含んでなる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記塩が塩酸塩である方法。
【請求項17】
ドネペジル塩酸塩を調製する方法であって、(i)請求項12〜14の何れか1項に記載の方法により式(II)の化合物を調製することと;(ii)工程(i)で調製された式(II)の化合物を5,6−ジメトキシインダノンと反応させて、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを製造することと;(iii)工程(ii)で製造された1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニルメチルピペリジンを触媒の存在下で水素化して、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジンを製造することと;(iv)工程(iii)で製造された1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン を、1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン塩酸塩に変換することとを含んでなる方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の方法であって、工程(iv)において、工程(iii)で製造された1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジンの1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノイル)−2−イル]メチル−ピペリジン塩酸塩への変換が、HClの添加によって行われる方法。
【請求項19】
請求項15、16、17または18に記載の方法であって、工程(iii)で使用される触媒がパラジウム触媒である方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法により形成された、ドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩 。
【請求項21】
医薬として使用するための、請求項20に記載のドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩 。
【請求項22】
痴呆の治療に使用するための、請求項20に記載のドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩 。
【請求項23】
痴呆を治療するための医薬の製造において使用するための、請求項20に記載のドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩 。
【請求項24】
医薬的に許容可能なキャリアと組み合わせて請求項21に記載のドネペジルまたは医薬的に許容可能な塩を含有する医薬組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の医薬組成物であって、前記ドネペジルが塩酸塩の形態で与えられる医薬組成物。
【請求項26】
式(III)の化合物
【化4】

ここで、RはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基である。
【請求項27】
ドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩を合成するための、請求項26に記載の化合物の使用。
【請求項28】
ドネペジル塩酸塩を合成するための、請求項26に記載の化合物の使用。
【請求項29】
式(IV)の化合物
【化5】

ここで、Mはアルカリ金属である。
【請求項30】
請求項22に記載の化合物であって、前記 アルカリ金属がリチウム、ナトリウムまたはカリウムである化合物。
【請求項31】
ドネペジルまたはその医薬的に許容可能な塩を合成するための、請求項29または30に記載の化合物の使用。
【請求項32】
ドネペジル塩酸塩を合成するための、請求項29または30に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−524599(P2009−524599A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549055(P2008−549055)
【出願日】平成19年1月3日(2007.1.3)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000009
【国際公開番号】WO2007/077443
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】