説明

ドラム装置で物質を処理するための方法とその方法を実現するための装置

本発明は材料処理に関し、特に農業廃棄物を処理するための方法および装置に関する。本発明の方法は、区画間の仕切りに通路開口が設けられた区分化ドラム型装置に出発原料、不活性充填剤部、およびガス剤を供給することを含む。この装置を作動させると、装置にガス剤の貫流が形成される。ドラムの各区画には、ドラムの任意の動作位置で仕切りの通路開口の縁以上のレベルまで、不活性充填剤部が装填される。出発原料が充填材部及び/又はその表面の間で移動するように所望の率で及び/又は時間に注入されまたは落下する活性領域が、ガス剤の流れの経路に形成される。さらに、出発原料とガス剤との間の相互作用の時間及び/又は強度が調整される。本発明は、同様または異なる集合体状態の物質間の相互作用を強化し、かつ処理動作の数および処理される物質の種類を拡張することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、農産業および農業における人間の活動から発生する農業廃棄物を処理する分野に関する。特に、本発明は、堆肥、わら、おがくず、および他の廃棄物、ならびに/または農業に依存する人々が住む場所を潜在的に汚染し、それによって小集落の住民、農場、技術的に先進的な中心街から離れた標準以下のインフラ領域で労働及び/又は生活するシフトチームおよび他のグループの人々の健康に悪影響を及ぼす生産物をリサイクルしかつ処理するための方法に関する。さらに、本発明は固形の家庭内廃棄物を処理するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
農業廃棄物が深刻な環境影響を有することは周知の事実である。農業専門分野の副産物は、たとえそれ自体は環境面で適合しているものであっても、限られた領域内で過度の量が過度に集中して存在する場合には生態学的に破壊的な特定廃棄物である。そのような廃棄物はとりわけ、畜産動物とその敷きわらの厩肥(特に動物の排出物を用いた有機質肥料)、様々な穀類のわら、ワイン醸造廃棄物、伐採破片等を含む。専業工場で廃棄物を処理することは、結果的に主産物のコストを著しく上昇させる不合理な輸送費及び/又は高い処理コストのため、しばしば採算が取れない。生産者に意欲が無いため、または対応する季節の間に特定の廃棄物を処理すべく、例えば秋にはわらを、冬には堆肥を処理すべく、切り替えることのできる等適切な汎用設備の欠如のため、廃棄物を現場で処理することは、通常、不可能である。
【0003】
多くの国々において、堆肥からメタンへの生物変換は幅広く使用されているが、メタンが生成された後、多くの物質が依然としてタンク内に残り、この物質は埋める代わりに有用な産物へと処理しなければならないので、これは利用の問題を完全には解決していない。現在、設備の大部分は特定の種類の廃棄物を処理することに重点が置かれており、廃棄物処理者は専門職業的に事業に従事し、採算が取れるだけの充分な量の廃棄物を処理することを想定している。そのような量は、例えば大規模な牛の放牧場または養鶏場によって提供することができるので、処理者は堆肥から有機肥料を生産することができる。
【0004】
この問題は、充分な汎用技術を開発し、かつ充分に広範囲の種類の廃棄物、例えば農業廃棄物の大部分を処理することのできる、この技術を実行するための設備を作成することによってのみ解決することができる。
【0005】
廃棄物を処理するための方法およびその方法を実現する装置は、多数の要件を満たさなければならない。すなわち、
−この方法および装置は両方とも汎用性があり、乾燥、細断、均質化、撹拌、様々な種類の熱処理(熱分解、ガス化、焼却、か焼、燃焼)、湿式処理(洗浄を含む)、化学処理(還元酸化、イオン交換、および置換反応、吸着剤処理、触媒処理等を含む)、ならびに生物処理(堆肥化を含む)のような多数の技術的作業を特別な再設計無く遂行することができなければならない。
−この方法および装置は両方とも、しばしば費用を増大させ得るさらなる方法および装置によって環境を再生することが後で必要にならないように、環境安全性を保証しなければならない。
−この方法および装置は両方とも、農業廃棄物処理の経済効率を達成しなければならず、それはしばしば、原廃棄物が処理されて市場性のある物質、例えば農業に使用するのに適した肥料または堆肥になる場合にのみ、達成することができる。
−この方法および装置は両方とも容易に実現可能でなければならず、かつ調整、再調整、プロセスチューニング(工程の同期)、保守、および修理のために高度な熟練者を必要とすべきでない。
【0006】
可燃性の都市廃棄物をそのガス化および熱分解によって処理して、ロシア特許第2150045号(特許文献1)に記載されたエネルギーおよびガス化生成物を生成するための方法は、先行技術から公知である。この方法によると、処理する廃棄物は、任意選択的に、投入物の通気性を容易にする個片状の非可燃性および非溶融性物質と共に、シャフト炉型のガス化反応炉内に投入される。処理済み固体生成物の蓄積が発生する反応炉の反対側の端部では、酸素を含有しているガス化剤が供給され、投入された廃棄物はガス化剤の逆流の中でガス化される。この方法は、固体廃棄物処理および熱生成には充分効果的である。
【0007】
ロシア特許第2150045号(特許文献1)に記載された方法の主な欠点の一つは、固体廃棄物をガス化して熱エネルギーおよびガス化生成物を生成するという単一目的機能である。農業用ユニットは温暖な季節には多くの熱エネルギーを必要としないことが知られており、したがってシャフト炉は使用されないでいるか、廃棄物を無駄に燃焼させるかのいずれかとなる。
【0008】
ロシア特許第2150045号(特許文献1)に記載された方法の別の主な短所は、この方法を実現するには高価な設備および有資格者が必要なことである。したがって、都市廃棄物は充分な量が入手可能であり、かつ必要な人員(工程管理者、修理工、炉操作員等)を容易に雇用することができるので、そのような方法は、廃棄物を通年処理することが費用効率的である都市においてのみ実現することができる。
【0009】
またロシア特許第2027134号(特許文献2)に記載された回転炉で実現されるバルク物質の熱処理の方法も先行技術で公知である。この方法は、次のステップ、すなわち炉の投入端により小さい直径を有する軸方向アパーチャを介してバルク物質をドラム型炉に投入するステップと、炉を回転させるステップと、高温ガスを炉内にその排出端から供給して炉内の物質を温めるステップと、炉の排出端により大きい直径を有する軸方向アパーチャを介して物質を排出するステップとを含む。この方法は技術的観点からはむしろ単純であり、複雑な設備および有資格者を必要としない。
【0010】
ロシア特許第2027134号(特許文献2)に記載された方法の主な欠点の一つは、その単一目的性、すなわちバルク物質の熱処理専用であることにある。
【0011】
ロシア特許第2027134号(特許文献2)に記載された方法の別の主な欠点は、ドラムの低いスペーシング要因と、事実上物質の表面層しかガス流と相互作用することができないことから物質とガス流との間の相互作用の低い効率とによる、その低い能力である。
【0012】
本発明の対象である方法に対し、ロシア特許第2100721号(特許文献3)に記載された発明に係る練り粉(ドウ状)物質を乾燥する方法は、先行技術における最も近い技術的解決策として選択される。この方法は次のステップ、すなわち供給される物質の化学的処理に関与しない不活性物質から成る抽出充填材層を生成するステップと、充填材層に乾燥剤を送風するステップと、処理する物質を抽出充填材層上に供給するステップと、この物質を伝導‐対流乾燥するステップと、乾燥済み物質を乾燥ゾーンから取り出すステップとを含む。この方法は、技術の点ではむしろ単純であり、複雑な設備または有資格者を必要としない。
【0013】
ロシア特許第2100721号(特許文献3)に記載された方法の主な欠点の一つは、練り粉状物質のみを乾燥するというその単一目的性である。
【0014】
ロシア特許第2100721号(特許文献3)に記載された方法の別の主な欠点は、以下に由来する。充填材の質量が大きければ大きいほど、かつその温度が高ければ高いほど、乾燥工程は強化される。しかし、塊状の充填材はそのような乾燥工程中に乾燥物質を分解することがあり得る。それは、例えば種子穀粒を乾燥する場合には許容されない。
【0015】
さらに、ドラムの投入端および排出端に壁を備え、この壁がドラムと同軸に装着されたリングの形で形成され、炉の投入端におけるリングの高さが炉の排出端におけるリングの高さより大きく、それが炉の重力流動吐出をもたらす、ロシア特許第2027134号(特許文献2)に記載されたバルク物質を熱処理するための回転炉が先行技術で公知である。そこで、炉の排出端のリングは、ドラムの完全な吐出を達成するために追加穴を有する。この炉は構造の観点からは単純であり、その操作のために有資格者を必要としない。
【0016】
ロシア特許第2027134号(特許文献2)に記載された設備の主な欠点の一つは、バルク物質の熱処理というその単一目的性である。
【0017】
ロシア特許第2027134号(特許文献2)に記載された設備の別の主な欠点は、物質が処理中に固化することであり、それは、たとえ物質を乾燥または暖めるために使用する場合であっても設備の能力を著しく制限する。
【0018】
さらに、加熱回転ドラム内に装着されたリングダイヤフラムを備え、処理される物質の均一な移動をもたらすためにこのダイヤフラムがセグメント状の切欠きを有し、各連続するダイヤフラムの切欠きがその前の切欠きに対して変位し、それにより、ドラムの軸線に沿ったより均一な物質の移動のため、物質の固化が軽減される、旧ソビエト連邦の発明者証第857680号(非特許文献1)に記載された粉末状物質を熱処理するための炉が先行技術で公知である。
【0019】
旧ソビエト連邦857680号(非特許文献1)に記載された装置の主な欠点の一つは、バルク物質を暖めるというその単一目的性である。
【0020】
さらに、処理のために供給される投入物質はその構造、粒度、湿度、異質含有物等に関して不均質であるかもしれないので、物質の固化を完全に排除することは不可能である。
【0021】
技術的な本質に関して、本発明に最も近いのは、投入ユニットから排出ユニットまで増大する異なる直径の通路開口を有する環状仕切りによって長さ方向に複数の区画に分割された自己排出傾斜回転断熱ドラムに基づく、ロシア特許第2130959号(特許文献4)に記載された乾燥用の組立体(アセンブリ)である。
【0022】
入来物質(入ってくる物質)を加熱するために、ドラムには高温で不活性充填剤が充填され、その高さ(レベル)が対応する通路開口の高さのレベルに達したときに、それは連続的にドラムの各々の次の区画に越流する。高温の充填材上にスラリー状の利用可能な物質が供給され、それは乾燥時に、ドラムの格子状の外部側壁を通過して漏出する。この乾燥用の組立体は充分に単純であり、その操作のために有資格者は不要である。
【0023】
ロシア特許第2130959号(特許文献4)に記載された組立体の主な欠点の一つは、スラリー状の利用可能な物質を特殊な垂直炉で焼却するために、それを乾燥するというその単一目的性であり、前記垂直炉は、乾燥工程に必要な不活性充填剤を加熱するためにも使用される。この乾燥用の組立体は、そのような垂直炉なしには機能することができない。
【0024】
ロシア特許第2130959号(特許文献4)に記載された組立体の別の主な欠点は、それがスラリー状の利用可能な物質を乾燥することだけを意図しており、他の種類の廃棄物、例えば固体および気体廃棄物を利用するために使用することができないことである。
【0025】
ロシア特許第2130959号(特許文献4)に記載された組立体の別の主な欠点は、この組立体の性能が、ドラム内に同時に存在する不活性充填剤本体の個数、特定の量の熱エネルギーを蓄積するそれらの能力、およびドラム内の不活性充填剤の循環速度によって決定されることである。不活性充填剤本体の個数が増加するにつれて、各通路開口の面積は減少し、同時にドラム内の平均温度も低下し、それは乾燥の効率を低下させる。しかし、各通路開口の面積を増大させることは、ドラム内の不活性充填剤本体の個数の低減につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】ロシア特許第2150045号公報
【特許文献2】ロシア特許第2027134号公報
【特許文献3】ロシア特許第2100721号公報
【特許文献4】ロシア特許第2130959号公報
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】旧ソビエト連邦の発明者証第857680号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の概要)
本発明の方法は、農業廃棄物を含む種々の物質の処理をもたらす汎用性のある方法として開発された。この方法は、実行される工程が技術および科学技術的観点から一貫しているため、先行技術の欠点が無い。工程は標準化された設備を用いて実行され、出発原料と出発原料と一緒にドラム(筒状体)内に存在する気体、液体、または固体物質との間の相互作用の程度を決定する工程条件のみが異なる。
【0029】
区分化されたドラム型装置(筒型装置)で物質を処理するための汎用性のある方法において、ドラムは通路開口を持つ仕切りによって複数の区画に分割され、この方法は、出発原料と、不活性充填剤本体と、ガス剤(ガス状物質)とを装置内に供給するステップと、装置を作動させるステップと、装置にガス流を作り出すステップとを含み、上記の技術的結果は、この方法が、装置の区画に部分的にまたは全体的に不活性充填剤本体を通路開口の高さ(レベル)より高いレベルまで充填する動作と、出発原料が所定の比率及び/又は所定の期間中、落下及び/又は漏出(あふれ出し)され、こうして不活性充填剤本体の表面の間、及び/又は本体自体を通過して、出発原料の移動をもたらす活性帯をガス流の途中に形成する動作と、出発原料とガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御する動作とを含むことで、達成される。
【0030】
この方法の上記実施の形態は著しい改善、特に、最も近い先行技術と比較して、物質の状態が同一か異なるか(液体−固体、液体−気体、固体−気体)に関係なく物質間の相互作用の工程の強化をもたらす。また最も近い先行技術と比較して、利用可能な技術的操作の述語(命名)の著しい拡張をもたらす。すなわち、乾燥および分解に加えて、以下の動作を実行することができる。
−乾燥、熱分解、ガス化、焼却、か焼(焼成)、および燃焼を含む種々の物質の熱処理
−洗浄を含む湿式処理
−還元酸化、イオン交換および置換反応、吸着剤処理、ならびに触媒処理を含む化学処理
−造粒、分解、膜化(スキニング)等を含む物質の機械化学処理
−堆肥化を含む生物処理
【0031】
出発原料を落下及び/又は漏出させ、不活性充填剤本体の表面の間、及び/または本体自体を通過する出発原料の継続的移動をもたらす、所定の比率及び/又は期間のために、本発明の方法は、予測的に得られる経験的依存性に基づいて、種々の農業廃棄物のみならず、都市廃棄物および産業用木材残渣を含む他の廃棄物をも処理するための汎用性のある方法の創出をもたらす。そこで、ある種類の廃棄物から別の種類に変更する場合、出発原料の技術的な工程を実質的に変更するために、活性帯における不活性充填剤本体の表面の間、及び/又は本体自体を介する、出発原料の移動のパラメータを変更し、かつ出発原料とガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御すれば充分である。
【0032】
これらの工程に基づいて、農業企業は農業廃棄物を有効に処理するだけでなく、農業施設および生活空間の両方を暖房するのに充分な量の熱エネルギーをもたらすと共に、処理済み廃棄物から肥料、堆肥等のような有用な生産物を得、あるいは植物栽培材の消毒、最終生産物例えばパンの原料の調整乾燥のようなサービスを提供する(または企業内の要求を満たす)こともできるであろう。
【0033】
稼働している処理工程の運転の実時間制御のために、ドラムの特定の運動条件及び/又はドラム軸線の傾斜をもたらすことによって、及び/又は不活性充填剤本体の形状及び/又は大きさ及び/又は材料を選択することによって、及び/又はドラムの内部区画の数を選択することによって、及び/又はドラムの隣接区画間の仕切りに作られる通路開口の数及び/又は面積及び/又は形状及び/又は大きさ及び/又は位置を選択することによって、活性帯の形状及び/又は大きさを形成することは有望であると考えられる。
【0034】
活性帯における出発原料の滞留期間及び/又はその落下及び/又は漏出の率の制御に関しては、継続回転ドラムの回転速度を変更するか、その回転の方向を逆転させるか、回転の期間を変更するか、ドラムのパルス回転の場合には回転位相間の休止を調整することによって、制御を実行することは妥当であるように考えられる。
【0035】
不活性充填剤本体の形状及び/又は大きさ及び/又は材料を選択することによって、活性帯における出発原料の滞留期間及び/又は移動の速度を制御すると便利である。
【0036】
有利にも、活性帯における出発原料の滞留期間および/また移動速度は、ドラム及び/又はドラムの内部区画の数を選択することによって、及び/又はドラムの隣接区画間の仕切りに作られる通路開口の数及び/又は面積及び/又は形状及び/又は大きさ及び/又は位置を選択することによって、制御することができる。
【0037】
固体、液体、または気体の状態の活性成分(または幾つかの活性成分)を例えば触媒または吸着剤の形でドラム内に導入することによって、出発原料とガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御することは有望であると考えられる。前記活性成分は、不活性充填剤本体の内面または外面に塗布可能であり、及び/又は不活性充填剤本体間及び/又は不活性充填剤本体内に介挿可能である。
【0038】
ドラムの内部区画の数、及び/又はドラムの隣接区画間の仕切りに作られる通路開口についての数、面積、形状、大きさ、位置のうちの一又は二以上を選択することによって、活性帯において出発原料とガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御することは妥当であると考えられる。
【0039】
ガス剤の流動の先頭またはガス剤の流速度またはガス剤の流量を選択することによって、活性帯における出発原料とガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御することは便利である。
【0040】
有利にも、活性帯における出発原料とガス剤との間の相互作用の期間または強度は、ドラムの分離区画における不活性充填剤本体の充填度によって、及び/又は不活性充填剤本体自体の浸透性によって、及び/又は不活性充填剤本体の大きさを選択することによって、及び/又は不活性充填剤本体の形状及び/又は材料を選択することによって制御することができる。
【0041】
ドラム内の不活性充填剤の循環率を変更することによって、出発原料とガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御することは有望であると思われる。
【0042】
本発明を生み出すにあたって、様々な物質、特に任意の物理的状態(固体、液体、または気体)の様々な種類の農業廃棄物の処理を達成する汎用装置であって、先行技術の上記短所が存在しない汎用装置を創作するという課題が指定された。
【0043】
不活性充填剤本体が充填され、かつ通路開口を備えた横仕切りによって長さ方向で複数の区画に分割されたドラムを備えた、物質を処理するための汎用装置において、この装置には投入および排出デバイス(排出手段)ならびにドラムを駆動する駆動機構が設けられており、上記課題は、ドラムの任意の作業位置で、横仕切りの通路開口の縁部以上のレベルまでドラムの各区画に不活性充填剤本体が装填され、かつガス剤の供給および放出用に意図された穴がドラムの端面または側面に形成されることによって、完遂される。
【0044】
この装置のそのような構造は、ドラム内のガス剤の通路の途中に活性帯を作り出すことで本発明の方法を実現することを可能にし、かつ活性帯における出発原料とガス剤との間の活発な相互作用をもたらす。
【0045】
出発原料とガス剤との間の相互作用の強度を制御するために、ドラムを回転させるための調整可能な駆動機構を装置に設けることが便利であり、この駆動機構は次の動作、すなわちドラムの回転速度の変更、及び/又はその回転の逆転、及び/又は所定の角度のドラムの角変位、及び/又はその運動過程における特定の期間のドラムの停止を達成することができる。
【0046】
ドラム内に存在する出発原料のガス剤との相互作用における関与度を高めるために、横仕切りに装着された振切り板をドラムの区画に設け、かつドラムの内面に散在ブレード(散在刃)を設置することは有望であると思われる。
【0047】
活性帯のモードを迅速に変更するために、ドラム区画の横仕切りの通路開口の面積を変更可能にすることは妥当であると思われ、それは、例えば、対物レンズを通過する光束を変更する写真用カメラに使用されるような、マルチローブセプタム(複数に分裂した隔壁)の構造を使用して達成することができる。
【0048】
装置の技術的可能性を拡大するために、異なる工程に使用され及び/又はドラムの異なる区画で使用される不活性充填剤本体を、異なる形状及び/又は大きさ及び/又は材料から作成することは有利であると思われる。
【0049】
処理される物質の多様性を高め、かつ装置の可能性を広げるために、不活性充填剤本体を有孔表面を持つ中空カプセルの形にし、その中に不活性物質の粒子(例えばセラミックまたはガラスビーズ)及び/又は活性化物質、例えばシリカゲル、触媒等を保持することができ、及び/又は活性化物質をカプセルの内面及び/又は外面に塗布することができるようにすることは便利であるように思われる。
【0050】
図1乃至図8は本発明の本質を明確にする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、通路開口3を有する横仕切り2によって作業区画4に分割されたドラム1と、穿孔支持壁6を有する投入区画5と、有孔支持壁8を有する排出区画7と、各区画4には充填材本体9が動的充填レベル10まで充填され、オーガ型装填デバイス12および充填材本体9を受容するように適応された装填チャンバ13を有する装填ユニット11と、搬出開口15および空気取入れ開口16を有する搬出ユニット14と、ピニオンシャフト18および歯付リング19を有するギヤ付モータ17のみならず、スラストクラウン21について訓練するスラスト軸受ローラ20、および軸受ローラ22をも含む駆動機構と、密閉ユニット23と、軸線を中心に回転するように適応された可動支持プラットフォーム24と、穿孔支持壁6および8を固定するための固定支持板25と、空気清浄器26と、送風器27とを備えた、生成物を乾燥するための装置の略図である。
【図2】図2は、振切り板28と、散在ブレード29と、活性帯30と、主ガス流フロー31と二次ガス流フロー32および33とを示し、活性帯を作り出す原理およびガス流の流線を明確にする、ドラムの軸方向断面の一部分の略図である。
【図3】図3は、ドラムの側面に蓄積された処理済み物質34および35ならびに振切り板上に注がれた処理済物質36を示し、振切り板28および散在ブレード29の動作の原理を明確にする、ドラム(充填材は図示せず)の略横断面図である。
【図4】図4は、装填ユニット11上に設置された空気取入れチャンバ37と、栓40を有し、液体洗浄剤を収容するように適応された貯蔵槽39と、空気タッピングチャンバ41と、栓43を有し、使用済み液体洗浄剤を排出するように構成された排出チャンバ42と、栓45を有するダンプタンク44とをさらに備えた、アンモニアから空気を液体洗浄するための装置を示す。
【図5】図5は、使用済み洗浄剤を排出する排出チャンバ46と、プッシュロッド48を有する分配ユニット47と、乾燥肥料を詰め込むための貯蔵槽49とをさらに備えた、アンモニアから空気を粉体浄化するための装置を示す。
【図6】図6は、複数の穴51を穿孔され、シリカゲル顆粒52を充填された中空充填材球50をさらに含む、例えば堆肥のバイオ処理後に反応炉から得たバイオガスを乾燥させるための装置を示す。
【図7】図7は、有孔壁54を有する左ドラム53と、桶状ガイド56を有する中央ヘッド55と、熱交換ユニット58および有孔壁59を有する右ドラム57と、点火バーナ61、灰バンカ63、グリッド64、振落しトレー65、およびシャッタ66を有する右ヘッド60と、充填材を上昇させるコンベヤ67と、熱ガス反応炉68と、熱交換ユニット69と、灰受容器70と、CO検出器71と、O検出器72とを備えた、堆肥を焼却して熱エネルギーを得るための2ドラム装置を示す略図(可動支持プラットフォームは図示せず)である。
【図8】図8は、図7に示した装置と比較して、例えばボイラ燃料および熱エネルギーを得るために施された廃棄物のガス化の追加的変形による、変形二ドラム装置を示す略図である。この装置は、水冷リブ74を有する冷蔵庫73を備えており、その上で廃棄物ガス化の液体生成物が凝縮され、この生成物はダクト75を通過して流動し、凝縮水は排水弁76を経由して流れる点が、図7の装置とは異なる。
【図9】図9は、アンモニアから空気を液体洗浄するための装置を示す。この装置は、区画アクセス穴78を経由してドラム1の各区画内に配置された筒状スワブの形の固定充填材77を有するという点が異なる。漏出した液体79をドラム1の底部から上昇させるために、ドラム1の内面に位置する揚液用桶形ブレード80が使用され、その各々が、液体を必要な高さまで揚液するための一種の容器を形成するために、固定点で表面の法線に対し斜めに固定される。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明に関係する方法の実施形態を、図1乃至3に示した装置について説明する。
【0053】
図1は、例えば穀物、仁果類果実、または豆果のような生成物を乾燥するための装置を示す。さらに、それは乾燥、例えば堆肥、家禽厩肥等を乾燥するために使用することができる。装置のドラム1は事前に可動支持プラットフォーム24によって傾斜され、かつ例えば直径30mmないし150mmの球として形成された、嵩密度が100kg/mから1000kg/mの充填材本体9が充填される。この目的のために、充填材本体9は、ドラム1が回転している間に、装填チャンバ13(装填室13)内に注入される。ドラム1は、主駆動ピニオンシャフト18およびドラム1の本体に固定された歯付リング19を有するギヤ付モータ17によって回転駆動される。不活性充填剤本体9の動的な充填レベル10を維持するために、固定支持壁6および8がそれぞれ投入区画5および排出区画7で使用され、壁6および8は支持板25を使用してそれぞれ、装填ユニット11および搬出ユニット14に不動に取り付けられる。可動支持プラットフォーム24によってもたらされるドラム1の傾斜位置のため、不活性充填剤本体9は、仕切り2の通路開口3を通過してレベル10まで区画4、5、および7の内部空間に徐々に充填される。ドラム1が回転中に軸方向に変位するのを防止するために、スラスト軸受ローラ20およびスラストクラウン21が使用され、軸受ローラ22は、ローラ22上に自由に載置しているドラム1の円滑な回転をもたらす。ドラム1の全区画に不活性充填剤本体9が充填されるとすぐに、出発原料を乾燥する工程を開始することができる。この目的のために、出発原料はオーガ型装填装置12を経由して投入区画5内に供給され、球状の不活性充填剤本体9の間に流入し始める。装置の特定の特徴(すなわちドラム1の回転速度および動作モード、ドラム1の軸線の傾斜角度、球状不活性充填剤本体9の直径、およびそれが形成された材料、仕切り2における通路開口3の大きさ、不活性充填剤本体9が区画4、5、および7に充填される最高の動的レベル10)は、対応する処理対象の出発原料に対して経験的に選択されているので、送風器27によって生じる空気流は、空気取入れ開口16から最短経路A〜Bに沿って通路開口3を通過して移動し(図2参照)、活性帯30を通るが、湾曲した二次ガス流フロー32および33の帯域内は通らない、主軸線方向ガス流フロー31を作り出す。
【0054】
ドラム1の回転速度を制御し、かつ回転方向を変更することによって、処理される物質がドラム1に存在する時間の大部分で、それが主ガス流のフロー31との強い相互作用にさらされる活性帯30に存在し、したがって物質を乾燥する工程が加速されるような、活性帯30における出発原料の永久注入の条件が作り出される。散在ブレード29が装置に設けられ、それは出発原料が活性帯30内に流入すると、ドラム1の側面に物質を捕捉し(図3参照)、かつ物質を上昇させ、そこから仕切り2におけるブレード29および振切り板28から流入する物質が注入される物質が不活性充填剤本体9の間に再び導入され、活性帯30内に落下し、かつ同時に、ドラム1の傾斜位置のため、物質は仕切り2の通路開口3を通過して流入し、次の区画4または7内に落下する。こうして、投入区画5からその排出区画7までの経路の最後には、出発原料は完全に乾燥されている。排出区画7から、乾燥した物質は有孔壁8を通過して搬出ユニット14内に注入され、搬出開口15を通過して装置から取り出される。
【0055】
次に、例えばアンモニアのようなガス汚染物質から空気を液体洗浄するための装置を示している、図4に例示する本発明の方法について説明する。洗浄を前提として、アンモニアを含有する空気は、例えば家畜舎から、装填ユニット11に装着された空気取入れチャンバ37を介して、かつ有孔壁6を通過してドラム1内に流入し、ドラムには事前に不活性充填剤本体9が充填されている。液体洗浄剤用の貯蔵槽39(リザーバ39)から、硝酸の希釈液(3〜5%)は栓40を経由してドラム1内に入る。硝酸溶液は不活性充填剤本体9間に注入され、かつドラムの回転のため、不活性充填剤本体9間に継続的に注入され、硝酸溶液は一般的に主ガス流のフロー31の途中で活性帯30内に残り(図2参照)、一般的にドラム1の軸線に沿って空気取入れチャンバ37から空気タッピングチャンバ41(空気を流し出す小室41)内および送風器27内に流入する処理対象の空気に含有されるアンモニアと活発に相互作用する。硝酸とアンモニアとの間の化学反応の結果、硝酸アンモニア(NHNO)の溶液が生じ、それは有孔壁42を通過して排出チャンバ42内に流れる。硝酸アンモニア溶液は、栓43を周期的に開くことによって、ダンプタンク44(投棄タンク44)内に注入される。硝酸アンモニア溶液は、液体の形で植物に与えることのできる硝酸系肥料である。
【0056】
次に、アンモニアから空気を粉体浄化するための装置を示す図5に例示する、本発明の方法について説明する。浄化を前提として、例えば家畜舎からのアンモニア含有空気は、装填ユニット14に装着された空気タッピングチャンバ41および有孔壁8を通過してドラム1内に流入し、ドラム1には硝酸を含浸し、事前に乾燥されたたとえばゼオライトのような不活性充填剤本体9および粉体浄化剤が充填されている。装置は図1に示した装置と同様に働く。この場合、ゼオライトは硝酸とアンモニアとの反応により塊状の硝酸系肥料(NHNO)になる担体粉末として機能し、この肥料は、プッシュロッド48を有する分配ユニット47を用いて、測定容器に即座に予備梱包することができる。含水土壌中で、そのような肥料は硝酸アンモニアを長時間送り出し、ゼオライトは土壌構造を改善する。
【0057】
バイオガスを乾燥するために、図6に示す装置を使用することができる。この装置は図4に示した上記装置とほとんど同じであるが、洗浄剤の代わりに、複数の穴51が穿孔された充填材球50内に配置されたシリカゲル顆粒52が使用される点が異なる。バイオガス中に存在する水蒸気が複数の穴51を通過するときに、それはシリカゲル顆粒52によって捕捉され、発熱量が増大した乾燥バイオガスが消費者に向けられる。
【0058】
熱エネルギーを得るために堆肥を焼却する場合、図7に示した2ドラム装置を使用することができる。装置のドラムには、鋼球または粗鉄球のような高発熱感受性(calorific receptivity)の充填材本体が充填される。オーガ型装填装置12を経由して、堆肥は左ドラム53に流入し、そこで右ドラム57から来る高温充填材本体9の熱によって予備乾燥される。ここから堆肥は充填材本体9と共に、有孔壁54および桶状ガイド56(樋状の誘導手段56)を経由して右ドラム57に入る。右ドラム57では、シャッタ66を閉じてバーナ61を介して供給される熱風によって、乾燥堆肥が400℃超の温度まで加熱される。その後、堆肥の自然燃焼が開始される。堆肥の燃焼の工程はCO検出器71およびO検出器72によって制御される。COおよびO含有量の所定の値に達したときに、バーナ61を介する熱風の供給は停止され、シャッタ66が開かれ、ドラムが回転駆動される。コンベヤ67を経由して加熱された充填材本体9は、ドラム57から装填チャンバ13内に輸送される。充填材本体9の装填チャンバ13内への到達率およびドラム53および57内のその循環速度は、ドラム53および57内に存在する充填材本体の数に対するそれらの超過量(量的優位性)、およびドラムの回転速度によって制御される。ドラム53内に加熱された充填材本体9が存在するため、このドラム内の堆肥の乾燥速度は増加する。ドラム53内で熱エネルギーを消耗した過剰量の充填材本体9は、有孔壁54上で桶状ガイド56を有する中央ヘッド55内に転落し、そこからそれらはドラム57内に輸送され、そこで燃焼堆肥の熱エネルギーによって再び加熱され、過剰な充填材本体9は灰バンカ63を被覆するグリッド64(格子64)に沿ってヘッド60を経由して退出する。ドラム53内で予備乾燥された堆肥は、充填材本体9と共に、桶状ガイド56に沿って有孔壁を通過してドラム57内に到達する。さらに、ドラム57内を有孔壁59まで移動すると、堆肥は有孔壁59を通過して到来した空気の対向流内で燃焼される。ドラム57から熱を引き出すために、ドラム57の外面に由来する熱を対流および放射の両方によって捕集するように構成され、不動に取り付けられた熱交換ユニット58が設けられる。ドラム57からの熱風は中央ヘッド55を介して熱ガス反応炉68内に到達し、CO検出器(図示せず)によって検出される高濃度のCOが存在する場合、この熱ガス反応炉はガスを再燃焼してCOを出し、こうして温度をさらにいっそう高める。送風器27は熱交換ユニット69を介して高温ガスを吸引し、熱交換ユニットへの空気流の熱エネルギーの伝達に貢献する。その後、熱エネルギーを消耗したガスは大気中に排出される。有孔壁59およびグリッド64を通過してドラム57から落下する灰は分配ユニット47内に到達し、次いで容器70内に詰め込まれる。こうして、装置は過剰な堆肥の焼却、および居住区および産業施設を暖房するために使用することのできる熱エネルギーの生成をもたらし、それと共に、灰を無機肥料として使用することができる。上記と同様に、わら(予備細断済み)、産業用木材残渣、バイオ反応炉廃棄物、ワイン醸造廃棄物、都市廃棄物等のような他の物質をそのような装置で焼却することができる。これらの廃棄物は全て、望ましくは充填材本体間及び/又は本体自体の中に注入することのできる粒子大に予備細断すべきであり、かつ廃棄物は燃焼工程を可能にするために充分に乾燥していなければならない。異なる発熱能力を持つ廃棄物が入手可能である場合、熱容量の高い廃棄物を熱容量の低い廃棄物(またはより湿潤な廃棄物)に加えることが妥当であると思われる。
【0059】
非常に多くの廃棄物を生じるのでそれを全部焼却することが(それほど多くの熱エネルギーを必要としないので)不合理である比較的大規模な企業は、例えばボイラ燃料として使用することのできる有用なエネルギー担持生成物(熱分解樹脂)を得るために、有機物質のガス化技術を使用することができる。この目的のために、図8に示す装置を使用することができ、それはガス化装置として働くことが、図7に示した装置とは異なる。ガス化モードを実現するために、ドラム内で炭素をガス化するのに充分な温度(約1000℃)を(炭素を部分的に燃焼してCOを出すのと引き換えに)維持するために、充分な量の空気がドラム57に供給される。この場合、炭素の燃焼から生じる高温ガスの熱エネルギーを犠牲にして、廃棄物の有機成分の熱分解がドラム57の左側の部分で起きる。廃棄物の有機成分の熱分解の結果、熱分解の揮発性生成物が生じる。コークス様集合体である熱分解の固体残渣は、ドラム57の中央部および右側部分で部分的に焼失され、残りの炭素は追加的なガス化剤、例えばバーナ61を経由して供給される水蒸気によってガス化される。前記ガス化剤は、残りの炭素を全部一酸化炭素(CO)に変換するのに充分な量が供給される。炭素消失の工程は、COおよびCO検出器ならびに炭素を含まない灰残渣の含有量によって制御される。中央ヘッド55からの「生成ガス」として知られるガス化生成物は冷蔵庫73内に到着し、リブ74を経由して循環する水により冷却される。急速冷却のため、生成ガスから液体炭化水素および水が凝縮され、この炭化水素は熱分解樹脂として知られ、前記炭化水素および水は、冷蔵庫73の下部(鉢状の容器)で分離される。沈殿した水は排水弁76を通過して排水される。ガス化の液体生成物(熱分解樹脂)はダクト75を経由して流出される。それらは例えば代替ボイラ燃料として使用することができる。生成ガスの非凝縮性の燃焼成分は、図7に示した装置の場合と同様に、熱ガス反応炉68で事後燃焼される。
【0060】
アンモニアから空気を洗浄するために、図9に示した装置を使用することができる。それは図4に示した装置とは異なり、固定充填材77を使用し、例えば街路のごみや塵を収集するごみ収集車に使用されるものと同様のドラム型キャッチャ(ドラム型の捕捉手段)として、筒状のスワブ(繊維の塊)を使用する。スワブは、2つ以上の撚りコード、ポリマ、または金属のフィラメント(線条)からそれらの間を直径方向に圧縮して形成される。アンモニアを含有する空気は、ドラム1の有孔壁6を通過して、更に装填ユニット11に装着された空気取入れチャンバ37を経由して投入され、ドラム1には区画アクセス穴78を通過した充填材77が予備装填されている。液体洗浄剤用の貯蔵槽39から、硝酸の希釈液が栓40を経由してドラム1内に流入する。充填材77のフィラメントの表面に存在する硝酸が、空気取入れチャンバ37からドラム1の軸線に沿って空気タッピングチャンバ41を経由して送風器27まで流れる浄化すべき空気の流れと共に到着するアンモニアと反応する。洗浄剤とアンモニアとの間の相互作用の時間を延長するために、ドラムの底に蓄積された液体78がブレード80によって上昇し、充填材フィラメントに沿って再び流下すると共に、ドラムの軸線に沿って空気流と共に有孔壁8に移送される。硝酸とアンモニアとの間の反応の結果硝酸アンモニアの溶液が発生し、それは有孔壁8を通過して排出チャンバ42内に流入する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
したがって、本発明の方法および装置は、様々な種類の廃棄物を処理する新技術、および本発明の方法を農業、木材加工、および他の企業で実現するように構成された汎用装置の作製を可能にし、固体、液体、または気体廃棄物が生成され、それらは市販可能な製品へと加工することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発原料と、不活性充填剤本体と、ガス剤とを装置内に供給するステップと、
装置を作動させるステップと、装置にガス流を形成させるステップと、を備えており、通路開口を持つ仕切りによって複数の区画に分割された、区分化されたドラム型装置で物質を処理するための汎用性のある方法であって、
前記装置の前記区画に部分的にまたは全体的に前記不活性充填剤本体を前記通路開口の高さよりも高いレベルまで充填する動作と、
前記出発原料が所定の比率及び/又は所定の期間中、落下及び/又は漏出され、こうして前記不活性充填剤本体の表面の間及び/又は前記本体自体を通過して、前記出発原料の移動をもたらす活性帯をガス流の途中に形成する動作と、
前記出発原料と前記ガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度を制御する動作と、
を備えていることを特徴とするドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項2】
前記ドラムの特定の運動条件及び/又は前記ドラム軸線の傾斜をもたらすことによって、
及び/又は前記不活性充填剤本体の形状及び/又は大きさ及び/又は材料を選択することによって、
前記ドラムの内部の区画の数を選択することによって、
及び/又は前記ドラムの隣接区画の間の仕切りに作られる通路開口の数及び/又は面積及び/又は形状及び/又は大きさ及び/又は位置を選択することによって、
前記活性帯の形状及び/又は大きさが形成されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項3】
前記ドラムが連続回転する場合に前記活性帯における前記出発原料の滞留期間及び/又は移動の速度が、前記ドラムの回転速度を変更することによって制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項4】
前記活性帯における前記出発原料の滞留期間及び/又は移動の速度が、ドラムの回転方向を逆転させることによって、またはその回転の期間を変更することによって、または前記ドラムがパルス回転する場合に回転位相間の休止を調整することによって、制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項5】
前記活性帯における前記出発原料の滞留期間及び/又は移動の速度が、前記不活性充填剤本体の形状及び/又は大きさ及び/又は材料を選択することによって制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項6】
前記活性帯における前記出発原料の滞留期間及び/又は速度が、
前記ドラムの内部区画の数を選択することによって、
及び/又は前記ドラムの隣接区画間の仕切りに作られた前記通路開口の数、及び/又は面積、及び/又は形状、及び/又は大きさ、及び/又は位置、を選択することによって、制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項7】
前記出発原料と前記ガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度が、前記ドラムに固体、液体、または気体の状態で、活性成分を例えば触媒または吸着剤の形で導入することによって制御され、
前記活性成分は、前記不活性充填剤本体の内面及び/又は外面に塗布可能であり、及び/又は前記不活性充填剤本体間及び/又は前記不活性充填剤本体内に介挿可能であることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項8】
前記活性帯における前記出発原料と前記ガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度が、
前記ドラムの内部区画の数を選択することによって、
及び/又は前記ドラムの隣接区画間の仕切りに作られる通路開口の数及び/又は面積及び/又は形状及び/又は大きさ及び/又は位置を選択することによって、制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項9】
前記活性帯における前記出発原料と前記ガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度が、前記ガス剤の流動の先頭または前記ガス剤の流速度または前記ガス剤の流量を選択することによって制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項10】
前記活性帯における前記出発原料と前記ガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度が、
前記ドラム及び/又は前記ドラムの分離区画における前記不活性充填剤本体の充填度によって、
及び/又は前記不活性充填剤本体自体の浸透性によって、
及び/又は前記不活性充填剤本体の大きさを選択することによって、
及び/又は前記不活性充填剤本体の形状及び/又は材料を選択することによって、制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項11】
前記活性帯における前記出発原料と前記ガス剤との間の相互作用の期間及び/又は強度が、前記ドラム中の前記不活性充填剤の循環速度を変更することによって制御されることを特徴とする請求項1に記載のドラム型装置で物質を処理するための方法。
【請求項12】
不活性充填剤本体が充填されており、通路開口を持つ横仕切りによって区画に長さ方向に分割されたドラムを備えており、投入および排出装置ならびに前記ドラムを駆動する駆動機構が設けられたたドラム型装置であって、
前記ドラムの各区画には、前記ドラムの任意の作業位置で、前記横仕切りの前記通路開口の縁以上のレベルまで不活性充填剤本体が充填されており、かつガス剤の供給および放出用に意図された穴が前記ドラムの端面または側面に形成されていることを特徴とするドラム型装置。
【請求項13】
前記ドラムを駆動するための調整可能な駆動機構が前記装置に設けられており、前記駆動機構が次の動作、すなわち前記ドラムの回転速度の変更、及び/又はその回転方向の逆転、及び/又は所定の角度の前記ドラムの角変位、及び/又はその運動過程における特定の期間の前記ドラムの停止を達成することができることを特徴とする請求項12に記載のドラム型装置。
【請求項14】
前記横仕切りに装着された振切り板が前記ドラムの区画に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のドラム型装置。
【請求項15】
前記ドラムの内面に設置された散在ブレードが前記ドラムの区画に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のドラム型装置。
【請求項16】
前記ドラムの区画の前記横仕切りの前記通路開口の面積が変更可能であることを特徴とする請求項12に記載のドラム型装置。
【請求項17】
異なる工程に使用され及び/又は前記ドラムの異なる区画に使用される前記不活性充填剤本体が、異なる形状及び/又は大きさ及び/又は材料から作られることを特徴とする請求項12に記載のドラム型装置。
【請求項18】
前記不活性充填剤本体が有孔表面を持つ中空カプセルの形に作られており、その中に不活性物質及び/又は活性物質の粒子が保持されており、及び/又は活性物質が前記カプセルの内面及び/又は外面に塗布されていることを特徴とする請求項12に記載のドラム型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−517336(P2012−517336A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549111(P2011−549111)
【出願日】平成21年2月11日(2009.2.11)
【国際出願番号】PCT/RU2009/000060
【国際公開番号】WO2010/011157
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511190812)
【Fターム(参考)】