説明

ドロップインアンカーシステム及びドロップインアンカー

【課題】物品を建造物に固定するために使用されるドロップインアンカーの提供。
【解決手段】ドロップインアンカー10は、第1の端部及び膨張可能な第2の端部を有する管状スリーブ12を備え、スリーブ12は、スリーブテーパ角度30で第1の端部から第2の端部への方向において狭まる内部テーパを有する。ドロップインアンカー10はプラグ26をさらに備え、プラグ26は、スリーブ12内の取り付け位置に入れられた場合、ギア面が前記内部テーパに係合して、第2の端部を膨張させるようにスリーブ12に挿入可能である。プラグ26は、略ゼロのテーパを有する円柱体であるか、又は外面はプラグテーパ角度36で先細りし、プラグテーパ角度36は、スリーブテーパ角度30とプラグテーパ角度36との差が少なくとも約1度であるように前記スリーブ角度30と異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロップインアンカーシステム及びドロップインアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物品を建造物に固定するために使用されるドロップインアンカーは、通常、予め穿孔された穴内に配置されるスリーブを含む。プラグがスリーブの膨張可能部分内に入れられ、膨張可能部分は、膨張した場合、スリーブを穴内に固定する。物品は、スリーブの膨張可能部分に対向するスリーブのネジ切りされた端部を介して建造物に固定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的なドロップインアンカーでは、プラグは切頭円錐形であり、それにより、スリーブの内側に向かってテーパ状の内壁に合った外面を提供する。傾斜面が互いに働いて、傾斜を使用して可能な限り容易に挿入を行えるようにしながら、所望の効果を得ると理解されてきたため、これは常に、ドロップインアンカーにとって最も効率的な構成であると当然のことのように考えられてきた。それにも拘わらず、従来技術によるドロップインアンカーは、通常、頑丈なハンマーを比較的多数回打ち付けることにより得られる大きな取り付け力を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
第1の端部及び膨張可能な第2の端部を有する管状スリーブであって、第1の端部から第2の端部への方向においてスリーブテーパ角度で狭まる内部テーパを有する、管状スリーブと、
プラグであって、プラグがスリーブ内の取り付け位置に入れられた場合、プラグの外面が上記内部テーパに係合して、第2の端部を膨張させるようにスリーブに挿入可能なプラグと
を備え、プラグは、
i)略ゼロのテーパを有する円柱体であるか、又は
ii)上記外面はプラグテーパ角度で先細りし、プラグテーパ角度は、スリーブテーパ角度とプラグテーパ角度との差が少なくとも約1度であるようにスリーブ角度と異なる、ドロップインアンカーを提供する。
【0005】
本発明は、
第1の端部及び膨張可能な第2の端部を有する管状スリーブであって、第1の端部において1つ又は複数の隆起面を含む、管状スリーブと、プラグがスリーブ内の取り付け位置に入れられると、第2の端部が膨張し、取り付け工具が1つ又は複数の隆起面と相互作用して、ドロップインアンカーと加工対象物との係合の視覚的な指標を提供するように、スリーブ内に挿入可能なプラグと備える、ドロップインアンカーを含む。
【0006】
本発明は、ドロップインアンカーを加工対象物に取り付ける方法であって、
加工対象物に穴を開けること、
ドロップインアンカーを穴内に挿入すること、
取り付け工具を使用して、ドロップインアンカーのプラグを取り付け位置まで入れ、それにより、スリーブを加工対象物と係合させること、
プラグが取り付け位置に達した場合、ドロップインアンカーのスリーブの1つ又は複数の隆起面を取り付け工具で摩耗させること、及び
取り付け工具を使用しての摩耗を介して、1つ又は複数の隆起面からコーティングを除去することであって、コーティングの除去により、スリーブが加工対象物に係合したことの視覚的な指標が観察者に提供される、除去すること
を含む、方法も含む。
【0007】
本発明は、ドロップインアンカーの取り付け工具であって、
ドロップインアンカーのための穴を加工対象物に形成するためのドリルとして構成された第1の端部を含むドリルビットと、
ドリルビットに固定可能な工具スリーブであって、ドリルビットを少なくとも部分的に受ける工具ポケット及びドロップインアンカーのプラグを取り付け位置まで入れて、ドロップインアンカーを加工対象物内に固定するように構成された工具先端を含む工具スリーブと
を備える、取り付け工具も含む。
【0008】
本発明は、加工対象物にドロップインアンカーを取り付ける方法であって、
ドリルビットの第1の端部を使用して加工対象物に穴を形成すること、
ドロップインアンカーを穴に挿入すること、
工具スリーブをドリルビットに固定することであって、工具スリーブは、
ドリルビットの第1の端部を少なくとも部分的に受ける工具ポケット、及び
工具先端
を含む、固定すること、
工具先端を使用して、ドロップインアンカーのプラグを取り付け位置まで入れ、それにより、ドロップインアンカーを加工対象物に固定すること
を含む、方法も含む。
【0009】
本発明は、ドロップインアンカーのリテーナであって、ドロップインアンカーのスリーブ内に挿入可能であり、スリーブに配置された1つ又は複数のネジ切りによりスリーブ内に保持されて、プラグがスリーブから不注意に抜けることを防ぐように構成された、耐久性及び耐水性を有する部材を備える、リテーナも含む。
【0010】
本発明は、
1つ又は複数の内部ネジ切りを含む第1の端部及び膨張可能な第2の端部を有する管状スリーブと、
プラグがスリーブ内の取り付け位置に入れられた場合、第2の端部が膨張するように、スリーブ内に挿入可能なプラグと、
プラグの背後にスリーブ内に挿入可能な耐久性及び耐水性を有する材料で形成されるリテーナであって、1つ又は複数のネジ切りによりスリーブ内に保持され、プラグがスリーブから不注意に抜けることを防ぐように構成される、リテーナと
を備える、ドロップインアンカー組立体も含む。
【0011】
本発明は、ドロップインアンカーを組み立てる方法であって、
1つ又は複数の内部ネジ切りを含む第1の端部及び膨張可能な第2の端部を有する管状スリーブを提供すること、
プラグを管状スリーブの第1の端部内に挿入すること、
耐久性及び耐水性を有するリテーナをプラグの背後に第1の端部内に挿入すること、並びに
リテーナの外周をネジ切りに係合させて、プラグがスリーブから不注意に外れるのを防ぐこと
を含む、方法も含む。
【0012】
本発明をよりよく理解できるように、単なる例として与えられる本発明のいくつかの実施形態について、図面を参照してこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ドロップインアンカーの実施形態の断面図である。
【図2】取り付け位置にプラグを有するドロップインアンカーの実施形態の断面図である。
【図3】リテーナを含むドロップインアンカーの実施形態の断面図である。
【図4】リテーナを含むドロップインアンカーの別の実施形態の断面図である。
【図5】リテーナの実施形態の平面図である。
【図6】取り付け工具の実施形態の断面図である。
【図7】ドリルするように構成された取り付け工具の実施形態の断面図である。
【図8】プラグを駆動するように構成された取り付け工具の断面図である。
【図9】ドロップインアンカーの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はドロップインアンカー10を示す。アンカー10はスリーブ12を含む。スリーブ12は、実質的に管状であり、膨張端部14において半径方向に膨張可能である。膨張可能性を達成するために、スリーブ12は、1つ又は複数の膨張開口部16又はスリーブ12の長さ18に部分的に沿って膨張端部から延ばすことで、スリーブの膨張端部14の直径を増大させることができる他の同様の構造を含む。スリーブ12の一実施形態の内壁20は、膨張端部14に対向するネジ切り端部24において、アンカーが例えば、コンクリート建造物内に取り付けられると、ネジ切り固定具(図示せず)を受けて、所望の加工対象物をアンカー10に固定するネジ切り22を含む。ドロップイン型アンカーでは、内側にネジ切りが(すなわち、図1に示されるように、スリーブ12の内面にネジ切りが)設けられることが一般的であるが、ネジ切り22をスリーブ12の画面に配置することも可能なことを理解されたい。ネジ切り22が外側のネジ切りとして設けられる場合、スリーブ12は、取り付けられた場合、建造物の表面を超えて(建造物の表面から盛り上がって)延びるように構成されるべきである。
【0015】
アンカー10はプラグ26を含み、プラグ26は、ネジ切り端部24からスリーブ12内に挿入可能である。いくつかの実施形態では、膨張端部14でのスリーブ12の直径28は、プラグ26をネジ切り端部からしかスリーブ12内に挿入できないようなものである。スリーブの内径は、膨張部分98においてテーパ形を有する。すなわち、スリーブの内径は、膨張端部14からネジ切り端部24に向かう方向においてスリーブ角度30を増大させ、プラグ26がスリーブ12の膨張部分98に締まり嵌めされる状態になるように、内部テーパ96を画定する。したがって、プラグ26が膨張端部14に向けて入れられると、膨張部分98は膨張して、スリーブ12をコンクリート建造物内に固定する。プラグ26は、膨張端部14の最も近くに配置された先端又は先端端部32と、ネジ切り端部24の最も近くに配置されたヘッド端部34とを有する。いくつかの実施形態では、プラグ26は、先端端部32からヘッド端部34まで略一定の直径を有する実質的に円柱体である。他の実施形態では、プラグ26のプラグ角度36は、ヘッド端部34から先端端部32に向かう方向においてわずかに先細りする。
【0016】
図1及び図2に示される実施形態では、プラグ角度36及びスリーブ角度30は実質的に同様ではなく、スリーブ角度30はプラグ角度36よりも大きい。この差は、プラグ26とスリーブ12との接触面積38が、従来技術によるドロップインアンカーの場合と比較して低減されるようなものである。いくつかの実施形態では、接触は、実質的に環状、平坦な接触であり得る。スリーブ角度30とプラグ角度36との差は、接触面積38の大きさを決める。いくつかの実施形態では、スリーブ角度30とプラグ角度36との差は、約1度以上であり、例えば、1.5度である。これにより、スリーブ12とプラグ26との接触面積38が最小になることが保証される。接触面積38を低減させると、スリーブ12とプラグ26との摩擦が低減し、それにより、プラグ26を図2に示される取り付け位置40に設置するために必要な力の量が低減する。しかし、プラグ26が取り付け位置40に入れられると、スリーブ角度30とプラグ角度36との差は略ゼロであり、膨張部分98の変形によりスリーブとプラグとが接触する。いくつかの実施形態では、プラグ26のテーパ部分は、取り付け位置40にある場合、内部テーパ96の相対的に狭い端部に、又はその端部に隣接して配置されて、プラグ26が取り付け位置40に入れられた場合、スリーブ12が完全に膨張するのを制限しないようにする。
【0017】
いくつかの実施形態では、摩擦は、プラグ26を、標準の16オンス又は20オンスのハンマーで、従来技術によるドロップインアンカーの場合に必要な回数よりははるかに少ない回数、打ち付けることにより取り付け位置40に入れられるようにするのに十分に低減し得る。さらに、いくつかの実施形態では、従来の回転ハンマードリル(図示せず)を利用して、他のいかなる駆動手段も使用せずに、ドロップインアンカーを首尾良く設置し得る。しかし、任意の適した設置工具を利用し得ることを理解されたい。ドロップインアンカー10の実施形態は、約1/4”〜約3/4”(おおよそ6.35mm〜19.05mm)の直径を有するスリーブを有するものを含み得る。さらに、プラグ26が膨張端部14に向けて入れられた場合、プラグ内にテーパがないか、又はテーパスリーブ角度30とプラグ角度36との差がないことにより、プラグ26は、スリーブ材料がプラグのテーパの周囲で曲がる従来技術によるテーパ形プラグ26とは対照的に、膨張部分98の材料を直接半径方向外側に変形させる。この結果、膨張したスリーブ12は、略線形の外面の膨張部分98を有することになる。この線形外面スリーブ12は、同様の最大直径のテーパ形プラグを有する従来技術によるアンカーと比較した場合、ドロップインアンカー10が耐えることができる最終的な負荷を増大する。
【0018】
再び図1を参照すると、プラグ26の先端端部32は面取り42を含み得る。面取り42は傾斜して、プラグ26が、挿入中にスリーブ12の内壁20に引っかからないようにすることで、プラグ26が取り付け位置40により容易に移動するのを促進する。面取り42は小さいため、面取り42の存在によりプラグ26の直径の低減により、膨張が失われることはない。さらに、いくつかの実施形態では、プラグ26は、面取り42が端部96に配置されて、スリーブ12の最大膨張を保持するように取り付け位置40に入れられる。
【0019】
これより図3を参照すると、いくつかの実施形態はリテーナ44を含む。リテーナ44は、プラグ26が挿入された後、ネジ切り端部24からスリーブ12内に挿入される。リテーナ44は、プラグ26が入れられてドロップインアンカー10を取り付ける前に、プラグ26がスリーブ12から不注意に外れないようにする。プラグ26はスリーブ12内に緩く収容されるため、プラグ26が、配送中、格納中、又は配置の直前にスリーブ12から抜け落ちることはよくある。これは少なくとも迷惑なことであり、プラグ26が容易に見つからない場合、仕事現場での効率又は成功に影響を及ぼす恐れがある。リテーナ44は、プラグ26の抜け落ちが回避され、場合によっては、プラグ26をスリーブ12内の、プラグ26の任意の認められる程度の移動を阻止又は防止する深さまで推進し得るように、スリーブ12内に位置決めされる。そのようなプラグ26の移動の制限には、スリーブ12及びプラグ26が押し合うことに関連する雑音を低減するというさらなる恩恵がある。
【0020】
リテーナ44は、少なくとも耐水性を有する比較的耐久性のある材料から形成される。一実施形態では、材料はプラスチック材料、例えば、ポリエチレンであるが、金属、木材、ゴム、又は他の適した材料を使用してもよい。リテーナ44は、成形されるか、又は他の様式、例えば、スタンピング、パンチング、押出し、又は切断等で形成される。いくつかの実施形態では、リテーナ44は略円盤形であるが、他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱せずに、部分的に球形、正方形、三角形、五角形、又はレンズ形等の他の形状で置換し得る。最終的に、プラグ26がスリーブ12から出るのを阻止又は実質的に抑止するような、スリーブ12及びプラグ26に対して位置決め可能な任意の形状を使用し得る。図3に示されるように、リテーナ44は、リテーナ44がスリーブ12内に挿入された場合、リテーナ44の外周46がスリーブ12のネジ切り22に係合するように構成される。しかし、他の実施形態では、リテーナ44の周縁46がネジ切り22の山と摩擦係合して、リテーナ44をスリーブ12内に固定し得ることを理解されたい。
【0021】
リテーナ44のいくつかの実施形態は、リテーナ44の周縁46により画定される平面から延出する突起48を含む。いくつかの実施形態では、突起はリテーナ44の実質的に中央に配置される。示されるように、突起48は切頭円錐形であり得る。他の実施形態では、突起48は他の形状を有し得る。例えば、図4に示されるように、突起48は少なくとも部分的に球形であってもよい。図5を参照すると、いくつかの実施形態では、リテーナ44は、リテーナ44の中央部分52から外側に延びる1本又は複数本のフィンガ50を含む。図5の実施形態では、リテーナ44は、リテーナ44の周囲に等間隔で配置された4本のフィンガ50を含む。他の実施形態では、他の数量のフィンガ50を含んでもよく、例えば、3本、6本、又は8本のフィンガ50を含んでもよいことを理解されたい。フィンガ50は、リテーナ44の外周46をより柔軟にして、スリーブ12の螺旋状ネジ切り22にリテーナ44をより確実に係合できるようにする。さらに、フィンガ50の構造は必然的に、材料の破断を形成するため、リテーナ44がスリーブ12のネジ切り22を超える必要がない。むしろ、フィンガ50のそれぞれは、ネジ切り22の山を超えずに、ネジ切り22の谷に完全に係合することができる。フィンガ50はさらに、フィンガ50のないリテーナ44と比較して、リテーナ44が取り付けられた状態でプラグ26を取り付けるために必要な力の量を低減する。リテーナ44の周縁46の破断も、完全な係合及びネジ切り22の山を超えることの回避を達成することが理解されよう。
【0022】
これより図6を参照すると、ドロップインアンカー10のいくつかの実施形態は、独自の取り付け工具54により取り付けられるように構成される。取り付け工具54はドリルビット56を含む。ドリルビット56は、接続端部60に配置され、例えば、従来の回転ハンマードリル(図示せず)のチャック(図示せず)内に取り付けられるように構成されたシャフト58を含む。ドリル端部62はドリルとして構成され、尖った先端64及びフルート66を有する。ビットカラー68が、ドリル端部62と接続端部60との間に配置される。
【0023】
取り付け工具54は、ドリルビット56上に固定可能な工具スリーブ70を含み、工具スリーブ70の第1の端部78に工具ポケット76を含む。工具ポケット76は実質的に管状であり、いくつかの実施形態では、ドリルビット56を挿入可能かつ固定可能な円筒形構造である。工具スリーブ70をドリルビット56に固定するために、いくつかの実施形態は、ビットカラー68に1つ又は複数の要素、例えば、工具ポケット76内に内側に延びる工具スリーブ70の1つ又は複数の突起74(ピン、バー等)と係合可能な1つ又は複数のスロット72を含む。1つ又は複数のスロット72は、1つ又は複数の突起74の保持を促進する、長さに沿って任意の形状であり得る。例えば、スロット72は、j字、z字、又はs字形であり得る。いくつかの実施形態では、突起とスロットとの構成は実質的に逆であってもよく、突起74がビットカラー68から外側に延び、工具スリーブ70に配置されたスロット72で受けることが可能である。1つのスロット72が示されるが、他の数量のスロット72及び突起74、例えば、2つ、3つ、又はそれよりも多数のスロット72及び突起74を使用してもよいことを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態は、工具ポケット76に配置されて、ドリルビット56を工具スリーブ70から離れるように付勢して、突起74をスロット72内に固定するのを助ける付勢部材94を含む。示される付勢部材94は、弾性材料、例えばゴムのブロックである。他の種類の付勢部材94、例えば、工具ポケット76に配置されたバネを使用してもよいことを理解されたい。工具スリーブ70とドリルビット56との突起とスロットとの接続構成を本明細書において説明したが、これは単なる例であり、他の接続構成を使用してもよい。工具スリーブ70は、工具スリーブ70の第2の端部82に配置されるセッティング工具先端80を含む。工具先端80は、プラグ26を取り付け位置40まで入れ、それにより、スリーブ12を膨張させるために使用される。
【0024】
取り付け工具54は、図7及び図8に示されるようにドロップインアンカー10を取り付けるために利用される。まず、シャフト58がドリルチャック(図示せず)に取り付けて固定する。次に、ドリルビット56を利用して、ドロップインアンカー10を受けるようなサイズの穴84を開ける。
【0025】
ドロップインアンカー10が穴84内に挿入されると、プラグ26を取り付け位置40(図2)まで入れて、スリーブを膨張させ、穴84の壁86に係合させなければならない。これを達成するために、工具スリーブ70は、ドリルビット56を工具ポケット76に挿入し、突起74をスロット72に挿入して、工具スリーブ70をドリルビット56上に固定することにより、ドリルビット56上に取り付けられる。いくつかの実施形態では、突起74がスロット72に係合した場合、ビットカラー68は工具スリーブフランジ100上に着座する。プラグ26は、工具先端80を介してこの構成の取り付け工具54を利用することにより取り付け位置40に入れられる。プラグ26を取り付け位置40に入れることにより、力がカラー70及び工具スリーブフランジ100を介してドリルビット56を通して工具スリーブそして工具先端80に伝わり、工具先端80はプラグ26に対して作用する。取り付け工具54は、取り付けプロセス中に1回だけ、取り付け工具54をチャック内に取り付ける必要があるだけである。穴84をドリルビット56により開け、次に、工具スリーブ70を使用して、第2の工具をチャック内に取り付けることなく、ドロップインアンカー10を取り付けることができる。これは、穴84を開けてからプラグ26を取り付けるまでの間に工具を交換するために必要な時間がより短い、より単純で高速の取り付けプロセスを提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、図9に示されるように、スリーブ12は、ネジ切り端部24の外部に1つ又は複数の隆起要素、例えば、キャステレーション(castellation)92を含む。図9は、ネジ切り端部24の周囲に等間隔で配置された4つのキャステレーション92を示すが、ドロップインアンカー10の他の実施形態は他の数量及び/又は間隔のキャステレーション92を利用してもよいことを理解されたい。キャステレーション92は、キャステレーション間に配置される端面部分94に対してスリーブの長手方向において隆起した各端面部分をネジ切り端部24において画定する。隆起端面部分が、代替として、ネジ切り端部24に設けられた窪み、スロット、又はスリットにより画定されてもよいことが理解されよう。
【0027】
プラグ26を取り付け位置に入れる前、例えば、スリーブ12の製造時に、キャステレーション92を含むスリーブ12の少なくとも部分は、スリーブ12の基本材料の色とコントラストをなす色を有する塗料でコーティングされる。いくつかの実施形態では、コーティングは青色塗料である。しかし、青色塗料の使用は単なる例示であり、他の色の塗料及び/又は他の種類のコーティングを利用してもよいことを理解されたい。プラグ26が取り付け位置に入れられた場合、ビット先端80の長さは、プラグ26が取り付け位置40に達した場合、ビットショルダ102(図8)がキャステレーション92に接触するように構成されるようなものである。ビットショルダ102が、キャステレーション92に接触しながら、回転ハンマードリルの働きを介してスリーブに対して回転するなどの際、コーティングはキャステレーションから剥がれて、コーティングの下にあるスリーブ12の色を見せる。ビットショルダ102によるコーティングの剥がれは、ドロップインアンカー10が建造物に係合したことの視覚的な指標として機能する。すなわち、プラグは、スリーブと設計された干渉を提供し、それにより、ドロップインアンカーが使用されるように設計された穴のサイズに対応する直径を有する穴の壁と設計された干渉を提供するのに十分な設計されたスリーブの膨張を提供するのに十分にスリーブ内に挿入されている。他の実施形態では、視覚的指標は、例えば、取り付け工具による隆起要素の変形、又は例えばセッティング工具の反応性コーティングもしくはセッティング工具の被加熱要素との接触からの、隆起要素に塗布されたコーティングの色の変化であり得る。
【0028】
記載され図示された実施形態が純粋に例であり、限定として解釈されるべきではなく、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(24)及び膨張可能な第2の端部(14)を有する管状スリーブ(12)であって、前記第1の端部から前記第2の端部への方向においてスリーブテーパ角度(30)で狭まる内部テーパを有する、管状スリーブ(12)と、
プラグ(26)であって、前記プラグが前記スリーブ内の取り付け位置に入れられた場合、前記プラグ(26)の外面が前記内部テーパに係合して、前記第2の端部(14)を膨張させるように前記スリーブに挿入可能なプラグ(26)と、
を備え、
前記プラグは、
i)略ゼロのテーパを有する円柱体であるか、又は
ii)前記外面はプラグテーパ角度(36)で先細りし、前記プラグテーパ角度(36)は、前記スリーブテーパ角度と前記プラグテーパ角度との差が少なくとも約1度であるように前記スリーブ角度(30)と異なる、ドロップインアンカー。
【請求項2】
前記スリーブテーパ角度(30)と前記プラグテーパ角度(36)との差は約1.5度である、請求項1に記載のドロップインアンカー。
【請求項3】
前記プラグテーパ角度(36)は前記スリーブテーパ角度(30)よりも小さい、請求項1又は2に記載のドロップインアンカー。
【請求項4】
先端端部領域でのプラグ外径は、前記第2の端部(14)の領域での前記スリーブ(12)の内径よりも大きく、それにより、前記スリーブと前記プラグとの接触を画定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のドロップインアンカー。
【請求項5】
前記接触は実質的に環状接触である、請求項4に記載のドロップインアンカー。
【請求項6】
前記スリーブ(12)は、少なくとも部分的に前記スリーブの長さに沿って前記第2の端部(14)から延びる1つ又は複数の膨張開口部(16)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のドロップインアンカー。
【請求項7】
前記プラグ(26)は前記第1の端部においてのみ前記スリーブに挿入可能である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のドロップインアンカー。
【請求項8】
前記スリーブ(12)の前記第1の端部に内部ネジ切り(22)が設けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のドロップインアンカー。
【請求項9】
前記スリーブ(12)に挿入可能であり、前記内部ネジ切り(22)との係合により前記スリーブ内に保持されて、前記プラグが前記スリーブから不注意に外れるのを防ぐように構成された耐水性部材(44)をさらに備える、請求項8に記載のドロップインアンカー。
【請求項10】
前記耐水性部材(44)が、前記スリーブ(12)内の保持位置に挿入可能であり、前記保持位置において、前記スリーブの長手方向での前記プラグの移動が実質的に防止されるように構成される、請求項9に記載のドロップインアンカー。
【請求項11】
前記スリーブの前記第1の端部(24)に、前記スリーブの長手方向において、前記第1の端部の第2の端部表面部分(94)に対して隆起した少なくとも1つの第1の端部表面部分(92)が設けられ、前記少なくとも1つの第1の端部表面部分は、取り付け工具により係合可能であり、前記プラグが前記取り付け位置にあることの視覚的指標を提供する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のドロップインアンカー。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の端部表面部分(92)に、前記取り付け工具による係合に応答して除去可能又は色変更可能なコーティング、および前記プラグが前記取り付け位置にあることの前記視覚的指標を提供する、請求項11に記載のドロップインアンカー。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のドロップインアンカーと、前記アンカーの取り付け工具とを備えるドロップインアンカーシステムであって、前記取り付け工具は、前記アンカーを受けるための穴を加工対象物を形成し、前記プラグを前記取り付け位置まで入れて、前記アンカーを前記穴内に固定するように構成される、ドロップインアンカーシステム。
【請求項14】
前記取り付け工具はドリルビット(56)及びセッティング工具(54)を備え、前記セッティング工具は、前記ドリルビットを少なくとも部分的に受けるポケット(76)及び前記プラグに係合して、前記プラグを前記取り付け位置まで入れる先端(80)を有する、請求項13に記載のドロップインアンカーシステム。
【請求項15】
前記ドリルビット(56)及び前記セッティング工具(54)に、前記ドリルビットを前記セッティング工具に着脱可能に固定するように動作可能な、相補的なスロット及び突起システムが設けられる、請求項14に記載のドロップインアンカーシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−256702(P2011−256702A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127758(P2011−127758)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(511138386)パワー プロダクツ サード、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】