説明

ナノインプリントモールド用離型剤、表面処理方法並びにナノインプリント用モールド

【解決手段】一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物又は下記一般式(2)で示されるシラザン化合物からなるナノインプリントモールド用離型剤。


(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。a及びbは各々0又は1であり、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【効果】本発明によれば、離型性のよい離型層を持つため、パターン寸法に影響をほとんど与えず、離型時の親和力によるパターン欠損を低減し、高精度なインプリント形成が可能なナノインプリントモールド用離型剤を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリントに用いるモールドの凹凸パターンの表面処理に用いられる離型剤、これを用いたナノインプリントモールドの表面処理方法並びにこれにより得られるナノインプリント用モールドに関する。
【0002】
ナノインプリント技術とは、本来フォトリソグラフィー技術においては複数の工程を経て作製される微細パターンに代わって、予め表面にナノメートルサイズの凹凸パターンを形成したモールドを、被加工材もしくは表面に塗布形成された樹脂に押し付け、微細パターンを一括で精密に転写する手法である。モールドパターンはいわゆる金型の役割を担っており、繰り返し利用が可能であるため、高いスループットが得られる上に非常に低コストである。
【0003】
微細パターンを樹脂に転写する際、樹脂を硬化させる必要があるが、硬化方法によってナノインプリントの方式は大別されており、熱可塑性樹脂を用いて熱により凹凸パターンを転写する熱ナノインプリント法や、光硬化性樹脂を用いて光により凹凸パターンを転写する光ナノインプリント法等が知られている。
【0004】
特にUV光によって樹脂を硬化させる光ナノインプリントにおいては、一般的には石英ガラスが用いられている。石英ガラスは特に半導体分野で一般的に用いられて来た実績があるが、これは石英ガラスの低熱膨張、純度、熱耐性、薬品耐性に優れていること、またそれゆえパターン精度を出し易く、経時劣化も無く、特に微細なパターンが必要とされるIC用途に最適であるためである。
このようにモールド用素材としての優れた物性を持つ一方で、インプリント時にモールドとパターン転写材料である樹脂との離型性が低く、転写パターンを形成した樹脂からモールドを剥離する際に樹脂がモールド側に密着し、樹脂の凹凸パターンに欠けを生じ、パターン欠陥や離型剤が剥がれる等の問題があった。
このため、離型性を向上させる方法として、フッ素系離型剤がいくつか試みられている(特許文献1〜3:国際公開第2009/148138号パンフレット、特開2010−214859号公報、特開2007−073712号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/148138号パンフレット
【特許文献2】特開2010−214859号公報
【特許文献3】特開2007−073712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記フッ素系離型剤によって一定の効果は得られているものの、離型時のパターン欠け問題は完全な解決には至っていない。特に微細なパターンにおいては、更なる離型性が要求されている。また、微細化が更に進み10nmオーダーのパターンになると、離型剤層の厚みがパターン精度へ与える影響も無視できないレベルとなってきており、ポリマー樹脂や長鎖の化合物に代わってより低分子の化合物が望まれる。また、離型処理を気相で行う場合においても低沸点が好ましく、低分子化合物がより有利である。
【0007】
本発明は上記事情を改善するためになされたもので、離型性に優れ、高精度のインプリント形成を可能にするナノインプリントモールド用離型剤、これを用いたナノインプリントモールドの表面処理方法、及びこれにより得られるナノインプリント用モールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物及び下記一般式(2)で示されるシラザン化合物が、撥水・撥油性に優れ、良好な離型性を与え、これら化合物をナノインプリントモールドに表面処理することにより、インプリント時にモールドとパターン転写材料の樹脂とがスムーズに離型し、パターン欠け問題を解決し得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記のナノインプリントモールド用離型剤、これを用いたナノインプリントモールドの表面処理方法、及びこれにより得られるナノインプリント用モールドを提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物又は下記一般式(2)で示されるシラザン化合物からなるナノインプリントモールド用離型剤。
【化1】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。a及びbは各々0又は1であり、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化2】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。a及びbは各々0又は1、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
請求項2:
式(1)のアルコキシシラン化合物が、下記一般式(3)、(4)又は(5)で示されるアルコキシシラン化合物である請求項1記載の離型剤。
【化3】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。Xはエーテル結合又はエステル結合である。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化4】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化5】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
請求項3:
式(2)のシラザン化合物が、下記一般式(10)、(11)又は(12)で示されるシラザン化合物である請求項1記載の離型剤。
【化6】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【化7】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【化8】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
請求項4:
ナノインプリントモールドの表面を請求項1〜3のいずれか1項記載のナノインプリントモールド用離型剤により処理することを特徴とするナノインプリントモールドの表面処理方法。
請求項5:
前記表面処理方法が、気相処理、浸漬処理及び塗布処理のいずれかである請求項4に記載の表面処理方法。
請求項6:
請求項4又は5記載の表面処理方法によって得られたナノインプリント用モールド。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、離型性のよい離型層を持つため、パターン寸法に影響をほとんど与えず、離型時の親和力によるパターン欠損を低減し、高精度なインプリント形成が可能なナノインプリントモールド用離型剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】参考例1で得られたシラザン化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】参考例1で得られたシラザン化合物のIRスペクトルである。
【図3】参考例2で得られたシラザン化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】参考例2で得られたシラザン化合物のIRスペクトルである。
【図5】参考例3で得られたアルコキシシラン化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図6】参考例3で得られたアルコキシシラン化合物のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のナノインプリントモールド用離型剤は、下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物又は下記一般式(2)で示されるシラザン化合物からなるものである。
【化9】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。a及びbは各々0又は1であり、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化10】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。a及びbは各々0又は1、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【0013】
式(1)のアルコキシシラン化合物
まず、式(1)のアルコキシシラン化合物について説明する。
上記一般式(1)において、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基で各々同一又は異なっていてもよい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ヘキサデカフルオロオクチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロピル基、5,5,5,4,4,3,3,2,2−ノナフルオロペンチル基、7,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3,2,2−トリデカフルオロヘプチル基、9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3,2,2−ヘキサデカフルオロノニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基、8,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−トリデカフルオロオクチル基、10,10,10,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−ヘキサデカフルオロデシル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、5,5,5,4,4−ペンタフルオロペンチル基、7,7,7,6,6,5,5,4,4−ノナフルオロヘプチル基、9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、6,6,6,5,5−ペンタフルオロヘキシル基、8,8,8,7,7,6,6,5,5−ノナフルオロオクチル基、10,10,10,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5−トリデカフルオロデシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、7,7,7,6,6−ペンタフルオロヘプチル基、9,9,9,8,8,7,7,6,6−ノナフルオロノニル基、7,7,7−トリフルオロヘプチル基、8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル基、10,10,10,9,9,8,8,7,7−ノナフルオロデシル基、9,9,9−トリフルオロノニル基、10,10,10,9,9−ペンタフルオロデシル基等の直鎖状フルオロアルキル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基等の分岐状フルオロアルキル基が挙げられる。
【0014】
上記一般式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基等が挙げられ、好ましくは水素原子、メチル基である。
【0015】
上記一般式(1)中、R2及びR3はメチル基又はエチル基で各々同一又は異なっていてもよい。
X、Yはエーテル結合又はエステル結合である。
m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、rは0〜2の整数であり、好ましくはm、n及びpは各々0又は1、qは1〜3の整数、rは1又は2である。
【0016】
本発明の一般式(1)で示される化合物を具体的に例示すると、下記一般式(3)で示される化合物A、B、下記一般式(4)で示される化合物C〜E、下記一般式(5)で示される化合物F等が例示されるが、本発明はこの例示により制限されるものではない。
【0017】
【化11】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。Xはエーテル結合又はエステル結合である。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【0018】
【化12】

【0019】
【化13】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【0020】
【化14】

【0021】
【化15】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【0022】
【化16】

【0023】
但し、化合物A〜F中のRfα、Rfβ及びRγとしては、下記表1及び表2の基が例示され、Rfα及びRfβは同一又は異なっていてもよい。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
上記一般式(1)で示される2つのフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(6)
【化17】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。a及びbは各々0又は1であり、mは0〜6の整数、nは0〜6の整数、pは0〜6の整数、q’は0〜4の整数である。)
で示される2つのフルオロアルキル基を有するオレフィンと、下記一般式(7)
【化18】

(式中、R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。rは0〜2の整数である。)
で示されるヒドリドアルコキシシラン化合物を反応する方法である。なお、反応は遷移金属触媒の存在下で行うのが好ましく、遷移金属触媒としては白金触媒が好ましい。
【0027】
上記一般式(6)及び式(7)中、Rf、Rf’、R1、R2、R3、X、Y、m、n、p、r、a及びbは上記一般式(1)における定義と同様である。q’は0〜4の整数、好ましくは1である。
【0028】
上記一般式(6)で示される化合物を具体的に例示すると、下記化合物a〜f等が例示されるが、本発明はこの例示により制限されるものではない。
【0029】
【化19】

【0030】
但し、化合物a〜f中のRfα、Rfβとしては、上記表1の基が例示され、Rfα及びRfβは同一又は異なっていてもよい。
【0031】
上記反応で用いられる一般式(7)で示されるヒドリドアルコキシシラン化合物としては、具体的には、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等が例示される。
【0032】
一般式(6)で示される化合物と、一般式(7)で示されるヒドリドアルコキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(6)で示される化合物1モルに対し、一般式(7)で表されるヒドリドアルコキシシラン化合物0.5〜2モル、特に0.7〜1.2モルの範囲が好ましい。
【0033】
上記反応で用いられる白金触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン又はキシレン溶液、テトラキストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビストリフェニルホスフィン白金、ジクロロビスアセトニトリル白金、ジクロロビスベンゾニトリル白金、ジクロロシクロオクタジエン白金等が例示される。
【0034】
白金触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から一般式(6)で示される化合物1モルに対し、0.000001〜0.01モル、特に0.00001〜0.001モルの範囲が好ましい。
【0035】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜120℃、特に20〜100℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜10時間が好ましい。
【0036】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
なお、化合物a〜fは、例えば、下記式のように一般的に知られている方法で製造することが可能である。
【0038】
【化20】

【0039】
また、上記一般式(1)で示される2つのフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(8)
【化21】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2はメチル基又はエチル基である。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。aは0又は1、bは0又は1、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
で示される2つのフルオロアルキル基を有するクロロシラン化合物を下記一般式(9)
【化22】

(式中、R3はメチル基又はエチル基である。)
で示される化合物と反応させる方法である。
【0040】
上記一般式(8)及び式(9)中、Rf、Rf’、R1、R2、R3、X、Y、m、n、p、q、r、a及びbは上記一般式(1)と同様である。
【0041】
本発明の一般式(8)で示される化合物を具体的に例示すると、下記化合物I〜VI等が例示されるが、本発明はこの例示により制限されるものではない。
【0042】
【化23】

【0043】
但し、化合物I〜VI中のRfα、Rfβとしては、上記表1の基が例示され、Rfα及びRfβは同一又は異なっていてもよい。
δ例としては、−SiCl3、−Si(CH3)Cl2、−Si(CH32Cl等が挙げられる。
【0044】
上記一般式(9)で示される化合物の具体例としては、メタノール、エタノールである。
【0045】
上記一般式(8)で示される化合物と、一般式(9)で示される化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(8)で示される化合物のSi−Cl結合1モルに対し、0.5〜2.0モル、特に0.7〜1.2モルの範囲が好ましい。
【0046】
また、上記アルコキシ化反応において、反応中に生成する塩化水素を捕捉するために、塩基性化合物を反応系中に存在させて反応を行ってもよい。塩基性化合物の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、アニリン、n−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン等のアミン化合物、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピコリン、ルチジン等の含窒素芳香族化合物、アンモニア、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド化合物等が例示される。
【0047】
上記塩基性化合物の添加量は、一般式(8)で示される化合物のSi−Cl結合1モルに対し0.5〜2.0モル、特に0.7〜1.2モルが好ましい。
【0048】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は通常量の範囲とすることができる。
【0049】
更に、上記反応条件は特に限定されないが、−20〜150℃、特に0〜100℃で1〜20時間、特に2〜10時間とすることができる。
【0050】
また、上記ヒドロシリル化反応組成物又はアルコキシ化反応組成物から一般式(1)で示される化合物を蒸留やカラム分離等の精製方法により単離することも可能であり、特に蒸留による単離が高純度化できるため好ましい。蒸留の条件は、特に制限はないが、沸点を下げるため減圧にて行う方が好ましい。
【0051】
式(2)のシラザン化合物
一方、上記一般式(2)中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基で、各々同一又は異なっていてもよい。具体的には、上述した通り、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ヘキサデカフルオロオクチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロピル基、5,5,5,4,4,3,3,2,2−ノナフルオロペンチル基、7,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3,2,2−トリデカフルオロヘプチル基、9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3,2,2−ヘキサデカフルオロノニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル基、8,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−トリデカフルオロオクチル基、10,10,10,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−ヘキサデカフルオロデシル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、5,5,5,4,4−ペンタフルオロペンチル基、7,7,7,6,6,5,5,4,4−ノナフルオロヘプチル基、9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、6,6,6,5,5−ペンタフルオロヘキシル基、8,8,8,7,7,6,6,5,5−ノナフルオロオクチル基、10,10,10,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5−トリデカフルオロデシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、7,7,7,6,6−ペンタフルオロヘプチル基、9,9,9,8,8,7,7,6,6−ノナフルオロノニル基、7,7,7−トリフルオロヘプチル基、8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル基、10,10,10,9,9,8,8,7,7−ノナフルオロデシル基、9,9,9−トリフルオロノニル基、10,10,10,9,9−ペンタフルオロデシル基等の直鎖状フルオロアルキル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピル基等の分岐状フルオロアルキル基が挙げられる。
【0052】
上記一般式(2)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。具体的には、上述した通り、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基等が挙げられ、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0053】
上記一般式(2)中、R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基で各々同一又は異なっていてもよく、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基等が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基である。また、炭素原子中の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基、エステル基、エーテル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0054】
上記一般式(2)中、R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、脂肪族1価炭化水素基としては直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基等が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基である。また、炭素原子中の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基、エステル基、エーテル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0055】
m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、sは1又は2であり、好ましくはm、n及びpは各々0又は1、qは1〜3の整数、sは1又は2である。
【0056】
本発明の一般式(2)で示される化合物を具体的に例示すると、下記一般式(10)で示される化合物G、下記一般式(11)で示される化合物H、下記一般式(12)で示される化合物I等が例示されるが、本発明はこの例示により制限されるものではない。
【0057】
【化24】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【0058】
【化25】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【0059】
【化26】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【0060】
但し、化合物G〜I中のRfα及びRfβとしては、上記表1の基が例示され、Rfα及びRfβは同一又は異なっていてもよい。
【0061】
上記一般式(2)で示される2つのフルオロアルキル基を有するシラザン化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(13)
【化27】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。a及びbは各々0又は1、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数である。)
で示される2つのフルオロアルキル基を有するモノクロロシラン化合物と下記一般式(14)
【化28】

(式中、R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。sは1又は2である。)
で示されるアミン化合物を反応する方法である。
【0062】
上記一般式(13)及び式(14)中、Rf、Rf'、R1、R2、R3、R4、m、n、p、q、s、a及びbは上記一般式(2)と同様である。
【0063】
上記一般式(13)で示される化合物を具体的に例示すると、下記化合物g〜i等が例示されるが、本発明はこの例示により制限されるものではない。
【0064】
【化29】

【0065】
但し、化合物g〜i中のRfα及びRfβとしては、上記表1の基が例示され、Rfα及びRfβは同一又は異なっていてもよい。
【0066】
上記反応で用いられる一般式(14)で示されるアミン化合物としては、具体的にはアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が例示され、好ましくはアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンが用いられる。
【0067】
一般式(13)で示されるモノクロロシラン化合物と、一般式(14)で示されるアミン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(13)で示される化合物1モルに対し、一般式(14)で表されるアミン化合物2〜10モル、特に2〜3モルの範囲が好ましい。
【0068】
上記反応は脱塩酸反応であり、アミン化合物により塩酸をアンモニウム塩としてトラップすることが好ましい。アミン化合物としては、一般式(14)を用いてもよく、公知の3級アミン化合物を用いることができる。3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等のアミジン類、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピコリン、ルチジン等の含窒素芳香族化合物等が挙げられる。アミン化合物の使用量は、モノクロロシラン1モルに対し、通常1.0〜2.0モルである。生成したアンモニウム塩は、公知の方法で除去でき、例えば、ろ過、分液、デカンテーション等が挙げられる。
【0069】
また、本反応においては触媒として相間移動触媒を用いることもできる。相間移動触媒としては、ハロゲン化4級アンモニウム化合物、ハロゲン化4級ホスホニウム化合物、クラウンエーテル等が挙げられ、具体的には、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。
【0070】
上記相間移動触媒の使用量は特に限定されないが、触媒量であり、反応性及び生産性の点から、上記一般式(13)で示されるモノクロロシラン化合物1モルに対し、0.001〜1モル、特に0.003〜0.05モルの範囲が好ましい。触媒が0.001モル未満であると、触媒の十分な効果が発現しない可能性があり、0.1モルを超えると、触媒の量に見合うだけの反応促進効果がみられない可能性がある。
【0071】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は通常量の範囲とすることができる。
【0072】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜120℃、特に0〜70℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜10時間が好ましい。
【0073】
なお、化合物g〜iの原料であるオレフィンは、例えば、下記式のように一般的に知られている方法で製造することが可能であり、対応するヒドリドジアルキルクロロシラン化合物と反応することで化合物g〜iは得られる。
【0074】
【化30】

【0075】
また、上記反応組成物から一般式(2)で示される化合物を蒸留やカラム分離等の精製方法により単離することも可能であり、特に蒸留による単離が高純度化できるため好ましい。蒸留の条件は、特に制限はないが、沸点を下げるため減圧にて行う方が好ましい。
【0076】
表面処理方法
本発明の表面処理方法は、上記式(1)又は(2)で示されるナノインプリントモールド用離型剤を用いてモールド表面の処理を行う。
ここで、本発明において用いられるモールドは、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、溶融石英ガラス、合成石英ガラス等、いずれの素材を用いても構わないが、特に合成石英ガラスは、半導体用に使用実績が多く、物性、精度に優れている。
合成石英ガラスは、有機シラン化合物を出発原料として、酸水素炎によって反応させて製造される合成石英ガラスインゴットを所望の形状に成形・アニール処理をして、次いで平面もしくは円筒研削後に所望の厚さにスライス後、研削、必要に応じて外周の研磨を行い、更に粗研磨、精密研磨、洗浄等を経たものを用いる。
【0077】
本発明の具体的な表面処理方法を行うに際しては、予めフォトレジスト材料によるフォトリソグラフィー工程によりパターンが描写されているナノインプリントモールドの表面を精密洗浄することが好ましい。ガラス表面が汚れていると離型処理がうまく行えない可能性があるばかりか、インプリントの欠陥の原因にもなる。
【0078】
モールドの表面処理方法としては、浸漬処理、スピンコーティング、スプレーコーティング、気相処理等が可能であるが、その中でコンタミネーションや過剰物質の付着を防ぐ意味でも気相処理が特に好ましい。気相処理の場合、離型剤原液溶液又はその溶媒による希釈溶液を常温もしくは加熱を行って蒸発させ、蒸気をモールド上へ接触、反応させる。加熱以外にも乾燥窒素ガス等のバブリングによって蒸発を補助することも効果的である。
なお、気相処理中にモールド側を加熱しながら反応させることも反応促進という意味で効果的である。モールド基板加熱温度に制限はないが、50〜150℃、特に70〜90℃が好ましい。また、前記気相処理後に更に加熱処理を行ってもよい。また加熱処理の前もしくは加熱処理の後に洗浄を行ってもよい。
【0079】
離型剤原液溶液もしくは希釈溶液として表面処理する場合は、スプレーコーティング装置を用いて基板へ溶液を噴霧、又はスピンコーティングの場合はスピンコーター等を用い、溶液を基板へ滴下した後もしくは溶液を滴下しながら基板をスピンさせ、塗布する方法を取ることができる。塗布後、室温〜150℃で加熱乾燥させることが好ましい。
【0080】
上記一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物は、原液をそのまま使用しても問題ないが、溶媒に希釈して用いた方が簡便で好ましい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され、特に水、アルコール溶液が好ましい。用いる濃度としては、アルコキシシラン化合物が、0.001〜50質量%となるように希釈して用いるとよい。
これら事前に加水分解させたものをスプレーコーティングやスピンコーティングを行う、又は被処理基板を浸漬させて処理を行うことができる。スプレーコーティングやスピンコーティングの際、基板との馴染みをよくさせるために、事前に原料溶液の希釈に用いている溶媒やその他適当な溶媒等を基板上へ塗布、接触させることも効果的である。
また、塗布後には加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理温度については、反応を促進させるための補助的役割を担っており、100℃以上で行うことが好ましい。但し、必ずしもこの条件に制限されるものではない。
また、加熱処理後に基板上への残渣、コンタミネーション、不純物等の除去のために洗浄を行うことがより好ましい。洗浄は、純水やアルコール、その他溶剤や非エッチング性の洗剤等が使用できる。
【0081】
上記一般式(2)で示されるシラザン化合物は、原液をそのまま使用しても問題ないが、溶媒に希釈して用いた方が簡便で好ましい。溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され、用いる濃度としては、シラザン化合物が、0.001〜50質量%となるように希釈して用いるとよい。
基板への処理方法としては、浸漬処理、スピンコーティング、スプレーコーティング、気相処理等が可能であるが、その中でコンタミネーションや過剰物質の付着を防ぐ意味でも気相塗布が最適である。気相塗布の場合、原料溶液を常温もしくは加熱を行って蒸発させ、蒸気を基板上へ接触、反応させる。加熱以外にも乾燥窒素ガス等のバブリングによって蒸発を補助することも効果的である。
【実施例】
【0082】
以下、実施例、比較例及び参考例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0083】
[実施例1]
合成石英ガラス基板をラッピングから最終研磨まで行った後、半導体洗浄に準じた洗浄を行った。更にUVオゾン処理にて親水化したガラス基板を、下記式(15)で表わされるフルオロアルキル基を有する低分子シラザン化合物に2時間浸漬した後、エタノールで超音波洗浄、110℃で30分間乾燥した。このようにして表面処理したガラス板に水(1μl)又はテトラデカン(5μl)を垂らし、その接触角を測定した。転落角はガラスに水(13μl)を垂らし、ガラスを傾け水滴が動き始めた時の角度を測定した。また、そのときの前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)を計算した。結果を表3に示す。
【化31】

【0084】
[実施例2]
実施例1において下記式(16)で表わされる低分子シラザン化合物を用いて同様の処理を行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【化32】

【0085】
[実施例3]
合成石英ガラス基板をラッピングから最終研磨まで行った後、半導体洗浄に準じた洗浄を行った。洗浄後、上記式(15)で表わされる化合物と共に合成石英ガラス基板を密閉容器内で加熱した。加熱処理は、120℃で6時間行った。処理後、エタノール溶液、純水で洗浄した後、乾燥を行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0086】
[比較例1]
実施例1において下記式(17)で表わされる化合物を用いて同様の処理を行い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【化33】

【0087】
【表3】

【0088】
上記の結果から、本発明のシラザン化合物はフルオロ原子の多い化合物と同等の撥水・撥油性を有しつつ、低い転落角で水滴が落ち始め、また、ヒステリシスも小さいことから優れた滑落性を有していることが分かった。また、気相処理の測定結果は、化合物原液処理の場合と同等の結果が得られたことから、コンタミネーションや過剰物質の付着を防ぐことが可能であり、このことから気相処理がより好ましいことが分かった。
【0089】
[実施例4]
下記式(18)で表わされるフルオロアルキル基を有する低分子アルコキシシラン化合物0.1モルを0.2質量%酢酸水13g、エタノール44gの混合液に添加し、2時間撹拌した溶液に、ソーダライムガラス板を2時間浸漬し、溶液から引き上げた後、70℃で2時間乾燥した。このようにして表面処理したガラス板に水(1μl)又はテトラデカン(5μl)を垂らし、その接触角を測定した。また、転落角はガラスに水(13μl)を垂らし、ガラスを傾け水滴が動き始めた時の角度を測定した。そのときの前進接触角と後退接触角の差(ヒステリシス)を計算した。結果を表4に示す。
【化34】

(式中、Meはメチル基を示す。)
【0090】
[実施例5]
合成石英ガラス基板をラッピングから最終研磨まで行った後、半導体洗浄に準じた洗浄を行った。洗浄後、上記式(18)で表わされる化合物と共に合成石英ガラス基板を密閉容器内で加熱した。加熱処理は、70℃で6時間行った。処理後、エタノール溶液、純水で洗浄した後、乾燥を行い、実施例4と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0091】
[比較例2〜4]
実施例4において式(18)のアルコキシシラン化合物の代わりに下記フルオロアルキルアルコキシシラン化合物を用いて同様の処理、評価を行った。結果を表4に示す。
なお、比較例2〜4に使用したフルオロアルキルアルコキシシラン化合物は、以下の化合物である。
比較例2:8,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4,3,3−テトラデカフルオロオクチルトリメトキシシラン
比較例3:6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン
比較例4:3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
【0092】
【表4】

【0093】
上記の結果から、本発明のアルコキシシラン化合物はより長鎖のフルオロアルキル化合物とほぼ同等の撥水・撥油性を持ちながら、より優れた滑落性を有していることが分かった。公知の物質に比べ、より低分子、かつ優れた剥離性を有していると言える。
【0094】
[参考例1]
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、下記式(19)
【化35】

で示されるオレフィン268g(1.3モル)を仕込み、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(オレフィンに対して2.0×10-4モル)を仕込み、70℃に加熱した。内温が安定した後、ジメチルクロロシラン123g(1.3モル)を65〜75℃で5時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。蒸留することで沸点96℃/5.0kPaの無色透明な留分360gが得られ、下記式(20)であることを確認した。
【化36】

撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、上記一般式(20)の化合物182g(0.60モル)、トルエン300gを仕込み、室温にて3時間かけてアンモニアガスをフィードした。排ガスのpHが塩基性に変化した後、ろ過にて塩を除去し、得られた反応液を蒸留し、沸点121〜122℃/0.2kPaの無色透明な留分140gを得た。
得られた留分を、イソブタンガスを反応ガスとする化学イオン化法にて質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルにて測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図1には1H−NMRスペクトルのチャート、図2にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 550,398,267,202,142
以上の結果より、得られた化合物は下記式(15)であることが確認された。
【化37】

【0095】
[参考例2]
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジエチルアミン32g(0.44モル)、トルエン100gを仕込み、水冷下上記一般式(20)の化合物61g(0.20モル)を3時間かけて滴下し、室温にて3時間撹拌した。ろ過にて塩を除去し、得られた反応液を蒸留し、沸点97〜98℃/2.0kPaの無色透明な留分57gを得た。
得られた留分を、質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルにて測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図3には1H−NMRスペクトルのチャート、図4にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 339,324,267,225,130
以上の結果より、得られた化合物は下記式(16)であることが確認された。
【化38】

【0096】
[参考例3]
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、上記式(19)で示されるオレフィン31g(0.15モル)を仕込み、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(オレフィンに対して1.0×10-4モル)を仕込み、70℃に加熱した。内温が安定した後、トリクロロシラン19g(0.14モル)を70〜80℃で4時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。反応液中に下記式(21)
【化39】

が生成していることを確認した。室温まで冷却後、トリエチルアミン47g(0.46モル)、トルエン125mlを仕込み、メタノール15g(0.46モル)を20〜30℃で2時間かけて滴下し、その温度で1時間撹拌した。その後、水を加え、生じたトリエチルアミン塩酸塩を溶解後分液し、有機層を蒸留し、沸点111〜112℃/5.0kPaの無色透明留分を35g得た。
得られた留分を、イソブタンガスを反応ガスとする化学イオン化法にて質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルにて測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図5には1H−NMRスペクトルのチャート、図6にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 331,299,257,163,121
以上の結果より、得られた化合物は下記式(18)であることが確認された。
【化40】

(式中、Meはメチル基を示す。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるアルコキシシラン化合物又は下記一般式(2)で示されるシラザン化合物からなるナノインプリントモールド用離型剤。
【化1】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。a及びbは各々0又は1であり、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化2】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。a及びbは各々0又は1、m、n及びpは各々0〜6の整数、qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【請求項2】
式(1)のアルコキシシラン化合物が、下記一般式(3)、(4)又は(5)で示されるアルコキシシラン化合物である請求項1記載の離型剤。
【化3】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。Xはエーテル結合又はエステル結合である。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化4】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。X及びYはエーテル結合又はエステル結合であり、各々同一又は異なっていてもよい。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【化5】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R2及びR3はメチル基又はエチル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。qは1〜6の整数、rは0〜2の整数である。)
【請求項3】
式(2)のシラザン化合物が、下記一般式(10)、(11)又は(12)で示されるシラザン化合物である請求項1記載の離型剤。
【化6】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【化7】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【化8】

(式中、Rf及びRf’は炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、各々同一又は異なっていてもよい。R1は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基である。R4及びR5は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、各々同一又は異なっていてもよい。R6は水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族1価炭化水素基であり、炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。qは1〜6の整数、sは1又は2である。)
【請求項4】
ナノインプリントモールドの表面を請求項1〜3のいずれか1項記載のナノインプリントモールド用離型剤により処理することを特徴とするナノインプリントモールドの表面処理方法。
【請求項5】
前記表面処理方法が、気相処理、浸漬処理及び塗布処理のいずれかである請求項4に記載の表面処理方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の表面処理方法によって得られたナノインプリント用モールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−218334(P2012−218334A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87896(P2011−87896)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】