説明

ナノサイズカロテノイド・シクロデキストリン複合体

栄養剤の増強された吸収のためのナノサイズ栄養製剤を製造するための方法。本方法は、シクロデキストリンとカロテノイドとの複合体化、及び当該複合体の栄養サプリメント中への組み込みを含み、中間体の収集、単離及び乾燥工程を伴わない。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2005年10月5日に出願された米国仮特許出願第60/724,051号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、カロテノイドであって、そのような栄養素を含有する栄養サプリメント製剤により提供されるカロテノイドの、バイオアバイラビリティを増加させる組成物及び関連する方法に関する。したがって、本発明は、化学、食品科学、生物学及び栄養学の分野に関与する。
【背景技術】
【0003】
カルテノイドは、高度に着色した脂溶性の植物顔料であり、それらの栄養学的利益及び健康上の利益についてよく知られている。カロテノイドに関連した利益には、抗酸化活性並びにビタミンAへの変換が含まれる。複数の研究が、カロテノイドのより高い食事摂取量は、一定のガン、黄斑変性、白内障、心臓疾患、及び酸化的な又はフリーラジカルの損傷に関連付けられる他の健康状態の発生に対する保護を提供することを示している。それらの重要で望ましい健康上の利益はカロテノイドに関連するため、栄養会社は、カロテノイド含有製品を迅速に上市してきた。残念ながら、カロテノイドは腸液中に容易に溶解可能でなく、したがって、体内へのそれらの吸収はしばしばかなり低い。
【0004】
したがって、カロテノイドの吸収及びバイオアベイラビリティを改善するための方法及びシステム、並びに他の栄養素のためのそのような方法及びシステムが、探求されつづけている。
【発明の開示】
【0005】
要旨
したがって、本発明は、主に特定の製造技術によって、栄養素、特にカロテノイドのバイオアベイラビリティを改善するための方法及び組成物を提供する。
【0006】
本発明の一態様には、カロテノイド含有栄養サプリメントを製造するための方法が含まれる。当該方法は、所定量のシクロデキストリンと水とを混合して水/シクロデキストリンスラリーを50℃で形成し、所定量の少なくとも一種のカロテノイドを当該水/シクロデキストリンスラリーに混ぜて、シクロデキストリン・カロテノイド複合体を含むプレブレンド(preblend)組成物を形成し、当該プレブレンド組成物上で真空引きをし、そして当該プレブレンド組成物を最小限1時間徹底的に混合し、当該乾燥されていないプレブレンド組成物と追加の栄養素成分とを真空下で約40〜45℃の温度で混合することによって最終ブレンドを形成し、当該最終ブレンドを真空中で粉砕し、当該粉砕された最終ブレンドを被包化することを含む。
【0007】
本発明の一側面においては、シクロデキストリンは、γ−シクロデキストリンである。本発明の別の側面においては、当該少なくとも一種のカロテノイドは、アスタキサンチン、リコピン、ゼアキサンチン、β−カロテン、及びその組み合わせからなる群から選択される。本発明の更なる側面においては、追加の栄養素成分は、当該組成物中に組み込まれてもよく、それには、魚油、蜜蝋、ビタミンA、ビタミンE、ルテイン、リモネン、オキアミ油、及びその組み合わせが含まれる。
【0008】
本発明の別の態様において、カロテノイド含有栄養サプリメントを製造する方法は、ブレンド装置中で所定量の水を50℃に加熱して、所定量のシクロデキストリンと水とを混合して水/シクロデキストリンスラリーを形成し、所定量の少なくとも一種のカロテノイドを当該水/シクロデキストリンスラリーに混ぜて、シクロデキストリン・カロテノイド複合体を含むプレブレンド組成物を形成し、当該プレブレンド組成物上で真空引きをし、別の混合容器中でプレブレンド組成物を最小限1時間徹底的に混合し、所定量の魚油を60℃の温度で徹底的に混合されるまで混合して次いで40〜45℃に冷却することにより魚油ブレンドを形成し、当該乾燥されていないプレブレンド組成物と当該魚油/蜜蝋ブレンドとを真空下で約40〜45℃の温度で混合することによって最終ブレンドを形成し、場合によって追加の栄養素成分を当該最終ブレンドに混ぜ、最終ブレンド混合物を25〜28℃に冷却し、当該最終ブレンドを真空下で粉砕して粒子径を低下させ、粉砕された最終ブレンドを被包化することを含む。
【詳しい説明】
【0009】
定義
本発明を記載及び特許請求する際には、次の用語は、下記に示される定義に従って用いられる。
【0010】
単数形“a”、“an”、及び“the”は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、“シクロデキストリン成分”を含有する栄養サプリメントへの言及は、1以上のシクロデキストリン成分を包含し、“カロテノイド”への言及は、1以上のカロテノイドへの言及を包含する。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「対象」は、本発明の栄養サプリメントの投与又は方法から利益を受け得る哺乳動物のことをいう。対象の例にはヒトが含まれ、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ及び水生哺乳動物のような他の動物も含まれ得る。
【0012】
本明細書において用いられる場合、「製剤」及び「組成物」との用語は、互いに交換可能に用いられ、2以上の化合物、元素、又は分子の混合物のことをいう。
本明細書において用いられる「単回投与量」とは、所望の量のカロテノイドを対象に投与することができる1以上のカプセル投与単位をいう。
【0013】
本明細書において用いられる「有効な量」及び「十分な量」は、相互に交換可能に用いられ、噛み物組成物(chew composition)中に含まれる場合に、意図される組成物的又は生理学的効果を達成するのに十分な、成分の量のことをいう。例えば、カロテノイド抽出物の「十分な量」は、栄養効果を得るのに必要とされる最小限の量であろう。さらに、「治療的に有効な量」とは、所望の生理学的な効果を達成するのに十分な、カロテノイドの量をいう。有効量を決定することは、十分に、医薬、栄養補給食品、ハーバシューティカル(herbaceutical)、化粧品及び医療科学の当業者の通常の能力の範囲内である。例えば、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる、Meiner and Tonascia, "Clinical Trials: Design, Conduct, and Analysis," Monographs in Epidemiology and Biostatistics, Vol. 8 (1986)を参照のこと。
【0014】
「混ぜられた」との用語は、薬物及び/又は向上剤が、担体中に溶解、分散又は懸濁されうることを意味する。いくつかの場合には、薬物は、担体中に均等に混ぜられ得る。
本明細書において用いられる場合、便宜のため、複数の部材、構造的要素、組成的要素、及び/又は物質が、共通のリスト中に提示されてもよい。しかしながら、これらリストは、そのリストの各メンバーが別々の唯一のメンバーとして独立に認識されるように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの内の個々のメンバーは、反する表示がない限り、共通の群中にそれらが提示されていることのみに基づいて、同じリストの他のメンバーと事実上等価であると解釈されるべきでない。
【0015】
濃度、量及び他の数値データは、本明細書中では範囲形式で表示又は提示され得る。そのような範囲形式は、便宜及び簡潔さのためだけに用いられるのであり、したがって、範囲の限定として明示的に記載されている数値範囲を包含するだけでなく、当該範囲内に含まれる全ての個々の数値又は部分的範囲も、あたかも各々の数値及び部分範囲が明示的に記載されているかのように包含するものと柔軟に解釈されるべきであることが理解されるべきである。例示として、「約1〜約5」の数値範囲は、明示的に記載された数値の約1〜約5を包含するだけでなく、その示された範囲内の個々の値及び部分範囲をも包含するものと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、3及び4のような個々の値、及び1〜3、2〜4及び3〜5のような部分範囲等である。
【0016】
この同じ原理は、一つの数値だけを記載した範囲にも適用される。その上、このような解釈は、範囲の広さや記載される性質に関わらず適用されるべきである。
発明
本発明は、カロテノイド含有栄養サプリメントを製造するための方法を包含し、それには、カロテノイド−シクロデキストリン複合体を形成することが含まれる。カロテノイドは、種々の健康上の利益を提供することが、栄養学の技術分野においてよく知られている。本発明は、容易に吸収可能なカロテノイド含有栄養サプリメントを製造する方法を提供し、この方法は、容易に実施でき、時間及び費用効果的であり、カロテノイドが高度に安定であり容易に生物学的に利用可能である製品をもたらす。
【0017】
栄養サプリメントの技術分野においては、カロテノイドが腸液中に難溶性であることがよく知られている。この難溶性は、全身循環中へのカロテノイドの乏しい吸収性又は取り込みにつながる。カロテノイドの乏しい吸収性に寄与する別の要素は、カロテノイドが、容易に消化又は吸収されない大きな粒子に凝集する傾向があることである。シクロデキストリンは、難溶性化合物を被包化してそれらの溶解性を増加させ、典型的には生じる凝集を阻害することができる。より小さな被包化化合物は、それらのきわめて小さいサイズのために、しばしばナノ粒子と呼ばれる。
【0018】
本発明は、カロテノイド−シクロデキストリン複合体を含有する栄養サプリメントを製造するための、能率化された方法を提供する。特に、その方法は、それを製造すること、及びその後に、中間工程である収集、単離及び乾燥を伴うことなく栄養サプリメント中にカロテノイド−シクロデキストリン複合体を直接的に組み込むことを提供する。カロテノイド−シクロデキストリン複合体が、中間工程なしで栄養サプリメント中に直接組み込まれ得るため、費用が削減される。
【0019】
本発明の方法は、所定量のシクロデキストリンと水とを合わせてシクロデキストリンスラリーを製造することを含む。当該スラリーの製造のための好ましい温度は、から50℃である。全てのタイプのシクロデキストリン及びその組み合わせを、本発明において用いることができ、それには、α−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリンが含まれる。一つの態様においては、用いられるシクロデキストリンはγ−シクロデキストリンである。別の態様においては、シクロデキストリンは、γ−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリンの混合物である。シクロデキストリンと水との混合物は、約20分の期間又はカラメル色が観測されるまで混合されるべきである。水の役割は、シクロデキストリンを水和することである。次いで、水和されたシクロデキストリンは、より良好にカロテノイドと複合体化できる。ひとたびシクロデキストリンスラリーが形成されれば、カロテノイドをそれに混ぜることができる。カロテノイド/シクロデキストリン混合物の混合は、約40℃〜約50℃で最小限1時間続けるべきである。カロテノイド/シクロデキストリン混合物を高い剪断力で混合することは、反応速度を、そしてそれによってカロテノイド−シクロデキストリン複合体の形成速度を、高めるか又は増加させる。しかしながら、より低い混合速度により生成されるより低い剪断力値も、カロテノイド−シクロデキストリン複合体を形成するために効果的に用いられ得る。
【0020】
本発明において用いられ得るカロテノイドには、正の健康上の利益を有することが当該技術分野において知られているあらゆるカロテノイドが含まれる。本発明における使用のための好ましいカロテノイドは、アスタザンチン(astazanthin)、リコピン、ゼアキサンチン、β−カロテン類、ルテイン、及びその混合物である。可能な場合には、カロテノイドの分解を遅らせるか又は阻害するために本発明のカロテノイド含有組成物上で真空引きをすることが好ましい。カロテノイドの安定性を維持する別の許容可能な方法は、カロテノイド含有混合物を窒素下に維持することである。
【0021】
カロテノイド/シクロデキストリン組成物が混合されると、カロテノイド−シクロデキストリン複合体は、溶液から析出し始め、溶液をより粘性の高いものとする。この粘性の上昇は、カロテノイド−シクロデキストリン複合体がうまく形成されたことの指標として用いられ得る。伝統的なカロテノイド−シクロデキストリン複合体製造方法においては、方法のこの時点で、析出した複合体が集められ、単離され、そして乾燥される。そのようにすることにより、シクロデキストリンスラリー中に元々存在した水が除去される。本発明の方法においては、当該複合体が、水を包含するプレブレンドスラリー中に維持される。本発明の製造方法の、乾燥過程を除去する能力は、方法に関連する時間及び費用を両方とも減少させる。
【0022】
カロテノイド−シクロデキストリン複合体の形成の後、次いで、プレブレンドスラリーが、40℃〜45℃で追加の栄養成分に混ぜられて、最終ブレンドが形成される。最終ブレンドは、最小限20分間徹底的に混合される。本発明において用いられ得る追加の栄養成分の例には、ビタミンA、ビタミンB、ルテイン、魚油、リモネン、蜜蝋及びその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。最終ブレンドは、魚油と混合されることが好ましい。当業者に知られているいずれのタイプの魚油も、本発明と共に用いられ得る。本発明の目的のためには、オキアミ油が、魚油として含まれる。
【0023】
魚油に固有の健康上の利益に加えて、プレブレンドスラリーへの魚油の添加は、プレブレンドスラリー中に見出される非複合体化カロテノイドを安定化及び可溶化することを助力し、さらに、複合体化及び非複合体化カロテノイドの両方のバイオアベイラビリティを向上する。本発明のカロテノイド−シクロデキストリン複合体が、最小限の量の魚油と共に共投与される場合には、当該カロテノイドのバイオアベイラビリティが、カロテノイド−シクロデキストリン複合体単独のものを上回って増加されることが特定された。理論に限定されるものではないが、バイオアベイラビリティのこの増加は、少なくとも部分的に、消化管におけるリバーゼ酵素を魚油が刺激して次にカロテノイドの吸収を促進することに因るものであると考えられる。好ましい態様においては、魚油は、最終ブレンド組成物の約70重量%〜約90重量%を構成する。別の態様においては、魚油は、最終ブレンド組成物の約75重量%〜約85重量%を構成し得る。他の栄養成分、特に、ビタミンA及びビタミンEのような容易に酸化されうる成分が最終ブレンド組成物中に含まれる場合には、魚油は、それら成分を安定化及び保護するためにも作用する。
【0024】
ひとたび最終ブレンド組成物が完成すると、それは、複合体化カロテノイドの小さい粒子サイズを保証するために粉砕される。粉砕後に、最終ブレンドは、直接被包化されてもよいし、気密容器中で窒素下で保存されてもよい。本発明の好ましい態様においては、最終ブレンドは、ソフトゼラチンカプセル中に被包化される。本発明の方法により製造される組成物は、治療的に有効な量のカロテノイドを対象に提供するために、対象に投与されることが意図される。そのような量は、当業者によって、本発明の組成物中のカロテノイドの濃度に基づいて容易に決定される。
【0025】
本発明の方法に加えて、本発明は、カロテノイドの向上されたバイオアベイラビリティを提供するための組成物及び関連する方法を提供する。具体的には、上記した最終ブレンド組成物中に魚油が含まれる場合には、カロテノイドのバイオアベイラビリティが、カロテノイド/シクロデキストリン複合体単独及び魚油/カロテノイド混合物単独のバイオアベイラビリティを上回って予測できないほどに上昇することが見出された。上記したように、バイオアベイラビリティの予測できない上昇は、少なくとも部分的に、消化管中のリパーゼ酵素を魚油が刺激して次いでカロテノイドの吸収を促進することに因るものと考えられる。
【0026】
以下に提供される実施例は、本発明のカロテノイド含有栄養サプリメントを製造する一態様だけを例証するに過ぎない。その処理条件及び成分が好まれ得るが、それらに限定することを意味するものではない。
【実施例】
【0027】
実施例1
次の工程にしたがって、安定なカロテノイド含有栄養サプリメントが製造される。
1.5.640kgの水がブレンダーに加えられ、50℃に加熱される。温度は、シクロデキストリンを加える前に確認される。
【0028】
2.ブレンダーのブレードがブレンダー容器から除かれ、4.070kgのγ−シクロデキストリン(Cavamax V Wacker Biochem)が加えられ、そして最初に手で混合され、次いで少なくとも30分又はシクロデキストリン水スラリーが形成されるまで機械的に混合される。スラリーはカラメル色である。
【0029】
3.次のカロテノイドが次の表に示される量で加えられる。
【0030】
【表1】

【0031】
4.当該混合容器上で真空引きがされ、組成物が、少なくとも1時間、4〜45℃の温度で低い速度で(9.6rpm)混合され、そしてカロテノイドシクロデキストリン複合体が形成される(注:カロテノイドがシクロデキストリンと反応すると、その化合物は析出し、混合物の粘性が増加し、このことは、うまく複合体化反応したことの指標となる)。
【0032】
5.少なくとも1時間の混合の後、カロテノイド−シクロデキストリン複合体を含有するミキサー容器が直ちに除かれ、魚油蜜蝋ブレンドを含有する主ミキサーに加えられる。魚油と蜜蝋とのブレンドは、およそ6.1kgの蜜蝋及び73.2kgの魚油をミキサーに加えて徹底的に混合されるまで60℃でブレンドすることにより製造される。次いで、当該組成物が40〜45℃に冷却された後、カロテノイド−シクロデキストリン複合体が加えられる。少量の当該魚油/蜜蝋組成物が、カロテノイド−シクロデキストリン複合体をミキサー容器中にすすぎ込むために用いられる。
【0033】
6.次いで、追加の成分が当該ミキサーへ加えられてもよい。当該成分及び加えられる量が、下の表中に示される:
【0034】
【表2】

【0035】
7.混合物へのカロテノイド/シクロデキストリン複合体及びその他の成分の添加の後、ミキサー容器上で真空引きがされて、混合物が、高い剪断力を用いて、20分間、20〜45℃混合される。次いで、その混合物は、25〜28℃に冷却され、ミキサーから除かれ、そして粉砕されて粒子径が低下される。
【0036】
8.粉砕の後、混合物は、封止された容器中で窒素下で保存されてもよいし、直ちに被包化されてもよい。被包化は、ソフトゼラチンカプセル中で行なわれる。各ソフトゼラチンカプセルは、約1.2gの粉砕された最終組成物を含有する。
【0037】
実施例2
請求項1の組成物の、対象の皮膚カロテノイドスコア(Skin Carotenoid Scores: SCS)に対する効果を測定するために研究が行なわれた。この研究は、ラマン分光法の使用を含み、プラセボと比較した、実施例1の組成物での補充の18週間にわたる皮膚カロテノイドスコアの変化を評価した。
【0038】
18〜65歳の52の対象が研究に参加する資格を得た。包含基準を審査するために食物頻度及び健康履歴質問表が用いられ、Pharmanex BioPhotonic Scanner を用いて皮膚カロテノイドレベルを評価した。抗酸化剤サプリメントを摂取する個体、日光に高度に曝されているか又は日焼けベッド使用をしている個体、妊婦、又はサンレス・タンニング製品を使用している個体は、当該研究から除外された。全ての対象は、一日五杯未満の果物及び野菜を含有する典型的な米国食事を消費する健常な非喫煙者であり、13,000〜35,000ラマン強度計数値のベースラインラマン強度スコアを有した。参加者は、それらの食事及び運動習慣を研究期間を通じて維持するよう指示された。研究基準を満たす対象(n=52)が、実施例1の組成物(n=27)又はプラセボの組成物(n=25)の2つの群の内の1つに、二重盲検様式で無作為に割り当てられた。
【0039】
対象は、それらの対応するカプセルである、プラセボ又は実施例1の組成物が与えられ、毎日2回それらを摂取するように指示された(それらの朝食と共に1回、及びそれらの夕食と共に一回)。実施例1参加者のための投与量は、毎日2回の2つのソフトゲルカプセルを含んでいた。毎日2回摂取されるプラセボも、オメガ−3脂肪酸を含有するがカロテノイドを含有しないソフトゲルカプセルを2つ含んでいた。
【0040】
この研究の結果は、皮膚カロテノイドスコアの予測できないほど高い増加を示した。具体的には、実施例1の組成物を摂取した対象についての18週間後の平均的な増加は17,757ラマン強度計数値であり、それに対して、プラセボ参加者については変化がほぼなかった。18週間の研究を通じて、カロテノイドスキャナースコアは連続的に増加し、明らかなプラトー効果は伴わなかった。
【0041】
上記の実施例は本発明の原理の1以上の特定の適用の例証であり、発明的な能力を発揮することなく、そして本発明の原理及び概念から逸脱することなく、形態、用法及び実行の詳細に多くの修飾をし得ることは、当業者に明らかであろう。したがって、請求項による場合を除いて、本発明が限定されることは意図されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カロテノイド含有栄養サプリメントを製造する方法であって、
a)所定量のシクロデキストリンと水とを混合して、水/シクロデキストリンスラリーを50℃で形成し、
b)所定量の少なくとも一種のカロテノイドを当該水/シクロデキストリンスラリーに混ぜて、シクロデキストリン・カロテノイド複合体を含むプレブレンド組成物を形成し、
c)当該プレブレンド組成物上で真空引きをし、当該プレブレンド組成物を最小限1時間徹底的に混合し、
d)当該乾燥されていないプレブレンド組成物と追加の栄養成分とを、約40℃〜45℃の温度で真空下で混合することによって最終ブレンドを形成し、
e)当該最終ブレンドを真空中で粉砕し、
f)当該粉砕された最終ブレンドを被包化する
ことを含む方法。
【請求項2】
シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンとの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一種のカロテノイドが、アスタキサンチン、リコピン、ゼアキサンチン、β−カロテン、ルテイン及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
追加の栄養成分が、魚油、蜜蝋、ビタミンA、ビタミンE、D−リモネン及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
追加の栄養成分が魚油を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
魚油が、前記最終ブレンドの70重量%〜90重量%を構成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
魚油が、前記最終ブレンドの75重量%〜85重量%を構成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粉砕された最終ブレンドが、ソフトゼラチンカプセル中に被包化される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
カロテノイド含有栄養サプリメントを製造する方法であって、
a)ブレンド装置中で所定量の水を50℃に加熱し、
b)所定量のシクロデキストリンと水とを混合して、水/シクロデキストリンスラリーを形成し、
c)所定量の少なくとも一種のカロテノイドを当該水/シクロデキストリンスラリーに混ぜて、シクロデキストリン・カロテノイド複合体を含むプレブレンド組成物を形成し、
d)当該プレブレンド組成物上で真空引きをし、当該プレブレンド組成物を最小限1時間徹底的に混合し、
e)別の混合容器中で、所定量の魚油を40℃〜45℃に温め、
f)当該乾燥されていないプレブレンド組成物と当該魚油とを、約40℃〜45℃の温度で真空下で混合することによって最終ブレンドを形成し、
g)場合により、追加の栄養成分を当該最終ブレンドに混ぜ、
h)最終ブレンド混合物を25℃〜28℃に冷却し、
i)当該最終ブレンドを真空中で粉砕して、粒子径を低下させ、
j)当該粉砕された最終ブレンドを被包化する
ことを含む方法。
【請求項11】
シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンとの組合せである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一種のカロテノイドが、アスタキサンチン、リコピン、ゼアキサンチン、β−カロテン、ルテイン及びその混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
追加の栄養成分が、蜜蝋、ビタミンA、ビタミンE、D−リモネン及びその混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一種のカロテノイド;
シクロデキストリン;及び
魚油
を含む、カロテノイド含有組成物であって、当該魚油が、当該組成物の70重量%〜90重量%を構成する組成物。
【請求項16】
シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンとの組合せである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも一種のカロテノイドが、アスタキサンチン、リコピン、ゼアキサンチン、β−カロテン、ルテイン及びその混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
さらに、蜜蝋、ビタミンA、ビタミンE、D−リモネン及びその混合物からなる群から選択される追加の栄養成分を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記魚油が組成物の75重量%〜85重量%を構成し、存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも一種のカロテノイドが、シクロデキストリンと複合体化している、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
カロテノイドのバイオアベイラビリティを向上させる方法であって、
それを必要とする対象に、カロテノイドと、シクロデキストリン及び魚油の組み合わせとを共投与することを含む方法。
【請求項23】
カロテノイドとシクロデキストリンとが一緒に複合体化している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンとの組合せである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
カロテノイドが、アスタキサンチン、リコピン、ゼアキサンチン、β−カロテン、ルテイン及びその混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
追加の栄養成分が共投与され、当該追加の栄養成分が、蜜蝋、ビタミンA、ビタミンE、D−リモネン及びその混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
カロテノイド、シクロデキストリン及び魚油が、単回投与形態で投与される、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2009−524576(P2009−524576A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534755(P2008−534755)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/039383
【国際公開番号】WO2007/044659
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(508103528)ファーマネックス,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】