説明

ナノメートルサイズの微小温度スイッチ及びその製造方法

【課題】マイクロメートルサイズの環境において広い温度範囲で使用できるナノメートルサイズの微小温度スイッチ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】空隙8を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブ2の両端に電極3,4を取り付け、これを被温度測定物に入れ、電極3,4間に電圧を印加した場合、温度上昇と共にガリウムが膨張し、空隙8が消滅することによる急激な抵抗変化を温度スイッチ1として用いる。また、温度測定を行なうこともできる。空隙を形成する前のガリウムが内含されたカーボンナノチューブ6は、メタンガスと窒素ガスとを流しながら、窒化ガリウム粉末を1300℃に加熱して形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノメートルサイズの微小温度スイッチ及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、マイクロメートルサイズの環境において、広い温度範囲の温度スイッチとして使用できる微小温度スイッチとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブが発見されて以来、多くの研究者によってカーボンナノチューブの技術改良やその利用法が見出されている。例えば、電界効果素子、走査プローブ顕微鏡用のプローブの先端、超伝導材料、高感度微量天秤、構造材料、ナノスケール操作用の微小鉗子、ガス検知器及び水素エネルギー貯蔵装置等の部品に広く利用されている。
【0003】
また、種々の充填物をこのカーボンナノチューブに内包(すなわち内含)する研究も行われており、カーボンナノチューブに内含する物質として、金属、超伝導体、半導体、磁性体、有機分子半導体、有機色素分子、気体分子等が検討されている。これらの物質を内含することにより、赤外領域における発光素子、垂直磁気記録素子等への応用が期待されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0004】
さらに、金属ガリウムが内含されたカーボンナノチューブは、ナノメートルサイズの微小温度計として利用できることも知られている(例えば、特許文献2,3、非特許文献2,3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−227806号公報
【特許文献2】特開2003−227762号公報
【特許文献3】特開2005−24256号公報
【非特許文献1】P.Ajayan、他、Nature,361巻、333 頁、1993年
【非特許文献2】Y.H.Gao 、他、Nature, 415 巻、599 頁、2002年
【非特許文献3】Y.H.Gao 、他、Appl.Phys.Lett., 83 巻、2913頁、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3や非特許文献3に開示されている方法では、測温において、電子顕微鏡による長さの観察や測定が必要となり、装置が大きく高価であり、しかも、簡単に測定することができない。また、金属ガリウムを内含したカーボンナノチューブによる温度スイッチは未だ実現されていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、ガリウム柱をカーボンナノチューブ内に含ませ、すなわち内含させ、しかもこのガリウム柱に空隙を有するようにして、温度スイッチとして利用可能な、ナノメートルサイズの微小温度スイッチ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチは、ガリウム柱を内含したカーボンナノチューブからなる抵抗素子を含み、上記ガリウム柱が空隙を有しており、抵抗素子の温度により変化する抵抗を測定して温度計測を行なうことを特徴とする。
上記構成によれば、空隙を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブの抵抗が温度により変化する。この抵抗と温度との関係を予め求めておく。任意の測定環境に、空
隙を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブを設置して、その抵抗を測定することにより、予め求めておいた抵抗と温度との関係から逆算して、測定環境の温度を求めることができる。
【0009】
本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチは、空隙を有するガリウム柱と、このガリウム柱を内含したカーボンナノチューブと、カーボンナノチューブの両端に設けた電極と、からなる抵抗素子を温度検知素子とし、上記空隙が温度上昇で消滅し、この温度付近の急激な抵抗変化をスイッチとして用いることを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、カーボンナノチューブは、その長さが1〜10μm、直径が30〜150nmであり、空隙はそのカーボンナノチューブの中心軸方向の長さが500nm以下である。
上記構成によれば、カーボンナノチューブ内のガリウムの膨張する温度範囲内で変化する抵抗領域と、カーボンナノチューブ内がガリウムの膨張によりガリウムで満たされた温度以上における抵抗領域からなる異なる抵抗変化が得られる。このガリウムの温度変化による抵抗値から逆算して、測定環境の温度を求めることができる。さらに、カーボンナノチューブ内のガリウムの無い空隙が、温度上昇に伴うガリウムの膨張により消滅したときには、大きな抵抗変化が生じる。この大きな抵抗変化を利用すれば、カーボンナノチューブ内のガリウム空隙が消滅する温度を検知するスイッチとなる。
【0010】
上記構成において、好ましくは、スイッチングの温度T0 ( ℃) は、
0 ( ℃) =TR +L/α、
ここで、TR は室温(25℃)、Lは空隙の長さ(μm)、αはガリウムの線膨張係数(4.17×10-4μm/℃)である。
この構成によれば、−80℃から500℃までの広い範囲においてスイッチ温度を自在に設定できる、ナノメートルサイズの微小温度スイッチを提供することができる。
【0011】
本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチの製造方法は、ガリウム柱が内含されたカーボンナノチューブの両端に電極を設ける工程と、次に、カーボンナノチューブに圧力を加えて空隙を設け、空隙を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、ガリウム柱を内含したカーボンナノチューブは、メタンガスと窒素ガスとを流しながら、窒化ガリウム粉末を1300℃に加熱することにより形成する。
上記構成によれば、ガリウムが内含されたカーボンナノチューブに、ガリウムが充填されない空隙を設ける工程を施すことにより、この空隙の温度上昇による消滅が生起する、ナノメートルサイズの微小温度スイッチを製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マイクロメートルサイズの環境において広い温度範囲で温度計測ができ、さらに、一種類の微小温度計によるスイッチとなるので、−80℃から500℃までの広範囲のスイッチングが可能なナノメートルサイズの微小温度スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
図1は、本発明の実施形態に係るナノメートルサイズの微小温度スイッチの構成を模式的に示す平面図であり、図2は、図1のX−X方向に沿う断面図である。
図1に示すように、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチ1は、ガリウム柱が内含されたカーボンナノチューブ2からなる温度スイッチ素子10を含んでおり、この
ガリウム柱の中には、図2に示すように、空隙8が形成されている。そして、空隙8を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブ2は、基板5上に設けられた電極3,4上に接続して固定されている。電極3,4は金属薄膜などから成る導電性薄膜として形成されている。基板5としては、絶縁体からなる基板や酸化膜で被覆された半導体基板を用いることができる。
【0014】
図2に示すように、両端が閉じた中空のカーボンナノチューブ6には、その中空部に部分的にガリウム7が充填されており、さらに、ガリウム7が充填されていない空隙8が部分的に存在し、全体として、空隙8を有するガリウム柱が内含されたカーボンナノチューブ2となっている。この空隙8の長さ方向、即ちカーボンナノチューブ6の軸方向に沿った空隙8の長さをLとする。この空隙8は、ガリウム柱が充填されていて空隙を有しないカーボンナノチューブを、原子間力顕微鏡のカンチレバーを操作することなどにより形成されることができる。この空隙8はカーボンナノチューブ6内に複数設けてもよい。
【0015】
空隙8を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブ2は、好ましくは、その長さが1〜10μm、直径が30〜150nmである。例えば、カーボンナノチューブ6の内径は約25nmであり、その壁の厚さは約6nmである。また、空隙8は、そのカーボンナノチューブ6の中心軸方向の長さLが500nm以下とすればよい。
【0016】
図3は、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチ1による抵抗変化の測定を模式的に説明する図である。図3に示すように、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチ1において、空隙8を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブ2で作った温度スイッチ素子10には、その電極3,4に、銅線などからなる導線9,9を介して抵抗変化測定手段15が接続されている。
ここで、抵抗変化測定手段15はガリウム内含カーボンナノチューブからなる抵抗素子の電気抵抗(以下、単に抵抗と呼ぶ)の変化を測定できれば何でもよく、直流及び交流を用いた方法からなる抵抗測定器などで構成することができる。最も簡便な方法は、抵抗素子10の電極3,4に直流電圧(V)源を接続し、このとき温度スイッチ素子10に流れる電流(I)を測定し、抵抗Rを、R=V/Iとして計算すればよい。この抵抗測定器のような抵抗変化測定手段15は、集積回路などの能動素子や各種受動部品からなる電子回路により製作することができる。
【0017】
図4は、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチにおける温度と抵抗変化との関係を模式的に示す図である。図において、横軸は温度を、縦軸は抵抗を示す。図の矢印Dの太い点線で示す抵抗値は、カーボンナノチューブ6内にガリウム7が空隙なく充填されている場合の抵抗素子の抵抗である。
図4に示すように、空隙8を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブ2からなる温度スイッチ素子10では、低温T1 においては、カーボンナノチューブ6内にガリウム7が空隙なく充填されている場合と比較すると、ガリウムの空隙8により抵抗が大きい状態となっている(図4のA参照)。
次に、低温からT2 の温度範囲では、温度の上昇によりカーボンナノチューブ6内のガリウムが膨張するので抵抗値は減少する(図4のA参照)。そして、空隙8内でガリウム同士が接触し始める温度T2 (抵抗はR2 )以上になると、抵抗は急減し、空隙8が消滅する温度T3 での抵抗はR3 となる((図4のB参照)。
一方、T3 以上の温度、例えばT4 においては、カーボンナノチューブ6内にガリウムが充填されているので、カーボンナノチューブ6内にガリウム7が空隙なく充填されている場合の抵抗と同じになる(図4のC参照)。
【0018】
したがって、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチ1においては、温度と電気抵抗の関係を求めておけば、被測定物周囲の未知の温度を測定することができると共に
、ガリウムの空隙8が消滅するときの温度T3 を検出することができる。この場合には、温度がT2 〜T3 と変化するときに、R2 からR3 への急激な抵抗変化が生じる。この温度T3 をスイッチ温度とする。このスイッチ温度T3 は、空隙の長さLにより調製することができる。よく知られているように、ガリウムは一旦融解して液体状態になると過冷却状態を維持し、凝固温度が著しく下がるので、−80℃から500℃までの広い範囲の温度計測ができる。このため、本発明によれば、−80℃から500℃までの広い範囲においてスイッチ温度T3 を自在に設定した温度スイッチを提供することができる。
【0019】
これにより、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチ1によれば、マイクロメートルサイズのような微小サイズの環境において広い温度範囲で温度計測を行なうことができると共に、温度スイッチが実現可能になる。さらに、一種類の温度計として広い範囲の温度を計測できる。
【0020】
次に、本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチ1を製造する方法について説明する。
最初に、ガリウム柱を内含したカーボンナノチューブの製造方法を説明する。先ず、窒化ガリウムの粉末を坩堝に入れて、坩堝を高周波誘導加熱装置などによる加熱装置の反応管内に設置する。そして、反応管内を減圧した後に、所定流量の窒素ガスとメタンガスとの混合ガスを反応管内に導入し、誘導加熱コイルにより坩堝を所定の温度に加熱する。加熱により坩堝内の窒化ガリウムが昇華及び分解し、ガリウムを生成する。そして、反応管内で坩堝よりも温度が低い箇所に、ガリウムの液滴が生成される。
一方、メタンガスの分解によりカーボンクラスターが生成するので、このカーボンクラスターがガリウム液滴と連続的に合体する。この一連の反応により、ガリウムが内含されたカーボンナノチューブが成長する。
【0021】
次に、このように成長させたガリウム内含カーボンナノチューブに電極を形成する。
最初に、基板5の全面に電極となる材料をスパッタ蒸着した後、リソグラフィー技術により電極3,4を加工する。
次に、この基板5に、ガリウム内含カーボンナノチューブの分散液を滴下し乾燥し、電極3,4とガリウム内含カーボンナノチューブとの間に交流電圧を印加して、電極3,4とガリウム内含ナノチューブとを確実に接触させる。
上記素子を走査型電子顕微鏡で観察し、ガリウム内含カーボンナノチューブの配置や形状、電極3,4との接触具合を確認する。
そして、原子間力顕微鏡を用い、ガリウム内含カーボンナノチューブを原子間力顕微鏡のカンチレバーを所定の圧力で押圧し、内含するガリウムを押しのけて空隙8を形成し、これにより空隙8を有するガリウム柱内含カーボンナノチューブ2が得られる。
以上のようにして製造された温度スイッチ素子10に抵抗変化測定手段15を接続して、ナノメートルサイズの微小温度スイッチ1を得ることができる。
【実施例】
【0022】
次に、実施例を示してさらに具体的に説明する。
最初に、ガリウムが内含されたカーボンナノチューブを以下のように作製した。
窒化ガリウム粉末1.0gをグラファイト製坩堝に入れ、この坩堝を縦型高周波誘導加熱装置の中に設置した。反応管を10-3Paまで減圧した後、流量2000sccm (standard cubic cm per minute) の窒素ガスと流量15sccmのメタンガスとの混合ガスを流しながら、1300℃で窒化ガリウムの昇華と分解を行い、ガリウム液滴を生成させた。このようにして生成したガリウムの液滴は、反応管中の約800℃の部分に形成された。
一方、メタンの分解によりカーボンクラスターが生成し、これがガリウム液滴と連続的に合体して、ガリウムが内含されたカーボンナノチューブに成長した。このとき得られた
カーボンナノチューブの内径は約25nmであり、その壁の厚さは約6nmであり、長さは数μmであった。そして、このカーボンナノチューブ内には、ガリウムが充填されていた。
【0023】
次に、得られたガリウム内含カーボンナノチューブを電極3,4間に配置する。
最初に、厚さ20nmの二酸化珪素膜の付いたシリコン基板5に、厚さ30nmのタングステンでコートされた厚さ10nmのチタンの金属膜をスパッタで成膜し、さらにリソグラフィーにより電極3,4に加工することで、電極3,4間の距離が1μmの電極付きシリコン基板を作製した。この基板上の電極3,4間にガリウム内含カーボンナノチューブのエタノール分散液を超音波処理して滴下した。
次に、周波数2kHzで3Vの交流電圧を印加することにより、カーボンナノチューブと各金属電極3,4との接触を強固にした。
最後に、ガリウム内含カーボンナノチューブに原子間力顕微鏡のカンチレバーを約300nNの力で押し付けて、内含するガリウムを押しのけて空隙8を形成した。この空隙8のカーボンナノチューブの軸方向の長さは、130nmであった。
【0024】
図5は、実施例の温度スイッチ素子の走査型電子顕微鏡像の一例を示す図である。図5から明らかように、カーボンナノチューブには、空隙(図5の矢印A参照)とガリウムが満たされた領域(図5の矢印B参照)とが観察できた。
【0025】
次に、作製したナノメートルサイズの微小温度スイッチ1の電極3,4間に、0.01Vの直流電圧を印加して、ホットプレート上で温度を上昇させながら抵抗を測定した。
図6は、実施例の空隙を有するガリウム柱が内含されたナノメートルサイズの微小温度スイッチ1の温度に対する抵抗変化の一例を示す図である。図において、横軸は温度(℃)を、縦軸は抵抗値(kΩ)を示す。
図6中の白四角の抵抗値R(図6の−□−参照)は、測定データである。実線の抵抗値R* は、ガリウム内含カーボンナノチューブと電極3,4との接触抵抗の温度依存性を考慮したもので、ガリウム内含カーボンナノチューブを用いた抵抗素子の抵抗測定結果から求めた温度1℃上昇に対して抵抗値の増加分(1.27Ω/℃)と温度との積を、測定データから差し引いて補正した抵抗である。
【0026】
図6から分かるように、測定し補正した抵抗値は、温度上昇に伴って直線的に減少し、175℃で急激に減少してスイッチとしての作用を示した。また、ガリウム内含カーボンナノチューブ2は、抵抗が大きい空隙8を含んでいるため、温度が上昇する前の低温(175℃以下)における抵抗は大きくなっている。このため、温度の上昇とともにガリウム7の膨張で空隙8の長さが短くなり、抵抗が直線的に低下している。このとき、温度が1℃上昇する毎に抵抗値は4.59Ω低下している。175℃以上では、ガリウム内含カーボンナノチューブを用いた抵抗素子の場合と同様に、抵抗は温度上昇と共に増加する。
【0027】
空隙の長さLに対して、スイッチングの温度T0 ( ℃) は、下記(1)式で表わされる。
0 ( ℃) =TR +L/α (1)
ここで、TR は室温(25℃)、Lは空隙の長さ(μm)、αはガリウムの線膨張係数(4.17×10-4μm/℃)を示す。このため、予め、空隙8の長さLを調節しておけば、任意のスイッチング温度を有する素子が作製可能となる。これから、Lを約500nm以下としておけば、約500℃までのスイッチングの温度T0 を実現できる。
【0028】
本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、実施例においては、交流電圧印加による電極の接合強化方法を用いたが、他
の方法でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、微小サイズ環境の温度スイッチとして、−80℃から500℃までの広い温度範囲でスイッチングが可能であるので、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るナノメートルサイズの微小温度スイッチの構成を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のX−X方向に沿う断面図である。
【図3】本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチによる抵抗変化測定を模式的に説明する図である。
【図4】本発明のナノメートルサイズの微小温度スイッチにおける温度と抵抗変化との関係を模式的に示す図である。
【図5】実施例の温度スイッチ素子の走査型電子顕微鏡像の一例を示す。
【図6】実施例の空隙を有するガリウム柱が内含されたナノメートルサイズの微小温度スイッチの温度に対する抵抗変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1:ナノメートルサイズの微小温度スイッチ
2:空隙を有するガリウム柱内含カーボンナノチューブ
3,4:電極
5:基板
6:カーボンナノチューブ
7:ガリウム
8:空隙
9:導線
10:温度スイッチ素子
15:抵抗変化測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガリウム柱を内含したカーボンナノチューブからなる抵抗素子を含み、上記ガリウム柱が空隙を有しており、
該抵抗素子の温度により変化する抵抗を測定して温度計測を行なうことを特徴とする、ナノメートルサイズの微小温度スイッチ。
【請求項2】
空隙を有するガリウム柱と、該ガリウム柱を内含したカーボンナノチューブと、該カーボンナノチューブの両端に設けられた電極と、からなる抵抗素子を温度検知素子とし、
上記空隙が温度上昇で消滅し、この温度付近の急激な抵抗変化をスイッチとして用いることを特徴とする、ナノメートルサイズの微小温度スイッチ。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブは、その長さが1〜10μmで、直径が30〜150nmであり、前記空隙は、カーボンナノチューブの中心軸方向の長さが500nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のナノメートルサイズの微小温度スイッチ。
【請求項4】
前記スイッチングの温度T0 は、
0 ( ℃) =TR +L/α、
ここで、TR は室温(25℃)、Lは空隙の長さ(μm)、αはガリウムの線膨張係数(4.17×10-4μm/℃)であることを特徴とする、請求項2に記載のナノメートルサイズの微小温度スイッチ。
【請求項5】
ガリウム柱が内含されたカーボンナノチューブの両端に電極を設ける工程と、
次に、上記カーボンナノチューブに圧力を加えて空隙を設け、空隙を有するガリウム柱を内含したカーボンナノチューブを形成する工程と、
を含むことを特徴とする、ナノメートルサイズの微小温度スイッチの製造方法。
【請求項6】
メタンガスと窒素ガスとを流しながら、窒化ガリウム粉末を1300℃に加熱することにより、ガリウム柱を内含したカーボンナノチューブを形成することを特徴とする、請求項5に記載のナノメートルサイズの微小温度スイッチの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−101474(P2007−101474A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294565(P2005−294565)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】