ナノワイヤ構造を製造する方法
本発明は、ナノワイヤが配置される基板上で独立して明確に規定され制御された向きを有するナノワイヤを備える装置を製造するために使用することができるナノワイヤを整列させる方法を提供する。この方法は、ナノワイヤ(1)を用意する工程と、ナノワイヤ(1)の集団に電界(E)を印加する工程とを備え、それによって、前記ナノワイヤの電気双極子モーメントがこれらのナノワイヤを前記電界(E)に沿って整列させる。好適には、前記供給及び整列させる工程中、前記ナノワイヤを流体中に分散させる。整列時、前記ナノワイヤを固定することができ、好適には、基板(2)上に堆積させることができる。前記電界は、前記堆積に利用することができる。前記ナノワイヤ(1)に導入されたpn接合又は他の正味電荷は、前記整列及び堆積工程をアシストすることができる。前記方法は、実質的に任意の基板材料への例えばロールツーロールプロセスの連続加工に適しており、粒子アシスト成長に適した基板に限定されない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤ装置に関し、詳細には、整列され基板から所定の方向に突出するナノワイヤを備えるナノワイヤ装置を製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ナノワイヤへの関心が高まっている。従来のプレーナ技術と比較して、ナノワイヤベースの半導体装置は、ナノワイヤの一次元性質に起因する独特な特性と、格子整合の制約が少ないことに起因する材料の組み合わせで改善された柔軟性と、新規の装置アーキテクチャの機会とを提供する。半導体ナノワイヤを成長させる好適な方法は、当該技術分野で既知であり、1つの基本的なプロセスは、粒子アシスト成長又はいわゆるVLS(気相−液相−固相(vapor−liquid−solid))メカニズムによる半導体基板上のナノワイヤ形成であり、例えば米国特許第7,335,908号に開示されている。粒子アシスト成長は、例えば、化学ビームエピタキシ法(chemical beam epitaxy:CBE)、有機金属気相成長法(metalorganic chemical vapor deposition:MOCVD)、有機金属気相エピタキシ法(metalorganic vapor phase epitaxy:MOVPE)、分子線エピタキシ法(molecular beam epitaxy:MBE)、レーザアブレーション法、及び熱蒸着法の使用によって達成することができる。しかしながら、ナノワイヤ成長はVLSプロセスに限定されず、例えば、国際公開公報第2007/102781号は、半導体ナノワイヤを触媒としての粒子の使用なしで半導体基板上に成長させることができることを示している。ナノワイヤは、多くの場合、プレーナ技術に基づく従来の装置よりすぐれている太陽電池、電界効果トランジスタ、発光ダイオード、熱電素子などの装置を実現するために利用されてきた。
【0003】
有利な特性及び性能を有するが、ナノワイヤ装置の加工は、はじめのうちは費用がかかった。この点での1つの重要なブレークスルーは、Si基板上にIII−V属半導体ナノワイヤその他を成長させる方法が実証されたことであり、これは、既存のSi加工との互換性を提供し、手頃でないIII−V基板をより安価なSi基板に置き換えることができるため、重要である。
【0004】
上述した技術を使用して半導体基板上に成長させたナノワイヤを備える半導体ナノワイヤ装置を製造する場合、多数の制限を経験する、これらの制限とは、
MOCVDシステムは複雑な真空システムであり、装置の製造コストに著しく寄与すること、
成長はバッチで行われ、個々のバッチ間で固有の変動を伴うこと、
大面積にわたる多数のナノワイヤの成長は、同じバッチのナノワイヤ間の変動を引き起こすこと、
ナノワイヤは基板上で成長され、これは400〜700℃の温度に耐えることを必要とすること、
ナノワイヤを、半導体基板上で垂直方向、又は任意の他の方向に整列させることは、制御されたエピタキシャル成長を必要とすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述に鑑みて、本発明の1つの目的は、上述した先行技術の欠点を解消するナノワイヤ半導体装置を製造する代替方法を提供することである。より詳細には、ナノワイヤが配置される基板とは独立して明確に規定され制御された向きを有するナノワイヤを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、ナノワイヤを整列させる方法が提供される。この方法は、ナノワイヤを用意するステップと、ナノワイヤの集団に電界を印加し、これによってナノワイヤ内の電気分極がこれらを前記電界に沿って整列させるステップとを備える。好適には、ナノワイヤを、提供及び整列するステップ中、流体(気体又は液体)中に分散させる。
【0007】
ワイヤを電界で整列させる分極に加えて、ワイヤの電気双極子は、さらなる指向性を与え、整列を強化させる。このような双極子は、ワイヤの軸方向のpn接合によって、半導体とワイヤの金属部分との間のショットキダイオードによって、又は、圧電効果によって誘導させることができ、この効果を、整列中にワイヤに光を照射し、ワイヤの両端間に開回路光電圧を効果的に誘導させることによって強化することができる。この光が誘導する双極子の大きさは、光ダイオードの開回路電圧は、光の照射によって対数的に変化するだけであるため、光の照射の強さとは本質的に無関係である。
【0008】
整列時、ナノワイヤを、好適には基板との接触で固定することができる。電界は、ナノワイヤを基板又は対向面と接触させるために利用することができる。荷電ナノワイヤは、均一な電界で反対に荷電した表面に引きつけられる。非荷電ナノワイヤは、電界の勾配の場合、より高い電界を有する領域に引きつけられる。
【0009】
電界勾配内の荷電ワイヤは、反対方向又は同じ方向のいずれかで両方の効果を経験することになる。ワイヤの電荷による力は、電荷と電界強度にのみ依存する。勾配による力は、電界強度と、ワイヤの寸法と、電気分極率とに依存する。したがって、2つの力を反対方向に配置することによって、ナノワイヤを長さ、サイズ、及び組成にしたがって分類することができる。それ自体に対する勾配力を分類に使用することもでき、この場合、その力の違いのみがワイヤを異なった方向に誘導するために使用される。
【0010】
pn接合をナノワイヤに持たせること及び/又はナノワイヤへの所定の波長の光の照射は、ナノワイヤの配列をアシストすることができ、及び/又は、ナノワイヤの1つ又はそれ以上の部分集団の選択的な整列を可能にする。
【0011】
前記方法を、前記ナノワイヤの集団が繰り返し供給され、基板に沿った所定の形状に堆積されるロールツーロールプロセスのような連続プロセスで行うことができる。
【0012】
本発明により、整列されたナノワイヤを備えるナノワイヤ装置を、費用効率の高い方法で、エピタキシャル法の制限によって制限されることなく製造することができる。
【0013】
本発明の1つの利点は、ナノワイヤを基板上へのナノワイヤの堆積とは別に製造することができることである。したがって、連続プロセスを使用することができる。これは、ナノワイヤ装置の製造を簡単にし、歩留まりを向上させる。
【0014】
ここで説明した方法で堆積されるナノワイヤを、法線から小さい角度だけ離れて、又は、大きい広がりの角度で、垂直に整列させることができる。後者の場合、ワイヤが明確な優先方向を有し、その結果、大部分のワイヤが同じ端を基板に向かうようにすることが鍵である。前者の場合、垂直整列はより重要であり、上向き/下向き方向はそれほど重要ではない。
【0015】
本発明の実施形態は、独立請求項で規定される。本発明の他の目的、利点及び新規の特徴は、添付図面及び請求項と併せて考察すると、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明の好適実施形態を、添付図面を参照してここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるナノワイヤの整列の概略図である。
【図2】電界勾配でワイヤを分類する概念の概略図である。細長いワイヤは、より高い電界に向かって、短く太いワイヤより強く引きつけられる。正しい寸法の荷電ワイヤに関しては、荷電による力と勾配による力とを打ち消すことができる。
【図3a】電界内のナノワイヤの寸法及び整列角度の概略図である。
【図3b】電界に対して「上向き」及び「下向き」に配向されているナノワイヤの概念を示す図である。
【図4a】2つの異なった寸法のワイヤに関して、同じ電界(1000V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より長いワイヤ(4b)の整列は、より短いワイヤ(4a)に関するより強いが、光によって誘導される双極子は重要であるには弱すぎる。
【図4b】2つの異なった寸法のワイヤに関して、同じ電界(1000V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より長いワイヤ(4b)の整列は、より短いワイヤ(4a)に関するより強いが、光によって誘導される双極子は重要であるには弱すぎる。
【図5a】2つの異なった寸法のワイヤに関して、異なった電界(それぞれ1000V/cm及び300V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より高い電界(4bと同じ5a)では、整列はより低い電界(5b)より強いが、後者の場合では、光によって誘導される双極子は、整列を支配し、優先方向を与えるのに十分なほど強い。
【図5b】2つの異なった寸法のワイヤに関して、異なった電界(それぞれ1000V/cm及び300V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より高い電界(4bと同じ5a)では、整列はより低い電界(5b)より強いが、後者の場合では、光によって誘導される双極子は、整列を支配し、優先方向を与えるのに十分なほど強い。
【図6】変化する電界での4aと同じワイヤに関する「上向き」(赤、実線)及び「下向き」(緑、破線)方向に関する整列エネルギーを示す図である。「上向き」エネルギーが10kTより大きい(すなわち、1kTのブラウン回転エネルギーに打ち勝つ)が、「下向き」エネルギーが小さい場合、広い範囲の電界が存在する。非常に細長いワイヤ(図示せず)に関して、方向性が重要である領域は存在しない。
【図7】異なった種類のワイヤ整列が行われている場合の状態の概略図である。軸は直線とは限らず、状態間の境界は、図面が示唆するほどはっきりしておらず、単純な形でもないと思われる。
【図8】本発明を適用するいくつかの主な方法を示す図である。当然、構成要素を、多くの方法で、ここに例示するには複雑すぎる異なった配列で並び替えることができる。例えば、ワイヤサイズの分類を、異なった波長の照射と組み合わせて、垂直整列と連続して使用し、ワイヤをサイズ及び組成の両方によって選択的に堆積させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の方法は、ナノワイヤを用意するステップと、ナノワイヤに電界を印加し、これによってナノワイヤ内の電気分極及び/又は双極子モーメントがこれらを前記電界に沿って整列させるステップとを備える。
【0019】
整列されたナノワイヤを備える構造を製造するために、整列されたナノワイヤを整列された位置に固定しなければならない。さらに、ナノワイヤを、好適には、電気的に、及び/又は、一端又は両端で光学的に接続する。したがって、整列されたナノワイヤは、好適には、基板上に堆積される。
【0020】
事前に製造されたナノワイヤを、電界を印加する前に流体中に分散させることができ、したがって、ナノワイヤを含む流体を、電界を印加する前に基板に塗布することができる。
【0021】
電界は、以降、本発明の原理を説明するために別段明示的に述べない場合、上方を向いているが、これに限定はされない。
【0022】
ナノワイヤは、整列のために供給される前に、事前に製造することができる。半導体ナノワイヤは、ナノワイヤが基板上にエピタキシャル成長する前述の方法のうち1つを使用して製造することができる。成長後、ナノワイヤはこれらの基板から除去され、好適には、流体(気体又は液体)中に分散される。ナノワイヤは、ナノワイヤが種粒子から成長する場合、溶液ベースの化学又は気相合成を使用して製造することもできる。これらのプロセスでは、ナノワイヤは、液体又は気体の残りの部分に残ることができ、又は、液体又は気体であってもよい適切な流体に移すことができる。
【0023】
単極ナノワイヤ、軸方向にpn接合を有するナノワイヤ、半径方向にpn接合を有するナノワイヤ、ヘテロ構造ナノワイヤなどを、使用することができ、一般に、上述した技術のうちの1つを使用して製造される。軸方向にpn接合を有するナノワイヤは、種粒子が一方の極性のドーパントを含み、反対の極性はドーパントが使い果たされた場合に達成される場合、単一のプロセスで成長し、あるいは、プロセス中にドーパント及び原料物質が明確に導入される場合、より複雑なプロセスで成長する。半径方向にpn接合を有するナノワイヤは、成長条件が半径方向の成長を与えるように変更される場合、2段階のプロセスで成長するが、そうでなければ、軸方向にpn接合を有するナノワイヤの製造に類似している。
【0024】
ナノワイヤには、成長中又は別個のステップのいずれかで電荷を与えることができる。
【0025】
ナノワイヤ中の電気双極子を、例として、以下の1つの又は組み合わせによって達成することができる。
【0026】
1.電界は、任意の導電性、半導体性、又は絶縁性のナノワイヤに電気双極子を誘導し、ナノワイヤは、それら自体を電界(図1)に沿って配向する。
a.単極ナノワイヤに関して、ナノワイヤは電界に沿って、しかし種粒子の端に関して好適ではない方向に配向される。
b.ドーピングにおいて軸勾配を有する単極ドープされたナノワイヤは、より高くp(n)ドープされた端はより容易に正に(負に)荷電され、この端を電界中で上向き(下向き)に向けるため、優先的に配向される。
【0027】
2.間にpn接合を形成するpドープされた端及びnドープされた端を備えるナノワイヤは、単極ナノワイヤより容易に分極化することができる。
a.電界に曝露されると、pドープされた端は正に荷電し、nドープされた端は負に荷電し、したがって、ナノワイヤは、pドープされた端が電界の方向を指す明確な方向に配向される。
b.同じ効果が、ショットキダイオードがワイヤとその種粒子との間に形成される単極ドープされたナノワイヤに適用される。
【0028】
3.pn接合を含むナノワイヤの光の照射は、電界によって形成される電気双極子と同じ極性を有する強い電気双極子を誘導し、pn接合自体(図1)の効果を大きく高める。
【0029】
4.光を吸収しないワイヤは、非常により弱い双極子を有するため、異なった所定の波長領域の光を照射することによって、異なったバンドギャップを有するナノワイヤを選択的に整列させることができる。
【0030】
整列に使用されるpn接合は、整列されたナノワイヤを備える装置で使用される場合の機能部分であってもよい。加えて、ナノワイヤは、意図的に整列に使用されない追加の機能部分を備えることができる。
【0031】
どのくらい効果的にワイヤが整列されるかは、その寸法、組成、外部電界、及び、双極子が例えば光の照射によって誘導されるか否かに依存する。以下の一般的な規則は、電界整列に適用される。与えられた番号は、単純化された論理モデルに基づいており、一般的な供述の有効性に関して制限しているとみなすべきではない。図3〜7はこれらの規則を例示している。
【0032】
1.単純化したモデルでは、
a.(誘導された)双極子による整列エネルギー(Ed)は、第1の程度まで電界に比例し、
b.Edは、ワイヤ直径の2乗に比例するが、その長さには依存せず、
c.ワイヤ材料の分極による整列エネルギー(Ep)は、電界の2乗に比例し、
d.Epは、ワイヤのアスペクト比(直径で割った長さ)の3乗に比例する。
【0033】
2.低い、代表的に100V/cm未満の電界では、整列は弱く又は生じず、これは、整列エネルギーがkT又はそれ未満の程度であることを意味し、kTはワイヤあたりのブラウン回転の平均エネルギーであり、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度(300K)である。
【0034】
3.高い、代表的に10kV/cmより上の電界では、すべての細長い物体は方向に関係なく整列され、これは、分極による整列エネルギー(Ep)がkTより大幅に大きいことを意味する。
【0035】
4.より細くより長い物体は、太く短い物体より容易に整列する。
【0036】
5.光の照射、又は、ワイヤの両端間の電位差、すなわち双極子の他のソースの下で、EdがEpより大きく、kTより大幅に大きい状態が存在し、これは優先方向での配向につながり、この効果は、より細いワイヤに関するより太いワイヤに関してより大きい(図7)。
【0037】
整列されたナノワイヤの堆積は、例として、以下のうちの1つ又は組み合わせによって行うことができる。
【0038】
1.正味の電荷を有するナノワイヤは電界中を移動し、したがって、負に荷電されたナノワイヤは下向きに移動し、そこに基板を配置することができる。
【0039】
2.平板コンデンサ間の距離が小さい場合に特に有用である、非荷電双極子のランダムな拡散は、
a.シースフロー(sheath flow)を導入し、片側の堆積を防ぐことができ、
b.逆に配列されたワイヤの堆積のため、基板をナノワイヤの両側に配置することができ、
c.平板をより近くに動かすことによって、又は、ナノワイヤを含む流体の流れに狭窄を設計することによって、電極間の距離をワイヤ長より短くすることができ、ワイヤを強制的に基板に接触させることができる。
【0040】
3.正味の電荷を有する又は有しない双極子は電界勾配内で移動し、その結果、ワイヤはより高い電界に向かって引きつけられる。この効果は、堆積のためと、ナノワイヤの分類(図2)のための両方に使用することができる。
a.より長くより細いワイヤは、電界勾配によるより強い力を受け、より高い電界を有する領域に向かってより高速に移動する。
b.電気的分極率は、異なった材料ごとに異なっている。
c.荷電ワイヤに関して、勾配力は、荷電による力と釣り合わせることができ、サイズ及び材料依存の分類のさらなる制御を可能にする。
【0041】
4.パターン化された基板電極上では、電界勾配は堆積に影響し、波長選択双極子生成との組み合わせで、ワイヤを、組成及び/又はサイズにしたがって選択的に配置することができる。
【0042】
5.基板の裏側にある構造化された電極、例えば、爪床(bed of nails)又は隆起の配列は、パターン又は点又は縞を生じさせ、交番電位は、逆に配向されたワイヤを有する領域を生じさせる。
【0043】
6.堆積は、基板上の表面電荷のパターンによって局所的に増加又は抑制することができ、堆積は、荷電領域が堆積されたワイヤからの電荷によって中和される場合、自己制限することができる。
【0044】
7.ワイヤは、熱泳動によって堆積させることができ、この熱泳動では、流体中に懸濁されたワイヤは、温度勾配のより低い温度の領域の方に移動し、すなわち、冷たい壁上に堆積し、及び/又は、熱い壁から斥けられる。
【0045】
8.磁性ナノワイヤの場合、それらは、磁界によって容易に収集及び制御することができる。流体の流れに懸濁された荷電ナノ粒子(実際に電流を発生する)も、磁界によって影響を受ける。
【0046】
9.強く集束された(レーザ)光及び磁界は、いくつかの場合、例えば、光ピンセット又は磁気トラップ効果によってナノワイヤを局所的に補足するために使用することができる。
【0047】
10.上記以外に、超音波、マイクロ波などが、ワイヤ堆積を抑制又は改善するために役立つかもしれない。
【0048】
電界は、2つの対向電極、例えば2枚の平行平板を使用し、これらの電極間に電圧を印加することによって発生させることができる。使用する基板は、これらの電極の一方として機能することもできる。連続プロセスでは、例えば、網、箔又は薄板の形の基板を電極間(又は、基板を1つの電極として使用する場合、電極の一方の上に)に送り込むことができ、脈動又は周期的な電圧を電極に印加し、変化する電界と、したがって、整列されたナノワイヤの変化する配向とを発生させることができる。
【0049】
本発明によれば、ナノワイヤを、
1.実質的に平坦な任意の絶縁性、半導体性、又は金属の基板上に堆積させることができ、
2.好適にはロールツーロールプロセスで、基板を、印刷機と非常に類似して、堆積の点、縞又は領域を通過させ、網、箔、又は薄板の形の基板上に堆積させることができ、
3.コロイド懸濁液のように液体中に分散されたナノワイヤの場合、ワイヤを含む液体を基板に塗布することができ、ワイヤは、
a.液体の乾燥/蒸発中に、
b.液体の凝固/重合中又はその前に、整列され、
4.ナノワイヤの粘着及び/又は電気的接触を高めるためにポリマー、金属、液体、又は他の材料で被覆された基板上に堆積させることができ、又は、
a.ワイヤ端のみが粘着するように粘着材料をきわめて薄くすることができ、
b.粘着材料は、ナノワイヤの長さと同じ程度の厚さを有し、
c.ナノワイヤが液体中に分散している場合、この液体は、基板上に徐々に厚くなるポリマーを形成するモノマーを備えることができ、
5.ナノワイヤの堆積を増大又は局所的に抑制するために、押し出し形状、変化する粘着性、表面電荷などによってパターン化された基板上に堆積させることができ、
6.ナノワイヤが機能を強化又は修正することを目的とする機能性基板上に堆積させることができ、
7.基板の裏面に構成された電極によって、又は、(導電性)基板それ自体の構造によって与えられる点、縞などの複雑な機能的パターンに堆積させることができ、
a.ナノワイヤの極性/方向は、例えば、縞又はチェッカー盤パターンで変化してもよく、
b.ナノワイヤは、様々な種類のものであり、波長選択的な方法で電気双極子を導入することによって分類され、
8.基板の両側に堆積させることができ、どちらの側のワイヤも様々な種類のものであってもよく、上述した手段のいずれかを含む様々な手段によって堆積させることができ、
9.連続プロセスで堆積させることができ、接触又は粘着層、絶縁性酸化物又はポリマーなどは、基板上に、ナノワイヤの上流又は下流に堆積される。
【0050】
本願では用語「ナノワイヤ」により、1μm未満の少なくとも1つの寸法を有する任意の細長い構造を意味している。代表的な例は、
1.代表的な材料は、III−V又はIII−N半導体(GaAs、InP、GaSb、GaInN及び関係する合金)、シリコン、ゲルマニウム、又は、II−VI半導体(ZnO、ZnS、CdS、CdSe及び関係する合金)である、例えば、MOCVD成長法、液体溶液化学、気相成長法によって製造された50〜500nmの直径及び1〜10μmの長さを有する半導体ナノワイヤ、
2.磁性、超電導性、又は通常の金属で作ることができる、例えば、陽極酸化処理されたアルミニウムテンプレートでの電着、ひげ結晶成長法、気相成長によって製造された金属ナノワイヤ、
3.製造された又は天然の、絶縁性、高バンドギャップ半導体、又は高TC超電導体ナノワイヤ、
4.カーボンナノチューブ、又は、
5.生物学的なナノファイバ、例えば、セルロース、たんぱく質、高分子、及び細菌を含むが、これらに限定されない。
【0051】
本発明で製造される装置は以下であるがこれらに限定されない。
【0052】
1.光吸収及び電荷分離がナノワイヤ単独で行われる、すなわち、ナノワイヤがpn接合又は他の整流メカニズムを含む、光起電力(PV:photovoltaic)セル。このようなPV装置は、ワイヤの大部分が垂直に整列され同じ極性で接続されている、ナノワイヤの高密度に圧縮された配列を含む。また、すべてのワイヤ端を平行に接続する、透明基板の上部からの又はこれを通過する透明接点を含む。
【0053】
2.発光及び電荷再結合がナノワイヤ単体で行われる、すなわち、ナノワイヤがpn接合又は他の整流メカニズムを含む、発光ダイオード(LED:light emitting diode)。このようなLED装置は、同じ極性又はランダムな極性で接触することができるナノワイヤの配列を含む。後者の場合、構造は、交流電圧に直接接続するのに適した整流器として機能する。目的が、大面積の発光表面、例えば、セラミックタイル又は平坦な壁紙を作ることである場合、LED配列は非常に密である必要はない。
【0054】
3.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が基板にある、すなわち、基板が例えばp型でワイヤがn型である、PVセル。このようなPV装置は、高密度に圧縮されたナノワイヤから作られるが、ここではワイヤの上向き/下向きの方向付けはあまり重要ではなく、したがって加工はより簡単になる。加えて、基板のキャリア拡散長が十分長い場合、ワイヤの密度は上記例1より低くてもよい。
【0055】
4.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が基板にある、すなわち、基板が例えばp型でワイヤがn型である、LED。上記例2及び3とまったく同じに、このようなLED構成は、整列及び密度の両方に関する必要性を緩和する。
【0056】
5.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が、堆積後のワイヤ、例えば、n型導電性酸化物又はポリマー中のp型ワイヤを取り囲むマトリクス中にある、PVセル。このようなPV装置は、非常に簡単な基板上に製造することができる。
【0057】
6.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が、堆積後のワイヤ、例えば、n型導電性酸化物又はポリマー中のp型ワイヤを取り囲むマトリクス中にある、LED。このようなLED構成は、整列及び密度の両方に関する必要性を緩和する。
【0058】
7.基板それ自体が光起電力セルであり、ナノワイヤが基板のバンドギャップより上又は下の光を吸収するように設計され、これによって、直列型光起電力セルを形成する、PVセル。直列型セルのナノワイヤ部分は、上記例1、3又は5によって製造することができる。
【0059】
8.PVセル及びLEDの上記例のすべてでは、ナノワイヤは、パターン、例えば縞に配置され、多接合PV機能を達成するためのプリズムによるスペクトル分解された光吸収を可能にし、又は、各々の縞が別々に接触される調節可能な色温度の発光を可能にする。
【0060】
9.PVセル及びLEDの上記例のすべてでは、ナノワイヤは、上面の組み込みナノ構造化も与え、これは、PVセルの場合では光吸収、LEDの場合では発光の両方に有利であるかもしれない。
【0061】
10.ナノワイヤの一次元特性が、温度勾配を電力の発生に使用することができる方法を改善するために使用される、熱電セル。さらに、nドープ及びpドープナノワイヤの別々の領域の制御された堆積によって、ペルチェ素子が形成され、これは、電力の温度勾配への変換で、冷却又は加熱用途に使用することができる。
【0062】
11.1つ又は両方の電極がこの方法によって準備され、したがって、ナノワイヤ構造から構成されている、バッテリ。小さい直径のナノワイヤは、それらをひずみに対して鈍感にし、したがって、バッテリサイクル中の体積変化に伴う直径の変化に対して鈍感にする。
【0063】
12.主な材料が、プロセスが誘導する歪みに対する鈍感さと、表面対体積比と、プロセス流体の構造との相互作用との点で他の材料を上回る利点を与える、ナノワイヤ構造以外で構成されている、燃料電池、電界又は光分解セル。
【0064】
13.マイクロエレクトロニクス又はデータ記憶装置が、エアロゾル相から堆積されたナノワイヤで形成することができる。
【0065】
14.整列されたナノワイヤが、シリコン上又は非結晶表面(金属、ガラスなど)上の例えば化合物半導体の成長のための結晶構造を与える、単純な基板上の機能的材料膜の成長のためのテンプレート。
【0066】
15.荷電又は非荷電ナノワイヤの流れが電界勾配を通過する、サイズ及び/又は材料によってナノワイヤを分類する装置。より長く、より細く、より分極可能なワイヤは、より高い電界領域に向かってより強い引力を受け、したがって、質量分析計を彷彿とさせる方法で分類することができる。荷電ワイヤに関して、力は、より強い選択性のために釣り合わせることができる。
【0067】
16.ナノワイヤが、例えばポリマーマトリクス中に分散され、例えば、強化された機械的強度、上昇した電気伝導度、改善された気体透過特性などをもたらす、ナノ複合材料。このようなナノ複合体は、加えられた外力に敏感であり、したがってセンサとして使用することもできる。
【0068】
17.単純な又はヘテロ構造に設計されたナノワイヤが、電界放出用途のための配列内に堆積されている、電界放出電子源。
【0069】
18.反射防止又は光フィルタリング表面又はスマートウィンドウ。
【0070】
19.ゲッコー効果(gecko effect)により増加した機械的粘着能力を有する表面。
【0071】
20.熱放出が増大又は減少した表面。
【0072】
21.化学的又は生物学的センサ。
【0073】
上向き、垂直、水平、縦などのすべての言及は、理解を容易にするためにのみ導入され、特定の方向に限定するものとして考えるべきではない。さらに、図面内の構造及び軸の寸法は、必ずしも原寸に比例していない。
【0074】
本発明を、現在最も実際的で好適な実施形態であると考えられているものに関連して説明してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、一方、添付の特許請求の範囲内の種々の変更及び同等の構成を包含するよう意図されることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤ装置に関し、詳細には、整列され基板から所定の方向に突出するナノワイヤを備えるナノワイヤ装置を製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ナノワイヤへの関心が高まっている。従来のプレーナ技術と比較して、ナノワイヤベースの半導体装置は、ナノワイヤの一次元性質に起因する独特な特性と、格子整合の制約が少ないことに起因する材料の組み合わせで改善された柔軟性と、新規の装置アーキテクチャの機会とを提供する。半導体ナノワイヤを成長させる好適な方法は、当該技術分野で既知であり、1つの基本的なプロセスは、粒子アシスト成長又はいわゆるVLS(気相−液相−固相(vapor−liquid−solid))メカニズムによる半導体基板上のナノワイヤ形成であり、例えば米国特許第7,335,908号に開示されている。粒子アシスト成長は、例えば、化学ビームエピタキシ法(chemical beam epitaxy:CBE)、有機金属気相成長法(metalorganic chemical vapor deposition:MOCVD)、有機金属気相エピタキシ法(metalorganic vapor phase epitaxy:MOVPE)、分子線エピタキシ法(molecular beam epitaxy:MBE)、レーザアブレーション法、及び熱蒸着法の使用によって達成することができる。しかしながら、ナノワイヤ成長はVLSプロセスに限定されず、例えば、国際公開公報第2007/102781号は、半導体ナノワイヤを触媒としての粒子の使用なしで半導体基板上に成長させることができることを示している。ナノワイヤは、多くの場合、プレーナ技術に基づく従来の装置よりすぐれている太陽電池、電界効果トランジスタ、発光ダイオード、熱電素子などの装置を実現するために利用されてきた。
【0003】
有利な特性及び性能を有するが、ナノワイヤ装置の加工は、はじめのうちは費用がかかった。この点での1つの重要なブレークスルーは、Si基板上にIII−V属半導体ナノワイヤその他を成長させる方法が実証されたことであり、これは、既存のSi加工との互換性を提供し、手頃でないIII−V基板をより安価なSi基板に置き換えることができるため、重要である。
【0004】
上述した技術を使用して半導体基板上に成長させたナノワイヤを備える半導体ナノワイヤ装置を製造する場合、多数の制限を経験する、これらの制限とは、
MOCVDシステムは複雑な真空システムであり、装置の製造コストに著しく寄与すること、
成長はバッチで行われ、個々のバッチ間で固有の変動を伴うこと、
大面積にわたる多数のナノワイヤの成長は、同じバッチのナノワイヤ間の変動を引き起こすこと、
ナノワイヤは基板上で成長され、これは400〜700℃の温度に耐えることを必要とすること、
ナノワイヤを、半導体基板上で垂直方向、又は任意の他の方向に整列させることは、制御されたエピタキシャル成長を必要とすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述に鑑みて、本発明の1つの目的は、上述した先行技術の欠点を解消するナノワイヤ半導体装置を製造する代替方法を提供することである。より詳細には、ナノワイヤが配置される基板とは独立して明確に規定され制御された向きを有するナノワイヤを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、ナノワイヤを整列させる方法が提供される。この方法は、ナノワイヤを用意するステップと、ナノワイヤの集団に電界を印加し、これによってナノワイヤ内の電気分極がこれらを前記電界に沿って整列させるステップとを備える。好適には、ナノワイヤを、提供及び整列するステップ中、流体(気体又は液体)中に分散させる。
【0007】
ワイヤを電界で整列させる分極に加えて、ワイヤの電気双極子は、さらなる指向性を与え、整列を強化させる。このような双極子は、ワイヤの軸方向のpn接合によって、半導体とワイヤの金属部分との間のショットキダイオードによって、又は、圧電効果によって誘導させることができ、この効果を、整列中にワイヤに光を照射し、ワイヤの両端間に開回路光電圧を効果的に誘導させることによって強化することができる。この光が誘導する双極子の大きさは、光ダイオードの開回路電圧は、光の照射によって対数的に変化するだけであるため、光の照射の強さとは本質的に無関係である。
【0008】
整列時、ナノワイヤを、好適には基板との接触で固定することができる。電界は、ナノワイヤを基板又は対向面と接触させるために利用することができる。荷電ナノワイヤは、均一な電界で反対に荷電した表面に引きつけられる。非荷電ナノワイヤは、電界の勾配の場合、より高い電界を有する領域に引きつけられる。
【0009】
電界勾配内の荷電ワイヤは、反対方向又は同じ方向のいずれかで両方の効果を経験することになる。ワイヤの電荷による力は、電荷と電界強度にのみ依存する。勾配による力は、電界強度と、ワイヤの寸法と、電気分極率とに依存する。したがって、2つの力を反対方向に配置することによって、ナノワイヤを長さ、サイズ、及び組成にしたがって分類することができる。それ自体に対する勾配力を分類に使用することもでき、この場合、その力の違いのみがワイヤを異なった方向に誘導するために使用される。
【0010】
pn接合をナノワイヤに持たせること及び/又はナノワイヤへの所定の波長の光の照射は、ナノワイヤの配列をアシストすることができ、及び/又は、ナノワイヤの1つ又はそれ以上の部分集団の選択的な整列を可能にする。
【0011】
前記方法を、前記ナノワイヤの集団が繰り返し供給され、基板に沿った所定の形状に堆積されるロールツーロールプロセスのような連続プロセスで行うことができる。
【0012】
本発明により、整列されたナノワイヤを備えるナノワイヤ装置を、費用効率の高い方法で、エピタキシャル法の制限によって制限されることなく製造することができる。
【0013】
本発明の1つの利点は、ナノワイヤを基板上へのナノワイヤの堆積とは別に製造することができることである。したがって、連続プロセスを使用することができる。これは、ナノワイヤ装置の製造を簡単にし、歩留まりを向上させる。
【0014】
ここで説明した方法で堆積されるナノワイヤを、法線から小さい角度だけ離れて、又は、大きい広がりの角度で、垂直に整列させることができる。後者の場合、ワイヤが明確な優先方向を有し、その結果、大部分のワイヤが同じ端を基板に向かうようにすることが鍵である。前者の場合、垂直整列はより重要であり、上向き/下向き方向はそれほど重要ではない。
【0015】
本発明の実施形態は、独立請求項で規定される。本発明の他の目的、利点及び新規の特徴は、添付図面及び請求項と併せて考察すると、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明の好適実施形態を、添付図面を参照してここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるナノワイヤの整列の概略図である。
【図2】電界勾配でワイヤを分類する概念の概略図である。細長いワイヤは、より高い電界に向かって、短く太いワイヤより強く引きつけられる。正しい寸法の荷電ワイヤに関しては、荷電による力と勾配による力とを打ち消すことができる。
【図3a】電界内のナノワイヤの寸法及び整列角度の概略図である。
【図3b】電界に対して「上向き」及び「下向き」に配向されているナノワイヤの概念を示す図である。
【図4a】2つの異なった寸法のワイヤに関して、同じ電界(1000V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より長いワイヤ(4b)の整列は、より短いワイヤ(4a)に関するより強いが、光によって誘導される双極子は重要であるには弱すぎる。
【図4b】2つの異なった寸法のワイヤに関して、同じ電界(1000V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より長いワイヤ(4b)の整列は、より短いワイヤ(4a)に関するより強いが、光によって誘導される双極子は重要であるには弱すぎる。
【図5a】2つの異なった寸法のワイヤに関して、異なった電界(それぞれ1000V/cm及び300V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より高い電界(4bと同じ5a)では、整列はより低い電界(5b)より強いが、後者の場合では、光によって誘導される双極子は、整列を支配し、優先方向を与えるのに十分なほど強い。
【図5b】2つの異なった寸法のワイヤに関して、異なった電界(それぞれ1000V/cm及び300V/cm)での、分極による理論的な整列エネルギー(緑、破線)と、光によって誘導された双極子(赤、実線)と、これらの和(紫、点線)とを比較する。より高い電界(4bと同じ5a)では、整列はより低い電界(5b)より強いが、後者の場合では、光によって誘導される双極子は、整列を支配し、優先方向を与えるのに十分なほど強い。
【図6】変化する電界での4aと同じワイヤに関する「上向き」(赤、実線)及び「下向き」(緑、破線)方向に関する整列エネルギーを示す図である。「上向き」エネルギーが10kTより大きい(すなわち、1kTのブラウン回転エネルギーに打ち勝つ)が、「下向き」エネルギーが小さい場合、広い範囲の電界が存在する。非常に細長いワイヤ(図示せず)に関して、方向性が重要である領域は存在しない。
【図7】異なった種類のワイヤ整列が行われている場合の状態の概略図である。軸は直線とは限らず、状態間の境界は、図面が示唆するほどはっきりしておらず、単純な形でもないと思われる。
【図8】本発明を適用するいくつかの主な方法を示す図である。当然、構成要素を、多くの方法で、ここに例示するには複雑すぎる異なった配列で並び替えることができる。例えば、ワイヤサイズの分類を、異なった波長の照射と組み合わせて、垂直整列と連続して使用し、ワイヤをサイズ及び組成の両方によって選択的に堆積させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の方法は、ナノワイヤを用意するステップと、ナノワイヤに電界を印加し、これによってナノワイヤ内の電気分極及び/又は双極子モーメントがこれらを前記電界に沿って整列させるステップとを備える。
【0019】
整列されたナノワイヤを備える構造を製造するために、整列されたナノワイヤを整列された位置に固定しなければならない。さらに、ナノワイヤを、好適には、電気的に、及び/又は、一端又は両端で光学的に接続する。したがって、整列されたナノワイヤは、好適には、基板上に堆積される。
【0020】
事前に製造されたナノワイヤを、電界を印加する前に流体中に分散させることができ、したがって、ナノワイヤを含む流体を、電界を印加する前に基板に塗布することができる。
【0021】
電界は、以降、本発明の原理を説明するために別段明示的に述べない場合、上方を向いているが、これに限定はされない。
【0022】
ナノワイヤは、整列のために供給される前に、事前に製造することができる。半導体ナノワイヤは、ナノワイヤが基板上にエピタキシャル成長する前述の方法のうち1つを使用して製造することができる。成長後、ナノワイヤはこれらの基板から除去され、好適には、流体(気体又は液体)中に分散される。ナノワイヤは、ナノワイヤが種粒子から成長する場合、溶液ベースの化学又は気相合成を使用して製造することもできる。これらのプロセスでは、ナノワイヤは、液体又は気体の残りの部分に残ることができ、又は、液体又は気体であってもよい適切な流体に移すことができる。
【0023】
単極ナノワイヤ、軸方向にpn接合を有するナノワイヤ、半径方向にpn接合を有するナノワイヤ、ヘテロ構造ナノワイヤなどを、使用することができ、一般に、上述した技術のうちの1つを使用して製造される。軸方向にpn接合を有するナノワイヤは、種粒子が一方の極性のドーパントを含み、反対の極性はドーパントが使い果たされた場合に達成される場合、単一のプロセスで成長し、あるいは、プロセス中にドーパント及び原料物質が明確に導入される場合、より複雑なプロセスで成長する。半径方向にpn接合を有するナノワイヤは、成長条件が半径方向の成長を与えるように変更される場合、2段階のプロセスで成長するが、そうでなければ、軸方向にpn接合を有するナノワイヤの製造に類似している。
【0024】
ナノワイヤには、成長中又は別個のステップのいずれかで電荷を与えることができる。
【0025】
ナノワイヤ中の電気双極子を、例として、以下の1つの又は組み合わせによって達成することができる。
【0026】
1.電界は、任意の導電性、半導体性、又は絶縁性のナノワイヤに電気双極子を誘導し、ナノワイヤは、それら自体を電界(図1)に沿って配向する。
a.単極ナノワイヤに関して、ナノワイヤは電界に沿って、しかし種粒子の端に関して好適ではない方向に配向される。
b.ドーピングにおいて軸勾配を有する単極ドープされたナノワイヤは、より高くp(n)ドープされた端はより容易に正に(負に)荷電され、この端を電界中で上向き(下向き)に向けるため、優先的に配向される。
【0027】
2.間にpn接合を形成するpドープされた端及びnドープされた端を備えるナノワイヤは、単極ナノワイヤより容易に分極化することができる。
a.電界に曝露されると、pドープされた端は正に荷電し、nドープされた端は負に荷電し、したがって、ナノワイヤは、pドープされた端が電界の方向を指す明確な方向に配向される。
b.同じ効果が、ショットキダイオードがワイヤとその種粒子との間に形成される単極ドープされたナノワイヤに適用される。
【0028】
3.pn接合を含むナノワイヤの光の照射は、電界によって形成される電気双極子と同じ極性を有する強い電気双極子を誘導し、pn接合自体(図1)の効果を大きく高める。
【0029】
4.光を吸収しないワイヤは、非常により弱い双極子を有するため、異なった所定の波長領域の光を照射することによって、異なったバンドギャップを有するナノワイヤを選択的に整列させることができる。
【0030】
整列に使用されるpn接合は、整列されたナノワイヤを備える装置で使用される場合の機能部分であってもよい。加えて、ナノワイヤは、意図的に整列に使用されない追加の機能部分を備えることができる。
【0031】
どのくらい効果的にワイヤが整列されるかは、その寸法、組成、外部電界、及び、双極子が例えば光の照射によって誘導されるか否かに依存する。以下の一般的な規則は、電界整列に適用される。与えられた番号は、単純化された論理モデルに基づいており、一般的な供述の有効性に関して制限しているとみなすべきではない。図3〜7はこれらの規則を例示している。
【0032】
1.単純化したモデルでは、
a.(誘導された)双極子による整列エネルギー(Ed)は、第1の程度まで電界に比例し、
b.Edは、ワイヤ直径の2乗に比例するが、その長さには依存せず、
c.ワイヤ材料の分極による整列エネルギー(Ep)は、電界の2乗に比例し、
d.Epは、ワイヤのアスペクト比(直径で割った長さ)の3乗に比例する。
【0033】
2.低い、代表的に100V/cm未満の電界では、整列は弱く又は生じず、これは、整列エネルギーがkT又はそれ未満の程度であることを意味し、kTはワイヤあたりのブラウン回転の平均エネルギーであり、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度(300K)である。
【0034】
3.高い、代表的に10kV/cmより上の電界では、すべての細長い物体は方向に関係なく整列され、これは、分極による整列エネルギー(Ep)がkTより大幅に大きいことを意味する。
【0035】
4.より細くより長い物体は、太く短い物体より容易に整列する。
【0036】
5.光の照射、又は、ワイヤの両端間の電位差、すなわち双極子の他のソースの下で、EdがEpより大きく、kTより大幅に大きい状態が存在し、これは優先方向での配向につながり、この効果は、より細いワイヤに関するより太いワイヤに関してより大きい(図7)。
【0037】
整列されたナノワイヤの堆積は、例として、以下のうちの1つ又は組み合わせによって行うことができる。
【0038】
1.正味の電荷を有するナノワイヤは電界中を移動し、したがって、負に荷電されたナノワイヤは下向きに移動し、そこに基板を配置することができる。
【0039】
2.平板コンデンサ間の距離が小さい場合に特に有用である、非荷電双極子のランダムな拡散は、
a.シースフロー(sheath flow)を導入し、片側の堆積を防ぐことができ、
b.逆に配列されたワイヤの堆積のため、基板をナノワイヤの両側に配置することができ、
c.平板をより近くに動かすことによって、又は、ナノワイヤを含む流体の流れに狭窄を設計することによって、電極間の距離をワイヤ長より短くすることができ、ワイヤを強制的に基板に接触させることができる。
【0040】
3.正味の電荷を有する又は有しない双極子は電界勾配内で移動し、その結果、ワイヤはより高い電界に向かって引きつけられる。この効果は、堆積のためと、ナノワイヤの分類(図2)のための両方に使用することができる。
a.より長くより細いワイヤは、電界勾配によるより強い力を受け、より高い電界を有する領域に向かってより高速に移動する。
b.電気的分極率は、異なった材料ごとに異なっている。
c.荷電ワイヤに関して、勾配力は、荷電による力と釣り合わせることができ、サイズ及び材料依存の分類のさらなる制御を可能にする。
【0041】
4.パターン化された基板電極上では、電界勾配は堆積に影響し、波長選択双極子生成との組み合わせで、ワイヤを、組成及び/又はサイズにしたがって選択的に配置することができる。
【0042】
5.基板の裏側にある構造化された電極、例えば、爪床(bed of nails)又は隆起の配列は、パターン又は点又は縞を生じさせ、交番電位は、逆に配向されたワイヤを有する領域を生じさせる。
【0043】
6.堆積は、基板上の表面電荷のパターンによって局所的に増加又は抑制することができ、堆積は、荷電領域が堆積されたワイヤからの電荷によって中和される場合、自己制限することができる。
【0044】
7.ワイヤは、熱泳動によって堆積させることができ、この熱泳動では、流体中に懸濁されたワイヤは、温度勾配のより低い温度の領域の方に移動し、すなわち、冷たい壁上に堆積し、及び/又は、熱い壁から斥けられる。
【0045】
8.磁性ナノワイヤの場合、それらは、磁界によって容易に収集及び制御することができる。流体の流れに懸濁された荷電ナノ粒子(実際に電流を発生する)も、磁界によって影響を受ける。
【0046】
9.強く集束された(レーザ)光及び磁界は、いくつかの場合、例えば、光ピンセット又は磁気トラップ効果によってナノワイヤを局所的に補足するために使用することができる。
【0047】
10.上記以外に、超音波、マイクロ波などが、ワイヤ堆積を抑制又は改善するために役立つかもしれない。
【0048】
電界は、2つの対向電極、例えば2枚の平行平板を使用し、これらの電極間に電圧を印加することによって発生させることができる。使用する基板は、これらの電極の一方として機能することもできる。連続プロセスでは、例えば、網、箔又は薄板の形の基板を電極間(又は、基板を1つの電極として使用する場合、電極の一方の上に)に送り込むことができ、脈動又は周期的な電圧を電極に印加し、変化する電界と、したがって、整列されたナノワイヤの変化する配向とを発生させることができる。
【0049】
本発明によれば、ナノワイヤを、
1.実質的に平坦な任意の絶縁性、半導体性、又は金属の基板上に堆積させることができ、
2.好適にはロールツーロールプロセスで、基板を、印刷機と非常に類似して、堆積の点、縞又は領域を通過させ、網、箔、又は薄板の形の基板上に堆積させることができ、
3.コロイド懸濁液のように液体中に分散されたナノワイヤの場合、ワイヤを含む液体を基板に塗布することができ、ワイヤは、
a.液体の乾燥/蒸発中に、
b.液体の凝固/重合中又はその前に、整列され、
4.ナノワイヤの粘着及び/又は電気的接触を高めるためにポリマー、金属、液体、又は他の材料で被覆された基板上に堆積させることができ、又は、
a.ワイヤ端のみが粘着するように粘着材料をきわめて薄くすることができ、
b.粘着材料は、ナノワイヤの長さと同じ程度の厚さを有し、
c.ナノワイヤが液体中に分散している場合、この液体は、基板上に徐々に厚くなるポリマーを形成するモノマーを備えることができ、
5.ナノワイヤの堆積を増大又は局所的に抑制するために、押し出し形状、変化する粘着性、表面電荷などによってパターン化された基板上に堆積させることができ、
6.ナノワイヤが機能を強化又は修正することを目的とする機能性基板上に堆積させることができ、
7.基板の裏面に構成された電極によって、又は、(導電性)基板それ自体の構造によって与えられる点、縞などの複雑な機能的パターンに堆積させることができ、
a.ナノワイヤの極性/方向は、例えば、縞又はチェッカー盤パターンで変化してもよく、
b.ナノワイヤは、様々な種類のものであり、波長選択的な方法で電気双極子を導入することによって分類され、
8.基板の両側に堆積させることができ、どちらの側のワイヤも様々な種類のものであってもよく、上述した手段のいずれかを含む様々な手段によって堆積させることができ、
9.連続プロセスで堆積させることができ、接触又は粘着層、絶縁性酸化物又はポリマーなどは、基板上に、ナノワイヤの上流又は下流に堆積される。
【0050】
本願では用語「ナノワイヤ」により、1μm未満の少なくとも1つの寸法を有する任意の細長い構造を意味している。代表的な例は、
1.代表的な材料は、III−V又はIII−N半導体(GaAs、InP、GaSb、GaInN及び関係する合金)、シリコン、ゲルマニウム、又は、II−VI半導体(ZnO、ZnS、CdS、CdSe及び関係する合金)である、例えば、MOCVD成長法、液体溶液化学、気相成長法によって製造された50〜500nmの直径及び1〜10μmの長さを有する半導体ナノワイヤ、
2.磁性、超電導性、又は通常の金属で作ることができる、例えば、陽極酸化処理されたアルミニウムテンプレートでの電着、ひげ結晶成長法、気相成長によって製造された金属ナノワイヤ、
3.製造された又は天然の、絶縁性、高バンドギャップ半導体、又は高TC超電導体ナノワイヤ、
4.カーボンナノチューブ、又は、
5.生物学的なナノファイバ、例えば、セルロース、たんぱく質、高分子、及び細菌を含むが、これらに限定されない。
【0051】
本発明で製造される装置は以下であるがこれらに限定されない。
【0052】
1.光吸収及び電荷分離がナノワイヤ単独で行われる、すなわち、ナノワイヤがpn接合又は他の整流メカニズムを含む、光起電力(PV:photovoltaic)セル。このようなPV装置は、ワイヤの大部分が垂直に整列され同じ極性で接続されている、ナノワイヤの高密度に圧縮された配列を含む。また、すべてのワイヤ端を平行に接続する、透明基板の上部からの又はこれを通過する透明接点を含む。
【0053】
2.発光及び電荷再結合がナノワイヤ単体で行われる、すなわち、ナノワイヤがpn接合又は他の整流メカニズムを含む、発光ダイオード(LED:light emitting diode)。このようなLED装置は、同じ極性又はランダムな極性で接触することができるナノワイヤの配列を含む。後者の場合、構造は、交流電圧に直接接続するのに適した整流器として機能する。目的が、大面積の発光表面、例えば、セラミックタイル又は平坦な壁紙を作ることである場合、LED配列は非常に密である必要はない。
【0054】
3.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が基板にある、すなわち、基板が例えばp型でワイヤがn型である、PVセル。このようなPV装置は、高密度に圧縮されたナノワイヤから作られるが、ここではワイヤの上向き/下向きの方向付けはあまり重要ではなく、したがって加工はより簡単になる。加えて、基板のキャリア拡散長が十分長い場合、ワイヤの密度は上記例1より低くてもよい。
【0055】
4.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が基板にある、すなわち、基板が例えばp型でワイヤがn型である、LED。上記例2及び3とまったく同じに、このようなLED構成は、整列及び密度の両方に関する必要性を緩和する。
【0056】
5.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が、堆積後のワイヤ、例えば、n型導電性酸化物又はポリマー中のp型ワイヤを取り囲むマトリクス中にある、PVセル。このようなPV装置は、非常に簡単な基板上に製造することができる。
【0057】
6.ナノワイヤが整流メカニズムの一部を構成し、他の部分が、堆積後のワイヤ、例えば、n型導電性酸化物又はポリマー中のp型ワイヤを取り囲むマトリクス中にある、LED。このようなLED構成は、整列及び密度の両方に関する必要性を緩和する。
【0058】
7.基板それ自体が光起電力セルであり、ナノワイヤが基板のバンドギャップより上又は下の光を吸収するように設計され、これによって、直列型光起電力セルを形成する、PVセル。直列型セルのナノワイヤ部分は、上記例1、3又は5によって製造することができる。
【0059】
8.PVセル及びLEDの上記例のすべてでは、ナノワイヤは、パターン、例えば縞に配置され、多接合PV機能を達成するためのプリズムによるスペクトル分解された光吸収を可能にし、又は、各々の縞が別々に接触される調節可能な色温度の発光を可能にする。
【0060】
9.PVセル及びLEDの上記例のすべてでは、ナノワイヤは、上面の組み込みナノ構造化も与え、これは、PVセルの場合では光吸収、LEDの場合では発光の両方に有利であるかもしれない。
【0061】
10.ナノワイヤの一次元特性が、温度勾配を電力の発生に使用することができる方法を改善するために使用される、熱電セル。さらに、nドープ及びpドープナノワイヤの別々の領域の制御された堆積によって、ペルチェ素子が形成され、これは、電力の温度勾配への変換で、冷却又は加熱用途に使用することができる。
【0062】
11.1つ又は両方の電極がこの方法によって準備され、したがって、ナノワイヤ構造から構成されている、バッテリ。小さい直径のナノワイヤは、それらをひずみに対して鈍感にし、したがって、バッテリサイクル中の体積変化に伴う直径の変化に対して鈍感にする。
【0063】
12.主な材料が、プロセスが誘導する歪みに対する鈍感さと、表面対体積比と、プロセス流体の構造との相互作用との点で他の材料を上回る利点を与える、ナノワイヤ構造以外で構成されている、燃料電池、電界又は光分解セル。
【0064】
13.マイクロエレクトロニクス又はデータ記憶装置が、エアロゾル相から堆積されたナノワイヤで形成することができる。
【0065】
14.整列されたナノワイヤが、シリコン上又は非結晶表面(金属、ガラスなど)上の例えば化合物半導体の成長のための結晶構造を与える、単純な基板上の機能的材料膜の成長のためのテンプレート。
【0066】
15.荷電又は非荷電ナノワイヤの流れが電界勾配を通過する、サイズ及び/又は材料によってナノワイヤを分類する装置。より長く、より細く、より分極可能なワイヤは、より高い電界領域に向かってより強い引力を受け、したがって、質量分析計を彷彿とさせる方法で分類することができる。荷電ワイヤに関して、力は、より強い選択性のために釣り合わせることができる。
【0067】
16.ナノワイヤが、例えばポリマーマトリクス中に分散され、例えば、強化された機械的強度、上昇した電気伝導度、改善された気体透過特性などをもたらす、ナノ複合材料。このようなナノ複合体は、加えられた外力に敏感であり、したがってセンサとして使用することもできる。
【0068】
17.単純な又はヘテロ構造に設計されたナノワイヤが、電界放出用途のための配列内に堆積されている、電界放出電子源。
【0069】
18.反射防止又は光フィルタリング表面又はスマートウィンドウ。
【0070】
19.ゲッコー効果(gecko effect)により増加した機械的粘着能力を有する表面。
【0071】
20.熱放出が増大又は減少した表面。
【0072】
21.化学的又は生物学的センサ。
【0073】
上向き、垂直、水平、縦などのすべての言及は、理解を容易にするためにのみ導入され、特定の方向に限定するものとして考えるべきではない。さらに、図面内の構造及び軸の寸法は、必ずしも原寸に比例していない。
【0074】
本発明を、現在最も実際的で好適な実施形態であると考えられているものに関連して説明してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、一方、添付の特許請求の範囲内の種々の変更及び同等の構成を包含するよう意図されることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノワイヤ構造の製造中に基板上でナノワイヤを整列させる方法であって、
ナノワイヤ(1)の集団を用意する工程と、
前記ナノワイヤ(1)の集団に電界(E)を印加し、これによりナノワイヤ中の電気双極子をこれらのナノワイヤを前記電界(E)に沿って整列させる工程とを備える方法において、
前記ナノワイヤ(1)の少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが、
i)前記電気双極子がpn接合のn側からp側に形成されるpn接合、
ii)前記電気双極子がショットキダイオードのn側からp側に形成されるショットキダイオード、及び
iii)内在する圧電場による電荷分離によって前記電気双極子が形成される圧電部分のうちの1つを備え、各ワイヤの正に荷電した端が、前記電界(E)の方向に力を受けることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電界(E)が、正電荷又は負電荷を前記ナノワイヤ(1)の両端に向かって分離することによって、前記ナノワイヤ(1)に電気双極子を誘導させ、前記ナノワイヤ(1)に沿って形成される電気双極子モーメントに寄与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノワイヤ(1)の少なくとも1つの部分集団に所定の波長領域の光を照射する工程をさらに備え、前記ナノワイヤの電気双極子モーメントの形成に寄与する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノワイヤ(1)の集団がナノワイヤの複数の部分集団を備え、各々の部分集団のナノワイヤが異なったバンドギャップを有し、前記方法が、異なったバンドギャップを有するナノワイヤを選択的に整列させるために前記ナノワイヤの集団に異なった波長領域の光を選択的に照射する工程をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノワイヤが流体中に分散して供給される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノワイヤ(1)を整列された位置に固定する工程をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノワイヤ(1)を基板(2)上に堆積させる工程をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ナノワイヤの少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが正味電荷を有し、前記電界(E)が正味電荷を有する前記ナノワイヤに力を及ぼし、それによって、正味電荷を有する前記ナノワイヤが前記基板(2)に向かって移動し、前記基板(2)上に堆積する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノワイヤの少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが荷電されておらず、前記電界(E)が前記電気双極子により前記非荷電ナノワイヤに力を及ぼし、それによって、前記非荷電ナノワイヤが前記基板(2)に向かって移動し、前記基板(2)上に堆積する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノワイヤの少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが荷電されておらず、前記荷電されていないナノワイヤが拡散によって前記基板(2)に向かって移動し、前記基板(2)上に堆積する、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が粘着層を備える、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノワイヤが連続プロセスで堆積される、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノワイヤの集団がロールツーロールプロセス(roll-to-roll process)で前記基板(2)に沿って所定の構成で繰り返し供給され堆積される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノワイヤ間の空間を満たすように絶縁性ポリマーを堆積する工程をさらに備える、請求項7から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記基板(2)に対向する前記整列されたナノワイヤの一方の端に電気的に接続する電極材料を堆積する工程をさらに備える、請求項7から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記電界が、前記ナノワイヤの集団の両側に配置された第1電極及び第2電極によって印加され、前記電極の少なくとも1つがテクスチャ加工されている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノワイヤが、電界勾配を受け、それによって、より長くより細いワイヤが前記電界勾配によるより強い力を受け、したがってより高い電界を有する領域に向かってより速く移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
サイズ及び/又は材料によってナノワイヤを分類する装置であって、電界勾配を供給する手段と、荷電又は非荷電ナノワイヤの流れを前記電界勾配に通過させる手段とを備え、それによって、より長くより細くより分極化可能なワイヤがより高い電界に向かうより強い引力を受け、したがって分類することができる、装置。
【請求項1】
ナノワイヤ構造の製造中に基板上でナノワイヤを整列させる方法であって、
ナノワイヤ(1)の集団を用意する工程と、
前記ナノワイヤ(1)の集団に電界(E)を印加し、これによりナノワイヤ中の電気双極子をこれらのナノワイヤを前記電界(E)に沿って整列させる工程とを備える方法において、
前記ナノワイヤ(1)の少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが、
i)前記電気双極子がpn接合のn側からp側に形成されるpn接合、
ii)前記電気双極子がショットキダイオードのn側からp側に形成されるショットキダイオード、及び
iii)内在する圧電場による電荷分離によって前記電気双極子が形成される圧電部分のうちの1つを備え、各ワイヤの正に荷電した端が、前記電界(E)の方向に力を受けることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電界(E)が、正電荷又は負電荷を前記ナノワイヤ(1)の両端に向かって分離することによって、前記ナノワイヤ(1)に電気双極子を誘導させ、前記ナノワイヤ(1)に沿って形成される電気双極子モーメントに寄与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノワイヤ(1)の少なくとも1つの部分集団に所定の波長領域の光を照射する工程をさらに備え、前記ナノワイヤの電気双極子モーメントの形成に寄与する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノワイヤ(1)の集団がナノワイヤの複数の部分集団を備え、各々の部分集団のナノワイヤが異なったバンドギャップを有し、前記方法が、異なったバンドギャップを有するナノワイヤを選択的に整列させるために前記ナノワイヤの集団に異なった波長領域の光を選択的に照射する工程をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノワイヤが流体中に分散して供給される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノワイヤ(1)を整列された位置に固定する工程をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノワイヤ(1)を基板(2)上に堆積させる工程をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ナノワイヤの少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが正味電荷を有し、前記電界(E)が正味電荷を有する前記ナノワイヤに力を及ぼし、それによって、正味電荷を有する前記ナノワイヤが前記基板(2)に向かって移動し、前記基板(2)上に堆積する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノワイヤの少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが荷電されておらず、前記電界(E)が前記電気双極子により前記非荷電ナノワイヤに力を及ぼし、それによって、前記非荷電ナノワイヤが前記基板(2)に向かって移動し、前記基板(2)上に堆積する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノワイヤの少なくとも1つの部分集団の各ナノワイヤが荷電されておらず、前記荷電されていないナノワイヤが拡散によって前記基板(2)に向かって移動し、前記基板(2)上に堆積する、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が粘着層を備える、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノワイヤが連続プロセスで堆積される、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノワイヤの集団がロールツーロールプロセス(roll-to-roll process)で前記基板(2)に沿って所定の構成で繰り返し供給され堆積される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノワイヤ間の空間を満たすように絶縁性ポリマーを堆積する工程をさらに備える、請求項7から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記基板(2)に対向する前記整列されたナノワイヤの一方の端に電気的に接続する電極材料を堆積する工程をさらに備える、請求項7から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記電界が、前記ナノワイヤの集団の両側に配置された第1電極及び第2電極によって印加され、前記電極の少なくとも1つがテクスチャ加工されている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノワイヤが、電界勾配を受け、それによって、より長くより細いワイヤが前記電界勾配によるより強い力を受け、したがってより高い電界を有する領域に向かってより速く移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
サイズ及び/又は材料によってナノワイヤを分類する装置であって、電界勾配を供給する手段と、荷電又は非荷電ナノワイヤの流れを前記電界勾配に通過させる手段とを備え、それによって、より長くより細くより分極化可能なワイヤがより高い電界に向かうより強い引力を受け、したがって分類することができる、装置。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2013−515370(P2013−515370A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545905(P2012−545905)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051461
【国際公開番号】WO2011/078780
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(508097445)クナノ・アーベー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051461
【国際公開番号】WO2011/078780
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(508097445)クナノ・アーベー (1)
【Fターム(参考)】
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