説明

ナノ粒子複合材料、それを用いたアンテナ装置及び電磁波吸収体

【課題】高い周波数帯域、特にGHz帯域で優れた特性を有するナノ粒子複合材料を提供する。
【解決手段】
本発明のナノ粒子複合材料は、平均粒径が1nm以上20nm以下でFe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの磁性金属を含有する金属ナノ粒子を含有した、平均高さ20nm以上2μm以下で平均アスペクト比が5以上の形状のナノ粒子集合体から構成される事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子複合材料、それを用いたアンテナ装置及び電磁波吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁性材料は電磁波吸収体、磁性インク、インダクタンス素子、アンテナ装置等のデバイス装置に適用され、その重要さが年々増大している。これらの部品は、磁性材料の有する透磁率実部(比透磁率実部)μ’または透磁率虚部(比透磁率虚部)μ’’の特性を目的に応じて利用する。例えばインダクタンス素子やアンテナ装置は高いμ’(且つ低いμ’’)を利用し、電磁波吸収体は高いμ’’を利用する。そのため、実際にデバイス装置として使用する場合は、機器の利用周波数帯域に合わせてμ’およびμ’’を制御しなければならない。近年では、機器の利用周波数帯域が高周波化しているため、高周波でμ’、μ’’を制御できる材料が強く求められている。
【0003】
また、高周波で高いμ’と低いμ’’を有する磁性材料は、アンテナ装置等の高周波通信機器のデバイス装置への応用が、特に期待される。現在の携帯通信端末は、情報伝播の多くを電波の送受信にて行っている。現在用いられている電波の周波数帯域は、100MHz以上の高周波領域である。そこで、この高周波領域において有用な電子部品および基板に注目が集まっている。また、携帯移動体通信、衛星通信においては、GHz帯の高周波域の電波が使用されるようになっている。
【0004】
アンテナの小型化、省電力化の方法として、高透磁率(高いμ’、低いμ’’)の絶縁基板をアンテナ基板として、アンテナから通信機器内の電子部品や基板へ到達する電波を巻き込んで電子部品や基板へ電波を到達させずに送受信を行う方法がある。これによって、アンテナの小型化と省電力化が可能となるが、同時に、アンテナの共振周波数を広帯域化することも可能となり、より好ましい。
【0005】
なお、高透磁率部材を特に、アンテナ基板として用いる場合、材料厚さとして、10μm以上、強いては100μm以上の厚さも必要である。現状において、高い周波数帯域、特にGHz帯域で高い透磁率を有する10μm以上、強いては100μm以上の厚膜の絶縁性高透磁率部材は存在しない。このため、アンテナ基板の材料として、高周波数の電波に対しても使用できる伝送損失を極力抑えた絶縁性で厚膜の高透磁率部材(高いμ’、低いμ’’)が求められている。
【0006】
一方、電磁波吸収体では高いμ’’を利用して、電子機器の高周波化に伴い発生したノイズを吸収し、電子機器の誤動作等の不具合を低減させている。電子機器としては、ICチップ等の半導体素子や各種通信機器などが挙げられる。このような電子機器は1MHzから数GHz、さらには数10GHz以上の高周波域で使用されるものなど様々である。
【0007】
インダクタンス素子、アンテナ、電磁波吸収体等の高周波デバイスに磁性材料を用いるために、磁性材料粉末の形状を偏平化する試みも行われている。
【0008】
例えば、特許文献1では、軟磁性金属粒子は平均長軸長さを平均厚さで除したアスペクト比が2以上の偏平状の磁性材料粉末を開示している。
【0009】
特許文献1では、粒子を扁平化する事によって、100kHzでの透磁率を大きくする事が出来ている。しかしながら、特許文献1では、1つの扁平粒子は厚さが1〜100μmと大きいため、交流磁界を印加すると渦電流が流れやすく渦電流損失に起因する磁気損失が大きくなりやすい。実際、実施例では100kHzでの透磁率が調べられており、それより高いMHz〜GHzの周波数では磁気損失が大きくなり、高周波デバイス(インダクタンス素子、アンテナ、電磁波吸収体など)としては使用できないと推測される。
【0010】
以上、高周波で用いる磁性材料(高透磁率部材や電波吸収体)としては、これまで様々な材料が提案されているが、いずれも、要求される材料特性(μ’、μ”、絶縁性、厚さ等)を満足していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6-267723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、透磁率虚部のピーク周波数(共鳴周波数)が大きく、共鳴低周波より低い周波数帯域での磁気損失が小さいナノ粒子複合材料、それを用いたアンテナ装置及び電磁波吸収体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のナノ粒子複合材料は、平均粒径が1nm以上20nm以下でFe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの磁性金属を含有する金属ナノ粒子を含有した、平均高さ20nm以上2μm以下で平均アスペクト比が5以上の形状のナノ粒子集合体から構成される事を特徴とする。
【0014】
本発明によるアンテナ装置は、上記のナノ粒子複合材料を有する事を特徴とする。
【0015】
本発明による電磁波吸収体は、上記のナノ粒子複合材料を有する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透磁率虚部のピーク周波数(共鳴周波数)が大きく、共鳴低周波より低い周波数帯域での磁気損失が小さいナノ粒子複合材料、それを用いたアンテナ装置及び電磁波吸収体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第3の実施の形態のアンテナ装置の構成図である。
【図2】第4の実施の形態のアンテナ装置の構成図である。
【図3】第4の実施形態のアンテナ装置の第1の変形例の構成図である。
【図4】第4の実施形態のアンテナ装置の第2の変形例の構成図である。
【図5】第5の実施形態のアンテナ装置の構成図である。
【図6】第5の実施形態のアンテナ装置の詳細説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
本実施の形態のナノ粒子複合材料は、平均粒径が1nm以上20nm以下でFe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの磁性金属を含有する金属ナノ粒子を含有した、平均高さ20nm以上2μm以下で平均アスペクト比が5以上の形状のナノ粒子集合体から構成される事を特徴とする。
【0020】
この様なナノ粒子集合体は、個々の金属ナノ粒子が磁気的に結合しやすく、1つの集合体として磁気的に振舞う。ナノ粒子集合体の形状が平均高さ20nm以上2μm以下で、平均アスペクト比が2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上である時、形状による磁気異方性を付与することができ、透磁率と透磁率の高周波特性を向上させることができる。すなわち透磁率虚部のピーク周波数(共鳴周波数)を大きくすることができ、且つ、共鳴低周波より低い周波数帯域での磁気損失が小さくする事が出来る。その上、ナノ粒子集合体を一体化して所望の部材(ナノ粒子複合材料)を作製する際に磁場によって容易に配向させることが可能になり、さらに透磁率の高周波特性を向上させることができる。
【0021】
また、このようなナノ粒子集合体は厚膜に形成することができ、膜の厚さを10μm以上にすることが可能である。
【0022】
ここで、「アスペクト比」とは高さと直径の比(高さ/直径)を指す。ナノ粒子集合体が球状の場合は、高さが直径と等しくなるためアスペクト比は1になる。板状のナノ粒子集合体のアスペクト比は、縦の長さと横の長さとで長い方を幅とし、(幅/厚さ)で表す。偏平楕円体のナノ粒子集合体のアスペクト比は(直径/高さ)である。棒状のナノ粒子集合体のアスペクト比は(棒の長さ/棒の底面の直径)である。回転楕円体のナノ粒子集合体のアスペクト比は(長軸/短軸)である。
【0023】
尚、「高さ」とは、球状の場合は直径を指し、板状の場合は厚さを指し、偏平楕円体の場合は直径と垂直方向の高さを指し、棒状の場合は棒の長さを指し、回転楕円体の場合は短軸長さを指す。
【0024】
なお、金属ナノ粒子は、平均粒径が1nm以上20nm以下である。平均粒径を1nm未満にすると、超常磁性が生じて磁束量が低下するおそれがある。一方、平均粒径が20nmを超えると、高周波領域で渦電流損が大きくなり、目的とする高周波領域での磁気特性が低下するおそれがある。また、ナノ粒子の粒径が大きくなると、磁区構造としては単磁区構造よりも多磁区構造の方がエネルギー的に安定になる。本実施の形態のナノ粒子集合体においては、個々のナノ粒子の渦電流損失を極力小さくし、且つ、過去の粒子の磁区構造を単磁区構造に保ち粒子同士の磁気的結合を大きくする事が必要であるが、そのために好ましい粒径範囲が1nm以上20nm以下である。平均粒径がこの範囲にある時、ナノ粒子集合体の透磁率および透磁率の高周波特性が向上でき好ましい。
【0025】
金属ナノ粒子に含有する磁性金属は、Fe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、特にFe基合金、Co基合金、FeCo基合金が高い飽和磁化を実現できるために好ましい。Fe基合金は、第2成分としてNi、Mn、Cuなどを含有する、例えばFeNi合金、FeMn合金、FeCu合金を挙げることができる。Co基合金は、第2成分としてNi、Mn、Cuなどを含有する、例えばCoNi合金、CoMn合金、CoCu合金を挙げることができる。FeCo基合金は、第2成分としてNi、Mn、Cuなどを含有する合金を挙げることができる。これらの第2成分は、ナノ粒子集合体の高周波磁気特性を向上させるために効果的な成分である。
【0026】
磁性金属の中でも、特にFeCo基合金を用いることが好ましい。FeCo中のCo量は、熱的安定性および耐酸化性と2テスラ以上の飽和磁化を満足さえる点から10原子%以上50原子%以下にすることが好ましい。更に好ましいFeCo中のCo量は、より飽和磁化を高める観点から20原子%以上40原子%以下の範囲である。
【0027】
金属ナノ粒子は、本実施の形態のように非磁性金属を含有することが好ましい。非磁性金属はMg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属である。これら非磁性金属は、金属ナノ粒子の抵抗を向上させ、且つ熱的な安定性および耐酸化性を向上させる事ができ、好ましい。中でも、Al、Siは金属ナノ粒子の主成分であるFe、Co、Niと固溶し易く、金属ナノ粒子の熱的安定性の向上に寄与するために好ましい。特に、Alを用いた場合は熱的安定性および耐酸化性が高くなるためにより好ましい。非磁性金属の量としては、磁性金属に対して0.001原子%以上20原子%以下の量で含有することが好ましい。非磁性金属の含有量がそれぞれ20原子%を超えると、磁性金属ナノ粒子の飽和磁化を低下させるおそれがある。高い飽和磁化と固溶性の観点からより好ましい量としては、0.001原子%以上5原子%以下、更に好ましくは0.01原子%以上5原子%以下の範囲で配合されることが望ましい。
【0028】
金属ナノ粒子には、炭素および窒素がそれぞれ単独または共存して含まれることがより好ましい。量としては高い飽和磁化と固溶性の観点から、磁性金属に対して、0.001原子%以上5原子%以下、更に好ましくは0.01原子%以上5原子%以下の範囲で配合されることが望ましい。炭素および窒素の少なくとも一方は、磁性金属と固溶することによって、磁性金属ナノ粒子の磁気異方性を大きくすることが可能になる。このような大きな磁気異方性を有する磁性金属ナノ粒子を含有する高周波磁性材料は、強磁性共鳴周波数を大きくすることができるため、高周波帯域でも高い透磁率を維持することができ、高周波帯域での使用に適する。
【0029】
特に、磁性金属としてFeCo基合金、非磁性金属としてAlおよびSiから選ばれる少なくとも1つの元素、と炭素(C)を含有する磁性金属ナノ粒子において、AlおよびSiから選ばれる少なくとも1つの元素(共存する場合はそれぞれをあわせたもの)がFeCoに対して0.001原子%以上5原子%以下、より好ましくは0.01原子%以上5原子%以下、炭素はFeCoに対して0.001原子%以上5原子%以下、より好ましくは0.01原子%以上5原子%以下の範囲で配合されることが望ましい。磁性金属がFeCo基合金で、AlおよびSiから選ばれる少なくとも1つの元素と炭素を含有し、AlおよびSiから選ばれる少なくとも1つの元素と炭素がそれぞれ0.001原子%以上5原子%以下の範囲で含む場合は、特に磁気異方性と飽和磁化を良好に保つことが可能となり、それによって、高周波域における透磁率を高くすることができる。
【0030】
金属ナノ粒子の組成分析は、TEM−EDXを用いて容易に分析できる。TEM−EDXによれば金属ナノ粒子にビームを絞ってEDXを照射し、半定量することにより、金属ナノ粒子の大体の組成を確認できる。更に、XPSによれば金属ナノ粒子を構成する各元素の結合状態を調べることもできる。
【0031】
金属ナノ粒子に、非磁性金属、炭素もしくは窒素が含まれる場合、磁性金属、非磁性金属、炭素もしくは窒素、のうちの少なくとも2つは、互いに固溶していることが好ましい。固溶することによって、磁気異方性を効果的に向上することができるため、高周波磁気特性を向上することができる。また、磁性金属ナノ粒子の機械的特性を向上することができる。すなわち、固溶せずに磁性金属粒子の粒界や表面に偏析すると、機械特性を効果的に向上させることが困難になるおそれがある。
【0032】
金属ナノ粒子に含まれる磁性金属、非磁性金属、炭素もしくは窒素、の少なくとも2つが固溶しているかどうかは、XRD(X−ray Diffraction)で測定した格子定数から判断できる。例えば、磁性金属粒子に含まれる、磁性金属としてのFe、非磁性金属としてのAl、炭素、が固溶するとFeの格子定数は固溶量に応じて変化する。何も固溶していないbcc−Feの場合、格子定数は理想的には2.86程度であるが、Alが固溶すると格子定数は大きくなり、5at%程度のAlの固溶で格子定数は0.005〜0.01程度大きくなる。10at%程度のAl固溶では、0.01〜0.02程度大きくなる。また炭素がbcc−Feに固溶しても格子定数は大きくなり、0.02wt%程度の炭素固溶で0.001程度大きくなる。この様に、磁性金属粒子のXRD測定を行うことによって、磁性金属の格子定数を求め、その大きさによって固溶しているかどうか、またどの程度固溶しているのかを容易に判断できる。また、固溶しているかどうかはTEMによる粒子の回折パターンや高分解能TEM写真からも確認できる。
【0033】
ちなみに、磁性金属の結晶構造は、磁性金属粒子の粒径が小さくなればなる程、また、磁性金属粒子と被覆層とから成るコアシェル型構造を取ることによっても若干変化する。これは、コアの磁性金属のサイズが小さくなったりコアシェル構造を取ったりすることによって、コアとシェルの界面で歪が発生するためである。格子定数は、この様な効果も考慮して総合的に判断する必要がある。すなわち、Fe−Al−Cの組み合わせの場合は、Al、Cの量は先に述べたように0.01at%以上5at%以下の配合が最も好ましく、更にはこれらが固溶した状態であることがより好ましい。そして、これらが固溶し且つ粒子と被覆層のコアシェル構造を取ることによって、Feの格子定数は2.86〜2.90程度、更に好ましくは2.86〜2.88程度になるのが好ましい。
【0034】
また、FeCo−Al−Cの組み合わせの場合は、先に述べたように、FeCo中に含まれるCo量は20at%以上40at%以下の範囲が、Al、Cの量は0.01at%以上5at%以下の配合が最も好ましく、更にはこれらが固溶した状態であることがより好ましい。そして、これらが固溶し且つ粒子と被覆層のコアシェル型構造を取ることによって、FeCoの格子定数は2.85〜2.90程度、更に好ましくは2.85〜2.88程度になるのが好ましい。
【0035】
金属ナノ粒子は、多結晶、単結晶のいずれの形態でもよいが、単結晶であることが好ましい。単結晶の磁性金属ナノ粒子の場合、磁化容易軸を揃えることが容易になって磁気異方性を制御することができため、多結晶の磁性金属ナノ粒子の場合に比べて高周波特性を向上させることができる。
【0036】
金属ナノ粒子は、球状でもよいが、大きいアスペクト比を持つ偏平状、棒状であっても良い。アスペクト比が大きな金属ナノ粒子の場合は、個々の金属ナノ粒子の長辺方向(板状の場合は幅方向、扁平楕円体の場合は直径方向、棒状の場合は棒の長さ方向、回転楕円体の場合は長軸方向)をナノ粒子集合体全体の長辺方向(板状の場合は幅方向、扁平楕円体の場合は直径方向、棒状の場合は棒の長さ方向、回転楕円体の場合は長軸方向)と一致させる事がより好ましい。これによって、磁化容易軸の方向を一方向に揃える事が可能となり、透磁率と透磁率の高周波特性を向上させる事が可能となる。
【0037】
金属ナノ粒子の少なくとも一部の表面は被覆層で覆われる事が好ましい。被覆層は、金属ナノ粒子の構成成分である磁性金属の少なくとも1つを含む酸化物、複合酸化物、窒化物、もしくは炭化物である事が好ましい。被覆層が、金属ナノ粒子の構成成分である磁性金属の少なくとも1つを含む事によって、金属ナノ粒子と被覆層との密着性が向上し、熱的安定性および耐酸化性が向上する。また被覆層は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む酸化物、複合酸化物、窒化物、もしくは炭化物であることがより好ましい。金属ナノ粒子がMg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群からから選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む場合は、被覆層は、磁性金属粒子の構成成分の1つである非磁性金属と同じ非磁性金属を少なくとも1つ含む酸化物、複合酸化物、窒化物、もしくは炭化物で構成されることがより好ましい。これによって、金属ナノ粒子と被覆層の密着性を向上でき、強いてはナノ粒子複合材料の熱的安定性および耐酸化性を向上させる事が可能となる。
【0038】
尚、以上の被覆層構成においては、酸化物、複合酸化物、窒化物、もしくは炭化物の中でも、特に、酸化物、複合酸化物であることがより好ましい。これは、被覆層形成の容易性、耐酸化性、熱的安定性の観点から、酸化物、複合酸化物であることが好ましい。酸化物もしくは複合酸化物被覆層は、磁性金属粒子の構成成分である磁性金属の少なくとも1つを含む酸化物、複合酸化物であるが、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群からから選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む酸化物、複合酸化物であることがより好ましい。この非磁性金属は、酸化物の標準生成ギブスエネルギーが小さく酸化し易い元素で、安定的な酸化物を形成し易い。このような非磁性金属を少なくとも1つ以上含む酸化物もしくは複合酸化物からなる酸化物被覆層は、金属ナノ粒子に対する密着性・接合性を向上でき、金属ナノ粒子の熱的な安定性と耐酸化性も向上できる。
【0039】
非磁性金属の中でAl、Siは、磁性金属粒子の主成分であるFe、Co、Niと固溶し易く、金属ナノ粒子の熱的安定性の向上に寄与するために好ましい。複数種の非磁性金属を含む複合酸化物は固溶した形態も包含される。
【0040】
本実施の形態においては、金属ナノ粒子の少なくとも一部の表面を被覆する被覆層は、内部の金属ナノ粒子の耐酸化性を向上させるのみならず、一体化して所望の部材を作製する際にそれらの金属ナノ粒子同士を電気的に離し、部材の電気抵抗を向上させることができる。部材の電気抵抗を高くすることによって、高周波における渦電流損失を抑制し、透磁率の高周波特性を向上することが可能になる。このため、被覆層は電気的に高抵抗であることが好ましく、例えば1mΩ・cm以上の抵抗値を有することが好ましい。被覆層は厚いほどナノ粒子集合体の電気抵抗は大きくなり、金属ナノ粒子の熱的安定性と耐酸化性も高くなる。しかしながら、被覆層を厚くしすぎると、金属ナノ粒子同士の磁気的結合が切れやすくなり、個々の金属ナノ粒子が磁気的に独立に振舞いやすくなってしまい、透磁率および透磁率の高周波特性の観点から好ましくない。また、被覆層が厚くなるとナノ粒子集合体に占める磁性成分の割合が減るため、ナノ粒子集合体の飽和磁化が下がり、透磁率が下がってしまうため好ましくない。ある程度大きな電気抵抗を有し且つ個々の金属ナノ粒子が磁気的に結合し、ナノ粒子集合体の飽和磁化を大きくするために、被覆層は、0.1nm以上5nm以下の平均厚さを有することがより好ましい。
【0041】
前記金属ナノ粒子間の平均粒子間距離は、0.1nm以上10nm以下である事が好ましく、更に好ましくは、0.1nm以上5nm以下である事が好ましい。ここで言う粒子間距離とは、1つのナノ粒子の中心ともう1つのナノ粒子の中心を結んだ線において、2つのナノ粒子の間にある隙間の距離の事である。金属ナノ粒子の表面が被覆層で覆われている場合は、粒子間距離とは、1つのナノ粒子の表面被覆層の外側最表面と、もう1つのナノ粒子の表面被覆層の外側最表面と、の間にある隙間の距離の事である。これによって、金属ナノ粒子同士が磁気的に結合し、磁気的にはナノ粒子集合体として振る舞い、透磁率を大きくする事が出来る。また、粒子同士は物理的に完全には繋がっていないので、ミクロ的な渦電流損失を低減する事ができ、透磁率の高周波特性を向上させる事が出来る。この様な効果は、単純なアスペクト比が大きい形状の物では起こらず、ナノ粒子が物理的には離れながらも磁気的には結合しているナノ粒子集合体によってはじめて起こる効果である。
【0042】
ナノ粒子集合体は、前記金属ナノ粒子間において、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む、金属、半導体、酸化物、窒化物、または炭化物を含有する事が好ましい。この時、前記金属、半導体、酸化物、窒化物または炭化物は、1mΩ・cm以上の抵抗率を有する事が好ましい。この様な非磁性金属を含んだ金属、半導体、酸化物、窒化物、または炭化物は、金属ナノ粒子間に存在することによって、金属ナノ粒子同士の電気的絶縁性をより向上させることができ、また、金属ナノ粒子の熱的な安定性を向上させることが出来るため好ましい。また、前記金属、半導体、酸化物、窒化物または炭化物が、前記磁性金属の少なくとも1つを含むことが好ましい。前記金属、半導体、酸化物、窒化物または炭化物が、金属ナノ粒子に含まれる磁性金属と同じ金属を少なくとも1つ含む事によって、熱的安定性および耐酸化性が向上する。また、金属ナノ粒子間に強磁性成分が存在する事によって、金属ナノ粒子同士の磁気的な結合が強くなり、ナノ粒子が磁気的に集合体として振舞う事が可能となり、透磁率と透磁率の高周波特性の観点から好ましい。
【0043】
前記酸化物、窒化物、または炭化物は、金属ナノ粒子の粒径より小さい粒子状を含んでいる事が好ましい。この時、粒子は、酸化物粒子でも良いし窒化物粒子でも良いし炭化物粒子でも良いが、熱的安定性の観点から酸化物粒子であることがより好ましい(以下では全て酸化物粒子として説明する)。なお、酸化物粒子のより好ましい存在状態は、磁性金属粒子間に均一、且つ、均質に分散した状態である。これによって、より均一な磁気特性及び誘電特性が期待できる。この酸化物粒子は、被覆層と同様に、磁性金属粒子の耐酸化性、凝集抑制力、即ち磁性金属粒子の熱的安定性を向上させるのみならず、被覆層で覆われた金属ナノ粒子を一体化して所望の部材を作製する際にそれらの金属ナノ粒子同士を電気的に離し、部材の電気抵抗を高めることができる。部材の電気抵抗を高くすることによって、高周波における渦電流損失を抑制し、透磁率の高周波特性を向上することが可能になる。このため、酸化物粒子は電気的に高抵抗であることが好ましく、例えば1mΩ・cm以上の抵抗値を有することが好ましい。
【0044】
前記酸化物粒子は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素からなる群からから選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含む。これら非磁性金属は、酸化物の標準生成ギブスエネルギーが小さく酸化し易い元素で、安定的な酸化物を形成し易い。そして、この酸化物粒子中の非磁性金属/磁性金属(原子比)が、金属ナノ粒子を覆う被覆層中の非磁性金属/磁性金属(原子比)よりも大きくなっている。このように、非磁性金属の割合が高いため、酸化物粒子は被覆層よりもさらに熱的に安定である。このため、このような酸化物粒子が、金属ナノ粒子間の少なくとも一部に存在することによって、金属ナノ粒子同士の電気的絶縁性をより向上させることができ、また、金属ナノ粒子の熱的な安定性を向上させることが出来る。
【0045】
なお、前記酸化物粒子は、磁性金属を含まなくても良いが、より好ましくは、磁性金属を含んでいた方が良い。含まれる磁性金属の好ましい量としては、磁性金属が非磁性金属に対して0.001原子%以上、好ましくは0.01原子%以上である。これは、磁性金属を全く含まないと、磁性金属粒子の表面を被覆する被覆層と酸化物粒子の構成成分が完全に異なり、密着性や強度の点からあまり好ましくなく、更には熱的安定性もかえって悪くなってしまう可能性があるためである。また、金属ナノ粒子間に存在する酸化物粒子に磁性金属を全く含まないと、金属ナノ粒子同時が磁気的に結合しにくくなり、透磁率と透磁率の高周波特性の観点から好ましくない。よって、酸化物粒子は、より好ましくは、金属ナノ粒子の構成成分であり、且つ酸化物被覆層の構成成分である磁性金属の少なくとも1つを含有することが望ましく、更に好ましくは、酸化物粒子中の非磁性金属/磁性金属(原子比)が、酸化物被覆層中の非磁性金属/磁性金属(原子比)よりも大きくなっていることが望ましい。なお、酸化物粒子は、金属ナノ粒子に含まれる非磁性金属と同種、また、酸化物被覆層に含まれる非磁性金属と同種、の非磁性金属を含む酸化物粒子であることがより好ましい。同種の非磁性金属を含む酸化物粒子であることによって、金属ナノ粒子の熱的安定性および耐酸化性がより向上するからである。
【0046】
なお、以上の、酸化物粒子の熱的安定性向上効果、電気的絶縁性効果、密着性・強度向上効果は、特に磁性金属粒子の平均粒径が小さい時に効果を発揮し、金属ナノ粒子の粒径より小さい粒径の場合特に効果的である。
【0047】
ナノ粒子複合材料は、上記ナノ粒子集合体と樹脂を含む事が好ましい。
【0048】
樹脂は、特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン系樹脂、テフロン(登録商標、以下同様)系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、シリコンゴム、その他の合成ゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、或いはそれらの共重合体が用いられる。
【0049】
より好ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、テフロン系樹脂、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことが望ましい。この時、樹脂の酸素透過性は10000cc/m・24hr・atm(厚さ30μm、25℃、90%RH)以下であることが好ましい。樹脂の酸素透過性がこの範囲にあると、ナノ粒子集合体の耐酸化性を高い状態に保つことができ、熱的安定性、耐酸化性、耐環境性の点から好ましい。
【0050】
また、ナノ粒子複合材料全体において、樹脂の体積比は80%以下であることが望ましい。樹脂の体積比が80%よりも多くなると、全体に含まれるナノ粒子集合体の割合が小さくなり、その結果ナノ粒子複合材料の飽和磁化が小さくなり透磁率が小さくなり好ましくない。
【0051】
また、樹脂は、樹脂Aおよび樹脂Aとは異なる樹脂Bとを含有する場合がより望ましい。樹脂AおよびBは、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール系、 エポキシ系、ポリブタジエン系、テフロン系、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、或いはそれらの共重合体が用いられる。
【0052】
樹脂Aには、成型性のほかに、85℃以上の耐熱性、高周波における低誘電率、低誘電損失が求められる(誘電率はデバイスに応じて求められる値が異なる。一般には低誘電率が好ましいが、例えば超小型化アンテナ基板等に用いる場合は、高誘電率である方が波長短縮効果による小型化が促進でき好ましい。また広帯域アンテナ基板等に用いる場合は、低誘電率である方が好ましい。よって、用いるデバイスに応じて適当な誘電率の樹脂を選定する必要がある。以下では低誘電率が求められるデバイスに使用することを想定して説明する)。
【0053】
樹脂Bは、ナノ粒子集合体の酸化による特性劣化を抑えるための保護膜としての効果が求められるため、高い耐熱性のほか、低酸素透過性、低水蒸気透過性、低吸湿性であることが必要となる。特に酸素透過性においては、10000cc/m・24hr・atm(厚さ30μm、25℃、90%RH)以下である必要がある。酸素透過性が10000cc/m・24hr・atm(厚さ30μm、25℃、90%RH)より大きい場合、酸素が被膜を通過し、内部のナノ粒子集合体を酸化し透磁率の低下を招く。
【0054】
さらに、樹脂A、Bともに高周波における誘電率および誘電損失が低いことが求められる。具体的には、誘電率が50以下、より好ましくは20以下であり、誘電損失が20%以下、より好ましくは10%以下である。誘電率及び誘電損失が大きいと、高周波におけるアンテナ特性が低下するために、小さければ小さい程好ましい。以上の観点から、樹脂AにはPVB、PVA、エポキシ系、ポリブタジエン系、テフロン系、ポリスチレン系樹脂、樹脂BにはPVB、エポキシ系樹脂、テフロン系樹脂が用いられる。
【0055】
樹脂Aとナノ粒子集合体を含むシートやペレットなどに対し、樹脂Bを含浸することで、シート内部および表面に樹脂Bが形成する。ナノ粒子集合体と樹脂Aで構成されたシートおよびペレットは、内部に空隙が存在する。そのオープンポアおよび表面に被膜状に形成されることにより、保護膜として効果が現れる。真空中で含浸を行うと、内部のポアに樹脂Bが侵入するためより効果的である。表面の被膜の主成分は樹脂Bであるが、被膜以外の内部においては、ナノ粒子集合体と樹脂Aおよび樹脂Bが含まれている。
【0056】
また、樹脂Aと樹脂Bの合計は5%以上80%以下の体積率を占めることが望ましい。5%未満にすると、粒子同士が結着できずシートとしての強度が低下するおそれがある。80%を超えると、磁性金属粒子がシートに占める体積率が低下し、透磁率が低下するおそれがある。
【0057】
また、樹脂Aの体積比は、50%以下、樹脂Bの体積比は樹脂Aより小さく、1%以上30%以下であることが求められる。樹脂Aの体積比が50%を超えると、樹脂Aと樹脂Bとの混合体積比が80%以下に抑えられず、結果として磁性金属の体積分率が低下することになる。
【0058】
また、樹脂Bは、1%未満では保護効果が十分ではなく、30%以上であると磁性金属の体積分率が低下することになる。また、樹脂Bを主成分とした被膜においては、厚みは1μm以上であることが望ましい。1μm以下では保護膜としての効果が十分ではないためである。
【0059】
また、樹脂の代わりに酸化物、窒化物、炭化物などの無機材料を用いてもよい。無機材料は、具体的にはMg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、希土類元素、BaおよびSrからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物、AlN、Si、SiC等を挙げることができる。
【0060】
ナノ粒子複合材料は、ナノ粒子集合体の他に、酸化物、窒化物、または炭化物介在粒子を含む事が好ましい。この時、介在粒子は、酸化物粒子でも良いし窒化物粒子でも良いし炭化物粒子でも良いが、熱的安定性の観点から酸化物粒子であることがより好ましい(以下では全て酸化物介在粒子として説明する)。この時、酸化物介在粒子が、前記金属ナノ粒子に含まれる磁性金属の少なくとも1つを含む事が好ましい。また、前記金属ナノ粒子の表面に被覆層、酸化物(もしくは窒化物、もしくは炭化物)粒子が存在する場合は、金属ナノ粒子、被覆層、酸化物(もしくは窒化物、もしくは炭化物)粒子、酸化物介在粒子のそれぞれに含まれる磁性金属の少なくとも1つが同じである事が好ましい。また、同様に、金属ナノ粒子、被覆層、酸化物(もしくは窒化物、もしくは炭化物)粒子、酸化物介在粒子のそれぞれに含まれる非磁性磁性金属の少なくとも1つが同じである事が好ましい。
【0061】
これは、金属ナノ粒子、被覆層、酸化物(もしくは窒化物、もしくは炭化物)粒子、酸化物介在粒子のそれぞれが、同じ磁性金属、また、同じ非磁性金属を含む事によって、熱的な安定性及び耐酸化性を向上させる事が出来るためである。また、酸化物介在粒子が磁性金属を含む事によって、ナノ粒子集合体同士の磁気的結合も強くなり、透磁率と透磁率の高周波特性の向上効果も期待できる。
【0062】
酸化物介在粒子の非磁性金属/磁性金属(原子比)は、金属ナノ粒子の表面を覆う被覆層中の非磁性金属/磁性金属(原子比)よりも大きいことが望ましい。また、酸化物介在粒子の非磁性金属/磁性金属(原子比)は、前記ナノ粒子集合体に含有する前記金属、半導体、酸化物、窒化物、または炭化物中の非磁性金属/磁性金属(原子比)よりも大きいことが望ましい。これはナノ粒子集合体の熱的安定性及び耐酸化性を向上させる事が出来るためである。
【0063】
酸化物介在粒子は、1nm以上100nm以下の平均粒径を有することが望ましい。また、酸化物介在粒子の体積が、前記金属ナノ粒子と、前記被覆層と、酸化物介在粒子と、前記酸化物粒子との合計体積に対して、0.01vol%以上30vol%以下含まれることが望ましい。この様な範囲にある酸化物介在粒子は、ナノ粒子集合体を一体化させる時に、電気的な絶縁性を向上させ、渦電流損失を効果的に抑制し、高周波磁気特性を向上させる事が出来る。また、ナノ粒子集合体の熱的安定性および耐酸化性も効果的に向上させる事ができ、望ましい。
【0064】
尚、本実施の形態において、より優れた特性を実現するためには、ナノ粒子複合材料におけるナノ粒子集合体の体積比は、ナノ粒子複合材料全体に対して10%以上70%以下の体積率を占めることが望ましい。体積率が70%を超えると、ナノ粒子複合材料の電気的抵抗が小さくなり渦電流損失が増加し高周波磁気特性が劣化するおそれがある。体積率を10%未満にすると、磁性金属の体積分率が低下することでナノ粒子複合材料の飽和磁化が低下し、それにより透磁率が低下するおそれがある。
【0065】
また、本実施の形態において、より優れた特性を実現するためには、個々の金属ナノ粒子、被覆層、酸化物粒子(もしくは窒化物粒子、もしくは炭化物粒子)、酸化物介在粒子(もしくは窒化物粒子、もしくは炭化物粒子)のそれぞれの組成、膜厚、粒径、ができる限り均一に形成されていることが望ましい。
【0066】
金属ナノ粒子、被覆層、酸化物粒子(もしくは窒化物粒子、もしくは炭化物粒子)、酸化物介在粒子(もしくは窒化物粒子、もしくは炭化物粒子)の組成分析は、TEM−EDX、XPS、SIMSなどの方法を挙げることができる。特に、TEM−EDXによれば各構成物にビームを絞ってEDXを照射し、半定量することにより、各構成物の組成を用意に確認できる。また、酸化物介在粒子(もしくは窒化物粒子、もしくは炭化物粒子)やナノ粒子集合体の体積割合は、TEM−EDX分析、SEM−EDX分析によって判別することができ、その体積割合は、TEM観察、SEM観察によって酸化物粒子の平均粒径、ナノ粒子集合体の平均寸法(平均高さと平均長さ)、とそれぞれの数割合を求め、簡易的に算出することができる。
【0067】
本実施の形態のナノ粒子複合材料は、例えば粉末、バルク(ペレット状、リング状、矩形状など)、シートを含む膜状等の形態が挙げられる。
【0068】
ナノ粒子複合材料の磁性シートの作製方法は、特に限定されないが、例えばナノ粒子集合体と、樹脂と、溶媒とを混合し、スラリーとし、塗布、乾燥することで作製することができる。また、ナノ粒子集合体と樹脂との混合物をプレスしてシート状あるいはペレット状に成型してもよい。更に、ナノ粒子集合体を溶媒中に分散させ、電気泳動などの方法により堆積してもよい。シート化する際は、ナノ粒子集合体を一方向に(個々のナノ粒子集合体の長手方向が揃う方向に)配向させる事が望ましい。これによって、ナノ粒子集合体が集まったナノ粒子複合材料シートの透磁率と透磁率の高周波特性が向上するために好ましい。配向させる手段としては、磁場中での塗布、乾燥等が挙げられるが、特に拘らない。本実施の形態のナノ粒子集合体は内部の個々の磁性金属ナノ粒子が磁気的に結合し、ナノ粒子集合体のアスペクト比が大きいため、長手方向に磁化容易軸が強く向いている。よって、比較的簡単に磁場によって配向させる事ができる。また、アスペクト比が大きいため、磁場を印加させなくても塗布、乾燥のみでもある程度配向させる事ができる。
【0069】
磁性シートは、積層構造にしてもよい。積層構造にすることによって容易に厚膜化することが可能になるのみならず、非磁性絶縁性層と交互に積層することによって高周波磁気特性を向上させることが可能となる。すなわち、ナノ粒子集合体を含む磁性層を厚さ100μm以下のシート状に形成し、このシート状磁性層を厚さ100μm以下の非磁性絶縁性酸化物層とで交互に積層した積層構造を有することによって、高周波磁気特性が向上する。すなわち、磁性層単層の厚さを100μm以下にすることによって、面内方向に高周波磁場を印加した時に、反磁界の影響を小さくすることができ、透磁率を増大させることが可能になるのみならず透磁率の高周波特性が向上する。積層方法は特に限定されないが、磁性シートを複数枚重ねてプレスなどの方法で圧着したり、加熱、焼結させたりすることによって積層することができる。
【0070】
本実施の形態に係るナノ粒子複合材料において、材料組織はSEM(Scanning Electron Microscopy)、TEM(Transmission Electron Microscopy)で、回折パターン(固溶の確認を含む)はTEM回折、XRD(X−ray Diffraction)で、構成元素の同定および定量分析はICP(Inductively coupled plasma)発光分析、蛍光X線分析、EPMA(Electron Probe Micro−Analysis)、EDX(Energy Dispersive X−ray Fluorescence Spectrometer)、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)等で、それぞれ判別(分析)可能である。
【0071】
各構成成分の平均粒径は、TEM観察、SEM観察により、個々の粒子の最も長い対角線と最も短い対角線を平均したものをその粒子径とし、多数の粒子径の平均から求めることが可能である。磁性金属ナノ粒子の平均粒径に関しては、TEMで判別しにくい場合は、XRD測定から求められる結晶粒径で代用することもできる。即ち、XRDで磁性金属ナノ粒子に起因するピークのうち最強ピークに関して、回折角度と半値幅からScherrerの式によって求めることができる。Sherrerの式は、D=0.9λ/(βcosθ)で表され、ここでDは結晶粒径、λは測定X線波長、βは半値幅、θは回折ブラッグ角である。ナノ粒子集合体の寸法及びアスペクト比はTEM、SEMによって画像を解析し、多数のナノ粒子集合体を分析しその平均値でもとめる。被覆層の膜厚は、TEM観察によって求めることが可能である。また、酸化物介在粒子(もしくは窒化物粒子、もしくは炭化物粒子)やナノ粒子集合体の体積割合は、TEM−EDX分析、SEM−EDX分析によって判別することができ、その体積割合は、TEM観察、SEM観察によって酸化物粒子の平均粒径、ナノ粒子集合体の平均寸法(平均高さと平均長さ)、とそれぞれの数割合を求め、簡易的に算出することができる。
【0072】
なお、ナノ粒子複合材料を形成する過程で、2つ以上のナノ粒子集合体が結合する場合がある。このような場合でも、ナノ粒子集合体同士の間に境界線を引いたときに、この境界線で区切られた1つのナノ粒子集合体について、平均高さ20nm以上2μm以下で平均アスペクト比が5以上であるならば、ナノ粒子集合体として許容する。また、1つのナノ粒子集合体に他のナノ粒子集合体の一部が結合する場合もある。この場合についても、1つのナノ粒子集合体と他のナノ粒子集合体の一部に境界線を設けたときに、上述のような条件を満たすならば、1つのナノ粒子集合体に他のナノ粒子集合体の一部が結合した形状のナノ粒子集合体として許容する。更に、例示した板状、偏平楕円体、棒状、回転楕円体以外のいびつな形状のナノ粒子集合体となる場合もある。しかしながら、最長の径とその径に垂直な方向についての長さの比(アスペクト比)が5以上であり、前記最長の径に垂直な方向についての長さ(高さ)が20nm以上2μm以下であるならば、いびつな形状のナノ粒子集合体として許容する。
【0073】
また、ナノ粒子集合体に含まれる金属ナノ粒子以外の材料とナノ粒子集合体を囲む材料が同じである場合などは、ナノ粒子集合体の外縁が曖昧で認識しにくい。このような場合でも、ある材料の中に磁性金属ナノ粒子が凝集偏析して、平均高さ20nm以上2μm以下で平均アスペクト比が5以上のナノ粒子集合体を形成することをTEMやSEMによる組織観察によって確認できるならば、ナノ粒子集合体として許容する。上述したように、ナノ粒子集合体に含まれる金属ナノ粒子同士の距離は10nm以内であれば本発明による効果が得られるため、凝集偏在した金属ナノ粒子同士の距離は10nm以内である必要がある。
【0074】
さらに、このようなナノ粒子集合体が、2つ以上のナノ粒子集合体が結合した場合や、1つのナノ粒子集合体に他のナノ粒子集合体の一部が結合した場合、また、板状、偏平楕円体、棒状、回転楕円体以外のいびつな形状のナノ粒子集合体である場合においても、境界線を設ける事によって上述の高さ及びアスペクト比を満たすならばナノ粒子集合体として許容する。境界線の引き方の1つの方法としては、1つの金属ナノ粒子と、その周囲に存在する他の金属ナノ粒子との粒子間距離の平均値が10nm以上、好ましくは100nm以上離れたところを境界線として引く方法が挙げられる。ただこれはあくまで1つの方法であって、実際はTEM、SEMによる組織観察によって常識的な範囲で、磁性金属ナノ粒子が周囲と比べて相対的に多い領域を判断し、1つのナノ粒子集合体として境界線を引く事が好ましい。
【0075】
上記構成を有することにより、高い周波数帯域、特にGHz帯域で優れた特性を有するナノ粒子複合材料が実現される。具体的には、所望の高周波数帯域で高透磁率(高いμ’、低いμ’’)と絶縁性が実現でき、例えば、アンテナ装置に好適な伝送損失を極力抑えた磁性材料が提供される。また、高周波数帯域の一部で、電波吸収体に好適な吸収特性に優れた磁性材料が提供される。さらに、長時間の磁気特性の熱的安定性に優れた磁性材料が提供される。
【0076】
また、第1の実施の形態によるとμ’’のピーク(共鳴周波数)を従来よりも高周波数化することができるので、μ’’のピーク付近の周波数帯域において電磁波吸収体として使用することも可能である。
【0077】
(第2の実施の形態)
本実施の形態のデバイス装置は、第1の実施の形態のナノ粒子複合材料を有する高周波用デバイス装置である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。このデバイス装置は、例えば、インダクタ、チョークコイル、フィルター、トランス等の高周波磁性部品や電波吸収体である。
【0078】
このデバイス装置に適用するために、ナノ粒子複合材料は、種々の加工を施すことを許容する。例えば焼結体の場合は、研磨や切削等の機械加工が施され、粉末の場合はエポキシ樹脂、ポリブタジエンのような樹脂との混合が施される。必要に応じてさらに表面処理が施される。高周波磁性部品がインダクタ、チョークコイル、フィルター、トランスである場合には巻線処理がなされる。
【0079】
本実施の形態のデバイス装置によれば、特にGHz帯域で優れた特性(高いμ’、低いμ’’)を有するデバイス装置が実現可能となる。
【0080】
(第3の実施の形態)
本実施の形態のアンテナ装置は、第1の実施の形態のナノ粒子複合材料を有するアンテナ装置である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。本実施の形態のアンテナ装置は、給電端子と、一端に給電端子が接続されるアンテナエレメントと、このアンテナエレメントから放射される電磁波の伝送損失を抑制するためのナノ粒子複合材料を備えている。
【0081】
図1は、本実施の形態のアンテナ装置の構成図である。図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視断面図である。ナノ粒子複合材料で形成された磁性体16は、給電点22が一端に接続され、一直線状に並んだ2本のアンテナエレメント14と、配線基板8との間に設けられている。尚、図1(b)では、アンテナ装置の構成を分かりやすくするために、アンテナエレメント14と磁性体16とを分離して図示している。アンテナエレメント14とナノ粒子複合体材料16は、接していることとする。なお、アンテナエレメント14と磁性体16が、離間した構成も許容する。
【0082】
この配線基板8は、例えば、携帯機器の配線基板であり、例えば、金属の筐体で囲まれている。
【0083】
例えば、携帯機器のアンテナが電磁波を放射する際、アンテナエレメント14と、携帯機器の筐体などの金属とが、一定以上に近接すると、金属内に生じる誘導電流により電磁波の放射が妨げられてしまう。しかしアンテナエレメント14近傍に磁性体16を配置することで、アンテナエレメント14と、筐体などの金属とを近接させても、誘導電流が発生せず、電波通信を安定化でき、携帯機器を小型化しうる。
【0084】
本実施の形態のように、磁性体16を、給電点22を挟む2本のアンテナエレメント14と、配線基板8との間に挿入することで、アンテナエレメント14が電磁波を放射する際、配線基板8に生じる誘導電流を抑制し、アンテナ装置の放射効率を上げることができる。
【0085】
(第4の実施の形態)
本実施の形態のアンテナ装置は、第1の実施の形態のナノ粒子複合材料を有するアンテナ装置である。図2は、本実施の形態のアンテナ装置の構成図である。図2(a)は斜視図、図2(b)は断面図、図2(c)は第4の実施の形態の変形例(変形例1)の断面図である。
【0086】
図2(a)に示すように、このアンテナ装置は、有限地板10と、有限地板10上方に設けられる矩形導体板12と、有限地板10上方に有限地板10と略平行に配置されるアンテナエレメント14と、有限地板10とアンテナエレメント14との間の少なくとも一部の空間に設けられる磁性体16とを有している。
【0087】
矩形導体板12は、有限地板10上方に設けられ、一辺が前記有限地板10に接続され、この一辺と略平行な屈曲部を備える。2つのアンテナエレメント14は、有限地板10上方に有限地板10と略平行に配置されている。また2つのアンテナエレメント14は、先の、有限地板10に接続された矩形導体板12の一辺に略垂直方向に延伸する。2つのアンテナエレメント14は一直線状に並んでおり、一方のアンテナ14は矩形導体板14上に設けられている。2つのアンテナエレメント14の間には、給電点22が設けられている。給電点22は、矩形導体板12の先の一辺に対向する他辺の近傍に位置する。有限地板10とアンテナエレメント14との間の少なくとも一部の空間には磁性体16を挿入することができる。そして、この磁性体16が第1の実施の形態に記載したナノ粒子複合材料である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0088】
なお、ここで上方とは、あくまで有限地板10が下方にある場合を基準にした位置関係を示すための表現であり、必ずしも、常に鉛直方向に対して、上方にあることを示す表現ではない。また、上方とは2つの要素が接している場合も包含する概念とする。
【0089】
図2では、有限地板10と矩形導体板12との間に磁性体16が挿入される構成となっている。なお、図2(a)では、磁性体16については、アンテナ装置の構成を分かりやすくするために、アンテナ装置と分離して図示している。
【0090】
また、図2(b)では、磁性体16は、有限地板10、矩形導体板12との間に空間を設けるよう図示している。しかしながら、磁性体16挿入の効果を高めるためには、これらの空間を排除し、磁性体16と有限地板10、矩形導体板12とを接触させることがより望ましい。更に、図2(b)では、磁性体16は矩形導体板12と有限地板の間にだけ挿入されているが、図2(c)の変形例1の様に、矩形導体板12の外をはみ出して挿入されていても良いし、また、アンテナエレメント14と矩形導体板12の間にも挿入されていても良い。
【0091】
もっとも、磁性体16と、有限地板10、矩形導体板12、アンテナエレメント14との密着性の観点などから、それぞれの間の空間に他の材料を介在させる必要が生ずる場合も考えられる。このような場合には、有限地板10とアンテナエレメント14の間の空間のうち、磁性体16が占める空間以外の空間を誘電体が占めるようにする。この誘電体は、磁性体と屈折率が同じ値であるものを選ぶのがより好ましい。
【0092】
これは、磁性体16単独で誘電体を設けない場合には磁性体16と空気の界面、もしくは屈折率の違う磁性体16と誘電体を設ける場合には磁性体16と誘電体の界面において、電波の反射が起こる。従って、磁性体16または誘電体に損失がある場合にはアンテナ装置の放射効率の劣化を招き、損失が無い場合にもアンテナ装置の狭帯域化の原因となってしまうからである。空間の屈折率を一定にすることによって、不要な電波反射を抑制でき、放射効率の劣化を抑制することが可能となる。
【0093】
有限地板10と矩形導体板12は、ともに導電性の材料で形成されている。矩形導体板12は、その一辺が有限地板10に接続され、電気的に短絡した状態となっている。そして、矩形導体板12は、この一辺と略平行な屈曲部18を備えている。
【0094】
なお、矩形導体板12の屈曲部18は、矩形の導体板を折り曲げることによって形成しても、あるいは、電気的に等価であれば、折り曲げる代わりに2枚の矩形導体板を用意して、両者を半田付け等の方法で物理的、電気的に接続しても良い。また、図2のアンテナ装置では矩形導体板12の屈曲部18は直角になっており、有限地板10に平行な部分と垂直な部分から構成されている。しかし、この構造は本質ではなく、矩形導体板10の下の電磁波伝搬が得られれば、特に、この構造を有しなくともよい。すなわち、矩形導体板12を、必ずしも直角に曲げる必要も有限地板10に平行または垂直な部分を設けることも必須でない。
【0095】
また、アンテナエレメント14の給電点22が矩形導体板12の先の一辺に対向する他辺の近傍に位置するとは、給電点22の位置が上記他辺から、アンテナエレメント14の動作周波数の電磁波の6分の1波長以下の範囲にあることを意味するものとする。後述のように、アンテナ整合を取ることがその理由である。
【0096】
図2のダイポールアンテナは、2本の線状導体を1直線状に並べてその間を給電する。
【0097】
図3は、本実施の形態のアンテナ装置の変形例(変形例2)の構成図である。この変形例においては、アンテナエレメント14として、板状ダイポールアンテナを適用している。板状ダイポールアンテナは、2枚の導体板10を並べた中央を給電点22とした。それぞれの導体板10の給電点22に近い側の辺について、給電点22から離れるに従って2枚の導体板の間隔が広がるように斜めに加工した。すなわち、それぞれの導体板10の給電点22に近い側の辺は、「く」の字状になっている。板状ダイポールアンテナは、図2のような線状アンテナを用いるダイポールアンテナよりも広帯域な特性を実現できるという利点がある。
【0098】
図4は、本実施の形態のアンテナ装置の他の変形例(変形例3、4)の構成図である。図4(a)は変形例3の斜視図、図4(b)は図4(a)の断面図、図4(c)は変形例4の断面図である。これらの変形例においては、アンテナエレメント14として、給電点22にアンテナエレメント14が1つ設けられたモノポールアンテナを適用している。アンテナエレメント14は、図2のダイポールアンテナに対し、矩形導体板12から遠い側のアンテナエレメント14が無い。また、給電点22が有限地板10上に位置し、アンテナエレメント14は給電点22側の一端を折り曲げられている。
【0099】
図4(a)においては、分かり易く表示するために、磁性体16をアンテナ装置と分離して表している。磁性体16は、アンテナエレメント14と矩形導体板12の間の少なくとも一部、例えば、矩形導体板12と有限地板10の間に挿入される。
【0100】
図4(c)は、モノポールアンテナ装置において、磁性体を、有限地板10と矩形導体板12、アンテナエレメント14に囲まれた内側の空間(磁性体16a)だけでなく、矩形導体板12上のアンテナエレメント14より下の空間(磁性体16b)、及び、アンテナエレメント14を介して矩形導体板12と対向する空間(磁性体16c)に配置した場合を示している。図4(a)、(b)、(c)においては磁性体16a、16b、16cは、有限地板10、矩形導体板12、アンテナエレメント14と離間して示しているが、これらは接していることとする。アンテナ装置の一層の小型化を実現するためには、ダイポールアンテナよりもモノポールアンテナの方が好ましい。
【0101】
以上の構成により、本実施の形態のアンテナ装置は、低姿勢化を含む小型化した場合でも広帯域なアンテナ特性を得ることができる。
【0102】
(第5の実施の形態)
本実施の形態のアンテナ装置は、図5に示すように、配線基板26と、配線基板26に設けられた給電端子28に接続される螺旋状のアンテナエレメント30と、螺旋状のアンテナエレメント30の内側に設けられる磁性体24を備える。アンテナエレメント30と配線基板26とは、アンテナ可動部32を介して接続されている。そして、この磁性体24が、第1の実施の形態のナノ粒子複合材料となっている。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0103】
ナノ粒子複合材料で形成された磁性体16が螺旋状のアンテナエレメント30の内側に設けられている。この配線基板26は、例えば、携帯機器の図示しない無線回路を搭載する配線基板であり、例えば、ABS、PC(ポリカーボネート)などの非導電性樹脂の筐体で囲まれている。さらにアンテナ可動部32は可動方向34のように90度に可動する方式、引き出し式、360度可動式などが考えられる。
【0104】
図6は、本実施の形態のアンテナ装置の詳細説明図である。図6は図5のアンテナエレメント30及び磁性体16部分にアンテナカバー36が設けられた場合の拡大図である。アンテナカバー36は、機械的強度を保持するために設けられている方が良い。アンテナカバー36は非導電性の樹脂からなり、箱部36aと蓋部36bとからなる。箱部36a内の空洞36cにはアンテナ可動部32が挿入されており、内部に螺旋状のアンテナエレメント30が設けられている。アンテナ可動部32と螺旋状のアンテナエレメント30は電気的に接続されている。この状態で蓋部36bが箱部36aに溶着や接着剤で接続されてアンテナカバー36が形成される。
【0105】
本実施の形態の動作原理を説明する。アンテナエレメント30は螺旋状で構成されているため、小さい領域でアンテナ長を長くできるだけでなく、インダクタンス成分が大きくなり、誘電率よりも透磁率による影響を受ける。従って、螺旋状のアンテナエレメント30内部に磁性体16を設けることにより、誘電率、特に損失成分が多少大きくても影響は小さく、透磁率の影響は大きく受けるので損失成分、つまり複素比透磁率の虚部が小さい材料で放射効率の低下を少なく、複素比透磁率の実部による小形化の効果が期待できる。
【0106】
本実施の形態のように、ナノ粒子複合材料で形成された磁性体16を、螺旋状のアンテナエレメント30の内側に配置することで、アンテナエレメント30を小型化でき、集中定数回路を用いた場合に比べて、回路部分で生じる集中的な損失を軽減できるため、アンテナ装置の放射効率を上げることができる。
【0107】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、ナノ粒子複合材料、デバイス装置、およびアンテナ装置等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされるナノ粒子複合材料、デバイス装置、およびアンテナ装置等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0108】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのナノ粒子複合材料、デバイス装置、およびアンテナ装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【0109】
(実施例)
以下に、本発明の実施例を比較例と対比しながらより詳細に説明する。以下に示す3つの実施例及び比較例によって得られるナノ粒子複合材料について、その平均高さ、平均アスペクト比、金属ナノ粒子の組成及び平均粒径、酸化物被覆層の有無とその組成、酸化物介在粒子の組成、粒径、体積割合を表1に示す。なお、金属ナノ粒子、酸化物粒子、酸化物介在粒子の平均粒径の測定はTEM観察に基づいて行う。具体的には、TEM観察(写真)で写し出された個々の粒子の最も長い対角線と最も短い対角線を平均したものをその粒子径とし、多数の粒子の平均値として求める。また、酸化物被覆層の厚さはTEM観察によって平均値を求める。また、ナノ粒子集合体の寸法(平均高さと平均アスペクト比)は、TEM観察、SEM観察によって、平均値を求める。ナノ粒子集合体と酸化物介在粒子の体積割合は、それぞれ、数割合と平均寸法を算出する事によって、簡易的に算出する。また、微構造の組成分析はEDX分析に基づいて行う。
【0110】
(実施例1)
まず、対向型のマグネトロンスパッタ成膜装置を用いて、薄膜を作製する。ターゲットには、Fe70Co30−SiOを(全体に対するFe70Co30の割合は70%)用い、基板を10rpmの速度で公転させながら、チャンバ内をAr雰囲気中、0.67Pa(5×10−3torr)の圧力下でターゲットからのスパッタ粒子を基板表面に堆積して、平均厚さ0.3μmの薄膜を作製する。その後、この薄膜を回収し、回収した薄膜破片とSiFeCoO粒子を、ZrO2ボールとZrO2容器を用いた遊星型ミルによってAr雰囲気下において約2000rpmの粉砕・混合化を行い、ナノ粒子集合体とSi酸化物介在粒子を作製する。
【0111】
得られたナノ粒子集合体とSi酸化物介在粒子をエポキシ樹脂とで混合し、厚膜化して評価用のナノ粒子複合材料とする。
【0112】
(実施例2)
用いるターゲットを、Fe70Co30−Al23(全体に対するFe70Co30の割合は56%)
とし、実施例1と同じ条件で成膜を行う。また、回収した薄膜破片はAlFeCoO粒子とともに、実施例1と同じ条件で粉砕・混合化を行い、ナノ粒子集合体とAl酸化物介在粒子を作製する。
【0113】
得られたナノ粒子集合体とAl酸化物介在粒子をエポキシ樹脂とで混合し、厚膜化して評価用のナノ粒子複合材料とする。
【0114】
(実施例3)
用いるターゲットを、Fe70Co30−Al23(全体に対するFe70Co30の割合は62%)
とし、実施例1と同じ条件で成膜を行う。また作製した薄膜はアニールを行い、FeCo金属ナノ粒子を粒成長させるとともにFeCo金属ナノ粒子の表面に酸化被覆層を形成させる。また、回収した薄膜破片はAlFeCoO粒子とともに、実施例1と同じ条件で粉砕・混合化を行い、ナノ粒子集合体とAl酸化物介在粒子を作製する。
【0115】
得られたナノ粒子集合体とAl酸化物介在粒子をエポキシ樹脂とで混合し、厚膜化して評価用のナノ粒子複合材料とする。
【0116】
(比較例1)
粒径約50μmのFe70Co30粒子とAlFeCoO粒子とを、ZrO2ボールとZrO2容器を用いた遊星型ミルによってAr雰囲気下において約2000rpmの粉砕を行い、FeCo扁平粒子とAl酸化物介在粒子を作製する。
【0117】
得られたFeCo扁平粒子とAl酸化物介在粒子をエポキシ樹脂とで混合し、厚膜化して評価用の比較材料とする。
【0118】
また、実施例1〜3および比較例1の評価用材料に関して、以下の方法で透磁率実部(μ′)、100時間後の透磁率実部(μ′)の経時変化および電磁波吸収特性を表2に示す。
【0119】
1)透磁率実部μ′
凌和電子(株)製PMM−9G1のシステムを用いて1GHz下において空気をバックグラウンドとした時と試料を配置した時との誘起電圧値およびインピーダンス値をそれぞれ測定し、これらの誘起電圧値とインピーダンス値とから透磁率実部μ′を導出する。なお、試料は4×4×0.5mmの寸法に加工したものを用いる。
【0120】
2)100時間後の透磁率実部μ′の経時変化
評価用試料を温度60℃、湿度90%の高温恒湿槽内に100時間放置した後、再度、透磁率実部μ′を測定し、経時変化(100H放置後の透磁率実部μ′/放置前の透磁率実部μ′)を求める。
【0121】
3)電磁波吸収特性
評価用試料の電磁波照射面とその反対の面に厚さ1mmで同面積の金属薄板を接着し、2GHzの電磁波下にて試料ネットワークアナライザーのS11モードを用いて、自由空間において反射電力法で測定する。反射電力法は、試料を接着していない金属薄板(完全反射体)の反射レベルと比較して試料からの反射レベルが何dB減少したかを測定する方法である。この測定に基づいて電磁波の吸収量を反射減衰量で定義し、比較例1の吸収量を1とした時の相対値で求める。
【表1】

【表2】

【0122】
表1から明らかなように実施例1〜実施例3に係るナノ粒子複合材料は、4〜10nmの平均粒径を有する磁性金属ナノ粒子が、2nmの平均粒子間距離で集合した、ナノ粒子集合体からなっている事が分かる。また、このナノ粒子集合体は、平均高さ20nm〜30nmで、平均アスペクト比5〜6の扁平形状を有している事が分かる。実施例1にかかる磁性金属ナノ粒子は、FeCoSiからなり、Fe:Co:Si=70:30:0.011(モル比)である。実施例2にかかる磁性金属ナノ粒子は、FeCoAlからなり、Fe:Co:Al=70:30:0.015(モル比)である。実施例3にかかる磁性金属ナノ粒子は、FeCoAlからなり、Fe:Co:Al=70:30:0.014(モル比)である。いずれにおいても、磁性金属であるFeCoと非磁性金属であるAlもしくはSiを含んでいる。また実施例3においては、磁性金属ナノ粒子の表面が1nm程度のAlFeCoO酸化物被覆層で覆われている。
【0123】
また、実施例1にかかる個々のナノ粒子集合体の間には、平均粒径10nmのSiFeCoO酸化物介在粒子が15%の体積割合で存在している。実施例2にかかる個々のナノ粒子集合体の間には、平均粒径15nmのAlFeCoO酸化物介在粒子が20%の体積割合で存在している。実施例3にかかる個々のナノ粒子集合体の間には、平均粒径17nmのAlFeCoO酸化物介在粒子が20%の体積割合で存在している。
【0124】
一方で、比較例1に係る磁性材料は、扁平構造を有する材料ではあるが、FeCoからなる一様な扁平粒子である。FeCoの組成は実施例と同様にFe:Co=70:30になっている。扁平粒子は、平均高さ800nmで平均アスペクト比が10の寸法を有する。またこの扁平粒子の表面には5nm程度のFeCoO酸化物被覆層が存在している。個々の扁平粒子の間には平均粒径が20nm程度のAlFeCoO酸化物介在粒子が20%の体積割合で存在している。
【0125】
表2には、透磁率実部(μ′)、100時間後の透磁率実部(μ′)の経時変化および電磁波吸収特性が示されている。表2から明らかなように実施例1〜実施例3に係るナノ粒子複合材料、その中でも特に実施例3の材料は、比較例1の材料に比べて、優れた磁気特性を有することがわかる。すなわち、実施例1〜3は、比較例1と比べて1GHzでの透磁率実部(μ′)が大きく、経時変化が小さく、2GHzでの電磁吸収特性が大きい。実施例1〜実施例3に係るナノ粒子集合体は、平均粒径が4〜10nmのFeCoナノ粒子が平均粒子間距離2nmで集合したナノ粒子集合体であり、このナノ粒子集合体は平均高さ20nm〜30mで平均アスペクト比が5以上の形状を有する。これによって、個々のFeCoナノ粒子が物理的には孤立しているが、磁気的には結合し、磁気的には1つの集合組織として振る舞う事が出来る。つまり、渦電流損失を効果的に抑制しつつ、透磁率及び透磁率の高周波特性を優れたものにする事が出来る。また、個々の金属ナノ粒子には非磁性金属であるAl、Siが含まれており、これにより熱的な安定性を向上させる事が出来る。また特に実施例3においては、金属ナノ粒子の表面には金属ナノ粒子と同じ磁性金属FeCoと、同じ非磁性金属Alとを含むAlFeCoO酸化物被覆層が存在しており、これによって、金属ナノ粒子の熱的安定性および耐酸化性を向上させる事が出来ている。また、実施例1〜実施例3に係る個々のナノ粒子集合体の間には、酸化物介在粒子が存在し、且つ、この酸化物介在粒子が、金属ナノ粒子に含まれる磁性金属と同じ磁性金属(ここではFeCo)と、同じ非磁性金属(実施例1ではSi、実施例2〜3ではAl)とを含む事によって、ナノ粒子複合材料の熱的安定性及び耐酸化性を更に向上させる事が出来る。以上の理由から、実施例1〜実施例3に係るナノ粒子複合材料は、1GHzでの透磁率が高く熱的にも安定であり(経時変化が少ない)、また、2GHzでの電波吸収特性も優れたものにする事ができていると思われる。すなわち、実施例1〜実施例3に係るナノ粒子複合材料は、2GHzでのμ’’が比較例1よりも大きい。このことから、実施例1〜実施例3に係るナノ粒子複合材料は、比較例1よりもμ’’のピーク周波数が高周波数化したということができる。
【0126】
一方で、比較例1においては、平均アスペクト比が10の扁平粒子ではあるが、内部が単一の材料で構成されるメタル扁平粒子であるため、渦電流損失が大きくなり、低周波での透磁率は高くする事が出来るのだが、高周波での透磁率は表2の通り比較的小さい値になっている。また、2GHz帯での電波吸収特性も実施例に比べると劣る。
【0127】
以上、実施例1〜実施例3、その中でも特に実施例3のナノ粒子複合材料では1GHzでの透磁率実部(μ′)が高く1GHz帯域で例えばインダクタ、フィルター、トランス、チョークコイル、携帯電話や無線LAN等用のアンテナ基板の様な高透磁率部品(高いμ’と低いμ’’を利用)として利用できる可能性を有していることが分かる。
【0128】
さらに、実施例1〜実施例3、その中でも特に実施例3のナノ粒子複合材料は、熱的安定性にも優れている。また、実施例1〜実施例3、その中でも特に実施例3のナノ粒子複合材料は、2GHzでの電磁波吸収特性も優れているため、2GHz帯域で電磁波吸収体(高いμ’’を利用)としても利用できる可能性を有する。すなわち、1つの材料でも使用周波数帯域を変えることによって、高透磁率部品としても、電磁波吸収体としても使用することができ、幅広い汎用性を示すことが分かる。
【符号の説明】
【0129】
8 配線基板
10 有限地板
12 矩形導体板、櫛型線状導体
14 アンテナエレメント
16 ナノ粒子複合材料
16a 第1の磁性体層
16b 第2の磁性体層
18 屈曲部
20 同軸線路
22 給電点
26 配線基板
30 アンテナエレメント
32 アンテナ可動部
34 可動方向
36 アンテナカバー
36a 箱部
36b 蓋部
36c 空洞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が1nm以上20nm以下でFe、Co、Niからなる群から選ばれる少なくとも1つの磁性金属を含有する金属ナノ粒子を含有した、平均高さ20nm以上2μm以下で平均アスペクト比が5以上の形状のナノ粒子集合体を備える事を特徴とするナノ粒子複合材料。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子間に存在し、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属と前記磁性金属の少なくとも1つとを含む、金属、半導体、酸化物、窒化物、または炭化物を含有するナノ粒子集合体から構成される事を特徴とする請求項1に記載のナノ粒子複合材料。
【請求項3】
前記酸化物、窒化物、または炭化物が、前記金属ナノ粒子の粒径より小さい粒子を含む事を特徴とする、請求項2に記載のナノ粒子複合材料。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含有し且つ前記金属ナノ粒子の少なくとも一部の表面を被覆する被覆層を含み、前記被覆層が前記金属ナノ粒子と同じ磁性金属を少なくとも1つと、前記金属ナノ粒子と同じ非磁性金属を少なくとも1つ含む酸化物、窒化物、炭化物である事を特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれか1項に記載のナノ粒子複合材料。
【請求項5】
前記金属ナノ粒子がFeCoと、AlおよびSiから選ばれる少なくとも1つの元素とを含み、CoがFeCo中に10原子%以上50原子%以下含まれ、前記元素がFeCoに対して0.001原子%以上5原子%以下含まれることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4、請求項5のいずれか1項に記載のナノ粒子複合材料。
【請求項6】
前記ナノ集合体に加えて更に、PVA樹脂、PVB樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、テフロン系樹脂、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂を有する事を特徴とする請求項1ないし6に記載のナノ粒子複合材料。
【請求項7】
前記ナノ粒子集合体に加えて更に、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属を含有する酸化物、窒化物、または炭化物の介在粒子を含む事を特徴とする、請求項1または請求項7に記載のナノ粒子複合材料。
【請求項8】
前記酸化物介在粒子、窒化物介在粒子または炭化物介在粒子が、前記非磁性金属の少なくとも1つと、前記磁性金属の少なくとも1つとを含み、前記介在粒子中の非磁性金属/磁性金属(原子比)が、前記ナノ粒子集合体に含有する前記金属、半導体、酸化物、窒化物、または炭化物中の非磁性金属/磁性金属(原子比)よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のコアシェル型磁性材料。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8いずれか一項に記載のナノ粒子複合材料を有する事を特徴とするアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8いずれか一項に記載のナノ粒子複合材料を有する事を特徴とする電磁波吸収体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−187568(P2011−187568A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49551(P2010−49551)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】