説明

ナビゲーションシステム装置

【課題】従来のものに比べ、目的位置を精度良く特定するとともに指示できるナビゲーションシステム装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステム装置1は、案内の目標又は目的となる対象物の位置を示す対象物位置情報17Aと、形状を示す対象物形状情報17Bとを記憶する記憶部17と、外部から取得した位置情報及び進行方向から現在位置及び進行方向を判定する現在位置判定部15と、撮像して得られた複数の映像から対象物となりうる物体像を抽出し、物体像の相対位置を測定する映像物体位置測定部18と、現在位置判定部15が判定した現在位置及び進行方向と位置情報とから対象物の相対位置を算出し、物体像と対象物の相対位置とが一致するとともに、対象物形状情報17Bと物体像の形状とが一致するとき物体像が対象物であると判定する対象物判定部14と、対象物を映像において強調表示するハイライト表示・ナビ情報生成部13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影された映像中から目的位置を特定し、画像等を用いて利用者にその目的位置を指示するナビゲーションシステム装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のナビゲーションシステム装置は、利用者の視野に近い視野角で撮像するカメラと、カメラによって撮影された映像を表示する表示部と、現在位置を取得するGPSと、利用者が指定した目的位置と現在位置との位置関係を算出して、カメラが撮影した映像の中に目的位置が現れると矢印等の指示画像を用いてその目的位置を指示する制御部とを有するため、利用者に地図と実際の風景とを見比べる作業をさせることなく案内することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−292713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来のものに比べ、目的位置を精度良く特定するとともに指示できるナビゲーションシステム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 案内の目標又は目的となる対象物の位置を示す位置情報と、前記対象物の形状を示す形状情報と、前記対象物に付帯する情報を示す付帯情報とを記憶する記憶部と、外部から取得した自己の位置情報及び方向情報から前記自己の現在位置及び進行方向を判定する現在位置判定部と、撮像して得られた複数の映像から前記対象物となりうる物体像を抽出し、前記自己と前記物体像との相対位置を測定する映像物体像位置測定部と、前記現在位置判定部が判定した前記自己の現在位置及び前記進行方向と前記対象物の位置情報とから前記自己と前記対象物の相対位置を算出し、前記物体像の相対位置と前記対象物の相対位置とが一致するとともに、前記形状情報と前記物体像の形状とが一致するとき前記物体像が前記対象物になるものであると判定する対象物判定部と、前記対象物と判定された前記物体像を前記映像において強調表示する強調表示生成部とを有することを特徴とするナビゲーションシステム装置を提供する。
【0007】
上記した構成によれば、映像中の物体像の相対位置とともに、形状情報に基づいて物体像を対象物として判定するため、目的位置としての対象物を精度良く特定するとともに指示できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来のものに比べ、目的位置を精度良く特定するとともに指示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の構成例を示す概略図である。
【図3A】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の画面表示例を示す概略図である。
【図3B】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の画面表示の他の例を示す概略図である。
【図3C】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の画面表示の他の例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ナビゲーションシステム装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の構成例を示す概略図である。
【0011】
ナビゲーションシステム装置1は、自動車等の乗り物に設置される本体10と、自動車の運転手が視認できる位置に設置された表示画面11Aと、所定の幅を設けて設置された複数のカメラ20a及び20bとを有し、カメラ20a及び20bによって撮像された映像とともに、後述するナビ情報を表示画面11Aに表示することで利用者に道案内し、道案内の際に用いる目標物や目的地等をハイライト表示する。また、カメラ20a及び20bは、利用者の視野に視野角で自動車の前方を撮影する。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の構成例を示す概略図である。
【0013】
ナビゲーションシステム装置1は、表示画面11Aに映像を表示する表示部11と、カメラ20a及び20bによって撮像された映像とナビ情報及びハイライト表示画像を合成する映像合成部12と、ナビ情報及びハイライト表示をを生成するハイライト表示・ナビ情報生成部13と、後述する各情報に基づいて目標物や目的地等になり得る対象物を判定する対象物判定部14と、後述するGPS(Global Positioning System)16Aとセンサ16Bから入力される情報に基づいて現在位置を判定する現在位置判定部15と、衛星を用いた測位システムであるGPS16Aと、自動車の進行方向や動きを測定するジャイロセンサや車速センサ等であるセンサ16Bと、対象物位置情報17Aと対象物形状情報17Bと対象物付帯情報17Cとを格納する記憶部17と、カメラ20a及び20bが撮像した映像に基づいて映像中の物体像の自動車からの位置を測定する映像物体位置測定部18と、カメラ20a及び20bから映像を取得し、映像物体位置測定部18及び映像合成部12に出力する映像取得部19と、カメラ20a及び20bとを有する。
【0014】
映像合成部12、ハイライト表示・ナビ情報生成部13、対象物判定部14、現在位置判定部15、映像物体位置測定部18は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等において動作してもよいし、それぞれハードウェアによって構成されてもよい。
【0015】
対象物位置情報17Aは、案内に用いられる目標物や目的地になり得る対象物の位置情報である。対象物形状情報17Bは、対象物の幅、奥行、高さ等の形状に関する情報である。対象物付帯情報17Cは、対象物に付随するロゴマーク、文字列、色に関する情報である。
【0016】
図3Aは、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の画面表示例を示す概略図である。
【0017】
表示映像110Aは、表示画面11Aに表示される映像であり、例えば、道案内において交差点を右折するとき表示され、道案内において右折する必要のある交差点に所在する目標物としての対象物111aと、対象物111aに焦点を当てるためのハイライト表示111と、右折を案内する矢印状のナビ情報112とを有する。
【0018】
対象物111aは、カメラ20a及び20bによって撮像された映像から対象物判定部14によって幅a及び高さbを測定され、これらの値が対象物形状情報17aに一致するとき、対象物判定部14によって、目標物としての対象物と判定され、ハイライト表示111及びナビ情報112が表示される。
【0019】
図3Bは、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の画面表示の他の例を示す概略図である。
【0020】
表示映像110Bは、表示画面11Aに表示される映像であり、図3Aと同様に、例えば、道案内において交差点を右折するとき表示され、道案内において右折する必要のある交差点に所在する目標物としての対象物111bと、対象物111bに付帯する看板等である付帯情報111cと、ハイライト表示111と、ナビ情報112とを有する。
【0021】
対象物111bは、カメラ20a及び20bによって撮像された映像から対象物判定部14によって付帯情報111cを検出され、付帯情報111cが対象物付帯情報17bに一致するとき、対象物判定部14によって、目標物としての対象物と判定され、ハイライト表示111及びナビ情報112が表示される。
【0022】
図3Cは、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の画面表示の他の例を示す概略図である。
【0023】
表示映像110Cは、表示画面11Aに表示される映像であり、図3A及び3Bと同様に、例えば、道案内において交差点を右折するとき表示され、道案内において右折する必要のある交差点に所在する目標物としての対象物111dと、ハイライト表示111と、ナビ情報112とを有する。
【0024】
対象物判定部14は、カメラ20a及び20bによって撮像された映像から図3Aに示すように対象物の幅a及び高さbを測定し、これらの値が対象物形状情報17aに一致せず、また図3Bに示すように付帯情報111cを検出し、付帯情報111cが対象物付帯情報17bに一致しないとき、映像中の対象物付近で最も大きい対象物を目標物としての対象物111dとし、ハイライト表示111及びナビ情報112を表示する。なお、大きさに限らず、目立つ色調を有する物体像や、形状に特徴を有する物体像を対象物111dとして認識してもよい。
【0025】
(動作)
以下に、本発明の一実施の形態におけるナビゲーションシステム装置の動作を各図を参照しつつ説明する。
【0026】
まず、利用者はナビゲーションシステム装置1の図示しない操作部に対して入力操作し、目的地を入力する。目的地を設定されると、ナビゲーションシステム装置1は、現在位置から目的地への案内経路を検索し、利用者によって案内経路が決定されると、案内を開始する。
【0027】
ナビゲーションシステム装置1は、カメラ20a及び20bによって撮影された映像にハイライト表示111やナビ情報112を表示して経路を案内するが、その詳細な動作について以下に説明する。
【0028】
図4は、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム装置の動作例を示すフローチャートである。
【0029】
まず、対象物判定部14は、GPS16A及びセンサ16Bによって得られた情報に基づいて現在位置判定部15が判定した現在位置を取得する(S1)。次に、対象物判定部14は、対象物位置情報17Aを参照し、次の目標物又は目的地となる対象物の位置情報と現在位置との相対位置を算出する(S2)。
【0030】
次に、映像取得部19は、カメラ20a及び20bによって撮像された複数の映像を取得し(S3)、映像物体位置測定部18は、取得された複数の映像から映像中の物体像と自動車との相対位置を測定する(S4)。
【0031】
対象物判定部14は、ステップS2及びS4で得られた相対位置を比較し、一致するとき(S5;Yes)、映像中の物体像が対象物らしいと判断してステップS6へ進む。また、一致しないとき(S5;No)、映像中の物体像は対象物でないと判断してステップS3へ戻る。なお、ここで一致とは、予め定めた誤差の範囲にそれぞれの相対位置が存在することである。
【0032】
次に、対象物判定部14は、映像中の物体像の形状、例えば、高さ及び幅を、図3Aに示すように測定し(S6)、測定した物体像の形状が対象物形状情報17Bに一致するとき(S7;Yes)、物体像が対象物であると判断して、ハイライト表示・ナビ情報生成部13に対象物のハイライト表示を生成するよう指示し、ハイライト表示・ナビ情報生成部13は、ハイライト表示を生成する(S8)。また、同様にハイライト表示・ナビ情報生成部13にナビ情報を生成するよう指示し、ハイライト表示・ナビ情報生成部13は、ナビ表示を生成する(S9)。なお、ステップS7において一致とは、予め定めた誤差を許容し、また、形状が相似形である場合であってもよい。
【0033】
次に、映像合成部12は、映像取得部19において取得された映像上に、ステップS8及びS9において生成された情報を合成し(S10)、表示部11の表示画面11Aに表示する(S11)。
【0034】
また、ステップS7において、測定した物体像の形状が対象物形状情報17Bに一致しないとき(S7;No)、映像中の物体像の付帯情報、例えば、看板の文字やロゴ、又は配色等を抽出し(S12)、抽出した付帯情報が対象物付帯情報17Cに登録された内容と一致するとき(S13;Yes)、ステップS8以降を実行する。
【0035】
また、ステップS13において、抽出した付帯情報が対象物付帯情報17Cに登録された内容と一致しないとき(S13;No)、映像中の物体像のうち最も大きい物体像を対象物として認識し(S14)、ステップS8以降を実行する。
【0036】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、対象物の位置情報、形状情報及び付帯情報に基づいて映像中の物体像が対象物か否かを判定するため、目的位置としての対象物を精度良く特定することができるとともに、対象物をハイライト表示することで利用者が実際に目にする風景と同様の映像によってわかりやすく案内を提示することができる。
【0037】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。例えば、対象物をハイライト表示する手法に限らず、対象物を示すことができれば矢印やイラストを用いたり、明度や彩度等を変更する画像処理技術等を用いても良い。
【0038】
また、上記実施の形態で使用される映像合成部12、ハイライト表示・ナビ情報生成部13、対象物判定部14、現在位置判定部15、映像物体位置測定部18及び映像取得部19は、CD−ROM等の記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでも良く、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、上記実施の形態で使用される手段の一部または全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…ナビゲーションシステム装置、10…本体、11…表示部、11A…表示画面、12…映像合成部、13…ハイライト表示・ナビ情報生成部、14…対象物判定部、15…現在位置判定部、16A…GPS、16B…センサ、17…記憶部、17A…対象物位置情報、17B…対象物形状情報、17C…対象物付帯情報、17a…対象物形状情報、17b…対象物付帯情報、18…映像物体位置測定部、19…映像取得部、20a、20b…カメラ、110A…表示映像、110B…表示映像、110C…表示映像、111…ハイライト表示、111a…対象物、111b…対象物、111c…付帯情報、111d…対象物、112…ナビ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内の目標又は目的となる対象物の位置を示す位置情報と、前記対象物の形状を示す形状情報と、前記対象物に付帯する情報を示す付帯情報とを記憶する記憶部と、
外部から取得した自己の位置情報及び方向情報から前記自己の現在位置及び進行方向を判定する現在位置判定部と、
撮像して得られた複数の映像から前記対象物となりうる物体像を抽出し、前記自己と前記物体像との相対位置を測定する映像物体像位置測定部と、
前記現在位置判定部が判定した前記自己の現在位置及び前記進行方向と前記対象物の位置情報とから前記自己と前記対象物の相対位置を算出し、前記物体像の相対位置と前記対象物の相対位置とが一致するとともに、前記形状情報と前記物体像の形状とが一致するとき前記物体像が前記対象物になるものであると判定する対象物判定部と、
前記対象物と判定された前記物体像を前記映像において強調表示する強調表示生成部とを有することを特徴とするナビゲーションシステム装置。
【請求項2】
前記対象物判定部は、前記物体像の前記相対位置と前記対象物の前記相対位置とが一致するとともに、前記付帯情報と前記物体像の付帯情報とが一致するとき前記物体像が前記対象物であると判定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム装置。
【請求項3】
前記対象物判定部は、前記物体像の前記相対位置と前記対象物の前記相対位置とが一致するとともに、前記形状情報と前記物体像の形状とが一致せず、前記付帯情報と前記物体像の付帯情報とが一致しないとき、前記映像中で最も大きな物体像を前記対象物であると判定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−197209(P2010−197209A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42251(P2009−42251)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】