説明

ナビゲーション装置、情報記録方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】ナビゲーション装置の電源をOFFしている間におけるDRAMへのリフレッシュ電流の供給を低減することができる、ナビゲーション装置、情報記録方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、情報を記録する上位DRAM3a及び下位DRAM3bを有する記録部3と、情報を記録しておくために必要な電流を上位DRAM3a及び下位DRAM3bに供給する電流供給部6と、当該ナビゲーション装置1の電源がOFFされる場合、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録させ、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後、当該下位DRAM3bにのみ電流供給部6から電流を供給させる制御部7aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、情報記録方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置の起動時間を短縮するため、電源をOFFしている間にもDRAM(Dynamic Random Access Memory)にリフレッシュ電流を供給することで当該DRAMに記憶されたプログラムや各種の設定データ等を保持しておき、電源をONした際のプログラムのローディングや各種設定の呼出等の処理を省略するカーナビゲーション装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の如き従来の装置では、DRAMに記憶されたデータを保持するため、ナビゲーション装置の電源をOFFしている間もDRAMにリフレッシュ電流を供給し続けなければならず、消費電流の低減が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ナビゲーション装置の電源をOFFしている間におけるDRAMへのリフレッシュ電流の供給を低減することができる、ナビゲーション装置、情報記録方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のナビゲーション装置は、情報を記録する複数の揮発性記録手段を有する記録手段と、情報を記録しておくために必要な電流を前記揮発性記録手段に供給する電流供給手段と、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされる場合、一部の前記揮発性記録手段に記録されている情報を他の前記揮発性記録手段に記録させ、ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、当該他の揮発性記録手段にのみ前記電流供給手段から電流を供給させる制御手段とを備える。
【0007】
また、請求項2に記載のナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、当該ナビゲーション装置の現在位置を取得する現在位置取得手段を備え、前記制御手段は、前記現在位置取得手段によって取得した当該ナビゲーション装置の現在位置に基づき、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされる可能性が高いと判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録させる。
【0008】
また、請求項3に記載のナビゲーション装置は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報の量と、前記他の揮発性記録手段に記録可能な情報の量とに基づき、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録可能か否かを判定し、記録可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録し、記録不可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報の優先度を特定し、当該特定した優先度が高い情報から順に前記他の揮発性記録手段に記録させる。
【0009】
また、請求項4に記載のナビゲーション装置は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報の量と、前記他の揮発性記録手段に記録可能な情報の量とに基づき、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録可能か否かを判定し、記録可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録させ、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、当該他の揮発性記録手段にのみ前記電流供給手段から電流を供給させ、記録不可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録させず、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、全ての前記揮発性記録手段に前記電流供給手段から電流を供給させる。
【0010】
また、請求項5に記載の情報記録方法は、ナビゲーション装置によって実行される情報記録方法であって、情報を記録する複数の揮発性記録手段を組み合わせた記録手段に情報を記録する記録ステップと、情報を記録しておくために必要な電流を前記揮発性記録手段に供給する電流供給ステップと、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされる場合、前記記録ステップにおいて一部の前記揮発性記録手段に記録された情報を他の前記揮発性記録手段に記録させ、ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、当該他の揮発性記録手段にのみ前記電流供給ステップで電流を供給する制御ステップとを含む。
【0011】
また、請求項6に記載のナビゲーションプログラムは、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のナビゲーション装置、請求項5に記載の情報記録方法、又は請求項6に記載のナビゲーションプログラムによれば、ナビゲーション装置の電源がOFFされる場合、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録させ、ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、他の揮発性記録手段にのみ電流供給手段から電流を供給させるので、ナビゲーション装置の電源がOFFされている間一部の揮発性記録手段へのリフレッシュ電流の供給を行わなくても、必要な情報を他の揮発性記録手段で保持することができる。すなわち、ナビゲーション装置の電源をOFFしている間における揮発性記録手段へのリフレッシュ電流の供給を低減することができる。
【0013】
請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、現在位置検出手段を介して取得したナビゲーション装置の現在位置に基づき、ナビゲーション装置の電源がOFFされる可能性が高いと判定した場合、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録させるので、ナビゲーション装置の電源がOFFされる前に一部の揮発性記録手段に記録されている情報を確実に他の揮発性記録手段に記録することができ、電源をOFFする際に必要となる処理時間を短縮することができる。
【0014】
請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録不可能と判定した場合には、一部の揮発性記録手段に記録されている情報の優先度を特定し、特定した優先度が高い情報から順に他の揮発性記録手段に記録させるので、一部の揮発性記録手段に記録されている全ての情報を他の揮発性記録手段に記録できない場合であっても、優先度の高い情報を確実に他の揮発性記録手段で保持することができる。
【0015】
請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録不可能と判定した場合には、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録させず、ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、全ての揮発性記録手段に電流供給手段から電流を供給させるので、ナビゲーション装置の電源がOFFの間も、揮発性記録手段に記録されている情報を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係るナビゲーション装置を例示するブロック図である。
【図2】終了処理のフローチャートである。
【図3】DRAMにおける情報の記録状況を例示した概念図であり、(a)はナビゲーション装置の電源がONされている場合の図、(b)は上位DRAMに記録されている情報を下位DRAMに記録した場合の図、(c)はナビゲーション装置の電源がOFFされた後の図である。
【図4】起動処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態2に係る終了処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る起動処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るナビゲーション装置、情報記録方法、及びナビゲーションプログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これらの各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録不可能と判定した場合、一部の揮発性記録手段に記録されている情報の優先度を特定し、優先度が高い情報から順に他の揮発性記録手段に記録させる形態である。
【0019】
(構成)
まず、実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係るナビゲーション装置を例示するブロック図である。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、HDD(Hard Disk Drive)2、記録部3、現在位置検出処理部4、電源制御部5、電流供給部6、及びSoC(System on a Chip)7を備えている。
【0020】
(構成−HDD)
HDD2は、情報を記録する不揮発性記録手段であり、公知のHDDを用いることができる。このHDD2には、ナビゲーション装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータが記録されている。例えば、ナビゲーション装置1により提供される各種アプリケーション(例えば、地図表示や経路案内等)のプログラムコードが予め圧縮されて格納されている。また、地図情報(例えばリンクデータ、ノードデータ、地物データ、地形データ、地図をディスプレイに表示するための地図表示データ等)のようにアプリケーションに必要なデータも記録されている。
【0021】
(構成−記録部)
記録部3は、情報を記録する記録手段である。この記録部3には、HDD2に記録されているプログラムコードが必要に応じて展開される。また、ユーザにより設定された各種の設定内容(例えば、目的地情報、表示中の地図の縮尺や方向、画面表示設定、オーディオの音量等)を特定するための情報や、アプリケーションによる設定内容(目的地までの探索経路等)を特定するための情報が記録される。
【0022】
記録部3は、複数のDRAMを備えている。DRAMは情報を記録する揮発性記録手段であり、公知のDRAMを用いることができる。本実施の形態1では、データバス幅が16ビットのDRAMを2つ組み合わせて、データバス幅が32ビットの記録部3を構成した場合を例として説明する。なお、以下の説明において上位側16ビットのDRAM(以下「上位DRAM3a」)及び下位側16ビットのDRAM(以下「下位DRAM3b」)を特に区別する必要が無い場合には、これらを「DRAM3a、3b」と表記するものとする。
【0023】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部4は、ナビゲーション装置1の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部4は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在のナビゲーション装置1の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0024】
(構成−電源制御部)
電源制御部5は、ナビゲーション装置1に電力を供給する電源(図示省略)、及び電流供給部6を制御するための電源制御手段である。この電源制御部5は、電源スイッチ等の公知の入力手段(図示省略)を介して入力された指示入力に基づいて電源のON又はOFFを制御すると共に、指示入力の内容をSoC7に通知する。また、SoC7からの入力に基づき、電源や電流供給部6を制御する。
【0025】
(構成−電流供給部)
電流供給部6は、情報を記録しておくために必要なリフレッシュ電流をDRAM3a、3bに供給する電流供給手段である。電流供給部6は、電源制御部5による制御に基づき、所定の電流値のリフレッシュ電流を定期的にDRAM3a、3bに通電する。
【0026】
(構成−SoC)
SoC7は、ナビゲーション装置1を制御するための各種回路が実装された集積回路であり、制御部7aを備えている。
【0027】
(構成−SoC−制御部)
制御部7aは、ナビゲーション装置1を制御する制御手段であり、現在位置検出処理部4を介してナビゲーション装置1の現在位置を取得する現在位置取得手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してナビゲーション装置1にインストールされることで、制御部7aの各部を実質的に構成する。これらのSoC7の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0028】
(処理)
次に、このように構成されるナビゲーション装置1によって実行される処理について説明する。
【0029】
(処理−終了処理)
まず、終了処理について説明する。図2は終了処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この終了処理は、ナビゲーション装置1の電源のOFFに備えるための処理であり、例えばナビゲーション装置1への電源投入後に所定周期にて繰り返し起動される。
【0030】
終了処理の起動後、制御部7aは、ナビゲーション装置1の電源をOFFする指示入力があった旨を電源制御部5から通知されたか否かを判定する(SA1)。
【0031】
その結果、電源をOFFする指示入力があった旨を電源制御部5から通知された場合(SA1、Yes)、制御部7aはナビゲーション装置1の電源がOFFされるものとし、上位DRAM3aに記録されている情報の量と、下位DRAM3bに記録可能な情報の量とに基づき、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録可能か否か判定する(SA2)。例えば、下位DRAM3bにおける空き領域の量が上位DRAM3aに記録されている情報の量以上である場合、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録可能と判定する。逆に、下位DRAM3bにおける空き領域の量が上位DRAM3aに記録されている情報の量未満である場合、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録不可能と判定する。
【0032】
SA2の結果、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録可能と判定した場合(SA2、Yes)、制御部7aは、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録する(SA3)。この際、上位DRAM3aにおいて情報が記録されていた位置を特定するための位置情報や、誤り検出符号等をヘッダ情報として付加して下位DRAM3bに記録してもよい。
【0033】
一方、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録不可能と判定した場合(SA2、No)、制御部7aは、上位DRAM3aに記録されている情報の優先度を特定する(SA4)。情報の優先度の特定方法は任意で、例えば、情報の優先度を決定するための優先度テーブル(図示省略)をHDD2に予め格納しておき、情報を記録部3に記録する際に、優先度テーブルを参照することでその情報の優先度を決定する。そして、決定した優先度を各情報に対してヘッダ情報として付加する。このヘッダ情報は上位DRAM3aに記録される。上位DRAM3aに記録されている情報のヘッダ情報を参照することにより、SA4において優先度を特定することができる。なお、情報の優先度としては、例えばユーザにより設定された設定内容を特定するための情報(例えば画面表示設定、オーディオの音量、表示中の地図の縮尺や方向等)の優先度が最も高く、次に各アプリケーションにより設定された内容(例えば目的地までの経路探索データ等)の優先度が高く、プログラムコードのようにHDD2から取得可能な情報は低くなるように設定される。また、交通情報のように随時変化し続ける情報については優先度が最も低くなるように設定される。
【0034】
次に制御部7aは、SA4で特定した情報の優先度に基づき、上位DRAM3aに記録されている情報であって下位DRAM3bに未だ記録していない情報のうち、最も優先度の高い情報を特定し、その情報を下位DRAM3bに記録可能か否か判定する(SA5)。上位DRAM3aに記録されている情報を既に下位DRAM3bに記録したか否かの特定方法は任意で、例えば各情報に対して、下位DRAM3bに未だ記録していない場合はFALSE、下位DRAM3bに記録した場合はTRUEとなる記録状態フラグを付加する。この記録状態フラグは上位DRAM3aに記録される。上位DRAM3aに記録されている各情報について、この記録状態フラグを参照することにより、下位DRAM3bに記録したか否かを特定することができる。
【0035】
SA5の結果、情報を下位DRAM3bに記録可能と判定した場合(SA5、Yes)、制御部7aはその情報を下位DRAM3bに記録する(SA6)。この際、下位DRAM3bに記録した情報に対応する記録状態フラグをTRUEとする。その後SA5に戻り、上位DRAM3aに記録されている情報であって下位DRAM3bに未だ記録していない情報のうち、最も優先度の高い情報を特定し、その情報を下位DRAM3bに記録可能か否か判定する(SA5)。
【0036】
SA3で上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録した後、またはSA5において、上位DRAM3aに記録されている情報であって下位DRAM3bに未だ記録していない情報のうち、最も優先度の高い情報を下位DRAM3bに記録不可能と判定した場合(SA5、No)、制御部7aは、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後に下位DRAM3bにのみ電流供給部6から電流を供給させる旨の指示を電源制御部5に対して行い(SA7)、終了処理を終了する。この場合、電源制御部5はナビゲーション装置1の電源をOFFするが、SA7において制御部7aからなされた指示に基づき、下位DRAM3bにのみ電流供給部6から電流を供給させる。これにより、ナビゲーション装置1の電源がOFFの間も、下位DRAM3bに記録された必要な情報が失われることはない。
【0037】
また、SA1において、電源をOFFする指示入力があった旨を電源制御部5から通知されていないと判定した場合(SA1、No)、制御部7aは現在位置検出処理部4を介してナビゲーション装置1の現在位置を取得する(SA8)。
【0038】
続いて制御部7aは、SA8で取得したナビゲーション装置1の現在位置に基づき、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる可能性が高いか否かを判定する(SA9)。この処理における判定基準は任意である。例えば、ナビゲーション装置1の現在位置が、経路案内における目的地や予め登録されている自宅の位置である場合は、ナビゲーション装置1の使用が終了されやすい状況であるものとし、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる可能性が高いと判定する。また、ナビゲーション装置1が車両に搭載されている場合において、現在位置がレストランやコンビニ等の商業施設、あるいは駐車場等である場合、車両のエンジンOFFと共にナビゲーション装置1の使用が終了されやすい状況であるものとし、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる可能性が高いと判定する。
【0039】
SA9の判定の結果、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる可能性が高いと判定した場合(SA9、Yes)、制御部7aは、SA2以降の各処理を実行する。
【0040】
一方、SA9においてナビゲーション装置1の電源がOFFされる可能性が高いと判定しなかった場合(SA9、No)、ナビゲーション装置1の電源のOFFに備える必要はないものとし、制御部7aは終了処理を終了する。
【0041】
図3はDRAM3a、3bにおける情報の記録状況を例示した概念図であり、図3(a)はナビゲーション装置1の電源がONされている場合の図、図3(b)は上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録した場合の図、図3(c)はナビゲーション装置1の電源がOFFされた後の図である。図3(a)に示すように、ナビゲーション装置1の電源がONされている場合、上位DRAM3aと下位DRAM3bとを組み合わせた記録部3に、32ビットのバス幅で情報が記録されている。SA3で上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録する場合や、SA6で上位DRAM3aに記録されている情報であって下位DRAM3bに未だ記録していない情報のうち、最も優先度の高い情報を下位DRAM3bに記録する場合、例えば図3(b)に示すように、上位DRAM3aに記録されている上位16ビット分の情報を下位DRAM3bに記録する。下位DRAM3bにおいて情報を記録する位置は任意で、例えば図3(b)に示すように、下位DRAM3bに記録されている下位16ビット分の情報が記録されている行の次の行に上位16ビット分の情報を記録する。
【0042】
また、SA7で下位DRAM3bにのみ電流供給部6から電流を供給させる旨の指示が電源制御部5に対して行われた後に終了処理が終了し、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた場合、下位DRAM3bにはリフレッシュ電流が供給されるため、記録されている情報がそのまま保持される。一方、上位DRAM3aにはリフレッシュ電流が供給されないため、記録されていた情報は消失する。
【0043】
(処理−起動処理)
次に、起動処理について説明する。図4は起動処理のフローチャートである。この起動処理は、ナビゲーション装置1の電源がONされた場合にアプリケーションの立ち上げ等を行うための処理であり、例えばナビゲーション装置1の電源がONされた場合に起動される。
【0044】
起動処理の起動後、制御部7aは下位DRAM3bに記録されている情報のうち、終了処理のSA3又はSA6で記録された情報を、上位DRAM3aに記録する(SB1)。これにより、上位DRAM3aに記録された情報と下位DRAM3bに記録されている情報とを組み合わせた32ビット幅の情報が回復される。なお、上位DRAM3aに情報を記録する位置を特定する方法は任意で、例えば、終了処理のSA3又はSA6で下位DRAM3bに記録された情報のヘッダ情報に含まれる位置情報に基づいて、上位DRAM3aに情報を記録すべき位置を特定する。
【0045】
続いて制御部7aは、記録部3に記録されているプログラムコードを読み込むことにより各種アプリケーションを起動し(SB2)、起動処理を終了する。ここで起動される具体的なアプリケーションは任意で、例えば地図表示やオーディオ等のアプリケーションが起動される。
【0046】
(効果)
このように実施の形態1によれば、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる場合、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録させ、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後、下位DRAM3bにのみ電流供給部6から電流を供給させるので、ナビゲーション装置1の電源がOFFされている間上位DRAM3aへのリフレッシュ電流の供給を行わなくても、必要な情報を下位DRAM3bで保持することができる。すなわち、ナビゲーション装置1の電源をOFFしている間におけるDRAM3a、3bへのリフレッシュ電流の供給を低減することができる。
【0047】
また、現在位置検出処理部4を介して取得したナビゲーション装置1の現在位置に基づき、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる可能性が高いと判定した場合、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録させるので、ナビゲーション装置1の電源がOFFされる前に上位DRAM3aに記録されている情報を確実に下位DRAM3bに記録することができ、電源をOFFする際に必要となる処理時間を短縮することができる。
【0048】
また、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録不可能と判定した場合には、上位DRAM3aに記録されている情報の優先度を特定し、特定した優先度が高い情報から順に下位DRAM3bに記録させるので、上位DRAM3aに記録されている全ての情報を下位DRAM3bに記録できない場合であっても、優先度の高い情報を確実に下位DRAM3bで保持することができる。
【0049】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録不可能と判定した場合、一部の揮発性記録手段に記録されている情報を他の揮発性記録手段に記録させず、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後、全ての揮発性記録手段に電流供給手段から電流を供給させる形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0050】
(処理−終了処理)
実施の形態2に係る終了処理について説明する。図5は実施の形態2に係る終了処理のフローチャートである。なお、SC1からSC4は図2のSA1からSA4と、SC6及びSC7は図2のSA8及びSA9と同じであるので、説明を省略する。
【0051】
SC2において、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録不可能と判定した場合(SC2、No)、制御部7aは、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録させず、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後、全てのDRAM3a、3bに電流供給部6から電流を供給させる旨の指示を電源制御部5に対して行い(SC5)、終了処理を終了する。この場合、電源制御部5はナビゲーション装置1の電源をOFFするが、SC5において制御部7aからなされた指示に基づき、全てDRAM3a、3bに電流供給部6から電流を供給させる。従って、ナビゲーション装置1の電源がOFFの間も、DRAM3a、3bに記録されている情報が消失することはない。
【0052】
(処理−起動処理)
次に、実施の形態2に係る起動処理について説明する。図6は、実施の形態2に係る起動処理のフローチャートである。
【0053】
起動処理の起動後、制御部7aはナビゲーション装置1の電源がOFFされていた間、全てのDRAM3a、3bに電流供給部6から電流が供給されていたか否かを判定する(SD1)。その結果、全てのDRAM3a、3bに電流供給部6から電流が供給されていなかった場合(SD1、No)、すなわち下位DRAM3bにのみ電流供給部6から電流が供給されていた場合、制御部7aは下位DRAM3bに記録されている情報のうち、終了処理のSC3で記録された情報を、上位DRAM3aに記録する(SD2)。
【0054】
全てのDRAM3a、3bに電流供給部6から電流が供給されていた場合(SD1、Yes)、又はSD2の処理の後、制御部7aは記録部3に記録されているプログラムコードを読み込むことにより各種アプリケーションを起動し(SD3)、起動処理を終了する。
【0055】
(効果)
このように実施の形態2によれば、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録不可能と判定した場合には、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録させず、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後、全てのDRAM3a、3bに電流供給部6から電流を供給させるので、ナビゲーション装置1の電源がOFFの間も、DRAM3a、3bに記録されている情報を確実に保持することができる。
【0056】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0057】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0058】
(記録部について)
上述の各実施の形態では、データバス幅が16ビットのDRAM3a、3bを2つ組み合わせて、データバス幅が32ビットの記録部3を構成した場合を例として説明したが、これとは異なる構成としてもよい。例えば、データバス幅が異なるDRAM3a、3bを複数組み合わせて記録部3を構成するようにしてもよい。
【0059】
(終了処理について)
上述の各実施の形態では、終了処理において、上位DRAM3aに記録されている情報を下位DRAM3bに記録する場合を例として説明したが、下位DRAM3bに記録されている情報を上位DRAM3aに記録するようにしてもよい。この場合電源制御部5は、ナビゲーション装置1の電源がOFFされた後、上位DRAM3aにのみ電流供給部6から電流を供給させる。
【符号の説明】
【0060】
1 ナビゲーション装置
2 HDD
3 記録部
3a 上位DRAM
3b 下位DRAM
4 現在位置検出処理部
5 電源制御部
6 電流供給部
7 SoC
7a 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記録する複数の揮発性記録手段を有する記録手段と、
情報を記録しておくために必要な電流を前記揮発性記録手段に供給する電流供給手段と、
当該ナビゲーション装置の電源がOFFされる場合、一部の前記揮発性記録手段に記録されている情報を他の前記揮発性記録手段に記録させ、ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、当該他の揮発性記録手段にのみ前記電流供給手段から電流を供給させる制御手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
当該ナビゲーション装置の現在位置を取得する現在位置取得手段を備え、
前記制御手段は、
前記現在位置取得手段によって取得した当該ナビゲーション装置の現在位置に基づき、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされる可能性が高いと判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録させる、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報の量と、前記他の揮発性記録手段に記録可能な情報の量とに基づき、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録可能か否かを判定し、
記録可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録し、
記録不可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報の優先度を特定し、当該特定した優先度が高い情報から順に前記他の揮発性記録手段に記録させる、
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報の量と、前記他の揮発性記録手段に記録可能な情報の量とに基づき、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録可能か否かを判定し、
記録可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録させ、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、当該他の揮発性記録手段にのみ前記電流供給手段から電流を供給させ、
記録不可能と判定した場合、前記一部の揮発性記録手段に記録されている情報を前記他の揮発性記録手段に記録させず、当該ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、全ての前記揮発性記録手段に前記電流供給手段から電流を供給させる、
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
ナビゲーション装置によって実行される情報記録方法であって、
情報を記録する複数の揮発性記録手段を組み合わせた記録手段に情報を記録する記録ステップと、
情報を記録しておくために必要な電流を前記揮発性記録手段に供給する電流供給ステップと、
当該ナビゲーション装置の電源がOFFされる場合、前記記録ステップにおいて一部の前記揮発性記録手段に記録された情報を他の前記揮発性記録手段に記録させ、ナビゲーション装置の電源がOFFされた後、当該他の揮発性記録手段にのみ前記電流供給ステップで電流を供給する制御ステップと、
を含む情報記録方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−185678(P2011−185678A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49685(P2010−49685)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】