説明

ナンバープレート認識プログラムおよびナンバープレート認識装置

【課題】ナンバープレートの文字認識処理結果の確度があまり高くないような場合でも,精度の高いナンバープレートの文字の認識が可能となる技術を提供する。
【解決手段】ナンバープレート認識装置10において,画像入力部11は,撮像装置20により撮影された画像を入力する。領域抽出部12は,入力された画像からナンバープレートの領域を抽出する。認識処理部13は,抽出されたナンバープレートの領域に対して,ナンバープレートの文字認識処理を実行する。文字認識候補判定部14は,文字認識処理の結果として複数の文字認識候補が得られた場合に,文字認識処理の結果以外の情報である,撮像装置に対応付けられた補助情報を用いた判定により,複数の文字認識候補から画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字を特定する。認識結果出力部15は,ナンバープレートの文字の認識結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,撮像装置により撮影された画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字の認識を行うナンバープレート認識プログラムおよびナンバープレート認識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や駐車場等に設置されたカメラにより撮影された,車両が写った画像から,ナンバープレートに記載された文字を認識する技術がある。
【0003】
例えば,道路を走行中の車両を道路側に設けたカメラで撮影し,その撮影画像に対する文字認識処理により,走行する車両のナンバープレートのナンバーを読み取る。読み取られたナンバーの情報は,例えば,被疑車両の追跡や,交通調査などに利用される。
【0004】
車両が写った画像からナンバープレートに記載された文字を認識する技術として,カメラ画像からナンバープレート領域候補の四辺形を検出し,検出されたナンバープレートの領域候補に含まれる文字領域の文字認識を行う技術が知られている。また,駐車場において,カメラにより撮影された車両の画像からナンバープレートの認識を行うとともに,近赤外線センサにより取得された車両の幅,高さ,外形から車名を特定し,ナンバープレートの認識結果とともに特定された車名を記録する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−98867号公報
【特許文献2】特開平6―119597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラ等の撮像装置により撮影された車両の画像に対するナンバープレートの認識では,太陽光等の撮影環境により,文字の誤認識や認識漏れが発生する場合がある。特に屋外にカメラが設置された場合などには,自然環境の影響により,ナンバープレートの文字の認識率が低下しやすいという問題があった。
【0007】
本発明は,上記の問題の解決を図り,車両が写った画像に対するナンバープレートの文字認識処理結果の確度があまり高くない場合でも,精度の高いナンバープレートの認識が可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示するプログラムは,撮像装置により撮影された画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字の認識を行うコンピュータを,次のように機能させる。
【0009】
すなわち,前記プログラムは,前記プログラムがインストールされて実行されるコンピュータに,画像を入力する手順と,画像からナンバープレートの領域を抽出する手順と,ナンバープレートの領域に対して,ナンバープレートの文字認識処理を行う手順と,文字認識処理の結果として複数の文字認識候補が得られた場合に,コンピュータがアクセス可能な記憶装置に記憶された,撮像装置に対応付けられた補助情報を用いた判定により,複数の文字認識候補から画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字を特定する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記の技術によって,ナンバープレートの文字認識処理結果の確度があまり高くない場合でも,精度の高いナンバープレートの文字の認識が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態のナンバープレートの例を示す図である。
【図2】本実施の形態によるナンバープレート認識装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態による文字認識候補の抽出を説明する図である。
【図4】本実施の形態の認識処理部による文字認識処理から文字認識候補抽出の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態によるナンバープレート認識結果データの例を示す図である。
【図6】本実施の形態のナンバープレート認識装置によるナンバープレート認識処理フローチャートである。
【図7】本実施の形態の文字認識候補判定部の構成例を示す図である。
【図8】本実施の形態による陸運支局コード・位置対応情報と陸運支局コード・優先度対応情報の例を示す図である。
【図9】本実施の形態による陸運支局コード判定基準設定画面の例を示す図である。
【図10】ナンバープレートの分類番号と車両の幅・高さとの関係を示す図である。
【図11】本実施の形態による画像に写った車両のサイズを算出する例を説明する図である。
【図12】本実施の形態の車両特徴判定部による車両のサイズを用いた文字認識候補判定処理フローチャートである。
【図13】本実施の形態によるナンバープレート色・用途コード対応情報の例を示す図である。
【図14】本実施の形態による統計情報の例を示す図である。
【図15】過去のナンバープレートに記載された文字の認識結果の統計例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
【0013】
図1は,本実施の形態のナンバープレートの例を示す図である。
【0014】
図1に示すナンバープレート1は,一般的な自動車の大板,中板のナンバープレート(自動車登録番号標または車両番号標)の例である。図1に示すように,ナンバープレート1には,陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号からなるナンバー(自動車登録番号)が記載されている。ナンバープレート1に刻印されるナンバーは,車両の個体を特定するものである。
【0015】
陸運支局コードは,ナンバープレート1の左上に記載される,ナンバープレート1が発行された地域の運輸支局や自動車検査登録事務所などの陸運支局の名称を示す。近年,ご当地ナンバーなどの陸運支局以外の地域名も記載されるようになったが,従来から一般的に陸運支局コードと呼ばれているので,ここでは,ご当地ナンバーの地域名も含めて陸運支局コードと呼ぶものとする。
【0016】
分類番号は,陸運支局コードの右に記載される,普通自動車,小型自動車,特殊用途自動車,大型特殊自動車等の自動車の種別を数字で分類する,1桁〜3桁の番号である。特に,分類番号の最上位桁によって,自動車の種類が分類されている。例えば,ナンバープレート1の分類番号が最上位桁が「1」である車両は普通貨物車であり,ナンバープレート1の分類番号が最上位桁が「5」である車両は小型乗用車である。
【0017】
用途コードは,ナンバープレート1の左下に記載される,自家用,駐留軍人用,貸渡用(レンタカー用),事業用などの自動車の用途を示す,ひらがな,アルファベット等の文字である。例えば,レンタカーには,「わ」の文字が付与される。
【0018】
一連番号は,用途コードの右に記載される,一連指定番号や車両番号とも呼ばれる,1つ〜4つの数字で表記される一連の番号である。
【0019】
図2は,本実施の形態によるナンバープレート認識装置の構成例を示す図である。
【0020】
図2に示すナンバープレート認識装置10は,撮像装置20により撮影された画像に写った車両のナンバープレート1に記載された文字を認識する。撮像装置20は,例えば道路や駐車場などに設置されたカメラである。本実施の形態では,特に,道路に設置された撮像装置20の前を走行する車両のナンバープレート1に記載された文字を認識する例について説明する。
【0021】
ナンバープレート認識装置10は,画像入力部11,領域抽出部12,認識処理部13,文字認識候補判定部14,認識結果出力部15,画像記憶部16,領域抽出情報記憶部17,認識用データ記憶部18,認識結果記憶部19を備える。ナンバープレート認識装置10およびナンバープレート認識装置10の各機能部は,コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit ),メモリ等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現される。具体的には,CPUがプログラムを実行することにより,CPUは,画像入力部11,領域抽出部12,認識処理部13,文字認識候補判定部14,認識結果出力部15の各部としての機能を果たす。また,CPUがアクセス可能なRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive )などの記憶部が,画像記憶部16,領域抽出情報記憶部17,認識用データ記憶部18,認識結果記憶部19や,補助情報記憶部145に相当する。なお,図2に示すナンバープレート認識装置10において,太線の矢印は主にデータの流れを示しており,細線の矢印は主に制御の流れを示している。
【0022】
画像入力部11は,撮像装置20により撮影された画像の入力を受け付ける。画像入力部11は,入力された画像を,画像記憶部16に記憶させる。画像記憶部16は,撮像装置20により撮像された画像を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。
【0023】
領域抽出部12は,画像記憶部16に記憶された,撮像装置20により撮影された画像から,ナンバープレート1の領域を抽出する。画像からナンバープレート1の領域を抽出する技術としては,様々な既存技術が存在する。以下では,その一例を紹介する。
【0024】
領域抽出部12は,入力された画像から車両の領域を抽出する。より具体的には,領域抽出部12は,あらかじめ用意された,車両等の物体が存在していないときの撮影位置の背景画像と,入力された画像との差分を取り,所定以上の差分が得られた場合に,入力された画像に何らかの物体が写っていると判断する。領域抽出部12は,何らかの物体が写っているとされた画像からのエッジ抽出を行い,抽出されたエッジによる形状と,あらかじめ用意された車両の形状・大きさなどの特徴とを比較することにより,その画像に写った車両の領域を抽出する。
【0025】
あらかじめ用意された,車両等の物体が存在していないときの撮影位置の背景画像や,車両の形状・大きさなどの特徴の情報は,領域抽出情報記憶部17に記憶されている。領域抽出情報記憶部17は,画像から車両の領域抽出やナンバープレート1の領域抽出に用いる情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。
【0026】
領域抽出部12は,抽出された車両の領域からナンバープレート1の領域を抽出する。ナンバープレート1の形状やナンバープレート1に使用される色はあらかじめ決まっているため,その形状・色の領域を抽出された車両の領域上から検出することにより,画像上のナンバープレート1の領域を抽出することができる。ナンバープレート1の形状やナンバープレート1に使用される色などの情報は,あらかじめ領域抽出情報記憶部17に記憶されている。
【0027】
認識処理部13は,抽出されたナンバープレート1の領域に対して,ナンバープレート1の文字認識処理を実行する。ナンバープレート1の文字認識処理では,陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号の各領域について,それぞれ文字認識処理が行われる。分類番号や,一連番号については,1文字ごとの文字認識処理が行われる。
【0028】
ナンバープレート1の文字認識処理の技術としては,例えば,テンプレート画像を用いたマッチングによる文字認識などの既存技術がある。陸運支局コードの文字認識処理については,陸運支局コードに使用されている地名等の文字列のテンプレート画像が用意される。用途コードの文字認識処理については,用途コードに使用されるひらがなやアルファベットのテンプレート画像が用意される。分類番号や一連番号の文字認識処理については,分類番号や一連番号に使用される数字等のテンプレートが用意される。ナンバープレート1の文字認識処理に用いられるテンプレート画像は,あらかじめ認識用データ記憶部18に記憶されている。認識用データ記憶部18は,ナンバープレート1の文字認識処理に用いられる情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。
【0029】
認識処理部13は,ナンバープレート1の陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号ごとに,それぞれ使用される可能性がある複数種の文字または文字列のテンプレート画像を用いたマッチングを行う。分類番号と一連番号については,認識処理部13は,桁ごとのマッチングを行う。より具体的には,認識処理部13は,それぞれ使用される可能性がある文字または文字列ごとに,画像記憶部16に記憶された入力画像上のナンバープレート1の領域内をテンプレート画像で走査し,類似度の最大値を得る。認識処理部13は,得られた類似度の最大値を,その文字または文字列の確からしさを示す確度とする。
【0030】
認識処理部13は,得られた各文字または文字列の確度に対して,所定の閾値を用いた条件の判定を行うことにより,ナンバープレート1の陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号の領域ごとに,文字認識候補を抽出する。分類番号,一連番号については,認識処理部13は,桁ごとに文字認識候補の抽出を行う。
【0031】
図3は,本実施の形態による文字認識候補の抽出を説明する図である。
【0032】
ここでは,陸運支局コードの文字認識候補の抽出を例として,文字認識候補の抽出例を説明する。
【0033】
なお,所定の閾値を用いた条件として,
(基準1)確度が15%未満の文字または文字列を文字認識候補としない,
(基準2)最大の確度の文字または文字列との確度の差分が20%を超える文字または文字列を文字認識候補としない,
という条件が設定されているものとする。
【0034】
また,図3に示す「品川」,「石川」,「香川」以外の文字列については,すべて確度が15%未満であり,(基準1)により文字認識候補とされないものとする。
【0035】
図3の(例1)では,「品川」,「石川」,「香川」のすべての文字列の確度が,15%未満である。このような場合には,上記の(基準1)により,文字認識候補の個数が0となる。
【0036】
図3の(例2)において,「石川」,「香川」は,確度が15%未満であるので,上記の(基準1)により文字認識候補から除外される。「品川」のみが確度80%で,文字認識候補として残る。
【0037】
図3の(例3)では,「品川」,「石川」,「香川」のすべての文字列の確度が,15%以上であるので,上記の(基準1)では文字認識候補から除外されない。しかし,「香川」の確度16%と,最大確度である「品川」の確度42%との差分は26%であり,20%以内の範囲にないので,「香川」は(基準2)により文字認識候補から除外される。「石川」の確度38%と,最大確度である「品川」の確度42%との差分は4%であり,20%以内の範囲にあるので,「石川」は文字認識候補として残る。図3の(例3)では,結果として2つの文字認識候補が得られる。
【0038】
図4は,本実施の形態の認識処理部による文字認識処理から文字認識候補抽出の流れを示すフローチャートである。
【0039】
図4に示すフローチャートは,テンプレート画像を用いたマッチングによる文字認識処理から,上記の(基準1),(基準2)を用いた文字認識候補の抽出までの流れを示している。本実施の形態の認識処理部13は,図4に示すフローチャートの処理を,ナンバープレート1の陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号ごとに実行し,それぞれについて文字認識候補を抽出する。なお,上述したように,分類番号と一連番号とについては,認識処理部13は,桁ごとに処理を実行する。
【0040】
認識処理部13は,各文字または文字列のテンプレート画像を用いたマッチングによる文字認識処理を実行する(ステップS100)。この文字認識処理により,文字または文字列ごとの確度が得られる。
【0041】
認識処理部13は,上記の(基準1)に従って,確度が15%未満の文字または文字列を,文字認識候補から除外する(ステップS101)。確度が15%以上の文字または文字列が残っていなければ,文字認識候補はなしとなる。また,確度が15%以上の文字が1つしか残らなければ,文字認識候補は1つとなる。
【0042】
認識処理部13は,上記の(基準2)に従って,最大確度の文字または文字列との確度の差分が20%を超える文字または文字列を,文字認識候補から除外する(ステップS102)。このとき,最大確度の文字または文字列の1つのみが残れば,文字認識候補は1つとなる。2つ以上の文字または文字列が残れば,文字認識候補は複数となる。
【0043】
図2において,文字認識候補判定部14は,認識処理部13により抽出された文字認識候補から,ナンバープレート1に記載された文字または文字列を特定する。このとき,文字認識候補がなしとなった部分については,文字認識候補判定部14は,認識結果として不明と判定する。また,文字認識候補が1つである部分については,文字認識候補判定部14は,認識結果をその文字認識候補である文字または文字列に特定する。
【0044】
複数の文字認識候補が得られた部分については,文字認識候補判定部14は,文字認識処理の結果以外の情報を用いて,複数の文字認識候補から認識結果として適切な文字または文字列を特定する。文字認識処理の結果以外の情報を用いた判定は,例えば,撮像装置20に対応付けられた補助情報を用いた判定や,ナンバープレート1についての法令や取り決め等のルールに基づいた判定などである。文字認識候補判定部14による,複数の文字認識候補が得られた場合の判定処理の詳細については,後述する。
【0045】
認識結果出力部15は,文字認識候補判定部14により得られた,ナンバープレート1に記載された文字の認識結果を,認識結果記憶部19や,ネットワークで接続された外部のサーバなどに出力する。認識結果記憶部19は,ナンバープレート1に記載された文字の認識結果を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。
【0046】
図5は,本実施の形態によるナンバープレート認識結果データの例を示す図である。
【0047】
図5に示すナンバープレート認識結果データ190は,認識結果記憶部19に蓄積保存されたナンバープレート1の認識結果の例である。
【0048】
図5に示すナンバープレート認識結果データ190において,認識IDは,ナンバープレート1の認識結果に対して一意に割り当てられる識別情報である。認識日時は,ナンバープレート1が認識された年月日,時刻の情報である。陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号は,それぞれナンバープレート1に記載された文字の認識結果である。陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号において,“?”と記載されている部分は,文字認識候補判定部14により認識結果として不明とされた部分である。ナンバープレート色は,認識されたナンバープレート1の下地の色と文字の色である。進行方向は,画像に写った車両の進行方向である。天候は,ナンバープレート1の認識が行われた画像が撮像されたときの,撮像装置20の撮影位置の天候である。ナンバープレート認識結果データ190には,これらの情報以外にも,例えばナンバープレート1のサイズや,車体の幅,車体の高さ,車両の走行速度などの様々な情報が記録される。
【0049】
図6は,本実施の形態のナンバープレート認識装置によるナンバープレート認識処理フローチャートである。
【0050】
ナンバープレート認識装置10において,画像入力部11は,撮像装置20により撮影された画像を入力する(ステップS10)。領域抽出部12は,入力された画像から,車両の領域を抽出する(ステップS11)。領域抽出部12は,入力された画像から車両の領域が抽出されたかを判定する(ステップS12)。入力された画像から車両の領域が抽出されなかった場合には(ステップS12のNO),ナンバープレート認識装置10は,ステップS10の処理に戻り,次に入力される画像の処理に移る。
【0051】
入力された画像から車両の領域が抽出された場合には(ステップS12のYES),領域抽出部12は,抽出された車両の領域から,ナンバープレート1の領域を抽出する(ステップS13)。認識処理部13は,抽出されたナンバープレート1の領域に対して,ナンバープレート1の文字認識処理を実行する(ステップS14)。ここでは,ナンバープレート1の陸運支局コード,分類番号,用途コード,一連番号ごとの,さらに分類番号と一連番号とについては桁ごとの文字認識処理が実行される。
【0052】
文字認識候補判定部14は,複数の文字認識候補が得られた部分があるかを判定する((ステップS15)。複数の文字認識候補が得られた部分があれば(ステップS15のYES),その複数の文字認識候補が得られた部分について,後述の文字認識候補の判定を実行する(ステップS16)。なお,文字認識候補判定部14は,文字認識候補なしの部分については認識結果不明とし,文字認識候補が1つの部分についてはその文字認識候補である文字または文字列をその部分の認識結果とする。
【0053】
認識結果出力部15は,ここまでの処理により得られた,ナンバープレート1に記載された文字の認識結果を出力する(ステップS17)。
【0054】
以下,本実施の形態の文字認識候補判定部14による,複数の文字認識候補が得られた部分についての,文字認識候補判定処理の詳細を説明する。
【0055】
図7は,本実施の形態の文字認識候補判定部の構成例を示す図である。
【0056】
図7に示す本実施の形態の文字認識候補判定部14は,撮影位置特徴判定部141,車両特徴判定部142,ナンバープレート色特徴判定部143,統計情報判定部144,補助情報記憶部145を備える。
【0057】
補助情報記憶部145は,各判定部による文字認識候補の判定に用いられる補助情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶装置である。図7の例に示す補助情報記憶部145には,各判定部による文字認識候補の判定に用いる補助情報として,陸運支局コード・位置対応情報146,陸運支局コード・優先度対応情報147,ナンバープレート色・用途コード対応情報148,統計情報149が記憶されている。なお,図7には図示していないが,補助情報記憶部145には,撮像装置20の撮影位置や撮影方向の情報などの,各判定部による文字認識候補の判定に用いる様々な補助情報が記憶されている。
【0058】
撮影位置特徴判定部141は,陸運支局コードに複数の文字認識候補が得られた場合に,撮像装置20の撮影位置に応じた判定によって,複数の文字認識候補からナンバープレート1に記載された陸運支局コードを特定する。
【0059】
一般的に,自動車は,ナンバープレートが発行された陸運支局が管轄するエリア内を走行することが多い。言い換えれば,ある撮像装置20の撮影位置を走行する車両には,その撮影位置を含むエリアやその撮影位置に近いエリアを管轄する陸運支局が発行するナンバープレート1が取り付けられていることが多い,ということになる。よって,ある撮像装置20の撮影位置を走行する車両のナンバープレート1には,その撮影位置に近い地域名の陸運支局コードが記載されている可能性が高い。
【0060】
撮影位置特徴判定部141は,このような撮影位置と陸運支局コードとの関係に基づいて,複数の文字認識候補から,ナンバープレート1に記載された陸運支局コードの認識結果を特定する。
【0061】
より具体的には,撮影位置特徴判定部141は,撮像装置20の撮影位置の情報と,陸運支局コード・位置対応情報146とを補助情報として用いて,複数の文字認識候補から,距離的に撮影位置に最も近い位置に対応する陸運支局コードを,陸運支局コードの認識結果として特定する。陸運支局コード・位置対応情報146は,陸運支局コードと位置との対応情報である。
【0062】
また,撮影位置特徴判定部141は,陸運支局コード・優先度対応情報147を補助情報として用いて,複数の文字認識候補から,最も優先度が高い陸運支局コードを,陸運支局コードの認識結果として特定する。陸運支局コード・優先度対応情報147は,あらかじめ用意された,撮像装置20に対応付けられた,陸運支局コードと優先度との対応情報である。
【0063】
図8は,本実施の形態による陸運支局コード・位置対応情報と陸運支局コード・優先度対応情報の例を示す図である。
【0064】
図8(A)は,陸運支局コード・位置対応情報146の一例である。図8(A)に示す陸運支局コード・位置対応情報146は,陸運支局コードと,その陸運支局コードが記載されたナンバープレートを発行する陸運支局の位置との対応情報である。図8(A)に示す陸運支局コード・位置対応情報146では,陸運支局の位置が,緯度δn と経度λn とで表されている。なお,陸運支局コードに対応する位置の情報としては,陸運支局の位置以外にも,例えばその陸運支局コードが発行されるエリアの中心位置など,陸運支局コードに関連する様々な位置の情報を用いることができる。
【0065】
ここで,陸運支局コードについての文字認識結果として,「品川」,「石川」,「香川」の3つの文字認識候補が得られたものとする。
【0066】
撮影位置特徴判定部141は,文字認識候補となっている各陸運支局コードについて,陸運支局コード・位置対応情報146で対応付けられた位置と,撮像装置20の撮影位置との距離を算出する。撮像装置20の撮影位置の情報としては,撮像装置20の設置位置の緯度δx と経度λx とが,補助情報記憶部145にあらかじめ登録されているものとする。なお,撮像装置20の撮影位置の情報としては,撮像装置20の設置位置以外にも,例えば撮影の対象となる道路上の地点の位置など,撮像装置20の撮影位置に関連する様々な位置の情報を用いることができる。
【0067】
陸運支局コードに対応する位置と,撮像装置20の撮影位置との距離は,例えば次の式(1),式(2)を用いて算出できる。
【0068】
cosd=(sinδx )×(sinδn
+(cosδx )×(cosδn )×cos(λx −λn ) (1)
距離[km]=6370[km]×d (2)
式(1),式(2)において,dは角度[ラジアン]を示す。角度dは,式(1)で得られるcosdに対してcos-1の演算を行うことにより,算出できる。式(2)において,6370[km]は地球の平均半径である。
【0069】
撮影位置特徴判定部141は,文字認識候補となっている複数の陸運支局コードから,式(1),式(2)による計算で得られた距離が最も短い陸運支局コードを,陸運支局コードの認識結果として特定する。例えば,撮影位置特徴判定部141は,「品川」,「石川」,「香川」の3つの文字認識候補について,それぞれ補助情報を用いた距離の算出を行い,「石川」の距離が最も短かった場合には,その「石川」を,ナンバープレート1に記載された陸運支局コードの認識結果とする。
【0070】
図8(B)は,陸運支局コード・優先度対応情報147の一例である。図8(B)に示す陸運支局コード・優先度対応情報147は,陸運支局コードと,優先順位で表された優先度との対応情報である。優先順位は,値が小さいほど優先度が高い。
【0071】
上述したように,一般的に,ある撮像装置20の撮影位置を走行する車両のナンバープレート1には,その撮影位置に近い地域名の陸運支局コードが記載されている可能性が高い。しかし,例えば,高速道路や大きな幹線道路などで結ばれた地域間では,多少距離が離れていても車の往来が多くなるため,必ずしも撮影位置に最も近い地域名の陸運支局コードがナンバープレート1に記載されている可能性が高いとは言い切れない。陸運支局コード・優先度対応情報147における優先度は,撮像装置20の撮影位置の地域性を考慮して設定される。
【0072】
ここで,陸運支局コードについての文字認識結果として,「品川」,「石川」,「香川」の3つの文字認識候補が得られたものとする。
【0073】
撮影位置特徴判定部141は,文字認識候補となっている複数の陸運支局コードから,陸運支局コード・優先度対応情報147で最も優先度が高い陸運支局コードを,陸運支局コードの認識結果として特定する。例えば,撮影位置特徴判定部141は,「品川」,「石川」,「香川」の3つの文字認識候補について,図8(B)に示す陸運支局コード・優先度対応情報147で優先順位が1位の「石川」を,ナンバープレート1に記載された陸運支局コードの認識結果とする。
【0074】
このような,撮影位置の情報と陸運支局コード・位置対応情報146とを補助情報とした判定と,陸運支局コード・優先度対応情報147を補助情報とした判定の,いずれか1つの判定のみを撮影位置特徴判定部141に実行させるようにしてもよい。また,撮影位置特徴判定部141に,双方の判定を使い分けさせるようにしてもよい。
【0075】
図9は,本実施の形態による陸運支局コード判定基準設定画面の例を示す図である。
【0076】
図9に示す陸運支局コード判定基準設定画面は,撮影位置特徴判定部141において2つの判定方法をどのように使い分けるかを,ユーザに設定させるための画面である。図9に示す陸運支局コード判定基準設定画面において,Aは上述の撮影位置の情報と陸運支局コード・位置対応情報146とを補助情報とした判定を示し,Bは上述の陸運支局コード・優先度対応情報147を補助情報とした判定を示す。
【0077】
図9に示す陸運支局コード判定基準設定画面において,“Aを優先”が設定された場合には,撮影位置特徴判定部141は,上述の撮影位置の情報と陸運支局コード・位置対応情報146とを補助情報とした判定を行う。図9に示す陸運支局コード判定基準設定画面において,“Bを優先”が設定された場合には,撮影位置特徴判定部141は,上述の陸運支局コード・優先度対応情報147を補助情報とした判定とした判定を行う。
【0078】
図9に示す陸運支局コード判定基準設定画面において,“カスタム設定”を行う場合には,ユーザは,Aの判定基準とBの判定基準とをどのように使い分けるかを設定する。例えば,“複数の文字認識候補となった陸運支局コードに対応する位置同士の距離が,100km以内であるときにはBの判定基準を用い,100kmを超える場合にはAの判定基準を用いる”といったような設定ができる。また,“複数の文字認識候補となった陸運支局コードに対応する優先順位間の差分が,10位以内であるときにはAの判定基準を用い,10位を超える場合にはBの判定基準を用いる”といったような設定ができる。
【0079】
このような,撮像装置20の撮影位置に応じた補助情報を用いた判定による,複数の文字認識候補からの陸運支局コードの特定によって,より精度が高いナンバープレート1の陸運支局コードの認識結果を得ることができるようになる。
【0080】
図7において,車両特徴判定部142は,ナンバープレート1の分類番号の最上位桁に複数の文字認識候補が得られた場合に,画像から抽出された車両の特徴に基づいた判定により,複数の文字認識候補からナンバープレート1に記載された分類番号の最上位桁の文字を特定する。
【0081】
図10は,ナンバープレートの分類番号と車両の幅・高さとの関係を示す図である。
【0082】
図10に示すように,ナンバープレートの分類番号の最上位桁の数字と車両のサイズとの間には,決まった関係がある。
【0083】
例えば,図10に示すように,車両の分類において,小型貨物車,小型乗用車には,最上位桁の数字が「4」,「5」,「6」,「7」となる1桁〜3桁の分類番号が記載されたナンバープレート1が割り当てられる。これらの小型自動車には,全長が4700mm以下,かつ全幅が1700mm以下,かつ全高が2000mm以下という車両のサイズに関するルールがある。
【0084】
また,図10に示すように,車両の分類において,普通貨物車,普通乗合車,普通乗用車には,最上位桁の数字が「1」,「2」,「3」となる1桁〜3桁の分類番号が記載されたナンバープレートが割り当てられる。これらの普通自動車には,全長が4700mmを超える,または全幅が1700mmを超える,または全高が2000mmを超えるという車両のサイズに関するルールがある。
【0085】
このように,普通自動車と小型自動車との間には,車両のサイズに基づいた境界がある。そのため,分類番号の最上位桁に,「1」,「2」,「3」のいずれかの数字と,「4」,「5」,「6」,「7」のいずれかの数字とが少なくとも1つずつは含まれる,複数の文字認識候補が得られた場合には,画像に写った車両のサイズでその文字認識候補を絞り込むことができる。
【0086】
なお,ガソリン車の場合には,車両のサイズが小さくても総排気量が2000ccを超えた場合には分類番号の最上位桁が「1」,「2」,「3」のいずれかの数字となる。ただし,車両のサイズが小さいのに2000ccを超えている車両は,国内に存在する全車両中の極わずかな一部の車両であるので,ここではあえて考慮していない。
【0087】
このとき,車両特徴判定部142は,領域抽出部12により画像から抽出された車両の領域から,画像に写った車両のサイズを求める。画像から抽出された車両の領域から画像に写った車両のサイズを求める技術については,様々な既存技術が存在する。
【0088】
図11は,本実施の形態による画像に写った車両のサイズを算出する例を説明する図である。
【0089】
例えば,図11に示す画像200において,領域抽出部12のエッジ抽出等の処理により,車両の領域201が抽出されたものとする。また,領域抽出部12の処理により,ナンバープレートの領域202が抽出されたものとする。
【0090】
車両特徴判定部142は,領域抽出部12の処理により抽出された車両の領域201のエッジの縦軸方向,横軸方向について,それぞれ座標の最大値と最小値との差分を求める。これにより,図11に示す画像200において点線枠で示される,車両の領域201の外接四角形の大きさが得られる。図11に示す画像200において,点線枠の縦軸方向の大きさは実際の車両の高さ(H)に相当し,点線枠の横軸方向の大きさは実際の車両の幅(W)に相当する。
【0091】
ここで,実際のナンバープレート1の大きさは決まっているので,その実際のナンバープレートの大きさと,図11に示す画像200上のナンバープレートの領域202の座標値の差分から得られる大きさとの比が求められる。求められた比は,同時に,実際の車両のサイズと,図11に示す画像200上での車両の大きさとの比となる。車両特徴判定部142は,求められた比と,図11に示す画像200における点線枠の大きさとから,実際の車両の幅(W)と高さ(H)を算出する。
【0092】
車両特徴判定部142は,算出された車両の幅(W)と高さ(H)とを用いた判定により,画像に写った車両が普通自動車であるのか,小型自動車であるのかを判定する。すなわち,車両特徴判定部142は,算出された車両の幅(W)が1700mm以下でかつ車両の高さ(H)が2000mm以下である場合には,複数の文字認識候補から,「4」,「5」,「6」または「7」の数字を,分類番号の最上位桁の数字として特定する。また,車両特徴判定部142は,算出された車両の幅(W)が1700mmを超えているか,または車両の高さ(H)が2000mmを超えている場合には,複数の文字認識候補から,「1」,「2」または「3」の数字を,分類番号の最上位桁の数字として特定する。
【0093】
図12は,本実施の形態の車両特徴判定部による車両のサイズを用いた文字認識候補判定処理フローチャートである。
【0094】
車両特徴判定部142は,領域抽出部12により画像200から抽出された車両の領域201から,画像200に写った車両の幅(W)と高さ(H)を算出する(ステップS200)。
【0095】
車両特徴判定部142は,算出された車両の幅(W)が,1700mm以下であるかを判定する(ステップS201)。算出された車両の幅(W)が1700mm以下でなければ(ステップS201のNO),車両特徴判定部142は,複数の文字認識候補から分類番号の最上位桁の数字として「1」,「2」または「3」を選択する(ステップS204)。
【0096】
算出された車両の幅(W)が1700mm以下であれば(ステップS201のYES),車両特徴判定部142は,算出された車両の高さ(H)が,2000mm以下であるかを判定する(ステップS202)。算出された車両の高さ(H)が2000mm以下であれば(ステップS202のYES),車両特徴判定部142は,複数の文字認識候補から分類番号の最上位桁の数字として「4」,「5」,「6」または「7」を選択する(ステップS203)。算出された車両の高さ(H)が2000mm以下でなければ(ステップS202のNO),車両特徴判定部142は,複数の文字認識候補から分類番号の最上位桁の数字として「1」,「2」または「3」を選択する(ステップS204)。
【0097】
本実施の形態では,車両特徴判定部142が,図12に示すような処理のアルゴリズムによって,車両のサイズに応じた分類番号の最上位桁の数字の特定を行っている。図10に示すような分類番号と車両の幅・高さとの関係を示す情報を補助情報として補助情報記憶部145に記憶させ,車両特徴判定部142に,その補助情報を参照させて,算出された車両のサイズから分類番号の最上位桁の数字を特定させるようにしてもよい。
【0098】
また,ここまでは,車両のサイズから普通自動車と小型自動車との判別を行って分類番号の最上位桁の数字を特定させる例を説明したが,同様に,車両のサイズから大型特殊自動車と小型自動車との判別を行って分類番号の最上位桁の数字を特定させることもできる。
【0099】
また,分類番号の最上位桁の数字が「8」である特殊用途自動車には,パトカーや救急車,消防車などの,色や形状に特徴がある車両が存在する。このような車両の特徴形状から,分類番号の最上位桁の数字が「8」である場合を判定することもできる。
【0100】
例えば,特殊用途自動車の形状特徴の情報を,補助情報として補助情報記憶部145に記憶させておく。車両特徴判定部142は,特殊用途自動車の形状特徴の情報を参照し,領域抽出部12により画像200から抽出された車両の領域201から,特殊用途自動車の形状特徴が取得されたかを判定する。車両特徴判定部142は,車両の領域201から特殊用途自動車の形状特徴が取得された場合に,複数の文字認識候補から,「8」の数字を分類番号の最上位桁の数字として特定する。
【0101】
このような,画像に写った車両のサイズや形状特徴と分類番号との関係を示す補助情報を用いた判定による,複数の文字認識候補からの分類番号の最上位桁の数字の特定によって,より精度が高いナンバープレート1の分類番号の認識結果を得ることができるようになる。
【0102】
図7において,ナンバープレート色特徴判定部143は,ナンバープレート1の用途コードに複数の文字認識候補が得られた場合に,画像から抽出されたナンバープレート1の色の特徴に基づいた判定により,複数の文字認識候補からナンバープレート1に記載された用途コードを特定する。
【0103】
ナンバープレート1の色には,自家用・駐留軍人用・レンタカー用の自動車は白地緑字,事業用の自動車は緑地白字,自家用・駐留軍人用・レンタカー用の軽自動車は黄地黒字,事業用の軽自動車は黒地黄字という,用途に合わせたルールがある。また,ナンバープレート1の用途コードにも,ナンバープレート1の色と同様に,自家用,駐留軍人用,レンタカー用,事業用ごとに,また自動車,軽自動車ごとに決まったひらがな,アルファベットのルールがある。
【0104】
ナンバープレート色・用途コード対応情報148は,ナンバープレート1の色と車両の用途との対応と,用途コードと車両の用途との対応とに基づいて用意された,ナンバープレート1の色と用途コードとの対応を示す補助情報である。
【0105】
図13は,本実施の形態によるナンバープレート色・用途コード対応情報の例を示す図である。
【0106】
ナンバープレート1の色と,用途コードに用いられるひらがな・アルファベットとの間には,図13のナンバープレート色・用途コード対応情報148に示すような関係が存在する。
【0107】
ナンバープレート色特徴判定部143は,ナンバープレート1の用途コードに複数の文字認識候補が得られた場合に,領域抽出部12により画像から抽出されたナンバープレート1の領域の色を取得する。ナンバープレート色特徴判定部143は,取得されたナンバープレート1の色で,図13に示すナンバープレート色・用途コード対応情報148を参照する。ナンバープレート色特徴判定部143は,複数の文字候補から,取得されたナンバープレート1の色に対応するひらがな・アルファベットを,ナンバープレート1に記載された用途コードとして特定する。
【0108】
例えば,用途コードの文字認識候補として,「あ」と「ま」が得られたものとする。また,画像から取得されたナンバープレート1の色は,白地緑字であったものとする。このとき,ナンバープレート色特徴判定部143は,図13に示すナンバープレート色・用途コード対応情報148を参照し,白地緑字に対応する「ま」を,ナンバープレート1に記載された用途コードとして特定する。
【0109】
このような,画像に写った車両のナンバープレート1の色と用途コードとの関係を示す補助情報を用いた判定による,複数の文字認識候補からの用途コードの特定によって,より精度が高いナンバープレート1の用途コードの認識結果を得ることができるようになる。
【0110】
なお,ここまで説明した車両特徴判定部142とナンバープレート色特徴判定部143とによる文字認識候補の判定は,ナンバープレート1についての法令や取り決め等のルールに基づいた判定の例である。その他にも,様々なナンバープレート1についての法令や取り決め等のルールに基づいた判定が可能である。例えば,ナンバープレート1の一連番号には不幸を連想させる数字の組合せを使用しないというルールに基づいた判定が可能である。また,黄地黒字や黒地黄字のナンバープレート1の分類番号の最上位桁の数字には「1」,「2」,「3」,「9」,「0」が用いられないというルールに基づいた判定が可能である。
【0111】
図7において,統計情報判定部144は,複数の文字認識候補が得られた場合に,過去のナンバープレート1に記載された文字の認識結果の統計的な傾向に基づいた判定により,複数の文字認識候補からナンバープレート1に記載された文字を特定する。
【0112】
過去のナンバープレート1に記載された文字の認識結果の統計をとると,ナンバープレート1に記載された文字の認識結果に,撮像装置20の撮影位置に応じた偏りが見られる場合がある。
【0113】
例えば,離島の観光地などでは,レンタカーの使用が多くなるため,過去の用途コードの認識結果の統計をとると,「わ」や「れ」の出現頻度が高くなる。また,例えば,観光地などでは,大型バスなどの普通乗合車が増えるため,過去の分類番号の認識結果の統計をとると,分類番号の最上位桁の数字として「2」の出現頻度が高くなる。
【0114】
統計情報判定部144は,このような撮像装置20の撮影位置に応じた様々な統計情報を補助情報として用いた判定により,複数の文字認識候補からナンバープレート1に記載された文字を特定する。
【0115】
統計情報を補助情報として用いた判定としては,例えば,統計情報において最頻値である文字を文字認識候補から選択する手法や,ある文字の出現率が所定の閾値を超えた場合にその文字を優先的に文字認識候補から選択する手法など,様々な判定手法が考えられる。
【0116】
図14は,本実施の形態による統計情報の例を示す図である。
【0117】
図14に示す統計情報149の例は,過去のナンバープレート1に記載された文字の認識結果から統計的に生成された,撮像装置20の撮影位置に応じた,陸運支局コードの出現率の情報の例である。
【0118】
例えば,陸運支局コードの文字認識候補として,「品川」,「石川」,「香川」が得られたものとする。このとき,統計情報判定部144は,図14に示す統計情報149において出現率が最も高い「品川」を,ナンバープレート1に記載された陸運支局コードとして特定する。
【0119】
また,過去のナンバープレート1に記載された文字の認識結果の統計をとると,ナンバープレート1に記載された文字の認識結果に,季節,月日,曜日,時間帯,天候等の撮像装置20の撮影状況に応じた偏りが見られる場合がある。
【0120】
例えば,観光地の昼間の時間帯では,レンタカーの使用が多くなるため,過去の用途コードの認識結果の統計をとると,「わ」や「れ」の出現頻度が高くなる。また,例えば,平日の通勤時間帯では,過去の陸運支局コードの認識結果の統計をとると,撮像装置20の撮影位置が属するエリアの陸運支局コードの出現頻度が高くなる。
【0121】
図15は,過去のナンバープレートに記載された文字の認識結果の統計例を示す図である。
【0122】
図15に示す統計例は,ある観光地における,曜日別の用途コードとして「わ」が認識された車両の台数,すなわち,曜日別のレンタカーの出現台数を示している。図15に示す統計情報から,週末を中心にレンタカーの利用客すなわち観光客が多くなっていることがわかる。
【0123】
図15に示す統計結果から,例えば,統計情報として曜日別の用途コードの「わ」の出現率の情報を生成し,統計情報において「わ」の出現率が所定の閾値を超えた曜日には,用途コードの文字認識候補から優先的に「わ」を選択するなどの対応が可能となる。
【0124】
なお,認識結果出力部15により出力された,ナンバープレート1に記載された文字の認識結果をリアルタイムに統計結果に反映し,時事刻々と変化する撮影状況に応じた統計情報を補助情報として用いて,複数の文字認識候補から文字を特定することなども可能である。図2において,破線の矢印は,認識結果出力部15により出力された認識結果による,補助情報記憶部145に記憶された統計情報149の更新を示している。
【0125】
また,図8(B)に示す陸運支局コード・優先度対応情報147を,該当する撮像装置20の撮影位置における,過去のナンバープレート1に記載された陸運支局コードの認識結果の統計から生成することもできる。
【0126】
このような,過去のナンバープレート1に記載された文字の認識結果の統計情報を補助情報として用いた判定による,複数の文字認識候補からの文字の特定によって,より精度が高いナンバープレート1の文字の認識結果を得ることができるようになる。
【0127】
文字認識候補判定部14は,ここまで説明した補助情報を用いて複数の文字認識候補から文字を特定する処理を多段階に実行し,複数の文字認識候補からナンバープレート1に記載された文字を特定していく。なお,文字認識候補判定部14は,上述の複数の文字認識候補から文字を特定する処理を多段階に用いても,文字認識候補が複数残った場合,また逆に文字認識候補がなくなってしまった場合には,認識結果として不明と判定する。
【0128】
以上説明した,本実施の形態のナンバープレート認識装置10によって,ナンバープレート1の文字認識処理の結果として,確度にあまり差がない複数の文字認識候補があるような場合でも,より確からしい認識結果の文字を決定できるようになる。これにより,ナンバープレート1の認識精度が高くなる。
【0129】
以上説明した本実施の形態のナンバープレート認識装置10による処理は,コンピュータが備えるCPU,メモリ等のハードウェアとソフトウェアプログラムとにより実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
【0130】
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
【0131】
例えば,本実施の形態では,自動車に取り付けられる大板,中板のナンバープレート1の認識の例について説明したが,本実施の形態の技術は,自動二輪車などに取り付けられる小板のナンバープレートの認識にも適用可能である。
【0132】
また,ナンバープレート1についての法令や取り決め等のルールに基づいた判定が変更されたときには,その変更に応じた補助情報を用意することにより対応可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 ナンバープレート
10 ナンバープレート認識装置
11 画像入力部
12 領域抽出部
13 認識処理部
14 文字認識候補判定部
141 撮影位置特徴判定部
142 車両特徴判定部
143 ナンバープレート色特徴判定部
144 統計情報判定部
145 補助情報記憶部
146 陸運支局コード・位置対応情報
147 陸運支局コード・優先度対応情報
148 ナンバープレート色・用途コード対応情報
149 統計情報
15 認識結果出力部
16 画像記憶部
17 領域抽出情報記憶部
18 認識用データ記憶部
19 認識結果記憶部
20 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により撮影された画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字の認識を,コンピュータに実行させるためのプログラムであって,
前記コンピュータに,
前記画像を入力する手順と,
前記画像からナンバープレートの領域を抽出する手順と,
前記ナンバープレートの領域に対して,ナンバープレートの文字認識処理を行う手順と,
前記文字認識処理の結果として複数の文字認識候補が得られた場合に,前記コンピュータがアクセス可能な記憶装置に記憶された,前記撮像装置に対応付けられた補助情報を用いた判定により,複数の文字認識候補から前記画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字を特定する手順とを
実行させるためのナンバープレート認識プログラム。
【請求項2】
前記補助情報は,陸運支局コードに対応する位置の情報と前記撮像装置の撮影位置の情報とであり,
前記複数の文字認識候補から文字を特定する手順では,前記文字認識処理の結果として得られた複数の文字認識候補がナンバープレートの陸運支局コードである場合に,前記記憶装置に記憶された,前記陸運支局コードに対応する位置の情報と前記撮像装置の撮影位置の情報とに基づいて,文字認識候補である陸運支局コードごとに,当該陸運支局コードに対応する位置と撮影位置との間の距離を算出し,算出された距離が最も近い文字認識候補である陸運支局コードを,前記画像に写る車両のナンバープレートの陸運支局コードとして特定する
ことを特徴とする請求項1に記載されたナンバープレート認識プログラム。
【請求項3】
前記補助情報は,陸運支局コードと優先度との対応情報であり,
前記複数の文字認識候補から文字を特定する手順では,前記文字認識処理の結果として得られた複数の文字認識候補がナンバープレートの陸運支局コードである場合に,前記記憶装置に記憶された,前記陸運支局コードと優先度との対応情報に基づいて,最も優先度が高い文字認識候補である陸運支局コードを,前記画像に写る車両のナンバープレートの陸運支局コードとして特定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたナンバープレート認識プログラム。
【請求項4】
前記補助情報は,過去のナンバープレートに記載された文字の認識結果から生成された,前記撮像装置の撮影位置または撮影状況に応じた認識結果の統計情報であり,
前記複数の文字認識候補から文字を特定する手順では,前記文字認識処理の結果として複数の文字認識候補が得られた場合に,前記記憶装置に記憶された前記統計情報を参照し,前記撮像装置の撮影位置または前記画像の撮影時の撮影状況において,前記統計情報を用いた判定で最も可能性が高いと判定された文字認識候補を,前記画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字として特定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載されたナンバープレート認識プログラム。
【請求項5】
撮像装置により撮影された画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字の認識を行うナンバープレート認識装置であって,
前記画像を入力する画像入力部と,
前記画像からナンバープレートの領域を抽出する領域抽出部と,
前記ナンバープレートの領域に対して,ナンバープレートの文字認識処理を行う認識処理部と,
前記撮像装置に対応付けられた補助情報を記憶する補助情報記憶部と,
前記文字認識処理の結果として複数の文字認識候補が得られた場合に,前記補助情報を用いた判定により,複数の文字認識候補から前記画像に写る車両のナンバープレートに記載された文字を特定する文字認識候補判定部とを備える
ことを特徴とするナンバープレート認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−113440(P2011−113440A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271218(P2009−271218)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】