説明

ナースコールの画像表示制御システム

【課題】ME呼出が発生した場合に、医療機器の測定結果にどのような異常が発生しているかまで報知できるようにする。
【解決手段】ME呼出の発生が呼出種別判定部103により検出された場合に、ME画像取得部104が医療機器2からME画像を取得し、画像格納部105が画像サーバ11の所定のロケーションに格納する。そして、IP携帯電話10において呼出信号を受信した後、オフフックを検出したときに、画像表示制御部107が所定のロケーションをアクセス先とする所在情報に基づき画像サーバ11にアクセスし、所定のロケーションに格納されているME画像を画像サーバ11から取得して表示することにより、ME呼出が発生したことだけでなく、医療機器2の測定結果にどのような異常が発生しているかまでME画像の表示により報知できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールの画像表示制御システムに関し、特に、ナースコール子機からの呼び出しをナースコール親機や携帯用ナースコール親機へ報知するようになされたナースコールシステムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などで使われるナースコールシステムは、患者や被介護者(以下、単に患者という)が医師や看護師、介護師(以下、単に看護師という)のサポートを必要とする際に、患者がナースコール子機の呼出ボタン等を押下することによって看護師を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムでは、ナースセンタに設置されたナースコール親機への呼び出しを行うが、PBX(Private Branch Exchange)を介して看護師が携帯するPHS(Personal Handyphone System)端末への呼び出しを行うナースコールシステムも提供されている。近年では、SIP(Session Initiation Protocol)サーバを備え、IP(Internet Protocol)電話への呼び出しを行うナースコールシステムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載のナースコールシステムは、室内の患者から呼び出しおよび通話を行うナースコール子機と、ナースコール子機からの呼び出し(呼出元、呼出先、呼出時間等の呼出履歴)を表示し応答通話を行うナースコール親機および携帯用ナースコール親機(IP電話)とで構成する。そして、ナースコール親機およびIP電話を、内線同士を接続するSIPサーバにより相互に接続している。
【0005】
また、ナースコール子機からの呼出情報に加えてカメラの撮影映像をナースコール親機に送信するようにしたWEBナースコール装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のWEBナースコール装置では、カメラと、当該カメラの映像信号およびナースコール子機からの呼出情報を介護施設へ送信するWEBアダプタとを被介護者宅に備え、介護施設はナースコール親機を備えている。ナースコール親機では、呼出情報で示される呼出者の情報を記憶部から読み出し、送られてきた映像信号と共にディスプレイに表示する。
【0006】
これらの特許文献1,2を含む従来のナースコールシステムでは、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機に対する呼び出しの報知が、呼出音の鳴動とモニタ画面への表示とによって行われる。例えば、ナースコール子機から呼び出しが行われると、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機にて呼出音が鳴るとともに、呼び出しを行った患者の氏名、部屋番号などの患者情報がモニタ画面に表示される。患者情報に加えて、一般呼出/緊急呼出/ME呼出などの呼出種別を表示するように成されたシステムも存在する。なお、ME呼出は、ナースコール子機に接続された医療機器(Medical Equipment)において患者の異常を検出したときに行われる呼び出しである。
【0007】
ナースコール子機からの呼び出しがあったときに、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機のモニタ画面に呼出種別を表示するナースコールシステムによれば、看護師が呼び出しの緊急度を把握して、緊急度の高い呼び出しに対して迅速に応答するなどの適切な対応をとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−232758号公報
【特許文献2】特開2005−204245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のナースコールシステムでは、ME呼出が発生した場合、看護師は呼出種別の表示を見ることによってME呼出であることまでは把握できるものの、医療機器の測定結果にどのような異常が発生しているかは把握することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ME呼出が発生した場合に、医療機器の測定結果にどのような異常が発生しているかまで報知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、医療機器からのME呼出が発生した場合に、医療機器から測定結果を示すME画像を取得して記憶装置の所定のロケーションに格納する。そして、ナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方において呼出信号を受信した後、応答のための操作を検出したときに、所定のロケーションにアクセスし、記憶装置に格納されているME画像を取得して表示する。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、ME呼出が発生した場合、所定のロケーションに対して医療機器の測定結果を示すME画像が格納される。その後、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機において応答のための操作が行われたことが検出されると、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機から所定のロケーションに対してアクセスが行われてME画像が取得され、当該ME画像が表示される。これにより、ME呼出が発生したということだけでなく、医療機器の測定結果にどのような異常が発生しているかまでME画像の表示により報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態によるナースコールの画像表示制御システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像表示制御システムを適用した本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
【図3】本実施形態によるナースコールシステムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールの画像表示制御システムの機能構成例を示すブロック図である。図2は、図1に示す画像表示制御システムを適用した本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。本実施形態のナースコールシステムは、ナースコール子機で呼び出しが行われたことを携帯用ナースコール親機に対して呼出音の出力および画像の表示により報知するものである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態によるナースコールの画像表示制御システムは、その機能構成として、呼出信号送信部101、呼出画像取得部102、呼出種別判定部103、ME画像取得部104、画像格納部105、オフフック検出部106(特許請求の範囲の応答操作検出部に相当)、画像表示制御部107および画像サーバ11(特許請求の範囲の記憶装置に相当)を備えている。
【0016】
また、図2に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ハンド形子機1、医療機器2、壁埋込形子機3、廊下灯4、制御機5、ナースコール親機6、IPアダプタ7、SIPサーバ8、無線送受信機9、IP携帯電話10および画像サーバ11を備えて構成されている。なお、ハンド形子機1、医療機器2および壁埋込形子機3が特許請求の範囲のナースコール子機に相当し、IP携帯電話10が特許請求の範囲の携帯用ナースコール親機に相当する。
【0017】
まず、図1に基づいて説明する。呼出信号送信部101は、ナースコール子機の識別情報および呼出種別情報を含む呼出信号を入力したときに、IP携帯電話10に対して呼出信号を送信する。この呼出信号送信部101の機能は、図2に示すSIPサーバ8が備えている。なお、SIPサーバ8の機能については、図2を用いて後述する。
【0018】
呼出画像取得部102は、ナースコール子機の識別情報および呼出種別情報を含む呼出信号を入力したときに、当該呼出信号に含まれる識別情報に対応付けられた患者情報を含む呼出画像(描画形式の画像のほか、テキスト情報をレイアウトして構成した画像等を含む)を取得する。
【0019】
呼出種別判定部103は、呼出信号に含まれる呼出種別情報に基づいて、医療機器2からのME呼出が発生したか否かを判定する。ME画像取得部104は、 呼出種別判定部103によりME呼出が発生したと判定された場合に、医療機器2から測定結果を示すME画像を取得する。
【0020】
画像格納部105は、呼出画像取得部102により取得された呼出画像をHTML(HyperText Markup Language)画像として画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納するとともに、ME画像取得部104によりME画像が取得された場合には当該ME画像をHTML画像として画像サーバ11の第2の所定のロケーションに格納する。
【0021】
例えば、あるナースコール子機から出力された呼出信号が呼出画像取得部102に入力されると、そのナースコール子機に対応した呼出画像が呼出画像取得部102により取得され、画像格納部105により画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納される。
【0022】
また、その呼出信号に含まれる呼出種別情報に基づいて、医療機器2からのME呼出であることが検出された場合には、ME画像取得部104により医療機器2からME画像が取得され、画像格納部105により画像サーバ11の第2の所定のロケーションに格納される。一方、ME呼出であることが検出されなかった場合には、画像サーバ11の第2の所定のロケーションにおける記憶内容はクリアされる(ME画像が格納されていない状態とされる)。
【0023】
なお、呼出画像取得部102、呼出種別判定部103、ME画像取得部104および画像格納部105の機能は、図2に示すナースコール親機6が備えている。ナースコール親機6の機能については、図2を用いて後述する。
【0024】
オフフック検出部106は、IP携帯電話10においてオフフックされたことを検出する。このオフフック検出部106の機能は、図2に示すIP携帯電話10が備えている。なお、IP携帯電話10の機能については、図2を用いて後述する。
【0025】
画像表示制御部107は、呼出信号送信部101により送信された呼出信号を受信したときに、第1の所定のロケーションをアクセス先とする所在情報(例えば、あらかじめ設定しておいた第1のURL1)に基づき画像サーバ11にアクセスする。そして、第1の所定のロケーションに格納されている呼出画像を画像サーバ11から取得し、IP携帯電話10のモニタ画面に表示させるように制御する。
【0026】
また、画像表示制御部107は、オフフック検出部106によりオフフックが検出されたときに、第2の所定のロケーションをアクセス先とする所在情報(例えば、あらかじめ設定しておいた第2のURL2)に基づき画像サーバ11にアクセスする。そして、第2の所定のロケーションに格納されているME画像を画像サーバ11から取得して、呼出画像に代えてME画像をIP携帯電話10のモニタ画面に表示させるように制御する。
【0027】
なお、この画像表示制御部107の機能も、図2に示すIP携帯電話10が備えている。画像表示制御部107(IP携帯電話10)と画像サーバ11との間は、例えばHTTP(HyperText Transfer Protocol)に基づく通信ネットワークを介して接続される。
【0028】
次に、図2に基づいて説明する。ハンド形子機1は、各患者のベッド脇に設置され、看護師の一般呼出を指示するための一般呼出ボタン、緊急呼出を指示するための緊急呼出ボタンなどを備えている。患者が必要に応じて何れかの呼出ボタンを押下すると、ハンド形子機1は、押下された呼出ボタンに対応する呼出種別の情報を含む呼出信号を出力する。例えば、患者が一般呼出ボタンを押下すると、ハンド形子機1は、一般呼出であることを示す呼出種別情報を含む呼出信号を出力する。
【0029】
医療機器2は、人工呼吸器または心電計などの生体モニタである。医用機器2は、患者の状態が異常と判断された場合(例えば、人工呼吸器または心電計などで異常値が測定された場合など)に、ME呼出であることを示す呼出種別の情報を含む呼出信号を出力する。また、医療機器2は、ナースコール親機6から制御機5、廊下灯4、壁埋込形子機3を介してME画像取得命令が送られてきたときに、医療機器2での測定結果を示すME画像を生成して出力する。
【0030】
壁埋込形子機3は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機3は、ハンド形子機1および医療機器2が接続される接続端子を備えている。また、壁埋込形子機3は、廊下灯4に接続されている。壁埋込形子機3は、ハンド形子機1または医療機器2から呼出信号を受けると、呼出元の識別情報(例えば、壁埋込形子機3の接続端子番号)および呼出種別情報を含む呼出信号を廊下灯4に出力する。また、壁埋込形子機3は、医療機器2からME画像を入力すると、それを廊下灯4に転送する。
【0031】
廊下灯4は、各病室に設置される。廊下灯4は、複数の壁埋込形子機3が接続される複数の入力ポートを備え、どの入力ポートから呼出信号を受けたかに応じて、呼出信号の供給元である壁埋込形子機3を示す情報(例えば、ベッド番号)を特定する。そして、廊下灯4は、壁埋込形子機3の接続端子番号およびベッド番号に廊下灯4の識別情報(例えば、部屋番号)を加えて呼出元であるナースコール子機の識別情報を生成し、当該識別情報および呼出種別情報を含む呼出信号を制御機5に出力する。また、廊下灯4は、壁埋込形子機3からME画像を入力すると、それを制御機5に転送する。
【0032】
制御機5は、廊下灯4とナースコール親機6との間に接続され、廊下灯4から供給された呼出信号をナースコール親機6に出力する。また、制御機5は、廊下灯4からME画像を入力すると、それをナースコール親機6に転送する。制御機5にはIPアダプタ7も接続されている。制御機5は、廊下灯4から呼出信号が供給されたときに、その呼出信号に含まれているナースコール子機の識別情報および呼出種別情報に加えて、呼出先のIP携帯電話10の識別情報を含む呼出信号を生成してIPアダプタ7に出力する。
【0033】
ナースコール親機6は、ナースセンタに設置されている。このナースコール親機6は、壁埋込形子機3を識別するための子機識別情報(部屋番号およびベッド番号)と、その壁埋込形子機3があるベッドを使用している患者の情報(氏名、年齢など)とを対応付けた患者テーブルを図示しないメモリに保持している。また、ナースコール親機6は、上述した子機識別情報と、その子機識別情報に対応する患者の担当看護師が所持するIP携帯電話10の識別情報である電話番号情報とを対応付けた端末テーブルをメモリに保持している。
【0034】
さらに、ナースコール親機6は、各患者に対応する患者情報を含む呼出画像を、それぞれの子機識別情報に対応付けて図示しない画像データベースに保存している。この呼出画像は、例えば、氏名や年齢などの患者情報に加えて、部屋番号やベッド番号などの情報を含んだ画像である。
【0035】
ナースコール親機6は、制御機5から呼出信号を入力すると、看護師の呼び出しを行うべく所定の呼出音をスピーカから出力する。また、ナースコール親機6は、制御機5から入力した呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき画像データベースを参照して呼出画像を取得し(呼出画像取得部102の機能)、当該呼出画像をモニタ画面に表示する。なお、呼出画像の表示に加えまたは代えて、呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき患者テーブルを参照して患者情報を特定し、当該患者情報を部屋番号やベッド番号、呼出種別と共にモニタ画面に表示するようにしてもよい。
【0036】
また、ナースコール親機6は、制御機5から入力した呼出信号に含まれる呼出種別情報に基づいて呼出種別がME呼出である否かを判定する(呼出種別判定部103の機能)。そして、ME呼出であることを検出した場合に、制御機5、廊下灯4、壁埋込形子機3を介して医療機器2に対してME画像取得命令を送信し、その応答として、医療機器2から測定結果を示すME画像を壁埋込形子機3、廊下灯4および制御機5を介して取得する(ME画像取得部104の機能)。
【0037】
また、ナースコール親機6は、制御機5から入力した呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき画像データベースを参照して呼出画像を取得したときに、当該取得した呼出画像をHTML画像として画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納する(画像格納部105の機能)。また、ナースコール親機6は、医療機器2からME画像を取得したときに、当該取得したME画像をHTML画像として画像サーバ11の第2の所定のロケーションに格納する(画像格納部105の機能)。なお、ナースコール親機6において呼出種別がME呼出でないことを検出した場合には、ナースコール親機6は、画像サーバ11の第2の所定のロケーションにおける記憶内容をクリアする。
【0038】
また、ナースコール親機6は、制御機5から呼出信号を入力すると、その呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき端末テーブルを参照し、担当の看護師が所持するIP携帯電話10の電話番号情報を特定し、当該電話番号情報を制御機5に通知する。この通知を受けた制御機5は、上述のように、呼出元であるナースコール子機の識別情報および呼出種別情報に加えて、呼出先であるIP携帯電話10の電話番号情報を含む呼出信号を生成してIPアダプタ7に出力する。
【0039】
IPアダプタ7は、制御機5から呼出信号を入力したときに、その呼出信号をSIPサーバ8に転送する。SIPサーバ8は、IPアダプタ7から転送されてきた呼出信号を呼出先のIP携帯電話10に送信する(呼出信号送信部101の機能)。具体的には、SIPサーバ8は、IP携帯電話10と通信するための無線送受信機9に接続されている。SIPサーバ8は、IPアダプタ7から呼出信号を入力すると、無線送受信機9を介して、当該呼出信号に含まれる電話番号情報を利用して呼出先のIP携帯電話10に架電し、呼出信号を送信する。
【0040】
IP携帯電話10は、SIPサーバ8から呼出信号を受信したときに、所定の呼出音をスピーカから出力する。また、IP携帯電話10は、第1の所定のロケーションをアクセス先とする第1のURL1に基づいて画像サーバ11にアクセスする。そして、第1の所定のロケーションに格納されている呼出画像を画像サーバ11から取得し、モニタ画面に表示させるように制御する(画像表示制御部107の機能)。
【0041】
また、IP携帯電話10は、呼出音の鳴動および呼出画像の表示に応答して看護師がオフフックしたか否かを検出し(オフフック検出部106の機能)、オフフックが検出されたときに、第2の所定のロケーションをアクセス先とする第2のURL2に基づいて画像サーバ11にアクセスする。そして、第2の所定のロケーションに格納されているME画像を画像サーバ11から取得し、呼出画像に代えてME画像をモニタ画面に表示させるように制御する(画像表示制御部107の機能)。
【0042】
次に、上記のように構成した本実施形態によるナースコールシステムの動作を説明する。図3は、本実施形態によるナースコールシステムの動作例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、医療機器2からME呼出が発生したときに開始する。
【0043】
医療機器2において測定結果に異常が発生すると、医療機器2は、ME呼出の呼出種別情報を含む呼出信号を出力する(ステップS1)。この呼出信号は、壁埋込形子機3および廊下灯4を介して制御機5に供給される。制御機5に供給される時点で、呼出信号はナースコール子機の識別情報(壁埋込形子機3の接続端子番号およびベッド番号、廊下灯4の部屋番号)と呼出種別情報とを含むものとなっている。
【0044】
制御機5は、廊下灯4から供給された呼出信号をナースコール親機6に出力する(ステップS2)。この呼出信号を受けたナースコール親機6は、その呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき端末テーブルを参照し、呼び出しが行われた医療機器2を使用する患者の担当看護師が所持するIP携帯電話10の電話番号情報を呼出先として特定する(ステップS3)。そして、特定した電話番号情報を制御機5に通知する(ステップS4)。電話番号情報の通知を受けた制御機5は、廊下灯4より入力した呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報および呼出種別情報に加えて、電話番号情報を含む呼出信号を生成してIPアダプタ7に出力する(ステップS5)。
【0045】
また、ナースコール親機6は、制御機5から供給された呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき画像データベースを参照し、当該識別情報に対応する呼出画像を取得する(ステップS6)。そして、取得した呼出画像をナースコール親機6のモニタ画面に表示するとともに、呼出音をスピーカから出力することによって呼び出しを行う(ステップS7)。さらに、ナースコール親機6は、ステップS6で取得した呼出画像を画像サーバ11に供給する(ステップS8)。画像サーバ11は、ナースコール親機6から供給された呼出画像を第1の所定のロケーションに格納する(ステップS9)。
【0046】
次に、ナースコール親機6は、制御機5から入力した呼出信号に含まれる呼出種別情報に基づいて、ME呼出が発生したか否かを判定する(ステップS10)。そして、ナースコール親機6は、ME呼出の発生を検出した場合、医療機器2に対してME画像取得命令を送信することにより、医療機器2から測定結果を示すME画像を取得する(ステップS11)。
【0047】
そして、ナースコール親機6は、当該取得したME画像を画像サーバ11に供給する(ステップS12)。画像サーバ11は、ナースコール親機6から供給されたME画像を第2の所定のロケーションに格納する(ステップS13)。なお、呼出種別がME呼出ではないと判定された場合、ステップS11〜S13の処理は行わない。
【0048】
制御機5から呼出信号を受信したIPアダプタ7は、その呼出信号をSIPサーバ8に転送する(ステップS14)。SIPサーバ8は、IPアダプタ7から転送されてきた呼出信号を呼出先のIP携帯電話10に送信する(ステップS15)。すなわち、SIPサーバ8は、無線送受信機9を介して、呼出信号に含まれる電話番号情報を利用して呼出先のIP携帯電話10に架電し、呼出信号を送信する。この呼出信号を受信したIP携帯電話10は、所定の呼出音をスピーカから出力することによって呼び出しを行う(ステップS16)。
【0049】
また、IP携帯電話10は、第1の所定のロケーションをアクセス先とする第1のURL1に基づいて画像サーバ11にアクセスし、第1の所定のロケーションに格納されている呼出画像を画像サーバ11から取得する(ステップS17)。そして、IP携帯電話10は、画像サーバ11から取得した呼出画像(医療機器2を使用する患者の情報を含む画像)をモニタ画面に表示させることによって呼び出しを行う(ステップS18)。
【0050】
この呼び出しを受けた看護師が、IP携帯電話10をオフフックすると(ステップS19)、そのことを検出したIP携帯電話10は、第2の所定のロケーションをアクセス先とする第2のURL2に基づいて画像サーバ11にアクセスし、第2の所定のロケーションに格納されているME画像を画像サーバ11から取得する(ステップS20)。そして、IP携帯電話10は、画像サーバ11から取得したME画像を呼出画像に代えてモニタ画面に表示させる(ステップS21)。
【0051】
なお、以上のフローチャートには図示していないが、IP携帯電話10をオフフックした後にオンフックすると、ME画像が消されてモニタ画面は非表示とされる。また、ステップS10で呼出種別がME呼出ではないと判断した場合、ナースコール親機6は画像サーバ11に命令を出して、第2の所定のロケーションにおける記憶内容をクリアする。この場合、ステップS20でIP携帯電話10が画像サーバ11にアクセスしてME画像を取得しようとしても、ME画像を取得することはできない。その場合、ステップS21でME画像は表示されず、IP携帯電話10のモニタ画面は非表示となる。
【0052】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、医療機器2からのME呼出が発生した場合に、ナースコール親機6が呼出画像を画像データベースから取得して画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納するとともに、医療機器2から測定結果を示すME画像を取得して画像サーバ11の第2の所定のロケーションに格納する。そして、IP携帯電話10において呼出信号を受信したときに、画像サーバ11の第1の所定のロケーションから呼出画像を取得して表示し、その後オフフックを検出したときに、第2の所定のロケーションからME画像を取得して表示するようにしている。
【0053】
このように構成した本実施形態によれば、ME呼出が発生した場合、IP携帯電話10では、呼出信号の受信に応じて呼出画像が表示され、その後オフフックが検出されると、呼出画像に代えてME画像が表示される。これにより、ME呼出が発生したということだけでなく、医療機器2の測定結果にどのような異常が発生しているかまでME画像の表示により報知することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、ME呼出が発生したときにME画像をIP携帯電話10にて表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、IP携帯電話10に加えまたは代えて、ナースコール親機6においてME画像を表示するようにしてもよい。
【0055】
ナースコール親機6においてME画像を表示する場合、制御機5がナースコール親機6に対して呼出信号を送信する機能が、特許請求の範囲の呼出信号送信部に相当する。また、ナースコール親機6は、ナースコール親機6でのオフフックを検出する機能を備え、これが特許請求の範囲の応答操作検出部に相当する。また、ナースコール親機6は、医療機器2から取得したME画像を画像サーバ11の所定のロケーション(上記実施形態における第2の所定のロケーションに相当する)に格納すればよく、画像データベースから取得した呼出画像は画像サーバ11に格納する必要はない。
【0056】
この場合、ナースコール親機6は、制御機5から送信された呼出信号を受信したときに、画像データベースから呼出画像を取得して表示するとともに、ナースコール親機6でのオフフックを検出したときに、画像サーバ11にアクセスして所定のロケーションからME画像を取得して表示する。このナースコール親機6の機能が、特許請求の範囲の画像表示制御部に相当する。
【0057】
なお、ここでは医療機器2から取得したME画像を画像サーバ11に格納し、ナースコール親機6でオフフックを検出したときに画像サーバ11にアクセスしてME画像を取得しているが、この例に限定されない。例えば、医療機器2から取得したME画像をナースコール親機6の図示しないメモリの所定のロケーションに格納し(この場合は、このメモリが特許請求の範囲の記憶装置に相当する)、ナースコール親機6でオフフックを検出したときに、当該メモリにアクセスして所定のロケーションからME画像を取得するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、IP携帯電話10でオフフックを検出したときに、画像サーバ11の第2の所定のロケーションにアクセスしてME画像を取得する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、以下のように構成してもよい。
【0059】
すなわち、IP携帯電話10でオフフックを検出したときに、そのことをナースコール親機6に通知し、第2の所定のロケーションにME画像が格納されているか否かを判定する。そして、ME画像が格納されていると判定したときに、ナースコール親機6からME画像取得命令を出力し、制御機5、IPアダプタ7およびSIPサーバ8を介してIP携帯電話10に送信する。
【0060】
IP携帯電話10は、ME画像取得命令を受信したときに、画像サーバ11の第2の所定のロケーションにアクセスしてME画像を取得し、呼出画像に代えてME画像を表示する。なお、IP携帯電話10では、SIPサーバ8からME画像取得命令を受信しない限り、オフフックを検出した後も、呼出画像を表示し続けるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、IP携帯電話10が呼出信号を受信したときにまず呼出画像を表示し、その後オフフックを検出したときにME画像に切り替えて表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、IP携帯電話10が呼出信号を受信したときに、呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報および呼出種別情報に基づいて、部屋番号やベッド番号、呼出種別を表示するようにしてもよい。ナースコール親機6がナースコール子機の識別情報に基づき患者テーブルを参照して特定した患者情報も呼出信号に含めて送信するようにすれば、当該患者情報も更に表示することができる。このような情報を表示した後、オフフックが検出されたら、IP携帯電話10は画像サーバ11にアクセスしてME画像を取得し、当該ME画像を表示する。
【0062】
また、上記実施形態では、呼出画像は画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納し、ME画像は画像サーバ11の第2の所定のロケーションに格納する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、呼出画像およびME画像を画像サーバ11上の同じ所定のロケーションに格納するようにしてもよい。
【0063】
例えば、ナースコール親機6が制御機5から呼出信号を入力したときに、画像データベースから呼出画像を取得し、画像サーバ11の所定のロケーションに格納する。そして、IP携帯電話10が呼出信号を受信したときに、画像サーバ11にアクセスして所定のロケーションから呼出画像を取得し、モニタ画面に表示する。
【0064】
その後、IP携帯電話10でオフフックが検出されたときに、そのことをSIPサーバ8、IPアダプタ7および制御機5を介してナースコール親機6に通知する。ナースコール親機6はこの通知を受けて、呼出種別がME呼出であると判定されている場合には医療機器2からME画像を取得し、画像サーバ11の所定のロケーションに格納する。その後、IP携帯電話10が画像サーバ11にアクセスし、所定のロケーションからME画像を取得してモニタ画面に表示する。
【0065】
また、上記実施形態では、呼出画像取得部102および画像格納部105の機能をナースコール親機6が備える例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、これらの機能を制御機5が備えてもよいし、IPアダプタ7が備えてもよい。呼出画像取得部102および画像格納部105の機能を制御機5が備える場合、ナースコール親機6が画像データベースから取得した呼出画像を制御機5が更に取得し、画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納する。あるいは、制御機5が画像データベースから直接的に呼出画像を取得し、画像サーバ11の第1の所定のロケーションに格納する。
【0066】
また、上記実施形態では、呼出種別判定部103、ME画像取得部104および画像格納部105の機能をナースコール親機6が備える例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、これらの機能を制御機5が備えてもよいし、IPアダプタ7が備えてもよい。これらの機能を制御機5が備える場合、制御機5にて呼出種別がME呼出か否かを判定し、ME呼出であると判定した場合には制御機5が医療機器2に対してME画像取得命令を送信する。そして、その応答として医療機器2から送られてきたME画像を制御機5にて取得し、画像サーバ11の第2の所定のロケーションに格納する。
【0067】
また、上記実施形態では、画像データベースにあらかじめ格納されている呼出画像を呼出画像取得部102が読み出して取得する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、呼出画像取得部102は、制御機5から入力した呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報により特定される部屋番号やベッド番号と、当該識別情報に基づき患者テーブルを参照することによって特定される患者の氏名や年齢などと、呼出信号に含まれる呼出種別とを含む画像を動的に生成することによって呼出画像を取得するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、携帯用ナースコール親機の例としてIP携帯電話10を用いる例について説明したが、IP携帯電話10の代わりにPHS端末を用いてもよい。この場合、例えばSIPサーバ8の代わりにハンディナースコール主装置および構内交換機(PBX)が用いられる。また、IPアダプタ7の代わりにPBXアダプタが用いられる。
【0069】
また、上記実施形態では、ナースコール子機からの呼び出しに対するIP携帯電話10における応答のための操作としてオフフックを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、応答ボタンや復旧ボタンなどの応答のためのボタンの操作であってもよい。
【0070】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ハンド形子機
2 医療機器
3 壁埋込形子機
4 廊下灯
5 制御機
6 ナースコール親機
7 IPアダプタ
8 SIPサーバ
9 無線送受信機
10 IP携帯電話(携帯用ナースコール親機)
11 画像サーバ
101 呼出信号送信部
102 呼出画像取得部
103 呼出種別判定部
104 ME画像取得部
105 画像格納部
106 オフフック検出部
107 画像表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール子機で呼び出しが行われたことをナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方に対して画像の表示により報知するように成されたナースコールの画像表示制御システムであって、
上記ナースコール子機の識別情報および呼出種別情報を含む呼出信号を入力したときに、上記ナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方に対して上記呼出信号を送信する呼出信号送信部と、
上記呼出信号に含まれる上記呼出種別情報に基づいて、上記ナースコール子機の一種である医療機器からのME呼出が発生したか否かを判定する呼出種別判定部と、
上記呼出種別判定部により上記ME呼出が発生したと判定された場合に、上記医療機器から測定結果を示すME画像を取得するME画像取得部と、
上記ME画像取得部により取得された上記ME画像を記憶装置の所定のロケーションに格納する画像格納部と、
上記ナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方において応答のための操作が行われたことを検出する応答操作検出部と、
上記呼出信号送信部により送信された上記呼出信号を上記ナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方において受信した後、上記応答操作検出部により上記応答のための操作を検出したときに、上記所定のロケーションに格納されている上記ME画像を上記記憶装置から取得して表示するように制御する画像表示制御部とを備えことを特徴とするナースコールの画像表示制御システム。
【請求項2】
上記呼出信号に含まれる上記識別情報に対応付けられた患者情報を含む呼出画像を取得する呼出画像取得部を更に備え、
上記画像格納部は、上記呼出画像取得部により取得された上記呼出画像を上記記憶装置の所定のロケーションに格納するとともに、上記ME画像取得部により上記ME画像が取得された場合には当該ME画像を上記記憶装置の所定のロケーションに格納し、
上記画像表示制御部は、上記呼出信号送信部により送信された上記呼出信号を上記ナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方において受信したときに、上記所定のロケーションをアクセス先とする所在情報に基づき上記記憶装置にアクセスし、上記所定のロケーションに格納されている上記呼出画像を上記記憶装置から取得して表示するとともに、上記応答操作検出部により上記応答のための操作を検出したときに、上記所定のロケーションをアクセス先とする所在情報に基づき上記記憶装置にアクセスし、上記所定のロケーションに格納されている上記ME画像を上記記憶装置から取得して、上記呼出画像に代えて上記ME画像を表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載のナースコールの画像表示制御システム。
【請求項3】
上記呼出画像取得部により取得された上記呼出画像を上記記憶装置の第1の所定のロケーションに格納するとともに、上記ME画像取得部により上記ME画像が取得された場合には当該ME画像を上記記憶装置の第2の所定のロケーションに格納し、
上記画像表示制御部は、上記呼出信号送信部により送信された上記呼出信号を上記ナースコール親機および携帯用ナースコール親機の少なくとも一方において受信したときに、上記第1の所定のロケーションをアクセス先とする所在情報に基づき上記記憶装置にアクセスし、上記第1の所定のロケーションに格納されている上記呼出画像を上記記憶装置から取得して表示するとともに、上記応答操作検出部により上記応答のための操作を検出したときに、上記第2の所定のロケーションをアクセス先とする所在情報に基づき上記記憶装置にアクセスし、上記第2の所定のロケーションに格納されている上記ME画像を上記記憶装置から取得して、上記呼出画像に代えて上記ME画像を表示するように制御することを特徴とする請求項2に記載のナースコールの画像表示制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−231288(P2012−231288A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98153(P2011−98153)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】