説明

ナースコールシステム

【課題】 誤報をできるだけ減らしつつ、患者の状態によらずに病床上に離床センサを設置した上で、患者の状態に適した報知を行うようにする。
【解決手段】 離床センサ3を各病床に設置し、子機識別情報と患者の救護区分情報とを関連付けて記憶しておく。担送の患者については、離床を検出している状態で第一の時間が経過した場合に報知を行い、護送の患者については、離床を検出している状態で第一の時間よりも長い第二の時間が経過した場合に報知を行って、独歩の患者については、離床を検出している状態で第二の時間よりも長い第三の時間が経過した場合に報知を行うようにしている。従って、誤報を減らしつつ、患者の状態によらずに離床センサ3を病床上に設置することができる。また、離床を検出してから報知を行うまでの時間を患者の状態により異ならせているので、患者の状態に合わせて報知を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が病床から転落した場合や、患者が離床して徘徊した場合などの患者に異常が発生したことを看護師などの医療従事者に報知するナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナースコールシステムは、呼出ボタンを有するナースコール子機を各病室内の各病床の近傍に設置するとともに、看護師などの医療従事者が常駐するナースセンタにナースコール親機を設置している。そして、患者がナースコール子機の呼出ボタンを操作した場合に、ナースコール子機からナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機にて呼び出しの発生を報知するように構成されている。ここで、ナースコールシステムは、病院だけではなく、介護施設などでも使用される。
【0003】
ナースコール親機には、LED(light-emitting diode)などのランプと患者氏名を表示する表示欄とを備えた選局部を患者の数に応じて組み合わせたボード形のものが知られている。ボード形のナースコール親機は、ナースセンタの壁面などに取り付けられ、ナースセンタ内の医療従事者がボード形親機に表示された情報を閲覧することが可能である。ここで、ナースコール子機から出力された呼出信号を入力したナースコール親機では、呼出信号に含まれ、ナースコール子機を識別するための子機識別情報により呼び出しを行ったナースコール子機を特定する。そして、特定されたナースコール子機を使用している患者に対応する選局部のランプを点灯または点滅させることで呼び出しの発生の報知を行っている。また、呼び出しの発生の報知は、選局部のランプの点灯/点滅だけではなく、スピーカから出力される音声によっても行われる。
【0004】
このように、ナースコール親機にて呼び出しの発生が報知されると、これに気付いた医療従事者が応答する必要がある。そのため、ナースコール親機には、呼び出しの発生の報知に応答するためのハンドセットが設けられている。呼び出しの発生が報知されている場合に、医療従事者がハンドセットをオフフックすると、呼び出しの発生の報知が停止し、ナースコール親機とナースコール子機(またはナースコール子機が設置された病室)との間で通話路が形成される。ここで、ナースコール子機(または病室)には、通話用のスピーカやマイクが設けられているため、患者と医療従事者との間で通話が可能となる。
【0005】
なお、ナースコール親機としては、上述したボード形のものだけではなく、卓上に設置される卓上形のもの、PC(personal computer)および表示ディスプレイを組み合わせ、報知や各種情報をディスプレイ上に表示するPC形のものも知られている。また、ナースコール子機としては、上述した通話可能なものだけではなく、呼出ボタンの機能のみを持つナースコール子機も知られている。この場合、呼び出しの発生の報知を停止するための復旧の操作を行うための復旧ボタンが用いられる。
【0006】
ところで、病床上に離床センサを設置し、それを用いて、患者が病床から転落したことや、患者が離床して徘徊していることを検出し、ナースコール親機で報知を行う技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−152616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、離床センサが患者の離床を検出すると、ナースコール親機で報知が行われるので、病床から転落する危険性のある患者に対してのみ離床センサを設置したり、離床センサの検出を有効に設定したりする必要があり、設置や撤去、設定の手間がかかってしまうという問題があった。例えば、自由に動き回ることができるような、病床から転落する危険性の少ない患者については、離床センサを設置したり、離床センサの検出を有効に設定したりする必要は無いと考えられる。そのため、患者の状態に応じて、離床センサを設置したり、撤去したり、設定を変更したりする必要があった。また、病床上に離床センサを設置する場合、病床に着床した患者の上半身にあたる部分にだけ離床センサが存在するようなケースでは、患者が起き上がっただけで、ナースコール親機で報知が行われてしまうので、誤報が増えてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、病床上の一部を覆う離床センサを用いて患者の離床を検出する場合に、誤報をできるだけ減らしつつ、患者の状態によらずに病床上に離床センサを設置することができるようにするとともに、患者の状態に適した報知を行うようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明では、病床上の一部を覆う離床センサを各病床に設置し、各病床とその患者の救護区分とを関連付けて記憶しておく。救護区分が担送である患者の病床については、離床センサが離床を検出している状態で第一の時間が経過した場合に報知を行い、救護区分が護送である患者の病床については、離床センサが離床を検出している状態で第一の時間よりも長い第二の時間が経過した場合に報知を行って、救護区分が独歩である患者の病床については、離床センサが離床を検出している状態で第二の時間よりも長い第三の時間が経過した場合に報知を行うようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、救護区分が担送である患者の病床については、その患者が自力で起き上がることが困難であると考えられるので、最も短い時間である第一の時間が経過した時点で報知が行われる。また、救護区分が護送である患者の病床については、その患者が自力で起き上がることができる可能性があるため、第一の時間よりも長い第二の時間が経過した時点で報知が行われる。そのため、患者が起き上がっても直ぐに着床した場合には、報知が行われない。また、救護区分が独歩である患者の病床については、その患者が自由に動き回ることができるため、患者が自由に動きまわっても、第二の時間よりも長い第三の時間が経過するまでは報知が行われない。一方、患者が徘徊したり行方不明になったりするケースも考えられるため、第二の時間よりも長い第三の時間が経過した時点で報知が行われる。従って、離床センサを用いて患者の離床を検出する場合に、誤報をできるだけ減らしつつ、患者の状態によらずに離床センサを病床上に設置することができる。また、離床センサが離床を検出してから報知を行うまでの時間を患者の状態により異ならせているので、患者の状態に適した報知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナースコールシステムの離床センサの設置例を示す図である。
【図3】本実施形態によるナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。図1に示すナースコールシステムは、病室内の病床毎に設置され、患者の離床を検出するナースコール子機1と、医療従事者が常駐するナースセンタなどに設置され、医療従事者によって使用されるナースコール親機10とを備えて構成されている。なお、ナースコール子機1に、患者が自分の意思で医療従事者を呼び出すための呼出ボタンを設けるようにしても良い。
【0014】
また、ナースコール子機1は、子機制御部2、離床センサ3、子機インターフェース4を備えて構成されている。また、ナースコール親機10は、親機制御部11、親機インターフェース12、記憶部13、計時部14、報知部15を備えて構成されている。
【0015】
まず、ナースコール子機1の各構成要素について説明する。子機制御部2は、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。離床センサ3は、図2に示すように、病床B上の一部(例えば、患者の上半身にあたる部分)を覆うように設置されている。また、離床センサ3は、コードCを介して壁面のウォールユニットWに接続されている。患者が病床B上に寝ている状態で、離床センサ3に荷重がかかっている場合には、離床センサ3は離床を検出しない。一方、患者が起き上がったり、患者が病床Bから転落したり、患者が病床Bから離れたりすると、離床センサ3は離床を検出する。ここで、ウオールユニットWとナースコール親機10とは、有線や無線によって通信可能に接続されている。
【0016】
子機制御部2は、離床センサ3が離床を検出している場合に検出信号を生成する。ここで、検出信号には、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と区別するための子機識別情報が含まれる。また、子機制御部2は、離床センサ3が離床を検出している間は検出信号を生成し続ける。また、子機識別情報としては、病床番号などの情報を用いる。
【0017】
子機インターフェース4は、ナースコール子機1とナースコール親機10とを接続して通信を行うためのものである。ここで、子機インターフェース4は、子機制御部2により生成された検出信号をナースコール親機10に出力する。また、子機インターフェース4は、子機制御部2が検出信号を生成し続ける限り、子機制御部2により生成された検出信号をナースコール親機10に出力し続ける。また、ナースコール子機1とナースコール親機10との間の通信は、有線や無線によって行われる。
【0018】
また、ナースコール子機1とナースコール親機10との間には、ナースコール子機1からの呼び出しを表示したり、病室内の患者の氏名などを表示したりする図示しない廊下灯が接続されている。また、ナースコール子機1とナースコール親機10との間には、ナースコール子機1およびナースコール親機10間の通話やデータの送受信に関する制御を行う図示しない制御機が接続されている。
【0019】
次に、ナースコール親機10の各構成要素について説明する。親機制御部11は、ナースコール親機10の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。親機インターフェース12は、ナースコール親機10とナースコール子機1とを接続して通信を行うためのものである。ここで、親機インターフェース12は、ナースコール子機1から出力された検出信号を入力する。また、親機インターフェース12は、子機インターフェース4が検出信号を出力し続ける限り、検出信号を入力し続ける。
【0020】
記憶部13は、メモリやハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されており、ナースコール親機10に接続されているナースコール子機1の子機識別情報(例えば、病床番号など)と子機識別情報により特定される病床Bに居る患者の救護区分を示す救護区分情報とを関連付けて記憶している。なお、必要に応じて患者を識別するための患者識別情報(例えば、患者氏名など)を関連付けて記憶部13に記憶するようにしても良い。ここで、救護区分情報としては、患者が自力で歩くことができることを示す独歩、患者が介助により移動可能であることを示す護送、患者が移送用の機器(例えば、担架やストレッチャーなど)を使用することにより移動可能であることを示す担送の三つがある。
【0021】
計時部14は、時間を計測するものである。報知部15は、患者に異常が発生したことを報知するためのものであり、スピーカや表示装置、表示ランプなどによって構成されている。報知部15は、スピーカから報知音を出力したり、表示装置に報知の内容を表示したり、表示ランプを点灯/点滅したりすることで報知を行う。
【0022】
親機インターフェース12がナースコール子機1から検出信号を入力した場合に、親機制御部11は計時部14を動作させる。そして、親機制御部11は、記憶部13を参照して、検出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている救護区分情報を取得する。ここで、取得した救護区分情報が担送である場合には、親機制御部11は、所定の時間として第一の時間(例えば、5秒など)を設定し、計時部14が計測した時間が第一の時間になるまで親機インターフェース12が検出信号を入力しているか否かを調べる。そして、計時部14が計測した時間が第一の時間になるまで親機インターフェース12が検出信号を入力している場合には、親機制御部11は報知部15を動作させる。なお、救護区分情報が担送である患者が離床するということは、患者が病床Bから転落した可能性が高いと考えられるため、報知部15は患者が病床Bから転落したことを示唆するような報知を行うようにしても良い。
【0023】
一方、計時部14が計測した時間が第一の時間になるまでに親機インターフェース12が検出信号を入力しなくなった場合には、親機制御部11は、計時部14をリセットして時間の計測を停止させる。ここで、極めて短い時間である第一の時間になるまでに親機インターフェース12が検出信号を入力しなくなるということは、患者が寝返りをうつなどして検出信号が一時的に途絶えたケースが考えられる。
【0024】
また、取得した救護区分情報が護送である場合には、親機制御部11は、所定の時間として第一の時間よりも長い第二の時間(例えば、10分など)を設定し、計時部14が計測した時間が第二の時間になるまで親機インターフェース12が検出信号を入力しているか否かを調べる。そして、計時部14が計測した時間が第二の時間になるまで親機インターフェース12が検出信号を入力している場合には、親機制御部11は報知部15を動作させる。なお、救護区分情報が護送である患者が第二の時間以上離床するということは、患者が病床Bから転落した可能性が高いと考えられるため、報知部15は患者が病床Bから転落したことを示唆するような報知を行うようにしても良い。
【0025】
一方、計時部14が計測した時間が第二の時間になるまでに親機インターフェース12が検出信号を入力しなくなった場合には、親機制御部11は、計時部14をリセットして時間の計測を停止させる。ここで、ある程度の長さである第二の時間になるまでに親機インターフェース12が検出信号を入力しなくなるということは、患者が一時的に起き上がるようなケースが考えられる。
【0026】
また、取得した救護区分情報が独歩である場合には、親機制御部11は、所定の時間として第二の時間よりも長い第三の時間(例えば、4時間など)を設定し、計時部14が計測した時間が第三の時間になるまで親機インターフェース12が検出信号を入力しているか否かを調べる。そして、計時部14が計測した時間が第三の時間になるまで親機インターフェース12が検出信号を入力している場合には、親機制御部11は報知部15を動作させる。なお、救護区分情報が独歩である患者が第三の時間以上離床するということは、患者が病床Bを離れて徘徊したり行方不明になったりした可能性が高いと考えられるため、報知部15は患者が徘徊(または行方不明)であることを示唆するような報知を行うようにしても良い。
【0027】
一方、計時部14が計測した時間が第三の時間になるまでに親機インターフェース12が検出信号を入力しなくなった場合には、親機制御部11は、計時部14をリセットして時間の計測を停止させる。ここで、極めて長い時間である第三の時間になるまでに親機インターフェース12が検出信号を入力しなくなるということは、患者が出歩いても戻ってきているようなケースが考えられる。また、所定の時間である第一の時間、第二の時間、第三の時間を示す情報は、記憶部13に記憶されている。
【0028】
報知部15が動作すると、医療従事者が報知を把握することができる。このとき、報知部15の表示装置や表示ランプによって、異常が発生している病床Bの病床番号や異常が発生している患者を特定することができるので、それを確認した医療従事者は、図示しない復旧ボタンなどを用いて復旧の操作を行う。復旧の操作が行われると、親機制御部11は、設定されている所定の時間の情報をリセットして、報知部15の動作を停止する。
【0029】
次に、本実施形態によるナースコールシステムの動作を説明する。図3は、本実施形態によるナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。ここで、本フローチャートの処理は、ナースコール子機1毎に行われている。まず、ナースコール子機1にて、離床センサ3が離床を検出したか否かを子機制御部2にて調べる(ステップS1)。離床センサ3が離床を検出していないと子機制御部2にて判断した場合には(ステップS1にてNO)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、離床センサ3が離床を検出したと子機制御部2にて判断した場合には(ステップS1にてYES)、子機制御部2は検出信号を生成し、子機インターフェース4は子機制御部2により生成された検出信号をナースコール親機10へ出力する(ステップS2)。
【0030】
そして、離床センサ3が離床を検出しているか、換言すると、離床センサ3が離床を検出し続けているかを子機制御部2にて調べる(ステップS3)。離床センサ3が離床を検出していると子機制御部2にて判断した場合には(ステップS3にてYES)、ステップS2の処理に戻る。一方、離床センサ3が離床を検出していないと子機制御部2にて判断した場合には(ステップS3にてNO)、子機制御部2は検出信号の生成を停止し、親機インターフェース4は検出信号の出力を停止する(ステップS4)。
【0031】
ナースコール親機10では、親機インターフェース12が検出信号を入力したか否かを親機制御部11にて調べる(ステップS5)。親機インターフェース12が検出信号を入力していないと親機制御部11にて判断した場合には(ステップS5にてNO)、ステップS5の処理を繰り返す。一方、親機インターフェース12が検出信号を入力したと親機制御部11にて判断した場合には(ステップS5にてYES)、親機制御部11は、計時部14を動作させるとともに、記憶部13を参照して検出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている救護区分情報を取得し、取得した救護区分情報により所定の時間を設定する(ステップS6)。ここで、所定の時間は、第一の時間〜第三の時間の何れかに設定される。
【0032】
そして、親機インターフェース12が検出信号を入力しているか、換言すると、親機インターフェース12が検出信号を入力し続けているかを親機制御部11にて調べる(ステップS7)。親機インターフェース12が検出信号を入力していないと親機制御部11にて判断した場合には(ステップS7にてNO)、ステップS11の処理に移行する。一方、親機インターフェース12が検出信号を入力していると親機制御部11にて判断した場合には(ステップS7にてYES)、親機制御部11は、報知部15を動作させて、患者に異常が発生したことを報知する(ステップS9)。
【0033】
そして、復旧の操作が行われたか否かを親機制御部11にて調べる(ステップS10)。復旧の操作が行われていないと親機制御部11にて判断した場合には(ステップS10にてNO)、ステップS10の処理を繰り返す。一方、復旧の操作が行われたと親機制御部11にて判断した場合には(ステップS10にてYES)、ステップS11の処理に移行する。ステップS11では、親機制御部11は、設定された所定の時間の情報をリセットし、報知部15が動作している場合にはそれを停止することで、処理を終了する。
【0034】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、病床B上の一部を覆う離床センサ3を各病床Bに設置し、各病床Bに設置されているナースコール子機1の子機識別情報と各病床Bの患者の救護区分を示す救護区分情報とを関連付けて記憶部13に記憶しておく。救護区分情報が担送である患者については、離床センサ3が離床を検出している状態で第一の時間が経過した場合に報知部15を動作させ、救護区分情報が護送である患者については、離床センサ3が離床を検出している状態で第一の時間よりも長い第二の時間が経過した場合に報知部15を動作させて、救護区分情報が独歩である患者については、離床センサ3が離床を検出している状態で第二の時間よりも長い第三の時間が経過した場合に報知部15を動作させるようにしている。
【0035】
これにより、救護区分情報が担送である患者については、自力で起き上がることが困難であると考えられるので、最も短い時間である第一の時間が経過した時点で報知が行われる。また、救護区分情報が護送である患者については、自力で起き上がることができる可能性があるため、第一の時間よりも長い第二の時間が経過した時点で報知が行われる。そのため、患者が起き上がっても直ぐに着床した場合には、報知が行われない。また、救護区分情報が独歩である患者については、自由に動き回ることができるため、患者が自由に動きまわっても、第二の時間よりも長い第三の時間が経過するまでは、離床しても報知が行われない。一方、患者が徘徊したり行方不明になったりするケースも考えられるため、第二の時間よりも長い第三の時間が経過した時点で報知が行われる。従って、離床センサ3を用いて患者の離床を検出する場合に、誤報をできるだけ減らすことができる。また、患者の状態によらずに離床センサ3を病床上に設置することができる。そのため、病棟内や病院内の全ての病床Bに離床センサ3を設置したままでも、患者の状態に合わせて、離床センサ3の動作を停止させたり、報知部15を動作させる条件を設定したりする必要がなくなる。また、離床センサ3が離床を検出してから報知を行うまでの時間を患者の状態により異ならせているので、患者の状態に合わせて報知を行うことができる。
【0036】
なお、前述した実施形態では、離床センサ3が離床を検出した場合に、子機制御部2が検出信号を生成し続け、子機インターフェース4が検出信号を出力し続けるようにしているが、これに限定されない。例えば、離床センサ3が離床を検出した場合に、子機制御部2がワンショットの検出信号を生成し、子機インターフェース4がこの検出信号を出力するとともに、離床センサ3が離床の検出をしなくなった場合に、子機制御部2がワンショットの検出停止信号を生成し、子機インターフェース4がこの検出停止信号を出力することで、離床センサ3による離床の検出の継続をナースコール親機10に伝達するようにしても良い。
【0037】
また、前述した実施形態では、離床センサ3は、荷重の有無により離床を検出しているが、これに限定されない。例えば、病床B上を通る赤外線光の遮断の有無により離床を検出するようにしても良い。
【0038】
また、前述した実施形態では、救護区分情報として、担送、護送、独歩の三つを使用しているが、これに限定されない。上記以外の救護区分情報を使用するようにしても良い。この場合、患者の行動の自由度が増す毎に、所定の時間が長くなるように設定するようにすれば良い。
【0039】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ナースコール子機
2 子機制御部
3 離床センサ
4 子機インターフェース
10 ナースコール親機
11 親機制御部
12 親機インターフェース
13 記憶部
14 計時部
15 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病床上の一部を覆い、患者の離床を検出する離床センサと、前記離床センサが離床を検出している場合に子機識別情報を含む検出信号を生成する子機制御部と、前記子機制御部にて生成された検出信号を出力する子機インターフェースとを有するナースコール子機と、
前記検出信号を入力する親機インターフェースと、少なくとも子機識別情報、および、患者が自力で歩くことができることを示す独歩と患者が介助により移動可能であることを示す護送と患者が移送用の機器を使用することにより移動可能であることを示す担送との何れの救護区分であるかを示す救護区分情報を関連付けて記憶する記憶部と、時間を計測する計時部と、前記患者に異常が発生したことを報知する報知部と、前記親機インターフェースが前記検出信号を入力した場合に、前記計時部を動作させるとともに、前記記憶部を参照して前記検出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている救護区分情報を取得し、取得した救護区分情報が担送である場合には、前記計時部が計測した時間が第一の時間になるまで前記親機インターフェースが前記検出信号を入力しているときに前記報知部を動作させ、前記救護区分情報が護送である場合には、前記計時部が計測した時間が前記第一の時間よりも長い第二の時間になるまで前記親機インターフェースが前記検出信号を入力しているときに前記報知部を動作させて、前記救護区分情報が独歩である場合には、前記計時部が計測している時間が前記第二の時間よりも長い第三の時間になるまで前記親機インターフェースが前記検出信号を入力しているときに前記報知部を動作させる親機制御部とを有するナースコール親機と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−5170(P2011−5170A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153907(P2009−153907)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】