説明

ニッケルの表面の高い触媒活性を有するナノ構造薄膜およびその合金ならびにそれらを得る方法

本発明は、ニッケルまたはその合金の少なくとも一つの表面層を含む基板上に触媒活性を持つ表面層を作成する方法を提供する。より詳しくは、この方法は、前記基板の表面を酸化して、酸化ニッケルのアンカー層を得、コロイド状シリカを前記アンカー層に塗布し、得られた基板の表面を加熱して、シリカと酸化ニッケルとの間の作用を促進し、ついで、前記表面を、その酸化物およびそのシリケートの双方をニッケル金属に還元する還元雰囲気での処理によって活性化する、操作を含むことを特徴とする。本発明の方法により作成された薄いナノ構造層は、直接金属/ガス接触により、迅速に高い水素吸着値(約0.7のH/Ni値)を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
導入
本発明は、ニッケル表面上に作成された高触媒能を有する薄膜およびそれらを得る方法に関し、それらの層は、非常に高い比表面積および熱安定ナノ構造を本質的に含むことを特徴とする。それらのナノ構造層は、前記基板表面への高い接着性および温度と熱ショックに対する高い耐性を特徴とする。それらの触媒特性は、ニッケルおよびその合金による水素およびその同位体の吸着の容量および速度の増加で説明される。
【0002】
特に、直接的Ni/H接触による吸着の技術により、本発明は、迅速かつ経済的に、Ni(H/Ni原子比 約0.7)における非常に高い値の水素吸着を得ることを可能にした。これらの貯蔵値は、燃料電池における水素源としてのニッケルの使用の可能性を広げる。
【0003】
本発明は、おそらく核起源の熱発生の名目で常温核融合または凝集系核科学の名前で当業者に知られる実験活動の分野でも特に有用であろう。
【背景技術】
【0004】
技術の水準
ニッケルに吸着した水素(原子濃度: x = H/Ni)は分子水素(H2)と平衡状態にある原子水素(H)の活性に大いに依存することが、しばらく前から知られている(例えば、M. L. Wyman et al. Bulletin of Alloy Phase Diagrams, Vol. 10, No. 5, 1989)。知られているように、この活性は、温度および圧力で非常にゆっくりと増大する。周囲温度にて、かつ、H圧が100MPa程度でさえも、x=H/Ni比はおよそ0.03である。
【0005】
H/Ni値および/または、この導入部で記載した目的に有用な金属/ガス系におけるニッケルによる水素の吸着の率に関する値を得るために、100MPaを十分に上回る圧力にて操作することが必要であり、複雑かつコストのかかる技術が要求される。
【0006】
吸着をNiカソード上の電気化学的手段で行えば、状況は一変する。これは、高い値の原子水素活性 H は、適当な電気化学的手順、例えば、H+H→H再結合反応の阻害剤の電解液への添加、種々の電流密度での繰返し充電(カソードNi)/放電(アノードNi)サイクルの実行などで行うことによって入手できるという事実による。0.7程度のH/Ni値は、ラネーニッケルカソードを用いるこれらの方法で達成されている (A. Visintin et al., Electrochim. Acta (2006) 51 3658) (Univ. degli Srudi di Bergamo, Design and Technology Department, Report on Activities 2007)。
【0007】
電気化学的充電は、原子あたり0.2〜0.5eVのエネルギーに相当し、それが、今度、100MPaを十分に上回る非常に高い等価圧 (equivalent pressures)のHに相当するカソード過電圧の0.2〜0.5Vが電気化学的手段によって得られるという事実に関連する。
【0008】
最近、例えば、マグネシウム、レアアース、ジルコニウムのような他の金属上に蒸着したニッケルのナノ粒子 (Cooper D. et al., Kona, vol. 23, page 139-151 (2005))は水素吸着の率を多いに増大させることが示された。一方、パラジウム ナノ粒子は、非常に速く充電完了するだけでなく、充電レベルx=H/PdがバルクPdのカソード充電で達成される2〜3倍である2〜3に達することも示された。(Y. Arata and Y. Zhang: The special report on research project for creation of new energy. Journal of High Temperature Society, 2008, No. 1) (Y. Arata and Y. Zhang: Condensed Matter Nuclear Science, Proceedings of the 12th Int. Conference on Cold Fusion; ed. A. Takahashi, Y. Iwamura, and K. Ota). World Scientific 2006, pp. 44-54. ISBN: 981-256-901-4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M. L. Wyman et al. Bulletin of Alloy Phase Diagrams, Vol. 10, No. 5, 1989
【非特許文献2】A. Visintin et al., Electrochim. Acta (2006) 51 3658
【非特許文献3】Univ. degli Srudi di Bergamo, Design and Technology Department, Report on Activities 2007
【非特許文献4】Cooper D. et al., Kona, vol. 23, page 139-151 (2005)
【非特許文献5】Y. Arata and Y. Zhang: The special report on research project for creation of new energy. Journal of High Temperature Society, 2008, No. 1
【非特許文献6】Y. Arata and Y. Zhang: Condensed Matter Nuclear Science, Proceedings of the 12th Int. Conference on Cold Fusion; ed. A. Takahashi, Y. Iwamura, and K. Ota
【非特許文献7】World Scientific 2006, pp. 44-54. ISBN: 981-256-901-4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の筆者らによれば、これらの現象の一つの可能性のある説明として、気にかけなければいけないことは、ナノ粒子の表面エネルギーは、非常に高い比表面積(約50m/g)のため、バルク金属よりも3〜4倍大きいことであり(Nanda et al. - DOI: 10.1103/Phys. Rev. Lett. 91.106102)、表面中の原子あたり、このエネルギーは電気化学的手段により達成される値(0.2〜0.5eV)に近い値に達し得るということである。原子水素の吸着は実質的に表面エネルギーを低減するので(TROMANS D., Acta metallurgica et materialia ISSN 0956-7151, 1994, vol. 42, no. 6, pp. 2043-2049 (38 ref.))、このエネルギー変化は、金属ナノ粒子における高い吸着値を原理的に十分正当化する。
【0011】
水素吸着の率に関して、気にかけなければいけないことは、ラネーニッケルカソードを用いる電解的手段で得られる0.7程度のH/Ni充電レベルは数時間程度の電解時間を要するということである。
【0012】
本発明の第1の目的は、したがって、ニッケルまたはその合金の基板の表面を改質する方法を提供することにあり、このように改質した表面は、温和な圧力および温度にて、非常に高い水素吸着値で、水素およびその同位体の直接吸着を生じることができる。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、ニッケルの基板または製品を製造する方法を提供することにあり、それは水素を貯蔵する手段(貯蔵媒体)として有用であり、例えば燃料電池において、水素源として使用できる。
【0014】
これらの目的において、本発明の一つの目的は、付随する特許請求の範囲に規定する方法を含む。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、本発明の方法により得ることができるニッケルまたはその合金の基板または製品を含み、それも同様に付随する特許請求の範囲に規定される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
特に、本発明による方法は、本質的に、以下のステップ:a)ニッケルまたはニッケル合金基板の表面を酸化してアンカーリング層として働くNiOの薄膜を得ることを含む。用いる基板は、塊または粉形態のニッケルまたはその合金であってよく;合金の場合、70重量%を超えるニッケル含有量を有する合金を用いることが好ましい。その基板も、同様に、例えば、シート、バーまたはワイヤーのようなニッケルまたはその合金の製品を含む。異なる材料の基板を用いることもでき、それらは、当業者によく知られた技術により付けたニッケルまたはその合金の表面デポジットまたはコーティングが付与された、例えば、コンパクトおよび/または多孔質セラミックス、ガラス、金やプラチナのような貴金属を含む種々の金属のごとき不活性材料を含む。
【0017】
酸化ステップa)は、ニッケルを酸化する雰囲気において加熱することによって行い;好ましくは、ステップa)は(適宜脱脂した)ニッケル基板を、空気中で、300と1300℃との間、好ましくは、800と1100℃との間の温度に加熱することによって行う。好ましくは、酸化ステップは、ニッケルに結合する酸素が0.05m未満である酸化ニッケルのアンカー層を作成する条件下で行う。酸化雰囲気での処理の時間は、用いる温度によって変化し、10,000〜300秒程度である。例えば、800℃の処理温度に対して、およそ1500秒程度の処理(浸漬)時間を用い、1100℃の処理にて、処理時間はおよそ300秒程度である。
【0018】
b)コロイド状シリカの酸化ニッケルアンカー層への塗布
このステップにおいて、シリカの水性ゾルを好ましく用いて、表面全体に連続液膜を形成する。シリカ粒子の寸法が30nm未満であることが好ましく、さらに好ましくは15nm未満である。
【0019】
金属の酸化表面上の液膜に存在するシリカの量が0.1g/m未満でないことも好ましく、かつ、好ましくは、0.8g/mを超えないことが好ましい。ステップb)において、表面の濡れ性を向上し、連続液膜を得るのに適した表面活性剤をシリカゾルに添加することができる。空気中で加熱することによってそれらの対応する酸化物に分解するニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウムおよびイリジウムのような金属の塩、例えば、無水ホウ酸、無水リン酸および無水クロム酸のような、酸化ニッケルとシリカとの間の化学反応を促進するのに適した酸化学化合物もシリカゾルに添加することができる。シリカゾルは、アルカリおよびアルカリ土類の酸化物またはそのような酸化物の塩前駆体を含んで、その滑らかな膜を化学的に安定化することもできる。アルカリ性の酸化物(例えば、NiO、PdO、NaO、CaO、MgO)の添加モルごと、少なくとも1モルの前記酸化合物を塩基性SiOのモルに対して添加すべきことを念頭におくべきである。
【0020】
ゾルは、上記したように、ステップa)で処理し、適宜周囲温度に冷却した材料の全表面に、例えば、ローラーかブラシで薄膜として広げ、溶液に浸漬し、完全に排出されるまで取り除くことの組合せ、スプレーまたは他の同様の公知技術による噴霧の組合せのような様々な技術によって、塗布することができる。その目的は、全表面に均一な膜厚の連続液膜を得ることである。好ましくは、液膜に存在する固体物質の総量は0.1g/m未満ではない。
【0021】
c)シリカと酸化ニッケルとの間の化学反応を促進するための空気中でのステップb)で生じた基板の表面の加熱
このステップは、ステップa)についてすでに記載したのと同様に、300から1300℃の間の温度にて、1000から300秒の間の時間、行うことができる。
【0022】
コロイド状シリカ溶液が、ニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウムおよび/またはイリジウムのような金属の上記化合物または塩、1以上の上記酸化合物、またはシリカに対してガラス化作用を有するアルカリまたはアルカリ土類金属の上記化合物を含む場合、加熱ステップc)は、シリカのガラス化を生じるのに十分な温度にて行う。
【0023】
ステップb)およびc)は、2回以上繰返して、得られる層の厚を増すことができる。
【0024】
任意で、この方法は、ステップ:e) ステップc)の後、リン酸、クロム酸から選択される酸化合物および対応するそれらの無水物または混合物、酸化物またはシリカに対してガラス化作用を有する酸化物の前駆体塩のような少なくとも一つのアルカリもしくはアルカリ土類化物組成物、ならびに、ニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウムから選択される金属の少なくとも一つの水溶性塩またはそれらの塩の混合物を含む(水性)溶液であって、任意でコロイド状シリカを含む溶液で基板の表面を処理し、ついで、f)e)で生じた基板をシリカがガラス化するのに十分な温度に加熱し、d)ステップa)、b)およびc)ならびに、強制されれば、ステップe)およびf)の操作で生じた生成物を水素および/またはその同位体の雰囲気で活性化することを含むことができる。
【0025】
ステップd)の結果として、酸化されたニッケルを金属ニッケルに酸化(生成物の活性化)し、高い触媒活性を有する熱安定性ナノ構造をこのように生成する。
【0026】
現実的な目的で、妥当な時間処理を行うため、120℃を超える温度にて、50秒以上の時間、操作することが好ましい。ナノ構造が崩壊するのを防止するため、900℃を超えないことが望ましい。この活性化は、すでに記載した目的でエンドユーザーが実行することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例1
両面を考慮して98cmの総表面積を有する、35x140x0.065mmの99.6%ニッケル (Ni 200 - UNS N02200/ 2.4060 & 2.4066)のシートを注意してアセトンで脱脂し、ストレス緩和の目的で純粋アルゴンの軽い気流下、550℃にて30分間炉で処理し、炉のコールドゾーンにてアルゴン中で冷却した。処理後のシートの重量は2.8296±0.0002gであった。
【0028】
引き続き、炉のホットゾーンを空気の軽い気流で900℃に昇温した。シートをそのゾーンに置き、そこで1800秒間維持した(操作a))。酸化後のシートの重量は2.8333±0.0002gであった。表面に固定された酸素は、それゆえ、〜0.53g/mであった。
【0029】
アンカー層を安定化するために用いるゾルは30重量%のSiO2含有量を有する12nmミセルとともにコロイド状シリカを含む。ゾルは、2回蒸留水で1〜20倍に希釈した。シートを液体に周囲温度(24℃)にて30秒間浸漬し、取り出し、60秒間排液する(操作b))。この後、それを空気の軽い気流中で900℃の炉のゾーンに置き、そこに1200秒間維持した(操作c))。
【0030】
この処理後のシートの最終重量は、2.8454±0.0002gであった。操作a)、b)およびc)を2回繰り返した。処理したシートの最終重量は2.8634±0.0002gであり、初期重量から〜34mg以上の総重量増加であった。
【0031】
このように処理したシートを、圧電測定装置を取り付けた2.025リットルの容積を有するステンレススチール製容器に入れた。1.3×10−3バール真空を負荷した。引き続き、アルゴンをおよそ2気圧導入し、ついで、1.3×10−3mバール真空を再び負荷した。容器の温度が周囲温度と同じく26.5℃のとき、水素を導入して、数秒間で圧力を1.1バールにまで上昇した。5000秒後、圧力を、26.2℃(周囲温度26.6℃)の温度にてほぼ0.93バール(最終平衡の〜98%)に安定化した。かくして、ニッケルシートが0.014モルの水素を吸着してx=0.58のH/Ni原子濃度を達成することを確認することが可能であった。5000秒の時間は、25℃にて文献に示された拡散定数2.0×10−9cm・sと矛盾しない。x=0.58のH/Ni値は、全金属質量が触媒(ラネーニッケル)として作用したときに得られる値に非常に近く、我々の場合、触媒の厚は最大1μmであった。
【0032】
実施例2
5本の99.5% ニッケルワイヤー(各々、直径200μm、長さ200μm、側面積12.5cm、5本のワイヤーの総重量2.7952g)を、それぞれ、以下のように処理した:
a)2M NaOHで70℃にて脱脂し;蒸留HOで洗浄し;蒸留HOで最終洗浄して、ホットエアーで乾燥する。
b)各ワイヤーを、空気中、400秒間ジュール加熱(Joule heating)によっておよそ1000℃の温度にまで加熱した。温度は、ワイヤーの抵抗の変化で見積もった。
c)冷却後、各ワイヤーをブラシで三回通してコロイド状シリカの溶液(30重量%のSiO、ゾル径12nm)でコートした。
d)このように処理した各ワイヤーをb)のようにジュール加熱によって加熱した。冷却後、5本のワイヤーを再び計量し;重量の総増加がおよそ1.2mgであることを記録した。
e)20mlの85重量%HPO、100mlの20重量%PdNOの溶液および100mlの20重量%NiNOの溶液をコロイド状シリカ溶液 (100cm)に添加した。
f)5本のワイヤーを、c)に記載した手段でe)で言及した溶液で処理した。
g)最後に、ワイヤーをb)のようにジュール加熱で加熱した。冷却後、重量増加は、未処理のワイヤーと比較して、およそ2.3mgであることがわかった。
h)5本のワイヤーを、各々、直径0.2cmの石英ファイバーシースに挿入し、曲げて、圧力および温度センサーを取り付け、150℃の温度に保ったシリンダー状気密ステンレススチール容器(容積2025cm)に入れた。
i)真空にした後、即座に水素を容器に5バールの圧力に達するまで導入し;容器の温度を150℃に保った。Niワイヤーは、飽和に達するまでおよそ500秒間水素を吸着し;圧力変化から生じたH/Ni原子比を0.65と見積もった。
1)ワイヤーを含有する容器を排気し、周囲温度の空気を充填し;容器の温度を100℃に保って、ワイヤーの放出時間を評価した。驚くべきことに、600時間後、Niワイヤーはその水素含量をほとんど変化なく保持していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケルまたはその合金の少なくとも一つの表面層を含む基板上に触媒活性を持つ表面層を作成する方法であって、
a)前記基板の表面を酸化して、酸化ニッケルのアンカー層を得、
b)コロイド状シリカを前記アンカー層に塗布し、
c)ステップb)で得られた基板の表面を加熱して、シリカと酸化ニッケルとの間の作用を促進し、ついで、
d)前記表面を、その酸化物およびそのシリケートの双方をニッケル金属に還元する還元雰囲気での処理によって活性化する、操作を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ニッケル表面を酸化するステップa)を、300と1300℃との間、好ましくは800と1100℃との間の温度にて、10,000と300秒との間の時間、ニッケルを酸化する雰囲気下で前記表面を加熱することによって行う、請求項1の方法。
【請求項3】
酸化するステップa)を、0.05g/m以上のニッケルに結合する酸素含有量を得るために行う、請求項1または2の方法。
【請求項4】
ステップb)において、前記基板の表面全体に連続液膜を形成できる水性シリカゾルを用いることを特徴とする、前記請求項いずれかの方法。
【請求項5】
前記シリカゾルが30nm未満、好ましくは15nm未満のサイズを有するシリカ粒子を含むことを特徴とする、前記請求項いずれかの方法。
【請求項6】
ステップb)を、コロイド状シリカゾルを塗布して、0.1g/m以上のシリカ含有量を有する液膜を形成することを特徴とする、前記請求項いずれかの方法。
【請求項7】
前記コロイド状シリカが、ニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウム、インジウムおよびそれらの組合せよりなる群から選択される金属の水溶性塩をさらに含む水性シリカゾルであり、前記水溶性塩が、加熱ステップc)で用いる温度よりも低い温度に加熱したとき、それらに対応する酸化物に分解できることを特徴とする、前記請求項いずれかの方法。
【請求項8】
前記コロイド状シリカまたは水性シリカゾルが、ホウ酸、リン酸、クロム酸およびそれらの組合せよりなる群から選択される化合物も含むことを特徴とする、前記請求項いずれかの方法。
【請求項9】
前記水性シリカゾルが、前記水性シリカゾルに完全に可溶なアルカリおよび/またはアルカリ土類化合物をさらに含む、前記請求項いずれかの方法。
【請求項10】
前記ステップc)を、300と1300℃との間の温度に、10,000と300秒との間の時間、加熱することによって行うことを特徴とする、前記請求項いずれかの方法。
【請求項11】
ステップc)を、シリカ層のガラス化を生じるのに十分な温度に加熱することによって行うことを特徴とする、請求項7、8および9いずれかの方法。
【請求項12】
ステップc)後、
e)前記基板の表面を、リン酸、クロム酸およびホウ酸ならびにそれらの混合物から選択される酸化合物、ガラス化酸化物の前駆体である少なくとも一つのアルカリまたはアルカリ土類化合物および、ニッケル、パラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウムから選択される金属の少なくとも一つの水溶性塩またはそれら塩の混合物を含む溶液で処理し、前記溶液は任意でコロイド状シリカを含む、操作を含むことを特徴とする、請求項1〜11いずれかの方法。
【請求項13】
ステップe)後、以下の操作:
f)前記基板を、シリカのガラス化を生じるのに十分な温度に加熱する
操作を含むことを特徴とする、請求項12の方法。
【請求項14】
前記活性化ステップd)が、ステップa)、b)およびc)、または、強制されれば、ステップe)およびf)で生じた基板を、水素および/またはその同位体の雰囲気で処理することを含む、前記請求項いずれかの方法。
【請求項15】
水素雰囲気での処理を、120と900℃との間の温度にて、50と1200秒との間の時間行うことを特徴とする、請求項14の方法。
【請求項16】
前記基板が、活性化ステップd)後、0.3を超える水素/ニッケル原子比を有することを特徴とする、請求項14または15の方法。
【請求項17】
請求項1〜16いずれかの方法によって得られた基板の水素を貯蔵する手段としての使用。

【公表番号】特表2013−501601(P2013−501601A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523427(P2012−523427)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053585
【国際公開番号】WO2011/016014
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512030290)エネスパルク・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】ENESPARK S.r.I.
【Fターム(参考)】