説明

ニューブラスチンの改良された分泌

本発明は、ニューブラスチンポリペプチドを産生するための方法および組成物、ならびに、例えば、遺伝子治療による、中枢神経系および眼を含む神経系の特定の領域へのニューブラスチンの局所的送達に関する。生物学的に活性なニューブラスチンポリペプチドは、天然に存在するニューブラスチンプロ領域をコードしない構築物、すなわち、シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を伴う核酸を含み、このヌクレオチド配列がニューブラスチンプロ領域をコードしない構築物から産生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願において引用されるすべての参考文献は、その全体が参照として本明細書によって援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ニューブラスチンポリペプチドを産生するための方法および組成物、ならびに、例えば、遺伝子治療による、中枢神経系および眼を含む神経系の特定の領域へのニューブラスチンの局所的送達に関する。本発明は、半透性の膜を有するマクロカプセルにカプセル化された、形質転換またはトランスフェクトされた細胞からのニューブラスチンの送達を含む。本発明はさらに、増加量のニューブラスチンを産生することが可能である哺乳動物細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
細胞は、デノボ合成されるタンパク質を種々の細胞内の小器官および細胞外空間に方向付けるための方法を有する。シグナルペプチドは、染色体DNAのコード部分に封入されており、リボソーム装置によってタンパク質の一部として合成される。シグナルペプチドはN末端を形成し、新規に合成されたポリペプチドを粗面小胞体に方向付ける。ここでシグナルペプチドはポリペプチドから切断され、成熟タンパク質が周囲に分泌される。従って、シグナルペプチドは細胞内部に残る。
【0004】
タンパク質のプロ部分はタンパク質の成熟部分から切断され、細胞の外部で最後を迎える。ある神経栄養因子、例えば、NGFについては、タンパク質のプロ部分は神経ペプチドとして生物活性である。
【0005】
挿入された遺伝子が分泌されるタンパク質をコードする遺伝子治療において、シグナル配列は、粗面小胞体およびゴルジ装置を通してのその適切なプロセシングを保証するために、成熟タンパク質の前方に配置される必要がある。第1の選択は、ほぼ不変的に問題のタンパク質のネイティブなシグナル配列であり、なぜなら、タンパク質は、それがネイティブな細胞中で分泌およびプロセシングされるのと同じ方法で分泌および/またはプロセシングされることが一般的に望ましいからである。ある用途のために、発現されるタンパク質の量がネイティブな細胞におけるものと同じであることもまた望ましい。さらに、切断されたシグナル配列が細胞の代謝において役割を果たすという可能性を排除することはできない。最後に、当業者は、成熟タンパク質の正確なプロセシングおよびフォールディングを保証するためにタンパク質のプレプロ部分を使用することを選択する。
【0006】
多くの場合において、治療因子を分泌することが予想された、インビボで形質転換された細胞およびトランスフェクトされた細胞は、十分な治療有効量および十分な時間の間で、その治療因子を分泌しないことが明らかとなった。これはまた、細胞が身体の外部でトランスフェクトまたは形質転換され、遺伝子改変の後で対象に挿入されるエキソビボ遺伝子治療において問題となり得る。
【0007】
先行技術は、哺乳動物における異種タンパク質とのシグナルペプチドのカップリングに関する多くの情報を提供していない。真菌または酵母における哺乳動物のタンパク質の異種発現については、哺乳動物のシグナルペプチドをプロデューサー種において機能的であるシグナルペプチドに置き換えることは一般的実務である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、生物学的に活性なニューブラスチンポリペプチドを産生するための方法に関し、上記方法は、シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む核酸を含む発現ベクターを含む細胞を培養する工程を包含し、ここで上記ヌクレオチド配列はニューブラスチンプロ領域をコードしていない。
【0009】
ネイティブなヒトプレプロニューブラスチンポリペプチドは、220アミノ酸長である(図17A)(配列番号10)。ニューブラスチンシグナルペプチドは39アミノ酸からなり、1位のメチオニンで開始し39位のアラニンで終了する(図17B)。ニューブラスチンの最長の完全長プロドメインは69アミノ酸からなり、40位のセリンで開始し107位のアルギニンで終了する(図17C)。1つの成熟ニューブラスチンポリペプチドはC末端113アミノ酸からなり、108位のアラニンで開始し220位のグリシンで終了する。プレプロニューブラスチンは可能性のあるいくつかのプロペプチド切断部位を含み、そして哺乳動物細胞におけるプレプロニューブラスチンの発現は種々の成熟ペプチドの分泌を生じ、これは、可能性のある型としてC末端の140個、113個、107個、および104個のアミノ酸からなるものがある。これらの成熟型の各々について、40位から、成熟ペプチドの最初の残基の前の位置までのアミノ酸を形成する対応する1つのプロドメインが存在する。
【0010】
本発明は、インビボおよびインビトロの両方で、ウイルスベクターを用いての哺乳動物細胞の形質転換の際にしばしば経験される、ニューブラスチンを含む神経栄養因子の分泌のほぼ完全な非存在の問題に対する解決を提供する。この現象はまた、プラスミドに基づく発現ベクターについても観察される。ある未知の理由により、哺乳動物細胞は、しばしば、ベクターによってコードされる神経栄養因子を分泌することからブロックされる。1つの可能性のある説明は、分泌されたタンパク質の正確なプロセシングが細胞特異的であることであり得る。このことは、ウイルスベクター遺伝子治療の使用において深刻な問題を表す。今日、ウイルスベクター遺伝子治療は、インビボまたはエキソビボの遺伝子治療のための最も好ましい(関連性があるだけではなく)方法であると考えられている。なぜなら、ウイルスベクターは形質転換された細胞のゲノムへの安定な組み込みを保証するからである。
【0011】
本発明は、ヒトニューブラスチン、または生物学的に活性な短縮型の成熟ヒトニューブラスチン、すなわち、プレプロタンパク質としての代わりに、プレタンパク質としての分泌されたニューブラスチンポリペプチドの効率的な発現を提供する。本発明に従うニューブラスチンプレタンパク質は、一般的に、2つの成分、すなわち分泌ニューブラスチンポリペプチド(上記に規定するようなもの)、および異種シグナル配列を含む。
【0012】
さらに、本発明者らは、ニューブラスチンのネイティブなシグナルペプチドを、他のタンパク質から、例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域からの代替的なシグナルペプチドで置き換えることによって、とりわけ、形質転換された細胞からのニューブラスチンの分泌がさらに増強されることを示した。
【0013】
さらに、本発明者らは、シグナルペプチドならびにニューブラスチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からプロ領域をコードするヌクレオチド配列を除去することによって、プロ領域が含まれる場合よりも、多い量のニューブラスチンの分泌が発現かつ保持されることが可能であることを示した。
【0014】
プロ領域は正しくフォールディングするために多くのタンパク質について必要であるが、プロ領域なしで生物学的に活性なニューブラスチンポリペプチドを産生することが可能であることが見いだされた。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、このヌクレオチド配列を含む発現ベクター、本発明に従うベクターを含む薬学的組成物、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なアジュバント、賦形剤、キャリア、および/または希釈剤に関する。この薬学的組成物は、インビボおよびエキソビボ遺伝子治療のために使用され得る。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、本発明に従うベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトされた単離された宿主細胞に関する。
【0017】
このような遺伝的に改変された宿主細胞は、そのネイティブなシグナル配列を有するニューブラスチンをコードするベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞と比較して、予想外に大量のニューブラスチンを産生することがわかった。これらの形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、それゆえに、ニューブラスチンの工業スケールでの製造のためのプロデューサー細胞の有望な供給源を構成する。このニューブラスチン分泌細胞はまた、ニューブラスチンの供給源として哺乳動物被験体への移植のために使用され得る。1つの特定の応用は、エキソビボ遺伝子治療である。
【0018】
さらなる局面において、本発明は、感染性ベクター粒子を産生可能であるパッケージング細胞株に関し、このベクター粒子は、5’レトロウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、ニューブラスチンおよび免疫グロブリンシグナルペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター、第2鎖DNA合成の起点、ならびに3’レトロウイルスLTRを含むレトロウイルス由来のゲノムを含む。
【0019】
これらのパッケージング細胞株は、本発明に従うウイルスベクターを産生するために使用され得る。これらはまた、カプセル化されかつCNSに移植される場合に、インビボ遺伝子治療のために使用され得る。
【0020】
さらなる局面において、本発明は、本発明に従うベクターで形質転換またはトランスフェクトされる少なくとも1つの細胞を含むトランスジェニック非ヒト哺乳動物に関する。ニューブラスチンを過剰発現するこのような動物は、遺伝子プロファイリングのために、および薬物のスクリーニングおよび開発において使用され得る。
【0021】
好ましくは、形質転換またはトランスフェクトされた細胞は個々の動物の遺伝子型を有し、すなわち、同種異系移植または異種移植ではない。
【0022】
さらなる局面において、本発明は、移植可能な細胞培養デバイスに関し、このデバイスは以下を備える:
i.そこからの神経栄養因子の分散を可能にする半透性膜;および
ii.本発明に従う少なくとも1つの単離された宿主細胞。
【0023】
これらのカプセルは、中枢神経系への移植の際にニューブラスチンの局所的送達のために使用され得る。増殖因子の局所的かつ延長された送達は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンティングトン病、脳卒中、および筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含むがこれらに限定されない多数のCNS障害の治療のための好ましい投与方法である。このカプセルは、同様に、神経系障害および神経障害性の疼痛を含むがこれらに限定されない末梢障害のためのニューブラスチンの局所的かつ延長された送達のために使用され得る。さらなる適応には眼の障害が含まれる。
【0024】
本発明のカプセルは、カプセル的アプローチを使用して、患者における所望の部位へのウイルス粒子の送達を提供する。ベクター産生細胞株のカプセル化は、単純な注入とは逆に、標的部位へのウイルス粒子の連続的送達を可能にする。さらに、免疫攻撃の可能性の減少を伴う、反復治療が可能である。このカプセルは、パッケージング細胞から放出されたウイルス粒子の通過を可能にするために十分な大きさであるが、カプセルへの宿主細胞の通過を妨害する大きさである孔を有する。
【0025】
このカプセル的アプローチは、治療の安全性および制御を増大する。なぜなら、このデバイスは、容易に回収(形質転換治療が完了するとき)、または外植および再移植(治療を修飾するとき)可能であるからである。さらに、カプセル型デバイスが開放式または外面化されていないため、感染の可能性は減少する。
【0026】
最後に、カプセル化は患者中でのパッケージング細胞の移動を妨害し、かつ移植に際してのパッケージング細胞の生存度を延長するので、より少ない細胞がこの治療のために必要とされるようである。このことは、患者における免疫反応をさらに低減することにおいて有利であり得る。
【0027】
さらなる局面において、本発明は、本発明に従うベクターの医薬としての使用に関する。
【0028】
なおさらなる局面において、本発明は、神経系障害の治療のための医薬の調製のための、本発明に従うベクターの使用に関する。
【0029】
別の局面において、本発明は、CNS障害の治療のための医薬の調製のための、本発明に従うベクターの使用に関する。
【0030】
さらに、本発明は、神経系疾患を治療する方法に関し、この方法は:
治療有効量の本発明に従うベクター;または
このベクターを含む治療有効量の薬学的組成物
をその必要がある個体に投与する工程を包含する。
【0031】
本発明のこの局面に従って、神経系疾患の治療のための改善されたインビボ遺伝子治療方法が提供される。添付の実施例によって明らかにされるように、本発明のウイルスベクターを用いる形質転換は、コードされたニューブラスチンのこれまでに見られなかった分泌、および結果として改善された治療効果を生じる。
【0032】
なおさらなる局面において、本発明は、神経系疾患を治療する方法に関し、この方法は:
−本発明の形質転換された細胞の治療有効量;または
−本発明に従う移植可能デバイス
をその必要がある個体に移植する工程を包含する。
【0033】
この局面は、増加量のニューブラスチンを分泌することが可能である治療細胞のエキソビボ遺伝子治療および移植に基づく神経系障害を治療する別の方法を提供する。
【0034】
ニューブラスチンの大規模スケール製造のための現在好ましい方法は、E.coli中での異種遺伝子発現、引き続く溶解、抽出、精製、再フォールディング、および必要に応じたタンパク質の切断である。研究スケールの量の製造のために使用される代替的方法には、正確にプロセスされかつフォールディングされたニューブラスチンを培養培地に分泌する哺乳動物プロデューサー細胞(例えば、CHO細胞)の培養が含まれ、そこからニューブラスチンが比較的容易に単離され得る。本発明の哺乳動物細胞は、以前に哺乳動物細胞について見られたよりも大量にニューブラスチンを産生し、それゆえに、正確にプロセスされかつフォールディングされたニューブラスチンである、生物活性ニューブラスチンを産生するための細胞の改善された供給源を表す。
【0035】
(定義)
「C末端アミノ酸」とは、本明細書で使用される場合、ポリペプチドのアミノ(N)末端から最も遠位のポリペプチド鎖中の一連のアミノ酸を意味する。
【0036】
「ニューブラスチンプロ領域」とは、少なくとも、配列番号10、11、12の−41から−11アミノ酸に対応するアミノ酸を含む領域を意味する。
【0037】
「プレプロニューブラスチンポリペプチド」(配列番号10)とは、本明細書で使用される場合、成熟ヒトニューブラスチン(すなわち、ニューブラスチンの113個のC末端アミノ酸(配列番号10のアミノ酸108〜220))、全長ヒトニューブラスチンプロドメイン(すなわち、成熟ニューブラスチンのN末端に対して近位の68アミノ酸(配列番号10のアミノ酸40〜107))、およびヒトニューブラスチンシグナルペプチド(すなわち、ニューブラスチンプロドメインのN末端に対して近位の39アミノ酸(配列番号10のアミノ酸1〜39))からなるポリペプチドを意味する。
【0038】
シグナルペプチド−真核生物シグナルペプチド。真核生物シグナルペプチドは、分泌されるか、または膜成分であるかのいずれかであるように方向付けられるタンパク質上に存在するペプチドである。これは通常、タンパク質に対してN末端である。本発明の状況において、シグナルP(バージョン2.0または好ましくはバージョン3.0)において同定されるすべてのシグナルペプチドがシグナルペプチドと見なされる。
【0039】
「機能的なニューブラスチンシグナルペプチド」とは、本明細書で使用される場合、配列番号10の最初の39アミノ酸、または細胞からの成熟ニューブラスチンの分泌をもたらすその任意の部分を意味する。
【0040】
「機能的なニューブラスチンシグナル配列」とは、機能的なニューブラスチンシグナルペプチドをコードする核酸配列を意味する。
【0041】
哺乳動物シグナルペプチドは、ERを通して分泌される哺乳動物タンパク質に由来するシグナルペプチドである。
【0042】
成熟ヒトニューブラスチンポリペプチドとは、本明細書で使用される場合、ネイティブヒトニューブラスチンのC末端113アミノ酸、すなわち、配列番号10のアミノ酸108〜220を意味する。
【0043】
成熟マウスニューブラスチンポリペプチドとは、本明細書で使用される場合、ネイティブマウスニューブラスチンのC末端113アミノ酸、すなわち、配列番号11のアミノ酸112〜224を意味する。
【0044】
成熟ラットニューブラスチンポリペプチドとは、本明細書で使用される場合、ネイティブラットニューブラスチンのC末端113アミノ酸、すなわち、配列番号12のアミノ酸112〜224を意味する。
【0045】
ニューブラスチンポリペプチドとは、本明細書で使用される場合、ネイティブヒトニューブラスチンのC末端99〜140アミノ酸、ラットまたはマウスのネイティブニューブラスチンのC末端99〜144アミノ酸を含むポリペプチドを意味する。より好ましくは、ニューブラスチンポリペプチドは、ネイティブヒトニューブラスチンのC末端99〜113アミノ酸、ネイティブラットニューブラスチンのC末端99〜113アミノ酸、またはマウスニューブラスチンのC末端99〜113アミノ酸を含むポリペプチドを含み、各々がネイティブ配列中に15アミノ酸までの置換を有する。特定の状況において、「分泌ニューブラスチンポリペプチド」とは、すでに分泌されたものとは逆に、分泌されるべきポリペプチドを意味することが理解される。分泌ニューブラスチンポリペプチドは、ニューブラスチンプロ領域を含まない。
【0046】
機能的ニューブラスチンプロドメインは、シグナルペプチドと成熟ペプチドとの間のペプチドであり、このプロペプチドは、シグナルペプチドの切断後にフューリンによって成熟ペプチドから切断可能である。
【0047】
生物活性:GFRα3とダイマー化した場合にRETに結合し、かつRETダイマー化および自己リン酸化を誘導する能力。Kira ElisaまたはRET L3 Elisaアッセイを用いて測定される。
【0048】
「異種」とは、核酸配列またはアミノ酸配列に言及する際に使用される場合、特定の宿主細胞とは無関係な供給源由来の配列、またはそれが同じ宿主細胞からの場合には、そのもともとの型から修飾されている配列を意味する。
【0049】
異種シグナルペプチド−ニューブラスチンポリペプチドに天然には作動可能に連結されていないシグナルペプチド。
【0050】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ニューブラスチンポリペプチドを産生するための方法に関し、ここで、ニューブラスチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列はプロ領域をコードしない。本発明の状況において、プロ領域は、配列番号10、11、または12の少なくともアミノ酸−41から−11を含む。より好ましくは、このプロ領域は、配列番号10、11、または12の少なくともアミノ酸−41から−1を含む。より好ましくは、このプロ領域は、配列番号10、11、または12の少なくともアミノ酸−41から10を含み、最も好ましくは、これは、配列番号10のアミノ酸−41から27、または配列番号11もしくは配列番号12のアミノ酸−41から31に対応する配列のプロドメインを含む。
【0051】
(シグナルペプチド)
本発明に従う発現ベクターは、ニューブラスチンポリペプチドに作動可能に連結されたシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現の方向付けを可能にするプロモーター配列を含む核酸を含む発現ベクターで形質転換された細胞を培養することが可能である、プロモーター配列を含む核酸を含み、ここで、このヌクレオチド配列はニューブラスチンポリペプチドのプロ領域をコードしない。
【0052】
分泌プロセスの間、ニューブラスチンプレタンパク質のシグナルペプチドは、ニューブラスチンポリペプチドを産生する宿主細胞によって切断される。切断部位は一般的に規定されるが、当業者は、シグナルペプチド切断部位における変動性が存在し得ることを理解する。従って、正確な切断部位に関するある程度のあいまいさを有する実施形態が、本発明の範囲内に含まれる。
【0053】
シグナルペプチドは、任意の機能的シグナルペプチド、例えば、異種シグナルペプチド、例えば、哺乳動物シグナルペプチドであり得る。このシグナルペプチドは、例えば、ヒト、マウス、ラット、サル、ブタ、イヌ、ネコ、ウシ、またはウマなどの任意の適切な種からであり得る。
【0054】
シグナルペプチドはニューブラスチンポリペプチドに連結され、そして好ましくは、このニューブラスチンポリペプチド、例えば、ニューブラスチンポリペプチドのN末端に融合されているシグナルペプチドのC末端に直接的に融合される。
【0055】
添付の実施例によって明らかにされるように、このシグナルペプチドの使用は、一般的に、インビトロおよびインビボの両方においてニューブラスチンの改善された分泌を生じる。この結果は、レンチウイルス形質転換細胞(インビボおよびインビトロ)を用いて、およびプラスミドトランスフェクト細胞(インビトロ)を用いての両方で再現可能であった。細胞は、シグナルペプチド遺伝子が、成熟タンパク質をコードする遺伝子に直接的に融合される場合に(ずなわち、プロ部分を除外して)、生物学的に活性なタンパク質として成熟タンパク質を産生する。
【0056】
本発明者らは、ネイティブニューブラスチンシグナルペプチドがシグナルペプチドとして機能するのみならず、異種シグナルペプチドが有用であり、かつネイティブなシグナルペプチドよりも高い収量をしばしば提供することを発見した。この異種シグナルペプチドは、成長因子シグナルペプチド、ホルモンシグナルペプチド、サイトカインシグナルペプチド、および免疫グロブリンシグナルペプチドからなる群より選択され得る。
【0057】
従って、シグナルペプチドの例は、TGFβシグナルペプチド、GDFシグナルペプチド、IGFシグナルペプチド、BMPシグナルペプチド、ニューロトロフィンシグナルペプチド、PDGFシグナルペプチド、およびEGFシグナルペプチド、ホルモンシグナルペプチドから選択されるシグナルペプチドからなる群より選択されるシグナルペプチドであり、このホルモンは、成長ホルモン、インスリン、ADH、LH、FSH、ACTH、MSH、TSH、T3、T4、およびDHEA、またはインターロイキンシグナルペプチドからなる群より選択される。
【0058】
1つの実施形態において、シグナルペプチドは、ニュールツリン(neurturin)シグナルペプチド、GDNFシグナルペプチド、パーセフィン(persephin)シグナルペプチド、およびNGFシグナルペプチドからなる群より選択される。
【0059】
別の実施形態において、シグナルペプチドは、アルブミンシグナルペプチド、修飾アルブミンシグナルペプチド、および成長ホルモンシグナルペプチドからなる群より選択され、例えば、シグナルペプチドは、ラットアルブミンシグナルペプチド、修飾ラットアルブミンシグナルペプチド、およびヒト成長ホルモンシグナルペプチド、例えば、ラットアルブミンシグナルペプチドおよびヒト成長ホルモンシグナルペプチドからなる群より選択される。
【0060】
従って、ある実施形態において、分泌ニューブラスチンポリペプチドは、ネイティブラットアルブミンシグナルペプチドに融合される。これは配列番号66によって例示される。他の実施形態において、分泌ニューブラスチンポリペプチドは、修飾ラットアルブミンシグナル配列に連結される。これは配列番号70によって例示される。他の実施形態において、分泌ニューブラスチンポリペプチドは、ヒト成長ホルモンシグナル配列に融合される。これは配列番号68によって例示される。
【0061】
なお別の実施形態において、シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、免疫グロブリン重鎖シグナルペプチドである。特に、免疫グロブリンシグナルペプチドは、マウスIgSP(配列番号4)、ラットIgSP(配列番号6)、ブタIgSP(配列番号5)、サルIgSP(配列番号2または3)、ヒトIgSP(配列番号1)、例えば、マウスIgSP(配列番号4)またはヒトIgSP(配列番号1)からなる群より選択されるシグナルペプチドであり得る。
【0062】
免疫グロブリンシグナルペプチド(IgSP)は、多くの哺乳動物からの公知の小さな19アミノ酸ペプチドである。ヒト、アカゲザル、マーモセット、ラット、マウス、およびブタからの配列が図1にアラインされている。ヒトIgSPと比較した配列同一性パーセントは、21パーセント(ブタ)から68パーセント(マーモセット)まで変動する。この比較的大きな変動は、特定の配列が、シグナルペプチドの生物学的機能を実質的に変化させることなく、高い程度まで変化され得ることを示す。添付の実施例によって明らかにされるように、種間の反応性が存在することもまた観察されている。これらは、ラット(インビボ実験)およびヒト細胞(ARPE−19細胞)において機能的であったマウスIgSPを用いて実行された。
【0063】
好ましくは、IgSPはマウスまたはヒト起源である。なぜなら、マウスIgSPは、マウス、ラット、およびヒトにおいて機能的であることが知られているからである。ヒトにおける使用のために、IgSPは、好ましくは、いかなる異種間の副作用のリスクも減少させるために、ヒト起源である。
【0064】
別の実施形態において、シグナルペプチドは、ネイティブニューブラスチンシグナルペプチド、例えば、ネイティブヒトニューブラスチンシグナルペプチドである。この状況において、後者の構築物のネイティブニューブラスチンシグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドは、δプロニューブラスチンと呼ばれる。
【0065】
なお別の実施形態において、シグナルペプチドは、合成シグナルペプチド、例えば、配列番号62のAA1〜AA38のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドである。
【0066】
【化1】

(ニューブラスチン)
ニューブラスチンポリペプチドは、神経細胞および組織の生存を促進、その表現型分化を維持、変性を予防、再生を促進、ならびに活性を回復するタンパク質である。ニューブラスチンは(最初に記載された、例えば、WO 00/01815において)、代替的に、「アーテミン(artemin)」(例えば、WO 00/18799)および「エノビン(enovin)」(例えば、WO 00/04050)と呼ばれている。
【0067】
ニューブラスチンは、TGFβスーパーファミリーの遠いメンバーとして分類されており(Massagueら、1994、Trends in Cell Biology,4:172−178)、かつグリア細胞株由来の神経栄養因子リガンドファミリー「GDNF」;WO 93/06116のメンバーであり、このファミリーには、GDNF、パーセフィン(「PSP」;Milbrandtら、1998、Neuron 20:245253)およびニュールツリン(「NTN」;WO 97/08196)が含まれる。GDNFサブファミリーのリガンドは、共通して、RETレセプターチロシンキナーゼを通してのシグナル伝達を誘導する能力を有する。GDNFサブファミリーのこれらの3種のリガンドは、神経栄養性レセプター、GFR[α]レセプターのファミリーについてのそれらの相対的親和性が異なる。ニューブラスチンは、好ましくは、GFR[α]3−RET複合体を通して作用する。Baudetら、Development、127、4335−44頁(2000);Balohら、Neuron、21、1291−1302頁(1998);Airaksinenら、Mol.Cell.Neuroscience、13、313−325(1999)。
【0068】
GDNFサブファミリーメンバーであるニュールツリン、パーセフィン、およびGDNFに対するニューブラスチン(配列番号10)のアミノ酸配列比較が表1に示される。本発明において有用であるニューブラスチンポリペプチドは、好ましくは、GDNFサブファミリーフィンガープリント、すなわち、表1において下線を付したアミノ酸残基を好ましく保持する。
【0069】
【表1】

表1に示されるアミノ酸配列アラインメントから、ニューブラスチンがTGF[β]スーパーファミリー内で保存される位置に7個のシステイン残基を有することが観察され得る。この配列アラインメントに基づいて、ニューブラスチンは、神経栄養因子のGDNFサブファミリーのメンバーであることが示された(LGLG−FR(Y/F)CSGSC−QxCCRP−SAxxCGC、GDNFサブファミリーフィンガープリント、表1において下線を付した)。
【0070】
本発明において有用なニューブラスチンポリペプチドは、プレタンパク質、成熟タンパク質、グリコシル化タンパク質、リン酸化タンパク質、短縮型、または任意の他の翻訳後修飾タンパク質の形態を含む任意の生物活性な形態で提供され得る。生物活性ニューブラスチンは、二量体形成が活性のために必要とされるので、各NBN改変体についての二量体型であることが仮定される。単量体NBNポリペプチドにおいては、活性はほとんど観察されないか、または活性は全く観察されない。生物活性ニューブラスチンポリペプチドは、コファクター、例えば、GFR[α]3またはRETの存在下で、GFR[α]3、またはGFR[α]3およびRETの複合体に結合し、RETの二量体化およびRETの自己リン酸化を誘導する、二量体化ポリペプチドを含む。従って、「ニューブラスチンポリペプチド」とは、本明細書で使用される場合、神経栄養活性を有するポリペプチドである(例えば、WO 00/01815に記載されるように)。
【0071】
本発明の方法によって産生されるニューブラスチンポリペプチドは、ネイティブなニューブラスチンの少なくとも1つの生物学的活性を示す。本発明の目的のための生物学的活性は、任意の適切な方法によって決定され得る。生物学的に活性なニューブラスチンポリペプチドは、二量体化された場合、GFRα3とともにRETに結合し得る、RET二量体化および自己リン酸化を誘導するポリペプチドである(例えば、Sanicolaら、1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:6238を参照のこと)。レセプター結合およびレセプター自己リン酸化を決定する任意の方法が使用されて、本発明の方法によって産生されるニューブラスチンポリペプチドの生物学的活性を評価し得る。例えば、実施例17において記載されるKIRAアッセイ(ELISA)は、ニューブラスチンの生物学的活性を評価するために使用され得る(Sadickら、1996、Anal.Biochem.235(2):207)。
【0072】
生物活性型のニューブラスチンはまた、実施例1に記載されるRetL3 ELISAアッセイを使用して検出され得る。生物学的機能を有さないニューブラスチンは、RetL3 ELISAアッセイによっては検出されない。
【0073】
以下の全長配列は、野生型シグナルペプチドを有する野生型プレプロニューブラスチンを表す。哺乳動物細胞への形質転換またはトランスフェクトの際に、得られる成熟ニューブラスチンは、非常に少量でのみ分泌される。ヒト、マウス、およびラットのニューブラスチンのネイティブなシグナルペプチドは、最初の39アミノ酸によって表される。
配列番号10の−−AA−80−AA140(「野生型」ヒトプレプロ)、
配列番号11の−−AA−80−AA144(マウスプレプロ)、
配列番号12の−−AA−80−AA144(ラットプレプロ)。
【0074】
本発明に従って分泌されるニューブラスチンポリペプチドは長さが異なり得る。成熟ヒトニューブラスチンポリペプチドは、通常、C末端113アミノ酸のプレプロニューブラスチンからなるが、113アミノ酸のすべてが、有用なニューブラスチン生物学的活性を達成するために必要であるわけではない。アミノ末端短縮が許容され得る。従って、分泌ニューブラスチンポリペプチドは、ネイティブヒトニューブラスチンのC末端99〜113アミノ酸に対応し、すなわち、その長さは、99個、100個、101個、102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、110個、111個、112個、または113個のアミノ酸であり得る。分泌されるニューブラスチンポリペプチドの正確な長さの選択は、当業者によってなされ得る設計の選択である。ネイティブヒトニューブラスチンのC末端104アミノ酸からなる分泌ヒトニューブラスチンポリペプチドは、以下に提供される実施例において例示される。長さの変動に加えて、分泌ヒトニューブラスチンポリペプチドは配列が変動し得る。
【0075】
以下の「野生型」ニューブラスチンアミノ酸(「aa」または「AA」)配列は、本発明の方法および組成物において有用であるものの例示である:
配列番号10の−−AA−AA140(成熟140AA;本明細書中以後「140NBN」)、
配列番号10の−−AA25−AA140(成熟116AA;本明細書中以後「116NBN」)、
配列番号10の−−AA28−AA140(成熟113AA(配列番号14);本明細書中以後「113NBN」)、
配列番号11の−−AA−AA144(マウス成熟144AA)、
配列番号12の−−AA−AA144(ラット成熟−−144AA)、
配列番号10の−−AA107−AA140、より好ましくは、配列番号10のAA76−AA140に記載され、かつGDNFファミリーおよびTGFβスーパーファミリーに特徴的な7個のCys残基を保持しているC末端配列を有するペプチド。
【0076】
1つの実施形態において、好ましいニューブラスチンポリペプチドは、配列番号10の43位、70位、74位、107位、108位、136位、および138位において保存された(7個の)システインを含む。これらの7個の保存性システイン残基は、TGF−スーパーファミリー内で3個のモノマー内ジスルフィド結合(例えば、配列番号10において、システイン残基43〜108、70〜136、および74〜138の間で意図される)、および1つのモノマー間ジスルフィド結合(例えば、配列番号10においてシステイン残基107〜107間で意図される)を形成することが公知であり、これらは、伸長されたβ鎖領域とともにTGF[β]スーパーファミリーについての保存性構造モチーフを構成する。例えば、Daopinら、Proteins 1993,17:176−192を参照のこと。
【0077】
好ましくは、ニューブラスチンポリペプチドは、成熟型の野生型タンパク質の1つである。プロ領域の非存在は、遺伝子改変された哺乳動物細胞において高い分泌レベルのために重要であると現在考えられている。
【0078】
本発明において有用であるニューブラスチンポリペプチドはまた、短縮型の全長ニューブラスチン分子を含む。このような短縮型分子において、1つ以上のアミノ酸がN末端またはC末端から、好ましくは、N末端から欠失されている。短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、成熟ニューブラスチンポリペプチドを提供すること、および短縮型ニューブラスチンポリペプチドを産生するのに十分な条件下で、少なくとも1種のプロテアーゼと成熟ニューブラスチンポリペプチドを接触させることによって入手され得る。好ましくは、少なくとも1種のプロテアーゼはエキソプロテアーゼであり、成熟ニューブラスチンポリペプチドを接触させることは、エキソペプチダーゼニューブラスチンポリペプチド消化生成物の形成を生じ、これはジペプチジルペプチダーゼでさらに消化され得る。より好ましくは、本発明に従って、発現ベクターによってコードされるタンパク質は短縮型であり、さらなるプロセシングの必要がない。
【0079】
本明細書に記載される短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、好ましくは、成熟ニューブラスチン配列中で保存される7個のシステイン残基を含むポリペプチド配列を含む。特定の好ましい実施形態において、短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、成熟113NBNニューブラスチンポリペプチドの少なくとも85カルボキシ末端アミノ酸を含む。より好ましい実施形態において、短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、成熟ヒト113NBNの少なくとも98カルボキシ末端アミノ酸を含む。
【0080】
1つの短縮型は、成熟ニューブラスチンの7個のシステイン残基の最初から最後までの97アミノ酸を含む。これは、配列番号20のアミノ酸番号2から97に対応する。
【0081】
他のニューブラスチンの改変体には、短縮型NBN型が含まれる。これらの例には以下が含まれる:
(i)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端112アミノ酸を有する、本明細書でNBN112と称される112AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸29〜140)。
【0082】
(ii)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端111アミノ酸を有する、本明細書でNBN111と称される111AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸30〜140)。
【0083】
(iii)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端110アミノ酸を有する、本明細書でNBN110と称される110AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸31〜140)。
【0084】
(iv)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端109アミノ酸を有する、本明細書でNBN109と称される109AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸32〜140)。
【0085】
(v)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端108アミノ酸を有する、本明細書でNBN108と称される108AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸33〜140)。
【0086】
(vi)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端107アミノ酸を有する、本明細書でNBN107と称される107AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸34〜140)。
【0087】
(vii)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端106アミノ酸を有する、本明細書でNBN106と称される106AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸35〜140)。
【0088】
(viii)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端105アミノ酸を有する、本明細書でNBN105と称される105AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸36〜140)。
【0089】
(ix)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端104アミノ酸を有する、本明細書でNBN104と称される104AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸37〜140)(配列番号19としてもまた示される)。
【0090】
(x)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端103アミノ酸を有する、本明細書でNBN103と称される103AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸38〜140)。
【0091】
(xi)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端102アミノ酸を有する、本明細書でNBN102と称される102AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸39〜140)。
【0092】
(xii)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端101アミノ酸を有する、本明細書でNBN101と称される101AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸40〜140)。
【0093】
(xiii)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端100アミノ酸を有する、本明細書でNBN100と称される100AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸41〜140)。
【0094】
(xiv)成熟ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端99アミノ酸を有する、本明細書でNBN99と称される99AAポリペプチド配列(例えば、配列番号10のアミノ酸42〜140)(配列番号20としてもまた示される)。
【0095】
本明細書に開示されるニューブラスチンの短縮型(例えば、112AA型から99AA型)が神経栄養活性を有することが理解される。
【0096】
最も好ましい実施形態において、短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、成熟113AAニューブラスチンポリペプチドの99aa、100aa、101aa、102aa、103aa、104aa、105aa、106aa、107aa、108aa、109aa、110aa、111aa、または112aaのカルボキシ末端アミノ酸である(すなわち、それぞれ、NBN99、NBN100、NBN101、NBN102、NBN103、NBN104、NBN105、NBN106、NBN107、NBN108、NBN109、NBN110、NBN111、またはNBN112)。この配列はまた、配列番号11および12において、それぞれカルボキシ末端99aa、100aa、101aa、102aa、103aa、104aa、105aa、106aa、107aa、108aa、109aa、110aa、111aa、または112aaとして、マウスおよびラットのニューブラスチンポリペプチドにおいても見いだされ得る。短縮型NBNのこれらの最も好ましい例は、それらが神経栄養活性を有することが実証されたので、生物活性である(「生物活性短縮型ニューブラスチンポリペプチド」とも呼ばれる)。上記に言及されるように、NBNモノマー性ポリペプチドを用いるとほとんど活性が観察されないか、または活性が全く観察されないので、NBN二量体化は、生物活性のために必要である。
【0097】
マウスおよびラットのニューブラスチンの短縮型もまた意図される。これらは、配列番号16のC末端の99個、100個、101個、102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、110個、111個、112個、113個、114個、115個、もしくは116個のアミノ酸(マウス)からなり得、またはこれらは配列番号18のC末端の99個、100個、101個、102個、103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、110個、111個、もしくは112個のアミノ酸(ラット)からなり得る。
【0098】
従って、本発明は、配列番号10のアミノ酸1〜140、または配列番号11もしくは12のアミノ酸1〜144、配列番号13、14、15、16、17、もしくは18、N末端短縮型NBN、変異型NBN、または変異型かつN末端短縮型NBNとして同定される配列を有するニューブラスチンから選択される成熟NBNからなる群より選択されるニューブラスチンポリペプチドを含み、例えば、成熟NBNは、配列番号13、14、15、16、17、もしくは18によって同定される配列を有するニューブラスチンからなる群より選択され、より特定には、ニューブラスチンポリペプチドは、配列番号10の106個、104個、102個、もしくは99個のC末端アミノ酸を有するN末端短縮型ニューブラスチンからなる群より選択され、またはニューブラスチンポリペプチドは、ヒトニューブラスチンの116個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの113個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸、およびヒトニューブラスチンの116個のC末端アミノ酸、配列番号19のアミノ酸配列を有するニューブラスチンポリペプチド、または配列番号20の99アミノ酸を含むニューブラスチンポリペプチドからなる群より選択される。
【0099】
本発明において有用であるNBNはまた、上記の種々のプレプロ、プロ、成熟、および短縮型の「ニューブラスチン」ポリペプチドに対する実質的な類似性または同一性を有するアミノ酸配列を有するNBNポリペプチドを含む。好ましくは、使用されるニューブラスチンポリペプチドは、配列番号10〜23に記載のニューブラスチンポリペプチドの成熟ペプチドに対して、少なくとも70%、より好ましくは85%、なおより好ましくは90%、またはなおさらに好ましくは95%の同一性または類似性を有する。最も好ましくは、使用されるニューブラスチンポリペプチドは、配列番号10〜23におけるニューブラスチンポリペプチドの成熟ペプチドに対して、少なくとも99%の同一性または類似性を有する。
【0100】
候補ポリペプチドが本発明のニューブラスチンポリペプチドと相同性を共有する程度は、2つのアミノ酸配列間の類似性または同一性の程度として決定される。
【0101】
高レベルの配列同一性は、第1の配列が第2の配列に由来する可能性を示す。アミノ酸配列の同一性は、2つのアラインされた配列間での同一のアミノ酸配列を必要とする。従って、参照配列と70%のアミノ酸同一性を共有する候補配列は、アラインメントに従うと、候補配列中のアミノ酸の70%が参照配列中の対応するアミノ酸と同一であることを必要とする。同一性は、コンピュータ分析によって決定され、これは例えば、非限定的に、ClustalXコンピュータアラインメントプログラム(Thompson JD、Gibson TJ、Plewniak F、Jeanmougin F、およびHiggins DG:「The ClustalX windows interface:flexible strategies for multiple sequence alignment aided by quality analysis tools」;Nucleic Acids Res.1997、25(24):4876−82)およびそこに示唆されているデフォルトパラメーターである。このプログラムを使用して、本発明の類似のDNA配列によってコードされるポリペプチドの成熟部分は、配列番号10(ヒトNBN)、配列番号11および12(齧歯類NBN)として本明細書に提示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、より好ましくは85%、なおより好ましくは90%、またはなおさらに好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも99%の程度の同一性を示す。
【0102】
他のアラインメントツールが公知であり、これは例えば、Needlemanら、J.Mol.Biol.48:443(1970)に記載されたダイナミックプログラミングアルゴリズム、およびDNAstar社によって製造された市販のソフトウェアパッケージであるAlign Programがあり、これらの教示は参照として本明細書に援用される。一旦、候補配列と参照配列との間のアラインメントがなされ、リファインされたならば、相同性スコアパーセントが計算される。各配列の個々のアミノ酸は、互いに対するそれらの類似性に従って連続的に比較される。
【0103】
類似性の要因には、類似のサイズ、形状、および電荷が含まれる。アミノ酸の類似性を決定する1つの特に好ましい方法は、Dayhoffら、Atlas of Protein sequence and structure 345−352(1978および補遺)(参照として本明細書に援用される)において記載されるPAM250マトリックスである。類似性スコアは、最初に、対でアラインされたアミノ酸類似性スコアの総計として計算される。挿入および欠失は、相同性および同一性のパーセントの目的のために無視される。従って、ギャップペナルティーはこの計算においては使用されない。
【0104】
次いで、未加工スコアが、それを候補化合物およびニューブラスチンポリペプチドの7個のシステイン骨格のスコアの相乗平均によって除算することによって標準化される。相乗平均は、これらのスコアの積の平方根である。標準化された未加工スコアが相同性パーセントである。
【0105】
上記に注記されるように、本発明のニューブラスチンポリペプチドは改変体ポリペプチドを含む。本発明の状況において、用語「改変体ポリペプチド」は、配列番号10、13、14、19、20、21、22、もしくは23(ヒトNBN)、または配列番号11、12、15〜18(齧歯類NBN)の一部として提示される成熟ペプチドと、1つ以上のアミノ酸位置において異なるアミノ酸配列を有するポリペプチド(またはタンパク質)を含む。このような改変体ポリペプチドは、上記の修飾ポリペプチド、ならびに保存性置換、スプライシング改変体、アイソフォーム、他の種からのホモログ、および多型を含む。
【0106】
本明細書に規定されるように、用語「保存性置換」とは、別の生物学的に類似の残基によるアミノ酸残基の置き換えを意味する。典型的には、生物学的類似性は、上記に言及されるように、保存性アミノ酸を有する野生型配列上の置換を反映する。
【0107】
ニューブラスチンポリペプチドの配列中のアミノ酸についての置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る(表1を参照のこと)。さらに、種々のアミノ酸が、中性アミノ酸、例えば、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンで一般的に置換される(例えば、MacLennanら、1998、Acta Physiol.Scand.Suppl.、643:55−67;Sasakiら、1998、Adv.Biophys.,35:1−24を参照のこと)。複数の置換は本発明の範囲に含まれる。しかし、本発明のすべてのニューブラスチンポリペプチドは、下記C節に説明されるようなネイティブニューブラスチンの少なくとも1種の活性を有さなくてはならない。以下の表もまた参照のこと。
【0108】
【化2】

例えば、特に保存性置換がポリペプチドまたはタンパク質中の残基の総数の10%未満を表す場合に、生物学的活性にほとんど効果を有さないか、または全く効果を有さない保存性アミノ酸置換が期待される。好ましくは、保存性アミノ酸置換は、ポリペプチドまたはタンパク質の5%未満、最も好ましくはポリペプチドまたはタンパク質の2%未満の変化を表す。
【0109】
1つの実施形態において、ニューブラスチンポリペプチドは、15アミノ酸までの置換、例えば、12アミノ酸までの置換、例えば、10アミノ酸までの置換、例えば、8アミノ酸までの置換、例えば、5アミノ酸までの置換を含む。例えば、ヒト113NBNに従って計算される場合、最も好ましい保存性置換は、野生型成熟アミノ酸配列における3個より少ないアミノ酸置換を表す。特に好ましい実施形態において、成熟配列において単一のアミノ酸置換が存在し、ここで、置換されるアミノ酸と置き換えるアミノ酸の両方が環状ではない。特定の保存性置換の他の例には、1つの疎水性残基の別の疎水性残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、もしくはメチオニン)の代わりの置換、または1つの極性残基の別の極性残基の代わりの置換、例えば、アルギニンのリジンの代わりの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸の代わりの置換、またはグルタミンのアスパラギンの代わりの置換などが含まれる。
【0110】
用語「保存性置換」はまた、置換されたポリペプチドに対して惹起された抗体もまた非置換のポリペプチドと免疫反応するという条件で、未置換の親のアミノ酸の残基の代わりの置換アミノ酸残基の使用を含む。
【0111】
この一次アミノ酸配列の修飾は、未修飾の対応物ポリペプチドと比較した場合に、実質的に等価な活性を有するタンパク質を生じ得、従って、親のタンパク質の機能的アナログと見なされ得る。このような修飾は意図的なもの、例えば、部位特異的変異誘発によるものであり得るか、または自発的に起こり得、そしてスプライシング改変体、アイソフォーム、他の種からのホモログ、および多型を含む。このような機能的アナログもまた、本発明に従って意図される。
【0112】
ヒト、マウス、およびラットからの99個のC末端アミノ酸のアラインメントが以下に示される:
【0113】
【化3】

置換は好ましくは、「星印なし」、「.」または「:」で印付けられた非保存性の位置において行われる。
【0114】
置換のための他の好ましい位置は「%」で示される。
【0115】
さらに、一次アミノ酸配列の修飾は、親のタンパク質の生物学的活性を保持していないタンパク質(ドミナントネガティブ型などを含む)を生じ得る。ドミナントネガティブタンパク質は、通常ポリペプチドと機能的に相互作用する上流または下流の成分などの調節因子に結合するか、またはそれを隔離することによって、野生型タンパク質に干渉し得る。このようなドミナントネガティブ型もまた、本発明に従って意図される。
【0116】
生物学的に活性型の短縮型ニューブラスチンは、WO 02/072826(NsGeneおよびBiogen)から公知である。短縮型および変異型のニューブラスチン分子もまた、WO 02/060929(Biogen)から公知であり、とりわけ、変異型ニューブラスチンは、配列番号14のアミノ酸8〜113に由来するアミノ酸配列を含み、ここで、改変体ニューブラスチンポリペプチドは、この改変体ポリペプチドのアミノ酸配列における14位のアルギニン以外のアミノ酸、この改変体ポリペプチドのアミノ酸配列における39位のアルギニン以外のアミノ酸、この改変体ポリペプチドの68位のアルギニン以外のアミノ酸、およびこの改変体ポリペプチドの95位のアスパラギン以外のアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸の、例えば、リジンへ残基への置換を含み、ここでこのアミノ酸の位置は配列番号10のポリペプチド配列に従って番号付けされている。変異型は、上記のように短縮され得るか、または成熟タンパク質の全長を含み得る(配列番号14のアミノ酸1〜113)。好ましくは、14位、39位、または68位のアミノ酸はリジンである、
(シグナルペプチドの切断)
発現構築物に取り込むための特定のニューブラスチン型について決定する前に、シグナルペプチド、例えば、Igspの切断の可能性が、最先端の予測ツールを使用してチェックされ得る。1つのこのような好ましい予測ツールは、シグナルP WWWサーバー(http://www.cbs.dtu.dk/services/シグナルP−2.0/)において入手可能なシグナルPソフトウェアであり、より好ましくは、より新しいバージョン3.0が同じサーバーから入手可能である(http://www.cbs.dtu.dk/services/シグナルP−3.0/)。
【0117】
シグナルP WWWサーバーは、使用者の配列の各位置について0から1までの3通りのスコアを返す。
【0118】
(C−スコア(未加工切断部位スコア))
ネットワークからの出力スコアは切断部位対他の配列位置を認識するように指向されている。以下のように指向されている:
ハイ +1位(切断部位の直後)
ロー すべての他の位置。
【0119】
(S−スコア(シグナルペプチドスコア))
ネットワークからの出力スコアはシグナルペプチド対非シグナルペプチド位置を認識するように指向されている。以下のように指向されている:
ハイ 切断部位の前のすべての位置
ロー 切断部位の後30位 および
非分泌タンパク質のN末端。
【0120】
(Y−スコア(組み合わせた切断部位スコア))
切断部位の位置の予測は、C−スコアが高く、かつS−スコアがハイ値からロー値までの変化する箇所を観察することによって最適化される。Y−スコアは、S−スコアの傾きと、C−スコアの高さを組み合わせることによってこれを定式化する。具体的には、Y−スコアは、C−スコアと、S−スコアの平滑化された派生値との間の相乗平均である(すなわち、現在の位置の前のd位置および後のd位置にわたる平均S−スコア間の違いであり、ここで、dは選択されたネットワークアンサンブルとともに変化する)。
【0121】
3つすべてのスコアは、データの異なる分配に対して指向された5つのネットワークの平均である。
【0122】
各配列について、シグナルPは最大のC−スコア、S−スコア、およびY−スコア、ならびにN末端と予測切断部位との間の平均S−スコアを報告する。これらの値は、シグナルペプチドと非シグナルペプチドとの間を区別するために使用される。使用者の配列がシグナルペプチドを有すると予測される場合、その切断部位は、最大Y−スコアを有する位置の直前であると予測される。
【0123】
典型的なシグナルペプチドについて、C−スコアおよびY−スコアは、+1位で高いのに対して、S−スコアは切断部位の前で高く、その後で低い。
【0124】
比較のために、予測は、野生型ニューブラスチンシグナルペプチドの予測された切断(プレプロNBNのアミノ酸番号39と40の間の切断)に対して比較され得る。
【0125】
好ましいニューブラスチンは、シグナルP−NNプログラムまたはシグナルP−HMMプログラムのいずれかにおいて、シグナルペプチドとニューブラスチンとの間の予測された切断を有するものである。これらには、NBN113、NBN106、NBN104、NBN102、およびNBN99が含まれるがこれらに限定されない。特に好ましいものは、SignaP−NNとシグナルP−HMMの両方においてこの位置における予測されたシグナルペプチドを有するニューブラスチンである。これらには、NBN113およびNBN99が含まれる。
【0126】
より新しいバージョン(3.0)はまた、このシグナルペプチドを使用する分泌のレベルを問題のタンパク質と相関させるために見いだされる「シグナルペプチド性」を記述する新規スコアDまたはDmax(識別スコア)を含む。
【0127】
本発明において使用されるシグナルペプチドが少なくとも0.5、例えば、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8のDmax値を、選択されたニューブラスチンポリペプチドとともに示すことが好ましい。
【0128】
【化4】

(医学的用途および治療の方法)
1つの局面において、本発明は、神経系障害の治療のための医薬の調製のための本発明に従うベクターの使用に関する。この神経系障害は、末梢神経系または中枢神経系の障害であり得る。
【0129】
ニューブラスチンは、ニューロン(損傷したニューロンおよび外傷を受けたニューロンを含むがこれらに限定されない)における欠損を治療するために有用である。外傷を受けた末梢神経には、髄質の神経または脊髄の神経が含まれるがこれらに限定されない。ニューブラスチンは、神経変性性疾患(例えば、虚血性脳神経損傷);神経障害(例えば、末梢神経障害)、アルツハイマー病、ハンティングトン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などのCNS障害の治療のために有用である。ニューブラスチンはさらに、記憶障害、例えば、痴呆に関連する記憶障害の治療における使用のために意図される。
【0130】
ニューブラスチンはまた、哺乳動物における末梢神経障害、例えば、神経障害性の疼痛を治療するための治療剤候補として知られている。神経障害性の疼痛は、毒素で誘導される神経損傷、病原体で誘導される神経損傷、外傷で誘導される神経損傷、薬物で誘導される神経損傷、特発性神経障害、糖尿病性神経障害、炎症誘導性神経損傷、または神経変性に付随し得る。ニューブラスチンはまた、哺乳動物における末梢神経障害のために使用され得る。末梢神経障害は、外傷誘導性の神経障害、ウイルス誘導性の神経障害、化学療法誘導性の神経障害、毒素誘導性の神経障害、薬物誘導性の神経障害、ビタミン欠乏誘導性の神経障害、特発性神経障害および糖尿病性の神経障害からなる群を含み得る。神経障害性の疼痛の治療のための方法および組成物は、WO 02/078730(Biogen)において開示される。
【0131】
好ましくは、ニューブラスチンは、神経障害性の疼痛、脊髄損傷、脊髄神経根剥離、疼痛性チック、カウザルギー、角膜損傷、および網膜症を含む末梢神経障害からなる群より選択される障害を治療するために使用される。
【0132】
本発明の1つの好ましい実施形態に従うと、治療される神経変性性疾患は、パーキンソン病である。ニューブラスチンは、ドーパミン作動性ニューロンの生存を増加させることが知られている(WO 00/01815 NsGene;Balohら、1998 Neuron 21:1291−1302)。
【0133】
また、本発明のベクター、カプセル、および組成物は、色素性網膜炎、黄斑変性、緑内障、および糖尿病性網膜症などの眼の疾患の治療のために使用され得る。ニューブラスチンはまた、角膜損傷および潰瘍の治療において使用され得る(EP 1 223 996 Biopharm)。
【0134】
神経系疾患は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明のベクター、または治療有効量の本発明の薬学的組成物を投与することによって治療され得る。
【0135】
形質転換されるため、または裸のもしくはカプセル化された細胞をそこに移植する脳の部分についての定位座標もまた提供される(表II)。
【0136】
【表2】

上記の表において:内側外側寸法は脳の正中に関し、前方後方寸法は前交連と後交連との間の中点に関し、後方の方向をネガティブに示し、背側腹側寸法は前交連と後交連との間の中点を接続する線に関し、その線に対して腹側をネガティブとし、すべての寸法はセンチメートルであり、Gpeは淡蒼球の外部セグメントを意味し、Gpiは淡蒼球の内部セグメントを意味し、Snrは黒質網様部を意味し;STNは視床下核を意味し;NBMはマイネルトの基底核を意味し、そしてcaudateは尾状核を意味する。
【0137】
インビボ形質転換の代わりに、神経系疾患は、その必要がある個体に、
i.本発明に従う形質転換もしくはトランスフェクトされた細胞の治療有効量;または
ii.形質転換またはトランスフェクトされた細胞を含む移植可能デバイス
を移植することによって治療され得る。
【0138】
好ましくは、移植は細胞または移植可能デバイスを含む。
【0139】
この移植は、自系移植、同種異系移植、または異種移植を含み得る。
【0140】
(中枢神経系における神経変性性障害の治療のための標的組織)
重要なパラメーターは適切な標的組織の選択である。脳の領域は、神経栄養因子に対するその保持された応答性について選択される。領域の標的化は、本明細書に記載されるような遺伝子治療ベクターの投薬量単位を送達することによって、または本発明に従う裸の細胞もしくはカプセル化された細胞を移植することによって達成され得る。
【0141】
ヒトにおいては、成人期まで神経栄養因子に対する応答性を保持するCNSニューロンには、コリン作動性前脳基底核ニューロン、嗅内皮質ニューロン、視床ニューロン、青斑核ニューロン、脊髄感覚ニューロン、および脊髄運動ニューロンが含まれる。
【0142】
最初のスキャン、例えば、MRIスキャンは、治療部位の正確な位置を決定するために患者に対し実行され得る。例えば、パーキンソン病を治療する際には、黒質を含む基底核が治療部位である。脳の罹患した領域は、5以下の送達部位の選択がドーパミン作動性ニューロンの臨床的に有意な数の回復のために十分であるようなサイズであるらしい。同じ数の送達部位が脳の外側に提供され得る。
【0143】
インビボ遺伝子治療のために、送達は全身的または局所的であり得る。全身的送達によって、筋肉内、皮下、または腹腔内の遺伝子治療ベクターの投与が意図され、これは、循環系へのニューブラスチンの連続的放出を生じる。
【0144】
インビボ遺伝子治療のために、特異的インビボ遺伝子送達部位が、ニューロンまたは末端の損失の領域中でクラスター化するように選択される。このような領域は、磁気共鳴映像法(MRI)および生検を含む多数の公知の技術を使用して臨床的に同定され得る。ヒトにおいては、非侵襲性の、インビボ映像化方法(例えば、MRI)が好ましい。ニューロンまたは末端の損失の領域が一旦同定されると、送達部位が定位的分布のために選択され、それゆえにニューブラスチンの各単位投薬量が、標的とされた細胞において、またはその細胞から500μm以内、かつ別の送達部位から約10mm以下で、脳または脊髄に送達される。脳内において、遺伝子治療ベクターは、実質または脳室に投与され得る。
【0145】
眼内において、遺伝子治療ベクターは、硝子体、網膜下腔、およびサブテナーカプセルに投与され得る。
【0146】
末梢神経障害(神経障害性の疼痛を含む)の治療のために、遺伝子治療ベクターは、痛覚の伝達に関与する身体の領域に投与され得る。このような領域は、脊髄投与およびクモ膜下腔内投与を含み得る。
【0147】
1つの実施形態において、ベクターは、筋肉内、皮下、または腹腔内に投与され得る。別の実施形態において、ベクターまたは組成物は、痛覚の伝達に関与する身体の領域に投与され得る。第3の実施形態において、このベクターまたは組成物は、脊髄投与またはクモ膜下腔内に投与され得る。第4の実施形態において、ベクターは、硝子体、網膜下腔、およびサブテナーカプセルを含む眼に投与される。
【0148】
(インビボ遺伝子治療のための用量要件および送達プロトコール)
さらなる重要なパラメーターは、標的組織に送達されるニューブラスチンの投薬量である。この点に関して、「単位投薬量」とは、一般的に、ニューブラスチン組成物のニューブラスチン/mlの濃度をいう。ウイルスベクターについては、ニューブラスチン濃度は、神経栄養組成物のウイルス粒子の数/mlによって規定される。最適には、ウイルス発現ベクターを使用するニューブラスチンの送達のためには、ニューブラスチンの各単位投薬量は、2.5〜25μLのニューブラスチン組成物を含み、ここで、この組成物は、ウイルス発現ベクターを薬学的に受容可能な液体中に含み、ニューブラスチン組成物のmlあたり1010から1015までのニューブラスチン含有ウイルス粒子を提供する。このような高い力価は特にアデノ関連ウイルスのために使用される。レンチウイルスについては、力価は通常より低く、例えば、10から1010形質転換単位/ml(TU/ml)であり、実施例2に記載されるように決定される。
【0149】
ニューブラスチン組成物は、マイクロインジェクション、注入、スクレイプローディング(scrape loading)、エレクトロポレーション、または外科的切開を通して送達部位組織に組成物を直接送達するために適切である他の手段によって、標的組織中の各送達細胞部位に送達される。送達は、ゆっくりと、例えば、約5〜10分間の時間にわたって達成される(送達されるニューブラスチン組成物の総量に依存する)。
【0150】
当業者は、本発明によって利用される直接的送達方法が、インビボ遺伝子治療に付随する限定的なリスク要因、すなわち、導入遺伝子をコードするニューブラスチンを有するベクターでの、標的とされていない細胞の形質転換についての潜在能力を除去することを理解する。本発明においては、送達は直接的であり、送達部位は選択され、それゆえに分泌されたニューブラスチンの拡散は、標的とされていない細胞との接触を最小化しながら、標的とされたニューロンとの接触を最適化するために、制御されかつ所定の領域にわたって起こる。
【0151】
(遺伝子治療ベクター)
広範に、遺伝子治療は、患者への治療的利益を生じることを伴って、患者の細胞に新たな遺伝子物質を移動させることを探求する。このような利益には、広い範囲の疾患、障害、および他の状態の治療または予防が含まれる。
【0152】
エキソビボ遺伝子治療アプローチは、単離された細胞の修飾、次いでこれを患者に注入、移植(graft)、またはさもなくば移植(transplant)することを含む。例えば、米国特許第4,868,116号、同第5,399,346号、および同第5,460,959号を参照のこと。インビボ遺伝子治療は、インビボで宿主患者組織を直接的に標的化することを探求する。
【0153】
遺伝子移入ベクターとして有用なウイルスには、パポバウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレトロウイルスが含まれる。適切なレトロウイルスには、HIV、SIV、FIV、EIAV、およびMoMLVからなる群が含まれる。
【0154】
神経系の障害の治療のために好ましいウイルスは、レンチウイルスおよびアデノ関連ウイルスである。両方の型のウイルスは、細胞分裂なしでゲノムに組み込まれ得、そして両方の型が、神経系、特に中枢神経系の適応のための前臨床的動物研究において試験されてきた。
【0155】
AAVの調製のための方法は当該分野において記載されており、例えば、米国特許第5,677,158号、米国特許第6,309,634号、および米国特許第6,683,058号は、中枢神経系へのAAVの送達の例を記載している。
【0156】
特定のかつ好ましい型のレトロウイルスには、細胞に形質転換し得、かつ細胞分裂なしでそのゲノムに組み込まれ得るレンチウイルスが含まれる。従って、好ましくは、ベクターは複製欠損レンチウイルスベクターである。このようなレンチウイルス粒子は、5’レンチウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、この融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドシグナルに作動可能に連結されたプロモーター、第2鎖DNA合成の起点、ならびに3’レンチウイルスLTRを含むレンチウイルスベクターから産生され得る。レンチウイルスの調製および神経細胞へのインビボ投与のための方法は、US 20020037281(Methods for transducing neural cells using lentiviral vectors)に記載されている。
【0157】
レトロウイルスベクターはヒト臨床試験において最も一般的に使用されているベクターである。なぜなら、これらは7〜8kbと、多くの他のウイルスベクターよりも大きく、かつこれらは、細胞を感染させ、それらの遺伝子物質を宿主細胞に高い効率で安定して組み込む能力を有するからである。例えば、WO 95/30761、WO 95/24929を参照のこと。オンコウイルスは、患者への外因性核酸配列の移動および組み込みのために、少なくとも1ラウンドの標的細胞増殖を必要とする。レトロウイルスベクターは、患者のゲノムにランダムに組み込まれる。
【0158】
2つのクラスのレトロウイルス粒子が記載されている。マウス細胞に効率的に感染し得るエコトロピック、および多くの種の細胞に感染し得るアンホトロピックである。第3のクラスには、ゼノトロピックレトロウイルスが含まれ、これは、ウイルスを産生する種以外の別の種の細胞に感染し得る。分裂している細胞のゲノムにのみ組み込まれるこれらの能力が、発生研究において細胞系統をマークするため、および癌または腫瘍に対して治療遺伝子または自殺遺伝子を送達するための魅力的なレトロウイルスを作製した。これらのベクターは、成人患者において細胞分裂が比較的欠けている中枢神経系において特に有用であり得る。
【0159】
ヒト患者における使用のために、レトロウイルスベクターは、複製欠損性でなくてはならない。これは、標的組織中での感染性レトロウイルス粒子のさらなる生成を妨害する−その代わりに、複製欠損ベクターは、標的細胞ゲノムに安定に組み込まれる「捕獲性」の導入遺伝子となる。典型的には、複製欠損ベクターにおいて、遺伝子gag、env、およびpolが欠失されている(ウイルスゲノムの残りの大部分とともに)。異種DNAは欠失したウイルス遺伝子の代わりに挿入される。この異種遺伝子は、内因性の異種プロモーター、標的細胞中で活性な別の異種プロモーター、またはレトロウイルス5’LTR(ウイルスLTRは多様な組織中で活性である)の制御下にあり得る。典型的には、レトロウイルスベクターは、約7〜8kbの導入遺伝子容量を有する。
【0160】
複製欠損ウイルスベクターは、複製のために必要なウイルスタンパク質の供給、および例えば、操作されたパッケージング細胞株からの、トランスでのアセンブリーを必要とする。パッケージング細胞が複製コンピテントなウイルスおよび/またはヘルパーウイルスを放出しないことは重要である。このことは、Ψシグナルを欠くRNAからウイルスタンパク質を発現すること、および別個の転写単位からのgag/pol遺伝子およびenv遺伝子を発現することによって達成されてきた。さらに、あるパッケージング細胞株において、5’LTRはこれらの遺伝子の発現を制御する非ウイルス性プロモーターで置換されており、ポリアデニル化シグナルが加えられている。これらの設計は、複製コンピテントベクターおよびヘルパーウイルスの産生をもたらす組換えの可能性を最小化する。例えば、米国特許第4,861,719号(参照として本明細書に援用される)を参照のこと。
【0161】
本発明はさらに、ニューブラスチンポリペプチドおよびシグナル配列をコードする核酸配列を含む核酸構築物に関する。シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドは、上記に記載された通りである。従って、ある実施形態において、核酸構築物は、プレプロニューブラスチンポリペプチドの113C末端コドンからなる配列をコードする。特定の実施形態において、この核酸は、プレプロニューブラスチンポリペプチドの104C末端コドンからなる配列をコードする。
【0162】
核酸配列は、アルブミンシグナル配列(例えば、ラットアルブミンシグナル配列)などの異種シグナルペプチドを含み得、かつ配列番号65の核酸配列を含む。ある実施形態において、核酸構築物は、修飾アルブミンシグナル配列、例えば、ラットアルブミンシグナル配列をコードする。1つの例示的な実施形態は、配列番号69を含む核酸構築物である。他の実施形態において、核酸構築物は、ヒト成長ホルモンシグナル配列をコードする。1つの例示的な実施形態は、配列番号67を含む核酸構築物である。ヒト成長ホルモンシグナル配列はイントロンを含み得る。
【0163】
本発明の特定の実施形態において、核酸構築物は、トランスフェクトされた宿主細胞中での発現のために最適化された核酸配列を含む。コドン使用頻度の最適化は、ポリペプチド収量の増加、または転写もしくは翻訳の効率の改善を提供することによって有利であり得る。本発明の最適化された核酸構築物の1つの例示的な実施形態は、配列番号59に示される。
【0164】
1つより多くのコドンが同じアミノ酸をコードし得る、遺伝コードの公知の縮重に起因して、DNA配列は、配列番号65、67、または69に記載されるものから変化され得、かつなお配列番号66、68、または70の対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをそれぞれコードする。このような改変体DNA配列は、サイレント変異から生じ得るか(例えば、PCR増幅の間に起こる)、またはネイティブな配列の意図的な変異誘発の生成物(例えば、コドン最適化)であり得る。
【0165】
核酸構築物はベクターであり得る。適切なプラスミドベクターの例には、pFRT/lac Zeo、pFRT/dhfr−1(Invitrogen,Carlsbad,CA)、pUC、pGEM、およびpGEX(Pharmacia,Peapack,NJ)が含まれるがこれらに限定されない。他の適切なベクターには、等価な機能を発揮するウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)が含まれる。
【0166】
(発現ベクター)
発現ベクターは、発現される核酸配列に作動可能に連結された1つ以上の調節配列を含み得る。調節配列の例には、プロモーター、エンハンサー、およびポリアデニル化シグナルが含まれる。このような調節配列は、例えば、Goeddel、1990 Methods Enzymol.185:3に記載されている。調節配列には、多くの型の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向するもの、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指向するもの(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現のレベルなどのような要因に依存することが当業者によって理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され得、それによってタンパク質またはペプチドを産生する。
【0167】
本発明における使用のためのニューブラスチンの組換え発現のためのベクターの構築は、当業者に対して詳細な説明を必要としない、従来的な技術を使用して達成され得る。しかし、概説として、当業者は、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboatory(NY 1982)を参考にするよう希望するかもしれない。
【0168】
手短に述べると、組換え発現ベクターの構築は、標準的なライゲーション技術を利用する。構築されたベクター中の正確な配列を確認するための分析として、ライゲーション混合物が宿主細胞にトランスフェクト/形質転換するために使用され得、そして首尾よく遺伝子が変化した細胞が、適切な場合、抗生物質耐性によって選択され得る。
【0169】
トランスフェクト/形質転換された細胞からのベクターは、例えば、Messingらの方法(Nucleic Acids Res.,9:309−,1981)、Maxamらの方法(Methods in Enzymology,65:499,1980)、Sangerのジデオキシ法、または当業者に公知である他の適切な方法によって、調製され、制限消化され、および/または配列決定される。
【0170】
切断されたフラグメントのサイズ分離は、例えば、Maniatisら(Molecular Cloing、133〜134、1982)によって記載されるように、従来的なゲル電気泳動を使用して実行される。
【0171】
本発明において利用される発現エレメントは、それらの強度および特異性が異なり得る。利用される宿主/発現系に依存して、構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメントが、発現ベクターにおいて使用され得る。哺乳動物細胞系におけるクローニングの場合、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、CMVプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が使用され得る。複数コピーの発現産物を含む細胞株を生成する場合には、SV40−、BPV−およびEBV−ベースのベクターが、適切な選択マーカーとともに使用され得る。
【0172】
遺伝子の発現は、転写、翻訳、または翻訳後のレベルにおいて制御される。転写の開始は、遺伝子発現の初期でありかつ決定的な事象である。これは、プロモーター配列およびエンハンサー配列に依存し、かつこれらの配列と相互作用する特定の細胞因子によって影響される。多くの原核生物遺伝子の転写単位はプロモーターからなり、そしてある場合においてエンハンサーまたはレギュレーターエレメントからなる(Banerjiら、Cell 27:299(1981);Cordenら、Science 209:1406(1980);ならびにBreathnachおよびChambon、Ann.Rev.Biochem.50:349(1981))。レトロウイルスについては、レトロウイルスゲノムの複製に関与する制御エレメントが長末端反復(LTR)に存在する(Weissら編、The molecular biology of tumor viruses:RNA tumor viruses,Cold Spring Harbor Laboratory、(NY 1982))。モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)のLTRはプロモーター配列およびエンハンサー配列を含む(Jollyら、Nucleic Acids Res.11:1855(1983);Capecchiら、Enhancer and eukaryotic gene expression,GulzmanおよびShenk編、101−102頁、Cold Spring Harbor Laboratories(NY 1991))。他の強力なプロモーターには、サイトメガロウイルス(CMV)および他の野生型ウイルスプロモーターに由来するものが含まれる。
【0173】
多数の非ウイルスプロモーターのプロモーター領域およびエンハンサー領域もまた、記載されている(Schmidtら、Nature 314:285(1985);RossiおよびdeCrombrugghe、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5590−5594(1987))。静止細胞中での導入遺伝子の発現を維持および増加するための方法は、1型コラーゲンプロモーター(1および2)(ProckopおよびKivirikko、N.Eng.J.Med.311:376(1984);SmithおよびNiles、Biochem.19:1820(1980);de Wetら、J.Biol.Chem.、258:14385(1983))、SV40プロモーター、およびLTRプロモーターを含むプロモーターの使用を含む。
【0174】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が利用されている。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、コード配列は、アデノウイルスの転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三成分リーダー配列にライゲートされ得る。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボでの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)中への挿入は、感染した宿主中で生存能力がありかつペプチドを発現可能である組換えウイルスを生じる(例えば、LoganおよびShenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:3655を参照のこと)。代替的には、ワクシニア7.5Kプロモーターが使用され得る(例えば、Mackettら、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.USA:79;7415;Mackettら、1984、J.Virol.49:857;Panicaliら、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:4927を参照のこと)。
【0175】
本発明の1つの実施形態に従うと、プロモーターは、ユビキチンプロモーター、CMVプロモーター、JeTプロモーター、SV40プロモーター、および伸長因子1α(EF1−α)プロモーターからなる群より選択される構成的プロモーターである。
【0176】
誘導性/抑制性プロモーターの例には、Tet−On、Tet−Off、ラパマイシン誘導性プロモーターMx1が含まれる。
【0177】
導入遺伝子発現を駆動するためにウイルス性および非ウイルス性プロモーターを使用することに加えて、エンハンサー配列が、導入遺伝子発現のレベルを増加させるために使用され得る。エンハンサーは、それらのネイティブな遺伝子の転写活性のみならず、ある外来性遺伝子の転写活性も増加させ得る(Armelor、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 70:2702(1973))。例えば、本発明において、コラーゲンエンハンサー配列が、導入遺伝子発現を増加させるためにコラーゲンプロモーター2(I)とともに使用される。さらに、SV40ウイルスにおいて見いだされたエンハンサーエレメントが、導入遺伝子発現を増加させるために使用され得る。このエンハンサー配列は、Grussら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:943(1981);BenoistおよびChambon、Nature 290:304(1981)、ならびにFrommおよびBerg、J.Mol.Appl.Genetics,1:457(1982)(これらのすべては参照として本明細書に援用される)によって記載されるように、72塩基対反復からなる。この反復配列は、種々のプロモーターと連続して存在する場合には、多くの異なるウイルス遺伝子および細胞遺伝子の転写を増加し得る(Moreauら、Nucleic Acids Res.9:6047(1981))。
【0178】
導入遺伝子発現はまた、プロモーター活性を調節するためにサイトカインを使用する長期的に安定な発現のために増加され得る。いくつかのサイトカインが、コラーゲン2(I)プロモーターおよびLTRプロモーターからの導入遺伝子の発現を調節することが報告されている(Chuaら、connective Tissue Res.,25:161−170(1990);Eliasら、Annals N.Y.Acad.Sci.,580:233−244(1990);Seligerら、J.Immunol.141:2138−2144(1988)およびSaligerら、J.Virology 62:619−621(1988))。例えば、トランスフォーミング成長因子(TOF)、インターロイキン(IL)−1、およびインターフェロン(INF)は、LTRなどの種々のプロモーターによって駆動される導入遺伝子の発現をダウンレギュレートする。腫瘍壊死因子(TNF)およびTGF1は、プロモーターによって駆動される導入遺伝子の発現をアップレギュレートし、かつこれを制御するために使用され得る。有用であることが証明され得る他のサイトカインには、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)および上皮成長因子(EGF)が含まれる。
【0179】
コラーゲンエンハンサー配列(Coll(E))を有するコラーゲンプロモーターはまた、その免疫保護状態にも関わらず治療された脳において生成され得るベクターに対してさらなるいかなる免疫応答も抑制することによって導入遺伝子発現を増加するために使用され得る。さらに、ステロイド、例えば、デキサメタゾンを含む抗炎症剤は、ベクター組成物が送達された直後に治療された宿主に投与され、好ましくは、任意のサイトカイン媒介炎症性応答が鎮静化されるまで継続され得る。シクロスポリンなどの免疫抑制剤もまた、インターフェロンの産生を減少するために投与され得、これは、LTRプロモーターおよびColl(E)プロモーター−エンハンサーをダウンレギュレートし、そして導入遺伝子発現を減少する。
【0180】
ベクターは、Cre−リコンビナーゼタンパク質、およびLoxP配列をコードする配列などのさらなる配列を含み得る。ニューブラスチンの一過性の発現を保証するさらなる方法は、細胞へのCre−リコンビナーゼの投与に際してか(Daewoongら、Nature Biotechnology 19:929−933)、またはウイルス構築物にリコンビナーゼをコードする遺伝子を組み込むことにより(Pluck、Int J Exp Path、77:269−278)、挿入されたDNA配列の一部の切除をもたらすCre−LoxP系の使用を通してである。LoxP部位および構造遺伝子(本発明の場合においてはニューブラスチン)とともに、ウイルス構築物中にリコンビナーゼについての遺伝子を取り込むことは、しばしば、約5日間の期間の間、構造遺伝子の発現を生じる。
【0181】
本発明の方法において使用されるベクターはまた、首尾よく形質転換された宿主細胞を同定するために使用され得る選択マーカーをコードする核酸配列を含み得る。培養された哺乳動物細胞中での使用のための適切な選択マーカーは、ネオマイシン、ハイグロマイシン、およびメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する遺伝子を含む。選択マーカーは、増幅可能な選択マーカーであり得る。1つの増幅可能な選択マーカーはDHFR遺伝子である。別の適切な増幅可能なマーカーはDHFRr cDNAである(SimonsenおよびLevinson、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)80:2495)。さらなる選択マーカーはThilly(Mammalian Cell Technology、Butterworth Publishers,Stoneham,MA)によって概説されている。適切な選択マーカーは当業者によって選択され得る。選択マーカーは、ニューブラスチンプレ配列と同じベクター中で、または別個のベクターの一部として宿主細胞に導入され得る。選択マーカーおよびニューブラスチン配列は、異なるプロモーターまたは同じプロモーターの制御下にあり得、後者の配列は二シストロン性メッセンジャーを産生する。この型の構築物は当該分野において公知である(例えば、米国特許第4,713,339号を参照のこと)。
【0182】
本発明の方法において使用される発現ベクターはまた、組換え的に産生されるニューブラスチンポリペプチドの精製を容易にするタグをコードし得る。例には、ベクターpUR278(Rutherら、1983、EMBO J.2:1791)が含まれるがこれに限定されず、ここでは、本明細書に記載されるニューブラスチンポリペプチドのコード配列が、lacZコード領域とインフレームでベクターにライゲートされ得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)タグを有するニューブラスチンポリペプチドを発現するために使用され得る。これらのタンパク質は、通常可溶性であり、グルタチオンアガロースビーズへの吸着、続いて遊離のグルタチオンの存在下での溶出によって、細胞から容易に精製され得る。ベクターは、精製後のタグの容易な除去のための切断部位(トロンビンまたはXaプロアテーゼ因子またはPreScission Protease(商標)(Pharmacia,Peapack,N.J.))を含む。他の融合タグは当該分野において公知であり、例えば、ヒスチジンタグ、マルトース結合タンパク質タグである。
【0183】
(遺伝子治療のための薬学的調製物)
本発明における使用のためにニューブラスチン組成物を形成するために、ニューブラスチンをコードする発現ウイルスベクターが、薬学的に受容可能な懸濁物、溶液、または乳化物に配置される。適切な媒体には、生理食塩水およびリポソーム調製物が含まれる。
【0184】
より詳細には、薬学的に受容可能なキャリアには、滅菌した、水性または非水性の溶液、懸濁物、および乳化物が含まれ得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性キャリアには、水、アルコール性/水性溶液、乳化物、または懸濁物が含まれ、これには生理食塩水および緩衝媒体が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液または不揮発性油が含まれる。
【0185】
静脈内ビヒクルには、液体および栄養補充物、電解質補充物(例えば、リンガーデキストロースに基づくもの)などが含まれる。
【0186】
保存料および他の添加物、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどもまた、存在し得る。さらに、ニューブラスチン導入遺伝子の組成物は、本発明に従う引き続く再構成および使用のために、当該分野において周知の手段を使用して凍結乾燥され得る。
【0187】
コロイド分散系もまた、標的化される遺伝子送達のために使用され得る。
【0188】
コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質に基づく系(水中油型乳化物、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む)が含まれる。リポソームは、インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして有用である人工膜ベシクルである。0.2〜4.0μmの範囲のサイズである大きな単層ベシクル(LUV)は、大きな高分子を含む水性緩衝液の実質的なパーセンテージをカプセル化しうることが示されてきた。RNA、DNA、およびインタクトなビリオンは、水性の内部にカプセル化され得、生物学的に活性型である細胞に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.,6:77,1981)。哺乳動物細胞に加えて、リポソームは、植物、酵母、および細菌の細胞中に、作動可能にコードされる導入遺伝子の送達のために使用されてきた。リポソームが効率的な遺伝子移入ビヒクルであるために、以下の特徴が存在するべきである:(1)それらの生物学的活性を損なわないで、高い効率でのニューブラスチンをコードする遺伝子のカプセル化;(2)非標的細胞と比較して、優先的かつ実質的な標的細胞への結合;(3)高い効率での標的細胞細胞質へのベシクルの水性内容物の送達;および(4)遺伝情報の正確かつ効率的発現(Manninoら、Biotechnique、6:682、1988)。
【0189】
リポソームの組成物は、通常、リン脂質、特に高い相転移温度のリン脂質の組み合わせであって、通常ステロイド、特にコレステロールと組み合わせる。他のリン脂質または他の脂質もまた、使用され得る。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。
【0190】
リポソーム製造において有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物、例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシドが含まれる。特に有用なのはジアシルホスファチジルグリセロールであり、ここで、脂質部分は14〜16炭素原子、特に16〜18炭素原子を含み、かつ飽和している。例証的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。
【0191】
リポソームの標的化は解剖学的および機械的な因子に基づいて分類され得る。解剖学的な分類は、選択性のレベル、例えば、器官特異的、細胞特異的、およびオルガネラ特異的に基づく。機械的な標的化は、それが受動的か能動的かに基づいて区別され得る。受動的な標的化は、洞様毛細血管を含む器官中の細網内皮系(RES)の細胞に分配する、リポソームの天然の傾向を利用する。
【0192】
他方、能動的な標的化は、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、またはタンパク質などの特異的リガンドへのリポソームの結合による、または天然に存在する局在化の部位以外の器官および細胞型への標的化を達成するために、リポソームの組成もしくはサイズを変化させることによる、リポソームの変化を含む。
【0193】
標的化遺伝子送達系の表面は、種々の方法において修飾され得る。リポソーム標的化送達系の場合において、脂質基が、リポソームの二重層との安定な結合でリガンドの標的化を維持するために、リポソームの脂質二重層に組み込まれ得る。種々の連結基が脂肪鎖と標的とするリガンドとを連結させるために使用され得る。
【0194】
送達系のさらなる例には、本発明において記載されるベクター粒子を製造することが可能であるパッケージング細胞の組成物の治療領域への移植が含まれる。このような細胞のカプセル化および移植のための方法は当該分野において、特に、WO 97/44065(Cytotherapeutics)から公知である。レンチウイルス粒子を産生することが可能であるパッケージング細胞株を選択することによって、治療領域中での非分裂細胞の形質転換が得られる。分裂している細胞のみに形質転換することが可能であるレトロウイルス粒子を使用することによって、形質転換は、治療領域中のデノボ分化細胞のみに限定される。
【0195】
(遺伝子治療ベクター組成物の送達のための方法)
本発明者らによって規定されたプロトコールに従って、ニューブラスチン組成物の直接送達が、当業者がよく知っている手段(外科的切開を通してのマイクロインジェクション(例えば、Capecchi、Cell、22:479−488(1980)を参照のこと);エレクトロポレーション(例えば、AndreasonおよびEvans、Biotechniques、6:650−660(1988)を参照のこと);注入、標的化分子または共沈殿物(例えば、リポソーム、カルシウム)との化学複合体化、および標的組織の微粒子ボンバードメント(Tangら、Nature、356:152−154(1992))を含む)によって達成され得る。
【0196】
(細胞のカプセル化)
カプセル化細胞治療は、宿主内での移植の前に、半透性の生体適合性物質で細胞を取り囲むことにより、レシピエント宿主の免疫系から細胞を単離するという概念に基づく。本発明は、細胞が免疫単離カプセル中にカプセル化されているデバイスを含む。「免疫単離カプセル」とは、カプセルが、レシピエント宿主への移植に際して、デバイスのコアにおける細胞上の宿主の免疫系の有害な効果を最小化することを意味する。細胞は、微小孔膜によって形成された移植可能なポリマー性カプセル中にそれらを封入することによって、宿主から免疫単離される。このアプローチは、宿主と移植された組織との間の細胞対細胞接触を妨害し、直接的提示を通しての抗原認識を除去する。使用される膜はまた、それらの分子量に基づいて、抗体および補体などの分子の拡散を制御するように調整され得る(Lysaghtら、56 J.Cell Biochem.196(1996)、Colton、14 Trends Biotechnol.158(1996))。カプセル化技術を使用して、細胞は、免疫抑制剤の使用を伴って、または伴わずにのいずれかで、宿主に免疫拒絶なしで移植され得る。有用な生体適合性ポリマーカプセルは通常、液体媒体中に懸濁されたか、または固定化マトリックス内に固定化されたかのいずれかである細胞を含むコア、ならびに、単離された細胞を含まず、生体適合性であり、および有害な免疫学的攻撃からコア中の細胞を保護するために十分である、選択透過性のマトリックスまたは膜の周囲または末梢領域(「ジャケット」)を含む。カプセル化は、免疫系のエレメントがカプセルに入ることを妨害し、それによってカプセル化細胞を免疫破壊から保護する。カプセル膜の半透性性質はまた、目的の生物学的に活性な分子がカプセルから周囲の宿主組織に容易に拡散することを可能にする。
【0197】
カプセルは、生体適合性物質から作られ得る。「生体適合性物質」は、宿主中への移植後、カプセルの拒絶を生じるのに、および例えば、分解を通してそれを動作不可能にするのに十分な有害な宿主応答を誘発しない物質である。生体適合性物質は、大きな分子、例えば、宿主免疫系の成分に対して比較的不透過性であるが、低分子、例えば、インスリン、成長因子、および栄養成分に対しては透過性であり、代謝的廃棄物が除去されることを可能にする。種々の生体適合性物質が、本発明の組成物による成長因子の送達のために適切である。種々の外部表面形態、ならびに他の機械的特性および構造的特性を有する、多数の生体適合性物質が公知である。好ましくは、本発明のカプセルは、PCT国際特許出願WO 92/19195もしくはWO 95/05452(参照として援用される);または米国特許番号5,639,275;5,653,975;4,892,538;5,156,844;5,283,187;または米国特許番号5,550,050(参照として援用される)によって記載されるものと類似のものである。このようなカプセルは、宿主の免疫系の有害な効果を最小化しながら、代謝物、栄養成分、および治療物質の通過を可能にする。生体適合性物質の成分は、周囲の半透性膜および内部の細胞支持骨格を含み得る。好ましくは、遺伝子が改変された細胞が骨格上に播種され、これは、選択透過性膜によってカプセル化される。糸状細胞支持骨格は、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリアセトニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブトエステル、シルク、コットン、キチン、カーボン、または生体適合性金属からなる群より選択されるいずれかの生体適合性物質から作られ得る。また、接合された繊維構造も、細胞移植のために使用され得る(米国特許番号5,512,600、参照として援用される)。生体分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)PLA、ポリ(乳酸−コグリコール酸)PLGA、およびポリ(グリコール酸)PGAおよびそれらの等価物から構成されるものを含む。発泡体骨格は、移植細胞が接着し得る表面を提供するために使用された(PCT国際特許出願シリアル番号98/05304、参照として援用される)。編まれたメッシュチューブが血管移植物として使用されてきた(PCT国際特許出願シリアル番号99/52573、参照として援用される)。さらに、コアは、細胞の位置を安定化する、ヒドロゲルから形成された固定化マトリックスから構成され得る。ヒドロゲルは、実質的に水からなる、ゲルの形態である架橋親水性ポリマーの三次元ネットワークである。
【0198】
種々のポリマーおよびポリマーのブレンドが周囲の半透性膜を製造するために使用され得、これには以下が含まれる:ポリアクリレート(アクリルコポリマーを含む)、ポリビニリデン、ポリビニルクロライドコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、セルロースアセテート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリ(アクリロニトリル/コビニルクロライド)、ならびにその誘導体、コポリマー、および混合物。好ましくは、周囲の半透性膜は、生体適合性半透性中空ファイバー膜である。このような膜およびこれらを作製する方法は、米国特許番号5,284,761および5,158,881(参照として援用される)によって開示される。周囲の半透性膜は、ポリエーテルスルホン中空ファイバー、例えば、米国特許番号4,976,859または4,968,733(参照として援用される)に記載されるものから形成される。代替的な周囲の半透性膜物質は、ポリ(アクリロニトリル/コビニルクロライド)である。
【0199】
カプセルは、生物学的活性を維持するため、および生成物の送達のためのアクセスまたは機能を提供するために適切な任意の配置であり得、これには、例えば、円筒状、長方形、円盤状、パッチ状、卵形、星形、または球形が含まれる。さらに、カプセルは、メッシュ様または入れ子状構造に巻かれるかまたは包まれ得る。カプセルが移植された後で回収される場合、移植の部位からのカプセルの移動をもたらす傾向のある配置、例えば、レシピエント宿主の血管中で移動するのに十分に小さい球状カプセルは好ましくない。特定の形状、例えば、長方形、パッチ、ディスク、円筒、および平らなシートは、より高い構造的な完全性を提供し、回収が所望される場合に好ましい。
【0200】
マクロカプセルが使用される場合、好ましくは、各デバイスにおいて、10から10細胞がカプセル化され、最も好ましくは、10から10細胞がカプセル化される。投薬量は、より少ないかまたはより多い数のカプセルを移植することによって制御され得、好ましくは、患者あたり1個から10個の間のカプセルである。
【0201】
骨格は、細胞外マトリックス(ECM)分子でコートされ得る。細胞外マトリックス分子の適切な例には、例えば、コラーゲン、ラミニン、およびフィブロネクチンが含まれる。骨格の表面はまた、細胞の接着を増強するために電荷を付与するためにプラズマ照射で処理することによって修飾され得る。
【0202】
カプセルをシールする任意の適切な方法が使用され得、これには、ポリマー接着剤または圧接、結び止めおよび熱シーリングの使用が含まれる。さらに、任意の適切な「乾燥」シーリング方法もまた、例えば米国特許番号5,563,687(参照として援用される)に記載されるように使用され得る。
【0203】
カプセル化された細胞デバイスは、公知の技術に従って移植される。多くの移植部位が本発明のデバイスおよび方法のために意図される。これらの移植部位には、脳および脊髄を含む中枢神経系(例えば、米国特許番号5,106,627、5,156,844、および5,554,148(参照として援用される))、クモ膜下腔内移植、および目の房水および硝子体液(PCT国際特許出願WO 97/34586(参照として援用される)を参照のこと)、網膜下腔、およびサブテナーカプセルが含まれるがこれらに限定されない。脳の中で、デバイスは実質および脳室中に移植され得る。全身性送達のために、移植は、筋肉内、皮下、または腹腔内であり得る。
【0204】
ARPE−19細胞株は、カプセル化された細胞に基づく送達技術のために優れたプラットフォーム細胞株であり、カプセル化されていない細胞に基づく送達技術のためにもまた有用である。ARPE−19細胞株は頑健である(すなわち、この細胞株は、中枢神経系または眼内環境における移植などのストリンジェントな条件下で生存可能である)。ARPE−19細胞は、治療目的の物質を分泌するように遺伝子改変され得る。ARPE−19細胞は、比較的長い寿命を有する。ARPE−19細胞はヒト起源である。さらに、カプセル化されたARPE−19細胞は、良好なインビボデバイス生存性を有する。ARPE−19細胞は、有効量の成長因子を送達可能である。ARPE−19細胞は、無視できる宿主免疫反応を誘発する。さらに。ARPE−19細胞は発癌性ではない。
【0205】
CNSへのカプセルの移植のための方法および装置は、米国特許第5,487,739号において記載される。
【0206】
1つの局面において、本発明は、生体適合性カプセルに関し、このカプセルは、標的細胞の感染のためのウイルスベクターを分泌する生きているパッケージング細胞を含むコア(ここで、ウイルスベクターは、本発明に従うベクターである)、およびこのコアを取り囲む外部ジャケットを含み、このジャケットは透過性の生体適合性物質を含み、この物質は、そこを横切る100nm直径の、レトロウイルスベクターの通過を可能にするように選択された多孔性を有し、このカプセルからのこのウイルスベクターの放出を可能にする。
【0207】
好ましくは、コアは、付加的にマトリックスを含み、パッケージング細胞がこのマトリックスに固定化される。1つの実施形態に従って、ジャケットはヒドロゲルまたは熱可塑性物質を含む。
【0208】
パッケージング細胞株のために適切な細胞株は、HEK293、NIH3T3、PG13、およびARPE−19細胞を含む。好ましい細胞は、PG13および3T3細胞を含む。
【0209】
パッケージング細胞のカプセル化のための方法およびデバイスは、米国特許第6,027,721号に開示されており、これはその全体が本明細書によって参照として援用される。
【0210】
(宿主細胞)
本発明の核酸構築物は、ニューブラスチンポリペプチドを産生するために使用され得る。真核生物細胞が、異種シグナル配列に作動可能に連結された組換えニューブラスチンポリペプチドをコードする核酸構築物でトランスフェクトされ得る。核酸構築物を作製する方法、およびその構築物で細胞にトランスフェクトする方法は当該分野で公知である(例えば、Ausubelら編、1988、Current Protocols in Molecular Biology、Gneene Publishing Associates & Wiley−Interscience:New York;Sambrookら、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,NYを参照のこと)。例えば、細胞は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、またはウイルスベクターを用いる感染を使用してトランスフェクトされ得る。ある実施形態において、形質転換された宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、またはNIH3T3細胞である。
【0211】
形質転換された宿主細胞は、適切な増殖培地中で、かつ分泌されたニューブラスチンポリペプチドが細胞から発現および分泌されるような条件下で培養される。適切な増殖培地は、細胞の増殖のために必要とされる栄養を含む培地である。細胞増殖のために必要とされる栄養には、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、および成長因子が含まれ得る。必要に応じて、培地は、または仔ウシ血清またはウシ胎仔血清を含み得る。増殖培地は、核酸構築物を含む細胞を選択するように設計され得る。これは、例えば、薬物選択によって、または核酸構築物上の、もしくは核酸構築物と同時トランスフェクトされる選択マーカーによって相補される必須栄養素の欠損によって行われ得る。培養された哺乳動物細胞は、時折、市販の血清含有培地または無血清培地(例えば、MEM、DMEM)(Invitrogen,CA)中で増殖され得る。使用される特定の細胞株のために適切な培地の選択において考慮される要因は、当該分野で公知である。
【0212】
従って、1つの局面において、本発明は、本発明に従う形質転換またはトランスフェクトされた単離された宿主細胞に関する。これらの細胞は、好ましくは哺乳動物細胞である。なぜなら、これらは、コードされたニューブラスチンを正確に分泌およびプロセシングすることが可能だからである。
【0213】
好ましい種には、齧歯類(マウス、ラット)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、サル、ヒトからなる群が含まれる。
【0214】
本発明のベクターを用いる形質転換のための良好な候補である初代培養および細胞株の例には、CHO、HEK293、COS、PC12、HiB5、RN33b、神経細胞、胎児細胞、RPE細胞株、ARPE−19、ヒト不死化線維芽細胞、C2C12、HeLa、HepG2、線条体細胞、ニューロン、星状細胞、介在ニューロンからなる群が含まれる。
【0215】
カプセル化および裸の細胞の治療のための1つの好ましい型の細胞株は、網膜色素上皮(RPE)細胞である。RPE細胞の供給源は、哺乳動物網膜からの初代細胞単離物による。RPE細胞を収集するためのプロトコールは十分に確定しており(LiおよびTurner、1988、Exp.Eye Res.47:911−917;Lopezら、1989、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.30:586−588)、日常的な方法論と見なされている。PRE細胞同時移植の公開された報告の大部分において、細胞は、ラット由来である(LiおよびTurner、1988;Lopezら、1989)。好ましくは、RPE細胞はヒト由来である。単離された初代RPE細胞に加えて、培養されたヒトRPE細胞株が本発明の実施において使用され得る。
【0216】
インビボ形質転換のために宿主細胞の好ましい群は、線条体細胞、ニューロン、星状細胞、介在ニューロンを含む。エキソビボ遺伝子治療のための好ましい細胞の群は、神経細胞、神経前駆細胞(neuronal precursor cell)、神経前駆細胞(neuronal progenitor cell)、幹細胞、および胎児細胞を含む。幹細胞および神経前駆細胞(neuronal precursor cell)はこれらが組織に組み込まれ、かつ移動することが可能であるという利点を有する。カプセル化のため、および裸の細胞の移植のために、好ましい細胞は、網膜色素上皮細胞(ARPE−19細胞を含む);ヒト不死化線維芽細胞;およびヒト不死化星状細胞を含む。特に好ましいのはARPE−19である。
【0217】
別の好ましい実施形態において、治療細胞株が、ヒト線維芽細胞株、ヒト星状細胞株、ヒト中脳細胞株、およびヒト内皮細胞株からなる群より選択され、好ましくは、TERT、SV40T、またはvmycを伴って不死化されている。
【0218】
不死化ヒト星状細胞を生成するための方法は、以前に記載されている(Price TN、Burke JF、May LV.A novel human astrocyte cell line(A735)with astrocyte−specific neurotransmitter function.In Vitro Cell Dev. Biol Anim.1999 May;35(5):279−88)。このプロトコールは、星状細胞株を生成するために使用され得る。
【0219】
このプロトコールの以下の3つ修飾が、好ましくは、さらなるヒト星状細胞株を生成するために作製される。
【0220】
5〜12週齢胎児から切除したヒト胎児脳組織を、12〜16週齢組織の代わりに使用し得る。
【0221】
不死化遺伝子v−myc、またはTERT(テロメラーゼ)をSV40 T抗原の代わりに使用し得る。
【0222】
レトロウイルス遺伝子導入を、プラスミドを用いる遺伝子移入の代わりに使用し得る。
【0223】
ニューブラスチンポリペプチドはまた、齧歯類、ウシ、ブタ、ヒツジ、またはヤギなどのトランスジェニック動物において発現され得る。トランスジェニック動物は、外来性遺伝子が親から子孫に継代されるように、そのゲノムにその外来性遺伝子が組み込まれている非ヒト動物である。外来性遺伝子は、単一細胞胚に導入され得る(Brinsterら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:4438)。トランスジェニック動物を作製する方法は当該分野で公知である(Wagnerら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:6376;McKnightら、1983、Cell 34:335;Brinsterら、1983、Nature 306:332;Ritchieら、1984、Nature 312:517;Baldassarreら、2003、Theriogenology 59:831;Roblら、2003、Theriogenology 59:107;Malassagneら、2003、Xenotransplantation 10(3):267)。
【0224】
(ニューブラスチンのインビボ産生)
別の局面において、本発明は、哺乳動物細胞、例えば、500ng/10細胞/24時間を超える量で、より好ましくは600ng/10細胞/24時間、より好ましくは700ng/10細胞/24時間を超える量で、より好ましくは800ng/10細胞/24時間を超える量で、より好ましくは900ng/10細胞/24時間を超える量で、例えば、1000ng/10細胞/24時間を超える量で、ニューブラスチンポリペプチドを分泌することが可能である、上記に規定した細胞に関する。
【0225】
好ましくは、分泌されたニューブラスチンは、実施例1に記載されるRetL3 ELISAアッセイによって決定されるように生物学的に活性である。これは、グリコシル化、切断、および再フォールディングの必要性を除去する。
【0226】
好ましい宿主細胞は、細胞CHO、HEK293、COS、PC12、HiB5、RN33b、C2C12、HeLa、HepG2、およびARPE−19のそれぞれの細胞からなる群より選択される。より好ましくは、この群はCHO、HEK293、COS、およびARPE−19からなる。
【0227】
ニューブラスチンまたはその機能的等価物は、これらの細胞を培養すること、ならびにタンバク質の再フォールディングおよびグリコシル化の必要性なしで、培養培地からニューブラスチンを回収することによって産生され得る。
【0228】
発現は、WPRE(米国特許第6,136,597号)などのエンハンサーエレメントを含めることによってなおさらに増加され得る。
【0229】
(ニューブラスチン産生細胞のための支持体マトリックス)
本発明はさらに、哺乳動物神経系への移植の前に、支持体マトリックス上でインビトロでニューブラスチン産生細胞を培養する工程をさらに包含する。移植の前のマイクロキャリアへの細胞の事前の接着は、移植細胞の長期的な生存度を増強するため、および長期的な機能的利点を提供するために設計される。
【0230】
移植細胞、すなわち、移植ニューブラスチン分泌細胞の長期的な生存度を増加するために、移植される細胞は、移植の前に、支持体マトリックスにインビトロで結合され得る。支持体マトリックスに含まれ得る物質は、インビトロインキュベーション後に細胞が接着し、細胞がその上で増殖し得、そして、移植された細胞を破壊し、またはそれらの生物学的活性もしくは治療活性を妨害する毒性反応、または炎症反応を産生することなく哺乳動物の身体に移植され得るものを含み得る。このような物質は、合成もしくは天然の化学物質であり得、または生物学的起源を有する物質であり得る。
【0231】
このマトリックス物質には以下が含まれるがこれらに限定されない:ガラスおよび他のシリコンオキサイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリウレタン、ポリアルギン酸、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、アクリロニトリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリペンテント、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾ゼラチン、ならびに天然および修飾コラーゲン、天然および改変ポリサッカリド(デキストランおよびセルロースを含む(例えば、ニトロセルロース))、寒天、ならびにマグネタイト。吸収可能な物質または吸収可能でない物質が使用され得る。当該分野において周知である細胞外マトリックス物質もまた意図される。細胞外マトリックス物質は、商業的に入手され得るか、または、このようなマトリックスを分泌する細胞を増殖させること、分泌細胞を取り出すこと、および移植される細胞をそのマトリックスと相互作用しかつそれに接着させることによって調製され得る。移植される細胞がその上で増殖し、または細胞がそれと混合されるマトリックス物質は、RPE細胞に固有の生成物である。従って、例えば、マトリックス物質は、細胞外マトリックスまたは基底膜物質であり得、これは、移植されるRPE細胞によって産生および分泌される。
【0232】
細胞の接着、生存、および機能を改善するために、固体マトリックスは、必要に応じて、細胞の接着、増殖、または生存を改善するために当該分野で公知の因子でその外面をコートされ得る。このような因子には、接着分子、細胞外マトリックス、例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、またはプロテオグリカン、または成長因子が含まれる。
【0233】
代替的には、移植される細胞が結合される固体マトリックスが多孔性材料で構築される場合、増殖または生存を促進する因子は、それらがインビボ移植後にゆっくりと放出されるマトリックス物質に取り込まれ得る。
【0234】
本発明に従って支持体に結合されたとき、移植のために使用される細胞は一般的に支持体の「外表面」上にある。支持体は、固体または多孔性であり得る。しかし、多孔性支持体においてさえ、細胞は、介在する膜または他の障壁なしで外部環境と直接的に接触している。従って、本発明に従って、細胞は、それらが接着する表面が内部の折り曲がった部分にあるか、または、粒子もしくはビーズそれ自体の外部ではない多孔性支持物質のたたみこみにあり得る場合でさえ、支持体の「外表面」にあると見なされる。
【0235】
支持体の配置は、ビーズ中のような好ましくは球状であるが、円筒形、楕円形、平らなシートもしくはストリップ、針またはピン状などであり得る。支持体マトリックスの好ましい形態はガラスビーズである。別の好ましいビーズはポリスチレンビーズである。
【0236】
ビーズのサイズは約10μmから1mm直径、好ましくは約90μmから約150μmである。種々のマイクロキャリアビースの説明については、例えば、isher Biotech Source 87−88,Fisher Scientific Co.,1987,72−75頁;Sigma Cell Culture Catalog,Sigma Chemical Co.,St.Louis,1991、162−163;Ventrex Product Catalog,Ventrex Laboratories、1989を参照のこと;これらの参考文献は本明細書によって参照として援用される。ビーズのサイズの上限は、望ましくない宿主反応のビーズ刺激によって決定され得、これは、移植細胞の機能を妨害し得、または周囲の組織への損傷を引き起こし得る。ビーズのサイズの上限はまた、投与の方法によって決定され得る。このような制限は、当業者によって容易に決定可能である。
【0237】
(ニューブラスチンポリペプチド)
本発明はさらに、シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドを含むニューブラスチンポリペプチドに関し、ここで、このポリペプチドはニューブラスチンプロ領域、例えば、シグナルペプチドに融合されたニューブラスチンポリペプチドを欠く。特に、シグナルペプチドは、そのC末端から、ペプチド結合を通して、ニューブラスチンポリペプチドのN末端に連結される。シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドは、上記に規定した通りである。
【実施例】
【0238】
(実施例1:IgSP−NBN構築物を用いるインビトロトランスフェクト)
(IgSP−NBN構築物の構築)
IgSP.NBNを重複PCRによって生成した。第1の増幅工程において、NBNの成熟フラグメントを、pUbi1z.NBN.BamHIベクターから、プライマー
【0239】
【化5】

および
【0240】
【化6】

を使用してPCRによって増幅した。第2のPCR反応において、IgSP配列を、pNUT−IgSP−CNTFベクター(参考文献:米国特許第6,361,741号)から、プライマー
【0241】
【化7】

および
【0242】
【化8】

を使用して増幅した。第3の工程において、工程1および2の生成物を、プライマーIgSPKozak 1s+BamHIおよびNBN−as+Xholを用いて、テンプレートとして等量の2つの生成物を使用することによってIgSP−NBNを生成する最終PCR反応において合わせた。
【0243】
プラスミドベースの発現ベクターを生成するために、得られるフラグメントを、BamHI/XhoIで消化したpNS1n中でクローニングした。このベクターにおいて、IgSP−NBN配列をCMVプロモーターの転写制御下に配置する(図3を参照のこと)。さらにこのベクターは、哺乳動物細胞中で発現されたときにG418耐性を付与するNeo遺伝子を含む。
【0244】
(一過性トランスフェクト研究)
ARPE−19は、10%ウシ胎仔血清(Sigma−Aldrich,Denmark)を補充した、Glutamax(Invitrogen,Denmark)を有するDMEM/栄養ミックス中F−12で、37℃、5%COでヒト網膜色素上皮細胞株(Dunnら、1996)を増殖させる。細胞を、1週間にほぼ2回、トリプシン処理および再播種(1:5スプリット比率)によって継代した。細胞を6ウェルプレート(Corning Costar,Biotech Line,Denmark)に、トランスフェクト研究のために10細胞/ウェルで播種した。翌日、細胞を、Fugene6(Roche,Germany)を製造業者の指示書に従って使用して、2連のウェル中で3μgプラスミド/ウェルでトランスフェクトした。トランスフェクト3日後に収集される細胞上清中に存在するNBN活性を、RetL3 ELISAにおいてアッセイした。
【0245】
(RetL3 ELISA)
RetL3 ELISAは、NBN特異的GFRα3レセプターに結合するNBNの複合体へのRet−AP結合体の結合を検出する。このアッセイは、機能的に活性であるNBN分子を検出するのみである。手短に述べると、96ウェルプレート(B&W Isoplate HB,Perkin Elmer,Denmark)を、50mM NaHCO(pH=9.6)中の100μl 1μg/mlヤギ抗ヒトFc(Jackson Immunoresearch Laboratories,TriChem,Denmark)で、16時間、4℃でコートした。PBS/0.05% Tween20(PBST)中の洗浄後、ウェルを、PBST中の0.2% I−Block(Tropix,Applied Biosystems,Dennmark)中で、1時間、室温でブロックし、続いて手短にPBST中で洗浄した。細胞上清または組換えマウスArtemin(R&D systems,UK)をDMEM/10% FCS中で希釈し、続いてウェル中で、1.5時間、室温にて、RET−AP馴化培地(Biogen,USA)中の1μg/ml GFRα3/Fc融合タンパク質(R&D systems,UK)とインキュベートした。次いで、ウェルを、PBST中で最初に洗浄し、次いで、AP−緩衝液(200mM Tris(pH=9.8)、10mM MgCl2)で洗浄し、続いてAP−緩衝液中の10%Sapphire Enhancer(Tropix,Applied Biosystems,Denmark)および2% CSPD(Tropix,Applied Biosystems,Denmark)とともに30分間のインキュベーションを行った。発光を、Microbeta Trilux Counter(Perkin Elmer,Denmark)を使用することによって決定した。
【0246】
(結果(図4、パネル(b)))
25.3〜33.8ng/mlのNBN活性を、RetL3 ELISAを使用することによって、pNS1n−IgSP.NBN構築物で一過性にトランスフェクトしたARPE−19細胞から収集した上清中で検出した。対照的に、約5倍低いNBN活性(4.4〜6.4ng/ml)を、同じ実験に含まれた野生型(プレプロ)NBN発現構築物(pUbi1z.hNBN)で一過性にトランスフェクトしたARPE−19細胞中で検出する。非常に低いかまたは検出不可能であるNBN活性を、EGFP発現構築物(pNS1z−EGFP)で一過性にトランスフェクトしたARPE−19の細胞上清中で検出し、アッセイの特異性を確認した。
【0247】
これらの結果は、キメラIgSP−NBN構築物の使用が、野生型(プレプロ)NBN構築物を使用するNBNの放出と比較して、特異的NBNレセプター複合体に結合およびこれを活性化することが可能である哺乳動物細胞からの成熟NBNのより高い放出をもたらすことを示す。
【0248】
(実施例2:IgSP−NBN構築物を用いるインビトロ形質転換)
(レンチウイルスIgSP−NBN構築物およびウイルスストックの生成)
レンチウイルス構築物を生成するために、pNS1n−IgSP−NBNを、BamHI−XhoIおよびIgSP−hNBN PCRフラグメントで消化し(実施例1において記載されるように)、BamHI/XhoI消化したpHsCXWにライゲートし、pHsCXW.IgSP.NBNwを生じた(図3)。pHsCXWは自己不活性化レンチウイルス導入構築物、pHR’−SIN−18の誘導体であり、導入構築物の大きな非ウイルス部分をpUC19骨格で置き換えることによって生成したWPREエレメントを含む(Dullら、J.Virol.72(11):8463−71(1998);Zuffereyら、J.Virol.72(12):9873−80(1998):Zuffereyら、J.Virol.,73(4):2886−92(1999))。pHsCXWの配列は、GenGank ID:AY468486を通してアクセス可能である。
【0249】
複製欠損LV−sC.IgSP.NBN.Wウイルス粒子を、pMD.Gを有するpHsC.IgSP.NBN.W(VSV−Gシュードタイピングベクター)およびpBR8.91(パッケージングベクター)(Zuffereyら、Nat.Biotech.,15:871−75(1997))の、293T細胞への同時トランスフェクトによって生成し、必要とされるウイルスタンパク質をトランスで提供する。手短に述べると、10%FCS(Life Technologies、10099−141)を補充した、4.5g/lグルコースおよびglutamax(Life Technologies、32430−027)を有するDMEM中で培養された293T細胞を、トランスフェクトの前日にT75フラスコ(2×106細胞/フラスコ)中に播種する。各T75フラスコについて、Lipofectamine+を、製造業者の指示書に従って使用して、5μg pMD.G、15μg pBR8.91、および20μgの移入ベクターでトランスフェクトする。ウイルス含有細胞上清をトランスフェクトの2〜3日後に収集し、0.45mセルロースアセテート、またはポリスルホニックフィルターを通してフィルター滅菌し、そして50,000×gで90分間、4℃にて超遠心分離によって濃縮する。第2のラウンドの超遠心分離の後、濃縮したウイルスペレットをDMEM中に再懸濁し、アリコート化し、−80℃に保存する。ウイルス力価を決定するために、逆転写酵素(RT)活性をアッセイし(CepkoおよびPear、Current Protocols in Molecular Biology、9.13.5−6、補遺36)、形質転換単位(TU)/mlを、測定したRT活性から、既知の形質転換活性を有するEGFPレンチウイルスを参照として使用して計算する。
【0250】
(形質転換研究)
ARPE−19細胞を、NBN発現ベクターを用いて形質転換した。手短に述べると、細胞を6ウェルプレート(Corning Coastar,Biotech line,Denmark)に、10細胞/ウェルで播種した。翌日、2×10TUのウイルスを、好ましくウェルに(2連で)、5μg/ml ポリブレンとともに4時間加えた。培地を交換し、培養物を3日間インキュベートした。次いで、細胞上清を、実施例2に記載されるように、RetL3 ELISAのために収集した。
【0251】
(結果(図4、パネル(c)))
39ng/mlのNBN活性を、LV−sC.IgSP.NBN.Wウイルスで形質転換したARPE−19細胞から収集された上清中のRetL3 ELISAを使用することによって検出した。対照的に、非常に低いか、または検出不可能なNBN活性を、野生型(プレプロ)NBN cDNA(LV−sC−NBN.W)またはコントロールEGFPレンチウイルス(LV−sCEW)を含むレンチウイルスで形質転換されたARPE−19細胞中で検出した。
【0252】
これらの結果は、野生型(プレプロ)NBN cDNAを含むウイルス構築物とは対照的に、キメラIgSP−NBNウイルス構築物の使用は、特異的NBNレセプター複合体を結合および活性化することが可能である哺乳動物細胞からの成熟NBNの高い放出を可能にすることを示す。
【0253】
(実施例3:IgSP−NBN構築物から発現したNBNタンパク質の分析)
(細胞上清のウェスタンブロット分析)
トランスフェクトまたは形質転換された細胞培養物からの細胞上清中に存在するNBNを、ウェスタンブロット分析の前に、GFRα3−Igへのアフィニティー結合によって濃縮した。手短に述べると、Nunc MaxiSorpプレートの4ウェルを、50mM NaHCO(pH=9.6)中の300μlのヤギ抗ヒトFc 1μg/ml(Jackson Immunoresearch Laboratories,TriChem,Denmark)で、4℃で16時間コートした。ウェルを、PBS中の400μlの1% BSAで室温で1時間ブロックし、続いてPBST中で3回洗浄した。次いで、300μl/ウェル GFRα3/Fc融合タンパク質 1μg/ml(R&D Systems,UK)を加え、プレートを、結合を最大化するために室温で1時間インキュベートした。次いで、ウェルを空にし、PBST中で3回洗浄した。次いで、トランスフェクトまたは形質転換された細胞培養物から収集した300μlの上清を4ウェルの各々に加え、少なくとも3時間、穏やかに攪拌しながら室温でインキュベートした。次いで、ウェルを、PBST中で2回洗浄した。20μlの非還元サンプル緩衝液(2% SDS、0.4M Tris (ph=8.0))を第1のウェルに加え、プレートを迅速に5分間振盪して、結合したタンパク質を溶離した。内容物を次のウェルに移し、手順を反復して結合したタンパク質を残りのウェルに溶離した。10mMまでのDTTの付加後、サンプルを96℃で5分間加熱し、MultiPhorIIシステムを、製造業者(Amersham Pharmacia,Denmark)の指示書に従って使用して、15%ポリアクリルアミドゲル上のSDS PAGEによって分析した。タンパク質をPVDFメンブレン(BioRad,Denmark)にブロットし、これを、検出抗体としてウサギポリクローナル抗NBN抗体(#378)を使用して免疫染色した。メンブレンをECL+システム(Amersham Pharmacia,Denmark)を使用して発色させ、フィルム露光に供した。
【0254】
(結果)
#378は、NBN由来ペプチド(ALRPPPGSRPVSQPC)に対して惹起されたウサギポリクローナル抗体である。図5パネル(a)において見られるように、7.2kDaと18.5kDaの間の分子量の単一バンドが、モノマー性非グリコシル化NBN113に対応するE.coli中で産生された精製ラット組換えNBNを含む還元(+DTT)サンプルにおいて認識された。いくつかの付加的なバンドに加えて、同じ分子量のバンドが、野生型(プレプロ)NBNを用いるトランスフェクトによって樹立された安定なCHO−NBNクローンからの還元サンプルにおいて認識される。これらのバンドの多くの同一性が、脱グリコシル化およびN末端配列決定を使用して以前の研究において決定されている。わずかにより低い分子量を有するバンドは、成熟NBNのより小さくかつ非グリコシル化のバージョン(NBN104)を表す。さらに、約21kDaの見かけの分子量を有する非常に広範なバンドは、NBN113およびNBN104のグリコシル化バージョンを表す。より高い分子量のバンドは、GFRα3−アフィニティー精製サンプル中で偶然見られた(グリコシル化)プロNBNを表す。
【0255】
図5パネルbにおいて見られるように、非グリコシル化NBN113およびNBN104に対応する6.4から21.3kDaの間の分子量の二重バンドが、CHO−NBN細胞の2つの安定なクローン中で検出される。同じ二重バンドがまた、IgSP−NBN発現構築物で形質転換またはトランスフェクトされたARPE−19中でも検出される。さらに、グリコシル化NBN113およびNBN104に対応する21kDaに密接する分子量の二重バンドが分析したすべてのバンドにおいて見られる。これらの結果は、プロセシングおよび翻訳後修飾が、野生型(プレプロ)NBN構築物およびIgSP−NBN構築物から発現されたときと同様であることを示す。
【0256】
(実施例4:キメラIgSP−NBNウイルス構築物の配列およびシグナルペプチドの予測)
(IgSP−NBN−構築物中に存在するヌクレオチド配列)
【0257】
【化9】

IgSP−NBNは、成熟NBN(113)に直接的に融合された免疫グロブリン遺伝子からのシグナルペプチドとの融合構築物である。
IgSP−NBNはイントロンを含む。
【0258】
(NetGene(CBS−DTUサーバー)からのイントロン−エキソン予測)
【0259】
【化10】

翻訳された融合タンパク質は、シグナルP(www.cbs.dtu.dkにおけるCBS DTUサーバーにおいて利用可能である)を使用して、成熟NBN(113)配列から切断される19アミノ酸シグナルペプチドを含むことが予測される(Identification of prokaryotic and eukaryotic peptides and prediction of their cleavage sites.H.Nielsen,J.engelbrecht,S.Brunak,G.von Heine,Protein Engineering 10,1−6,1997)。
【0260】
(シグナルP−NN結果(図6aを参照のこと))
【0261】
【化11】

(シグナルP−HMM結果(図6bを参照のこと))
予測:シグナルペプチド
シグナルペプチド確率:0.999
シグナルアンカー確率:0.000
最大切断部位確率:19位と20位の間で0.660
neural netwarks(NN)およびhidden Markovモデル(HMM)を使用して真核生物に方向付けた。
【0262】
(実施例5:シグナルペプチドの位置の予測)
Igspが種々の長さのニューブラスチンポリペプチドに融合されるときに、切断部位の予測は、上記に同定されるシグナルPプログラム2.0を使用して以下に示される。
【0263】
(切断部位:)
【0264】
【化12】

IgSP:
(19)MKCSWVIFFLMAVVTGVNS
(成熟型NBN)
【0265】
【化13】

(実施例6:δプロNBNのpHsCXWへのクローニング)
δプロNBN(配列番号82)は、3段階の増幅工程で重複PCRによって生成した:1)成熟NBNに対する5’BamHI/Kozak突出および10塩基の3’重複を有するプレプロNBNの比較的長い117bpリーダー配列(すなわち、39a.a.シグナルペプチド)(143bp);2)5’10塩基NBNリーダー配列重複および3’XhoIを有する成熟NBN(362bp);3)工程1)および2)の生成物をPCR反応において合わせ、これがδプロNBNを生成した。
【0266】
第1のPCR反応(NBNリーダー):
使用したプライマー:
【0267】
【化14】

プラスミドpHsC.hNBN.W(図7aにおけるプラスミドマップを参照のこと)をPCR反応のためのテンプレートとして使用した。PCR反応はPfu−turboポリメラーゼを使用して実行した。
PCR条件:
94℃ 3分間
94℃ 30秒間
55℃ 30秒間 35サイクル
72℃ 1分間
72℃ 5分間。
【0268】
第2のPCR反応(成熟NBN):
使用したプライマー:
【0269】
【化15】

プラスミドpHsC.hNBN.W(図7aにおけるプラスミドマップを参照のこと)をPCR反応のためのテンプレートとして使用した。PCR反応はPfu−turboポリメラーゼを使用して実行した。
PCR条件:
94℃ 3分間
94℃ 30秒間
65℃ 30秒間 35サイクル
72℃ 1分間
72℃ 5分間。
【0270】
第3のPCR反応(δプロNBN):
使用したプライマー:
【0271】
【化16】

2つの最初のPCR反応(NBNリーダーおよび成熟NBN)からのPCRフラグメントを両方とも1:10の希釈で、第3のPCR反応のためのテンプレートとして使用した。PCR反応はPfu−turboポリメラーゼ、および第1のPCRの実行と同じPCRプロフィールを使用して実行した。
【0272】
第3のPCR反応からのPCRフラグメントを、BamHIおよびXhoIで切断し、そしてpHsCXW(図7bにおけるプラスミドマップを参照のこと)中のBamHI部位とXhoI部位の間にクローニングした。
【0273】
(実施例7:異なる細胞株中でのIgSP−NBN構築物およびδプロNBN構築物を用いるインビトロトランスフェクト)
野生型プレプロNBN、δプロNBN、およびIgSP−NBNを含む、異なるNBN構築物を用いる一過性トランスフェクト後のNBNの分泌を比較した。一過性トランスフェクトを、ARPE−19、HEK293、CHO、およびHiB5細胞中で実行した。
【0274】
(細胞株)
ARPE−19細胞を実施例1に記載されるように培養した。HiB5(Renfranzら、1991)、HEK293、およびCHO細胞を、10%ウシ胎仔血清(Invitrogen,Denmark)を有するDMEM(Invitrogen,Denmark)中で増殖させた。CHO細胞のための培地は、20mg/l L−プロリンをさらに補充した。ARPE−19、HEK293、およびCHO細胞を37℃にて、HiB5細胞を33℃にて、5%CO中で培養した。細胞をほぼ週に2回、トリプシン処理および再播種によって継代した(1:5スプリット比率)。
【0275】
(一過性選択後のNBN分泌)
細胞を、約10細胞/ウェルの密度で6ウェルプレート(Corning Costar,Biotech Line,Denmark)中に播種した。翌日、細胞をpHsC.hNBN.W、pHsC.IgSP.hNBN.W、およびpHs.δプロhNBN.Wでそれぞれトランスフェクトした。ARPE−19細胞を、実施例1に示されるように、Fugene6を使用して3連のウェル中にトランスフェクトするのに対して、他の3種の細胞株は、製造業者の指示書に従って、Lipofectamine Plus(Invitrogen,Denmark)を使用して3連のウェル中で、2μgプラスミド/ウェルを使用してトランスフェクトした。翌日、新鮮な増殖培地をウェルに加え、細胞をさらに24時間、馴化培地を収集する前にインキュベートした。十分なトランスフェクト効率を、pHsC.EGFP.Wと並行してトランスフェクトしたウェル中のEGFP発現の評価によって保証した。馴化培地中のNBN結合活性を、実施例1に記載されるように、RetL3 ELISAを使用して測定した。RetL3 ELISAは,NBN特異的GFRα3レセプターに結合するNBNの複合体へのRet−AP結合体の結合を検出する。値は、ng NBN/ml/24時間およびng NBN/10細胞/24時間として計算し、1に設定された野生型NBN構築物を用いてトランスフェクトされた細胞からの値を用いて、相対的NBN放出に調節した。図8におけるデータは、これらの3つの計算を表し、平均±SEM(n=3)として表現される。パネルAにおいて、は、野生型NBN構築物を用いてトランスフェクトされた細胞からの有意な差を意味する(p<0.05、片側ANOVA、Fisher LSD法)。
【0276】
(結果)
以下の表および図8Aに示されるように、4つの試験された細胞株は、野生型NBN構築物と比較すると、δプロNBN構築物を使用したときにNBN放出の増加を示した(細胞株に依存して、9〜17倍高いNBN放出)。pHsC.IgSP.hNBN構築物を用いて4つの細胞株にトランスフェクトした場合には、NBN分泌はさらに増強された(野生型NBNと比較して、28〜91倍高いNBN放出)。非常に低いかまたは検出不可能なNBN活性が、EGFP発現構築物(pHs.C.EGFP.W)を用いて一過性にトランスフェクトされたARPE−19からの細胞上清において観察され、このアッセイの特異性を確証した。
【0277】
【化17】

図8BにおけるパネルBは、一過性にトランスフェクトされた細胞株からの馴化培地中の(24時間)NBN濃度を示す。最も高い濃度(1240±54ng NBN/ml)は、IgSP−NBN構築物でトランスフェクトしたHEK293細胞からの馴化培地中で見いだされた。図8CにおけるパネルCは、24時間あたりの10細胞あたりのNBN放出を示す。IgSP−NBNトランスフェクトされたARPE−19細胞は、最高のNBN放出を示した(133±35ng/10細胞/24時間)。
【0278】
本実施例の結果は、哺乳動物細胞からの成熟NBNの分泌を増加するためのキメラIgSP−NBN構築物およびδプロNBN構築物の使用が、異なる細胞株に適用可能であることを示す。
【0279】
(実施例8:シグナルP 3.0を使用する予測)
バージョン3.0を使用する、シグナルペプチドについての位置の予測。予測は、以下の配列のδプロNBNおよびIgSP−NBN上で実行された。
【0280】
【化18】

【0281】
【化19】

【0282】
【化20】

【0283】
【化21】

【0284】
【化22】

【0285】
【化23】

【0286】
【化24】

【0287】
【化25】

【0288】
【化26】

【0289】
【化27】

(実施例9:ニューブラスチン遺伝子配列最適化)
CHO細胞中のヒトニューブラスチンの発現を最適化するために、ネイティブニューブラスチン遺伝子の配列を、コドン使用頻度について調べた。CHO細胞中で最も共通して使用されているコドンを、2002年までの現在のデータに基づいて、当該分野で公知の方法(Nakamuraら、1999、Nucleic Acids Res.27(1:292))を使用して分析した。依存しているCricetulus griseusについてのコドン使用頻度は、以下の表において提示される。
【0290】
【表3】

C末端104アミノ酸フラグメントをコードしているネイティブヒトヌクレオチド配列(Rosebledら、2000、Mol.Cell.Neurosci.15(2):199;Balohら、Neuron 21:1291)および合成遺伝子のヌクレオチド配列を図9に、変化したアミノ酸を示してアラインする。2つの配列は83.33%同一である。
【0291】
(実施例10:ニューブラスチン遺伝子のクローニング)
ニューブラスチンの5’コドンに連結された種々のシグナルペプチド配列の挿入を容易にするために、ニューブラスチン遺伝子の100コドン(300ヌクレオチド)3’型を合成し、そして発現プラスミドにクローニングした。100コドン型ニューブラスチン遺伝子は、Deep Ventポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を含む200μL緩衝液(10mM KCl、10mM (NHSO、20mM Tris−Cl、2mM MgSO、0.1% Triton X−100、pH 8.8)中で、KD3−464からKD3−469(表2)のオリゴヌクレオチド40pmolまでを合わせることによってアセンブルした。内容物を95℃で4分間加熱し、以下のサイクル、すなわち95℃1分間、60℃30秒間、および72℃1分間を20サイクル行い、その後72℃で4分間伸長を行った。末端を、SalIおよびNheIを用いる連続的消化によって調製した。ニューブラスチン遺伝子に隣接する30塩基対の非コード領域を含む330塩基対フラグメントを、ゲル精製し、そしてゲル精製されかつNheIおよびXhoIで消化されているプラスミドpFRT/dhfr−1(ハイグロマイシン遺伝子がジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子で置換されているpcDNA/FRT(Invitrogen,Carlsbad,CA)の誘導体)にライゲートした。得られるプラスミドをpNBN026−35と名付けた。pNBN026−35中のニューブラスチン配列を図10に示す。
【0292】
以下の表は、シグナルペプチド−ニューブラスチン融合遺伝子を生成するためにPCRおよび合成配列アセンブリーにおいて使用されるオリゴヌクレオチドを同定する。配列はすべて、5’から3’の方向で示される。
【0293】
【表4】

(実施例11:シグナルペプチド−ニューブラスチン融合物の構築)
4種の異なるシグナルペプチドをコードする配列を試験した。これらには、ニューブラスチン、ラットアルブミン、およびヒト成長ホルモンからのシグナル配列が含まれた。さらに、合成シグナル配列が、ニューブラスチンシグナルペプチドを生成するためのPCR増幅の間の2つのフレームシフト変異から生じた。融合物は、オリゴヌクレオチドアセンブリーまたはPCRのいずれかを使用して合成した。DNAフラグメントは、pNBN026にライゲートした。記載される4種の分子の各々の関連するDNA配列を、DNA配列分析によって確認した。
【0294】
合成シグナルペプチドを、オリゴヌクレオチドKD3−487、KD3−479、KD3−480、KD3−481、およびKD3−482(表)およびpuRe Taqポリメラーゼ(Pharmacia,Peapack,NJ)を使用してPCR増幅によって合成した。PCR条件は、反応物の95℃で4分間の加熱、次いで、以下のサイクル、すなわち95℃で1分間、60℃で30秒間、72℃で1分間を20サイクル、その後の72℃、4分間の伸長を含んだ。末端をPstIおよびXhoIを用いる消化によって調製した。330塩基対フラグメントを、ゲル精製し、そしてゲル精製されかつPstIおよびXhoIで消化されているプラスミドpNBN026にライゲートした。得られるプラスミドをpNBN030と名付けた。予測されなかったか、または互いに相補されるオリゴヌクレオチドによってコードされなかった2つの自発的フレームシフト変異が存在し、翻訳されたタンパク質はインフレームであった。DNA配列およびタンパク質配列を図11に示す。
【0295】
ニューブラスチンシグナル配列を、オリゴヌクレオチドKD3−513およびKD3−514(表)を用いるPCR増幅によって合成した。使用したポリメラーゼはpuRe Taq(Pharmacia,Peapack,NJ)であった。PCR条件は、95℃で4分間の加熱、次いで、以下のサイクル、すなわち95℃で1分間、60℃で30秒間、72℃で1分間を3サイクル、その後の72℃、4分間の伸長を含んだ。末端をNheIおよびXhoIを用いる消化によって調製した。330塩基対フラグメントを、ゲル精製し、そしてゲル精製されかつNheIおよびXhoIで消化されているプラスミドpNBN030にライゲートした。得られるプラスミドをpNBN038と名付けた。DNA配列およびタンパク質配列を図12に示す。
【0296】
アルブミンシグナル配列を、オリゴヌクレオチドKD3−487、KD3−471、およびKD3−472(表)を用いるPCR増幅によって合成した。使用したポリメラーゼはpuRe Taq(Pharmacia,Peapack,NJ)であった。PCR条件は、95℃で4分間の加熱、次いで、以下のサイクル、すなわち95℃で1分間、60℃で30秒間、72℃で1分間を20サイクル、その後の72℃、4分間の伸長を含んだ。末端をPstIおよびXhoIを用いる消化によって調製した。330塩基対フラグメントを、ゲル精製し、そしてゲル精製されかつPstIおよびXhoIで消化されているプラスミドpNBN026にライゲートした。得られるプラスミドをpNBN029と名付けた。DNA配列およびタンパク質配列を図13に示す。
【0297】
ヒト成長ホルモンシグナル配列を、オリゴヌクレオチドKD3−487、KD3−477、およびKD3−485(表2)を用いて、プラスミドpV30(ヒト成長ホルモン遺伝子の5’末端のゲノムコピーを含むpUCベースのプラスミド)から、PCR増幅によって合成した。使用したポリメラーゼはpuRe Taq(Pharmacia,Peapack,NJ)であった。PCR条件は、95℃で4分間の加熱、次いで、以下のサイクル、すなわち95℃で1分間、60℃で30秒間、72℃で1分間を20サイクル、その後の72℃、4分間の伸長を含んだ。末端をPstIおよびXhoIを用いる消化によって調製した。330塩基対フラグメントを、ゲル精製し、そしてゲル精製されかつPstIおよびXhoIで消化されているプラスミドpNBN026にライゲートした。得られるプラスミドをpNBN031と名付けた。DNA配列およびタンパク質配列を図14に示す。
【0298】
(実施例12:CHO細胞トランスフェクト)
CHO−DG44細胞を、事前にFlp組換え標的(frt)を含むDNA配列で形質転換した(A1細胞)。このA1宿主細胞はジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFR)を含まず、従って、DHFRマイナスである。記載されるプラスミドの各々はDHFR遺伝子、ニューブラスチン融合遺伝子、およびfrt部位をコードする。プラスミドpOG44はFlpリコンビナーゼ遺伝子をコードする。これらのプラスミドのA1細胞への同時トランスフェクトは、染色体へのシグナルペプチド−ニューブラスチン融合遺伝子およびDHFRの単一コピーの挿入を生じた。A1細胞を、製造業者によって記載されるものと一致する条件下で(すなわち、0.4mmキュベット、280ボルト、950マイクロファラッド)(BioRad,Hercules,California)目的のプラスミドおよびプラスミドpOG44でエレクトロポレーションを行った。DHFRを発現する形質転換した細胞を、10%透析胎仔ウシ血清(Hyclone,Logan,UT)を補充した、ヌクレオシドを含まないα−マイナス培地最小必須培地−α(Invitrogen,Carlsbad,CA)中でのそれらの増殖能力について選択した。約2週間後、コロニーを単離し、同じ選択培地中でより大きなベッセルに拡大した。細胞培養を無血清培地に移行し、分析した。
【0299】
(実施例13:トランスフェクトした細胞株の分析)
細胞株候補を、ニューブラスチンを発現するそれらの能力についてスクリーニングした。懸濁細胞培養のアリコートを遠心分離して、馴化培地から細胞を分離した。馴化培地を細胞ペレットから取り出し、培地および細胞ペレットの両方を、一般的に記載されるような(Ausubelら、前出)、16%ポリアクリルアミド上での還元および変性電気泳動のために処理した。電気泳動の完了の際、タンパク質をPVDFメンブレンにエレクトロブロッティングし、ニューブラスチンに対して惹起されたウサギポリクローナル抗血清を用いてプローブした。この抗体−ニューブラスチン複合体は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(BioRad,Hercules,California)と結合体化されたヤギ抗ウサギポリクローナル抗血清を使用して検出した。
【0300】
ニューブラスチンシグナルペプチド、合成シグナルペプチド、アルブミンシグナルペプチド、およびヒト成長ホルモンシグナルペプチドをコードするプラスミドからタンパク質が発現され、各々が細胞ペレット画分に免疫反応性ニューブラスチンを発現した。しかし、アルブミンシグナルペプチドおよびヒト成長ホルモンシグナルペプチドのみが、馴化培地中に検出可能なレベルのニューブラスチンを発現した。すべての発現したニューブラスチンポリペプチドの電気泳動上の移動度は、11kD、104アミノ酸型のニューブラスチンと一致していた。
【0301】
(実施例14:CHO細胞中で産生されるニューブラスチンの配列)
ニューブラスチンを、一般的に記載されるように(Ausubelら、前出)、免疫アフィニティーカラムを使用して馴化培地から精製した。アミノ末端配列を、アルブミンシグナルペプチドおよび成長ホルモンシグナルペプチドを含む細胞株から精製したタンパク質から決定した。ニューブラスチンをマイクロTFAフィルター(Applied Biosystems,Foster City,CA)に適用し、自動化エドマン分解化学反応に供した。アミノ末端配列決定を、ABI Procise 494シークエンサー上で実行した。得られるPTHアミノ酸を、PTHC18逆相カラムを備えたABI 140C Microgradientシステムを使用して分離し、ABI 7785A吸収検出器を使用して分析した。両方の構築物について、一次タンパク質配列は、全長ニューブラスチンの104アミノ酸C末端フラグメントの最初の残基(すなわち、アラニン)で開始した。成長ホルモンシグナルペプチドとともに発現されたニューブラスチン調製物もまた、アミノ末端アラニン残基を欠く、103アミノ酸ニューブラスチンC末端フラグメントを含んだ。ニューブラスチンの103アミノ酸型は、アラニンで開始した。両方の場合において、シグナルペプチドは予想されたように機能した。すなわち、ニューブラスチンポリペプチドは細胞から分泌され、そしてシグナルペプチドが細胞によって切断された。
【0302】
(実施例15:組換えニューブラスチンの質量分析)
アルブミンシグナルペプチドおよび成長ホルモンシグナルペプチドをコードする構築物を含む細胞株の馴化培地からの精製したニューブラスチンを、ZMD質量分析装置(Waters,Milford,MA)上のインタクト質量スペクトル分析によって、一般的に製造業者によって記載されているように分析した。両方の構築物について、脱グリコシル化サンプルの主要なピークは104アミノ酸ニューブラスチンポリペプチドに対応した(図15)。これらの2つのシグナルペプチドは予想されたように機能した。すなわち、ニューブラスチンポリペプチドは細胞から分泌され、そしてシグナルペプチドが細胞によって切断された。さらに、グリコシル化ニューブラスチンは、ニューブラスチンをコードする構築物でトランスフェクトされた細胞から分泌され、そして成長ホルモンシグナルペプチドは種々の糖型を含んだ。
【0303】
(実施例16:ニューブラスチンおよび異種シグナル配列をコードする構築物でトランスフェクトされたCHO細胞からの培地中のニューブラスチン活性の検出)
生物学的活性を、キナーゼレセプター活性化ELISA(KIRA)を使用して評価した。この方法は以前に記載されている(Sadickら、1996、Anal.Biochem.1996.235(2):207)。手短に述べると、NB41A3−mRL3細胞、RetおよびGFRα3を発現する接着性マウス神経芽腫細胞株を、10%ウシ胎仔血清で補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、24ウェルプレートのウェルあたり2×10細胞でプレートし、18時間、37℃および5%CO下で培養した。
【0304】
細胞をPBSで洗浄し、0.25mLのDMEM中のニューブラスチンの段階希釈で、10分間、37℃および5%COで処理した。各サンプルを2連で分析した。細胞を1mLのPBSで洗浄し、0.30mLの10mM Tris HCl、pH 8.0、0.5% Nonidet P40、0.2% デオキシコール酸ナトリウム、50mM NaF、0.1mM NaVO、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリドで、プレートを穏やかに揺すりながら1時間、4℃で溶解した。溶解物を、繰り返しピペッティングすることによってさらに攪拌し、0.25mLのサンプルを、50mM カルボン酸緩衝液、pH 9.6中の、5μg/mLの抗Ret mAb(AA.Ge7.3)(Upstate Biotechnology, Waltham, MA)でコートされた96ウェルELISAプレートに、4℃で18時間移し、次いで、室温で1時間、1%正常マウス血清および3%ウシ血清アルブミンを含むブロック緩衝液(20mM Tris HCl pH 7.5、150mM NaCl、0.1% Tween−20(TBST))でブロックした。
【0305】
室温で2時間のインキュベーション後、ウェルをTBSTで6回洗浄した。プレートを再度洗浄し、その後3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンジヒドロクロライドを加えた。着色反応後、吸収の値を、450nmにおいて溶解物または溶解緩衝液のみで処理したウェルから読み取り、そしてバックグラウンド補正シグナルを、刺激のために使用したリガンドの濃度の関数としてプロットした。
【0306】
馴化培地の一連の希釈を試験し、機能的ニューブラスチンを、以前に実証された、E.coliから発現され、精製され、およびリフォールディングされたニューブラスチンのバッチと同様のプロフィールを用いて検出した(図16)。
【0307】
(実施例17:異種シグナルペプチドを用いて発現される成熟ニューブラスチン)
適切なオリゴヌクレオチドが、成熟ニューブラスチン(すなわち、全長ニューブラスチンの113C末端フラグメント)をコードするDNA配列をクローニングするために、実施例9に記載される方法に従って、産生され得る。ラットアルブミンまたはヒト成長ホルモンからのシグナルペプチドをコードするDNA配列が、実施例10に記載されるように、成熟ニューブラスチンポリペプチドをコードするDNA配列に融合され得る。このDNA配列は、真核生物細胞、例えば、CHO細胞にトランスフェクトされて、分泌される成熟ニューブラスチンを産生し得る。
【0308】
本明細書に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照として本明細書に援用される。参照として援用される刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する程度まで、本明細書は、任意のこのような矛盾することがらよりも、優先し、および/または上位にあることを意図する。
【0309】
本発明の多くの改変およびバリエーションは、当業者に明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載された特定の実施形態は、例示としてのみ提供され、いかなる場合においても限定を意図しない。詳細な説明および実施例は例示のみと見なされ、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲に示されることが意図される。
【0310】
【化28−1】

【0311】
【化28−2】

【図面の簡単な説明】
【0312】
【図1】種々の哺乳動物からのIgSP配列のアラインメント。
【図2−1】実施例2における形質転換実験のために使用されるレンチウイルスベクター構築物pHsC.IgSP.hNBN.Wのベクターマップ。
【図2−2】実施例2における形質転換実験のために使用されるレンチウイルスベクター構築物pHsC.IgSP.hNBN.Wのベクターマップ。
【図3】pNS1n.IgSP.hNBNのベクターマップ。実施例1において使用された、BamHI制限部位とXhoI制限部位との間のpHsC.IgSP.hNBN.Wと同じIgSP−NBN配列。
【図4】RetL3 ELISA(2連サンプル)におけるNBN活性の測定。(a)細胞上清中のNBN活性は、E.coli中で産生された組換えマウスArtemin(mART)を標準として使用して測定された。(b)トランスフェクトされた細胞からの上清の分析、(c)形質転換された細胞からの上清の分析。
【図5】抗NBN抗体#378を用いるウェスタンブロット分析。(a)CHO−NBN16細胞(CHO−NBN)からのGFR[α]3アフィニティー精製NBNおよび20ngラット組換えNBN(rNBN)の分析(b)IgSp−NBN発現構築物でトランスフェクトまたは形質転換されたARPE−19からの上清および野生型構築物からのNBNを安定して過剰発現する2つのCHO細胞クローン(CHO−NBN−25cおよびCHO−NBN16)の分析。矢印は、抗体#378による、還元後のニューブラスチンのグリコシル化モノマーおよび非グリコシル化モノマーの位置を示す。
【図6】シグナルPによるシグナルペプチド切断の予測。説明については実施例4を参照のこと。
【図7】図7AはプラスミドpHs C.hNBN.Wを示し、図7BはプラスミドpHsCXWを示す。説明については実施例6を参照のこと。
【図8】図8Aは馴化培地中での相対的NBN放出を示し、図8Bおよび8Cは異なる細胞型におけるNBNを示す。実施例7もまた参照のこと。
【図9】ネイティブなヒトニューブラスチンポリペプチドの104個のカルボキシ(C)末端アミノ酸の配列(配列番号19)およびCHO細胞発現のために最適化されたネイティブなヒトニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸をコードする合成遺伝子(配列番号59)とアラインするネイティブなヒトニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸をコードする対応するDNA配列(配列番号58)を示す。ネイティブな配列から変化している合成遺伝子のヌクレオチドが示される()、
【図10】プラスミドpNBN026−35(配列番号60)中のニューブラスチン配列を示す。提示された配列の直前に、XhoI制限部位に寄与する「CT」ジヌクレオチドがある。直後にはBamHI制限部位がある。
【図11】合成シグナル配列に融合されたニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸のDNA配列(配列番号61)およびアミノ酸配列(配列番号62)を示す。シグナル配列に下線を付す。
【図12】ニューブラスチンシグナル配列に融合されたニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸のDNA配列(配列番号63)およびアミノ酸配列(配列番号64)を示す。シグナル配列に下線を付す。
【図13A】アルブミンシグナル配列に融合されたニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸のDNA配列(配列番号65)およびアミノ酸配列(配列番号70)を示す。シグナル配列に下線を付す。
【図13B】修飾アルブミンシグナル配列に融合されたニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸のDNA配列(配列番号69)およびアミノ酸配列(配列番号62)を示す。シグナル配列に下線を付す。
【図14】ヒト成長ホルモンシグナル配列に融合されたニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸のDNA配列(配列番号67)およびアミノ酸配列(配列番号68)を示す。イントロンを含むシグナル配列に下線を付す。
【図15】アルブミンシグナル配列(15A)またはヒト成長ホルモンシグナル配列(15B)(15C)を使用してCHO細胞から分泌されたニューブラスチンの質量分析の結果を示す。11,156ダルトンおよび11,157ダルトンにおけるピークが104アミノ酸のニューブラスチンC末端フラグメントに対応する。11,084ダルトンおよび11,085ダルトンにおけるピークは、103アミノ酸のニューブラスチンC末端フラグメントに対応する。図15Aは、アルブミン指向性分泌からの脱グリコシル化ニューブラスチンを示す。図15Bは、ヒト成長ホルモン指向性分泌からの脱グリコシル化ニューブラスチンを示す。図15Cは、ヒト成長ホルモン指向性分泌からのニューブラスチンを示す。より大きな分子量を有するピークは種々の糖型に対応する。
【図16】CHO細胞中で産生される、組換え的に産生されるニューブラスチンの活性を実証するKIRAアッセイの結果を示す。
【図17】図17Aは、成熟タンパク質、プロドメイン、およびシグナルペプチドを含む全長ニューブラスチンのアミノ酸配列を示す(配列番号10)。図17Bは、全長ネイティブニューブラスチンシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。図17Cは、全長ニューブラスチンプロドメインのアミノ酸配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性なニューブラスチンポリペプチドを産生するための方法であって、以下、
シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む核酸を含む発現ベクターを含む細胞を培養する工程であって、該ヌクレオチド配列は、ニューブラスチンプロ領域をコードしていない、工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記シグナルペプチドが、異種シグナルペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シグナルペプチドが、哺乳動物シグナルペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シグナルペプチドが、ヒトシグナルペプチド、ラットシグナルペプチド、マウスシグナルペプチド、ブタシグナルペプチド、サルシグナルペプチド、イヌシグナルペプチド、ネコシグナルペプチド、ウシシグナルペプチド、またはウマシグナルペプチドである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シグナルペプチドが、成長因子シグナルペプチド、ホルモンシグナルペプチド、サイトカインシグナルペプチド、および免疫グロブリンシグナルペプチドからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記シグナルペプチドが、TGFβシグナルペプチド、GDFシグナルペプチド、IGFシグナルペプチド、BMPシグナルペプチド、ニューロトロフィンシグナルペプチド、PDGFシグナルペプチド、およびEGFシグナルペプチドからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シグナルペプチドが、ホルモンシグナルペプチドから選択され、該ホルモンが、成長ホルモン、インスリン、ADH、LH、FSH、ACTH、MSH、TSH、T3、T4、およびDHEAからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記シグナルペプチドが、インターロイキンシグナルペプチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記シグナルペプチドが、ニュールツリンシグナルペプチド、GDNFシグナルペプチド、パーセフィンシグナルペプチド、およびNGFシグナルペプチドからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記シグナルペプチドが、アルブミンシグナルペプチド、修飾アルブミンシグナルペプチド、および成長ホルモンシグナルペプチドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シグナルペプチドが、ラットアルブミンシグナルペプチド、修飾ラットアルブミンシグナルペプチド、およびヒト成長ホルモンシグナルペプチド、例えば、ラットアルブミンシグナルペプチドおよびヒト成長ホルモンシグナルペプチドからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シグナルペプチドが、配列番号70を含むシグナルペプチドなどの合成シグナルペプチドである、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記シグナルペプチドが、免疫グロブリンシグナルペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シグナルペプチドが、マウスIgSP(配列番号4)、ラットIgSP(配列番号6)、ブタIgSP(配列番号5)、サルIgSP(配列番号2または3)、ヒトIgSP(配列番号1)からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記IgSPが、マウスIgSP(配列番号4)である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記IgSPが、ヒトIgSP(配列番号1)である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記シグナルペプチドが、ネイティブなニューブラスチンシグナルペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記シグナルペプチドが、ネイティブなヒトニューブラスチンシグナルペプチドである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、配列番号10のアミノ酸1〜140、または配列番号11もしくは12のアミノ酸1〜144、配列番号13、14、15、16、17、もしくは18、N末端短縮型NBN、変異型NBN、または変異型かつN末端短縮型NBNとして同定された配列を有するニューブラスチンから選択される成熟NBNからなる群より選択される、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、配列番号13、14、15、16、17、または18によって同定される配列を有するニューブラスチンからなる群より選択される成熟NBNである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、ヒト成熟113NBN(配列番号14)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ニューブラスチンペプチドが、ヒトニューブラスチンの116個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの115個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの114個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの113個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの112個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの111個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの110個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの109個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの108個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの107個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの106個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの105個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの103個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの102個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの101個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの100個のC末端アミノ酸、およびヒトニューブラスチンの99個のC末端アミノ酸からなる群より選択される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、配列番号10の106個、104個、102個、または99個のC末端アミノ酸を有するN末端短縮型ニューブラスチンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、ヒトニューブラスチンの116個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの113個のC末端アミノ酸、ヒトニューブラスチンの104個のC末端アミノ酸、およびヒトニューブラスチンの116個のC末端アミノ酸からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記N末端短縮型ニューブラスチンが、配列番号19のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記N末端短縮型ニューブラスチンが、配列番号20の99アミノ酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、配列番号14のアミノ酸8〜113までに由来するアミノ酸配列を含み、ここで、改変体ニューブラスチンポリペプチドが、該改変体ポリペプチドのアミノ酸配列における14位のアルギニン以外のアミノ酸、該改変体ポリペプチドのアミノ酸配列における39位のアルギニン以外のアミノ酸、該改変体ポリペプチドの68位のアルギニン以外のアミノ酸、および該改変体ポリペプチドの95位のアスパラギン以外のアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで該アミノ酸の位置は、配列番号14のポリペプチド配列に従って番号付けされている、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記14位、39位、または68位における置換がリジンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ベクターが、プラスミドである、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記ベクターが、哺乳動物発現ベクターである、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記ベクターが、複製欠損レンチウイルス粒子である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ベクター粒子が、5’レンチウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、前記シグナルペプチドおよび前記ニューブラスチンペプチドをコードするポリヌクレオチドシグナルに作動可能に連結されたプロモーター、第2鎖DNA合成の起点、ならびに3’レンチウイルスLTRを含むレンチウイルスベクターから産生される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ベクターが、HIV、SIV、FIV、EIAV、AAV、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびMoMLVなどのレトロウイルスからなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記プロモーターが、ユビキチンプロモーター、CMVプロモーター、JeTプロモーター、SV40プロモーター、伸長因子1αプロモーター(EF1−α)、ニワトリβ−アクチン、PGK、およびMT−1からなる群より選択される、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記プロモーターが、Tet−On、Tet−Off、ラパマイシン誘導性プロモーター、Mx1、およびRU486などの誘導性/抑制性プロモーターである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞が、哺乳動物宿主細胞である、請求項1〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記哺乳動物が齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、サル、ヒトからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞が、CHO、HEK293、COS、PC12、HiB5、RN33b、神経細胞、胎児細胞、ARPE−19、不死化線維芽細胞、C2C12、HeLa、HepG2、網膜色素上皮(RPE)細胞、線条体細胞、ニューロン、星状細胞、介在ニューロンからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞が、CHO細胞である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸であって、該ポリヌクレオチド配列は、ニューブラスチンプロ領域をコードしておらず、該シグナルペプチドおよび該ニューブラスチンペプチドが、請求項1〜40のいずれかにおいて規定される、核酸。
【請求項42】
a)配列番号64、66、もしくは68に記載のヌクレオチド配列、またはb)配列番号65、67、もしくは69に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項41に記載の核酸。
【請求項43】
前記ヌクレオチド配列が、哺乳動物宿主における発現のために最適化されている、請求項41または42に記載の核酸。
【請求項44】
請求項41〜43のいずれかに規定される核酸を含む、発現ベクター。
【請求項45】
請求項44に規定されるベクター、および1種以上の薬学的に受容可能なアジュバント、賦形剤、キャリア、および/または希釈剤を含有する、薬学的組成物。
【請求項46】
請求項44に規定されるベクターで形質転換またはトランスフェクトされた、単離された宿主細胞。
【請求項47】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項46に記載の細胞。
【請求項48】
前記細胞が、500ng/10細胞/24時間を超える量でニューブラスチンまたはその機能的等価物を分泌可能である、請求項47に記載の哺乳動物細胞。
【請求項49】
CHO、HEK293、COS、PC12、HiB5、RN33b、不死化線維芽細胞、C2C12、HeLa、HepG2、RPE細胞株、およびARPE−19細胞からなる群より選択される、請求項47に記載の哺乳動物細胞。
【請求項50】
CHO、HEK293、COS、およびARPE−19からなる群より選択される、請求項48に記載の哺乳動物細胞。
【請求項51】
RPE細胞、神経細胞、神経前駆細胞、幹細胞、および胎児細胞からなる群より選択される、請求項47に記載の哺乳動物細胞。
【請求項52】
支持マトリックスに結合される、請求項47に記載の哺乳動物細胞。
【請求項53】
感染性ベクター粒子を産生することが可能なパッケージング細胞株であって、該ベクター粒子が、5’レトロウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含むレトロウイルス由来のゲノムを含み、ここで、該ヌクレオチド配列は、ニューブラスチンプロ領域をコードせず、該シグナルペプチドおよび該ニューブラスチンペプチドが、請求項1〜40のいずれかにおいて規定され、第2鎖DNA合成の起点、ならびに3’レトロウイルスLTRを含む、パッケージング細胞株。
【請求項54】
前記ベクター粒子が、複製欠損性である、請求項53に記載のパッケージング細胞株。
【請求項55】
前記ゲノムがレンチウイルス由来であり、かつ前記LTRがレンチウイルスである、請求項53に記載のパッケージング細胞株。
【請求項56】
請求項44に規定されるベクターで形質転換またはトランスフェクトされている少なくとも1つの細胞を含む、トランスジェニック非ヒト哺乳動物。
【請求項57】
前記少なくとも1つの形質転換またはトランスフェクトされた細胞が、哺乳動物のゲノムを含む、請求項56に記載の哺乳動物。
【請求項58】
移植可能な細胞培養デバイスであって、
i.該細胞培養デバイスを通じて増殖因子の分散を可能にする半透性膜;および
ii.請求項46に規定される少なくとも1つの単離された宿主細胞
を備える、デバイス。
【請求項59】
前記半透性膜が、免疫隔離的である、請求項56に記載のデバイス。
【請求項60】
前記半透性膜が微小孔性である、請求項56に記載のデバイス。
【請求項61】
前記デバイスが、半透性膜中に配置されたマトリックスをさらに備える、請求項56に記載のデバイス。
【請求項62】
前記デバイスが、つなぎアンカーをさらに備える、請求項56に記載のデバイス。
【請求項63】
請求項44に記載のベクターまたは請求項56〜60までのいずれかに記載のデバイスの、医薬としての使用。
【請求項64】
神経系障害の治療のための医薬の調製のための、請求項44に記載のベクターの使用。
【請求項65】
前記神経系障害が、神経障害性の疼痛、脊髄損傷、脊髄神経根剥離、疼痛性チック、およびカウザルギーを含む末梢神経障害からなる群より選択される、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
前記医薬が、角膜の損傷および潰瘍、ならびに網膜症などの眼の疾患の治療のためである、請求項63に記載の使用。
【請求項67】
CNS障害の治療のための医薬の調製のための請求項44に記載のベクターの使用。
【請求項68】
前記CNS障害が、神経変性性疾患である、請求項67に記載の使用。
【請求項69】
前記神経変性性疾患が、神経障害性の疼痛を含む末梢神経障害である、請求項64に記載の使用。
【請求項70】
神経系疾患を治療する方法であって、該方法は、
i 治療有効量の請求項44に規定されるベクター、または
ii 治療有効量の請求項45に規定される薬学的組成物
を、治療を必要とする個体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項71】
前記ベクターが、筋肉内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ベクターまたは組成物が、痛覚の伝達に関与する身体の領域に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記ベクターまたは組成物が、クモ膜下腔内、または脊髄に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記ベクターが、実質および脳室を含む脳に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記ベクターが、硝子体、網膜下腔、およびサブテナーカプセルを含む眼に投与される、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記神経系疾患が、神経障害性の疼痛、脊髄損傷、脊髄神経根剥離、疼痛性チック、カウザルギー、角膜損傷、および網膜症を含む末梢神経障害からなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
神経系疾患を治療する方法であって、請求項46に記載の細胞の治療有効量を、治療を必要とする個体に移植する工程を包含する、方法。
【請求項78】
移植が自系移植、同種異系移植、または異種移植を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記細胞が、クモ膜下腔内または脊髄に投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記細胞が、実質および脳室を含む脳に投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記細胞が、硝子体、網膜下腔、およびサブテナーカプセルを含む眼に投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記神経系疾患が、神経障害性の疼痛、脊髄損傷、脊髄神経根剥離、疼痛性チック、カウザルギー、角膜損傷、および網膜症を含む末梢神経障害からなる群より選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
神経系疾患を治療する方法であって、請求項56に規定される移植可能デバイスを、治療を必要とする個体に移植する工程を包含する、方法。
【請求項84】
移植が自系移植、同種異系移植、または異種移植を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記デバイスが、クモ膜下腔内または脊髄に移植される、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記デバイスが、実質および脳室を含む脳に移植投与される、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記デバイスが、硝子体、網膜下腔、およびサブテナーカプセルを含む眼に移植投与される、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記神経系疾患が、神経障害性の疼痛、脊髄損傷、脊髄神経根剥離、疼痛性チック、カウザルギー、角膜損傷、および網膜症を含む末梢神経障害からなる群より選択される、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
神経障害性の疼痛の治療のための、請求項72〜80のいずれかに記載される方法であって、治療有効量の請求項44に規定されるベクター、または請求項46〜50のいずれかに規定される細胞の組成物、または請求項56に規定される細胞デバイスを、治療の必要がある個体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項90】
シグナルペプチドおよびニューブラスチンポリペプチドを含むニューブラスチンポリペプチドであって、該ポリペプチドがニューブラスチンプロ領域を欠く、ニューブラスチンポリペプチド。
【請求項91】
前記ニューブラスチンポリペプチドが、前記シグナルペプチドに融合されている、請求項90に記載のポリペプチド。
【請求項92】
前記シグナルペプチドが、ペプチド結合を介してニューブラスチンポリペプチドのC末端からN末端を通して連結される、請求項91に記載のポリペプチド。
【請求項93】
前記シグナルペプチドが、異種シグナルペプチドである、請求項90〜92のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項94】
前記シグナルペプチドが、請求項1〜40のいずれかに規定されるとおりである、請求項90〜93のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項95】
前記シグナルペプチドが、ネイティブのラットアルブミンシグナルペプチド、修飾ラットアルブミンシグナルペプチド、およびヒト成長ホルモンシグナルペプチドから選択されるシグナルペプチドの群より選択される、請求項94に記載のポリペプチド。
【請求項96】
前記シグナルペプチドが、ニューブラスチンシグナルペプチドである、請求項90〜94のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項97】
前記シグナルペプチドが、IgSPである、請求項90〜94のいずれかに記載のポリペプチド。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−535898(P2007−535898A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515713(P2006−515713)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000411
【国際公開番号】WO2004/108760
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(501008705)エヌエスゲーネ・アクティーゼルスカブ (6)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】