説明

ヌクレオシドアナログに対する感受性を低減したB型肝炎ウイルス変種およびその使用

本発明は、一般に、インビボおよびインビトロの両方においてヌクレオシドアナログに対して低減した感受性を示すB型肝炎変種の分野に関する。より詳細には、逆転写酵素変異rtA181Sが提供される。本発明は、そのような変種を検出するためのアッセイおよび方法を提供し、該アッセイは、抗ウイルス療法レジメンをモニターし、患者治療を調整するのに有用である。生物学的サンプルにおけるHBV変種の存在を検出するための診断キットについても記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の薬剤に対して低減した感受性を示すB型肝炎ウイルス(HBV(また、HBVウイルスとも示される))変種の分野に関する。より詳細には、本発明は、HBV感染を処置するために使用される抗ウイルス薬に対するHBVサンプルの感受性を診断する分野ならびに薬剤耐性に関与するコドンの範囲の同時特徴付けを可能にするHBV遺伝子における薬物誘導性変異の迅速かつ信頼できる検出のための方法および/またはアッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
HBVは、ヘパドナウイルス科に属する約3200bp長の小さなエンベロープDNAウイルスである。ウイルスはRNA仲介物を介して複製し、その複製ストラテジーにおいて逆転写を利用する(非特許文献1)。HBVゲノムは、(i)それぞれ、分泌型e抗原(HBeAg)およびヌクレオカプシドコアタンパク質(HBcAg)をコードするpreC/C ORF;(ii)ウイルスポリメラーゼ/逆転写酵素をコードするP ORF;(iii)それぞれ、ウイルスエンベロープタンパク質、大型(large)、中型(middle)および小型(small)のs抗原(HBsAg)をコードするpreS1/preS2/S ORF;ならびに(iv)表面、コア、ポリメラーゼおよびX遺伝子をコードする転写トランスアクチベータータンパク質をコードするX ORFである重複するオープンリーディングフレーム(ORF)を伴う部分的な二本鎖DNA構造を有する複雑な性質のゲノムである。
【0003】
B型肝炎ウイルスは、それらのゲノムにおいて大きな遺伝的多様性を示し、現在、7つのHBV遺伝子型(A〜G)が認識されている(非特許文献2;非特許文献3)。感染血液との接触を介して広がるウイルスは、衰弱性の病態を引き起こし得、急性肝不全をもたらし得る。ほとんどの成人は、処置を伴わずに感染を撃退することができるが、B型肝炎感染は、慢性形態に発達し得る。実際に、世界中で約4億人の人々がHBVに慢性的に感染しており、慢性HBVキャリアの約15〜40%が肝硬変および末期の肝臓疾患に進行することが予想される。処置を伴わなければ、これらの患者の予後は不良であり、その結果、HBVのための有効な抗ウイルス療法の開発は以前として重要な目的である。治療の根本的目的は、HBVの複製を制御し、肝硬変および肝癌への進行を停止するために肝疾患の寛解を誘導することである。肝臓細胞の破壊、および100,000コピー/mlより高いHBV DNAのレベル(ウイルスの複製レベル)のため、処置は、活動性炎症、上昇したアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを伴う患者に必要である。
【0004】
慢性B型肝炎の処置のために現在承認されている薬物は、α−インターフェロン、およびヌクレオシドアナログまたは薬物の組み合わせである。ヌクレオシドアナログは、ウイルスの複製プロセスにおける置換基礎単位として作用し、HBVの複製を阻害するように化学的に操作されたヌクレオチドである。
【0005】
インターフェロン(IFN)療法は、小グループのキャリアにおいてのみ部分的に有効であることが示されており(非特許文献4)、重度の副作用のため、それはまた制限されてもいる。慢性HBV感染の処置のためのIFN−αのこのような相対的欠陥により、さらなる治療用薬剤およびレジメンのための調査が促されている。特に、多くのヌクレオシドアナログが、ヘパドナウイルスDNAポリメラーゼ/逆転写酵素の阻害を介してヘパドナウイルスの複製を阻害することが示されている。これらの化合物のうちのいくつかは、毒性(ロブカビル)または効力の欠如(ファムシクロビル)のため、臨床用途から既にはずされている(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。現時点で、慢性B型肝炎の処置のために最も成功しているヌクレオシドアナログは、疑いもなく、医薬品として承認されている3’−チアシチジンの(−)エナンチオマー(3TCまたはラミブジン(LAM))である(非特許文献8)。薬物は、ウイルスに対して強力な抗ウイルス活性を有し、良好に忍容されており、有害作用をほとんど有さない。しかし、ラミブジンによる長期治療は、しばしば、ウイルス体制の出現に関連する。ラミブジン耐性を付与し、ウイルスのインビトロでの複製効率を減少する一般的な変異の1つは、HBV RNA依存性DNAのコドン204におけるメチオニンからイソロイシンまたはメチオニンからバリンへの置換である(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。保存されたYMDDモチーフにおけるこのMetからValまたはIleへのアミノ酸置換(rtM204V/I)の変更の他に、逆転写酵素(reverse trancriptase)遺伝子の他の部位における変異された遺伝子型パターンもラミブジン耐性に関連している。特に、ポリメラーゼのBドメインにおけるコドン180(rtL180M)でのロイシンからメチオニンへの変異は、複製適応度を部分的に回復し、ならびにインビトロでの薬剤耐性を増大させることが報告された。HBV/HIV同時感染患者では、ラミブジン耐性の発達は、HBV単一感染患者よりも頻回であり、ラミブジンアプリケーションの代替治療を不可欠にしている(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)。
【0006】
慢性B型肝炎の処置に適用可能な別のヌクレオシドアナログは、アデフォビル・ジピボキシル、アデフォビルのプロドラック(ADF)である。インビトロおよびインビボでの研究は、この薬物が野生型HBV株ならびにラミブジン耐性を示すものを阻害することが可能であることを実証している。従って、ラミブジン耐性が生じている場合、ADFは、慢性HBV感染の処置のための代替的療法としての役割を果たし得る。これまで、ADFは、第III相臨床試験まで首尾よく通過した(非特許文献16)。ADFに対する耐性を仲介する2つの変異が既に記載されている。これらの変異は、逆転写酵素遺伝子のコドン181(Bドメイン)およびコドン236(Dドメイン)に局在し、それぞれアミノ酸置換AlaからVal(rtA181V)およびAsnからThr(rtN236T)を生じる(非特許文献17;非特許文献18;特許文献1;特許文献2)。変異rtA181Vの頻度は約2.5%であり、これまでのところ臨床的関連性は不明である一方、アデフォビル処置患者の1.7〜2.5%は耐性変異rtN236Tを示す。
【0007】
非特許文献19ならびに非特許文献20により最近公開された研究は、ラミブジン耐性を伴う患者の約85%〜92%が、ADFを服用する一方、2対数を超えるかまたは等しい彼らのHBV DNAレベルの減少を有することを実証している。これは、ADFが治療に追加される場合、8〜15%の患者がHBV DNAレベルの有意な減少を達成しないことを暗示する。従って、ADF療法でウイルス学的応答を達成しないラミブジン耐性HBVを伴う患者のサブグループの先例がある。ADFに対する非応答性の理由は依然として不明である。
【0008】
従って、ラミブジンおよびアデフォビルが強力な抗ウイルス効果を有するが、薬剤耐性を引き起こす変異体の発達は、慢性HBV感染の処置において重要な問題を提示する。さらに、交差耐性プロファイルを伴うHBV変異体パターンの存在は、併用療法の欠陥の可能性のため、大きな問題を提起している。HBV変異体に対する異なる抗ウイルス薬の交差耐性について試験する研究が報告されている(非特許文献21、非特許文献22が、アデフォビルおよびラミブジンの両方に対するインビボおよびインビトロ耐性を担う変異パターンについては、これまで報告されていない。
【0009】
前記から、新規治療レジメンにおいてそれらを有用にするのに適切な特定を有する他の薬剤をスクリーニングおよび/または開発および/または設計するために、特定の薬剤に対して低減した感受性を示すHBV変種の出現または存在をモニターする必要性が存在するように思われる。本発明に従って、本発明者らは、HBV DNAポリメラーゼ遺伝子において、ヌクレオシドアナログに対するHBVの感受性を減少する変異を伴うHBVの変種を同定した。
【特許文献1】国際公開第2003/087352号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/031224号パンフレット
【非特許文献1】サマーズ J.(Summers J.)、マソン W.(Mason W.)Cell(1982年)29:403−415
【非特許文献2】ストイヴェル,L.J.(Stuyver,L.J.)、ロカルニニ,S.A.(Locarnini,S.A.)、ロク,A.(Lok,A.)、リッチマン,D.D.(Richman,D.D.)、カーマン,W.F.(Carman,W.F.)、ディーンスタグ,J.L.(Dienstag,J.L.)およびシナジ,R.F.(Schinazi,R.F.)(2001年)Hepatology33、751−757
【非特許文献3】ストイヴェル,L.(Stuyver,L.)、デ・ゲント,S.(De Gendt,S.)、バン・ゲイト,C.(Van Geyt,C.)、ゾウリム,F.(Zoulim,F.)、フリード,M.(Fried,M.)、シナジ,R.F.(Schinazi,R.F.)およびロッサウ,R.(Rossau,R.)(2000年)J Gen.Virol 81 Pt1、67−74
【非特許文献4】ロク,A.S.(Lok,A.S.)(1994年)J Viral.Hepat.1、105−124
【非特許文献5】デ・クレーク,E.(De Clercq,E.)(1999年)Int.J Antimicrob Agents12、81−95
【非特許文献6】シナジ,R.(Schinazi,R.)(1997年)in Viral hepatitis and liver disease(リッゼット,M.(Rizzetto,M.)、パーセル,R.(Purcell,R.)、ゲリン,J.(Gerin,J.)およびベルメ,G.(Verme,G.)編、Impact of nucleosides on hepatitis virus.736−742頁、ミネルヴァメディカ(Minerva Medica)、トリノ(Torino)
【非特許文献7】ルスコーム,C.A.(Luscombe,C.A.)およびロカルニニ,S.(Locarnini,S.)(1996年)Viral hepatitis reviews 2、1−35
【非特許文献8】ジャービス,B.(Jarvis,B.)およびファウルズ,D.(Faulds,D.)(1999年)Drugs 58,101−141
【非特許文献9】リング R.(Ling R.)ら、1996年
【非特許文献10】バーソロミュー M.(Bartholomew M.)ら、1997年
【非特許文献11】ティッペルズ G.A.(Tipples G.A.)ら、1996年
【非特許文献12】ベンハモウ Y.(Benhamou Y.)ら、Safety and efficacy of adefovir dipivoxil in patients co−infected with HIV−1 and lamivudine−resistant hepatitis B virus: an open−label pilot study.Lancet(2001年)358:718−723
【非特許文献13】ベンハモウ Y.(Benhamou Y.)ら、Tenofovir disoproxil fumarate in patients with HIV and lamivudine−resistant hepatitis B virus.N.Engl.J.Med.(2003年) 348(2):177−178
【非特許文献14】ベンハモウ Y.(Benhamou Y.)ら、Antiretroviral therapy and HIV/hepatitis B virus coinfection.Clin.Infect.Dis.(2004年)38補遺2:S98−103
【非特許文献15】ドレ G.J.(Dore G.J.)ら、Efficacy of tenofovir disoproxil fumarate in antiretroviral therapy−naive and −experienced patients coinfected with HIV−1 and hepatitis B virus.J.Infect.Dis.(2004)189(7):1185−1192
【非特許文献16】ウェストランド CE(Westland CE)ら、Week 48 resistance surveillance in two phase 3 clinical studies of adefovir dipivoxil for chronic hepatitis B.Hepatology(2003年) 38(1):96−103
【非特許文献17】アンガス P.(Angus P.)ら、Resistance to adefovir dipivoxil therapy associated with the selection of a novel mutation in the HBV polymerase.Gastroenterology(2003年)125(2):292−297
【非特許文献18】ヤン H(Yang H)ら、Complete Genotypic and Phenotypic Analyses of HBV Mutations Identified in HBeAg−negative Chronic Hepatitis B Patients Receiving 96 Weeks of Adefovir Dipivoxil (ADV).Hepatology(2003年)38:705A
【非特許文献19】ペリロ R.(Perrillo R.)ら、Adefovir dipivoxil added to ongoing lamivudine in chronic hepatitis B with YMDD mutant hepatitis B virus.Gastroenterology(2004年)126(1):81−90
【非特許文献20】ペータース M.G.(Peters M.G.)ら、Adefovir dipivoxil alone or in combination with lamivudine in patients with lamivudine−resistant chronic hepatitis B.Gastroenterology(2004年)126(1):91−101
【非特許文献21】ディレーニー(Delaney)ら、(2001年)
【非特許文献22】ション(Xiong)ら、(2001年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ヌクレオシドアナログに対して低減した感受性を示すHBV変種の出現または存在の不適切なモニタリングの問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、DNAポリメラーゼ遺伝子において少なくとも1つのヌクレオチド変異を含んでなる単離されたHBV変種に関し、ここで、前記ヌクレオチド変異は、HBVポリメラーゼにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を生じ、かつここで、前記変種は、ヌクレオシドアナログADFおよび/またはLAMならびに/あるいはそれらの組み合わせに対する低減した感受性を示す。
【0012】
本発明はさらに、これらのHBV変種由来の単離されたポリ核酸であって、該単離されたポリ核酸は、ポリメラーゼ遺伝子において少なくとも1つのアミノ酸置換および/または欠失を生じるヌクレオチド変異を含んでなり、該ヌクレオチド変異は、ヌクレオチドアナログADFおよび/またはLAMならびに/あるいはそれらの組み合わせに対して低減した感受性をもたらす、上記単離されたポリ核酸;ならびに前記ヌクレオチド変異を含んでなる前記HBVポリ核酸のフラグメントに関する。
【0013】
本発明はさらに、これらの単離されたポリ核酸由来の発現産物およびそのフラグメントに関する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、本発明のHBV変種またはポリ核酸または発現産物を含んでなる組成物に関し、好ましくは、HBV変種のモニタリングおよび/または同定においてそれらのアプリケーションが見出される。
【0015】
本発明の別の態様は、臨床判断における上記の単離されたHBV変種ならびに/あるいはそれらのポリ核酸および/または発現産物および/または組成物の使用に関する。特に、本発明のHBV変種あるいはポリ核酸もしくは発現産物または組成物は、少なくとも1つの非交差耐性な抗HBV薬の選択のためのプロセスにおいて使用される。特に、HBV変種あるいはポリ核酸もしくは発現産物または組成物は、HBV変種ポリ核酸の検出のためのプロセスにおいて使用される。
【0016】
本発明は、さらに、HBV感染の処置のための方法であって、HBVに感染した被験体にヌクレオシドアナログを投与すること、被験体が上記のHBV変種に感染しているかどうかを決定すること、および感染していれば、被験体に少なくとも1つの非交差耐性な抗HBV薬を投与することを含んでなる方法に関する。
【0017】
さらに、本発明には、生物学的サンプルにおいて本発明に従うHBV変種の存在を検出することを目的とする方法が含まれる。前記方法は、その中にHBVポリ核酸またはそのフラグメントの存在を検出することを含んでなる。
【0018】
最終的に、本発明は、生物学的サンプルにおいてHBV変種の存在を検出するおよび/または生物学的サンプルに存在するHBVの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するための診断キットに関する。さらに、上記のポリ核酸を含んでなるHBV対して活性な薬物をスクリーニングするための方法が提供される。
【0019】
さらに、HBVポリ核酸またはそのフラグメントにおいて、アラニンまたはバリンをコードする既知のコドン181とは異なるセリンをコードする新規のコドン181を識別することが可能なオリゴヌクレオチドが提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に従って、本発明者らは、ADFもしくはADFを含んでなる治療および/またはLAMもしくはLAMを含んでなる治療ならびに/あるいはこれらの抗HBV剤の組み合わせにウイルス学的に非応答性であったHBVに慢性的に感染した患者においてHBVの変種を同定した。単離されたHBV DNAの配列解析により、HBVポリメラーゼにおける新規の核酸多型の出現が示された。前記多型の発生は、ヌクレオチドアナログ療法(アデフォビル耐性HBV変種の出現/存在への強力な指示)中のウイルス進展の持続と一致する。インビトロでの所見により、高濃度のヌクレオシドアナログで処置される場合であっても、これらのHBV変異体がアデフォビルおよびラミブジンの両方に耐性であることが確認された。
【0021】
より詳細には、本発明は、HBV感染を処置するために使用される抗ウイルス薬に対するHBVサンプルの感受性の改善された診断ならびに薬剤耐性に関与するコドンであって、新規の核酸多型を含む該コドンの範囲の同時特徴付けを可能にするHBV遺伝子における薬物誘導性変異の迅速かつ信頼できる検出のための方法および/または改善されたアッセイを提供する。
【0022】
下記のように本発明を通して、多様な刊行物が参照される。前記刊行物の内容は、これによって、参照により本出願に援用される。前記刊行物は、本出願が関する分野をより詳細に説明することが意図される。
【0023】
本発明の第1の態様は、DNAポリメラーゼ遺伝子において少なくとも1つのヌクレオチド変異を含んでなる単離されたHBV変種に関し、ここで、前記ヌクレオチド変異は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換を生じ、かつここで、前記変種は、ヌクレオシドアナログおよび/またはHBVに対する他の抗ウイルス薬に対する低減した感受性を示す。好適なHBV変種は、ポリメラーゼ遺伝子のコドン位置181におけるアラニンの少なくとも1つのアミノ酸置換を生じる少なくとも1つのヌクレオチド変異、より詳細には、ポリメラーゼ遺伝子のコドン181においてアラニンからセリンへのアミノ酸置換(rtA181Sとしても示される)を生じる少なくとも1つのヌクレオチド変異を含んでなる。本発明に従う単離されたHBV変種は、好ましくは、ヌクレオシドアナログに対して低減した感受性を示し、好ましくは、ヌクレオシドアナログはアデフォビルおよび/またはラミブジンである。
【0024】
本発明はまた、rtA181Sの他に、HBVポリメラーゼの他の部位においてさらなる変異された遺伝子型パターンを含んでなる単離されたHBV変種を含む。好ましくは、さらなる変異は、ポリメラーゼ遺伝子の任意の異なるドメインにおいて変更されたアミノ酸配列を生じる。これらは、薬剤耐性に関連する既知のアミノ酸の変更を含む。従って、本発明は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおいて1つのrtA181S置換および180位におけるロイシン、204位におけるメチオニンおよび236位におけるアスパラギンの置換からなる群から選択されるアミノ酸置換をコードする少なくとも1つのさらなる変異を含んでなる単離されたHBV変種にまで及ぶ。特に、単離された変種は、rtA181SおよびrtM204I、またはrtA181SおよびrtM204V、またはrtA181SおよびrtM204S、またはrtA181SおよびrtL180M、またはrtA181SおよびrtN236T置換の結果を含んでなる。
【0025】
本発明はまた、rtA181Sの他に、ポリメラーゼ遺伝子のドメインCに局在するさらなる変異された遺伝子型パターンを含んでなる単離されたHBV変種を含む。より好ましくは、ヌクレオチド置換は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインCにおけるコドン位置204でのメチオニンの置換を生じる。特に、DNAポリメラーゼ遺伝子において少なくとも2つのヌクレオチド変異を含んでなる単離されたHBV変種が含まれ、ここで、前記ヌクレオチド変異は、少なくとも2つのアミノ酸置換、ポリメラーゼのドメインBにおけるコドン位置181でのアラニンの1つの置換およびポリメラーゼのドメインCにおけるコドン位置204でのメチオニンの1つの置換を生じる。コドン位置204でのメチオニンの置換は、メチオニン以外の任意のアミノ酸を含むことが意図され、好ましくは、置換は、イソロイシンおよびバリンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸への置換である。
【0026】
例示的HBV変種は、HBVポリメラーゼのドメインBにおける1つのrtA181S置換およびHBVポリメラーゼのドメインCにおける1つのrtM204I置換を含んでなる。本発明の単離されたHBV変種は、HBVに対する抗ウイルス薬、好ましくは、ヌクレオシドアナログへの低減した感受性を示す。
【0027】
用語「変異」は、その最も広範な状況において読まれなければならず、複数の変異を含む。本発明は、DNAポリメラーゼ遺伝子において少なくとも1および/または2および/または3および/または4および/または5および/または6つのヌクレオチド変異を含んでなる単離されたHBV変種にまで及び、ここで、前記ヌクレオチド変異は、少なくとも1および/または2および/または3および/または4および/または5および/または6つのアミノ酸置換を生じ、1つの置換は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおけるコドン位置181でのアラニンからアラニン以外の任意のアミノ酸への置換、好ましくは、アラニンからセリンへの置換であることが理解されるべきである。
【0028】
「単離された」は、本発明のHBV変種ならびに/あるいはHBVポリ核酸および/または発現産物に関連して使用される場合、変種またはポリ核酸が少なくとも1つの精製工程に供されて、天然に存在する体液および/または組織から分離されること、あるいはそれがその生来の環境には存在しないことを意味する。あるいは、変種は、単離された体液および/もしくは組織において維持されてもよく、またはポリ核酸形態であってもよい。典型的に、これは、ウイルス変種またはポリ核酸が少なくとも1つの宿主タンパク質および/または宿主核酸を含まないことを意味する。一般に、単離されたウイルス変種またはポリ核酸は、インビトロでの環境において存在する。「単離された」は、ウイルス変種またはポリ核酸が精製されるかまたは均質でなければならないことを意味するものではないが、そのような調製物は該用語の範囲内に当てはまる。「単離された」は、単純に、純度に対して、天然物および特許請求の範囲からの偶発的な新規性の喪失(accidental anticipation)を含まずに要求される程度にまで引き上げられることを意味する。「単離された」は、感染したヒトもしくは動物から直接、または培養(富化)後のいずれかから採取される任意の生物学的材料を含むことが意図される。「生物学的材料」は、例えば、任意の種類の気管支洗浄液(broncheolavage)、血液、皮膚組織、生検、リンパ球の血液培養材料、コロニー、液体培養物、糞便サンプル、尿などであってもよい。「生物学的材料」はまた、人工的に感染された細胞培養物またはその液相であってもよい。
【0029】
ヌクレオシドアナログに関して「低減された」または「減少した」感受性への言及は、ヌクレオシドアナログに対する完全もしくは実質的な耐性ならびに部分的耐性を含み、そして包含し、ヌクレオシドアナログの存在下で野生型を超える複製速度または複製効率を含む。1つの態様では、これは、処置中のウイルス量の増加によって簡便に測定されるか、あるいは、処置中の前処置HBV DNAレベルからのHBV DNAウイルス量の実質的減少が認められない(即ち、処置に対して非応答性)。好ましくは、「低減した感受性」はADFに関するものである。あるいは、「低減した感受性」はLAMに関するものである。あるいは、「低減した感受性」はLAMおよびADFの両方に関するものである。あるいは、「低減した感受性」は、ADFおよび/もしくはLAMおよび/または他のヌクレオシドアナログならびに/あるいはHBVに対する他の抗ウイルス薬に関するものである。HBVに対する多くの抗ウイルス薬(HBV抗ウイルス薬)が既知であり、次のものを含む:ロブカビル、ペンシクロビルまたはファムシクロビル、ラミブジン(3TC;β−L−(−)−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン)、インターフェロン−α、アデフォビル・ジピボキシル(ビス−POM−PMEA)またはアデフォビル(PMEA;9−(2−ホスホニル−メトキシエチル)−アデニン)、エンテカビル(BMS200475)、エムトリシタビン[(−)FTC;(−)−β−L−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロ−3’−チアシチジン]、DXG[(−)−β−D−2,6−ジアミノプリンジオキソラン]、DAPD(ジアミノプリンジオキソラン)、クレブジン(L−FMAU;2’−フルオロ−5−メチル−β−L−アラビノフラノシルウラシル)、L−dT(β−L−チミジン)、L−Fd4C(2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−β−L(−)−5−フルオロシチジン)、フォスカルネット、カルボビル、ラシビル、ガンシクロビル、テノフォビル、ネビラピン、(−)BCH189(オノ(Ono)ら、2001年)、QYL865(フー(Fu)ら、2000年)、チモシンα、およびHBIg、HBsAgに対する抗体。2つもしくはそれ以上のHBV抗ウイルス薬を組み合わせて使用することもできる。
【0030】
末端タンパク質とタンパク質の触媒成分との間のリンカーまたはスペーサードメイン内の挿入もしくは欠失の存在のため、すべてのHBVゲノムが正確に同じ長さを有するわけではなく、ポリメラーゼも同様に等しくない。この乱雑を克服するために、研究者のグループは、ポリメラーゼの遺伝子型非依存的番号付けスキームを開発した。HBVポリメラーゼ遺伝子における変異されたコドンを示す1つの可能な方法は、ストイヴェル(Stuyver)ら、2001年に従い、ここで、ポリメラーゼの触媒部CドメインのYMDD座位におけるメチオニン(M)は、539、549、550または552ではなく、rtM204と番号付けされる。この番号付けシステムを本特許出願において使用する。従って、慢性B型肝炎のヌクレオシドアナログ処置に関連するHBV DNAポリメラーゼ遺伝子における変異は、ドメインBではrtL180MおよびrtA181Vとして、ドメインCではrtM204IおよびrtM204Vとして、ならびにドメインDではrtN236Tとして記載されている。
【0031】
本発明の別の態様は、本発明のHBV変種に従う単離されたポリ核酸に関する。これらの単離されたポリ核酸は、HBVポリメラーゼにおいて少なくとも1つのアミノ酸置換および/または欠失を生じるヌクレオチド変異を含んでなる。特に、本発明は、ポリメラーゼ遺伝子のコドン181においてヌクレオチド変異を含んでなる、より詳細には、ポリメラーゼのコドン181にいてアラニンの置換を生じる少なくとも1つのヌクレオチド変異を含んでなる単離されたポリ核酸に関する。より詳細には、単離されたポリ核酸は、アミノ酸置換rtA181Sを生じるヌクレオチド変異を含んでなる。
【0032】
本発明はまた、rtA181Sの他に、HBVポリメラーゼの他の部位においてさらなる変異された遺伝子型パターンを含んでなる単離されたポリ核酸を含む。好ましくは、さらなる変異は、ポリメラーゼ遺伝子の任意の異なるドメインにおいて変更されたアミノ酸配列を生じる。これらの変異は、薬剤耐性に関連する既知のアミノ酸の変更を含む。従って、本発明は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおいてrtA181S置換をコードする1つの変異ならびにrtL180M、rtM204IまたはrtM204VまたはrtM204SおよびrtN236Tの群から選択されるアミノ酸置換をコードする少なくとも1つのさらなる変異を含んでなる単離されたポリ核酸にまで及ぶ。
【0033】
本発明はまた、rtA181Sをコードする変異の他に、ポリメラーゼ遺伝子のドメインCに局在するさらなる変異された遺伝子型パターンを含んでなる単離されたポリ核酸を含む。より好ましくは、さらなるヌクレオチド変異は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインCにおけるコドン位置204でのメチオニンの置換を生じる。特に、DNAポリメラーゼ遺伝子において少なくとも2つのヌクレオチド変異を含んでなる単離されたHBV変種が含まれ、ここで、前記ヌクレオチド変異は、少なくとも2つのアミノ酸置換、ポリメラーゼのドメインBにおけるコドン位置181でのアラニンの1つの置換およびポリメラーゼのドメインCにおけるコドン位置204でのメチオニンの1つの置換を生じる。コドン位置204でのメチオニンの置換は、メチオニン以外の任意のアミノ酸を含むことが意図され、好ましくは、置換は、イソロイシンおよび/またはバリンおよび/またはセリンへの置換である。
【0034】
例示的ポリ核酸は、ポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおけるrtA181S置換、および例えば、ポリメラーゼ遺伝子のドメインCにおけるrtM204I置換をコードするDNAポリメラーゼ遺伝子におけるヌクレオチド変異を含んでなる。特定の実施態様では、前記単離されたHBVポリ核酸は、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる群から選択される配列を含んでなる。より具体的には、前記単離されたHBVポリ核酸は、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる群から選択される配列によって規定される。
【0035】
本発明の別の態様は、上記の単離されたポリ核酸のフラグメントに関し、該フラグメントは、ヌクレオシドアナログおよび/または他の抗HBV剤に対する低減した感受性をもたらす記載のヌクレオチド変異を含んでなる。これらのフラグメントは、少なくとも、rtA181S置換を生じる遺伝子型パターンを含んでなる。
【0036】
さらなる実施態様では、前記その単離されたHBVポリ核酸は、DNA、もしくはRNA(ここで、TはUに置き換えられる)であってもよく、または合成ポリ核酸であってもよい。
【0037】
本発明の変種をコードするポリ核酸は、長さにばらつきがあり、変異残基コドンに隣接する塩基の選択において変動し得る。ポリ核酸の長さはそれほど重要ではないが、但し、それは、意図する目的のために、B型肝炎ウイルス配列の一部であることが認識される。相当な配列変動がウイルスのゲノム内に存在し、従って、変種部位に隣接する核酸配列は、天然に存在する配列においてさえも相当に変動し得る。変種をコードする配列に新規かつ有用性を提供するのに十分なポリ核酸の必要性が唯一存在し、しかしその他の点について、選択されるコドンに隣接する配列の長さは重要ではない。典型的に、(変種コドンを含む)配列の長さは、9〜200bpの範囲内の任意の整数であり、通常、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25bpまでである。また、変種全体およびさらに以下に記載のフラグメントをコードするのに十分な長さの配列が含まれる。
【0038】
本発明の「単離されたポリ核酸またはそのフラグメント」は、サンプルから直接得られるまたは重複、増殖もしくは増幅後に得られる一本鎖ポリ核酸、二本鎖ポリ核酸または三重鎖形成ポリ核酸を含んでなることが意図される。「得られる」は、本明細書において、生物学的サンプルからの前記ポリ核酸の単離および/または精製および/または増幅を含むことが意図される。「サンプル」は、感染したヒトもしくは動物から直接、または培養(富化)後のいずれかから採取される任意の生物学的材料であり得る。「重複、増殖または増幅」は、任意の配列決定技術を含む任意の核酸増幅方法を使用することによって産生される任意の核酸を含むことが意図される。従って、前記のいずれか、または前記核酸多型の組み合わせを含んでなる核酸分子を産生する任意の配列決定技術は、用語「重複、増殖または増幅」に含まれると理解されるべきである。
【0039】
本明細書において言及する用語「合成ポリ核酸」は、一本鎖ポリ核酸、二本鎖ポリ核酸または三重鎖形成ポリ核酸であることが意図される。ポリ核酸は、ヌクレオチド配列増幅方法によってインビトロで作製することができる。そのような増幅されるポリ核酸が二本鎖である場合、所望される一本鎖ポリ核酸が前記エキソヌクレアーゼ活性に対して保護されるのであれば、一本鎖分子への変換は、適切なエキソヌクレアーゼによって達成することができる。あるいは、ポリ核酸は、必要であれば、適切なヌクレアーゼを使用してクローニングされたプラスミドから後者を切断し、例えば、分子量に従う分画によってそれらを回収することによって、対応するポリヌクレオチド配列を含む挿入物を含有する組換えプラスミドから誘導される。インビトロで合成ポリ核酸を作製する別の手段は、核酸配列決定の任意の方法内に含まれる。従って、配列決定反応の産物は、明らかに、用語「合成ポリ核酸」に含まれる。本発明に従うポリ核酸はまた、例えば、従来のホスホトリエステルまたはホスホルアミダイト化学によって、化学的に合成することもできる。
【0040】
「ヌクレオチド配列(DNAまたはRNA)増幅」は、標的ヌクレオチド配列コピーの数の増殖を生じるすべての方法を含むことが意図される。ヌクレオチド配列増幅方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;DNA増幅)、鎖置換増幅(SDA;DNA増幅)、転写に基づく増幅システム(TAS;RNA増幅)、自己支持配列複製(3SR;RNA増幅)、核酸配列に基づく増幅(NASBA;RNA増幅)、転写仲介増幅(TMA;RNA増幅)、Qβ−レプリカーゼ仲介増幅およびラン・オフ転写が挙げられる。
【0041】
用語「ポリヌクレオチド」、「ポリ核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、「プローブ」または「プライマー」は、本明細書において使用される場合、任意の長さまたは任意の形状(例えば、分岐DNA)のポリマー形態のヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ペプチドヌクレオチドもしくは固定ヌクレオチドのいずれかまたはそれらの組み合わせを指す。前記用語は、さらに、二本鎖(ds)および一本鎖(ss)ポリヌクレオチドならびに三本鎖ポリヌクレオチドを含む。前記用語はまた、メチル化、環化および「キャップ」のような既知のヌクレオチド修飾ならびにイノシンのようなアナログまたはHEG(ヘキサエチレングリコール(hexethylene glycol))のような増幅不能なモノマーによる1つもしくはそれ以上の天然に存在するヌクレオチドの置換を含む。
【0042】
リボヌクレオチドはNTP、デオキシリボヌクレオチドはdNTP、およびジデオキシリボヌクレオチドはddNTPとして示される。
【0043】
ヌクレオチドは、一般的に、放射性標識、化学発光標識、蛍光標識、リン光標識あるいは赤外染料または表面増強ラマン標識もしくはプラスモン共鳴粒子(PRP)によって標識することができる。
【0044】
ヌクレオチドの修飾の例として、アクリジンまたはその誘導体、アクリダイト(Acrydite)TM、アミン、ビオチン、BHQ−1TM、BHQ−2TM、BHQ−3TM、ボランdNTP、炭素スペーサー(例えば、C、C、C、C、C12もしくはC18)、カスケードブルー、コレステロール、クマリンまたはその誘導体、Cy3(登録商標)、Cy3.5(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、Cy7(登録商標)DABCYL、ダンシルクロリド、ジゴキシゲニン、ジニトロフェニル、デュアルビオチン、EDANS、6−FAM、フルオレセイン、3’−グリセリル、HEX、IAEDANS、倒置dA(inverted dA)、倒置dG(inverted dG)、倒置dC(inverted dC)、倒置dG(inverted dG)、IRD−700、IRD−800、JOE、ラホーヤブルー(La Jolla Blue)、金ナノ粒子のような金属クラスター、フェニルボロン酸、リン酸ソラレン、3’−もしくは5’−リン酸化、ピレン、3’リボ−アデノシン、3’リボ−グアノシン、3’リボ−シチジン、(LC)レッド(Red)640、(LC)レッド(Red)705、ローダミン、ROX、チオール(SH)、スペーサー、TAMRA、TET、AMCA−S(登録商標)、SE、BODIPY(登録商標)、マリンブルー(Marina Blue)(登録商標)、オレゴングリーン(Oregon Green)(登録商標)、パシフィックブルー(Pacific Blue)(登録商標)、QSY7TM、ローダミングリーン(Rhodamine Green)(登録商標)、ローダミンレッド(Rhodamine Red)(登録商標)、ロードルグリーン(Rhodol Green)(登録商標)、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Texas Red)(登録商標)、ユニ−リンク(Uni−Link) NHモディファイアー、放射性標識(例えば、125I、131I、35S、14C、32P、33P、H)およびナノ粒子の添加が挙げられる。
【0045】
ポリヌクレオチドの骨格および塩基の修飾として、さらに、2’−デオキシアリステロマイシン(2’−deoxyaristeromecyin)、メチルホスホネート、2’−OMe−メチルホスホネートRNA、2’−O−(2−メトキシエチル)、ホスホロチオレート(phosphorothiorate)、アルキルホスホロチエート(alkylphosphorothiate)、ホスホルアミダイト、RNA、2’−OMeRNA、2−アミノ−dA、2−アミノプリン、3’−(ddA)、3’dA(コルディセピン)、7−デアザ−dA、8−Br−dA、8−オキソ−dA、N−Me−dA、脱塩基部位(dSpacer)、ビオチンdT、2’−OMe−5Me−C、2’−OMe−プロピニル−C、3’−(5−Me−dC)、3’−(ddC)、5−Br−dC、5−I−dC、5−Me−dC、5−F−dC、カルボキシ−dT、変換可能なdA、変換可能なdC、変換可能なdG、変換可能なdT、変換可能なdU、7−デアザ−dG、8−Br−dG、8−オキソ−dG、O−Me−dG、S6−DNP−dG、4−メチルインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe−イノシン、2’−dI、0−フェニル−dI、4−メチルインドール、2’−デオキシネブラリン、5−ニトロインドール、2−アミノプリン、dP(プリンアナログ)、dK(ピリミジンアナログ)、3−ニトロ−ピロール、2−チオ−dT、4−チオ−dT、ビオチン−dT、カルボキシ−dT、O−Me−dT、O−トリアゾールdT、2’−OMe−プロピニル−U、5−Br−dU、2’−dU、5−F−dU、5−I−dU、O−トリアゾールdUが挙げられる。
【0046】
ポリヌクレオチドのさらなる修飾として、ハプテンまたはタンパク質ラベリングが挙げられる。ハプテンは、例えば、ビオチンおよびジゴキシゲニンを含む一方、タンパク質は、ダイズもしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼまたはジヒドロ葉酸レダクターゼのような酵素を含むか、あるいは(ヒスチジン)−タグ、タンパク質A、マルトース結合タンパク質、Tag・100エピトープ(EETARFQPGYRS;配列番号15)、c−mycエピトープ(EQKLISEEDL;配列番号16)、FLAG(登録商標)−エピトープ(DYKDDDK;配列番号17)、lacZ、CMP(カルモジュリン結合ペプチド)、HAエピトープ(YPYDVPDYA;配列番号18)、タンパク質Cエピトープ(EDQVDPRLIDGK;配列番号19)およびVSVエピトープ(YTDIEMNRLGK;配列番号20)のような異種エピトープを構成し得る。他のタンパク質として、ヒストン、一本鎖結合タンパク質(ssB)ならびに緑色、赤色、青色、黄色、シアン蛍光タンパク質のような生来および操作された蛍光タンパク質が挙げられる。クマリン類、フロクマリン類もしくはベンゾピロン類またはそれらの任意の誘導体のような架橋部位もまた、組み入れることができる。
【0047】
さらなる実施態様では、前記用語「ポリヌクレオチド」、「ポリ核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、「プローブ」または「プライマー」もまた、ペプチド核酸(PNA)(骨格が糖ではなく、N−(2−アミノエチル)−グリシン単位からなる擬ペプチドであるDNAアナログ)を包含する。PNAはDNAの挙動を模倣し、相補核酸鎖に結合する。PNAの中性骨格は、通常達成されるよりも強力な結合性および大きな特異性を生じる。さらに、PNAの独特な化学的、物理的および生物学的特性が、強力な生体分子ツール、アンチセンスおよびアンチジーン剤、分子プローブならびにバイオセンサーを生成するために活用されている。PNAプローブは、一般的に、DNAプローブより短く、一般的に、6〜20塩基の長さであり、より随意的には12〜18塩基の長さである(ニールセン(Nielsen)、2001年)。
【0048】
さらなる実施態様では、前記用語は、リボース環が2’位の酸素と4’位の炭素との間のメチレン連結によって束縛されるRNA誘導体である固定核酸(LNA)をさらに包含する。LNAは、DNAまたはRNA標的配列に対する先例のない結合親和性を示す。LNAヌクレオチドは、オリゴマー化され得、キメラまたはミックスマー(mix−meric)のLNA/DNAもしくはLNA/RNA分子に組み入れられ得る。LNAは、培養細胞に対して非毒性であるように思われる(オルム(Orum)ら、2001年;ウォーレステッド(Wahlestedt)ら、2000年)。一般に、DNA、RNA、PNAおよびLNAのうちのいずれかならびにチミンがウラシルで置き換えられているこれらのうちのいずれかのキメラまたはミックスマーもまた考慮される。
【0049】
用語「核酸多型」または「ヌクレオチド配列多型」は、1つもしくはそれ以上の参照核酸の一次ヌクレオチド配列に対する調査対象の核酸の一次ヌクレオチド配列における任意の差異を含むことが意図される。ほとんどの単一核酸多型は、一ヌクレオチド、即ち、一塩基多型またはSNPに影響を及ぼす多型である。核酸多型は、1つもしくはそれ以上の参照核酸の主要なヌクレオチド配列に対する調査対象の核酸の一次ヌクレオチド配列における任意の数の連続および/または非連続的差異をさらに含む。上記の説明はまた、「多型変種」のような用語を明らかにする。
【0050】
潜在的ウイルス変種の評価は、適切な治療プロトコルの選択に重要である。そのような評価は、ソフトウェアによってプログラム化されたコンピュータの支援によって適切に容易にされる。従って、なお別の実施態様では、前記単離されたHBVポリ核酸配列もしくはそのフラグメント、またはそれから誘導されるアミノ酸配列は、ASCII、16進もしくはUNICODEコード、1バイト、2バイトまたはマルチバイト文字セットあるいは2進コードであり得る。さらなる実施態様では、ASCII、16進またはUNICODEコード、1、2もしくはマルチバイト文字セットあるいは2進コードの前記配列は、コンピュータによって読み取り可能である。さらなる実施態様では、ASCII、16進またはUNICODEコード、1、2もしくはマルチバイト文字セットあるいは2進コードの前記配列は、コンピュータ読み取り可能なキャリア上において記憶可能であるか、あるいはコンピュータ読み取り可能なデータベース上において組み入れ可能である。さらなる別の実施態様では、ASCII、16進またはUNICODEコード、1、2もしくはマルチバイト文字セットあるいは2進コードの前記配列を含んでなるコンピュータ読み取り可能なキャリアが含まれる。さらなる別の実施態様では、ASCII、16進またはUNICODEコード、1、2もしくはマルチバイト文字セットあるいは2進コードの前記配列を含んでなるコンピュータ読み取り可能なデータベースが想定される。なお別のさらなる実施態様では、ASCII、16進またはUNICODEコード、1、2もしくはマルチバイト文字セットあるいは2進コードの前記配列が、配列を比較することが可能または配列を整列することが可能なアルゴリズムにおいて使用される。
【0051】
本発明のさらなる態様では、本発明に従う単離されたHBVポリ核酸またはそのフラグメントを含んでなるベクターが含まれる。特定の実施態様では、前記ベクターは発現ベクターである。別の特定の実施態様では、前記ベクターは、ウイルスまたはレトロウイルスベクターである。
【0052】
さらなる実施態様では、前記ベクターは、pUCシリーズもしくはpEMBLシリーズのベクターのような普遍的クローニングベクター、またはクローニングのためのDNAトポイソメラーゼ反応に必要なクローニングベクター、TAクローニングベクターおよびゲートウェイ(Gateway)システム(インビトロジェン(InVitrogen))において使用されるもののような組換えに基づくクローニングベクターのようなクローニングベクターである。ベクターは、プラスミド、ファージミド、コスミドまたはバクミド(バキュロウイルスベクター)を含んでなる。ベクターは、単にクローニングツールおよび/またはビヒクルとして機能することができるか、またはプロモーター、エンハンサーおよびターミネーターもしくはポリアデニル化シグナルのような調節配列をさらに含んでなり得る。前記調節配列は、前記調節配列を含んでなるベクターへクローニングされる目的のDNAフラグメント内に含有される情報の発現を可能にし得る。発現は、RNA分子またはmRNA分子の産生、場合により、そのタンパク質分子の産生であってもよい。発現は、目的のDNAの5’または3’末端へ導入されるウイルスポリメラーゼプロモーター(例えば、SP6、T7もしくはT3プロモーター)によるRNA分子の産生であってもよい。
【0053】
発現は、さらに、一過性発現または安定な発現あるいは、制御可能な発現であってもよい。制御可能な発現は、例えば、テトラサイクリン(tetracyclin)調節性プロモーター、ストレス誘導性(例えば、ヒトhsp70遺伝子プロモーター)、メタロチオニン(methallothionine)プロモーター、グルココルチコイドプロモーターまたはプロゲステロンプロモーターを使用する誘導性発現を含んでなる。プロモーターとしては、さらに、コアプロモーターのようなHBVプロモーターおよびサイトメガロウイルス(CMV)前初期(IE)プロモーターのような異種プロモーターが挙げられる。
【0054】
プロモーターはまた、好ましくは、肝腫瘍細胞における発現を駆動することができ、例えば、α−フェトプロテイン遺伝子のプロモーターおよびエンハンサーである。細菌(例えば、大腸菌(Escherichia coli)、ストレプトマイセス(Streptomyces)種)、真菌(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス(Aspergillus)種、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、アカパンカビ(Neurospora crassa))、昆虫細胞(ヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞、Sf9細胞)、植物細胞(例えば、ポテトウイルスXに基づく発現ベクター、(例えば、バンス(Vance)ら1998年、国際特許公開第国際公開第98/44097号パンフレットを参照のこと)および哺乳動物細胞(例えば、CHOまたはCOS細胞、Vero細胞、HeLa細胞系統由来の細胞)において発現を仲介する発現ベクターが、当該分野において公知である。本発明に関して特に適切な宿主細胞は、哺乳動物、例えば、ヒト、初代肝細胞、肝細胞癌細胞系統(例えば、HepG2、HepT1、HepT3、Huh6、Huh7)、Chang肝臓細胞、げっ歯類肝臓細胞、霊長類肝臓細胞、ヒト上科の肝臓細胞、または他のいずれかの哺乳動物、例えば、ヒトの、宿主細胞もしくは細胞系統である。
【0055】
ベクター、あるいは発現ベクターは、さらに、宿主細胞における自律複製が可能であってもよく、または組込みベクター、即ち、宿主細胞のゲノムにおいて完全もしくは部分的に、および安定に組込むベクターであってもよい。宿主細胞の他の任意の第2のDNAフラグメント、例えば、ゲノムにおける任意の第1のDNAフラグメント、例えば、ベクターまたはそのフラグメントの組込みは、前記第1のDNAフラグメントが、例えば、部位特異的組換え部位もしくはトランスポゾンに典型的な反復配列によって隣接される場合、反転され得る。あるいは、前記部位特異的組換え部位またはトランスポゾン反復配列は、前記第2のDNAフラグメントに含まれ、前記第1のDNAフラグメントに隣接している。なお別の代替物では、前記第1のDNAフラグメントは、おそらく、相同組換えによって、それに適切な第2のDNAフラグメントに導入することができ、同じプロセスを使用して、前記第1のDNAフラグメントとそれに適切な別のDNAフラグメントとを交換することができる。
【0056】
ベクター、または発現ベクターの宿主細胞への導入は、当該分野において既知の前記宿主細胞に適用可能な任意の利用可能な形質転換もしくはトランスフェクション技術によって、成し遂げられ得る。そのような形質転換またはトランスフェクション技術は、(例えば、大腸菌(E.coli)の)熱ショック仲介形質転換、接合DNAトランスファー、エレクトロポレーション、PEG仲介DNA取り込み、リポソーム仲介DNA取り込み、リポフェクション、リン酸カルシウムDNA共沈殿、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション、例えば、マイクロインジェクション粒子ボンバードメントによる直接導入、またはウイルス、ビリオンもしくはウイルス粒子による導入を含んでなる。
【0057】
例えば、(例えば、患者の血清または細胞培養から誘導される)HBVウイルスによるHepG2細胞培養の感染は、通常生じないが、ジメチルスルホキシド(DMSO;(パラン(Paran)ら、2001年))による宿主細胞の前処置によって刺激され得る。あるいは、V8プロテアーゼによるHBVの消化は、感染性HBVウイルスを生じる(ルー(Lu)ら、1996年)。少なくとも1つの他のヘパドナウイルス、ウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)の類似のプロテアーゼ修飾も同様に、ヒト肝芽腫細胞について感染性であるWHVウイルスを生じる(ルー(Lu)ら、2001年)。肝芽腫細胞におけるHBV遺伝子の発現は、インキュベーション温度を37℃から32℃に減少することによって、有意に増加することが報告された(コソボスキー(Kosovsky)ら、2000年)。
【0058】
ウイルスの複製効率をアッセイするため、より詳細には、HBV複製効率をアッセイするのに適切なベクターとして、少なくとも1単位(全長)のHBVゲノム、好ましくは、1単位を超えるHBVゲノム、例えば、1.1〜4、特に、1.1、1.2、1.28、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、3.0もしくは4.0倍のHBVゲノムを含んでなるウイルスベクターまたはベクターが挙げられる。HBVウイルスの複製を可能にするウイルスベクターシステムの1つの例は、バキュロウイルスシステムであり、例えば、イソム(Isom)およびハリエット(Harriet)、国際特許公開第国際公開第99/37821号パンフレットまたはデレーニー(Delaney)ら(デレーニー(Delaney)ら、1999年)によって記載されている。ウイルスの複製の程度は、(i)HBV抗原(HBsAgまたはHBeAg)の分泌、(ii)HBV転写物(3.5kb、2.4kb、2.1kb、0.7kb転写物)の発現、(iii)HBV複製中間物(弛緩型環状DNA、二本鎖DNAまたは一本鎖DNA)の量、(iv)HBVスーパーコイル状環状(ccc)DNAの量、(v)分泌型細胞外HBV DNAの量、(vi)細胞外に産生されるHBV粒子の量、(vii)産生されるHBcAgタンパク質の量、(viii)産生されるHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素タンパク質の量、および(ix)産生されるHBV Xタンパク質の量のうちのいずれか1つもしくはそれ以上を測定または検出することによってモニターすることができる。HBVウイルスの複製を可能にするウイルスベクターシステムのもう1つの例は、指標遺伝子(例えば、選択マーカー遺伝子またはスクリーニング可能なマーカー遺伝子;例えば、ケイポン(Capon)およびペトロポーロス(Petropoulos)、米国特許第6242187号明細書に記載されている)(その発現はウイルスの複製の程度の指標である)を含むベクターシステムである。
【0059】
HBVウイルスの複製を可能にするウイルスベクターシステムは、野生型HBVウイルスの複製効率と変異体HBVウイルスの複製効率とを比較するのに適切である。変異HBVウイルスは、HBV ORFおよび/またはHBV調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターもしくはポリアデニル化シグナル、ε−ループ、キャプシド形成シグナル、反復配列、パッケージングシグナル、内部リボソーム進入部位)のうちのいずれか1つもしくはそれ以上において変異またはポリ核酸多型を含んでなるHBVウイルスであると理解される。
【0060】
本発明のさらなる態様は、本発明に従うHBVポリ核酸またはそのフラグメントを含んでなるか、または本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなるか、または本発明に従うHBV変種を含んでなるか、または本発明に従うベクターを含んでなる宿主細胞に関する。特定の実施態様では、前記宿主細胞は、哺乳動物肝臓細胞または上掲のような哺乳動物の肝細胞癌の細胞である。
【0061】
本発明はさらに、単離されたポリ核酸由来の発現産物に関する。これらの発現産物は、上掲のポリ核酸および/またはフラグメントのいずれかの発現から生じる。
【0062】
前記発現産物は、タンパク質、ペプチド、オリゴペプチド、RNAまたはmRNAを含んでなる。用語「タンパク質」、「ペプチド」または「オリゴペプチド」は、本明細書において使用される場合、任意の長さのポリマー形態のアミノ酸を指す。前記用語はまた、ジスルフィド結合形成、システイン化、酸化、グルタチオン化、メチル化、アセチル化、ファルネシル化、ビオチン化、ステアロイル化、ホルミル化、リポ酸付加、リン酸化、硫酸化、ユビキチン化、ミリストイル化、パルミトイル化、ゲラニルゲラニル化、環化(例えば、ピログルタミン酸形成)、酸化、脱アミド、脱水、グリコシル化(例えば、ペントース類、ヘキソサミン類、N−アセチルヘキソサミン類、デオキシヘキソース類、ヘキソース類、シアル酸など)およびアシル化のような既知のアミノ酸修飾ならびに天然に存在しないアミノ酸残基、L−アミノ酸残基およびD−アミノ酸残基を含む。多くの前記アミノ酸修飾は、当業者によって認識される翻訳後修飾の結果として生じ得る。他の修飾としては、タンパク質、ペプチドまたはオリゴペプチドの1つもしくはそれ以上のアミノ酸への化学基の付加が挙げられる。前記化学基として、例えば、ビオチンが挙げられる。タンパク質、ペプチドまたはオリゴペプチドは、一般的に、放射性標識、化学発光標識、蛍光標識、リン光標識、赤外染料または表面増強ラマン標識もしくはプラスモン共鳴粒子によってさらに標識することができる。
【0063】
本発明は、ポリメラーゼ遺伝子における少なくとも1つのアミノ酸置換および/または欠失を含んでなる発現産物にまで及ぶ。特に、本発明は、ポリメラーゼ遺伝子のコドン181におけるアミノ酸置換、より詳細には、ポリメラーゼ遺伝子のコドン181におけるアラニンからセリンへのアミノ酸置換を生じるものを含んでなる発現産物に関する。より詳細には、発現産物は、アミノ酸置換rtA181Sを含んでなる。
【0064】
本発明はまた、rtA181Sの他に、ポリメラーゼのドメインCに局在するさらなるアミノ酸置換を含んでなる発現産物を含む。より好ましくは、ポリメラーゼのドメインCにおけるコドン位置204でのメチオニンの置換である。特に、DNAポリメラーゼにおいて少なくとも2つのアミノ酸置換、ポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおけるコドン位置181でのアラニンからセリンへの1つの置換、およびポリメラーゼ遺伝子のドメインCにおけるコドン位置204でのメチオニンの1つの置換を含んでなる発現産物が含まれる。コドン位置204でのメチオニンの置換は、メチオニン以外の任意のアミノ酸を含むことが意図され、好ましくは、置換は、イソロイシンまたはバリンまたはセリンへの置換である。
【0065】
本発明はまた、rtA181Sの他に、HBVポリメラーゼの他の部位におけるさらなるアミノ酸置換、好ましくは、rtL180M、rtM204IまたはrtM204VまたはrtM204SおよびrtN236Tの群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなる発現産物を含む。群内のコドン204における異なる変異は、2つの「または」によって示されている。
【0066】
例示的発現産物は、ポリメラーゼのドメインBにおけるrtA181S置換を含んでなり、場合によりポリメラーゼのドメインCにおけるrtM204I置換を伴う。特定の実施態様では、前記単離されたHBV発現産物は、配列番号10、配列番号11、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列を含んでなる。より具体的には、前記単離されたHBVポリ核酸は、配列番号10、配列番号11、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列によって規定される。
【0067】
本発明の別の態様は、上記の発現産物のフラグメントに関し、該フラグメントは、ヌクレオシドアナログおよび/または他の抗HBV剤に対する低減した感受性をもたらす、記載されたアミノ酸置換を含んでなる。これらのフラグメントは、少なくともrtA181S置換を含んでなる。
【0068】
発現産物は、全長B型肝炎ポリメラーゼならびに/あるいは少なくとも変異残基または部位を含んでなる逆転写酵素およびそのフラグメント、ならびに/あるいは異種ポリペプチドに融合されたこれらのうちのいずれか一方を含むポリペプチドを含んでなる。
【0069】
発現は、開示された変異された遺伝子型パターンを含んでなるRNA分子またはmRNA分子の産生を含む。「異種」は、ポリ核酸またはタンパク質配列に関して使用される場合、生来もしくは公知のフランキング配列と同じではないことを意味する。異種配列としては、他のHBV、ヒト、動物もしくは微生物配列、ポリHisもしくは他のアフィニティータグ、または全体的に組み立てられた配列が挙げられる。フラグメントは、典型的には、変種残基および少なくとも約4個の隣接残基を含み、隣接残基は変異残基の一方または両側の側面に分配されており、通常、該フラグメントは合計10ないし20残基である。
【0070】
本発明はさらに、本発明に従うHBVポリ核酸またはそのフラグメントにおいて、HBV逆転写酵素ドメインにおいてセリンをコードするコドン181と、HBV逆転写酵素ドメインにおいてアラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能なオリゴヌクレオチドの態様を包含する。
【0071】
本明細書において言及する用語「オリゴヌクレオチド」は、プライマーもしくはプローブであることが意図され、一本鎖であっても、もしくは二本鎖であってもよく、または三重鎖形成ポリ核酸の一部であってもよい。オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド配列増幅方法によってインビトロで作製することができる。そのような増幅されるオリゴヌクレオチドが二本鎖である場合、所望される一本鎖オリゴヌクレオチドが前記エキソヌクレアーゼ活性に対して保護されるのであれば、一本鎖分子への変換は、適切なエキソヌクレアーゼによって達成することができる。あるいは、オリゴヌクレオチドは、必要であれば、適切なヌクレアーゼを使用してクローニングされたプラスミドから後者を切断し、例えば、分子量に従う分画によってそれらを回収することによって、対応するヌクレオチド配列を含む挿入物を含有する組換えプラスミドから誘導される。本発明に従うオリゴヌクレオチドはまた合成物であり、即ち、例えば、従来のホスホトリエステルまたはホスホルアミダイト化学によって、化学的に合成することもできる。オリゴヌクレオチドは、固相オリゴヌクレオチド合成を介するかまたはフォトリソグラフィック合成(photolitographic synthesis)を介してガラススライド上でインサイチュでさらに合成することができる(ベアウカゲ(Beaucage)、2001年)。
【0072】
別の特定の実施態様では、本発明に従うオリゴヌクレオチドはさらに、前記オリゴヌクレオチドを固相支持体に付着させるための修飾を含んでなる。前記修飾は、例えば、オリゴヌクレオチドのアミン−、チオール−、3−’プロパノラミンもしくはアクリダイト(Acrydite)修飾であってもよく、またはオリゴヌクレオチドへのホモポリマーテイル(例えば、ターミナルトランスフェラーゼ酵素を介して酵素的に付加されるかもしくは合成的に付加されるオリゴ(dT)テイル)の付加を含んでなり得る。前記ホモポリマーテイルがオリゴヌクレオチドの3’末端に位置する場合、または酵素伸長を防止する他の任意の3’末端修飾がオリゴヌクレオチドに組み入れられる場合、オリゴヌクレオチドのプライミング能は低減もしくは廃止され得る。他の修飾については、例えば(ベアウカゲ(Beaucage)、2001年)に記載されている。明らかに、DNA、RNA、PNAもしくはLNAであるか、またはその任意のキメラである本発明に従うオリゴヌクレオチドは、本発明に包含される。さらに、本発明に従う少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含んでなる組成物も包含される。
【0073】
「ハイブリダイゼーション」は、実質的に相同な相補的ヌクレオチド配列が相互にアニーリングするプロセスである。ハイブリダイゼーションプロセスは全体的に溶液中で生じ得、即ち、両方の相補的核酸が溶液中にある。そのようなプロセスに依存する分子生物学におけるツールとして、PCR、サブトラクティブハイブリダイゼーションおよびDNA配列決定が挙げられる。ハイブリダイゼーションプロセスはまた、磁気ビーズ、セファロース(Sepharose)ビーズまたは他の任意の樹脂もしくはタイプのビーズのようなマトリックスに固定化される相補的核酸の一方によって生じ得る。そのようなプロセスに依存する分子生物学におけるツールとして、ポリ(A)mRNAの単離が挙げられる。ハイブリダイゼーションプロセスは、さらに、ニトロセルロースまたはナイロンメンブラン、ガラススライドまたは溶融シリカ(石英)スライド(後者は核酸アレイもしくはマイクロアレイもしくは核酸チップとして公知である)、金フィルム、ポリピロールフィルム、例えば、ポリアクリルアミドゲルまたはマイクロプレートウェル中の光ファイバーのような固相支持体に固定化される相補的核酸の一方によって生じ得る。そのようなプロセスに依存する分子生物学におけるツールとして、RNAおよびDNAゲルブロット分析、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、逆ハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイハイブリダイゼーションが挙げられる。ハイブリダイゼーションが生じることを可能にするために、核酸分子は、一般的に、熱的、化学的(例えば、NaOHによる)または電気化学的に変性されて、二本鎖が2つの一本鎖に融解されるそして/あるいは一本鎖核酸からヘアピンもしくは「モレキュラービーコン(Molecular Beacons)」プローブ(シングルデュアル標識)もしくは他の二次構造が除去される。
【0074】
本発明の核酸配列は、さらに、外部ガイド配列(EGS)または短い外部ガイド配列(SEGS)に連結され得る。標的配列に連結された前記ガイド配列は、RNAseP酵素によって基質として認識される最小構造を提供する(ベルナー(Werner)およびジョージ(George)、米国特許第5,877,162号明細書)。EGSまたはSEGSに連結される本発明の核酸配列は、HBV感染患者を処置する治療アプリケーションを見出し得る。
【0075】
本発明のさらなる態様は、生物学的サンプルにおけるHBVウイルスの存在を検出するため;ならびに/あるいは生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するため;ならびに/あるいは生物学的サンプルに存在するHBVウイルスのHBV逆転写酵素ドメインにおけるセリンをコードするコドン181、またはセリンをコードするコドン181、ならびにメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204、バリンをコードするコドン204、セリンをコードするコドン204、およびスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択されるコドンの存在を検出するための方法である。
【0076】
「コドン」とは、遺伝子暗号に従って、アミノ酸をコードする3連続ヌクレオチドの組み合わせを意味する。本発明における「コドン」は、さらに、一本鎖(センスもしくはアンチセンス)または二本鎖(ポリ)核酸において含まれ得る。アンチセンス鎖からアミノ酸配列を引き出すために、対応するアミノ酸配列への翻訳のために、対応するセンス鎖(逆向きの相補物)を使用する必要がある。
【0077】
ヌクレオチド配列およびヌクレオチド配列多型(例えば、変異)を検出することが可能な多数のアッセイが、現在利用可能である。これらのアッセイのいくつかは物理的方法に基づく一方、他のものは、酵素的アプローチを使用する。
【0078】
「物理的検出方法」とは、検出のために1つもしくはそれ以上の物理的プロセスを必要とするが、1つもしくはそれ以上ヌクレオチド配列多型を含んでなる標的DNA配列の先のPCR増幅の酵素プロセスを含まないヌクレオチド配列多型検出の本発明に関する方法を意味する。前記物理的プロセスとして、電気泳動、クロマトグラフィー、分光測定、光シグナルの感知および分光学が挙げられる。
【0079】
物理的ヌクレオチド配列多型検出アッセイとして、一本鎖構造多型(SSCP)、変性剤定濃度キャピラリー電気泳動(CDCE)および変性剤定濃度ゲル電気泳動(CDGE)、例えば、クリステンセン(Kristensen)ら、2001年を参照のこと;変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、二重勾配キャピラリー電気泳動(DGCE)、(キャピラリゾーン電気泳動(CZE)はまた、フリーソリューションキャピラリー電気泳動(FSCE)、非均一CZE、もしくは温度勾配キャピラリー電気泳動(TGCE)としても公知である)、2次元遺伝子スキャニング(TDGS)、コンフォメーション高感度ゲル電気泳動(CSGE)、例えば、コルッコ(Korkko)ら、1998年を参照のこと、マイクロプレートアレイダイアゴナルゲル電気泳動(MADGE)、例えば、デイ(Day)ら、1998年を参照のこと、および二本鎖構造解析(DSCA)、例えば、(アルゲロ(Arguello)ら、1998年)を参照のことのような電気泳動方法が挙げられる。同様の技術は、HMA(ヘテロ二重鎖移動アッセイ)と呼ばれるが、DNA二重鎖の検出は、DNAのゲル染色に依存する(デルワート(Delwart)ら、1993年)。HTA(ヘテロ二重鎖トラッキングアッセイ)では、放射性標識プローブをPCR産物にアニーリングさせ、プローブ−PCR産物ヘテロ二重鎖をゲル電気泳動によって分離する。多部位特異的HTAについて記載されている(レッシュ(Resch)ら、2001年;デルワート(Delwart)ら、1994年)。
【0080】
二本鎖構造解析クロマトグラフィー方法として、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)が挙げられる。物理的ヌクレオチド配列多型検出アッセイは、既知または新規変異の同定に有効であり得、変性電気泳動によるホモ−およびヘテロ二重鎖標的DNA分子の分離を生じる直接DNA配列決定による確認を必要とし得る。前記分離はまた、変性液体クロマトグラフィーによって実施することができ、ここで、温度は感受性を決定する。DHPLCはさらに、アレイシステムの設定を可能にするモノリシックキャピラリーカラムにおいて実施することができる。蛍光に基づく検出、ならびに質量分析計へのオンライン接続が可能である。DHPLCによるヌクレオチド多型検出の効率は、GCクランプを標的DNAフラグメントの末端に付加することによって、増加することができる(フーバー(Huber)ら、2001年;ナラヤマスワミ(Narayanaswami)ら、2001年;シャオ(Xiao)ら、2001年)。
【0081】
MALDI−TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)は、100bp未満のDNAフラグメントのための直接DNA配列決定ツールおよび一塩基多型の検出のためのツールの両方として、首尾よく使用されている。対立遺伝子特異的PNAオリゴマー(ペプチド核酸)と一本鎖標的DNAとのハイブリダイゼーションは、MALDI−TOF MS分析と高度に匹敵することが証明された((グリフィン(Griffin)ら、2000年)、および本明細書に記載の参考文献)。
【0082】
例えば、マキサム(Maxam)およびギルバート(Gilbert)によって設計された直接DNA配列決定(マキサム(Maxam)ら、1977年)は、ヌクレオチド配列多型の決定のための「絶対的標準」としてなお認められている。最も一般的かつ広範なDNA配列決定方法は、サンガー(Sanger)反応またはジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション反応(サンガー(Sanger)ら、1977年)に基づく。シーケンスプライマーは、終結された鎖の検出のために標識することができ、または伸長産物の内部標識が可能である。他のDNA配列決定方法は、ピロシーケンス(例えば、ウィリアムス(Williams)2000年を参照のこと)およびサイクルシーケンス(ヤガー(Yager)ら、1999年;ルアノ(Ruano)ら、1991年)である。
【0083】
近い将来、ナノポア配列決定も利用可能になるかもしれない(メラー(Meller)ら、2000年)。他のDNA配列決定方法として、分子共鳴配列決定、およびDNAの特異的切断、続くフラグメントの質量分析を組み合わせることによる診断的配列決定(例えば、スタンスセンス(Stanssens)およびザベアウ(Zabeau)2000年−国際公開第00/66771号パンフレットを参照のこと)が挙げられる。
【0084】
ヌクレオチド配列変動を決定する別の方法は、ジデオキシヌクレオチド配列決定(サンガー(Sanger)反応)を含んでなり、ここで、通例のdNTPは、(α−チオdNTPのような)修飾されたdNTPおよび他の変種に置き換えられる(ダールハウザー(Dahlhauser)2000年−米国特許第6150105号明細書)。
【0085】
なお別のDNA配列決定方法論は、すべての可能なn−ヌクレオチドオリゴマー(nマー)のアレイを使用して、不明なDNAサンプルに含まれるnマーを同定するSBHまたはハイブリダイゼーションによるハイブリダイゼーションとして公知である(デルマナック(Drmanac)ら、1993年)。
【0086】
前記高密度オリゴヌクレオチドアレイまたはDNAチップは、同じ条件下で多型ヌクレオチド配列の組に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの組を設計する必要性をなくす。後者のアプローチは、オリゴヌクレオチドプローブにおいて不一致のヌクレオチドの長さ、極性および位置を注意深く調整することによって、従来の逆ブロットアッセイにおいて適用される(サイキ(Saiki)ら、1989年)。しかし、遺伝子型決定およびヌクレオチド配列多型の検出のための従来の逆ブロットハイブリダイゼーションアッセイは、例えば、LiPA(ラインプローブアッセイ(Line Probe Assay))形式(イノジェネティクス(Innogenetics)、ゲント(Ghent)、ベルギー(Belgium))において首尾よく市販されている。(ストイヴェル(Stuyver)ら、1997年;ストイヴェル(Stuyver)ら、1996年)。
【0087】
上掲のヌクレオチド配列ならびにヌクレオチド配列多型検出方法に多くの変更および組み合わせを行うことができることは、当業者に明らかであろう。これらは、本発明に援用される。
【0088】
上掲の本発明のオリゴヌクレオチドは、それらが、上掲のような本明細書に記載のヌクレオチド配列または多型の検出のための方法のいずれかにおいて使用され得るように、適応することができる。
【0089】
従って、本発明のさらなる実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、末端伸長および/またはヘアピンもしくは「モレキュラービーコン(Molecular Beacons)」プローブ構造をさらに含んでなり、ここで、前記伸長および/またはヘアピン構造は、前記オリゴヌクレオチドのいずれか一方の末端または両方の末端に組み入れられる。前記末端伸長は、例えば、別の核酸分子と特異的にハイブリダイズする、および/または前記オリゴヌクレオチドの固相支持体への付着を容易にする、および/または酵素、リボザイムもしくはDNAzymeによる前記テイル化オリゴヌクレオチドの修飾に有用である。
【0090】
本発明のさらなる実施態様では、本発明に従うオリゴヌクレオチドは、標的DNAへのアニーリング後、連結することができるいずれかの末端プライマーにおいて組み入れるパドロックプローブ内、またはヘアピン構造内に含まれる。
【0091】
別の実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、検出を可能にするおよび/または前記オリゴヌクレオチドを捕捉する修飾を有する。検出および/または前記オリゴヌクレオチドの捕捉は、さらに、それとハイブリダイズした標的核酸の検出および/または捕捉を可能にする。前記オリゴヌクレオチドと前記標的核酸との間の相互作用は、前記オリゴヌクレオチドおよび/または前記標的核酸における架橋修飾の導入を介して両方を架橋することによって、安定化することができる。
【0092】
なお別の実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、3’−末端の不一致ヌクレオチド、および場合により、3’−近接の不一致ヌクレオチドを含んでなる。前記オリゴヌクレオチドは、多型特異的PCRおよびLCR(リガーゼ連鎖反応)またはGAP−LCRを実施するのに特に有用である。
【0093】
さらに、上掲の説明に従う少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含んでなる組成物も本発明に含まれる。
【0094】
本明細書に記載のヌクレオチド配列および多型を検出するための上掲の方法のいずれも、生物学的サンプルにおけるHBVウイルスの存在を検出するため;ならびに/あるいは生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するため;ならびに/あるいは生物学的サンプルに存在するHBVウイルスのHBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181、またはセリンをコードするコドン181、ならびにメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204、バリンをコードするコドン204、セリンをコードするコドン204、およびスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択されるコドンの存在を検出するための方法に、利用することができることは、当業者に明らかであろう。
【0095】
従って、そのような検出方法および診断キット、例えば、そのような検出方法に基づくラインプローブアッセイ(line probe assay)を含む以下の態様もさらに本発明に含まれる。
【0096】
本発明の1つの態様は、生物学的サンプルにおけるHBVウイルスの存在を検出するための方法および/または生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するための方法に関し、前記方法は、本発明に従うHBVポリ核酸またはそのフラグメントの存在を検出することを含んでなる。本発明に対する特定の実施態様は、以下の工程を含んでなる前記方法を含む:
a.前記生物学的サンプルから標的HBVポリ核酸を得る工程であって、ここで、前記標的HBVポリ核酸は、HBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181、ならびに場合により、HBVウイルスのHBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204またはバリンをコードするコドン204またはセリンをコードするコドン204、およびスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンを含んでなることが疑われること;
b.(a)の標的HBVポリ核酸の核酸配列を得ること;
c.(b)において得られる核酸配列から、HBV逆転写酵素ドメインの前記セリンをコードするコドン181、および場合により、(a)に記載の群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンの存在、ならびにそれらから、前記生物学的サンプルにおける前記HBVウイルスの存在および/または前記生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する前記耐性を推察すること。
【0097】
本発明に対する別の特定の実施態様は、以下を含んでなる前記方法を含む:
a.前記生物学的サンプルに存在する標的HBVポリ核酸を得る工程および/またはそのヌクレオチド配列を得ること;
b.適切な場合、(a)において得られるポリ核酸を部分的もしくは完全に変性するか、または酵素的に修飾すること;
c.適切な場合、好ましくは、HBVポリ核酸またはそのフラグメントにおいて、HBV逆転写酵素ドメイン中のセリンをコードするコドン181とHBV逆転写酵素ドメイン中のアラニンもしくはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの存在下で、工程(b)において得られる変性されたポリ核酸を再生させる工程、ならびに必要であれば、前記オリゴヌクレオチドを酵素的に修飾する(伸長することを含む)工程を含むこと;
d.適切な場合、工程(b)において得られる部分的もしくは完全に変性されたHBVポリ核酸、ならびに/あるいは工程(c)において形成されるハイブリッド、ならびに/あるいは工程(b)および/または(c)において得られる酵素修飾を検出する工程と、
e.以下の群:部分的もしくは完全に変性されたポリ核酸、ハイブリッド、酵素修飾(すべて工程(d)において検出される)のうちの1つもしくはそれ以上のデータ、ならびに(a)において得られるヌクレオチド配列から、前記生物学的サンプルにおける前記HBVの存在および/または前記生物学的サンプルに存在するHBVの抗ウイルス薬に対する前記耐性を推察すること。
【0098】
本発明に対するなお別の特定の実施態様では、前記方法は以下を含んでなる:
a.前記生物学的サンプルから標的HBVポリ核酸を得ること、ここで、前記標的HBVポリ核酸は、HBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181を、場合により、HBVのHBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204またはバリンをコードするコドン204またはセリンをコードするコドン204、およびスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンとともに含んでなることが疑われるものであり、
b.(a)の標的HBVポリ核酸を、セリンをコードするコドン181とアラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能であり、場合により、ロイシンをコードするコドン180とメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204とメチオニン、バリンまたはセリンをコードするコドン204、およびアスパラギンをコードするコドン236とスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンを識別することが可能なオリゴヌクレオチドと接触させること;
c.(b)において得られる識別シグナルから、場合により、HBV逆転写酵素ドメインの前記メチオニンをコードするコドン180または前記イソロイシンをコードするコドン204または前記アスパラギンをコードするコドン236とともにHBV逆転写酵素の前記セリンをコードするコドン181の存在、ならびにそれから、前記生物学的サンプルにおける前記HBVの存在および/または前記生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する前記耐性を推察すること。
【0099】
後者の方法では、(b)において前記識別することは、一般的にハイブリダイゼーションに基づき、(c)における前記識別シグナルはハイブリダイゼーションシグナルである。
【0100】
「(ポリ)核酸において、アミノ酸X1(任意のアミノ酸)をコードするコドンと、アミノ酸X2(X1とは異なる任意のアミノ酸)をコードするコドンとを識別することが可能なオリゴヌクレオチド」とは、アミノ酸X1をコードする前記コドンを含んでなる(ポリ)核酸と接触される場合にはシグナルを産出するが、アミノ酸X2をコードするコドンを含んでなる(ポリ)核酸と接触される場合にはシグナルを産出しないオリゴヌクレオチドを意味する。前記シグナルは、「識別シグナル」とも称され、上掲のようなヌクレオチド配列およびヌクレオチド配列多型を検出することが可能なアッセイのいずれかにおいて前記オリゴヌクレオチドを使用することによって入手可能な任意のシグナルであり得る。前記シグナルとして、例えば、蛍光シグナル、(化学)発光シグナル、放射性シグナル、光シグナル、ハイブリダイゼーションシグナル、質量分析シグナル、分光シグナル、クロマトグラフィーシグナル、電気シグナル、電子シグナル、電気泳動シグナル、リアルタイムPCRシグナル、PCRシグナル、LCRシグナル、CFLPアッセイシグナルおよびインベーダー(Invader)アッセイシグナルが挙げられる。
【0101】
「オリゴヌクレオチドを(ポリ)核酸と接触させること」またはその逆は、一般的に、前記オリゴヌクレオチドと前記(ポリ)核酸とのアニーリングまたは前記オリゴヌクレオチドと前記(ポリ)核酸とをハイブリダイズすることを意味する。「オリゴヌクレオチドを(ポリ)核酸と接触させること」は、排他的な意味ではなく、従って、前記オリゴヌクレオチドの酵素修飾をさらに含んでなることができ、ここで、前記修飾は、前記オリゴヌクレオチドの端部および/または前記オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列の内部において生じ得る。オリゴヌクレオチドの酵素修飾の例は、例えば、本明細書に記載のヌクレオチド配列およびヌクレオチド配列多型を検出することが可能なアッセイにおいて認められる。
【0102】
本発明の別の実施態様では、前記方法は、適切である場合、データベース内に含有されるHBV核酸配列の組によって得られる核酸配列を整列することおよび/または比較することをさらに含んでなる。
【0103】
「データベース」とは、本明細書において、核酸またはアミノ酸配列、より具体的には、HBV核酸もしくはアミノ酸配列の収集を意味する。データベースは、少なくとも1つの核酸または少なくとも1つのアミノ酸配列を含んでなると理解すべきである。データベースは、様々なキャリア上に記憶させることができる。そのようなキャリアとして、コンピュータ読み取り可能なキャリアが挙げられる。
【0104】
本発明の別の態様は、生物学的サンプルにおけるHBVウイルスの存在を検出するためおよび/または生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するための診断キットに関し、前記キットは、少なくとも、本発明に従うHBVポリ核酸の存在を検出するための手段を含んでなる。
【0105】
本発明に対する特定の実施態様は、以下を含んでなる前記診断キットを含む:
a.場合により、HBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204およびアスパラギンをコードするコドン236からなる群からの1つもしくはそれ以上のコドンとともにHBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181を含んでなることが疑われる標的ポリ核酸の核酸配列から、
場合により、HBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204およびアスパラギンをコードするコドン236からなる群からの1つもしくはそれ以上のコドンとともにHBV逆転写酵素ドメインの前記セリンをコードするコドン181の存在、
ならびにそれから、前記生物学的サンプルにおける前記HBVの存在を推察するための手段と、場合により、
b.標的ポリ核酸の核酸配列を得るための手段。
【0106】
さらなる特定の実施態様では、前記診断キットは、前記HBVポリ核酸において、セリンをコードするコドン181と、アラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能なオリゴヌクレオチド、および前記HBVポリ核酸において、メチオニンをコードするコドン180とロイシンをコードするコドン180とを識別することが可能なさらなるオリゴヌクレオチドを含んでなる。
【0107】
さらなる特定の実施態様では、前記診断キットは、前記HBVポリ核酸において、セリンをコードするコドン181と、アラニンまたはバリンをコードするコドン181とを、およびまたメチオニンをコードするコドン180とロイシンをコードするコドン180を識別することが可能な1つのオリゴヌクレオチドを含んでなる。
【0108】
なおさらなる特定の実施態様では、前記診断キットは、前記HBVポリ核酸において、セリンをコードするコドン181と、アラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能なオリゴヌクレオチド、およびリゴヌクレオチドの次の群:スレオニンをコードするコドン236と、アスパラギンをコードするコドン236とを識別することが可能なオリゴヌクレオチド;前記HBVポリ核酸において、イソロイシンをコードするコドン204と、メチオニンまたはバリンまたはセリンをコードするコドン204とを識別することが可能なオリゴヌクレオチドから選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つのさらなるオリゴヌクレオチドを含んでなる。
【0109】
なお別の実施態様では、前記診断キットは、前記HBVポリ核酸を、前記オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと接触させることによって得られる識別シグナルを検出するための手段をさらに含んでなる。
【0110】
さらに、前記オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが固相支持体に付着もしくは固定化される前記診断キットも包含される。
【0111】
本発明に対する別の特定の実施態様は、以下を含んでなる前記診断キットを含む:
a.前記生物学的サンプルに存在する標的HBVポリ核酸を得るおよび/またはそのヌクレオチド配列を得るための手段;
b.適切な場合、本発明に従う標的HBVポリ核酸の増幅に適切な少なくとも1つのオリゴヌクレオチド対;
c.適切な場合、核酸を変性するための手段;
d.適切な場合、本発明の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド;
e.適切な場合、二本鎖または一本鎖核酸分子を修飾することが可能な酵素;
f.適切な場合、ハイブリダイゼーション緩衝液、または前記緩衝液を生成するのに必要な成分;
g.適切な場合、洗浄液、または前記洗浄液を生成するのに必要な成分;
h.適切な場合、部分的または完全に変性されたポリ核酸を検出するための手段および/または先のハイブリダイゼーションにおいて形成されたハイブリッドを検出するための手段および/または核酸の酵素修飾を検出するための手段;
i.適切な場合、オリゴヌクレオチドを固相支持体上の既知の位置に付着させるための手段;
j.部分的もしくは完全に変性されるポリ核酸および/またはハイブリッドおよび/または酵素修飾(すべて(h)において検出される)ならびに/あるいは(a)において得られるヌクレオチド配列から、前記生物学的サンプルにおける前記HBVウイルスの存在を推察するための手段。
【0112】
「核酸配列から、アミノ酸X(Xは表示されるアミノ酸)をコードするコドンY(Yは表示される数字)の存在を推察するための手段」とは、(i)前記核酸配列において前記コドンYを局在化するため、(ii)前記コドンYを、コドンYによってコードされるアミノ酸に翻訳するため、および(iii)(ii)から、前記コドンYによってコードされるアミノ酸が前記アミノ酸Xと同じであるかもしくは異なるかを結論付けるための任意の技術または方法を意味する。前記手段は、(i)〜(iii)のすべてが手動および/またはコンピュータ処理により実施される方法を含むことができる。前記手段は、データベース内に含有される核酸配列の組によって得られる核酸配列を整列することおよび/または比較することを含むことができる。前記手段は、さらに、報告の形態で示されている(i)〜(iii)の結果を含み、ここで、前記報告は、紙形態、電子形態もしくはコンピュータ読み取り可能なキャリアまたは媒体においてあり得る。前記手段はさらに、(核酸および/またはアミノ酸)配列データベースの検索ならびに/あるいは(核酸および/またはアミノ酸)配列アラインメントの作成を含んでもよく、その結果は、前記報告に含まれてもまたは含まれなくてもよい。
【0113】
さらなる実施態様は、前記方法が、核酸配列を決定することに基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の方法のいずれかを含む。
【0114】
さらなる実施態様は、前記方法が、ハイブリダイゼーションアッセイに基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の方法のいずれかを含む。
【0115】
さらなる実施態様は、前記方法が、逆ハイブリダイゼーションアッセイに基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の方法のいずれかを含む。
【0116】
さらなる実施態様は、前記診断キットが、核酸配列を決定することに基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の診断キットのいずれかを含む。
【0117】
さらなる実施態様は、前記診断キットが、ハイブリダイゼーションアッセイに基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の診断キットのいずれかを含む。
【0118】
さらなる実施態様は、前記診断キットが、逆ハイブリダイゼーションアッセイに基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の診断キットのいずれかを含む。
【0119】
さらなる実施態様は、前記診断キットが、ラインプローブアッセイ(line probe assay)に基づくことをさらに特徴とする本発明の上記の診断キットのいずれかを含む。
【0120】
本発明は、さらに、生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するための方法を提供し、前記方法は、本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素タンパク質またはフラグメントの存在を検出する工程を含んでなる。前記検出は、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素タンパク質、あるいは例えば、クロマトグラフィーおよび/または電気泳動手段を介して得られるタンパク質フラグメントのタンパク質分解消化および分離後に得られるその一部から、アミノ酸配列を決定する工程を含んでもよい。電気泳動後、配列決定の前にタンパク質フラグメントをゲルから切り出し、最後に溶出させてもよい。あるいは、タンパク質ゲル電気泳動は、タンパク質がメンブランキャリア(例えば、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン)に移されるブロッティングと組み合わされる。配列決定しようとするタンパク質またはタンパク質フラグメントは、後者の場合、メンブランキャリアから切り出すことができる。あるいは、本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/転写酵素タンパク質は、HBV逆転写酵素ドメインの181位でセリンを特異的に認識する抗体を使用して検出される。特に、前記抗体は、前記181位においてアラニンまたはバリンを認識すべきではない。なお別の代替物において、本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素は、表現型が検出され、即ち、前記HBV DNAポリメラーゼ/転写酵素は、アラニンまたはバリンをコードするコドン181を含んでなるHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素とは共有しない抗ウイルス薬感受性の独特なパターンを示し得る。従って、本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の表現型検出は、例えば、生物学的サンプルに存在するHBVウイルス由来のHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の活性の感受性を、抗ウイルス薬のパネルに対して決定する工程を含む。あるいは、生物学的サンプルに存在し、本発明に従うポリ核酸を含んでなることが疑われるHBVウイルス由来のHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素は、組換え系において産生され、組換え発現されるHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の活性の抗ウイルス薬のパネルに対する感受性が決定される。
【0121】
HBVウイルスの複製を可能にするまたはHBVコードタンパク質、もしくはその機能的部分の酸性を可能にするベクターシステムが、それぞれ、HBVウイルスの複製またはHBVコードタンパク質(もしくはその一部)の機能に対する抗ウイルス薬の効果を試験あるいはアッセイするのに適切であることは、当業者に明らかであろう。特に、そのようなアッセイは、本発明に従う変異HBVポリ核酸または本発明に従う変異HBV DNAポリメラーゼもしくは変異HBsAgタンパク質によって実施することができる。そのようなアッセイの結果は、野生型HBVポリ核酸もしくは野生型HBVタンパク質、またはそれらの機能的部分によって実施される類似のアッセイの結果と比較することができる。
【0122】
当業者であれば、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素が、プライマーゼ活性、逆転写酵素活性(RNA依存性DNAポリメラーゼ活性)、DNAポリメラーゼ活性(DNA依存性DNAポリメラーゼ活性)およびRNAse(RNAseH)活性を含む複数の認識される生物学的/生化学的機能を有し、さらに、コア抗原タンパク質(HBcAg)との相互作用およびウイルスDNAのキャプシド形成に関与することを理解するであろう。野生型または変異HBV DNAポリメラーゼは、患者の血清に存在するHBV粒子から単離することができるか、または例えば、安定に形質転換された肝細胞癌細胞系統によって産生させることができる。あるいは、前記HBV DNAポリメラーゼは、異種の系(例えば、出芽酵母(S.cerevisiae))において、またはバキュロウイルス発現系、ミトコンドリア翻訳系(例えば、米国特許第6,100,068号明細書に記載されている)を使用することによって、もしくは無細胞系、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物により連結された転写−翻訳系(リー(Li)ら、1999年)において、発現および産生される。変異HBV DNAポリメラーゼDNA配列は、インビトロ変異誘発によって産生させることができる。産生されるHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の実質的な精製は、例えば、異種エピトープ(例えば、FLAGエピトープ、cfr(上掲))が前記HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素に導入または融合される場合、達成することができる。前記エピトープは、例えば、固定化された抗異種エピトープ抗体(例えば、抗FLAG M2モノクローナル抗体)を含有するアフィニティーカラム上でのHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の精製を可能にする。あるいは、組換えHBVポリメラーゼ/逆転写酵素は融合タンパク質の一部であり、前記融合タンパク質は、例えば、ヒスチジンタグ、炭水化物結合部分(例えば、レクチン、マルトース結合タンパク質)またはβ−ガラクトシダーゼをさらに含んでなる。前記融合タンパク質の実質的精製は、例えば、金属アフィニティークロマトグラフィー(ヒスチジンタグが存在する場合)、炭水化物アフィニティークロマトグラフィー(炭水化物結合部分が存在する場合)またはイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素、例えば、β−ガラクトシダーゼに融合されたタンパク質に対する抗体を使用して、達成される。場合により、前記融合タンパク質は、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素が、例えば、上掲のような別のラウンドの精製によって、融合タンパク質の他の部分から入手可能に分離されるように、適切なプロテアーゼ(例えば、プロテアーゼ、第Xa因子)により切断可能である。あるいは、HBVウイルス粒子は、親和性捕捉(例えば、HBVウイルス表面抗原に対する抗体を使用するかまたは前記表面抗原に対するタンパク質受容体もしくは前記タンパク質受容体、cfr.(下記)に対する抗イデオタイプ抗体を使用する)あるいは勾配遠心分離のような技術によって、生物学的サンプルから単離される。これらまたは他の方法によって入手可能なHBVウイルス粒子は、さらに、例えば、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素またはHBV核酸の分析に従う。
【0123】
なお別の代替物では、マルチタンパク質複製コア複合体または細胞内複製コアが感染肝臓細胞から精製され、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素を含んでなる得られる調製物を使用して、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の機能および活性がアッセイされる(アーバン(Urban)ら、2000年)。明らかに、ウイルス粒子または複製コア複合体の前記精製は、本発明の変異(単数または複数)を含んでなるHBV変種によって感染された前記粒子またはコア複合体を得るために適用することができる。
【0124】
ウイルス逆転写酵素活性をアッセイするための改善された条件は、(バード(Bird)およびチャン−エ(Chang−Yeh)、米国特許第5,817,457号明細書)に記載されており、酸性pHおよび上昇した温度を含む。HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素から誘導されるRNAseHの活性をアッセイするための反応条件については、例えば、ヨーン(Yoon)ら、米国特許第6,071,734号明細書に記載されている。インビトロで産生されるHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素、またはそのフラグメントのプライマーゼ、ポリメラーゼ、および逆転写酵素活性を決定するためのアッセイ条件については、リー(Li)ら(リー(Li)ら、1999年)によって記載されている。タンパク質−タンパク質相互作用、例えば、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素(reverse transciptase)とHBcAgとの間の相互作用を決定するためのアッセイは、2−および3−ハイブリッドアッセイならびにリアルタイム生体分子相互作用分析(BIA)を含む。(バーテル(Bartel)ら、1997年および米国特許第5,928,868号明細書)。
【0125】
本発明の別のさらなる態様は、本発明に従う変異HBsAgの機能に対する抗ウイルス薬の効果を決定するアッセイを含んでなる。当業者であれば、HBV HBsAgが、宿主細胞へのウイルス付着/進入(即ち、HBVの感染性における役割)、ウイルス粒子集成およびウイルス粒子の分泌における役割を含む複数の認識された生物学的/生化学的機能を有することを理解するであろう。HBsAgは、さらに、宿主の免疫系の標的であり、「エスケープ」変異が報告されている。HBsAgに対する抗体、HBIgは、しばしば、肝臓移植を経験している患者における受動免疫化手段として使用される。野生型または変異HBsAgは、HBV DNAポリメラーゼについて上掲のようにして得ることができる。あるいは、HBsAgは、HBsAgに対する抗体またはHBsAg受容体タンパク質または前記HBsAg受容体タンパク質、単量体および多量体ヒトアルブミン(それぞれ、エイブル(Eibl)ら、米国特許第5,576,175号明細書およびマチダ(Machida)ら、1984年)ならびにエンドネキシンII/アネキシンV(ヤップ(Yap)、EP0672136号明細書)を含む前記報告された受容体タンパク質に対する抗イデオタイプ抗体との親和性相互作用によって回収される。HBVおよびHDV(δ型肝炎ウイルス)ウイルス粒子は、親和性捕捉のような技術によって、例えば、HBVウイルス表面抗原に対する抗体を使用するかまたはHBVウイルス表面抗原もしくはそれに対する抗イデオタイプ抗体に対する受容体を使用して、生物学的サンプルから単離することができる。
【0126】
本発明の別の態様では、本発明の変異HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素を含むHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の活性、またはそれに対する抗ウイルス化合物の感受性は、内因性DNAポリメラーゼにおける条件変異を含有する宿主細胞においてアッセイされる。従って、HBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の発現は、おそらく、制限的条件下で前記変異宿主細胞の増殖を援助することができる。抗ウイルス化合物に対するHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の感受性は、制限的条件下および抗ウイルス化合物の存在下で前記変異宿主細胞の増殖の程度を測定することによって、アッセイすることができる。続いて、前記増殖は、制限的条件下および前記抗ウイルス化合物の非存在下で前記宿主細胞の増殖と比較される。
【0127】
本発明のさらなる別の態様では、ヒトHBV感染のモデルまたは抗HBV化合物、治療および予防(prohylaxes)を評価するためのモデルとして有用である非ヒト動物へ感染させるための本発明に従う変異DNAを含んでなるHBV粒子を含む変異HBV粒子の使用が含まれる。前記モデルの非ヒト動物は、例えば、ライスナー(Reisner)、米国特許第5,849,987号明細書および同第5,858,328号明細書によって記載されている。HBVに対する多くの抗ウイルス薬(HBV抗ウイルス薬)は、上記に記載されている。
【0128】
従って、本発明のさらなる態様は、本発明に従うポリ核酸を含んでなるかまたは本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素を含んでなるHBVウイルスに対して活性な薬物をスクリーニングするための方法を含み、該方法は以下を含んでなる:
a.前記薬物の非存在下で前記HBVの複製を測定すること;
b.前記薬物の存在下で前記HBVの複製を測定すること;
c.(a)および(b)から、前記HBVの複製に対する前記薬物の阻害効果を推察すること。
【0129】
本発明に対する特定の実施態様では、前記方法は、野生型HBVウイルスにより工程(a)、(b)および(c)を実施すること、ならびに前記野生型HBVウイルスの複製に対する前記薬物の阻害効果と、本発明に従うポリ核酸を含んでなる前記HBVウイルスの複製に対する前記薬物の阻害効果とを比較することをさらに含んでなる。本発明に対するなお別のさらなる実施態様では、生物学的サンプルから前記HBVウイルスを得ることをさらに含んでなる前記方法が含まれる。
【0130】
本発明のなお別のさらなる態様は、本発明に従うポリ核酸を含んでなるかまたは本発明に従うHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素を含んでなるHBVウイルスに対して活性な薬物をスクリーニングするための方法を含み、該方法は以下を含んでなる:
a.前記薬物の非存在下で前記HBVウイルスのDNAポリメラーゼ/逆転写酵素活性を測定すること;
b.前記薬物の非存在下で前記HBVウイルスの(a)と同じDNAポリメラーゼ/逆転写酵素活性を測定すること;
c.(a)および(ib)から、前記HBVウイルスの前記DNAポリメラーゼ/逆転写酵素活性に対する阻害効果を推察すること。
【0131】
本発明に対する特定の実施態様では、前記方法は、野生型HBVウイルスにより工程(a)、(b)および(c)を実施すること、ならびに前記野生型HBVウイルスのDNAポリメラーゼ/逆転写酵素活性に対する前記薬物の阻害効果と、本発明に従うポリ核酸を含んでなる前記HBVウイルスのDNAポリメラーゼ/逆転写酵素活性に対する前記薬物の阻害効果とを比較することをさらに含んでなる。本発明に対するなお別のさらなる特定の実施態様では、生物学的サンプルから前記HBVウイルスを得ることをさらに含んでなる前記方法が含まれる。「DNAポリメラーゼ/逆転写酵素活性」とは、上掲のようなHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の生物学的または生化学的活性のうちのいずれか一方を意味する。
【0132】
本発明は、前記単離されたHBV変種ならびに/あるいは前記単離されたHBV小型(small)ウイルス表面抗原、もしくはその前記部分、ならびに/あるいは前記HBV中型(middle)および/または大型(large)ウイルス抗原に対する抗体ならびに抗イデオタイプ抗体をさらに包含する。本発明に対する特定の実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体である。さらなる特定の実施態様では、前記抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
【0133】
生物学的サンプルにおいて、前記HBV変種ならびに/あるいは前記HBV小型(small)ウイルス表面抗原、もしくはその前記部分、ならびに/またはあるいは前記HBV中型(middle)および/または大型(large)ウイルス抗原を検出するための免疫学的方法における前記抗体の使用がさらに包含される。本発明に対する特定の実施態様では、前記抗体は、HBV感染を診断するための方法において使用される。さらなる実施態様では、前記抗体は、HBV感染を検出することが可能な診断キットの一部である。
【0134】
本発明の別の実施態様では、HBV感染の進行を追跡するための本発明の方法または本発明の診断キットの使用が含まれる。
【0135】
さらなる実施態様は、抗ウイルス薬に対する耐性の発生をモニターするための本発明の方法または本発明の診断キットの使用を含む。
【0136】
さらなる別の実施態様は、抗ウイルス薬に対する耐性の発生によるHBV感染症に対する治療レジメンを適応するための本発明の方法または本発明の診断キットの使用を含む。
【0137】
「抗体」として、モノクローナル、ポリクローナル、合成または重鎖キャメル(camel)抗体ならびにFab、FvもしくはscFvフラグメントのような抗体のフラグメントが挙げられる。モノクローナル抗体は、免疫動物から誘導される脾臓細胞へのマウス骨髄腫細胞の融合を含んでなる例えば、リデル(Liddle)ら(リデル(Liddle)ら、1991年)に記載のような技術によって調製することができる。さらに、分子もしくはそのフラグメントに対する抗体またはそのフラグメントは、例えば、ハーロー(Harlow)ら(ハーロー(Harlow)ら、1988年)に記載のような方法を使用して得ることができる。本発明のタンパク質のフラグメントのような小さなペプチドに対して指向される抗体の場合、前記ペプチドは、一般的に、動物の免疫前のキャリアタンパク質に結合される。そのようなタンパク質キャリアとして、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミンおよび破傷風トキソイドが挙げられる。キャリアタンパク質は、動物の免疫応答を増強し、T細胞受容体結合部位のためのエピトープを提供する。用語「抗体」は、さらに、標識抗体のようなその誘導体を含む。抗体は、一般的に、放射性標識、化学発光標識、蛍光標識、リン光標識、赤外染料または表面増強ラマン標識もしくはプラスモン共鳴粒子によって標識することができる。抗体標識として、アルカリホスファターゼ、PKH2、PKH26、PKH67、フルオレセイン(FITC)、ヘキスト(Hoecst)33258、R−フィコエリスリン(PE)、ローダミン(TRITC)、クォンタムレッド(Quantum Red)、テキサスレッド(Texas Red)、Cy3、ビオチン、アガロース、ペルオキシダーゼおよび金粒子(gold sphere)が挙げられる。タンパク質に対する抗体に依存する分子生物学におけるツールとして、タンパク質ゲルブロット解析、遺伝子同定を可能にする発現ライブラリーのスクリーニング、ELISA(酵素免疫測定法)を含むタンパク質定量方法、RIA(ラジオイムノアッセイ)およびLIA(ラインイムノアッセイ(line immuno−assay))、タンパク質のイムノアフィニティー精製、タンパク質の免疫沈降およびタンパク質の免疫局在性が挙げられる。
【0138】
本発明に従って、ラミブジンおよびアデフォビルの両方に対して交差耐性を示す新規の変異パターン、A181S+M204Iが最初に見出された。この変異パターンは、アデフォビル処置の前および後の両方において得られる血清サンプルから抽出されるHBV DNAのダイレクトシーケンシングによって見出され、この交差耐性変異パターンがアデフォビルに対して元来非応答性であることが示された(図2)。
【0139】
ラミブジンおよびアデフォビルは強力な抗ウイルス効果を有するが、薬剤耐性を引き起こす変異体の発達は、慢性HBV感染の処置において重要な問題を提示する。さらに、交差耐性プロファイルを伴うHBV変異体パターンの存在は、併用療法の欠陥の可能性のため、大きな問題を提起している。アデフォビルは、一般的に、薬物耐性HBVのため、ラミブジン療法に失敗した患者の処置において良好な処置選択として認識されている。
【0140】
しかし、本発明に従えば、治療中にラミブジンと組み合わされたアデフォビル・ジピボキシルの使用は、HBV複製も血清ALTレベルの減少も抑制しなかった(特に、図1を参照のこと)ことから、A181SおよびA181S+M204I変異体が、アデフォビルおよびラミブジンの両方に対してインビボでの交差耐性を実証することが示唆される。A181S変異は、抗ウイルス処置施行の28箇月目、即ち、ウイルス学的および生化学的進展の前から開始したすべての利用可能な血清サンプルにおいて検出された。一方、M204I変異は、28箇月目の最初に利用可能な血清サンプルでは検出されなかったが、3箇月後の31箇月目、即ち、進展時に出現した。
【0141】
インビトロ所見では、このHBV変異体は、10μMのアデフォビル・ジピボキシルのような高濃度で処置された場合であっても、アデフォビルに対して耐性であることが確認された(特に、表2を参照のこと)。同様に、この変種は、試験したラミブジンすべての濃度において、インビトロでラミブジンに対し耐性であることが見出されたが、これは、YMDDモチーフにおいて変異の先に報告された耐性プロファイルと一致する(ボズダイ(Bozdayi)ら、2003年;セタ(Seta)ら、2000年)。まとめて考えると、上記のデータは、A181S+M204I変種が、インビボならびにインビトロの両方においてアデフォビルおよびラミブジンに交差耐性を呈することを示す。
【0142】
残念ながら、併用療法の使用は、新規の薬物耐性変異の発生を防止することができないが、遅延させるように思われる。いずれにせよ、今日の臨床実践においてHBV感染を攻撃するために最も重要なことはなお、異なる耐性プロファイルを伴う抗ウイルス薬を組み合わせることである。
【0143】
以下の実施例は、本発明をさらに例示することのみに役立つ。これらの実施例が本発明の範囲を決して限定するものではない。
【実施例】
【0144】
実施例1:3TC処置中にHBV株において発達した新規変異パターンは、アデフォビル・ジピボキシル処置に対して交差耐性を示す。
症例研究
本発明をもたらす研究において、本発明者らは、HBVにより慢性感染した患者を同定した。患者は、定期診断で診断された1990年より既知のHBV感染を伴う患者AAで示される43歳の白人(Caucasian)男性である。1999年における肝生検は、クノーデル(Knodell)らに従って6の組織学的活性指標を伴う慢性活動性肝炎(CAH)を表した。患者は、HbeAgポジティブ、抗HbeネガティブならびにHBV DNAについてポジティブであった。HBV DNAレベルは、市販の液相ハイブリダイゼーションアッセイ(ダイジーン(Digene)、メリーランド州、米国)(このアッセイの検出の下限は5pg/mLのウイルスDNAであった)を使用して測定した。
【0145】
図1において示されるように、(1999年において)9箇月間、IFN療法、9MU/TIW(百万単位/1週間に3回)を施した。患者は、ALTの減少またはウイルス学的応答を示さなかった(HBV DNAレベルは、IFN処置の終了時で396pg/mlであった)。ウイルス量はこの期間内に減少することができなかったため、患者は、処置の9箇月後にIFN療法を中止し、ラミブジン(LAM)処置(100mg/日)を開始した。LAM処置中、ALTレベルの正常化およびHBVの複製阻害が認められた。LAM処置の19箇月後、ALTフレアおよびハイブリダイゼーションアッセイによるHBV DNAの検出によって特徴付けられる臨床的進展が生じる。臨床的進展の発達後もラミブジン(lamuvidine)を継続した。セロコンバージョンの徴候(抗hbeの出現およびHbeAgの消失)が認められる場合、IFN(9MU/TIW)を6箇月間、再度追加した。しかし、併用療法は肝臓酵素の正常化をもたらさず、期間中、HBV DNAレベルは高値を保持した。その追加の6個月後および持続したセロコンバージョンが生じた後に、IFNを停止した。初期抗ウイルス療法の44箇月目およびIFNの停止の3箇月後に、ヘプセラ(Hepsera)TM(アデフォビル・ジピボキシル(dipovoxil))10mg/日を、ラミブジン単剤療法に追加した。ヘプセラ(Hepsera)TMは、より長期の14箇月間使用した;HBV複製の阻害もALTの正常化のいずれも生じなかった。
【0146】
抗ウイルス療法の効果
LAM処置は最初は成功であった。ALTのレベルの正常化およびHBVの複製阻害が認められた。LAM処置の19箇月目に、臨床的進展が生じた。ヘプセラ(Hepsera)TMのラミブジン単剤療法への添加は、HBV複製の阻害およびALT正常化をもたらさなかった。血球数および肝臓機能試験(アラニンおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)を、日常的な手順(オリンパス(Olympus) AU2700自動分析器、日本)に従って行った。
【0147】
HBV DNAの単離および配列決定
抗ウイルス処置の開始から異なる間隔(28、31、42、51、57、61箇月目)で、患者から血清を採取した。HBV−DNAは、製造者の指示に従って、キアアンプ(Qiamp) DNAミニキット(キアゲン(Qiagen)、ヒルデン(Hilden)、独国)の使用によって、患者の血清から各時間に単離した。HBV DNAポリメラーゼ遺伝子をPCRにより増幅した。簡単に説明すると、5マイクロリットルのDNAサンプルを、10mM Tris HCl、pH:8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl、2mM dNTP、25pmol/μLのセンスおよびアンチセンスプライマーならびに2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(ロシェダイアグノティックス(RocheDiagnostic)、ペンツブルグ(Penzburg)、独国)を含有するPCR混合物で50μLまでにした。HBVポリメラーゼ遺伝子を増幅するため、サーマルサイクラー(ジーンアンプ(GeneAmp) PCRシステム9700、PEアプライドバイオシステムズ(PE,Applied Biosystems)、フォスターシティー(Foster City)、カリフォルニア州;米国)を、94℃で1分間の変性、45℃で1分間のアニーリングの35サイクルについてプログラム化し、2分間のポリマー化を実施した。2回目のラウンドのPCRの条件は、1回目のラウンドのPCR由来の5μLのサンプルを使用する1回目のラウンドの条件と同じであった。さらに、2組のネステッドプライマー対を使用して、HBVポリメラーゼ遺伝子を増大させた。アウタープライマーは、5’CAC CTG CAG CCT CAT TTT GTG GGT CAC CAT A3’(配列番号21)および5’CAT AAG CTT CAC AAT TCG TTG ACA TAC TTT CCA AT3’(配列番号22)であり、インナープライマーは、5’GTG CTG CAG TTT GTG GGT CAC CAT ATT CTT G3’(配列番号23)および5’GAC AAG CTT TTG ACA TAC TTT CCA ATC AAT AG3’(配列番号24)であった(オガタ(Ogata)ら、1999年;各配列において、ヌクレオチド4〜9は、PstIおよびヒンディー(Hind)IIIの酵素認識部位を示す)。増幅した産物を、エチジウムブロマイドで染色した2%アガロースゲル上で走行させた。配列決定は、増幅したPCR産物に対して直接行った。PCR産物を、製造者の指示に従って、市販のPCRクリーニングキット(PCR cleaning kit)(ヌクレオスピンエクストラクトキット(Nucleospin Extract kit)、マッハライ−ナーゲル(Macherey−Nagel)、デューレン(Dueren)、独国)によって精製した。PCRに使用されるプライマーおよびビッグダイターミネータサイクルシーケンシングキット(big dye terminator cycle sequencing kit)(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)、フォスターシティー(Foster City)、カリフォルニア州、米国)を使用して、PCR産物のダイレクトシーケンシングを実施した。各配列決定反応について、センスインナープライマーだけでなく、アンチセンスインナープライマーも、配列を確認するために使用した。反応産物を、ABI310(PEアプライドバイオシステムズ(PE,Applied Biosystems)、フォスターシティー(Foster City)、カリフォルニア州、米国)自動化シークエンサーに供した。結果を図2に示す。
【0148】
42箇月目(2002年6月)に採取した血清から得られたPCR産物もまた、続いて、日常的なクローニング手順に従って、TAベクター(トポTAクローニングキット(Topo TA cloning kit)、インビトロジェン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、カリフォルニア州、米国)にクローニングした。9つのクローンのうち、7つを配列決定した。結果を図3に示す。クローン4において見出された変異パターンD205Gは、再度確認(connfirmed)しなければならない。
【0149】
ヌクレオチド変化
図2の配列結果は、異なる間隔で患者から採取したすべてのサンプルにおいて、アミノ酸置換rtA181SおよびrtM204Iを生じるヌクレオチド変異が存在したことを示す。従って、rtM204I変異は、rtA181S変異と一緒に、ラミブジン耐性の発達以来得られるすべてのサンプルにおいて検出された。rtA181について、これまで、2つの変異パターンが示された。しかし、rtA181Sは新規のパターンである。
【0150】
42箇月目に得られた血清から増幅されたクローニングされたPCR産物から得られた配列情報を、図3に示す。配列結果は、7つのクローンのうち2つが、アミノ酸置換rtL180MおよびrtM204Sを生じるヌクレオチド変異を含んでなったことを示した。これらの変異は、LAM耐性に関連していた。7つのクローンのうちの他の5つは、アミノ酸置換rtA181SおよびrtM204Iを生じるヌクレオチド変異を含んでなった。1つのクローンは、アミノ酸置換rtA181S、rtM204IおよびrtD205Gを生じるヌクレオチド変異を含んでなることが見出された。
【0151】
RtA181Sは、配列決定された結果の間で一般に見出される変異パターンである。本結果(14箇月目の終了時にHBV複製の阻害およびALTレベルの変動が認められない)により、本発明者らは、ラミブジン処置下で生じる変異パターンrtA181Sがアデフォビル・ジピボキシルに対する交差耐性を示すと結論付けることが可能である。より詳細には、rtM204Iと組み合わされた変異パターンrtA181Sは、アデフォビル・ジピボキシルに対する交差耐性を示す。
【0152】
ラミブジン処置下で選択される新規の変異パターンを伴う薬物耐性株もまた、アデフォビル処置に対して交差耐性であることが結論付けられる。
【0153】
実施例2:新たに変異されたHBV株の薬物耐性のインビトロでの確認
血清サンプル由来のHBV DNAの単離および全長HBVゲノムの増幅
製造者の指示に従ってハイピュアウイルス核酸キット(High Pure Viral Nucleic Acid kit)(ロシェ(Roche)、インディアナポリス(Indianapolis)、米国)を使用して、200μlの血清サンプルからDNAを抽出した。全長HBV DNAゲノムを、グンター(Gunther)ら、1995年によって先に報告されているように、50mM KCl、1.5mM MgCl、0.35mM Tris−HCl(pH8.3)、200μM dNTP、5UのTaq DNAポリメラーゼおよび0.3μMの次の各プライマー:[P1、5’−CCGGA AAGCTT GAGCTC TTCTTTTT CACCTC TGCCT AATCA−3’(ヌクレオチド1821−1841;配列番号25);P2、5’−CCGGA AAGCTT GAGCTC TTCAAAAA GTTGC ATGGTG CTGG−3’(ヌクレオチド1823−1806;配列番号26)]を含有するPCRシステムを使用して増幅し、50μlのPCR反応の全容積において、2μlの抽出されたDNAを、「エッペンドルフマスターサイクラーパーソナル(Eppendorf Mastercycler Personal)」における94℃で40秒間の変性、60℃で1.5分間のアニーリングおよび68℃で3分間の伸長(各10サイクル後に2分間の追加を伴う)の40サイクルに対して進行させた。
【0154】
全長HBVゲノムのダイレクトシーケンシング
ダイレクトDNAシーケンシングを、血清サンプルから直接抽出された増幅された産物およびTAクローニングの構築物の両方について、「ABIプリズム310ジェネティックアナライザ(ABI PRISM 310 Genetic Analyzer)」(パーキンエルマー(Perkin Elmer)、フォスターシティー(Foster City)、米国)における製造者の指示に従い、「ビッグダイターミネータv3.1 サイクルシーケンシングキット(Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit)」(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)フォスターシティー(Fostercity)、米国)を使用して、実施した。PCR産物を、配列決定前に「キアクイックPCR精製キット(Qiaquick PCR purification kit)」(キアゲン(Quiagen)、ヒルデン(Hilden)、独国)を使用して精製した。ダイレクトシーケンシングにおいて使用されるプライマーを、表1に列挙する。
【0155】
【表1】

【0156】
全長HBVゲノムのTAクローニングおよびPCRおよび配列決定によるHBVゲノムの特徴付け
増幅された全長HBVゲノムを、製造者の指示に従って、「トポ−XL PCRクローニング(Topo−XL PCR Cloning)」(インビトロジェン(Invitrogen)、カリフォルニア州、米国)を使用して、TAベクターにクローニングした。次いで、構築物を配列決定した。A181S+M204I変異パターンを有するクローン内の全長HBVゲノムを、先に記載のようにさらに増幅した。また、同じ手順を、野生型HBVゲノムを有するクローンにも適用した。
【0157】
直接トランスフェクションのためのHBV DNAの調製
アンプリコンは、キットより提供される取扱説明書に従って、「キアクイックゲル抽出キット(QIAquick Gel Extraction kit)」(キアゲン(QUIAGEN)、バーゼル(Basel)、瑞国)を使用してゲル精製し、プールした。1μgのDNAあたり5UのsapI制限エンドヌクレアーゼによる以後の消化により、ベクターおよび異種のプライマー配列を欠くsapI粘着部位を伴う線状HBVゲノムが放出された。
【0158】
抗ウイルス感受性試験のためのHBV DNAのトランスフェクションおよびインビトロ複製
全長ゲノムHBV DNAのインビトロ複製能を、Huh7細胞系統への一過性トランスフェクションによって測定した。24ウェルプレートは、Fugeneトランスフェクション試薬(ロシェダイアグノティックス(Roche Diagnostics))を使用してトランスフェクション効率を決定するために使用されるμgGFP含有プラスミドであった。トランスフェクションの8時間後、細胞に、複製効率を試験するための新鮮培地単独かまたは抗ウイルス感受性を試験するための0.1μM、1μM、10μMラミブジンもしくはアデフォビル単独を含有する培地を供給した。新鮮培地のみを供給された細胞の上清を、5日間、連日回収し、抗ウイルス剤含有培地を供給された細胞の上清を、5日目終了時に回収した。ウイルスDNA抽出を、製造者の指示に従い、「キアアンプDNAミニキット(QIAamp DNA Mini Kit)」(キアゲン(QUIAGEN)、バーゼル(Basel)、瑞国)を使用して実施した。HBV DNAを、ボズカヤ(Bozkaya)ら、2005年において使用されたプロトコルに従って、「ファストスタートDNAハイブリダイゼーションキット(Fast Start DNA hybridization kit)」(ロシェダイアグノティックスGmbH(Roche Diagnostics,GmbH)、インディアナポリス(Indianapolis)、ABD)を使用するリアルタイムPCR方法によって測定した。
【0159】
一過的にトランスフェクトされたHUH7細胞系統におけるHBV複製
全長HBVゲノムの複製能をインビトロで分析した。各日の上清から抽出されたHBV複製物によって実施されたリアルタイムPCR分析は、細胞培養物において測定された全HBV産生が5日目の終了時にほぼ5の対数コピー数に到達したことを実証した(図4)。この結果から、トランスフェクトされたHBV DNAがインビトロで複製可能であることが確認される。
【0160】
野生型および変異(A181S+M204I)ウイルスに対するラミブジンおよびアデフォビルの効果の分析
3つの独立した実験(表2を参照のこと)を実施することによって、ラミブジン(0.1μM、1μM、10μM)またはアデフォビル(0.1μM、1μMおよび10μM)の上昇濃度を使用し、野生型HBVに対して、A181S+M204I変異パターンの薬物感受性を試験した。
【0161】
【表2】

【0162】
A181S+M204I変異パターンを担持するHBVゲノムは、高い抗ウイルス剤の濃度であってもラミブジンおよびアデフォビルの両方に対し耐性であることが見出された。10μMのラミブジンおよびアデフォビルで処置したサンプルにおける野生型HBVのHBV DNAは検出することができなかったが、4.68±0.82および4.12±0.98のlogコピー数が、それぞれ、変異HBVについて測定された(表2)。
【0163】
実施例3:別の患者におけるHBV株の変異パターンの確認
33歳の男性が、HBsAg(+)および抗HBe(+)を伴う患者である。彼は、1998年に、HBsAgに対してポジティブであることが見出された。彼は、12箇月間、2003年において、週3回、IFN 9MIUで処置された(IFN処置の開始前は、ダイジーン(Digene)、米国の液相ハイブリダイゼーションアッセイによりALT:242IU/L、AST:155IU/LおよびHBV DNA:3260pg/mL)。不完全奏効のため、2004年にラミブジンを開始した(ゼフィックス(Zeffix)、100mg/日)。ラミブジン処置後、ALT正常化が得られ、HBV DNAレベルは5pg/mL未満であった。しかし、lam処置の20箇月目に、ALTフレアおよびHBV複製の再発によって特徴付けられる臨床的進展(ALT:199IU/mL、AST:145IU/mLおよびHBV DNA:6540pg/mL)が生じた。lam処置および臨床的進展の開始後に得られた2つの血清サンプルを抽出し、抽出された材料の両方において、グンター(Gunther)ら、1995年による方法に従ってHBV DNAの完全なゲノムを増幅した。次いで、PCR産物を、TAベクターにクローニングし、それぞれから得られる8つのクローンを、310ABI(米国)におけるサイクルシーケンス方法によって配列決定した。ラミブジン処置のすぐ後に属する4つのクローンの配列は、野生型配列を示していた。しかし、臨床的進展の後から得られるすべての8つのクローンの配列は、A181S+M204Iパターン(181番目のコドンにおけるGCTからTCT、ならびに204番目のコドンにおけるATTからATC)を示した。
【0164】
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【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】患者病歴の模式図を表す。X軸は時系列を表す。X軸の下側は、HBV感染患者AAの連続処置を月数で示す(MU/TIWは、1週間に3回の数百万単位のインターフェロンを表す)。左側のY軸では、(ダイジーン(Digene)、米国の液体ハイブリダイゼーションアッセイを使用して決定されるpgHBV DNA/mL血清での)ウイルスDNA量を示す。患者AAの血清サンプルにおけるHBV DNAレベルを黒実線で示す。右側のY軸では、ALT−レベル(100IU/mL(100国際単位/mL)でのアラニンアミノトランスフェラーゼ)を示す。図の頂部の垂直矢印は、ウイルス進展の発生に一致するALTフレアを示す。
【図2a−2b】抗ウイルス処置の開始から異なる時間間隔でのHBV DNAポリメラーゼ配列のアラインメントを表す。ジェンバンク(Genebank)受託番号X02496由来の配列番号1によって示されるHBV D DNAポリメラーゼ/逆転写酵素ヌクレオチド配列のフラグメントおよび配列番号9によって示される対応するアミノ酸配列と、抗ウイルス処置の開始から異なる時間間隔で患者AAから得られる6つのHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素ヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列とを整列した。これらの6つのヌクレオチド配列を配列番号2および3に示し、対応するアミノ酸配列をそれぞれ配列番号10および11に示す。血清採取日をXX/YYで示し、ここで、XXは採取の月を示し、YYは年を示す。抗ウイルス処置の開始からの期間を、月数でMZZによって示す。
【図3a−3c】HBV DNAポリメラーゼ配列のアラインメントを表す。図2に記載のHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素ならびに42箇月目の患者AAから得られる7つのHBV DNAポリメラーゼ/逆転写酵素ヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列のフラグメントを整列する。血清採取日は06/02である。これらの7つのヌクレオチド配列を配列番号4〜8に示し、対応するアミノ酸配列を配列番号12〜14に示す。
【図4】一過的にトランスフェクトされたHuh7細胞系統の細胞培養上清におけるHBV産生を表す。Y軸におけるHBV産生のLogコピー数を、X軸上のA181S+M204I変異パターンを有するクローン内の全長HBVゲノムによるトランスフェクション後のアッセイ培地における日数に従ってグラフで示す。0日目は、Huh7細胞系統のトランスフェクションの前日を指す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラニンからセリンへのアミノ酸置換、rtA181Sを生じるコドン位置181におけるDNAポリメラーゼ遺伝子の少なくとも1つのヌクレオチド変異を含んでなる、単離されたHBV変種。
【請求項2】
ヌクレオシドアナログに対して低減した感受性を示す、請求項1に記載の単離されたHBV変種。
【請求項3】
ヌクレオシドアナログアデフォビルおよび/またはラミブジンに対して低減した感受性を示す、請求項2に記載の単離されたHBV変種。
【請求項4】
DNAポリメラーゼ遺伝子における少なくとも1つのさらなるヌクレオチド変異を含んでなり、ここで、前記さらなるヌクレオチド変異は、ポリメラーゼ遺伝子のコドン位置204にあり、メチオニンからメチオニン以外の任意のアミノ酸へのアミノ酸置換を生じる、請求項1、2および3のいずれか一項に記載の単離されたHBV変種。
【請求項5】
前記さらなるヌクレオチド変異が、メチオニンからイソロイシンへのアミノ酸置換を生じる、請求項4に記載の単離されたHBV変種。
【請求項6】
HBV変種におけるDNAポリメラーゼ遺伝子のアミノ酸置換rtA181Sを生じるヌクレオチド変異を含んでなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のHBV変種から得られる単離されたHBVポリ核酸、または前記ヌクレオチド変異を含んでなる前記HBVポリ核酸のフラグメント。
【請求項7】
HBV変種におけるDNAポリメラーゼ遺伝子のコドン位置204を生じ、かつメチオニンからメチオニン以外任意のアミノ酸へのアミノ酸置換を生じるさらなるヌクレオチド変異を含んでなる請求項6に記載の単離されたHBVポリ核酸、または該ヌクレオチド変異を含んでなる前記HBVポリ核酸のフラグメント。
【請求項8】
HBV変種におけるDNAポリメラーゼ遺伝子のドメインBにおいてrtA181S置換を生じるヌクレオチド変異およびHBV変種におけるDNAポリメラーゼ遺伝子のドメインCにおいてrtM204I置換を生じるヌクレオチド変異を含んでなる請求項7に記載の単離されたHBVポリ核酸、または該ヌクレオチド変異を含んでなる前記HBVポリ核酸のフラグメント。
【請求項9】
配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6および配列番号7からなる群から選択されるポリ核酸を含んでなる請求項6〜8のいずれか一項に記載の単離されたHBVポリ核酸。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載の単離されたHBVポリ核酸またはそのフラグメント由来のHBV発現産物。
【請求項11】
配列番号10、配列番号11、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリアミノ酸を含んでなる請求項10に記載のHBV発現産物。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の単離されたHBV変種を含んでなる組成物。
【請求項13】
請求項6〜9のいずれか一項に記載の単離されたHBVポリ核酸またはそのフラグメントを含んでなる組成物。
【請求項14】
請求項10または11に記載のHBV発現産物を含んでなる組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの非交差耐性な抗HBV薬の選択のためのプロセスにおける、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単離されたHBV変種、あるいは請求項6〜9のいずれか一項に記載の単離されたHBVポリ核酸あるいは請求項10または11に記載のHBV発現産物あるいは請求項12または13に記載の組成物の使用。
【請求項16】
HBV変種の検出のためのプロセスにおける、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単離されたHBV変種、あるいは請求項6〜9のいずれか一項に記載の単離されたHBVポリ核酸あるいは請求項10または11に記載のHBV発現産物あるいは請求項12または13に記載の組成物の使用。
【請求項17】
前記被験体にヌクレオシドアナログを投与すること、被験体が請求項1〜5のいずれか一項に記載の単離されたHBV変種に感染しているかどうかを決定すること、および感染していれば、少なくとも1つの非交差耐性な抗HBV薬を前記被験体に投与すること、を含んでなる、HBV感染症に感染した被験体の処置のための方法。
【請求項18】
生物学的サンプルにおいて請求項1〜5のいずれか一項に記載のHBV変種の存在を検出するための方法であって、請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリ核酸またはそのフラグメントの存在を検出する工程を含んでなる方法。
【請求項19】
a.前記生物学的サンプルから標的HBVポリ核酸を得ること、ここで、前記標的HBVポリ核酸は、HBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181、ならびに場合により、HBVウイルスのHBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204またはバリンをコードするコドン204またはセリンをコードするコドン204、およびスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンを含んでなることが疑われるものであり;
b.(a)の標的HBVポリ核酸の核酸配列を得ること;
c.(b)において得られる核酸配列から、HBV逆転写酵素ドメインの前記セリンをコードするコドン181、および場合により、(a)に記載の群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンの存在、ならびにそれらから、前記生物学的サンプルにおける前記HBVウイルスの存在および/または前記生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する前記耐性を推察すること
を含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
a.前記生物学的サンプルに存在する標的HBVポリ核酸を得る工程および/またはそのヌクレオチド配列を得ること;
b.適切な場合、(a)において得られるポリ核酸を部分的もしくは完全に変性するか、または酵素的に修飾すること;
c.適切な場合、好ましくは、HBVポリ核酸またはそのフラグメントにおいて、HBV逆転写酵素ドメイン中のセリンをコードするコドン181とHBV逆転写酵素ドメイン中のアラニンもしくはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの存在下で、工程(b)において得られる変性されたポリ核酸を再生させる工程、ならびに必要であれば、前記オリゴヌクレオチドを酵素的に修飾する(伸長することを含む)工程を含むこと;
d.適切な場合、工程(b)において得られる部分的もしくは完全に変性されたHBVポリ核酸、ならびに/あるいは工程(c)において形成されるハイブリッド、ならびに/あるいは工程(b)および/または(c)において得られる酵素修飾を検出すること;
e.以下の群:部分的もしくは完全に変性されたポリ核酸、ハイブリッド、酵素修飾(すべて工程(d)において検出される)のうちの1つもしくはそれ以上のデータ、ならびに(a)において得られるヌクレオチド配列から、前記生物学的サンプルにおける前記HBVの存在および/または前記生物学的サンプルに存在するHBVの抗ウイルス薬に対する前記耐性を推察すること
を含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
a.前記生物学的サンプルから標的HBVポリ核酸を得ること、ここで、前記標的HBVポリ核酸は、HBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181を、場合により、HBVのHBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204またはバリンをコードするコドン204またはセリンをコードするコドン204、およびスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンとともに含んでなることが疑われるものであり;
b.(a)の標的HBVポリ核酸を、セリンをコードするコドン181とアラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能であり、場合により、ロイシンをコードするコドン180とメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204とメチオニン、バリンまたはセリンをコードするコドン204、およびアスパラギンをコードするコドン236とスレオニンをコードするコドン236からなる群から選択される1つもしくはそれ以上のコドンを識別することが可能なオリゴヌクレオチドと接触させること;
c.(b)において得られる識別シグナルから、場合により、HBV逆転写酵素ドメインの前記メチオニンをコードするコドン180または前記イソロイシンをコードするコドン204または前記アスパラギンをコードするコドン236とともにHBV逆転写酵素の前記セリンをコードするコドン181の存在、ならびにそれから、前記生物学的サンプルにおける前記HBVの存在および/または前記生物学的サンプルに存在するHBVウイルスの抗ウイルス薬に対する前記耐性を推察すること
を含んでなる、請求項18に記載のHBV変種の存在を検出するための方法。
【請求項22】
生物学的サンプルにおけるHBV変種の存在を検出するためおよび/または生物学的サンプルに存在するHBVの抗ウイルス薬に対する耐性を検出するための診断キットであって、請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリ核酸の存在を検出するための手段を含んでなるキット。
【請求項23】
a.場合により、HBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204およびアスパラギンをコードするコドン236からなる群からの1つもしくはそれ以上のコドンをとともにHBV逆転写酵素ドメインのセリンをコードするコドン181を含んでなることが疑われる標的ポリ核酸の核酸配列から、
場合により、HBV逆転写酵素ドメインのメチオニンをコードするコドン180、イソロイシンをコードするコドン204およびアスパラギンをコードするコドン236からなる群からの1つもしくはそれ以上のコドンとともにHBV逆転写酵素ドメインの前記セリンをコードするコドン181の存在、
ならびにそれから、前記生物学的サンプルにおける前記HBVの存在を推察するための手段と、場合により、
b.標的ポリ核酸の核酸配列を得るための手段と、
を含んでなる、請求項22に記載の診断キット。
【請求項24】
セリンをコードするコドン181とアラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能なオリゴヌクレオチドを含んでなる請求項22または23に記載の診断キット。
【請求項25】
請求項6〜9のいずれか一項に記載のポリ核酸を含んでなるHBVに対して活性な薬物をスクリーニングするための方法であって、
a.前記薬物の非存在下で前記HBVの複製を測定すること;
b.前記薬物の存在下で前記HBVの複製を測定すること;
c.(a)および(b)から、前記HBVの複製に対する前記薬物の阻害効果を推察すること
を含んでなる方法。
【請求項26】
請求項6〜9のいずれか一項に記載のHBVポリ核酸またはそのフラグメントにおいて、セリンをコードするコドン181と他の任意のアミノ酸をコードするコドン181とを識別することが可能なオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
セリンをコードするコドン181とアラニンまたはバリンをコードするコドン181とを識別することが可能な請求項28に記載のオリゴヌクレオチド。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−537483(P2008−537483A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501220(P2008−501220)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002352
【国際公開番号】WO2006/097285
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(399044160)イノジェネティックス・ナムローゼ・フェンノートシャップ (17)
【氏名又は名称原語表記】INNOGENETICS N.V.
【Fターム(参考)】