説明

ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチド含有ホウ素クラスター

【課題】ホウ素中性子捕獲療法(BNCT)及びアンチセンスオリゴヌクレオチド法(AOT)に使用するための、細胞選択性、生体内安定性及び細胞膜を容易に通過する能力の望ましいプロフィールを示す新しいクラスのホウ素含有ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの提供。
【解決手段】少なくとも1個の無荷電の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合を含んだ、オリゴヌクレオチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成有機化学の領域に属し、そして特にカルボラニル含有合成ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチド、並びにそれらの製造方法及び使用の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
少数の残存する悪性細胞でさえも再発、転移及び死をもたらしうることから、癌治療のゴールは、正常細胞を除き全ての悪性細胞を破壊するという選択性の程度を達成することである。単独では致死的でなくそして主に悪性細胞に閉じ込められそして、合わさったとき新生細胞に対し致死的となりしかも正常細胞には無害なものである成分よりなる、2成分の又は2元のシステムが理想的な様式の一つである。このタイプの二元システムの一つの利点は、選択性を最大にするために各々の成分を独立して操作できるということである。
【0003】
ホウ素中性子捕獲療法(BNCT,図1を参照)は、2つの別個の非致死的な成分、すなわち安定なホウ素−10(10B)を含有する放射線感受性化合物及び非イオン化放射線を組み合わせる二元システムである。ホウ素−10が中性子で照射されると、ヘリウム核(α−粒子)、リチウム核及び最初に照射されたエネルギーに比して約1億倍も大きいエネルギーを生み出す核反応が起こる。発生した放射線は、ホウ素化合物を含有する悪性細胞を破壊する。悪性細胞に主として蓄積する化合物の使用により及び/又はホウ素担体を含有する腫瘍塊に中性視線の狙いを定めることによって、選択性が達成される。
【0004】
BNCTにおける主たる障害は、(1)十分に高い細胞内ホウ素濃度の達成、及び(2)腫瘍細胞への選択性である。腫瘍選択性を開発する試みは1969年代に遡りそして広範な研究にもかかわらず、腫瘍細胞へのホウ素担体の選択的送達の問題は残っている。
BNCTのために多くのクラスの化合物が合成されてきた。例えば、Barth, R. F.; Soloway, A. H.; Fairchild, R. G.; Brugger, R. M. Cancer 1992, 70, 2995-3008; Fairchild, R. G.; Kahl, S. B.; Laster, B. H.; Kalef-Ezra, J.; Popenoe, E. A. Cancer Res. 1990, 50, 4860-4865; 及びZamenhof, R. G.; Kalend, A. M.; and Bloomer, W. D. J Natl Cancer Inst 1992, 84, 1290-1291 を参照。
【0005】
最初のホウ素含有ヌクレオシド、5−ジヒドロキシボリル−2’−デオキシウリジンは、Schinazi及びPrusoff によって1978年に合成された。Schinazi, R. F., Prusoff, W. H. Tetrahedron Lett 1978, 4981-4984; 及びSchazi, R. F.; Prusoff, W. H. J Org Chem 1985, 50, 841-847。Sood等は、2’−デオキシヌクレオシドのシアノボラン付加体、特に2’−デオキシグアノシン−N7 −シアノボラン、2’−デオキシイノシン−N7 −シアノボラン、2’−デオキシアデノシン−N1 −シアノボラン、及び2’−デオキシシチジン−N3 −シアノボランよりなる、一連のシアノボラン付加体の合成を報告している。Sood, A.; Spielvogel, B. F.; Shaw, B. R. J Am Chem Soc 1989, 111,9234-9235.
【0006】
Sood等は、ボラノホスフェート類及びボラノホスフェートメチルエステル類の形の、ホウ素化されたヌクレオチド間骨格を備えたオリゴヌクレオチドの合成をも報告している。これらのホウ素化オリゴヌクレオチド中のボラン(BH3 )基は、通常のO−オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドメチルホスホネートと等電子且つ同構造である。Sood, A.; Shaw, B. R.; Spielvogel, B. F. J Am Chem Soc 1990, 112, 9000-9001. Soodの化合物は、一般にホウ素含量が低くそして幾つかは所望よりも低い脂質親和性しか有しない。
【0007】
Spielvogel等の米国特許第5,130,302 号は、抗新生物、抗炎症及び抗高血圧剤としての新規クラスのホウ素化されたヌクレオシド、ヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを開示している。それらのヌクレオシド、ヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、BH2 CN、BH3 又はBH2 CO2 R部分のいずれかに共有結合により取り付けられており、ここにRはC1 乃至C18アルキルである。
【0008】
ホウ素中性子捕獲療法のために多くのカルボラニルピリミジン類が製造されてきた。カルボラニルピリミジン類の例には、5−(3−o−カルボラニルプロピル−6−メチル−2−チオウラシル(化合物A)(Wilson, J. G. Pigment Cell Res 1989, 2, 297-303 )、2,4−ジクロロ−5−(1−o−カルボラニルメチル)−6−メチルピリミジン;(化合物B)(Reynolds, R. C.; Trask, T. W.; Sedwick, W. D. J Org Chem 1991, 56, 2391-2395) 及び5−カルボラニルウラシル(化合物C)(Goudgaon, N. M.; El-Kattan, Y.; Fulcrand, G.; Liotta, D. C.; Schinazi, R. F. IMEBORON VIII, Knoxville, TN; p.72, 1993).
【0009】
プリン及びピリミジンヌクレオシドで、プリン又はピリミジン塩基に取り付けられたカルボラニル基を含んでいるものもまた報告されている。Yamamoto, Y.; Seko, T.; Nakamura, H. Heteroatom Chem 1992, 3, 239-244; 及びSchinazi, R. F.; Goudgaon, N. M.; Soria, J.; Liotta, D. C. 5th International Symposium on Neutron Capture Therapy, Columbus, Ohio, p11, 1992; Shinazi, R. F.; Goudgaon, N.; Soria, J.; Liotta, D. C. Tenth International Roundtable: Nucleosides and Nucleotides, Park City, Utah; p28, 1992. これらの化合物は、脂質親和性であり幾つかは細胞のキナーゼによって容易にリン酸化され、そしてある種の細胞中においては、天然の2’−デオキシピリミジンヌクレオシドの類縁体としてDNAに組み込まれることができる。例としては、5−カルボラニル−2’−デオキシウリジン(化合物D,CDU)、5−カルボラニルウリジン(化合物E,CU)、5−(1−ヒドロキシメチル)カルボラニルウリジン、及び5−(1−ヒドロキシメチル)カルボラニルウリジン(化合物F,HMCU)が挙げられる。
【0010】
【化1】



Raymond, F. Schinazi及びDennis C. Liottaによって提出されたPCT WO 93/17028 は、プリン又はピリミジン塩基に共有結合によって取り付けられたカルボラニル部分を含有した多数の合成ヌクレオシド(ここに糖部分は所望により、環の3’位に第2のヘテロ原子を含む)を開示している。好ましい化合物は、2−ヒドロキシメチル−5−(5−カルボラニルシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(化合物G)及び2−ヒドロキシメチル−5−(5−カルボラニルウリジン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(化合物H)である。
【0011】
Powell等は最近、3’,5’−ニド−o−カルボラニル−ホスホラミデート結合を含んだオリゴヌクレオチド(化合物I)の合成を報告している。該オリゴヌクレオチドは、報告によれば細胞核に局在し得るが、ホウ素部分は、アミドタイプの結合を介してリン原子に連結していることから、酸に弱い。
【0012】
オリゴヌクレオチドに関して、効率的なBNCTのための要件───それらは細胞選択性(疾患細胞に優先的に蓄積する能力)、該化学療法剤の生体内における安定性(細胞のヌクレアーゼによる消化に対する抵抗性及び化学的安定性)、及び易輸送性(細胞膜を容易に通過する化学療法剤の能力)を含む───は、最近開発された別の癌並びに他の疾病の療法であるアンチセンスオリゴヌクレオチド法(AOT)のための要件に非常に近似している。Uhlmann, "Antisense Oligonucleotides: A New Therapeutic Approach" Chemical Review, 90(4), June 1990. 該化合物はまた比較的無毒である。アンチセンス法は、一般に、合成的オリゴヌクレオチドが相補的核酸配列にハイブリダイズして転写又は複製を阻害(標的配列がDNAの場合)し、翻訳を阻害(標的配列がRNAの場合)し又はプロセシング(標的配列がpre−RNAである場合)するという工程を通じて、遺伝子発現の調節に依存する。広範な種々の細胞活動がこの技法を用いて調節できる。簡単な例は、mRNAに結合したアンチセンスオリゴヌクレオチドによるタンパク質合成の阻害である。他の一具体例においては、合成オリゴヌクレオチドが二本鎖DNA中の特異的遺伝子配列にハイブリダイズされて、その遺伝子の発現を阻害する三本鎖複合体(トリプレックス)を形成する。アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、天然のリプレッサーの生合成を抑制することによって間接的に、又は転写の終了を遅らせることによって直接的に、遺伝子発現を活性化させるためにも使用することができる。AOTは、病原遺伝子、例えば、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、及びヘルペスウイルスを含むウイルスの複製を促進する遺伝子の発現を阻害し、及び癌、特に神経膠腫、乳癌及び黒色種などのような固形癌を阻害するのに使用できる。
【0013】
BNCT及びAOT双方の分野において前進がなされている一方で、これまでに製造された合成オリゴヌクレオチドのいずれも、細胞選択性、生体内安定性、及び細胞膜を容易に通過する能力(易輸送性)の最適な結合を示していない。
【0014】
従って、BNCT,AOT又はその双方に使用するための、細胞選択性、生体内安定性及び細胞膜を容易に通過する能力の望ましいプロフィールを示す新しいクラスの合成オリゴヌクレオチドを提供することが、本発明の一目的である。
【0015】
ホウ素含有ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの製造のための新たな方法を提供することが、本発明の別の一目的である。
【0016】
脂質親和性のそして高いホウ素原子含量を有するカルボラニル含有ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが、ホウ素中性子捕獲療法(BNCT)で使用するために提供される。一具体例においては、天然に存在する3’,5’−O,O−ホスホジエステル残基の代わりに少なくとも1つの無荷電の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオシド間結合を含む、ジヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドが提供される。この(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート結合は、ヌクレアーゼによっては分解されず、従って、3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオシド間結合を含むジヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、生物学的液体及び細胞中において安定である。オリゴヌクレオチドが主として3’−エクソヌクレアーゼによって分解されるという事実に照らして、好ましい一具体例においては、3’−末端の2個の末端ヌクレオシド又はこれらのヌクレオシドに隣接したヌクレオシドが、ヌクレアーゼに安定な3’,5’−O,O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕架橋を介して結合されているものであるオリゴヌクレオチドが提供される。この3’,5’−O,O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕架橋はまた、酸性環境においても安定であり且つ熱的に高度に安定である。
【0017】
ここに記述される方法に従って、BNCTのために、標的癌細胞中の過剰発現された又は特有のRNA若しくはDNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドが、これらの細胞内にホウ素含有材料を選択的に蓄積させるための一手段として設計できる。1つ又はより多くの3’,5’−結合−(カルボラン−1−イル)ホスホネート部分を含んだ特定の遺伝子配列のオリゴヌクレオチドはまた、アンチセンス療法において遺伝子の発現の選択的修正においても使用できる。
【0018】
第2の具体例においては、3’及び/又は5’位置に(カルボラン−1−イル)ホスホネート部分を担持するヌクレオシドが提供される。これらの合成ヌクレオチドは、ホウ素中性子捕獲療法において有用であり、そして選ばれた化合物がHIV及びHBVのようなウイルスに対抗する活性を示し得る。
【0019】
別の一具体例においては、オリゴマーのヌクレオシドの少なくとも一つにおいてカルボラニル変性塩基を担持するオリゴヌクレオチドが提供される。好ましい一具体例においては、このカルボラニル含有塩基は、3’末端に位置するヌクレオシド中に、3’末端ヌクレオシドに隣接するヌクレオシド中に、5’末端ヌクレオシド中に、又は5’末端ヌクレオシドに隣接するヌクレオシド中に存在する。3’末端ヌクレオシド中に又は3’末端ヌクレオシドに隣接するヌクレオシド中にカルボラニル含有塩基を担持したオリゴヌクレオチドは、3’−エクソヌクレアーゼによる分解に対して一層抵抗性である。好ましい位置にカルボラン含有塩基単位を担持するオリゴヌクレオチドは、他の位置にカルボラニル含有塩基を担持したオリゴヌクレオチドに比して、相補的核酸配列に対し一層効果的にハイブリダイズするということが発見された。
【0020】
更に別の一具体例においては、分子のホウ素密度及び脂質親和性を高めそして、変性の位置に依存して、生物学的液体又は細胞中における生体内でのオリゴマーの安定性を高めるための手段として、少なくとも1つの3’,5’−〔(O,O−カルボラン−1−イル)ホスホネート〕残基を担持したオリゴヌクレオチド、及びカルボラニル含有塩基を含有する少なくとも1つのヌクレオシドが提供される。
【0021】
本発明の別の一具体例においては、(カルボラン−1−イル)ホスホネート部分の代わりに−O−〔(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート、S−〔(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート、又はSe−〔(カルボラン−1−イル)アルキルホスホロセレノエートを担持したヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドが提供される。
【0022】
BNCTにおけるここに記述したオリゴヌクレオチドの使用に加えて、ここに開示されたオリゴマーは、相補的核酸配列との合成オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションのバルク許容性についてin vitroにおいて構造−活性関係を実施するために、MRI造影において、又は種々の診断技法におけるプローブとして使用することができる。
【0023】
カルボラニル含有オリゴヌクレオチドはまた、in vitro又は生体内位置指定突然変異導入法(SDM)を用いて、発現されるHIV−1逆転写酵素の突然変異を起こすためにも使用することができる。
【0024】
脂質親和性を高めるための手段として、ホウ素が10Bにおいては濃厚化されていないがしかし代わりに11B同位体において濃厚化されているものであるホウ素クラスターを含んだヌクレオシド、ヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチドを製造することができる。疾病にかかった細胞の破壊のための又は信号発生目的のための、中性子照射崩壊に依存するBNCT又は他の診断法のために使用される本発明のヌクレオシド、ヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、適当な量の10B、通常約90〜100 %、そして典型的には92〜96%の10Bで濃厚化されている必要がある。
【0025】
鍵となる出発原料、O−メチル(カルボラン−1−イル)メチルホスホネートを経由して、(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート部分を含んだヌクレオシド、ジヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチドを製造するための新規の方法が提供される。
【発明の開示】
【0026】
ここに用いるものとして、語「アルキル」は、別に特記しない限り、C1 〜C10の飽和した直鎖の、分枝した、又は環状の、第1級の、第2級の、又は第3級の炭化水素をいい、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルを含む。該アルキル基は、必要に応じて例えばGreene, et al., "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley and Sons, Second Edition, 1991 中に教示されているように、当業者に知られているようにして保護されていない又は保護されたヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェート、又はホスホネートよりなる群より選ばれた1つ又はより多くの部分で所望により置換されていてよい。ここに用いるものとして、語「低級アルキル」は、別に特記しない限り、C1 〜C4 の飽和した直鎖の又は分枝のあるアルキル基をいう。
【0027】
語「アルキルアミノ」又は「アリールアミノ」は、それぞれ1つ又は2つのアルキル又はアリール置換基を有するアミノ基をいう。 ここに用いるものとして、語「保護された」は、別に定義しない限り、酸素、窒素又は燐原子にその更なる反応を防止するため又は他の目的で加えられた基をいう。
【0028】
有機合成の分野の当業者には、広範な種々の酸素及び窒素保護基が知られている。
ここに用いるものとして、語「アリール」は、別に特記しない限り、フェニル、ビフェニル又はナフチルをいい、好ましくはフェニルをいう。アリール基は、必要に応じて例えばGreene, et al., "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley and Sons, Second Edition, 1991 中に教示されているように、当業者に知られているようにして保護されていない又は保護されたヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェート又はホスホネートよりなる群より選ばれた1つ又はより多くの部分によって所望により置換されていてよい。
【0029】
語「アルカリール」又は「アルキルアリールは、アリール置換基を有するアルキル基をいう。
【0030】
語「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、アルキル置換基を有するアリール基をいう。
【0031】
ここに用いるものとして、語「ハロ」は、クロロ、ブロモ、ヨード、及びフルオロを含む。
【0032】
語「プリン又はピリミジン塩基」は、アデニン、N6 −アルキルプリン、N6 −アシルプリン(ここにアシルはC(O)(アルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルである))、N6 −ベンジルプリン、N6 −ハロプリン、N6 −ビニルプリン、N6 −アセチレンプリン、N6 −アシルプリン、N6 −ヒドロキシアルキルプリン、N6 −チオアルキルプリン、N2 −アルキルプリン、N2 −アルキル−6−チオプリン、チミン、シトシン、6−アザピリミジン、2−及び/又は4−チオピリミジン、ウラシル、C5 −アルキルピリミジン、C5 −ベンジルピリミジン、C5 −ハロピリミジン、C5 −ビニルピリミジン、C5 −アセチレンピリミジン、C5 −アシルピリミジン、C5 −ヒドロキシアルキルプリン、C5 −アミドピリミジン、C5 −シアノピリミジン、C5 −ニトロピリミジン、C5 −アミノピリミジン、N2 −アルキルプリン、N2 −アルキル−6−チオプリン、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トリアゾロピリミジニル、イミダゾロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニルを含むがしかしこれらに限定されない。塩基上の官能性の酸素及び窒素基は、必要に応じ又は所望により保護することができる。適当な保護基は当業者に周知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル、及びt−ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、アセチル及びプロピオニル等のようなアシル基、メチルスルホニル、及びp−トルイルスルホニルを含む。
【0033】
ここに使用するものとして、語「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」は、少なくとも1つの硫黄、酸素、又は窒素を当該芳香環中に含んだ芳香族部分をいう。限定的でない例は、フリール、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、プリニル、カルバゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、キナゾリニル、ピリダジニル、ピラジニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、及びプテリジニルである。ヘテロ環状塩基上の官能性の酸素及び窒素は、必要に応じ又は所望により保護されることができる。適当な保護基は当業者に周知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル、及びt−ブチルジフェニルシリル、トリチル又は置換されたトリチル、アルキル基、アセチル及びプロピオニル等のようなアシル基、メチルスルホニル、及びp−トルイルスルホニルを含む。
【0034】
ここにいう語「アルケニル」は、別に特記しない限り、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖の、分枝のある、C2 〜C10の炭化水素である。
【0035】
語「アシル」は、式C(O)R’(ここにR’はアルキル;メトキシメチルを含むアルコキシアルキル;ベンジルを含むアリールアルキル;フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル;所望によりハロゲン、C1 〜C4 アルキル若しくはC1 〜C4 アルコキシ又はアミノ酸残基で置換されていてよいフェニルを含むアリールである)よりなる部分をいう。
【0036】
ここに用いるものとして、語「鏡像体的に濃厚化された」は、一方の鏡像体が混合物中に過剰に、好ましくは95%以上の程度まで、そしてより好ましくは98%以上存在しているものである鏡像体の混合物たる化合物をいう。
【0037】
語「オリゴヌクレオチド」は、3’及び5’−ヒドロキシル又は2’及び5’−ヒドロキシル基を介して結合された35又はより少ないヌクレオチドよりなるオリゴマーをいう。
【0038】
語「アミノ酸」は、天然に存在する及び合成のアミノ酸を含み、そしてアラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、クルタミニル、アスパルトイル、グルタオイル、リジニル、アルギニニル、及びヒスチジニルを含むがこれらに限られない。
【0039】
語「(カルボラン−1−イル)ホスホネート」が本明細書において用いられる場合、−O−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート、S−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート、又はSe−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエートが代わりに使用できるということが理解されなければならない。
【0040】
カルボラニル残基を担持した新規のクラスの変性された脂質親和性のヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドが、BNCT、AOTのにおいて使用するために及び、MRIを含む診断目的のために及びプローブとして、提供される。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はより多くのカルボラン−1−イル残基を担持しており、標的細胞へのホウ素の濃縮された且つ選択的な投与を許容する。ホウ素変性されたオリゴヌクレオチドの脂質親和性は、化合物中におけるカルボラン−1−イル残基の数及び位置の適当な選択によって操作することができる。概して、燐原子に直接結合した、又は適当なスペーサー(例えばアルキル、ペプチジル)を介して酸素、硫黄又はセレンに取り付けられたカルボラニル基は、それが親水性のそしてイオン化可能なヒドロキシ基の代わりの置換基として働くため、カルボラニル基が別の位置例えば塩基に取り付けられている場合に比して、化合物の脂質親和性に対して一層有意な影響を及ぼす。
【0041】
一具体例においては、カルボラニル含有オリゴヌクレオチドは、神経膠腫、黒色種及び乳癌を含む腫瘍の臨床的進行とよく相関するある種の癌原遺伝子の過剰発現を阻害するため又は腫瘍のサプレッサー遺伝子の発現を最適化するために、癌細胞に特異的に狙いを定められる。
【0042】
I.カルボラニルヌクレオシド及びヌクレオチド
A.カルボラニル部分
カルボラン類(カルバボラン類とも呼ばれる)は、多面体ホウ素内に組み込まれた炭素原子を含む化合物である。カルボラン化学の概説については、F. Cotton and G. Wilkinson, Advanced Inorganic Chemistry, Fourth Edition, John Wiley and Sons, 1980, p.318-320を参照のこと。CH基は、BH基と等電子であり、従ってBH基を置き換えることができる。多面体カルボランは、従って形式的には、Bn n-2 イオンから、一般式Bn-2 2 n の分子に至る2つの炭素による置換によって誘導されると考えることができる。中性の2炭素カルボランは、一般に、式Bn 2 n+2 であり、ここにnは3〜10である。ここに記述された目的のためには、これらのカルボランを如何なる異性体の形でも使用できるが、n=9又は10のカルボランが好ましい。
【0043】
カルボラン骨格中においてこれら2つの炭素原子が互いに隣り合っている場合、該カルボランは、1,2−又はオルトカルボラン(o−カルボラン)とよばれる。例えば、B102 12は通常1,2−異性体として製造され、それは加熱されたとき1,7−異性体へと配列変化する。
【0044】
カルボランは、多数の異性体の形で存在し得る。「クロソ(closo)」カルボランは、閉じたカゴ構造を有し、これに対して「ニド (nido) 」カルボランは、開いた巣状の構造を有する。例としては、アニオン性のo−ニド−7,8−C2 9 (11または12) 及び中性のo−クロソ−1,2−C2 1012がある。カルボランはまた、4種のアラクノ (arachno)異性体のうちの一つとして又はハイフォ (hypho)異性体として存在しうる。1,2−及び1,7−ジカルバドデカボラン及びそれらのC置換された誘導体の双方は、強塩基によって処理したとき、ホウ素を失って変性し異性体であるニド−カルボランアニオンB9 2 (11または12) を与える。双方の異性体B9 2 (11または12) イオンは、酸無水物による処理に続く加熱によって、クロソ−カルボランB9 2 11に変換される。
【0045】
カルバボランは、典型的には、アセチレン類とボラン又はボラン付加体との相互作用によって製造される。最も普通のカルボランはB102 12及びその炭素置換された誘導体である。炭素置換されたカルボランは、当業者に知られているようにして置換アセチレンによって、又は例えば、水素をリチウムで置き換えるためのカルボランと強塩基との反応およびそれに続く所望の親電子試薬による処理によって製造することができる。置換されたカルボラン部分を提供するために使用できるアセチレン誘導体は、例えば、Heying, T.L., et al. Inorganic Chemistry 2(6), 1089-1092 (1963) に記述されている。
【0046】
アニオン性カルボランは、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウム、ピリジニウム、第4級アンモニウム、プロトン付加エチレンジアミン、又はプロトン付加したリジン及びプロトン付加したアルギニンを含むがこれに限らないプロトン付加したアミノ酸等を含むがこれらに限られない、一価の又は多価の薬剤学的に許容し得るカチオンの薬剤学的に許容し得る塩として投与することができる。
【0047】
B.カルボラニルヌクレオシド及びヌクレオチド
i) 3’若しくは5’位又は両方に(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネートを備えたヌクレオシド
一具体例においては、分子の3’若しくは5’位に(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネートを含んだヌクレオシドが提供される。限定的でない例としては、以下に示された式I,II, 及びIII のヌクレオシドである。
【0048】
【化2】

【0049】
〔式中、R1 は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、アルキルアリール、アリールアルキル、又はハロゲンであり、
2 は、水素、アルキル、アシル(アセチルを含む);メタンスルホニルを含むアルキル又はアリールアルキルスルホニルを含むスルホン酸エステル;モノ−、ジ−又はトリホスフェートエステル;トリチル又はモノメトキシトリチル;上記のアリールの定義中に記述された1個又はより多くの置換基で所望によりフェニル基が置換されていてよいベンジル;トリアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル)又はジフェニルメチルシリルを含むシリル;脂質;ペプチド;又はコレステロールであり、
3 は、ヒドロキシル、水素、ハロゲン、−CN,−N3 ,低級アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシであり、そしてR3 基はリボシル(環を酸素が後ろにくるように配向したとき糖部分に対して「下側」)又はアラビノシル(「上側」)型コンフォメーションをとることができる。
Bは、カルボラニル基のホウ素部分を表し、特にアニオン性のo−ニド−7,8−C2 9 (11または12) 及び中性のo−クロソ−1,2−C2 1012を含み、
Wは、O,S,又はSeであり、Zは、O又はSであり、
Xは、O,S,S(O),S(O)2 ,CH2 ,CHOH,CHN3 又はNHであり、
Yは、OH,SH,SeH,又はハロゲン特にフッ素であり、
nは、1〜5であり、
mは、0又は1である。〕
【0050】
塩基は、好ましくは、上に規定した通りプリン又はピリミジン塩基であり、好ましくはチミン、ウラシル、5−フルオロウラシルを含む5−ハロウラシル、シトシン、5−フルオロシトシンを含む5−ハロシトシン、アデニン、グアニン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2−アミノプリン、5−低級アルキルウラシル、又は5−低級アルキルシトシン、2−チオウラシル、2,4−チオウラシル、4−チオウラシル、6−クロロプリン、5−カルボラニルウラシル、5−カルボラニルシトシン並びに、下記のセクションiv)に記述されているものを含む他のカルボラニルプリン及びカルボラニルピリミジンである。
【0051】
ii) 無荷電の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネートヌクレオチド間結合を含んだジヌクレオチド
第2の具体例においては、2つのヌクレオシドが無荷電の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を介して結合されたものであるジヌクレオチドが提供される。限定的でない例には、式III 及びIVの化合物がある。
【0052】
【化3】

【0053】
〔式中、R1 ,R2 ,R3 ,B,W,X,Y,Z,m及びnは上記定義に同じである。〕
【0054】
iii) 無荷電の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合を含んだオリゴヌクレオチド
第3の具体例においては、少なくとも1個の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合を含んだオリゴヌクレオチド及びホスホチオエート又はジチオエートオリゴヌクレオチド、メチルホスホネートオリゴヌクレオチド、及びデホスホオリゴヌクレオチド(例えば、ペプチドオリゴヌクレオチド)が提供される。3’,5’−O,O−〔カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネートは、オリゴヌクレオチドの3’末端にある末端の2個のヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドの5’末端にある末端の2個のヌクレオチドを、又は代わりとして、隣接のヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチドの中間部分にある2個のオリゴヌクレオチドを、結合させることができる。殆どのオリゴヌクレオチドが3’−エンドヌクレアーゼによって分解されるという事実に照らし、好ましい一具体例においては、3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート結合によって、少なくとも、3’末端にある2個の末端ヌクレオチド又はこれらに隣接するヌクレオシドが結合されているものであるオリゴヌクレオチドが提供される。
【0055】
該オリゴヌクレオチドは、所望により、完全に変性されたオリゴヌクレオチドに至るまで、1個より多くの3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート結合を含むことができる。好ましい一具体例においては、該オリゴヌクレオチドは、典型的な13マー(又はそれ未満)について約1乃至5個の変性された結合を有する。
【0056】
以下に一層詳細に記述するように、上に定義したプリン又はピリミジンのいずれも、如何なる適当な配列中においても、該オリゴヌクレオチドにおいて使用することができる。一具体例においては、天然に存在するヌクレオシド例えばアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン又はウリジンが、該オリゴヌクレオチド中に存在する。
【0057】
3’末端としてX基を含んだヌクレオチドが使用でき、ここにXは、O,S,S(O),S(O)2 ,CH2 ,又はNH、好ましくはO又はSである。
【0058】
特異的配列の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を有する合成オリゴヌクレオチドが、転写又は複製を阻害する(配列がDNAである場合)ため、翻訳を阻害する(配列がRNAであるばあい)ため、又はプロセシングを阻害(配列がpre−RNAである場合)するために、相補的核酸配列に対するハイブリダイゼーションのために製造できる。例えば、標的mRNAに対するハイブリダイゼーションによってタンパク質の生合成を阻害する、そして本発明の背景において記述したような他の目的のための、アンチセンスカルボラニル変性オリゴヌクレオチドを製造することができる。
【0059】
二本鎖NDA中の特異的遺伝子配列にハイブリダイズしてその遺伝子配列の発現を阻害する三本鎖複合体(トリプレックス)を形成するカルボラニル含有オリゴヌクレオチドもまた製造できる。
【0060】
既知の機能を有する広範な種々の核酸配列が報告されており、そしてこの領域において現在広範な研究が行われていることからすれば、他の多くが将来報告されるであろう。この開示を与えられたことにより、当業者は、BNCT又はAOTにおいて使用するための1個又はより多くの3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合によって所望により変性させた如何なる核酸配列をも製造することができる。本発明が特定の核酸配列に向けられたものでなく、代わりに、関係配列の安定性、脂質親和性、易輸送性及びホウ素濃度を高めるための一般的技術であるということが理解されなければならない。
【0061】
iv) 塩基中にカルボラニル部分を有するオリゴヌクレオチド
第4の具体例においては、核酸のうちの1個の塩基単位中にカルボラニル部分を含んだオリゴヌクレオチドが提供される。カルボラニル含有塩基の限定的でない例が、式V乃至Xに示されている。
【0062】
【化4】

【0063】
〔式中: Cは、B10102 4 (ここにR4 は−H,−OH,−CH2 OH,−CH2 X(ここにXはハロゲンである))又は−B9 2 (11または12) (ニド−カルボランアニオン)のようなカルボラニル基であり、
5 は低級アルキルであり、
GはN又はCHであり、
MはO又はSであり、そして
Zは0乃至5である。〕
【0064】
このカルボラン含有塩基は、3’又は5’末端ヌクレオチド中に、該3’又は5’末端ヌクレオシドに隣接したヌクレオチド中に、又中間のヌクレオシド中にあることができる。3’又は5’末端ヌクレオチド中に又は3’又は5’末端ヌクレオシドに隣接するヌクレオシド中にカルボラニル変性させた塩基を含んだオリゴヌクレオチドが、中間のヌクレオチド中にカルボラニル含有塩基を担持するオリゴヌクレオチドに比して、相補的核酸配列に一層効果的にハイブリダイズするということが発見された。3’−末端ヌクレオチド中に、3’−末端ヌクレオシドに隣接したヌクレオチド中に、又は3’−末端及び5’−末端ヌクレオシド中にカルボラニル変性させた塩基を含んだオリゴヌクレオチドが、他の方法で変性させたものに比して、分解に対し一層抵抗性であることも発見された。
【0065】
上のセクションI.B.iii)において論じたように、如何なる関係核酸配列も、オリゴマーの塩基単位へのカルボラニル部分の追加によって変性させることができる。本発明は特定の核酸配列に向けられてはおらず、代わりに一般的技術に向けられたものである。
【0066】
実施例1 5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−O−デオキシウリジンを含有するDNA配列
変性されたDNA配列(ここにXは、5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−O−デオキシウリジンであり、CDUともよばれる)の実施例並びに対照配列が以下に掲げられている。これらの実施例は、単に説明のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0067】
DNA配列
X=CDU〔5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−デオキシウリジン〕
生体内位置指定突然変異導入用:
RL−1/CDU/アンチ遺伝子 5’−AATACATGGAGATTTGTAT−3’
RL−2/CDU/アンチ遺伝子 5’−AATACATGGXXGATTTGTAT−3’
RL−1/センス相補的(SC) 5’−ATACAAATCATCCATGTATT−3’
(RL−1に相補的な標的配列。それはまた真のセンス配列でもある)
RL−2/SC 5’−ATACAAATCAACCATGTATT−3’
(RL−2に相補的な標的配列)
HIV−1に対する標的
G/Z−1/CDU/AS 5’−ACACCCAATTCTGAAATG−3’
(Shibahara S. et al. Nucleic Acids Research, 17, 239 (1989)に基づくスプライシングアクセプター部位)
G/Z−2/AS 5’−GACACCCAATTCTGAAATGG−3’
(変性されていないこと以外G/Z−1/CDU/ASと同様)
G/Z−3/R 5’−GCACCCATCGACGTCCAACC−3’
(ランダム配列。Genejockey version 1.0 Biosoft, 22 Hils Rd., Cambridge, CGZ ISP, UK )
G/Z−1/S 5’−CATTTCAGAATTGGGTGTA−3’
(G/Z−1/CDU/ASに相補的な配列)
G/Z−2/S 5’−CCATTTCAGAATTGGGTGTC−3’
(BRU−LAV配列。G/Z−2/ASに相補的)
G/Z−4/CDUAS 5’−CCCTGTTCGGGCGCCACG−3’
〔HIV−RTプライマー結合部位(PBS). Marshall WS & Caruthers, MH.Science 259, 1564 (1993)〕
G/Z−5/UAS 5’−CCCTGTTCGGGCGCCACG−3’
(変性されてないことを除きG/Z−4/CDUASと同様)
G/Z−6/S 5’−CGTGGCGCCCGAACAGGG−3’
癌化学療法のための標的
IL6−A1 5’−GGCGCTTGTGGAGAAGGAGTC−3’(22マー)
IL6−A1/B 5’−XGCGCTTGTGGAGAAGGAGTC−3’(22マー)
IL6−A2 5’−TGAGATGCCGTCGAGGATGTAC−3’(23マー)
IL6−A2/B 5’−XGAGATGCCGTCGAGGATGTAC−3’(23マー)
IL6−A3 5’−TGGACTGCAGGAACTCCT−3’(19マー)
IL6−A3/B 5’−XGGACTGCAGGAACTCCT−3’(19マー)
【0068】
代わりの一具体例においては、Xは、セクションVにおいて説明した塩基を含むヌクレオシドである。別の代わりの一具体例においては、Xは、チミジン、シチジン、アデノシン、グアノシン又はウリジンなどのような未変性のヌクレオチドか、又はその対応する2’−デオキシヌクレオシドを表し、そして上に同定された配列は、代わりに、塩基カルボラニル変性を伴い又は伴わずに、ホスホジエステル結合に代えて3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート結合の置換よって変性される。
【0069】
v) 3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネートヌクレオチド間結合及びカルボラニル含有塩基の両方を備えたオリゴヌクレオチド
第5の具体例においては、3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合及びカルボラニル含有塩基の両方を含んだオリゴヌクレオチドが提供される。カルボラニル含有塩基は、3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕架橋を介して結合しているヌクレオチドと同じでも異なっていてもよい。
【0070】
B.立体化学及び対称性
ここに提示したヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドの立体化学は、ヌクレオシドの立体配置及び、化合物中に存在する場合には、キラルの(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート部分の立体配置によって影響を受ける。
【0071】
ヌクレオシドの立体化学
一具体例においては、本発明のオリゴヌクレオチドは、3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合によって又は1個又はより多くの塩基へのカルボラニル部分の追加によって変性されている、天然に存在するヌクレオシド、好ましくはアデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン及びウリジンよりなる。これら天然に存在するヌクレオシドは、天然に定められた一つの立体配置を有する。しかしながら、天然には存在しないヌクレオシドがオリゴヌクレオチド中において又は単独で用いられるならば、立体化学問題が関わってくる。合成オリゴヌクレオチドの糖部分又は変性された糖部分(以下総称して「糖部分」という)の1’及び4’炭素はキラルであることから、それらの水素でない置換基(それぞれ、CH2 OR2 及びピリミジン又はプリン塩基)は、糖の環系に対してシス(同じ側)またはトランス(反対側)のいずれかであることができる。従って、次の立体配置により、4つの光学異性体が存在する(「主要な」酸素(C1’とC4’原子との間の酸素)が後ろになるように糖部分を水平面に置いたとき):シス(両方の基が「上」。これは天然に存在するヌクレオシドの立体配置に対応する)、シス(両方の基が「下」。これは天然にはない立体配置である)、トランス(C1’置換基については「上」そしてC4’置換基については「下」)、及びトランス(C1’置換基については「下」そしてC4’置換基については「上」)。
【0072】
一般に、「D−ヌクレオシド」は天然の立体配置のシスヌクレオシドであり、「L−ヌクレオシド」は天然にない立体配置のシスヌクレオシドである。
【0073】
本発明によれば、合成ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチド中において又は単独でこれらのいずれの立体配置においても使用できる。特定の合成ヌクレオシドが、一つの立体配置においては他の立体配置におけるよりも一層活性又は一層低毒性又はその両方であり得ることが知られている。当業者は、この開示を与えられて、望みの適用のための具体的な合成ヌクレオシドについて、最適の立体配置を容易に決定することができる。代わりとして、該ヌクレオシドは、ラセミ混合物として又は鏡像体的に濃厚化した組成物として使用することができる。
【0074】
シス−ヌクレオシドのD及びL−鏡像体の分離のための酵素的方法は、例えば、Nucleosides and Nucleotides, 12(2), 225-236 (1993);Biochem Pharma, Inc.により出願された欧州特許出願第92304551.2及び92304552.0;及びEmory Universityにより出願されたPCT 公開番号WO 91/11186, WO 92/14729, 及びWO 92/14743 に開示されている。
【0075】
アシルされた又はアルキル化されたシスヌクレオシドのD及びL鏡像体のラセミ混合物の分離はまた、PCT 公開番号 WO 92/14729に開示されているように、キラルな固定相を備えたHPLCによっても達成できる。
【0076】
α及びβ−L−ヌクレオシドは、例えば次の刊行物中に開示された方法または開示された方法の標準的修正によって製造することができる:Jeong, et al., J. of Med. Chem., 36, 186-195, 1993; 欧州特許出願公開番号0 285 884 ;Genu-Dellac, C., G. Gosselin, A.-M. Aubertin, G. Obert, A. Kirn, and J.-L. Imbach, 3-Substituted thymineα-L
-nucleoside derivatives as potential antiviral agents; synthesis and biological evaluation, Antiviral Chem. Chemother., 2:83-92 (1991); Johansson, K.N.G., B.G. Lindborg, and R. Noreen,欧州特許出願352 248 ; Mansuri, M.M., V. Farina, J.E. Starrett, D.A. Benigni, V. Brankovan, and J.C. Martin, Preparation of the genometric isomers of DDC, DDA, D4C, and D4T as potential anti-HIV agents, Bioorg. Med. Chem. Lett. 1:65-68 (1991); Fujimori, S., N. Iwanami, Y. Hashimoto, and K. Shudo, A convenient and stereoselective synthesis of 2'-deoxy-β-L-ribonucleosides, Nucleosides & Nucleotides 11:341-349 (1992); Genu-Dellac, C., G. Gosselin, A.-M. Aubertin, G. Obert, A. Kirn, and J.-L. Imbach, 3-Substituted thymineα-L-nucleoside derivatives as potential antivaral agents; synthesis and biological evaluation, Antiviral Chem. Chemother., 2:83-92 (1991); Holy, A., Synthesis of 2'-deoxy-L-uridine,Tetrahedron Lett. 2:189-192 (1972); Holy, A., Nucleic acid components and their analogs. CLIII. Preparation of 2'-deoxy-L-ribonucleosides of the pyrimidine series. Collect Czech Chem Commun. 37:4072-4087 (1992); Holy, A., 2'-deoxy-L-uridine: Total synthesis of a uracil 2'-deoxynucleoside from a sugar 2-aminooxazoline through a 2.2'-anhydronucleoside intermediate., Twonsent LB, Tipson RS, ed. Nucleic Acid Chem. New York: Wiley, 347-353. Vol 1) (1992); Okabe, M., R.-C. Sun, S. Tan, L. Todaro, and D.L. Coffen, Synthesis of the dideoxynucleosides ddC and CNT from glutamic acid, ribonolactone, and pyrimidine bases. J Org Chem. 53:4780-4786 (1988); Robins, M.J., T.A. Khwja, and R.K. Robins. Purine nucleosides. XXIX. Synthesis of 2'-deoxy-L-adenosine and 2'-deoxy-L-guanosine and their alpha anomers. J Org Chem. 35:363-369 (1992); Genu-Dellac, C., Gosselin, G., Aubertin, A-M, Obert, G., Kirn, A., and Imbach, J-L., 3-Substituted thymine α-L-nucleoside derivatives as potential antivaral agents; synthesis and biological evaluation, Antiviral Chem. Chemother., 2:83-92 (1991); Genu-Dellac, C., Gosselin G., Imbach J-L; Synthesis of new 2'-deoxy-3'-substitutedα-L-threo-pentofranonucleos ides of thymine as a potential antiviral agents. Tet Lett 32(1):79-82 (1991); Genu-Dellac, C., Gosselin G., Imbach J-L, Preparation of new acylated derivatives of L-arabinofuranose and 2-deoxy-L-erythro-pentofuranose as precursors for the synthesis of L-pentofuranosyl nucleosides. 216:240-255 (1991); 及びGenu-Dellac, C., Gosselin G., Puech F., et al. Systematic synthesisi and antiviral evaluation ofα-L-arabinofuranosyl and 2'-deoxy-α-L-erythro-pentofuranosy. nucleosides of the five naturally occurring nucleic acid bases. 10(b):1345-1376 (1991).
【0077】
β−D−ヌクレオシド、及び合成ヌクレオシドのラセミ混合物は、例えば次を含むがそれらに限られない非常に多数の参照文献中に記述されているようにして又は記述されている製造の日常的な修正又は延長によって、製造することができる:Chu 等の米国特許第4,916,122, 欧州特許出願0 217 580, PCT出願 WO 92/10497; Chu, C.K., et al., "A general synthetic method for 2',3'-dideoxynucleosides: total synthetic approach, "Nucleosides & Nucleotides 8: 5&6, 903-906 (1989); Chu, C.K., et al., "Enantiomeric synthesis of (+)-BCH-189 and (+)-1-β-D-5-(1,3-oxothiolanyl)cytosine from D-mannose and its anti-HIV activity". J. Org. Chem. (1991); Chu, C.K., et al., "Structure-activity relationships of pyrimidine nucleotides as antivaral agents for human immunodeficiency virus type 1 in peripheral blood mononuclear cells," J. Med. Chem. 32: 612 (1989); Hurym, D.M., et al., "Synthesis of iso-DDA, member of a novel class of anti-HIV agents," Tetrahedron Lett. 30:6259-6262 (1989); Kreitsky, T.A., "3'-Amino-2',3'-dideoxyribonucleosides of some pyrimidines: synthesis and biological activities," J. Med. Chem. 26: 891-895 (1983); Lin, T., et al., "Synthesis and biological activity of various 3'-azido and 3'-amino analogues of 5-substituted pyrimidine deoxyribonucleosides," J. Med. Chem. 26: 1691-1696 (1983); Mansuri, M.M., et al., "Preparation of the geometric isomers of DDC, DDA, D4C and D4T as potential anti-HIV agents," Bioorg. Med. Chem. Lett. 1: 65-68 (1991); Okabe, M., et al., "Synthesis of the dideoxynucleosides ddC and CNT from glutamic acid, ribonolactone, and pyrimidine bases," J. Org. Chem. 53: 4780-4786 (1988); Peterson, M.L., et al., "Synthesis and biological evaluation of 4-purinylpyrrolidine nucleosides," J. Med. Chem. 34: 2787-2797 (1991); Sterzycki, R.Z., et al., "Synthesis and anti-HIV activity of several 2'-fluoro-containing pyrimidine nucleosides," J. Med. Chem. 33: 2150-2157 (1990); Wilson, L.J., et al., "A general method for controlling glycosylation stereochemistry in the synthesis of 2'-deoxyribose nujcleosides," Tetrahedron Lett. 1815 (1990);及び Wilson, L.J., et al., "The synthesis and anti-HIV activity of pyrimidine dioxolanyl nucleosides," Bioog. Med. Chem. Lett. 3:2 169-174 (1993).
【0078】
リン原子における立体化学
リンのアニオン性のプロキラルな酸素原子のうちの一つを(カルボラン−1−イル)メチル部分で置き換えることは、リン原子の位置(例えば化合物8,図2を参照)にそしてこの部分を担持するヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド(例えば化合物11及び12,、図2を参照)にキラル中心を作りだす。この変性及びここに記述する結合反応の立体非選択性のために、この(カルボラン−1−イル)メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、典型的には、ジアステレオ異性体として得られる。
【0079】
P−キラルのオリゴヌクレオチド類縁体の立体制御された合成のための方法については、Lesnikowski, Bioorg. Chem., 1993, 21, 127-155.を参照のこと。要するに、P−立体配置の規定された、P−キラルのオリゴヌクレオチドは、次の方法を用いて製造することができる。
【0080】
(i)酵素法。このアプローチは、ホスホロチオエート及びメチルホスホネートオリゴヌクレオチド類縁体の立体配置制御された合成のために有用である。
(ii)ジアステレオ異性オリゴヌクレオチドの分離。この方法は、3個のP−キラルのヌクレオチド間結合(8種のジアステレオ異性体)を含んだオリゴヌクレオチドのために最も有用である。
(iii)ブロック合成:ジヌクレオチドが最初にジアステレオ異性体の混合物として合成される。第2のステップにおいて、この混合物は個々のジアステレオ異性体種へと分離される。このジアステレオ異性ジヌクレオチドは、次にリン酸化又は亜リン酸されそして、より長いオリゴヌクレオチドの合成においてシンソン(synthons) として使用される。この方法は、天然の又は変性されているがしかし立体配置の規定されていないヌクレオチド間結合によって分離された立体配置の規定された合成のヌクレオシド間結合を備えたオリゴヌクレオチドの合成のための方法を提供する。
(iv)立体特異的なヌクレオチド間結合形成:ジアステレオ異性体的に純粋なモノマーを最初に合成する。ジアステレオ異性体的に純粋なモノマー及び立体特異的結合試薬を用いて、P−立体レギュラーオリゴマーを製造することができる。
(v)ヌクレオシド間結合の立体特異的変性
P−キラルのアンチセンスオリゴヌクレオチドのリンにおける絶対的立体配置の、それらの物理化学的及び生化学的性質に対する影響が研究された。リン原子の位置における絶対的立体配置は、取り分け、可溶性、細胞膜を通る易輸送性、標的核酸の相補的配列に対する親和性(融解温度)、及び核酸溶解性酵素に対する抵抗性に影響を与える(Uhlman, et al., Chem. Rev. 1990, 90. 544-584) 。
【0081】
II. カルボラニル含有ヌクレオシド及びヌクレオチドの製造のための方法
A.3’−O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕部分を含有するヌクレオシド及び3’,5’−O,O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を含有するジヌクレオチドの製造
3’−O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕部分を含有するヌクレオシド及び3’,5’−O,O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を含有するジヌクレオチドの製造のための新規の方法が提供される。該方法は、鍵となる出発材料、多能的なボロホスホニル化剤であるO−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートを使用する。
【0082】
図2に図解されているように、O−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートは、3つのステップよりなる手順で製造することができる。第1のステップにおいては、臭化プロパルギルが亜リン酸トリメチルとMichaelis-Arbuzuv タイプの反応においいて反応させられて、優れた収率でO,O−ジメチルプロパルギルホスホネートを与える。臭化プロパルギルは、Aldrich Chemical Companyからトルエン溶液として入手でき、そしてトルエンは反応溶媒として使用できる。広範な他の溶媒もまたこのステップにおいて使用できる(例えば、Arbuzov, B.A., Pure Appl. Chem., 1964, 9, 307-335 を参照)。この反応は、所望の結果を達成する如何なる温度においても又如何なる時間にわたっても行うことができる。この反応は、通常、−20℃乃至溶媒の沸点の範囲の温度にて行われる。湿気及び酸素のアクセスを制限することが好ましい。反応時間は、使用される基質の構造、溶媒、及び反応温度に依存し、そして一般に1乃至24時間である。
【0083】
臭化プロパルギル以外のアルキニル出発材料をこの工程において使用することができる。ヨウ化プロパルギル又は塩化プロパルギルを、臭化プロパルギルの代わりに置き換えることができる。この開示を与えられた当業者には容易に推測できるように、3’−ブチン−1−ブロマイドは、カルボラニル−エチルホスホネートを、及び4−ペンチン−1−ブロマイドはカルボラニルプロピルホスホネートを与えるであろう。一般に、適切に選択された臭化プロパルギルの同族体は、関係のいかなるカルボラニル(CH2 n P異性体を製造するのにも使用できる。
【0084】
第2のステップにおいては、O,O−ジメチルプロパルギルホスホネートが、Heying et al., Inor. Chem. 1963, 1089-1092による一般の反応スキームに従って、良好な収率でO,O−ジメチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートを得るために、アセトニトリル中でデカボランと反応させられる。この反応は、典型的にはルイス塩基溶媒例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、アミン、ジアルキルスルフィド、環状又は非環状エーテル(テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジイソプロピルエーテル)、又はベンゼン等のような芳香族溶媒中で行われる。反応は、望みの結果を達成する如何なる温度においてまた如何なる期間行ってもよい。反応の温度は、一般に室温乃至溶媒の沸点の範囲であり、そして反応の期間は、基質の構造及び反応条件に依存するが、一般に1乃至24時間である。
【0085】
目的の、鍵となる出発物質であるO−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートは、ジオキサン中においてチオフェノール及びトリエチルアミンを用いるO,O−ジメチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートの脱メチル化により、トリエチルアミン塩として得られる。チオフェノール又はチオクレゾールと、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン又は1,8−ジアザビシクロ〔5.4〕ウンデス−7−エン(DBU塩基)又は他の有機塩基との、ジオキサン又は他の化学的に不活性な溶媒中における混合物を、代わりに使用できる。別の一具体例においては、2−メルカプトベンゾチアゾールがジイソプロピルアミンと組み合わせて使用される(Tetrahedron Lett., 1988, 29, 5479-5482を参照)。一般に、使用する有機溶媒に可溶性のO−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートの塩を形成する塩基を用いる必要がある。有機塩基が好ましいが、幾つかの無機のカウンターイオン例えばセシウム(水酸化セシウムから得られる)を用いてもよい。
【0086】
この方法は、O−メチル基によって保護されたヌクレオチド間結合を脱ブロックするためのオリゴヌクレオチド化学において使用される。対照的に、t−ブチルアミンを用いる選択的な脱メチル化は、数種の特定できない副生成物が得られるため、部分的に成功するのみである。これは、部分的なクロソからニド−カルボラニルへの変形によるものであろう。
【0087】
鍵となる出発物質、O,O−ジメチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート(トリエチルアンモニウム塩)は、5’−(及び2’−又は、適切な場合には、塩基−)保護されたヌクレオシドと、活性化剤としてのトリイソプロピルベンゼンスルホニルクロライド、及び2,4,6−コリジン及び1−メチルイミダゾールの存在下に反応させられる。トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロライドは、ボロホスホニル化剤を活性化させる活性化剤である。2,4,6−コリジンは、反応中に産生される塩酸のスカベンジャーである。1−メチルイミダゾールは、ボロホスホニル化剤を追加的に活性化させる求核触媒である。塩化トリイソプロピルベンゼンスルホニルの代わりに他の塩化アリールスルホニル又はアリールスルホニルアゾリドを使用することができる。2,4,6−コリジンの代わりに、他の有機塩基、例えばジ(イソプロピル)エチルアミン等を使用することができる。1−メチルイミダゾールは、5−クロロ−1−エチル−2−メチルイミダゾール及び5−ニトロ−1−メチル−イミダゾール等のような他の求核触媒によって置き換えることができる。この反応は、典型的には、テトラヒドロフランのような環状エーテル、アセトニトリル等のようなニトリル、またはジメチルクロライドなどのようなクロロカーボン等のような不活性有機溶媒中において、−10℃乃至溶媒の沸点の範囲の温度にて、5分乃至24時間の範囲の時間にわたって、無水条件下に行われる。
【0088】
反応生成物である3’−O−〔(O−メチル−(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホン化〕ヌクレオシドは、上述のようにして脱メチルかされて3’−O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホン化〕ヌクレオシドのトリエチルアミン塩を与える。
【0089】
代わりの一具体例において、5’−O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオシドを所望する場合には、3’−(及び2’−又は、適切な場合には、塩基−)保護されたヌクレオシドを用いて上記のステップを行うことができる。しかしながら、5’−ヒドロキシ基の高い化学的活性のため、反応条件を調節する必要がある。加えて、一般に、遊離の5’−ヒドロキシル基を担持したヌクレオシドの可溶性は、その5’−ヒドロキシルが保護されている場合には、遊離の3’−ヒドロキシル基を備えたものに比して低く、従って溶媒の調節が必要である。
【0090】
3’−O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホン化〕ヌクレオシドのトリエチルアミン塩は、次いで、3’,5’−O,O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を備えたジヌクレオチドを与えるために、無水条件下に3’−(2’−及び、適切な場合には、塩基)保護されたヌクレオシドと反応させることができる。代わりの一具体例においては、5’−エステルを第2のヌクレオシドの3’−ヒドロキシ基と反応させることができる。
【0091】
図2は、鍵となる出発材料であるO−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートを用いた、チミジン−(3’,5’)−チミジン(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートの製造のための方法の概念的図解である。この工程は、実施例2に詳細に記述されている。Aldrich (Milwaukee, ウィスコンシン州)より入手したシリカゲル60、230 〜400 メッシュによるカラムクロマトグラフィーを実施した。薄層クロマトグラフィーは、Sigma (St. Louis, ミズリー州)より入手したシリカゲルF254プレート上で実施した。溶媒は入手可能な最も高い品質のものを調達しそして乾燥させることなく使用した。質量スペクトルは、VG 70−S又はPerkin-Elmer Sciex API-3 スペクトロメーターによって記録した。31P−NMRスペクトルは、Bruker WP-200 スペクトロメーターにより、外部標準として85%H3 PO4 を用いて81.0MHzにて作動させることにより記録した。 1H及び13C−NMRスペクトルは、GE QE Plus スペクトロメーターにより、外部標準としてテトラメチルシランを用いそれぞれ300.15MHz及び75.48 MHzにて作動させることにより記録した。標準から下方へのシフトを、陽性とした。UVスペクトルは、Beckman DU-65 分光光度計により記録した。逆相HPLC(RP−HPLC)は、Hewlett-Packard 1050システムにより、Whatman Partisphere C18, 5μm,4.7 ×235 mmカラムを用いて実施した。
【0092】
実施例2 チミジン−(3’,5’)−チミジン(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートの製造
O,O−ジメチルプロパルギルホスホネート(3)
臭化プロパルギル(2,図2)〔0.15 mol,トルエン中80%溶液の22.3g〕及び亜リン酸トリメチル(1)〔0.19 mol,23.6,25%モル過剰)を、還流下に5時間攪拌し、次いで蒸留した。低沸点画分は、主として未反応の2及び主たる副生成物としてのO,O−ジメチルメチルホスホネートであった。50〜67℃/0.5 mmHgにおいて沸騰する画分を収集しそして再蒸留して3を得た。沸点69〜91℃/1mmHg(95g,45%)。31P−NMR(CDCl3 ):δ 21.0, 1H−NMR(CDCl3 ):δ 2.8 (dd, 2H, JPH=18.4 Hz, J H1H3=2.5 Hz, PCH2 ), 3.8 (d, 1H, JPH=9.5 Hz, CH), 3.9 (d, 6H, J PH=13.8 Hz, CH3 OP), 13C−NMR(CDCl3 ):δ 16.0 (d, JPC=145.8 Hz, PCH2 ), 53.0 (d, J PC=6.8 Hz, CH3OP). 71.2 (d, J PC=10.6, CH), 73.4 (d, JPC=14.3, CH2C ).
【0093】
O,O−ジメチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート(5)
方法A
デカボラン(4)(0.01 mol,1.2 g)を乾燥CH3 CN(20ml)中に溶解させ、得
られた溶液を還流下に加熱した。15分後、3(0.02 mol,2.8 g)をこの沸騰溶液に加えて加熱を8時間持続した。反応混合物を室温にて終夜放置し、そして濾過した。減圧下に溶媒を蒸発させ、油性残渣をCH2 Cl2 (25ml)に再溶解させた。得られた溶液を水
で(3×20ml)洗浄し、有機層をMgSO4 上で乾燥させ、蒸発させた。油性残渣を
2 Cl2 (20ml)に再溶解させ、次いでヘキサン(250 ml)で再沈殿させた。この
沈殿を濾取し、減圧下ヘキサンを蒸発させて、自発的に結晶化する油性残渣を得た。この結晶をヘキサンで洗浄しそして減圧下に乾燥させた。分析のために、得られた生成物をヘキサンから再結晶させた(収量1.1 g,40%)。
【0094】
方法B
デカボラン(4)(0.02 mol,2.4 g)を乾燥トルエン(350 ml)中に溶解させ、次
いでプロピオニトリル(0.34 mol,18.7g)を加えた。得られた溶液を還流下に15分間加熱し、次いで3(0.017 mol,4.5 g)を加えた。溶液を還流下に5分間加熱し、次いで反応混合物を室温にて終夜放置した。方法Aに記述したようにして生成物5を単離した。収量1.6 g,36%,微細な白色鱗片状晶,融点68〜70℃。元素分析:C5 19PO3 10として;理論値:C,22.55 ;H,7.19;実測値;C,22.74 ;H,7.21; 31P−NMR(CDCl4 )δ 20.7; 1H−NMR(CDCl3 )δ 0.8 -3.4 (b シグナル, 10H, CCHB10H10), 2.8 (d, 2H, JPH=20.3 Hz, PCH2), 3.7 (d, 6H, JPH=10.2 Hz, CH3OP), 4.4 (b s, 1H, CH) ;13C−NMR(CDCl3 )δ 33.2 (d, JPC=144.2 Hz, PCH2), 53.0 (d, JPC=6.8 Hz, CH3OP), 59.84及び67.3 (s 及び s, CCHB10H10).
【0095】
O−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート,トリエチルアミン塩(6)
化合物5(0.66g,2.5 mmol )をジオキサン(5ml)に溶解させ、チオフェノール
(10ml)及びトリエチルアミン(10ml)を加えた。室温にて2時間後、反応混合物を
蒸発させて油性の残渣をCH2 Cl2 に溶解させ、そしてヘキサンで粉砕し、次いで不溶性不純物を除去するために遠心した。ヘキサンを蒸発させて、油性物として6を得、これは冷却により結晶化した。粗生成物6(これは痕跡量のチオフェノールを含有していた)の収量は、0.7 g(70%)であった。粗6は、8の合成に直接使用することができる。分析目的のためには、CH2 Cl2 中の0〜50%CH3 OHを溶離液として用いて、6をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。31P−NMR(CDCl3 )δ 14.8: 1H−NMR(CDCl3 );δ 1.3 (t, 9H, J HH=7.4 Hz, CH3), 1.0-3.1 (b シグナル, 10H, CCHB10H10), 2.6 (d, 2H, JPH=18.4 Hz, PCH2), 3.0-3.1 (m, 6H, NCH2), 3.6 (d, 6H, J PH=9.2 Hz, CH3OP), 4.7 (b s, 1H, CH);13C−NMR(CDCl3 )δ 8.52 (s, CH3CH2N), 34.20 (d, JPC=133.0 Hz, PCH2), 45.77 (s, CH3CH2N), 52.00 (d, J PC=5.9 Hz, CH3OP), 60.38及び70.00 (s及びs, CCHB10H10).
【0096】
5’−O−モノメトキシトリチルチミジン 3’−O−〔O−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート〕(8)
化合物6(0.2 g,約0.6 mmol )及び塩化トリイソプロピルベンゼンスルホニル(0.3 g,1.0 mmol )を乾燥THF(1.0 ml)中に溶解させ、次いで2,4,6−コリジン(0.13ml,1.0 mmol )を攪拌しつつ加えた。室温にて15分後、乾燥THF(0.3 ml)に溶解させた5’−O−モノメトキシトリチルチミジン7(0.15g,0.3 mmol )を加え、1−メチルイミダゾール(0.1 ml,2.0 mmol )を加えた。室温にて2時間の後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をCH2 Cl2 に溶解させた。得られた溶液を水(3×5ml)で洗浄した。有機画分MgSO4 上で乾燥させそして蒸発乾固させた。粗生成物を、溶離液としてCH2 Cl2 中のCH3 OHの0〜2%の段階的勾配を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。8を含有する画分を収集し、有機溶媒を蒸発乾固させた。残渣をCH2 Cl2 中に溶解させ、そしてヘキサンで沈殿させた。沈殿を真空乾燥させ、8を2種のジアステレオ異性体の混合物として得た(0.1 g,44%)。TLC Rf 0.30及び0.37(94:6 CH2 Cl2 −CH3 OH);UV(95%C2 5 OH)λ 265.7 nm,λmin ,250.0 nm,λ230.0 nm:31P(CDCl3 )δ 33.0: 1H−NMR(CDCl3 )δ 1.2 〔s,3H,CH3 (5)〕,0.9-3.1 (bシグナル,10H, CCHB10H10), 2.3-2.6 (m 及びm, 2H, H2'), 2.7及び2.8 (d及びd, 2H, JPH=18.4 Hz, PCH2), 3.4及び4.2 (d及びd, 2H, JHH=9.0, H5'), 3.6 及び3.7 (d及びd, 3H, JPH=9.0 Hz, CH3OP), 3.5-3.6 (m, 1H, H4'), 3.8 (s, 3H, CH3OPh), 4.3及び4.4 (b s及びs, 1H, CH), 5.1 (b m, 1H, H3'), 6.4 (t, 1H, J HH=4.5 Hz, H1'), 7.8-7.9及び7.2-7.4 (m及びm, 14H, arom), 7.5及び7.6 (s及びs, 1H, H6), 8.5 及び8.6 (s及びs, 1H, H3); 13C−NMR(CDCl3 )δ 11.71 [s, CH3(5)], 35.03 (s, C2'), 39.25 (d, PCH2, JPC=34.6), 53.26 (d, CH3OP, JPC=5.1 Hz), 55.17 (s, CH3OPh), 59.74 (s, C5'), 63.06 (C3'), 62.86 及び66.56 (s及びs, CCHB10H10), 84.25及び84.59 (s及びs, C1'), 87.46及び87.53 (s及びs, C4'), 113.29 及び113.32 (s 及びs, C5), 127.40, 128.03, 128.18, 128.23, 130.24, 136.77, 143.34, 158.88 (singlets, arom), 134.32 及び134.38 (s 及びs, C6), 150.14及び150.77 (s 及びs, C2), 163.28 (s, C4).
【0097】
5’−O−モノメトキシトリチルチミジン−3’−O−(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート、トリエチルアミン塩(9)
化合物8(40mg,0.05 mmol )をジオキサン(0.1 ml)中に溶解させ、そしてチオ
フェノール(0.2 ml)及びトリエチルアミン(0.2 ml)を加えた。室温にて5分後、
反応混合物をジエチルエーテルにより沈殿させ、そして不溶性不純物を除去するために遠心した。生成物を含有するエーテル上澄を蒸発乾固させ、そして残渣をCH2 Cl2 に溶解させそしてヘキサンで2度沈殿させた。クロマトグラフィー的に均質である9の収量は29mg(70%)であった。TLC Rf 0.08(9:1 CH2 Cl2 −CH3 OH),0.54(9:1 CH3 CN−H2 O);UV(95% C2 5 OH)λmax 267.0 nm,λmin 244.2 nm;31P−NMR(CDC3 )δ 12.85 ; 1H−NMR(CDCl3 )δ 1.3 (t, 9H, JHH=7.3 Hz, CH3), 1.4 [s, 3H, CH3(5)], 0.6-3.2 (bシグナル,10H, CCHB10H10), 2.5 (d, 2H, J PH=18.4 Hz, PCH2 , 2.9-3.1 (m, 6H, NCH2), 3.3 及び3.5 (d及びd, 2H, JHH=9.0, H5'), 3.8 (s, 3H, CH3OPh), 4.1 (b s, 1H, H4'), 4.8 (b t, 1H, H3'), 4.9 (b s, 1H, CH), 6.4 (m, 1H, 1H'), 6.9 及び7.1-7.4 (d及びm, 14H, arom.), 7.6 (s, 1H, H6), 9.3 (s, 1H, H3); 13C−NMR(CDCl3 )δ 8.54 (s, CH3CH2N), 11.70 [s, CH3(5)], 36.50 (d, J PC=102.0 Hz, PCH2), 40.05 (s, C2'), 45.66 (s, CH3CH2N), 55.23 (s, CH3OPh), 60.34 (s, C5'), 76.24 (C3'), 70.05 及び75.65 (s及びs, CCHB10H10), 84.55 (s, C1'), 87.23 (s, C4'), 113.31 (s, C5), 127.10, 127.31, 127.83, 128.00, 128.35, 128.41, 129.20, 134.00, 135.50, 144.45, 157.25 ( シングレット, 芳香族), 130.38 (s, C6), 151.05 (s, C2), 164.05 (s, C4).
【0098】
5’−O−モノメトキシトリチルチミジン(3’,5’)3’−O−アセチルチミジン(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート(11)
化合物9(16mg,0.02 mmol )及び塩化トリイソプロピルベンゼンスルホニル(8mg,0.025 mmol )を乾燥CH3 CN(0.2 ml)中に溶解させ、そして2,4,6−コ
リジン(5μl、0.035 mmol )を攪拌しつつ加えた。室温にて15分の後、混合物に乾燥
CH3 CN(0.05ml)中の3’−O−アセチルチミジン(10)(10mg,0.035 mmol
)の溶液、続いて1−メチルイミダゾール(2μl,0.025 mmol )を加えた。混合物を
室温にて終夜放置し、次いでCH2 Cl2 (1ml)を加えた。得られた溶液を水で(4
×0.5 ml)洗浄し、そして有機層を分離し、MgSO4 上で乾燥させ、そして蒸発乾固
させた。粗生成物を、溶離液としてCH2 Cl2 中のCH3 OHの0〜3%勾配を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。11を含有する画分を収集し、有機層を蒸発乾固させた。残渣をジクロロメタンに溶解させそしてヘキサンから沈殿させた。得られた沈殿を真空乾燥し11を得た。収量6mg,30%。TLC Rf 0.56(9:1 CH2 Cl2 −CH3 OH),UV(95% C2 5 OH)λmax ,265.0 λmin 245.0 nm,λsh 229.0nm;MS/LSI(FAB+ )1016〔M+2Li〕;31P−MNR(CDCl3 )δ 21.16 及び22.95 ; 1H−NMR(CDCl3 )δ 1.23〔d, 3H, JHH6=3 Hz, CH3(5)], 1.44 [s, 3H, CH3(5)], 1.50-1.72及び2.24-2.48 (b m及びb m, 2H 及び2H, H2'), 0.6-3.2 (bシグナル, 10H, CCHB10H10), 1.88 (d, J PH=8.5 Hz, 2H, PCH2), 2.07 (s, 3H, CH3CO), 3.35-3.58 (m,2H, H5'), 3.78 (s, 3H, CH3OPh), 3.85-4.4 (mm, 4H, H5' 及びH4'), 5.0 (b s, 1H, CH), 5.10-5.25 (b m, 1H, H3'), 6.0-6.4 (b mm, 3H, H3', H1'), 6.70-6.85及び7.10-7.50 (14H, arom.).
【0099】
チミジン(3’,5’)チミジン(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート(12)
化合物11(4.5 mg,4.5 μmol )をCH3 OH(0.15ml)中に溶解させ、濃NH
4 OH(25%,NH3 )を加え(0.15ml)、反応混合物を室温にて30分間維持した(T
LCモニタリング。溶媒系,9:1 CH2 Cl2 −CH3 OH)。溶媒を蒸発乾固させて、5’−O−モノメトキシトリチルチミジン−(3’,5’)チミジン(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートを白色固体として得た〔TLC Rf 0.44(9:1 CH2 Cl2 −CH3 OH)〕。粗5’−O−モノメトキシトリチルチミジン(3’,5’)チミジンカルボラン−1−イル)メチルホスホネート(≒4.5 μmol ) を80%の酢酸(0.5 ml)中に溶解させ、60℃に加熱した。約30分後(TLCモニタリング,9:1
CH2 Cl2 :CH3 OH)酢酸をn−ブチルアルコールと同時蒸発させた。粗生成物をピリジン−CH2 Cl2 中に溶解させ、ヘキサンによる沈殿の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、溶離液としてCH2 Cl2 中のCH3 OHの0〜10%の段階的勾配を用いて精製した。化合物12(2種のジアステレオ異性体の混合物として単離された)を、次いで水に溶解させ凍結乾燥した。収量は2.1 mg(70%)であった。TLC Rf 0.14(9:1 CH2 Cl2 −CH3 OH),0.32及び0.38(85:15 CH2 Cl2 −CH3 OH);UV(95%C2 5 OH)λmax 266.0 nm,λmin 235.0 nm,HPLC(40分間の、0.05M酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)中の5〜50%CH3 CNによる勾配、1.0 ml/分);12−速いRt=20.5分及び21.5分、12−遅いRt=33.9分及び35.5分。質量スペクトル(FAB- )12−速 676.7 〔M−B〕、質量スペクトル(FAB+ )12−遅 725.6 〔M+K〕。
【0100】
B.3’,5’−〔O−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート、〔S−(o−カルボラン−1−イル)アルキルホスホロチオエート、又は〔Se−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエートヌクレオチド間結合
3’,5’−〔(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート,〔S−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート又は〔Se−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエートヌクレオチド間結合を担持したオリゴヌクレオチドは、図3に図解されているように3’,5’−〔(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホネートヌクレオチド間結合を含んだオリゴヌクレオチドについて先に記述したように、5’−O−モノメトキシトリチルヌクレオシド 3’−〔O−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート、〔S−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート又は〔Se−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエートのような適当なモノマーを用いて慣用的に合成することができる。当業者に知られているように、5’位を保護するために多くの他の基、例えばジメトキシトリチル等を使用することができる。語「(カルボラン−1−イル)アルキル」は、(o−カルボラン−1−イル)(低級アルキル)及び特に(o−カルボラン−1−イル)(低級直鎖アルキル)をいう。
【0101】
モノマーの製造は、〔O−メチル−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホネートの合成について先に記述したのと同様に、適当に保護されたヌクレオシドをO−メチル−〔O−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート(31)、O−メチル−〔S−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート(36)、及びO−メチル−〔Se−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエート(41)のタイプの一連の新しいボロホスホリル化剤と反応させ、続いて、完全に保護された中間体、それぞれ30,35及び40を脱メチル化することによって行うことができる。
【0102】
ボロホスホリル化反応(個々のモノマーの合成)は、5’−O−モノメトキシトリチルヌクレオシド 3’−O−メチル−〔O−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホネートについて記述した条件下に進行するが、しかし反応条件(活性化剤、求核触媒、溶媒、温度及び反応時間)は使用される物質に照らして調整される。
【0103】
O−メチル−〔O−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート(31)、O−メチル−〔S−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート(36)、及びO−メチル−〔Se−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエート(41)のタイプのボロホスホリル化剤は、次のようにして製造される。
【0104】
O−メチル−〔O−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート(31)
O,O−ジメチルホスフェート(25)を、適当な活性化剤の存在下、適当な式(n−1)−アルキン−1−オール(26)(式中、n=線状の炭化水素鎖中の炭素原子の数であり、分枝のあるアルキンもまた使用できる)のアルコールと反応させてO,O−ジメチル−(O−アルキニル)ホスフェート(28)を得る。中間体28への別のアプローチは、ピリジン又は他の適当な溶媒中における、O,O−ジメチルクロロホスフェート(27)とアルコール(26)との反応に基づく。両反応は、リン酸化の周知の方法〔Methoden der Organische Chemie, Organische Phosphor-Verbindungen (Houben-Weyl), Band XII/1 及び XII/2, George Thieme Verlag, Stuttgart, 1964;また同様にBand E1 及び E2, 1982 〕に従って実施される。28とデカボラン(29)との反応、及び、(31)へ至る中間体O,O−ジメチル−〔O−(カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェート(30)の選択的脱メチル化(メチル基のうちの一個の除去)は、O−メチル−〔(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホネートの合成について記述したのと同様に実施することができる。(30)への別のアプローチは、上述のようにO,O−ジメチルホスフェート(25)又はO,O−ジメチルクロロホスフェート(27)と(o−カルボラン−1−イル)アルキロール(32)との反応に基づくものである。(o−カルボラン−1−イル)アルキロール(32)は、ヒドロキシの保護されたアルキノールとドデカボランとの反応及びこれに続くヒドロキシ官能基の脱保護によって製造することができる。
【0105】
O−メチル−〔S−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート(36)
標記化合物を製造するために数種のアプローチを用いることができる。最も単純なものは、O,O−ジメチルホスホロチオエート(33)と適当な(n−1)−アルキン−1−ブロマイド(34)(n=炭化水素鎖中の原子数;直鎖の並びに分枝したアルキンを使用でき、並びにクロライド又はヨーダイド誘導体)との間のアルキル化反応及びこれに続くドデカボランとの反応及びメチル基の選択的除去である〔Methoden der Organische Chemie, Organische Phosphor-Verbindungen (Houben-Weyl), Band XII/1 及び XII/2, George Thieme Verlag, Stuttgart, 1964;また上記と同様にBand E1 及び E2, 1982 〕。
【0106】
O−メチル−〔Se−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロセレノエート(41)
標記化合物は、O,O−ジメチルホスホロセレノエート(38)を使用することを除き、O−メチル−〔S−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスホロチオエート(36)について記述したようにして製造することができる。別の一方法は、O,O−Se−トリメチルホスホロセレノエート(39)の、適当な(n−1)アルキン−1−ブロマイド(34)との反応及びこれに続くドデカボラン(29)との反応、又は〔(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ブロマイド(37)との直接の反応、そしてこれらに続くメチル基の選択的除去に基づくものである。第2の方法は36の合成にも使用することができる。
【0107】
C.3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を含んだオリゴヌクレオチドの製造
3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を含んだジヌクレオチドは、選択的な脱保護及び2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホラミダイトによるその3’末端の亜リン酸化の後、1個又はより多くの変性(カルボラン−1−イル)メチルホスホネート結合を担持した一層長いオリゴヌクレオチドを固体支持体上での自動的合成によって合成するための構築ブロックとして使用することができる。例えば、Applied Biosystems User Bulletin No. 43 1987, Applied Biosystems, Foster City, CA.を参照のこと。1個又はより多くの3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を含んだオリゴヌクレオチドはまた、当業者に既知の溶液法を用いても製造することができる。
【0108】
天然のオリゴヌクレオチドは、酵素により小規模に日常的に製造されている。変性オリゴヌクレオチドもまた、酵素を用いて製造することができる(Lesnikowski, Z.J., Bioorganic Chem, 1993, 21, 127-155.を参照)。(カルボラニル−1−メチル)ホスホネートオリゴヌクレオチドの酵素的合成は、メチルホスホネートオリゴヌクレオチド類縁体の酵素的合成(Lesnikowski,上記) の変法として実施することができる。
【0109】
D.カルボラニル含有塩基単位を含んだオリゴヌクレオチドの製造
本発明の背景において記述したように、塩基単ににカルボラニル部分を備えたヌクレオシドは、先に報告されている。しかしながら、本出願は、選択された塩基単位中にカルボラニル部分を備えた1個又はより多くのヌクレオシドを含んだオリゴヌクレオチドについての最初の開示であると信じられる。驚くべきことに、カルボラニル含有の塩基を当該ヌクレオシドの何れにでも含んだ有用なオリゴヌクレオチドが製造できる一方で、カルボラニル含有の塩基が3’又は5’末端に、又はこれら3’又は5’末端ヌクレオシドに隣接したヌクレオシド中に、又はこれらの組み合わせにおいて含むことが好ましいということが発見された。
【0110】
オリゴヌクレオチドの自動化された製造のための方法が上に記述されている。この開示を与えられれば、当業者は、多様な範囲の適用のための、カルボラニル含有の塩基単位を備えた広範な種々のオリゴヌクレオチドを如何にして製造するかを知るであろうが、それらは本発明の範囲内に入ることが意図されている。1個又はより多くのカルボラニル含有の塩基を含んだオリゴヌクレオチドはまた、当業者に知られた溶液法を用いても製造することができる。
【0111】
実施例3は、12個のチミン残基を含んだオリゴヌクレオチドの製造のための詳細な記述を提供するが、ここに1個又はより多くのチミジン塩基が5位にカルボラニル部分を含んでいる。実施例4は、実施例3において製造されたオリゴヌクレオチドの詳細な物理的特徴を提供する。これらの実施例は単に説明用であり、本発明の範囲を制限することを意図したものでない。
【0112】
実施例3 5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−O−デオキシウリジンを含んだドデカチミジレートの製造
5’−O−ジメトキシトリチルチミジン 3’−(N,N−ジイソプロピル−2−シアノエチル)ホスホラミダイトをChem-Impex International (Wood Dale, イリノイ州, ロット番号105198)より入手した。チミジンを付加した1μM CPG(ポアサイズ500 Å)カラムをApplied Biosystems (Foster City,カリフォルニア州) より調達した。
5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−O−デオキシウリジン(CDU)(13,図4を参照)
5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−O−デオキシウリジン(CDU)(化合物13,図4)は、5−ヨード−2’−O−デオキシウリジンより、Yamamoto, Y., Seko, T., Rong, F.G., Nemoto, H., Tetrahedron Lett., 1989, 30, 7191-7194によって詳細に記述されているようにして、5段階の手順で得た。
【0113】
5−(o−カルボラン−1−イル)−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−デオキシウリジン(14)
3を無水ピリジンと共に同時蒸発させた後、CDU(400 mg,1.08 mmol )をアルゴン雰囲気下に無水ピリジン(10ml)中に溶解させた。攪拌中の溶液に、4,4’−ジメ
トキシトリチルクロライド(457 mg,1.35 mmol ,1.25当量)を加えた。アルゴン下に室温にて6時間攪拌の後、反応を1mlのメタノールで停止させ、次いでCH2 Cl2
30ml)で希釈した。混合物をNaHCO3 の飽和溶液(25ml)で次いで水(2×25m
l)で洗浄した。有機層をとり、NaSO4 上で乾燥させ、濾過し、次いで減圧乾燥し、
そしてトルエンと共に蒸発させた。残った泡状物をCH2 Cl2 に溶解させ、シリカゲルカラムに適用した。溶離液としてCH2 Cl2 中のCH3 OHの0%から5%までの勾配を用いた。目的の生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を減圧下に蒸発させ、次いで残渣をn−ヘキサン中で沈殿させて5’−O−ジメトキシトリチル−CDUを白色粉末として得た(497 mg,68%収率)。 1H NMR(CDCl3 )δ 7.81 (s, 1H, NH); 7.51-7.319 (m, 10H 及び9H- arom.); 6.96 (m, 4H, OCH3 のαにあるH); 6.23 (t, 1H, H-1'); 5.78 (bs, 1H, H-カルボラニル); 4.50 (m, 1H, H-3'); 4.21 (m, 1H, H-4'); 3.90 (s, 6H, 2xOCH3); 3.60 (m, 1H, H-5'')); 3.35 (dd, 1H, H-5" (H-5'); 3.12 (d, 1H exch, OH-3'); 3.2-1.2 (bm, 10H, B10H10のH); 2.61 (m, 1H, H-2' (H-2")); 2.15 (m, 1H, H-2'' (H-2').
【0114】
5−(o−カルボラン−1−イル)−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−デオキシウリジン−3’−〔N,N−ジイソプロピル−β−シアノエチルホスホラミダイト〕(15,図4を参照)
化合物14(200 mg,0.297 mmol )を、新たに蒸留した無水CH2 Cl2 (1.2 ml)中に溶解させた。アルゴン雰囲気下に5分間攪拌した後、ジイソプロピルエチルアミ
ン(DIEA,207 μl,1.19 mmol ,4当量)をアルゴン下に滴下し、続いて亜リン酸
化剤である2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルアミノクロロホスフィン(100 μl
,0.445 mmol ,1.5 当量)を加えた。反応を、n−ヘキサン−酢酸エチル−トリエチルアミン(50:49:1)をもちいてTLCによってモニターした。アルゴン下に室温にて1時間攪拌した後、過剰の亜リン酸化剤を加え(20μl,0.089 mmol )そして反応を30分
間続けた。混合物を次いで、新しくAl2 3 を通過させた酢酸エチル(10ml)で希釈
し、そして食塩溶液(6ml)中に注いだ。有機層を食塩水で更に2回洗浄(2×6ml
)した後、Na2 SO4 上で乾燥させ、濾過し、そして真空下に蒸発乾固させた。後に残った油状物をついで高真空下に乾燥させて過剰のジイソプロピルエチルアミンを除去し、白色の泡状物を得た。粗生成物の精製は、溶離液としてn−ヘキサン−酢酸エチル−トリエチルアミンを比率90:9:1乃至20:79:1で用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって行った。3’−ホスホラミダイトCDUをジアステレオ異性体混合物として含有する適当な画分を合わせ、真空下に蒸発させた。目的の化合物15を、次いで、−20℃に冷却したn−ヘキサン中において沈殿させ、ペレットを高真空下に20時間更に乾燥させた(217.7 mg,84%収率)。31P−NMR(CDCl3 )δ 149.90及び149.61 ppm. 1H−NMR(CDCl3 )δ 7.99 (s, 1H, NH); 7.74-7.17 (m, 10H, H-6及びH-arom.); 6.81 (m,4H; OCH3のαにあるH); 6.11 (m, 1H, H-1'); 5.65 (bs, 1H, H-カルボラニル); 4.48 (m, 1H, H-3'); 4.22 (m, 1H, H-4'); 4.13 (m, 1H, H-5' (H-5"); 3.77 (2s, 6H, 2 OCH3); 3.74-3.19 (m, 5H, H-5', H-2'及び H-2", NCH2(CH3)の2個のH); 2.72 (t, 1H, POCH2CH2CNのH); 2.58 (t, 2H, POCH2CH2CN のH); 2.42 (t, 1H, POCH2CH2CNのH); 3.2-1 (bm, 10H, B10H10のH); 1.2 (sev d, 12H, NCH(CH 3)2 のH).
【0115】
CDU含有ドデカチミジレート(19〜24)及び未変性d(T)12(18)、及びd(A)12(19)の自動的合成
1個又は2個の5−(o−カルボラン−1−イル)ウラシル残基を、12マー18(表1を参照)の第1の(化合物19)、第2の(化合物20)、第7の(化合物21)、第11の(化合物22)、及び第10及び第11の(化合物23)、並びに第1及び第11両方の(化合物24)位置に担持したドデカチミジル酸類縁体が、標準的β−シアノエチルサイクル(例えば、Applied Biosystems USER Bulletin No. 43, 1987, Applied Biosystems, Foster City, カリフォルニア州、を参照のこと。図6 に図解)を用いて固相自動合成によって得られた。5’−O−ジメトキシトリチルチミジン(1μM)で官能化された制御された多孔質ガラスを充填したカラムを利用した。全ての5’−ジメトキシトリチル3’ホスホラミダイト誘導体を、無水CH3 CN中の0.09M溶液として調製した。オリゴヌクレオチドの延長は、濃縮時間を変更することなく標準的なβ−シアノエチル 1μM DNA合成サイクルを用いて実施された。5’−ジメトキシトリチル基の自動的除去の後、濃アンモニア中における室温での1時間のインキュベーションによりオリゴヌクレオチドを支持体から切り離した。脱保護されたオリゴヌクレオチドは、HPLCにより精製されそして、選ばれた場合については、ニド−〔ニド−7,8−C2 9 (11または12) 〕及びクロソ形〔クロソ−1,2−C2 1012〕へと分離された(図6及び表1を参照)。Kane, R.R., Pak, R.H., Hawthorne, M.F., J. Org. Chem., 1993, 58, 991-992.
【0116】
トリチルの遊離によれば、CDU−含有オリゴヌクレオチド(化合物19−24)の合成全体についての収率は、未変性の(dT)12(化合物18)と同程度であった。従って、ウラシルの5位における嵩だかいカルボラニル置換基の存在は、カップリング反応に影響を及ぼさないように思われる。
【0117】
【表1】

【0118】
a クロソ/ニドオリゴマーをHPLCにより分離してTm 実験において別々に用いた。b クロソ/ニドオリゴマーをHPLCにより検出したがTm 実験において混合物として用いた。HPLC条件:緩衝液A:0.05M酢酸トリエチルアンモニウム(TEAA)(pH=7.0 ),緩衝液B:0.05MのTEAA含有CH3 CN/H2 O(50/50)。c 21%Bから23%Bまで25分;d 26%Bから40%Bまで25分,60%Bまで5分そして60%Bで5分;e 30%Bから55%Bまで20分;f 26%Bから40%Bまで25分;g 30%Bから40%Bまで25分;h 30%Bから60%Bまで25分そして60%Bで5分。120 mMのNaClのPIPES緩衝液中におけるTm ;Tm 対 log( ナトリウムイオン活量)の線形プロットは、15±1℃の勾配を与えた。i d(A)12を二本鎖形成のための相補的鎖として使用した。j ポリリボアデニル酸を標的として使用した。
【0119】
実施例4 5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−O−デオキシウリジン含有ドデカチミジレートの特徴付け
実験手順
Crotalus durissus terrificus蛇毒 (lot 119f0730) からのホスホジエスレラーゼI(EC 3.1.4.1) タイプVIII をSigma (St. Louis, ミズリー州)から入手した。ポリアクリルアミドは、International Biotechnologies Inc. (New Haven,コネチカット州)より調達した。ビスポリアクリルアミド及び尿素は、Fischer Scientific (Fair Lawn,ニュージャージー州)より購入した。オリゴマーについての熱融解曲線は、DellマイクロコンピューターにインターフェースしたVarian Cary 4 分光光度計によって測定した。LSIMS質量スペクトルは、Finnigan MAT 95 により13keVで作動するCs+ ガンで(グリセリンマトリックス)又はVS 70−Sスペクトロメーターで記録した。円二色性スペクトルは、IBMコンピューターにインタフェースしたJasco, J-600分光偏光計によって記録した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、BRL装置(Gaithershburg,メリーランド州) を用いて行った。
【0120】
カルボラニル変性ドデカチミジレート(19〜24)のHPLC分析は、Whatman Partisphere C18 5μm,4.7 ×235 mmカラムを取り付けたHewlett-Packard 1050システムによって行った。全ての分析は室温にて行った。典型的には、溶離液として0.05M酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAA)(pH7.0 )中のCH3 CNの0%から50%までの勾配が、流速1.0 ml/分で用いられた。個々のオリゴヌクレオチドについて用いら
れた保持時間(Rt)の値及び条件は、表1に示されている。
【0121】
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)
変性オリゴヌクレオチド(19〜24)の標識された又は標識されていないサンプル及び、上記に従って製造したドデカ(チミジンホスフェート)(18)を、7M尿素を含んだ20%ポリアクリルアミド変性ゲルを用いて、45分間50mAにて電気泳動により分離した。サンプルを、標準のオートラジオグラフィーを用いてX-Omat AR フィルム (Eastman Kodak, Rochester, ニューヨーク州) 上に又は、無標識のオリゴヌクレオチドの場合には紫外線シャドーイングによって視覚化した。
【0122】
CDU含有ドデカ(チミジンホスホネート)(19〜24)
変性されたオリゴヌクレオチド19〜24及び無変性のドデカ(チミジンホスフェート)(18)(各20 pmole)を、0.5 μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ及び10μCi〔
32P−γ〕ATP(5000Ci/ mmol )の存在下、10mMのMgCl2 及び5mMのジチオスレイトールを含んだ70mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6 )中、37℃にてインキュベートした。反応混合物の最終液量は10μlであった。30分後、酵素を熱不活性化させるため
反応混合物を92℃にて2分間インキュベートした。その後、10X 追跡染料(水(5μl)
中の0.5 %ブロモフェノールブルー,0.5 %キシレンシアノールFF,30%グリセロールを反応混合物に加えそして5μlの部分量PAGEにより分析した。
【0123】
融解温度(Tm )測定
Tm 測定のためのサンプルは、濃縮されたd(T)12(18)又はCDU変性d(T)12(19〜24)及びd(A)12原液を、1.0 mlの100 mMのNaCl及び1mMのE
DTAを含有する10mMの1,4−ピペラジン−ビス(エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝液(pH7.0 )に、1:1の比になる量で加えることによって調製した。各鎖は、40μMで存在した。分子吸光係数ε260 (塩基当たり)は、次の通りに算出された:18:8,150 ;d(A)12:12,280;19〜24:8,200 。サンプルを85℃まで加熱し、そして徐々に融解前の室温まで冷却した。紫外線分光光度計の隔離された細胞コンパートメントを、毎分0.5 ℃の速度で0℃から85℃まで連続的に加温した。サンプルは、テフロンの蓋を嵌めてある水晶のキュベット(光路長1cm)中において加熱された。260 nmにおける吸光度の変化を、温度の関数として追跡し、そして、視覚化及び解析のため、データがMacintosh コンピューターに移転された後、Tm 値を第1導関数プロットより得た。
【0124】
円二色性(CD)測定
CDスペクトルは、10℃にて、凝縮を防止するために窒素ガスを流したジャケット付きのセル中において得られた。サンプルは、0.5 mMのEDTA及び100 mMのNaClを含有する2.7 mlの3.75mMリン酸緩衝液(pH7.0 )へのオリゴマー19〜24の濃縮
された原液の添加によって調製した。天然の又は変性されたd(T)1219〜24を含んだキュベットに、d(A)12溶液を1:1の比を与えるのに適当な量で加えた。二本鎖の形成のためには、サンプルは85℃に加熱され、そして室温まで徐々に冷却された。CDスペクトルは、一本鎖及び二本鎖について320 乃至200 nmにおいて得られた。
【0125】
分子モデル化
カルボランのかごが配列の種々の部位において変性されたDNAの安定性に及ぼす相対的影響を評価するために、AMBER全原子力場及び方程式による分子機構法を使用した。カルボランは、固定した構造的凝集体として処理した。局部的DNA情報に対するカルボラニル含有塩基単位の効果が評価された。
ホスホジエステラーゼI(EC 3.1.4.1)に対するドデカ(チミジンホスフェート)含有
【0126】
CDU(19〜24)の抵抗性:
20mMのMgCl2 を含有する100 mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.9 )(90μl)に
、0.1 A260 ODUのオリゴヌクレオチド19〜24(5μl)、1.5 ×10-3単位(5μ
l)のホスホジエステラーゼを加えた。酵素不含のブランク及び、d(T)12との対照反
応を同時にアッセイした。反応を37℃にて10分間維持し、次いで50μlの部分量をHPL
Cによって上記の条件下に分析した。
【0127】
結果:
カルボラニル変性オリゴヌクレオチド合成における一つの困難は、中性のクロソ−形のホウ素かごの、1価の負の電荷を担持したニド形かごへの比較的容易な変形であり、それはある場合には、純粋なクロソ化合物を合成することを困難にしている。比色アッセイ(ニド−及びクロソ−カルボラニル化合物の検出のためのTLC噴霧:1%HClの0.5 l中30mgのPdCl2 )及びHPLC分析を用いて、用いたCDUサンプルが5%までのニド化合物によって汚染されていたということが決定された。ニド異性体の形成は、塩基性条件下におけるCDUのベンゾイル化されたヒドロキシ基の脱保護の間に起こり得る。ニド形のホウ素クラスターを担持する、CDU変性されたオリゴヌクレオチドは、逆相HPLCカラム上への一層短い保持時間によって特徴付けられる(表1)。これはこれら2つの成分の容易な分離を許容する。分離されたニド及びクロソ−CDUオリゴヌクレオチドの融解温度測定は、両方の形のCDU変性についてのTm において、何ら有意な差を示さなかった(表1)。
【0128】
5’−末端〔32P〕標識オリゴヌクレオチド18〜24は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分析したところでは均質であり、同一の電気泳動性を示した。クロソ−カルボラン誘導体は、ピロリジン処理により容易に純粋なニド形に変換することができる。Kane, R.R., Lee, C.S., Drechsel, K., Hawthorne, M.F., J. Org. Chem., 1933, 58, 3227-3228. この方法が、CDU及びCDU(dT)11を純粋なニド構造に変形させるために用いられた。
【0129】
CDU変性ドデカチミジル酸及びd(A)12の間に形成された二本鎖の融解温度は、オリゴヌクレオチド鎖中のCDUの位置に強く依存しそしてカルボラニル残基のクロソ/ニド状態には影響を受けない(図7及び表1)。従って、1位(19)、7位(21)及び11位(22)においてCDUによって変性されたCDUオリゴヌクレオチドが、クロソ及びニド誘導体へとHPLCによって分離され、そしてそれらの融解温度が独立に測定された。クロソ及びニド形についてのTm は、同一タイプのオリゴヌクレオチド変性(3’−,5’−末端又は中間位置)内においては、殆ど同一であることが発見された。しかしながら、CDUの位置の影響は顕著であった。5’−変性、並びに1位(19)及び2位(20)は、無変性の(dT)12に比して二本鎖の安定性に目立った影響を及ぼさなかった。すなわちそれぞれのTm は、28.0,27.2及び29.0°であった。対照的に、オリゴヌクレオチド鎖の中央部位(7位、21)の変性は、最も低いTm 値である15.2℃によって認識されるように、二本鎖の安定性を顕著に低下させた。11位におけるCDUの存在による効果はより目立たないものであった。3’末端変性オリゴヌクレオチド10によって形成された二本鎖のTm は20.5℃まで低下した。第2のCDUヌクレオシドを3’末端に挿入すること(23)は、二本鎖の更なる不安定化及び15.3℃までのTm 値の低下を引き起こした。二本鎖の安定性に対する3’及び5’末端変性の多様な結果は、上記データから明らかである。3’末端におけるCDUヌクレオシドの挿入は、5’末端における挿入に比して一層好ましくない効果を有するように思われる。このことは、CDUヌクレオチドがそれぞれ5’末端及び3’末端から第2の位置にある、オリゴヌクレオチド20及び22のTm 値を比較することによってよく説明される。Tm における差は7〜8℃でありこれは有意であり、そして隣接する塩基とのカルボラニルクラスターの相互作用の重要性を明らかにした。
【0130】
これらの結果は、CDU変性オリゴマーとポリ(rA)との間に形成された二本鎖のTm 測定値と一致した。オリゴヌクレオチド鎖中におけるCDUヌクレオシドの位置は、より大きい不安定化効果を誘導し、それは変性が3’末端により近いときに一層顕著であった。
【0131】
類似の条件下に記録された一本鎖(dT)12(18)及びCDU変性(dT)12(19〜24)の円二色性(CD)スペクトルは、それらの形及び分子楕円率の値において殆ど同一であった(図8を参照)。このことは、カルボラニルオリゴマーについて、(dT)12(18)標準と較べて、溶液中での同一のコンフォメーションを示唆している。CDU変性されたオリゴチミジレート(20〜24)と無変性の(dT)12(18)及び(dA)12との間に形成された二本鎖のCDスペクトルは、246 nmにおける分子楕円率の大きさの減少を示し、それは二本鎖の熱的安定性の増大と相関した(図9)。
【0132】
ヌクレアーゼに対するオリゴヌクレオチドの安定性は、生体内適用のための重要な要素である。3’−エクソヌクレアーゼ活性が、血清中における無変性アンチセンスオリゴヌクレオチド分解の殆どを担っていることが知られている。Vlassov, V.V., Yakubov, L.A., Prospects for Antisense Nucleic Acid Therapy of Cancers and AIDS, 1991, 243-266, Wiley-Liss, Inc., New York; Nucleic Acids Res., 1993, 21, 145.
【0133】
オリゴヌクレオチド鎖中の全ての天然のホスホジエステル結合のメチルホスホネート結合による置換は、エクソ−及びエンドヌクレアーゼに対するオリゴヌクレオチドの完全な安定性を保証する変性の一例である。3’−エクソ核酸溶解活性(3’末端からのオリゴヌクレオチドの加水分解)に対するCDUオリゴヌクレオチドの抵抗性を試験するために、Crotalus durissus terrificusからの蛇毒ホスホジエステラーゼ(SVPD)を使用した。もしもCDU残基が3’末端に又3’及び5’末端の両方に導入されているならば、3’−エクソヌクレアーゼに対してこれらのオリゴヌクレオチドが顕著に安定であることが見出された。3’及び5’変性を担持したオリゴヌクレオチド(24)はまた、SVPD及び子牛脾臓ホスホジエステラーゼに対しても抵抗性であった。
【0134】
カルボラニル含有塩基を有する変性オリゴヌクレオチドはまた、ヒト免疫不全症逆転写酵素を含む種々のポリメラーゼのためのプライマーとしても働きうる。
【0135】
種々の位置において変性された二本鎖DNAの安定性に対するカルボランかごの相対的効果を評価するために、分子機構法を適用した。この目的のためには、AMBER全原子力場法(Singh, U.C., Weiner, P.K., Caldwell, J., Lollman, P.A. AMBER 3.0, University of California: San Francisco, カリフォルニア州, 1986).を参照。カルボラン置換基と隣接塩基との間には有意な不利的相互作用があり、その相互作用は、DNAの右手方向捩れのために配向において非対称であった(図10を参照)。このことは、5’及び3’−CDU変性(dT)12(19〜24)の間における二本鎖の熱的安定性について観察された顕著な差と一致する。例えば、オリゴヌクレオチド5’−CDUd(T)11(19.1)は、5’d(T)6 CDUd(T)5 (21.1)についての15.2℃というTm に比して、28.0℃というTm によって特徴付けられる(表1)。(dT)12(dA)12についてのエネルギー最小化結果は、(dT)12鎖の5’末端の置換が、(dT)12の3’側の置換された二本鎖に比して、有意に低い全体の螺旋のエネルギーを与えることを示した。二本鎖の内部塩基の置換は、なお一層大きな螺旋の不安定化を引き起こす。
【0136】
5’置換二本鎖については、カルボランの塩基との相互作用は殆どなくそして螺旋の全体的幾何学形状は無置換の二本鎖と同様である。二本鎖の3’末端においては、末端効果及び二本鎖の末端における塩基対の運動の自由のために、立体的衝突から来る緊張の幾らかを解放するために塩基は歪みうる。螺旋の中央にあるCDU置換された塩基は、同様な立体的衝突を有するが、それらは螺旋の3’末端にある塩基対の柔軟性を有しない。
【0137】
実施例5 SVPDの3’−エクソヌクレアーゼに対するCDUオリゴヌクレオチド安定性の動力学的研究
3’−CDU−,3’,5’−CDU−及び3’CDU2 −オリゴヌクレオチドの半減期(T1/2)が、SVPDE(蛇毒ホスホジエステラーゼ)によるそれらの分解の動力学的
研究によって決定された。酵素反応の部分(0,5,10,20,40,80,及び240 分)をHPLCにより分析した。半減期の計算は、12マー(又は、CDU変性オリゴの場合には11マー)の消失に基づいて、内部標準として使用した2’−デオキシシチジンと標準化した後に行った。結果は表2に与えられている。
【0138】
【表2】

【0139】
III. 変性オリゴヌクレオチドの他の性質の決定
ここに記述された化合物の水中及び血清中安定性、細胞取込み、細胞洗い出し、及び分配係数の評価のための方法が以下に与えられる。好ましい(しかし必要ではない)一具体例においては、生体内目的で選択された化合物は、以下に記述された条件下において少なくとも1時間の水中安定性、少なくとも1時間の血清中安定性、少なくとも投与量の1%の細胞取込み、少なくとも1時間の細胞洗い出し、及び適当な脂質親和性を示す分配係数を呈する。
【0140】
オリゴヌクレオチド安定性試験
(a)緩衝液中:100 μlの適当な0.2 Mリン酸緩衝液(KHPO4 /KOH/H3
4 )中に10ODUのオリゴヌクレオチドを溶解させることによって、5種のサンプル(pH3〜7)を調製し、そして4℃、22℃及び37℃に維持した。指定された時間間隔で、各溶液の10μlの部分量をHPLCで分析した。混合物成分の濃度は、オリゴヌクレオチ
ド及び仮定された分解生成物についての曲線下の全面積に対するパーセントとして計算した。
(b)ヒト、マウス、及びラット血清中におけるオリゴヌクレオチドの安定性。
オリゴマーの安定性は、ヌクレオチドを37℃にて所望の時間インキュベートし、タンパク質を冷60%MeOH/H2 Oにて沈殿させそして上澄を凍結乾燥した後、サンプルを緩衝液中に再懸濁させ、部分液をHPLCによって分析することによって決定した。オリゴヌクレオチドの安定性を決定するために逆相Merck RP-18,5mm×25cmカラムを使用した。移動相は、酢酸トリエチルアンモニウム中のアセトニトリル(又は類似の系)である。等積の1ml/分の流れが使用され、そしてピークは260 nmに設定されたUV検出器
を用いてモニターされた。
【0141】
細胞取込み試験
薬物の細胞内プロフィールを追跡するために、無標識の又は放射性標識したオリゴヌクレオチドを用いて3重の試験を行った。例えば、ヒト神経膠腫細胞U251 (2×106 個)が、10%の胎仔牛血清アルブミン及び抗生物質を含有する培地中に懸濁され、そして37℃にて5%CO2 中でインキュベートされた。実験は、2〜10μM〔 3H〕−オリゴマー(特異的活性は、約1,000 −2,000 DPM/ pmole)の添加によって開始し、そして細胞を1,2,4,6,12,及び24時間薬物に曝す。培地を除去しそして細胞を冷Hank's平衡塩類溶液で3回洗浄する。抽出は1mlの60%冷メタノール/水の添加及びこれに続く−70
℃における終夜貯蔵によって行う。懸濁液を次いで遠心し、そして上澄を凍結乾燥する。残渣を250 μlの水に再懸濁させ、そして50〜100 μlを含有す部分量をHPLCにより
分析する。細胞内オリゴマーの定量は、我々の研究室において開発したHPLC法によって行われる。必要なら、生理学的pHに近い緩衝系が使用される。
【0142】
細胞洗い出し試験
パルス後の種々の時間において薬物の除去後に細胞内に検出されるオリゴマーの細胞内プロフィールを追跡するために、無標識の又は放射線標識した薬剤を用いて試験を行った。細胞(2×106 個)を血清を補充した適当な培地中に懸濁させ、そして37℃にて5%CO2 のインキュベーター中でインキュベートした。利用した放射性標識した薬物の濃度は2及び10μMである。細胞をこの標識した化合物で所望の時間パルスした後、細胞を徹底的に洗浄しそして薬物を含有しない新鮮な培地を補給する(0時間)。0,2,4,6,24,及び48時間(第2のインキュベーション時間)において、細胞を除去し直ちに60%冷エタノール/水で抽出する。抽出液は、遠心及び細胞ペレットを除去することによって得られる。抽出液を凍結乾燥し、そして−70℃にて貯蔵する。この材料は200 μlのHPL
C緩衝液中に再懸濁され、そして直ちに分析される。細胞内オリゴマーの定量は上記の通りに行われる。
【0143】
分配係数決定
オリゴヌクレオチド(1mg/ml)を水に溶解させ、次いで1mlのオクタノールを
加える。2時間震盪させることによって化合物をこの2種の溶媒の間で分配させる。薬物の濃度はHPLCにより異なった相中に定量される。
【0144】
IV. カルボラニル含有ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの使用の方法
A.ホウ素中性子捕獲療法における使用
ここに記述したカルボラニル含有のヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドは、ホウ素中性子捕獲療法ににおいて種々の疾患を、特に、癌、例えば脳神経膠腫、黒色種、及び乳癌等を治療するために使用できる。BNCT法は、当業者に周知であり、例えば、Hatanaka et al, Z. Neurol., vol. 204, pp. 309-332 (1973); Tolpin et al., Oncology, vol. 32, pp. 223-246 (1975); 米国特許第5,130,302; 5,066,479; 5,021,572; 4,959,356及び4,855,493;並びにBarth et al, Cancer Res., Vol. 50, pp. 1061-1070 (1990).に詳細に記述されている。一例として、その必要のある患者が、開示された本化合物の1種又はより多くものの有効量で処置され、次いで中性子、好ましくは熱外中性子に曝されるが、5×1012n/cm2 (合計線量)を超えてはならない。カルボラニル含有ヌクレオシド又はオリゴヌクレオチド又はこれらの組み合わせの、この目的に好ましい投与量は、一回投与量0.01乃至100 mg/kg体重であり、そして好ましくは静脈内に投与される一回投与量0.1 乃至20mg/kg体重である。化合物を神経膠腫細胞等のような特定の細胞内に蓄積させるために、投与量をパルスすることは有利でありうる。本化合物は如何なる適切な時に投与してもよく、そして典型的には中性子照射の30分乃至1時間前に投与される。
【0145】
B.抗ウイルス活性
ここに開示された多くのカルボラニル含有化合物が、抗HIV又は抗HBV活性を含む抗ウイルス活性を示す。本化合物は、種々の方法、例えば、Biochem Pharma, Inc.によって出願された欧州特許出願92304551.2及び92304552.0; Emory Universityによって出願されたPCT 公開 WO 92/14729及びWO 92/14743 、及びSchinazi, et al., Antimicrobial Agents Chemother., 34, p. 1061 (1990) に開示されているもののような方法を用いて、抗HIV活性につき容易に評価することができる。
HBVを阻害するホウ素クラスターヌクレオシドの能力はまた、実験的技術を用いて測定することができる。HBVの複製を阻害する開示された本化合物の能力を評価するのに使用される通常のアッセイは、Korba and Gerin, Antiviral Res. 19: 55-70 (1992)に詳細に記述されている。
【0146】
C.ホウ素クラスターオリゴヌクレオチドの位置指定突然変異導入法を行う能力
位置指定突然変異導入法(SDM)は、タンパク質をコードする核酸配列中に突然変異をおこさせる既知の技術である。一般に合成オリゴヌクレオチドが、標準の条件下に生体内又はin vitroで最初に標的核酸配列にハイブリダイズされる(Baumgart, P.M., Kliem, H-C., Gottfried-Akacker, J., Wiessler, M. Schmeiser, H.H., 1993, Nucl. Acids Res., 21, 3755-3760)。核酸配列の転写又は翻訳に際して、それぞれ偽の核酸又はアミノ酸配列が産生される。 ここに開示した合成のホウ素クラスター含有オリゴヌクレオチドは、生体内又はin vitroで位置指定突然変異導入を行うことができることが発見された。カルボラニル含有オリゴヌクレオチドを細胞内に挿入することによって、特に、ウイルスの、真核細胞の、又は原核細胞のゲノムを突然変異させることができ、細胞内ではオリゴヌクレオチドが核酸配列に、転写又は細胞分裂に際して突然変異を引き起こす仕方でハイブリダイズする。突然変異させることのできるウイルス核酸の例としては、HIV及びHBVを含む肝炎ウイルスがある。
【0147】
一例として、変異原性オリゴヌクレオチド及びDNA修復機構を欠いた突然変異E.coli株(またはネステッド(nested) PCRを、発現したHIV−1逆転写酵素の突然変異を起こさせるのに用いることができる。突然変異修復- DNAポリメラーゼ及び逆転写酵素は同じように機能するから、完全なウイルスゲノムの発現を次に行わせるために、生体内でHIV─1のRNA逆転写に際して、位置指定突然変異導入を実施することが可能である。ウイルス複製サイクルの更なる段階における突然変異した逆転写酵素遺伝子の発現は、機能しない酵素の産生をもたらし、それが今度はウイルスの複製を阻害することができる。HIVの他の標的領域における突然変異もまた、所望により、適当な配列を用いておこさせることができる。
【0148】
実施例6は、E.coli細胞中の適当なベクター内に導入された、YMDDモチーフ(motif)内の逆転写酵素の生体内突然変異を記述している。この変異原性オリゴヌクレオチドDNA標的領域は、HIV−1逆転写酵素の保存されたYMDDモチーフ(ヌクレオチド5’2678乃至3’2689)である。使用した変異原性オリゴヌクレオチドは、5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’及び5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’であった。オリゴヌクレオチドは、β−シアノエチルホスホラミダイト化学及び自動化されたDNA合成装置を用いて合成した。各々1個又は2個の変性ヌクレオシド〔(5−(o−カルボラン−1−イル)−2’−デオキシウリジン(CDU)〕を含んでいる。
【0149】
実施例6 HIV─1逆転写酵素の位置指定突然変異導入
HIVクローニング
分子感染性クローン、pBRU、の制限マップを、システム7DNASTAR プログラム(DNASTAR Inc., Madison,ウィスコンシン州) を用いて産生した。逆転写酵素(RT)遺伝子のクローニングに用いた制限酵素は、RTの活性部位を含有するように且つ突然変異株のクローニングのための特有の制限部位がpBRU内へ戻るのを保証するように選択された。望みのフラグメントをファージミドpALTER−1内に配置するために、制限酵素Sac 1(塩基228 )及びSal 1(塩基5367)を使用した。このプラスミドは、Altered Sites in vitro Mutagenesis System (Promega Corp., Madison, ウィスコンシン州,53711-5399) と共に供給された。pALTER−1のRT挿入について陽性のクローンが、T7プライマー部位(5’−AACAGCTATGACCATG−3’)(GIBCO BRL., Gaithersburg,メリーランド州) からの配列決定により選択された。配列決定は、Sequenase version 2.0 キット(United States Biochemical Corp., Cleveland, オハイオ州) を用いて行った。構造は、記述されているように、CaCl2 形質転換の方法を用いてJM109 (endA1,recA1,gyrA96,thi,hsdR17(kr- ,mk + ),relA1,supE44,λ- ,Δ(lac−proAB),〔F’,traD36,proA+ + ,lacIq ZΔM15〕へと変形された(Sambrook, J., Fritsch, E.F., Maniatis, T., 1989, Molecular Cloning. A Laboratory Manual, (Nolan, C., Ed.) Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
【0150】
一本鎖DNAの調製
JM109 (pHIVALT−1)構造の終夜培養物を15μg/mlのテトラサイクリン
(tet)を含有する2mlのTYPブロス(16gBactone-トリプシン─16gBacto ─イ
ースト抽出物─5gNaCl/l)中において、200 rpmで37℃にて震盪させながら増
殖させた。翌朝、15μg/mlのtet及び2.5 g/lのK2 HPO4 を含有するTYP
ブロスの5mlに、終夜培養物の100 μlを接種した。50mlフラスコ中において培養物
を37℃にて30分間激しく震盪した。培養物を、次いで、R408 及びM13K07(ヘルパーファージ)に、感染多重度(m.o.i)10で感染させた。次いで培養物を37℃にて200 rpmで終夜震盪した。翌朝、12,000rpmにて15分間遠心することにより培養物を収穫し、そして上澄を新たな試験管へ除去した。次いで、如何なる残存の細胞や残滓をも除去するために、この上澄を、12,000rpmにて15分間遠心した。次いで、0.25体積のポリエチレングリコール(PEG)溶液(3.75M酢酸アンモニウム−20%ポリエチレングリコール;MW8,000 )を加えることによってファージを沈殿させた。次いでサンプルを氷上に30分間置き、続いて12,000×gにて15分間遠心した。試験管をペーパータオル上に2〜3分間逆さにすることにより、ペレットを徹底的に水切りした。ファージを含んだこのペレットを、次いで、400 μlのTE緩衝液〔10mMトリス塩酸(pH8.0 ,1mMのEDTA
)〕を用いて再懸濁させた。粒子を溶解させ且つ如何なる過剰のPEG溶液をも除去するために、再懸濁させたファージに等しい体積のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)を直接に加えた。混合物を数回逆さにし、そして12,000×gにて5分間遠心した。上側の水相を新たな試験管へ除去し、そして等しい量のTE飽和フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(24:24:1)を加えた。次いで溶液を数回逆さにし、そして12,000×gにて5分間遠心した。目視し得る界面が検出できなくなるまでこのステップを繰り返した。最終のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール抽出から、水相を新たな清浄なエッペンドルフ試験管へ除去した。最後に、0.5 体積の7.5 M酢酸アンモニウム及び2体積の氷冷95%エタノールをこの溶液に加えた。溶液を−70℃に静置した。1時間後、サンプルを14,000×gにて30分間遠心し、70%エタノールにて2回、各14,000×g、15分にて洗浄した。次いで、サンプルを、室温にて急速真空で10分間乾燥させた。次いでサンプルを、20μlのdH2 中に再懸濁させ、スポットを、45Vにて約1.5 時間作動
させたエチジウム染色0.8 %アガロースゲル上でチェックした。
【0151】
オリゴヌクレオチド調製
5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’及び5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’の自動化された合成
変性されたオリゴヌクレオチドを、Applied Bisystems 391 DNA 合成装置を用いて合成した。5’−O−ジメトキシトリチルチミジン(1mM)で官能化した制御された多孔質ガラスを充填したカラムを、固体支持体として利用した。5’−ジメトキシトリチル3’−ホスホラミダイト誘導体は全て、無水CH3 CN中の0.09M溶液として調製した。オリゴヌクレオチドの延長は、凝縮時間を何ら変更することなく標準のβ−シアノエチル1mM DNA合成サイクル(Applied Biosystems USER Bulletin No. 43, 1987, Applied Biosysytems, Foster City,カリフォルニア州) を用いて実施した。次いでオリゴヌクレオチドを脱保護し、濃NH4 OH中における室温での終夜インキュベーションによって支持体から切り離した。次いでオリゴヌクレオチドを、OPCTMカートリッジ(Applied Biosystems, Foster City,カリフォルニア州) を用いて精製し、そしてそれらの純度を、下記のようにHPLCによってチェックした。
5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’及び5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’のHPLC分析。
【0152】
HPLC分析は、Whatman Partisphere C185μm,4.7 ×235 mmカラムを用いたHewlet-Packard 1050 システムを用いて実施した。分析は全て室温にて行った。典型的には、溶離液として0.05M酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAA)(pH7.0 )中のCH3 CNの5%から30%までの勾配を、1.0 ml/分の速度で用いた。5’−AATA
CATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’,Rt 14.83 分;5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’,Rt 14.64 分。
【0153】
in vitro位置指定突然変異導入
本実験において用いられたin vitro位置指定突然変異導入のための手順は、Altered Sites mutagenesis Kit #Q6210(Promega Corp., Madison, ウィスコンシン州) において使用されているものの修正であった。要するに、HIV−RTの推定触媒活性部位(5’−2676乃至3’−2696)に位置するオリゴヌクレオチド、5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’、5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’、及び対照を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化した。反応は、70℃に10分間加熱することにより停止させた。突然変異導入アニーリング反応は、0.05 pmoleのpHIVALT−1 ssDNA、0.25 pmoleのアンピシリン修復オリゴヌクレオチド(キット中に供給されている)、1.25 pmoleの5’−リン酸化された変異原性オリゴ、及びキット中に供給されているアニーリング緩衝液を、最終液量20μlに
なるように加えることによって実施した。この実験のための対照オリゴヌクレオチド反応は、アンピシリン修復オリゴ及び無変性対照を含むが変異原性オリゴ5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’及び5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’を含まない追加の反応と共に別個に行った。反応物は次いで70℃に5分間加熱されそして室温まで15〜20分かけて放冷した:アニーリング反応物を氷上に置きそして次の試薬を加えた。3μlの10×合成緩衝液(キット中に供給さ
れている)、1μlのT4 DNAポリメラーゼ(10U/μl)、1μlのT4 DNA
リガーゼ(2U/μl)、及び5μlの滅菌dH2 O。第2の鎖の合成及びライゲーショ
ンを実施するために、30μlの反応液を37℃にて90分間インキュベートした。
【0154】
突然変異導入
突然変異導入に対するCDU変性されたオリゴヌクレオチドの効果を観察するために、in vitro突然変異導入ステップ(上記)から得られた反応混合物全量(30μl)をコンピ
テントなBMH71−18 mut S(thi,supE,Δ(lac−proAB),〔mutS:Tn10〕〔F’,proA+ - ,laqIq ZΔM15〕修復マイナス株及びDH5δ修復陽性株に加えた。反応混合物を次いで、Maniatis等によって記述されているようにCaCl2 により形質転換した。BMH71−18 mut S形質転換体のみから突然変異体を選択するために、形質転換体の一部をLennox L アガー(LB agar) (Gibco-BRL, Madison, ウィスコンシン州. カタログ#M27000B) 加100 μg/mlアンピシリン上
に播種し、他は、100 μg/mlのアンピシリンを含有する5mlLBブロス中に播種し
た。
【0155】
配列決定のための突然変異体選択
対照及び実験反応からの形質転換されたBMH71−18 mut Sを、100 μg/ml
のアンピシリンを含有する5mlのLBブロス中において終夜、250 rpmで震盪し37℃
にて増殖させた。終夜培養物を遠心して沈殿させ、そしてプラスミド抽出のためにQiage n Plasmid Kit # 12123 tip-20 (Qiagen Inc., Chatsworth,カリフォルニア州, 91311)を用いて溶解した。プラスミド抽出の手順は、メーカーの説明書に従って特に変更せずに行った。翌朝、上記のように培養物全量を遠心し、そして溶解させた。BMH71−18 mut SからのプラスミドDNAの回収の後、精製したプラスミドDNAを20μlの滅菌d
2 O中に再懸濁させ、上述のようにしてコンピテントなJM109 内へ形質転換させ、100 μg/mlのアンピシリンを補充したLBアガープレート上に播種した。
【0156】
配列決定
配列決定は、AmpliTaq Sequencing Kit (Perkin Elmer Cetus Corp., Norwalk, コネチカット州) からのサイクル配列決定法によって実施した。突然変異体の配列決定に用いたプライマーは、HIVBRUの5’−2539乃至3’−2554に位置するRT−MT4(5’−CAATGAGACACCAGGG−3’)、及び、反対側の鎖5’−3899乃至3’−2879に位置するRT−MT7RC(5’−GTCATTGACAGTCCAGCTGTC−3’)であった。これらのプライマーは、RTの活性部位の反対側に位置し、プラスミドの両鎖についての配列検証を与えるであろう。
【0157】
結果
突然変異導入
CDU変性したオリゴマー〔5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’及び5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’〕を含むin vitro突然変異導入反応物及び対照反応物を、E.coliの修復陽性及び修復マイナス株中に入れた。アンピシリン(amp)修復オリゴ+中性オリゴ(CDU変性を除外)を含有する反応物は、E.coliの修復陽性株(DH5δ)中において、ampプレート上にコロニーを形成することができなかったが、しかし、テトラサイクリン(tet)プレート上にはコロニーを形成した。修復マイナス株(BMH71−18 mut S)内へ形質転換された対照反応物は、アンピシリン及びtetプレート上にコロニーを形成した。修復陽性株内への実験的変異原性CDU変性形質転換は、amp又はtetプレート上でのコロニー形成の能力を欠いていることが実証された。しかしながら、修復マイナス株におけるCDU変性in vitro突然変異導入からの反応物は、ampプレート上で増殖する能力を実証し、最後にJM109 内への形質転換の後、amp及びtet抵抗性を実証した。
【0158】
配列決定
5’−AATACATGGA(CDU)GATTTGTAT−3’及び5’−AATACATGG(CDU)(CDU)GATTTGTAT−3’を用いた位置指定in vitro突然変異導入からえられた突然変異体及び対照オリゴヌクレオチドの配列決定を行った。クローンの60%において(RL−1を用いて)、突然変異は、相補鎖のCDUに向かい合った塩基の隣に起こり(例えば5’−AATACATGGTGATTTGTAT)、YMDDからYMVDへのアミノ酸変化をもたらした。YMDDからYMGDへのアミノ酸変化もまたこの場合に観察された。
第2の配列(RL−2)は、クローンのその割合にYMDDからYRVDへの変化を引き起こした。
【0159】
D. プローブとしてのオリゴヌクレオチドの使用
本発明のオリゴヌクレオチドは、核磁気共鳴イメージング(MRI)を含む種々の診断技術においてプローブとして使用することができる。MRIは、患者内の腫瘍の存在及び位置を検出するために使用される非侵襲的技術である。例えば、癌細胞特異的ホウ素化化合物が患者に投与され、癌組織中に濃縮する。MRI機器は、ホウ素の以上蓄積している領域を検出することができる。高い相対濃度のホウ素を有する領域を指し示すことによって、MRIは腫瘍の存在及び位置を確立する。
【0160】
本発明のオリゴヌクレオチドの別の診断適用は、分子プローブとしてのそれらの使用である。オリゴヌクレオチドは、標準の技術に従ったハイブリダイゼーションによりサンプル中のDNA又はRNAの相補的配列の存在を検出するのに使用される。例えば、プローブは、ササンブロット及びノーザンブロットアッセイにおいて使用することができ、それらの詳細は既知である。例えば、R. Old and S. Promrose, Priciples of Gene Manipulation, 8-10 (3rd Ed. 1985) を参照のこと。プローブとして使用される場合、ホウ素原子は、中性子放射に曝露される迄はそれ自身は放射性でないが、放射性標識として働く。中性子に曝露されると、10Bは中性子を吸収して不安定な11Bを形成し、これは速やかに崩壊してα粒子及びγ線を放出し、こうして検出可能な信号を提供する。α線の発生を伴うこの技術は既知である。例えば、A. Soloway, Borax Rev. 3, 7-9 (1988)を参照のこと。
【0161】
オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーの核酸配列へのハイブリダイゼーションの反応条件は、オリゴヌクレオチドの長さ、G及びCヌクレオチドの数及びハイブリダイゼーション反応において用いられる緩衝液の組成などのような因子に依存して、オリゴヌクレオチドによって様々に変化する。中等度に厳格なハイブリダイゼーション条件が、完全に塩基対を形成した二本鎖DNAの融解温度より下方約25℃として当業者に一般に理解されている。より高い温度、換言すればより厳格な条件を用いるインキュベーションによれば、一層高い特異性が一般に達成される。周知の実験室マニュアルであるSambrook等のMOLECUAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, second edidtion, Cold Spring Habor Laboratory Press, New York (1990) (参照によりここに導入する)の第11章は、関与する因子及び特異性を備えたハイブリダイゼーションを保証するために必要な厳格さのレベルの記述を含む、オリゴヌクレオチドプローブ及びプライマーについてのハイブリダイゼーション条件を非常に詳細に記述している。
【0162】
E.組織サンプル中のホウ素の検出
Gambelらによって開発された技術(Gabel, D., Hocke, I., and Elsen, W., Determination of sub-ppm amounts of boron-10 solutions by means of solid state track detectors. Phys. Med. Biol. 28:1453-1457, 1983; Fairchild, R.G., Gabel, D., Laster, B., and Kiszenick, W. B-10 Analysis is Tissue by Prompt-gamma and Track Etching Techniques. Proc. the First International Symposium on Neutron Capture Therapy, October 12-14, 1983. BNL Report No. 51730, pp. 106-13, 1984)が使用され、そこでは、0.5 mgの液滴中のng量の天然のホウ素を検出するためにニトロセルロースフィルムが使用される(1.2 )。既知量又は未知量のホウ素を含む少量(0.5 μl)の液滴が、ニ
トロセルロースフィルム(Kodak Pathe type LR115)上におかれ、乾燥され、そして約6×1012n/cm2 で照射される。生じるα軌跡がNaOHでエッチングされ、次いでオプトエレクトロニクス的にカウントされる。106 個の細胞(組織又はサンプルの約1mg)中のホウ素含量は、分析すべき細胞を溶解し次いで上記のように進めることにより得ることができる。この手順は、ホウ素含有プローブのために当業者に容易に適合させられる。
【0163】
F.アンチセンス療法
ポリリボ核酸又はポリデオキシリボ核酸に結合する能力を有する本発明のオリゴヌクレオチドは、慣用のアンチセンス療法と同じ仕方でアンチセンス剤として有用である。一般的には、Antisense Molecular Biology and S-oligos, Synthesis 1 (Oct. 1988) (Synthecell Corp., Rockville, メリーランド州) ;2 Discoveries in Antisense Nucleic Acids (C. Brakel and R. Fraley eds. 1989); Uhlmann, et al., "Antisense Oligonucleotides: A new Therapeutic Technique," Chem. Rev. 90(4), 1990; 及びMilligan, J.F., Matteucci, M.D., Martin, J.C., J. Med. Chem., 1993, 36, 1923-1937.を参照。本発明のアンチセンス剤は、所定のポリデオキシリボ核酸配列又はリボ核酸配列、そのような配列を含んだ細胞に選択的に結合する能力(例えば該アンチセンス剤を細胞を含んだ培養中に加えることにより)を有し、それにより細胞内に取り込まれ、所定の配列に結合し、そしてそれらの転写、翻訳又は複製を阻害する能力を有するアンチセンス剤を構築することによって使用できる。アンチセンス剤の選択的結合のための要件は既知である(例えば、ヒトゲノムにおける選択的結合のためには17塩基の長さ)。
【0164】
V.カルボラニル含有ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの薬剤学的組成物と放出
該カルボラニル変性ヌクレオシド及びオリゴヌクレオチド並びにそれらのあらゆる組み合わせが、ここに記述した如何なる目的のためにも有効量でヒトに投与できる。活性材料は、所望により薬剤学的に許容し得る誘導体又は塩として、又は薬剤学的に許容し得る担体又は希釈剤と組み合わせて投与することができる。活性材料は、如何なる適当な経路、例えば経口、非経口、静脈内、皮内、皮下、又は局所などの経路で、液体又は固体の形で投与することができる。
【0165】
活性化合物は薬剤学的に許容し得る担体又は希釈剤中に、治療を受ける患者に所望の治療結果を重大な毒性作用を起こすことなく達成するために放出するに十分な量に含められる。癌又はウイルス等のような疾病の治療のためには、一般に、少なくとも2、そして好ましくは少なくとも5又は10の治療係数を有する化合物が許容される。治療係数は、IC50/EC50と定義され、ここにEC50は疾病細胞の50%まで増殖を阻害する化合物濃度であり、そしてIC50はたの点では健康な標的細胞の50%までに毒性である化合物濃度である。細胞毒性は、直接的細胞カウント、トリパンブルー排除、又は 3H−チミジン取込み等のような当業者に知られた種々の代謝活性研究によって測定することができる。
【0166】
上記の全ての状態に対する活性化合物の好ましい投与量は、1日当たり1回の投与量として、0.01乃至1000mg/kg体重、及び好ましくは0.1 乃至20mg/kg体重であろう。薬剤学的に許容し得る誘導体の有効投与量範囲は、放出される親化合物の重量に基づいて計算することができる。もしも誘導体がそれ自身活性を示すならば、有効投与量は、誘導体の重量を用いて上記のようにして、又は当業者に既知の他の手段で推定できる。
【0167】
該化合物は、単位投与形態あたり5乃至3000mg、好ましくは70乃至1400mgの活性成分を含有する形態を含むがこれらに限られない如何なる適当な単位投与形態の形でも便利に投与される。50〜1000mgという経口投与量が、通常便利である。
【0168】
理想的には、活性成分は、活性化合物のピーク血漿濃度約0.01乃至100 μM,好ましくは約0.1 乃至40μMを達成するように投与されるべきである。これは、例えば、活性成分の、所望により食塩水中の、又は活性成分のボーラスとしての0.1 乃至2%溶液の静脈内注射によって達成できる。
【0169】
BNCTのための好ましい具体例においては、活性化合物は、静脈内溶液の形で投与量範囲1mg/kg乃至20mg/kgで投与される。アンチセンス療法の好ましい一具体例においては、活性化合物は、胃の酸性環境から化合物を保護する経口放出のための薬剤組成物の形、例えば腸溶性コーティングの形で投与される。
【0170】
薬物組成物中における活性化合物の濃度は、薬物の吸収、不活性化、及び排泄速度並びに当業者に既知の他の因子に依存する。疾病を治療するために該化合物を使用するときには、投与量値は、改善すべき状態の重症度に非常に依存するということを認識しなければならない。更に、如何なる特定の患者についても、特定の投与療法は、個人の必要及び該組成物を投与する又はその投与を監督する者の専門的判断に従って経時的に調節されるべきであるということ、及び個々に示した投与量範囲が典型例に過ぎず、請求に係る組成物実施の範囲を限定することを意図したものでないということを理解しなければならない。活性化合物は一時に投与されてもよく、又は種々の時間間隔で投与されるべき一層少ない多数の投与量へと分割されてもよい。
【0171】
経口組成物は、通常、不活性の希釈剤又は食べられる担体を含んでいる。それらは、ゼラチンカプセル中に包まれていても、また錠剤の形に圧縮されていてもよい。経口治療の投与目的のためには、活性化合物は賦形剤と組み込まれ、そして錠剤、トローチ剤又はカプセル剤の形で使用される。薬剤学的に適合性のある結合剤、及び/又は補助材料を組成物の一部として含めることができる。
【0172】
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤その他は、以下の如何なる成分又は類似の性質の化合物を含むこともできる:微結晶セルロース、トラガントゴム、ゼラチン等のような結合剤、スターチ又は乳糖等のような賦形剤、アルギン酸、Primogel又はコーンスターチ等のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はSterotes等のような潤滑剤、コロイド性二酸化ケイ素等のような滑沢剤、ショ糖又はサッカリン等のような甘味剤、又はペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料等のような香味剤。投与量単位形態がカプセルである場合には、上記のタイプの材料に加えて、脂肪油等のような液体担体を含むことができる。加えて、単位投与量形態は、投与量単位の物理的形態を修正する種々の他の材料、例えば糖衣、シェラック(shellac)又は他の腸溶剤等を含むことができる。
【0173】
活性化合物又は薬剤学的に許容し得るそれらの塩は、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエファー、チューインガムその他の成分として投与することができる。シロップ剤は、活性化合物に加えて、甘味剤としてのショ糖及びある種の保存剤、染料および着色剤及び香料を含むことができる。
【0174】
活性化合物及び薬剤学的に許容し得るそれらの誘導体又は塩はまた、所望の作用を損なうことのない他の活性材料と、又は、抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、又は他の、別のヌクレオシド抗HIV化合物を含む抗ウイルス剤等のような所望の作用を補う材料と混合することもできる。
【0175】
非経口、皮内、皮下又は局所適用のために使用される溶液又は懸濁液は、次の成分を含有することができる:注射用水、食塩水、不揮発油、ポリエチレングリコール類、グリセリン、プロピレングリコールその他の合成溶媒等のような滅菌希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベン等のような抗菌剤、アスコルビン酸又は十亜硫酸ナトリウム等のような抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸等のようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩等のような緩衝剤、及び塩化ナトリウム又はブドウ糖等のような浸透圧調節剤。非経口製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ又はガラス又はプラスチック製の多回投与バイアル。
【0176】
静脈内に投与される場合には、好ましい担体は生理的食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0177】
好ましい一具体例においては、活性化合物は、化合物を身体からの急速な排除から保護する担体、例えば、埋め込み物及びマイクロカプセル封入放出系等のような徐放性調製物と共に調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等のような生分解性の、生体適合性のポリマーを使用することができる。そのような調製物の調製のための方法は、当業者に明らかであろう。それらの材料はまた、Alza Corporation及びScios-Nova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手することもできる。
【0178】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞に狙いを定めたリポソームを含む)がまた、薬剤学的に許容し得る担体として好ましい。これらは当業者に既知の方法、例えば米国特許第4,522,811 号(これを参照によりここに導入する)に従って調製できる。例えば、リポソーム調製物は、適当な脂質(ステアリン酸ホスファチジルエタノールアミン、ステアリン酸ホスファチジルコリン、アラキドン酸ホスファチジルコリン、及びコレステロール等のような)を無機溶媒に溶解させ次いで蒸発させ、後に乾燥した脂質の薄いフィルムを容器の表面に残すことによって製造できる。活性化合物又はその1リン酸、2リン酸及び/又は3リン酸誘導体の水溶液が、次いで容器中に導入される。脂質材料を容器側壁から遊離させて脂質凝縮物を分散させるために、容器が次いで手で回され、それによりリポソーム懸濁液が形成される。
【0179】
本発明はその好ましい具体例を参照してここに記述された。本発明の変更及び修正は、本発明についての以上の詳細な記述から当業者に明らかであろう。これらの変更及び修正の全てが添付の請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0180】
配列表
(2)配列番号1についての情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:イエス
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:11
(D)他の情報:/function= "N =CDU"
(X) 公表情報:
(A)著者:Schinazi, Richard F.
Lesnikowski, Zbigniew J.
(K)配列番号1中の関係残基:1乃至20
(xi) 配列の記述:配列番号1
AATACATGGA NGATTTGTAT 20
(2)配列2についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:イエス
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:10..11
(D)他の情報:/function= "N is CDU"
(xi) 配列の記述:配列番号2
AATACATGGN NGATTTGTAT 20
(2)配列3についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号3
ATACAAATCA TCCATGTATT 20
(2)配列4についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号4
ATACAAATCA ACCATGTATT 20
(2)配列5についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:1..19
(D)他の情報:/function= "N is CDU"
(xi) 配列の記述:配列番号5
NACACCCAAT TCTGAAATNG 20
(2)配列6についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(X) 公表情報:
(A)著者:Shibahara S. et al.
(C)雑誌:Nucleic Acid Reserach
(D)巻: 17
(F)頁:239-240
(G)日付:1989
(K)配列番号10中の関係残基:1乃至20
(xi) 配列の記述:配列番号6
GACACCCAAT TCTGAAATGG 20
(2)配列7についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号7
GCACCCATCG ACGTCCAACC 20
(2)配列8についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号8
CAATTTCAGA ATTGGGTGTA 20
(2)配列9についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号9
CCATTTCAGA ATTGGGTGTC 20
(2)配列10についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:1..19
(D)他の情報:/function= "N is CDU"
(X) 公表情報:
(A)著者:Marshall, W. S.
Caruthers, M. H.
(C)雑誌:Science
(D)巻: 259
(F)頁:1564-1565
(G)日付:1993
(K)配列番号10中の関係残基:1乃至20
(xi) 配列の記述:配列番号10
NCCCTGTTCG GGCGCCACNG 20
(2)配列11についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号11
TCCCTGTTCG GGCGCCACTG 20
(2)配列12についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号12
CAGTGGCGCC CGAACAGGGA 20
(2)配列13についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:イエス
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号13
GGCGCTTGTG GAGAAGGAGT TC 22
(2)配列14についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:イエス
(iv) アンチセンス:ノー
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:1..19
(D)他の情報:/function= "N is CDU"
(xi) 配列の記述:配列番号14
NGCGCTTGTG GAGAAGGAGT NC 22
(2)配列15についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号15
TGAGATGCCG TCGAGGATGT ACC 23
(2)配列16についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:1..19
(D)他の情報:/function= "N is CDU"
(xi) 配列の記述:配列番号16:
NGAGATGCCG TCGAGGATGT ANC 23
(2)配列17についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:19塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(ゲノム性)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(xi) 配列の記述:配列番号17:
TGGACTGCAG GAACTCCTT 19
(2)配列18についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:19塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポリジー:直鎖状
(ii) 分子タイプ:DNA(合成)
(iii) ハイポセティカル配列:ノー
(iv) アンチセンス:ノー
(ix) 特徴
(A)名称/キー: misc feature
(B)位置:1..18
(D)他の情報:/function= "N is CDU"
(xi) 配列の記述:配列番号18:
NGGACTGCAG GAACTCCNT 19
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】BNCTのためのホウ素化されたオリゴヌクレオチドの仮説的作用機序の概念的図解である。
【図2】鍵となる出発原料、O−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートを用いた、チミジン−(3’,5’)−チミジン(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートの製造のための方法の概念的図解である。
【図3】O−メチル−〔O−(o−カルボラン−1−イル)アルキル〕ホスフェートの製造のための方法の図解である。
【図4】5−(o−カルボラニル)−5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−デオキシウリジン−3’−(N,N−ジイソプロピル−β−シアノエチル)ホスホラミダイトの製造のための方法の図解である。
【図5】BX 10カルボラン部分及びカルボランのアニオン性のo−ニド−7,8−C2 9 (11または12) 及びo−クロソ−1,2−C2 1012形の化学構造の図解である。
【図6】更に表1に記述されている、1つ又はより多くの5−(o−カルボラン−1−イル)ウラシル残基を担持したドデカチミジル酸類縁体の自動的製造のための方法の図解である。
【図7】(dT)6 CDU(dT)5 (Tm =15.2),(dT)10CDU(dT)(Tm =20.5),CDU(dT)11 (Tm =28.8),及び(dT)12(Tm =29.0)についての、摂氏で表した温度に対する吸光度の変化部分のグラフである。
【図8】選択された一本鎖のCDU変性された及び変性されていないd(T)12(化合物18)の光二色性スペクトルである。
【図9】CDU変性された及び変性されていないd(T)12及びd(A)12の間に形成された複合体の円二色性スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の無荷電の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合を含んだ、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
1個の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合が、該オリゴヌクレオチドの3’末端にある2個のヌクレオチドの間に位置しているものである、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
1個の3’,5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合が、該オリゴヌクレオチドの5’末端にある2個のヌクレオチドの間に位置しているものである、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
1個の3’,5’−O,O−〔(o−カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕ヌクレオチド間結合が、該オリゴヌクレオチドの中間部にある2個のヌクレオチドの間に位置しているものである、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
1個より多くの3',5’−O,O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕結合を含んだ、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
相補的DNA核酸配列に生体内でハイブリダイズすることのできる、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
相補的RNA核酸配列に生体内でハイブリダイズすることのできる、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
二本鎖DNA中の特定の遺伝子配列にハイブリダイズして三本鎖複合体(トリプレックス)を形成することのできる、請求項1のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
式、
【化1】

〔式中、Cは、B101024等のカルボラニル基であり、ここにR4は、−H,−OH,−CH2OH,−CH2X(ここにXはハロゲンである)又は−B92(11または12)(ニドーカルボランアニオン)であり、
5は低級アルキル基であり、
GはN又はCHであり、
MはO又はSであり、そして
zは0乃至5である。〕の少なくとも1個のカルボラニル含有塩基を含んだオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
カルボラニル含有塩基が3’末端ヌクレオチド中に位置しているものである、請求項9のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
カルボラニル含有塩基が5’末端ヌクレオチド中に位置しているものである、請求項9のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
カルボラニル含有塩基が3’末端ヌクレオチドに隣接したヌクレオシド中に位置しているものである、請求項9のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
カルボラニル含有塩基が5’末端ヌクレオチドに隣接したヌクレオシド中に位置しているものである、請求項9のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
【化2】

〔式中、R1は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、アルキルアリール、アリールアルキル又はハロゲンであり、
2は、水素、アルキル、アリール、アシル(アセチルを含む);メタンスルホニルを含むアルキルスルホニル又はアリールアルキルスルホニルを含むスルホン酸エステル;モノ−、ジ−又はトリ−リン酸エステル;トリチル又はモノメトキシトリチル;上記アリールの定義に記述した1個又はより多くの置換基でフェニル基が置換されていてよいベンジル;トリアルキルシリル(例えばジメチル−t−ブチルシリル)又はジフェニルメチルシリルを含むシリル;脂質;ペプチド;又はコレステロールであり、
3は、ヒドロキシル、水素、ハロゲン、−CN,−N3,低級アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシであり、そしてR3基はリボシル型コンフォメーション(酸素が後ろに来るように該環を配向させたとき該糖部分に対して「下側」)又はアラビノシル(「上側」)コンフォメーションであることができ、
Bは、カルボラニル基のホウ素部分を表し、特にアニオン性のo−ニド−7,8−C28(11または12)及び中性のo−クロソ−1,2−C21012を含み、
wは、O,S,又はSeであり、
Xは、O,S,S(O),S(O)2,CH2,CHOH,CHN3,又はNHであり、
Yは、OH,SH,SeH,又はハロゲン、特にフッ素であり、
nは、1〜5であり、そして
mは、0又は1である。〕よりなる群より選ばれる化合物。
【請求項15】
該塩酸が、チミジン、ウラシル、5−ハロウラシル、シトシン、5−ハロシトシン、アデノシン、グアノシン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2−アミノプリン、5−低級アルキルウラシル、及び5−低級アルキルシトシン、2−チオウラシル、2,4−ジチオウラシル、及び4−チオウラシルよりなる群より選ばれるものである、請求項14の化合物。
【請求項16】
Xが、O又はSである、請求項14化合物。
【請求項17】
2が水素である、請求項14の化合物。
【請求項18】
【化3】

〔式中、R1,R2,R3,B,W,X,Y,Z,m及びnは、請求項14における定義に同じである。〕よりなる群より選ばれる化合物。
【請求項19】
薬剤学的に許容し得る担体中に請求項1のオリゴヌクレオチドを含んだホウ素中性子捕獲療法を実施するための組成物。
【請求項20】
薬剤学的に許容し得る担体中に請求項9のオリゴヌクレオチドを含んだホウ素中性子捕獲療法を実施するための組成物。
【請求項21】
薬剤学的に許容し得る担体中に請求項14の化合物を含んだホウ素中性子捕獲療法を実施するための組成物。
【請求項22】
薬剤学的に許容し得る担体中に請求項18の化合物を含んだホウ素中性子捕獲療法を実施するための組成物。
【請求項23】
該担体が静脈内放出に適したものである、請求項19、20、21又は22の組成物。
【請求項24】
該担体が該オリゴヌクレオチド又は化合物を酸性環境中において分解から保護するものである、請求項19,20、21又は22のホウ素中性子捕獲療法を実施するための組成物。
【請求項25】
3’−O−〔(カルボラン−1−イル−メチル)ホスホネート〕部分を含んだヌクレオシドの製造のための方法であって、(i)ヒドロキシル基及び所望により他のホスホネート化すべきでない官能基を保護し、そして(ii)保護されたヌクレオシドをO−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネートと反応させることを含む方法。
【請求項26】
O−メチル(o−カルボラン−1−イル)メチルホスホネート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−67777(P2009−67777A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191596(P2008−191596)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【分割の表示】特願平7−515775の分割
【原出願日】平成6年12月2日(1994.12.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507303099)エモリー、ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】