説明

ネコ科動物の免疫系を強化するための組成物及び方法

成長期の動物の免疫系の発達を強化するのに有用な組成物及び方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願番号60/891,171(2007年2月22日出願)に対する優先権を主張する。
【0002】
[0001] 本発明は、哺乳動物の免疫系を強化するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002] 市販のペットフード(例、キャットフード)には、多くの異なる栄養必要量へ対処するように特に製剤化された組成物が含まれる。これらには、例えば、異なる品種タイプ、サイズ、及び身体状態のために設計された製剤が含まれる。それらには、動物の生活環の異なる段階におけるその栄養必要量に対処するように設計された製剤も含まれる。しかしながら、そのようなペットフード製剤の利用可能性にもかかわらず、動物の健康の他の側面に対処するための製剤及び方法を開発すべきニーズがある。
【0004】
[0003] ペットは、病原体に絶えず曝露されている。これらの病原体へ応答し損なうと、慢性病と死をもたらす場合がある。病原体への応答は、十分な免疫応答を妨げる、動物の食餌によって阻害される場合がある。従って、病原体によるチャレンジに対する動物の免疫応答を強化するための組成物及び方法が必要とされている。
【0005】
[0004] ネコにおける多くの感染症の発症率は、ワクチンの使用により大いに低下してきた。ワクチンは、特別な疾患に対して予防接種されたネコでもその疾患に対して免疫化されないことがあるので、100%有効であるわけではない。従って、ワクチンの効力を高めて、抗原でチャレンジされるときにネコ科動物の免疫応答を強化するための組成物及び方法を開発するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
[0005] ある側面において、本発明は、抗原でチャレンジされるときに動物の免疫系又は免疫応答を強化するのに有用である組成物に関する。
[0006] 本発明には、
約200〜約1200IU/kgのビタミンE;
約50〜約500ppmのビタミンC;
約0.1%〜約0.9%のEPA;及び
約0.1%〜約0.7%のDHAを含んでなる、動物において免疫機能を強化するのに有用なペット食品組成物、「組成物1.0」が含まれる。
【0007】
[0007] 本発明には、以下の組成物も含まれる:
「組成物1.1」 約0.1%〜約0.5%のDHA、例えば、約0.2%〜約0.5%、例えば、約0.2%、約0.3%、又は約0.4%のDHAを含んでなる「組成物1.0」;
「組成物1.2」 約200〜約1200IU/kgのビタミンE、例えば、約500IU/kg〜約1100IU/kg、約700、約800、約900、又は約1000IU/kgのビタミンEを含んでなる「組成物1.0」又は「組成物1.1」;
「組成物1.3」 約50〜約500ppmのビタミンC、例えば、約100〜約400ppmのビタミンC、例えば、約150、約175、約200、又は約225ppmのビタミンCを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.2」のいずれかの組成物;
「組成物1.4」 約100ppm〜約500ppmのカルニチン、例えば、約200、約300、又は約400ppmのカルニチンを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.3」のいずれかの組成物;
「組成物1.5」 約2.5g/1000kcal〜約7g/1000kcalのリジンを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.4」のいずれかの組成物;
「組成物1.6」 約2400ppm〜約7500ppmのコリン、例えば、約3000、約4000、約4500、約4600、約4625、約4650、約4700、約5000、又は約6000ppmのコリンを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.5」のいずれかの組成物;
「組成物1.7」 約0.1%〜約0.6%のEPA、例えば、約0.2%、約0.3%、約0.4%、又は約0.5%のEPAを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.6」のいずれかの組成物;
「組成物1.8」 約50ppm〜約200ppmのマンガンを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.7」のいずれかの組成物;
「組成物1.9」 約0.5%〜約1.6%のメチオニン、例えば、0.8%〜約1.6%のメチオニン、例えば、約1.3又は約1.4%のメチオニンを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.8」のいずれかの組成物。
【0008】
「組成物1.10」 以下をさらに含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.9」のいずれかの組成物:
0〜約90重量%の炭水化物;
約5〜約70重量%のタンパク質;
約2〜約50重量%の脂肪;
約0.1〜約20重量%の総食物繊維;
0〜約15重量%、好ましくは約2〜約8重量%のビタミン、ミネラルと、動物の栄養必要量を支える多様な百分率における他の栄養素。
【0009】
「組成物1.11」 約5〜約55重量%の炭水化物を含んでなる、「組成物1.10」;
「組成物1.12」 約20〜約60重量%のタンパク質、例えば、約30〜約55重量%のタンパク質を含んでなる、「組成物1.10」又は「組成物1.11」;
「組成物1.13」 約5〜約40重量%の脂肪、例えば、少なくとも約8%又は約9%〜約40%の脂肪を含んでなる、「組成物1.10」〜「組成物1.12」のいずれか1つの組成物;
「組成物1.14」 約1〜約11重量%の総食物繊維を含んでなる、「組成物1.10」〜「組成物1.13」のいずれか1つの組成物;
「組成物1.15」 約1000〜約4000ppmのタウリンを含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.14」のいずれかの組成物;
「組成物1.16」 約0.5%〜約6.0%のリノール酸、例えば、約2.5%〜約5%のリノール酸を含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.15」のいずれかの組成物;
「組成物1.17」 約1%〜約3%の総n−3脂肪酸、例えば、約1.3%、約1.4%、約1.5%、又は約1.6%の総n−3脂肪酸を含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.16」のいずれかの組成物;
「組成物1.18」 約1%〜約6%の総n−6脂肪酸、例えば、約3%〜約5%、約3.5%、又は約4%の総n−6脂肪酸を含んでなる、「組成物1.0」〜「組成物1.17」のいずれかの組成物。
【0010】
[0008] 本発明の組成物は、湿潤(ウェット)、乾燥(ドライ)、又は半乾燥(セミドライ)食品であってよい。
[0009] 本発明には、「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つをネコ科動物へ投与することを含んでなる、該ネコ科動物の神経系の発達を強化する方法、「方法2.0」が含まれる。
【0011】
[0010] 本発明には、以下の方法も含まれる:
「方法2.1」 ネコ科動物が仔猫である、「方法2.0」の方法。
「方法2.2」 ネコ科動物が、「組成物1.0」〜「組成物1.15」のいずれか1つを妊娠期に給餌した母猫(a queen)より産まれたものである、「方法2.0」又は「方法2.1」の方法。
【0012】
「方法2.3」 ネコ科動物が子宮内にいる、「方法2.2」の方法。
「方法2.4」 「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つを妊娠前に母猫へ給餌する、「方法2.2」の方法。
【0013】
「方法2.5」 「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つを妊娠期間の大部分の間母猫へ給餌する、「方法2.2」又は「方法2.4」の方法。
「方法2.6」 「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つより本質的になる組成物を妊娠の前とその間に母猫へ給餌する、「方法2.2」〜「方法2.5」のいずれか1つの方法。
【0014】
「方法2.7」 「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つを離乳前に、例えば、まだ哺育の間に仔猫へ給餌する、「方法2.0」〜「方法2.6」のいずれか1つの方法。
【0015】
「方法2.8」 「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つを離乳後に仔猫へ給餌する、「方法2.0」〜「方法2.7」のいずれか1つの方法。
「方法2.9」 「組成物1.0」〜「組成物1.18」のいずれか1つからなる食品組成物を仔猫へ給餌する、「方法2.8」の方法。
【0016】
「方法2.10」 組成物の有効量を動物へ投与する、「方法2.0」〜「方法2.9」のいずれか1つの方法。
「方法2.11」 組成物を有効期間動物へ投与する、「方法2.0」〜「方法2.10」のいずれか1つの方法。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、以下に続く実施例の詳細な説明を参考にして理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0011] 本明細書に記載の発明は、それらが多様であり得るので、記載される特別な方法論、プロトコール、及び試薬に限定されないと考慮される。また、本明細書に使用する用語は、特別な態様について記載する目的だけのものであり、本発明の範囲を制限することを決して企図しないと理解されたい。
【0019】
[0012] 他に定義しなければ、本明細書に使用するすべての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。さらに、本明細書に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用文献のそれとの間に抵触がある場合は、本開示が標準となる。
【0020】
[0013] 本明細書において、そして付帯の特許請求項において使用するように、単数形の「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)には、文脈が明らかに他に指示しなければ、複数の指示(reference)が含まれる。
【0021】
[0014] 本発明は、あらゆる動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは、伴侶動物に関する。用語「伴侶動物」は、ヒトと密接に関連して生きるあらゆる動物を意味して、限定されないが、あらゆる品種のイヌ科動物及びネコ科動物が含まれる。しかしながら、本明細書では、その食餌がヒトによって管理され得るあらゆる動物が本明細書に開示される製剤を給餌されることより利益を得る可能性があると考慮される。これらの動物には、例えば、家畜化された酪農動物(例、ウシ、ウマ、ブタ、等)、並びに捕獲状態にある(例えば、動物園、等において)非家畜化動物を含めてよい。好ましくは、動物は、ネコ科動物、仔猫又は成猫のいずれかである。
【0022】
[0015] 本明細書に使用するように、特別な結果を達成するのに「有効な量」又は「有効量」、等の用語は、特に所望される生物学的結果を達成するのに有効であり得る、本明細書に記載するような化合物、材料、又は組成物の量を意味する。本明細書に考慮されるように、そのような結果には、例えば、子宮内で発育している間、及び/又は誕生後のその成長段階の間(例えば、生後6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、又は15ヶ月まで)のいずれかでの動物の神経系の発達、骨及び関節の健康、免疫機能の強化、及び/又は健全な身体組成の向上が含まれる。そのように有効な活性は、例えば、動物が子宮内にいるか又は哺育されている間は、本発明の組成物の前記動物の母獣への投与によって、並びに、その成長期の間は動物への直接投与によって達成してよい。
【0023】
[0016] 本明細書に使用するように、本明細書に記載されるような成長期の動物における特別な生体プロセス又は身体状態の「強化」は、成長期の動物の生体プロセス又は身体状態における、対照動物と比較した改善を意味する。そのようなプロセス又は状態の改善は、当業者により決定され得る。免疫機能は、予防接種へ応答した抗体力価を検定して、対照動物と比較することによって動物において決定してよく、ここでは、対照に比較した抗体力価の増加が獲得免疫機能の強化の指標となる。
【0024】
[0017] 本明細書に使用するように、「成長期の動物の発育の強化」又は「強化された成長」、等の用語は、本明細書に記載の生体プロセスが限定されずに含まれる、生物の成長及び発育に不可欠な生体プロセスが限定されずに含まれる、成長期の動物の1以上の生体プロセス及び/又は身体状態における全般的な改善、例えば、骨及び関節の健康、神経系及び免疫系の発達、及び体重増加(例えば、脂肪組織の代わりに除脂肪体重が増えること)を意味する。
【0025】
[0018] 動物の「成長」生活期(ライフステージ)は、誕生又は離乳(ほぼ8週齢)〜約1歳の期間を意味する。
[0019] 本明細書に使用するように、用語「仔猫」は、典型的には誕生と12ヶ月の間の年齢の未熟なネコ科動物を意味する。
【0026】
[0020] 本明細書に使用するような「必須アミノ酸」は、生物によってデノボ(de novo)合成し得ないので、食餌に供給しなければならないアミノ酸を意味する。当業者には、生物の代謝に依存して、必須アミノ酸が種ごとに異なると理解されている。例えば、イヌ及びネコ(及びヒト)の必須アミノ酸は、フェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リジン、イソロイシン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、及びアルギニンであると一般に理解されている。さらに、タウリン(技術的にはアミノ酸ではないが、システインの誘導体)は、ネコの必須物であるとみなされている。バランスのとれた食餌は、すべての必須アミノ酸を提供することができるが、より不可欠であるいくつかの必須アミノ酸がある。そのうちの1つが欠乏した食餌では、たとえ他の必須アミノ酸が十分な量で存在していても、他の必須アミノ酸の有用性を制限するからである。
【0027】
[0021] 当業者により理解されるように、「制限アミノ酸」は、食餌に不十分な量で存在するならば、たとえ他の必須アミノ酸が他のやり方で十分に多い量で存在していても、他の必須アミノ酸の有用性の制限をもたらすアミノ酸を意味する。リジンは、本明細書に開示する組成物において、制限必須アミノ酸である。従って、残りの必須アミノ酸は、所望の生物学的結果に影響を及ぼすのに重要であると決定されるリジンの量に関連して定量的に製剤化されるか又は「バランスをとる」。本明細書に使用するように、「バランスのとれたアミノ酸」は、最適な動物の成長及び発育を確保するためのエネルギーに対する必須アミノ酸、リジンの関係に関連する。
【0028】
[0022] 本明細書に使用する「必須栄養素」は、身体によって合成し得ない、正常な身体機能に必要とされる栄養素を意味する。必須栄養素のカテゴリーには、ビタミン、食餌ミネラル、脂肪酸、及びアミノ酸が含まれる。当業者には、必須とみなされる栄養素が生物の代謝に依存して、種ごとに異なると理解されている。例えば、イヌ及びネコの必須栄養素には、ビタミンA、D、E、K、B1、B6、B12、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、コリン、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレン、及びヨウ素が含まれる。コリンは、一般的にはB複合ビタミンとみなされるので、準必須栄養素に含めてよい。
【0029】
[0023] L−カルニチン(レボカルニチン)としても知られるカルニチンは、アミノ酸のリジン及びメチオニンより合成される四級アンモニウム化合物であり、脂肪酸の細胞質からミトコンドリアへの輸送に責任がある。
【0030】
[0024] 哺乳動物やネコ科動物のような様々な動物の免疫応答は、当該技術分野でよく知られている。一般に、免疫応答は、例えば、病原体や腫瘍細胞を確認して殺傷することによって疾患に対して防御する、生物体内の機序である。免疫応答は、様々な応答の種類、例えば、体液性又は細胞性の応答、そして自然応答と獲得応答へ分類することができる。従って、免疫応答は、体液性自然応答、細胞性自然応答、体液性獲得応答、及び細胞性獲得応答、並びにこれらの組合せであり得る。これらの応答は、動物が例えば病原体でチャレンジされるときに同時に起こり得ることがよく知られている。例えば、体液性自然免疫応答の補体カスケードでは、細胞性獲得免疫の基礎となるT細胞とB細胞が動員される場合があり、そして獲得免疫系によって補体が動員される場合もある。
【0031】
[0025] あらゆる理論や特別な作用機序に制限されずに言えば、本発明は、動物の食餌が抗原(例、病原体又はワクチン)に対する動物の免疫応答を強化することができるという驚くべき発見に基づく。ペット食品組成物に対するある種の成分の添加とこれら組成物の動物への投与によって、成長期の動物の免疫系を強化することができる。さらに、ペット食品組成物に対するある種の成分の添加とこれら組成物の妊娠期の母獣への投与によって、その子孫の免疫系を強化することができる。
【0032】
[0026] 本発明は、ネコ科動物の免疫応答を病原体やワクチンが含まれる様々な抗原に対して強化又は増強し得ることを考慮する。ネコ汎白血球減少症、ネコヘルペスウイルス1型、ネコカリシウイルス、ネコ白血病ウイルス、狂犬病、クラミジア症、ネコ伝染性腹膜炎、気管支敗血症菌感染、皮膚糸状菌症、ジアルジア症、等が含まれる、様々な疾患又は状態に対してネコ科動物を予防接種してよい。従って、本発明は、強化された体液性獲得免疫(例えば、本発明の方法を含んでなる病原体に対する)を確立して、その病原体へのワクチンで病原体に対して動物を免疫化することの改善された方法を考慮する。動物において強化された免疫機能は、抗原チャレンジ時に対照動物より大きな抗体又は細胞性応答を示す免疫応答として特徴づけることができる。
【0033】
[0027] 本明細書に考慮されるように、本発明の組成物は、栄養的に完全でバランスの取れた動物飼育用組成物を含む。そのような組成物には、他の栄養素及び成分の中でも、健康推奨量のタンパク質、炭水化物、及び脂肪が含まれる。「栄養的に完全でバランスの取れた動物飼育用組成物」、並びに動物飼育用組成物に適した栄養素及び成分とその推奨量は、当業者に馴染みのものである(例えば、National Research Council, 2006(2006年度全米科学アカデミー)、「Nutritional Requirements for Dogs and Cats(イヌ及びネコの栄養必要量)」ナショナル・アカデミー・プレス、ワシントンD.C.又は Association of American Feed Control Officials 社の公報、「Nutritional Requirements for Dogs and Cats 2006(イヌ及びネコの栄養必要量、2006年度版)」を参照のこと)。
【0034】
[0028] 本明細書において、本明細書に開示する組成物はまた、抗酸化剤、添加剤、安定化剤、濃化剤、芳香剤、嗜好性向上剤、及び着色剤を当業者に馴染みの量及び組合せで含んでよいと考慮される。「抗酸化剤」は、フリーラジカルと反応するか、又はその産生を減少させてそれらを中和することが可能である物質を意味する。例には、限定されないが、β−カロテン、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、ルテイン、トコトリエノール、大豆イソフラボン、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N−アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンC、フラボノイド、アントシアニンジン、及びリポ酸が含まれる。
【0035】
[0029] あらゆる稠度(consistency)又は水分含量の食品が考慮されるが、好ましくは、本発明の組成物は、例えば、湿潤、半乾燥、又は乾燥の動物食品組成物であってよい。「湿潤」食品は、缶又はホイルバッグ入りで販売される食品を意味し、約70〜約90%の水分含量を有する。「乾燥」食品は、約5〜約15%の水分含量の組成物を意味し、小片又はキブルの形態でしばしば製造される。半乾燥組成物は、約15%〜約70%の水分を有する組成物を意味する。本明細書においてまた考慮されるのは、中間的な含水稠度(moisture consistency)の組成物と、様々な稠度の成分、並びに1より多い稠度が含まれ得る成分を含んでよい組成物、例えば、軟らかで噛みごたえのある肉様の粒子、並びに、例えば、米国特許第6,517,877号に記載されるような、外側のシリアル成分と内側のクリーム成分を有するキブルである。
【0036】
[0030] 以下の実施例は、本発明をさらに例示して、本発明を制限することを企図しない。全体を通して使用するように、範囲は、その範囲内にある個々の数値を記載するための簡略表記として使用する。範囲内のどの数値も、その範囲の末端として選択してよい。製剤について記載するとき、それらは、当該技術分野で一般的であるように、その成分に関して記載してよいが、これらの成分は、実際の製剤において、それが作製、保存、及び使用されるときに互いと反応する場合があり、そのような産物も記載の製剤に含まれると企図されると理解される。
【0037】
[0031] 以下の実施例は、本発明の範囲内にある例示の態様をさらに記載して明示する。この実施例は、単に例示の目的のために示すのであって、多くのバリエーションが本発明の精神及び範囲より逸脱することなく可能であるので、本発明を制限するものと解釈してはならない。当業者には、本明細書に示して記載されるものに加えて、本発明の様々な修飾物が明らかなはずであり、それらは、付帯の特許請求項の範囲内にあると企図される。
【実施例】
【0038】
実施例1
[0032] 成長期の動物の発育を強化するための製剤を本明細書において以下に開示する。これらの組成物は、「理想のタンパク質コンセプト」(Baker and Czarnecki-Maulden, 1991 Annu. Rev. Nutr. 11: 239-63)を考慮に容れて開発されている。
【0039】
[0033] 「成長」生活期のための食品を開発する。これらの食品には、イヌ科動物の成長とネコ科動物の成長のための製剤が含まれる。これらの食品のための最低栄養推奨量、並びに試作食品用の目標値を以下の表1に収載する。
【0040】
表1:仔猫用製剤の主要栄養素
【0041】
【表1】

【0042】
実施例2
[0034] 試験には、4種の食品:実験製剤X、市販品A、市販品A1、及び市販品Bを使用する。この食品の組成を表2に提示する。市販品A、A1、及びBの食品は、市販の供給源より入手可能である。市販品A及びA1は、同じブランドの食品であるが、異なるロットで生産されている。
【0043】
表2:母猫及び仔猫へ給餌する食品の栄養素分析
【0044】
【表2】

【0045】
[0035] 19匹の母猫に製剤X又は市販品Aを妊娠前の少なくとも2週間給餌する。母猫は、触診により妊娠を確定するまで群れ施設(group lodging)で維持してから、母獣用施設(maternity lodging)へ移す。市販品Aを給餌した母猫からは32匹の仔猫が産まれ、製剤Xを給餌した母猫からは16匹の仔猫が産まれる。仔猫の誕生に続き、その母猫由来の仔猫は、離乳するまで同じ食品で飼育する。
【0046】
[0036] 離乳に続き、市販品Aを給餌した母猫から産まれた32匹の仔猫を以下のように分けた:16匹の仔猫に市販品A1を給餌し;16匹の仔猫に市販品Bを給餌する。離乳に続き、製剤Xを給餌した母猫から産まれた16匹の仔猫は、製剤Xで維持する。
【0047】
[0037] 48匹の仔猫を狂犬病に対して予防接種して、抗狂犬病抗体力価を予防接種前と予防接種後1、2、4、8、及び16週で定量した。
[0038] 結果を表3に提示する。製剤Xを給餌した母猫に由来して、製剤Xでの給餌を続けた仔猫は、狂犬病予防接種に対する増加した抗体力価によって測定されるように、有意に改善された免疫応答を有する。仔猫の抗体力価は、製剤Xを母獣へ妊娠及び授乳の間に給餌して、仔猫へ離乳後の成長の間給餌するとき、有意に増加する。
【0048】
表3−狂犬病予防接種に応答した仔猫の平均抗体力価
【0049】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
約200〜約1200IU/kgのビタミンE;
約50〜約500ppmのビタミンC;
約0.1%〜約0.9%のEPA;及び
約0.1%〜約0.7%のDHAを含んでなるペット食品組成物。
【請求項2】
約0.2%〜約0.5%のDHAを含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項3】
約200〜約1200IU/kgのビタミンEを含んでなる、請求項1又は2の組成物。
【請求項4】
約50〜約500ppmのビタミンCを含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項の組成物。
【請求項5】
約100ppm〜約500ppmのカルニチンを含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項の組成物。
【請求項6】
約2400ppm〜約7500ppmのコリンを含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項の組成物。
【請求項7】
約0.1%〜約0.6%のEPAを含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項の組成物。
【請求項8】
約50ppm〜約200ppmのマンガンを含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項の組成物。
【請求項9】
約0.5%〜約1.6%のメチオニンを含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項の組成物。
【請求項10】
0〜約90重量%の炭水化物;
約5〜約70重量%のタンパク質;
約2〜約50重量%の脂肪;
約0.1〜約20重量%の総食物繊維;
0〜約15重量%のビタミン、ミネラルと、動物の栄養必要量を支える多様な百分率における他の栄養素をさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項の組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項の組成物をネコ科動物へ投与することを含んでなる、該ネコ科動物の抗原に対する免疫応答を強化するための方法。
【請求項12】
ネコ科動物が仔猫である、請求項11の方法。
【請求項13】
ネコ科動物が、請求項1〜10のいずれか1項の組成物を妊娠の間に給餌した母猫(a queen)より産まれたものである、請求項11又は12の方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項の組成物を妊娠前に母猫へ給餌する、請求項13の方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか1項の組成物を離乳前に仔猫へ給餌する、請求項12〜14のいずれか1項の方法。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項の組成物からなる組成物を離乳後に仔猫へ給餌する、請求項12〜15のいずれか1項の方法。
【請求項17】
免疫応答が体液性免疫応答である、請求項11〜16のいずれか1項の方法。
【請求項18】
免疫応答が体液性獲得免疫応答である、請求項11〜17のいずれか1項の方法。
【請求項19】
体液性獲得免疫応答に、抗原に対する抗体の産生及び放出が含まれる、請求項18の方法。
【請求項20】
抗原がワクチンにおいて提示される、請求項11〜19のいずれか1項の方法。
【請求項21】
ワクチンが、ネコ汎白血球減少症、ネコヘルペスウイルス1型、ネコカリシウイルス、ネコ白血病ウイルス、狂犬病、クラミジア症、ネコ伝染性腹膜炎、気管支敗血症菌感染、皮膚糸状菌症、及びジアルジア症からなる群より選択される、請求項20の方法。

【公表番号】特表2010−519315(P2010−519315A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551045(P2009−551045)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/054789
【国際公開番号】WO2008/103950
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】