説明

ネックリングを有する薄肉容器の搬送装置

【課題】可撓性がある本体を有する薄肉容器の搬送装置を提供する。
【解決手段】薄肉容器の搬送装置は、ネックリング115を保持するためのネックリング保持機構と、薄肉容器102の口部112にキャップ160を取付けるキャップ取付部とを有する回転式のキャッピング装置222と、ネックリング保持機構により容器を保持した状態において、キャップを取付けた容器を保持して受け取るための容器受け取り機構と、キャップを取付けた容器を回転移動させる容器移動部とを有する回転式の中間搬送装置224と、容器受け取り機構によりキャップを取付けた容器を保持した状態において、キャップを取付けた容器を受け取ってホルダ170に配置し、ホルダを移動させるホルダ移動部を有するホルダ搬送装置232とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉容器の搬送装置に関する。さらに詳細には、保形性がある口部と、前記口部に設けられたネックリングと、可撓性がある本体とを有する薄肉容器の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミネラルウォーターなどの飲料を収容して供給する合成樹脂製の容器は、上方に開口部を有する口部分(または、「口部」とも称する)と、前記口部分と連続して前記口部分の下方に設けられた首部分(または、「首部」とも称する)と、前記首部分と連続して前記首部分の下方に設けられ、かつ、中に液体を収容するための空間を有する本体部分(または、「本体」とも称する)とを含むように構成されている。容器を形成する合成樹脂として、一般に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が利用されている。容器の本体部分の厚さは、一般に、0.3mm程度である。さらに、容器の本体部分の厚さが0.25mm以下であるように形成し、自己の形状を保持することができない程度まで薄肉化した、いわゆる「薄肉容器」が開示されている。このような「薄肉容器」は、容器保持具を装着した状態で、キャップを外すことができるようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
従来の合成樹脂製の容器の口筒部(または、「口部」とも称する)には、一般に、キャップを取付けるためのねじ部と、前記ねじ部の下方に位置する1個のビードリング(または、「巻き締めリング」とも称する)と、前記ビードリングの下方に位置する1個のネックリングが設けられている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
従来、クリーンルーム内で容器を連続搬送して内容物を充填する充填部及び容器を密封する密封部とを有する充填装置においては、容器のフランジ部(または、「ネックリング」とも称する)をレールに引っ掛けた状態で容器を搬送している。このような充填装置では、クリーンルームの内部において、容器の搬送ラインの上流側から、充填装置、充填検査装置、仮締め装置及び本締め装置が配置され、容器の搬送装置の下流側において、クリーンルームの外部にリジェクト装置が配置されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
また、従来の樹脂ボトルの搬送システムにおいて、搬送ラインにおける各処理装置の間で容器を受け渡す場合は、上流側の処理装置と下流側の処理装置のそれぞれが備えるグリッパで容器の首部を把持し、上流側の処理装置のグリッパから下流側の処理装置のグリッパに掴み変えて樹脂ボトルの搬送が行われている(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
さらに、従来のインライン成形・無菌充填工場施設においては、プリフォームを使ってプラスチック容器を成形し、成形されたPETボトルは製品製造室の中で洗浄され、ボトル本体の中にミネラルウォーターが充填され、キャップを用いて容器を密封している(例えば、特許文献6参照)。
さらに、従来のキャッピング装置においては、容器保持手段によって保持された容器の上方に、キャップを保持して回転しつつ下降するキャッピングヘッドを備えている(例えば、特許文献7参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−312125号公報(第1〜5頁、図1)
【特許文献2】特許第3769217号公報(第1〜5頁、図1)
【特許文献3】特開2004−131175号公報(第4〜5頁、図1〜図4)
【特許文献4】特開平10−72096号公報(第3〜6頁、図2および図10)
【特許文献5】特開2006−52873号公報(第6〜8頁、図1)
【特許文献6】特開2006−52873号公報(第6〜8頁、図1)
【特許文献7】特開2004−123181号公報(第5〜9頁、図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の搬送装置では、容器のネックリングの部分をレールに引っ掛けた状態で、いわゆる「宙吊り状態」で容器を搬送している。また、いわゆる「ネック搬送」を行う構成の搬送装置では、グリッパにより容器のネックリングの上下の部分を掴みかえることで、ボトル殺菌機からキャッパーまで容器を搬送している。キャップを取付ける前の容器では、上記特許文献3に開示されているように、巻き締めリングの下部分(即ち、ネックリングの上部分)と、ネックリングの下部分を掴みかえることができる。一方、このような構成の搬送装置では、キャッパーにおいて容器にキャップを取付けると、容器のネックリングの上部分にグリッパが把持することができる領域がなくなり、キャップを取付けた容器は自立させた状態でコンベア搬送されている。
【0009】
しかしながら、自立安定性が低い軟包材容器の場合、そのような軟包材容器を単体でコンベア搬送するのは難しい。このような軟包材容器の搬送方法として、軟包材容器をホルダに装着した状態で搬送する搬送方法が知られている。このような搬送方法は、自立安定性が低い飲料用ボトルに適用することができるとも思われる。しかしながら、自立安定性が低い飲料用ボトルを搬送する場合、飲料用ボトルのホルダへの装着は、適宜の公知の装着装置により、容器のネックリングの部分を「宙吊り状態」で行う必要がある。しかし、前記のように、従来のグリッパ受渡装置では、キャップを取付けた容器はキャッパー側のグリッパによりネックリングの下部分を掴まれており、ネックリングのその上方にグリッパが把持することができる領域が存在しないので、キャッパーから次の処理装置にキャップ付き容器を搬送することが困難であった。
【0010】
本発明の目的は、キャップを取付けた後の可撓性がある本体を有し自立安定性が低い薄肉容器を確実に受け渡して搬送することができるように構成された搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、保形性がある口部と、前記口部に設けられたネックリングと、可撓性がある本体とを有する薄肉容器の搬送装置であって、前記ネックリングを保持するためのネックリング保持機構と、前記口部にキャップを取付けるキャップ取付部とを有する回転式のキャッピング装置と、前記ネックリング保持機構により前記容器を保持した状態において、前記キャップを取付けた容器の口部およびキャップからなる容器上部における、前記ネックリング保持機構が前記ネックリングを保持する部分以外の前記容器上部を保持して受け取るための容器受け取り機構と、前記キャップを取付けた容器の前記容器上部を保持して移動させる容器移動部とを有する回転式の中間搬送装置と、前記容器受け取り機構により前記キャップを取付けた容器を保持した状態において、前記キャップを取付けた容器を受け取ってホルダに配置し、前記ホルダを移動させるホルダ移動部を有するホルダ搬送装置と、を備えることを特徴とする。薄肉容器の搬送装置の上記の構成により、薄肉容器のネックリング、又は、薄肉容器に取付けたキャップを保持して、キャップ付き薄肉容器を確実に受け渡して搬送することができる。
【0012】
本発明の薄肉容器において、薄肉容器の「本体」は、本体の中に液体を収容した状態で容易に変形する程度の柔軟性を有し、自己の形状を維持して立つことができないように形成される。本発明において、「薄肉容器」には、ある程度の自立性があるものも含まれる。本発明の薄肉容器において、薄肉容器の「口部」は、常温常圧下において保形性を有するように形成される。本発明の薄肉容器の本体の厚さは、0.01mmから0.25mmの範囲内にあるのが好ましく、0.02mmから0.2mmの範囲内にあるのが一層好ましい。本発明の薄肉容器の本体の厚さは、0.035mmから0.05mmの範囲内に形成することもできる。本発明の薄肉容器の口部の厚さは、1mmから4mmの範囲内に形成するのが好ましい。
【0013】
本発明の搬送装置においては、前記容器受け取り機構は、ネックリングを上下方向に間隔を隔てて2つ以上設けた容器について、前記ネックリング保持機構により何れかのネックリングの下方部分を保持した状態において、他のネックリングの下方部分を保持して受け取るように構成することができる。また、本発明の搬送装置においては、前記容器受け取り機構は、容器のネックリングの下方の口部の筒状部分における上下方向の部分のうちの一方を保持した状態において、上記筒状部分における上下方向の部分のうちの他方を保持して受け取るように構成することができる。
【0014】
また、本発明の搬送装置においては、前記容器受け取り機構は、前記容器のネックリングの周壁を水平方向の断面が多角状に形成し、前記ネックリング保持機構により前記ネックリングの多角状の周壁側面の一部を保持した状態において、前記ネックリングの多角状の周壁側面の他の部分を保持して受け取るための機構を有するように構成することができる。また、本発明の搬送装置においては、前記容器受け取り機構は、前記容器のネックリングを垂直方向の断面が段差を有する形状に形成し、ネックリング保持機構により何れかの段部を保持した状態において、他の段部を保持して受け取るように構成することができる。
【0015】
また、本発明の搬送装置においては、前記容器受け取り機構は、前記ネックリング保持機構により前記容器のネックリングを保持した状態において、キャップ部分を保持して受け取るように構成することができる。また、本発明の搬送装置においては、前記ホルダ搬送装置が、前記容器上部、又は、その一部を保持して移動させる上部保持機構と、前記上部保持機構で前記容器上部、又は、その一部を保持した状態において、ホルダを移動させながら、前記キャップを取付けた容器をホルダに配置するためのホルダ配置機構を含むように構成することができる。このような構成により、本発明の搬送装置は、薄肉容器を確実にホルダに配置することができる。
【0016】
また、本発明の搬送装置においては、前記ホルダ搬送装置が、空のホルダを移動供給するためのホルダ供給部と、前記上部保持機構により前記キャップ付き容器を保持して移動させ、かつ、前記ホルダ配置機構によりホルダを移動させて、空のホルダに前記キャップ付き容器を配置させるホルダ挿入部と、前記キャップ付き容器を配置させたホルダを排出させるホルダ排出部とを含むように構成することができる。また、本発明の搬送装置においては、前記ホルダ挿入部は、前記上部保持機構で保持された前記キャップ付き容器を、前記ホルダ配置機構の前記ホルダに対して相対的に垂直方向に移動させて、前記キャップ付き容器をホルダに配置させるように構成することができる。さらに、本発明の搬送装置においては、前記装置の各々間における受け渡し位置のうちの少なくとも1箇所以上において、前記キャップ付き容器の本体部分の肩部、側面、底面のうちの少なくとも1箇所を支持する容器支持装置を有するように構成することができる。このような支持装置を適用することによって、本発明の搬送装置は、薄肉容器を支持して、受け渡し装置から受け取り装置に薄肉容器を確実に搬送することができる。
【0017】
また、本発明の搬送装置においては、前記搬送装置が無菌室の中に設けられるように構成することができる。また、本発明の搬送装置においては、前記キャッピング装置が加圧された加圧無菌ゾーンの中に設けられ、前記ホルダ挿入装置が前記加圧無菌ゾーンよりも低い圧力の低圧無菌ゾーンの中に設けられるように構成することができる。また、本発明の搬送装置においては、前記低圧無菌ゾーンの上流側に設けられ、かつ、前記低圧無菌ゾーンよりも高い圧力で加圧された高圧無菌ゾーンを備え、充填装置が前記高圧無菌ゾーンに配置されるように構成することができる。さらに、本発明の搬送装置においては、前記加圧無菌ゾーンと前記低圧無菌ゾーンとの間に設けられ、かつ、前記加圧無菌ゾーンよりも低い圧力であって前記低圧無菌ゾーンよりも高い圧力で加圧された中間圧力ゾーンを備え、中間搬送装置の全部又は一部が前記中間圧力ゾーンに配置されるように構成することができる。このような無菌ゾーンを設ける構成により、搬送装置内部における無菌性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の搬送装置は、薄肉容器のネックリング、又は、薄肉容器に取付けたキャップを保持して、キャップ付き薄肉容器を確実に受け渡して搬送することができる。また、本発明の搬送装置は、薄肉容器を支持して、受け渡し装置から受け取り装置に薄肉容器を確実に搬送することができる。また、本発明の搬送装置は、薄肉容器を確実にホルダに配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)容器の構造:
最初に、本発明に適用する薄肉容器の構造を説明する。ここで、図面の記載内容を明瞭にするために、容器の本体の厚さは厚さ方向を拡大強調して図示している。図1および図2を参照すると、容器102は合成樹脂で一体に形成されている薄肉容器である。容器102は、上方に開口部111を有する口部112と、口部112の下方に設けられた本体113とを含む。本体113の中に液体を収容することができる。口部112と本体113は、ブロー成形可能な合成樹脂で一体成形により形成されている。すなわち、本発明に適用する薄肉容器はブローボトルである。本体113は、上方に位置する肩部113aと、肩部113aの下方に位置する側面部113bと、側面部113bの下方に位置する底面部113cとを含むように形成されている。
【0020】
容器102を形成する合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、上記合成樹脂の少なくとも2つからなるコポリマー、上記合成樹脂の少なくとも1つをベースとする混合物、上記コポリマーの少なくとも1つをベースとする混合物からなる群から選択されたものであるのが好ましい。前記混合物として、例えば、補強剤、着色剤、離型剤、柔軟剤などをあげることができる。
【0021】
本発明のキャップ付き薄肉容器は、上記のように構成した薄肉容器と、前記薄肉容器のねじ部にねじ締め固定されるように構成されたキャップとを含むことを特徴とする。本発明において、「薄肉容器」とは、変形自在であり可撓性を有する合成樹脂製の容器を包含する概念である。本発明の薄肉容器において、薄肉容器の「本体」は、本体の中に液体を収容した状態で容易に変形する程度の柔軟性を有し、コンベアで搬送する際に、自己の形状を維持して立つことができないように形成される。本発明において、「薄肉容器」には、ある程度の自立性があるものも含まれる。
【0022】
口部112は保形性があるような寸法形状に形成される。すなわち、口部112は自己の形状を維持することができるような厚さに形成されている。口部112の厚さは、1mmから4mmの範囲内に形成するのが好ましい。本体113は可撓性があるような寸法形状に形成される。本体113の厚さは、0.01mmから0.25mmの範囲内にあるのが好ましく、0.02mmから0.2mmの範囲内にあるのが一層好ましい。本体113の厚さは、0.035mmから0.05mmの範囲内に形成することもできる。本体113の中に収容することができる液体の体積は、例えば、250ミリリットル、350ミリリットル、500ミリリットル、1リットル、1.5リットル、2リットルなどになるように設計することができる。
【0023】
容器102を密封するためのキャップ160を取付けるためのねじ部114が口部112の上方部分に設けられる。ネックリング115が口部112においてねじ部114の下方に設けられる。ねじ部114と、ネックリング115は、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置されている。ねじ部114は、口部112において半径方向外方に出っ張り螺旋状に形成された雄ねじ部分で構成される。ネックリング115は、口部112において半径方向外方に出っ張るリング形状に形成される。
【0024】
変形例として、図1および図2に仮想線で示すように、下方ネックリング116を、口部112においてネックリング115の下方に設けることができる。すなわち、ネックリングは、ねじ部114の下方に1個又は複数個設けることができる。この構成では、複数個のネックリングは、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置される。下方ネックリング116は、口部112において半径方向外方に出っ張るリング形状に形成される。複数のネックリングは、同じ寸法形状に構成することができる。例えば、複数のネックリングは、例えば、5mmから15mmの範囲内の間隔を隔てて配置されるのが好ましい。なお、下方ネックリング116の下方に上下方向の間隔を隔てて、さらにネックリングを配置することもできる(3段のネックリング)。このような更なるネックリングは、前記下方ネックリング116の場合と同様の間隔で配置するのが好ましい。同様に4段以上のネックリングを配置することもできる。巻き締めリング117のない、ねじ部114の下方にラチェット爪が形成されているものでは、その下方に前記の各ネックリングを配置すればよい。各ネックリングは、水平方向の断面多角形、即ち出っ張り部分が多角形となる形状で設けてもよい。ネックリングを構成する多角形としては、4角、6角、5角、8角のものが挙げられる。
【0025】
巻き締めリング117が口部112に設けられる。巻き締めリング117は、ネックリング115から間隔を隔てて、ねじ部114とネックリング115との間に配置される。巻き締めリング117は、口部112において半径方向外方に出っ張るリング形状に形成される。キャップ160は、筒状部161と、平板部162とを含む。容器102の口部112のねじ部114にねじ締め固定される雌ねじ163が、筒状部161の内側に設けられる。巻き締めリング117は、口部112にキャップ160を取付けたときに、キャップ160の筒状部161の内側に位置するように設けるのが好ましい。
【0026】
図3を参照すると、合成樹脂製のプリフォーム119を用いて、ブロー成形加工により容器102を形成することができる。プリフォーム119は、円筒形の筒状部119aを含むように形成される。開口部119bが筒状部119aの上部に設けられる。半球状部119cが筒状部119aの下方部分に設けられる。ねじ部分119dと、ネックリング部分119eと、巻き締めリング部分119gが、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に筒状部119aの上方部分に配置される。これらの配置は、前記の容器101の口部112におけるものと同様である。このようなプリフォーム119の外形形状は、射出成形加工などによって形成することができる。変形例においては、図3に仮想線で示すように、下方ネックリング部分119fが、ネックリング部分119eから下方向に間隔を隔てて筒状部119aの上方部分に配置される。
【0027】
キャップ160を形成する合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、上記合成樹脂の少なくとも2つからなるコポリマー、上記合成樹脂の少なくとも1つをベースとする混合物、上記コポリマーの少なくとも1つをベースとする混合物からなる群から選択されたものであるのが好ましい。あるいは、キャップ160はアルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは、それらの合金で形成することができる。キャップ160は、容器102を形成する合成樹脂と同じもので形成するのが好ましい。
【0028】
容器102の本体113の中にミネラルウォーターなどの液体を収容し、容器102の口部112のねじ部114にキャップ160をねじ締め固定することによって、キャップ付きの薄肉容器を製造することができる。口部112にキャップ160を取付けたときに、ネックリング115はキャップ160より下方に位置するように設けられている。すなわち、口部112にキャップ160を取付けたときに、ネックリング115はキャップ160の内側に配置されることなく、キャップ160の外部に露出するような位置に設けられている。キャップ160と上方ネックリング115との間に上下方向の間隔が設けられるように配置することもでき、上記の上下方向の間隔の部分を保持機構で保持してもよい。
【0029】
(2)搬送装置の構成:
次に、本発明の実施の形態において、搬送装置の構成を説明する。図4を参照すると、本発明の実施の形態において、液体入り容器製造装置200は、上流側から順に、充填室210と、キャッピング室220と、ホルダ挿入室230とを備える。充填室210、キャッピング室220は、無菌室(すなわち、クリーンルーム)として構成され、陽圧状態に維持される。ホルダ挿入室230は、大気圧に維持される。充填室210、キャッピング室220、ホルダ挿入室230の圧力は、ここに記載した順序にしたがって、各室ごとに5Paから10Paの差圧をつけて、高圧から低圧になるように維持される。
【0030】
充填室210の内部において、上流側から順に、液体入り容器製造装置200に容器102を供給するための供給用コンベア211と、供給用コンベア211から容器102を受け取って下流側に搬送するための充填供給ホイール212と、充填供給ホイール212から容器102を受け取って容器102の中に液体を充填するためのフィラー213と、フィラー213から容器102を受け取って下流側に搬送するための充填排出ホイール214とが設けられる。
【0031】
キャッピング室220の内部において、上流側から順に、充填排出ホイール214から容器102を受け取って容器102にキャップ160をねじ締め固定することによって取付けるためのキャッパー222と、キャッパー222からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するためのキャッパー排出ホイール224とが配置される。キャッパー222は、回転式のキャッピング装置として構成される。
【0032】
キャッパー222は、容器102のネックリング115を保持するためのネックリング保持機構と、容器102の口部112にキャップ160を取付けるキャップ取付部とを有するように構成される。キャッパー222は、複数のキャップ160を貯蔵する部分を有している。ネックリング保持機構により容器102のネックリング115を保持している状態で、キャップヘッドがキャップ160を保持して回転しつつ下降して、キャップ160の雌ねじ163を容器102のねじ部114にねじ締め固定するように構成される。公知のキャッピング装置の構造は、前述した特許文献7などに開示されている。
【0033】
キャッパー排出ホイール224は、前記ネックリング保持機構により容器102を保持した状態において、キャップ160を取付けた容器102を保持して受け取るための容器受け取り機構と、キャップ160を取付けた容器102を回転移動させる容器移動部とを有するように構成される。
【0034】
ホルダ挿入室230の内部において、ホルダ挿入装置232にホルダ170(後述する)を供給するためのホルダ供給コンベア231と、キャッパー排出ホイール224からキャップ付きの容器を受け取って、液体を充填したキャップ付きの容器をホルダ170に挿入するためのホルダ挿入装置232と、ホルダ挿入装置232からホルダ170に挿入されたキャップ付きの容器を受け取って液体入り容器製造装置200から排出するための排出用コンベア233とが設けられる。以上の説明において、円形に図示されたものは、各々の水平方向の断面が円形であって、外周に容器の口部の保持機構(例えば、グリッパ)を複数有する回転体として設けられ、各々の受け渡し位置において、各々の保持機構が容器の口部を持ちかえて容器を受け渡す構造になっている。
【0035】
複数の容器102が図4の矢印方向に供給用コンベア211によって充填室210の内部に直線状の軌跡にそって搬送されるように構成される。充填供給ホイール212は、図4の矢印方向(時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって容器102を搬送することができるように構成される。充填供給ホイール212とフィラー213との受け渡し位置において、容器102は充填供給ホイール212からフィラー213に受け渡されるように構成される。フィラー213は、図4の矢印方向(反時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって容器102を搬送することができるように構成される。フィラー213において、容器102の中に液体が充填されるように構成される。充填する液体は、例えば、ミネラルウォーターなどの飲料である。フィラー213と充填排出ホイール214の受け渡し位置において、容器102はフィラー213から充填排出ホイール214に受け渡されるように構成される。充填排出ホイール214は、図4の矢印方向(時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって容器102を搬送することができるように構成される。
【0036】
充填排出ホイール214とキャッパー222の受け渡し位置において、容器102は充填排出ホイール214からキャッパー222に受け渡されるように構成される。キャッパー222は、図4の矢印方向(反時計回り方向)に容器102を円弧状の軌跡にそって搬送することができるように構成される。キャッパー222において、液体が充填されている容器102の口部112のねじ部114に、キャップ160がねじ締め固定されて取付けられる。複数のキャップ160が、予めキャッパー222に貯蔵される。或いは、複数のキャップ160はキャップ供給装置(図示せず)によってキャッパー222に供給されるように構成することもできる。キャッパー222とキャッパー排出ホイール224の受け渡し位置において、液体を充填したキャップ付きの容器はキャッパー222からキャッパー排出ホイール224に受け渡されるように構成される。キャッパー排出ホイール224は、図4の矢印方向(時計回り方向)に円弧状の軌跡にそって、キャップを取付けた容器102を搬送することができるように構成される。
【0037】
図6を参照すると、ホルダ挿入装置232は、ホルダ供給コンベア231及び排出用コンベア233の上方に設けられ、外周に容器101の口部112を保持する複数の保持機構232G(図示のものはグリッパを示す)を備える。上記保持機構232Gにより、キャッパー排出ホイール224の外周に複数備えられた保持機構224G(図示のものはグリッパを示す)から、キャップ付きの容器を受け取る。キャップ付容器をホルダ170に挿入する作動は、図6に示すように次のようにして行う。ホルダ供給コンベア231及び排出用コンベア233は、複数のホルダを載せて搬送し、両コンベアは一連に設けてもよい。ホルダ供給コンベア231は、キャッパー排出ホイール224とホルダ挿入装置232の受渡し位置232Pの下方までは、ホルダ170の上端が容器本体の底部よりも下方に位置する状態でホルダ170を搬送する。さらに、ホルダ挿入部232Hの下方では、図示のようにホルダ170を徐々に上方に持ち上げて、キャップ付容器がホルダ170に挿入されるようにホルダ170を搬送する。この間、ホルダ挿入部232Hでは、ホルダ挿入装置232の保持機構232Gによりキャップ付容器がネック搬送される。
【0038】
回転式のホルダ挿入装置232の外周に備えられた保持機構232Gと、ホルダ供給コンベア231で搬送されるホルダ170とは、各々同じ間隔で配置されて位置決めされ、同期して動かされることで、前記のように作動することができる。なお、前記挿入装置232のような上部保持機構と、前記コンベアのようなホルダ配置機構とが、一定時間を協動するホルダ挿入部を構成することで、ホルダに容器を安定に配置することが可能となる。ホルダ挿入部において、上部保持機構で保持された容器を、ホルダ配置機構のホルダに対して相対的に垂直方向に移動させて、容器をホルダに配置させるように構成することができ、前記の実施例とは別に、上部保持機構によって保持された容器を昇降してもよい。
【0039】
なお、ホルダ挿入装置232に備えられた保持機構232Gは、後記のように、ネックリング保持式の機構として構成されることが望ましい。ホルダ挿入装置の保持機構がネックリング保持式のものである場合は、容器をより安定に姿勢制御して保持することができるため、容器をより安定にホルダに配置させることが可能になる。また、図示の装置では、上部保持機構が、ホルダ挿入装置232に備えられた保持機構232Gとして構成されるが、変形例として、例えば、図4のキャッパー排出ホイール224、図5のホルダ挿入室ホイール236に備えられた容器受け取り装置(保持機構)を、ホルダ挿入装置の上部保持機構として機能させることができる。この場合は、キャッパー排出ホイール224又はホルダ挿入室ホイール236の各々の外周における一部を上部保持機構とし、その下方にホルダ供給コンベア231を配置してホルダ配置機構とし、両者が上下に重なる領域をホルダ挿入部232Hとして、前記上部保持機構で前記容器上部、又は、その一部を保持した状態において、ホルダを移動させながら、前記キャップを取付けた容器をホルダに配置することができる。
【0040】
そして、ホルダ排出部232Jでは、キャップ付容器がホルダ170に挿入された状態で、ホルダ挿入装置232の保持機構232Gがキャップ付容器の保持を外して、容器がホルダ170に受け渡される。ホルダ170に挿入されたキャップ付容器は、排出用コンベア233で容器製造装置200から排出される。ホルダ170の高さは、容器101の本体113の高さの1/5から1/2であるのが好ましい。ホルダ170の側壁部171の内径は、液体を充填した容器101の本体113を収納できるような寸法に形成するのが好ましい。
【0041】
図5を参照すると、本発明の変形形態において、液体入り容器製造装置202は、上流側から順に、充填室215と、キャッパー室315と、中間室225と、ホルダ挿入室235とを備える。充填室215と、キャッパー室315と、中間室225は、無菌室(すなわち、クリーンルーム)として構成され、陽圧状態に維持される。ホルダ挿入室235は、大気圧に維持される。充填室215、キャッパー室315、中間室225、ホルダ挿入室235の圧力は、ここに記載した順序にしたがって、各室ごとに5Paから10Paの差圧をつけて、高圧から低圧になるように維持される。なお、上記のように、フィラー、キャッパー、中間搬送装置(全て又は一部)及びホルダ搬送装置は、各々が別のゾーンに配置されることが、トータルの無菌性を保持する上から最も望ましい。
【0042】
充填室215の内部において、上流側から順に、液体入り容器製造装置202に容器102を供給するための供給用コンベア211と、供給用コンベア211から容器102を受け取って下流側に搬送するための充填供給ホイール212と、充填供給ホイール212から容器102を受け取って容器102の中に液体を充填するためのフィラー213と、フィラー213から容器102を受け取って下流側に搬送するための充填排出ホイール214が設けられる。キャッパー室315の内部において、充填排出ホイール214から容器102を受け取って容器102にキャップ160をねじ締め固定することによって取付けるためのキャッパー216が設けられる。キャッパー216は、回転式のキャッピング装置として構成される。また、キャッパー216からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するためのキャッパー排出ホイール226が、キャッパー室315の内部に設けられる。キャッパー排出ホイール226は、第1の回転式の中間搬送装置として構成される。
【0043】
中間室225の内部において、上流側から順に、キャッパー排出ホイール226からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するための中間室ホイール227と、中間室ホイール227からキャップ付きの容器を受け取って下流側に搬送するためのホルダ挿入室ホイール236とが配置される。中間室ホイール227は、第2の回転式の中間搬送装置として構成される。
【0044】
ホルダ挿入室235の内部において、ホルダ挿入装置232にホルダ170を供給するためのホルダ供給コンベア231と、ホルダ挿入室ホイール236からキャップ付きの容器を受け取って、液体を充填したキャップ付きの容器をホルダ170に挿入するためのホルダ挿入装置232と、ホルダ挿入装置232からホルダ170に挿入されたキャップ付きの容器を受け取って液体入り容器製造装置202から排出するための排出用コンベア233とが設けられる。ホルダ挿入室ホイール236は、第3の回転式の中間搬送装置として構成される。ホルダ挿入装置232は、前記のものと同様である。
【0045】
液体入り容器製造装置202における、容器の搬送と受け渡し、液体を充填した容器の搬送と受け渡し、キャップ付き容器の搬送と受け渡し、液体を充填したキャップ付きの容器の搬送と受け渡し、ホルダに挿入されたキャップ付き容器の搬送と受け渡しの作動は、前述した液体入り容器製造装置200における搬送の作動と同様である。
【0046】
次に、液体入り容器製造装置202の作動を説明する。図5を参照すると、供給用コンベア211と充填供給ホイール212との受け渡し位置において、容器102は、供給用コンベア211から充填供給ホイール212に受け渡される。充填供給ホイール212とフィラー213との受け渡し位置において、容器102は、充填供給ホイール212からフィラー213に受け渡される。フィラー213と充填排出ホイール214との受け渡し位置において、容器102は、フィラー213から充填排出ホイール214に受け渡される。充填排出ホイール214とキャッパー216との受け渡し位置において、液体を充填した容器102は、充填排出ホイール214からキャッパー216に受け渡される。
【0047】
キャッパー216は、容器102のネックリング115を保持するためのネックリング保持機構と、容器102の口部112にキャップ160を取付けるキャップ取付部とを有するように構成される。キャッパー排出ホイール226は、前記ネックリング保持機構により容器102を保持した状態において、キャップ160を取付けた容器102を保持して受け取るための容器受け取り機構と、キャップ160を取付けた容器102を回転移動させる容器移動部とを有するように構成される。中間室ホイール227は、キャップ160を取付けた容器102を保持して受け取るための容器受け取り機構と、キャップ160を取付けた容器102を回転移動させる容器移動部とを有するように構成される。ホルダ挿入室ホイール236は、キャップ160を取付けた容器102を保持して受け取るための容器受け取り機構と、キャップ160を取付けた容器102を回転移動させる容器移動部とを有するように構成される。
【0048】
キャッパー216とキャッパー排出ホイール226との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、キャッパー216からキャッパー排出ホイール226に受け渡される。キャッパー排出ホイール226と中間室ホイール227との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、キャッパー排出ホイール226から中間室ホイール227に受け渡される。中間室ホイール227とホルダ挿入室ホイール236との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、中間室ホイール227からホルダ挿入室ホイール236に受け渡される。ホルダ挿入室ホイール236とホルダ挿入装置232との受け渡し位置において、キャップ付き容器は、ホルダ挿入室ホイール236からホルダ挿入装置232に受け渡される。ホルダ挿入装置232と排出用コンベア233との受け渡し位置において、ホルダに挿入されたキャップ付き容器は、ホルダ挿入装置232から排出用コンベア233に受け渡される。
【0049】
次に、ネックリング保持機構と、容器受け取り機構の構造を説明する。ネックリング保持機構とは、容器のネックリングを保持した状態において容器を搬送するための保持機構であって、ネックリングを保持するというのは、(あ)ネックリングの下端面を支えるか、(い)ネックリングの下方にある容器口部の筒状部分を挟むか、(う)上記の(あ)と(い)を合せて行う機構を意味する。回転式のキャッピング装置の外周に、上記ネックリング保持機構が複数備えられ、これらにより容器のネックリングを保持した状態で、キャップ取付部で容器口部にキャップを取付ける。
【0050】
容器受け取り機構とは、キャップを取付けた容器の上部(すなわち、容器の口部とキャップの部分)、又は、容器の上部の一部を保持した状態において、容器を搬送するための保持機構である。特に、中間搬送装置(第1の中間搬送装置)における、キャッピング装置下流のこれより容器を受け取るための容器受け取り機構は、前記ネックリング保持機構により容器のネックリングを保持した状態において、キャップを取付けた容器の上部における、前記ネックリング保持機構が保持したネックリング以外の部分を保持して、容器を受け取るための機構を有する。この容器受け取り機構により、前記ネックリング保持機構が容器のネックリングを保持した状態で、容器の上部を保持して、いわゆる宙吊り状態のまま薄肉容器を受け取ることができる。
【0051】
なお、本発明において、「宙吊り状態」とは、前記容器の上部、又は、その一部を保持した状態において、容器を搬送することを示し、ネックリング保持式の搬送、キャップ保持式の搬送のいずれも含むものである。なお、上記「宙吊り状態」において、搬送すべき容器の重量が重い場合等に、後述するような支持装置と同様の装置等を用いて搬送を補助してもよい。
【0052】
次に、前記容器受け取り機構の具体例について説明する。
(A)前記容器口部にネックリングを上下方向に間隔を隔てて2つ以上設け、ネックリング保持機構により何れかのネックリングの下方部分を保持した状態において、他のネックリングの下方部分を保持して受け取るための機構とする。:
図1及び図2の仮想線で示す下方ネックリング116が設けられる変形例のように、薄肉容器102に複数のネックリングを設けた場合、受け渡し装置は、薄肉容器102の複数のネックリングのうちの1個又は複数個を保持するためのグリッパ等の保持機構を備え、受け取り装置は、上記ネックリングのうちの受け渡し装置の保持機構が保持する以外のネックリングを保持するためのグリッパ等の保持機構を備えるように構成することができる。
【0053】
図20を参照すると、搬送装置310は、前述の保形性がある口部112と、可撓性がある本体113とを有し、ねじ部114と、上方ネックリング115と、下方ネックリング116が、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置されている薄肉容器101を搬送するための搬送装置である。搬送装置310は、受け渡し側に配置された受け渡し装置312と、受け取り側に配置された受け取り装置316とを備える。受け渡し装置312が、薄肉容器101の口部112における上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の部分を把持するための受け渡し用グリッパ313を備える。受け取り装置316が、薄肉容器101の下方ネックリング116の下方の部分を把持するための受け取り用グリッパ317を備える。それぞれのグリッパは、任意の構造を使用することができる。或いは、図示しないけれども、受け取り装置316が、薄肉容器101の口部112における上方ネックリング115と下方ネックリング116との間の部分を把持するための受け渡し用グリッパ313を備え、受け渡し装置312が、薄肉容器101の下方ネックリング116の下方の部分を把持するための受け取り用グリッパ317を備えるように構成することもできる。
【0054】
(B)ネックリング保持機構によりネックリング下方の口部の筒状部分における上下の一方を保持した状態において、上記筒状部分における上下の他方の部分を保持して受け取るための機構とする。:
例えば、図1及び図2の仮想線で示す下方ネックリング116が設けられない場合に、受け渡し装置は、ネックリング115を保持するためのグリッパ等の保持機構を備え、受け取り装置は、上記グリッパ等が保持する部分より下方の口部112の筒状部分を保持するためのグリッパ等の保持機構を備えるように構成することができる。受け渡し装置と受け取り装置の保持機構の上下位置は逆になってもよい。
【0055】
図21を参照すると、搬送装置310は、前述の保形性がある口部112と、可撓性がある本体113とを有し、ねじ部114と、ネックリング115が、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置されている薄肉容器108を搬送するための搬送装置である。搬送装置310は、受け渡し側に配置された受け渡し装置312と、受け取り側に配置された受け取り装置316とを備える。受け渡し装置312が、薄肉容器108の口部112におけるネックリング115の下方の筒状部分における上下方向の部分のうちの一方を保持するための保持機構を備える。受け取り装置316が、前記ネックリング115の下方の筒状部分における上下方向の部分のうちの他方を保持するための保持機構を備える。
【0056】
図21に示すように、受け渡し装置312は、ネックリング115の下方の筒状部分における上方の部分を把持するための受け渡し用グリッパ313を備え、受け取り装置316は、ネックリング115の下方の筒状部分における下方の部分を把持するための受け取り用グリッパ317を備える。或いは、図示しないけれども、受け取り装置316が、ネックリング115の下方の筒状部分における上方の部分を把持するための受け渡し用グリッパ313を備え、受け渡し装置312が、ネックリング115の下方の筒状部分における下方の部分を把持するための受け取り用グリッパ317を備えるように構成することもできる。
【0057】
(C)前記容器のネックリングを水平方向の断面が多角状に形成し、ネックリング保持機構によりネックリングの多角状周壁側面の一部を保持した状態において、周壁側面の他の部分を保持して受け取るための機構機構とする。あるいは、図示しないけれども、前記容器のネックリングを垂直方向の断面が段差を有する形状に形成し、ネックリング保持機構により何れかの段部を保持した状態において、他の段部を保持して受け取るための機構とすることもできる。
【0058】
図22および図23を参照すると、本発明の搬送装置は、前述の保形性がある口部112と、可撓性がある本体113とを有し、ねじ部114と、ネックリング115が、上下方向に互いに間隔を隔てて上方から順に口部112に配置されている薄肉容器109を搬送するための搬送装置である。この搬送装置は、受け渡し側に配置された受け渡し装置と、受け取り側に配置された受け取り装置とを備える。この実施の形態において、ネックリング115は、水平方向の断面形状が多角形に形成された複数の側面からなる周壁を含むように形成されている。
【0059】
受け渡し装置が、薄肉容器109の口部112におけるネックリング115の六角形の周壁側面における角部を含む一部分を保持するための保持機構を備える。受け取り装置が、ネックリング115の六角形の周壁側面における他の角部を含む他の部分を保持するための保持機構を備える。受け渡し装置312は、ネックリング115の六角形の周壁側面における角部を含む一部分を把持するための受け渡し用グリッパ313を備える。受け取り装置316は、ネックリング115の六角形の周壁側面における他の角部を含む他の部分を把持するための受け取り用グリッパ317を備える。
【0060】
受け渡し用グリッパ313は、第1グリッパアーム313aと、第2グリッパアーム313bとを含むように構成することができる。第1グリッパアーム313aに設けられた2つの面を含む保持部と、第2グリッパアーム313bに設けられた2つの面を含むの保持部とによって、ネックリング115の六角形の周壁における角部を含む一部分を保持するように構成することができる。第1グリッパアーム313aと、第2グリッパアーム313bは、薄肉容器109を受け渡すときにカムによって開閉することができるように構成される。受け取り用グリッパ317は、第1グリッパアーム317aと、第2グリッパアーム317bとを含むように構成することができる。第1グリッパアーム317aに設けられた2つの面を含む保持部と、第2グリッパアーム317bに設けられた2つの面を含む保持部とによって、ネックリング115の六角形の周壁における角部を含む一部分を保持するように構成することができる。第1グリッパアーム317aと、第2グリッパアーム317bは、薄肉容器109を受け渡すときにカムによって開閉することができるように構成される。
【0061】
この構成により、薄肉容器109を受け渡すときに薄肉容器109のネックリング115を安定性よく保持して、受け渡すことができる。上述した説明は、薄肉容器109にキャップ160を取付けた状態での搬送についてのべているけれども、本発明の搬送装置は、薄肉容器109にキャップ160を取付けていない状態での搬送についても同様に適用することができる。
【0062】
(D)ネックリング保持機構により前記容器のネックリングを保持した状態において、キャップ外周側壁を対抗方向あるいは全周方向から挟持するか、キャップ外周壁を吸引するか、これらを併せて行って受け取るための機構とする。
【0063】
図23を参照すると、キャップ160の外周部分を把持するためのキャップグリッパ422は、第1グリッパ部分422aと、第2グリッパ部分422bとを含む。第1グリッパ部分422aと、第2グリッパ部分422bは、グリッパ軸(図示せず)を回転中心軸として回転可能なように構成される。ネックリング用グリッパ410によって薄肉容器104のネックリング115の下方の部分を把持している状態において、第1グリッパ部分420aの先端部の円弧状内壁と、第2グリッパ部分420bの先端部の円弧状内壁によって、キャップ160の外周部分と、ネックリング115の外周部分とを同時に把持することができるように構成することができる。
【0064】
さらに、本発明の実施形態においては、図7に示すように、ネックリング保持機構が、キャッパー222、216からキャッパー排出ホイール224、226への容器の受け渡し側に配置されたキャッパー側受け渡し装置312として構成することができる。受け渡し装置312は、ネックリング保持式の受け渡し装置である。受け渡し装置312が、薄肉容器102のネックリング115を把持するためのネックリング用グリッパ313を備える。容器受け取り機構は、キャッパー222、216からキャッパー排出ホイール224、226への容器の受け取り側に配置されたキャッパー側受け取り装置316として構成される。受け取り装置316は、キャップ保持式の受け取り装置である。受け取り装置316が、キャップ付きの容器のキャップ160の外周部分を把持するためのキャップ用グリッパ317を備える。それぞれのグリッパは、前記の形態での受け渡しが可能となる任意の構造を使用することができる。
【0065】
キャップ用グリッパ317は、図示のキャップ外周の側壁部分を把持するためのものの他に、側壁と上壁部分を把持するもの、これらの部分でキャップをバキュームして吸引保持する機構のもの等に改変できる。作動時にキャップを傷つけないように、キャップに接触する部分に緩衝部材を有する保持機構としてもよい。さらに、図示しないが、このようなキャップ用グリッパとともに作動することが可能であり、かつ、ネックリングの下方の部分におけるネックリング保持機構、即ちネックリング用グリッパ313が把持する以外の部分を支持して前記ネックリング部分を支持するための爪を備えたフィンガーグリッパを設けてもよい。
【0066】
前記中間搬送装置(第1の中間搬送装置)の容器受け取り機構が容器を受け取ると、中間搬送装置では、容器移動部でキャップを取付けた容器の上部を保持して、宙吊り状態で容器を移動させる。即ち、図4のキャッパー排出ホイール224、図5のキャッパー排出ホイール226、中間室ホイール227、ホルダ挿入室ホイール236では、全て容器の上部を保持して宙吊り状態で容器を移動する。そして、中間搬送装置よりキャップを取付けた容器をホルダ挿入装置の容器受け取り機構に受け渡して、容器の上部を保持した宙吊り状態でホルダに配置する。
【0067】
これらの各装置間における、キャップを取付けた容器の受け渡しは、前述のネックリング保持機構と第1の中間搬送装置の容器受け取り機構との間で行われるのと同じように実施することができる。つまり、各装置間において、受け渡し側の装置の受け渡し機構と、受け取り側の装置の受け取り機構とは、前者がネックリング保持機構と同様のものである場合は、後者がネックリング保持機構が保持したネックリング以外の部分を保持して容器を受け取る機構のものとなり、前者がネックリング保持機構が保持するネックリング以外の部分を保持して容器を受け渡す機構のものである場合は、後者がネックリング保持機構と同様のものとなる。受け渡し機構と受け取り機構は、両者の相対関係により設計し得る。
【0068】
次に、中間搬送装置のキャップ保持機構と、ホルダ搬送装置の容器受け取り機構の構造を説明する。図16を参照すると、中間搬送装置のキャップ保持機構は、キャッパー排出ホイール224からホルダ挿入装置232への容器の受け渡し側に配置されたホルダ側受け渡し装置322として構成される。受け渡し装置322は、キャップ保持式の受け渡し装置である。受け渡し装置322が、キャップ付きの容器のキャップ160の部分を把持するためのキャップ用グリッパ327を備える。容器受け取り機構は、キャッパー排出ホイール224からホルダ挿入装置232への容器の受け取り側に配置されたホルダ側受け取り装置326として構成される。受け取り装置326は、ネックリング保持式の受け取り装置である。受け取り装置326が、薄肉容器102のネックリング115を把持するためのネックリング用グリッパ323を備える。それぞれのグリッパは、任意の公知の構造を使用することができる。
【0069】
さらに、図16を参照すると、本発明の搬送装置においては、キャップ用グリッパ327とともに作動することが可能であり、かつ、受け渡し装置322と受け取り装置326との間の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の肩部113a、側面部113b、底面部113cのうちの少なくとも1箇所を支持する支持装置を含むように構成するのがよい。例えば、このような支持装置は、受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の側面部113bを支持するように容器受け渡し装置322に設けられた受け渡し側側面支持装置314で構成することができる。或いは、このような支持装置は、容器受け取り装置326の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の側面部113bを支持するように容器受け取り装置326に設けられた受け取り側側面支持装置318で構成することができる。また、本発明の搬送装置において、中間搬送装置のキャップ保持機構と、ホルダ搬送装置の容器受け取り機構について、前述したような各種の支持装置を単独で、或いは、組み合わせて適用することができる。
【0070】
変形例として、図示しないけれども、キャップ付きの容器のキャップ160の部分を把持するためのキャップ用グリッパは、スプリングで内部のプランジャが進退するチャックによってキャップ160の外周部分を保持するように構成することができる。或いは、キャップ用グリッパは、キャップ160の外周部分と、ネックリング用グリッパ323が配置されていないネックリング115の一部分を同時に保持するように構成することができる。或いは、キャップ用グリッパは、キャップ160に対して昇降し、キャップ160の筒状部161と平板部162をバキュームによって吸引して保持するように構成することができる。
【0071】
再び、図5を参照すると、本発明の変形形態において、ネックリング保持機構は、キャッパー216からキャッパー排出ホイール226への容器の受け渡し側に配置されたキャッパー側受け渡し装置として構成される。このキャッパー側受け渡し装置は、前述したようなネックリング保持式の受け取り装置である。容器受け取り機構は、キャッパー216からキャッパー排出ホイール226への容器の受け取り側に配置されたキャッパー側受け取り装置として構成される。このキャッパー側受け取り装置は、前述したようなキャップ保持式の受け取り装置である。キャッパー排出ホイール226は、キャップ付き容器のキャップ160を保持してキャップ付き容器を回転移動させる。キャッパー排出ホイール226から中間室ホイール227への容器の受け渡し側に配置された中間室受け渡し装置は、前述したようなキャップ保持式の受け渡し装置である。キャッパー排出ホイール226から中間室ホイール227への容器の受け取り側に配置された中間室受け取り装置は、前述したようなネックリング保持式の受け取り装置である。中間室ホイール227は、キャップ付き容器のネックリング115を保持してキャップ付き容器を回転移動させる。
【0072】
中間室ホイール227からホルダ挿入室ホイール236への容器の受け渡し側に配置されたホルダ挿入室受け渡し装置は、前述したようなネックリング保持式の受け渡し装置である。中間室ホイール227からホルダ挿入室ホイール236への容器の受け取り側に配置された中間室受け取り装置は、前述したようなキャップ保持式の受け取り装置である。ホルダ挿入室ホイール236は、容器102のキャップ160を保持してキャップ付き容器を回転移動させる。
【0073】
ホルダ挿入室ホイール236からホルダ挿入装置232への容器の受け渡し側に配置されたホルダ側受け渡し装置は、前述したようなキャップ保持式の受け渡し装置である。ホルダ挿入室ホイール236からホルダ挿入装置232への容器の受け取り側に配置されたホルダ側受け取り装置は、前述したようなネックリング保持式の受け取り装置である。ホルダ挿入装置232は、キャップ付き容器のネックリング115を保持してキャップ付き容器を回転移動させる。
【0074】
それぞれの受け渡し装置、受け取り装置は、薄肉容器102のネックリング115を把持するためのネックリング用グリッパ、又は、キャップ付き容器のキャップ160を把持するためのキャップ用グリッパを備える。それぞれのグリッパは、任意の構造を使用することができる。
【0075】
変形例として、図19を参照すると、グリッパの代りに、2つの円盤327f、327gの外周に半円状の切欠きを形成して、この切欠きの無い部分に容器102のネックリング115を引っ掛けるようにして容器102を保持するように構成してもよい。2つの円盤327f、327gは同じ形状に形成するのがよい。図19(b)を参照すると、2つの円盤327f、327gは、同時に反対方向に回転させて、切欠きのところにネックリング115が配置されるようにして、容器102を受け渡すことができるように構成するのがよい。図19(a)を参照すると、2つの円盤327f、327gは、同時に反対方向に回転させて、外周円弧部のところにネックリング115が配置されるようにして、容器102を保持ことができるように構成するのがよい。
【0076】
以上詳説した本発明の装置の構成による意義は次のとおりである。
従来、キャッピング装置により容器にキャップを取付けると、キャッピング装置に備えたグリッパが容器のネックリングを把持しており、さらにグリッパが把持することができる領域がなくなり、下流側の装置が宙吊り状態で容器を受け取ることができなかった。したがって、自立性のある容器は、以降コンベア搬送することができたが、自立性のない容器ではこの方法をとることができず、以降安定に搬送することができなかった。
【0077】
本発明により、ネックリング保持式のキャッピング装置から、宙吊り状態で容器を受け取ることができる中間搬送装置の容器受け取り機構を実現し、中間搬送装置でキャッピング装置から宙吊り状態で容器を受け取り、容器を倒すことなく安定に搬送することができる。さらに、上記搬送を可能にすることで、容器を宙吊り状態でホルダ挿入装置にまで運ぶことができ、容器を宙吊り状態で確実にホルダに挿入して、以降自立性のない容器を安定にホルダ搬送することが可能となる。
【0078】
特に、本発明の搬送装置は、無菌室の中に設けられた場合に商業的メリットを発揮する。即ち、細菌汚染の問題から、無菌室の内部に細菌汚染の原因となるものを持ち込むことは極力回避すべきであり、この点から、無菌室の内部と外部を移動するホルダは、可能な限り無菌室の狭い領域にだけ持ち込むようにする必要がある。本発明では、キャッピング装置以降の自立性のない容器の宙吊り状態での搬送を可能とするため、無菌室の下流域までこれを続け、下流域の一部だけにホルダを持ち込んで、容器をホルダに受入れるようにすることが可能となるため、よりホルダを持ち込みによる細菌汚染の問題を低減することができる。無菌室の充填機、キャッピング装置等の設置される無菌性の高いゾーンの下流側に、別のゾーンを設けて、このゾーンにホルダ挿入装置を置くようにすれば、区切られたゾーンによっても無菌性を向上させることができる。上記のゾーンの上流側に、中間搬送装置を置くゾーンを別に設けて、更に無菌性を向上させることができる。
【0079】
本発明の搬送装置では、キャッピング装置が、加圧された加圧無菌ゾーンの中に設けられ、ホルダ挿入装置が前記加圧無菌ゾーンよりも低い圧力の低圧無菌ゾーンの中に設けられるように構成することができる。さらに、本発明の搬送装置では、加圧無菌ゾーンの上流側に設けられ、かつ、加圧無菌ゾーンよりも高い圧力で加圧された高圧無菌ゾーンを備え、充填装置が高圧無菌ゾーンの中に配置されるように構成することができる。さらに、加圧無菌ゾーンと低圧無菌ゾーンとの間に、加圧無菌ゾーンよりも低い圧力であって低圧無菌ゾーンよりも高い圧力で加圧された中間圧力ゾーンを備え、中間搬送装置の全て又は一部が前記中間圧力ゾーンの中に配置されるように構成することができる。なお、低圧無菌ゾーンは、厳密な意味での無菌室である必要はなく、上流側の陽圧ゾーンから外部に向けてエアーが流れる環境になるように構成すればよく、ゾーン自体の圧力は大気圧であってもよい。
【0080】
さらに、本発明の搬送装置においては、受け渡し用グリッパ313とともに作動することが可能であり、かつ、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の肩部113a、側面部113b、底面部113cのうちの少なくとも1箇所を支持する支持装置を含むように構成するのがよい。例えば、このような支持装置は、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の側面部113bを支持するように受け渡し装置312に設けられた受け渡し側側面支持装置314で構成することができる。或いは、このような支持装置は、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の側面部113bを支持するように受け取り装置316に設けられた受け取り側側面支持装置318で構成することができる。
【0081】
或いは、このような支持装置は、受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の底面部113cを支持するように受け取り装置316に設けられた受け取り側底面支持装置319で構成することができる。変形例として、図示しないけれども、このような支持装置は、受け渡し位置において、受け渡し装置312に設けられた受け取り側底面支持装置319で構成することができる。本発明の支持装置は、受け渡し装置312、受け取り装置316とは別個独立に構成することもできる。受け渡し側側面支持装置、受け取り側側面支持装置、受け渡し側底面支持装置、受け取り側底面支持装置は、それらのうちの少なくとも1つを設けるのがよい。この構成により、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113を確実に支持して薄肉容器102を受け渡すことができる。
【0082】
図8を参照すると、受け渡し側側面支持装置314は、第1保持アーム314aと、第2保持アーム314bとを含むように構成することができる。第1保持アーム314aに設けられた円弧状の保持部と、第2保持アーム314bに設けられた円弧状の保持部とによって、薄肉容器102の本体113の側面部113bを保持するように構成することができる。第1保持アーム314aと、第2保持アーム314bは、薄肉容器102を受け渡すときにカムによって開閉することができるように構成される。この構成により、薄肉容器102を受け渡すときに薄肉容器102を安定性よく保持することができる。このような構成は、受け取り側側面支持装置318にも適用することができる。
【0083】
変形例として、図9を参照すると、受け渡し側側面支持装置314は、単一の保持アーム314fを含むように構成することができる。保持アーム314fに設けられた円弧状の保持部によって、薄肉容器102の本体113の側面部113bを保持するように構成することができる。保持アーム314fの保持部は、薄肉容器102が遠心力で外方向に移動しないように保持することができる。保持アーム314fの保持部は、薄肉容器102の搬送の進行方向に開口部を設けるように構成される。この構成により、薄肉容器102のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器102のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け取り側側面支持装置318にも適用することができる。
【0084】
変形例として、図10から図12を参照すると、受け取り側側面支持装置322は、アーム322aと、アーム322aの先端部に設けられたバキュームバー322bとを含むように構成することができる。薄肉容器102の本体113の側面部113bを保持するための半円弧状のグリップ面322cが、バキュームバー322bに設けられる。1個又は複数の吸引口322dがグリップ面322cに設けられる。例えば、吸引口322dは、グリップ面322cに等間隔に5個設けられる。それぞれの吸引口322dは、吸引配管322fを介してバキューム源324(例えば、コンプレッサなど)に連結される。吸引配管322fの一部又は全部は、バキュームバー322bの中に設けることもできるし、或いは、バキュームバー322bに取付けるように設けることもできる。この構成によって、バキュームバー322bに設けられた円弧状のグリップ面322cによって、薄肉容器102の本体113の側面部113bを吸引して保持することができる。
【0085】
バキュームバー322bの保持部は、遠心力で薄肉容器102が外方向に移動する部分までを保持するように構成され、薄肉容器102の搬送の進行方向には保持部を設けないように構成するのがよい。この構成により、薄肉容器102のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器102のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け渡し側側面支持装置(図示せず)にも適用することができる。或いは、図示しないけれども、受け取り側側面支持装置322と、受け取り側側面支持装置322と同様に構成した受け渡し側側面支持装置の両方を同時に使用することもできる。前述したような支持装置は、受け渡し装置312、受け取り装置316とは別個独立に構成することもできる。受け渡し側側面支持装置、受け取り側側面支持装置、受け渡し側底面支持装置、受け取り側底面支持装置は、それらのうちの少なくとも1つを設けるのがよい。この構成により、受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113を確実に支持して薄肉容器102を受け渡すことができる。
【0086】
変形例として、図13および図14を参照すると、ネックリング用グリッパ316が、薄肉容器102のネックリング116の下方の部分を把持するための第1グリッパ332aと、第2グリッパ332bとを備える。薄肉容器102の本体113の肩部113aの形状に合うような湾曲形状を有する第1保持湾曲部334aが第1グリッパ332aの先端部に設けられる。薄肉容器102の本体113の肩部113aの形状に合うような湾曲形状を有する第2保持湾曲部334bが第2グリッパ332bの先端部に設けられる。第1グリッパ332aと、第2グリッパ332bは、薄肉容器102を受け渡すときにカムによって開閉することができるように構成される。第1保持湾曲部334a、第2保持湾曲部334bは、薄肉容器102が遠心力で外方向に移動しないように保持することができる。この構成により、薄肉容器102のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器102のリリースを安定性よく行うことができる。
【0087】
変形例として、図15を参照すると、受け取り装置316は、保持アーム342と、保持アーム342の先端部に設けられた保持カップ344とを含むように構成することができる。保持カップ344に設けられたカップ状、又は、ハーフカップ状の保持部によって、薄肉容器102の本体113の底面部113cを保持するように構成することができる。保持カップ344は、適宜上下方向に駆動されて薄肉容器102の底面部113cを支持するとともに、薄肉容器102が遠心力で外方向に移動しないように保持することができる。この構成により、薄肉容器102のボトルピッチを狭くすることができ、薄肉容器102のリリースを安定性よく行うことができる。このような構成は、受け渡し装置312にも適用することができる。
【0088】
図16および図17に示すように、受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113の底面部113cの一部を支持するように受け渡し装置322に設けられた受け渡し側底面支持装置352と、薄肉容器102の本体113の底面部113cの他の一部を支持するように受け取り装置326に設けられた受け取り側底面支持装置354とを含むように構成することができる。受け渡し側底面支持装置352は、保持アーム352aと、その先端部に設けられた保持プレート352bとを含むように構成することができる。受け取り側底面支持装置354は、保持アーム354aと、その先端部に設けられた保持プレート354bとを含むように構成することができる。保持プレート352b、保持プレート354bの保持面は、底面部113cの形状よりも大きくなるように形成される。
【0089】
変形例として、図18に示すように、保持プレート352b、保持プレート354bの保持面は、底面部113cの一部だけを保持するような形状に形成してもよい。このような支持装置は、受け渡し装置312、受け取り装置316とは別個独立に構成することもできる。
【0090】
以上のような支持装置は、公知の回転ホイール、ピストン・シリンダ装置、カム等を用いて作動させることができる。また、以上のような支持装置は、前記主要な回転体の搬送装置の外周に設けることもできる。これらの構成により、受け渡し装置312の受け渡し位置において、薄肉容器102の本体113を確実に支持して薄肉容器102を受け渡すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の薄肉容器の搬送装置を用いると、可撓性がある本体を有し自立安定性が低い薄肉容器を確実に受け渡して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態において、容器の外形形状と、キャップの外形形状(一部は断面で示している)を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態において、容器の口部分および首部分の形状と、キャップの形状(外形形状を仮想線で示している)を示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施形態において、容器の成形に用いられるプリフォームの断面形状を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態において、液体入り容器製造装置の概略構成を示す上平面図である。
【図5】本発明の実施形態の他の構成において、液体入り容器製造装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態において、液体入り容器製造装置のホルダ供給装置の部分の概略構成を示す部分平面図である。
【図7】本発明の実施形態において、搬送装置および支持装置の部分の概略構成を示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態において、支持装置の概略構成を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の実施形態において、搬送装置および支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図11】本発明の実施形態において、支持装置の部分を示す側面図である。
【図12】本発明の実施形態において、支持装置の部分を示す正面図である。
【図13】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図14】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す上面図である。
【図15】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図16】本発明の実施形態において、搬送装置および支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図17】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図18】本発明の実施形態において、支持装置の他の構成を示す側面図である。
【図19】本発明の実施形態において、ネックリングを保持する他の構成を示す上面図である。
【図20】本発明の実施形態において、搬送装置の具体例(その1)の構成を示す側面図である。
【図21】本発明の実施形態において、搬送装置の具体例(その2)の構成を示す側面図である。
【図22】本発明の実施形態において、搬送装置の具体例(その3)の構成を示す側面図である。
【図23】本発明の実施形態において、搬送装置の具体例(その3)の構成を示す部分平面図である。
【図24】本発明の実施形態において、搬送装置の具体例(その4)の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0093】
102 容器
111 開口部
112 口部
113 本体
114 ねじ部
115 ネックリング
117 巻き締めリング
119 プリフォーム
160 キャップ
200 充填システム
210 充填室
213 フィラー
220 キャッピング室
222 キャッパー
230 ホルダ挿入室
232 ホルダ挿入装置
312 受け渡し装置
313 受け渡し用グリッパ
314 受け渡し側側面支持装置
316 受け取り装置
317 受け取り用グリッパ
318 受け取り側側面支持装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保形性がある口部と、前記口部に設けられたネックリングと、可撓性がある本体とを有する薄肉容器の搬送装置であって、
前記ネックリングを保持するためのネックリング保持機構と、前記口部にキャップを取付けるキャップ取付部とを有する回転式のキャッピング装置と、
前記ネックリング保持機構により前記容器を保持した状態において、前記キャップを取付けた容器の口部およびキャップからなる容器上部における、前記ネックリング保持機構が前記ネックリングを保持する部分以外の前記容器上部を保持して受け取るための容器受け取り機構と、前記キャップを取付けた容器の前記容器上部を保持して移動させる容器移動部とを有する回転式の中間搬送装置と、
前記容器受け取り機構により前記キャップを取付けた容器を保持した状態において、前記キャップを取付けた容器を受け取ってホルダに配置し、前記ホルダを移動させるホルダ移動部を有するホルダ搬送装置と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記容器受け取り機構は、ネックリングを上下方向に間隔を隔てて2つ以上設けた容器について、前記ネックリング保持機構により何れかのネックリングの下方部分を保持した状態において、他のネックリングの下方部分を保持して受け取るように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記容器受け取り機構は、容器のネックリングの下方の口部の筒状部分における上下方向の部分のうちの一方を保持した状態において、上記筒状部分における上下方向の部分のうちの他方を保持して受け取るように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記容器受け取り機構は、前記容器のネックリングの周壁を水平方向の断面が多角状に形成し、前記ネックリング保持機構により前記ネックリングの多角状の周壁側面の一部を保持した状態において、前記ネックリングの多角状の周壁側面の他の部分を保持して受け取るための機構を有するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記容器受け取り機構は、前記容器のネックリングを垂直方向の断面が段差を有する形状に形成し、ネックリング保持機構により何れかの段部を保持した状態において、他の段部を保持して受け取るように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記容器受け取り機構は、前記ネックリング保持機構により前記容器のネックリングを保持した状態において、キャップの外周部分を保持して受け取るように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ホルダ搬送装置が、前記容器上部、又は、その一部を保持して移動させる上部保持機構と、前記上部保持機構で前記容器上部、又は、その一部を保持した状態において、ホルダを移動させながら、前記キャップを取付けた容器をホルダに配置するためのホルダ配置機構を含むことを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ホルダ搬送装置が、空のホルダを移動供給するためのホルダ供給部と、前記上部保持機構により前記キャップ付き容器を保持して移動させ、かつ、前記ホルダ配置機構によりホルダを移動させて、空のホルダに前記キャップ付き容器を配置させるホルダ挿入部と、前記キャップ付き容器を配置させたホルダを排出させるホルダ排出部とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記ホルダ挿入部は、前記上部保持機構で保持された前記キャップ付き容器を、前記ホルダ配置機構の前記ホルダに対して相対的に垂直方向に移動させて、前記キャップ付き容器をホルダに配置させるように構成されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の搬送装置。
【請求項10】
さらに、前記装置の各々間における受け渡し位置のうちの少なくとも1箇所以上において、前記キャップ付き容器の本体部分の肩部、側面、底面のうちの少なくとも1箇所を支持する容器支持装置を有することを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記搬送装置が無菌室の中に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記キャッピング装置が加圧された加圧無菌ゾーンの中に設けられ、前記ホルダ挿入装置が前記加圧無菌ゾーンよりも低い圧力の低圧無菌ゾーンの中に設けられることを特徴とする、請求項11に記載の搬送装置。
【請求項13】
さらに、前記低圧無菌ゾーンの上流側に設けられ、かつ、前記低圧無菌ゾーンよりも高い圧力で加圧された高圧無菌ゾーンを備え、充填装置が前記高圧無菌ゾーンに配置されることを特徴とする、請求項12に記載の搬送装置。
【請求項14】
さらに、前記加圧無菌ゾーンと前記低圧無菌ゾーンとの間に設けられ、かつ、前記加圧無菌ゾーンよりも低い圧力であって前記低圧無菌ゾーンよりも高い圧力で加圧された中間圧力ゾーンを備え、中間搬送装置の全部又は一部が前記中間圧力ゾーンに配置されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−247413(P2008−247413A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89211(P2007−89211)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】