説明

ネットワークシステム

【課題】端末装置の想定外の使用に対して抑止効果を生じさせることが可能なネットワークシステムを提供する。
【解決手段】ゲーム端末3とサーバ5とがネットワークを介して接続されたシステムにおいて、ゲーム端末3の設置地域を識別するためのリージョンコードと、ゲーム端末3に固有に割り当てられたIPアドレス15と、ゲーム端末3のゲーム用プログラム14に割り当てられたソフト識別コード16とを相互に対応付けたコードデータベースをサーバ5の記憶装置21上に記憶させ、ゲーム端末3からIPアドレス15とソフト識別コード16とをサーバ5に送信させ、両者に対応するリージョンコードの一致又は不一致をサーバ5にて判別し、その判別結果をゲーム端末3に送信する。ゲーム端末3では、判別結果が不一致の場合に、一致の場合よりもゲーム端末3の動作を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを含む端末装置とサーバ装置とがネットワークを介して相互に接続されたネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された端末装置に対してサーバ装置からコンテンツの配信といったサービスを提供するシステムとして、端末装置の属性(一例として地域)に応じてサービスの提供の許可又は禁止を切り替え制御するシステムが提案されている。例えば、音楽配信用の端末装置から転送元となるサーバ装置に対してコンテンツの転送を要求する際に、端末装置に設定されたIDコードをサーバ装置に送信し、サーバ装置ではそのIDコードに含まれている地域コードと、地域コード毎にコンテンツの転送又は禁止を設定したデータとを照合することによって、その端末装置からの転送要求に対してコンテンツを転送すべきか否かを判別し、転送可能と判別した場合に限ってコンテンツを転送するシステムが提案されている(特許文献1参照)。ネットワークを利用したゲームシステムの分野でも、希少性のある特定のゲームデータの配信回数を制限するために、ゲーム端末から配信要求とともに送信される地域コードを利用して、特定のゲームデータに関する配信回数を地域毎に計数し、所定の配信回数を超えるとその地域に対する特定のゲームデータの配信を禁止するシステムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−155069号公報
【特許文献2】特開2004ー194927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータを含んだ端末装置は、一般に、その端末装置の使用が予定されている地域等の属性に適合するようにハードウエア及びソフトウエアが調整されてユーザの利用に供されている。端末装置のハードウエアが適合されている属性と、ソフトウエアが適合されている属性とが整合しない場合には、端末装置の動作に何らかの不都合が生じる場合がある。あるいは、端末装置の動作それ自体には問題がなくても、端末装置の流通や端末装置に対してサーバから提供すべきサービスを端末装置の属性に応じて管理している場合には、異なる地域に持ち出されたハードウエアに対して新たな地域向けのソフトウエアが実装されるといった想定外の態様で端末装置が使用され、管理面での不都合が生じるおそれがある。上述した従来の技術ではこの種の不都合を排除することができない。
【0005】
そこで、本発明は、端末装置の想定外の使用に対して抑止効果を生じさせることが可能なネットワークシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネットワークシステム(1)は、コンピュータ(10)を含む端末装置(3)とサーバ装置(5)とがネットワーク(6)を介して相互に接続されたネットワークシステム(1)であって、前記サーバ装置には、前記端末装置の属性を識別するための属性情報と、当該端末装置に固有に割り当てられたハードウエア識別情報(15)と、前記端末装置のソフトウエアに割り当てられたソフトウエア識別情報(16)とを相互に対応付けた照合データ(23)を記憶する照合データ記憶手段(21)と、前記端末装置から前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報がそれぞれ送信された場合、前記照合データを参照して、前記ハードウエア識別情報に対応する属性情報と前記ソフトウエア識別情報に対応する属性情報との一致又は不一致を判別する照合手段(24)と、前記照合手段の判別結果を前記端末装置に送信する照合情報送信手段(24)と、が設けられ、前記端末装置には、前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報を前記サーバ装置に対して送信する識別情報送信手段(18)と、前記照合情報送信手段から送信された判別結果が不一致の場合に、一致の場合よりも前記端末装置の動作を制限する端末動作制御手段(17)と、が設けられたものである。
【0007】
本発明によれば、端末装置からサーバ装置に対してハードウエア識別情報及びソフトウエア識別情報が送信されると、そのサーバ装置において、ハードウエア識別情報から特定される属性情報とソフトウエア識別情報から特定される属性情報とが一致するか否かが判別され、その判別結果が一致しない場合には、一致する場合よりも端末装置の動作に制限が加えられる。したがって、端末装置のハードウエアが対象とする属性と、端末装置のソフトウエアが対象とする属性とが一致しない状態で端末装置が使用されることに対して抑止効果を生じさせることができる。それにより、端末装置をそのハードウエア及びソフトウエアが本来想定している属性下で使用されるように仕向け、端末装置の想定外の使用に対する動作上、あるいは管理上の不都合が生じるおそれを低減することができる。
【0008】
本発明の一形態においては、前記サーバ装置から前記ネットワークを介して前記端末装置にサービスが提供可能とされ、前記端末動作制御手段は、前記不一致の場合に、前記一致の場合よりも前記サーバ装置から提供されるサービスの利用に制限を加えてもよい。この場合、端末装置のハードウエアが対象とする属性と、ソフトウエアが対象とする属性とが一致しない場合、サーバ装置から提供されるサービスの端末装置における利用に関して制限が加えられる。これにより、端末装置の想定外の使用に対して抑止効果を適切に生じさせることができる。
【0009】
さらに、前記端末装置の前記識別情報送信手段は、当該端末装置の起動時に前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報を送信し、前記端末動作制御手段は、前記判別結果が前記不一致の場合に、起動後の前記端末装置の動作を前記一致の場合よりも制限してもよい。これによれば、端末装置の起動時にハードウエア識別情報及びソフトウエア識別情報に基づく属性情報の一致又は不一致を判別し、その判別結果に応じて起動後の端末装置の動作を変化させることができる。そのため、本発明による抑止効果を高めることが可能である。特に、端末装置が商業用途に供される場合には、端末装置の運営者等による起動操作とは別の操作に基づいて端末装置がサーバ装置にアクセスするのではなく、端末装置の起動に伴って端末装置自身が能動的にサーバ装置にアクセスしてサービスの提供を要求する場合がある。このような場合、端末装置の起動に伴って上述した属性情報の一致又は不一致の判別と、その判別結果に基づく端末装置の起動後の動作制御とを実行すれば、サーバ装置から端末装置への不適切なサービスを未然に防止できる効果がある。
【0010】
本発明の一形態において、前記属性情報は、前記端末装置が使用されるべき地域を識別するための情報を含んでいてもよい。それにより、端末装置が当初予定されていた地域外に持ち出された場合にその動作に制限を加えることが可能となる。
【0011】
本発明の一形態においては、前記ハードウエア識別情報として、前記ネットワーク上で前記端末装置を一意に識別するためのIPアドレスが利用されてもよい。IPアドレスはTCP/IPプロトコルを利用したインターネット、イントラネット等のネットワークにて端末装置のハードウエアを特定する情報として広く通用しており、これを利用することにより端末装置に対してハードウエア識別情報を容易に割り当てることができる。
【0012】
本発明は、コンピュータ(10)を含む端末装置(3)とサーバ装置(5)とがネットワーク(6)を介して相互に接続されたネットワークシステム(1)に適用され、前記端末装置のハードウエアとソフトウエアとの整合性を検証するための端末装置の検証方法であって、前記端末装置から、当該端末装置に固有に割り当てられたハードウエア識別情報(15)と、該端末装置のソフトウエアに割り当てられたソフトウエア識別情報(16)とを前記サーバ装置に送信させるステップ(S101)と、前記サーバ装置の記憶手段(21)に記録された、前記端末装置の属性を識別するための属性情報と、前記ハードウエア識別情報と、前記ソフトウエア識別情報とを相互に対応付けた照合データ(23)を参照して、前記端末装置から送信された前記ハードウエア識別情報に対応する属性情報と前記ソフトウエア識別情報に対応する属性情報との一致又は不一致を判別するステップ(S202〜S204)と、前記判別するステップにおける判別結果を前記サーバ装置から前記端末装置に送信するステップ(S207)と、前記サーバ装置から前記端末装置に送信された判別結果が不一致の場合に、一致の場合よりも前記端末装置の動作を制限するステップと、を備えた端末装置の検証方法として具現化されてもよい。本発明の検証方法によれば、サーバ装置における判別結果が一致しない場合には、一致する場合よりも端末装置の動作に制限を加えることができる。したがって、本発明のネットワークシステムと同様に、端末装置のハードウエアが対象とする属性と、端末装置のソフトウエアが対象とする属性とが一致しない状態で端末装置が使用されることに対して抑止効果を生じさせることができる。それにより、端末装置をそのハードウエア及びソフトウエアが本来想定している属性下で使用されるように仕向け、端末装置の想定外の使用に対する動作上、あるいは管理上の不都合が生じるおそれを低減することができる。
【0013】
さらに、本発明のサーバ装置用のコンピュータプログラム(22)は、コンピュータ(10)を含む端末装置(3)とネットワークを介して接続され、前記端末装置の属性を識別するための属性情報と、当該端末装置に固有に割り当てられたハードウエア識別情報と、前記端末装置のソフトウエアに割り当てられたソフトウエア識別情報とを相互に対応付けた照合データ(23)を記憶する照合データ記憶手段(21)を備えたサーバ装置(5)のコンピュータ(20)を、前記端末装置から前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報がそれぞれ送信された場合、前記照合データを参照して、前記ハードウエア識別情報に対応する属性情報と前記ソフトウエア識別情報に対応する属性情報との一致又は不一致を判別する照合手段、及び前記照合手段の判別結果を前記端末装置に送信する照合情報送信手段、として機能させるように構成されたものである。
【0014】
本発明のコンピュータプログラムをサーバ装置のコンピュータに読み取らせて実行させることにより、そのサーバ装置を本発明のネットワークシステムにおけるサーバ装置として機能させることができる。
【0015】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明によれば、端末装置からサーバ装置に送信されたハードウエア識別情報及びソフトウエア識別情報のそれぞれから属性情報を特定してその一致又は不一致を判別し、判別結果が一致しない場合には、一致する場合よりも端末装置の動作に制限を加えるようにしたので、端末装置のハードウエアが対象とする属性と、端末装置のソフトウエアが対象とする属性とが一致しない状態で端末装置が使用されることに対して抑止効果を生じさせることができる。それにより、端末装置をそのハードウエア及びソフトウエアが本来想定している属性下で使用されるように仕向け、端末装置の想定外の使用に対する動作上、あるいは管理上の不都合が生じるおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一形態に係るアミューズメントシステムの概略構成を示す図。
【図2】図1のゲーム端末及びサーバの機能ブロック図。
【図3】サーバの記憶装置に記録されたコードデータベースの一部を示す図。
【図4】コードデータベースの他の一部を示す図。
【図5】IPアドレス及びソフトウエア識別コードとリージョンコードとの間の対応関係を示す図。
【図6】ゲーム端末及びサーバのそれぞれの起動チェック部が実行する起動チェックルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を参照して、本発明のネットワークシステムをアミューズメントシステムとして構成した一形態の概要を説明する。図1のアミューズメントシステム1は、オペレータ2がアミューズメント施設等の商業施設(以下、店舗と呼ぶ。)に設置した一台又は複数台の端末装置としてのゲーム端末3と、サービス管理者4が管理又は運営している複数台のサーバ装置(以下、サーバと略称する。)5とを備えている。ゲーム端末3、サーバ5はインターネット等のネットワーク6を介して相互に通信可能に接続されている。ゲーム端末3は、ユーザ7に対して所定額の貨幣価値の消費と引き換えにゲームのプレイを許可する業務用ゲーム機である。
【0019】
アミューズメントシステム1においては、オペレータ2及びユーザ7のそれぞれに対して各種のサービスを提供するシステムも実装されている。例えば、ユーザ7にはユーザ識別手段としてのカード8が付与され、そのカード8の記憶媒体(一例としてICチップ)に記録されたカードIDとサーバ5上でユーザ7を識別するためのユーザIDとの間に対応付けが設定されることにより、ユーザ7を識別してユーザ7に各種のサービスが提供される。その種のサービスとしては、例えば、ユーザ7がカード8のカードIDをゲーム端末3に認識させてゲームをプレイした場合、そのゲームの成績等を含むプレイデータがゲーム端末3で生成され、そのプレイデータがカードIDとともにサーバ5に送信され、そのプレイデータがカードIDに対応したユーザIDと関連付けて保存される。サーバ5によって保存されたプレイデータは、次回以降のプレイ機会において利用可能となる。例えば、ユーザ7が同一のゲームを再度プレイする場合、そのプレイに先立ってカード8のカードIDをゲーム端末3に認識させることにより、そのカードIDに対応するユーザIDと関連付けて保存されたプレイデータをサーバ5からゲーム端末3に読み込んで利用することができる。あるいは、ネットワーク6を介した対戦ゲームがゲーム端末3間でプレイ可能な場合、所定期間内にサーバ5にアクセスして対戦を申し込んだユーザ7同士の間において、それらのユーザ7に対応付けて保存されているプレイデータに基づいてサーバ5が対戦相手をマッチングするサービスがユーザ7に提供される。オペレータ2に関しても、例えば、ゲーム端末3に組み込まれたゲーム用のコンピュータプログラムあるいはデータの更新といったサービスがサーバ5から提供される。
【0020】
図2を参照して、ゲーム端末3及びサーバ5の構成をさらに説明する。ゲーム端末3には、制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置(不図示)とを備えたコンピュータユニットである。制御ユニット10には、入力装置11、出力装置12及びハードディスク等の外部記憶装置13が接続されている。入力装置11は、ユーザ7の操作内容に応じた信号を出力する入力手段である。出力装置12は、ゲーム画面等を表示するモニタ及び音声を出力するスピーカ等を含む。外部記憶装置13は、制御ユニット10にて実行されるべきゲーム用プログラム14及びそのプログラム14が参照する各種のデータ(不図示)を記憶する。
【0021】
制御ユニット10の内部記憶装置にはEEPROMのような書換え可能な不揮発性メモリが設けられており、その不揮発性メモリにはIPアドレス15が記録されている。IPアドレス15は、アミューズメントシステム1内でゲーム端末3を一意に識別するために、ゲーム端末3に固有に割り当てられたハードウエア識別情報である。各店舗には利用可能なIPアドレスの範囲が規定されている。ゲーム端末3には、当該ゲーム端末3が設置される店舗に割り当てられた範囲内にて一つのIPアドレス15がそのゲーム端末3の設置時に設定される。なお、ネットワーク6がインターネットのように公開性のあるネットワークである場合には、各店舗のゲーム端末3とネットワーク6との間にルータが設定され、そのルータにネットワーク6上でユニークな固定アドレスが設定される。ゲーム端末3には、その固定アドレスとの組み合わせによってネットワーク6上でゲーム端末3を一意に識別するためのプライベートアドレスがIPアドレス15として設定される。
【0022】
一方、ゲーム用プログラム14には、ソフト識別コード16が書き込まれている。ソフト識別コード16は、ゲーム用プログラム14の対象地域(国又は国の集合)、ゲームのタイトル(ゲームの品目)、ソフトウエアのバージョンといったゲーム用プログラム14の詳細を識別するためのソフトウエア識別情報である。ゲーム用プログラム14の対象地域とは、例えば、ゲーム端末3が日本国内で使用されることを意図して提供される場合には、画面表示等の言語に日本語が使用されるように、ゲーム用プログラム14が意図している利用地域を意味する。すなわち、ゲーム用プログラム14の対象地域は、ゲーム用プログラム14の仕向地である。IPアドレス15及びソフト識別コード16は、いずれも端末装置3が使用されるべき地域を識別するためのリージョンコードと対応付けられている。リージョンコードは端末装置3の属性を識別するための属性情報に相当する。リージョンコードの詳細は後述する。
【0023】
外部記憶装置13のゲーム用プログラム14を制御ユニット10が読み取って実行することにより、制御ユニット10の内部には論理的装置としてのゲーム制御部17及び起動チェック部18が設けられる。ゲーム制御部17は、ゲーム端末3にてユーザ7に提供されるゲームの開始、進行、及び終了の管理といったゲームのプレイに必要な各種の処理、並びに、サーバ5から所定のサービスの提供を受けるために必要な処理をゲーム用プログラム14に従って実行する。起動チェック部18は、IPアドレス15及びソフト識別コード16を利用した起動チェック処理をサーバ5と協働して実行する。起動チェック部18の処理の詳細は後述する。
【0024】
サーバ5には、制御ユニット20と、外部記憶装置21とが設けられている。制御ユニット20は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置(不図示)とを備えたコンピュータユニットである。制御ユニット20には、キーボード等の入力装置と、モニタ等の出力装置とが接続されるが、それらの図示は省略した。外部記憶装置21は、制御ユニット20にて実行されるべきサーバ用プログラム22及びそのプログラム22が参照する各種のデータ(不図示)を記憶する。外部記憶装置21には、制御ユニット20が参照すべきデータの一種としてコードデータベース(コードDB)23が記録されている。コードDB23は、IPアドレスと、ソフト識別コードと、リージョンコードとを相互に対応付けた照合データに相当するが、その詳細は後述する。
【0025】
外部記憶装置21のサーバ用プログラム22を制御ユニット20が読み取って実行することにより、制御ユニット20の内部には論理的装置としてのサービス管理部23及び起動チェック部24が設けられる。サービス管理部23は、ゲーム端末3等に対する各種のサービスの提供を管理する。起動チェック部24は、IPアドレス15及びソフト識別コード16を利用した起動チェック処理をゲーム端末3と協働して実行する。起動チェック部24の処理の詳細は後述する。図示した論理的装置の他にも、ゲーム端末3の制御ユニット10及びサーバ5の制御ユニット20には、必要に応じて各種の論理的装置が設けられてよい。
【0026】
図3及び図4はコードDB23の詳細を示している。これらの図に示すように、コードDB23は、複数のテーブルTB1〜TB5を含んでいる。図3に示したように、テーブルTB1は、IPアドレスと店舗コードとを対応付けて記述したデータである。店舗コードは店舗毎にユニークに付されるコードである。すなわち、上述したように、アミューズメントシステム1において、各店舗には、ゲーム端末3に設定可能なIPアドレスの範囲が規定されている。テーブルTB1はそれらのIPアドレスと店舗との対応関係を記述したデータとして設けられている。
【0027】
テーブルTB2は、店舗コードと国コードとを対応付けて記述したデータである。国コードは、国毎にユニークに付されるコードである。さらに、テーブルTB3は、国コードとリージョンコードとを対応付けて記述したデータである。リージョンコードは、地域を識別するためのコードであって、一つのリージョンコードには一又は複数の国コードが対応付けられる。また、図4に示したように、テーブルTB4は識別親コードとリージョンコードとを対応付けて記述したデータである。識別親コードは、ソフト識別コードの一部に含まれているコードである。リージョンコードは上述した通りである。
【0028】
図3及び図4に示した各コードの対応関係の一例を図5に示す。図5の例において、ゲーム端末3に保持されたIPアドレス15は、インターネットで利用されているIPv4プロトコルに倣って32ビットのコードとして記述されている。図3の例では、IPアドレス15として、“10.20.30.xxx”(ただし、xは任意の自然数)が設定されている。一方、ソフト識別コードには、一例として“GSA1000”が設定されている。ゲーム端末3からIPアドレス15及びソフト識別コード16がサーバ5に通知されると、サーバ5ではそれらのIPアドレス15とソフト識別コード16とから以下のようにしてゲーム端末3の設置地域とゲーム用プログラム14の対象地域との整合性が検証される。
【0029】
まず、IPアドレス15に関しては、上述したテーブルTB1及びTB2を利用して、IPアドレスが店舗コード及び国コードに順次変換される。国コードには、日本が“A”、香港が“B”、シンガポールが“C”、米国が“D”、英国が“E”、韓国が“F”といったようにアルファベット等を用いて国毎にユニークなコードが設定される。国コードとリージョンコードとは、適宜の区分に従って対応付けられる。例えば、日本の国コード“A”は単独でリージョンコード“RG−A”に、香港の国コード“B”やシンガポールの国コード“C”はアジア地域を示すリージョンコード“RG−ASIA”に、米国の国コード“D”は単独でリージョンコード“RG−US”に、英国の国コード“E”は単独でリージョンコード“RG−GB”に、韓国の国コード“F”は単独でリージョンコード“RG−KR”にそれぞれ対応付けられている。
【0030】
一方、ソフト識別コード16は、識別親コードと多対1で対応付けられている。識別親コードは、対象地域とゲームのタイトルとが同一のゲーム用プログラムに対して共通に設定されるコードである。例えば、特定のタイトルのゲームで日本を対象地域とするゲーム用プログラム14には、そのプログラム14のバージョンに関わりなく同一の識別親コードが設定される。図5の例では、ソフト識別コード内の上位のアルファベット3文字が識別親コードに相当する。例えば、“GSA1000”〜“GSA100X”(Xは任意の数)は、いずれも、ゲームのタイトルが同一でかつ日本を対象地域として提供されたゲーム用プログラム14に割り当てられるソフト識別コードであり、その下5桁の数値がバージョンを示している。その一方で、ソフト識別コードの上位3桁の文字列“GSA”は、対象地域が日本でタイトルが共通するゲーム用プログラム14に共通に設定される。ソフト識別コード“GSB100Y”は、ゲームのタイトルが同一であるが、香港向けに提供されているゲーム用プログラム14に対して設定されており、その識別親コードは“GSB”である。識別親コードはいずれか一つのリージョンコードと対応付けられている。例えば、識別親コード“GSA”はリージョンコード“RG−JP”と対応付けられている。なお、図5では、リージョンコード“RG−JP”及び“RG−ASIA”とソフト識別コードとの間の対応関係のみを例示したが、他のリージョンコードに関しても、同様にしてソフト識別コードとの間の対応関係が設定されている。
【0031】
以上の関係を利用すれば、ゲーム端末3のハードウエア識別情報としてのIPアドレスからリージョンコードを特定する一方で、ゲーム用プログラム14に固有のソフトウエア識別除法としてのソフト識別コードからリージョンコードを特定し、両者を照合してそれらの一致又は不一致を判別することにより、ゲーム端末3の設置地域とゲーム用プログラム14の対象地域との整合性を判別することができる。
【0032】
上述したコードの照合は、ゲーム端末3の起動チェック部(以下、端末起動チェック部と呼ぶ。)18及びサーバ5の起動チェック部(以下、サーバ起動チェック部と呼ぶ。)24が、図6に示した端末起動チェックルーチン及びサーバ起動チェックルーチンをそれぞれ実行することにより実現される。以下、その処理の詳細を説明する。
【0033】
まず、ゲーム端末3に電源が投入されてゲーム用プログラム14が制御ユニット10に読み込まれると、ゲーム端末3では起動開始時に必須の処理として、図6の端末起動チェックルーチンが開始される。端末起動チェックルーチンの最初のステップS101において、端末起動チェック部18は、サーバ5に対する起動可否チェックのリクエストを送信する。そのリクエストには、ゲーム端末3に割り当てられたIPアドレス15及びゲーム用プログラム14に書き込まれたソフト識別コード16が含まれている。
【0034】
ゲーム端末3からのリクエストの送信を受けると、サーバ起動チェック部24はサーバ起動チェックルーチンを開始する。最初のステップS201において、サーバ起動チェック部24はゲーム端末3から送られたリクエストに含まれるデータ(IPアドレス及びソフト識別コードを含む。)を取得する。次のステップS202において、サーバ起動チェック部24は図3のテーブルTB1、TB2を順次参照してIPアドレスに対応する国コードを取得する。続くステップS203において、サーバ起動チェック部24は、図4のテーブルTB4、TB5を順次参照して、ソフト識別コードに対応するリージョンコードを取得する。その後、サーバ起動チェック部24は、ステップS204に進み、図3のテーブルTB3を参照して、ステップS202で取得した国コードがステップS203で取得したリージョンコードに対応付けられているか否かを判別する。つまり、ステップS204では、ゲーム端末3から送信されたIPアドレスとソフト識別コードとが整合するか否かがリージョンコードを介して検証される。
【0035】
ステップS204にて国コードがリージョンコードに対応付けられている場合、サーバ起動チェック部24はステップS205に進んでゲーム端末3が起動可能な状態にあると識別する。一方、ステップS204にて国コードがリージョンコードに対応付けられていない場合、サーバ起動チェック部24はステップS206に進んでゲーム端末3が起動不可能な状態にあると識別する。ステップS205又はS206の処理後、サーバ起動チェック部24はステップS207に進んでゲーム端末3の起動可能又は不可能を示すレスポンスを生成し、そのレスポンスをゲーム端末3に送信する。ステップS207の処理が完了すると、サーバ起動チェック部24は図6のサーバ起動チェックルーチンを終える。
【0036】
一方、ゲーム端末3の端末起動チェック部18は、ステップS101にてリクエストを送信するとステップS102に進み、サーバ5からのレスポンスを受信したか否かを判別する。受信していない場合、端末起動チェック部18はステップS103に進み、リクエスト送信後に所定の待ち時間が経過したか否かを判別する。待ち時間が経過していなければ端末起動チェック部18はステップS102の処理に戻る。ステップS102でレスポンスを受信したと判断した場合、端末起動チェック部18はステップS104に進み、サーバ5からのレスポンスの内容を取得する。続くステップS105において、端末起動チェック部18は、サーバ5からのレスポンスが起動可能を示しているか否かを判別する。起動可能であった場合、端末起動チェック部18はステップS106に進み、ゲーム制御部17に対してゲーム端末3の正常起動を指示し、その後に今回の端末起動チェックルーチンを終える。この場合、ゲーム端末3はサーバ5からの各種のサービスの提供を受けることが可能な状態で起動される。
【0037】
一方、ステップS103で待ち時間が経過したと判断された場合、あるいはステップS105にて起動不可能と判断された場合、端末起動チェック部18はステップS107に進み、ゲーム制御部17に対して所定のエラー処理を指示する。その後、端末起動チェック部18は今回の端末起動チェックルーチンを終了する。ステップS107にてエラー処理が指示された場合、ゲーム制御部17は、ゲーム端末3を停止させてその後のゲームのプレイを含めた一切の処理を禁止してもよい。あるいは、ゲーム制御部17は、エラー処理として、ネットワーク6への接続を禁止した状態でゲーム端末3を起動させてもよい。いずれにしても、エラー処理は、ゲーム端末3の動作の少なくとも一部に制限を加えるものであればよい。
【0038】
以上の処理によれば、ゲーム端末3のハードウエアに固有に割り当てられたIPアドレスと、ゲーム端末3に実装されたソフトウエアとしてのゲーム用プログラム14に固有のソフト識別コードと整合する場合に、サーバ5からのサービスの提供を受けることが可能となり、整合しない場合にはサーバ5から提供されるべきサービスの少なくとも一部を利用することが不可能となる。そのため、ゲーム端末3の設置地域とゲーム用プログラム14の対象地域とが整合しない場合に、サーバ5から不適切なサービスが提供されるおそれを未然に排除することができる。例えば、ゲーム端末3が当初の設置地域とは異なる地域に移設され、新たな設置地域に合わせたIPアドレスがゲーム端末3に設定された場合であっても、ゲーム用プログラム14がその設置地域に合わせたものへ変更されない限りは、サービスの利用が制限される。これにより、ゲーム端末3の当初とは異なる地域への持ち出しに対して抑止効果を生じさせることができる。
【0039】
以上の形態においては、サーバ5の外部記憶装置21が照合データ記憶手段に、サーバ5の起動チェック部24が図6のステップS202〜S206の処理を実行することにより照合手段として機能し、起動チェック部24がステップS207の処理を実行することにより照合情報送信手段として機能し、ゲーム端末3の起動チェック部18が図6のステップS101の処理を実行することにより識別情報送信手段として機能し、ゲーム制御部17が図6のステップS106又はS107の指示を受けてゲーム端末3の動作を制御することにより端末動作制御手段として機能する。
【0040】
本発明は上述した形態に限定されることなく、適宜の形態にて実施することができる。例えば、上記の形態では、ハードウエア識別情報としてIPアドレスを利用したが、端末装置に固有に設定される情報であればハードウエア識別情報として適宜に利用可能である。ネットワーク機器を判別するためのMACアドレスなどをハードウエア識別情報として利用してもよいし、制御ユニットのマイクロプロセッサにユニークな番号やコードが付されている場合には、それらをハードウエア識別情報として利用してもよい。属性情報としてのリージョンコードは、単一の国又は複数の国の集合毎に付される例に限らず、国よりもさらに細かい地域毎にユニークに付されるものであってもよい。属性情報は地域を示すリージョンコードに限定されず、端末装置が対象とする年齢層や性別、端末装置が設置される施設や環境の種類(例えば商業施設、公共施設、職場、家庭の別等)等、適宜の概念と関連付けて属性情報が設定されてよい。端末装置はゲーム端末に限らず、適宜の装置を対象としてよい。例えばスポーツ施設の器具を端末装置としてもよいし、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末等、ネットワーク接続が可能な限りにおいて各種の端末装置を対象とすることができる。したがって、本発明のネットワークシステムも、アミューズメントシステムとして構成される例に限らない。ハードウエア識別情報、ソフトウエア識別情報及び属性情報の関連付けも図3及び図4に示した形態に限らず、ハードウエア識別情報及びソフトウエア識別情報のそれぞれから属性情報を特定できる形態であれば適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 アミューズメントシステム(ネットワークシステム)
3 ゲーム端末(端末装置)
5 サーバ装置
6 ネットワーク
10 制御ユニット(コンピュータ)
14 ゲーム用プログラム
15 IPアドレス(ハードウエア識別情報)
16 ソフト識別コード(ソフトウエア識別情報)
17 ゲーム制御部(端末動作制御手段)
18 起動チェック部(識別情報送信手段)
21 外部記憶装置(照合データ記憶手段)
23 コードデータベース(照合データ)
24 起動チェック部(照合手段、照合情報送信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを含む端末装置とサーバ装置とがネットワークを介して相互に接続されたネットワークシステムにおいて、
前記サーバ装置には、
前記端末装置の属性を識別するための属性情報と、当該端末装置に固有に割り当てられたハードウエア識別情報と、前記端末装置のソフトウエアに割り当てられたソフトウエア識別情報とを相互に対応付けた照合データを記憶する照合データ記憶手段と、
前記端末装置から前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報がそれぞれ送信された場合、前記照合データを参照して、前記ハードウエア識別情報に対応する属性情報と前記ソフトウエア識別情報に対応する属性情報との一致又は不一致を判別する照合手段と、
前記照合手段の判別結果を前記端末装置に送信する照合情報送信手段と、が設けられ、
前記端末装置には、
前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報を前記サーバ装置に対して送信する識別情報送信手段と、
前記照合情報送信手段から送信された判別結果が不一致の場合に、一致の場合よりも前記端末装置の動作を制限する端末動作制御手段と、が設けられている、
ネットワークシステム。
【請求項2】
前記サーバ装置から前記ネットワークを介して前記端末装置にサービスが提供可能とされ、前記端末動作制御手段は、前記不一致の場合に、前記一致の場合よりも前記サーバ装置から提供されるサービスの利用に制限を加える請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記端末装置の前記識別情報送信手段は、当該端末装置の起動時に前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報を送信し、
前記端末動作制御手段は、前記判別結果が前記不一致の場合に、起動後の前記端末装置の動作を前記一致の場合よりも制限する請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記属性情報は、前記端末装置が使用されるべき地域を識別するための情報を含んでいる請求項1〜3のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記ハードウエア識別情報として、前記ネットワーク上で前記端末装置を一意に識別するためのIPアドレスが利用されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
コンピュータを含む端末装置とサーバ装置とがネットワークを介して相互に接続されたネットワークシステムに適用され、前記端末装置のハードウエアとソフトウエアとの整合性を検証するための端末装置の検証方法であって、
前記端末装置から、当該端末装置に固有に割り当てられたハードウエア識別情報と、該端末装置のソフトウエアに割り当てられたソフトウエア識別情報とを前記サーバ装置に送信させるステップと、
前記サーバ装置の記憶手段に記録された、前記端末装置の属性を識別するための属性情報と、前記ハードウエア識別情報と、前記ソフトウエア識別情報とを相互に対応付けた照合データを参照して、前記端末装置から送信された前記ハードウエア識別情報に対応する属性情報と前記ソフトウエア識別情報に対応する属性情報との一致又は不一致を判別するステップと、
前記判別するステップにおける判別結果を前記サーバ装置から前記端末装置に送信するステップと、
前記サーバ装置から前記端末装置に送信された判別結果が不一致の場合に、一致の場合よりも前記端末装置の動作を制限するステップと、
を備えた端末装置の検証方法。
【請求項7】
コンピュータを含む端末装置とネットワークを介して接続され、前記端末装置の属性を識別するための属性情報と、当該端末装置に固有に割り当てられたハードウエア識別情報と、前記端末装置のソフトウエアに割り当てられたソフトウエア識別情報とを相互に対応付けた照合データを記憶する照合データ記憶手段を備えたサーバ装置のコンピュータを、
前記端末装置から前記ハードウエア識別情報及び前記ソフトウエア識別情報がそれぞれ送信された場合、前記照合データを参照して、前記ハードウエア識別情報に対応する属性情報と前記ソフトウエア識別情報に対応する属性情報との一致又は不一致を判別する照合手段、及び
前記照合手段の判別結果を前記端末装置に送信する照合情報送信手段、
として機能させるように構成されたサーバ装置用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−44020(P2011−44020A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192097(P2009−192097)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】