説明

ネットワークスキャナ装置

【課題】コストを抑制しつつ、ネットワーク接続されたプリンタを有効活用できるネットワークスキャナ装置を提供する。
【解決手段】ユーザの操作入力により、ネットワークを介して接続されたプリンタが有する印刷機能を含むプリンタ情報を登録・記憶しておき、読取部により読み取られた原稿の画像データを、記憶されたプリンタ情報を用いて印刷データに変換し、ネットワーク接続されたプリンタへ送信する。そして、予め定められたプリンタ情報取得条件を満たす場合に、該プリンタのプリンタ情報を、ネットワークを介して取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されたプリンタ等の出力機器に読み取り画像を印刷データとして送信しコピー機能を提供する、ネットワークスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナやデジタルカメラ等の入力機器と、プリンタやFax等の出力機器をネットワークによってお互いに接続し、マルチファンクション機器システムを構成する方式が数多く実現されている。
【0003】
ネットワークスキャナ装置とネットワークプリンタとを用いてコピー機能、すなわち、ネットワークスキャナ装置で原稿を読み取り、読み取った原稿の画像データを印刷データに変換してネットワークプリンタへ出力し、ネットワークプリンタで印刷データを印刷する機能を実現する場合、プリンタ情報を登録して使用しているが、オフィス等の環境ではプリンタの入れ替えを行った場合に改めて登録する必要があった。また、提供可能なコピー機能は、コピー出力の対象として指定されるプリンタの機能によって決まるが、指定されたプリンタの機能に関係なくコピー操作画面が同じであると、ユーザは、実際には使用できない機能を設定できてしまい、操作に戸惑うという問題もある。
【0004】
そこで、マルチファンクションシステムの構成要素となりうる機器を予め登録しておく手段を設けることにより、ユーザ利便性を高めるマルチファンクションシステムが考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、ネットワーク対応機能を持たないプリンタあるいはスキャナをネットワークに接続可能にすると共に、スキャナからプリンタあるいはスキャナからネットワークを介して各ユーザのパソコンや他のネットワークプリンタに対し高速で画像データを送信できるようにする周辺機器管理装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−229878号公報
【特許文献2】特開平10−271263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、サーバを用いてネットワーク上の各機器情報の登録を行っているが、サーバ等が必要となり高価なシステムとなってしまい、SOHO(Small Office,Home Office:小規模事業所)などの小規模なネットワーク環境では、費用の面から導入に踏み切れないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2の構成では、スキャナとプリンタを接続する専用の装置(周辺機器管理装置)が必要であり、コスト高となってしまうことは免れない。
【0009】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、コストを抑制しつつ、ネットワーク接続されたプリンタを有効活用できるネットワークスキャナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
上記課題を解決するためのネットワークスキャナ装置は、原稿の読取処理を行う読取部と、ユーザが操作入力を行うための操作入力手段と、ユーザの操作入力により、ネットワークを介して接続されたプリンタが有する印刷機能を含むプリンタ情報を登録するプリンタ情報登録手段と、登録されたプリンタ情報を記憶するプリンタ情報記憶手段と、読取部により読み取られた原稿の画像データを、プリンタ情報記憶手段に記憶されたプリンタ情報を用いて印刷データに変換し、該プリンタへ送信する印刷データ変換送信手段と、予め定められたプリンタ情報取得条件を満たす場合に、プリンタのプリンタ情報を、ネットワークを介して取得するプリンタ情報取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によって、予め定められたプリンタ情報取得条件を満たす場合に、予め登録・記憶された各プリンタのプリンタ情報を更新することによって、常に最新のプリンタ情報を登録できるため、ユーザ(あるいは管理者)は、ネットワークスキャナ装置を導入する際に、一度登録作業をするだけで、それ以降はプリンタ情報が自動的に更新されるため、プリンタに機能が追加されたときにも新たに登録作業を行わなくてもよいという効果を有する。
【0012】
また、本発明のネットワークスキャナ装置は、操作入力手段に対し、ユーザが予め定められた操作入力を行ったことをプリンタ情報取得条件とするように構成される。
【0013】
上記構成によって、ユーザの操作入力をトリガとして、プリンタのプリンタ情報を自動的に更新することが可能となる。
【0014】
また、本発明のネットワークスキャナ装置における操作入力は、ユーザが、印刷データを印刷するためのプリンタを選択するための操作入力であり、プリンタ情報取得手段は、印刷データを印刷するためのプリンタが選択されたときに、該プリンタのプリンタ情報を、ネットワークを介して取得するように構成される。
【0015】
上記構成によって、原稿をスキャンして、その原稿を印刷(コピー機能を実施)する際に、プリンタを選択すれば自動的に最新のプリンタ情報を取得することが可能となる。よって、ユーザは、常に最新のプリンタ機能を利用することができる。また、プリンタ情報の再取得は、ユーザが送信先に指定したプリンタのみに対して行うので、複数のプリンタが登録されている場合、全プリンタの情報取得をコピー機能実施時に毎回行う必要がなく、プリンタ情報取得にかかる時間を短縮でき、ユーザを待たせることがなくユーザに煩わしさを感じさせない。
【0016】
また、本発明のネットワークスキャナ装置におけるプリンタ情報記憶手段は、プリンタ情報取得手段が取得したプリンタのプリンタ情報を、既に記憶されている該プリンタのプリンタ情報に置き換えて記憶するように構成される。
【0017】
上記構成によって、ユーザの登録操作を行わなくても、プリンタ情報が自動的に更新され、常に最新のプリンタ情報が保持され、ユーザは常に最新の機能を利用することができる。
【0018】
また、本発明のネットワークスキャナ装置における印刷データ変換送信手段は、プリンタ情報取得手段が取得した、前記印刷データを印刷するためのプリンタのプリンタ情報に基づいて、画像データを印刷データに変換するように構成される。
【0019】
上記構成によって、ユーザが選択したプリンタからのプリンタ情報の再取得結果に基づいて、ユーザは、選択したプリンタへ実施可能なコピー機能のみを選択および実施可能となる。よって、ユーザが選択したプリンタにない機能を選択できなくするため、実際にコピー機能を実施したときに発生する、例えば両面コピーができていない、ステープルができていない、カラーコピーができないといったトラブルを未然に防ぐことができ、用紙の無駄遣いも防止できる。
【0020】
また、本発明のネットワークスキャナ装置は、プリンタ情報取得手段が取得したプリンタ情報に基づいて、読取部の読み取り解像度を変更するように構成される。
【0021】
上記構成によって、プリンタ情報の再取得結果に基づいてコピー機能(スキャン→印刷)実施時のスキャナの読み取り解像度を変更することで、コピー機能に出力先として選択したプリンタの解像度に合わせて画像読取が可能となり、より詳細あるいは明瞭な画質でコピーすることができる。
【0022】
また、本発明のネットワークスキャナ装置は、ユーザにより選択された印刷データを印刷するためのプリンタが、ネットワーク上に存在するか否かを検出するプリンタ検出手段を備え、ユーザにより選択されたプリンタがネットワーク上に存在しない場合には、その旨を報知する報知手段を備えるように構成される。
【0023】
上記構成によって、ユーザはプリンタの設置場所まで出向いて所在を確認しなくても、ネットワークスキャナ装置の操作によってプリンタが存在するか否かを把握することができる。
【0024】
また、本発明のネットワークスキャナ装置におけるプリンタ情報取得手段は、ユーザにより選択されたプリンタが、ネットワーク上に存在しない場合には、プリンタ情報記憶手段に記憶されている他のプリンタを選択し、該他のプリンタのプリンタ情報を取得するように構成される。
【0025】
上記構成によって、プリンタ情報取得のためにユーザが指定したプリンタに接続できない、またはユーザが指定したプリンタからプリンタ情報を取得できない場合は、他の登録済プリンタに自動切換して、他のプリンタを使用できる。そして、ユーザはネットワーク接続された他のプリンタを有効に利用でき、ネットワーク上のユーザが指定した1台のプリンタが使用できないことによる、ネットワークスキャナ装置を用いたコピー機能を使用できないといった問題を解消し、ユーザの利便性を確保することができる。
【0026】
また、本発明のネットワークスキャナ装置におけるプリンタ情報取得手段は、ユーザにより選択されたプリンタが、ネットワーク上に存在しない場合には、プリンタ情報記憶手段に記憶されている他のプリンタのうち、そのプリンタ情報が、該ユーザにより選択されたプリンタのプリンタ情報に対する類似度の高いものから順に選択し、該プリンタのプリンタ情報を取得するように構成される。
【0027】
上記構成によって、プリンタ情報取得のためにユーザが指定したプリンタに接続できない、またはユーザが指定したプリンタからプリンタ情報を取得できない場合は、他の登録済プリンタのうち、ユーザが指定したプリンタのプリンタ情報の内容に最も類似したプリンタ情報を有するものから優先的に選択することができる。そして、例えば、両面コピー,ステープル,カラーコピー等の、ユーザが使用したい機能のうち、ユーザが指定したプリンタに接続できないによって利用することができなくなるものを最小限とすることができる。
【0028】
また、本発明のネットワークスキャナ装置は、プリンタ情報記憶手段に記憶されているプリンタ情報と、プリンタ情報取得手段が取得した該プリンタのプリンタ情報とを比較するプリンタ情報比較手段と、比較の結果、2つのプリンタ情報が異なる場合に、その旨を出力する比較結果出力手段と、を備えるように構成される。
【0029】
上記構成によって、指定したプリンタに機能が追加されたことや、通信時のノイズ等により、取得したプリンタのプリンタ情報の内容にデータ化けを起こしたことを把握できる。
【0030】
また、本発明のネットワークスキャナ装置における比較結果出力手段は、比較の結果を電子メールにより送信するように構成される。
【0031】
上記構成によって、ネットワークスキャナ装置の操作者以外のユーザ、あるいは、ネットワークスキャナ装置の設置場所から離れた所にいる管理者にも比較結果に関する情報を速やかに伝えることができる。また、ユーザの操作時にエラー等が発生した場合に速やかに管理者に伝えることができる。そして、管理者はプリンタの使用状態や、プリンタの不用意な入れ換えがあったかどうかを把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係るネットワークスキャナ装置の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本発明のネットワークスキャナ装置とプリンタのシステム構成を示す。例えばLAN(Local Area Network)のようなネットワーク210上に、ネットワークスキャナ装置200と複数のプリンタ(1〜n)が接続されている。
【0033】
図2に、ネットワークスキャナ装置200のブロック図を示す。ネットワークスキャナ装置200は、スキャナエンジン201,Network I/F202,操作パネル203,CPU204,RAM205,ROM206,およびプリンタ情報記憶部207を含んで構成される。
【0034】
スキャナエンジン201は、原稿を読み取って画像データを生成するためのもので、周知の原稿読取台,原稿の読み取りを行うイメージセンサ,およびイメージセンサからのセンサ信号に基づいて画像データを生成する画像処理回路を含んで構成される。なお、スキャナエンジン201が本発明の読取部,印刷データ変換送信手段に相当する。
【0035】
Network I/F202は、ネットワーク(図2ではNetworkと表記)210に接続するための、LANカードのようなインターフェース回路である。なお、Network I/F202が本発明の印刷データ変換送信手段,プリンタ情報取得手段,プリンタ検出手段に相当する。
【0036】
操作パネル203は、ユーザがネットワークスキャナ装置200を操作するためのもので、周知のLCDパネルからなる表示部,タッチパネルあるいはメカニカルスイッチ等の操作部,LED等のインジケータ,操作ボタン等を含んで構成される。なお、操作パネル203が本発明の操作入力手段,比較結果出力手段に相当する。
【0037】
プリンタ情報記憶部207は、以下に説明するコピー機能実行時の、コピー画像の出力先として使用するプリンタおよびそのプリンタのプリンタ情報(プリンタ名称や、両面コピー,ステープル,カラーコピー等の機能の有無あるいは詳細)を登録し記憶するものである。プリンタ情報記憶部207は、例えば、周知のフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体により構成される。なお、プリンタ情報記憶部207が本発明のプリンタ情報記憶手段に相当する。
【0038】
ネットワークスキャナ装置200は、CPU204がROM206に記憶されたスキャナ制御プログラム(図示せず)を実行することで、ネットワークスキャナ装置の機能を実現する。スキャナ制御プログラムの実行に応じて、スキャナエンジン201で読み取られた原稿の画像データ等の必要なデータがRAM205に一時保存される。そして、ユーザの操作に応じて、画像データが操作パネルの表示部に表示されたり、プリンタ等のネットワーク210に接続された機器に送られる。なお、CPU204が本発明のプリンタ情報登録手段,プリンタ情報比較手段に相当する。
【0039】
図3に、プリンタ(1〜n)のブロック図を示す。プリンタは、電子写真やインクジェット等の既知の印刷技術を利用したプリンタエンジン301,全体の動作を制御するCPU302,プリンタエンジン301に印刷する画像データを一時的に格納したり、作業用の記憶情報を蓄えておくRAM303,CPU302により実行されるプリンタ制御プログラムが記憶されたROM304,ネットワーク210に接続するためのネットワークインターフェイスであるNetwork I/F305,プリンタ情報記憶部306,および、ユーザーインターフェイスを提供するために、LCD、LEDなどのディスプレイ装置とタッチパネルあるいは複数個の操作ボタンから構成される操作パネル308を含んで構成される。
【0040】
上述の構成により、ユーザがコピー機能を利用する場合には、以下のように動作が行われる。まず、ネットワークスキャナ装置200において、原稿の画像読取を行う。画像読取時の読取解像度,読取サイズ等の読取パラメータは、CPU204によりスキャナエンジン201に設定され、スキャナエンジン201からの読取画像データはRAM205の画像データ領域に蓄積される。蓄積された画像データは、Network I/F202を介してネットワーク接続されたプリンタ(1〜n),サーバあるいはパソコン(図示せず)等へ転送される。
【0041】
上記の転送先は、選択される機能によって異なる。図5に示されるような、操作パネル(タッチパネル)203に表示される機能選択メニュー画面において、[ScanToEmail]ボタンが押下されたときには、蓄積画像データはEmail文書に画像ファイルとして添付されメールサーバへ転送される。[ScanToSMB]ボタンが押下されたときには、蓄積画像データが画像ファイルとしてパソコン上の共有フォルダへ転送される。[ScanToFTP]ボタンが押下されたときには、蓄積画像データは画像ファイルとしてFTPプロトコルにてFTPサーバへ転送される。そして、[Copy]ボタンが押下されたときには、蓄積画像データ(コピー画像)は印刷データ(コピー画像)としてプリンタ(1〜n)のうちユーザが指定したものへ転送される。
【0042】
次に、ネットワークスキャナ装置200の、コピー機能時の動作について説明する。まず、図4を用いて、プリンタ情報表示処理について説明する。なお、本処理はROM206に記憶されたスキャナ制御プログラム(図示せず)に含まれ、スキャナ制御プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。図5のような、操作パネル203の表示画面上に表示された、ネットワークスキャナ装置200の機能選択メニュー画面において、[Copy]ボタンが押下されたとき(S301)、ネットワーク210に接続されたプリンタ(1〜n)に対して、プリンタ情報取得要求を送る。なお、プリンタ情報記憶部207には、ユーザの操作パネル203の操作によって、予めコピー機能時に出力選択可能なプリンタが登録されている。
【0043】
プリンタは、該プリンタ情報取得要求を受信したときには、プリンタ情報記憶部306の記憶内容のうち必要なものをネットワークスキャナ装置200に送る。そして、ネットワークスキャナ装置200は、受信したプリンタ情報を、プリンタ情報記憶部207に記憶する(S302,S303)。
【0044】
プリンタ情報記憶部207に登録された全てのプリンタからのプリンタ情報を取得した場合(S304:Yes)、プリンタ情報を取得したプリンタの機種あるいは名称を、プリンタ選択画面として操作パネル203に表示する(S305)。図6に、その表示例を示す。
【0045】
上述の例で、プリンタ情報記憶部207に登録されていないプリンタからのプリンタ情報を取得した場合も、そのプリンタ情報をプリンタ情報記憶部207に登録して、操作パネル203に表示するようにしてもよい。
【0046】
図7を用いて、プリンタ情報表示処理の別例について説明する。図5のような、ネットワークスキャナ装置200の機能選択メニュー画面において、[Copy]ボタンが押下されたとき(S401)、図6のように、プリンタ情報記憶部207に登録された全てのプリンタのプリンタ情報を操作パネル203の表示画面に表示する(S402)。
【0047】
ユーザの操作によって、操作パネル203のプリンタ選択画面上でプリンタが選択された場合、そのプリンタに対してプリンタ情報取得要求を送る(S403)。プリンタ情報の取得に失敗した場合(S404:No)、操作パネル203の表示画面に、図8のような警告画面を表示して、ユーザに選択したプリンタからの情報取得に失敗したこと、すなわち該プリンタを使用できないことを伝える。合わせて、E−Mailにてネットワークプリンタの管理者へも、ユーザが選択したプリンタからの情報取得ができなかったことを通知する(S408)。E−Mailの通信文は、例えばROM205に予め記憶されている。また、E−Mailの配信先は、操作パネル203の操作により予め登録しておく。
【0048】
プリンタ情報取得要求を送った後、予め定められた時間を経過しても、そのプリンタからのプリンタ情報を受信できない場合に、プリンタ情報の取得に失敗したと判定する。また、フレームエラー,チェックサムエラー等の通信エラーが発生した場合は、プリンタに対してプリンタ情報の再送要求を送り、通信エラーが予め定められた回数発生した場合に、プリンタ情報の取得に失敗したと判定する。
【0049】
次に、プリンタ情報記憶部207に登録された全てのプリンタのプリンタ情報を参照し、ユーザが選択してプリンタ情報を取得できなかったプリンタとプリンタ機能が類似しているプリンタを検索し、ユーザが選択したプリンタを代替する形で選択し(S409)、ステップS407(後述)へ移る。このとき、操作パネル203の表示画面に、図8のような警告メッセージと合わせて、「選択したプリンタと同等の機能を持つプリンタNが選択されました」のような、代替プリンタが選択された旨のメッセージを表示してもよい。
【0050】
一方、プリンタ情報の取得に成功した場合(S404:Yes)、プリンタ情報記憶部207に登録された、該当するプリンタのプリンタ情報を更新する(S405)。そして、この更新した登録情報が、選択したプリンタの予め登録されていた情報と同じであるか否かの判定を行い、両者が同じ場合(S406:Yes)、ステップS407(後述)へ移る。
【0051】
一方、更新した登録情報が、選択したプリンタの予め登録されていた情報と異なる場合(S406:No)、操作パネル203の表示画面に、図9のような警告画面を表示して、登録されているプリンタ情報とは異なることをユーザに警告する。合わせて、E−Mailにてネットワークプリンタの管理者へも通知する。この通知によって、管理者は、管理者以外のユーザによってプリンタの入れ替えあるいは機能追加が行われたことを知ることができる。次に、ステップS407(後述)へ移る。
【0052】
ステップS407では、取得したプリンタ情報よりプリンタの機能を判断して、コピー機能として提供可能な機能のみを、図10(プリンタ1とする)または図11(プリンタ2とする)のように、操作パネル203の表示画面に表示する。無論、操作パネル203の表示画面には、ネットワークスキャナ装置200の操作ボタンも表示されるが、図10,図11では省略してある。
【0053】
表示画面上には、コピーモード(カラー/モノクロ),倍率(%),コピー枚数(図10,図11の例では1),画質(文字,文字・写真,写真等),色の濃さ(淡く,濃く),付加機能(両面,ステープル等),テンキー(1〜0,*,#),操作キー(スタート,ストップ)等の各ボタンが表示される。このように、取得したプリンタ情報よりプリンタ機能を判定して、ユーザに提供可能なコピー機能のみを表示することで、ユーザは使用できる機能のみを選択可能となり、使用できない機能を選択してしまうといった問題を解消できる。
【0054】
図10の例では、カラーおよびモノクロの両方のコピー機能が表示されているが、図11の例ではモノクロコピー機能のみとなっている。これは、プリンタ2から取得したプリンタ情報から、プリンタ2がモノクロ専用プリンタでありカラーコピー機能が提供されていないことを示している。また、図11の例では両面およびステープル機能が表示されていないが、これもカラーコピー機能と同様に、プリンタ2から取得したプリンタ情報に両面印刷機能、およびステープル機能が含まれていないためである。
【0055】
また、ユーザがプリンタ1を選択したときに、プリンタ1がネットワーク210に接続されていなかった場合、コピーモード,倍率,画質,色の濃さ,付加機能が、プリンタ1に最も類似しているプリンタが選択され、そのプリンタのプリンタ情報に基づいて、ユーザに提供可能なコピー機能を表示する。
【0056】
また、取得したプリンタ情報に合わせて、コピー機能実施時のネットワークスキャナ装置200の読み取り解像度を変更することで、出力先として選択したプリンタの印刷時の解像度に合わせた画像読取が可能となり、最適な画質でコピーすることができる。この場合、プリンタ情報にプリンタの印刷時の解像度を含め、その解像度を操作パネル203の表示画面に表示してもよい。
【0057】
上述の例では、取得したプリンタ情報に含まれるプリンタの解像度情報が、CPU204により、スキャナエンジン201に設定される。このように、ユーザによる原稿読取時の解像度変更の操作が不要であるため、ユーザの操作負荷が増大しないという効果も生ずる。また、ユーザが解像度を変更可能なように、解像度設定ボタンを操作パネル203の表示画面に表示してもよい。
【0058】
例えば、解像度が400dpiのプリンタに対して、600dpiの読取画像を印刷データに変換して出力しても、プリンタの性能を超えてしまうため、プリンタ側で解像度変換の処理が必要となる場合があり、コピー(スキャン)処理時間が長くなったり、または入出力の解像度が合わないため高品位なコピー画質が得られないといった問題が生じる。しかし、事前にプリンタに合わせて解像度を設定することで、上述の問題を解消することができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のネットワークスキャナ装置およびプリンタの接続構成の一例を示す図。
【図2】ネットワークスキャナ装置の構成を示すブロック図。
【図3】プリンタの構成を示すブロック図。
【図4】プリンタ情報表示処理を説明するフロー図。
【図5】スキャナ機能選択時の表示画面例を示す図。
【図6】プリンタ選択時の表示画面例を示す図。
【図7】プリンタ情報表示処理の別例を説明するフロー図。
【図8】プリンタ情報取得失敗時の表示画面例を示す図。
【図9】取得したプリンタ情報が登録内容と異なるときの表示画面例を示す図。
【図10】取得したプリンタ情報に基づく機能表示の例を示す図。
【図11】取得したプリンタ情報に基づく機能表示の別例を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1〜n プリンタ
200 ネットワークスキャナ装置
201 スキャナエンジン(読取部,印刷データ変換送信手段)
202 Network I/F(印刷データ変換送信手段,プリンタ情報取得手段,プリンタ検出手段)
203 操作パネル(操作入力手段,比較結果出力手段)
204 CPU(プリンタ情報登録手段,プリンタ情報比較手段)
207 プリンタ情報記憶部(プリンタ情報記憶手段)
306 プリンタ情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読取処理を行う読取部と、
ユーザが操作入力を行うための操作入力手段と、
前記ユーザの操作入力により、ネットワークを介して接続されたプリンタが有する印刷機能を含むプリンタ情報を登録するプリンタ情報登録手段と、
登録された前記プリンタ情報を記憶するプリンタ情報記憶手段と、
前記読取部により読み取られた原稿の画像データを、前記プリンタ情報記憶手段に記憶されたプリンタ情報を用いて印刷データに変換し、該プリンタへ送信する印刷データ変換送信手段と、
予め定められたプリンタ情報取得条件を満たす場合に、前記プリンタのプリンタ情報を、前記ネットワークを介して取得するプリンタ情報取得手段と、
を備えることを特徴とするネットワークスキャナ装置。
【請求項2】
前記操作入力手段に対し、ユーザが予め定められた操作入力を行ったことを前記プリンタ情報取得条件とする請求項1に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項3】
前記操作入力は、前記ユーザが、前記印刷データを印刷するためのプリンタを選択するための操作入力であり、
前記プリンタ情報取得手段は、前記印刷データを印刷するためのプリンタが選択されたときに、該プリンタのプリンタ情報を、前記ネットワークを介して取得する請求項2に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項4】
前記プリンタ情報記憶手段は、前記プリンタ情報取得手段が取得した前記プリンタのプリンタ情報を、既に記憶されている該プリンタのプリンタ情報に置き換えて記憶する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項5】
前記印刷データ変換送信手段は、前記プリンタ情報取得手段が取得した、前記印刷データを印刷するためのプリンタのプリンタ情報に基づいて、前記画像データを前記印刷データに変換する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項6】
前記プリンタ情報取得手段が取得したプリンタ情報に基づいて、前記読取部の読み取り解像度を変更する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項7】
前記ユーザにより選択された前記印刷データを印刷するためのプリンタが、前記ネットワーク上に存在するか否かを検出するプリンタ検出手段を備え、
前記ユーザにより選択されたプリンタが前記ネットワーク上に存在しない場合には、その旨を報知する報知手段を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項8】
前記プリンタ情報取得手段は、前記ユーザにより選択されたプリンタが、前記ネットワーク上に存在しない場合には、前記プリンタ情報記憶手段に記憶されている他のプリンタを選択し、該他のプリンタのプリンタ情報を取得する請求項7に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項9】
前記プリンタ情報取得手段は、前記ユーザにより選択されたプリンタが、前記ネットワーク上に存在しない場合には、前記プリンタ情報記憶手段に記憶されている他のプリンタのうち、そのプリンタ情報が、該ユーザにより選択されたプリンタのプリンタ情報に対する類似度の高いものから順に選択し、該プリンタのプリンタ情報を取得する請求項7または請求項8に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項10】
前記プリンタ情報記憶手段に記憶されている前記プリンタ情報と、前記プリンタ情報取得手段が取得した該プリンタのプリンタ情報とを比較するプリンタ情報比較手段と、
前記比較の結果、2つのプリンタ情報が異なる場合に、その旨を出力する比較結果出力手段と、
を備える請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項11】
前記比較結果出力手段は、前記比較の結果を電子メールにより送信する請求項10に記載のネットワークスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−171494(P2009−171494A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10168(P2008−10168)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】