説明

ネットワーク設計システム、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計装置

【課題】サービス運用中のネットワークにおいて、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化させる設備の最適配備を可能とする。
【解決手段】ネットワーク設計装置10は、トラヒック情報収集装置40から各ノード30間のトラヒック情報を取得し、取得したトラヒック情報と、ネットワーク設計装置10の記憶部に記憶される、各ノード30の処理性能情報および設備設計モデル条件情報とを用いて、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化させる仮想ノードの最適配備を計算する。そして、ネットワーク設計装置10は、現時点の仮想ノードの構成から変更が必要となるノード30に向けて、その構成変更情報を、リソースプール管理装置20を介して送信する。リソースプール管理装置20は、構成変更を行った完了情報であるリソース変更情報を各ノード30から取得し、ネットワーク設計装置10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク設計システム、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
将来、ネットワークにおけるサービスやネットワーク利用形態の多様化に伴い、トラヒック予測の困難性が増し、ネットワーク内に配備すべき、サーバ、ルータ、ストレージ等の設備設計を正確に行うことはより困難になる。
【0003】
従来のネットワーク設計技術として、対象レイヤのトラヒック予測に基づき、対象レイヤ以下のレイヤのトポロジ計算を同時に実行しながら、配備すべき物理レイヤの設備を算出する、拡張マルチレイヤトラヒックエンジニアリング技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、新規に要求されるパスの予測を用いて、新たに構築するネットワークの総設備コストを計算し、その総設備コストを最小とするネットワーク設計を行うネットワーク設計システムが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−86487号公報
【特許文献2】特開2009−296211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたネットワーク設計技術は、将来のトラヒック予測に基づき、将来配備すべき物理レイヤの設備を算出する技術であり、また、特許文献2に記載されたネットワーク設計システムも、将来の設備コストを最小にするための技術である。つまり、特許文献1および特許文献2に記載の技術は、現在運用中のネットワークにおける設備に関するものではなく、将来のトラヒック予測に基づいて、将来配備すべき設備を算出するものである。したがって、これらの技術は、現在運用中の設備に発生するコストを削減するようにネットワーク内の設備を最適化するものではない。よって、設備設計時のトラヒック予測値とサービス導入・運用時における実際のトラヒック値との間に差が生じることに起因した、余剰設備の発生や、リソース不足に伴う運用規模の拡大に基づく設備運用コストの拡大を、解消できるものではない。
【0007】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、サービス運用中のネットワークにおいて、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化させる設備の最適配備を可能とする、ネットワーク設計システム、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ネットワークで接続された各ノード間のトラヒック情報を収集するトラヒック情報収集装置と、複数の前記ノードを論理的なグループに束ねたリソースプールに設けられるリソースプール管理装置と、前記リソースプールに属する1つ以上の前記ノードを、仮想的に1つのノードである仮想ノードとして統合し、前記ネットワークにおける前記仮想ノードの最適配備を設計するネットワーク設計装置と、を備えるネットワーク設計システムであって、前記ネットワーク設計装置が、(1)前記ノードごとの処理性能情報と各ノードが属する仮想ノードの構成情報とが記憶されるリソース情報、並びに、(2)前記仮想ノードの配備を設計するための設備設計モデルを構成する品質条件および設備運用コストに関する条件情報が記憶される設備設計モデル条件情報、を格納する記憶部と、前記トラヒック情報収集装置から前記各ノード間のトラヒック情報を取得するトラヒック情報取得部と、前記取得した各ノード間のトラヒック情報および前記仮想ノードの構成情報を用いて、前記仮想ノード間のトラヒック情報を生成し、前記生成した仮想ノード間のトラヒック情報に示される前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、最適配備計算部を起動するトラヒック変化量判定部と、前記取得した各ノード間のトラヒック情報、前記ノードごとの処理性能情報、および前記仮想ノードの設備設計モデルの条件情報に基づき、動的計画法を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算する前記最適配備計算部と、前記計算した仮想ノードの最適配備と、前記記憶部に格納された前記仮想ノードの構成情報とを比較し、前記最適配備の仮想ノードの構成にするため、前記記憶部のリソース情報に記憶された前記各ノードのうち、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な前記ノードを抽出し、前記抽出したノードが属する前記リソースプールの前記リソースプール管理装置に向けて、前記仮想ノードの最適配備に基づく構成変更の設定内容を示す構成変更情報を送信する構成変更情報送信部と、前記リソースプール管理装置から、前記構成変更情報を受信したノードにおいて、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示すリソース変更情報を受信し、前記リソース情報内の前記仮想ノードの構成情報を、前記最適配備計算部が計算した最適配備の構成に更新するリソース変更情報取得部と、を備え、前記リソースプール管理装置が、前記ネットワーク設計装置から、前記構成変更情報を受信する構成変更情報取得部と、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な各ノードに対して、当該各ノードの前記構成変更情報を配信する構成変更情報配信部と、前記構成変更情報を受信した前記各ノードから、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示す前記リソース変更情報を受信し、前記受信した前記各ノードからのリソース変更情報を前記ネットワーク設計装置に送信するリソース変更情報処理部と、を備えることを特徴とするネットワーク設計システムとした。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、ネットワークで接続された各ノード間のトラヒック情報を収集するトラヒック情報収集装置と、複数の前記ノードを論理的なグループに束ねたリソースプールに設けられるリソースプール管理装置と、前記リソースプールに属する1つ以上の前記ノードを、仮想的に1つのノードである仮想ノードとして統合し、前記ネットワークにおける前記仮想ノードの最適配備を設計するネットワーク設計装置と、を備えるネットワーク設計システムに用いられるネットワーク設計方法であって、前記ネットワーク設計装置が、(1)前記ノードごとの処理性能情報と各ノードが属する仮想ノードの構成情報とが記憶されるリソース情報、並びに、(2)前記仮想ノードの配備を設計するための設備設計モデルを構成する品質条件および設備運用コストに関する条件情報が記憶される設備設計モデル条件情報、を格納する記憶部を備え、前記トラヒック情報収集装置から前記各ノード間のトラヒック情報を取得するステップと、前記取得した各ノード間のトラヒック情報および前記仮想ノードの構成情報を用いて、前記仮想ノード間のトラヒック情報を生成し、前記生成した仮想ノード間のトラヒック情報に示される前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、仮想ノードの最適配備に決定するステップを実行するように処理するステップと、前記取得した各ノード間のトラヒック情報、前記ノードごとの処理性能情報、および前記仮想ノードの設備設計モデルの条件情報に基づき、動的計画法を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算するステップと、前記計算した仮想ノードの最適配備と、前記記憶部に格納された前記仮想ノードの構成情報とを比較し、前記最適配備の仮想ノードの構成にするため、前記記憶部のリソース情報に記憶された前記各ノードのうち、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な前記ノードを抽出し、前記抽出したノードが属する前記リソースプールの前記リソースプール管理装置に向けて、前記仮想ノードの最適配備に基づく構成変更の設定内容を示す構成変更情報を送信するステップと、を実行し、前記リソースプール管理装置が、前記ネットワーク設計装置から、前記構成変更情報を受信するステップと、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な各ノードに対して、当該各ノードの前記構成変更情報を配信するステップと、前記構成変更情報を受信した前記各ノードから、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示す前記リソース変更情報を受信し、前記受信した前記各ノードからのリソース変更情報を前記ネットワーク設計装置に送信するステップと、を実行し、前記ネットワーク設計装置が、前記リソースプール管理装置から、前記リソース変更情報を受信し、前記リソース情報内の前記仮想ノードの構成情報を、前記最適配備の構成に更新するステップを実行すること、を特徴とするネットワーク設計方法とした。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、ネットワークで接続された各ノード間のトラヒック情報を収集するトラヒック情報収集装置と、複数の前記ノードを論理的なグループに束ねたリソースプールに設けられるリソースプール管理装置と、前記リソースプールに属する1つ以上の前記ノードを、仮想的に1つのノードである仮想ノードとして統合し、前記ネットワークにおける前記仮想ノードの最適配備を設計するネットワーク設計装置と、を備えるネットワーク設計システムに用いられる前記ネットワーク設計装置であって、(1)前記ノードごとの処理性能情報と各ノードが属する仮想ノードの構成情報とが記憶されるリソース情報、並びに、(2)前記仮想ノードの配備を設計するための設備設計モデルを構成する品質条件および設備運用コストに関する条件情報が記憶される設備設計モデル条件情報、を格納する記憶部と、前記トラヒック情報収集装置から前記各ノード間のトラヒック情報を取得するトラヒック情報取得部と、前記取得した各ノード間のトラヒック情報および前記仮想ノードの構成情報を用いて、前記仮想ノード間のトラヒック情報を生成し、前記生成した仮想ノード間のトラヒック情報に示される前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、最適配備計算部を起動するトラヒック変化量判定部と、前記取得した各ノード間のトラヒック情報、前記ノードごとの処理性能情報、および前記仮想ノードの設備設計モデルの条件情報に基づき、動的計画法を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算する前記最適配備計算部と、前記計算した仮想ノードの最適配備と、前記記憶部に格納された前記仮想ノードの構成情報とを比較し、前記最適配備の仮想ノードの構成にするため、前記記憶部のリソース情報に記憶された前記各ノードのうち、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な前記ノードを抽出し、前記抽出したノードが属する前記リソースプールの前記リソースプール管理装置に向けて、前記仮想ノードの最適配備に基づく構成変更の設定内容を示す構成変更情報を送信する構成変更情報送信部と、前記リソースプール管理装置から、前記構成変更情報を受信したノードにおいて、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示すリソース変更情報を受信し、前記リソース情報内の前記仮想ノードの構成情報を、前記最適配備計算部が計算した最適配備の構成に更新するリソース変更情報取得部と、を備えることを特徴とするネットワーク設計装置とした。
【0011】
このようにすることで、ネットワーク設計装置は、トラヒック情報収集装置から各ノード間のトラヒック情報を取得し、取得したトラヒック情報と仮想ノードの構成情報とを用いて、仮想ノード間のトラヒック情報を生成する。そして、その仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超える場合に、取得した各ノード間のトラヒック情報と、各ノードの処理性能情報と、仮想ノードの設備設計モデルの条件情報とに基づき、仮想ノードの最適配備を決定する。そして、ネットワーク設計装置は、リソースプール管理装置を介して各ノードに構成変更情報を送信し、各ノードから、仮想ノードの構成変更が完了したことを示すリソースプール変更情報を、リソースプール管理装置を介して受信する。
【0012】
よって、本発明によれば、サービス運用中のネットワークにおいて、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化させる設備の最適配備を可能にする。つまり、新たな設備(ノード)の追加をすることなく、ネットワーク内に設定した仮想ノードに属する各ノードを再配置することにより、設備運用コストの削減や、ネットワーク運用規模の拡大を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記記憶部内の前記設備設計モデル条件情報には、前記品質条件として、前記各ノードの性能を表す関数と、前記各ノードの信頼性を表す関数と、当該関数ごとの重みと、当該各関数の構成要素が最低限満たすべき閾値とが記憶されており、前記ネットワーク設計装置の前記トラヒック変化量判定部が、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、前記重みを変更する設備設計モデル変更部を、さらに備え、前記最適配備計算部は、前記性能を表す関数、前記信頼性を表す関数、前記設備設計モデル変更部が変更した当該関数ごとの重み、および前記閾値を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク設計システムとした。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記記憶部内の前記設備設計モデル条件情報には、前記品質条件として、前記各ノードの性能を表す関数と、前記各ノードの信頼性を表す関数と、当該関数ごとの重みと、当該各関数の構成要素が最低限満たすべき閾値とが記憶されており、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、前記重みを変更するステップを、さらに実行し、前記仮想ノードの最適配備に決定するステップにおいて、前記性能を表す関数、前記信頼性を表す関数、前記重みを変更するステップで変更された当該関数ごとの重み、および前記閾値を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算することを特徴とする請求項3に記載のネットワーク設計方法とした。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記記憶部内の前記設備設計モデル条件情報には、前記品質条件として、前記各ノードの性能を表す関数と、前記各ノードの信頼性を表す関数と、当該関数ごとの重みと、当該各関数の構成要素が最低限満たすべき閾値とが記憶されており、前記ネットワーク設計装置の前記トラヒック変化量判定部が、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、前記重みを変更する設備設計モデル変更部を、さらに備え、前記最適配備計算部は、前記性能を表す関数、前記信頼性を表す関数、前記設備設計モデル変更部が変更した当該関数ごとの重み、および前記閾値を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算することを特徴とする請求項5に記載のネットワーク設計装置とした。
【0016】
このようにすることで、ネットワークの品質条件に関する重みを変更して、仮想ノードの最適配備を計算することができる。よって、例えば、性能の高い(例えば、電話サービスにおいて呼損率が低い)通信が要求されるトラヒックが増加した場合に、性能の表す関数の重みを変更し、性能を重視するような設定で、最適配備を計算させることができる。つまり、仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じた最適配備の設計が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サービス運用中のネットワークにおいて、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化させる設備の最適配備を可能とする、ネットワーク設計システム、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るネットワーク設計システムの概要を説明するための図である。
【図2】本実施形態に係るリソースプール管理装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係るリソース設定情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係るネットワーク設計装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】本実施形態に係るリソース情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る設備設計モデル条件情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るネットワーク設計装置の最適配備設計処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係るリソースプール管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本実施形態に係るネットワーク設計システム1の概要について説明する。
【0020】
<概要>
図1は、本実施形態に係るネットワーク設計システム1の概要を説明するための図である。
図1に示すように、本実施形態に係るネットワーク設計システム1は、複数のノードからなるリソースプール(RP)と、リソースプール管理装置20と、トラヒック情報収集装置40と、ネットワーク設計装置10とを含んで構成される。
【0021】
ここで、リソースプール(RP:RP〜RP)は、ネットワーク上の複数のノード30を論理的なグループに束ねたものである。ここでは、例えば、通信事業者が設置する複数のデータセンタそれぞれに、複数のノード30がリソースとして設置されており、その複数のノード30をまとめた単位をリソースプールと想定する。
【0022】
リソースプール管理装置20は、リソースプール内のリソースである各ノード30(例えば、サーバ、ルータ、ストレージ等)の処理性能情報や使用状態等の情報を記憶する。
【0023】
トラヒック情報収集装置40は、各リソースプールに属するノード30から、各ノード30間の情報の流れであるトラヒック情報を収集する。そして、その収集したトラヒック情報を、ネットワーク設計装置10に送信する。
【0024】
ネットワーク設計装置10は、トラヒック情報収集装置40から取得したトラヒック情報に基づき、後記する仮想ノードのトラヒック変化量を監視する。そして、所定値以上のトラヒック変化量を検出した場合に、品質条件を満たしながら、設備運用コストを最小化する最適配備を計算する。このネットワーク設計装置10が計算する最適配備は、1つ以上のリソースプールに属する1つ以上のノード30を統合し、仮想的に1つのノードを構成する仮想ノードの構成として計算される。そして、最適な仮想ノードの構成が計算されると、ネットワーク設計装置10は、現時点での仮想ノードの構成と比較し、差異となる部分であり仮想ノードとしての構成の変更が必要な各ノード30に対して、各リソースプール管理装置20を介して、構成変更情報を送信する。この構成変更情報は、例えば、あるノード30が現在仮想ノード「1」に属する場合に、構成変更情報に基づく指示により仮想ノード「2」に属する設定に変更したり、あるいは、現在仮想ノード「1」に属するノード30を、どこの仮想ノードにも設定されない「未使用」の設定に変更するといった指示情報である。
【0025】
そして、構成変更情報を受信した各ノード30から、構成変更が完了したことを示すリソース変更情報を、リソースプール管理装置20が受信し、そのリソース変更情報をネットワーク設計装置10に送信する。
【0026】
ネットワーク設計装置10は、各リソースプール管理装置20から、リソース変更情報を受信し、自身が記憶する現時点の仮想ノードの構成を、計算した最適配備の構成に更新する。
【0027】
このように、ネットワーク設計装置10が、現時点でのネットワークに設置されている各ノードを再構成して、仮想ノードの最適配備を計算する。そのため、新たなリソースの増設を行うことなく、ネットワークの構成を最適な状態に変更することが可能となる。
【0028】
<システム構成>
次に、図1に示すネットワーク設計システム1を構成する各装置について説明する。
【0029】
(リソースプール管理装置)
リソースプール管理装置20は、ネットワーク設計装置10と、各データセンタに属する各ノード30とに接続される。図2は、本実施形態に係るリソースプール管理装置20の構成例を示す機能ブロック図である。
【0030】
図2に示すように、リソースプール管理装置20は、制御部200と、入出力部210と、一次記憶部220と、記憶部230とを備える。
【0031】
入出力部210は、ネットワーク設計装置10および各ノード30とのデータの入出力を司り、入出力インタフェースとネットワークインタフェースから構成される。
【0032】
一次記憶部220は、RAM(Random Access Memory)等の一次記憶装置からなり、ネットワーク設計装置10から受信した構成変更情報や、各ノード30から受信したリソース変更情報を一時的に記憶する。
【0033】
記憶部230は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶装置からなり、リソース設定情報500が記憶される。図3は、本実施形態に係るリソース設定情報500のデータ構成の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、リソース設定情報500は、自身が管理するリソースプール内の各ノード30が属するデータセンタ501、各データセンタ内でノード30の固有の番号であるリソース番号502、各ノード30の処理性能503、不稼働率504、使用状態505、および仮想ノード構成情報506を含んで構成される。ここでリソース番号502は、例えば、各データセンタ内での固有の番号として(ラック番号−ノード番号)等から構成される。使用状態505は、各ノード30が、ネットワーク設計装置10が設定したどの仮想ノードに属している状態かが、例えば、「仮想ノード『1』」として記憶される。使用状態505が「未使用」となっているものは、どこの仮想ノードにも設定されていない状態を示す。仮想ノード構成情報506には、1つの仮想ノードを共同して構成するネットワーク内のノード30の識別情報が記憶される。例えば、データセンタ501が「A」でリソース番号502が「1−1」のノード30は、使用状態505として「仮想ノード『1』」に設定され、その仮想ノード「1」を構成するノード30は、仮想ノード構成情報506に示される「A−1−1,A−1−5,C−2−1」の3つのノードである。
【0035】
図2に戻り、制御部200は、構成変更情報取得部201と、構成変更情報配信部202と、リソース変更情報処理部203と、仮想化制御部204とを含んで構成される。なお、この制御部200は、例えば、リソースプール管理装置20の記憶部230に格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が、一次記憶部220であるRAMに展開し実行することで実現される。
【0036】
構成変更情報取得部201は、入出力部210を介して、ネットワーク設計装置10から、仮想ノードの最適配備を構成するために変更が必要なノード30の設定内容に関する情報である構成変更情報を取得する。
【0037】
構成変更情報配信部202は、構成変更情報取得部201が取得した構成変更情報に示される変更対象となる各ノード30に対して、そのノード30ごとの変更内容を示した構成変更情報を配信する。
【0038】
リソース変更情報処理部203は、構成変更情報を受信した各ノード30から、構成変更が完了した旨を示すリソース変更情報を受信する。そして、リソース変更情報処理部203は、受信したリソース変更情報に基づき、記憶部230内のリソース設定情報500を、最適配備の構成に更新する。また、リソース変更情報処理部203は、リソース設定情報500の更新を終えたことを契機として、そのリソース変更情報を、ネットワーク設計装置10に送信する。
【0039】
仮想化制御部204は、リソースプール管理装置20自身のリソースプール内の各ノード30が、仮想ノードとして処理を実行するように制御を行う。なお、このリソースの仮想化は既存の仮想化技術を用いて実現することができる。
【0040】
(トラヒック情報収集装置)
図1に戻り、トラヒック情報収集装置40は、各リソースプール内のノード30と接続されており、各ノード30間を流れるトラヒック量に関する情報を各ノード30から収集する装置である。そして、トラヒック情報収集装置40は、その収集したトラヒック情報をネットワーク設計装置10に送信する。なお、このトラヒック情報収集装置40による各ノード間のトラヒック情報の収集は、例えば、所定の間隔で実行され、その収集したトラヒック情報を、トラヒック情報収集装置40が、その収集ごとにネットワーク設計装置10に送信する。
【0041】
(ネットワーク設計装置)
次に、ネットワーク設計装置10について説明する。ネットワーク設計装置10は、トラヒック情報収集装置40とリソースプール管理装置20とに、通信ネットワークを介して接続される。図4は、本実施形態に係るネットワーク設計装置10の構成例を示す機能ブロック図である。
【0042】
図4に示すように、ネットワーク設計装置10は、制御部100と、入出力部110と、一次記憶部120と、記憶部130とを備える。
【0043】
入出力部110は、トラヒック情報収集装置40から送信されたトラヒック情報を受信したり、リソースプール管理装置20との間の情報の入出力を行う。また、不図示のネットワーク管理装置から設備設計モデル条件情報700(後記する図6参照)を受信する。この入出力部110は、不図示のキーボード等の入力装置やモニタの表示装置等との間で入出力を行う入出力インタフェースと、ネットワークを介して情報の送受信を行うネットワークインタフェースとから構成される。
【0044】
制御部100は、ネットワーク設計装置10全体の制御を司り、トラヒック情報取得部101と、トラヒック変化量判定部102と、設備設計モデル変更部103と、最適配備計算部104と、構成変更情報送信部105と、リソース変更情報取得部106とを含んで構成される。なお、この制御部100は、例えば、ネットワーク設計装置10の記憶部130に格納されたプログラムをCPUが、一次記憶部120であるRAMに展開し実行することで実現される。
【0045】
トラヒック情報取得部101は、各リソースプール(RP)内のノード30からトラヒック情報収集装置40が収集した各ノード30間のトラヒック情報を、入出力部110を介して取得し、一次記憶部120に記憶する。
【0046】
トラヒック変化量判定部102は、トラヒック情報取得部101が取得したトラヒック情報と記憶部130内の後記するリソース情報600(図5参照)とを用いて、仮想ノード間のトラヒック情報を生成する。そして、トラヒック変化量判定部102は、その仮想ノード間のトラヒック量が、所定の変化量を超えたか否かを判定する。仮想ノード間のトラヒック量が所定の変化量を超えたとトラヒック変化量判定部102が判定した場合、仮想ノードの最適配備の再計算のため、その情報を、設備設計モデル変更部103に出力する。
なお、このトラヒック変化量判定部102が判定する仮想ノード間のトラヒック変化量の基準値は、例えば、現在各ノード30に設定している仮想ノードの構成を設定した時点に収集した各ノード30間のトラヒック情報を用いて、トラヒック変化量判定部102が生成した仮想ノード間のトラヒック情報を、一次記憶部120に基準となる仮想ノード間のトラヒック情報として記憶しておく。そして、この記憶した仮想ノード間のトラヒック情報を基準として、その後に生成した仮想ノード間のトラヒックの変化量を判定するようにする。
【0047】
このトラヒック変化量判定部102による、仮想ノード間のトラヒック情報の生成は、記憶部130内のリソース情報600を用いて行う。図5は、本実施形態に係るリソース情報600のデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、リソース情報600は、図3で示した各リソースプール管理装置20が備えるリソース設定情報500を、リソースプール601ごとにまとめた情報である。トラヒック変化量判定部102は、トラヒック情報取得部101が取得した各ノード30間のトラヒック情報と、このリソース情報600の使用状態505および仮想ノード構成情報506と用いて、現在設定されている仮想ノード間におけるトラヒック量を計算する。そして、その仮想ノード間のトラヒック量が、所定の変化量を超えたか否か、つまり、トラヒック量が所定量より増加ないし減少したか否か判定する。
【0048】
なお、このトラヒック変化量判定部102は、仮想ノード間のトラヒック量が所定の変化量を超えた場合に、その情報を、入出力部110を介して、不図示のネットワーク管理装置に送信したり、表示部(不図示)に表示する等を行い、後記する設備設計モデル変更部103による重みパラメータの管理者からの変更指示を促すようにしてもよい。
【0049】
設備設計モデル変更部103は、仮想ノードの設備設計モデルの重みwを変更する。この設備設計モデルは、品質条件関数(品質モデル)と設備運用コスト関数(設備運用コストモデル)とから構成され、仮想ノード間のトラヒックの変化量やネットワーク管理者のネットワーク運用方針に応じて変更されるものである。
【0050】
具体的には、品質モデルQ(Quality)は、次の(式1)で表される。
t = w1tP + w2tD … (式1)
ここで、Pは性能を表す関数であり、例えば、接続遅延や、電話サービスにおける呼損率等が設定される。Dは、信頼性を表す関数であり、例えば、不稼動率や、平均故障間隔等が設定される。また、w1tは、性能Pの重みパラメータであり、w2tは信頼性Dの重みパラメータである。
【0051】
また、設備運用コストモデルC(Cost)は、次の(式2)で表される。
t = w3tE + w4tN + w5tM + w6tS … (式2)
ここで、Eは装置コストであり、例えば、装置の運用に伴う消費電力等である。Nは回線コストであり、例えば、回線の運用に伴う消費電力等である。Mは保守コストであり、例えば、メンテナンスにかかる人件費等である。Sは構成変更コストであり、例えば、仮想ノードの構成変更に伴い設定が変更されるノード数である。なお、この構成変更コストSは、現在設定されている仮想ノードの構成から、仮想ノードの最適配置の構成を再計算する場合において、できるだけ設定変更するノードの数を抑えるために設けられたパラメータである。また、w3tは、装置コストの重みパラメータであり、w4tは、回線コストの重みパラメータであり、w5tは、保守コストの重みパラメータであり、w6tは、構成変更コストの重みパラメータである。
【0052】
図6は、本実施形態に係る設備設計モデル条件情報700のデータ構成の一例を示す図である。図6に示すように、設備設計モデル条件情報700には、品質モデルおよび設備運用コストモデルの各構成要素に、その構成要素が最低限満たすべき閾値や重みw(w1t, w2t, …)が記憶される。例えば、品質モデルのP(性能)の要素である「接続遅延」の閾値が、150msecと設定される。後記する最適配備計算部104は、品質条件関数(式1)において、この設備設計モデル条件情報700に設定された閾値を超えず品質や性能に関する条件を満たし、かつ、設備運用コスト(式2)が最小となる、最適な設備設計モデルを計算する。なお、この各構成要素の閾値は、予めネットワーク管理者等により設定されるものである。
【0053】
そして、設備設計モデル変更部103は、例えば、仮想ノード間のトラヒックを考慮して、高性能(例えば、呼損率の低い)を要求するサービスの需要が増えれば、品質条件関数内の性能の条件を厳しくするように、性能Pの重みwt1を変更する。また、設備設計モデル変更部103は、消費電力をより少なくするというネットワーク運用方針をとる場合、例えば、設備運用コストの装置コストEの重みwt3の値を大きくするように変更する。なお、この設備設計モデル変更部103による重みwの変更は、必ず行われなければならないものではなく、トラヒック状況(仮想ノードのトラヒックの変化量)やネットワーク管理者のネットワーク運用方針に応じて実行される。
【0054】
最適配備計算部104は、トラヒック情報取得部101が取得したトラヒック情報と、リソース情報600(図5参照)に記憶された各ノード30の処理性能503の情報(処理性能情報)と、設備設計モデル条件情報700(図6参照)に記憶された設備設計モデルの閾値および重みwの情報(条件情報)とに基づき、例えば、動的計画法を用いて、ネットワーク全体で品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化する仮想ノードの最適配備を計算する。
なお、動的計画法以外の局所探索法や欲張り法等を用いて、仮想ノードの最適配備を計算してもよい。
【0055】
構成変更情報送信部105は、最適配備計算部104が計算した仮想ノードの最適配備と、記憶部130内のリソース情報600の仮想ノード構成情報506に記憶されている現時点での仮想ノードの配備を比較し、最適配備の仮想ノードを構成するため、リソース情報600に記憶された各ノード30のうち、仮想ノードの構成変更が必要なノード30を抽出する。例えば、仮想ノード「1」から仮想ノード「2」にその属する仮想ノードを変更する場合や、現在「未使用」だったノード30を仮想ノード「3」に設定したり、現在仮想ノード「3」に属していたノード30を「未使用」に変更したりするようなノード30を抽出する。なお、この処理は、構成変更の必要のないノード30に関する情報を送信しないことにより、システム全体としての処理負荷を低減するために行うものである。
【0056】
そして、構成変更情報送信部105は、構成変更が必要なノード30が属するリソースプールごとに、そのリソースプール管理装置20に向けて、各ノード30の構成変更の設定内容を通知する構成変更情報を、入出力部110を介して送信する。
【0057】
リソース変更情報取得部106は、構成変更情報を受信した各ノード30の設定変更が完了したことを示すリソース変更情報を、各リソースプール管理装置20から受信する。そして、リソース変更情報取得部106は、リソース変更情報を受信すると、記憶部130内のリソース情報600のうち、使用状態505および仮想ノード構成情報506の変更箇所を最適配備として計算された設定に更新する。このことにより、最適配備計算部104が計算した仮想ノードによる最適配備が実際に完了し、その情報がリソース情報600に記憶される。
【0058】
一次記憶部120は、RAM等の一次記憶装置からなり、トラヒック情報取得部101がトラヒック情報収集装置40から取得したトラヒック情報や、トラヒック変化量判定部102が生成した仮想ノード間のトラヒック情報、最適配備計算部104が計算した仮想ノードの最適配備に関する情報等を一時的に記憶する。
【0059】
記憶部130は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶装置からなり、リソース情報600(図5参照)、および設備設計モデル条件情報700(図6参照)が記憶される。なお、このリソース情報600内のリソースプール601〜不稼働率504の各情報、および設備設計モデル条件情報700内の各情報は、不図示のネットワーク管理装置等から入出力部110を介して、予め取得し記憶しておくものである。
【0060】
<処理手順>
次に、図1から図6を参照して、ネットワーク設計システム1による仮想ノードの最適配備の設定処理の流れを説明する。図7は、ネットワーク設計装置10による最適配備設計処理の流れを示すフローチャートである。また、図8は、ネットワーク設計装置10から構成変更情報を受け取ったリソースプール管理装置20の処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
(ネットワーク設計装置の処理手順)
まず、ネットワーク設計装置10のトラヒック情報取得部101(図4参照)は、トラヒック情報収集装置40から、各ノード30間のトラヒック情報を取得し(ステップS101)、取得したトラヒック情報を一次記憶部120に記憶する。
【0062】
次に、トラヒック変化量判定部102は、一次記憶部120に記憶されたトラヒック情報と、記憶部130内のリソース情報600(図5参照)に記憶された使用状態505および仮想ノード構成情報506とを用いて、現在設定されている仮想ノード間のトラヒック量を計算する。そして、トラヒック変化量判定部102は、その仮想ノード間のトラヒック変化量が、所定値を超えたか否かを判定する(ステップS102)。
【0063】
ここで、仮想ノード間のトラヒック変化量が所定値を超えていない場合には(ステップS102→No)、ステップS101に戻り、次のトラヒック情報を取得するまで待つ。一方、トラヒック変化量が所定値を超えている場合には(ステップS102→Yes)、次のステップS103に進む。
【0064】
ステップS103において、設備設計モデル変更部103は、仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、また、ネットワーク管理者のネットワーク運用方針に基づく指示情報に基づき、設備設計モデル条件情報700に記憶された設備設計モデルの重みw(w1t, w2t, w3t,…)の設定を変更する。なお、この重みwの変更は、トラヒック変化量に合わせて重みwの設定を変更する所定のアルゴリズムを記憶部130に設定しておき、そのアルゴリズムに基づいて重みwの変更値を設備設計モデル変更部103が計算し、変更するようにしてもよいし、不図示のネットワーク管理装置からの指示情報に基づいて行ってもよい。また、設備設計モデル変更部103は、重みwの設定を変更しない設定にすることもできる。
【0065】
次に、最適配備計算部104は、トラヒック情報取得部101がステップS101で取得したトラヒック情報と、リソース情報600(図5参照)に記憶された各ノードの処理性能等の情報(処理性能情報)と、設備設計モデル条件情報700(図6参照)に記憶された設備設計モデルの閾値および重みw(w1t, w2t,…)に関する情報(条件情報)とに基づき、例えば、動的計画法を用いて、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小とする仮想ノードの最適配備を計算する(ステップS104)。この動的計画法の計算では、(式1)に示した品質モデルの品質条件(閾値等)を満たす制約条件のもと、(式2)の設備運用コストモデルに基づき、設備運用コストが最小となる仮想ノードの最適配備を計算する。
【0066】
続いて、最適配備計算部104は、計算した仮想ノードの最適配備を一次記憶部120に記憶する。
【0067】
そして、構成変更情報送信部105は、最適配備計算部104が決定した仮想ノードの最適配備と、記憶部130内のリソース情報600(図5参照)内の使用状態505および仮想ノード構成情報506に記憶されている現時点での仮想ノードの配備とを比較し、仮想ノードの構成変更が必要なノード30を抽出する。そして、構成変更情報送信部105は、構成変更が必要なノード30が属するリソースプールごとに、そのリソースプール管理装置20に向けて、各ノード30の構成変更の設定内容を通知する構成変更情報を送信する(ステップS105)。
【0068】
次に、リソース変更情報取得部106は、各ノード30が設定変更が完了したことを示すリソース変更情報を、リソースプール管理装置20を介して取得する(ステップS106)。そして、リソース変更情報取得部106は、一次記憶部120に記憶された最適配備と現時点での配備との変更箇所について、リソース変更情報に基づき、リソース情報600を更新する(ステップS107)。具体的には、リソース情報600のうち、構成変更を行ったノード30の使用状態505および仮想ノード構成情報506の該当箇所を更新する。
【0069】
(リソースプール管理装置の処理手順)
次に、リソースプール管理装置20の処理手順を説明する。
まず、リソースプール管理装置20の構成変更情報取得部201(図2参照)は、ネットワーク設計装置10から構成変更情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。
【0070】
構成変更情報取得部201が構成変更情報を取得していない場合には(ステップS201→No)、構成変更情報を取得するまで待つ。一方、構成変更情報取得部201が、構成変更情報を取得した場合には(ステップS201→Yes)、次のステップS202へ進む。
【0071】
ステップS202において、構成変更情報配信部202は、ステップS201で構成変更情報取得部201が取得した構成変更情報に示される変更対象となる各ノード30に対して、そのノード30ごとの変更内容を示した構成変更情報を、それぞれのノード30に配信する。
【0072】
次に、リソース変更情報処理部203は、構成変更情報を受信した各ノード30から、構成変更が完了したことを示すリソース変更情報を受信する。そして、リソース変更情報処理部203は、受信したリソース変更情報に基づき、記憶部230内のリソース設定情報500(図3参照)を、最適配備の構成に更新する(ステップS203)。
【0073】
続いて、リソース変更情報処理部203は、リソース設定情報500の更新を契機として、そのリソース変更情報を、ネットワーク設計装置10に送信する(ステップS204)。
【0074】
以上のように、本実施形態に係るネットワーク設計システム、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計装置によれば、サービス運用中のネットワークにおいて、ノードの増設等を行うことなく、品質条件を満たしながら設備運用コストを最小化させる設備の最適配備を可能とする。よって、設備設計時のトラヒック予測値とサービス導入・運用時における実際のトラヒック値との間に差が生じた場合においても、余剰設備の発生や、リソース不足に伴う運用規模の拡大を防止し、設備運用コストの拡大を抑えることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ネットワーク設計システム
10 ネットワーク設計装置
20 リソースプール管理装置
30 ノード
40 トラヒック情報収集装置
100,200 制御部
101 トラヒック情報取得部
102 トラヒック変化量判定部
103 設備設計モデル変更部
104 最適配備計算部
105 構成変更情報送信部
106 リソース変更情報取得部
110,210 入出力部
120,220 一次記憶部
130,230 記憶部
201 構成変更情報取得部
202 構成変更情報配信部
203 リソース変更情報処理部
204 仮想化制御部
500 リソース設定情報
600 リソース情報
700 設備設計モデル条件情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで接続された各ノード間のトラヒック情報を収集するトラヒック情報収集装置と、複数の前記ノードを論理的なグループに束ねたリソースプールに設けられるリソースプール管理装置と、前記リソースプールに属する1つ以上の前記ノードを、仮想的に1つのノードである仮想ノードとして統合し、前記ネットワークにおける前記仮想ノードの最適配備を設計するネットワーク設計装置と、を備えるネットワーク設計システムであって、
前記ネットワーク設計装置は、
(1)前記ノードごとの処理性能情報と各ノードが属する仮想ノードの構成情報とが記憶されるリソース情報、並びに、(2)前記仮想ノードの配備を設計するための設備設計モデルを構成する品質条件および設備運用コストに関する条件情報が記憶される設備設計モデル条件情報、を格納する記憶部と、
前記トラヒック情報収集装置から前記各ノード間のトラヒック情報を取得するトラヒック情報取得部と、
前記取得した各ノード間のトラヒック情報および前記仮想ノードの構成情報を用いて、前記仮想ノード間のトラヒック情報を生成し、前記生成した仮想ノード間のトラヒック情報に示される前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、最適配備計算部を起動するトラヒック変化量判定部と、
前記取得した各ノード間のトラヒック情報、前記ノードごとの処理性能情報、および前記仮想ノードの設備設計モデルの条件情報に基づき、動的計画法を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算する前記最適配備計算部と、
前記計算した仮想ノードの最適配備と、前記記憶部に格納された前記仮想ノードの構成情報とを比較し、前記最適配備の仮想ノードの構成にするため、前記記憶部のリソース情報に記憶された前記各ノードのうち、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な前記ノードを抽出し、前記抽出したノードが属する前記リソースプールの前記リソースプール管理装置に向けて、前記仮想ノードの最適配備に基づく構成変更の設定内容を示す構成変更情報を送信する構成変更情報送信部と、
前記リソースプール管理装置から、前記構成変更情報を受信したノードにおいて、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示すリソース変更情報を受信し、前記リソース情報内の前記仮想ノードの構成情報を、前記最適配備計算部が計算した最適配備の構成に更新するリソース変更情報取得部と、を備え、
前記リソースプール管理装置は、
前記ネットワーク設計装置から、前記構成変更情報を受信する構成変更情報取得部と、
前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な各ノードに対して、当該各ノードの前記構成変更情報を配信する構成変更情報配信部と、
前記構成変更情報を受信した前記各ノードから、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示す前記リソース変更情報を受信し、前記受信した前記各ノードからのリソース変更情報を前記ネットワーク設計装置に送信するリソース変更情報処理部と、を備える
ことを特徴とするネットワーク設計システム。
【請求項2】
前記記憶部内の前記設備設計モデル条件情報には、前記品質条件として、前記各ノードの性能を表す関数と、前記各ノードの信頼性を表す関数と、当該関数ごとの重みと、当該各関数の構成要素が最低限満たすべき閾値とが記憶されており、
前記ネットワーク設計装置の前記トラヒック変化量判定部が、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、前記重みを変更する設備設計モデル変更部を、さらに備え、
前記最適配備計算部は、前記性能を表す関数、前記信頼性を表す関数、前記設備設計モデル変更部が変更した当該関数ごとの重み、および前記閾値を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算すること
を特徴とする請求項1に記載のネットワーク設計システム。
【請求項3】
ネットワークで接続された各ノード間のトラヒック情報を収集するトラヒック情報収集装置と、複数の前記ノードを論理的なグループに束ねたリソースプールに設けられるリソースプール管理装置と、前記リソースプールに属する1つ以上の前記ノードを、仮想的に1つのノードである仮想ノードとして統合し、前記ネットワークにおける前記仮想ノードの最適配備を設計するネットワーク設計装置と、を備えるネットワーク設計システムに用いられるネットワーク設計方法であって、
前記ネットワーク設計装置は、
(1)前記ノードごとの処理性能情報と各ノードが属する仮想ノードの構成情報とが記憶されるリソース情報、並びに、(2)前記仮想ノードの配備を設計するための設備設計モデルを構成する品質条件および設備運用コストに関する条件情報が記憶される設備設計モデル条件情報、を格納する記憶部を備え、
前記トラヒック情報収集装置から前記各ノード間のトラヒック情報を取得するステップと、
前記取得した各ノード間のトラヒック情報および前記仮想ノードの構成情報を用いて、前記仮想ノード間のトラヒック情報を生成し、前記生成した仮想ノード間のトラヒック情報に示される前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、仮想ノードの最適配備に決定するステップを実行するように処理するステップと、
前記取得した各ノード間のトラヒック情報、前記ノードごとの処理性能情報、および前記仮想ノードの設備設計モデルの条件情報に基づき、動的計画法を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算するステップと、
前記計算した仮想ノードの最適配備と、前記記憶部に格納された前記仮想ノードの構成情報とを比較し、前記最適配備の仮想ノードの構成にするため、前記記憶部のリソース情報に記憶された前記各ノードのうち、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な前記ノードを抽出し、前記抽出したノードが属する前記リソースプールの前記リソースプール管理装置に向けて、前記仮想ノードの最適配備に基づく構成変更の設定内容を示す構成変更情報を送信するステップと、を実行し、
前記リソースプール管理装置は、
前記ネットワーク設計装置から、前記構成変更情報を受信するステップと、
前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な各ノードに対して、当該各ノードの前記構成変更情報を配信するステップと、
前記構成変更情報を受信した前記各ノードから、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示す前記リソース変更情報を受信し、前記受信した前記各ノードからのリソース変更情報を前記ネットワーク設計装置に送信するステップと、を実行し、
前記ネットワーク設計装置は、
前記リソースプール管理装置から、前記リソース変更情報を受信し、前記リソース情報内の前記仮想ノードの構成情報を、前記最適配備の構成に更新するステップを実行すること、
を特徴とするネットワーク設計方法。
【請求項4】
前記記憶部内の前記設備設計モデル条件情報には、前記品質条件として、前記各ノードの性能を表す関数と、前記各ノードの信頼性を表す関数と、当該関数ごとの重みと、当該各関数の構成要素が最低限満たすべき閾値とが記憶されており、
前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、前記重みを変更するステップを、さらに実行し、
前記仮想ノードの最適配備に決定するステップにおいて、前記性能を表す関数、前記信頼性を表す関数、前記重みを変更するステップで変更された当該関数ごとの重み、および前記閾値を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算すること
を特徴とする請求項3に記載のネットワーク設計方法。
【請求項5】
ネットワークで接続された各ノード間のトラヒック情報を収集するトラヒック情報収集装置と、複数の前記ノードを論理的なグループに束ねたリソースプールに設けられるリソースプール管理装置と、前記リソースプールに属する1つ以上の前記ノードを、仮想的に1つのノードである仮想ノードとして統合し、前記ネットワークにおける前記仮想ノードの最適配備を設計するネットワーク設計装置と、を備えるネットワーク設計システムに用いられる前記ネットワーク設計装置であって、
(1)前記ノードごとの処理性能情報と各ノードが属する仮想ノードの構成情報とが記憶されるリソース情報、並びに、(2)前記仮想ノードの配備を設計するための設備設計モデルを構成する品質条件および設備運用コストに関する条件情報が記憶される設備設計モデル条件情報、を格納する記憶部と、
前記トラヒック情報収集装置から前記各ノード間のトラヒック情報を取得するトラヒック情報取得部と、
前記取得した各ノード間のトラヒック情報および前記仮想ノードの構成情報を用いて、前記仮想ノード間のトラヒック情報を生成し、前記生成した仮想ノード間のトラヒック情報に示される前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、最適配備計算部を起動するトラヒック変化量判定部と、
前記取得した各ノード間のトラヒック情報、前記ノードごとの処理性能情報、および前記仮想ノードの設備設計モデルの条件情報に基づき、動的計画法を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算する前記最適配備計算部と、
前記計算した仮想ノードの最適配備と、前記記憶部に格納された前記仮想ノードの構成情報とを比較し、前記最適配備の仮想ノードの構成にするため、前記記憶部のリソース情報に記憶された前記各ノードのうち、前記仮想ノードの構成変更の設定が必要な前記ノードを抽出し、前記抽出したノードが属する前記リソースプールの前記リソースプール管理装置に向けて、前記仮想ノードの最適配備に基づく構成変更の設定内容を示す構成変更情報を送信する構成変更情報送信部と、
前記リソースプール管理装置から、前記構成変更情報を受信したノードにおいて、前記仮想ノードの構成変更が完了したことを示すリソース変更情報を受信し、前記リソース情報内の前記仮想ノードの構成情報を、前記最適配備計算部が計算した最適配備の構成に更新するリソース変更情報取得部と、
を備えることを特徴とするネットワーク設計装置。
【請求項6】
前記記憶部内の前記設備設計モデル条件情報には、前記品質条件として、前記各ノードの性能を表す関数と、前記各ノードの信頼性を表す関数と、当該関数ごとの重みと、当該各関数の構成要素が最低限満たすべき閾値とが記憶されており、
前記ネットワーク設計装置の前記トラヒック変化量判定部が、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量が所定値を超えると判定した場合に、前記仮想ノード間のトラヒックの変化量に応じて、前記重みを変更する設備設計モデル変更部を、さらに備え、
前記最適配備計算部は、前記性能を表す関数、前記信頼性を表す関数、前記設備設計モデル変更部が変更した当該関数ごとの重み、および前記閾値を用いて、前記品質条件を満たしながら前記設備運用コストを最小とする前記仮想ノードの最適配備を計算すること
を特徴とする請求項5に記載のネットワーク設計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−44487(P2012−44487A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184519(P2010−184519)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】