説明

ネットワーク通信経路制御システム

【課題】ネットワーク内で通信経路障害が発生した場合に障害箇所の特定と、タイムリーに使用可能な通信経路の設定を行う。
【解決手段】通信経路の制御を行う通信経路制御サーバ1と、通信経路制御サーバ1に接続された第1のSWカード21と、通信経路制御サーバ1と第1のSWカード21にそれぞれ接続された少なくとも一つの第2のSWカード22、23と、第2のSWカード22、23に接続された複数の制御装置31〜36を有するネットワーク通信経路制御システムである。第1のSWカード21及び第2のSWカード22、23は、制御装置31〜36間のデータスイッチングを行い、通信経路制御サーバ1は、第1のSWカード21及び第2のSWカード22、23を介して各制御装置31〜36に対し通信経路の監視を行い、通信経路に障害が発生した場合に障害箇所の特定と使用可能な通信経路の設定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク通信経路制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置内ネットワークにおいて、通信経路の監視は制御装置(監視主管装置)から全制御装置に対してPingコマンドを使用したヘルスチェックにより行われている。
【0003】
このヘルスチェックは監視対象の制御装置の途中の通信経路で障害が発生していても、その障害箇所は特定できず、監視対象の制御装置が異常と判断するか、その他の障害情報を装置毎に異なる障害監視装置から情報を集めることで障害の特定を行っている。また、障害箇所により装置毎に異なる制御を行い通信経路の設定を行っている。
【0004】
例えば、特開2009−135580号公報(特許文献1)には、レイヤ2スイッチ(L2SW)のポート接続関係情報を利用して、装置内ネットワークにおけるサーバ間の通信経路の迂回および復旧を含む管理を行う装置内ネットワーク管理システムが開示されている。
【0005】
従来、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチ(以下、SWカードと称する)を用いて構成される装置内ネットワークにおいては、通信経路の監視はSWカードに接続された制御装置がPingコマンドを使用し、SWカードを経由して制御装置間でPing送達確認を行っている。このため、PingコマンドがNGの場合、いくつものSWカードを経由しているとNGの原因(障害箇所)の特定ができない。
【0006】
また、障害箇所の特定を、SWカード及び制御装置の種別毎に管理して障害情報を収集し判断するため、通信経路を確保決定する処理が複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−135580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した従来技術の課題を解決するための技術を提供することにあり、ネットワーク内で通信経路障害が発生した場合に障害箇所の特定と、タイムリーに使用可能な通信経路の設定を行うことが可能なネットワーク通信経路制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るネットワーク通信経路制御システムは、
通信経路の制御を行う通信経路制御サーバと、
前記通信経路制御サーバに接続された第1のSWカードと、
前記通信経路制御サーバと前記第1のSWカードにそれぞれ接続された少なくとも一つの第2のSWカードと、
前記第2のSWカードに接続された複数の制御装置を有し、
前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードは、前記制御装置間のデータスイッチングを行い、
前記通信経路制御サーバは、前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードを介して各制御装置に対し通信経路の監視を行い、前記通信経路に障害が発生した場合に障害箇所の特定と使用可能な通信経路の設定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワーク内で通信経路障害が発生した場合に障害箇所の特定と、タイムリーに使用可能な通信経路の設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワーク通信経路制御システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るネットワーク通信経路制御システムの接続構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。
【図5】ネットワーク通信経路制御システムにおける通信経路の設定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るネットワーク通信経路制御システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るネットワーク通信経路制御システムの構成を示す図である。
【0014】
本実施形態のネットワーク通信経路制御システムは、通信経路制御サーバ1と、通信経路制御サーバ1に接続されたSWカード(レイヤ3スイッチ)21と、通信経路制御サーバ1とSWカード21にそれぞれ接続されたSWカード(レイヤ2スイッチ)22、23と、SWカード22に接続された制御装置31〜33と、SWカード23に接続された制御装置34〜36とを有する。
【0015】
SWカード21、22、23は、ネットワーク(装置内ネットワーク)の制御装置31〜36間のデータスイッチングを行うレイヤ2スイッチ及びレイヤ3スイッチである。制御装置31〜36は、ネットワークでサービスを実現するために必要な機能を具備したサーバである。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係る装置内ネットワーク通信経路制御システムの接続構成を示す図である。
【0017】
通信経路制御サーバ1は、SWカード21、22、23に対し通信経路の疎通、障害監視及び経路設定を行うため、SWカード21、22、23と相互にポート(Port)で接続されている。
【0018】
具体的には、通信経路制御サーバ1には、ポート(Port)1a〜1cが設けられている。レイヤ3スイッチとしてのSWカード21には、ポート(Port)21a〜21cが設けられている。レイヤ2スイッチとしてのSWカード22には、ポート(Port)22a〜22eが設けられている。レイヤ2スイッチとしてのSWカード23には、ポート(Port)23a〜23eが設けられている。
【0019】
このような構成の下、通信経路制御サーバ1のポート(Port)1aは、SWカード21のポート(Port)21aに接続されている。通信経路制御サーバ1のポート(Port)1bは、SWカード22のポート(Port)22aに接続されている。通信経路制御サーバ1のポート(Port)1cは、SWカード23のポート(Port)23aに接続されている。
【0020】
また、SWカード21のポート(Port)21bは、SWカード22のポート(Port)22bに接続されている。SWカード21のポート(Port)21cは、SWカード23のポート(Port)23bに接続されている。
【0021】
また、SWカード22のポート(Port)22cは制御装置31に、SWカード22のポート(Port)22dは制御装置32に、SWカード22のポート(Port)22eは制御装置33にそれぞれ接続されている。
【0022】
また、SWカード23のポート(Port)23cは制御装置34に、SWカード23のポート(Port)23dは制御装置35に、SWカード23のポート(Port)23eは制御装置36にそれぞれ接続されている。
【0023】
このように、通信経路制御サーバ1のポート(Port)1a、ポート(Port)1b、ポート(Port)1cは、SWカード21のポート(Port)21a、SWカード22のポート(Port)22a、SWカード23のポート(Port)23aにそれぞれ接続されている。
【0024】
SWカード21、22、23は中継装置として対向する制御装置ごとにポートによる相互接続を行っており、レイヤ3スイッチとしてのSWカード21はレイヤ2スイッチとしてのSWカード22、23間の中継のため、SWカード21のポート(Port)21b、ポート(Port)21cは、SWカード22のポート(Port)22b、SWカード23のポート(Port)23bにそれぞれ接続されている。
【0025】
SWカード22、23は、制御装置間の中継のため、SWカード22のポート(Port)22c、ポート(Port)22d、ポート(Port)22eは制御装置31、32、33にそれぞれ接続され、SWカード23のポート(Port)23c、ポート(Port)23d、ポート(Port)23eは制御装置34、35、36にそれぞれ接続されている。
【0026】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態の動作について詳細に説明する。
【0027】
通信経路制御サーバ1は、装置内ネットワークの通信経路の疎通監視するために、Pingコマンドを使用しSWカード21、22、23経由でコマンドを発行することで制御装置31〜36に対しパケットの送受信を行い、各SWカード21、22、23、制御装置31〜36間の通信経路の疎通監視を行う。
【0028】
通信経路制御サーバ1からSWカード21、22、23を経由してPingコマンドによる疎通監視を行うことで、SWカード21、22、23の障害を特定するための一次切分けを行うことが可能になる。
【0029】
ここで、図3を参照して、制御装置31に対する疎通監視を行う場合について説明する。
【0030】
制御装置31に対する疎通監視を行う(図3のステップA1)。
【0031】
通信経路制御サーバ1からSWカード21経由とSWカード22経由の2ルートでPingコマンドが送信され、SWカード21経由のPingがOKでSWカード22経由のPingがNGの場合(図3のステップA2)、SWカード21とSWカード22と制御装置31の疎通確認ができていることから、障害箇所は通信経路制御サーバ1とSWカード22の間であることが特定できる。
【0032】
SWカード21経由のPingがNGでSWカード22経由のPingがOKの場合(図3のステップA3)、SWカード21と制御装置31の疎通確認ができていることから、障害箇所は通信経路制御サーバ1とSWカード21の間であることが特定できる。
【0033】
SWカード21経由のPingがNGでSWカード22経由のPingがNGの場合(図3のステップA4)、制御装置31の疎通確認が全てできないことから、障害箇所は通信経路制御サーバ1、SWカード21、SWカード22と制御装置31の全てが障害対象となる。しかし、この場合はSWカード22に接続されている制御装置32、33の疎通確認結果と合わせて判断することで障害箇所の特定はさらに絞り込める。
【0034】
例えば、制御装置31に対する疎通監視で、SWカード21経由のPingがNGでSWカード22経由のPingがNGの場合と、制御装置32に対する疎通監視で、SWカード21経由のPingがOKでSWカード22経由のPingがOKの場合の組み合わせでは(図3のステップA5)、SWカード21とSWカード22と制御装置32の疎通確認ができていることから、障害箇所はSWカード22と制御装置31の間であることが特定できる。
【0035】
上記疎通監視では故障箇所を1箇所(1装置)に絞り込むことができず、SWカード21、22、23間又はSWカード21、22、23と制御装置31〜36間の範囲での特定となるが、疎通監視に加え、SWカード21、22、23のカード状態と各ポート(Portの)の状態を監視することで、障害箇所の範囲をさらに絞り込むことが可能となる。
【0036】
通信経路制御サーバ1は、SWカード21、22、23に対しTelnetコマンドでログインし、ログイン結果によりSWカード21、22、32が故障していないことを確認する。そして、SWカード21、22、23の各ポート(Port)の状態を収集することで、SWカード21、22、23かあるいはその他装置かの切分けが可能となり故障箇所の特定ができる(図4のステップA6)。
【0037】
このように、SWカード21、22、23の状態及びSWカード21、22、23の各ポート(Port)の状態を判定し(図4のステップA6)、判定の結果が異常ならば、故障対象をSWカード21、22、23に特定する。また、判定の結果が正常ならば、故障対象をSWカード21、22、23以外の装置(故障対象装置)に特定する。ここで、故障対象装置とは、通信経路制御サーバ1あるいは制御装置31〜36である。
【0038】
次に、SWカード21、22、23の故障時の通信経路の設定として、SWカード21、22、23のポート(Port)状態をSWカード21、22、23の制御コマンドによりポート(Port)閉塞/解除することで、SWカード21、22、23と制御装置31〜36間のリンクを物理的に使用不可能な状態に設定する。これにより、全制御装置31〜36に対して通信経路の設定動作を行う必要がなくなる。この結果、通信経路の設定動作を簡略かつ早期に行なうことができる。
【0039】
図5を参照して、この通信経路の設定動作について説明する。
【0040】
例えば、#0経路と#1経路に分かれたシステム構成を想定する。#0経路にはSWカード21、22、23が設けられおり、#1経路にはSWカード211、221、231が設けられている。
【0041】
このような構成の下、SWカード21が故障した場合、制御装置31〜36は全て#1経路を使用するために、各々の制御装置31〜36に通信経路の設定指示を出すことなく、SWカード22とSWカード23の制御装置向けのポート(Port)を閉塞(リンクダウン)する。これにより、全制御装置31〜36の使用可能経路を#1経路のみとし通信経路設定をSWカード側で全て制御可能になる。
【0042】
上述のように、本発明の実施形態では、装置内ネットワークにて、制御装置31〜36間の通信経路を監視し、通信経路障害が発生した場合に障害箇所の特定と、タイムリーに使用可能な通信経路の設定制御することを可能とする。
【0043】
つまり、本発明の実施形態に係るネットワーク通信経路制御システムは、装置内ネットワークの全てのSWカード21、22、23に接続し、装置内ネットワーク通信経路制御システムよりSWカード21、22、23を介し装置内ネットワークの各制御装置31〜36に対し通信経路監視を行う。各SWカード21、22、23から実施した通信経路監視の確認結果に基づいて、通信経路監視が正常に行われた区間と正常に行われなかった区間を確認判断する。また、SWカード21、22、23の状態及びSWカード21、22、23のポート状態も装置内ネットワーク通信経路制御システム内で管理することで、装置内ネットワーク通信経路制御システム内の情報(装置内ネットワークの通信経路状態、SWカード状態、SWカードのポート状態)に基づいてネットワーク内の障害箇所を特定する。また、特定された障害箇所からSWカード21、22、23及びSWカード21、22、23のポートを制御することで、通信経路の設定を簡略化し、早期に通信経路の確保を可能とする。
【0044】
本発明の実施形態によれば、ネットワーク内の通信障害の障害箇所の特定が可能になる。この結果、故障復旧を早期に行うことが可能となる。その理由は、装置内ネットワーク通信経路制御システムを構築することで、中継装置であるSWカード21、22、23間の通信経路状態、SWカード21、22、23の状態、ポートの状態を一元管理し、また、SWカード21、22、23へのポート制御により経路設定を可能としたためである。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0046】
例えば、本発明は、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチを用いて構成される装置内ネットワークを使用したシステムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 通信経路制御サーバ
1a〜1c ポート(Port)
21 SWカード(レイヤ3スイッチ)
21a〜21c ポート(Port)
22、23 SWカード(レイヤ2スイッチ)
22a〜22e ポート(Port)
23a〜23e ポート(Port)
31〜36 制御装置
211 SWカード(レイヤ3スイッチ)
221、231 SWカード(レイヤ2スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信経路の制御を行う通信経路制御サーバと、
前記通信経路制御サーバに接続された第1のSWカードと、
前記通信経路制御サーバと前記第1のSWカードにそれぞれ接続された少なくとも一つの第2のSWカードと、
前記第2のSWカードに接続された複数の制御装置を有し、
前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードは、前記制御装置間のデータスイッチングを行い、
前記通信経路制御サーバは、前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードを介して各制御装置に対し通信経路の監視を行い、前記通信経路に障害が発生した場合に障害箇所の特定と使用可能な通信経路の設定を行うことを特徴とするネットワーク通信経路制御システム。
【請求項2】
前記通信経路の監視は、前記通信経路制御サーバから前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードを経由してPingコマンドによる疎通監視を行うことにより実行されることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項3】
前記通信経路制御サーバは、前記通信経路の監視結果に基づいて、前記通信経路の監視が正常に行われた区間と正常に行われなかった区間を判別することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項4】
前記通信経路の監視が正常に行われなかった区間は、前記通信経路制御サーバと前記第1のSWカードの間、前記通信経路制御サーバと前記第2のSWカードの間、前記第2のSWカードと前記制御装置の間のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項5】
前記通信経路制御サーバ、前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードには、それぞれポートが設けられており、
前記通信経路制御サーバ、前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードは、前記ポートを介して相互に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項6】
前記通信経路制御サーバは、前記第1のSWカード及び前記第2のSWカードの状態と前記ポートの状態とを監視することにより、前記障害箇所の特定を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項7】
前記障害箇所の特定は、前記第1のSWカードあるいは前記第2のSWカードの故障か、あるいは前記通信経路制御サーバ又は前記制御装置の故障かを判定することにより行われることを特徴とする請求項6に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項8】
前記特定された障害箇所に基づいて、前記第1のSWカードあるいは前記第2のSWカードのポートを制御することにより、前記使用可能な通信経路の設定を行うことを特徴とする請求項7に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項9】
前記第1のSWカードあるいは前記第2のSWカードのポートの制御は、前記第1のSWカードあるいは前記第2のSWカードの制御コマンドにより前記ポートを閉塞/解除することにより、前記第1のSWカードあるいは前記第2のSWカードと前記制御装置間のリンクを物理的に使用不可能な状態に設定することにより行われることを特徴とする請求項8に記載のネットワーク通信経路制御システム。
【請求項10】
前記第1のSWカードはレイヤ3スイッチであり、前記第2のSWカードはレイヤ2スイッチであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のネットワーク通信経路制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−227630(P2012−227630A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91706(P2011−91706)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】