説明

ノイズフィルタ

【課題】比較的簡単な回路構成でありながらも、フレーム同期信号とライン同期信号との両方からノイズを除去することができるノイズフィルタを提供する。
【解決手段】ノイズフィルタ1は、タイミング検出部2と、第1の出力部3と、第2の出力部4とを備えている。第1の出力部3は、タイミング検出部2が検出するタイミングでフレーム同期信号の信号値を読み込み、読み込んだ信号値を出力フレーム同期信号の信号値として採用する。第2の出力部4は、タイミング検出部2が検出するタイミングでライン同期信号の信号値を読み込み、読み込んだ信号値を出力ライン同期信号の信号値として採用する。タイミング検出部2は、フレーム同期信号とライン同期信号とのいずれかの信号値の変化点からの経過時間が所定の閾値に達するタイミングを検出することにより、第1の出力部3と第2の出力部4とに共用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の同期信号に生じたノイズを除去するノイズフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の装置または回路間で画像データを授受する場合、送信側の装置または回路は受信側の装置または回路に対して画像データ(画像信号)と共にフレーム同期信号(垂直同期信号)およびライン同期信号(水平同期信号)を出力する。受信側の装置または回路は、画像データを受信するに当たって、ライン同期信号にて画像の水平方向の同期をとり、フレーム同期信号にて画像の垂直方向の同期をとることによって、画像を再構築する。
【0003】
このため、フレーム同期信号やライン同期信号にノイズが含まれていると、受信側と送信側とで同期が取れない状態となり、受信側の装置または回路において画像を正しく再構築できなくなる可能性がある。なお、同期信号に生じるノイズは、電源電位もしくは設置電位の揺らぎ、装置外からのノイズなど、様々な原因で生じ得る。
【0004】
そこで、フレーム同期信号やライン同期信号に生じたノイズを除去するためのノイズフィルタとしての機能を有する信号処理装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の信号処理装置は、ノイズ除去手段と、同期信号の信号値の変化点を示す変化点信号を生成する変化点信号生成手段と、同期信号のHレベルまたはLレベルの連続数をカウントする計数手段とを備えている。さらに、信号処理装置は、連続数が閾値以下の信号区間をノイズ候補とするノイズ候補信号を生成するノイズ候補信号生成手段と、ノイズ候補から除外する信号区間を候補除外区間とするノイズ候補除外信号を生成するノイズ候補除外信号生成手段とを備える。
【0006】
ノイズ候補除外信号生成手段は、変化点信号が示す変化点、ノイズ候補信号が示すノイズ候補、および自身が生成したノイズ候補信号が示す候補除外区間を基に、次のノイズ候補除外信号の生成を行う。ノイズ除去手段は、ノイズ候補であり且つ候補除外区間でない区間をノイズが含まれる区間と判断し、同期信号からノイズ成分を除去する。
【0007】
特許文献1においては、ノイズを除去するための手段(変化点信号生成手段、計数手段、ノイズ候補信号生成手段、ノイズ候補除外信号生成手段)を構成する回路は、フレーム同期信号とライン同期信号とのそれぞれについて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−253908号公報(第0055〜0063段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1記載の信号処理装置では、フレーム同期信号とライン同期信号との両方からノイズを除去するため、フレーム同期信号とライン同期信号とのそれぞれについて同様の回路が設けられている必要がある。したがって、特許文献1記載の構成では、フレーム同期信号とライン同期信号とのいずれか一方のみからノイズを除去する構成に比べると、回路規模が2倍程度になり回路構成が複雑になるという問題がある。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、比較的簡単な回路構成でありながらも、フレーム同期信号とライン同期信号との両方からノイズを除去することができるノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のノイズフィルタは、画像のフレーム同期信号およびライン同期信号が入力信号として入力され、前記入力信号の信号値の変化点からの経過時間が所定の閾値に達したタイミングで、前記入力信号の信号値を読み込み出力フレーム同期信号および出力ライン同期信号の信号値として用いることにより、前記入力信号に生じるパルス幅が前記閾値未満のノイズを前記出力フレーム同期信号および前記出力ライン同期信号から除去するノイズフィルタであって、前記タイミングを検出するタイミング検出部と、前記タイミングで前記フレーム同期信号の信号値を読み込み前記出力フレーム同期信号の信号値として用いる第1の出力部と、前記タイミングで前記ライン同期信号の信号値を読み込み前記出力ライン同期信号の信号値として用いる第2の出力部とを備え、前記タイミング検出部は、前記フレーム同期信号と前記ライン同期信号とのいずれかの信号値の変化点からの経過時間が前記閾値に達するタイミングを検出することにより、前記第1の出力部と前記第2の出力部とに共用されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
このノイズフィルタにおいて、前記タイミング検出部は、前記フレーム同期信号の信号値の変化点を検出する第1のエッジ検出部と、前記ライン同期信号の信号値の変化点を検出する第2のエッジ検出部と、所定周期で発生するクロックに同期してカウントを行い、前記第1および前記第2のいずれかのエッジ回路で前記変化点が検出されるとカウント値がリセットされるカウンタ部と、前記カウント値が前記閾値に一致するとトリガを出力するトリガ生成部とを有し、前記第1の出力部は、前記トリガ生成部から前記トリガを受けたときの前記フレーム同期信号の信号値を読み込み前記出力フレーム同期信号の信号値として用い、前記第2の出力部は、前記トリガ生成部から前記トリガを受けたときの前記ライン同期信号の信号値を読み込み前記出力ライン同期信号の信号値として用いることが望ましい。
【0013】
このノイズフィルタにおいて、前記タイミング検出部は、前記閾値が電気信号によって可変であることがより望ましい。
【0014】
このノイズフィルタにおいて、前記閾値は、前記フレーム同期信号の信号値の変化点と前記ライン同期信号の信号値の変化点との間の時間間隔よりも短いことがより望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、比較的簡単な回路構成でありながらも、フレーム同期信号とライン同期信号との両方からノイズを除去することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1の構成を示す概略図である。
【図2】同上の動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
本実施形態のノイズフィルタは、検査対象物の画像を撮像するカメラに接続された画像処理装置に搭載される。
【0018】
この画像処理装置は、カメラから画像を取り込む画像取込部を前置処理部に備え、検査対象物の良品・不良品の判定に用いられる。カメラは、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)エリアイメージセンサ等からなる撮像素子で、画素が水平方向および垂直方向に多数個ずつ並べられた画像として撮像する。なお、カメラはカラー画像を撮像するカラーカメラとするが、濃淡値を画素値とする濃淡画像を撮像するカメラであってもよい。
【0019】
画像処理装置は、CPUやメモリを備えたコンピュータ装置からなり、専用のキーパッドやマウス等の操作装置、モニタ、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)等の外部装置などを接続可能に構成される。さらに、画像処理装置は、取り込んだ画像をモニタに表示させたり、取り込んだ画像内の検査領域の大きさ、形状等から検査対象物の良否を自動的に判定したりする処理を行う主処理部をさらに備えている。
【0020】
画像取込部は、フレーム同期信号およびライン同期信号に同期してカメラから画像データの取り込みを行う。
【0021】
ライン同期信号は水平方向について画像データの開始・終了タイミングを表す信号であって、画像取込部にてライン同期信号の1つの連続したHレベルの期間に取り込まれる画像データが、1ライン分の画像データに相当する。フレーム同期信号は垂直方向について画像データの開始・終了タイミングを表す信号であって、画像取込部にてフレーム同期信号の1つの連続したHレベルの期間に取り込まれる画像データが、1フレーム分の画像データに相当する。
【0022】
これらのライン同期信号およびフレーム同期信号はカメラにて生成され、画像データと共にカメラから画像処理装置へ出力される。画像取込部は、フレーム同期信号にて画像の垂直方向の同期をとり、ライン同期信号にて画像の水平方向の同期をとることによって、カメラから入力される画像データから画像を再構築する。
【0023】
ところで、本実施形態では画像取込部にノイズフィルタが設けられ、フレーム同期信号やライン同期信号に生じたノイズをノイズフィルタにて除去することにより、画像取込部は画像データの取り込みを確実に行う。ノイズフィルタは、カメラから画像のフレーム同期信号およびライン同期信号が入力信号として入力され、各入力信号に生じるパルス幅が所定の閾値未満のノイズを除去してそれぞれ出力フレーム同期信号、出力ライン同期信号として出力する。
【0024】
以下、ノイズフィルタの構成について図1を参照して説明する。
【0025】
ノイズフィルタ1は、入力信号の信号値の変化点からの経過時間が閾値に達したタイミングを検出するタイミング検出部2と、出力フレーム同期信号を出力する第1の出力部3と、出力ライン同期信号を出力する第2の出力部4とを備えている。
【0026】
第1の出力部3は、タイミング検出部2が検出するタイミングで第1の入力端T1に入力されているフレーム同期信号の信号値を読み込み、読み込んだ信号値を出力フレーム同期信号の信号値として採用する。第2の出力部4は、タイミング検出部2が検出するタイミングで第2の入力端T2に入力されているライン同期信号の信号値を読み込み、読み込んだ信号値を出力ライン同期信号の信号値として採用する。
【0027】
さらに、本実施形態のノイズフィルタ1は、第3の入力端T3に入力される画像データを記憶するメモリ5を備えている。メモリ5は、第3の入力端T3から入力される画像データを記憶し、リードエネーブル(RD_EN)端子がHレベルの期間にクロックを受けると、クロックの立ち上がりに同期して画像データを1画素分ずつ第3の出力端T3に出力する。なお、図1においてはクロックに係る配線の図示を省略しているが、クロックが入力される端子を「CK」で表しており、全てのCK端子に共通して所定周期のクロックが入力される。
【0028】
タイミング検出部2は、第1の入力端T1に入力されたフレーム同期信号と、第2の入力端T2に入力されたライン同期信号とのいずれかの信号値の変化点からの経過時間が、所定の閾値に達したときにトリガを出力する。
【0029】
この閾値はノイズフィルタ1で除去するノイズのパルス幅を決める値であって、ノイズフィルタ1は、フレーム同期信号およびライン同期信号に生じるパルス幅がこの閾値未満のパルスをノイズとして除去する。そのため、閾値は、少なくともフレーム同期信号およびライン同期信号においてHレベルが連続する期間、並びにLレベルが連続する期間よりも短くなるように、設定条件が定められている。これにより、フレーム同期信号やライン同期信号そのものがノイズとして除去されることはない。
【0030】
さらに、閾値は、フレーム同期信号の信号値の変化点とライン同期信号の信号値の変化点との間の時間間隔よりも短くなるように、設定条件が定められている。これにより、たとえばフレーム同期信号が立ち上がった後でライン同期信号が立ち上がる場合、フレーム同期信号の立ち上がりがノイズとして誤って無視されることを回避できる。
【0031】
ここでは、第1の出力部3は、D端子が第1の入力端T1に接続された第1のフリップフロップFF1を有し、第2の出力部4は、D端子が第2の入力端T2に接続された第2のフリップフロップFF2を有している。第1および第2の各フリップフロップFF1,FF2は、いずれもエネーブル(EN)端子付きのD−フリップフロップであって、エネーブル端子の状態によってD端子の信号値を出力端子に反映させるか否かが変化する。つまりこれらのフリップフロップFF1,FF2は、エネーブル端子がHレベルのときにクロックを受けると、クロックの立ち上がりに同期してそのときのD端子の値を出力し、エネーブル端子がLレベルであればクロックを受けても出力値を保持する。
【0032】
第1および第2の両フリップフロップFF1,FF2のエネーブル端子には、いずれもタイミング検出部2の出力するトリガが入力される。すなわち、タイミング検出部2は、フレーム同期信号を扱う第1の出力部3と、ライン同期信号を扱う第2の出力部4とに共用される。
【0033】
これにより、第1のフリップフロップFF1は、タイミング検出部2からトリガを受けたときのフレーム同期信号の信号値を出力フレーム同期信号の信号値とすることによって、出力フレーム同期信号からパルス幅が閾値未満のノイズを除去する。第2のフリップフロップFF2は、タイミング検出部2からトリガを受けたときのライン同期信号の信号値を出力ライン同期信号の信号値とすることによって、出力ライン同期信号からパルス幅が閾値未満のノイズを除去する。
【0034】
さらに、第1の出力部3は、D端子が第1のフリップフロップFF1の出力端子に接続された第3のフリップフロップFF3を有し、第2の出力部4は、D端子が第2のフリップフロップFF2の出力端子に接続された第4のフリップフロップFF4を有している。第3および第4の各フリップフロップFF3,FF4は、第1のフリップフロップFF1、第2のフリップフロップFF2の出力を1クロック分遅延させて第1の出力端T1、第2の出力端T2にそれぞれ出力する。
【0035】
また、第2のフリップフロップFF2の出力端子(つまり、第4のフリップフロップFF4のD端子)は、メモリ5のリードエネーブル端子にも接続されている。したがって、メモリ5に記憶されている画像データは、第2のフリップフロップFF2の出力がHレベルの期間に、クロックの立ち上がりに同期して1画素分ずつ第3の出力端T3に出力される。
【0036】
次に、タイミング検出部2のより具体的な構成について説明する。
【0037】
タイミング検出部2は、第1および第2の各入力端T1,T2にそれぞれ接続される第1のエッジ検出部21および第2のエッジ検出部22を有している。第1および第2のエッジ検出部21,22は、フリップフロップを用いて構成され、それぞれに入力される同期信号(フレーム同期信号、ライン同期信号)の信号値の変化点(立ち上がりあるいは立ち下がり)を検出するとHレベルの信号を出力する。
【0038】
さらに、タイミング検出部2は、第1のエッジ検出部21と第2のエッジ検出部22との各出力端子を入力とするOR(論理和)回路23を有している。つまり、OR回路23は、フレーム同期信号とライン同期信号とのいずれかの信号値に変化が生じたことを表すエッジ信号を出力する。
【0039】
また、タイミング検出部2は、OR回路23の出力端子にクリア(CLR)端子が接続されたカウンタ部24を有している。カウンタ部24は、クロックに同期してnビット(nは自然数)のカウント値をインクリメント(カウントアップ)し、クリア端子に入力されているエッジ信号がHレベルになるとカウント値を「0」にリセットする。これにより、カウンタ部24の出力するカウント値は、フレーム同期信号あるいはライン同期信号の信号値の変化点からカウントされるクロック数、つまり変化点からの経過時間を表すことになる。
【0040】
カウンタ部24の出力端子は、ビットごとに設けられたXNOR(排他的論理和の否定)回路25の一方の入力端子に接続されている。これらn個のXNOR回路25における他方の入力端子には、レジスタ26が接続されている。レジスタ26は、予め決められた閾値(本実施形態では「2(10)」=「0010(2)」とする)を保持しており、各XNOR回路25の入力端子に対してビットごとに値(「0」あるいは「1」)を出力する。
【0041】
これらn個のXNOR回路25の出力端子には、AND(論理和)回路27が接続されている。AND回路27の出力は、n個のXNOR回路25の出力が全てHレベルのとき、つまりカウンタ部24のカウント値がレジスタ内の閾値と一致したときにHレベルとなる。
【0042】
要するに、AND回路27は、n個のXNOR回路25と共に、カウンタ部24のカウント値が閾値に一致するとHレベルのトリガを出力するトリガ生成部28を構成する。トリガ生成部28は、カウンタ部24のカウント値が閾値と一致している期間にはHレベルのトリガを維持し、カウント値が閾値と一致していない期間には出力がLレベルとなる。そのため、フレーム同期信号あるいはライン同期信号の変化点からの経過時間が閾値に達するまでの期間は、トリガ生成部28の出力はLレベルとなる。
【0043】
ここで、AND回路27の出力端子は、第1および第2の両フリップフロップFF1,FF2のエネーブル端子に接続されている。そのため、トリガ生成部28からトリガが出力される期間には、第1および第2のフリップフロップFF1,FF2はクロックの立ち上がりに同期してD端子へ入力されている信号値を出力する。
【0044】
次に、上述した構成のノイズフィルタ1の動作について図2のタイムチャートを参照して説明する。図2では、ライン同期信号にパルス幅が2クロック分のノイズN1と、パルス幅が1クロック分のノイズN2とが生じる例を示している。
【0045】
フレーム同期信号(図2(b))がLレベルからHレベル、あるいはHレベルからLレベルに変化すると、カウンタ部24のクリア端子に入力されているエッジ信号がHレベルになってカウンタ部24のカウント値(図2(d))がリセットされる。同様に、ライン同期信号(図2(c))がLレベルからHレベル、あるいはHレベルからLレベルに変化しても、カウンタ部24のクリア端子に入力されているエッジ信号がHレベルになってカウンタ部24のカウント値がリセットされる。
【0046】
カウンタ部24は、カウント値がリセットされた後、クロック(図2(a))の立ち上がりに合わせてカウント値を「0」から順にインクリメントする。カウンタ部24のカウント値がレジスタ26に設定されている閾値(ここでは「2」)と一致すると、AND回路27の出力端子にトリガが生じ、カウント値が閾値「2」と一致している期間(図2(d)の斜線部)はトリガが保持される。
【0047】
画像データは、ライン同期信号がHレベルの期間に、クロックに同期して取り込まれ、メモリ5に蓄積される(図2(e))。なお、図2(e)における「×」印の箇所は、画像データがない状態を表している。
【0048】
トリガが発生している期間には、第1のフリップフロップFF1はクロックの立ち上がりに同期してフレーム同期信号の信号値を読み込み、第2のフリップフロップFF2はクロックの立ち上がりに同期してライン同期信号の信号値を読み込む。
【0049】
これにより、フレーム同期信号は、3クロック分遅れて第1のフリップフロップFF1の出力端子から出力され(図2(f))、ライン同期信号は、3クロック分遅れて第2のフリップフロップFF2の出力端子から出力される(図2(g))。
【0050】
したがって、フレーム同期信号あるいはライン同期信号にノイズN1,N2が発生しても、ノイズN1,N2のパルス幅が上記閾値より小さければ、このノイズN1,N2は第1および第2の各フリップフロップFF1,FF2の出力には生じない。要するに、上記閾値が「2」に設定されている場合、ノイズN1,N2のパルス幅が3クロック分よりも小さければ、このノイズN1,N2は第1および第2の各フリップフロップFF1,FF2の出力からは除去される。
【0051】
さらに、第3のフリップフロップFF3からは、第1のフリップフロップFF1の出力が1クロック分遅れて、出力フレーム同期信号として出力される(図2(h))。同様に、第4のフリップフロップFF4からは、第2のフリップフロップの出力が1クロック分遅れて、出力ライン同期信号として出力される(図2(i))。また、メモリ5に記憶されている画像データは、第2のフリップフロップFF2の出力がHレベルの期間に、クロックの立ち上がりに同期して第3の出力端T3に出力される(図2(j))。
【0052】
結果的に、第1〜第3の出力端T1〜T3には、第1〜第3の入力端T1〜T3に入力された信号がそれぞれ4クロック分遅れて出力されることになる。しかも、第1および第2の各フリップフロップFF1,FF2は、タイミング検出部2で生成されたトリガを用いることにより、パルス幅が所定の閾値未満のノイズを除去している。したがって、フレーム同期信号、ライン同期信号については、第1および第2の入力端T1,T2に入力され第1および第2の出力端T1,T2から出力されるまでの間に、ノイズN1,N2が除去されることになる。
【0053】
以上説明した構成のノイズフィルタ1によれば、フレーム同期信号およびライン同期信号からパルス幅が所定の閾値未満のノイズが確実に除去されるので、フレーム同期信号やライン同期信号に確実に同期して画像データの取り込みを行うことが可能になる。要するに、本実施形態のノイズフィルタ1は、所定の閾値未満のパルス幅を持つノイズを除去しつつフレーム同期信号およびライン同期信号をそれぞれ通過させるローパスフィルタを構成する。その結果、このノイズフィルタ1を用いた画像処理装置は、カメラから取り込んだ画像を、フレーム同期信号やライン同期信号に生じるノイズの影響を受けずに正しく再構築することができる。
【0054】
また、上記構成のノイズフィルタ1は、フレーム同期信号とライン同期信号との2種類の同期信号からノイズを除去するのに、1つのタイミング検出部2を共用しているので、回路構成が比較的簡単になるという利点がある。すなわち、フレーム同期信号からノイズを除去するためのタイミング検出部と、ライン同期信号からノイズを除去するためのタイミング検出部とが別々に設けられる構成に比べて、回路構成を簡略化できるという利点がある。
【0055】
ところで、タイミング検出部2は、除去するノイズのパルス幅を決めている閾値が、画像処理装置の外部あるいは内部から与えられる電気信号によって可変であることが望ましい。具体的には、画像処理装置が設定モードで動作している状態で、レジスタ26内に設定されている閾値を操作装置からの操作入力に従って書き換える機能を、ノイズフィルタ1に備える。これにより、ユーザは、ノイズフィルタ1にて除去するノイズのパルス幅を操作装置から容易に設定可能となる。ただし、レジスタ26に設定される閾値は、上述した設定条件を満たすように、その設定範囲が制限される。
【0056】
なお、図1に示したノイズフィルタ1の構成は一例に過ぎず、他の構成でも上記ノイズフィルタ1と同様の動作を実現することが可能である。たとえば、タイミング検出部2は、ワンショットタイマを用い、信号値の変化点からの経過時間がワンショットタイマで定められた閾値に達したときに、トリガを出力する構成であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、カメラと画像処理装置との間で画像データが授受される場合において、画像処理装置にノイズフィルタ1が用いられる例を示したが、この例に限定する趣旨ではない。すなわち、複数の装置間または回路間で、フレーム同期信号およびライン同期信号が画像データと共に授受される構成であれば、上記ノイズフィルタ1は、画像データを受信する側の装置または回路に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ノイズフィルタ
2 タイミング検出部
3 第1の出力部
4 第2の出力部
21 第1のエッジ検出部
22 第2のエッジ検出部
24 カウンタ部
28 トリガ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のフレーム同期信号およびライン同期信号が入力信号として入力され、前記入力信号の信号値の変化点からの経過時間が所定の閾値に達したタイミングで、前記入力信号の信号値を読み込み出力フレーム同期信号および出力ライン同期信号の信号値として用いることにより、前記入力信号に生じるパルス幅が前記閾値未満のノイズを前記出力フレーム同期信号および前記出力ライン同期信号から除去するノイズフィルタであって、前記タイミングを検出するタイミング検出部と、前記タイミングで前記フレーム同期信号の信号値を読み込み前記出力フレーム同期信号の信号値として用いる第1の出力部と、前記タイミングで前記ライン同期信号の信号値を読み込み前記出力ライン同期信号の信号値として用いる第2の出力部とを備え、前記タイミング検出部は、前記フレーム同期信号と前記ライン同期信号とのいずれかの信号値の変化点からの経過時間が前記閾値に達するタイミングを検出することにより、前記第1の出力部と前記第2の出力部とに共用されていることを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項2】
前記タイミング検出部は、前記フレーム同期信号の信号値の変化点を検出する第1のエッジ検出部と、前記ライン同期信号の信号値の変化点を検出する第2のエッジ検出部と、所定周期で発生するクロックに同期してカウントを行い、前記第1および前記第2のいずれかのエッジ回路で前記変化点が検出されるとカウント値がリセットされるカウンタ部と、前記カウント値が前記閾値に一致するとトリガを出力するトリガ生成部とを有し、前記第1の出力部は、前記トリガ生成部から前記トリガを受けたときの前記フレーム同期信号の信号値を読み込み前記出力フレーム同期信号の信号値として用い、前記第2の出力部は、前記トリガ生成部から前記トリガを受けたときの前記ライン同期信号の信号値を読み込み前記出力ライン同期信号の信号値として用いることを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記タイミング検出部は、前記閾値が電気信号によって可変であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記閾値は、前記フレーム同期信号の信号値の変化点と前記ライン同期信号の信号値の変化点との間の時間間隔よりも短いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のノイズフィルタ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−10178(P2012−10178A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145395(P2010−145395)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】