説明

ノイズフロア強度算出方法,FMCWレーダ

【課題】FMCWレーダにおいて、干渉対策に必要な情報であるノイズフロア強度の検出精度を向上させる。
【解決手段】オーバーサンプリングされたビート信号のサンプリングデータに基づき、チャンネル毎且つ区間(上昇区間,下降区間)毎にビート信号の周波数解析を行う(S110〜S120)。解析結果のうち、ターゲットの検出範囲に対応する検出周波数領域より周波数の高い高周波数領域の周波数成分に基づき、周波数成分の強度(電力値)を尺度とする電力値分布ヒストグラムを作成し(S130)、その電力分布ヒストグラムにて頻度が最大となる電力値を、ノイズフロア強度として抽出し(S140)、その抽出電力値(ノイズフロア強度)が、干渉判定閾値より大きければ(S150:YES)、他レーダとの干渉が発生したものと判定して、干渉対策処理を実行する(S200)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他レーダとの干渉により上昇するノイズフロアの強度を求めるノイズフロア強度算出方法、及び干渉対策のためにノイズフロア強度を求めるFMCWレーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車に搭載され、障害物の検知や先行車両との距離や相対速度を検知する車載レーダの一つとしてFMCWレーダが知られている。
このFMCWレーダでは、時間とともに周波数が直線的に変化するように周波数変調されたレーダ波を送信すると共に、レーダ波を反射したターゲットからの反射波を受信し、その送信信号と受信信号とを混合することでビート信号を生成する。そして、ビート信号をFFT等を用いて周波数解析することにより検出されるピーク成分の周波数(ビート周波数)に基づいて、レーダ波を反射したターゲットとの相対速度や距離を求めている(図4(a)参照)。
【0003】
ところで、車載レーダの場合、自車両の車載レーダから送出されたレーダ波の反射波だけでなく、対向車や併走車など他車両の車載レーダから送出されたレーダ波を受信してしまうことにより、いわゆる車載レーダ同士の干渉が発生する場合がある。
【0004】
そして、干渉を起こしている他レーダと自レーダとで周波数変調の傾きに少しでも差がある場合(図4(b)参照)や、他レーダがFMCW以外の方式(例えば、多周波CW,パルス,スペクトル拡散等)である場合(図4(c)参照)、ビート信号には干渉に基づく広帯域の周波数成分が発生する。すると、図5(a)に示すように、周波数解析結果におけるノイズフロアが上昇して、検出すべきターゲットからの反射波に基づくピーク周波数成分がノイズフロアに埋もれてしまうことにより、そのピーク周波数成分(即ち、ビート周波数)を正しく検出することができず、誤った相対速度や距離が求められてしまうという問題があった。
【0005】
これに対して、ターゲット検出範囲の上限に対応する周波数領域より高い周波数領域を高周波数領域として、その高周波数領域に属する全ての周波数成分の強度を足し合わせた積分値や、その高周波数領域に属する周波数成分のうち、強度が予め設定されたレベル閾値を超えるものの数をカウントしたカウント値に基づいて、干渉の有無を判定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
即ち、干渉が発生してノイズフロアが上昇すると、積分値やカウント値が大きな値となることを利用して、これら積分値やカウント値が予め設定された判定閾値を超えた場合に、干渉が発生しているものと判定するのである。
【特許文献1】特開2006−2220624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、図5(b)〜(d)は、ビート信号を周波数解析した解析結果の高周波数領域を示すものであり、(b)は、干渉の発生によりノイズフロアが上昇した場合、(c)はターゲット検出範囲外に位置する遠距離ターゲットが存在する場合、(d)は遠距離ターゲットが多数存在する場合を示す。
【0008】
図5からわかるように、上述の積分値やカウント値を用いる従来装置では、干渉が発生した場合に、積分値やカウント値(レベル閾値以上の信号成分の数)が大きくなるため、これを検出できるだけでなく、遠距離ターゲットが存在する場合に、それによって干渉が発生しているものとして誤検出してしまうことを防止することができる。
【0009】
しかし、ターゲット検出範囲外に大型トラックや高速道路(またはその橋脚)が存在する等した場合、図5(d)に示すように、高周波数領域に多数の巨大ピークが現れることがある。
【0010】
この場合、従来装置では、干渉が発生していないにも関わらず積分値やカウント値が大きな値となり、干渉有りと誤判定される可能性が高くなるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するために、FMCWレーダにおいて、干渉対策に必要な情報であるノイズフロア強度の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた第一発明のノイズフロア強度算出方法では、まず、時間と共に周波数が直線的に変化するように周波数変調されたレーダ波の送信信号と、該レーダ波を反射したターゲットからの反射波の受信信号とを混合することで生成されるビート信号を周波数解析する。
【0012】
次に、その周波数解析の解析結果に基づき、ターゲットの検出範囲に対応する周波数領域よりも高い高周波数領域に属する周波数成分について、信号強度を尺度とするヒストグラムを生成する。
【0013】
そして、その生成したヒストグラムに基づき、頻度が最大となる信号強度をノイズフロア強度として求める。
つまり、遠距離ターゲットに基づくピークが高周波数領域に多数現れたとしても、高周波数領域に属する周波数成分は、ノイズフロア近傍の信号強度を持つものが最も多く存在する可能性が高いため、本発明の方法によってノイズフロア強度を精度良く求めることができる。
【0014】
次に、第二発明のFMCWレーダでは、送受信手段が、時間と共に周波数が直線的に変化するように周波数変調されたレーダ波の送信信号と、該レーダ波を反射したターゲットからの反射波の受信信号とを混合することでビート信号を生成し、周波数解析手段が、その生成されたビート信号を周波数解析する。
【0015】
すると、その解析結果に基づいて、抽出手段が、予め設定されたターゲット検出閾値より大きな信号強度を有する周波数成分を、ターゲットからの反射波に基づくピーク周波数成分として抽出し、その抽出されたピーク周波数成分に基づいてターゲットに関する情報(少なくとも相対速度,距離)を求める。
【0016】
そして、特に本発明のFMCWレーダでは、ノイズフロア強度算出手段が、ターゲットの検出範囲に対応する周波数領域よりも高い高周波数領域に属する周波数成分について、信号強度を尺度とするヒストグラムを生成し、そのヒストグラムに基づき、頻度が最大となる信号強度をノイズフロア強度として求め、その算出されたノイズフロア強度に基づいて、対策処理実行手段が干渉対策のための処理を実行する。
【0017】
このように構成された本発明のFMCWレーダは、第一発明のノイズフロア強度算出方法によってノイズフロア強度を求めるものであるため、遠距離ターゲットの存在によらずノイズフロア強度を精度良く求めることができ、更には、その求めたノイズフロア強度に基づいて、干渉対策のための処理を的確に実行することができる。
【0018】
なお、対策処理実行手段は、例えば、ノイズフロア強度算出手段にて算出されたノイズフロア強度に基づいて、ターゲット検出閾値より小さな値に設定された干渉判定閾値を超える場合に、他レーダとの干渉が発生していると判定する干渉判定手段を備えていることが望ましい。
【0019】
この場合、精度良く求められたノイズフロア強度に基づいて、他レーダとの干渉の発生を精度よく判定することができる。
また、対策処理実行手段は、ターゲット検出閾値をノイズフロア強度算出手段にて算出されたノイズフロア強度より予め設定された余裕値だけ大きな値に設定するターゲット検出閾値設定手段を備えていてもよい。
【0020】
この場合、干渉が発生していても、ノイズフロアに埋もれていない周波数成分を有効利用することができる。
なお、ターゲット検出閾値設定手段は、干渉判定手段にて干渉が発生していると判定された場合にのみ、動作するように構成されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<全体構成>
図1は、本実施形態の車載用のFMCWレーダの全体構成を表すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のFMCWレーダ2は、変調データDmをD/A変換して変調信号Mを生成するD/A変換器10と、ミリ波帯で発振し、D/A変換器10が生成する変調信号Mに従って発振周波数が変化する発振器12と、発振器12の出力を送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する分配器14と、送信信号Ssに従ってレーダ波を放射する送信アンテナ16とを備えている。
【0023】
なお、変調信号Mとしては、一周期が2×ΔTからなる三角波が用いられ、この変調信号Mに従って、発振器12の発振周波数(ひいては送信信号Ssやローカル信号L)は、掃引時間ΔTの間に周波数変動幅Δfだけ直線的に増加した後、同じ掃引時間ΔTの間に周波数変動幅Δfだけ周波数が直線的に減少するように構成されている。以下では、周波数が増加する区間を上昇区間、周波数が減少する区間を下降区間という。
【0024】
また、FMCWレーダ2は、レーダ波を受信するN個のアンテナからなる受信アンテナ部20と、受信アンテナ部20を構成するアンテナのいずれか一つを順番に選択し、選択されたアンテナからの受信信号Srを後段に供給する受信スイッチ22と、受信スイッチ22から供給される受信信号Srにローカル信号Lを混合してビート信号Bを生成するミキサ24と、ミキサ24の出力を増幅する増幅器26と、増幅器26の出力をサンプリングしデジタルデータDbに変換するA/D変換器28と、D/A変換器10に対して変調データDmを供給し、A/D変換器28を介して取り込んだビート信号BのサンプリングデータDbに対して信号処理を行うことにより、レーダ波を反射したターゲットに関する情報を求める信号処理部30とを備えている。
【0025】
なお、信号処理部30は、CPU,ROM,RAMからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、更に、A/D変換器28を介して取り込んだデータについて、高速フーリエ変換(FFT)処理等の信号処理を実行するための演算処理装置を備えている。
【0026】
また、受信アンテナ部20を構成するN個のアンテナを、それぞれチャンネルch1〜chNに割り当てるものとし、1チャンネル当たりのサンプリング周波数をfsとして、A/D変換器28のサンプリング周波数は、N×fsに設定されている。
【0027】
更に、1チャンネル当たりのサンプリング周波数fsは、ターゲットの検出範囲に対応するビート信号Bの周波数領域を検出周波数領域として、検出周波数領域より周波数が大きい高周波数領域の周波数成分を検出できるように、検出周波数領域の上限周波数の2倍より大きな値(好ましくは上限周波数の4倍以上)に設定され、いわゆるオーバーサンプリングをするように設定されている。
【0028】
このように構成された本実施形態のFMCWレーダ2では、変調データDmに従ってD/A変換器10が変調信号Mを生成し、発振器12が、この変調信号Mに従って周波数変調された高周波信号を生成する。その高周波信号を、分配器14が電力分配することにより、送信信号Ss及びローカル信号Lを生成し、このうち送信信号Ssは、送信アンテナ16を介してレーダ波として送出される。
【0029】
そして、送信アンテナ16から送出されターゲットに反射して戻ってきたレーダ波(反射波)は、受信アンテナ部20を構成する全てのアンテナで受信され、受信スイッチ22によって選択されているチャンネルchi(i=1〜N)の受信信号Srのみがミキサ24に供給される。すると、ミキサ24では、その受信信号Srに分配器14からのローカル信号Lを混合することでビート信号Bを生成し、生成されたビート信号Bは、増幅器26にて増幅された後、A/D変換器28にてサンプリングされ、信号処理部30に取り込まれる。
<信号処理部での処理>
ここで信号処理部30が実行する処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0030】
なお本処理は、一定時間毎に周期的に起動する。
本処理が起動すると、まずS110では、1周期(上昇区間および下降区間)分の変調データDmをD/A変換器に10に供給することでレーダ波を送信すると共に、A/D変換器28を介して、受信信号に基づくビート信号のサンプリングデータを読み込む。
【0031】
続くS120では、チャンネル毎、且つ上昇区間および下降区間の各区間毎にビート信号の周波数解析(本実施形態ではFFT変換)を実行して、S130に進む。
なお、ここでは、オーバーサンプリングをしたサンプリングデータを用いて周波数解析を行うため、検出周波数領域だけでなく高周波数領域についての解析結果が得られることになる。
【0032】
S130では、高周波数領域の周波数解析結果に基づき、区間毎に、信号強度(即ち電力値)を尺度とする電力分布ヒストグラムを作成し、続くS140では、区間毎に、電力分布ヒストグラム上で頻度が最大となる電力値をノイズフロア強度として抽出する。なお、電力分布ヒストグラムは、いずれか一つのチャンネルの解析結果だけを用いて作成してもよいし、全チャネルの解析結果を用いて作成してもよい。
【0033】
続くS150では、S140にて抽出された両区間の抽出電力値のうち、いずれか一方でも、予め設定された干渉判定閾値を超えているか否かを判断する。
そして、両区間の抽出電力値のいずれもが干渉判定閾値未満であれば、他レーダとの干渉は発生していないものとしてS160に進む。
【0034】
S160では、干渉判定閾値より大きな値に設定されたピーク抽出閾値を用い、区間毎に、検出周波数領域内でピーク抽出閾値より電力値の大きい周波数をピーク周波数として抽出すると共に、そのピーク周波数の信号成分を全チャネルから抽出し、その抽出した信号成分が持つ情報(位相情報等)に基づき、MUSIC等の方位推定アルゴリズムを用いて、そのピークを発生させた信号の到来方向を示す方位を求めて、S170に進む。以下では、S170にて求められるピーク周波数及び方位をピーク情報という。
【0035】
なお、ここでは、オーバーサンプリングされたサンプリングデータをそのまま周波数解析した解析結果を用いてピーク周波数を抽出しているが、このオーバーサンプリングされたサンプリングデータをダウンコンバートしてから周波数解析した解析結果を用いてピーク周波数を抽出しても良い。
【0036】
S170では、S160にて求めたピーク情報の内容に基づいて、両区間で検出されたピーク情報を互いに対応づけるペアマッチを行い、続くS180では、ペアマッチした全てのペアをターゲット候補として、そのターゲット候補の持つ一対のピーク情報(特にピーク周波数)から、ターゲット候補との距離および相対速度を算出する。
【0037】
続くS190では、S180にて算出された距離や相対速度の履歴を、全てのターゲット候補について追跡し、追跡できた候補をターゲットとして認識して、本処理を終了する。
【0038】
このS190にて認識されたターゲットの情報(距離,相対速度,方位)は、オートクルーズ制御や衝突安全制御等を実行する他の車載装置にて使用される。
先のS150にて、両区間の抽出電力値のうち、いずれか一方でも干渉判定閾値を超えていると判断された場合は、S200に進み、他レーダとの干渉が発生しているものとして、干渉対策処理を実行して本処理を終了する。
【0039】
なお、干渉対策処理としては、干渉の発生によりターゲットの認識ができないことを、図示しない表示装置や音響装置を介して車両の乗員に報知する制御等を実行する。
なお、本実施形態において、図1に示す信号処理部30以外の構成が送受信手段、S120が周波数解析手段、S160〜S190がターゲット情報生成手段、S130〜S140がノイズフロア強度算出手段、S150,S200が対策処理実行手段(特に、S150が干渉判定手段)に相当する。
[動作]
このように構成されたFMCWレーダ2では、他レーダとの干渉が発生していない場合、図3(a)に示すように、ノイズフロアの上昇はないため、電力分布ヒストグラムにて頻度が最大となる電力値は、干渉判定閾値より小となる。
【0040】
また、レーダとの干渉が発生している場合、図3(b)に示すように、ノイズフロアが上昇するため、電力分布ヒストグラムにて頻度が最大となる電力値は、干渉判定値より大となる。
【0041】
更に、レーダとの干渉は発生していないが、遠距離ターゲットが存在する場合、図3(c)に示すように、干渉判定閾値を超える電力値の頻度は干渉なしの時より増加するが、電力分布ヒストグラムにて頻度が最大となる電力値は、干渉なしの時と同様に干渉判定値より小となる。
<効果>
以上説明したようにFMCWレーダ2では、高周波数領域の電力分布ヒストグラムを作成し、その電力分布ヒストグラムにて頻度が最大となる電力値を、ノイズフロア強度として求め、そのノイズフロア強度を、干渉判定閾値と比較することで、他レーダとの干渉の発生を判定している。
【0042】
従って、FMCWレーダ2によれば、遠距離ターゲットの存在に関わらず、高周波数領域でのノイズフロア強度を精度良く求めることができ、ひいては、そのノイズフロア強度に基づいて、他レーダとの干渉の発生を精度よく判定することができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、干渉対策処理(S200)として、車両の乗員への報知を行っているが、干渉判定値を超えると判定された抽出電力値(即ち、ノイズフロア強度)に、予め設定された余裕値を加えた値をピーク抽出閾値として設定し(ターゲット検出閾値設定手段に相当)、このピーク抽出閾値を用いて、S160〜S190の処理を実行するように構成してもよい。
【0044】
この場合、干渉の発生時にも、ノイズフロアに埋もれていないピークを抽出して、ターゲットを認識する処理を続けることができる。
更に、この場合、他レーダとの干渉が発生した場合にのみ、ノイズフロア強度に基づいてピーク抽出閾値を設定するのではなく、他レーダとの干渉が発生していない時でも、同様の方法でピーク抽出閾値を設定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】FMCWレーダの全体構成を示すブロック図。
【図2】信号処理部が実行する処理の内容を示すフローチャート。
【図3】干渉の有無、遠距離ターゲットの有無と、電力分布ヒストグラムとの関係を示す説明図。
【図4】他レーダとの干渉が発生した時に生じる状況を示す説明図。
【図5】従来装置の問題点を示す説明図。
【符号の説明】
【0046】
2…FMCWレーダ 10…D/A変換器 12…発振器 14…分配器 16…送信アンテナ 20…受信アンテナ部 22…受信スイッチ 24…ミキサ 26…増幅器 28…A/D変換器 30…信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間と共に周波数が直線的に変化するように周波数変調されたレーダ波の送信信号と、該レーダ波を反射したターゲットからの反射波の受信信号とを混合することで生成されるビート信号を周波数解析し、
該周波数解析の解析結果に基づき、前記ターゲットの検出範囲に対応する周波数領域よりも高い高周波数領域に属する周波数成分について、信号強度を尺度とするヒストグラムを生成し、
該ヒストグラムに基づき、頻度が最大となる信号強度をノイズフロア強度として求めることを特徴とするノイズフロア強度算出方法。
【請求項2】
時間と共に周波数が直線的に変化するように周波数変調されたレーダ波の送信信号と、該レーダ波を反射したターゲットからの反射波の受信信号とを混合することでビート信号を生成する送受信手段と、
前記送受信手段にて生成されたビート信号を周波数解析する周波数解析手段と、
前記周波数解析手段での解析結果に基づき、予め設定されたターゲット検出閾値より大きな信号強度を有する周波数成分を、前記ターゲットからの反射波に基づくピーク周波数成分として抽出し、該ピーク周波数成分に基づいて前記ターゲットに関する情報を求めるターゲット情報生成手段と、
を備えたFMCWレーダにおいて、
前記ターゲットの検出範囲に対応する周波数領域よりも高い高周波数領域に属する周波数成分について、信号強度を尺度とするヒストグラムを生成し、該ヒストグラムに基づき、頻度が最大となる信号強度をノイズフロア強度として求めるノイズフロア強度算出手段と、
前記ノイズフロア強度算出手段にて算出されたノイズフロア強度に基づいて、干渉対策のための処理を実行する対策処理実行手段と、
を備えることを特徴とするFMCWレーダ。
【請求項3】
前記対策処理実行手段は、前記ノイズフロア強度算出手段にて算出されたノイズフロア強度に基づいて、前記ターゲット検出閾値より小さな値に設定された干渉判定閾値を超える場合に、他レーダとの干渉が発生していると判定する干渉判定手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のFMCWレーダ。
【請求項4】
前記対策処理実行手段は、前記ターゲット検出閾値を前記ノイズフロア強度算出手段にて算出されたノイズフロア強度より予め設定された余裕値だけ大きな値に設定するターゲット検出閾値設定手段を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のFMCWレーダ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−232833(P2008−232833A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72894(P2007−72894)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】