説明

ノズルヘッダ

【課題】流体、例えばクーラントがクーラント配管から正常に噴射されているか否かを正確に判定すると共に、作業効率を向上させるノズルヘッダ及び流体、例えばクーラントのクーラント配管からの噴射方向の直進性を向上させるノズルヘッダを提供する。
【解決手段】ノズルヘッダ1には、クーラント配管2の先端部から噴射されるクーラントの流路に連通する位置に空間部3が形成され、該空間部3にエア圧測定装置4が連通されているので、空間部3のエア圧をエア圧測定装置4で検知することによりクーラントが正常に噴射されているか否かを判定することかできる。また、ノズルヘッダには、クーラント配管2から噴射されるクーラントの外周にエアを吹き付けるエア供給装置5が接続されているので、クーラントの噴射方向の直進性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、例えばクーラントが供給されるクーラント配管の先端部に装着されるノズルヘッダであって、クーラント配管からのクーラントが正常に噴射されているか否かを正確に判定するノズルヘッダ及びクーラント配管からのクーラントの噴射方向の直進性を向上させるノズルヘッダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、切削加工においては、加工部位にクーラントを噴射することにより切粉や切り屑等を除去し、また、加工時に発生する熱を取り去るようにしており、さらに、冷却効率を向上させるために、クーラント配管の吐出口から噴射されるクーラントを放射状にではなく加工部位に向かってなるべく直進させるように噴射して、十分な量のクーラントを加工部位に噴射する必要がある。
そこで、従来から、クーラントがクーラント配管から正常に加工部位に噴射されているか否かの確認が行われており、従来の確認方法は、クーラント配管の先端部の吐出口においてその噴射状態を直接確認しているわけではなく、クーラント配管内を流動するクーラントの圧力や流量を測定することによってその噴射状態を確認していた。
【0003】
しかしながら、クーラント配管を流動するクーラントの圧力や流量を測定することにより、クーラントが正常に噴射されているか否かを確認する方法では、クーラントに混入された微小の切粉や切り屑等が測定装置のセンサーに干渉したり付着するために、クーラントの圧力や流量を正確に測定することができず、クーラントが正常に噴射されているか否かを正確に判定することができなかった。
しかも、従来では、クーラント配管がクーラントに混入していた切粉や切り屑等により目詰まりし、クーラントが吐出口から正常に噴射されていないと判定された場合には、クーラントの噴射を停止して、作業員により手作業で吐出口の目詰まりを引き起こしていた切粉や切り屑等を取り除く作業が必要となり、作業効率が非常に悪かった。
また、クーラント配管の吐出口から噴射されるクーラントを加工部位に向かって略直進して噴射させる、簡易的で有効な手段はこれまでに提供されていない。
【0004】
そこで、クーラントの噴出又は停止の実際の状態を確認し得るようにしたノズルヘッダとして特許文献1には、ノズルにクーラントを導くクーラント流路と、シリンダ部に嵌合して摺動し、クーラント流路の開閉を行う弁体部を有したスプールとを備えてなるノズルヘッダであって、ノズルにおけるクーラントの圧力を検出する圧力検出器を設けると共に、該圧力検出器の検出信号に基いてクーラントの噴射が行われているか、停止されているかを判定する圧力計測制御装置を設け、この判定結果を表示する表示装置を設けたノズルヘッダが開示されている。
【特許文献1】実開昭63−95606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の発明は、ノズルを流動するクーラントの圧力変化を検出することにより、クーラントが噴射されているか、停止されているかを判定するものであるが、この特許文献1の発明においても、上述した問題点と同様に、クーラントに混入された微小の切粉等が圧力センサーに干渉したり付着する虞があり、クーラントの圧力を正確に検出することができず、クーラントの噴射状態の判定を誤る虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、流体、例えばクーラントがクーラント配管から正常に噴射されているか否かを正確に判定すると共に、作業効率を向上させるノズルヘッダ及び流体、例えばクーラントのクーラント配管からの噴射方向の直進性を向上させるノズルヘッダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1のノズルヘッダは、該ノズルヘッダに、配管の先端部から噴射される流体の流路に連通する位置にエア溜まり部が形成され、該エア溜まり部にエア圧測定装置が連通されることを特徴としている。
これにより、流体がノズルヘッダから正常に噴射されていると、ノズルヘッダに設けたエア溜まり部内が負圧となり、その負圧の状態をエア圧測定装置により検知することによって、流体が正常に噴射されているか否かを判定することができる。
また、本発明の第2のノズルヘッダは、該ノズルヘッダに、前記配管の先端部から噴射される流体の外周に向かってエアを吹き付けるエア供給装置が接続されることを特徴としている。
これにより、ノズルヘッダから噴射される流体の直進性を向上させることができる。
なお、本発明のノズルヘッダの各種態様およびそれらの作用については、以下の(発明の態様)の項において詳しく説明する。
【0008】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等に参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)及び(2)の各々が、請求項1及び2の各々に相当し、(5)乃至(7)の各々が、請求項3乃至5の各々に相当する。
【0009】
(1)配管の先端部に装着されるノズルヘッダであって、該ノズルヘッダには、前記配管の先端部から噴射される流体の流路に連通する位置にエア溜まり部が形成され、該エア溜まり部にエア圧測定装置が連通されることを特徴とするノズルヘッダ。
従って、(1)項のノズルヘッダでは、流体がノズルヘッダから正常に噴射されると、ノズルヘッダに設けたエア溜まり部内のエアが流体に巻き込まれるようにノズルヘッダから外部に吐出されて、エア溜まり部内が負圧の状態となる。このエア溜まり部内が負圧である状態をエア圧測定装置により検知することにより、流体が正常に噴射されているか否かを判定している。すなわち、本項のノズルヘッダでは、エア溜まり部のエア圧をエア圧測定装置で測定して、該測定結果を基に流体がノズルヘッダから正常に噴射しているか否かを判定している。
なお、配管を流動する流体は、特に限定されるものではなく、例えば、切削加工時に加工部位に噴射されるクーラントであってもよいし、潤滑油や離型剤であってもよい。
【0010】
(2)前記エア溜まり部は、エア供給装置と電磁弁を介して連通されることを特徴とする(1)項に記載のノズルヘッダ。
従って、(2)項のノズルヘッダでは、流体の噴射状態を確認し、流体が正常に噴射されていないと判定された後、速やかに、流体の配管への供給を停止し、電磁弁を開放すると共にエア供給装置を作動させれば、エアが、エア供給装置からノズルヘッダのエア溜まり部を経由してノズルヘッダの吐出口に圧送されて、該吐出口を目詰まりさせていた異物を取り除くことができる。このように、噴射状態の確認と異物の除去とを一連の確認動作の中でスムーズに実施できるので、作業効率を向上させることができる。
【0011】
(3)前記エア供給装置は、前記電磁弁を介して前記配管に連通していることを特徴とする(2)に記載のノズルヘッダ。
従って、(3)項のノズルヘッダでは、流体の配管への供給を停止し、電磁弁を開放すると共にエア供給装置を作動させると、エアが、エア供給装置から流体が流動する配管内にも圧送されて、該配管内の異物を外部へ吹き飛ばして取り除くことができる。
【0012】
(4)前記ノズルヘッダは、前記配管に着脱自在に装着されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のノズルヘッダ。
従って、(4)項のノズルヘッダでは、該ノズルヘッダが着脱自在に配管の先端部に装着されるので、同じ外径を有する多数の配管に使用でき、汎用性が向上すると共に、メンテナンスも容易になる。
【0013】
(5)前記ノズルヘッダは、前記配管の外周面に着脱自在に装着される第1ノズル本体と、該第1ノズル本体の外周面に着脱自在に装着される第2ノズル本体とから構成され、前記第2ノズル本体の吐出口が前記第1ノズル本体の吐出口よりも下流側に配置され、また、前記エア溜まり部は、前記第1ノズル本体の外周面と前記第2ノズル本体の内周面との間で、前記第1ノズル本体の吐出口から第2ノズル本体の吐出口に向かって流動する流体の流路に連通するように設けられ、前記第2ノズル本体の外壁部で前記エア溜まり部に対応する位置に前記エア圧測定装置が接続されていることを特徴とする(1)〜(4)項のいずれかに記載のノズルヘッダ。
従って、(5)項のノズルヘッダでは、第1ノズル本体の外周面と第2ノズル本体の内周面との間で、第1ノズル本体の吐出口から第2ノズル本体の吐出口に向かって流動する流体の流路に連通するエア溜まり部が形成され、また、第2ノズル本体の外壁部でエア溜まり部と対応する位置にエア圧測定装置が接続されているので、流体が正常に第2ノズル本体の吐出口から噴射されていると、エア溜まり部内のエアが、第1ノズル本体の吐出口から第2ノズル本体の吐出口に向かって流動する流体に巻き込まれるようにして、流体と共に第2ノズル本体の吐出口から外部に吐出されるために、エア溜まり部内が負圧の状態となる。そして、このエア溜まり部内が負圧である状態をエア圧測定装置により検知することにより、流体が正常に噴射されているか否かを判定している。
【0014】
(6)前記流体はクーラントであることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれかに記載のノズルヘッダ。
従って、(6)項のノズルヘッダでは、切削加工前もしくは切削加工中に、クーラントが正常に加工部位に噴射されるか否かが判定される。
【0015】
(7)配管の先端部に装着されるノズルヘッダであって、該ノズルヘッダには、前記配管の先端部から噴射される流体の外周に向かってエアを吹き付けるエア供給装置が接続されることを特徴とするノズルヘッダ。
従って、(7)項のノズルヘッダでは、配管の先端部から噴射される流体の外周に、エア供給装置からのエアが吹き付けられるので、流体の直進性が向上される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流体、例えばクーラントがクーラント配管から正常に噴射されているか否かを正確に判定すると共に、作業効率を向上させるノズルヘッダ及び流体、例えばクーラントのクーラント配管からの噴射方向の直進性を向上させるノズルヘッダを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図3に基いて詳細に説明する。
本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダ1は、図1に示すように、被切削物の切削加工部位に延びるクーラント配管2の先端部に装着されるものであり、このノズルヘッダ1には、クーラント配管2の先端部から噴射されるクーラント(流体)の流路38(図2参照)に連通する位置に、エアを貯溜させる空間部(エア溜まり部)3が形成されると共に、この空間部3にエア圧測定装置4が連通され、且つエア供給装置5が電磁弁6を介して連通されている。
そして、この本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダ1は、クーラント配管2に供給されたクーラントがノズルヘッダ1から正常に噴射されているか否かを正確に判定する機能と、クーラントに混入していた切粉や切り屑等により目詰まりしていたノズルヘッダ1の吐出口を清掃する機能とを有している。
【0018】
本発明の実施の形態に係るノズルヘッダ1を、図1〜図3に基いて詳しく説明する。
本ノズルヘッダ1は、図1及び図2に示すように、クーラント配管2の外周面に複数のセットネジ(図2では2個)10、10により取り付けられる筒状の第1ノズル本体11と、該第1ノズル本体11の外周面に螺着され、第1ノズル本体11の全体を覆うように配設される筒状の第2ノズル本体12とから構成されている。このように、これら第1ノズル本体11及び第2ノズル本体12は、着脱自在にクーラント配管2に取り付けられる。
【0019】
第1ノズル本体11は、図1に示すように、上流側に位置し、第2ノズル本体12の本体部21と螺着される円筒状の大径部15と、該大径部15から下流側に連設され、第2ノズル本体12の内周面と間隔を設けるように形成された円筒状の小径部16と、小径部16から下流側に連設された第1吐出部17とから構成されている。なお、大径部15及び小径部16の内径は、クーラント配管2の外径と略同一径に形成されている。
【0020】
大径部15は、図1に示すように、その外周面の下流側の所定範囲に第2ノズル本体12の本体部21に形成された雌ねじ部が螺着される雄ねじ部が形成されると共に、上流側の所定範囲にストッパ32が螺着される雄ねじ部が形成されている。また、大径部15の外周面には、長さ方向略中央の位置にOリング33が収容される周溝が形成されている。さらに、大径部15の内周面にも、外周面に設けたOリング33用の周溝よりも下流側の位置にOリング29が収容される周溝が形成されている。
小径部16は、図1及び図2に示すように、その下流側端部で第1吐出部17との境目部分に、第2ノズル本体12の本体部21の内周面に近接するように、小径部16の外周面から隆起する環状突条部18が形成されている。この環状突条部18から下流側に第1吐出部17が形成されている。
第1吐出部17は、図1及び図2に示すように、その外周面が、環状突条部18から連続して下流側に向かって先細りのテーパ状に形成されている。また、第1吐出部17は、下流側に向かって、小径部16の内径よりも若干小さい開口径から先細りのテーパ状に開口されると共に、その下流側端部の開口径がクーラント配管12の内径と略同一に設定された開口部分が形成され、この開口部分が第1ノズル本体11の第1吐出口20として構成される。
なお、環状突条部18は、本実施の形態では、小径部16の下流側端部に形成されているが、第1吐出部17に形成されても良い。
【0021】
第2ノズル本体12は、図1に示すように、第1ノズル本体11の全体を覆うように形成された本体部21と、該本体部21から下流側に連設された第2吐出部22とから構成されている。
本体部21は、図1に示すように、円筒状に形成され、その上流側端部から下流側の所定範囲では、第1ノズル本体11の大径部15の外周面から突出したOリング33を若干押し潰す程度の開口径に形成されると共に、この開口部位から下流側の所定範囲では、第1ノズル本体11の大径部15に設けた雄ねじ部と螺着される雌ねじ部が形成されている。また、この本体部21に設けた雌ねじ部よりも下流側の外周壁に開口25が穿設されている。
第2吐出部22は、図1及び図2に示すように、その外周面が下流側に向かって先細りのテーパ状に形成されている。
また、第2吐出部22は、下流側に向かって、第1ノズル本体11の小径部16の外径よりも若干大きい開口径から先細りとなるテーパ状に開口されたテーパ状開口部23が形成され、このテーパ状開口部23の下流側端部の開口径は、第1ノズル本体11の第1吐出口20の下流側端部の開口径よりも若干大きく設定されている。さらに、第2吐出部22には、前記テーパ状開口部23の下流側端部から連続して、略同一径で所定長さ開口された第2吐出口24が形成されている。
【0022】
また、第2ノズル本体12の本体部21の外周壁に設けた開口25は、第1ノズル本体11に第2ノズル本体12が装着された際、第1ノズル本体11の小径部16の外周面と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と、第1ノズル本体11に設けた環状突条部18とで囲まれた空間部3に対応する位置に配置される。この開口25にエア圧測定装置4から延びるエア圧測定用管26が接続される。このエア圧測定用管26にはエア供給装置5から延びるエア供給管27が接続コネクタ28を介して接続されている。
エア圧測定装置4は、エア圧測定管内26のエア圧を測定するセンサー部分30と、このセンサー部分30での測定結果からクーラントの噴射状態を判別し、その判別結果を表示するコントロールボックス31とから構成されている。なお、エア供給装置5から延びるエア供給管27の途中に電磁弁6が配設されている。
【0023】
そして、ノズルヘッダ1は、次のようにクーラント配管2の先端部に取り付けられる。
まず、第1ノズル本体11の内周面に設けた周溝にOリング29を収容すると共に、大径部15の上流側端部の外周面にストッパ32を螺着しておく。
次に、この第1ノズル本体11をクーラント配管2を覆うように挿入し、第1吐出口20の上流側端部がクーラント配管2の先端部に当接された時点で、複数のセットねじ10、10を第1ノズル本体11の外周面から径方向にねじ込み、その先端をクーラント配管2の外周面に設けた周溝に嵌合させて、第1ノズル本体11をクーラント配管2に取り付ける。
次に、第1ノズル本体11の大径部15の外周面に設けた周溝にOリング33を収容し、第2ノズル本体12の本体部21の内周面に設けた雌ねじ部を、第1ノズル本体11の大径部15の外周面に設けた雄ねじ部に係合させてねじ込み、第2ノズル本体12を第1ノズル本体11に取り付ける。
【0024】
なお、第2ノズル本体12を第1ノズル本体11にねじ込む際には、図2に示すように、第1ノズル本体11の環状突条部18の下流側を向く環状垂直面35と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と第2吐出部22のテーパ状開口部23とを繋ぐ環状垂直面36との間及び第1ノズル本体11の第1吐出部17のテーパ状外周面37と、第2ノズル本体12の第2吐出部22のテーパ状開口部23との間にそれぞれ適宜の隙間が設けられるように、第2ノズル本体12のねじ込み量を調整している。
【0025】
そして、第2ノズル本体12が第1ノズル本体11に所定量ねじ込まれると、図2に示すように、第1ノズル本体11の小径部16の外周面と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と、第1ノズル本体11に設けた環状突条部18とで囲まれた空間部(エア溜まり部)3が形成される。
また、空間部3の対応する位置に、第2ノズル本体12の本体部21の外周壁に設けた、エア圧測定用管26が接続される開口25が配置される。さらに、第1ノズル本体11の第1吐出口20から下流側に間隔を置いて第2ノズル本体12の第2吐出口24が配置され、この第2吐出口24がノズルヘッダ1の吐出口として機能する。
【0026】
さらに、前述した空間部3は、図2に示すように、第1ノズル本体11の環状突条部18の外周縁と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面との間の隙間、第1ノズル本体11の環状突条部18で下流側を向く環状垂直面35と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と第2吐出部22のテーパ状開口部23とを繋ぐ環状垂直面36との間の隙間、並びに第1ノズル本体11の第1吐出部17のテーパ状外周面37と、第2ノズル本体12の第2吐出部22のテーパ状開口部23との間の隙間を介して、第1ノズル本体11の第1吐出口20から第2ノズル本体12の第2吐出口24に向かって流動するクーラントの流路38に連通している。
なお、この空間部3は、第1ノズル本体11の第1吐出口20から第2ノズル本体12の第2吐出口24へ向かって流動するクーラントの流路38に連通する以外は、第1ノズル本体11の大径部15の外周面と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面との間に設けたOリング33により、外部からの空気の流通が遮断された状態となっている。
【0027】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダを使用した、クーラントの噴射状態の確認及び噴射状態が不良時におけるノズルヘッダの清掃の一連の流れを図3に基いて、図1及び図2も参照しながら説明する。
クーラント配管2の先端部にノズルヘッダ1が装着された後、まず、ステップS1及びS2では、電磁弁6を閉めて、クーラントをクーラント配管2に供給してクーラントをノズルヘッダ1から噴射させる。
【0028】
次に、ステップS3において、エア圧測定装置4を作動させて、クーラント配管2のクーラントがノズルヘッダ1から正常に噴射されているか否かを判定する。
そこで、ノズルヘッダ1から正常に噴射されている場合には、第1ノズル本体11の小径部16の外周面と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と、第1ノズル本体11に設けた環状突条部18とで囲まれた空間部(エア溜まり部)3のエアが、第1ノズル本体11の第1吐出口20から第2ノズル本体12の第2吐出口24に向かって流動するクーラントに巻き込まれて、第2ノズル本体12の第2吐出口24からクーラントと共に外部に吐出され、空間部3が負圧の状態となる。この負圧の状態をエア圧測定装置4のセンサー部分30で検知することにより、コントローラボックス31において、クーラントがノズルヘッダ1から正常に噴射されていると判定されて、その旨の表示がされる。その後、ステップS4に進み、そのまま噴射が継続されて切削加工が開始される。
【0029】
一方、クーラントがノズルヘッダ1から正常に噴射されていない場合には、空間部(エア溜まり部)3のエアは、第2ノズル本体12の第2吐出口24から外部に吐出することはなくそのエア圧が保持された状態となる。そのエア圧の状態をエア圧測定装置4のセンサー部分30で検知することにより、コントローラボックス31において、クーラントがノズルヘッダ1から正常に噴射されていないと判定されて、その旨の表示がされる。その後、ステップS5に進み、ノズルヘッダ1内の清掃が行われる。
ステップS5及びS6では、クーラント配管2へのクーラントの供給を停止した上で電磁弁6を開放して、第2ノズル本体12の第2吐出口24を清掃する。
すなわち、電磁弁6を開放すると共にエア供給装置5を作動させると、エアが、エア供給装置5からエア供給管27及びエア圧測定管26を通り、ノズルヘッダ1内の空間部3を経由して、第2ノズル本体12の第2吐出口24に圧送される。これにより、第2吐出口24の目詰まりの原因となっていた切り屑や切粉等を取り除くことができる。
【0030】
その後、ステップS7にて電磁弁6を閉じ、ステップS8において、再び、クーラントがノズルヘッダ1から正常に噴射されるか否かが判定される。
このステップS8でも、ステップS3と同様に、クーラントをクーラント配管2に供給し、エア圧測定装置4を作動させて、エア圧測定装置4がノズルヘッダ1内の空間部3の負圧を検知すれば、クーラントが正常に噴射されたと判定して、ステップS4に進み、クーラントの噴射が継続されて切削加工が開始される。
一方、ステップS8においても、クーラントが正常に噴射されていないと判定された場合には、ステップS9に進み、設備を停止して、クーラント配管2及びノズルヘッダ1等の点検が行われる。
なお、本発明の実施の形態に係るノズルヘッダ1では、切削加工前に限らず切削加工中もクーラントが正常に吐出しているか否かを確認し続け、クーラントが正常に吐出されていないと判断された場合には、詰まった切粉の除去等の清掃作業を随時行うことができる。
【0031】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダ1は、クーラント配管2に装着される第1ノズル本体11と、該第1ノズル本体11に装着される第2ノズル本体12とを備え、該第1ノズル本体11の第1吐出口20の下流側に第2ノズル本体12の第2吐出口24が配置されると共に、第1ノズル本体11の小径部16の外周面と第2ノズル本体12の本体部21の内周面との間に、第1ノズル本体11の第1吐出口20から第2ノズル本体12の第2吐出口24に向かって流動するクーラントの流路38に連通する空間部3を設け、該空間部3にエア圧測定装置4が接続されている。
これにより、ノズルヘッダからクーラントが正常に噴射されているか否かを判定する際、空間部3のエアが負圧であるか否かをエア圧測定装置4で検知することにより、クーラントが正常に噴射されているか否かと判定できるため、従来のようにクーラントに混入された微小の切粉等が圧力センサーに干渉したり付着することがなく、正確にクーラントの噴射状態を判定することができる。
【0032】
また、本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダ1では、該ノズルヘッダ1から正常にクーラントが噴射されないと判定された場合には、速やかに、クーラントのクーラント配管への供給を停止し、電磁弁6を開放すると共にエア供給装置5を作動させると、エアが、エア供給装置5からノズルヘッダ1内の空間部3を経由して、第2ノズル本体12の第2吐出口24に圧送され、第2吐出口24の目詰まりの原因となっていた切粉や切り屑等を取り除くことができる。
これにより、ノズルヘッダ1から正常にクーラントが噴射されないと判定された場合、速やかに、ノズルヘッダ1の吐出口を清掃することができるので、切削工程を遅延させることなく、作業効率が向上する。
【0033】
なお、この第1の実施の形態では、エアを第2ノズル本体12の第2吐出口24に圧送するために、エア供給装置5から延びるエア供給管27と接続コネクタ28を介して接続されたエア圧測定管6を第2ノズル本体12の外壁部に接続しているが、エア供給管27を電磁弁6から下流側の部位で分岐させて設けた分岐エア供給管(図示略)をクーラント配管2の適宜部位に接続してもよい。
これにより、ノズルヘッダ1の吐出口だけでなく、クーラント配管2内の異物も外部に放出することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るノズルヘッダは、図1に示す第1の実施の形態に係るノズルヘッダ1において、エア圧力測定装置4を停止または取り外した状態で、クーラントをクーラント配管2に供給している間、電磁弁6を開放すると共にエア供給装置5を作動させて、エアをクーラント配管2の先端部から噴射されるクーラントの外周に吹き付けるように構成したものである。
【0035】
具体的には、本発明の第2の実施の形態に係るノズルヘッダは、クーラントがクーラント配管2に供給されている間、電磁弁6を開放すると共にエア供給装置5を作動させて、エアを、エア供給装置5から第1ノズル本体11の小径部16の外周面と、第2ノズル本体12の本体部21の内周面と、第1ノズル本体11に設けた環状突条部18とで囲まれた空間部3を経由して、第1ノズル本体11の第1吐出部17のテーパ状外周面37と、第2ノズル本体12の第2吐出部22のテーパ状開口部23との間の隙間に圧送するように構成されている。
このように構成することにより、第1ノズル本体11の第1吐出口20から噴射されたクーラントの外周にエアが吹き付けられ、その結果、クーラントは放射状に拡散せず、第2ノズル本体12の第2吐出口24内を通って略直進して噴射されるようになる。
【0036】
なお、第1及び第2の実施の形態に係るノズルヘッダでは、噴射される流体がクーラントとして説明したが、潤滑油や離型剤でもよくクーラントに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダを示す図であり(a)は側面図で、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図2】図2は、図1のA部の拡大図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係るノズルヘッダの動作フローを示した図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ノズルヘッダ,2 クーラント配管,3 空間部(エア溜まり部),4 エア圧測定装置,5 エア供給装置,6 電磁弁,11 第1ノズル本体,12 第2ノズル本体,15 大径部,16 小径部,17 第1吐出部,18 環状突条部,20 第1吐出口,21 本体部,22 第2吐出部,24 第2吐出口,25 開口,26 エア圧測定管,27 エア供給管,38 流路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の先端部に装着されるノズルヘッダであって、
該ノズルヘッダには、前記配管の先端部から噴射される流体の流路に連通する位置にエア溜まり部が形成され、該エア溜まり部にエア圧測定装置が連通されることを特徴とするノズルヘッダ。
【請求項2】
前記エア溜まり部は、エア供給装置と電磁弁を介して連通されることを特徴とする請求項1に記載のノズルヘッダ。
【請求項3】
前記ノズルヘッダは、前記配管の外周面に着脱自在に装着される第1ノズル本体と、該第1ノズル本体の外周面に着脱自在に装着される第2ノズル本体とから構成され、前記第2ノズル本体の吐出口が前記第1ノズル本体の吐出口よりも下流側に配置され、また、前記エア溜まり部は、前記第1ノズル本体の外周面と前記第2ノズル本体の内周面との間で、前記第1ノズル本体の吐出口から第2ノズル本体の吐出口に向かって流動する流体の流路に連通するように設けられ、前記第2ノズル本体の外壁部で前記エア溜まり部に対応する位置に前記エア圧測定装置が接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のノズルヘッダ。
【請求項4】
前記流体はクーラントであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノズルヘッダ。
【請求項5】
配管の先端部に装着されるノズルヘッダであって、
該ノズルヘッダには、前記配管の先端部から噴射される流体の外周に向かってエアを吹き付けるエア供給装置が接続されることを特徴とするノズルヘッダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−136903(P2008−136903A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323568(P2006−323568)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】