説明

ハイブリット車両の電源装置

【課題】直列に接続するバッテリのうち一つを取り出した場合にもモータを駆動する車両の電源装置を提供する。
【解決手段】直列に接続したバッテリ6とバッテリ7のうち、どちらかのバッテリを取り出した場合にも、リレー18、リレー19、リレー21、リレー22によって車両に残されたバッテリとモータ2を接続し、残されたバッテリによってモータ2を駆動させ車両を走行可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリット車両の電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のバッテリ(蓄電装置)を直列に接続した電源を備え、この電源からの電力によって駆動するモータを備えた電気自動車やハイブリット自動車のような、モータによって駆動する車両が知られている。このような車両において、メンテナンス時などにバッテリを交換する場合、複数のバッテリ全体を取り外すと作業性が悪いため、複数のバッテリを分割して取り出し可能にしたバッテリが、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平5−242879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の発明では、分割して取り出すことが可能なバッテリを車両から取り出し、その他の目的で電源装置として使用した場合に、通常バッテリを直列に接続しているためにバッテリを取り外した状態では車両を走行できない、といった問題点がある。
【0004】
本発明ではこのような問題点を解決するために発明されたもので、複数のバッテリを直列に接続する車両の電源において、或るバッテリが取り外された場合にもモータによって車両の駆動を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、複数の電源装置を直列に接続して構成され、複数の電源装置をそれぞれ脱着可能な電力供給手段と、電力供給手段に蓄えた電力によって駆動するモータと、を備えたハイブリット車両の電源装置において、複数の電源装置の脱着状態を検出する脱着検出手段と、複数の電源装置のうちのいずれかが取り外された状態でモータを動かす場合に、取り外されていない電源装置とモータを接続する接続手段と、を備える。そして、取り外されていない電源装置によってモータに電力を供給する。
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、複数のバッテリを直列に接続する車両の電源装置において、或るバッテリを車両から取り外した場合でも残りのバッテリによって車両のモータを駆動させることができ、例えばバッテリを車両以外の電源装置として使用する際にも複数のバッテリのうち車両に残されたバッテリによって車両を駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態の構成を図1のブロック図を用いて説明する。この実施形態は、車両を駆動するための駆動力を発生するエンジン(内燃機関)1と、蓄電装置3から供給される電力によって車両を駆動するための駆動力を発生するモータ2と、エンジン1及びモータ2からの駆動力を、車両を駆動する駆動軸へ伝達するトランスミッション4と、回生時、またはエンジン1によって発電する発電機(発電手段)5を備える。なお、モータ2と発電機5の代わりにモータ2と発電機5の機能を有するモータジェネレータを用いてもよい。
【0008】
蓄電装置3は、モータ2へ電力を供給し、また発電機5によって発電された電力を蓄えるバッテリ6(第1電源装置)とバッテリ7(第2電源装置)と、バッテリ6及びバッテリ7とモータ2及び発電機5間で電圧を制御する昇降圧回路8(昇圧回路)と、昇降圧回路8とモータ2間の電力を制御するモータインバータ9と、昇降圧回路8と発電機5間の電力を制御する発電機インバータ10と、バッテリ6及びバッテリ7と昇降圧回路8を接続する接続回路12を備える。なお、バッテリ6とバッテリ7は直列に接続している(バッテリ6とバッテリ7が電力供給手段を構成する)。また、この実施形態ではバッテリ6の正極端子が昇降圧回路8と接続し、バッテリ7の負極端子が昇降圧回路8とそれぞれ接続する。
【0009】
昇降圧回路8はバッテリ6とバッテリ7の脱着状態、またはバッテリ6とバッテリ7のSOC(State of charge)によってモータ2へ供給する電力の電圧を制御する。図2はバッテリ6とバッテリ7の接続状態、ならびにバッテリ6またはバッテリ7のSOCと昇圧電圧の関係を示したマップであり、バッテリ6とバッテリ7が接続している場合には一定の昇圧電圧とする。また、バッテリ6またはバッテリ7のどちらか一方が外されている場合には、SOCに応じて昇圧電圧を変更する。バッテリ6またはバッテリ7の一方が外されている場合にバッテリ6とバッテリ7が取り外されていない場合の昇圧電圧とするとバッテリの電流が増大し、バッテリの発熱によりバッテリの寿命を短くしてしまう可能性があるが、昇圧電圧を変更することで、電流の増大、バッテリの寿命短縮を防ぐことができる。
【0010】
接続回路12は、バッテリ6を含んだ回路Aと、バッテリ7を含んだ回路Bから構成される。また、回路Aと昇降圧回路8の間を接続、開放するSMR15と、SMR16を備え、回路Bと昇降圧回路8の間を接続、開放とするSMR17を備える。なお、バッテリ6の直下流であり、バッテリ7の直上流の箇所、すなわちバッテリ6とバッテリ7の間に接続点12aを設ける。
【0011】
回路Aはバッテリ6を含んだ閉回路を形成し、バッテリ6と、コイル23と、バッテリ6の脱着を検出するための閉開器であるリレー30と、バッテリ6の脱着状態によりバッテリ6及びバッテリ7と昇降圧回路8の接続状態を切り換える閉開器であるリレー18(第3スイッチング手段)と、リレー19(第1スイッチング手段)によって構成される。なお、回路Aと、後述するSMR15またはSMR16を介して昇降圧回路8と接続する箇所を接続点13aとし、接続点12aと接続点13aの間でバッテリ6を含む回路を回路V1(第1接続回路)とし、バッテリ6を含まない回路を回路V2(第3接続回路)とする。リレー18は回路V2に設けられ、リレー19とリレー30は回路V1に設けられる。
【0012】
リレー18、リレー19は後述するリレー制御部109によってコイル18a、コイル19aに電流を流して開閉を行う。なお、リレー18、リレー19の動作方法については、他の方法を用いてもよい。
【0013】
リレー30は、後述するバッテリ脱着検出部107と接続し、コイル23に電流が流れていると閉じ、コイル23に電流が流れていないと開く。すなわちバッテリ6の脱着状態によって開閉する。なお、コイル23を設けずに、回路V1に電流センサを取り付け、電流センサによって発生する起電力でリレー30を動作させてもよい。
【0014】
回路Bはバッテリ7含んだ閉回路を形成し、バッテリ7と、コイル24と、バッテリ7の脱着を検出するための閉開器であるリレー31と、バッテリ7の脱着状態によりバッテリ6及びバッテリ7と昇降圧回路8の接続状態を切り換える閉開器であるリレー21(第4スイッチング手段)と、リレー22(第2スイッチング手段)によって構成される。(リレー18とリレー19とリレー21とリレー22が接続手段を構成する)。なお、回路Bと、SMR17を介して昇降圧回路8と接続する箇所を接続点14aとし、接続点12aと接続点14aの間でバッテリ7を含む回路を回路GND1(第2接続回路)とし、バッテリ7を含まない回路を回路GND2(第4接続回路)とする。リレー21とリレー31は回路GND1に設けられ、リレー22は回路GND2に設けられる。
【0015】
リレー21、リレー22は後述するリレー制御部110によってコイル21a、コイル22aに電流を流して開閉を行う。なお、リレー21、リレー22の動作方法については、他の方法を用いてもよい。
【0016】
リレー31は、後述するバッテリ脱着検出部108と接続し、コイル24に電流が流れていると閉じ、コイル24に電流が流れていないと開く。すなわちバッテリ7の脱着状態によって開閉する。なお、コイル24を設けずに、回路GND1に電流センサを取り付け、電流センサによって発生する起電力でリレー30を動作させてもよい。
【0017】
SMR15は、後述するSMR制御部111によって開閉することにより、抵抗25を介して回路Aと昇降圧回路8間を接続、開放する。SMR16はSMR15と並列に接続し、後述するSMR制御部111によって開閉することにより、回路Aと昇降圧回路8間を接続、開放する。SMR15とSMR16は、電源ON時などに突入電流が流れる場合にはSMR16を開放とし、SMR15によって回路Aと昇降圧回路8を接続し、その後、電流が定常状態になるとSMR15を開放とし、SMR16によって回路Aと昇降圧回路8を接続する。SMR15が抵抗25を介して回路Aと昇降圧回路8を接続するので、突入電流による接続回路12に過電流が流れるのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明のハイブリット車両を制御するハイブリットコントローラ100を備える。ハイブリットコントローラ100は、エンジン1を制御するエンジン制御部101と、モータインバータ2を制御するモータインバータ制御部102と、発電機インバータ10を制御する発電機インバータ制御部103と、昇降圧回路8を制御する昇降圧制御部104を備える。また、バッテリ6のSOCを検出するバッテリSOC検出部105(第1蓄電量検出手段)と、バッテリ7のSOCを検出するバッテリSOC検出部106(第2蓄電量検出手段)と、バッテリ6の脱着を検出するバッテリ脱着検出部107(脱着検出手段)と、バッテリ7の脱着を検出するバッテリ脱着検出部108(脱着検出手段)と、リレー18とリレー19を制御するリレー制御部109と、リレー21とリレー22を制御するリレー制御部110を備える。さらにSMR15を制御するSMR制御部111と、SMR16を制御するSMR制御部112と、SMR17を制御するSMR制御部113を備える。
【0019】
バッテリSOC検出部105は、バッテリ6と接続する電流センサ32、温度センサ33、電圧センサ34によって検出した電流、温度、電圧によってバッテリ6のSOCを算出する。
【0020】
バッテリSOC検出部106は、バッテリ7と接続する電流センサ35、温度センサ36、電圧センサ37によって検出した電流、温度、電圧によってバッテリ6のSOCを算出する。
【0021】
ここで、バッテリ6とバッテリ7の脱着状態に応じた接続回路12の接続状態について図3を用いて説明する。
【0022】
バッテリ6とバッテリ7が取り付けられている場合には、リレー18を開き、リレー19を閉じる。またリレー21を開き、リレー22を閉じる。これによって回路V1と回路GND1が接続、通電し、バッテリ6とバッテリ7によって回路V1と回路GND1間にバッテリ6とバッテリ7による電位差が生じる。
【0023】
バッテリ6が取り付けられ、バッテリ7が取り外された場合には、リレー18を開き、リレー19を閉じる。またリレー21を閉じ、リレー22を開く。これによって回路V1と回路GND2が接続、通電し、バッテリ6によって回路V1と回路GND2間にバッテリ6による電位差が生じる。
【0024】
バッテリ6が取り外され、バッテリ7が取り付けられた場合には、リレー18を閉じ、リレー19を開く。またリレー21を開き、リレー22を閉じる。これによって回路V2と回路GND1が接続、通電し、バッテリ7によって回路V2と回路GND1間にバッテリ7による電位差が生じる。
【0025】
バッテリ6とバッテリ7が取り付外されている場合には、リレー18を閉じ、リレー19を開く。またリレー21を閉じ、リレー22を開く。これによって回路V2と回路GND2が接続するが、この場合にはハイブリットコントローラ100によって接続回路12に電流が流れないようにSMR15、16、17を開き回路を遮断する。
【0026】
次にこの実施形態の走行制御について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
ステップS100ではドライバーによってイグニッションがONとされる。これによってHVECU100に電源が入る。
【0028】
ステップS101では、回路Aにおいてリレー18とリレー19を閉じて閉回路を形成する。そして、バッテリ脱着検出部107によってバッテリ6の脱着を検出する。バッテリ脱着検出部107によってバッテリ6が取り付けられていると判断するとステップS102へ進み、バッテリ6が取り付けられていないと判断するとステップS103へ進む。
【0029】
ステップS102では、回路Bにおいてリレー21とリレー22を閉じて閉回路を形成する。そして、バッテリ脱着検出部108によって検出する。バッテリ7が取り付けられていると判断するとステップS104へ進み、バッテリが取り付けられていないと判断するとステップS105へ進む。
【0030】
ステップS103ではステップ12と同様に、バッテリ脱着検出部108においてバッテリ7の脱着チェックを行う。バッテリ7が取り付けられていると判断するとステップS106へ進み、バッテリが取り付けられていないと判断すると、この場合はバッテリ6、7がともに取り外された状態であり、車両の走行が不能であるので本制御を終了する。
【0031】
ステップS104はバッテリ6、7が取り付けられた状態なので、バッテリ6、7による通常走行を行う。この制御については後述する。
【0032】
ステップS105はバッテリ6が取り付けられ、バッテリ7が取り外された状態なので、バッテリ6による単独走行を行う。この制御については後述する。
【0033】
ステップS106はバッテリ6が取り外され、バッテリ7が取り付けられた状態なので、バッテリ7による単独走行を行う。この制御については後述する。
【0034】
次にステップS104の通常走行について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
ステップ200では、バッテリ6とバッテリ7のSOCをバッテリSOC検出部105とバッテリSOC検出部106によって検出する。
【0036】
ステップS201では、ステップS200で検出したバッテリ6とバッテリ7のSOCが等しいかどうか判断する。そしてバッテリ6とバッテリ7のSOCが等しい場合にはステップS205へ進み、SOCが等しくない場合にはステップS202へ進む。なお、ここではバッテリ6とバッテリ7のSOCの差を算出し、その差が所定の範囲内である場合にステップS205へ進んでもよい。
【0037】
ステップS202では、バッテリ6のSOCとバッテリ7のSOCを比較し、バッテリ6のSOCが大きい場合には、ステップS203へ進み、バッテリ6のSOCが小さい場合には、ステップS204へ進む。
【0038】
ステップS203はバッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも大きいので、バッテリ7を充電するバッテリ7充電走行を行う。これについては後述する。
【0039】
ステップS204はバッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも小さいので、バッテリ6を充電するバッテリ6充電走行を行う。これについては後述する。
【0040】
ステップS205では、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しいので、リレー18、リレー21を開き、リレー19、リレー22を閉じてバッテリ6とバッテリ7によってバッテリ6とバッテリ7から供給される電力によってモータ2を駆動し、SMR15、SMR17を閉じ、モータ2を駆動し、エンジン1を始動する。
【0041】
ステップS206へ進み通常の走行を行う。通常走行では回生時などに発電機5によって発電した電力をバッテリ6とバッテリ7に均等に充電する。また、バッテリ6とバッテリ7のSOCが低い場合にはエンジン1の駆動力から発電機5によって発電を行い、バッテリ6とバッテリ7に充電する。なお、充電の際に突入電流が流れる場合にSMR15を閉じ、SMR16を開き、定常電流となるとSMR15を開き、SMR16を閉じる(SMR15からSMR16への切り換えは以下、同様とする)。
【0042】
次にステップS203のバッテリ7充電走行について図6のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
ステップS300では、バッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも大きいのでバッテリ6を用いてエンジン1を始動させるための電力供給回路を構成する。ここではリレー18を開き、リレー19を閉じる。そして、リレー21を閉じ、リレー22を開く。さらにSMR15、SMR17を接続する。これによって回路V1と回路GND2によってバッテリ6による電力供給回路を構成する。
【0044】
ステップS301では、バッテリ6から昇降圧回路8、モータインバータ9を介してモータ2に電力を供給し、モータ2によりエンジン1を始動する。
【0045】
ステップS302では、車両の走行状態を検出する。そしてモータ2からの出力によって走行している場合にはモータ2による走行を継続し、モータ2からの出力がなく、エンジン1による出力だけで走行している場合にはステップS303へ進む。車両を走行させるためにモータ2からの出力を使用、つまりバッテリ6からモータ2へ電力を供給しているので、バッテリ7への充電は行わずに走行する。
【0046】
ステップS303では、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCを検出し、バッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも大きい場合にはステップS304へ進み、バッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも小さい場合にはステップS307へ進む。
【0047】
ステップS304では、SMR15、SMR16、SMR17を開く。リレー18を閉じ、リレー19を開く。またリレー21を開き、リレー22を閉じる。これによって、まず昇降圧回路8とバッテリ6、7を切り離して誤動作を防止し、その後回路V2と回路GND1を接続し、バッテリ7を充電するための充電回路を構成する。
【0048】
ステップS305では、SMR15、SMR17を閉じ、昇降圧回路8とバッテリ7を接続する。そして、エンジン1によって発電機5で発電し、その電力をバッテリ7に充電する。
【0049】
ステップS306では、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCをそれぞれ検出し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しいかどうか判断し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しくなるとステップS309へ進む。
【0050】
ステップS303においてバッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも小さいと判断されるとステップS307へ進む。ステップS307では、エンジン1によって発電機5で電力を発生させ、その電力を発電機インバータ10、昇降圧回路8を介してバッテリ6に充電する。なお、ステップS307は、走行中にバッテリ6からモータ2へ電力を供給し続け、そのためにバッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも小さくなった場合である。
【0051】
ステップS308では、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCをそれぞれ検出し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しいかどうか判断し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しくなるとステップS309へ進む。
【0052】
ステップS309では、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しくなったので、SMR15、SMR16、SMR17を開いて昇降圧回路8と接続回路12を切り離す。そしてリレー18を開き、リレー19を閉じる。またリレー21を開き、リレー22を閉じる。これによって回路V1と回路GND1を接続し、バッテリ6とバッテリ7から電力を供給する電力供給回路を構成する。その後SMR15、SMR17を閉じ、バッテリ7充電走行を終了し、図5のステップS206の通常走行へ移行する。
【0053】
以上の制御により、車両の起動時にバッテリ7のSOCが小さい場合、例えば車両の停車中にバッテリ7を取り外し、バッテリ7を他の機器において使用し、その後戻された場合に、バッテリ6によって車両を始動し、走行中にバッテリ7を充電することで、バッテリ6とバッテリ7のSOCを調整することができる。
【0054】
なお、ステップS303において、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCを常時検出し、バッテリ6のSOCが小さくなり、バッテリ7のSOCと等しくなった場合に、ステップS311へ進んでもよい。
【0055】
次にステップS204のバッテリ6充電走行について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
ステップS400では、バッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも小さいのでバッテリ7を用いてエンジン1を始動させるための電力供給回路を構成する。ここではリレー18を閉じ、リレー19を開く。そして、リレー21を開き、リレー22を閉じる。さらにSMR15、SMR17を閉じる。これによって回路V2と回路GND1によってバッテリ7による電力供給回路を構成する。
【0057】
ステップS401では、バッテリ7から昇降圧回路8、モータインバータ9を介してモータ2に電力を供給し、モータ2によりエンジン1を始動する。
【0058】
ステップS402では、車両の走行状態を検出する。そしてモータ2からの出力によって走行している場合にはモータ2による走行を継続し、モータ2からの出力がなく、エンジン1による出力だけで走行している場合にはステップS403へ進む。車両を走行させるためにモータ2からの出力を使用、つまりバッテリ7からモータ2へ電力を供給しているので、バッテリ6への充電は行わずに走行する。
【0059】
ステップS403では、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCを検出し、バッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも小さい場合にはステップS404へ進み、バッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも大きい場合にはステップS407へ進む。
【0060】
ステップS404では、SMR15、SMR16、SMR17を開く。リレー18を開き、リレー19を閉じる。またリレー21を閉じ、リレー22を開く。これによって、まず昇降圧回路8とバッテリ6、7を切り離して誤動作を防止し、その後回路V2と回路GND1を接続し、バッテリ7を充電するための充電回路を構成する。
【0061】
ステップS405では、SMR15、SMR17を閉じ、昇降圧回路8とバッテリ6を接続する。そして、エンジン1によって発電機5で電力を発生させ、その電力を発電機インバータ10、昇降圧回路8を介してバッテリ6に充電する。
【0062】
ステップS406では、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCをそれぞれ検出し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しいかどうか判断し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しくなるとステップS409へ進む。
【0063】
ステップS403においてバッテリ6のSOCがバッテリ7のSOCよりも大きいと判断されるとステップS407へ進む。ステップS407では、エンジン1によって発電機5で電力を発生させ、その電力を発電機インバータ10、昇降圧回路8を介してバッテリ7に充電する。なお、ステップS407は、走行中にバッテリ7からモータ2へ電力を供給し続け、そのためにバッテリ7のSOCがバッテリ6のSOCよりも小さくなった場合である。
【0064】
ステップS408では、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCをそれぞれ検出し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しいかどうか判断し、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しくなるとステップS409へ進む。
【0065】
ステップS409では、バッテリ6とバッテリ7のSOCが等しくなったので、SMR15、SMR16、SMR17を開いて昇降圧回路8とバッテリ6、7を切り離す。そしてリレー18を閉じ、リレー19を開く。またリレー21を閉じ、リレー22を開く。これによって回路V1と回路GND1を接続し、バッテリ6とバッテリ7から電力を供給する電力供給回路を構成する。その後SMR15、SMR17を閉じ、バッテリ7充電走行を終了し、図5のステップS206の通常走行へ移行する。
【0066】
以上の制御により、車両の起動時にバッテリ6のSOCが小さい場合に、バッテリ7によって車両を始動し、走行中にバッテリ6を充電することで、バッテリ6とバッテリ7のSOCを調整することができる。
【0067】
なお、ステップS403において、バッテリSOC検出部105、106によってバッテリ6、7のSOCを常時検出し、バッテリ7のSOCが小さくなり、バッテリ6のSOCと等しくなった場合に、ステップS411へ進んでもよい。
【0068】
次にステップS105のバッテリ6走行について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
ステップS500では、バッテリ7が取り外されているので、リレー18を開き、リレー19を閉じる。またリレー21を閉じ、リレー22を開く。さらにSMR15、SMR17を接続する。これによって回路V1と回路GND2を接続し、バッテリ6から電力を供給する電力供給回路を構成する。
【0070】
ステップS501では、バッテリ6から昇降圧回路8、モータインバータ9を介してモータ2に電力を供給し、モータ2によりエンジン1を始動する。
【0071】
ステップS502では、エンジン1とモータ2によって車両を走行する。モータ2からトランスミッション4を介して車両を駆動する際にはバッテリ7が取り外されているので、バッテリ6から電力を供給する。また、バッテリ6のSOCが小さくなった場合には、エンジン1によって発電機5で発電し、その電力を発電機インバータ10、昇降圧回路8を介してバッテリ6に充電する。また、回生時にも発電機5によって発電し、バッテリ6を充電する。
【0072】
また、ステップS106のバッテリ7走行について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
ステップS600では、バッテリ6が取り外されているので、リレー18を閉じ、リレー19を開く。またリレー21を開き、リレー22を閉じる。さらにSMR15、SMR17を閉じる。これによって回路V2と回路GND1を接続し、バッテリ7から電力を供給する電力供給回路を構成する。
【0074】
ステップS601では、バッテリ7から昇降圧回路8、モータインバータ9を介してモータ2に電力を供給し、モータ2によりエンジン1を始動する。
【0075】
ステップS602では、エンジン1とモータ2によって車両を走行する。モータ2からトランスミッション4を介して車両を駆動する際にはバッテリ6が取り外されているので、バッテリ7から電力を供給する。また、バッテリ7のSOCが小さくなった場合には、エンジン1によって発電機5で発電し、その電力を発電機インバータ10、昇降圧回路8を介してバッテリ7に充電する。また、回生時にも発電機5によって発電し、バッテリ7を充電する。
【0076】
以上の制御によって、バッテリ6またはバッテリ7のどちらか一方が車両から取り外された場合に残ったバッテリからモータ2へ電力を供給し、モータ2によってエンジン1を始動させ、走行時にはモータ2によって車両に駆動力を与えることができる。
【0077】
次に車両を停止する場合について図10のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
ステップS701ではイグニッションがOFFとされたかどうか判断する。イグニッションがOFFとされていない場合には本制御を終了し、走行を継続する。イグニッションがOFFとされた場合にはステップS702へ進む。
【0079】
ステップS702では、SMR15、SMR16、SMR17を開き、また、リレー18、リレー19、リレー21、リレー22を開き、バッテリ6またはバッテリ7と昇降圧回路8を遮断する。
【0080】
以上の制御により、車両の停止中にバッテリ6とバッテリ7を開回路とすることで、バッテリ6とバッテリ7のSOC低下を防ぐことができる。
【0081】
本発明の実施形態の効果について説明する。
【0082】
バッテリ6とバッテリ7を直列に接続する蓄電装置3において、バッテリ6またはバッテリ7を取り外した場合には、リレー18、リレー19、またリレー21、リレー22を切り換えることで、取り外していないバッテリからモータ2へ電力を供給し、エンジン1を始動、またはモータ2によって走行することができるので、例えばバッテリ6を取り外して車両以外の蓄電装置として使用することができ、更に車両を駆動させることができる。
【0083】
バッテリ6またはバッテリ7が取り外された場合に昇降圧回路8によってモータ2を駆動するために必要な電圧に調整することができるので、バッテリ6またはバッテリ7が取り外された場合にもモータ2へ電力を供給することができる。
【0084】
バッテリ6とバッテリ7のSOCが異なる場合、例えばバッテリ6またはバッテリ7のどちらか一方を取り外し、その後再び取り付けた場合にはバッテリのSOCが異なるので、そのまま直列に接続すると蓄電装置3としての使用可能性範囲が限定されてしまう。しかし、SOCが大きいバッテリからモータ2へ電力を供給し、SOCが小さいバッテリにはモータ2に電力を供給していない場合に発電機5によって発電した電力を供給し充電するので、バッテリ6とバッテリ7のSOCが異なる場合にもモータ2へ電力を供給し、更に発電機5で充電することでバッテリ6とバッテリ7のSOCを素早く均一にすることができる。
【0085】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
複数のバッテリを直列に接続する電源を備えた電源装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のバッテリ電圧と昇圧電圧の関係を示したマップである。
【図3】本発明のバッテリの脱着状態と回路の接続状態を示す表である。
【図4】本発明のメインフローチャートである。
【図5】本発明の通常走行を示すフローチャートである。
【図6】本発明のバッテリ充電走行を示すフローチャートである。
【図7】本発明のバッテリ充電走行を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一つのバッテリで走行を行う場合のフローチャートである。
【図9】本発明の一つのバッテリで走行を行う場合のフローチャートである。
【図10】本発明の車両停止を行うフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 エンジン(内燃機関)
2 モータ
3 蓄電装置
5 発電機(発電手段)
6 バッテリ(第1蓄電装置)
7 バッテリ(第2蓄電装置)
8 昇降圧回路(昇圧回路)
18 リレー(接続手段、第3スイッチング手段)
19 リレー(接続手段、第1スイッチング手段)
21 リレー(接続手段、第4スイッチング手段)
22 リレー(接続手段、第2スイッチング手段)
100 ハイブリットコントローラ
105 バッテリSOC検出部(第1蓄電量検出手段)
106 バッテリSOC検出部(第2蓄電量検出手段)
V1 回路(第1接続回路)
V2 回路(第3接続回路)
GND2 回路(第2接続回路)
GND1 回路(第4接続回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源装置を直列に接続して構成され、前記複数の電源装置をそれぞれ脱着可能な電力供給手段と、
前記電力供給手段に蓄えた電力によって駆動するモータと、を備えたハイブリット車両の電源装置において、
前記複数の電源装置の脱着状態を検出する脱着検出手段と、
前記複数の電源装置のうちのいずれかが取り外された状態で前記モータを動かす場合に、取り外されていない前記電源装置と前記モータを接続する接続手段と、を備え、
前記取り外されていない電源装置によって前記モータに電力を供給することを特徴とするハイブリット車両の電源装置。
【請求項2】
前記接続手段と前記モータの間で、前記複数の電源装置の脱着状態に基づいて、前記電源から前記モータへ印加する電圧を所定の電圧とする昇圧回路を備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリット車両の電源装置。
【請求項3】
前記電力供給手段が第1電源装置と第2電源装置から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリット車両の電源装置。
【請求項4】
前記接続手段は、前記第1電源装置の正極端子と前記モータとを接続する第1接続回路と、
前記第1接続回路に設けられ、前記第1電源装置が取り外された場合には前記第1接続回路を遮断する第1スイッチング手段と、
前記第2電源装置の負極端子と前記モータとを接続する第2接続回路と、
前記第2接続回路に設けられ、前記第2電源装置が取り外された場合は前記第2接続回路を遮断する第2スイッチング手段と、
前記第1電源装置の負極端子と、前記第1スイッチ手段と前記モータ間で前記モータと接続する第3接続回路と、
前記第3接続回路に設けられ、前記第1電源装置が取り外された場合に前記第3接続回路を導通し、かつ前記第1電源装置が取り付けられた場合には前記第3接続回路を遮断する第3スイッチング手段と、
前記第2電源装置の正極端子と、前記第2スイッチ手段と前記モータ間で前記モータと接続する第4接続回路と、
前記第4接続回路に設けられ、前記第2電源装置が取り外された場合に前記第4接続回路を導通し、かつ前記第2電源装置が取り付けられた場合には前記第4接続回路を遮断する第4スイッチング手段と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のハイブリット車両の電源装置。
【請求項5】
前記第1電源装置の蓄電量を検出する第1蓄電量検出手段と、
前記第2電源装置の蓄電量を検出する第2蓄電量検出手段と、を備え、
前記第1電源装置と前記第2電源装置との蓄電量が等しくない場合に、前記蓄電量が大きい前記第1蓄電装置または前記第2蓄電装置から前記モータへ電力を供給することを特徴とする請求項4に記載のハイブリット車両の電源装置。
【請求項6】
少なくとも前記車両を駆動する内燃機関の動力によって発電する発電手段と、
前記第1電源装置と前記第2電源装置との蓄電量が等しくない場合に、前記蓄電量が少ない前記第1蓄電装置または前記第2蓄電装置に前記発電手段によって発電した電力を充電する充電手段と、を備えた請求項5に記載のハイブリット車両の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−6077(P2006−6077A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182228(P2004−182228)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】