説明

ハイブリッド型除湿装置

【課題】風路構成を簡略化して圧力損失を低減するとともに製品の薄型化を実現できるハイブリッド型除湿装置を提供する。
【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機5と冷媒が供給空気に放熱する放熱器6と冷媒を膨張させて減圧する減圧機構7と冷媒が供給空気から吸熱する吸熱器8とを配管接続したヒートポンプ9と、駆動手段11によって回転し吸湿領域31では供給空気から吸湿するとともに再生領域28では加熱されて水分を放出するデシカントローター10と、室内空気を放熱器6、再生領域28、吸熱器8、吸湿領域31の順に供給する送風機15を備え、デシカントローター10と吸熱器8を各々の通風面が対向するように並設するとともに再生領域28を通過した室内空気を吸熱器8の一部を構成する第1吸熱領域29を通した後に送風方向を反転させて吸熱器8の第1吸熱領域29以外を構成する第2吸熱領域30を通して吸湿領域31に供給する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、圧縮機、放熱器、膨張機構、吸熱器等から構成されるヒートポンプと、吸着剤や吸収剤を用いて吸放湿作用を行うデシカントローターを組み合せたハイブリッド型の除湿装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートポンプとデシカントローターを組み合せたハイブリッド型の除湿装置としては、除湿対象である室内空気を、ヒートポンプの放熱器、デシカントローターの放湿領域、ヒートポンプの吸熱器、デシカントローターの吸湿領域の順に送風する送風機を備え、放熱器と吸熱器をデシカントローターの通風面に対して同一方向かつ水平方向からみて重ならないように、例えば、放熱器の下方向に吸熱器を配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、除湿対象である室内空気を、ヒートポンプの放熱器、デシカントローターの放湿領域、ヒートポンプの吸熱器、デシカントローターの吸湿領域の順に送風する送風機を備え、デシカントローターの通風面に対して放熱器と吸熱器をそれぞれ逆方向に配置し、且つ放熱器と吸熱器を水平方向からみて重ならないように、例えば、吸熱器の下方向に放熱器を配置したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−130466号公報(第10−14頁、第1−8図)
【特許文献2】特開2006−130466号公報(第14−15頁、第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようにヒートポンプとデシカントローターを組み合せたハイブリッド型の除湿装置の構成としては様々な形態のものが提案されている。特許文献1に例示されるハイブリット型除湿装置の構成は、吸熱器と放熱器を近接して配置できるため配管の引き回しが容易となり、また吸熱器が下方に配置できるので除湿水を容易に集積できるという利点がある。
【0005】
しかしながら上記構成では、放熱器を介してデカントローターの放湿領域から流出した室内空気を再度放熱器の流入部側に戻して吸熱器に供給する必要があるため、風路構成が複雑となり圧力損失が増加するという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に例示される構成は、デシカントローターを挟むように放熱器と吸熱器を配置できるため、風路構成が容易にでき圧力損失の増加を抑制できるとともに放熱器と放湿領域、吸熱器と吸湿領域を各々近接して配置できるので熱ロスを低減することができるという利点がある。
【0007】
しかしながら上記構成では、放熱器と吸熱器を水平方向から見て重ならないように配置する必要があるので高さを抑えて奥行きを増やす必要があり、この奥行き寸法が大きい放熱器、吸熱器、デシカントローターを水平方向に配置する構成となるので、製品厚みが増加するという課題があった。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、風路構成を簡略化して圧力損失を低減するとともに製品の薄型化を実現できるハイブリッド型除湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の除湿装置は上記目的を達成するために、冷媒を圧縮する圧縮機(5)と冷媒が供給空気に放熱する放熱器(6)と冷媒を膨張させて減圧する減圧機構(7)と冷媒が供給空気から吸熱する吸熱器(8)とを配管接続したヒートポンプ(9)と、駆動手段(11)によって回転し吸湿領域(31)では供給空気から吸湿するとともに再生領域(28)では加熱されて水分を放出するデシカントローター(10)と、室内空気を前記放熱器(6)次に前記再生領域(28)次に前記吸熱器(8)次に前記吸湿領域(31)の順に供給する送風機(15)を備え、前記デシカントローター(10)と前記吸熱器(8)を各々の通風面が対向するように並設するとともに前記再生領域(28)を通過した室内空気を前記吸熱器(8)の一部を構成する第1吸熱領域(29)を通した後に送風方向を反転させて前記吸熱器(8)の前記第1吸熱領域(29)以外を構成する第2吸熱領域(30)を通して前記吸湿領域(31)に供給する構成としたものである。
【0010】
また、第2の課題解決手段は、第1吸熱領域(29)は、デシカントローター(10)の再生領域(28)を吸熱器(8)に投影した領域を少なくとも含むものである。
【0011】
また、第3の課題解決手段は、吸湿領域(31)と再生領域(28)を区分する仕切り板(25)を備え、前記仕切り板(25)を前記吸熱器(8)に当接させることにより第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)を区分する構成としたものである。
【0012】
また、第4の課題解決手段は、室内空気を放熱器(6)および再生領域(28)を通さずに第1吸熱領域(29)に供給するバイパス経路(45)を形成したものである。
【0013】
また、第5の課題解決手段は、室内空気を放熱器(6)、再生領域(28)および第1吸熱領域(29)を通さずに第2吸熱領域(30)に供給するバイパス経路(50)を形成したものである。
【0014】
また、第6の課題解決手段は、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)の通風面積を同等としたものである。
【0015】
また、第7の課題解決手段は、第1吸熱領域(29)の通風面積よりも第2吸熱領域(30)の通風面積を広くしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機(5)と冷媒が供給空気に放熱する放熱器(6)と冷媒を膨張させて減圧する減圧機構(7)と冷媒が供給空気から吸熱する吸熱器(8)とを配管接続したヒートポンプ(9)と、駆動手段(11)によって回転し吸湿領域(31)では供給空気から吸湿するとともに再生領域(28)では加熱されて水分を放出するデシカントローター(10)と、室内空気を前記放熱器(6)次に前記再生領域(28)次に前記吸熱器(8)次に前記吸湿領域(31)の順に供給する送風機(15)を備え、前記デシカントローター(10)と前記吸熱器(8)を各々の通風面が対向するように並設するとともに前記再生領域(28)を通過した室内空気を前記吸熱器(8)の一部を構成する第1吸熱領域(29)を通した後に送風方向を反転させて前記吸熱器(8)の前記第1吸熱領域(29)以外を構成する第2吸熱領域(30)を通して前記吸湿領域(31)に供給する構成とすることにより、デシカントローター(10)と吸熱器(8)を近接させつつ曲がり回数の少ない風路構成とすることができ、通風路の圧力損失が低減できるとともに、吸熱器(8)の通風面積がデシカントローター(10)を覆うように広く形成できるので、吸熱器(8)の通風方向の奥行き寸法を短縮でき製品の薄型化を図ることができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【0017】
また、請求項2記載の発明によれば、第1吸熱領域(29)は、デシカントローター(10)の再生領域(28)を吸熱器(8)に投影した領域を少なくとも含んでいることにより、再生領域(28)から第1吸熱領域(29)に至る通風路の急縮小がなくなり、通風路の圧力損失を低減することができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【0018】
また、請求項3記載の発明によれば、吸湿領域(31)と再生領域(28)を区分する仕切り板(25)を備え、前記仕切り板(25)を前記吸熱器(8)に当接させて第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)を区分する構成とすることにより、仕切り板(25)によって吸湿領域(31)と再生領域(28)、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)の区画を行いつつ再生領域(28)と第1吸熱領域(29)を連結する通風路および第2吸熱領域(30)と吸湿領域(31)を連結する通風路が形成されるので部品点数が少なくなり構成の簡素化と小型化を図ることができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【0019】
また、請求項4記載の発明によれば、室内空気を放熱器(6)および再生領域(28)を通さずに第1吸熱領域(29)に供給するバイパス経路(45)を形成することにより、再生領域(28)において加湿された高温高湿の空気とバイパス経路(45)から導入された室内空気が混合した飽和度の高い空気を第1吸熱領域(29)に供給し、除湿効率を向上することができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【0020】
また、請求項5記載の発明によれば、室内空気を放熱器(6)、再生領域(28)および第1吸熱領域(29)を通さずに第2吸熱領域(30)に供給するバイパス経路(50)を形成することにより、第1吸熱領域(29)において冷却減湿された空気とバイパス経路(50)から導入された室内空気が混合したエンタルピの高い空気を第2吸熱領域(30)に供給し、第2吸熱領域(30)への霜付きによる除湿量低下を抑制することができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【0021】
また、請求項6記載の発明によれば、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)の通風面積を同等とすることにより、室内空気を第2吸熱領域(30)に直接供給するバイパス経路を設けない構成において、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)に室内空気を均一な風速で供給し、吸熱器(8)の通風面全体を無駄なく有効に伝熱面積として作用させて吸熱器(8)での冷却効率を向上することができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【0022】
また、請求項7記載の発明によれば、第1吸熱領域(29)の通風面積よりも第2吸熱領域(30)の通風面積を広くすることにより、室内空気を第2吸熱領域(30)に直接供給するバイパス経路を設けた構成において、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)に室内空気を均一な風速で供給し、吸熱器(8)の通風面全体を無駄なく有効に伝熱面積として作用させて吸熱器(8)での冷却効率を向上することができるという効果のある除湿装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の請求項1記載の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機(5)と冷媒が供給空気に放熱する放熱器(6)と冷媒を膨張させて減圧する減圧機構(7)と冷媒が供給空気から吸熱する吸熱器(8)とを配管接続したヒートポンプ(9)と、駆動手段(11)によって回転し吸湿領域(31)では供給空気から吸湿するとともに再生領域(28)では加熱されて水分を放出するデシカントローター(10)と、室内空気を前記放熱器(6)次に前記再生領域(28)次に前記吸熱器(8)次に前記吸湿領域(31)の順に供給する送風機(15)を備え、前記デシカントローター(10)と前記吸熱器(8)を各々の通風面が対向するように並設するとともに前記再生領域(28)を通過した室内空気を前記吸熱器(8)の一部を構成する第1吸熱領域(29)を通した後に送風方向を反転させて前記吸熱器(8)の前記第1吸熱領域(29)以外を構成する第2吸熱領域(30)を通して前記吸湿領域(31)に供給する構成とすることにより、デシカントローター(10)と吸熱器(8)を近接させつつ曲がり回数の少ない風路構成とすることができ、通風路の圧力損失が低減できるとともに、吸熱器(8)の通風面積がデシカントローター(10)を覆うように広く形成できるので、吸熱器(8)の通風方向の奥行き寸法を短縮でき製品の薄型化を図ることができるという作用を有する。
【0024】
また、請求項2記載の発明は、第1吸熱領域(29)は、デシカントローター(10)の再生領域(28)を吸熱器(8)に投影した領域を少なくとも含んでいることにより、再生領域(28)から第1吸熱領域(29)に至る通風路の急縮小がなくなり、通風路の圧力損失を低減することができるという作用を有する。
【0025】
また、請求項3記載の発明は、吸湿領域(31)と再生領域(28)を区分する仕切り板(25)を備え、前記仕切り板(25)を前記吸熱器(8)に当接させて第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)を区分する構成とすることにより、仕切り板(25)によって吸湿領域(31)と再生領域(28)、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)の区画を行いつつ再生領域(28)と第1吸熱領域(29)を連結する通風路および第2吸熱領域(30)と吸湿領域(31)を連結する通風路が形成されるので部品点数が少なくなり構成の簡素化と小型化を図ることができるという作用を有する。
【0026】
また、請求項4記載の発明は、室内空気を放熱器(6)および再生領域(28)を通さずに第1吸熱領域(29)に供給するバイパス経路(45)を形成することにより、再生領域(28)において加湿された高温高湿の空気とバイパス経路(45)から導入された室内空気が混合した飽和度の高い空気を第1吸熱領域(29)に供給し、除湿効率を向上することができるという作用を有する。
【0027】
また、請求項5記載の発明は、室内空気を放熱器(6)、再生領域(28)および第1吸熱領域(29)を通さずに第2吸熱領域(30)に供給するバイパス経路(50)を形成することにより、第1吸熱領域(29)において冷却減湿された空気とバイパス経路(50)から導入された室内空気が混合したエンタルピの高い空気を第2吸熱領域(30)に供給し、第2吸熱領域(30)への霜付きによる除湿量低下を抑制することができるという作用を有する。
【0028】
また、請求項6記載の発明は、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)の通風面積を同等とすることにより、室内空気を第2吸熱領域(30)に直接供給するバイパス経路を設けない構成において、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)に室内空気を均一な風速で供給し、吸熱器(8)の通風面全体を無駄なく有効に伝熱面積として作用させて吸熱器(8)での冷却効率を向上することができるという作用を有する。
【0029】
また、請求項7記載の発明は、第1吸熱領域(29)の通風面積よりも第2吸熱領域(30)の通風面積を広くすることにより、室内空気を第2吸熱領域(30)に直接供給するバイパス経路を設けた構成において、第1吸熱領域(29)と第2吸熱領域(30)に室内空気を均一な風速で供給し、吸熱器(8)の通風面全体を無駄なく有効に伝熱面積として作用させて吸熱器(8)での冷却効率を向上することができるという作用を有する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるハイブリッド型除湿装置の概略構成と風の流れを示す概略断面図である。図1に示すように、このハイブリッド型除湿装置は、装置外郭を形成する概略直方体状のハウジング1の片側面に吸気口2を開口しており、この吸気口2の上部に第1排気口3を開口している。また、ハウジング1の吸気口2および第1排気口3が開口した面とは異なる面に第2排気口4を開口した構成となっている。
【0032】
このハウジング1の内部には、圧縮機5、放熱器6、減圧機構7、吸熱器8を配管接続した密閉回路が設けられており、この密閉回路内に作動流体である冷媒として、例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填して蒸気圧縮式のヒートポンプ9を形成している。放熱器6および吸熱器8は、ヘアピンチューブに複数枚のフィンを嵌入して空気流通を可能に構成したフィンチューブ型の熱交換器で構成され、放熱器6と吸熱器8を接続する配管途中には減圧機構7として、例えば、キャピラリチューブや膨張弁等を介在させている。ここで、放熱器6は冷凍サイクルにおける、いわゆる凝縮器であり、吸熱器8は、いわゆる蒸発器である。この放熱器6および吸熱器8は、各々の通風面が吸気口2に対向するように配設されており、吸気口2側から放熱器6、吸熱器8の順に配設されている。
【0033】
また、放熱器6と吸熱器8の間には、軸方向に通風可能な円盤状のデシカントローター10を回動可能に介在させており、このデシカントローター10は、その通風面が放熱器6および吸熱器8の通風面と対向する向きで配設されている。また、デシカントローター10の外周側には、デシカントローター10を周方向に毎時10回転から50回転程度の速度で回転させる駆動手段11を配設しており、この駆動手段11は、デシカントローター10の外周に配設されたギアと、このギアと歯合する駆動モータを備え、駆動モータの作動によってギアに回転力を加えてデシカントローター10を回転させるように構成されている。また、デシカントローター10は、軸方向に通風可能なハニカム構造もしくはコルゲート構造の円筒構造体に、シリカゲル、ゼオライトなどの無機質の吸着型吸湿剤、あるいは有機高分子電解質(イオン交換樹脂)などの吸湿剤、もしくは塩化リチウムなどの吸収型吸湿剤を1種類もしくは複数担持して構成されており、周囲の環境に応じて吸湿量が変化する特性を有している。
【0034】
さらに、放熱器6とデシカントローター10の間には、放熱器6側およびデシカントローター10側に各々ベルマウス状の第1吸込口12および第2吸込口13を開口するとともに上方向に第1排気口3および第2排気口4と連通する吐出口14を開口した渦巻状の送風機15を配設している。この送風機15の内部には、電動機であるモータ16の回転軸に接続された円盤状の主板17の両側に複数の第1ブレード18および複数の第2ブレード19を各々環状に周設した羽根車20が収容されている。この羽根車20は、第1吸込口12と第1ブレード18の内周側が相対し、第2吸込口13と第2ブレード19の内周側が相対する位置に配設されている。従ってモータ16を駆動すると羽根車20が回転して、第1吸込口12から空気を吸い込んで第1ブレード18により昇圧し吐出口14から排出するとともに、第2吸込口13からも空気を吸い込んで第2ブレード19により昇圧し吐出口14から排出する送風動作が行われる。
【0035】
また、送風機15の内部には、第1吸込口12および第2吸込口13から吸引した空気ができるだけ混ざらずに吐出口14から排出可能なように主板17の外周に相対させて内部を仕切る隔壁21を形設しており、吐出口14の上方には、第1吸込口12から吸い込まれた空気と第2吸込口13から吸い込まれた空気の合流または分離を切換えるための切換手段22が配設されている。この切換手段22はスライド式ダンパー構造を備えており、切換手段22のダンパーが吐出口14の開口全てが第2排気口4と連通する切換ポイント23に設定されると、第1ブレード18により昇圧された空気と第2ブレード19により昇圧された空気が共に第2排気口4から排出される。
【0036】
また、切換手段22のダンパーが隔壁21と対応する切換ポイント24に設定されると、吐出口14の隔壁21で仕切られた第1ブレード18側のエリアが第1排気口3と連通し、吐出口14の隔壁21で仕切られた第2ブレード19側のエリアが第2排気口4と連通するので、第1吸込口12から吸引されて第1ブレード18により昇圧された空気が第1排気口3から排出されるとともに、第2吸込口13から吸引されて第2ブレード19により昇圧された空気が第2排気口4から排出される。このようにして切換手段22は、第1吸込口12から吸い込まれた空気と第2吸込口13から吸い込まれた空気の合流または分離を切換える切換動作を実行する。
【0037】
さらにデシカントローター10の通風方向における前後には、デシカントローター10の通風面を二つの領域に仕切るように仕切り板25が形設されており、この仕切り板25は、通風方向において吸熱器8の一区画を囲うように吸熱器8と当接するとともに送風機15の第2吸込口13を囲うように送風機15にも当接している。従ってモータ16を駆動すると羽根車20が回転し、矢符に示す送風経路、すなわち吸気口2からハウジング1内に流入し放熱器6を通過した後に第1吸込口12に吸い込まれて第1ブレード18で昇圧されて吐出口14から排出される送風経路(以下、排熱風路26)と、矢符に示す送風経路、すなわち吸気口2からハウジング1内に流入して放熱器6を通過した後、仕切り板25で区画されたデシカントローター10の一方の領域(以下、再生領域28)、仕切り板25で区画された吸熱器の一方の領域(以下、第1吸熱領域29)、仕切り板25で区画された吸熱器の他方の領域(以下、第2吸熱領域30)、仕切り板25で区画されたデシカントローター10の他方の領域(以下、吸湿領域31)を順に通過し、第2吸込口13に吸い込まれ第2ブレード19により昇圧されて吐出口14から排出される送風経路(以下、除湿風路27)が形成される。
【0038】
ここで圧縮機5を運転すると、放熱器6、減圧機構7、吸熱器8の順に冷媒が密閉回路内を循環し、圧縮機5で圧縮された高温高圧の冷媒が放熱器6において排熱風路26および除湿風路27を流れる空気に放熱するとともに、減圧機構7で膨張した低温低圧の冷媒が吸熱器8の第1吸熱領域29および第2吸熱領域30において除湿風路27を流れる空気から吸熱してヒートポンプ9が作動することになる。
【0039】
また、デシカントローター10に注目すると、再生領域28には除湿風路27内の放熱器6において加熱された高温低湿状態の空気が供給されるとともに吸湿領域31には、除湿風路27内の吸熱器8において露点温度以下まで冷却された低温高湿状態の空気(ほぼ飽和状態に近い空気)が供給される。このデシカントローター10に担持されている吸湿剤は、相対的に湿度が高く温度の低い空気から吸湿し、相対的に湿度が低く温度の高い空気に水分を放出する特性を有しているので、再生領域28において、加熱された高温低湿空気と接触することにより水分を放出して再生し、吸湿領域31において、冷却減湿された低温高湿空気から吸湿する吸湿再生動作が実行される。また、デシカントローター10は駆動手段11によって回転しているので、デシカントローター10に担持されている吸湿剤は、再生領域28と吸湿領域31を連続的に移動し、吸湿領域31における吸湿動作と再生領域28における再生動作が連続的に繰り返される。
【0040】
再生領域28において放出された水分を含んだ高温高湿の空気は、風路下流に配設された吸熱器8の第1吸熱領域29に供給される。この高温高湿空気はエンタルピも上昇しているので、吸熱器8内の冷媒とのエンタルピ差が拡大して高効率な吸熱動作が行われて供給空気はその露点温度以下まで冷却される。第1吸熱領域29において冷却減湿された空気は、送風方向を反転して吸熱器8の第2吸熱領域30に供給される。第2吸熱領域30においては第1吸熱領域29と同様に冷媒の吸熱により供給空気が過冷却されて温度が更に低下した飽和状態に近い空気となる。この過冷却された飽和空気が第2吸熱領域30の風路下流に位置する吸湿領域31に供給されるので、再生領域28を通過する加熱された高温空気との相対湿度差が拡大し、デシカントローター10の吸湿再生動作が効率的に行われる。この第1吸熱領域29および第2吸熱領域30における冷却過程で供給空気から飽和した水分は凝縮水となって下方に滴下し、図示しないドレンパンで受け止められた後にハウジング1の下部に配設された排水タンク32に回収される。
【0041】
図2は、本発明の実施形態1にかかるハイブリッド型除湿装置の通風方向における概略断面図であり、デシカントローター10の通風面から吸熱器8方向を見た概略断面を示している。図に示すようにデシカントローター10の外形を覆うように吸熱器8が配設されており、デシカントローター10と吸熱器8は、各々の通風面が対向する向きで且つ通風方向に近接して並設されている。また、デシカントローター10を約半分に区分するように仕切り板25が形設されており、この仕切り板25は、吸熱器8に当接するように延長されている。そして図示しない放熱器6で加熱された室内空気は、仕切り板25により区分されたデシカントローター10の上側の領域に図における手前から奥の向きに流入し、そのまま通風方向下流に位置する吸熱器8の上側の領域に入った後、下方に向いて通風方向を反転し仕切り板25により区分された吸熱器8の下側の領域を図4の奥から手前方向に通過した後、そのまま通風方向下流に位置するデシカントローター10の下側の領域を通過する。したがって、デシカントローター10の仕切り板25で区分された上側の領域が再生領域28、下側の領域が吸湿領域31、また、吸熱器8の仕切り板25で区分された上側の領域が第1吸熱領域29、下側の領域が第2吸熱領域30となる。
【0042】
このような構成とすることにより、デシカントローター10と吸熱器8を近接させつつも曲がり回数が少ない風路構成とすることができ、通風路の圧力損失を低減できる。また、吸熱器8はデシカントローター10を覆うように通風面積を広く形成できるので、通風方向の奥行き寸法、すなわちフィンチューブ型熱交換器でいう、列方向の寸法を短縮してハウジング1の薄型化を図ることができる。また、第1吸熱領域29は、デシカントローター10の再生領域28を概略投影した領域を含んでいるので、再生領域28から第1吸熱領域29に至る通風路を急縮小がない低圧損な風路構成にできる。さらに第2吸熱領域30も、デシカントローター10の吸湿領域31を概略投影した領域を含んでいるので、第2吸熱領域30から吸湿領域31に至る通風路も急拡大がない低圧損な風路構成にできる。
【0043】
また、仕切り板25は、デシカントローター10の吸湿領域31と再生領域28を区分するとともに、吸熱器8にも当接して第1吸熱領域29と第2吸熱領域30を区分しており、かつ再生領域28と第1吸熱領域29を連結する通風路および第2吸熱領域30と吸湿領域31を連結する通風路を構成するため、部品点数を少なくして構成の簡素化が図れるとともに製品を小型化することができる。さらに、第1吸熱領域29および第2吸熱領域30に供給される風量は同一であり、且つ仕切り板25により区分された第1吸熱領域29および第2吸熱領域30の通風面積も同等であるので、第1吸熱領域29と第2吸熱領域30に供給される空気の通過風速も同等になる。このため吸熱器8の通風面全体が無駄なく有効に伝熱面積として作用し、吸熱器8の冷却効率が向上することになる。
【0044】
図3は、本発明の実施形態1にかかるハイブリッド型除湿装置における冷媒の状態変化を示すモリエル線図(圧力−エンタルピ線図)である。図3に示す点33、点34、点35、点36を矢符で結んだサイクルは、密閉回路内を循環する冷媒の状態変化を示しており、冷媒は圧縮機5において圧縮されることにより圧力とエンタルピが上昇して点33から点34の状態変化を行い、放熱器6において排熱風路26および除湿風路27を流通する空気に対して放熱することによりエンタルピが減少して点34から点35の状態となる。次に減圧機構7において膨張して減圧することにより圧力が低下して点35から点36の状態変化を行い、吸熱器8において除湿風路27を流通する空気から吸熱することによりエンタルピが増加して点36から点33の状態に戻る。このような冷媒の状態変化により、吸熱器8において供給空気から吸熱し、放熱器6において供給空気に対して放熱するヒートポンプ9が動作し、この時、点34と点35のエンタルピ差に冷媒の循環量を乗じた値が放熱器6における放熱量、点36と点33のエンタルピ差に冷媒の循環量を乗じた値が吸熱器8における吸熱量となり、放熱量と吸熱量の差、即ち点33と点34のエンタルピ差に冷媒の循環量を乗じた値が圧縮機5の圧縮仕事量になる。
【0045】
図4は、本発明の実施形態1にかかるハイブリッド型除湿装置における空気状態の変化を示す湿り空気線図である。図4に示した点37は、除湿対象である室内空気の状態を示しており、この点37の空気は、吸気口2からハウジング1内部に吸引され、排熱風路26および除湿風路27を通って放熱器6に供給される。放熱器6において供給空気は冷媒の放熱により加熱されて温度のみが上昇し点38に示す状態となる。点38に示す状態となった排熱風路26内の空気は、第1吸込口12に吸引されて第1ブレード18により昇圧され切換手段22の切換状態に基づいて第1排気口3または第2排気口4からハウジング1外部に排出される。
【0046】
一方、点38に示す状態となった除湿風路27内の空気は、次に再生領域28に供給されてデシカントローター10に担持された吸湿剤が保有している水分を脱着することにより加湿されて、湿度が上昇するとともに温度が低下して点39に示す状態となる。点39に示す状態となった除湿風路27内の空気は、次に吸熱器8の第1吸熱領域29に供給され、冷媒の吸熱により露点温度以下まで冷却減湿されて点40に示す飽和状態となる。点40に示す状態となった除湿風路27内の空気は、送風方向を反転し、次に吸熱器8の第2吸熱領域30に供給され、冷媒の吸熱により過冷却されて温度が低下し点41に示す飽和状態となる。この第1吸熱領域29および第2吸熱領域30における冷却過程において飽和した水分は凝縮水として排水タンク32に回収される。点41に示す飽和状態となった除湿風路27内の空気は、次に吸湿領域31に供給され、デシカントローター10に担持されている吸湿剤に水分を奪われて除湿され、湿度が低下するとともに温度が上昇して点42の状態の乾燥空気となる。点42に示す状態となった除湿風路27内の空気は、第2吸込口13から吸引されて第2ブレード19により昇圧され第2排気口4からハウジング1外部に排出される。
【0047】
以上の空気状態の変化において、吸熱器8において回収される凝縮水の量は、点39と点41の絶対湿度差に除湿風路27内を流れる空気の重量換算風量を乗じた値、また、再生領域28における水分の放出量は、点38と点39の絶対湿度差に除湿風路27内を流れる空気の重量換算風量を乗じた値、そして、吸湿領域31における吸湿量は、点41と点42の絶対湿度差に除湿風路27内を流れる空気の重量換算風量を乗じた値となる。ここで再生領域28における水分の放出量と吸湿領域31における吸湿量は、原則等しくなるので吸熱器8における凝縮水回収量(すなわちハイブリッド型除湿装置の除湿量)をデシカントローター10の吸湿量よりも大きくなるようにデシカントローター10や吸熱器8の仕様を設計することが望ましい。そのためには吸熱器8の通風面積を出来るだけ広くして吸熱器8における冷却効率を向上する必要があるが、図1に示したように吸熱器8の第1吸熱領域29を流れる空気と第2吸熱領域30を流れる空気の送風方向が逆転するように除湿風路27を形設することにより、限られた寸法のハウジング1内で吸熱器8の通風面積を有効に確保することが可能となり、ハウジングの薄型化に対応することができる。
【0048】
また、図において放熱器6における放熱量は、点37と点38のエンタルピ差に排熱風路26および除湿風路27を流れる空気の重量換算風量を乗じた値、吸熱器8における吸熱量は、点39と点41のエンタルピ差に除湿風路27を流れる空気の重量換算風量を乗じた値となり、この放熱器6における放熱量および吸熱器8における吸熱量は、図3の冷媒の状態変化から算出できる放熱量および吸熱量と等しくなる。冷媒の状態変化においては吸熱量に対し放熱量が大きくなるため、上述したように吸熱器8に供給される空気のエンタルピが高い場合、すなわち冷媒と空気のエンタルピ差が大きい場合には放熱器6に供給する空気のエンタルピを低くする、すなわち冷媒と空気のエンタルピ差を大きくする必要がある。しかしながら本実施形態の構成では放熱器6には点37に示す状態の室内空気が供給されるのでエンタルピ差を意図的に制御することは困難であり、室内空気の状態によっては放熱器6において放熱不足となりヒートポンプ9を最適なサイクルで作動できない場合がある。そこで排熱風路26を通じて放熱器6に室内空気を供給し、放熱器6への供給空気量を増加させることにより、放熱器6における放熱不足を抑制してヒートポンプ9を適正なサイクルで動作させるようにしている。
【0049】
以上の空気状態変化において理想的には、点39で示した再生領域28の出口空気は、等エンタルピ線上において吸湿領域31の入口空気(点41)と同一の相対湿度となる点43に近づき、点42で示した吸湿領域31の出口空気は、等エンタルピ線上において再生領域28の入口空気(点38)と同一の相対湿度となる点44に近づく。したがって点41で示した吸湿領域31への供給空気と点38で示した再生領域28への供給空気との相対湿度差の拡大に伴い再生領域28の出口空気(点39)と吸湿領域31の出口空気(点42)の相対湿度差が拡大して結果的にデシカントローター10の吸放湿量が増加することになる。本実施形態の構成において、点37で示した室内空気を温度27℃、相対湿度60%の状態と仮定すると、点41で示した吸湿領域31への供給空気は相対湿度が略100%の飽和に近い状態となり、点38で示した再生領域28への供給空気は放熱器6における加熱により相対湿度が約20〜30%の乾燥空気となる。したがって点41と点38の相対湿度差は約70%〜80%となり、室内空気をそのままデシカントローター10に供給して吸湿させる一般的な構成に対して、相対湿度差が拡大するためデシカントローター10における吸放湿量は増加し吸湿効率が向上することになる。
【0050】
以上、説明した構成および動作により、本実施形態のハイブリッド型除湿装置は、以下の効果を奏するものである。
【0051】
すなわち、デシカントローター10と吸熱器8を各々の通風面が対向するように並設するとともに再生領域28を通過した室内空気を、吸熱器8の一部を構成する第1吸熱領域29を通した後に送風方向を反転させて吸熱器8の第1吸熱領域29以外を構成する第2吸熱領域30を通して吸湿領域31に供給する構成とすることにより、デシカントローター10と吸熱器8を近接させつつ曲がり回数の少ない風路構成にして通風路の圧力損失を低減することができる。そしてデシカントローター10を覆うように吸熱器8の通風面積を広く形成できるので、吸熱器8の通風方向の奥行き寸法を短縮でき、製品の薄型化を図ることができる。
【0052】
また、第1吸熱領域29がデシカントローター10の再生領域28を吸熱器8に投影した領域を少なくとも含んでいることにより、再生領域28から第1吸熱領域29に至る通風路の急縮小がなくなり、通風路の圧力損失を低減することができる。
【0053】
また、吸湿領域31と再生領域28を区分する仕切り板25を吸熱器8に当接させて第1吸熱領域29と第2吸熱領域30を区分する構成とすることにより、仕切り板25によって吸湿領域31と再生領域28、第1吸熱領域29と第2吸熱領域30の区画を行いつつ再生領域28と第1吸熱領域29を連結する通風路および第2吸熱領域30と吸湿領域31を連結する通風路が形成されるので部品点数が少なくなり構成の簡素化と小型化を図ることができる。
【0054】
また、第1吸熱領域29と第2吸熱領域30の通風面積を同等とすることにより、第1吸熱領域29と第2吸熱領域30に室内空気を均一な風速で供給し、吸熱器8の通風面全体を無駄なく有効に伝熱面積として作用させて吸熱器8での冷却効率を向上することができる。
【0055】
(実施の形態2)
次に本発明の実施形態2にかかるハイブリッド型除湿装置について説明する。なお、実施形態1と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。図5は、本発明の実施形態2にかかるハイブリッド型除湿装置の概略構成と風の流れを示す概略断面図であり、前述した実施形態1のハイブリッド型除湿装置との相違点は、矢符45に示すような室内空気を放熱器6および再生領域28を通さずに第1吸熱領域29に導入するバイパス経路45を備えた点である。このバイパス経路45は、図5に示すように吸気口2から放熱器6およびデシカントローター10の上方をバイパスさせて第1吸熱領域29に接続するように形設しても良く、あるいは放熱器6およびデシカントローター10の側面や下方をバイパスさせて第1吸熱領域29に接続するように形設しても良い。そして吸気口2からバイパス経路45に供給された空気は、除湿風路27内において放熱器6および再生領域28を通過した後の空気と混合し、第1吸熱領域29に供給される。第1吸熱領域29に供給された混合空気は、冷媒の吸熱により露点温度以下まで冷却された後、第2吸熱領域30、吸湿領域31に順に供給されて第2排気口4からハウジング1外部に排出される。
【0056】
図6は、本発明の実施形態2にかかるハイブリッド型除湿装置における空気状態の変化を示す湿り空気線図である。図6に示した点37、点38、点39は、実施形態1と同様に、除湿対象である室内空気の状態(点37)、放熱器6において冷媒の放熱により加熱されて温度のみが上昇した状態(点38)、再生領域28に供給されてデシカントローター10に担持された吸湿剤が保有している水分を脱着することにより加湿されて湿度が上昇するとともに温度が低下した状態(点39)を示している。そして除湿風路27内の再生領域28において加湿された点39で示される高温高湿状態の空気は、バイパス経路45により導入された点37の状態の室内空気と混合して点46に示す状態になる。この点46に示す状態となった混合空気は、次に吸熱器8の第1吸熱領域29に供給され、冷媒の吸熱により露点温度以下まで冷却減湿されて点47に示す飽和状態となり、次に送風方向を反転して吸熱器8の第2吸熱領域30に供給され、冷媒の吸熱により過冷却されて温度が低下し点48に示す飽和状態となる。点48に示す飽和状態となった除湿風路27内の空気は、実施形態1と同様に吸湿領域31に供給され、デシカントローター10に担持されている吸湿剤に水分を奪われて除湿され、湿度が低下するとともに温度が上昇して点49の状態の乾燥空気となる。
【0057】
ここで、点46に示す混合空気は、点39に示す除湿風路27における吸熱器8の流入空気に対して、飽和空気状態に至るまでのエンタルピ減少が少ない飽和度の高い空気状態となる。したがって第1吸熱領域29における冷媒吸熱量の中の顕熱冷却に使用される割合が小さくなり冷却減湿に利用できる割合が大きくなるため、第1吸熱領域29での冷媒の吸熱量が同一であっても凝縮水回収量が増加し、除湿効率が向上することになる。
【0058】
以上、説明した構成および動作により、本実施形態のハイブリッド型除湿装置は、以下の効果を奏するものである。
【0059】
すなわち、室内空気を放熱器6および再生領域28を通さずに第1吸熱領域29に供給するバイパス経路45を形成することにより、再生領域28において加湿された高温高湿の空気とバイパス経路45から導入された室内空気が混合した飽和度の高い空気を第1吸熱領域29に供給して除湿効率を向上することができる。
【0060】
(実施の形態3)
次に本発明の実施形態3にかかるハイブリッド型除湿装置について説明する。なお、実施形態1と同一の構成要素は同一の番号を付し詳細な説明は省略する。図7は、本発明の実施形態3にかかるハイブリッド型除湿装置の概略構成と風の流れを示す概略断面図であり、前述した実施形態1のハイブリッド型除湿装置との相違点は、矢符に示すように、室内空気を放熱器6、再生領域28および第1吸熱領域29を通さずに第2吸熱領域30に導入するバイパス経路50を備えた点である。このバイパス経路50は、図7に示すように吸気口2から放熱器6、デシカントローター10および第1吸熱領域29の上方をバイパスさせて第2吸熱領域30に接続するように形設しても良く、あるいは放熱器6、デシカントローター10および第1吸熱領域29の側面や下方をバイパスさせて第2吸熱領域30に接続するように形設しても良い。そして吸気口2からバイパス経路50に供給された空気は、除湿風路27内において放熱器6、再生領域28および第1吸熱領域29を通過した後の空気と混合し、第2吸熱領域30に供給される。第2吸熱領域30に供給された混合空気は、冷媒の吸熱により露点温度以下まで冷却された後、吸湿領域31に供給されて第2排気口4からハウジング1外部に排出される。
【0061】
図8は、本発明の実施形態3にかかるハイブリッド型除湿装置における空気状態の変化を示す湿り空気線図である。図8に示した点37、点38、点39、点40は、実施形態1と同様に、除湿対象である室内空気の状態(点37)、放熱器6において冷媒の放熱により加熱されて温度のみが上昇した状態(点38)、再生領域28に供給されてデシカントローター10に担持された吸湿剤が保有している水分を脱着することにより加湿されて湿度が上昇するとともに温度が低下した状態(点39)、吸熱器8の第1吸熱領域29に供給されて冷媒の吸熱により露点温度以下まで冷却減湿された飽和状態(点40)を示している。そして除湿風路27内の第1吸熱領域29において冷却減湿された点40で示される低温高湿状態の空気は、バイパス経路50により導入された点37の状態の室内空気と混合して点51で示す状態になる。この点51に示す状態となった混合空気は、次に吸熱器8の第2吸熱領域30に供給され、冷媒の吸熱により露点温度以下まで冷却減湿されて点52に示す飽和状態となり、次に吸湿領域31に供給されてデシカントローター10に担持されている吸湿剤に水分を奪われて除湿され、湿度が低下するとともに温度が上昇して点53の状態の乾燥空気となる。
【0062】
ここで一般的に室内空気が低温の場合には、第2吸熱領域30において冷却された点52に示す出口状態の空気温度が0℃以下となり、吸熱器8に霜がついて除湿量が低下する現象が発生する。しかしながら本実施形態では、第1吸熱領域29において冷却減湿された点40に示す状態の空気に、バイパス経路50により導入された点37に示す室内空気を混合し、点51に示す状態の混合空気を第2吸熱領域30に供給する構成としている。この点51に示す混合空気の状態は、点40に示す第1吸熱領域29通過後の空気状態に対して、エンタルピが高く、また、第2吸熱領域30に供給される空気流量も除湿風路27を流れる空気流量とバイパス経路50を流れる空気流量の合算値となり増加するので、第2吸熱領域30における冷媒の吸熱量が同等であっても供給空気のエンタルピをあまり下げずに除湿量を確保することが可能となり、点52に示される第2吸熱領域30の出口空気温度を0℃以上に保ちつつ除湿量を確保することが可能となる。したがって吸熱器8への霜付現象が抑制させて室内空気が低温であっても連続して除湿運転を行うことができる。
【0063】
図9は、本発明の実施形態3にかかるハイブリッド型除湿装置の通風方向における概略断面図であり、デシカントローター10の通風面から吸熱器8方向を見た概略断面を示している。図に示すようにデシカントローター10の外形を覆うように吸熱器8が配設されており、デシカントローター10と吸熱器8は、各々の通風面が対向する向きで且つ通風方向に近接して並設されている。また、デシカントローター10の約1/3を区分するように仕切り板25が形設されており、この仕切り板25は、吸熱器8に当接するように延長されている。そして図示しない放熱器6で加熱された室内空気は、仕切り板25により区分されたデシカントローター10の下側の扇状領域に図における手前から奥の向きに流入し、そのまま通風方向下流に位置する吸熱器8の下側の扇状領域に入った後、上方に向いて通風方向を反転し仕切り板25により区分された吸熱器8の残りの領域を図9の奥から手前方向に通過した後、そのまま通風方向下流に位置するデシカントローター10の残りの領域を通過する。したがって、デシカントローター10の仕切り板25で区分された下側約1/3の扇状領域が再生領域28、残りの領域が吸湿領域31、また、吸熱器8の仕切り板25で区分された下側の扇状領域が第1吸熱領域29、残りの領域が第2吸熱領域30となる。
【0064】
このような構成とすることにより、実施形態1と同様に、デシカントローター10と吸熱器8を近接させつつも曲がり回数が少ない風路構成とすることができ、通風路の圧力損失を低減できる。また、吸熱器8はデシカントローター10を覆うように通風面積を広く形成できるので、通風方向の奥行き寸法、すなわちフィンチューブ型熱交換器でいう、列方向の寸法を短縮してハウジング1の薄型化を図ることができる。また、第1吸熱領域29は、デシカントローター10の再生領域28を概略投影した領域を含んでいるので、再生領域28から第1吸熱領域29に至る通風路を急縮小がない低圧損な風路構成にできる。さらに第2吸熱領域30も、デシカントローター10の吸湿領域31を概略投影した領域を含んでいるので、第2吸熱領域30から吸湿領域31に至る通風路も急拡大がない低圧損な風路構成にできる。
【0065】
また、仕切り板25は、デシカントローター10の吸湿領域31と再生領域28を区分するとともに、吸熱器8にも当接して第1吸熱領域29と第2吸熱領域30を区分しており、かつ再生領域28と第1吸熱領域29を連結する通風路および第2吸熱領域30と吸湿領域31を連結する通風路を構成するため、部品点数を少なくして構成の簡素化が図れるとともに製品を小型化することができる。さらに、第1吸熱領域29に供給される風量に対して第2吸熱領域30にはバイパス経路50を通って供給される風量が増加することになるが、仕切り板25により第2吸熱領域30の通風面積を第1吸熱領域29の通風面積よりも広く形成しているので、第1吸熱領域29を通過する空気と第2吸熱領域30を通過する空気の通過風速の均一化が図られ、吸熱器8の通風面全体が無駄なく有効に伝熱面積として作用し、吸熱器8の冷却効率が向上することになる。
【0066】
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の除湿装置は、以下の効果を奏するものである。
【0067】
すなわち、室内空気を放熱器6、再生領域28および第1吸熱領域29を通さずに第2吸熱領域30に供給するバイパス経路50を形成することにより、第1吸熱領域29において冷却減湿された空気とバイパス経路50から導入された室内空気が混合したエンタルピの高い空気を第2吸熱領域30に供給し、第2吸熱領域30への霜付きによる除湿量低下を抑制することができる。
【0068】
また、第1吸熱領域29の通風面積よりも第2吸熱領域30の通風面積を広くすることにより、第1吸熱領域29と第2吸熱領域30に室内空気を均一な風速で供給し、吸熱器8の通風面全体を無駄なく有効に伝熱面積として作用させて吸熱器8での冷却効率を向上することができる。
【0069】
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0070】
例えば、上記実施の形態では、切換手段22により排熱風路26の排出先を第1排気口3または第2排気口4に切換える構成を示したが、除湿風路27の排出先を第1排気口3または第2排気口4に切換えるように構成しても良い。また、除湿風路27の排出先を第2排気口4としたが、第1排気口3に設定しても良い。
【0071】
また、仕切り板25により配分される再生領域28と吸湿領域31の分割比として、1:1または1:2の構成を示したが、分割比はこれに限定されるものではない。例えば。1:3や1:5など製品構成や風量バランスにより適宜設定すればよい。同様に第1吸熱領域29と第2吸熱領域30の分割比も上記実施形態に限るものではなく、供給される空気の流量に応じて適宜設定すれば良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、再生領域28と第1吸熱領域29を上方、第2吸熱領域30と吸湿領域31を下方に配置する構成、および再生領域28と第1吸熱領域29を下方、第2吸熱領域30と吸湿領域31を上方に配置する構成を示したが、再生領域28と第1吸熱領域29、第2吸熱領域30と吸湿領域31の配置はこれに限るものではない。例えば、再生領域28と第1吸熱領域29を右方、第2吸熱領域30と吸湿領域31を左方に配置するなど製品構成に応じて適宜設計しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように本発明にかかはるハイブリッド型除湿装置は、風路構成を簡略化して圧力損失を低減するとともに製品の薄型化を実現できるものであり、除湿機、乾燥機、衣類乾燥機、洗濯乾燥機、浴室換気乾燥機、溶剤回収装置または空調機などにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態1にかかはるハイブリッド型除湿装置の概略構成と風の流れを示す概略断面図
【図2】同ハイブリッド型除湿装置の通風方向における概略断面図
【図3】同ハイブリッド型除湿装置における冷媒の状態変化を示すモリエル線図
【図4】同ハイブリッド型除湿装置における空気状態の変化を示す湿り空気線図
【図5】本発明の実施形態2にかかるハイブリッド型除湿装置の概略構成と風の流れを示す概略断面図
【図6】同ハイブリッド型除湿装置における空気状態の変化を示す湿り空気線図
【図7】本発明の実施形態3にかかるハイブリッド型除湿装置の概略構成と風の流れを示す概略断面図
【図8】同ハイブリッド型除湿装置における空気状態の変化を示す湿り空気線図
【図9】同ハイブリッド型除湿装置の通風方向における概略断面図
【符号の説明】
【0075】
5 圧縮機
6 放熱器
7 減圧機構
8 吸熱器
9 ヒートポンプ
10 デシカントローター
11 駆動手段
15 送風機
25 仕切り板
28 再生領域
29 第1吸熱領域
30 第2吸熱領域
31 吸湿領域
45、50 バイパス経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と冷媒が供給空気に放熱する放熱器と冷媒を膨張させて減圧する減圧機構と冷媒が供給空気から吸熱する吸熱器とを配管接続したヒートポンプと、駆動手段によって回転し吸湿領域では供給空気から吸湿するとともに再生領域では加熱されて水分を放出するデシカントローターと、室内空気を前記放熱器次に前記再生領域次に前記吸熱器次に前記吸湿領域の順に供給する送風機を備え、前記デシカントローターと前記吸熱器を各々の通風面が対向するように並設するとともに前記再生領域を通過した室内空気を前記吸熱器の一部を構成する第1吸熱領域を通した後に送風方向を反転させて前記吸熱器の前記第1吸熱領域以外を構成する第2吸熱領域を通して前記吸湿領域に供給する構成としたことを特徴とするハイブリッド型除湿装置。
【請求項2】
第1吸熱領域は、デシカントローターの再生領域を吸熱器に投影した領域を少なくとも含んでいることを特徴とする、請求項1記載のハイブリッド型除湿装置。
【請求項3】
吸湿領域と再生領域を区分する仕切り板を備え、前記仕切り板を前記吸熱器に当接させることにより第1吸熱領域と第2吸熱領域を区分する構成としたことを特徴とする、請求項1または2記載のハイブリッド型除湿装置。
【請求項4】
室内空気を放熱器および再生領域を通さずに第1吸熱領域に供給するバイパス経路を形成したことを特徴とする、請求項1、2または3記載のハイブリッド型除湿装置。
【請求項5】
室内空気を放熱器、再生領域および第1吸熱領域を通さずに第2吸熱領域に供給するバイパス経路を形成したことを特徴とする、請求項1、2または3記載のハイブリッド型除湿装置。
【請求項6】
第1吸熱領域と第2吸熱領域の通風面積を同等としたことを特徴とする、請求項1、2、3、4または5記載のハイブリッド型除湿装置。
【請求項7】
第1吸熱領域の通風面積よりも第2吸熱領域の通風面積を広くしたことを特徴とする、請求項1、2、3、4または5記載のハイブリッド型除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−207046(P2008−207046A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43240(P2007−43240)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】