説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】従来よりも効率良く発電を行うことが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関2と接続された入力軸11と、駆動輪7と動力伝達可能に接続された出力軸12とを有し、入力軸11と出力軸12との間の変速比を変更可能な変速機10と、モータ・ジェネレータ3と入力軸11とが動力伝達可能に接続される入力軸接続状態とモータ・ジェネレータ3と出力軸12とが動力伝達可能に接続される出力軸接続状態とに切り替え可能な第2クラッチ25と、モータ・ジェネレータ3と電気的に接続されたバッテリ4とを備えたハイブリッド車両1に適用され、車両1の速度が所定の判定速度以上の場合に第2クラッチ25を出力軸接続状態から入力軸接続状態に切り替える制御装置において、バッテリ4の蓄電率が所定の判定蓄電率未満の場合には、バッテリ4の蓄電率が判定蓄電率以上の場合よりも判定速度を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関とモータ・ジェネレータとが搭載されるとともに内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路中に変速機が設けられ、モータ・ジェネレータの接続先を変速機の入力軸又は出力軸に選択的に切り替えることが可能なハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動力源として内燃機関及びモータ・ジェネレータを備え、かつ内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路中に変速機が設けられたハイブリッド車両が知られている。また、このようなハイブリッド車両において、切替機構によりモータ・ジェネレータの出力軸の接続状態を、変速機の入力軸と接続するIN接続状態、変速機の出力軸と接続するOUT接続状態、及び入力軸及び出力軸のいずれとも切り離すニュートラル状態に切り替え可能な車両が知られている。この切替機構を制御する制御装置として、車両の発進時は接続状態をIN接続状態に切り替え、発進後車両の速度が増加するに従って接続状態をOUT接続状態、IN接続状態、ニュートラル状態の順に切り替える装置が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2、3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−208518号公報
【特許文献2】特開2010−247689号公報
【特許文献3】特開2010−208520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にモータ・ジェネレータは効率良く発電を行うことが可能な回転数範囲を有しており、モータ・ジェネレータの回転数がその回転数範囲より高くなると発電の効率が低下する。モータ・ジェネレータの出力軸を変速機の出力軸と接続する場合は、モータ・ジェネレータの回転数がその回転数範囲より高くなり易い。そのため、モータ・ジェネレータの発電の効率が低下するおそれがある。そのため、この場合にはモータ・ジェネレータの出力軸を変速機の入力軸と接続した方が効率良く発電を行うことができる可能性が高い。特許文献1の装置では、このような発電の効率を考慮してモータ・ジェネレータの出力軸の接続先を切り替えていない。
【0005】
そこで、本発明は、従来よりも効率良く発電を行うことが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制御装置は、内燃機関と、電動機及び発電機として機能するモータ・ジェネレータと、前記内燃機関と接続された入力軸と、駆動輪と動力伝達可能に接続された出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比を変更可能な変速機と、前記モータ・ジェネレータと前記入力軸とが動力伝達可能に接続される入力軸接続状態と、前記モータ・ジェネレータと前記出力軸とが動力伝達可能に接続される出力軸接続状態とに切り替え可能な接続先切替手段と、前記モータ・ジェネレータと電気的に接続されたバッテリと、を備えたハイブリッド車両に適用され、前記車両の速度が所定の判定速度以上の場合に前記接続先切替手段を前記出力軸接続状態から前記入力軸接続状態に切り替える制御手段を備えた制御装置において、前記バッテリの蓄電率が所定の判定蓄電率未満の場合には、前記バッテリの蓄電率が前記判定蓄電率以上の場合よりも前記判定速度を小さくする判定速度変更手段を備えている(請求項1)。
【0007】
本発明の制御装置によれば、バッテリの蓄電率が判定蓄電率未満の場合には判定速度を小さくするので、モータ・ジェネレータが入力軸と接続される車両の速度範囲を拡大することができる。そのため、モータ・ジェネレータが入力軸と接続された状態で発電を行うことができる。この場合、モータ・ジェネレータの回転数が発電効率が良い回転数範囲内になる可能性が高いため、モータ・ジェネレータで効率良く発電することができる。従って、燃費を向上させることができる。
【0008】
本発明の制御装置の一形態において、前記判定速度変更手段は、前記バッテリの蓄電率が低くなるほど前記判定速度を小さくしてもよい(請求項2)。この形態によれば、蓄電率に応じて判定速度を適切に変更することができる。そのため、モータ・ジェネレータで発電を開始する際にモータ・ジェネレータが入力軸に接続されている頻度を高めることができる。そのため、効率良く発電を行うことができる。
【0009】
本発明の制御装置の一形態において、前記判定速度変更手段は、前記モータ・ジェネレータで発電を行っている場合には、前記モータ・ジェネレータで発電を行っていない場合よりも前記判定速度を小さくしてもよい(請求項3)。モータ・ジェネレータを出力軸と接続するよりも入力軸と接続した方がモータ・ジェネレータで効率良く発電を行うことができる。そのため、このように判定速度を小さくすることにより、効率良く発電を行うことができる。
【0010】
本発明の制御装置の一形態において、前記判定速度変更手段は、前記変速機の変速時に前記モータ・ジェネレータで前記駆動輪の駆動をアシストできない場合には、前記モータ・ジェネレータで前記駆動輪の駆動をアシストできる場合よりも前記判定速度を小さくしてもよい(請求項4)。このように判定速度を小さくしておくことにより、モータ・ジェネレータで発電を行う必要が生じた場合に効率良い発電を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明の制御装置によれば、バッテリの蓄電率が判定蓄電率未満の場合には判定速度を小さくするため、効率良く発電することができる。そのため、燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一形態に係る制御装置が組み込まれた車両を模式的に示す図。
【図2】通常時判定速度及び低SOC時判定速度を説明するための図。
【図3】制御装置が実行する判定速度変更ルーチンを示すフローチャート。
【図4】バッテリの蓄電率と第1判定速度及び第2判定速度との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一形態に係る制御装置が組み込まれた車両を模式的に示している。この車両1は、動力源として内燃機関(以下、エンジンと称することがある。)2及びモータ・ジェネレータ(以下、MGと略称することがある。)3を備えている。すなわち、この車両1はハイブリッド車両として構成されている。エンジン2は、複数の気筒を有する周知の火花点火式内燃機関である。MG3は、ハイブリッド車両に搭載されて電動機及び発電機として機能する周知のものである。MG3は、ロータ軸3aと一体回転するロータ3bと、ロータ3bの外周に同軸に配置されて不図示のケースに固定されたステータ3cとを備えている。MG3は、バッテリ4と電気的に接続されている。バッテリ4は、MG3が電動機として機能する場合にはMG3に電気を供給でき、MG3が発電機として機能する場合にはMG3で発生した電気を充電できるように構成されている。
【0014】
車両1には前進4速の変速機10が搭載され、エンジン2及びMG3は変速機10と接続されている。また、変速機10には、車両1の駆動輪5に動力を出力するための出力部5も接続されている。出力部5は、出力ギア6と、駆動輪7に連結されたデファレンシャル機構8とを備えている。出力ギア6は、変速機10の出力軸12に一体回転するように取り付けられている。また、出力ギア6は、デファレンシャル機構8のケースに設けられたリングギア8aと噛み合っている。デファレンシャル機構8は、伝達された動力を左右の駆動輪7に分配する周知のものである。
【0015】
変速機10は、入力軸11と、出力軸12とを備えている。入力軸11と出力軸12との間には、第1〜第4変速ギア対G1〜G4が設けられている。第1変速ギア対G1は互いに噛み合う第1ドライブギア13及び第1ドリブンギア14にて構成され、第2変速ギア対G2は互いに噛み合う第2ドライブギア15及び第2ドリブンギア16にて構成されている。第3変速ギア対G3は互いに噛み合う第3ドライブギア17及び第3ドリブンギア18にて構成され、第4変速ギア対G4は互いに噛み合う第4ドライブギア19及び第4ドリブンギア20にて構成されている。第1〜第4変速ギア対G1〜G4は、ドライブギアとドリブンギアとが常時噛み合うように設けられている。各変速ギア対G1〜G4には互いに異なる変速比が設定されている。変速比は、第1変速ギア対G1、第2変速ギア対G2、第3変速ギア対G3、第4変速ギア対G4の順に小さくなるように設定されている。そのため、第1変速ギア対G1が1速に対応し、第2変速ギア対が2速に対応する。また、第3変速ギア対G3が3速に対応し、第4変速ギア対G4が4速に対応する。
【0016】
第1〜第4ドライブギア13、15、17、19は、入力軸11に対して相対回転可能なように入力軸11に支持されている。この図に示したようにこれらのギアは、第1ドライブギア13、第2ドライブギア15、第3ドライブギア17、第4ドライブギア19の順番で軸線方向に並ぶように配置されている。一方、第1〜第4ドリブンギア14、16、18、20は、出力軸12と一体に回転するように出力軸12に固定されている。
【0017】
入力軸11には第1スリーブ21及び第2スリーブ22が設けられている。これらのスリーブ21、22は、入力軸11と一体に回転し、かつ軸線方向に移動可能なように入力軸11に支持されている。この図に示すように第1スリーブ21は、第1ドライブギア13と第2ドライブギア15との間に設けられている。第2スリーブ22は、第3ドライブギア17と第4ドライブギア19との間に設けられている。
【0018】
第1スリーブ21は、入力軸11と第1ドライブギア13とが一体に回転するように第1ドライブギア13と噛み合う1速位置と、入力軸11と第2ドライブギア15とが一体に回転するように第2ドライブギア15と噛み合う2速位置と、第1ドライブギア13及び第2ドライブギア15のいずれとも噛み合わない解放位置とに切り替え可能に設けられている。第2スリーブ22は、入力軸11と第3ドライブギア17とが一体に回転するように第3ドライブギア17と噛み合う3速位置と、入力軸11と第4ドライブギア19とが一体に回転するように第4ドライブギア19と噛み合う4速位置と、第3ドライブギア17及び第4ドライブギア19のいずれとも噛み合わない解放位置とに切り替え可能に設けられている。この変速機10では、第1スリーブ21及び第2スリーブ22がいずれも解放位置に切り替えられた場合に入力軸11と出力軸12との間の動力伝達が遮断される。以降、この状態をニュートラル状態と称することがある。変速段を切り替える場合には、変速機10の状態が変速前の状態からまずニュートラル状態に切り替えられる。その後、ニュートラル状態から変速後の状態に切り替えられる。なお、図示は省略したが入力軸11には、第1、第2スリーブ21、22と第1〜第4ドライブギア13、15、17、19とを噛み合わせる際にこれらの回転を同期させる複数のシンクロ機構が設けられている。これらシンクロ機構には、摩擦係合により回転を同期させるシンクロ機構、例えば周知のキー式シンクロメッシュ機構を用いればよい。そのため、シンクロ機構の詳細な説明は省略する。
【0019】
変速機10には、第1スリーブ21及び第2スリーブ22を駆動するためのアクチュエータ23が設けられている。アクチュエータ23は、各スリーブ21、22に係合しているシフトフォーク23aを駆動し、これにより各スリーブ21、22を駆動する。
【0020】
この図に示すように入力軸11には、第1クラッチ24を介してエンジン2の出力軸2aが接続されている。第1クラッチ24は、エンジン2と入力軸11との間で動力が伝達される係合状態と、その動力伝達が遮断される解放状態とに切り替え可能な周知のものである。
【0021】
MG3のロータ軸3aには、接続先切替手段としての第2クラッチ25が設けられている。ロータ軸3aと出力軸12との間には、常時噛み合い式のギア対26が設けられている。ギア対26は、出力軸12に固定された第1ギア27と、ロータ軸3aに設けられて第1ギア27と噛み合う第2ギア28とを備えている。第2クラッチ25は、ロータ軸3aと入力軸11とが動力伝達可能に接続される入力軸接続状態と、ロータ軸3aと出力軸12とがギア対26を介して動力伝達可能に接続される出力軸接続状態と、ロータ軸3aが入力軸11及び出力軸12のいずれとも切り離されるニュートラル状態とに切り替え可能に構成されている。第2クラッチ25には、例えばスリーブの位置を変更することにより接続先を切り替え可能な周知のドグクラッチを使用すればよい。
【0022】
エンジン2、MG3、変速機10、第1クラッチ24及び第2クラッチ25の動作は、制御装置30にて制御される。制御装置30は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットとして構成されている。制御装置30は、車両1を適切に走行させるための各種制御プログラムを保持している。制御装置30は、これらのプログラムを実行することによりエンジン2及びMG3等の制御対象に対する制御を行っている。制御装置30には、車両1に係る情報を取得するための種々のセンサが接続されている。制御装置30には、例えば車両1の速度(車速)に対応した信号を出力する車速センサ31及びバッテリ4の充電状態(蓄電率)に対応した信号を出力するSOCセンサ32等が接続されている。この他にも種々のセンサが接続されているが、それらの図示は省略した。また、制御装置30には運転者が操作するシフトレバー等の種々のレバーやスイッチ等も接続されているが、これらの図示も省略した。
【0023】
次に制御装置30が実行する制御について説明する。上述したように変速機10では、変速段が切り替えられる場合に一旦ニュートラル状態になる。また、変速段の切替時には第1クラッチ24が一時解放状態に切り替えられる。これらの場合にはエンジン2の動力を出力軸12に伝達することができない。そこで、制御装置30は、第2クラッチ25が出力軸接続状態の場合にはこのような状態のときに駆動輪7に伝達されるトルクが変動しないようにMG3で出力軸12を駆動する。以降、このように変速段の切り替え時にMG3で駆動輪7の駆動をアシストすることを変速アシストと称することがある。
【0024】
制御装置30は、車速に応じてMG3のロータ軸3aの接続先を変更する。周知のようにMG3にはロータ3bを回転させることが可能な回転数の上限値が設定されている。そこで、制御装置30は、ロータ3bの回転数がその上限値を超えないようにロータ軸3aの接続先を変更する。具体的に説明すると制御装置30は、第2クラッチ25が出力軸接続状態のときに車速が所定の第1判定速度以上になると第2クラッチ25を入力軸接続状態に切り替える。また、制御装置30は、第2クラッチ25が入力軸接続状態のときに車速が所定の第2判定速度未満になると第2クラッチ25を出力軸接続状態に切り替える。このように第2クラッチ25を出力軸接続状態に切り替えることにより上述した変速アシストを実行することができる。なお、第2判定速度には、第1判定速度よりも低い速度が設定される。この制御を実行することにより制御装置30が本発明の制御手段として機能する。また、このように第2クラッチ25の状態を切り替えることにより第1判定速度が本発明の判定速度に対応する。
【0025】
制御装置30は、バッテリ4の蓄電率に応じて第1判定速度及び第2判定速度の値を変更する。一般にMG3は、効率良く発電を行うことが可能な回転数範囲を有している。MG3のロータ軸3aが出力軸12に接続されているとロータ軸3aが回転数が高くなり易いため、ロータ軸3aの回転数が発電効率が良い回転数範囲よりも高くなる頻度が多くなる。そこで、制御装置30は、バッテリ4の蓄電率が予め設定した判定蓄電率未満の場合には、蓄電率が判定蓄電率以上の場合と比較して各判定速度の値を小さくする。そして、これによりロータ軸3aが入力軸11と接続される頻度を増加させる。なお、判定蓄電率は、MG3で発電してバッテリ4の充電を行う必要があるか否か判定するための基準として設定される値である。そのため、バッテリ4の容量等に応じて適宜に設定すればよい。
【0026】
図2に蓄電率が判定蓄電率以上の場合の各判定速度V1、V2と、蓄電率が判定蓄電率未満の場合の各判定速度V1’、V2’を示す。なお、以降では、蓄電率が判定蓄電率以上の場合の各判定速度を通常時第1判定速度V1、通常時第2判定速度V2と称する。また、蓄電率が判定蓄電率未満の場合の各判定速度を低SOC時第1判定速度V1’、低SOC時第2判定速度V2’と称する。この図に示したように低SOC時判定速度V1’、V2’は、いずれも通常時判定速度V1、V2より小さい。また、低SOC時第1判定速度V1’は、通常時第2判定速度V2よりも小さい。そして、低SOC時第1判定速度V1’以上の速度範囲には、例えばロータ軸3aを入力軸11に接続した方がロータ軸3aを出力軸12に接続するよりも効率良く発電することが可能な速度範囲が設定される。
【0027】
制御装置30は、バッテリ4の蓄電率以外の条件に応じても各判定速度の値を変更する。制御装置30は、例えばMG3で発電中か否かに応じても各判定速度の値を変更する。上述したようにロータ軸3aを入力軸11に接続した方がロータ軸3aの回転数が発電効率が良い回転数範囲内になり易い。そこで、MG3で発電している場合には判定速度の値を低SOC時判定速度V1’、V2’に変更する。また、制御装置30は、変速アシストを実行することが可能か否かに応じても各判定速度の値を変更する。上述したようにMG3には、ロータ3bを回転させることが可能な回転数の上限値が設定されている。そのため、車速が高く、変速アシストを行うとロータ3bの回転数が回転数がこの上限値を超える場合には、変速アシストを実行できない。また、バッテリ4の蓄電率が低く変速段の切り替え時にMG3で駆動輪7を十分に駆動できない場合にも変速アシストを実行できない。そこで、制御装置30は、変速アシストを実行できない場合には判定速度の値を低SOC時判定速度V1’、V2’に変更する。
【0028】
図3は、制御装置30がこのように各判定速度を変更するために実行する判定速度変更ルーチンを示している。このルーチンは、車両1の走行中に所定の周期で繰り返し実行される。このルーチンを実行することにより制御装置30が本発明の判定速度変更手段として機能する。
【0029】
このルーチンにおいて制御装置30は、まずステップS11で車両の走行状態を取得する。走行状態としては、例えば車速及びバッテリ4の蓄電率等が取得される。また、この処理では、現在MG3を発電機として機能させて発電を行っているか否かも取得される。次のステップS12において制御装置30は、バッテリ4の蓄電率が判定蓄電率以上か否か判定する。蓄電率が判定蓄電率以上と判定した場合にはステップS13に進み、制御装置30はMG3にて発電を行っているか否か判定する。発電を行っていないと判定した場合にはステップS14に進み、制御装置30は変速アシストを実行可能か否か判定する。変速アシストを実行可能と判定した場合にはステップS15に進み、制御装置30は第1判定速度及び第2判定速度を通常時判定速度V1、V2に変更する。その後、今回のルーチンを終了する。
【0030】
一方、蓄電率が判定蓄電率未満と判定した場合、MG3にて発電を行っていると判定した場合又は変速アシストを実行不可能と判定した場合にはステップS16に進み、制御装置30は第1判定速度及び第2判定速度を低SOC時判定速度V1’、V2’に変更する。その後、今回のルーチンを終了する。
【0031】
以上に説明したように本発明によれば、バッテリ4の蓄電率が判定蓄電率未満の場合には第1判定速度及び第2判定速度を低SOC時判定速度V1’、V2’に変更して小さくする。これにより第2クラッチ25が入力軸接続状態になる車速範囲を拡大することができるので、MG3で効率良く発電することができる。そのため、燃費を向上させることができる。また、バッテリ4の蓄電率が判定蓄電率以上の場合には第1判定速度及び第2判定速度を通常時判定速度V1、V2に変更する。この場合には変速アシストが行われる車速領域が拡大するので、ドライバビリティを改善することができる。
【0032】
また、本発明では、MG3にて発電を行っている場合にも各判定速度を低SOC時判定速度に変更するので、MG3で効率良く発電を行うことができる。そのため、さらに燃費を向上させることができる。さらに本発明では、変速アシストを実行不可能な場合にも各判定速度を低SOC時判定速度に変更する。このように変更しておくことでMG3にて発電を行う必要が生じた場合に効率良い発電を迅速に行うことができる。
【0033】
なお、上述した形態では、蓄電率が判定蓄電率以上か否かに応じて各判定速度を変更したが、各判定速度を変更する方法はこの方法に限定されない。例えば、図4に一例を示すようにバッテリ4の蓄電率が低いほど各判定速度が小さくなるように各判定速度の値を変更してもよい。なお、この図において線L1が第1判定速度を示し、線L2が第2判定速度を示している。この場合、蓄電率に応じて各判定速度をより適切に変更することができる。そのため、MG3で発電を開始する際にロータ軸3aが入力軸11に接続されている頻度を高めることができる。そのため、さらに効率良く発電を行うことができる。
【0034】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本発明が適用される車両の変速機は前進の最高段が4速の変速機に限定されない。例えば前進の最高段が3速又は5速以上の変速機であってもよい。また、複数のスリーブは全て入力軸に設けられていなくてもよい。例えば、複数のスリーブが全て出力軸に設けられていてもよいし、複数のスリーブの一部が入力軸に設けられ、残りのスリーブが出力軸に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 車両
2 内燃機関
3 モータ・ジェネレータ
4 バッテリ
7 駆動輪
10 変速機
11 入力軸
12 出力軸
25 第2クラッチ(接続先切替手段)
30 制御装置(制御手段、判定速度変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
電動機及び発電機として機能するモータ・ジェネレータと、
前記内燃機関と接続された入力軸と、駆動輪と動力伝達可能に接続された出力軸と、を有し、前記入力軸と前記出力軸との間の変速比を変更可能な変速機と、
前記モータ・ジェネレータと前記入力軸とが動力伝達可能に接続される入力軸接続状態と、前記モータ・ジェネレータと前記出力軸とが動力伝達可能に接続される出力軸接続状態とに切り替え可能な接続先切替手段と、
前記モータ・ジェネレータと電気的に接続されたバッテリと、を備えたハイブリッド車両に適用され、
前記車両の速度が所定の判定速度以上の場合に前記接続先切替手段を前記出力軸接続状態から前記入力軸接続状態に切り替える制御手段を備えた制御装置において、
前記バッテリの蓄電率が所定の判定蓄電率未満の場合には、前記バッテリの蓄電率が前記判定蓄電率以上の場合よりも前記判定速度を小さくする判定速度変更手段を備えている制御装置。
【請求項2】
前記判定速度変更手段は、前記バッテリの蓄電率が低くなるほど前記判定速度を小さくする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定速度変更手段は、前記モータ・ジェネレータで発電を行っている場合には、前記モータ・ジェネレータで発電を行っていない場合よりも前記判定速度を小さくする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判定速度変更手段は、前記変速機の変速時に前記モータ・ジェネレータで前記駆動輪の駆動をアシストできない場合には、前記モータ・ジェネレータで前記駆動輪の駆動をアシストできる場合よりも前記判定速度を小さくする請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103655(P2013−103655A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249932(P2011−249932)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】