説明

ハウジング構成体

本発明は、特に、騒音を減衰するのに適した掘削装置用ハウジング構成体であって、前記掘削装置が、送りビームホルダ、送りビーム及び掘削機を備え、前記送りビームが送りビームホルダに移動可能に取り付けられ、かつ、ドリルエンド及びリアエンドを備え、前記掘削機械が、送りビームに、それに沿って移動可能に取り付けられ、前記ハウジング構成体が、ケーシング及び前記送りビームを有する掘削装置用ハウジング構成体に関する。本発明は、ケーシングが、送りビームに直接的に取り付け可能であり、ケーシングと送りビームの少なくとも一部が、掘削機を囲み、送りビームと送りビームホルダとの間の相対運動を可能にすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従った掘削装置用のハウジング構成体(housing arrangement)に関し、特に、騒音を減衰することに適したハウジング構成体に関する。また、本発明は、そのようなハウジング構成体を備えた掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の掘削装置が騒音を引き起こす。特に、表面又は地下の掘削に用いられる削岩装置のような重たい掘削装置は騒音を引き起こす。
【0003】
一般的に、削岩装置(図1)は、可動キャリア、ブーム及び送りビームを備え、前記送りビームは、例えば、送りビームホルダを介してブームに接続されている。送りビーム及び送りビームホルダは、少なくとも送りビームの全長の一部に沿って相互に移動可能であり、送りビームとブームとの間の相対運動を可能にする。掘削機は、送りビームに沿って移動可能であり、ドリルストリングを地面の中に押し進めるよう作用する。ドリルストリングは、ドリルポイント(ドリルビット)と連結ロッドとを備えている。
【0004】
騒音は、例えば、掘削機で、また、ドリルポイントで発生する。従って、周辺に発生した騒音を減衰することが望まれる。掘削機で発生した騒音を遮断するための様々な構成が公知である。
【0005】
米国特許第3667571号には、掘削機及び送りビームを収容する多層構造ハウジングが開示されている。送りビームは、緩衝部材を介してハウジング内に吊り下げられ、それにより、位置決め及び全体構造が不安定であり、現在の掘削装置には適用できない。
【0006】
国際公開WO02/070856号には、掘削機及び送りビームを収容する可撓性シートから成るハウジングが開示されている。縦長の開口が設けられており、この開口により、作業者が、掘削工程を監視することが可能になり、ドリルストリングにロッドを接続することが可能になる。このハウジングは、バーを介して送りビームに固定されている。細長い開口が、ある程度まで周囲に騒音を漏らすと考えられる。さらにまた、開口を小さくすれば騒音は減少するが、作業者による監視やロッドの接続が困難になる。
【0007】
特開平05−079271号には、送りビーム上で移動可能な掘削機を収容する他の種類のハウジングが示されている。
【0008】
国際公開WO00/39412号には、送りビームに設けられたハウジングが開示されており、前記ハウジングが掘削機及び送りビームを収容する。また、前記ハウジングは送りビームホルダも収容する。そのハウジングは、ブラケットを介して送りビームに取り付けられ、送りビームとブームとの間の動きを可能にする開口が設けられている。その開口には、所謂、「ノイズカーテン」と呼ばれる開口をシールするためのブラシの毛状の部材(bristles)が設けられている。ノイズカーテンがあるにも拘わらず、騒音は開口を通して周辺に広がる。さらにまた、ハウジングに設けられたハッチが比較的小さいため、例えば、接合の監視が困難になる。
【0009】
従来技術のハウジングの大きな問題点は、それらが、騒音発生部材の騒音を減衰し、同時に、送りビームと送りビームホルダとの間の相対運動を可能にすることを失敗していることにある。
【0010】
【特許文献1】米国特許第3667571号
【特許文献2】国際公開WO02/070856号
【特許文献3】特開平05−079271号
【特許文献4】国際公開WO00/39412号
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的は、騒音発生部材をシールし、同時に、送りビームと送りビームホルダとの間の相対運動を可能にする構成体を得ることにある。この目的は、請求項1の特徴部分に記載された特徴によって達成される。
【0012】
他の目的は、容易にアクセスすることができ、かつ、作業中に構成体の中を見ることを可能にすることにある。この目的は、従属項に記載された特徴により達成される。
【0013】
好ましい実施の形態は、従属項に記載されている。
【0014】
主要な特徴によれば、本発明は、特に、騒音を減衰するのに適した掘削装置用ハウジング構成体であって、前記掘削装置が、送りビームホルダ、送りビーム及び掘削機を備え、前記送りビームが送りビームホルダに移動可能に取り付けられ、かつ、ドリルエンド及びリアエンドを備え、前記掘削機械が、送りビームに、それに沿って移動可能に取り付けられ、前記ハウジング構成体が、ケーシング及び前記送りビームを有する掘削装置用ハウジング構成体に関する。本発明は、ケーシングが、送りビームに直接的に取り付け可能であり、ケーシングと送りビームの少なくとも一部が、掘削機を囲み、送りビームと送りビームホルダとの間の相対運動を可能にすることを特徴とする。ハウジング構成体は、送りビームの一側面をシーリング面として使用し、騒音発生装置を収容し、同時に、送りビームと送りビームホルダとの間の相対運動を可能にする。
【0015】
他の特徴によれば、本発明によるハウジング構成体は、遠隔制御され及び/又は透明なドアを有する。開放可能なドアは、保守や監視のためのハウジングの内部へのアクセスを容易にするという利点を有する。ドアが遠隔制御され、及び/又はドアが透明であると、作業者は、席から離れる必要がないため時間を節約できる。
【0016】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴並びに利点は、以下の説明及び添付図面から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、可動キャリア1、ブーム2、及び送りビーム4を備えた削岩装置の概略図を示している。前記送りビーム4は、送りビームホルダ3を介してブーム2に接続されている。送りビーム4及び送りビームホルダ3は、送りビーム4の全長の少なくとも一部分に沿って相互に移動可能である。掘削機5は、送りビーム4に移動可能に取り付けられている。掘削機5は送りビーム4に沿って移動可能であり、ドリルストリング63に作用する。ドリルストリング63は、ドリルポイント(ドリルビット)及び連結ロッド6(図1には示されていない。)を備えている。送りビーム4には、例えば、ロッド操作用装置、ボルト締め用装置及び火薬装填用装置(equipment for loading of explosive)のような他の装置が取り付けられ得る。
【0018】
送りビーム4はドリルエンド41を備え、掘削時に、このドリルエンド41からドリルポイントが突き出る。また、送りビーム4はドリルエンド41と対向するリアエンド42を有する。送りビーム4の第一及び/又は第二の部分411,412が、ドリルエンド41の近くに配置されている。第一の部分411は、送りビーム4に対して固定され、第二の部分412は送りビーム4に対して長手方向に移動可能である。第一及び/又は第二の部分411,412は、ドリルガイド又は送りビーム4における同種の構成体によって構成され得る。
【0019】
図2〜図4を参照すると、本発明によるハウジング構成体8は、ケーシング7及び前記送りビーム4を備えている。従って、送りビーム4は、ハウジング構成体8の一部分である。
【0020】
図面に示されたハウジング構成体8は横断面が実質的に角形であるが、ハウジング構成体8は、収容する装置に合った任意の適当な形態で、かつ、ケーシング7の材料に合った適当な形態で構成され得る。
【0021】
好ましくは、ハウジング構成体8は、例えば、電気、空気、オイル、水及び粉塵収集用ホース/ケーブルのためのシールされた入口連結部(図示せず)を有する。
【0022】
ケーシング7は、送りビーム4に直接取り付け可能である。ケーシング7及び送りビーム4の少なくとも一部は、掘削機5及び送りビーム4に取り付けられる可能性のある他の装置を収容し、送りビーム4と送りビームホルダ3との間の相互の運動を可能にする。
【0023】
削岩機に自動ロッドハンドリング装置が設けられていても、ハウジング構成体8が自動ロッドハンドリング装置及びロッドサプライ(rod supply)も収容し得るので(図4参照)、自動ロッドハンドリング装置がハウジング構成体8によって妨害されることはない。
【0024】
ケーシング7は、任意の適当な固定手段72、例えば、ボルトによって送りビーム4に取り付け可能である。この方法では、ケーシング7は、送りビームホルダ3に対して、送りビーム4と共に移動する。固定手段72は、交換や保守を可能にするために、ケーシング7を送りビーム4から取り外せるようにすることを可能にする。
【0025】
ケーシング7は、掘削機を、送りビーム4のリアエンド42から送りビームのドリルエンド41に近い部分まで、好ましくは、送りビーム4に固定された前記第一の部分411まで覆う。ケーシング7は、送りビーム4に対して並行な側壁と、送りビーム4のリアエンド42の位置にあり、ケーシング7のその端部を塞ぐ端部壁とを有する。従って、ケーシング7と送りビーム4とが、一緒に、掘削機の周辺の騒音減衰ハウジング構成体8を形成する。
【0026】
ケーシング7の壁は、例えば、プラスチックや任意の他の適当な材料から成り、少なくとも一側に吸音材料が被覆された一つ又は幾つかのパネルを備えている。吸音材料は、発泡材料(foam)であり得、また、構造体騒音減衰マット(structure-borne sound dampening mat)と発泡材料(foam)又は他の適当な騒音減衰材料との組み合わせであり得る。パネル材料及び吸音材料は透明であり得る。
【0027】
ロッド6の接合、保守及び/又は監視を行うために、好ましくは、少なくとも一つのドア71がケーシング7に設けられる(図2及び図3参照)。前記少なくとも一つのドア71は、操作者のイス/運転室からの監視を容易にするために、操作者によって遠隔制御され得る。
【0028】
ハウジング構成体8が角形である場合、ドア71は、ハウジング構成体8の中へのアクセスを容易にするために二つの側面によって構成され得る。ドア71は、ケーシング7の全長の比較的小さな部分又は比較的大きな部分に沿って配置され得る。
【0029】
ケーシング7の一部(側壁又はドア)は透明であり得、それにより、ドア71を開けることなく動作を監視し得ることが可能になる。透明部分には、良好な視界を維持するために任意の適当な清掃装置が設けられ得る。
【0030】
掘削作業の準備をする時、掘削装置キャリア1は、掘削が実施されるべき場所まで移動する。掘削機5を備えた送りビーム4は、ブーム2及び送りビームホルダ3の補助により、作業ポイントの上方位置に置かれる。
【0031】
ケーシング7が送りビーム4に取り付けられているので、各機械を完全に収容する減衰ハウジング構成体8は、送りビームホルダ3に対して移動可能な送りビーム4の動きに追従する。
【0032】
従って、本発明によるハウジング構成体は、掘削機5、ロッドハンドリング装置6及び送りビームに取り付けられる他の装置を収容し、同時に、送りビーム4と送りビームホルダ3との間の相対運動を可能にする。また、本発明によるハウジング構成体は、送りビーム4(掘削機械に面した側)を粉塵や泥から保護することも可能にする。
【0033】
第一ドリルロッド6は、掘削械5によって、岩石の内部に力を付与すると同時に、騒音を発生させる。第一ドリルロッド6が岩石を貫くように、いくつかのロッド6が、続けて、ドリルストリング63に接合される。操作者は、例えば、接合、自動接合の監視、又は掘削作業の監視を行うために、一つ又は複数のドア71を開き得る。ケーシング7の一部が透明であると、作業者は、それを通して作業を監視することができる。
【0034】
また、本発明によるハウジング構成体は、地質工学的掘削装置(geotechnical drilling equipment)等のような、掘削と同種の作業を行う他の装置にも使用され得る。
【0035】
本発明によるハウジング構成体は、製造時に掘削装置に装着され得るが、勿論、既存の掘削装置に本発明によるハウジング構成体を設けることも可能である。ケーシングは、交換や保守を可能にするために取り外し得る。
【0036】
ハウジング構成体は、ハウジング構成体の外面上にレーザ基準面用のレシーバを位置決めすることを可能にし、レーザ基準面と穿孔の深さとの間の距離を測定することを可能にする。
【0037】
図面に示した実施例及び上述の説明は、限定するためのものではなく、単なる実施例である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】削岩装置の概略図である。
【図2】本発明によるハウジング構造体を備えた掘削装置の斜視図である。
【図3】開口ドアを有するハウジング構造体を備えた掘削措置の斜視図である。
【図4】本発明の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、騒音を減衰するのに適した掘削装置用ハウジング構成体(8)であって、
前記掘削装置が、送りビームホルダ(3)、送りビーム(4)及び掘削機(5)を備え、
前記送りビーム(4)が送りビームホルダ(3)に移動可能に取り付けられ、かつ、ドリルエンド(41)及びリアエンド(42)を備え、
前記掘削機(5)が、送りビーム(4)に、それに沿って移動可能に取り付けられ、
前記ハウジング構成体(8)が、ケーシング(7)と前記送りビーム(4)を有する
掘削装置用ハウジング構成体(8)において、
ケーシング(7)が、送りビーム(4)に直接的に取り付け可能であり、
ケーシング(7)と送りビーム(4)の少なくとも一部が、掘削機(5)を収容し、送りビーム(4)と送りビームホルダ(3)との間の相対運動を可能にする
ことを特徴とする掘削装置用ハウジング構成体。
【請求項2】
ケーシング(7)が、固定手段(72)によって送りビーム(4)に直接的に取り付け可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング構成体。
【請求項3】
固定手段(72)が、送りビーム(4)からケーシング(7)を取り外すことを可能にする
ことを特徴とする請求項2に記載のハウジング構成体。
【請求項4】
ケーシング(7)が、掘削機(5)を、送りビーム(4)のリアエンド(42)から送りビーム(4)のドリルエンド(41)の近くの部分まで収容する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のハウジング構成体。
【請求項5】
ケーシング(7)に、
送りビーム(4)に対して並行な側壁と、
送りビーム(4)のリアエンド(42)に位置し、ケーシング(7)のその端部を塞ぐ端壁と
が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のハウジング構成体。
【請求項6】
ケーシング(7)に、少なくとも一つのドア(71)が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のハウジング構成体。
【請求項7】
前記少なくとも一つのドア(71)が遠隔制御可能である
ことを特徴とする請求項6に記載のハウジング構成体。
【請求項8】
ケーシング(7)の一部が透明である
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のハウジング構成体。
【請求項9】
レーザ基準面用レシーバが、ハウジング構成体(8)の外面に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のハウジング構成体。
【請求項10】
請求項1に記載のハウジング構成体(8)を備えた掘削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−516115(P2008−516115A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535632(P2007−535632)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001414
【国際公開番号】WO2006/038850
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】