説明

ハロゲン化シリルにより置換されている第6族のシクロペンタジエニル錯体

少なくとも1個のハロゲン置換基を持つ少なくとも1個のシリル基により置換されている少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体、および少なくとも1個のシクロペンタジエニル錯体を含む触媒系、そしてまたそれらの調製方法、オレフィンの重合または共重合のための該触媒系の使用、および該触媒系存在下でのオレフィンの重合または共重合によるポリオレフィンの調製方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも1個のハロゲン置換基を持つ少なくとも1個のシリル基により置換されている少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体、および少なくとも1個のシクロペンタジエニル錯体を含む触媒系、そしてまたそれらの調製方法に関する。
【0002】
これに加えて、本発明は、中間体としてのシクロペンタジエニル錯体の使用、オレフィンの重合または共重合のための該触媒系の使用、および該触媒系存在下でのオレフィンの重合または共重合によるポリオレフィンの調製方法に関する。
【0003】
α−オレフィンの重合に用いられる触媒の多くは、固定化された酸化クロムに基づいている(例えば、Kirk−Othmer,“Encyclopedia of Chemical Technology”,1981,Vol.16,p.402参照)。これらは一般に、高分子量を有するエチレンのホモポリマーおよびコポリマーをもたらすが、水素に対して比較的感度が低く、したがって分子量を簡単に制御することができない。他方、無機酸化物担体に施用したビス(シクロペンタジエニル)クロム(米国特許第3709853号)、ビス(インデニル)クロムまたはビス(フルオレニル)クロム(米国特許第4015059号)を用いる場合、ポリエチレンの分子量を水素の添加により簡単に制御することができる。
【0004】
第6族の錯体のシクロペンタジエニル基の官能基化は、必ずしも容易とは限らない。遷移金属錯体の合成ではシクロペンタジエニル系を一般にアニオンとして導入するため、とりわけ極性または反応性基での官能基化は合成において問題を示すことが多い。このアニオンが、存在する反応性基と反応するか、または該反応性基が、アニオンを発生させるために用いられる脱プロトン化試薬により、さらに迅速に攻撃されるのである。
【0005】
われわれは今回、第6族のシリル置換シクロペンタジエニル錯体を、ハロゲン化シリルにより置換されているシクロペンタジエニル錯体に転化する方法を見いだした。特に、出発材料、すなわち第6族のシリル置換シクロペンタジエニル錯体を、シリル置換シクロペンタジエニルアニオンとクロム化合物、例えば三塩化クロムとの反応により簡単な方法で大量に調製することができるので、これは第6族の官能基化シクロペンタジエニル化合物の簡単な調製方法である。
【0006】
本発明は、少なくとも1個のハロゲン置換基を持つ少なくとも1個のシリル基により置換されている少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体、および少なくとも1個の第6族のシクロペンタジエニル錯体を含む触媒系、そしてまたそれらの調製方法を提供する。さらに、第6族のシクロペンタジエニル錯体の使用、またはオレフィンの重合もしくは共重合のための該触媒系の使用、および第6族のシクロペンタジエニル錯体または該触媒系の存在下でのオレフィンの重合または共重合によるポリオレフィンの調製方法が見いだされた。
【0007】
ハロゲン置換基を持つシリル基は好ましくはSiRD基であり、ここにおいて、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる。
【0008】
新規の第6族のシクロペンタジエニル錯体は、1個以上の置換基SiRD、好ましくは1個の置換基SiRDを有する少なくとも1個のシクロペンタジエニル基を持つことが好ましい。合計1、2または3個の置換基SiRDが、シクロペンタジエニル基に結合することができる。1個の置換基SiRDがシクロペンタジエニル基に結合していることが好ましい。
【0009】
Rが、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2個の基Rが、結合して五、六または七員環を形成することもできる置換基SiRD、とりわけ、RがC−C22−アルキルである置換基SiRDが好ましい。Dは、好ましくはClまたはBrである。基Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−または3,4,5−トリメチルフェニル、およびベンジルの中から選択されることがとりわけ好ましい。
【0010】
ここで、第6族のモノシクロペンタジエニル錯体であって、シクロペンタジエニル系が少なくとも1個の架橋している供与体および少なくとも1個のシリル基SiRDにより置換されているものが好ましい。
【0011】
以下の一般式CpM1A(I)の構造的特徴を含む第6族のシクロペンタジエニル錯体が好ましい[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cpは、少なくとも1個のSiRD置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる]。
【0012】
一般式(II)の錯体が好ましい
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、置換基および添え字は、以下の意味を有する:
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、−OR6Aもしくは−NR6A7A、SO6A、OC(O)R6A、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PFもしくは塊状非配位アニオンであるか、または、2個の基Xは、置換もしくは非置換ジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、基Xは、同一または異なっていて、互いに結合することができるか、またはXは以下の基の配位子であり:
【0015】
【化2】

【0016】
ここにおいて、
1A−Q2Aは、O、NR6A、CR6A7AまたはSであり、Q1AおよびQ2AはM1Aに結合しており、
3Aは、CまたはSであり、そして
4Aは、OR6A、SR6A、NR6A7A、PR6A7A、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR8Aであり、
1A−E5Aは、それぞれ炭素であるか、またはE1A〜E5Aの1つ以下がリンもしくは窒素、好ましくは炭素であり、
tは、1、2または3であり、M1Aの原子価に応じて、一般式(II)の錯体が帯電していないようなものであり、
ここにおいて、
1A〜R5Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8A、N(SiR8A、OR8A、OSiR8A、SiR8Aであり、ここにおいて、有機基R1A−R5Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R1A−R5A、特に隣接している基は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R1A−R5Aは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、そして少なくとも1個のR1A〜R4Aは置換基SiRDであり、ここにおいて、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
6AおよびR7Aはそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル;C−C22−アルケニル;C−C22−アリール;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル;これらに関し、有機基R6AおよびR7Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R6AおよびR7Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる;あるいは、SiR8Aであり、そして
基R8Aは、同一または異なっていることができ、それぞれ、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであることができ、ここにおいて、有機基R8Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R8Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
1Aは、Xまたは
【0017】
【化3】

【0018】
であり、ここにおいて、基
9A〜R13Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、R14A−C(O)O、R14A−C(O)NR14A、NR14A、N(SiR14A、OR14A、OSiR14A、SiR14A、SiRDであり、ここにおいて、有機基R9A−R13Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R9A−R13A、特に隣接している基は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R9A−R13Aは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、ここにおいて、
基R14Aは、同一または異なっていて、それぞれ、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、ここにおいて、有機基R14Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R14Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
6A−E10Aは、それぞれ炭素であるか、またはE6A〜E10Aの1つ以下がリンもしくは窒素、好ましくは炭素であり、
あるいは、基R5AとZ1Aは、一緒になって−R15A−A1A−基を形成し、ここにおいて、
15Aは、
【0019】
【化4】

【0020】
または=P(O)R16Aであり、
ここにおいて、
16A−R21Aは、同一または異なっていて、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、Si(R23A、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、ここにおいて、有機基R16A−R21Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R16A−R21Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
2A−M4Aはそれぞれ、ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ、好ましくはケイ素であり、
1Aは、
【0021】
【化5】

【0022】
−NR22A、−PR22Aまたは非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系であり、ここにおいて、
基R22Aはそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSi(R23Aであり、ここにおいて、有機基R22Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R22Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
23Aは、水素、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基R23Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R23Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
vは、1であり、またはA1Aが非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系である場合は0であることもでき、
あるいは、基R5AとR13Aは、一緒になって−R15A−基を形成する]。
【0023】
少なくとも1個の基R1A〜R4Aは置換基SiRDである。合計1、2または3個の基R1A〜R4Aが、置換基SiRDであることができる。1個の基R1A〜R4Aが置換基SiRDであることが好ましい。
【0024】
Rが、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2個の基Rが、結合して五、六または七員環を形成することもできる置換基SiRD、とりわけ、RがC−C22−アルキルである置換基SiRDが好ましい。Dは、好ましくはClまたはBrである。基Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−または3,4,5−トリメチルフェニル、およびベンジルの中から選択されることがとりわけ好ましい。
【0025】
本発明の目的に関し、アルキルは、線状、分岐状または環状アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシルである。アルケニルは、二重結合が内部または末端にあることができる線状、分岐状または環状アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたは1−ヘキセニルである。C−C22−アリールは、アリール基がさらなるアルキル基により置換されていることができる非置換、置換または縮合アリール系、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェニルである。アリールアルキルは、アリール置換アルキルであり、さらなるアルキル基により置換されていることができ、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニルである。
【0026】
1Aは、架橋R15Aと一緒になって、例えば、アミン、エーテル、チオエーテルまたはホスフィンを形成することができる。しかしながら、A1Aは、炭素環原子に加えて酸素、硫黄、窒素およびリンからなる群からのヘテロ原子を含有することができる非置換、置換または縮合ヘテロ環式芳香環系であることもできる。炭素原子に加えて1〜4個の窒素原子および/または1個の硫黄もしくは酸素原子を環原子として含有することができる五員ヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イルおよび1,2,4−トリアゾル−3−イルである。1〜4個の窒素原子および/または1個のリン原子を含有することができる六員ヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファフェニル(phosphaphenyl)、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルならびに1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イルおよび1,2,4−トリアジン−6−イルである。五員および六員ヘテロアリール基は、C−C10−アルキル;C−C10−アリール;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル;トリアルキルシリル;または、フッ素、塩素もしくは臭素などのハロゲンにより置換されていることもでき、あるいは、1個以上の芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物と縮合していることもできる。ベンゾ縮合五員ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル(coumaronyl)、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンゾイミダゾリルおよび7−ベンゾイミダゾリルである。ベンゾ縮合六員ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジルおよび1−フェナジルである。ヘテロ環の命名および番号付けは、L.FieserおよびM.Fieser,Lehrbuch der organischen Chemie,第3改訂版,Verlag Chemie,Weinheim 1957からとった。
【0027】
一般式(II)中の基Xが同一で、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C〜C−アルキルまたはアラルキル、とりわけ塩素、メチルまたはベンジルであることが好ましい。
【0028】
このタイプの式(II)の錯体としては、縮合しているヘテロ環とシクロペンタジエニルまたはヘテロシクロペンタジエニルとにより形成される少なくとも1個の配位子を有する化合物も挙げられ、ここにおいて、該ヘテロ環は、芳香族であることが好ましく、窒素および/または硫黄を含有することが好ましい。
【0029】
以下の一般式Cp−Y1A(III)の構造的特徴を含むモノシクロペンタジエニル錯体がとりわけ好ましい[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cpは、少なくとも1個の置換基SiRDを有するシクロペンタジエニル系であり、ここにおいて、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
Yは、Cpに結合しており周期表の第15または16族の原子を少なくとも1個含有する少なくとも1種の非荷電供与体を含有する置換基であり、
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、そして
mは、1、2または3である]。
【0030】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体は、一般式Cp−Y1A(III)の構造要素を含み、ここにおいて、可変要素は先に定義したとおりである。したがって、さらなる配位子が金属原子M1Aに結合していてもよい。さらなる配位子の数は、例えば、金属原子の酸化状態に依存する。該配位子は、さらなるシクロペンタジエニル系ではない。適した配位子は、Xについて一例として記載したようなモノアニオンおよびジアニオン配位子である。これに加えて、アミン、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、硫化物またはホスフィンなどのルイス塩基が、金属中心M1Aに結合することができる。該モノシクロペンタジエニル錯体は、モノマー、ダイマーまたはオリゴマーであることができる。該モノシクロペンタジエニル錯体は、モノマーの形にあることが好ましい。
【0031】
1Aは、クロム、モリブデンおよびタングステンからなる群より選択される金属である。触媒的に活性な錯体中の遷移金属M1Aの酸化状態は、通常当業者に公知である。クロム、モリブデンおよびタングステンは、酸化状態+3で存在する可能性が高い。しかしながら、酸化状態が活性触媒の酸化状態に相当しない錯体を用いることも可能である。その場合、そのような錯体を、適した活性剤により適切に還元または酸化することができる。M1Aは、クロムまたはモリブデンであることが好ましい。酸化状態2、3および4、とりわけ3にあるクロムが、とりわけ好ましい。
【0032】
mは1、2または3であることができる、すなわち、1、2または3個の供与体基YがCpに結合することができる。2または3個のY基が存在する場合、これらは同一または異なっていることができる。供与体基Yが1個だけCpに結合している(m=1)ことが好ましい。
【0033】
非荷電供与体Yは、周期表の第15もしくは16族の元素またはカルベンを含有する非荷電官能基、例えば、アミン、イミン、カルボキサミド、カルボキシルエステル、ケトン、(オキソ)、エーテル、チオケトン、ホスフィン、ホスファイト、ホスフィンオキシド、スルホニル、スルホンアミド、N−置換イミダゾル−2−イリデンのようなカルベン、または非置換、置換もしくは縮合した部分的不飽和のヘテロ環式環系もしくはヘテロ芳香環系である。供与体Yは、遷移金属M1Aに分子間結合もしくは分子内結合していることができ、またはこれに結合していなくてもよい。供与体Yは、金属中心M1Aに分子内結合していることが好ましい。一般式
【0034】
【化6】

【0035】
の構造要素を含むモノシクロペンタジエニル錯体がとりわけ好ましい。
Cpは、あらゆる置換基を持つことができる、および/または1個以上の芳香環、脂肪族環、ヘテロ環式環もしくはヘテロ芳香環と縮合していることができるシクロペンタジエニル系であって、1、2もしくは3個の置換基、好ましくは1個の置換基が基Yにより形成されている、および/または1、2もしくは3個の置換基、好ましくは1個の置換基が基Yにより置換されている、および/または芳香族、脂肪族、ヘテロ環式もしくはヘテロ芳香族の縮合環が、1、2もしくは3個の置換基Y、好ましくは1個の置換基Yを持つものである。さらに、シクロペンタジエニル系は、1個以上の置換基SiRD、とりわけ好ましくは1個の置換基SiRDを持つ。シクロペンタジエニル骨格それ自体は、6個のπ電子を有し炭素原子の1つが窒素またはリン、好ましくはリンにより置換されていることもできるC環系である。ヘテロ原子により置換されている炭素原子を有さないC環系を用いることが好ましい。例えば、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有するヘテロ芳香族化合物か、または芳香族化合物が、このシクロペンタジエニル骨格に縮合することが可能である。この文脈において、“縮合している”とは、ヘテロ環とシクロペンタジエニル骨格が2個の原子、好ましくは炭素原子を共有していることを意味する。該シクロペンタジエニル系はM1Aに結合している。
【0036】
SiRDの好ましい態様および他の可変要素は、単独または組み合わせた形での上記好ましい態様と同じである。
【0037】
とりわけ有用なモノシクロペンタジエニル錯体は、Yが、基−R15A−A1A−により形成されていて、シクロペンタジエニル系CpおよびM1Aと一緒になって、一般式Cp−R15A−A1A−M1A(IV)の構造要素を含むモノシクロペンタジエニル錯体を形成するものである[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cp−R15A−A1Aは、
【0038】
【化7】

【0039】
であり、ここにおいて、可変要素は以下の意味を有する:
1A−E5Aは、それぞれ炭素であるか、またはE1A〜E5Aの1つ以下がリンであり、
1A−R4Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8A、N(SiR8A、OR8A、OSiR8A、SiR8A、BR8Aであり、ここにおいて、有機基R1A−R4Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、2個の隣接基R1A−R4Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R1A−R4Aは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成し、そして少なくとも1個のR1A−R4Aは置換基SiRDであり、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基R8Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2個のジェミナル基R8Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、
15Aは、
【0040】
【化8】

【0041】
からなる群より選択される、A1AとCpの間の二価の架橋であり、
2A−M3Aはそれぞれ、互いに独立して、ケイ素またはゲルマニウムであり、
16A−R21Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR23Aであり、ここにおいて、有機基R16A−R21Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、2個のジェミナルまたは隣接基R16A−R21Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
基R23Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシ、またはC−C10−アリールオキシであり、2個の基R23Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
1Aは、元素の周期表の第15および/もしくは16族の1個以上の原子またはカルベンを含有する非荷電供与体基、好ましくは、非置換、置換もしくは縮合ヘテロ芳香環系であり、
1Aは、クロム、モリブデンおよびタングステンからなる群より選択される金属であり、そして
vは、0または1である]。
【0042】
好ましいシクロペンタジエニル系Cpにおいて、E1A〜E5Aはすべて炭素である。
金属錯体の重合挙動には、置換基R1A−R4Aを変動させることにより影響を及ぼすことができる。置換基のタイプおよび数は、重合するオレフィンが金属原子M1Aに接近する能力に影響を及ぼすことができる。このようにして、さまざまなモノマー、とりわけ塊状モノマーに関し、触媒の活性および選択性を改変することが可能である。置換基は、成長中のポリマー鎖の停止反応速度にも影響を及ぼすことができるので、形成するポリマーの分子量もこのようにして変更することができる。所望の結果を達成するためには、置換基R1A−R4Aのうち1個は必ずC−C22−アリールまたはアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルである。残りの置換基は、幅広く変動させることができる。考えうるカルボ有機(carboorganic)置換基R1A−R4Aの例は以下のものである:水素;線状または分岐状であることができるC−C22−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルまたはn−ドデシル;順次C−C10−アルキル基および/またはC−C10−アリール基を置換基として持つことができる五〜七員シクロアルキル、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンまたはシクロドデカン;線状、環状または分岐状であることができ、二重結合が内部または末端にあることができるC−C22−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニル;さらなるアルキル基により置換されていることができるC−C22−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−または2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−または3,4,5−トリメチルフェニル;ならびに、さらなるアルキル基により置換されていることができるアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−または2−エチルフェニル;ここにおいて、基R1A−R4Aのうち2個は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または隣接基R1A−R4Aのうち2個は、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、および/または有機基R1A−R4Aは、フッ素、塩素もしくは臭素のようなハロゲンにより置換されていることもできる。さらに、R1A−R4Aは、、アミノNR8AもしくはN(SiR8A、アルコキシまたはアリールオキシOR8A、例えば、ジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシまたはイソプロポキシであることもできる。有機シリコン(organosilicon)置換基SiR8Aにおいて、基R8Aは、R1A−R4Aについて先により詳細に記載したものと同じカルボ有機基であることができ、ここにおいて、2個のR8Aは、結合して五または六員環を形成することもできる。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルまたはジメチルフェニルシリルである。これらのSiR8A基は、酸素または窒素を介してシクロペンタジエニル骨格に結合することもでき、例えば、トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、ブチルジメチルシリルオキシ、トリブチルシリルオキシ、またはトリ−tert−ブチルシリルオキシである。好ましい基R1A−R4Aは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−もしくは−ジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−もしくはトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびアントラニルである。とりわけ有用な有機シリコン置換基は、アルキル基に1〜10個の炭素原子を有するトリアルキルシリル基、特にトリメチルシリル基である。
【0043】
2個の隣接基R1A−R4Aは、それらを持つ原子E1A−E5Aと一緒になって、窒素、リン、酸素および硫黄からなる群からの少なくとも1個の原子、とりわけ好ましくは窒素および/または硫黄を含有するヘテロ環、好ましくはヘテロ芳香族化合物を形成することができ、ここにおいて、該ヘテロ環またはヘテロ芳香族化合物中に存在する原子E1A−E5Aは、炭素であることが好ましい。5または6個の環原子の環サイズを有するヘテロ環およびヘテロ芳香族化合物が好ましい。炭素原子に加えて環原子として1〜4個の窒素原子および/または1個の硫黄もしくは酸素原子を含有することができる五員ヘテロ環の例は、1,2−ジヒドロフラン、フラン、チオフェン、ピロール、イソオキサゾール、3−イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾールおよび1,2,4−トリアゾールである。1〜4個の窒素原子および/または1個のリン原子を含有することができる六員ヘテロアリール基の例は、ピリジン、ホスファベンゼン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジンおよび1,2,3−トリアジンである。五員および六員ヘテロ環は、C−C10−アルキル;C−C10−アリール;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル;トリアルキルシリル;またはフッ素、塩素もしくは臭素などのハロゲン;ジアルキルアミド;アリールアルキルアミド;ジアリールアミド;アルコキシ;またはアリールオキシにより置換されていることもでき、あるいは、1個以上の芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物と縮合していることもできる。ベンゾ縮合五員ヘテロアリール基の例は、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾールおよびベンゾイミダゾールである。ベンゾ縮合六員ヘテロアリール基の例は、クロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,10−フェナントロリンおよびキノリジンである。ヘテロ環の命名および番号付けは、Lettau,Chemie der Heterocyclen,第1版,VEB,Weinheim 1979からとった。ヘテロ環/ヘテロ芳香族化合物は、ヘテロ環/ヘテロ芳香族化合物のC−C二重結合を介してシクロペンタジエニル骨格と縮合していることが好ましい。ヘテロ原子を1個有するヘテロ環/ヘテロ芳香族化合物は、2,3−またはb−位で縮合していることが好ましい。
【0044】
縮合ヘテロ環を有するシクロペンタジエニル系Cpは、例えば、チアペンタレン、メチルチアペンタレン、エチルチアペンタレン、イソプロピルチアペンタレン、n−ブチルチアペンタレン、tert−ブチルチアペンタレン、トリメチルシリルチアペンタレン、フェニルチアペンタレン、ナフチルチアペンタレン、メチルチアペンタレン、アザペンタレン、メチルアザペンタレン、エチルアザペンタレン、イソプロピルアザペンタレン、n−ブチルアザペンタレン、トリメチルシリルアザペンタレン、フェニルアザペンタレン、ナフチルアザペンタレン、オキサペンタレンまたはホスファペンタレンである。
【0045】
縮合しているヘテロ環を有するそのようなシクロペンタジエニル系の合成は、例えば、上記WO98/22486に記載されている。“Metalorganic catalysts for synthesis and polymerisation”,Springer Verlag 1999,Ewen et al.,p.150ffには、これらシクロペンタジエニル系の他の合成法が記載されている。
【0046】
とりわけ好ましい置換基R1A−R4Aは、上記のカルボ有機置換基、および、環状縮合環系を形成する、すなわち、E1A−E5A骨格、好ましくはC−シクロペンタジエニル骨格と一緒になって、例えば、非置換または置換されているインデニル、ベンゾインデニル、フェナントレニル、もしくはテトラヒドロインデニル系を形成するカルボ有機置換基、とりわけ、それらの好ましい態様である。
【0047】
そのようなシクロペンタジエニル系(第1位に位置することが好ましい基−R15A−A1A−を含まず、アリール置換基を含まないもの)の例は、モノアルキルシクロペンタジエニル系、例えば、3−メチルシクロペンタジエニル、3−エチルシクロペンタジエニル、3−イソプロピルシクロペンタジエニル、3−tert−ブチルシクロペンタジエニル、ジアルキルシクロペンタジエニル系、例えば、テトラヒドロインデニル、2,4−ジメチルシクロペンタジエニルおよび3−メチル−5−tert−ブチルシクロペンタジエニル、ならびにトリアルキルシクロペンタジエニル系、例えば、2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル、そしてまた、インデニルおよびベンゾインデニルである。縮合環系はさらに、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8A、N(SiR8A、OR8A、OSiR8A、またはSiR8Aを持つことができ、例えば、4−メチルインデニル、4−エチルインデニル、4−イソプロピルインデニル、5−メチルインデニル、4−フェニルインデニル、5−メチル−4−フェニルインデニルまたは4−ナフチルインデニルである。
【0048】
置換基R1A−R4Aの少なくとも1個、好ましくは1個の置換基R1A−R4Aは、置換基SiRDである。SiRDの好ましい態様は上記している。置換基SiRDは、置換基−R15A−A1Aに対して隣接する位置に位置することができ、または、2個の置換基が、シクロペンタジエニル環上で互いに対して1,3位に位置している。−R15A−A1Aと置換基SiRDが、シクロペンタジエニル環上で互いに対して1,2位に位置していることが好ましい。
【0049】
メタロセンの場合のように、本発明のモノシクロペンタジエニル錯体はキラルであることができる。したがって、シクロペンタジエニル骨格の置換基R1A−R4Aのいずれか1つは1個以上のキラル中心を有することができ、または、シクロペンタジエニル系Cpそれ自体が、遷移金属M1Aに結合している場合にのみキラリティーが導かれるようなエナンチオトピックであることができる(シクロペンタジエニル化合物におけるキラリティーに関する規約(convention)については、R.Halterman,Chem.Rev.92,(1992),965−994参照)。
【0050】
シクロペンタジエニル系Cpと非荷電供与体A1Aの間の架橋R15Aは、炭素および/またはケイ素を含有する架橋構成要素からなることが好ましい二価の有機架橋(v=1)である。シクロペンタジエニル系とA1Aとの連結の長さを変化させることにより、触媒の活性に影響を及ぼすことができる。
【0051】
連結R15A上の考えうるカルボ有機置換基R16A−R21Aは、例えば以下のものである:水素;線状もしくは分岐状であることができるC−C20−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルもしくはn−ドデシル;順次C−C10−アリール基を置換基として持つことができる五〜七員シクロアルキル、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンもしくはシクロドデカン;線状、環状もしくは分岐状であることができ、二重結合が内部もしくは末端にあることができるC−C20−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルもしくはシクロオクタジエニル;さらなるアルキル基により置換されていることができるC−C20−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イル;または、さらなるアルキル基により置換されていることができるアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニル;ここにおいて、2個の基R16A〜R21Aは、結合して五または六員環、例えばシクロヘキサンを形成することもでき、ならびに有機基R16A−R21Aは、フッ素、塩素または臭素のようなハロゲンにより置換されていることもでき、例えば、ペンタフルオロフェニルまたはビス−3,5−トリフルオロメチルフェン−1−イルであり、およびアルキルまたはアリールにより置換されていることもできる。
【0052】
有機シリコン置換基SiR23Aにおいて、考えうる基R23Aは、R16A−R21Aについて先により詳細に記載したものと同じ基であり、ここにおいて、2個の基R23Aは、結合して五または六員環を形成することもできる。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルまたはジメチルフェニルシリルである。好ましい基R23Aは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル、フェニル、オルト−ジアルキル−もしくはジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−もしくはトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびアントラニルである。
【0053】
とりわけ好ましい置換基R16A−R21Aは、水素;線状もしくは分岐状であることができるC−C20−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルもしくはn−ドデシル;さらなるアルキル基により置換されていることができるC−C20−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イル;または、さらなるアルキル基により置換されていることができるアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニルであり、ここにおいて、2個の基R16A〜R21Aは、結合して五または六員環、例えばシクロヘキサンを形成することもでき、ならびに有機基R16A−R21Aは、フッ素、塩素または臭素のようなハロゲン、とりわけフッ素により置換されていることもでき、例えば、ペンタフルオロフェニルまたはビス−3,5−トリフルオロメチルフェン−1−イルであり、およびアルキルまたはアリールにより置換されていることもできる。メチル、エチル、1−プロピル、2−イソプロピル、1−ブチル、2−tert−ブチル、フェニルおよびペンタフルオロフェニルが、とりわけ好ましい。
【0054】
15Aは、好ましくは−CR16A17A−、−SiR16A17A−基、特にSi(CH−、−CR16A17ACR18A19A−、−SiR16A17ACR18A19A−、または置換もしくは非置換1,2−フェニレンであり、とりわけ−CR16A17A−である。上記置換基R16A〜R21Aの好ましい態様は、ここでも同様に好ましい態様である。−CR16A17A−は、−CHR16A−、−CH−または−C(CH−基であることが好ましい。−M2A16A17ACR18A19A−において、基−SiR16A17A−はシクロペンタジエニル系またはA1Aに結合することができる。この基−SiR16A17A−またはその好ましい態様は、Cpに結合していることが好ましい。
【0055】
vは0または1であり、特に、1に等しいか、またはA1Aが非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系である場合は0であることもできる。
【0056】
1Aは、周期表の第15もしくは16族の原子またはカルベン、好ましくは、酸素、硫黄、窒素およびリンからなる群より選択される1個以上の原子、好ましくは窒素またはリンを含有する非荷電供与体である。A1Aにおける供与体の機能は、金属M1Aに分子間結合または分子内結合することを可能にする。A1Aにおける供与体は、M1Aに分子内結合することが好ましい。考えうる供与体は、周期表の第15または16族の元素を含有する非荷電官能基、例えば、アミン、イミン、カルボキサミド、カルボキシルエステル、ケトン(オキソ)、エーテル、チオケトン、ホスフィン、ホスファイト、ホスフィンオキシド、スルホニル、スルホンアミド、N−置換イミダゾル−2−イリデンのようなカルベン、あるいは非置換、置換または縮合ヘテロ環式環系である。A1Aからシクロペンタジエニル基およびR15Aへの結合の合成は、例えば、WO00/35928の方法と類似の方法により実施することができる。A1Aは、−OR22A−、−SR22A−、−NR22A−、−PR22A、−C=NR22A−、および非置換、置換または縮合ヘテロ芳香環系、とりわけ、−NR22A−、−C=NR22A−、および非置換、置換または縮合ヘテロ芳香環系の中から選択される基であることが好ましい。
【0057】
基R22Aは、互いに独立して、水素;線状、環状もしくは分岐状であることができるC−C20−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルもしくはn−ドデシル;順次C−C10−アリール基を置換基として持つことができるシクロアルキル、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンもしくはシクロドデカン;線状、環状もしくは分岐状であることができ、二重結合が内部もしくは末端にあることができるC−C20−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルもしくはシクロオクタジエニル;さらなるアルキル基により置換されていることができるC−C20−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イル;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有し、さらなるアルキル基により置換されていることができるアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−もしくは2−エチルフェニル;またはSiR23Aであり;ここにおいて、有機基R22Aは、フッ素、塩素または臭素のようなハロゲンまたは窒素含有基、およびさらにC−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR23A基により置換されていることもでき、2個の隣接基R22Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして基R23Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、そして2個の基R23Aは、結合して五または六員環を形成することもできる。
【0058】
NR22Aはアミド置換基である。ジメチルアミド、N−エチルメチルアミド、ジエチルアミド、N−メチルプロピルアミド、N−メチルイソプロピルアミド、N−エチルイソプロピルアミド、ジプロピルアミド、ジイソプロピルアミド、N−メチルブチルアミド、N−エチルブチルアミド、N−メチル−tert−ブチルアミド、N−tert−ブチルイソプロピルアミド、ジブチルアミド、ジ−sec−ブチルアミド、ジイソブチルアミド、tert−アミル−tert−ブチルアミド、ジペンチルアミド、N−メチルヘキシルアミド、ジヘキシルアミド、tert−アミル−tert−オクチルアミド、ジオクチルアミド、ビス(2−エチルヘキシル)アミド、ジデシルアミド、N−メチルオクタデシルアミド、N−メチルシクロヘキシルアミド、N−エチルシクロヘキシルアミド、N−イソプロピルシクロヘキシルアミド、N−tert−ブチルシクロヘキシルアミド、ジシクロヘキシルアミド、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、デカヒドロキノリン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリドまたはN−エチルアニリドなどの第二級アミドがであること好ましい。
【0059】
イミノ基−C=NR22Aにおいて、R22Aは、さらなるアルキル基により置換されていることができるC−C20−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェン−1−イル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェン−1−イルであることが好ましい。
【0060】
1Aは、炭素環原子の他に、酸素、硫黄、窒素およびリンからなる群からのヘテロ原子を含有することができる非置換、置換または縮合ヘテロ芳香環系であることが好ましい。炭素原子に加えて1〜4個の窒素原子または1〜3個の窒素原子および/または1個の硫黄もしくは酸素原子を環原子として含有することができる五員ヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イルまたは1,2,4−トリアゾル−3−イルである。1〜4個の窒素原子および/または1個のリン原子を含有することができる六員ヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファフェニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルならびに1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イルおよび1,2,4−トリアジン−6−イルである。五員および六員ヘテロアリール基は、C−C10−アルキル;C−C10−アリール;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル;トリアルキルシリル;またはフッ素、塩素もしくは臭素などのハロゲンにより置換されていることもでき、あるいは、1個以上の芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物と縮合していることもできる。ベンゾ縮合五員ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンゾイミダゾリルまたは7−ベンゾイミダゾリルである。ベンゾ縮合六員ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジル(phenanthridyl)および1−フェナジルである。ヘテロ環の命名および番号付けは、L.FieserおよびM.Fieser,Lehrbuch der organischen Chemie,第3改訂版,Verlag Chemie,Weinheim 1957からとった。
【0061】
これらのヘテロ芳香族系A1Aのうち、ヘテロ芳香部に1、2、3、4または5個の窒素原子を有する非置換、置換および/または縮合六員ヘテロ芳香族化合物、とりわけ、置換および非置換2−ピリジル、2−キノリルまたは8−キノリルであることが、とりわけ好ましい。
【0062】
したがって、A1Aは式(Va)または(Vb)の基であることが好ましい
【0063】
【化9】

【0064】
[式中、
11A−E20Aはそれぞれ、互いに独立して、炭素または窒素であり、
24A−R33Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR34Aであり、ここにおいて、有機基R24A−R33Aは、ハロゲンまたは窒素、およびさらなるC−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR34A基により置換されていることもでき、2個の隣接基R24A−R33A、またはR24AおよびR15Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
基R34Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2個の基R34Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして、
pは、E11A−E20Aが窒素である場合は0であり、E11A−E20Aが炭素である場合は1である]。
【0065】
詳細には、0または1個のE11A−E20Aが窒素であり、残りが炭素である。A1Aは、2−ピリジル、6−メチル−2−ピリジル、4−メチル−2−ピリジル、5−メチル−2−ピリジル、5−エチル−2−ピリジル、4,6−ジメチル−2−ピリジル、3−ピリダジル、4−ピリミジル、6−メチル−4−ピリミジル、2−ピラジニル、6−メチル−2−ピラジニル、5−メチル−2−ピラジニル、3−メチル−2−ピラジニル、3−エチルピラジニル、3,5,6−トリメチル−2−ピラジニル、2−キノリル、4−メチル−2−キノリル、6−メチル−2−キノリル、7−メチル−2−キノリル、2−キノキサリルまたは3−メチル−2−キノキサリルであることが、とりわけ好ましい。
【0066】
調製が容易なため、R15AとA1Aの好ましい組合わせは、R15Aが非置換または置換1,2−フェニレン基で、A1AがNR22Aである場合、およびまたR15Aが−CHR16A−、−CH−、−C(CH−または−Si(CH−であり、A1Aが非置換もしくは置換2−キノリルまたは非置換もしくは置換2−ピリジルである組合わせである。vが0であり架橋R15Aを有さない系も、とりわけ簡単に得られる。この場合、A1Aは、式(Vb)の置換基、とりわけ非置換または置換8−キノリルであることが好ましい。可変要素の上記好ましい態様は、これらの好ましい組合わせにおいても好ましい。
【0067】
1Aは、クロム、モリブデンおよびタングステンからなる群より選択される金属であり、好ましくはクロムである。酸化状態2、3および4、とりわけ3にあるクロムが、とりわけ好ましい。
【0068】
適したモノシクロペンタジエニル錯体のうち、一般式Cp−Y1A(VI)のものが好ましく、ここにおいて、可変要素Cp、Y、mおよびA1Aは上記したとおりであり、それらの好ましい態様はここでも好ましく、そして:
基Xはそれぞれ、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR6A7A、OR6A、SR7A、SO6A、OC(O)R7A、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PFもしくは塊状非配位アニオンであるか、または、2個の基Xは、置換もしくは非置換ジエン配位子、とりわけ1,3−ジエン配位子を形成し、そして基Xは互いに結合することができ、
6A−R7Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、SiR8Aであり、ここにおいて、有機基R6A−R7Aは、ハロゲンまたは窒素含有基もしくは酸素含有基により置換されていることもでき、2個の基R6A−R7Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、
基R8Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2個の基R8Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
nは、1、2または3である。
【0069】
上記Cp、Y、R15A、A1A、m、kおよびM1Aの態様および好ましい態様は、個別および組合わせで、これら好ましいモノシクロペンタジエニル錯体にも適合する。
【0070】
配位子Xは、例えば、モノシクロペンタジエニル錯体の合成に出発材料として用いられる金属化合物の選択に由来するが、後で変動させることもできる。考えうる配位子Xは、とりわけ、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン、とりわけ塩素である。メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル、フェニルまたはベンジルのようなアルキル基も有利な配位子Xである。さらなる配位子Xとして、トリフルオロアセテート、BF、PF、および弱配位または非配位アニオン(例えば、Chem.Rev.1993,93,927−942のS.Strauss参照)、例えばB(Cについて言及することができるが、単に一例としてであり、決して包括的なものではない。
【0071】
アミド、アルコキシド、スルホネート、カルボキシレートおよびβ−ジケトネートも、とりわけ適した配位子Xである。基R6AおよびR7Aを変動させると、例えば、溶解度のような物理的性質を緻密に調整することが可能になる。考えうるカルボ有機置換基R6A−R7Aは、例えば、以下のものである:線状または分岐状であることができるC−C20−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルまたはn−ドデシル;順次C−C10−アリール基を置換基として持つことができる三〜十二員シクロアルキル、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンまたはシクロドデカン;線状、環状または分岐状であることができ、二重結合が内部または末端にあることができるC−C20−アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニル;さらなるアルキル基および/またはN−もしくはO−含有基により置換されていることができるC−C20−アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−または2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−または3,4,5−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−N,N−ジメチルアミノフェニル;あるいは、さらなるアルキル基により置換されていることができるアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−または2−エチルフェニル;ここにおいて、R6Aは、R7Aに結合して五または六員環を形成することもでき、有機基R6A−R7Aは、フッ素、塩素または臭素のようなハロゲンにより置換されていることもできる。有機シリコン置換基SiR8Aにおいて、基R8Aは、R6A−R7Aについて先により詳細に記載したものと同じ基であることができ、ここにおいて、2個のR8Aは、結合して五または六員環を形成することもできる。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルまたはジメチルフェニルシリルである。C−C10−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、そしてまたビニル、アリル、ベンジルおよびフェニルを基R6AおよびR7Aとして使用することが好ましい。これらの置換されている配位子Xのいくつかは、安価で容易に入手可能な出発材料から得ることができるので、とりわけ好ましく用いられる。したがって、とりわけ好ましい態様は、Xがジメチルアミド、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、ナフトキシド、トリフレート、p−トルエンスルホネート、アセテートまたはアセチルアセトネートである態様である。
【0072】
配位子Xの数は、遷移金属M1Aの酸化状態に依存する。したがって、数nを一般名に与えることはできない。触媒的に活性な錯体中の遷移金属M1Aの酸化状態は、通常当業者に公知である。クロム、モリブデンおよびタングステンは酸化状態+3で存在する可能性が高い。しかしながら、酸化状態が活性触媒の酸化状態に相当しない錯体を用いることも可能である。その場合、そのような錯体を、適した活性剤により適切に還元または酸化することができる。酸化状態+3にあるクロム錯体を用いることが好ましい。
【0073】
このタイプの好ましいモノシクロペンタジエニル錯体A)は、1−(8−キノリル)−3−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−(クロロジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチル−4−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−メチル−4−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−メチル−4−(クロロジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチル−4−(クロロジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−(ブロモジエチルシリル)インデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−(クロロジメチルシリル)ベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチル−3−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−3−(ブロモジメチルシリル)インデニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルメチル)−3−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルメチル)−2−メチル−4−(クロロジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルエチル)−3−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロムジクロリド、1−(2−ピリジル−1−メチルエチル)−3−(クロロジメチルシリル)フェニルシクロペンタジエニルクロムジクロリドまたは1−(2−ピリジル−1−フェニルメチル)−3−(ブロモジメチルシリル)シクロペンタジエニルクロムジクロリドである。
【0074】
さらに、われわれは、少なくとも1個のシリル基SiR
[式中、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる]
を持つ少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体の調製方法であって、少なくとも1個のシリル基SiRにより置換されている少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体を、BDと反応させることを含む方法を見いだした。
【0075】
BDは、DがF、Cl、BrまたはIである三ハロゲン化ホウ素であり、純物質として、または溶液の形で用いることができる。三ハロゲン化ホウ素を添加すると、通常、アルキル基のR置換基のみならず、M1A上の非Cp配位子も、Dにより置換される。用いられる少なくとも1個の置換基SiRを有する第6族のシクロペンタジエニル錯体が臭化物または二臭化物であるか、Cp以外に他の配位子を有さない場合、BDを、0.4:1〜100:1、好ましくは1:1〜20:1のB:SiRのモル比で用いることが好ましい。BrまたはCpでない他の配位子XがM1Aに配位している場合、Xにつきさらに0.4〜10、好ましくは1〜1.5モル当量のBDを用いると有利である。
【0076】
少なくとも1個の置換基SiRDを有する第6族の好ましい新規シクロペンタジエニル錯体は、置換基SiRを有する第6族の対応するシクロペンタジエニル錯体から調製することが好ましい。RがC−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであって、2個の基Rが、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできるもの、とりわけRがC−C22−アルキルである置換基SiRDおよびSiRが好ましい。シリル基SiR上のアルキル基はとりわけ容易に置換することができるが、容易に合成的に得られる。DはClまたはBrであることが好ましい。基Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシルの中から選択することがとりわけ好ましい。
【0077】
溶媒としては、すべての非プロトン性溶媒、とりわけ脂肪族および芳香族炭化水素、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、デカリン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンもしくはキシレン、またはハロゲン化炭化水素、例えば、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン、およびそれらの混合物を用いることが可能である。反応は、−100℃〜+160℃、とりわけ−80〜100℃の温度で実施することができる。
【0078】
少なくとも1個のシリル置換基SiRを有する第6族のシクロペンタジエニル錯体、特にクロム錯体は、適切な金属塩、例えば、金属塩化物を、適切なSiR置換配位子アニオンと反応させることにより、簡単に得ることができる(例えば、DE19710615中の実施例と類似の方法を用いる)。
【0079】
以下の一般式CpM1A(I)の構造的特徴を含む第6族のシクロペンタジエニル錯体[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cpは、少なくとも1個のSiRD置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる]
の調製方法であって、以下の一般式CpM1A(VI)の構造的特徴を含む第6族のシクロペンタジエニル錯体[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cpは、少なくとも1個のSiR置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる]、
を、BDと反応させることを含む方法が好ましい。
【0080】
式II、IIIまたはIVを有する第6族の好ましい新規シクロペンタジエニル錯体およびそれらの好ましい態様は、SiRがSiRDの代わりに存在している相当する錯体から該方法において調製することが好ましい。ここで、XがDと同一である錯体を得ることが好ましい。
【0081】
基Dは容易に置換することができるので、このようにして得られた第6族の新規シクロペンタジエニル錯体は、SiRD基を例えば担体に固定するために、または他の錯体の合成における中間体として、用いることができる。したがって、E)について以下で述べるように、第6族のシクロペンタジエニル錯体を用いると、1種以上の求核付加試薬、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、または第13族のアルキルおよび/もしくはアリール化合物を加えることにより、その場で2種の異なる錯体をもたらすことができる。特に、少なくとも1個のRが他の2個と異なる基SiRを有する第6族のシクロペンタジエニル錯体を、この方法で調製することができる。このようにして、例えば、試薬E)の添加の制御により生成物を制御することによりその場で調節することができる二峰性(bimodal)ポリオレフィン混合物、特にポリエチレン混合物をもたらすことが可能である。
【0082】
第6族の新規シクロペンタジエニル錯体は、単独で、または他の成分と一緒に、オレフィン重合のための触媒系として用いることができる。さらに、われわれは、
A)本発明に従った少なくとも1種の第6族のシクロペンタジエニル錯体、
B)所望により有機または無機担体、
C)所望により1種以上の活性化化合物、
D)所望により、オレフィン重合に適した1種以上の触媒、および
E)所望により、周期表の第1、2または13族の金属を含有する1種以上の金属化合物、
を含む、オレフィン重合のための触媒系を見いだした。
【0083】
このようにして、1種を超える第6族の新規シクロペンタジエニル錯体を、重合するオレフィン(1種または複数)と同時に接触させることができる。これは、この方法で幅広い範囲のポリマーをもたらすことができるという利点を有する。例えば、二峰性の生成物を、この方法で調製することができる。
【0084】
第6族の新規シクロペンタジエニル錯体を気相または懸濁液中での重合工程に用いることを可能にするためには、それらを固体の形状で用いる、すなわち、それらを固体担体B)に施用することが、しばしば有利である。さらに、担持された第6族のシクロペンタジエニル錯体は、高い生産性を有する。したがって、第6族の新規シクロペンタジエニル錯体は、所望により、有機または無機担体B)上に固定されていることができ、担持された形で重合に用いることができる。これにより、例えば、反応器中での付着物を回避し、ポリマーを形態学的に制御することが可能になる。担体材料としては、シリカゲル、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、メソ多孔質材料、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト、および有機ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、または極性官能基を持つポリマー、例えば、エテンとアクリル酸エステル、アクロレインもしくは酢酸ビニルとのコポリマーを用いることが好ましい。
【0085】
本発明に従った第6族のシクロペンタジエニル錯体と、少なくとも1種の活性化化合物C)を、担体成分B)と一緒に含む触媒系が、とりわけ好ましい。
【0086】
そのような担持触媒系を得るために、非担持触媒系を担体成分B)と反応させることができる。担体成分B)、第6族の新規シクロペンタジエニル錯体A)、および活性化化合物C)を化合する順序は、原則として重要ではない。第6族の新規シクロペンタジエニル錯体A)および活性化化合物C)は、互いに独立して、または同時に、固定化することができる。個々の工程段階の後、該固体を、適切な不活性溶媒、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素で洗浄することができる。
【0087】
担持触媒系の好ましい調製法では、少なくとも1種の第6族の新規シクロペンタジエニル錯体を少なくとも1種の活性化化合物(C)と適切な溶媒中で接触させて、可溶性の反応生成物、付加物または混合物を得ることが好ましい。その後、このようにして得られた調製物を、脱水または不動態化した担体材料と混合し、溶媒を除去し、第6族のシクロペンタジエニル錯体を含む得られた担持触媒系を乾燥して、溶媒のすべてまたはほとんどを担体材料の細孔から確実に除去する。担持触媒は、さらさらした粉末として得られる。上記工程の工業的実施の例は、WO96/00243、WO98/40419またはWO00/05277に記載されている。他の好ましい態様では、最初に活性化化合物C)を担体成分B)に施用した後、この担持化合物を第6族の新規シクロペンタジエニル錯体A)と接触させる。
【0088】
担体成分B)としては、任意の有機または無機固体であることができる微細担体を用いることが好ましい。特に、担体成分B)は、タルクのような多孔質担体、モンモリロナイト、雲母のような層状シリケート、無機酸化物、または微細ポリマー粉末(例えば、ポリオレフィンまたは極性官能基を持つポリマー)であることができる。
【0089】
用いられる担体材料は、10〜1000m/gの比表面積、0.1〜5mL/gの細孔容積、および1〜500μmの平均粒径を有することが好ましい。50〜700m/gの比表面積、0.4〜3.5mL/gの細孔容積、および5〜350μmの平均粒径を有する担体が好ましい。200〜550m/gの比表面積、0.5〜3.0mL/gの細孔容積、および10〜150μmの平均粒径を有する担体が、とりわけ好ましい。
【0090】
無機担体は、例えば吸着水を除去するために、熱処理に付すことができる。そのような乾燥処理は一般に、80〜800℃、好ましくは100〜300℃で実施し、100〜200℃での乾燥を減圧下および/または不活性ガス(例えば窒素)のガスシール下で実施することが好ましく、あるいは、無機担体を200〜1000℃で焼成して、固体の望ましい構造を作り出し、および/または表面上を望ましいOH濃度にすることができる。担体は、通例の乾燥剤、例えば、アルキル金属、好ましくはアルキルアルミニウム、クロロシランすなわちSiCl、またはメチルアルミノキサンを用いて化学的に処理することもできる。適切な処理法は、例えば、WO00/31090に記載されている。
【0091】
無機担体材料を化学的に修飾することもできる。例えば、シリカゲルをNHSiFまたは他のフッ素化剤で処理すると、シリカゲル表面のフッ素化がもたらされ、またはシリカゲルを、窒素含有基、フッ素含有基もしくは硫黄含有基を含有するシランで処理すると、相応して修飾されたシリカゲル表面がもたらされる。
【0092】
微細ポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレン)のような有機担体材料を用いることもでき、これも同様に、使用する前の適切な精製および乾燥作業により、密着している(adhering)水分、溶媒残渣または他の不純物を取り除くことが好ましい。官能基化したポリマー担体、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレンに基づくものであって、その官能基、例えばアンモニウム基またはヒドロキシ基により、触媒成分の少なくとも1種を固定化することができるものを用いることも可能である。
【0093】
担体成分B)として適する無機酸化物は、元素の周期表の第2、3、4、5、13、14、15および16族の元素の酸化物に見いだすことができる。担体として好ましい酸化物の例としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、およびカルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウムまたはチタンの元素の混合酸化物、そしてまた対応する酸化物混合物が挙げられる。単独または上記好ましい酸化物担体との組合わせで用いることができる他の無機酸化物は、例えば、MgO、CaO、AlPO、ZrO、TiO、Bまたはそれらの混合物である。
【0094】
オレフィン重合用触媒のための固体担体材料B)としては、シリカゲルを用いることが好ましい。これは、この材料から、サイズおよび構造によりオレフィン重合用担体として適切なものになる粒子を、生産することができるためである。より小さな粒状粒子、すなわち一次粒子の球状凝集体を含む噴霧乾燥したシリカゲルは、とりわけ有用であることが見いだされている。シリカゲルは、使用前に乾燥および/または焼成することができる。
【0095】
他の好ましい担体B)は、ハイドロタルサイト類および焼成ハイドロタルサイト類である。鉱物学において、ハイドロタルサイトは、理想的式
MgAl(OH)16CO・4H
を有する天然鉱物であり、その構造は、ブルーサイトMg(OH)の構造に由来する。ブルーサイトは、金属イオンが2層の最密充填ヒドロキシルイオンの間の八面体空孔にあり、2層ごとの八面体空孔のみが占有されている、層状構造で結晶化する。ハイドロタルサイトでは、マグネシウムイオンの一部がアルミニウムイオンにより置き換わられており、その結果、層のパケットが正電荷を得る。これは、結晶水と一緒に中間層に位置しているアニオンにより補われている。
【0096】
そのような層状構造は、マグネシウム−アルミニウムの水酸化物だけでなく、一般に、層状構造を有する一般式
M(II)2x2+M(III)3+(OH)4x+4・A2/nn−・zH
の混合金属水酸化物でも見いだされ、ここにおいて、M(II)は、二価の金属、例えば、Mg、Zn、Cu、Ni、Co、Mn、Caおよび/またはFeであり、M(III)は、三価の金属、例えば、Al、Fe、Co、Mn、La、Ceおよび/またはCrであり、xは0.5刻みで0.5〜10であり、Aは格子間アニオンであり、nは、1〜8、通常1〜4であることができる格子間アニオンの電荷であり、zは、1〜6、とりわけ2〜4の整数である。考えうる格子間アニオンは、アルコキシドアニオン、アルキルエーテルスルフェート、アリールエーテルスルフェートもしくはグリコールエーテルスルフェートのような有機アニオンか、とりわけ炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、塩化物、硫酸塩もしくはB(OH)のような無機アニオンか、またはMo246−またはV10286−のようなポリオキソ金属アニオンである。しかしながら、複数のそのようなアニオンの混合物も存在することができる。
【0097】
したがって、層状構造を有するそのような混合金属水酸化物はすべて、本発明の目的に関しハイドロタルサイト類と考えるべきである。
【0098】
焼成ハイドロタルサイト類は、焼成、すなわち加熱によりハイドロタルサイト類から調製することができ、この焼成すなわち加熱により、とりわけ所望のヒドロキシル基含量に調節することができる。これに加えて、結晶構造も変化する。本発明に従って用いられる焼成ハイドロタルサイト類の調製は、通常180℃を超える温度で実施する。250℃〜1000℃、とりわけ400℃〜700℃での3〜24時間にわたる焼成が好ましい。焼成中に空気または不活性ガスを固体の上方に通すか、真空を適用することが可能である。
【0099】
加熱中に、天然または合成ハイドロタルサイト類は最初に水を発する、すなわち乾燥が起こる。さらなる加熱、すなわち実際の焼成中に、金属水酸化物は、ヒドロキシル基および格子間アニオンの脱離により金属酸化物に転化する;OH基または炭酸塩のような格子間アニオンは、焼成ハイドロタルサイト類の中に存在することもできる。これの尺度は、強熱減量である。これは、最初に乾燥オーブンにおいて200℃で30分間、次にマッフル炉において950℃で1時間という2段階で加熱される試料が経る損失重量である。
【0100】
したがって、成分B)として用いられる焼成ハイドロタルサイト類は、二価および三価の金属M(II)およびM(III)の混合酸化物であり、M(II)とM(III)のモル比は一般に0.5〜10、好ましくは0.75〜8、とりわけ1〜4である。さらに、標準的量の不純物、例えば、Si、Fe、Na、CaまたはTi、そしてまた塩化物および硫酸塩も、存在することができる。
【0101】
好ましい焼成ハイドロタルサイト類B)は、M(II)がマグネシウムでM(III)がアルミニウムである混合酸化物である。そのようなアルミニウム−マグネシウム混合酸化物は、商品名Puralox MgでHamburgのCondea Chemie GmbH(現Sasol Chemie)から得ることができる。
【0102】
構造変態が完了またはほぼ完了している焼成ハイドロタルサイト類も好ましい。焼成、すなわち構造の変態は、例えば、X線回折パターンにより確認することができる。
【0103】
用いられるハイドロタルサイト類、焼成ハイドロタルサイト類またはシリカゲルは一般に、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、とりわけ好ましくは15〜100μm、とりわけ20〜70μmの平均粒径D50を有する微細粉末として用いられ、通常、0.1〜10cm/g、好ましくは0.2〜5cm/gの細孔容積、および30〜1000m/g、好ましくは50〜800m/g、とりわけ100〜600m/gの比表面積を有する。第6族の新規シクロペンタジエニル錯体は、完成した触媒系中の遷移金属錯体の濃度が、担体B)1gあたり5〜200μmol、好ましくは20〜100μmol、とりわけ好ましくは25〜70μmolになるような量で、施用することが好ましい。
【0104】
第6族の新規モノシクロペンタジエニル錯体のなかには単独では低い重合活性しか有さないものがあり、その場合、良好な重合活性を示すことが可能になるように、これらを活性剤、すなわち成分C)と接触させる。このため、触媒系は、成分C)として、1種以上の活性化化合物、好ましくは少なくとも1種のカチオン形成化合物C)を、さらに含んでいてもよい。
【0105】
第6族のシクロペンタジエニル錯体A)と反応して、それらを触媒的に活性またはより活性な化合物に転化することができる適切な化合物C)は、例えば、アルミノキサン、強い非荷電ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン化合物、またはブレンステッド酸をカチオンとして含有するイオン化合物などの化合物である。
【0106】
アルミノキサンとしては、例えばWO00/31090に記載されている化合物を用いることが可能である。とりわけ有用なアルミノキサンは、一般式(X)または(XI)の開鎖または環状アルミノキサン化合物である
【0107】
【化10】

【0108】
[式中、R1C−R4Cはそれぞれ、互いに独立して、C−C−アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、ブチルまたはイソブチル基であり、Iは、1〜30、好ましくは5〜25の整数である]。
【0109】
とりわけ有用なアルミノキサン化合物は、メチルアルミノキサンである。
これらのオリゴマー性アルミノキサン化合物は通常、トリアルキルアルミニウムの溶液と水との制御された反応により調製される。一般に、このようにして得られるオリゴマー性アルミノキサン化合物は、さまざまな長さの線状および環状両方の鎖状分子の混合物の形にあり、したがってIは平均値と考えるべきである。アルミノキサン化合物は、他のアルキル金属、通常アルキルアルミニウムとの混合材(admixture)中に存在することもできる。成分C)として適切なアルミノキサン調製物は市販されている。
【0110】
さらに、炭化水素基のいくつかが水素原子またはアルコキシ、アリールオキシ、シロキシもしくはアミド基により置換されている修飾アルミノキサンを、成分C)として一般式(X)または(XI)のアルミノキサン化合物の代わりに用いることもできる。
【0111】
第6族のシクロペンタジエニル錯体A)とアルミノキサン化合物を、任意のアルキルアルミニウムがなお存在しているアルミノキサン化合物からのアルミニウムと第6族のシクロペンタジエニル錯体A)からの遷移金属との原子比が、1:1〜1000:1、好ましくは10:1〜500:1、とりわけ20:1〜400:1であるような量で用いることが、有利であることを見いだした。
【0112】
適した活性化成分C)のさらなるクラスは、ヒドロキシアルミノキサンである。これらは、例えば、1当量のアルミニウムあたり0.5〜1.2当量の水、好ましくは0.8〜1.2当量の水を、アルキルアルミニウム化合物、特にトリイソブチルアルミニウムに、低温、通常0℃未満で加えることにより、調製することができる。そのような化合物およびオレフィン重合におけるそれらの使用は、例えば、WO00/24787に記載されている。ヒドロキシアルミノキサン化合物からのアルミニウムと第6族のシクロペンタジエニル錯体A)からの遷移金属との原子比は、通常1:1〜100:1、好ましくは10:1〜50:1、とりわけ20:1〜40:1である。この事例では、シクロペンタジエニル金属ジアルキル化合物A)を用いることが好ましい。
【0113】
強い非荷電ルイス酸としては、一般式(XII)の化合物が好ましい
1C1C2C3C (XII)
[式中、
1Cは、元素の周期表の第13族の元素、特にB、AlまたはGa、好ましくはBであり、
1C、X2CおよびX3Cはそれぞれ、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、それぞれアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキルもしくはハロアリール、または、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけハロアリール、好ましくはペンタフルオロフェニルである]。
【0114】
強い非荷電ルイス酸の他の例は、WO00/31090に記載されている。
成分C)としてとりわけ有用なこのタイプの化合物は、ボランおよびボロキシン、例えば、トリアルキルボラン、トリアリールボランまたはトリメチルボロキシンである。少なくとも2個の過フッ素化アリール基を持つボランを用いることがとりわけ好ましい。X1C、X2CおよびX3Cが同一である一般式(XII)の化合物、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが、とりわけ好ましい。
【0115】
適した化合物C)は、式(XII)のアルミニウムまたはホウ素化合物と、水、アルコール、フェノール誘導体、チオフェノール誘導体またはアニリン誘導体との反応により調製することが好ましく、ハロゲン化および特に過フッ素化アルコールおよびフェノール類がとりわけ重要である。とりわけ有用な化合物の例は、ペンタフルオロフェノール、1,1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノールおよび4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニルである。式(XII)の化合物とブレンステッド酸との組合わせの例は、とりわけ、トリメチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、トリメチルアルミニウム/1−ビス(ペンタフルオロフェニル)メタノール、トリメチルアルミニウム/4−ヒドロキシ−2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’−ノナフルオロビフェニル、トリエチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、およびトリイソブチルアルミニウム/ペンタフルオロフェノール、およびトリエチルアルミニウム/4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル水和物である。
【0116】
式(XII)の他の適したアルミニウムおよびホウ素化合物において、X1Cは、例えば、ボロン酸およびボリン酸、特に、過フッ素化アリール基を有するボリン酸、例えば(CBOHにおいてのように、OH基である。
【0117】
活性化化合物C)として適する強い非荷電ルイス酸としては、ボロン酸と2当量のトリアルキルアルミニウムとの反応の反応生成物、またはトリアルキルアルミニウムと2当量の酸性のフッ素化、特に過フッ素化炭素化合物、例えばペンタフルオロフェノールもしくはビス(ペンタフルオロフェニル)ボリン酸との反応の反応生成物も挙げられる。
【0118】
ルイス酸カチオンを有する適切なイオン化合物としては、一般式(XIII)のカチオンの塩様(salt-like)化合物が挙げられる
[((M2Ca+)Q...Qd+ (XIII)
[式中、
2Cは、元素の周期表の第1〜16族の元素であり、
〜Qは、負に帯電している一価の基、例えば、C−C28−アルキル;C−C15−アリール;それぞれアリール部に6〜20個の炭素原子およびアルキル部に1〜28個の炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ハロアリール;C−C10−アルキル基を置換基として持つことができるC−C10−シクロアルキル;ハロゲン;C−C28−アルコキシ;C−C15−アリールオキシ;シリル;またはメルカプチル基であり、
aは、1〜6の整数であり、
zは、0〜5の整数であり、
dは、a−zの差に相当するが、dは1以上である]。
【0119】
とりわけ有用なカチオンは、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオンおよびスルホニウムカチオン、そしてまたカチオン性遷移金属錯体である。とりわけ、トリフェニルメチルカチオン、銀カチオンおよび1,1’−ジメチルフェロセニルカチオンに言及することができる。それらは、非配位対イオン、とりわけWO91/09882でも言及されているようなホウ素化合物、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを有することが好ましい。
【0120】
非配位アニオンを有する塩は、ホウ素またはアルミニウム化合物、例えばアルキルアルミニウムを、反応して2個以上のホウ素またはアルミニウム原子に連結することができる第2の化合物、例えば水、およびホウ素またはアルミニウム化合物と一緒に解離性(ionizing)イオン化合物を形成する第3の化合物、例えばトリフェニルクロロメタン、または所望により塩基、好ましくは有機窒素含有塩基、例えば、アミン、アニリン誘導体もしくは窒素ヘテロ環と化合させることにより、調製することもできる。これに加えて、同様にホウ素またはアルミニウム化合物と反応する第4の化合物、例えばペンタフルオロフェノールを、加えることができる。
【0121】
ブレンステッド酸をカチオンとして含有するイオン化合物も同様に、非配位対イオンを有する。ブレンステッド酸としては、プロトン化したアミンまたはアニリン誘導体がとりわけ好ましい。好ましいカチオンは、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムおよびN,N−ジメチルベンジルアンモニウム、そしてまた後者2つの誘導体である。
【0122】
WO9736937に記載されているようなアニオン性ホウ素ヘテロ環を含有する化合物、とりわけジメチルアニリニウムボラタベンゼンまたはトリチルボラタベンゼンも、成分C)として適している。
【0123】
好ましいイオン化合物C)は、少なくとも2個の過フッ素化アリール基を持つボレートを含有する。N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、特に、N,N−ジメチルシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが、とりわけ好ましい。
【0124】
ジアニオン[(CB−C−B(C2−またはアニオン[(CB−CN−B(Cでのように、2個以上のボレートアニオンおよび/もしくはボランが互いに結合すること、または1個のボレートアニオンがボランに結合することも可能であり、あるいは、ボレートアニオンは、適切な官能基を持つ架橋を介して、担体表面に結合することができる。
【0125】
さらなる適した活性化化合物C)は、WO00/31090に挙げられている。
強い非荷電ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン化合物、またはブレンステッド酸をカチオンとして含有するイオン化合物の量は、モノシクロペンタジエニル錯体A)に基づき、好ましくは0.1〜20当量、より好ましくは1〜10当量である。
【0126】
適した活性化化合物C)としては、ジ[ビス(ペンタフルオロフェニル)ボロキシ]メチルアランのようなホウ素−アルミニウム化合物も挙げられる。そのようなホウ素−アルミニウム化合物の例は、WO99/06414に開示されているものである。
【0127】
すべての上記活性化化合物(C)の混合物を用いることも可能である。好ましい混合物は、アルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、およびイオン化合物、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンを含有するもの、および/または強い非荷電ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを含む。
【0128】
第6族のシクロペンタジエニル錯体A)および活性化化合物C)は両方とも、溶媒、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、特に、キシレン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはそれらの混合物中で用いることが好ましい。
【0129】
さらに、同時に担体B)として採用することができる活性化化合物C)を用いることが可能である。そのような系は、例えば、無機酸化物から、ジルコニウムアルコキシドで処理した後、例えば四塩化炭素により塩素化することにより得られる。そのような系の調製法は、例えばWO01/41920に記載されている。
【0130】
第6族の新規シクロペンタジエニル錯体A)を、オレフィンの重合に適した少なくとも1種のさらなる触媒D)と組み合わせて用いることにより、同様に多様な生成物を達成することができる。したがって、オレフィン重合に適した1種以上の触媒を、所望による成分D)として触媒系に用いることが可能である。考えうる触媒D)は、とりわけ、チタンに基づく古典的なチーグラーナッタ触媒および酸化クロムに基づく古典的なフィリップス触媒である。
【0131】
考えうる成分D)は、原理上、有機基を含有し、A)および所望によりB)および/もしくはE)の存在下での成分C)との反応後にオレフィン重合のための活性触媒を好ましくは形成する、周期表の第3〜12族の遷移金属またはランタニドのあらゆる化合物である。これらは通常、少なくとも1つの単座もしくは多座配位子がσまたはπ結合により中心原子に結合している化合物である。考えうる配位子としては、シクロペンタジエニル基を含有する配位子と、シクロペンタジエニル基を含まない配位子の両方が挙げられる。オレフィン重合に適した多くのそのような化合物B)は、Chem.Rev.2000,Vol.100,No.4に記載されている。さらに、複核シクロペンタジエニル錯体もオレフィン重合に適している。
【0132】
とりわけ適した成分D)としては、少なくとも1個のシクロペンタジエニル配位子を有する化合物が挙げられ、これは一般にメタロセン錯体とよばれる。とりわけ有用なメタロセン錯体は、一般式(XIV)のものである
【0133】
【化11】

【0134】
[式中、置換基および添え字は以下の意味を有する:
1Dは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンもしくはタングステン、または周期表の第3族およびランタニドの元素であり、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C15−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、−OR6Dもしくは−NR6D7Dであるか、または、2個の基Xは、置換もしくは非置換ジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、そして基XDは同一もしくは異なっていて、互いに結合することができ、
1D−E5Dはそれぞれ炭素であるか、またはE1DからE5Dの1つ以下がリンもしくは窒素、好ましくは炭素であり、
tは、1、2または3であり、M1Dの原子価に応じて、一般式(XIV)のメタロセン錯体が帯電していないようなものであり、
ここにおいて、
6DおよびR7Dはそれぞれ、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、または、それぞれアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、フルオロアルキルもしくはフルオロアリールであり、そして
1D〜R5Dはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、順次C−C10−アルキル基を置換基として持つことができる五〜七員シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8D、N(SiR8D、OR8D、OSiR8D、SiR8Dであり、ここにおいて、有機基R1D−R5Dは、ハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R1D−R5D、特に隣接している基は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R1D−R5Dは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、ここにおいて、
基R8Dは、同一または異なっていることができ、それぞれC−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、C−C−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、そして
1Dは、Xまたは
【0135】
【化12】

【0136】
であり、ここにおいて、基
9D〜R13Dはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、順次C−C10−アルキルを置換基として持つことができる五〜七員シクロアルキルもしくはシクロアルケニル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR14D、N(SiR14D、OR14D、OSiR14D、SiR14Dであり、ここにおいて、有機基R9D−R13Dは、ハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R9D−R13D、特に隣接している基は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R9D−R13Dは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、ここにおいて、
基R14Dは、同一または異なっていて、それぞれC−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、C−C−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、
6D−E10Dは、それぞれ炭素であるか、またはE6D〜E10Dの1つ以下がリンもしくは窒素、好ましくは炭素であり、
あるいは、基R4DとZ1Dは一緒になって−R15D−A1D−基を形成し、ここにおいて、
15Dは、
【0137】
【化13】

【0138】
または=P(O)R16Dであり、
ここにおいて、
16D−R21Dは、同一または異なっていて、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、C−C10−アルキル基、C−C10−フルオロアルキル基、C−C10−フルオロアリール基、C−C10−アリール基、C−C10−アルコキシ基、C−C15−アルキルアリールオキシ基、C−C10−アルケニル基、C−C40−アリールアルキル基、C−C40−アリールアルケニル基もしくはC−C40−アルキルアリール基であるか、または、2個の隣接する基が、それらを接続している原子と一緒になって、4〜15個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和環を形成し、そして
2D−M4Dはそれぞれ、ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ、好ましくはケイ素であり、
1Dは、
【0139】
【化14】

【0140】
または非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系であり、ここにおいて、
基R22Dはそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、C−C10−シクロアルキル、C−C18−アルキルアリールまたはSi(R23Dであり、
23Dは、水素、C−C10−アルキル、順次C−C−アルキル基を置換基として持つことができるC−C15−アリール、またはC−C10−シクロアルキルであり、
vは、1であり、またはA1Dが非置換、置換または縮合ヘテロ環式環系である場合は0であることもでき、
あるいは、基R4DとR12Dは、一緒になって−R15D−基を形成する]。
【0141】
1Dは、架橋R15Dと一緒になって、例えば、アミン、エーテル、チオエーテルまたはホスフィンを形成することができる。しかしながら、A1Dは、炭素環原子に加えて、酸素、硫黄、窒素およびリンからなる群からのヘテロ原子を含有することができる非置換、置換または縮合ヘテロ環式芳香環系であることもできる。炭素原子に加えて1〜4個の窒素原子および/または1個の硫黄もしくは酸素原子を環原子として含有する五員ヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾル−3−イル、1,2,4−オキサジアゾル−5−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イルまたは1,2,4−トリアゾル−3−イルである。1〜4個の窒素原子および/または1個のリン原子を含有することができる六員ヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファフェニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルならびに1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イルおよび1,2,4−トリアジン−6−イルである。五員および六員ヘテロアリール基は、C−C10−アルキル;C−C10−アリール;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜10個の炭素原子を有するアリールアルキル;トリアルキルシリル;またはフッ素、塩素もしくは臭素などのハロゲンにより置換されていることもでき、あるいは、1個以上の芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物と縮合していることもできる。ベンゾ縮合五員ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チアナフテニル、7−チアナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンゾイミダゾリルおよび7−ベンゾイミダゾリルである。ベンゾ縮合六員ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジルおよび1−フェナジルである。ヘテロ環の命名および番号付けは、L.FieserおよびM.Fieser,Lehrbuch der organischen Chemie,第3改訂版,Verlag Chemie,Weinheim 1957からとった。
【0142】
一般式(XIV)中の基Xは、好ましくは同一であり、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキルまたはアラルキル、とりわけ、塩素、メチルまたはベンジルである。
【0143】
そのような錯体の合成は、それ自体が公知の方法、好ましくは、適切に置換されている環状炭化水素アニオンと、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはクロムのハロゲン化物との反応により、実施することができる。
【0144】
一般式(XIV)のメタロセン錯体のうち、
【0145】
【化15】

【0146】
が好ましい。
式(XIVa)の化合物のうち、
1Dが、チタン、バナジウムまたはクロムであり、
が、塩素、C−C−アルキル、フェニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、
tが、1または2であり、そして
1D〜R5Dが、それぞれ水素、C−C−アルキルであるか、または2個の隣接する基R1D〜R5Dが、置換または非置換ベンゾ基を形成する、
化合物が好ましい。
【0147】
式(XIVb)の化合物のうち、
1Dが、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはクロムであり、
が、フッ素、塩素、C−C−アルキルもしくはベンジルであるか、または2個の基Xが、置換もしくは非置換ブタジエン配位子を形成し、
tが、クロムの場合は0であり、それ以外の場合は1または2、好ましくは2であり、
1D〜R5Dがそれぞれ、水素、C−C−アルキル、C−C−アリール、NR8D、OSiR8DまたはSi(R8Dであり、
9D〜R13Dが、それぞれ、水素、C−C−アルキル、またはC−C−アリール、NR14D、OSiR14D、またはSi(R14Dであり、
あるいは、2個の基R1D〜R5Dおよび/もしくはR9D〜R13Dが、C環と一緒になって、インデニル、フルオレニルまたは置換インデニルもしくはフルオレニル系を形成する、
化合物が好ましい。
【0148】
シクロペンタジエニル基が同一である式(XIVb)の化合物が、とりわけ有用である。
【0149】
式(XIVb)のとりわけ有用な化合物D)の例としては、以下のものが挙げられる:
ビス(シクロペンタジエニル)クロム、ビス(インデニル)チタンジクロリド、ビス(フルオレニル)チタンジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(トリメトキシシリルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(3−ブテニルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(1−,3−ジ−tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(N,N−ジメチルアミノメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(シクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(メチルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、(シクロペンタジエニル)(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(3−ブテニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1,3−ジ−tert−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(トリメトキシシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、およびビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、そしてまた対応するジメチルジルコニウム化合物。
【0150】
式(XIVc)のとりわけ有用な化合物は、
15Dが、
【0151】
【化16】

【0152】
または=BR16Dまたは=BNR16D17Dであり、
1Dが、チタン、ジルコニウムまたはハフニウム、とりわけジルコニウムであり、そして
基Xが、同一または異なっていて、それぞれ、塩素、C−C−アルキル、ベンジル、フェニルまたはC−C15−アルキルアリールオキシである、
化合物である。
【0153】
式(XIVc)のとりわけ有用な化合物は、式(XIVc’)の化合物である
【0154】
【化17】

【0155】
[式中、
基R’は、同一または異なっていて、それぞれ、水素、C−C10−アルキルもしくはC−C10−シクロアルキル、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピルもしくはシクロヘキシル、C−C20−アリール、好ましくは、フェニル、ナフチルもしくはメシチル、C−C40−アリールアルキル、C−C40−アルキルアリール、好ましくは、4−tert−ブチルフェニルもしくは3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、またはC−C40−アリールアルケニルであり、
5DおよびR13Dは、同一または異なっていて、それぞれ、水素、C−C−アルキル、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、n−ヘキシルまたはtert−ブチルであり、
そして、環SおよびTは、同一または異なっていて、飽和、不飽和または部分的に飽和している]。
【0156】
式(XIVc’)のメタロセンのインデニルまたはテトラインデニル配位子は、2位、2,4位、4,7位、2,4,7位、2,6位、2,4,6位、2,5,6位、2,4,5,6位、または2,4,5,6,7位、とりわけ2,4位で置換されていることが好ましい。ここにおいて、置換部位には以下の番号付けを適用する。
【0157】
【化18】

【0158】
さらに、racまたは擬rac形にある架橋ビスインデニル錯体を成分D)として用いることが好ましい。“擬rac形”という用語は、2個のインデニル配位子が、錯体の他の置換基すべてを無視したときに、互いに対してrac配置にある錯体をさす。
【0159】
とりわけ有用な触媒D)(XIVc)および(XIVc’)の他の例としては、以下のものが挙げられる:
メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジブロミド、ジメチルシランジイルビス(3−メチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−i−ブチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2,7−ジメチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4[p−トリフルオロメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[3’,5’−ジメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−n−ブチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−ヘキシル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[3’,5’−ビス−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[1’−ナフチル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、およびエチレン(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、そしてまた対応するジメチルジルコニウム、モノクロロモノ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウムおよびジ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウム化合物。該錯体は、rac形で用いることが好ましい。
【0160】
そのような錯体は、それ自体が公知の方法、好ましくは、適切に置換されている環状炭化水素アニオンと、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルまたはクロムのハロゲン化物との反応により、合成することができる。適切な準備法(preparative method)の例は、とりわけ、Journal of Organometallic Chemistry,369(1989),359−370に記載されている。
【0161】
一般式(XIVd)のとりわけ有用な化合物は、
1Dが、チタンまたはジルコニウム、とりわけチタンであり、
が、塩素、C−C−アルキルもしくはフェニルであるか、または2個の基Xが、置換もしくは非置換ブタジエン配位子を形成し、
15Dが、
【0162】
【化19】

【0163】
または=BR16Dまたは=BNR16D17Dであり、
1Dが、−O−、−S−、または
【0164】
【化20】

【0165】
であり、
tが、1または2、好ましくは2であり、
1D〜R3DおよびR5Dが、それぞれ、水素、C−C10−アルキル、好ましくはメチル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリール、NR8DもしくはSi(R8Dであるか、または2個の隣接する基が、4〜12個の炭素原子を有する環状基を形成し、ここにおいて、R1D〜R3DおよびR5Dがすべてメチルであることがとりわけ好ましい、
化合物である。
【0166】
式(XIVd)のとりわけ有用な錯体D)は、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フェニルアミノ)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ベンジルアミノ)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(tert−ブチルアミノ)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(アダマンチル)チタンジクロリド、およびジメチルシランジイル(インデニル)(tert−ブチルアミノ)チタンジクロリドである。
【0167】
とりわけ有用な式(XIVd)の他の化合物群は、
1Dが、チタン、バナジウムまたは塩素であって、好ましくは酸化状態IIIにあるものであり、
が、塩素、C−C−アルキルもしくはフェニルであるか、または2個の基Xが、置換もしくは非置換ブタジエン配位子を形成し、
15Dが、
【0168】
【化21】

【0169】
であり、
1Dが、−O−R22D、−NR22D、−PR22Dまたは非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系、特にヘテロ芳香環系であり、
vが、1であるか、またはA1Dが非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系である場合は0もしくは1であることができ、そして
1D〜R3DおよびR5Dが、それぞれ、水素、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C15−アリールもしくはSi(R8Dであるか、または2個の隣接する基が、4〜12個の炭素原子を有する環状基を形成する、
化合物である。
【0170】
好ましい態様において、A1Dは非置換、置換もしくは縮合ヘテロ芳香環系であり、M1Dはクロムである。A1Dが、非置換または置換、例えばアルキル置換、特に、8または2位で結合している置換または非置換キノリルまたはピリジル、例えば、8−キノリル、8−(2−メチルキノリル)、8−(2,3,4−トリメチルキノリル)、8−(2,3,4,5,6,7−ヘキサメチルキノリル)であり、vが0であり、M1Dがクロムであることが、とりわけ好ましい。このタイプの好ましい触媒D)は、1−(8−キノリル)−2−メチル−4−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−イソプロピル−5−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)テトラヒドロインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)インデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−イソプロピルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−エチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−tert−ブチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)ベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−キノリル)−2−メチルベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチル−4−メチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))テトラヒドロインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))インデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−イソプロピルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−エチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))−2−tert−ブチルインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(8−(2−メチルキノリル))ベンゾインデニルクロム(III)ジクロリド、1−(2−ピリジルメチル)インデニルクロム(III)ジクロリド、または1−(8−(2−メチルキノリル))−2−メチルベンゾインデニルクロム(III)ジクロリドである。
【0171】
さらに、調製が容易なため、R15DがCH=CHまたは1,2−フェニレンであり、A1DがNR22Dである化合物、およびR15DがCH、C(CHまたはSi(CHであり、A1Dが非置換もしくは置換の2−もしくは8−キノリルまたは非置換もしくは置換2−ピリジルである化合物が好ましい。
【0172】
そのような官能性シクロペンタジエニル配位子の調製法は、長い間知られてきた。これら錯体を形成する配位子(complexing ligands)へのさまざまな合成経路は、例えば、Chem.Ber.(1996),129,459−463のM.Enders et al.,ならびにJ.Orgmet.Chem.(1995),500,175−185のP.JutziおよびU.Siemelingにより記載されている。
【0173】
金属錯体、特にクロム錯体は、適切な金属塩、例えば金属塩化物を、配位子アニオンと反応させることにより、簡単に得ることができる(例えば、DE−A−19710615中の実施例と類似の方法を用いる)。
【0174】
他の適切な触媒D)としては、シクロペンタジエニルまたはヘテロシクロペンタジエニルおよび縮合しているヘテロ環により形成される少なくとも1種の配位子を有するメタロセンが挙げられ、ここにおいて、ヘテロ環は、芳香族であり、窒素および/または硫黄を含有していることが好ましい。そのような化合物は、例えばWO98/22486に記載されている。これらは、詳細には、ジメチルシランジイル(2−メチル−4−フェニルインデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド、または(インデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリドである。
【0175】
他の適切な触媒D)は、メタロセン化合物を、例えば、ジルコニウムアルコキシドで処理した後例えば四塩化炭素により塩素化してある無機酸化物と、化合させた系である。そのような系の調製法は、例えばWO01/41920に記載されている。
【0176】
他の適切な触媒D)としては、クロムが構造的特徴として少なくとも1個のイミド基を持つイミドクロム化合物が挙げられる。これらの化合物およびその調製法は、例えば、WO01/09148に記載されている。
【0177】
他の適切な成分D)としては、三座マクロ環式配位子、特に、置換および非置換の1,3,5−トリアザシクロヘキサンおよび1,4,7−トリアザシクロノナンを伴う遷移金属錯体が挙げられる。このタイプの触媒の場合も同様にクロム錯体が好ましい。このタイプの好ましい触媒は、[1,3,5−トリ(メチル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリ(エチル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリ(オクチル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、[1,3,5−トリ(ドデシル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリド、および[1,3,5−トリ(ベンジル)−1,3,5−トリアザシクロヘキサン]クロムトリクロリドである。
【0178】
他の適切な触媒D)は、例えば、一般式XV〜XIXの少なくとも1種の配位子を伴う遷移金属錯体であり
【0179】
【化22】

【0180】
ここにおいて、遷移金属は、元素Ti、Zr、Hf、Sc、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Pd、Ptおよび希土類金属元素の中から選択される。ニッケル、鉄、コバルトまたはパラジウムを中心金属として有する化合物が好ましい。
【0181】
は、元素の周期表の第15族の元素、好ましくはNまたはPであり、Nがとりわけ好ましい。分子中の2または3個の原子Eは、同一または異なっていることができる。
【0182】
配位子系XV〜XIX内の同一または異なっていることができる基R1F〜R25Fは、以下のようなものである:
1FおよびR4Fはそれぞれ、互いに独立して、炭化水素基または置換炭化水素基、好ましくは、元素Eに隣接する炭素原子が少なくとも2個の炭素原子に結合している炭化水素基であり、
2FおよびR3Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、ここにおいて、R2FおよびR3Fは、1個以上のヘテロ原子が存在していてることもできる環系を形成することもでき、
6FおよびR8Fはそれぞれ、互いに独立して、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
5FおよびR9Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
ここにおいて、R6FおよびR5FまたはR8FおよびR9Fは、一緒になって環系を形成することもでき、
基R7Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、ここにおいて、2個のR7Fは、一緒になって環系を形成することもでき、
10FおよびR14Fはそれぞれ、互いに独立して、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
11F、R12F、R12F’およびR13Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、ここにおいて、2個以上のジェミナルまたは隣接基R11A、R12A、R12A’およびR13Aは、一緒になって環系を形成することもでき、
15FおよびR18Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
16FおよびR17Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、炭化水素基または置換炭化水素基であり、
19FおよびR25Fはそれぞれ、互いに独立して、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基R19FおよびR25Fは、ハロゲンにより置換されていることもでき、
20F−R24Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR26Fであり、ここにおいて、有機基R20F−R24Fは、ハロゲンにより置換されていることもでき、2個の隣接基R20F−R24Fは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
基R26Fはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリールまたはアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、そして2個の基R26Fは、結合して五または六員環を形成することもでき、
xは、0または1であり、xが0であるときに式(XVI)の錯体は負に帯電しており、そして
yは、1〜4からの整数、好ましくは2または3である。
【0183】
とりわけ有用な遷移金属錯体は、Fe、Co、Ni、PdまたはPtを中心金属として有し式(XV)の配位子を含有するものである。NiまたはPdのジイミン錯体、例えば以下のものがとりわけ好ましい:
ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジ(ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジ(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−2,3−ジメチル−ジアザブタジエンジメチルニッケル、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジ(2,6−ジメチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジ(2−メチルフェニル)−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンパラジウムジクロリド、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンニッケルジクロリド、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルパラジウム、ジフェニル−2,3−ジメチルジアザブタジエンジメチルニッケル、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンパラジウムジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンニッケルジクロリド、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンジメチルパラジウム、ジ(2,6−ジメチルフェニル)アザナフテンジメチルニッケル、1,1’−ビピリジルパラジウムジクロリド、1,1’−ビピリジルニッケルジクロリド、1,1’−ビピリジル(ジメチル)パラジウム、1,1’−ビピリジル(ジメチル)ニッケル。
【0184】
とりわけ有用な化合物(XIX)としては、J.Am.Chem.Soc.120,p4049ff.(1998)、J.Chem.Soc.,Chem,Commun.1998,849、およびWO98/27124に記載されているものも挙げられる。Eは窒素であることが好ましく、(XIX)中のR19FおよびR25Fは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−もしくは2,6−ジメチルフェニル、−ジクロロフェニルもしくは−ジブロモフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリメチルフェニル、とりわけ、2,3−もしくは2,6−ジメチルフェニル、−ジイソプロピルフェニル、−ジクロロフェニルもしくは−ジブロモフェニル、および2,4,6−トリメチルフェニルであることが好ましい。同時に、R20FおよびR24Fは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジルまたはフェニル、とりわけ水素またはメチルであることが好ましい。R21FおよびR23Fは水素であることが好ましく、R22Fは、水素、メチル、エチルまたはフェニル、とりわけ水素であることが好ましい。遷移金属Fe、CoまたはNi、とりわけFeを伴う配位子の錯体F−XIXが好ましい。2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジメチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2−クロロ−6−メチルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジクロロフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ピリジンジカルボキサルデヒドビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)鉄ジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジメチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4,6−トリメチルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2−クロロ−6−メチルフェニル)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)コバルトジクロリド、2,6−ジアセチルピリジンビス(2,6−ジクロロフェニルイミン)コバルトジクロリド、および2,6−ピリジンジカルボキサルデヒドビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミン)コバルトジクロリドが、とりわけ好ましい。
【0185】
イミノフェノキシド錯体を触媒D)として用いることもできる。これらの錯体の配位子は、例えば、置換または非置換サリチルアルデヒドと第一級アミン、特に置換または非置換アリールアミンから調製することができる。π系に1個以上のヘテロ原子を有するπ配位子、例えばボラタベンゼン配位子、ピロリルアニオンまたはホスホニルアニオンを伴う遷移金属錯体を、触媒D)として用いることもできる。
【0186】
触媒D)として適している他の錯体としては、二座または三座キレート化配位子を有するものが挙げられる。そのような配位子では、例えば、エーテル官能基がアミンまたはアミド官能基に連結しているか、アミドがピリジンのようなヘテロ芳香族化合物に連結している。
【0187】
成分A)とD)をこのように組み合わせることにより、例えば、二峰性の生成物を調製するか、その場でコモノマーを作り出すことが可能になる。オレフィン重合に関し通例の少なくとも1種のさらなる触媒D)と、所望の場合は1種以上の活性化化合物C)の存在下で、少なくとも1種の第6族のシクロペンタジエニル錯体A)を用いることが好ましい。ここで、触媒A)およびD)の組合わせによっては、1種以上の活性化化合物C)が有利であることができる。重合触媒D)は、同様に担持することができ、本発明の錯体A)と同時に、または任意の順序で、用いることができる。例えば、第6族のシクロペンタジエニル錯体A)と重合触媒D)を、一緒に1つの担体B)に、または異なる担体B)に、施用することができる。さまざまな触媒の混合物を成分D)として用いることも可能である。遷移金属錯体A)と重合触媒D)のモル比は、通常1:100〜100:1、好ましくは1:10〜20:1、とりわけ好ましくは1:1〜10:1である。
【0188】
触媒系はさらに、追加的成分E)、すなわち一般式(XX)の金属化合物を含むことができる
【0189】
【化23】

【0190】
[式中、
は、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、亜鉛、とりわけLi、Na、K、Mg、ホウ素、アルミニウムまたはZnであり、
1Gは、水素、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、それぞれアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールまたはアリールアルキルであり、
2GおよびR3Gはそれぞれ、水素、ハロゲン、C−C10−アルキル、C−C15−アリール、それぞれアルキル部に1〜20個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキルもしくはアルコキシ、またはC−C10−アルキルもしくはC−C15−アリールを伴うアルコキシであり、
は、1〜3の整数であり、そして
およびtは、0〜2の整数であり、r+s+tの合計はMの原子価に相当し、
ここにおいて、成分E)は成分(C)と同一でない]。
式(XX)のさまざまな金属化合物の混合物を用いることも可能である。
【0191】
一般式(XX)の金属化合物のうち、
が、リチウム、マグネシウム、ホウ素またはアルミニウムであり、
1Gが、C−C20−アルキルである
化合物が好ましい。
【0192】
式(XX)のとりわけ好ましい金属化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、とりわけn−ブチル−n−オクチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、フッ化ジメチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウムおよびトリメチルアルミニウム、ならびにそれらの混合物である。アルコールを用いたアルキルアルミニウムの部分的加水分解生成物も用いることができる。
【0193】
金属化合物E)を用いる場合、それは、触媒系中に、式(XX)からのMと第6族のシクロペンタジエニル錯体A)からの遷移金属とのモル比が、2000:1〜0.1:1、好ましくは800:1〜0.2:1、とりわけ好ましくは100:1〜1:1になるような量で、存在することが好ましい。
【0194】
一般に、触媒固体は、触媒固体の調製に用いられる金属化合物E)とは異なっていてもよい一般式(XX)のさらなる金属化合物E)と一緒になって、オレフィンの重合または共重合のための触媒系の構成要素として用いられる。とりわけ触媒固体が活性化成分C)を含有しない場合、触媒系がさらに、触媒固体に加えて、触媒固体中に存在する任意の活性化化合物C)と同一または異なっている1種以上の活性化化合物C)を含むことも可能である。
【0195】
本発明の触媒系を調製するためには、成分A)および/またはC)の少なくとも一方を担体B)上に、物理吸着によるか、または化学反応、すなわち、成分と担体表面上の反応性基との共有結合により、固定化することが好ましい。担体成分B)、成分A)および任意の成分C)を化合する順序は、重要ではない。成分A)およびC)は、互いに独立して、または同時に、または予備混合した形で、B)に加えることができる。個々の工程段階の後、該固体を、適切な不活性溶媒、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素で洗浄することができる。
【0196】
好ましい態様では、第6族のシクロペンタジエニル錯体A)を活性化化合物C)と適切な溶媒中で接触させて、通常可溶性の反応生成物、付加物または混合物を得る。その後、このようにして得られた調製物を、前処理してあってもよい担体B)と接触させ、溶媒を完全または部分的に除去する。これが、さらさらした粉末の形にある固体をもたらすことが好ましい。上記工程の工業的実施の例は、WO96/00243、WO98/40419またはWO00/05277に記載されている。他の好ましい態様は、最初に担体B)に活性化化合物C)を施用した後、この担持活性化化合物を第6族のシクロペンタジエニル錯体A)と接触させることを含む。
【0197】
成分D)も同様に、成分A)ならびに所望によりB)、C)およびE)と任意の順序で反応させることができる。D)を最初に成分C)と接触させた後、成分A)およびB)ならびに任意のさらなるC)と上記のように処理することが好ましい。他の好ましい態様では、触媒固体を上記のように成分A)、B)およびC)から調製し、これを、重合中、重合初期または重合直前に成分E)と接触させる。最初に、重合するα−オレフィンとE)を接触させた後、上記のような成分A)、B)およびC)を含む触媒固体を加えることが好ましい。第6族のシクロペンタジエニル錯体A)は、重合するオレフィンと接触させる前または後のいずれかに、成分(1種以上)C)および/またはD)と接触させることができる。オレフィンとの混合前に1種以上の成分C)を用いて予備活性化し、さらに、該混合物をオレフィンと接触させた後に同じまたは異なる成分C)および/またはD)を加えることも可能である。予備活性化は、一般に10〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で実施する。
【0198】
触媒系を最初にα−オレフィン、好ましくは線状C−C10−1−アルケン、とりわけエチレンまたはプロピレンと予備重合した後、得られた予備重合触媒固体を実際の重合に用いることも可能である。予備重合に用いられる触媒固体と、その上で重合されるモノマーとの質量比は、通常1:0.1〜1:1000、好ましくは1:1〜1:200である。
【0199】
さらに、改質成分としてのオレフィン、好ましくはα−オレフィン、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレンまたはフェニルジメチルビニルシラン、帯電防止的または適切な不活性化合物、例えばワックスまたはオイルを、触媒系の調製中または調製後に添加剤として少量加えることができる。添加剤と遷移金属化合物B)のモル比は、通常1:1000〜1000:1、好ましくは1:5〜20:1である。
【0200】
本発明の触媒系は、オレフィンの重合、特にα−オレフィン、すなわち末端二重結合を有する炭化水素の重合に適している。適したモノマーとしては、官能基化したオレフィン的に不飽和の化合物、例えば、アクロレイン;アクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルもしくはアミド誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレートもしくはアクリルニトリル(acrylnitrile);またはビニルエステル、例えば酢酸ビニルも挙げられる。アリール置換α−オレフィンを含む非極性オレフィン化合物が好ましい。とりわけ好ましいα−オレフィンは、線状または分岐状C−C12−1−アルケン、とりわけ線状C−C10−1−アルケン、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、または分岐状C−C10−1−アルケン、例えば、4−メチル−1−ペンテン;共役非共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエンもしくは1,7−オクタジエン;または、ビニル芳香族化合物、例えば、スチレンもしくは置換スチレンである。さまざまなα−オレフィンの混合物を重合することも可能である。エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンおよび1−デセンからなる群より選択される少なくとも1種のオレフィンを重合することが好ましい。
【0201】
適切なオレフィンとしては、二重結合が、1個以上の環系を有することができる環状構造の一部であるものも挙げられる。例は、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンもしくはメチルノルボルネン、または5−エチリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンおよびエチルノルボルナジエンのようなジエンである。
【0202】
2種以上のオレフィンの混合物を重合することもできる。いくつかの公知の鉄およびコバルト錯体とは対照的に、本発明の遷移金属錯体は、α−オレフィンがより多い場合であっても良好な重合活性を示し、したがって、それらが共重合に適していることは、とりわけ注目に値する。特に、本発明の遷移金属錯体は、エテンまたはプロペンの重合または共重合に用いることができる。エテンの重合におけるコモノマーとしては、C−C−α−オレフィンまたはノルボルネン、特に、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび/または1−オクテンを用いることが好ましい。少なくとも50mol%のエテンを含有するモノマー混合物を用いることが好ましい。プロピレンの重合において好ましいコモノマーは、エテンおよび/またはブテンである。
【0203】
重合は、オレフィンの重合に用いられている通例の反応器において、塊状、懸濁液中、気相中または超臨界媒体中で、公知のように実施することができる。バッチ式で、または好ましくは1段階以上で連続的に、実施することができる。チューブ反応器またはオートクレーブでの高圧重合法、溶液法、懸濁法、撹拌気相法(stirred gas-phase process)および気相流動床法のすべてが可能である。
【0204】
重合は通常、−60〜350℃の温度において、0.5〜4000barの圧力下、0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間の平均滞留時間で実施する。重合を実施するのに有利な圧力および温度範囲は、通常重合法に依存する。通常1000〜4000bar、とりわけ2000〜3500barの圧力で実施される高圧重合法の場合、一般に高い重合温度も設定される。これら高圧重合法に有利な温度範囲は、200〜320℃、とりわけ220〜290℃である。低圧重合法の場合、通常ポリマーの軟化温度より少なくとも2、3度低い温度に設定する。特に、これらの重合法では50〜180℃、好ましくは70〜120℃の温度に設定する。懸濁重合の場合、重合は通常、懸濁媒体中、好ましくは、イソブタンのような不活性炭化水素中か、炭化水素の混合物中か、またはモノマー自体の中で実施する。重合温度は一般に−20〜115℃であり、圧力は一般に1〜100barである。懸濁液の固形分は一般に10〜80%である。重合は、バッチ式、例えば撹拌オートクレーブ中か、または連続式、例えば、チューブ反応器、好ましくはループ状反応器で、実施することができる。US−A3242150およびUS−A3248179に記載されているようなフィリップスPF法を採用することが、とりわけ好ましい。気相重合は一般に30〜125℃で実施する。
【0205】
上記重合法のうち、気相重合、特に気相流動床反応器内での気相重合、溶液重合、ならびに、懸濁重合、特にループ状反応器および撹拌タンク反応器内での懸濁重合が、とりわけ好ましい。気相重合は、循環ガスの一部を露点未満まで冷却し、2相混合物として反応器に再循環させる、縮合または超縮合モードで実施することもできる。2つの重合帯域を互いに連結し、ポリマーをこれら2つの帯域に何回も交互に通す、多帯域反応器を用いることも可能である。2つの帯域は、異なる重合条件を有することもできる。そのような反応器は、例えば、WO97/04015に記載されている。所望の場合、異なるまたは同一の重合工程を連続して接続して、例えばHostalen法における重合カスケードを形成することもできる。2種以上の同一または異なる工程を用いる平行な反応器配列も可能である。さらに、モル質量調節剤、例えば水素、または帯電防止剤のような通例の添加剤も、重合に用いることができる。
【0206】
本発明のモノシクロペンタジエニル錯体とそれらが存在している触媒系は、組み合わせた方法により調製することもでき、または、それらの重合活性を、これら組み合わせた方法を活用して試験することができる。
【0207】
本発明の方法により、オレフィンのポリマーを調製することが可能になる。本発明の説明においてここで用いる“重合”という用語は、重合およびオリゴマー化の両方を包含し、例えば、約56〜10000000のモル質量Mを有するオリゴマーまたはポリマーを、この方法により生産することができる。
【0208】
機械的特性が良好なので、本発明の触媒系を用いて調製したオレフィンポリマーは、フィルム、繊維および成形品の生産にとりわけ有用である。
【0209】
実施例
合成および重合はすべて、保護的な窒素雰囲気下で実施した。
密度[g/cm]は、ISO1183に従って決定した。
【0210】
シュタウディンガー指数(η)[dL/g]は、デカリンを溶媒として130℃で自動ウッベローデ粘度計(Lauda PVS 1)を用いて決定した(130℃におけるISO1628、デカリン0.001g/mL)。
【0211】
NMRスペクトルは、Bruker DRX200(H:200.13MHz)で測定した。H−NMRスペクトルでは、用いた溶媒の重水素化が不完全な部分の信号を内部標準とした。信号はすべて、適切な文献値に校正した。
【0212】
質量スペクトルはFinnigan MAT 8230に記録し、高分解能質量スペクトルはMicromass CTD ZAB−2F分光計で測定した。
【0213】
以下の表中の略語:
Cat. 触媒
t(ポリ) 重合時間
ポリマー 形成したポリマーの量
密度 ポリマー密度
Prod. 用いた触媒(クロム錯体)1mmolにつき1時間あたりに得られたポリマーのg単位での触媒系の生産性
ヘキセン 重合中のヘキセンの存在の有無
【0214】
実施例1:
1.1. 2,3,4−トリメチル−1−(8−キノリル)シクロペンタジエンの調製
100mLのテトラヒドロフラン中の8.3g(40mmol)の8−ブロモキノリンの溶液を−80℃に冷却した後、16mLのn−ブチルリチウム(ヘキセン中に2.5M、40mmol)を滴下して加えた。添加終了後、混合物を−80℃でさらに15分間撹拌した後、4.96g(40mmol)の2,3,4−トリメチルシクロペント−2−エノンを加えた。該混合物を放置して室温にした後、30分間還流させた。室温に冷却後、反応混合物を氷水および10mLの濃塩酸と混ぜ合わせ、30分間撹拌した。その後、希アンモニア水溶液を、pH12に達するまで加えた。その後、水相を有機相から分離し、水相をジエチルエーテルで2回抽出した。有機相を組合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。117〜132℃、2×10−2mbarでの蒸留により、4.02g(17.1mmol、43%)の2,3,4−トリメチル−1−(8−キノリル)シクロペンタジエンが得られた。
【0215】
【化24】

【0216】
1.2. 3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエンの調製
20mLのテトラヒドロフラン中の0.87g(3.7mmol)の2,3,4−トリメチル−1−(8−キノリル)シクロペンタジエンの溶液を、30mLのテトラヒドロフラン中の0.15g(3.7mmol)の水素化カリウムの懸濁液に加えた後、混合物を室温で6時間撹拌した。0.402g(3.7mmol)の塩化トリメチルシリルを撹拌しつつ加え、該混合物を室温でさらに12時間撹拌した。揮発性構成成分を留去し、このようにして得られた残渣を蒸留した。126〜136℃、2×10−2mbarにおいて、3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエンが0.455g(1.5mmol、40%)の収量で蒸留された。
【0217】
【化25】

【0218】
1.3. (3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)クロムジクロリドの調製
【0219】
【化26】

【0220】
20mLのテトラヒドロフラン中の0.124g(0.4mmol)の3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエンの溶液を、20mLのテトラヒドロフラン中の0.016g(0.4mmol)の水素化カリウムの懸濁液に加えた。添加終了後、反応混合物を室温で6時間撹拌し、続いて20mLのテトラヒドロフラン中の0.15g(0.4mmol)の三塩化クロムトリス(テトラヒドロフラン)の溶液に撹拌しつつ加えた。混合物を室温でさらに12時間撹拌した後、溶媒を留去し、残渣をヘキサンで3回洗浄した。このようにして得られた残渣の可溶性成分を高温のトルエンに取り、濾過した。濾液から溶媒を除去し、洗浄し、減圧下で乾燥した。これにより、0.11g(0.26mmol)の(3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)クロムジクロリド(65%)が得られた。
【0221】
【化27】

【0222】
1.4. (3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−ブロモジメチルシリルシクロペンタジエニル)クロムジブロミドを形成するための(3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)クロムジクロリドとBBrとの反応
1.13g(4.5mmol)の三臭化ホウ素を、25mLのジクロロメタン中の0.276g(0.64mmol)の(3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)クロムジクロリドの溶液に加えた。添加終了後、反応混合物を70℃で2日間撹拌した後、溶媒を留去し、残渣をヘキサンで2回洗浄した。このようにして得られた残渣の可溶性成分をトルエンに取り、濾過した。濾液から溶媒を除去し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥した。これにより、0.144g(0.25mmol)の(3,4,5−トリメチル−1−(8−キノリル)−2−ブロモジメチルシリルシクロペンタジエニル)クロムジブロミドが得られた(39%)。
【0223】
【化28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のハロゲン置換基を持つ少なくとも1個のシリル基により置換されている少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体。
【請求項2】
以下の一般式CpM1A(I)の構造的特徴を含む、請求項1に記載の第6族のシクロペンタジエニル錯体[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cpは、少なくとも1個のSiRD置換基を有するシクロペンタジエニル系であり、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる]。
【請求項3】
一般式(II)を有する、請求項1または2に記載の第6族のシクロペンタジエニル錯体:
【化1】

[式中、置換基および添え字は、以下の意味を有する:
1Aは、クロム、モリブデンまたはタングステンであり、
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、−OR6Aもしくは−NR6A7A、SO6A、OC(O)R6A、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PFもしくは塊状非配位アニオンであるか、または、2個の基Xは、置換もしくは非置換ジエン配位子、特に1,3−ジエン配位子を形成し、基Xは、同一または異なっていて、互いに結合することができるか、またはXは以下の基の配位子であり:
【化2】

ここにおいて、
1A−Q2Aは、O、NR6A、CR6A7AまたはSであり、Q1AおよびQ2AはM1Aに結合しており、
3Aは、CまたはSであり、そして
4Aは、OR6A、SR6A、NR6A7A、PR6A7A、水素、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR8Aであり、
1A−E5Aは、それぞれ炭素であるか、またはE1A〜E5Aの1つ以下がリンもしくは窒素、好ましくは炭素であり、
tは、1、2または3であり、M1Aの原子価に応じて、一般式(II)の錯体が帯電していないようなものであり、
ここにおいて、
1A〜R5Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8A、N(SiR8A、OR8A、OSiR8A、SiR8Aであり、ここにおいて、有機基R1A−R5Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R1A−R5A、特に隣接している基は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R1A−R5Aは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、そして少なくとも1個のR1A〜R4Aは置換基SiRDであり、ここにおいて、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
6AおよびR7Aはそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル;C−C22−アルケニル;C−C22−アリール;アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル;これらに関し、有機基R6AおよびR7Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R6AおよびR7Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる;あるいは、SiR8Aであり、そして
基R8Aは、同一または異なっていることができ、それぞれ、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであることができ、ここにおいて、有機基R8Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R8Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
1Aは、Xまたは
【化3】

であり、ここにおいて、基
9A〜R13Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、R14A−C(O)O、R14A−C(O)NR14A、NR14A、N(SiR14A、OR14A、OSiR14A、SiR14A、SiRDであり、ここにおいて、有機基R9A−R13Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R9A−R13A、特に隣接している基は、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R9A−R13Aは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成することができ、ここにおいて、
基R14Aは、同一または異なっていて、それぞれ、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、ここにおいて、有機基R14Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R14Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
6A−E10Aは、それぞれ炭素であるか、またはE6A〜E10Aの1つ以下がリンもしくは窒素、好ましくは炭素であり、
あるいは、基R5AとZ1Aは、一緒になって−R15A−A1A−基を形成し、ここにおいて、
15Aは、
【化4】

または=P(O)R16Aであり、
ここにおいて、
16A−R21Aは、同一または異なっていて、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、Si(R23A、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシまたはC−C10−アリールオキシであり、ここにおいて、有機基R16A−R21Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R16A−R21Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
2A−M4Aはそれぞれ、ケイ素、ゲルマニウムまたはスズ、好ましくはケイ素であり、
1Aは、
【化5】

または非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系であり、ここにおいて、
基R22Aはそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSi(R23Aであり、ここにおいて、有機基R22Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R22Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
23Aは、水素、C−C10−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基R23Aはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基R23Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
vは、1であり、またはA1Aが非置換、置換もしくは縮合ヘテロ環式環系である場合は0であることもでき、
あるいは、基R5AとR13Aは、一緒になって−R15A−基を形成する]。
【請求項4】
一般式Cp−R15A−A1A−M1A(IV)の構造要素を含むモノシクロペンタジエニル錯体である、請求項1〜3のいずれかに記載の第6族のシクロペンタジエニル錯体[式中、可変要素は以下の意味を有する:
Cp−R15A−A1Aは、
【化6】

であり、ここにおいて、可変要素は以下の意味を有する:
1A−E5Aは、それぞれ炭素であるか、またはE1A〜E5Aの1つ以下がリンであり、
1A−R4Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR8A、N(SiR8A、OR8A、OSiR8A、SiR8A、BR8Aであり、ここにおいて、有機基R1A−R4Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、2個の隣接基R1A−R4Aは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、および/または2個の隣接基R1A−R4Aは、結合して、N、P、OおよびSからなる群からの少なくとも1個の原子を含有する五、六もしくは七員ヘテロ環を形成し、そして少なくとも1個のR1A−R4Aは置換基SiRDであり、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、
基R8Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、2個のジェミナル基R8Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、
15Aは、
【化7】

からなる群より選択される、A1AとCpの間の二価の架橋であり、
2A−M3Aはそれぞれ、互いに独立して、ケイ素またはゲルマニウムであり、
16A−R21Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、アルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、またはSiR23Aであり、ここにおいて、有機基R16A−R21Aは、ハロゲンにより置換されていることもでき、2個のジェミナルまたは隣接基R16A−R21Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
基R23Aはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アリール、またはアルキル部に1〜10個の炭素原子およびアリール部に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、C−C10−アルコキシ、またはC−C10−アリールオキシであり、2個の基R23Aは、結合して五または六員環を形成することもでき、そして
1Aは、元素の周期表の第15および/もしくは16族の1個以上の原子またはカルベンを含有する非荷電供与体基、好ましくは、非置換、置換もしくは縮合ヘテロ芳香環系であり、
1Aは、クロム、モリブデンおよびタングステンからなる群より選択される金属であり、そして
vは、0または1である]。
【請求項5】
1個のR1A−R4Aが置換基SiRDである、請求項3または4に記載の第6族のシクロペンタジエニル錯体。
【請求項6】
RがC−C22−アルキルである、請求項2〜4のいずれかに記載の第6族のシクロペンタジエニル錯体。
【請求項7】
オレフィン重合のための触媒系であって、
A)請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種の第6族のシクロペンタジエニル錯体、
B)場合により有機または無機担体、
C)場合により1種以上の活性化化合物、
D)場合により、オレフィン重合に適したさらなる触媒、および
E)場合により、周期表の第1、2または13族の金属を含有する1種以上の金属化合物、
を含む、前記触媒系。
【請求項8】
オレフィンの重合または共重合のための請求項7に記載の触媒系の使用。
【請求項9】
請求項7に記載の触媒系の存在下におけるオレフィンの重合または共重合によるポリオレフィンの調製方法。
【請求項10】
少なくとも1個のシリル基SiRDを持つ少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を有する第6族のシクロペンタジエニル錯体[式中、
Dは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけ塩素または臭素であり、
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NR、N(SiR、OR、OSiR、SiRであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもでき、そして
基Rはそれぞれ、互いに独立して、水素、C−C22−アルキル、C−C22−アルケニル、C−C22−アリール、アルキル部に1〜16個の炭素原子およびアリール部に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキルであり、ここにおいて、有機基Rはハロゲンにより置換されていることもでき、および/または2個の基Rは、結合して五、六もしくは七員環を形成することもできる]
の調製方法であって、少なくとも1個のシリル基SiRにより置換されている少なくとも1個のシクロペンタジエニル系を含む第6族のシクロペンタジエニル錯体を、三ハロゲン化ホウ素BDと反応させることを含む、前記調製方法。

【公表番号】特表2008−509956(P2008−509956A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526374(P2007−526374)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008848
【国際公開番号】WO2006/018264
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】