説明

ハンドストラップ取り付け構造

【課題】ハンドストラップ取り付け作業の容易性、外観意匠への影響を及ぼさない構成を維持しながら、ハンドストラップが取り付け部から不用意に抜けないようにする。
【解決手段】バッテリー収納部9内の端部角近傍にフロントケース5とリアケース4を締結する締結部が配置され、締結用ネジ3,3’により締結されている。締結用ネジ3で締結されている締結部をハンドストラップ取り付け部として兼用する。バッテリー蓋体2には、締結用ネジ3が配置されている側面角部近傍に、締結用ネジ3に係止されたハンドストラップ1の把持部を外部へ導出するための切り欠き開口部7が形成され、切り欠き開口部7と締結用ネジ3の間には、横方向から挿入されたハンドストラップ1を保持できるようにその断面がΓ状に形成された保持用フック6がリアケース4の背面上に固定配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯無線電話機等の携帯用電子機器におけるハンドストラップ取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯無線電話機等の携帯機器の持ち運びを便利にするために、この種の携帯型機器にはハンドストラップが取り付けられている。図5は、携帯無線電話機に設けられたハンドストラップ取り付け構造の従来例を示す斜視図である。
【0003】
図5では、マイク及びキー釦等の操作部が配置された第1の筐体と、スピーカ及び表示部が配置された第2の筐体をヒンジ部により折り畳み可能に構成された携帯無線電話機に対してハンドストラップ20を取り付けた例を示している。第1の筐体の背面側にはバッテリー収納部が設けられ、縦方向にスライドするバッテリー蓋体22を係合部21により係合または係合解除して着脱し、バッテリーの収納、取り外しが行われる。ハンドストラップ取り付け部19は、この筐体のバッテリー収納部とは反対側の側面から背面側に貫通する穴を開けて形成されており、この穴にハンドストラップ20の環状先端部を挿入し、挿入後環状部にハンドストラップ20の把持部を通すことによりハンドストラップ取り付け部に環状先端部を巻きつける構成となっている。
【0004】
携帯用機器にハンドストラップを取り付ける別の構成例としては、例えば特許文献1に記載されているような、筐体角部において外装表面板と外装裏面板とを締結するための締結部材の軸部分を露呈させ、この露呈した軸部分にハンドストラップを巻いて取り付ける構造等が採用されている。
【0005】
上記従来のハンドストラップ取り付け構造の場合、携帯用機器の使用者が任意のハンドストラップを、ハンドストラップ穴に通して巻き付けるか、あるいは締結部材の露呈した軸部分の周囲を通して巻き付ける構造となっているため、ハンドストラップを通す穴あるいは露呈した軸部分の周囲に設けられた空間にハンドストラップの先端部分を通す作業が必要であるが、通常ハンドストラップ取り付け部は目立たないように最小限の穴しか開けられていないので、ハンドストラップ取り付け作業は比較的面倒である。
【0006】
また、ハンドストラップの取り付け部にはその性質上、あらゆる方向に充分な引張強度が必要であるが、図5に示されている構成の場合、ハンドストラップ取り付け部19は筐体と一体の部材であるため、その強度を確保するためには一定の大きさを必要とし、機器を小型化する際の障害の一つとなっている。さらに、上記従来のハンドストラップ取り付け構造の場合、ハンドストラップ取り付け穴あるいは締結部材の露呈した軸部分は、筐体の外表面角部あるいは外側面の見える位置に形成する必要があるため、外観意匠が損なわれるという問題があった。
【0007】
携帯端末装置へのハンドストラップ取り付け作業を容易にするとともに、ハンドストラップ取り付け部分によって、携帯端末装置の外観意匠を損なわないようにするために、装置本体とバッテリー蓋体またはバッテリーパックとの間に、装置本体から立ち上がる棒状のストラップ係止部を設け、ハンドストラップを取り付ける際にはバッテリー蓋体またはバッテリーパックを移動させ、この棒状のストラップ係止部を外部に露出させた状態でハンドストラップの環状端部をストラップ係止部の先端から挿入して取り付け、取り付け後、棒状のストラップ係止部の上部をバッテリー蓋体またはバッテリーパックで覆うとともに、ハンドストラップをバッテリー蓋体またはバッテリーパックに形成した切り欠き開口部を介して外部へ引き出す構成が、特許文献2で提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−148576号公報
【特許文献2】特開2002−344607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献2記載の発明によれば、ハンドストラップ取り付け作業は容易となり、また、ハンドストラップ取り付け部分の構造は外部に露出されない構成となっているので、ハンドストラップ取り付け部が携帯端末装置の外観意匠に殆ど影響を及ぼさない構成とすることが可能であるが、特許文献2に記載の技術には以下のような問題点がある。
【0010】
携帯端末装置をハンドストラップにより吊り下げた状態で持ち歩いているとき、このハンドストラップはあらゆる方向から引っ張られる可能性があり、特許文献2の構成の場合、このハンドストラップが横方向に引っ張られたとき、それによる荷重がバッテリー蓋体に形成されたハンドストラップを通すための切り欠き開口部を介してバッテリー蓋体に直接掛かることがある。
【0011】
バッテリー蓋体は、バッテリーの着脱を容易にするために比較的簡単に着脱可能となるように構成されており、装置本体との係合機構の強度はそれ程大きくはない。そのため、特にハンドストラップを介してバッテリー蓋体方向あるいはバッテリー蓋体をスライドして外す方向に大きな荷重が加えられるとバッテリー蓋体が外れる可能性がある。ハンドストラップは棒状の部材に単に引っかけられているにすぎないので、バッテリー蓋体が一旦外れてしまえばハンドストラップはこの棒状の部材から簡単に抜けてしまい、その結果、装置本体を不用意に落下させて破損してしまう危険性が非常に大きい。
【0012】
また、特許文献2記載の発明の場合、ストラップを取り付けるための専用の構造物として機器本体側から立ち上がる棒状の部材を追加して設ける必要があり、そのための専用のスペースを必要とし、またこの棒状の部材は先端側を開放状態とし一方の端部でのみ固定する構造であるのでその強度を高める工夫も必要となる。
【0013】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ハンドストラップ取り付け作業の容易性、および携帯端末装置の外観意匠に影響を及ぼすことがない構成を維持しながら、ハンドストラップを介して横方向からの荷重を加えられてもハンドストラップ取り付け部からハンドストラップが抜けないようにする手段を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、ハンドストラップを最小限のスペースで、かつ十分な強度で取り付け可能な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前面に操作部が設けられ、背面にバッテリー収納部が設けられた携帯機器用筐体のハンドストラップ取り付け構造であって、前記バッテリー収納部内においてその一方の端部が固定され、ハンドストラップの環状端部を係止する棒状の突出部として構成されたストラップ係止部と、内面が前記ストラップ係止部の他方の端部と当接するようにして前記バッテリー収納部を覆うとともに、前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップを外部へ導く切り欠き開口部が形成された着脱可能なバッテリー蓋体と、前記バッテリー収納部内において前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップの後続部分を前記バッテリー蓋体に形成された切り欠き開口部へ導くように前記ストラップ係止部の近傍に固定配置され、前記ハンドストラップの後続部分を横方向から挿入して保持することにより少なくとも前記ハンドストラップを介して前記バッテリー蓋体を外す方向に加えられる荷重を受け止めて、前記バッテリー蓋体に加わる前記加重を抑制するように形成された保持用フック部材と、を備えていることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、前面に操作部が設けられたフロントケースと背面にバッテリー収納部が設けられたリアケースとが締結されることにより構成された携帯機器筐体のハンドストラップ取り付け構造であって、前記バッテリー収納部内においてその一方の端部が固定され、ハンドストラップの環状端部を係止する棒状の突出部として構成されたストラップ係止部と、内面が前記ストラップ係止部の他方の端部と当接するようにして前記バッテリー収納部を覆うとともに、前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップを外部へ導く切り欠き開口部が形成された着脱可能なバッテリー蓋体と、前記バッテリー収納部内において前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップの後続部分を前記バッテリー蓋体に形成された切り欠き開口部へ導くように前記ストラップ係止部の近傍に固定配置され、前記ハンドストラップの後続部分を横方向から挿入して保持することにより少なくとも前記ハンドストラップを介して前記バッテリー蓋体を外す方向に加えられる荷重を受け止めて、前記バッテリー蓋体に加わる前記加重を抑制するように形成された保持用フック部材と、を備えていることを特徴としている。
【0017】
本発明のハンドストラップ取り付け構造に対して、ハンドストラップを取り付けるには、まずバッテリー蓋体を筐体から外し、ハンドストラップの環状部を、バッテリー収納部内においてその一方の端部が固定されている棒状のストラップ係止部の先端から嵌め込むとともに、その断面形状がΓ状に形成された保持用フック部材の側面から係止されたハンドストラップの後続部分を挿入して保持させた後、バッテリー蓋体の切り欠き開口部を介してハンドストラップを外部へ引き出すようにバッテリー蓋体を装着することで、ハンドストラップの取り付けが完了する。
【0018】
従って、ハンドストラップの先端を取り付け穴に貫通させるような作業は不要であるので、その取り付け作業は容易となり、またストラップ係止部分は外部に露出していないので、外観意匠を損なうことはない。さらに、上記保持用フック部材が設けられていることにより、ハンドストラップからバッテリー蓋体を外す方向に加えられる荷重はこの保持用フック部材により受け止められてバッテリー蓋体に直接掛からないようにしているため、バッテリー蓋体が荷重を受けて外れることはないので、ハンドストラップがストラップ係止部から抜け落ちてしまう虞はなく、ハンドストラップが不用意に外れて携帯機器本体を破損する危険性を防止することができる。
【0019】
また、装置本体がフロントケースとリアケースとからなり、締結部材によりフロントケースとリアケースを結合して機器の筐体を構成している場合には、この締結部材をストラップ係止部として兼用することが可能であるが、この締結部材はフロントケースとリアケースを固定するための金属ネジ等からなる部材であるのでその強度は十分に確保されており、それぞれを独立に設置する場合と比較して、装置の小型化を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ハンドストラップを取り付け穴に通す等の煩雑な作業がなくなるのでハンドストラップの取り付けが容易となるとともに、ストラップ係止部分は外部に露出していないので、外観意匠を損なうことがないという効果に加えて、不用意にハンドストラップが外れて装置本体を破損する危険性を防止することができるという顕著な効果を有している。
【0021】
また、機器筐体をフロントケースとリアケースとを締結して構成する場合、締結部材をストラップ係止部として兼用することが可能であり、この締結部材はフロントケースとリアケースを固定するための部材であるのでその強度は十分に確保することができ、さらに、それぞれを独立に設置する場合と比較して、装置を小型化することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態を示すハンドストラップ取り付け構造の分解斜視図であり、折り畳み形式の携帯電話機に対して本発明を適用した場合の構成を示している。
【0023】
図1に示す携帯電話機は、キー釦等の操作部、およびマイク等が設けられた第1の筐体と、表示部、およびスピーカ等が設けられた第2の筐体とからなっており、この第1及び第2の筐体をヒンジ部8で結合することにより折り畳み可能に構成されている。各筐体はそれぞれフロントケースとリアケースを締結部材であるネジで締結することにより構成されている。図1では、本発明の特徴とするハンドストラップ取り付け構造が設けられるバッテリー収納部分の斜視図のみを示しているが、その他の構成は従来の携帯電話機と同様である。
【0024】
図1において、第1の筐体はフロントケース5とリアケース4により構成され、リアケース4の背面側にバッテリー収納部9が形成されている。なお、バッテリー収納部9の内部詳細構成については、本発明と直接関係しないので図では省略している。バッテリー収納部9には、二次電池等のバッテリー10が収納され、その上部をバッテリー蓋体2で覆うことによりバッテリー10が筐体内に固定保持される。このバッテリー収納部9は、通常リアケース4背面の一方の端部側に配置されている。
【0025】
一方、フロントケース5とリアケース4を締結する締結部は、通常フロントケース5およびリアケース4の4角の近傍に配置されているので、このバッテリー収納部9内の端部角近傍にもフロントケース5とリアケース4を締結する締結部が配置され、締結用ネジ3,3’により締結されている。本実施形態では、このバッテリー収納部9内の端部角近傍に配置されている締結部のうち、締結用ネジ3により締結している締結部をハンドストラップ取り付け部として兼用する。
【0026】
図2は、本実施形態における締結部の構成例を示す概略断面図を示しており、リアケース4のバッテリー収納部9内における背面から棒状に突出する円筒状のネジ受け部11と、該円筒状のネジ受け部11を介してフロントケース5とリアケース4を締結するネジ3を備えた構成となっており、円筒状のネジ受け部11の側面周囲がハンドストラップ1の係止部として用いられる。円筒状のネジ受け部11の先端部はバッテリー蓋体2の内面とほぼ当接する高さに形成されている。
【0027】
また、バッテリー収納部9内には、ストラップ係止部を兼用する円筒状のネジ受け部11に係止されたハンドストラップの後続部分が横方向から挿入されて該後続部分を保持するように、その断面形状がΓ状に形成された保持用フック6が円筒状のネジ受け部11の近傍に固定配置される。
【0028】
一方、バッテリー蓋体2には、このバッテリー蓋体2をバッテリー収納部9に係合したときに円筒状のネジ受け部11及び保持用フック6の固定位置と対応する角部の近傍側面に、円筒状のネジ受け部11に係止され、保持用フック6で保持されたハンドストラップ1の後続部分を外部へ導出するための切り欠き開口部7が形成されている。保持用フック6は、この切り欠き開口部7が設けられているバッテリー蓋体2の内側面とほぼ接するように配置されていることが好ましい。
【0029】
本実施形態において、ハンドストラップ1をこの携帯電話機に装着する際には、先ず、バッテリー蓋体2とリアケース4との係合を解除して、リアケース4からバッテリー蓋体2及びバッテリー10を取り外し、リアケース4とフロントケース5を締結している締結部(リアケース4のバッテリー収納部9内における背面から棒状に突出する円筒状のネジ受け部11)に、ハンドストラップ1の環状先端部を上から嵌め込んだ後、嵌め込まれた先端部に後続する部分を横方向から保持用フック6のΓ状凹部に挿入する。
【0030】
その後、バッテリー収納部9内にバッテリー10を収納し、保持用フック6のΓ状凹部から外部に引き出されるハンドストラップ1を、バッテリー蓋体2に形成された切り欠き開口部7の位置に合わせてバッテリー蓋体2をリアケース4と係合させることにより、携帯電話機へのハンドストラップ1の装着が完了する。
【0031】
本実施形態によれば、ハンドストラップ1の環状先端部を筐体側に設けられた取り付け穴に通す作業は不要であり、単にハンドストラップ1の環状先端部を棒状に突出部の嵌め込み、その後続部を横方向からΓ状の保持用フック6に挿入するだけの簡単な作業で済む。また、ハンドストラップ1の係止部はバッテリー蓋体2で覆われて外部には露出しないので外観意匠を損なうことはない。
【0032】
さらに、ストラップ係止部である円筒状のネジ受け部11とバッテリー蓋体2の切り欠き開口部7との間に、保持用フック6が配置されているので、バッテリー蓋体2が不用意に外れて装置本体を落下させ、破損してしまう虞はない。即ち、本実施形態では、ハンドストラップ1の引き出し方向はバッテリー蓋体2をヒンジ部側にスライドさせる方向と平行となっているため、バッテリー蓋体2を外す方向にスライドさせるような荷重はバッテリー蓋体2に加わることはなく、また、バッテリー蓋体2が外れる方向であるリアケース背面と直交する上方向への荷重は、保持用フック6により受け止められるため、ハンドストラップ1が貫通しているバッテリー蓋体2の切り欠き開口部7には、背面と直交する上方向への荷重が加えられることがないので、バッテリー蓋体2が不用意に外れてしまうことはない。
【0033】
また、ハンドストラップ1はその性質上、あらゆる方向に引っ張る力を受ける事が予想され、ハンドストラップ1の取り付け先は引張強度が充分に確保されている必要があるが、本実施形態では、ハンドストラップ1を係止する係止部は、フロントケース5とリアケース4とを締結する締結部材であるネジ3を用いているので、その引張強度も充分に確保することができる。
【0034】
図3は、本実施形態における締結部の他の構成例を示す概略断面図であり、本実施例では、フロントケース5とリアケース4を締結する締結部材として、フロントケース5とリアケース4を締結するネジ3の頭部を、バッテリー収納部9に装着されるバッテリー蓋体2の内面とほぼ当接可能な厚さに形成し、該ネジ3の頭部側面をストラップ係止部として用いている。本実施例も、ストラップ係止部としてフロントケース5とリアケース4を締結するネジ3そのものが用いられているのでハンドストラップ1に対する引張強度は充分に確保することができる。
【0035】
図4は、本発明の第2の実施形態を示すハンドストラップ取り付け構造の分解斜視図であり、同様に折り畳み形式の携帯電話機に対して本発明を適用した場合の構成を示している。本実施形態では、バッテリーとバッテリー蓋体とが一体化され、ハンドストラップの取り廻し方が変更されている点を除いて、その基本的構成は第1の実施形態と同様である。
【0036】
図4において、第1の筐体はフロントケース13とリアケース12により構成され、リアケース12の背面側にバッテリー収納部14が形成されている。バッテリー収納部14には、バッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15が収納されてリアケース12の背面に固定保持される。本実施形態においても、バッテリー収納部14内の端部角近傍に配置されている締結部のうち、締結用ネジ16で締結されている締結部をハンドストラップ取り付け部として兼用する。
【0037】
本実施形態の締結部の構成も、図2または図3に示す構成によって実現できる。一方、本実施形態では、バッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15には、締結用ネジ16が配置されている側面角部近傍に、締結用ネジ16に係止されたハンドストラップ1の後続部分を外部へ導出するための切り欠き開口部17、17’が2箇所に形成されており、また、この切り欠き開口部17、17’と締結用ネジ16との間には、横方向から挿入されたハンドストラップ1を保持できるようにその断面がΓ状に形成された保持用フック18、18’がリアケースの背面上に固定配置されている。
【0038】
本実施形態において、ハンドストラップ1をこの携帯電話機に装着する際には、先ず、バッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15とリアケース12との係合を解除して、リアケース12からバッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15を取り外し、リアケース12とフロントケース13を締結している締結部(円筒状のネジ受け部11)に、ハンドストラップ1の環状先端部を係止した後、該環状先端部の後続する部分を横方向から保持用フック18、18’のΓ状凹部に挿入する。
【0039】
その後、バッテリー収納部14内にバッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15を収納し、円筒状のネジ受け部11に係止され、保持用フック18、18’のΓ状凹部に保持されて外部に引き出されるハンドストラップの後続部分を、バッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15に形成された切り欠き開口部17、17’の位置に合わせるようにしてバッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15をリアケース12と係合させれば、携帯電話機へのハンドストラップ1の取り付けが完了する。
【0040】
本実施形態においても、ハンドストラップ1の環状先端部を筐体側に設けられた穴に通す作業は不要であり、単にハンドストラップ1の環状先端部を棒状に突出している円筒状のネジ受け部11に係止し、その後続部分を横方向からΓ状の保持用フック18、18’に挿入するだけの簡単な作業で済む。また、ハンドストラップ1の係止部はバッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15で覆われて外部には露出しないので外観意匠を損なうことはなく、さらに、ストラップ係止部である締結部とバッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15の切り欠き開口部17、17’との間に、保持用フック18、18’を配置しているので、バッテリー蓋体と一体化されたバッテリー15が不用意に外れて装置本体を落下させ、破損してしまう虞はない。
【0041】
なお、上記実施形態では、折り畳み可能に構成された携帯無線電話機をその対象として説明したが、本発明は、折り畳み形式の携帯無線電話機に限定されるものではなく、バッテリー収納部を有する携帯機器であれば、単一の筐体からなる携帯機器に対しても適用可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、ストラップ係止部を、フロントケースとリアケースを締結する締結部材と兼用する例について説明したが、ストラップ係止部は必ずしも締結部材と兼用されていなくてもよい。その場合には、装置の小型化の面では不利であるが、ハンドストラップを穴に通す等の煩雑な作業がなくなるのでハンドストラップの取り付けが容易となるとともに、ストラップ係止部分は外部に露出していないので、外観意匠を損なうことがないという効果に加えて、不用意にハンドストラップが外れて装置本体を破損する危険性を防止することができるという効果を得ることはできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すハンドストラップ取り付け構造の分解斜視図である。
【図2】本実施形態における締結部の構成例を示す概略断面図である。
【図3】本実施形態における締結部の他の構成例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示すハンドストラップ取り付け構造の分解斜視図である。
【図5】携帯無線電話機に設けられたハンドストラップ取り付け構造の従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1、20 ハンドストラップ
2、22 バッテリー蓋体
3、3’、16、16’ 締結用ネジ
4、12 リアケース
5、13 フロントケース
6、18、18’ 保持用フック
7、17、17’ 切り欠き開口部
8 ヒンジ部
9、14 バッテリー収納部
10 バッテリー
11 円筒状のネジ受け部
15 バッテリー蓋体と一体化されたバッテリー
19 ハンドストラップ取り付け部
21 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に操作部が設けられ、背面にバッテリー収納部が設けられた携帯機器用筐体のハンドストラップ取り付け構造であって、
前記バッテリー収納部内においてその一方の端部が固定され、ハンドストラップの環状端部を係止する棒状の突出部として構成されたストラップ係止部と、
内面が前記ストラップ係止部の他方の端部と当接するようにして前記バッテリー収納部を覆うとともに、前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップを外部へ導く切り欠き開口部が形成された着脱可能なバッテリー蓋体と、
前記バッテリー収納部内において前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップの後続部分を前記バッテリー蓋体に形成された切り欠き開口部へ導くように前記ストラップ係止部の近傍に固定配置され、前記ハンドストラップの後続部分を横方向から挿入して保持することにより少なくとも前記ハンドストラップを介して前記バッテリー蓋体を外す方向に加えられる荷重を受け止めて、前記バッテリー蓋体に加わる前記加重を抑制するように形成された保持用フック部材と、
を備えていることを特徴とするハンドストラップ取り付け構造。
【請求項2】
前面に操作部が設けられたフロントケースと背面にバッテリー収納部が設けられたリアケースとが締結されることにより構成された携帯機器筐体のハンドストラップ取り付け構造であって、
前記バッテリー収納部内においてその一方の端部が固定され、ハンドストラップの環状端部を係止する棒状の突出部として構成されたストラップ係止部と、
内面が前記ストラップ係止部の他方の端部と当接するようにして前記バッテリー収納部を覆うとともに、前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップを外部へ導く切り欠き開口部が形成された着脱可能なバッテリー蓋体と、
前記バッテリー収納部内において前記ストラップ係止部に係止されたハンドストラップの後続部分を前記バッテリー蓋体に形成された切り欠き開口部へ導くように前記ストラップ係止部の近傍に固定配置され、前記ハンドストラップの後続部分を横方向から挿入して保持することにより少なくとも前記ハンドストラップを介して前記バッテリー蓋体を外す方向に加えられる荷重を受け止めて、前記バッテリー蓋体に加わる前記加重を抑制するように形成された保持用フック部材と、
を備えていることを特徴とするハンドストラップ取り付け構造。
【請求項3】
前記ストラップ係止部は、前記フロントケースと前記リアケースを締結する締結部材と兼用されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドストラップ取り付け構造。
【請求項4】
前記フロントケースと前記リアケースを締結する締結部材は、前記リアケースから突出する円筒状のネジ受け部と、該円筒状のネジ受け部を介して前記フロントケースと前記リアケースを締結するネジを備えた構成となっており、前記円筒状のネジ受け部が前記ストラップ係止部として用いられていることを特徴とする請求項3に記載のハンドストラップ取り付け構造。
【請求項5】
前記フロントケースと前記リアケースを締結する締結部材は、該フロントケースとリアケースを締結するネジの頭部が、前記バッテリー収納部に装着される前記バッテリー蓋体の内面とほぼ当接可能な厚さに形成されており、該ネジの頭部が前記ストラップ係止部として用いられていることを特徴とする請求項3に記載のハンドストラップ取り付け構造。
【請求項6】
前記ハンドストラップを挿入できる方向が互いに異なる複数の前記フック部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハンドストラップ取り付け構造。
【請求項7】
前記バッテリー蓋体は、前記バッテリー収納部に収納されるバッテリーと一体化された構成となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハンドストラップ取り付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−173268(P2006−173268A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361757(P2004−361757)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】