説明

ハンドレール及びその製造方法

【課題】従来の熱可塑性材料からなるハンドレールは、剛性が大きいために、ガイドに適切になじまずガイドの磨耗が大きい、駆動ローラの磨耗が大きい、走行抵抗が大きい、走行音が大きい、ガイドの継ぎ目で騒音が出る、ハンドレールにびびり(振動)が発生する、などの問題が発生する。そこで、剛性を小さくでき剛性が大きいことにより生じる問題を解消できる熱可塑性材料からなるハンドレールを提供する。
【解決手段】ハンドレール1は、ハンドレール1の長手方向に連続的に設けられる抗張体2と、抗張体2の周りに形成した芯材層用熱可塑性エラストマーからなる芯材層3と、芯材層3の外周を覆って断面形状C字状に形成した芯材層用熱可塑性エラストマーよりも硬度が低い化粧層用熱可塑性エラストマーからなる化粧層4と、化粧層4の断面形状C字状の内面に内張りした帆布層5とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ、動く歩道、及びこれらに類似した輸送装置のための移動ハンドレールの構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドレールとして、主にゴム製のハンドレールが用いられてきた。
【0003】
他の従来のハンドレールとして、熱可塑性材料からなるハンドレールがある(例えば、特許文献1)。図10は従来の熱可塑性材料からなるハンドレールの断面図である。図10において、ハンドレール10は第1の熱可塑性エラストマー層11、第2の熱可塑性エラストマー層12、第1の熱可塑性エラストマー層11に埋め込まれた抗張体13、第1の熱可塑性エラストマー層11に内張りされた帆布層14から構成される。第1の熱可塑性エラストマー層11は第2の熱可塑性エラストマー層12よりも硬いことが特徴となっている。
【0004】
熱可塑性材料からなるハンドレールは押し出しで製造できるので、ゴム製ハンドレールよりも短い製造工程となり、安い原価で供給できる。また、ゴム製ハンドレールより光沢に優れるという特徴がある。
【0005】
また、他の熱可塑性材料からなるハンドレールとして、金属製の帯状の抗張体を用いたものがある(例えば、特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特許第3604687号公報
【特許文献2】特開2000−211872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の熱可塑性材料からなるハンドレールは、ゴム製のハンドレールと比較して剛性が大きく、これに起因する問題がある。剛性が大きいために、ガイドに適切になじまずガイドの磨耗が大きい、駆動ローラの磨耗が大きい、走行抵抗が大きい、走行音が大きい、ガイドの継ぎ目で騒音が出る、ハンドレールにびびり(振動)が発生する、などの問題が発生する。また、特許文献2のハンドレールでは、抗張体に金属製の帯を採用しており、剛性の問題は更に悪くなると推定される。
【0008】
そこで本発明の目的は、熱可塑性材料で構成されるハンドレールであって、上記した問題を解消した、品質と性能に優れた、ハンドレールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のハンドレールは、長手方向に延びる抗張体の周りを芯材層用熱可塑性エラストマーで被覆した芯材層と、前記芯材層用熱可塑性エラストマーよりも硬度が低い化粧層用熱可塑性エラストマーからなり、前記芯材層の周りに断面形状C字状に形成された化粧層とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
剛性を小さくでき剛性が大きいことにより生じる問題を解消した熱可塑性材料からなるハンドレールを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態に係るハンドレールの断面図である。図1において、ハンドレール1は、ハンドレール1の長手方向に連続的に設けられる抗張体2と、抗張体2の周りに形成した芯材層用熱可塑性エラストマーからなる芯材層3と、芯材層3の外周を覆って断面形状C字状に形成した化粧層用熱可塑性エラストマーからなる化粧層4と、化粧層4の断面形状C字状の内面に内張りした帆布層5とからなる。化粧層用熱可塑性エラストマーは芯材層用熱可塑性エラストマーよりも硬度が低いものが用いられる。全体として断面形状C字状のハンドレール1はほぼ平坦な中央部6と中央部6から曲がり部を形成する側端部7を有する。
【0013】
(芯材層)芯材層3は化粧層4よりも薄く形成し、その厚さは2mm以上5mm以下とすることが好ましい。芯材層3は抗張体2を外部応力から保護することを目的とし、その厚さは最低2mm必要である。一方、芯材層3が厚いと剛性が大きくなり、剛性に起因する問題が発生するので、5mm以下とし化粧層4よりも薄く形成する。芯材層用熱可塑性エラストマーの材質はウレタンであり、硬度はショアAスケールで90〜100が好ましい。芯材層用熱可塑性エラストマーとしてはポリエステル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等の適用が可能である。
【0014】
抗張体2を埋め込んだ芯材層3は、ハンドレール1の正方向の曲げや逆方向の曲げの時にその影響が最小になるように、曲げの中立位置に配置される。中立位置は、ハンドレール1の構造や構成材料に依るが、一般にハンドレール1の中央部6において帆布層5表面からの位置と化粧層4外面からの位置の比が4:6となることが多い。
【0015】
(化粧層)化粧層4は芯材層3を埋め込んでハンドレール1全体の断面形状がC字状となるように形成される。化粧層4の断面C字状の内面に帆布層5が内張りされる。化粧層用熱可塑性エラストマーは芯材層用熱可塑性エラストマーよりも硬度が低いものを用いる。化粧層用熱可塑性エラストマーの材質はウレタンであり、硬度はショアAスケールで80〜90が好ましい。芯材層3と帆布層5の間に化粧層4を介在させることにより、ハンドレール1の剛性を小さくすることができる。化粧層用熱可塑性エラストマーとしてはポリエステル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等の適用が可能である。
【0016】
(第2の実施形態)図2は本発明の第2の実施形態に係るハンドレールの断面図である。図2おいて図1と同じ部材には図1と同じ符号を付している。第1の実施形態と異なる点は、抗張体2を囲む芯材層3の長さが幅方向に長く形成され、ハンドレール1の側端部7の領域まで達していることである。図2では芯材層2の厚さはほぼ一定であるが、側端部7にかかる部分を厚く形成しても良い。
【0017】
図3はハンドレールの剛性を示すグラフである。図3には、従来技術のウレタンハンドレール、本発明の第1の実施形態のハンドレール、本発明の第2の実施形態のハンドレール、ゴム製ハンドレールの荷重とたわみの関係を示している。従来技術のウレタンハンドレールは図10に示すハンドレールであり、第1の熱可塑性エラストマー層11はハンドレール10の厚さの60%を占めショアDスケールの硬度40〜50のウレタンからなり、第2の熱可塑性エラストマー層12はショアAスケールの硬度70〜85のウレタンからなる。抗張体13にスチールコードを用い、帆布層14には天然繊維又は合成繊維の織物が用いている。本発明の第1の実施形態および第2の実施形態のハンドレールは、芯材層の芯材層用熱可塑性エラストマーとしてショアAスケール95のウレタン、化粧層の化粧層用熱可塑性エラストマーとしてショアAスケール85のウレタンを用いたものである。
【0018】
図3から分かるように、本実施形態のハンドレールは従来技術のウレタンハンドレールよりも剛性が小さくなっており、ゴム製ハンドレールの剛性に近づいている。これは、硬度の高い芯材層を硬度の低い化粧層で覆ったことによる。このように本発明の実施形態のハンドレールの構成により剛性が小さくでき、剛性が大きいことに起因するガイドの磨耗、駆動ローラの磨耗、大きい走行抵抗、大きい走行音、ガイドの継ぎ目からの騒音、ハンドレールのびびり(振動)などの問題が解消され、走行に適したハンドレールが得られる。
【0019】
図4はハンドレールの開口力を示す表である。図4には、長さ方向48mmの治具をハンドレールに当て、雰囲気温度15℃の条件化で、断面形状C字状の側端部間(開口部)の幅を7mm広げるのに要した力(開口力)を示す。一般に熱可塑性材料からなるハンドレールの開口力はゴム製ハンドレールより小さくなる。これは、熱可塑性材料からなるハンドレールの帆布層は1層であり、従来のゴム製ハンドレールの3層から5層と比較して層数が少なく、これにより側端部を内側から外側に広げる時の力(開口力)が小さくなるためである。本発明第1の実施形態の開口力は従来技術のウレタンハンドレールとほぼ同じであるが、本発明第2の実施形態では開口力が大きくなっている。これは本発明第2の実施形態では、芯材層3の幅方向の長さを長くし側端部7にかかるように形成していることによる。このように、芯材層3の幅方向の長さを長くすることにより、開口力を大きくすることができる。また、側端部7にかかる芯材層3の厚さを厚くすることにより開口力を大きくすることも可能である。
【0020】
(抗張体)抗張体2はスチールコードなど従来使用されるものを用いることができるが、本実施形態では、好適に、高強度を有するアラミド繊維やスチールコードの芯にナイロン芯を用いたナイロン芯入りスチールコードを用いると良い。図1の第1の実施形態では抗張体2にナイロン芯入りスチールコード18本を、図2の第2の実施形態ではアラミド繊維を採用している。従来のゴム製ハンドレールでは抗張体のハンドレール表面側に1層から3層の帆布層が設けられ、これが抗張体のハンドレール表面への飛び出しを防止していた。熱可塑性材料からなるハンドレールは抗張体のハンドレール表面側に帆布層が設けられないので、スチールコードを抗張体として用いた場合、スチールコードが破損などにより表面に突き抜けて飛び出してくる可能性がある。抗張体としてアラミド繊維を用いれば、抗張体のハンドレール表面への飛び出しを防止できる。アラミド繊維は高強度の上可とう性にも優れるため、挟圧駆動やプーリ駆動等の駆動方式を選ばず、順曲げにも逆曲げにも対応できるハンドレールを提供することができる。また、抗張体として金属製スチールコードを採用する場合は、スチールコードの芯として金属の芯ストランドの代わりにナイロンなどの樹脂製芯を採用することにより、ハンドレール表面からの飛び出しを防止できる。
【0021】
(帆布層)帆布層5は、綿などの天然繊維、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維やこれらの混紡などの材料が用いられる。
【0022】
ゴム製ハンドレールでは主に綿帆布が用いられていたが、熱可塑性材料からなるハンドレールでは吸水性の少ないポリエステル帆布等の化学繊維が用いられることが多い。化学繊維の帆布は静電気がたまりやすいという問題があるので、化学繊維の帆布を用いる場合はカーボン繊維などの導電性繊維を織り込むと良い。織り方は、ハンドレールの使用状況により、平織りまたは綾織りを選択する。図5はハンドレールの電気特性を示す表である。図5には、綿帆布を用いたゴム製ハンドレール、ポリエステル帆布を用いた従来技術のウレタンハンドレール、導電性繊維を織り込んだ本発明第1の実施形態のハンドレールの表面の抵抗値を示した。ハンドレール表面の抵抗値の測定には、1000V絶縁抵抗計を用い、雰囲気温度23℃、相対湿度44%の条件で測定した。外径35mmの電極2個を使用し、電極間の距離を100mmとし、この電極を帆布層に押し当て抵抗値を測定する。なお帆布に凹凸があるので、帆布と電極の間に導電性ペーストを塗布した。従来技術のウレタンハンドレールの表面抵抗が1×1010Ωに対して、カーボン繊維などの導電性繊維を帆布に織込んだ本発明第1の実施形態のハンドレールの表面抵抗は3×10Ωであり、ゴム製ハンドレールの表面抵抗5×10Ωより小さく、ハンドレール稼動中の静電気が除去できる。
【0023】
ハンドレールは長期間の使用中において、幅の最大の部分(耳部)でキレツが発生することがある。この場合、熱可塑性材料はゴムと比較して強度は大きいものの伸びが小さいため、熱可塑性材料からなるハンドレールはゴム製ハンドレールよりもキレツが発生した場合の進行が速い。また、熱可塑性材料からなるハンドレールは帆布層が少ないため、一旦キレツが入るとその進行を帆布で抑えることができない。そこで耳キレツ発生防止のために、帆布層5の幅方向の端部8を所定の長さ化粧層4に埋め込むことが好ましい。好適に、帆布層5の端部8を化粧層4に8mm以上埋め込むと良い。図6は、帆布層5の端部8の埋め込み量とハンドレールの耳キレツ発生までの期間の関係を示したグラフである。埋め込み量が大きくなると実用寿命が延び、埋め込み量8mm以上で安定した長寿命が得られることが分かる。これは埋め込み量が一定以上だと、走行中の抵抗による帆布のほつれなどの不具合を防止できるためである。図7はハンドレールの耳キレツ発生までの期間を示す表である。耳キレツ発生までの期間は、従来技術のウレタンハンドレールの5年に対して、本発明の第1の実施形態では8年、第2の実施形態では9年である。このように、本実施形態のハンドレールにおいて、帆布層の端部を所定の長さ化粧層に埋め込むことにより、耳キレツによるハンドレールの寿命の低下を抑制できる。
【0024】
(製造方法)本発明の実施形態のハンドレールは、抗張体と帆布層を供給しながら、化粧層用熱可塑性エラストマーと芯材層用熱可塑性エラストマーの両方を2台の押出機により同時に一体化して押し出し成形することにより製造する。
【0025】
他の製造方法として、抗張体を内部に持つ芯材層を予め押し出し成形しておき、芯材層と帆布層を供給しながら、化粧層用熱可塑性エラストマーを1台の押出機により一体化して押し出し成形することもできる。
【0026】
(ハンドレールの接続部)ハンドレールは、例えばエスカレータに設置する場合などにおいて、製造後所定の長さに切断し、その両端部を接続し無端状として使用する。ハンドレールには接続部と接続部以外の一般部の間で形状や光沢の違いが目立たないことが望まれる。熱可塑性材料からなるハンドレールは、その接続部において一般部より剛性が高く、外観に凹凸や変形が生じ、また接続部が一般部より厚さが厚くなることが生じる。これにより接続部がガイドに添わず浮き上がりエスカレータ装置に非常停止がかかる原因となり、また接続部の厚さが厚い部分は特にローラにこすられるため早く光沢がなくなり、押付け応力も高くなるので実用寿命が短くなる原因となる。
【0027】
また、熱可塑性材料からなるハンドレールはゴム製ハンドレールに比べ光沢に優れるという特徴がある。ゴム製ハンドレールの光沢は光沢計の測定で一般部および接続部ともに70〜80程度であるのに対し、熱可塑性材料からなるハンドレールは一般部で92〜98程度、接続部で80〜88程度である。熱可塑性材料からなるハンドレールは光沢が優れているため、一般部と接続部の間の光沢の差が初めから大きく均一性に欠ける、少しでもキズがつくと目立つ、ハンドレール表面のローラに当たって光沢が落ちた部分は他の部分との外観上の差が大きく一見して分かる、といった問題がある。
【0028】
本発明の実施形態のハンドレールでは、接続部の肉厚を一般部の肉厚より薄く形成するのが好ましい。好適には、接続部の肉厚を一般部の肉厚より0.05mmから0.30mm薄くするのが良い。図8は本発明の第1の実施形態のハンドレールにおいて一般部と接続部(本体部)の肉厚差を変えてハンドレールの寿命の保持率を試験した結果のグラフである。一般部と接続部の肉厚差が0の時の実用寿命を100%として表している。図8に示されるように、接続部の肉厚が一般部より厚くなれば寿命が短くなり、逆に薄くなれば寿命が長くなる傾向がある。肉厚の差がないように同じ肉厚にするのが一般的だが、本実施形態ではあえて0.05mm以上薄くする。余り薄くしすぎると外観上段差として現れるので、肉厚差は0.3mm以下が好ましい。
【0029】
また、本発明の実施形態のハンドレールでは、接続部と一般部の光沢をほぼ同じにすることにより、表面の光沢差を小さくできる。好適には、一般部の光沢を80〜90、接続部の光沢も同じく80〜90とする。ハンドレールの一般部の光沢は、材料の選択、製造時の押し出し温度や冷却温度などを最適な条件に組み合わせて接続部の光沢と同じになるように制御する。図9はハンドレールの光沢の変化を示す表であり、稼動前の光沢と稼動半年後の光沢を測定した結果を示す。光沢は光沢計(グロスチェッカ)で測定し、測定に当たって入射角は60°とした。図9に示されるように、本発明の第1の実施形態では接続部の光沢の変化が従来技術のウレタンハンドレールと比べて小さく、また稼動前と稼動後の一般部と接続部の光沢差は変化していない。本実施形態のハンドレールでは、接続部の肉厚を一般部より薄くしており、従来技術に比べ接続部に加わるローラ等の押し付け力が小さく、接続部の光沢の低下が少なくなる。
【0030】
(作用)以上説明した本発明の実施形態のハンドレールは以下の効果を奏する。
(1)抗張体と、抗張体の周りに形成した芯材層用熱可塑性エラストマーからなる芯材層と、芯材層の周りに断面形状C字状に形成した芯材層用熱可塑性エラストマーよりも硬度の低い化粧層用熱可塑性エラストマーからなる化粧層と、化粧層の断面形状C字状の内面に配置した帆布層という構成を採用したことにより、ハンドレールの剛性を小さくでき、剛性に起因する問題を解消した、品質と性能に優れた熱可塑性材料からなるハンドレールを提供できる。
(2)芯材層の幅方向の長さを長くし、ハンドレールの側端部にかかるように形成することにより、ハンドレールの開口力を大きくすることができる。
(3)抗張体としてアラミド繊維またはナイロン芯入りスチールコードを用いることにより、抗張体のハンドレール表面への飛び出しを防止できる。
(4)帆布層に導電性繊維を織り込んだ布を用いることにより、ハンドレールの静電気発生を防止できる。
(5)帆布層の幅方向の端部を所定の長さ化粧層に埋め込むことにより、ハンドレールの耳キレツ発生による寿命の低化を抑制できる。
(6)ハンドレールの接続部の厚さを一般部よりも薄くしたことにより、ハンドレールの寿命を長くすることができる。
(7)ハンドレールの接続部の厚さを一般部よりも薄くするとともに接続部と一般部の光沢をほぼ同じにすることにより、ハンドレール全体の外観を均一で長時間安定なものとすることができる。
【0031】
(応用例)本発明のハンドレールは、エスカレータ、動く歩道、及びこれらに類似した輸送装置のための移動ハンドレールとして適用することができる。しかも、従来のハンドレールと比較して、実用性能が格段に改良されており、ゴム製ハンドレールに代わって広く適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のハンドレールの第1の実施形態の断面図である。
【図2】本発明のハンドレールの第2の実施形態の断面図である。
【図3】ハンドレールの剛性を示すグラフである。
【図4】ハンドレールの開口力を示す表である。
【図5】ハンドレールの電気特性を示す表である。
【図6】ハンドレールの帆布の側端部への埋め込み量と耳キレツ発生までの期間の関係を示すグラフである。
【図7】ハンドレールの耳キレツ発生までの期間を示す表である。
【図8】ハンドレールの接続部の肉厚差と寿命の関係を示すグラフである。
【図9】ハンドレールの光沢の変化を示す表である。
【図10】従来技術のハンドレールの断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ハンドレール
2 抗張体
3 芯材層
4 化粧層
5 帆布層
6 中央部
7 側端部
8 帆布層の端部
10 ハンドレール
11 第1の熱可塑性エラストマー層
12 第2の熱可塑性エラストマー層
13 抗張体
14 帆布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる抗張体の周りを芯材層用熱可塑性エラストマーで被覆した芯材層と、
前記芯材層用熱可塑性エラストマーよりも硬度が低い化粧層用熱可塑性エラストマーからなり、前記芯材層の周りに断面形状C字状に形成された化粧層と
を有することを特徴とするハンドレール。
【請求項2】
前記芯材層用熱可塑性エラストマーの硬度はショアAスケールで90〜100であり、前記化粧層用熱可塑性エラストマーの硬度はショアAスケールで80〜90であることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項3】
前記芯材層の厚さは前記化粧層より薄く形成されることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項4】
前記芯材層の厚さは2mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項5】
前記芯材層用熱可塑性エラストマーの材質がウレタンであることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項6】
前記化粧層用熱可塑性エラストマーの材質がウレタンであることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項7】
前記芯材層の幅が断面形状C字状のハンドレールの曲がり部にかかる長さに形成されていることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項8】
前記抗張体は高強度を有するアラミド繊維などであることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項9】
前記抗張体がスチールコードの芯として樹脂性芯を用いた金属製スチールコードであることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項10】
前記化粧層のC字状内面に帆布層が設けられ、該帆布層に導電性繊維を織り込んだ布を用いることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項11】
前記化粧層のC字状内面に帆布層が設けられ、該帆布層の幅方向の端部は所定の長さ前記化粧層内に埋め込まれることを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項12】
前記帆布層の端部は8mm以上前記化粧層内に埋め込まれることを特徴とする請求項11記載のハンドレール。
【請求項13】
ハンドレールの接続部表面の肉厚を接続部以外の一般部表面よりも薄くしたことを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項14】
前記接続部表面の肉厚を前記一般部表面より0.05mm以上0.30mm以下薄くしたことを特徴とする請求項13記載のハンドレール。
【請求項15】
前記一般部表面の光沢を光沢計(入射角は60°)で80〜90とし、前記接続部表面の光沢を80〜90にしたことを特徴とする請求項1記載のハンドレール。
【請求項16】
請求項1に記載のハンドレールの製造方法であって、
抗張体の周囲に芯材層用熱可塑性エラストマーを押し出すのと同時に化粧層用熱可塑性エラストマーを押し出して両者を一体的に成形することを特徴とするハンドレールの製造方法。
【請求項17】
請求項1に記載のハンドレールの製造方法であって、
抗張体を内部に持つ芯材層を予め押し出し成形しておき、該芯材層の周囲に化粧層用熱可塑性エラストマーを押し出して一体的に成形することを特徴とするハンドレールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−133073(P2008−133073A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319436(P2006−319436)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(591062755)東北ゴム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】